有機EL表示装置およびその製造方法
【課題】成膜用のマスクによる損傷を防止できるとともに、画質の低下を防止することができる有機EL表示装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】有機EL表示装置1は、絶縁性基板3と、絶縁性基板3上に形成された複数の有機EL素子4と、絶縁性基板3上に形成されるとともに、複数の有機EL素子4を区画する絶縁膜5を備えている。有機EL素子4は、第1電極6と、第1電極6上に形成されるとともに、発光層を有する有機層7と、有機層7上に形成された第2電極8を有している。そして、絶縁膜5上には、絶縁膜5の表面5aから有機EL表示装置1の厚み方向Yに突出する複数のリブ14が設けられるとともに、複数の有機EL素子4の各々は、リブ14の間に形成されている。
【解決手段】有機EL表示装置1は、絶縁性基板3と、絶縁性基板3上に形成された複数の有機EL素子4と、絶縁性基板3上に形成されるとともに、複数の有機EL素子4を区画する絶縁膜5を備えている。有機EL素子4は、第1電極6と、第1電極6上に形成されるとともに、発光層を有する有機層7と、有機層7上に形成された第2電極8を有している。そして、絶縁膜5上には、絶縁膜5の表面5aから有機EL表示装置1の厚み方向Yに突出する複数のリブ14が設けられるとともに、複数の有機EL素子4の各々は、リブ14の間に形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子:以下、「有機EL素子」と記載する)を有する有機ELパネルなどを備えた有機EL表示装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代フラットパネル表示装置として有機EL表示装置が注目されている。この有機EL表示装置は、自己発光型の表示装置であり、視野角特性に優れ、視認性が高く、低消費電力であり、かつ薄型化が可能であるため、需要が高まってきている。
【0003】
この有機EL表示装置は、所定の配列で配列された複数の有機EL素子を有し、複数の有機EL素子の各々は、絶縁性基板上に形成された第1電極と、第1電極上に形成された発光層を有する有機層と、有機層上に形成された第2電極とを備えている。
【0004】
また、一般に、この有機EL表示装置に用いる有機EL薄膜を基板上に成膜する手法として、蒸着法が知られている。この蒸着法は、まず、基板の被蒸着面である表面を下側にして水平状態に載置し、この基板表面に金属製のマスクを密着させる。次いで、その下方に設けた蒸着源から蒸着材料(即ち、有機EL材料)を所定パターンが形成されたマスク開口部を通して基板表面に蒸着させることで、基板表面に所定パターンの有機EL薄膜を成膜させている。
【0005】
ここで、上記蒸着法においては、R(赤)・G(緑)・B(青)の各画素領域(または、発光領域)を形成する際に、基板表面にマスクを密着させた状態で、当該マスクを絶縁性基板上に形成された第1電極や有機EL素子の表面上を移動させる必要がある。また、基板との位置合わせを行うために、基板表面にマスクを密着させた状態で、当該マスクを微少な距離(数十μm程度)移動させる必要がある。従って、マスクの移動に伴い、基板上に形成された第1電極や有機EL素子が損傷してしまい、結果として、歩留まりが低下するという問題が生じていた。
【0006】
そこで、この様な成膜用のマスクによる損傷を防止するための有機EL素子が提案されている。より具体的には、画素領域を囲むように形成された絶縁膜を備えるとともに、画素領域内に、画素領域に有機層を形成する際に使用するマスクに対して、一定のスペースを確保するためのスペーサーを設けた有機EL素子が開示されている。そして、このような構成により、有機層を形成する際に、マスクと有機層との接触を回避できるため、マスクによる損傷を受けることなく、良好に発光体を形成することができると記載されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−59671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1に記載の有機EL素子においては、マスクによる損傷を回避することはできるものの、R(赤)・G(緑)・B(青)の各画素領域を形成する際に、基板とマスクのアライメント精度や、マスク自体の仕上がり寸法精度、基板とマスクとの密着性、及び基板表面にマスクを密着させる際のマスクの位置精度等の要因により、隣接する画素領域に異なる色の発光材料が混入して、表示画素間で発光色の混合(即ち、混色)が発生し、画質が著しく低下するという問題が生じていた。
