説明

有機金属化合物の部分加水分解により得られ得る両親媒性ナノ粒子

本発明は、それらの表面上に親油性加水分解性基を含む両親媒性ナノスケール粒子に関する。本発明はまた、両親媒性ナノスケール粒子の製造方法ならびに該粒子を含有する組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両親媒性ナノスケール粒子、それらの製造方法、およびそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
工業プロセスに有用なナノスケール粒子の製造は、長い間、興味深い目的である。ナノ粒子がゾル−ゲルまたは他の沈殿技術によって製造される場合、凝集は、表面電荷(ダブル電荷雲(double-charge cloud))を適用することによって回避され得る。斥力は、表面電荷(z電位)のサイズによって調節され得、その結果、それらは、該粒子の凝固を防止する。ζ電位は、一般的に、pHの好適な選択によって調節され得る。これらの関係は、早くも20世紀の初めに、Sternによって同定された。結果として達成されたコロイド安定性は、ゾルとしても公知の、ナノ粒子状懸濁液を、長期間にわたって安定な状態に維持する能力へ導く。
【0003】
安定化の別の形態は、同様に電荷を保有し得そしてζ電位による安定なシステムを形成するために使用され得る官能基の追加の使用のそれである。これは、静電的(electrosteric)安定化と呼ばれる。従って、電荷−安定化されたナノサスペンションまたはゲルは、いわゆる等電点(即ち、表面電荷がゼロとなるpHが選択される)で不安定化され得る。次いで、凝集物またはゲル(該凝集物がより大きなユニットへ結合する場合)が形成される。
【0004】
電荷の適用によるこれらの安定化形態に加えて、更に、ナノ粒子の表面に、周囲の液体に非常に類似する基を提供する更なる形態が、更に存在する。これは、例えば、その表面がOH基で完全に覆われているSiO粒子で達成され得る。この結果は、等電点であってさえ、例えば水溶液系中のシリカが沈殿しないというものであり、何故ならば、該表面と周囲液体自体との間のフリーの界面エンタルピーが既に最小であり、そして凝集によってエンタルピー増加が生じないためである。このような安定化は、主に水性シリカゾル(SiOH基)について典型的である。
【0005】
凝集塊(agglomerates)または凝集物(aggregates)の回避は、ナノ粒子の更なる工業的加工処理のために非常に重要である。これは、このような粒子からの成形体の製造およびマトリクス材料におけるそれらの分散の両方に適用される。ナノ粒子の興味深い特性、例えば界面効果(interface effects)または透明性は、それらが均一に分散可能である場合にのみ、完全に有効となり得る。
【0006】
静電的安定化(追加の基無し)の場合、特に酸化物の場合だけでなく非酸化物システムの場合も、化学結合(例えば、SiOSi結合、TiOTiまたはZrOZrの場合に顕著により強い)の形成による強い相互作用が、凝集物の形成の場合に生じ、これは、例えば、加工処理技術において通常望まれない強酸の使用によってのみ、再分散性を可能にし、一方、互いに化学的に反応しない官能基での表面修飾の場合、凝集物が特定の条件下で生じ得るが、しかしこれは、変化された条件で、容易に可逆な様式で出発粒子へと戻され得る。
【0007】
化学的表面修飾のこの原理は、文献に記載されており、そして再分散性を増加させるために頻繁に使用されている。このような表面修飾は、例えば、本願出願人によって、例えばWO 93/21127 (DE 4212633)またはWO 96/31572において記載されている。しかし、この表面修飾の欠点は、複雑な化学的工程がこの目的のために必要であることであり、ここで、表面修飾分子は、粒子の表面上の基との安定な結合へと変換されなければならない。
【0008】
先行技術によれば、このような表面修飾は、加熱(例えば、還流下での加熱)および/または剪断力の印加(例えば、ニーダーまたはミルによる)を必要とする。更なるファクターは、この表面修飾は、特定の分散媒体に実質的に調整されなければならないということである。例えば、親水性に表面修飾されたナノ粒子は、水性または水様溶媒中に分散され得るが、無極性溶媒中に分散され得ず、そして逆も同様である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、このような表面修飾が必要とされないが、更なる加工処理工程無しに、有機溶媒または水性溶媒中に分散され得る、ナノ粒子の開発に向けられた。本発明は、更に、第一に表面修飾自体が不必要であるために、ならびにまた種々の表面修飾剤による各場合において必要とされる分散媒体の依存および調節がもはや必要とされないために、ナノ粒子の製造費用を大幅に削減するという課題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くべきことに、本発明の目的は、親油性である加水分解性基を表面上に有する両親媒性ナノスケール粒子を提供することによって達成され得る。該加水分解性基は、特に、該粒子の加水分解性前駆体に由来する。本発明は、更に、親油性である加水分解性基を表面上に有する両親媒性ナノスケール粒子の製造方法に関し、該方法は、a)少なくとも1つの親油性加水分解性基を含む1以上の加水分解性化合物のサブ化学量論量(substoichiometric amount)の水での加水分解および縮合、ならびにb)得られる加水分解性基を有する両親媒性粒子を粉末として得るための溶媒の除去を包含する。
【0011】
加水分解性化合物(hydrolyzable compounds)は、加水分解性モノマー(hydrolyzable monomers)またはその縮合生成物(condensation products)を意味すると理解される。加水分解性化合物はまた、該粒子の加水分解性前駆体(hydrolyzable precursors)をいう。製造のために、該粒子の前駆体としての加水分解性化合物の場合(例えば、アルコキシド)、核生成および成長プロセスは、比較的少量の加水分解剤(例えば、水、酸水溶液または塩基水溶液)で開始され得、そしてその表面が加水分解されていない前駆体で依然として覆われている、結晶性またはアモルファスの無機固体ナノ粒子へと導く。本発明の文脈において、該粒子がそれらの両親媒性を失うことなく蒸発乾固により濃縮され得ることは、特に驚くべきことである。
【0012】
本発明に従う粒子は、驚くべきことに、追加の表面修飾を必要とすることなく、水性媒体および有機媒体の両方に直接分散され得る。本発明に従う両親媒性粒子は、例えば、驚くべきことに、追加の処理無しに、水およびトルエンの両方へ直接分散され得る。両親媒性粒子が無極性溶媒で分散される場合、該溶媒は、該加水分解性基の加水分解を回避するために本質的に無水であることが確実にされるべきである。
【0013】
下記の実施例において示されるように、本発明の両親媒性粒子は、水、メタノール、トルエンおよびヘキサンのような種々の溶媒中に直接分散され得、そして該粒子は、加水分解が進行しないという条件で、該分散媒体から取り出され(freed from)そして次いで同一または別の溶媒に再分散され得、即ち、該粒子は、無水溶媒媒体中に可逆的に分散可能である。
【0014】
理論に拘束されることを望まないが、この驚くべき効果は、粒子表面上に存在する親油性加水分解性基が無極性有機溶媒と非常に相溶性であること、ならびに従って凝集が防止されることによって説明され得ると思われる。水中における容易な分散性は、例えば、加水分解性親油性基が水中で加水分解され、その結果、極性分散媒体と容易に相溶可能である親水性基のみが、表面上に残るということによって説明され得る。
【0015】
このような両親媒性粒子システムは、例えば、溶媒から取り出され(freed of)得、そして得られる粉末は、いつでも、再度、再分散され得る。追加の官能基が必要とされる場合、下記に記載されるように、好適な表面修飾、ドーピングまたは他の調節を行うことも可能である。
【0016】
従って、本発明は、親油性である加水分解性基を表面上に有するナノスケール粒子を提供する。ナノスケール粒子(nanoscaleparticles)およびナノ粒子(nanoparticles)という表現は、本明細書において、同義語として使用される。
【0017】
用語“両親媒性”は、化学の分野においてよく知られている用語である。両親媒性は、本明細書において、極性または親水性溶媒としての水ならびに無極性または親油性溶媒(例えば、トルエンもしくはヘキサン)の両方に分散可能である粒子の特性を記載する。この相溶性は、無極性媒体に関しては、粒子の表面上に存在する親油性基から生じ、そして水に関しては、水中において加水分解して粒子の表面上に親水性基(例えば、ヒドロキシル基)を残す、存在する親油性基の加水分解性から生じる。加水分解によって形成される親水性基に加えて、該粒子はまた、加水分解前に、表面上に親水性基を既に有していてもよい。
【0018】
親水性/親油性の概念は、当業者に非常によく知られている。親油性および疎水性基は、水へ浸透せずそしてそこに留まらない傾向を有しており、一方、親水性基は、水へ浸透しそしてそこに留まる傾向を有している。
【0019】
親油性化合物または基は、無極性媒体(例えば、有機溶媒、例えば、ヘキサンまたはトルエン)に分散または溶解する傾向を有し、一方、親水性化合物または基は、極性媒体(例えば、水)に分散または溶解する傾向を有している。親水性特徴は、例えば、ヒドロキシル、オキシ、オキシド、カルボキシレート、サルフェート、スルホネート官能基、一般的にはイオン性基または親水性ポリエーテル鎖の結果として生じ得、一方、親油性特徴は、例えば、典型的に、アルキル基または芳香族基のような炭化水素基の場合に存在する。
【0020】
本発明に従う両親媒性粒子において、加水分解性基は親油性であり、即ち、それらは、無極性媒体について親和性を有する親油性部分を含む。例えば、粒子の表面上の加水分解性アルコキシ基の場合、親油性特徴は、アルコキシ基の親油性アルキル基のために生じる。これらの加水分解性基は、総じて、親油性基と呼ばれ得る。加水分解によって形成されるおよび/または既に存在する親水性基は、例えば酸化物粒子(oxidic particles)の場合、例えば、該粒子の表面上におけるヒドロキシル、オキシまたはオキシド基である。
【0021】
