説明

有機金属化学気相成長法(MOCVD)による平坦な無極性{1−100}m面窒化ガリウムの成長方法及び装置

III族窒化物材料を、m面炭化珪素(m−SiC)のような適当な基板上に有機金属化学気相成長法(MOCVD)を用いて成長することを特徴とする、平坦な無極性m面窒化ガリウム(GaN)エピタキシャル層のようなm面III族窒化物材料を成長する方法を提供する。前記の方法は、基板表面から酸化膜を除去するために基板を溶剤で洗浄し、酸に浸漬する工程と、基板を熱処理する工程と、熱処理された基板上に窒化アルミニウム(AlN)のような核形成層を成長する工程と、MOCVD法を用いて核形成層上に無極性m面III族窒化物エピタキシャル層を成長する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は米国特許法119条(e)に基づいて、本発明の譲受人に譲渡された以下の同時係属の米国特許出願の利益を主張するものである。
【0002】
ビルゲ・M.イメル(Bilge M.Imer)、ジェームス・S.スペック(James S.Speck)、およびスティーブン・P.デンバース(Steven P.Denbaars)による米国特許仮出願第60/685,908号、2005年5月31日出願、発明の名称「有機金属化学気相成長法(MOCVD)による平坦な無極性{1―100}m面窒化ガリウムの成長方法及び装置(GROWTH OF PLANAR NON−POLAR {1−100} M−PLANE GALLIUM NITRIDE WITH METALORGANIC CHEMICAL VAPOR DEPOSITION (MOCVD))」、代理人整理番号30794.136−US−P1(2005−566)
この出願は参照として本明細書中に取り込まれる。
【0003】
この出願は本発明の譲受人に譲渡された以下の同時係属の米国特許出願と関係するものである。
【0004】
ビルゲ・M.イメル(Bilge M.Imer)、ジェームス・S.スペック(James S.Speck)、およびスティーブン・P.デンバース(Steven P.Denbaars)による米国実用特許出願第xx/xxx,xxx号、本出願と同日に出願、発明の名称「側壁を利用した選択横方向成長(SLEO)を用いた無極性及び半極性III族窒化物の欠陥低減(DEFECT REDUCTION OF NON−POLAR AND SEMI−POLAR III−NITRIDES WITH SIDEWALL LATERAL EPITAXIAL OVERGROWTH (SLEO))」、代理人整理番号30794.135−US−Ul(2005−565)。この出願は米国特許法119条(e)に基づいて、以下の米国特許出願の利益を主張するものである。
【0005】
ビルゲ・M.イメル、ジェームス・S.スペック、およびスティーブン・P.デンバースによる米国特許仮出願第60/685,952号、2005年5月31日出願、発明の名称「一段階側壁を利用した選択横方向成長を用いた無極性窒化ガリウムの欠陥低減(DEFECT REDUCTION OF NON−POLAR GALLIUM NITRIDE WITH SINGLE−STEP SIDEWALL LATERAL EPITAXIAL OVERGROWTH)」、代理人整理番号30794.135−US−P1(2005−565)
ベンジャミン・A.ハスケル(Benjamin A.Haskell)、ポール・T.フィニ(Paul T.Fini)、松田成正(Shigemasa Matsuda)、マイケル・D.クレイブン(Michael D.Craven)、スティーブン・P.デンバース、ジェームス・S.スペック、中村修二(Shuji Nakamura)による米国実用特許出願第10/537,385号、2005年6月3日出願、発明の名称「ハイドライド気相成長法による平坦な無極性a面窒化ガリウムの成長(GROWTH OF PLANAR,NON−POLAR A−PLANE GALLIUM NITRIDE BY HYDRIDE VAPOR PHASE EPITAXY)」、代理人整理番号30794.094−US−Wo(2002−225−2)。上記出願は次の特許文献の優先権を主張している。
【0006】
ベンジャミン・A.ハスケル、ポール・T.フィニ、松田成正、マイケル・D.クレイブン、スティーブン・P.デンバース、ジェームス・S.スペック、中村修二による国際特許出願第PCT/US03/21916、2003年7月15日出願、発明の名称「ハイドライド気相成長法による平坦な無極性a面窒化ガリウムの成長(GROWTH OF PLANAR,NON−POLAR A−PLANE GALLIUM NITRIDE BY HYDRIDE VAPOR PHASE EPITAXY)」、代理人整理番号30794.94−WO−U1(2003−225−2)。上記出願は次の特許文献の優先権を主張している。
【0007】