【0008】
また、上述のごとく、画素領域にスペーサーを設ける必要があるため、有機層を形成する際に、画素領域におけるスペーサーの近傍において、当該スペーサーが障壁となり、均一な膜分布を有するとともに、効率的な発光に必要な膜厚を有する有機層を形成することが困難になっていた。その結果、不良画素が発生して、画質が著しく低下するという問題が生じていた。
【0009】
さらに、画素領域にスペーサーを設ける必要があるため、開口率が低下し、結果として、輝度が低下して良好な画質が得られないという問題が生じていた。
【0010】
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、成膜用のマスクによる損傷を防止できるとともに、画質の低下を防止することができる有機EL表示装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、絶縁性基板と、絶縁性基板上に形成された第1電極と、第1電極上に形成されるとともに、発光層を有する有機層と、有機層上に形成された第2電極とを有する複数の有機EL素子と、絶縁性基板上に形成されるとともに、複数の有機EL素子を区画する絶縁膜とを備える有機EL表示装置であって、絶縁膜上には、絶縁膜の表面から有機EL表示装置の厚み方向に突出する複数のリブが設けられるとともに、複数の有機EL素子の各々は、リブの間に形成されていることを特徴とする。
【0012】
同構成によれば、蒸着法により、成膜用のマスクを用いて、第1電極上に有機層を形成する際に、リブの表面にマスクを密着させることができるため、マスクと第1電極、およびマスクと第1電極の表面上に設けられた有機層との接触を防止することができる。従って、成膜用のマスクによる損傷を防止できるため、歩留まりの低下を防止することができる有機EL表示装置を提供することができる。
【0013】
また、前記複数の有機EL素子の各々が、リブの間に形成されているため、各画素領域を形成する際に、隣接する画素領域に異なる色の発光材料が混入することを防止することが可能になる。従って、混色の発生を防止することができ、結果として、画質の低下を防止することができる有機EL表示装置を提供することができる。
【0014】
更に、上述の従来技術とは異なり、画素領域にスペーサーを設ける必要がないため、均一な膜分布を有するとともに、効率的な発光に必要な膜厚を有する有機層を形成すること可能になる。従って、不良画素の発生を防止することができるため、画質の低下を防止することができる有機EL装置を提供することができる。また、画素領域にスペーサーを設ける必要がないため、開口率の低下を防止することができる。従って、輝度の低下を防止して、良好な画質を得ることができる有機EL表示装置を提供することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の有機EL表示装置であって、絶縁膜が、第1電極の周縁部を覆うように形成されていることを特徴とする。
【0016】
同構成によれば、シャドウ現象の発生を防止することができるため、第1電極と第2電極との短絡が回避でき、リーク電流の発生を防止することができる。その結果、素子の発光効率の低下を防止できる。
【0017】
なお、ここでいう「シャドウ現象」とは、蒸着法により、成膜用のマスクを用いて、第1電極上に有機層を形成する際に、マスク開口部内の第1電極の周縁部が、マスクの陰になり、有機層の周縁部の膜厚が中央部の膜厚より薄くなる現象を言う。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の有機EL表示装置であって、絶縁膜とリブが、同一の材料により、一体的に形成されていることを特徴とする。
【0019】
同構成によれば、製造工程が簡素化された有機EL表示装置を提供することができる。
【0020】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の有機EL表示装置であって、リブの厚みが、1μm以上50μm以下であることを特徴とする。
【0021】
同構成によれば、リブを設けた場合であっても、有機EL表示装置の薄型化に対応することが可能になるとともに、蒸着法により、成膜用のマスクを用いて、第1電極上に有機層を形成する際に、マスクと第1電極、およびマスクと第1電極の表面上に設けられた有機層との接触を確実に防止することができる有機EL表示装置を提供することができる。