本発明に従う両親媒性粒子は、ナノスケール粒子であり、即ち、該粒度は、1μm未満である。特に述べない限り、粒度(particle size)は、本明細書において、平均体積平均粒径(mean volume-average particle diameter)を意味すると理解され、これについて、UPA(Ultrafine Particle Analyzer, Leeds Northrup(レーザー光学、ダイナミックレーザー光散乱))が、測定のために使用され得る。平均粒径は、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下、例えば1〜200nm、好ましくは2〜100nm、例えば2〜50nmである。この範囲内の非常に小さな粒子を測定するために、電子顕微鏡法(例えば、HR−TEMによる)を使用することも可能である。それらはまた、必要に応じて、繊維状の粒子であり得る。この場合、平均粒度は長さに関係し、これはまた、例えば、顕微鏡法で視覚的に測定され得る。
【0022】
ナノスケール粒子は、特に、ナノスケール無機固体粒子である。ナノスケール粒子は、好ましくは金属製である(合金、金属または半金属化合物、特に金属カルコゲン化物を含む)。この目的のために、全ての金属または半金属(本明細書以下においてまた、Mと省略される)が使用され得る。金属または半金属化合物のために好ましい金属または半金属Mは、例えば、Mg,B,Al,Ga,In,Si,Ge,Sn,Pb,Y,Ti,Zr,V,Nb,Ta,Mo,W,Fe,Cu,Ag,Zn,Cd,CeおよびLa、あるいはそれらの混合物である。1つのタイプのナノ粒子あるいはナノ粒子の混合物を使用することが可能である。
【0023】
該ナノ粒子は、好ましくは、金属または半金属化合物から構成され得る。例えば、(必要に応じて水和された)酸化物、例えば、ZnO,CdO,SiO,GeO,TiO,ZrO,CeO,SnO,Al(特に、ベーマイト、また、水酸化アルミニウムとしてのAlO(OH)),B,In,La,Fe,Fe,CuO,Ta,Nb,V,MoOまたはWO;金属または半金属のホスフェート、シリケート、ジルコネート、アルミネート、スタネート(stannates)、ならびに対応の混合酸化物(例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、アンチモンスズ酸化物(ATO)、フッ素ドープトスズ酸化物(fluorine-doped tin oxide)(FTO)、YまたはEu化合物を含む発光顔料、スピネル、フェライト、あるいはペロブスカイト構造を有する混合酸化物(例えば、BaTiOおよびPbTiO))である。
【0024】
ナノ粒子は、好ましくは、特にMg,Si,Ge,Al,B,Zn,Cd,Ti,Zr,Ce,Sn,In,La,Fe,Cu,Ta,Nb,V,MoまたはWの、より好ましくはSi,Al,B,Sn,Ti,Zr,Mg,VおよびZnの酸化物であり、該酸化物は必要に応じて水和されている(オキシドヒドレート)。好ましいナノスケール粒子は、SiO,Al,AlOOH,Ta,ZrOおよびTiOであり、ZrOが最も好ましい。
【0025】
ナノスケール粒子は、種々の様式で、例えば火炎熱分解(flame pyrolysis)、プラズマ法、コロイド技術、ゾル−ゲル法、制御シーディングおよび成長プロセス(controlled seeding and growth processes)、MOCVD法およびエマルジョン法(emulsion methods)によって、通常、製造され得る。これらのプロセスは、文献において、包括的に記載されている。
【0026】
本発明に従う両親媒性ナノスケール粒子は、好ましくは、ナノスケール粒子を形成するゾル−ゲル法によって製造される。ゾル−ゲル法において、加水分解性化合物は、一般的に、必要に応じて酸性または塩基性触媒下で、水で加水分解され、そして必要に応じて少なくとも部分的に縮合される。加水分解および/または縮合反応は、ヒドロキシル、オキソ基および/またはオキソ架橋を有する化合物または縮合物の形成へ導き、これらは、前駆体として役立つ。パラメータ(例えば、縮合度、溶媒、温度、水濃度、期間、またはpH)の適切な調節は、ナノスケール粒子を含む両親媒性ゾルが得られることを可能にする。ゾル−ゲル法の更なる詳細は、例えば、C.J. Brinker, G.W. Scherer: "Sol-Gel Science - The Physics and Chemistry of Sol-Gel-Processing", Academic Press, Boston, San Diego, New York, Sydney (1990)に記載されている。
【0027】
本発明によれば、加水分解および縮合反応は、加水分解性化合物が不完全に加水分解されそしてナノ粒子が形成されるように行われ、即ち、形成されるナノスケール粒子は、依然として、表面上に加水分解性基を有している。加水分解性化合物を不完全に加水分解する課題に直面される当業者は、これが上記パラメータの適切な調節によっていかに達成されるかについてよく知っている。いくつかの好ましい条件を下記に説明する。
【0028】
加水分解および縮合は、溶媒中で行われ得るが、それらはまた、溶媒無しで行われ得、この場合、溶媒または他の液体成分は、加水分解において、例えばアルコキシドの加水分解において、形成され得る。溶媒の除去は、存在する液体成分の除去を包含し得る。溶媒の除去は、例えば、濾過、遠心分離除去および/または乾燥(例えば、エバポレーション)によって行われ得る。
【0029】
好ましいのは、サブ化学量論量(substoichiometricamount)の水で加水分解を行うことであり、即ち、加水分解性化合物の加水分解性基に対する水のモル比は、1未満、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.6以下、そしてなおより好ましくは0.5以下、特には0.5未満である。該モル比は、好ましくは0.1を超え、そしてより好ましくは0.2を超える。好ましいモル比は、例えば、0.25〜0.5であり、最も良好な結果は、約0.45のモル比での好ましい実施形態において得られる。
【0030】
述べられるように、加水分解は、酸−または塩基−触媒化され得、好ましいのは酸触媒である。加水分解は、室温(約23℃)で行われ得るが、好ましくは、例えば少なくとも40℃、好ましくは少なくとも100℃または少なくとも200℃へ加熱しながら行われる。更なる好ましい実施形態において、加水分解は、例えば密封された容器中で加熱することによって、加熱および圧力(熱水反応)で行われる。それらの性質によって、好適な反応条件は、使用される出発化合物に依存し、その結果、例えば、広範囲の好適な条件が、出発化合物の安定性に依存して、好適であり得る。当業者は、選択される化合物に直接依存する好適な条件を選択し得る。
【0031】
使用される加水分解性化合物または前駆体は、アルコキシドだけでなく、加水分解し得る他の化合物、例えば、アシル含有前駆体または錯化(complexed)前駆体(例えば、β−ジケトン錯体)でもあり得る。金属−炭素結合を有するオルガニル(organyls)を使用することも可能である。有用な金属または半金属化合物は、原則として、それからアルコキシドまたは他の加水分解性化合物が作製され得る、主族および遷移族の全ての金属または半金属である。純粋な金属に加えて使用される半金属は、例えば、Si,BまたはGeである。この目的のために使用可能な加水分解性化合物は、以下に更に例示される。
【0032】
好適な加水分解性化合物は、原則として、例えば上記で列挙された金属および半金属Mの、加水分解性金属または半金属化合物であり、そして、加水分解性基に加えて、必要に応じて非加水分解性基も有し得る。1以上の加水分解性化合物を使用することが可能である。
【0033】
この点で、当業者に公知であるように、該基の加水分解性はまた、当然ながら、該基が結合している中心原子Mに依存し、その結果、ある基は、それがどのMに結合されているかに依存して、加水分解性または非加水分解性であり得ることが、注意されるべきである。これらの関係は、当業者に公知である。例えば、Siへ結合されているアルキル基は、加水分解性でなく、一方、別の中心原子(例えば、ジルコニウム)上のアルキル基は、加水分解性であり得る。後者の中心原子の場合、親油性アルキル基はまた、加水分解性基として考えられ得る。
【0034】
更には、例えば、いくつかの金属の場合、例えば、ビス(アセチルアセトネート)亜鉛、酢酸亜鉛または酢酸カルシウムの場合、カルボキシレートまたはアセチルアセトネート基は加水分解性であり、一方、これらの基は、より大きな金属(例えば、Ti,ZrまたはFe)の場合、もはや加水分解性ではない。
【0035】
本発明の粒子の表面上に存在する親油性加水分解性基は、親油性基を含み、該親油性基は、特に、少なくとも4個、そして好ましくは少なくとも5個の炭素原子を有する。特定の親油性加水分解性基は、親油性アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、アルカリールオキシ、アシルオキシ、エーテル(例えば、アルコキシアルコキシまたはアルコキシアルコキシアルコキシ)およびアシル基であり、特に好ましいのは、アルコキシ基である。言及される親油性基はまた、対応の環式基、例えば、シクロアルキルオキシ基を含む。述べられるように、該基の加水分解性はまた、それが結合される中心原子に依存する。
【0036】
親油性基は、好ましくは、少なくとも4個そして好ましくは少なくとも5個の炭素原子を有する、飽和、不飽和または芳香族の、分枝鎖または非分枝鎖の炭化水素基を有する。
【0037】
好ましいアルコキシ基の例は、C−C20−アルコキシ、好ましくはC−C10−アルコキシ、例えば、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、直鎖または分枝鎖のペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシまたはオクトキシ、例えば2−エチルヘキソキシ、シクロヘキシルオキシである。アルコキシ基は、分枝鎖または好ましくは直鎖であり得;有利な分枝したアルコキシ基は、例えば、2−エチルヘキソキシである。アルケニルオキシ基の例は、C−C20−アルケニルオキシ、好ましくはC−C10−アルケニルオキシ、例えば、ブテノキシ、ペンテノキシ、ヘキセノキシ、ヘプテノキシ、オクテノキシおよびより高級のアルケノキシ基であり、好ましいのは、ペンテニルおよびヘキセニル、例えば、CHCHCH=CHCHCHO−またはCH=CH(CHO−である。アルケニルオキシ基は、分枝鎖または好ましくは直鎖であり得、二重結合は任意の位置にあり得る。1を超える二重結合が存在することも可能である。アルキニルオキシ基の例は、C−C20−アルキニルオキシ、好ましくはC−C10−アルキニルオキシ、例えばペンチニルオキシまたはヘキシニルオキシである。
【0038】