ベンジャミン・A.ハスケル、ポール・T.フィニ、松田成正、マイケル・D.クレイブン、スティーブン・P.デンバース、ジェームス・S.スペック、中村修二による米国特許仮出願第60/433,844号、2002年12月16日出願、発明の名称「ハイドライド気相成長法による平坦な無極性a面窒化ガリウムの成長技術(TECHNIQUE FOR THE GROWTH OF PLANAR,NON−POLAR A−PLANE GALLIUM NITRIDE BY HYDRIDE VAPOR PHASE EPITAXY)」、代理人整理番号30794.94−US−P1(2003−225−1)。
【0008】
マイケル・D.クレイブン、ジェームス・S.スペックによる米国実用特許出願第10/413,691号、2003年4月15日出願、発明の名称「有機金属気相成長法により成長した無極性a面窒化ガリウム薄膜(NON−POLAR A−PLANE GALLIUM NITRIDE THIN FILMS GROWN BY METALORGANIC CHEMICAL VAPOR DEPOSITION)」、代理人整理番号30794.100−US−U1(2002−294−2)。上記出願は次の特許文献の優先権を主張している。
【0009】
マイケル・D.クレイブン、ステーシア・ケラー(Stacia Keller)、スティーブン・P.デンバース、タル・マーガリス(Tal Margalith)、ジェームス・S.スペック、中村修二、ウメシュ・K.ミシュラ(Umesh K.Mishra)による米国特許仮出願第60/372,909号、2002年4月15日出願、発明の名称「無極性窒化ガリウム・ベースの薄膜とヘテロ構造材料(NON−POLAR GALLIUM NITRIDE BASED THIN FILMS AND HETEROSTRUCTURE MATERIALS)」、代理人整理番号30794.95−US−P1(2002−294/301/303)
以上全ての出願は参照として本明細書中に取り入れられる。
【背景技術】
【0010】
1.本発明の技術分野
本発明は有機金属化学気相成長法(MOCVD)を用いた平坦な無極性{1−100}m面窒化ガリウム(GaN)の成長に関するものである。
2.関連技術の説明
窒化ガリウム(GaN)とその3元及び4元化合物は可視光及び紫外光の高出力、高性能光電子デバイス及び電子デバイスの作製において第1の候補となる材料である。これらのデバイスは通常は分子線エピタキシー法(MBE)、有機金属化学気相成長法(MOCVD)、或いはハイドライド気相エピタキシャル成長法(HVPE)を含む成長技術を用いてエピタキシャル成長される。
【0011】
所望の結晶方位を持つGaNを成長させるためには、基板の選択が重要である。III族窒化物成長にとって最も広く用いられる基板のいくつかにはSiC、Al、およびLiAlOが含まれる。さまざまな結晶方位を持つこれらの基板が市販されている。
【0012】
図1(a)及び1(b)は六方晶系GaNにおける結晶学的方向と重要な面の概略図である。具体的には、これらの概略図は六方晶系ウルツ鉱型GaNにおいて結晶学的に異なる成長方向及び重要な面を示していて、図1(a)は結晶学的な方位a1、a2、a3、c、<10−10>および<11−20>を示し、図1(b)はa(11−20)面、m(10−10)面およびr(10−12)面を示している。図1(b)の塗りつぶされたパターンは重要な面を示すためものであり、構造中の材料を表すものではない。
【0013】
平坦なc面GaNは成長が安定におこなえる窓領域が広いので、成長することが比較的容易である。それ故に、GaNベースのデバイスのほとんど全ては有極性c軸に平行に成長される。しかしながら、c面成長の結果として、各材料層には層の対向面に電子と正孔が分離してしまうという問題がある。更に、隣接層界面での歪が圧電分極を起こし、更なる電荷の分離を引き起こす。
【0014】
図2(a)および2(b)はこの効果を図示するものであり、バンド・ベンディングと分極の結果起こる電子正孔の分離の概略図である。ここで図2(a)はエネルギー(eV)対深さ(nm)のグラフであり、c面量子井戸を表している。一方図2(b)はエネルギー(eV)対深さ(nm)のグラフであり、無極性量子井戸を表している。
【0015】
このような分極効果により、電子と正孔の再結合が起こる可能性が低くなるため、その結果できあがるデバイスの特性は劣る。GaN光電子デバイスにおける圧電分極効果を取り除くための可能な方法のひとつは、デバイスをGaNのa−{11−20}およびm−{1−100}面グループのような結晶の無極性面上に成長することである。そのような面はGa原子とN原子が同数ずつ含まれている電荷中性面である。
【0016】