【0022】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の有機EL表示装置であって、絶縁膜の厚みが、0.2μm以上1.0μm以下であることを特徴とする。
【0023】
同構成によれば、隣接する各画素領域間における混色等の干渉を生じることなく、リーク電流の発生による素子の発光効率の低下を防止することができる。
【0024】
請求項6に記載の発明は、絶縁性基板上に、第1電極、発光層を有する有機層、及び第2電極がこの順で形成された複数の有機EL素子を備える有機EL表示装置の製造方法であって、絶縁性基板上に、複数の第1電極を形成する工程と、絶縁性基板上に、複数の第1電極を区画する絶縁膜を形成する工程と、絶縁膜上に、絶縁膜の表面から有機EL表示装置の厚み方向に突出する複数のリブを形成するとともに、複数の第1電極の各々を前記リブの間に配置する工程と、リブの表面上にマスクを設けて、マスクをリブに密着させる工程と、マスクを用いて、第1電極上に有機層を形成するとともに、有機層上に第2電極を形成する工程とを少なくとも含むことを特徴とする。
【0025】
同構成によれば、成膜用のマスクを用いて、第1電極上に有機層を形成する際に、リブの表面にマスクを密着させるため、マスクと第1電極、およびマスクと第1電極の表面上に設けられた有機層との接触を防止することができる。従って、成膜用のマスクによる損傷を防止できるため、有機EL表示装置の歩留まりの低下を防止することができる。
【0026】
また、前記複数の有機EL素子の各々が、リブの間に形成されるため、各画素領域を形成する際に、隣接する画素領域に異なる色の発光材料が混入することを防止することが可能になる。従って、混色の発生を防止することができるため、画質の低下を防止することが可能になる。
【0027】
更に、上述の従来技術とは異なり、画素領域にスペーサーを設ける必要がないため、有機層を形成する際に、均一な膜分布を有するとともに、効率的な発光に必要な膜厚を有する有機層を形成すること可能になる。従って。不良画素の発生を防止することができるため、画質の低下を防止することが可能になる。また、画素領域にスペーサーを設ける必要がないため、開口率の低下を防止することができる。従って、輝度の低下を防止して、良好な画質を得ることが可能になる。
【0028】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の有機EL表示装置の製造方法であって、第1電極の周縁部を覆うように絶縁膜を形成することを特徴とする。
【0029】
同構成によれば、シャドウ現象の発生を防止することができるため、第1電極と第2電極との短絡が回避でき、リーク電流の発生を防止することができる。その結果、素子の発光効率の低下を防止できる。
【0030】
請求項8に記載の発明は、請求項6または請求項7に記載の有機EL表示装置の製造方法であって、絶縁膜とリブを同時に形成することを特徴とする。
【0031】
同構成によれば、有機EL表示装置の製造工程が簡素化できる。
【0032】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の有機EL表示装置の製造方法であって、絶縁膜とリブを、同一の材料により、一体的に形成することを特徴とする。
同構成によれば、有機EL表示装置の製造工程がより一層簡素化できる。
【0033】
請求項9に記載の発明は、請求項9に記載の有機EL表示装置の製造方法であって、材料が感光性材料であるとともに、互いに異なる露光パターンを有する複数の露光マスクで感光性材料を順次、露光する多重露光により、絶縁膜とリブを形成することを特徴とする。
【0034】
同構成によれば、絶縁膜とリブを精度良く形成することができる。
【0035】
請求項11に記載の発明は、請求項6〜請求項10のいずれか1項に記載の有機EL表示装置の製造方法であって、リブの厚みを、1μm以上50μm以下に形成することを特徴とする。
【0036】
同構成によれば、リブを設けた場合であっても、有機EL表示装置の薄型化に対応することが可能になるとともに、蒸着法により、成膜用のマスクを用いて、第1電極上に有機層を形成する際に、マスクと第1電極、およびマスクと第1電極の表面上に設けられた有機層との接触を確実に防止することができる。
【0037】
請求項12に記載の発明は、請求項6〜請求項11のいずれか1項に記載の有機EL表示装置の製造方法であって、絶縁膜の厚みを、0.2μm以上1.0μm以下に形成することを特徴とする。
【0038】