親油性アリールオキシ、アラルキルオキシおよびアルカリールオキシ基は、例えば、6〜20、好ましくは6〜15の炭素原子を有し得る。例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、トリルオキシおよびベンジルオキシである。好適な親油性加水分解性エーテル基は、例えば、一般式R(−ORO−を有し、式中、Rは親油性アルキル基であり、Rは、例えば1〜4の炭素原子を有する、アルキレン基(例えば、エチレンまたはプロピレン)であり、そしてxは、1〜4、好ましくは1または2の整数である。R基は、好ましくは、C−C20−アルキル基、例えば、ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロへキシル、ヘプチルまたはオクチルである。具体例は、ブトキシエトキシおよびヘキソキシエトキシである。
【0039】
アシル基の例は、C−C20−アシル、好ましくはC−C10−アシル、例えば、ブチリル、バレロイルおよびカプロイル(C−アシル)である。アシルオキシ基の例は、加水分解性である場合、C−C20−アシルオキシ、好ましくはC−C10−アシルオキシ、例えばブチリルオキシ、バレロイルオキシおよびカプロイルオキシである。アルキル基は、それらが加水分解性である場合、例えば、4〜20、好ましくは4〜10の炭素原子を有する。例えば、エーテルについて上述されるR基である。この場合、加水分解性親油性基としてフッ素化C−C20−アルキル基、例えば、C−CHCH,n−C13−CHCH,n−C17−CHCH,n−C1021−CHCH,イソ−CO−CHCHCH,n−C13−CHCHおよびn−C13−CHCHを使用することも可能である。必要に応じて、他の加水分解性基も、少なくとも1つの炭素原子がフッ素で置換されることが可能である。親油性基がこのようなフッ素化炭化水素鎖である場合、それはまた、4未満の炭素原子、例えば少なくとも1そして好ましくは少なくとも2の炭素原子を含み得る。
【0040】
加水分解性金属または半金属化合物は、一般式MX(I)の化合物であり得、式中、Mは上記の金属または半金属であり、Xは、同一または異なり得る加水分解性基であり得、ここで、2つのX基が1つの二座の加水分解性基または1つのオキソ基によって置換されていてもよく、あるいは3つのX基が三座の加水分解性基によって置換されていてもよく、そしてnは、元素の価数に対応しそしてしばしば3または4である。
【0041】
式(I)の化合物において、少なくとも1つの加水分解性X基は親油性である。好ましくは、式(I)の全てのX基が親油性である。親水性親油性基の例は、上記に記載した。加水分解性X基の更なる例は、例えば、ハロゲン(F,Cl,BrまたはI、特にはClおよびBr)、C1−3−アルコキシ(例えば、エトキシ、n−プロポキシ、イソ−プロポキシ)、C1−3−アシルオキシ(例えば、アセトキシまたはプロピオニルオキシ)、C−C−アルケニルオキシ(例えば、ビニル−またはアリルオキシ)、C−C−アルキニルオキシあるいはC2−3−アルキルカルボニル(例えば、アセチル)である。
【0042】
好ましい親油性基を有する加水分解性化合物の例は、例えば、Al(O−n−C,Al(O−sec−C,Al(OCOC,Ti(OC,Ti(ペントキシ),Ti(ヘキソキシ),Ti(2−エチルヘキソキシ),Zr(OC,Zr(ペントキシ),Zr(ヘキソキシ),Zr(2−エチルヘキソキシ),およびまた錯形成基(complexingradicals)(例えば、β−ジケトンおよび(メタ)アクリロイル基)を有するZr化合物、Si(OCであり、ここで、記載されるペントキシおよびヘキソキシ基は、直鎖または分枝鎖であり得る。
【0043】
更なる加水分解性化合物の例は、Al(OCH,Al(OC,Al(O−n−C,Al(O−i−C,AlCl,AlCl(OH),Ti(OCH,Ti(OC,TiCl,Ti(OC,Ti(O−n−C,Ti(O−i−C,ZrCl,Zr(OC,Zr(O−n−C,Zr(O−i−C,ZrOCl,ホウ酸,BCl,B(OCH,B(OC,SnCl,Sn(OCH,Sn(OC,Si(OOCCH,VOClおよびVO(OCH,Si(OCH,Si(OC,Si(O−n−もしくはi−C,SiClおよびHSiClである。
【0044】
親油性でない上述の加水分解性基を有する化合物は、親油性加水分解性基を有する化合物を製造するための出発化合物として使用され得る。
【0045】
言及される親油性加水分解性基を有する加水分解性化合物は、商業的に入手可能である。それらはまた、他の加水分解性化合物から、例えば交換反応によって、製造され得る。これは、例えば、他の加水分解性化合物がより容易に得られ得る場合に、好適であるかもしれない。例えば、金属アルコキシドまたは半金属アルコキシド(例えば、金属エトキシドまたは金属プロポキシド)を、より高級のアルコール(例えば、ペンタノール、ヘキサノールまたは2−エチルヘキサノール)と反応させて、アルコキシドのアルコキシ基をより高級なアルコールのアルコキシ基で置換し得る。交換反応は、完全に、または部分的にだけ、行われ得る。
【0046】
このような交換反応はまた、他の加水分解性化合物から、インサイチュで、加水分解性親油性基を有する所望の化合物を形成し、そしてそれらを、単離することなく直接、所望の両親媒性粒子に変換するために使用され得る。
【0047】
加水分解性金属または半金属化合物(例えば、上記式(I)のもの)はまた、錯化基(complexingradicals)、例えばβ−ジケトンおよび(メタ)アクリロイル基を有し得る。特に、比較的に反応性のアルコキシドの場合(例えば、Al,Ti,Zrなど)、ある状況下では、錯化形態のそれらを使用することが賢明であるかもしれず、好適な錯化剤の例は、不飽和カルボン酸およびβ−ジカルボニル化合物、例えば、メタクリル酸、アセチルアセトンおよびエチルアセトアセテートである。
【0048】
少なくとも1つの非加水分解性基を含有する加水分解性化合物を使用することも可能である。例えば、一般式RSiX(4−a)(II)のシランであるか、あるいはそれから誘導されるオリゴマーであり、式中、R基は、同一または異なり、そして各々、非加水分解性基であり、X基は、同一または異なり、そして各々、加水分解性基またはヒドロキシル基であり、そしてaは、1、2または3である。aは、好ましくは1または2である。
【0049】
一般式(II)において、加水分解性X基は、同一または異なり得、例えば、水素またはハロゲン(F,Cl,BrまたはI)、アルコキシ(好ましくはC1−6−アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシおよびブトキシ)、アリールオキシ(好ましくは、C6−10−アリールオキシ、例えば、フェノキシ)、アシルオキシ(好ましくは、C1−6−アシルオキシ、例えば、アセトキシまたはプロピオニルオキシ)、アルキルカルボニル(好ましくは、C2−7アルキルカルボニル、例えば、アセチル)、アミノ、モノアルキルアミノまたはジアルキルアミノであり、好ましくは1〜12、特には1〜6の炭素原子を有する。好ましい加水分解性基は、ハロゲン、アルコキシ基(特には、エトキシおよびメトキシ)およびアシルオキシ基である。加水分解性親油性基が、式(II)のシランを用いて、ナノ粒子へ導入される場合、Xは、例えば式(I)の化合物についての、上述した加水分解性親油性基の1つであり得る。
【0050】
同一または異なり得る非加水分解性R基は、官能基を有する非加水分解性R基であっても、あるいはこのような官能基を有さない非加水分解性R基であってもよい。
【0051】
官能基を有さない非加水分解性R基は、例えば、アルキル(好ましくは、C1−8−アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチルおよびt−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチルまたはシクロヘキシル)、アリール(好ましくは、C6−10−アリール、例えば、フェニルおよびナフチル)、ならびにまた、対応のアルキルアリールおよびアリールアルキルである。RおよびX基は、必要に応じて、1以上の慣用の置換基(例えば、ハロゲンまたはアルコキシ)を有し得る。
【0052】
官能基を有する非加水分解性基R基は、例えば、官能基として、エポキシ(例えば、グリシジルまたはグリシジルオキシ)、ヒドロキシル、エーテル、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、必要に応じて置換されたアニリノ、アミド、カルボキシル、アルケニル、アルキニル、アクリロイル、アクリロイルオキシ、メタクリロイル、メタクリロイルオキシ、メルカプト、シアノ、アルコキシ、イソシアナト、アルデヒド、アルキルカルボニル、酸無水物およびリン酸基を含み得る。これらの官能基は、酸素または−NH−基によって中断されていてもよい、アルキレン、アルケニレンまたはアリーレン架橋基(bridging groups)を介して、珪素原子へ結合されている。該架橋基は、好ましくは、1〜18、好ましくは1〜8、そして特には1〜6の炭素原子を含有する。アルケニルまたはアルキニル基を有する非加水分解性R基の例は、C2−6−アルケニル、例えば、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニルおよびブテニル、ならびにC2−6−アルキニル、例えば、アセチレニルおよびプロパルギルである。
【0053】
上記の二価の架橋基および存在する任意の置換基(アルキルアミノ基の場合のように)は、例えば、上述の一価のアルキル、アルケニルまたはアリール基から誘導される。当然ながら、R基はまた、1を超える官能基を有し得る。架橋反応は、該官能基を介して可能であり得る。
【0054】
非加水分解性基上に官能基を有する式(II)の好適なシランの例は、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(GPTS)、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン(GPTES)、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルジメチルクロロシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APTS)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−[N’−(2’−アミノエチル)−2−アミノエチル]−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ヒドロキシメチルトリエトキシシラン、ビス(ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランおよび3−(メタ)−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランである。本発明に従って使用可能な加水分解性シランの更なる例はまた、例えば、EP-A-195493から得られ得る。