平坦な{1−100}m面GaNの成長はHVPE及びMBE法を用いて開発されてきた。しかしながら、ここに記述している本発明より以前では、平坦なm面GaNの成長はMOCVDでは達成されていない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、MOCVDを用いて平坦な無極性{1−100}m面GaN材料を成長することを目的とする。その方法は、成長の前に成長装置外で基板の表面から酸化物を除去するために、m−SiC基板を溶剤で洗浄して酸に浸漬する工程と、前記基板を成長装置内で熱処理する工程と、前記熱処理をした基板上に窒化アルミニウム(AlN)核形成層を成長する工程と、MOCVD技術を用いて前記核形成層上に無極性m面GaNエピタキシャル層を成長する工程を含む。本発明は分極電場を除去するためのm面GaNの無極性という性質を持ち、成長中のm−GaNが安定であるという利点を利用して、温度、圧力、前駆体の流量などの成長パラメータの選択における柔軟性をもたらすものである。
【0018】
以下、図面を参照する。対応する部分には一貫して同じ参照番号を付与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下の好ましい実施形態に関する以下の説明においては、添付の図面を参照する。添付の図面は本明細書の一部を形成し、本発明が実施される特定の実施例を例示するために示すものである。本発明の技術範囲を逸脱することなしに、他の実施形態が用いられたり、構造的な変化が施されたりしてもよいことは明らかである。
【0020】
概要
有極性[0001]c方向(Ga,In,Al,B)N材料の成長は、主伝導方向に沿って電荷分離を引き起こす分極電界の存在によって、光デバイスの特性を低下させる。それ故に、そのような効果を除去してデバイス特性を大幅に改良するために、最近の研究はこれらの材料のa−[11−20]およびm−[1−100]面方向に沿った無極性方向の成長に絞られて行われている。GaNのa面及びm面成長はどちらもHVPEおよびMBE技術によって開拓されたが、MOCVD技術についてはGaNの無極性a−{11−20}面成長しか実証されていない。しかしながら、平坦なa面GaNの成長の窓は非常に小さく、この特定の方向は圧力や前駆体の流量などの成長パラメータの変化に非常に敏感であることがわかってきた。この結果、MOCVD技術でGaN成長における新しい無極性方位を探索する必要が出てきた。しかしながら、MOCVDにおける必要な成長温度が高いので、m面成長に対しては基板の入手可能性が問題であった。γ−LiAlOのような市販されている基板は、融点がMOCVD成長に必要な温度よりも低い。MOCVD成長中に安定であるm−SiC基板が市販されるようになってきたので、本発明が可能になった。本発明はMOCVD技術によるm−SiC上のm−{1−100}面GaNの成長の最初の成功例である。
【0021】
技術的な説明
成長の前に、m面SiC基板を水素中で熱処理する。GaN薄膜成長の前に、AlN層を核形成層として形成する。最後にGaN層をMOCVDによって成長する。図3は単位胞の中で重要な無極性m面GaN(1−100)結晶面を示す。
【0022】
最適な品質のm面GaNを実現するために、AlN層とGaN層の成長に対してそれぞれ400〜5,500と200〜3,000のV/III比、50〜760Torrの間で変わる成長ガス圧、1,100℃〜1,275℃、及び1,000℃〜1,160℃の範囲の成長温度シリーズがテストされた。温度、リアクタ圧力及び前駆体流速のこの広い範囲内でAlNおよびGaNともm面は安定であった。
【0023】
高品質のGaNを得るために最適なAlN核形成層は、核形成層の厚さ150nmのとき、1,175℃以上の温度、比較的低い圧力、及び約3,500のV/III比にて実現された。
【0024】
GaN層のエピタキシャル成長に関しては、最も好ましい条件は、100Torr未満のような低圧で、1,110℃〜1,160℃の範囲の温度で、NHの低い蒸気圧で700未満のV/III比で実現された。
【0025】
出来上がったm面GaN材料の5μm×5μmの原子間力顕微鏡(AFM)表面像を図4に示す。結晶粒は<11−20>の方向に沿っていて、表面凹凸値(自乗平均根)は5μm×5μmの走査範囲で約2.54nmであった。
【0026】
図5は軸上及び非軸上x線回折ロッキング・カーブを示すω(°)対カウント数/秒の図である。下の表1に示すように軸上(1−100)半値全幅(FWHM)は、aモザイク度及びcモザイク度がそれぞれ0.22°及び1.2°という低い値が測定された。また非軸上(10−12)反射はFWHM値が0.38°である。これらの凹凸とFWHM値は核形成層とGaNエピタキシャル薄膜自体の成長条件を変えても大きくは変化しないことがわかった。
【0027】
【表1】

プロセス工程
図6は、本発明の好ましい実施形態によってMOCVD法を用いて平坦な無極性{1−100}m面III族窒化物のエピタキシャル薄膜を成長するためのプロセス工程を示すフローチャートである。この工程では、平坦な無極性m面III族窒化物エピタキシャル薄膜は平坦なm面GaNエピタキシャル層を含む。さらに図7は図6のプロセス工程のそれぞれの結果を示している。
【0028】