同構成によれば、隣接する各画素領域間における混色等の干渉を生じることなく、リーク電流の発生による素子の発光効率の低下を防止することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、成膜用のマスクによる損傷を防止して、有機EL表示装置の歩留まりの低下を防止することができる。また、混色の発生を防止して、画質の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0041】
図1は、本発明の実施形態に係る有機EL表示装置の平面図であり、図2は、図1のA−A断面図である。また、図3は、本発明の実施形態に係る有機EL表示装置が備える有機EL素子を構成する有機層を説明するための断面図であり、図4は、本発明の実施形態に係る有機EL表示装置が備える絶縁膜の配置を説明するための平面図である。
【0042】
図1に示すように、有機EL表示装置1には、赤色光を発する画素領域2Rと、緑色光を発する画素領域2Gと、青色光を発する画素領域2Bが、所定のパターンに従って配列されている。また、各画素領域2R,2G,2Bの間には、各画素領域2R,2G,2Bを区画する絶縁膜5が設けられている。
【0043】
また、図2に示す様に、有機EL表示装置1は、絶縁性基板3と、絶縁性基板3の表面上に所定の間隔で設けられた複数の有機EL素子4と、有機EL素子4の各々の間に設けられ、これら複数の有機EL素子4を区画する絶縁膜5とを備えている。
【0044】
絶縁性基板3は、例えば、ガラス、またはプラスチック等の絶縁性材料により形成されている。
【0045】
また、図2に示すように、有機EL素子4は、絶縁性基板3の表面上に設けられた第1電極6(陽極)と、第1電極6の表面上に設けられた有機層7と、有機層7の表面上に設けられた第2電極8(陰極)とを備えている。
【0046】
第1電極6は、絶縁性基板3の表面上に所定の間隔でマトリクス状に複数形成されており、複数の第1電極6の各々が、有機EL表示装置1の各画素領域2R,2G,2Bを構成している。なお、第1電極6は、例えば、Au、Ni、Pt、またはITO(インジウム−スズ酸化物)等により形成されている。
【0047】
有機層7は、マトリクス状に区画された各第1電極6の表面上に形成されている。この有機層7は、図3に示すように、正孔注入層9と、正孔注入層9の表面上に形成された正孔輸送層10と、正孔輸送層10の表面上に形成され、赤色光、緑色光、および青色光のいずれかを発する発光層11と、発光層11の表面上に形成された電子輸送層12と、電子輸送層12の表面上に形成された電子注入層13とを備えている。そして、これらの正孔注入層9、正孔輸送層10、発光層11、電子輸送層12、および電子注入層13が順次積層されることにより、有機層7が構成されている。
【0048】
正孔注入層9は、発光層11への正孔注入効率を高めるためのものである。この正孔注入層9を形成する材料としては、例えば、ベンジン、スチリルアミン、トリフェニルアミン、ポルフィリン、トリアゾール、イミダゾール、オキサジアゾール、ポリアリールアルカン、フェニレンジアミン、アリールアミン、オキザゾール、アントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、トリフェニレン、アザトリフェニレン、あるいはこれらの誘導体、または、ポリシラン系化合物、ビニルカルバゾール系化合物、チオフェン系化合物あるいはアニリン系化合物等の複素環式共役系のモノマー、オリゴマーあるいはポリマーを挙げることができる。
【0049】
正孔輸送層10は、上述の正孔注入層9と同様に、発光層11への正孔注入効率を高めるためのものであり、正孔輸送層10を形成する材料としては、上述の正孔注入層9と同様のものが使用できる。
【0050】
発光層11は、第1電極6、及び第2電極8による電圧印加の際に、両電極の各々から正孔および電子が注入されるとともに、正孔と電子が再結合する領域である。この発光層11は、発光効率が高い材料により形成され、例えば、低分子蛍光色素、蛍光性の高分子、金属錯体等の有機材料により形成されている。より具体的には、例えば、アントラセン、ナフタレン、インデン、フェナントレン、ピレン、トリフェニレン、ペリレン、ピセン、フルオランテン、アセフェナントリレン、ペンタフェン、ペンタセン、コロネン、ブタジエン、クマリン、アクリジン、スチルベン、あるいはこれらの誘導体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体、ビス(ベンゾキノリノラト)ベリリウム錯体、トリ(ジベンゾイルメチル)フェナントロリンユーロピウム錯体ジトルイルビニルビフェニルが挙げられる。
【0051】