【0055】
フッ素によって置換されている有機基を有するシランを使用することもまた可能である。このようなシランは、例えば、WO 92/21729に詳細に記載されている。
【0056】
非加水分解性基を有する加水分解性化合物の使用は、更なる官能基がナノ粒子へ組み込まれることを可能にする。官能基は、例えば、親水性または疎水性基、例えば特定の分子を架橋または結合するために好適である官能基、イオン基などであり得る。
【0057】
当然ながら、上述の加水分解性化合物の混合物を、例えば、加水分解性親油性基を有する化合物と、非加水分解性基および必要に応じて親油性加水分解性基を有さないかあるいは1つの非加水分解性基を有する加水分解性化合物とを、使用することも可能である。
【0058】
好ましい実施形態において、両親媒性粒子には、官能基が付加される。これらの官能基は、該粒子に更なる所望の官能性を与える、両親媒性粒子の表面上の基である。このような官能化は、該粒子が、必要である場合、所望の特性に適応されることを可能にする。
【0059】
これによって、該粒子は、例えばそれらが例えば混合される他の材料に関して、改善された、あるいは好適である場合には悪化された相溶性を受け得る。該官能基は、例えば、疎水性、親水性、疎油性(oleophobic)、親油性の機能を導入することを可能にする。疎水性および/または疎油性を達成するために、例えば、フッ素化炭化水素鎖を含む官能基を導入することが可能である。
【0060】
更に好ましい官能基は、1以上の官能基が該粒子の表面に導入されるものである。これらによって、例えば、他の材料とのあるいは該粒子間の反応もまた可能である。特に好ましいのは、架橋反応に好適である官能基であり、その結果、このように修飾された粒子は、例えば、好適な官能基を有するマトリクス形成材料(matrix-forming material)へ該材料との化学反応により結合されるか、あるいはそれを架橋する。
【0061】
このような官能基は、該両親媒性粒子を表面修飾剤(surface modifier)と反応させることにより得られ得る。ナノスケール粒子の表面修飾は、例えばWO 93/21127 (DE 4212633)またはWO 96/31572において、本出願人によって記載されるように、公知のプロセスである。表面修飾された粒子の製造は、原則的に、2つの異なる様式で、詳細には、第一に、既に製造されたナノスケール粒子の表面修飾により、および第二に、表面修飾剤を使用してこれらの粒子を作製することによって、行われ得る。後者は、該粒子の形成において表面修飾剤としてインサイチュで機能し得る、式(II)のシランについて包括的に既に説明している。
【0062】
完成した(finished)両親媒性粒子の表面修飾は、該粒子と表面修飾剤とを混合することによるシンプルな様式で行われ得る。該反応は、必要に応じて溶媒中において、そして、必要ならば、機械的または熱的エネルギー供給によっておよび/または触媒添加によって行われる。
【0063】
好適な表面修飾剤は、該両親媒性粒子の表面上に存在する反応性基(例えば、OH基)と反応または相互作用し得る1以上の基を最初に保有する化合物である。表面修飾剤は、該ナノ粒子の表面へ、例えば、共有結合、配位結合(錯形成)およびイオン結合(塩タイプ)を形成し得、一方、純粋な相互作用としては、例えば、双極子−双極子相互作用、水素結合およびファンデルワールス相互作用が挙げられる。好ましいのは、共有結合、イオン結合の形成、あるいは錯化である。
【0064】
表面修飾剤は、一般的に、比較的低い分子量を有する。例えば、該分子量は、1500未満、特には1000未満、そして好ましくは700未満、そしてより好ましくは500未満であり得、しかし、例えば2000までおよびそれを超える、より高い分子量が可能である。
【0065】
ナノ粒子の表面修飾について、有用な表面修飾剤としては、無機および有機酸、塩基、キレート剤、錯化剤(complexing agents)、例えばβ−ジケトン、錯体形成構造(complex-forming structures)を有し得る蛋白質、アミノ酸またはシランが挙げられる。好ましい実施形態において、表面修飾剤は、粒子の表面における錯化によって該修飾を形成する錯化剤であり得る。表面修飾剤の具体例は、飽和または不飽和のモノ−およびポリカルボン酸、対応の酸無水物、酸塩化物、エステルおよびアミド、アミノ酸、蛋白質、イミン、ニトリル、イソニトリル、エポキシ化合物、モノ−およびポリアミン、β−ジカルボニル化合物(例えば、β−ジケトン)、オキシム、アルコール、ハロゲン化アルキル、金属化合物(これらは、該粒子の表面基と反応し得る官能基を有する)、例えば、少なくとも1つの非加水分解性基と加水分解性基を有するシラン、例えば、上記式(II)の加水分解性シランである。表面修飾剤についての特定の化合物は、例えば、上述のWO93/21127およびWO96/31572に記載されている。
【0066】
特に好ましい表面修飾剤は、飽和または不飽和のカルボン酸、β−ジカルボニル化合物、アミン、リン酸、スルホン酸またはシランである。述べられるように、好ましい実施形態における官能基は、少なくとも1つの官能基を有する。このために、該粒子の表面への結合のための官能基に加えて、少なくとも1つの更なる官能基を含む表面修飾剤が、使用される。
【0067】
前記官能基についての更なる官能基の例は、ヒドロキシル、エポキシ、チオール、アミノ、カルボキシル、カルボン酸無水物、イソシアナト、スルホン酸基、ホスホン酸基、第4級アミン基、C−C二重結合基、例えば、アクリロイルまたはメタクリロイル、あるいはカルボニルである。より広い意味において、フッ素化化炭化水素基もまたそこに含まれ得る。従って、二官能性、三官能性またはより高次の官能性の表面修飾剤が、この目的のために使用され、好ましいのは、上述の官能基から選択される少なくとも1つの更なる基を有する、カルボン酸、β−ジカルボニル化合物、アミン、ホスホン酸、スルホン酸またはシラン、例えば、不飽和カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、アミノ酸、アミノスルホン酸、アミノホスホン酸、官能化β−ジカルボニル化合物、エポキシシラン、(メタ)アクリロイルシランまたはイソシアナトシランである。
【0068】
表面修飾のために使用される好ましい化合物の例を以下に列挙する:
1〜24の炭素原子を好ましくは含むカルボン酸の例は、飽和モノカルボン酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、カプリン酸、ステアリン酸、フェニル酢酸、安息香酸)、2以上のカルボキシル基を有する飽和ポリカルボン酸(例えば、シュウ酸、マロン酸、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸およびフタル酸)、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、およびオレイン酸)およびヒドロキシカルボン酸(例えば、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸およびクエン酸)、ならびにまた該カルボン酸の誘導体、例えば、無水物、エステル(好ましくは、C−C−アルキルエステル、例えば、メタクリル酸メチル)およびアミドである。
【0069】
好ましくは4〜12、より好ましくは5〜8の炭素原子を含むβ−ジカルボニル化合物の例は、アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、3,5−ヘプタンジオン、アセト酢酸、およびC−C−アルキルアセトアセテート、およびまた官能化ジカルボニル化合物、例えば、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート、ヘキサフルオロアセチルアセトンおよびアセトアセトアミドである。
【0070】
更なる例は、モノ−およびポリアミン、特に、一般式R3−nNHのもの[式中、n=0,1または2、そしてR基は、各々独立して、1〜12、特には1〜8、およびより好ましくは1〜6の炭素原子を有するアルキル基(例えば、メチル、エチル、n−およびイソ−プロピル、ブチルまたはヘキシル)である]およびエチレンポリアミン(例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンなど);スルホン酸(例えば、2−アミノエタンスルホン酸および3−アミノベンゼンスルホン酸)、ホスホン酸、アミノ酸;イミン;ならびにシラン、例えば、上記一般式(II)の少なくとも1つの非加水分解性基を有する加水分解性シラン(好ましいのは、非加水分解性基上に官能基を有するものである)である。
【0071】
更なる好適な表面修飾剤の例は、式NR4+の第4級アンモニウム塩であり、式中、R〜Rは、好ましくは1〜12、特には1〜8の炭素原子を有する、同一のまたは異なる脂肪族、芳香族または脂環式基[例えば、1〜12、特には1〜8、そしてより好ましくは1〜6の炭素原子を有するアルキル基(例えば、メチル、エチル、n−およびイソ−プロピル、ブチルまたはヘキシル)]であり、そしてXは、無機または有機アニオン、例えばアセテート、OH、Cl、BrまたはIである。
【0072】
これらの化合物の炭素鎖は、O、SまたはNH基によって割り込まれ得る。好適な表面修飾剤は、例えば、オキサアルカン酸であり、ここで、1、2、3またはそれ以上のオキサ基が存在し得る。例えば、トリオキサデカン酸、3−オキサブタン酸、2,6−ジオキサヘプタン酸およびそれらのホモログである。
【0073】
例えば架橋のために役立ち得る更なる基を有する表面修飾剤の好ましい例は、官能化β−ジカルボニル化合物、例えば、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート、ヘキサフルオロアセチルアセトンおよびアセトアセトアミド、アミノスルホン酸、例えば、2−アミノエタンスルホン酸および3−アミノベンゼンスルホン酸、不飽和カルボン酸、例えば、メタクリル酸およびオレイン酸、ならびにヒドロキシカルボン酸、例えば、乳酸である。
【0074】
該両親媒性ナノ粒子はまた、少なくとも1つの他の金属または半金属でドープされ得る。ある場合においは、非金属がまた好適である。ドーピングのために、任意の好適な金属化合物または半金属化合物が、該両親媒性ナノ粒子の作製において添加され得る[例えば、酸化物、塩または錯体、例えば、ハロゲン化物、ニトレート、サルフェート、カルボキシレート(例えば、アセテート)またはアセチルアセトネート]。他の金属が、任意の好適な酸化前駆体で、該化合物において生じてもよい。ドーピングのための好適な金属の例は、Mg,Ca,Y,Sc,Ce,W,Mo,Zn,Cu,Ag,Au,Sn,In,Fe,Co,Ni,Mn,Ru,Al,Sb,V,Nb,Ir,Rh,Os,PdおよびPtである。