ブロック600は適当な基板(700)を、成長工程のための反応装置に基板(700)を搭載する前に基板(700)の表面から酸化物(702)を除去するために、溶剤で洗浄し、かつ、例えば1:10に希釈したBHF:DI溶液のような酸に浸漬する工程を表している。(この工程を施すことを勧めるが、省略しても結果は大きくは変わらない)。基板(700)はm−SiC、あるいは無極性m面III族窒化物成長に適する他のいかなる基板をも含んでもよい。
【0029】
ブロック602は成長工程の前に、基板(700)を例えば水素中で、その場で熱処理する工程を表している。(この工程を施すことを勧めるが、省略しても結果は大きくは変わらない)。
【0030】
ブロック604は基板(700)上に核形成層(704)を成長するステップを表す。核形成層(704)は通常は窒化アルミニウム(AlN)核形成層または中間層であるが、無極性m面III族窒化物成長に適するものならどのような核形成層(704)をも含んでもよい。更に、核形成層(704)は前記熱処理ステップの後で、かつ無極性m面III族窒化物の成長の前に成長される。
【0031】
ブロック606はMOCVD法を用いて無極性m面III族窒化物のエピタキシャル層(706)を成長するステップを表している。無極性m面III族窒化物のエピタキシャル層(706)は通常は無極性m面GaNのエピタキシャル層であるが、これに限らず他の無極性m面III族窒化物をも含んでもよい。更に、無極性m面III族窒化物のエピタキシャル層(706)は前記の核形成層(704)上に成長してもよいし、基板(700)自身の上に成長してもよい。
【0032】
最終結果は無極性m面III族窒化物の平坦なエピタキシャル層をもつデバイス、自立ウェーハ、基板、或いはテンプレートであることが好ましい。
【0033】
可能な変更と変形
前記の好ましい実施形態はAlN中間層を用いてm−SiC上に無極性m−GaNをMOCVD法で成長するものである。無極性m面III族窒化物のエピタキシャル薄膜が形成できる適当な基板として、他には6Hまたは4Hm面SiC、自立m−GaN、LiGaOおよびLiAlOがあるが、これに限定されるものではない。
【0034】
成長の前に、適当な基板は成長装置内、或いは成長装置外で多くの色々な方法で前処理を受けることができ、また全く前処理を受けない場合もある。
【0035】
無極性エピタキシャル薄膜は、色々な条件と方法によって成長したGaNまたはAlNのような、さまざまな異なる核形成層上、或いは裸の基板上に成長核が作られて成長する。
【0036】
エピタキシャル薄膜は、色々な厚さのGaN、AlN、AlGaNおよびInGaNを含むがこれらには限定されることなく、いかなる無極性m面III族窒化物材料であってもよい。
【0037】
無極性m面III族窒化物材料の成長に必要な成長パラメータの選択は反応装置ごとに変わる。
【0038】
最後に、プロセス工程は所望のように省略されても、追加されても、或いは再構成されてもよい。
【0039】
そのような変形は本発明の全体的な実施形態を基本的に変えるものではない。
利点と改良点
m−{1−100}面GaNの成長はHVPE法とMBE法では既に実験されて成功している。しかしながら、MOCVD法によって高品質平坦な無極性m−{1−100}面GaNの成長を実験して成功したのは未だかつて本発明が初めてである。
【0040】
MOCVD法を用いた平坦なm面GaNの成長は、平坦なa−{11−20}面GaNの成長に比べて、大きな成長窓を持っていて、安定性良く成長できるという利点がある。この利点が発揮されるのは、AlN核形成層やGaNエピタキシャル薄膜に対する温度や、圧力や、前駆体流量などの成長パラメータが変わったときである。
【0041】
最適な品質のm面GaNを実現するためには、AlNとGaNに対してそれぞれ、V/III比としては400〜5,500および200〜3,000の範囲の値が、成長圧力としては50〜760Torrの範囲が、そして成長温度シリーズとして1,100℃〜1,275℃および1,000℃〜1,160℃の範囲が調べられた。このような条件を変更しても結晶性や表面品質に重大な影響は及ぼさなかった。これは平坦な無極性a面GaN薄膜の場合と異なることである。また、a面GaNでは結晶や表面の品質が成長条件の変化を非常に受けやすく、狭い成長窓に閉じ込められる。
【0042】
m−GaNの無極性の性質とあいまって、この成長の安定性の利点はIII族窒化物無極性デバイスの研究における新しい可能性をもたらす。
参考文献
次の参考文献は参照として本明細書中に組み込まれる。
1. ”Molecular−beam epitaxy of GaN/AlGa1−xN multiple quantum wells on R−plane(10−12)sapphire substrates,“H.M.Ng,Appl.Phys.Lett.80,4369(2002)
結論