電子輸送層12は、第2電極8から注入される電子を発光層11に輸送するためのものである。この電子輸送層12を形成する材料としては、例えば、キノリン、ペリレン、フェナントロリン、ビススチリル、ピラジン、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、フルオレノン、またはこれらの誘導体や金属錯体が挙げられる。より具体的には、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム、アントラセン、ナフタレン、フェナントレン、ピレン、アントラセン、ペリレン、ブタジエン、クマリン、アクリジン、スチルベン、1,10−フェナントロリンまたはこれらの誘導体や金属錯体が挙げられる。
【0052】
電子注入層13は、上述の電子輸送層12と同様に、第2電極8から注入される電子を発光層11に輸送するためのものであり、電子注入層13を形成する材料としては、上述の電子輸送層12と同様のものが使用できる。
【0053】
第2電極8は、有機層7に電子を注入する機能を有するものである。この第2電極8は、例えば、マグネシウム合金(MgAg等)、アルミニウム合金(AlLi、AlCa、AlMg等)、金属カルシウム、または仕事関数の小さい金属等により形成されている。
【0054】
絶縁膜5は、絶縁性基板3の表面上に設けられるとともに、隣接する複数の第1電極6の各々を区画するものである。この絶縁膜5を形成する材料としては、例えば、感光性ポリイミド樹脂、アクリル系樹脂、メタリル系樹脂、またはノボラック系樹脂等の絶縁性の樹脂材料が挙げられる。
【0055】
また、図2、図4に示すように、絶縁膜5は、第1電極6の周縁部6aを覆うように、絶縁性基板3上に形成されている。このような構成により、第1電極6と第2電極8との間の短絡を防止して、リーク電流の発生を回避することが可能になる。
【0056】
即ち、一般に、蒸着法により、成膜用のマスクを用いて、第1電極上に有機層を形成する際に、マスク開口部内の第1電極の周縁部が、マスクの陰になり、有機層の周縁部の膜厚が中央部の膜厚より薄くなる現象(いわゆる、シャドウ現象)が生じる。そして、シャドウ現象が生じると、膜厚が薄い箇所に電流が集中する、あるいはそこを介して第1電極と第2電極とが短絡し、結果として、リーク電流が生じることで素子の発光効率の低下が発生してしまう。
【0057】
一方、本実施形態においては、上述のごとく、第1電極6の周縁部6aを覆うように、絶縁膜5を形成しているため、シャドウ現象の発生を防止することができる。従って、第1電極6と第2電極8との短絡が回避でき、リーク電流の発生を防止することができる。
【0058】
なお、絶縁膜5の厚みT1は、特に限定されないが、0.2μm以上1.0μm以下が好ましい。これは、絶縁膜5の厚みT1が0.2μm未満の場合は、リーク電流の発生を防止することが困難になるという不都合が生じる場合があるからであり、1.0μmより大きい場合は、有機EL素子4において発生した光が絶縁層5の内部を伝搬して、隣接する各画素領域2R,2G,2B間における発光色の混合等の干渉が生じる場合があるからである。
【0059】
ここで、本実施形態においては、蒸着法により、成膜用のマスク16(後述する図8〜図11を参照)を用いて、第1電極6上に有機層7を形成する際に、マスク16と第1電極6間、およびマスク16と有機層7間のスペーサーとしての役割を有するリブ14が設けられている点に特徴がある。より具体的には、図1、図2に示すように、有機EL表示装置1において、絶縁膜5上に、絶縁膜5の表面5aから有機EL表示装置1の厚み方向(即ち、有機EL装置1の面方向Xに直交する方向であって、図2の矢印Yの方向)に突出する複数のリブ14が設けられている。そして、複数の有機EL素子4の各々は、これらのリブ14の間に形成されている。
【0060】
このような構成により、後述のごとく、蒸着法により、成膜用のマスク16を用いて、第1電極6上に有機層7を形成する際に、リブ14の表面14aにマスク16を密着させることができるため、マスク16と第1電極6、およびマスクと第1電極6の表面上に設けられた有機層7との接触を防止することができる。
【0061】
また、各画素領域2R,2G,2Bに形成される複数の有機EL素子4の各々が、リブ14の間に形成されているため、各画素領域2R,2G,2Bを形成する際に、隣接する画素領域に異なる色の発光材料が混入することを防止することが可能になる。
【0062】
また、上述の従来技術とは異なり、画素領域にスペーサーを設ける必要がないため、有機層7を形成する際に、均一な膜分布を有するとともに、効率的な発光に必要な膜厚を有する有機層7を形成すること可能になるとともに、開口率の低下を防止することができる。