【0075】
ドーピングの結果として、特定の特性が与えられ得る。好適なドーパントはまた、主成分を形成する特定の金属または半金属に依存する。ZrOナノ粒子のドーピングのために特に好ましい金属は、例えば、Mg,Ca,Y,ScおよびCeである。TiOナノ粒子のドーピングについて、例えば、非常に良好な結果は、W(VI),Mo(VI),Zn(II),Cu(II),Sn(IV),Sn(IV),In(III)およびFe(III)で達成される。導電性ナノ粒子を作製するために、ドープされた金属酸化物、例えば、ドープされた酸化スズ、例えばITO(インジウムスズ酸化物)、ATO(アンチモン−ドープト酸化スズ)およびFTO(フッ素−ドープト酸化スズ)、あるいはアルミニウム−ドープト酸化亜鉛が使用され得る。ドーピングのための金属化合物の具体例は、Y(NO・4HO,Sc(NO・6HO,WO,MoO,FeCl,酢酸銀、塩化亜鉛、塩化銅(II)、酸化インジウム(III)および酢酸スズ(IV)である。ドーピング元素/金属または半金属(主成分)の元素比は、必要に応じて選択され得、そして例えば、0.0005:1から0.2:1までである。
【0076】
本発明に従って作製されるナノ粒子はまた、コア−シェル構造(core-shell structure)を有する粒子を形成するために、別の材料でコーティングされ得る。有用なコーティング材料としては、無機、有機的に修飾された無機あるいは有機ポリマー材料が挙げられる。無機または有機的に修飾された無機コーティングまたは層は、例えば、上述の加水分解性化合物から得られ得る。有機コーティングは、コーティング組成物中のバインダーとして使用される慣用の有機ポリマーから、あるいは必要に応じて修飾された天然ポリマー、例えば、種々の糖、例えばスターチ、およびその誘導体、蛋白質またはセルロースあるいはその誘導体から形成され得る。
【0077】
ナノ粒子の製造および分散のために、全ての慣用の溶媒が使用され得る。好適な溶媒は、例えば、アルコール、ケトン、炭化水素であるが、酸素含有溶媒、例えばテトラヒドロフランを使用することも可能である。有用な水性または水含有溶媒としては、水自体、酸および塩基だけでなく、水混和性溶媒(例えば、アルコールまたはケトン)の混合物も挙げられる。
【0078】
慣用の溶媒に加えて、溶媒へ混合されるモノマーを利用することもまた可能である。純粋な有機モノマー(例えば、メタクリリックエステル)を溶媒として使用することさえ可能である。モノマーを溶媒として使用する場合、分散に続いて、例えばナノ粒子およびポリマーマトリクスからナノコンポジットを作製するために、付加重合法または重縮合法が行われる。オリゴマーまたは既に完成したポリマーを使用することも、それらが使用される溶媒に可溶性であるならば、可能である。
【0079】
使用されるマトリクス形成剤またはバインダー(matrix formers or binders)は、当業者に公知の有機ポリマーあるいは対応のモノマーまたはオリゴマー、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、例えば、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリビニル化合物、例えば、塩化ポリビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセテートおよび対応のコポリマー、例えば、ポリ(エチレン−ビニルアセテート)、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレートまたはポリジアリルフタレート、ポリアリーレート(polyarylates)、ポリカーボネート、ポリエーテル、例えば、ポリオキシメチレン、ポリエチレンオキサイドまたはポリフェニレンオキサイド、ポリエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエポキシドおよびフルオロポリマー、例えばポリテトラフルオロエチレン、あるいは対応のモノマーまたはオリゴマーであり得る。それを介して架橋が可能である官能基が存在することが可能である。
【0080】
本発明の両親媒性ナノ粒子は、典型的に、溶媒中のゾルとして得られ、そして慣用の分離プロセスによって粉末としてそこから得られる。驚くことに、該両親媒性ナノ粒子は、該製造の結果として、水性および有機(プロトトロピック(prototropic)および無極性)溶媒の両方に完全に分散可能である。
【0081】
該両親媒性ナノ粒子の表面に存在する親油性加水分解性基は、無極性溶媒における良好な相溶性そして従って分散性を確実にする。水性媒体における分散のために、該加水分解性シェル(hydrolyzable shell)はまた、容易に、水の影響下で自動的に除去され、水分散性システムが得られ得る。該粒子の表面に存在する親水基(例えば、ヒドロキシル、オキシまたはオキサイド基)は、極性溶媒における分散性を可能にする。本発明は、先行技術におけるほど、良好な再分散性を得るために複雑な表面修飾を行う必要がないという利点を有する。
【0082】
本発明に従う両親媒性ナノ粒子は、そのままで、またはゾルとして、あるいは該両親媒性ナノ粒子を含む組成物の形態で、使用され得る。この最終用途のために、該組成物は、好適な添加剤を含み得る。特に、該組成物は、1以上の慣用のマトリクス形成剤(matrix formers)を含み得る。好ましい実施形態において、該両親媒性粒子は、マトリクス形成剤の官能基と反応し得る架橋可能な表面基を有する。該両親媒性ナノ粒子は、当然ながら、所望のプロダクトを形成するための引き続いてのプロセッシングにおいて、例えば、セラミック製品を形成する燃焼の過程において、あるいは下流のプロセッシング段階における加水分解手順の結果として、加水分解性基を場合によっては失い得る。
【0083】
本発明に従う両親媒性ナノ粒子を含む有用な組成物は、例えば、広範囲の異なるコーティングシステム、例えば、ワニス、接着剤、シーラントおよび成形材料(molding materials)のような材料、コンポジット、セラミック原料、例えば、スリップ、ペースト、懸濁液、全タイプのゾル、ガラス溶融物およびガラス形成ゾル、溶液および溶解されたモノマー、ポリマーおよびポリマー溶融物を含み、これらは、他の成分、例えば、記載されたマトリクス形成剤、可塑剤、熱および放射線誘発される重合および重縮合触媒、ならびに他のナノ粒子を含む公知の更なる添加剤を含み得る。マトリクス形成剤として、金属あるいはハイブリッド材料としてのポリマー性、ガラス様、金属性またはセラミック性のマトリクス前駆体の組合せも、同様に有用である。
【0084】
従って、有用なマトリクス形成剤は、プラスチックまたは有機ポリマー、金属、ガラス、セラミック、ガラス−セラミック、ビルディング材料(building materials)、コンポジット(composites)またはそれらのハイブリット材料からのマトリクスボディーの製造のために前駆体として好適である全ての材料である。当然ながら、該両親媒性ナノ粒子はまた、マトリクス形成剤として機能し得、そして例えばセラミックを形成するために、単独で使用され得る。このような前駆体は、例えば、溶媒としての使用について既に上述した有機モノマー、オリゴマーまたはポリマーであり、これらから、純粋に有機性のポリマーマトリクスが形成され得る。
【0085】
マトリクス形成前駆体を使用して、無機または有機的に修飾された無機マトリクスを形成することも可能である。この目的のために、加水分解性化合物またはモノマーから、好ましくは加水分解および縮合による上述のゾル−ゲル法によって、重縮合物を形成することが同様に可能であり、これは、完成品において、無機または有機的に修飾された無機マトリクスを形成し得る。本発明に従う両親媒性ナノ粒子が、このような重縮合物またはその前駆体と混合される場合、対応のナノコンポジットが、対応のゾル−ゲルマトリクスにおけるナノ粒子から作製され得る。
【0086】
このゾル−ゲルマトリクスは、純粋に無機であり得、即ち、加熱の過程においてガラスまたはセラミック材料を生じ得、しかし、それはまた、例えばアルコキシドまたは有機官能性シランが使用される場合、いわゆるハイブリッドマトリクス(有機的に修飾された無機マトリクス)であり得る。更に、このようなゾル−ゲルマトリクスにはまた、更に、有機モノマー、オリゴマーまたはポリマー(例えば、上述したもの)が提供され得、これらは、同様に、付加重合および重縮合プロセスへ入ってもよく、および/または軟化剤(flexibilizer)として機能してもよい。特に有利であるのは、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピリジン、ポリアリルアミン、ポリアクリル酸、ポリビニルアセテート、ポリメチルメタクリル酸、スターチ、アラビアゴム、他のポリマーアルコール、例えば、ポリエチレン−ポリビニルアルコールコポリマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリ(4−ビニルフェノール)、あるいはそれらから誘導されるモノマーまたはオリゴマーである。
【0087】
重縮合物またはその前駆体を作製するために、上記に列挙される加水分解性化合物、特に式(I)および(II)の加水分解性化合物が、使用され得る。ここで、好ましいのは、ガラス−またはセラミック−形成半金属または金属M、特に元素周期表の主族III〜Vおよび/または遷移族II〜Vからの元素、およびMgを使用することである。該元素は、好ましくはSi,Al,B,Sn,T,Zr,Mg,VまたはZn、特にはSi,Al,Ti,ZrおよびMg、あるいはこれらの元素の2以上の混合物である。他のガラス−またはセラミック−形成元素、特に、周期表の主族IおよびII(例えば、Na,KおよびCa)および周期表の遷移族VI〜VIII(例えば、Mn,Cr,FeおよびNi)の元素のものを、混合することも可能であることが理解される。ランタノイドを使用することも可能である。
【0088】
非加水分解性有機基を有する加水分解性化合物(例えば、式(II)のシラン)が使用される場合、有機的に修飾された無機重縮合物(例えば、ポリオルガノシロキサン)が得られ、これは、有機的に修飾されたマトリクスへ変換され得る。
【0089】
例えば無機モノマー(加水分解性化合物)への導入の過程における部分加水分解による、好適な反応制御は、ナノ粒子とナノ粒子との相互作用が重合プロセス後に得られることを可能にし、そしてこれらの相互作用は、完全にまたは部分的に重合されたモノマーの粘度を制御するために使用され得る。
【0090】