これで本発明の好ましい実施形態の説明を終える。本発明の一つ以上の実施形態に関する上記の説明は例示と説明を目的と示された。開示の形態そのものによって本発明を包括または限定することを意図するものではない。本明細書に記述した工程に付加的な調整部分を加えるなど、本発明の本質部分から基本的に逸脱すること無しに、上記の教示に照らして多くの変更と変形が可能である。本発明の技術範囲はこの詳細説明によってではなく、本明細書に添付の請求項によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1(a)および図2(b)は六方晶系GaNの、関心のある結晶学的方位及び面の概略図である。
【図2】図2(a)および図2(b)は分極の結果としてのバンド・ベンディングと電子正孔の分離の概略図である。
【図3】m面SiC上の無極性平坦なm面GaNの、上から下までの構造的な特性を表し、関心のある結晶面が単位胞で示されている。
【図4】原子間力顕微鏡(AFM)による5μm×5μmの表面像であり、表面凹凸は2.54nmであることを示している。
【図5】軸上及び非軸上のx線回折ロッキング・カーブを示すグラフである。
【図6】本発明の好ましい実施形態による、MOCVDを用いた平坦なm面III族窒化物を成長するプロセス工程を示すフローチャートである。
【図7】本発明の好ましい実施形態による、図6のプロセス工程の結果を更に示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)無極性{1−100}m面III族窒化物を適当な基板上に有機金属化学気相成膜法(MOCVD)を用いて成長する工程を含むことを特徴とする、平坦な無極性m面III族窒化物のエピタキシャル薄膜を成長する方法。
【請求項2】
前記基板はm−炭化珪素(SiC)基板を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記無極性m面III族窒化物はm面窒化ガリウム(GaN)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記成長工程の前に、前記基板表面から酸化物を除去するために前記基板を溶剤で洗浄し、酸に浸漬する工程を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記成長工程の前に、前記基板を熱処理する工程を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記基板上に核形成層を成長する工程と、前記核形成層上に前記無極性m面III族窒化物を成長する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記核形成層は窒化アルミニウム(AlN)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
(1)前記基板を熱処理する工程と、
(2)前記熱処理工程の後に、前記基板上に核形成層を成長する工程、および
(3)前記核形成層上に前記無極性m面III族窒化物を成長する工程
を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記無極性m面III族窒化物が平坦なエピタキシャル層であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法を用いて作られるデバイス、ウェーハ、基板、或いはテンプレート。
【請求項11】
(a)適当な基板上に有機金属化学気相成長法(MOCVD)を用いて無極性m面III族窒化物を成長する工程を含むことを特徴とし、
(1)前記基板表面から酸化膜を除去するために前記基板を溶剤で洗浄し、酸に浸漬する工程と、
(2)前記溶剤で洗浄し酸に浸漬する工程の後に、前記基板を熱処理する工程と、
(3)前記熱処理工程後に前記基板上に核形成層を成長する工程と、
(4)前記核形成層上に前期無極性m面III族窒化物の平坦なエピタキシャル層を成長する工程
を含む、平坦な無極性m面III族窒化物のエピタキシャル薄膜を成長する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−543087(P2008−543087A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−514783(P2008−514783)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【国際出願番号】PCT/US2006/020995
【国際公開番号】WO2006/130622
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(592130699)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (364)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of The University of California
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【Fターム(参考)】