【0063】
このリブ14を形成する材料としては、上述の絶縁膜5と同様のものが使用でき、例えば、感光性ポリイミド樹脂、アクリル系樹脂、メタリル系樹脂、またはノボラック系樹脂等の絶縁性の樹脂材料が挙げられる。また、絶縁膜5とリブ14を同一の絶縁性の樹脂材料により形成する場合、絶縁膜5とリブ14を一体的に形成することができる。なお、本実施形態においては、図2に示すように、断面略矩形状を有するリブ14が設けられている。
【0064】
また、リブ5の厚みT2は、特に限定されないが、1μm以上50μm以下が好ましい。これは、リブ5の厚みT2が1μm未満の場合は、マスク16を用いて、第1電極6上に有機層7を形成する際に、リブ14の表面14aに密着させたマスク16が、第1電極6、及び有機層7に接近するという不都合が生じる場合があるからであり、50μmより大きい場合は、マスク16と第1電極6、およびマスク16と第1電極6の表面上に設けられた有機層7との接触を確実に防止することができるものの、有機EL表示装置1の厚みが大きくなってしまい、装置の薄型化が困難になるという不都合が生じる場合があるからである。
【0065】
次に、本実施形態の有機EL表示装置の製造方法の一例について説明する。図5〜図10は、本発明の実施形態に係る有機EL表示装置の製造方法を説明するために断面図である。
【0066】
まず、図5に示すように、基板サイズが300×400mmで、厚さが0.7mmのガラス基板等の絶縁性基板3上に、スパッタ法によりITO膜をパターン形成して、複数の第1電極6を形成する。このとき、第1電極6の膜厚は、例えば、150nm程度に形成する。
【0067】
次に、図6に示すように、ポジ型の感光性ポリイミド樹脂を、絶縁性基板3上にスピンコート法により塗布する。その後、フォトリソグラフィー法により第1電極6の一部を露出させるとともに、所定の条件下(例えば、100℃の温度で3分間)において、焼成を行うことにより、各画素領域2R,2G,2B間に構造体15をパターン形成する。なお、構造体15の膜厚は、例えば、5μmに形成する。また、構造体13をフォトリソグラフィー法により形成したが、例えば、転写法や印刷法等で形成しても良い。
【0068】
次いで、構造体13に対して、連続して露光する多重露光を行うことにより、絶縁膜5とリブ14を同一の絶縁性の樹脂材料(即ち、感光性ポリイミド樹脂)により、一体的に形成する。より具体的には、まず、互いに異なる露光パターンを有する2つの露光マスクを用意し、絶縁膜5に対応する領域にのみ遮光部分が設けられた露光パターンを有する露光マスクを使用して、所定の露光量(例えば、300mJ/cm2)により、絶縁膜5を形成するための1回目の露光を行う。次いで、リブ14に対応する領域にのみ遮光部分が設けられた露光パターンを有する露光マスクを使用して、所定の露光量(例えば、150mJ/cm2)により、リブ14を形成するための2回目の露光を行う。即ち、互いに異なる露光パターンを有する2つの露光マスクで感光性ポリイミド樹脂を順次、露光する多重露光により、感光性ポリイミド樹脂に対する累積露光量を領域毎に相違させる。
【0069】
次いで、感光性ポリイミド樹脂に対して、現像液(例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム液)を用いて、現像処理を行う。そうすると、感光性ポリイミド樹脂は、露光量に応じて除去され、図7に示すように、感光性ポリイミド樹脂により、絶縁膜5と複数のリブ14が一体的に形成される。
【0070】
このように、本実施形態においては、絶縁膜5とリブ14を同時に形成されるため、有機EL表示装置1の製造工程が簡素化できる。また、上述のごとく、多重露光により、絶縁膜5とリブ14を形成するため、絶縁膜5とリブ14を精度良く形成することができる。
【0071】
なお、絶縁膜5は、複数の第1電極6を区画するように形成されるとともに、第1電極6の周縁部6aを覆うように形成される。そして、複数の第1電極6の各々は、リブ14の間に配置される。また、リブ14は、絶縁膜5上に、絶縁膜5の表面5aから有機EL表示装置の厚み方向Yに突出するように形成される。絶縁膜5の厚みT1は、例えば、0.5μmに形成され、リブ14の厚みT2は、例えば、4.5μmに形成される。
【0072】
次に、第1電極6上に、発光層11を含む有機層7、及び第2電極8を金属製のマスク16を使用して、蒸着法により形成する。
【0073】