本発明に従う両親媒性ナノ粒子は、例えば、圧縮粉材料またはコンポーネントを作製するために、上記に説明されるような粉末、ゾルまたは組成物の形態で使用され得る。粘着性の中間体によりコーティングを作製することも可能である。このようなコーティングは、フォトリソグラフィー法、レーザーストラクチャリング(laser structuring)、ツイン−シャフトミキサー法(twin-shaft mixer processes)またはホログラフィー技術によって構築され得る。従って、二次元構造、例えば層またはフィルム、あるいは成形体(shaped body)、特にセラミック二次元構造体またはセラミック成形体を形成することが可能である。
【0091】
本発明に従う両親媒性ナノ粒子、特に対応のZrOナノ粒子は、種々の支持体について使用され得る、コーティング物質、接着剤、樹脂およびシーラントにおける使用に好適である。この目的のために使用される支持体は、一般的に、金属、プラスチック、必要に応じて修飾された天然物質、セラミック、コンクリート、クレイおよび/またはガラス、あるいはそれらの混合物から構成される。例えば熱、触媒、照射またはそれらの組合せによる好適な硬化後、該層の非常に有利な特性が、特に透明性、可撓性、機械的強度、耐摩耗性(attrition resistance)、耐腐食性;改善された摩擦学的挙動(tribologicalbehavior)、調節された屈折率(高屈折性)、改善された脱型(demolding)および減少された接着について達成され得る。このような有利な特性はまた、該両親媒性ナノ粒子から構成される、上記で説明される自己支持性成形体(例えば、コンポーネントまたはフィルム)において達成され得る。
【0092】
ポリマーマトリクス、金属マトリクス、セラミックマトリクスまたはガラスマトリクスを含むユニットおよびコンポーネントを含む物品(objects)についての使用例を下記に記載し、そしてこれらの製造において本発明の両親媒性ナノ粒子が使用され得、あるいは、これらは、それらの製造において本発明の両親媒性ナノ粒子が使用され得るコーティング、層、接着性結合(adhesive bonds)またはペイントシステム(paint systems)を有する。
【0093】
それらの製造において本発明の両親媒性ナノ粒子が使用されるユニットおよびコンポーネントを含む物品は、商業的もしくは工業的目的ならびに研究のための設備及びその一部、装置および機械ならびにそれらのパーツ、移動および輸送の手段ならびにそれらのパーツ、家庭用品および家庭用の設備ならびにそれらのパーツ、ゲーム、スポーツおよびレジャーのための設備、アイテムおよび補助用具ならびにそれらのパーツ、医療目的のためのアイテム、補助用具および装置ならびにそれらのパーツ、医療目的のためのインプラントおよびプロテーゼ、ならびにまた建築材料および建物のパーツの製造のために好適である。
【0094】
ユニットおよびコンポーネントを含むこのような物品の具体例を、以下に詳述する:
商業的もしくは工業的目的ならびに研究のための設備、装置および機械ならびにそれらのパーツ:金型(圧縮成形用金型、熱成形金型、注型用金型、ダイ−カッティング金型)、パウダーファンネル(powder funnels)、歯車、フィリングプラント(filling plants)、押出成形機、水車、ローラー、射出成形品、ケーシング、チューブ、キーボード、スイッチ、ツール、コンベヤーベルト、印刷機、スクリーンプリンティングテンプレート、トランスファーマシーン、撹拌ベルト(agitated belts)、ふるい、ドリルヘッド、ドリル、タービン、ポンプ、のこ刃、カバー、ドアハンドル、ディスプレイ、レンズ、ツールハンドル、液体容器、絶縁体、コンピュータケーシング、電気器具用のケーシング、マシーンケーシング、マシーンパーツ、例えば、シャフト、ボールベアリング、ボルト、スクリュー、リベット、フィルム、メンブレン(membranes)、指紋センサー、切断ツール、プラズマ切断ダイ(plasma cutting dies)、パンチングツール(punching tools)、ハンマーミル、ミルアクセサリー、オフガスクーラー、高温熱交換器、金属機械加工(metal machining)、金属−セラミックバインダー、高温ベンチレータ(high-temperature ventilators)、タービンブレード、リアクター材料、ソーラーコーティング(Zr/ZrO)、触媒、SOFC用のアノード材料、サーモエレメント用の保護チューブ、レンズホルダー、ガスタービンおよびそのパーツ、ロケットパーツ、強化材、窓用の不透明ガラス、シャワーディバイダー(shower dividers)、隔壁(dividing walls)、ランプ、照明手段、照明手段用のシールおよびアセンブリボンド(seals and assembly bonds for lighting means)、エレクトリックおよびエレクトロニックコンポーネント(electric and electronic components)、光学部品。
【0095】
移動および輸送の手段(例えば、自動車、トラック、バス、バイク、モーペッド、自転車、鉄道、路面電車、船舶および航空機)ならびにそれらのパーツ:車両の外部コーティング、耐食コーティング、クリアコート、シャーシ、ヘッドライト、テールライト、内部および外部ミラーおよびそれらのケーシング、ウィンドシールド、ウィンドシールドワイパー、後部ワイパー、サイドワイパー、自転車およびバイク用の保護パネル、自転車およびバイクのブレーキ、バイクヘルメット、バイザー、バイクの器機、シートパーツ、サドルパーツ、ドアハンドル、ステアリングホイール、クロムパーツ(chromium parts)、ホイールリム、タンクノズル、タンク、コンテナ(冷却剤、ウィンドスクリーンウォーター)、シール、ホース、ナンバープレート、ラゲッジキャリア、ルーフキャリア、自動車用のルーフコンテナ、シートカバー、レザーアプリケーション(leather applications)、コックピットならびに内部および外部ライニング、タイヤおよびフェンダー、船殻(ships' hulls)、マスト、帆、ローディングドア(loading doors)、ウィング(wings)、尾翼、航空機ウィンドウ、傷防止プラスチックシート、高度に機械的にストレスを受けた航空機パーツ(highly mechanically stressed aircraft parts)、ロケットエンジン用のジェット、強化材。
【0096】
家庭用品および家庭用の設備ならびにそれらのパーツ:家具、ゴミ箱、皿類、トレー、磁器、ランプシェード、家具マウント、刃物類、調理器具(スプーン、おろし金など)、エンターテイメントエレクトロニクスおよび台所用品用のケーシング、マットレス、シンク、パーケット(parquet)、プラスチック製のフロアカバーリング、ラミネート、パネル、カウンター(worktop)、鍋およびポット用のハンドル、鍋およびポット、家具合板、電気掃除機、ミキサー、パン切断機、アイロン、指紋センサー。
【0097】
ゲーム、スポーツおよびレジャーのための設備、アイテムおよび補助用具ならびにそれらのパーツ:ガーデン家具、ガーデン設備、ツール、プレイグラウンド設備、テニスラケット、卓球ラケット、卓球台、スキー、スノーボード、サーフボード、ゴルフクラブ、公園内の座席施設、スキーブーツ、ダイビング衣類(diving clothing)、ダイビングゴーグル。
【0098】
医療目的および病人のためのアイテム、補助用具および装置:プロテーゼ、インプラント、カテーテル、歯科用プロテーゼ、歯科用インプラント、歯科用ブレス、歯科用リプレイスメント、インレー、歯科用充填物、歯科用フィラー、ブリッジ、スクリュー、医療器具、車椅子、ならびに医療機器のケーシングおよびコンポーネント、医療機器用の器具ホルダーならびに医療機器用のドアおよびカバー。
【0099】
建築材料および建物のパーツ:天然石(コンクリートなど)製の床および階段、プラスチック製のフロアカバーリング、フロアストリップ、ウィンドウフレーム、ウィンドウシル(windowsills)、ドア、ドアハンドル、台所、バスルームおよびレストルーム内のフィッティング、パイプ、ケーブルダクト、バニスター、サポーティングコンポーネント(supporting components)、雨樋(gutters)、天水桶(water butts)、オイルタンク、煙突、プラスチックルーフ、パノラマルーフ、トイレ、バス、シャワーキャビン、ウィンターガーデン、鏡、ライトスイッチ、ウォールおよびフロアタイル、プラスチック製のグレージング、バニスターおよびエスカレーターの手すり、天然材料製の彫刻および一般的には芸術品、内部および外部金属、スチールサポート、サポート、フリースタンディングメタルコンストラクション(free-standing metal constructions)。
【0100】
他の使用例は、以下である:糸、ケーブル、食品パッケージ、ゴムおよびプラスチック製である一般的に全ての物品、マスト、テキスタイル、ボトル、CD、CDカバー、時計、時計ガラス、レザーアイテム、フィルム、ピクチャー、写真、接着テープ、運転免許証、身分証明書、チェックカード、登録カード、チップカード、筆記用具、ネイルファイル、壺(urns)、宝石類、コイン、芸術品、ブックカバー、墓石、標識(例えば、道路標識)、テキスタイル、保護眼鏡、設置用のシール(seals for installation)、接着剤、密封用の接着テープ、防食用の接着テープ、パンシーリングテープ(pane sealing tape)、耐引裂性接着テープ、接着テーププライマー、耐摩耗性接着テープ、耐薬品性接着テープ、透明接着テープ、リダッチャブル接着テープ、フィルム接着テープ、高引裂強度を有する接着テープ、高薬品耐性を有する接着テープ、低−および高−エネルギー面の結合用の接着テープ、アクリリックフォーム接着テープ、接着プロモーター中の熱活性化可能な接着テープ、両面接着テープ、透明耐老化性接着テープ、アンチスクラッチ接着テープ、アンチスライド接着テープ、耐引掻き性接着テープ、パッケージ接着テープ、トランスポート接着テープ、耐引裂き性接着テープ、電食を防止するための接着テープ、耐熱性マスキングテープ、耐久性マスキングテープ、耐溶剤性マスキングテープ、パンマスキングテープ(pane masking tapes)、トランスファー接着テープ、透明マスキングテープ、ペーパー接着テープ、スプレー接着剤、再脱着性スプレー接着剤(re-detachable spray adhesives)、パーマネントスプレー接着剤、トランスファー接着剤、熱伝導性接着剤、熱伝導性接着フィルム、熱伝導性エポキシ接着剤、等方性および異方性伝導性接着フィルム、スクリーンプリンティング接着剤、UV乾燥スクリーン印刷接着剤、低エネルギープラスチックの接着結合用のコンストラクション接着剤、高エネルギープラスチックの接着結合用のディスパージョン接着剤、コーティングされた金属シート、レザーおよびテキスタイル、メルト接着剤、多目的接着剤、異なる金属の接着結合用の接着剤、金属およびプラスチックを接着するための接着剤、金属およびガラスを接着するための接着剤、パンアセンブリ接着剤(pane assembly adhesives)、布テープ(例えば、閉鎖、密封、構築、表示および補強用)、撥水性布テープ、耐老化性布テープ、耐久性布テープ、クレープ接着テープ(crepe adhesive tapes)、シーリングテープ、化学結合織布、インダストリー結合織布(industry-binding webs)、オイル結合織布、優れた吸収性および重量比を有する吸収材料、フロア上の安全カバーリング、セルフ−アドヘッシブ・アンチ−スリップ・カバーリング(self-adhesive anti-slip coverings)、車両上の安全カバーリング、研磨媒体、研磨パッド、研磨フォーム、研磨ディスク、研磨ペースト、研磨クロス、研磨材、研磨紙、構造化研磨材、表面保護フィルム、高温耐性カバーフィルム、アンチ−シャッターフィルム、ディスプレイウィンドウホイル、ディスプレイウィンドウフィルム、道路標識用の反射フィルム、逆反射フィルム、デザインフィルム、フレキシブルフィルム、シグナルフィルム、カラーフィルム、コーティング保護フィルム、複写機フィルム、ユニバーサルフィルム、プレゼンテーションカバー、ラミネーションフィルム、防食フィルム、建築現場プロダクト用の防音フィルム(acoustic insulation films for building site products)、アンチ−ストーンチップフィルム、耐薬品性マスキングフィルムおよびカバーフィルム、日光保護フィルム、耐熱フィルム、自己接着シール(self-adhesive seals)、容易に除去可能なサイン、サインカバーフィルム、過度な温度用の高性能フィルム、高度な耐薬品性を有する高性能フィルム、高度な耐摩耗性を有する高性能フィルム、印刷可能なフィルム(例えば、レーザープリンター、インクジェットプリンター用)、多層フィルム、レーザーおよびグラビアフィルム、リサイクル適合フィルム、安全ラベル、表示ラベル、他のラベル、自己接着エラスティックバッファー(self-adhesive elastic buffers)。
【0101】
セラミックパーツは、機械、器具、輸送のモード、電気・電子および情報処理コンポーネント、ならびに器具および消費財におけるコンポーネントとして使用される。ツール、プロテーゼ、歯科用リプレイスメントパーツ(ブリッジ、インレー、歯冠(crowns)、歯科用インプラント)、センサーなども、同様に、該両親媒性ナノ粒子から作製される。
【0102】
パーツまたはコンポジットの更なる例は、歯車、ボールベアリングおよびローラーベアリング、ダイ、延伸ダイ、ワイヤーガイド、ベアリングシェル、押出成形物プレスダイ(extrudate press dies)、スピニングダイ、スレッドガイド、バルブ、シリンダー、シリンダーヘッド、ポンプ部品、吐水口(spouts)、触媒支持体、耐熱性ライニング、るつぼ、ファイバー、ナイフ、ハサミ、または切断および寸断ツール用のブレード、マイクロコンポーネント(例えば、歯車、反応容器)、熱導体、電解質、酸素コンダクター(ラムダプローブおよび金属溶融物におけるセンサーとして)、オシレーター、圧電性物質、高周波誘導ループである。多孔性パーツの例は、フィルター、触媒支持体および吸収体材料である。更なる例は、切断ツール、研磨材、トランスフォーメーション−強化セラミック、熱絶縁層、電気絶縁材料、トライボロジカル層(tribologicallayers)、スライドベアリング、酸素センサー(ラムダプローブ)、酸素イオンコンダクター(電極材料)、圧電性物質、熱−および酸化−耐性オーブンパーツ、バーナーパーツ、排気ガスパイプ、ブレーキディスク、自転車タイヤ、ホイールベアリング、インジェクションポンプ、ラムダプローブ、シリンダーライニング、燃料電池、スパークプラグ絶縁体、排気ガスマニホルド、ターボチャージャーブレード、バルブスプリング、皿類、ナイフ、ハサミ、切断ツール、ベーキングオーブンライニング、ベーキングオーブンフィルター材料、ホットプレート、家庭用グラインダー、ミートグラインダー、プレス、調理器具(スプーン、おろし金)、パンおよびポット用のハンドル、ドアハンドル、水栓およびバルブ用のセラミックシール、タイル、ネイルファイル、ポット、花瓶、モルタル、キャンドルホルダー、洗濯機ドラムベアリング、燃料電池、オイルバーナーおよびガスバーナーならびにそれらのライニング、スポーツ用具のホイールベアリング、釣り用のスライドベアリング、レジャーナイフ、ツール、高圧クリーナー、定量ポンプである。
【0103】
二次元構造(特に、シート、フィルムおよびメンブレン)における本発明に従う両親媒性ナノ粒子の使用は、一連の利点を開く。好適な物品の例が、生じる利点と共に、下記に説明される。
【0104】
摩耗および腐食に対して保護が存在する。これは、例えば、反応容器の容器およびパイプ壁、スターラー、ポンプ(ケーシング、ブレード/ローター、バルブ)、バルブおよびセンサー(サーモエレメント、充填レベルセンサー、圧力センサー、近位スイッチ、距離センサー、マスフローコントローラーの測定セル)のための化学工業の分野において;自動車分野において、ならびに固定ガソリンおよびディーゼルエンジンの分野において[特に、可動パーツ、例えば、ピストン、ピストンリング、シリンダー、バルブ、シャフト、ベアリングキャリア、ベアリングサーフェスについてだけでなく、フライホイール、ブレーキディスクおよびクラッチプレートについても]、金属機械加工[ターニング、ミリング、ドリリング、ソーイング]用のツールを作製するためならびにダイ−カッティングダイ(die-cutting dies)および圧縮成形品を製造するための金属プロセッシングの分野において、有利である。
【0105】
耐食性絶縁層が、得られる(電気絶縁)。これは、例えば、溶鉱炉および加熱技術ならびにオーブン構築の分野において、特にセラミックス工業/プロセス技術、採掘、重工業および化学工業の分野において、センサーの分野において[耐腐食性電気絶縁のセンサー、導体パス(conductor paths)、ケーシングおよびSOFCのため(制御調節の厚み、構造および酸素イオン伝導率を有するセラミック支持体上の気密薄層(厚み<2μm)の作製)]、金属性支持体/表面(電流導体)について有利である。
【0106】
本発明の使用は、低焼結(low-sintering)多孔性層の製造を可能にする。高比表面積の該多孔性層は、改善された触媒特性および感受性を可能にする。用途としては、採掘および重工業分野ならびに化学工業における、パワーおよび熱供給の分野における、自動車分野における(およびまた固定ガソリンまたはディーゼルエンジンのため)、高温ガス(排ガス)における酸素検出が挙げられる。
【0107】
触媒作用が役立つ分野において、該両親媒性ナノ粒子は、多孔性支持体(触媒支持体)を作製するために使用され得る。使用の分野は、反応容器および管型リアクター中におけるガスまたは液体生成物の触媒合成における化学工業の分野における、工業オフガス(排煙ガス、健康の障害および有害臭の防止)、例えば自動車セクターにおけるエンジン排ガスの分野における、ガスおよびガス/粒子混合物のクリーニングである。
【0108】
これらの材料の使用の更なる分野は、高温ガス適用の全ての分野における断熱層であり、例えば、固定および可動ガスタービン(ブレード、ガスフィード)、自動車セクターならびに固定ガソリンおよびディーゼルエンジンにおける排ガスパイプのライニング、ならびに吸着剤材料としての多孔性層の使用。
【0109】
更なる可能な用途は、単層および多層バージョン(ラミネート)における耐食性・自己支持性・低焼結性・薄壁セラミックコンポーネントの製造であり、例えば、めっき/ライニングとして:反応容器の容器およびパイプ壁、スターラーについての化学工業のための腐食保護、ポンプ、バルブ、センサーのケーシングのため、エレクトロニクス工業(例えば、マイクロエレクトロニクス)のための支持体として、コンピューターおよびセルホン技術の分野における大規模集積回路、および可動測定/調節ユニット(mobile measurement/regulation units)。
【0110】
無機高温耐性腐食安定性膜を製造することが可能であり、例えば、薄い隔膜(厚み<2μm)を有する多層構造体;多孔性支持マトリクスのような実際の隔膜が、ナノ分散性ZrOを含むことが可能であり;高温ガス抽出、H産生(リフォーミング)、高温―および腐食安定性UFまたはNF膜(化学工業:生成物の濃縮、不純物の除去、環境:汚水処理;医薬:0.1〜10nmの範囲の孔径を有する滅菌可能セラミックフィルター)。
【0111】
無機バインダー相として(例えば、金属、セラミック、ガラス製の支持体へ無機材料を結合させて機能的コーティングを作製するため)、高温耐性トライボロジカル層(high-temperature-resistant tribologicallayers)、高温安定性モールドリリース層(high-temperature-stable mold release layers)、高温の洗浄しやすい層として、ナノ分散された粒子を有する機能的コーティングを製造することが可能であり、アグレッシブな液体媒体(例えば、金属またはポリマー溶融物)の結果としての型に対する腐食損傷を防止し、市販およびプライベートセクターにおいて、特に、溶鉱炉技術(加熱煙道(heating flues)、オーブン、加熱タンク、パイプ、バルブ、センサー)、化学工業(撹拌および反応タンク、パイプ壁、スターラー、バルブ、ポンプ、タンク)、金属処理工業(ハンドラドル(hand ladles)、ケーシングダイ、はんだ付けダイ(soldering dies)、ライザーチューブ(riser tubes))、ポンプ(ピストン、ローター、シリンダー、ケーシグ、インレットおよびアウトレット)、ならびに食品工業(オーブン、ベーキングシートまたは型、撹拌容器)、ストック容器(サイロ壁、ディスチャージスクリュー、スターフィーダー、パイプライン)、押出成形機(スクリュー、ピストン、シリンダー、ダイ)、輸送装置(特に、ベルト)の分野において、堆積物を防止する。
【0112】
更なる例は、セラミック、ガラスおよびセラミック、ならびにまた金属およびセラミックから構成されるサンドイッチ構造体を作製するための、連結フィルムおよび支持体のそれである。
【0113】
本発明を例示するために、実施例を下記に記載する。
【実施例】
【0114】
実施例1 両親媒性ZrOナノ粒子の製造(イソ−PrOH分散剤)
7.6g(n−PrOH中70%)のZr(OPr)を、136gのn−ヘキサノールと混合し、そして、室温で5分間撹拌後、6gのn−ヘキサノール中0.90gの37%HClを添加した。次いで、全混合物を、250℃および300barで7時間処理した。
【0115】