より具体的には、まず、絶縁膜5、第1電極6、およびリブ14を備えた絶縁性基板3を蒸着装置のチャンバー内に設置する。なお、蒸着装置のチャンバー内は、真空ポンプにより、1×10−5〜1×10−4(Pa)の真空度に保たれている。また、絶縁膜5、第1電極6、およびリブ14を備えた絶縁性基板3は、チャンバー内に取り付けられた1対の基板受けによって2辺を固定した状態で設置する。
【0074】
次いで、図8に示すように、金属製のマスク16をリブ14の表面14a上に設けて、マスク16をリブ14の表面14aに密着させる。この際、マスク16は、その開口部16aが赤色光を発する画素領域2Rに対応するように位置合わせを行い、設置する。また、マスク16としては、例えば、厚さが40μm程度のインバーマスクを厚さが8mm程度のインバーフレームにレーザ溶接したものが使用できる。
【0075】
絶縁性基板3とマスク16との位置合わせは、絶縁性基板3、及びマスク16のそれぞれに二箇所ずつ設けたアライメントマークを蒸着装置に組み込んだCCDカメラで認識することで行う。アライメントマークの認識は、まず、リブ14、及びマスク16を接触させない状態で各アライメントマーク間の位置誤差が±2μm以内におさまるまで繰り返して行う。続いて、リブ14、及びマスク16を完全に密着させた状態で、各アライメントマーク間の位置誤差が±5μm以内におさまった段階でアライメントマークの認識完了とする。リブ14、及びマスク16を完全に密着させた状態で各アライメントマーク間の位置誤差が±5μm以内におさまらない場合は、再度、リブ14とマスク16とを接触させない状態からやり直す。
【0076】
次いで、リブ14に密着させたマスク16の四隅を、チャンバー内のマスク受けで固定する。
【0077】
そして、蒸着源から、正孔注入層9、正孔輸送層10、発光層11、電子輸送層12、および電子注入層13の各蒸着材料を順次蒸発させて、正孔注入層9、正孔輸送層10、発光層11、電子輸送層12、および電子注入層13を積層することにより、図8に示すように、画素領域2Rに有機層7を形成する。この際、図8に示すように、リブ14の表面14aに密着させたマスク16と、第1電極6及び有機層7との間には、十分な距離が確保されており、マスク16と、第1電極6及び有機層7との接触は生じない。また、リブ14により、隣接する画素領域2Gに赤色の発光材料が混入することを防止できる。
【0078】
次いで、図9に示すように、リブ14の表面14aに密着させたマスク16の開口部16aが、緑色光を発する画素領域2Gに対応するように位置合わせを行う。この場合も、図9に示すように、リブ14の表面14aに密着させたマスク16と、第1電極6及び有機層7との間には、十分な距離が確保されており、マスク16と、第1電極6及び有機層7との接触は生じない。そして、蒸着源から、正孔注入層9、正孔輸送層10、発光層11、電子輸送層12、および電子注入層13の各蒸着材料を順次蒸発させて、正孔注入層9、正孔輸送層10、発光層11、電子輸送層12、および電子注入層13を積層することにより、図9に示すように、画素領域2Gに有機層7を形成する。この際、リブ14により、隣接する画素領域2R,2Bへの緑色の発光材料の混入が防止される。
【0079】
次いで、図10に示すように、リブ14の表面14aに密着させたマスク16の開口部16aが、青色光を発する画素領域2Bに対応するように位置合わせを行う。この場合も、図10に示すように、リブ14の表面14aに密着させたマスク16と、第1電極6及び有機層7との間には、十分な距離が確保されており、マスク16と、第1電極6及び有機層7との接触は生じない。そして、蒸着源から、正孔注入層9、正孔輸送層10、発光層11、電子輸送層12、および電子注入層13の各蒸着材料を順次蒸発させて、正孔注入層9、正孔輸送層10、発光層11、電子輸送層12、および電子注入層13を積層することにより、図10に示すように、画素領域2Bに有機層7を形成する。この際、リブ14により、隣接する画素領域2Gへの青色の発光材料の混入が防止される。
【0080】
そして、マスク16を用いて、有機層7上に、第2電極8を形成することにより、複数の有機EL素子7がリブ14の間に形成され、図2に示す有機EL表示装置1が製造されることになる。
【0081】
このように本実施形態においては、複数の有機EL素子7の各々が、リブ14の間に形成されるため、リブ14により、隣接する画素領域に異なる色の発光材料が混入することを防止できる。
【0082】