表面にヘキソキシ基を有する、形成された両親媒性ZrOナノ粒子を、遠心分離し、そして5mlのi−PrOHにとった。引き続いて、それらを50℃および10mbarで乾燥した。高分解能透過型電子顕微鏡は、該粒子は結晶性でありそして粒度は3〜5nmであることを示す。
【0116】
実施例2 NANOマトリクスへの該ZrOナノ粒子の組み込み(水分散剤)
実施例1に従って作製された0.2gのZrO粉末を、0.5gの蒸留水と混合し、次いで2〜3分間超音波処理し、そして引き続いて0.5gのIPE(イソプロポキシエタノール)と混合した。その後、2gのNANOコーティング(DE-A-4338361に記載されるコーティング、これは、ベーマイトと、エポキシシラン、テトラアルコキシシランおよびアルミニウムブトキシドから構成される縮合生成物とを含む)を、該透明分散液へ滴下し、そして該混合物を2gのIPEで希釈した。PCプラーク(PC plaques)を、スピン−コーターを使用して(1000rpm、10秒)、このように作製したコーティング組成物でコーティングし、そして130℃で1時間乾燥した。屈折率は1.535であった。
【0117】
実施例1に従って作製された0.5gのZrO粉末を、1.0gの蒸留水と混合し、次いで2〜3分間超音波処理し、そして引き続いて1.0gのIPEと混合した。その後、2gのNANOコーティングを、該透明分散液へ滴下し、これを引き続いて4gのIPEで希釈した。PCプラークを、スピン−コーターを使用して(1000rpm、10秒)、このように作製したコーティング組成物でコーティングし、そして130℃で1時間乾燥した。屈折率は1.581であった。
【0118】
実施例1に従って作製された0.73gのZrO粉末を、1.5gの蒸留水と混合し、次いで2〜3分間超音波処理し、そして引き続いて1.5gのIPEと混合した。その後、2gのNANOコーティングを、該透明分散液へ滴下し、これを引き続いて5gのIPEで希釈した。PCプラークを、スピン−コーターを使用して(1000rpm、10秒)、このように作製したコーティング組成物でコーティングし、そして130℃で1時間乾燥した。屈折率は1.605であった。
【0119】
実施例3 両親媒性ZrOナノ粒子の製造(ヘキサン分散剤)
表面にヘキソキシ基を有する、形成される両親媒性ZrOナノ粒子を、遠心分離後、メタノールの代わりにn−ヘキサン5mlにとった以外、実施例1を繰り返した。引き続いて、それらを50℃および10mbarで乾燥した。透過型電子顕微鏡は、該粒子が結晶性でありそして粒度が4〜5nmであることを示す。
【0120】
実施例4 NANOマトリクスへの該ZrOナノ粒子の組み込み(トルエン分散剤)
実施例3に従って作製された0.2gのZrO粉末を、0.5gのトルエンと混合し、次いで2〜3分間超音波処理した。その後、2gのNANOコーティングを、該透明分散液へ滴下し、そして該混合物を2gのIPEで希釈した。PCプラークを、スピン−コーターを使用して(1000rpm、10秒)、このように作製したコーティング組成物でコーティングし、そして130℃で1時間乾燥した。屈折率は1.535であった。
【0121】
実施例3に従って作製された0.5gのZrO粉末を、1.0gのトルエンと混合し、次いで2〜3分間超音波処理した。その後、2gのNANOコーティングを、該透明分散液へ滴下し、そして該混合物を4gのIPEで希釈した。PCプラークを、スピン−コーターを使用して(1000rpm、10秒)、このように作製したコーティング組成物でコーティングし、そして130℃で1時間乾燥した。屈折率は1.581であった。
【0122】
実施例3に従って作製された0.73gのZrO粉末を、1.5gのトルエンと混合し、次いで2〜3分間超音波処理した。その後、2gのNANOコーティングを、該透明分散液へ滴下し、そして該混合物を5gのIPEで希釈した。PCプラークを、スピン−コーターを使用して(1000rpm、10秒)、このように作製したコーティング組成物でコーティングし、そして130℃で1時間乾燥した。屈折率は1.605であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1つの親油性加水分解性基を含む1以上の加水分解性化合物のサブ化学量論量(substoichiometric amount)の水での加水分解および縮合、ならびにb)得られる加水分解性基を有する両親媒性粒子を粉末として得るための溶媒の除去を包含する、親油性である加水分解性基を表面上に有する両親媒性ナノスケール粒子の製造方法。
【請求項2】
前記加水分解性化合物が、必要に応じて1以上の非加水分解性基を含む加水分解性金属または半金属化合物であるか、あるいはそれらから誘導される縮合生成物であることを特徴とする、請求項1に記載の両親媒性ナノスケール粒子の製造方法。
【請求項3】
前記加水分解性化合物がアルコキシドであることを特徴とする、請求項1または2に記載の両親媒性ナノスケール粒子の製造方法。
【請求項4】
前記加水分解性化合物が、Mg,Si,Ge,Al,B,Zn,Cd,Ti,Zr,Ce,Sn,In,La,Fe,Cu,Ta,Nb,V,MoまたはW化合物、あるいはそれらから誘導される縮合生成物から選択されることを特徴とする、請求項1〜3の1項に記載の両親媒性ナノスケール粒子の製造方法。
【請求項5】
前記加水分解性基が、少なくとも4個、好ましくは少なくとも5個の炭素原子から構成される親油性部分を含むことを特徴とする、請求項1〜4の1項に記載の両親媒性ナノスケール粒子の製造方法。
【請求項6】
前記得られる加水分解性基を有する両親媒性粒子を表面修飾剤で修飾して該両親媒性粒子の表面に官能基を付加し、該反応は必要に応じて溶媒中で行われることを特徴とする、請求項1〜5の1項に記載の両親媒性ナノスケール粒子の製造方法。
【請求項7】
前記表面修飾剤が、飽和または不飽和カルボン酸、β−ジカルボニル化合物、アミン、ホスホン酸、スルホン酸またはシランであることを特徴とする、請求項6に記載の両親媒性ナノスケール粒子の製造方法。
【請求項8】
前記表面修飾剤が、前記粒子の表面への結合または錯形成(complexation)のための少なくとも1つの官能基に加えて、少なくとも1つの更なる官能基を有することを特徴とする、請求項6または7に記載の両親媒性ナノスケール粒子の製造方法。
【請求項9】
前記表面修飾剤が錯化剤(complexing agent)であることを特徴とする、請求項6〜8の1項に記載の両親媒性ナノスケール粒子の製造方法。
【請求項10】
親油性である加水分解性基を表面上に有する、両親媒性ナノスケール粒子。
【請求項11】
前記加水分解性基が、少なくとも4個、好ましくは少なくとも5個の炭素原子から構成される親油性部分を含むことを特徴とする、請求項10に記載の両親媒性ナノスケール粒子。
【請求項12】
前記加水分解性基が、必要に応じてフッ素化されている、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、アルカリールオキシ、エーテル、アシルオキシ、アルキルまたはアシル基であることを特徴とする、請求項10または11に記載の両親媒性ナノスケール粒子。
【請求項13】
前記加水分解性基が、C−C20−アルコキシ基、特にペントキシまたはヘキソキシ基であることを特徴とする、請求項10〜12の1項に記載の両親媒性ナノスケール粒子。
【請求項14】
前記加水分解性基が、前記粒子の加水分解性前駆体に由来することを特徴とする、請求項10〜13の1項に記載の両親媒性ナノスケール粒子。
【請求項15】
前記粒子が、1以上の金属または半金属の1以上の酸化物を含み、該酸化物は必要に応じて水和されていることを特徴とする、請求項10〜14の1項に記載の両親媒性ナノスケール粒子。
【請求項16】
前記粒子が、Mg,Si,Ge,Al,B,Zn,Cd,Ti,Zr,Ce,Sn,In,La,Fe,Cu,Ta,Nb,V,MoまたはWから選択される1以上の金属または半金属の化合物を含むことを特徴とする、請求項10〜15の1項に記載の両親媒性ナノスケール粒子。
【請求項17】
前記粒子が官能基で表面修飾されていることを特徴とする、請求項10〜16の1項に記載の両親媒性ナノスケール粒子。
【請求項18】
前記官能基が少なくとも1つの官能基を含むことを特徴とする、請求項17に記載の両親媒性ナノスケール粒子。
【請求項19】
前記官能基が、同一タイプまたは異なるタイプの官能基との架橋反応に関与し得ることを特徴とする、請求項18に記載の両親媒性ナノスケール粒子。
【請求項20】
前記官能基が、ヒドロキシル、エポキシ、チオール、アミノ、カルボキシル、カルボン酸無水物、イソシアネート、スルホン酸、ホスホン酸、第4級アミン、C−C二重結合、フッ素化炭化水素またはカルボニル基であることを特徴とする、請求項18または19に記載の両親媒性ナノスケール粒子。
【請求項21】
前記粒子がドープされていることを特徴とする、請求項10〜20の1項に記載の両親媒性ナノスケール粒子。
【請求項22】
それらが粉末の形態で存在することを特徴とする、請求項10〜21の1項に記載の両親媒性ナノスケール粒子。
【請求項23】
それらが別の材料のコーティングを有し、コア/シェルシステムを形成することを特徴とする、請求項10〜22の1項に記載の両親媒性ナノスケール粒子。
【請求項24】
請求項10〜23の1項に記載の両親媒性ナノスケール粒子およびマトリクス形成材料を含む組成物。
【請求項25】
前記両親媒性粒子が、前記マトリクス形成材料の官能基との架橋反応に関与し得る官能基を、表面修飾により有することを特徴とする、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記組成物が、コーティング組成物、接着剤(adhesive)、樹脂組成物、シーラント(sealant)、ペースト(paste)、成形材料(molding composition)またはスリップ(slip)であることを特徴とする、請求項24または25に記載の組成物。

【公表番号】特表2007−529323(P2007−529323A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500171(P2007−500171)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【国際出願番号】PCT/EP2005/002023
【国際公開番号】WO2005/082514
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(500449008)ライプニッツ−インスティトゥート フィア ノイエ マテリアーリエン ゲマインニュッツィゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクタ ハフトゥンク (22)
【Fターム(参考)】