なお、蒸発源としては、例えば、各蒸発材料が仕込まれた坩堝を使用することができる。坩堝は、チャンバー内の下部に設置されるとともに、坩堝にはヒーターが備え付けられており、このヒーターにより、坩堝は加熱される。そして、ヒーターによる加熱により、坩堝の内部温度が各種蒸着材料の蒸発温度に到達することで、坩堝内に仕込まれた各種蒸着材料が蒸発分子となってチャンバー内の上方向へ飛び出す。
【0083】
また、蒸発分子の蒸発レート(単位時間あたりに蒸着される膜厚)は、チャンバー内に設置された水晶振動子でモニタリングし、蒸発レートが安定するまでは、チャンバー内に設置された開閉可能なシャッターによって絶縁性基板3上に蒸着されないようにしている。そして、各種蒸着材料の蒸発レートが所望の値で安定したところでシャッターをオープンし、坩堝から飛び出した各種蒸発分子をマスク16の開口部16aを介して絶縁性基板3の表面に付着させ、有機層7、及び第2電極8を形成する。
【0084】
また、有機層7、及び第2電極8の形成の具体例としては、まず、絶縁性基板3上にパターニングされた第1電極6上に、RGB全ての画素に共通して、m−MTDATA(4,4,4-tris(3-methylphenylphenylamino)triphenylamine)からなる正孔注入層9を、マスク16を介して、例えば、25nmの膜厚で形成する。続いて、正孔注入層9上に、RGB全ての画素に共通して、α−NPD(4,4-bis(N-1-naphthyl-N-phenylamino)biphenyl)からなる正孔輸送層10を、マスク16を介して、例えば、30nmの膜厚で形成する。次に、赤色の発光層11として、ジ(2-ナフチル)アントラセン(ADN)に2,6-ビス((4’-メトキシジフェニルアミノ)スチリル)-1,5-ジシアノナフタレン(BSN)を30重量%混合したものを、マスク16を介して、画素領域2Rに形成された正孔輸送層10上に、例えば、30nmの膜厚で形成する。次いで、緑色の発光層11として、ADNにクマリン6を5重量%混合したものを、マスク16を介して、画素領域2Gに形成された正孔輸送層10上に、例えば、30nmの膜厚で形成する。次に、青色の発光層11として、ANDに4,4’-ビス(2-{4-(N,N-ジフェニルアミノ)フェニル}ビニル)ビフェニル(DPAVBi)を2.5重量%混合したものを、マスク16を介して、例えば、30nmの膜厚で形成する。次いで、各発光層11上に、RGB全ての画素に共通して、8-ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)を電子輸送層12として、マスク16を介して、例えば、20nmの膜厚で形成する。次いで、電子輸送層12上に、フッ化リチウム(LiF)を電子注入層13として、マスク16を介して、例えば、0.3nmの膜厚で形成する。そして、第2電極8として、マグネシウム銀(MgAg)からなる陰極を、例えば、10nmの膜厚で形成する。
【0085】
以上に説明した本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0086】
(1)本実施形態においては、絶縁膜5上に、絶縁膜5の表面5aから有機EL表示装置1の厚み方向Yに突出する複数のリブ14が設けるとともに、複数の有機EL素子4の各々を、これらのリブ14の間に形成する構成としている。従って、蒸着法により、成膜用のマスク16を用いて、第1電極6上に有機層7を形成する際に、リブ14の表面14aにマスクを密着させることができるため、マスクと第1電極6、およびマスクと第1電極6の表面上に設けられた有機層7との接触を防止することができる。従って、マスク16による損傷を防止できるため、結果として、有機EL表示装置1の歩留まりの低下を防止することができる。
【0087】
(2)また、複数の有機EL素子4の各々が、リブ14の間に形成されているため各画素領域2R,2G,2Bを形成する際に、隣接する画素領域に異なる色の発光材料が混入することを防止することが可能になる。従って、表示画素間における混色の発生を防止することができ、結果として、画質の低下を防止することが可能になる。
【0088】
(3)更に、画素領域にスペーサーを設ける必要がないため、均一な膜分布を有するとともに、効率的な発光に必要な膜厚を有する有機層7を形成すること可能になる。従って。不良画素の発生を防止することができるため、画質の低下を防止することが可能になる。また、画素領域にスペーサーを設ける必要がないため、開口率の低下を防止することができる。従って、輝度の低下を防止して、良好な画質を得ることが可能になる。
【0089】
(4)本実施形態においては、第1電極6の周縁部6aを覆うように絶縁膜5を形成している。従って、シャドウ現象に起因する第1電極6と第2電極8との短絡が回避でき、リーク電流の発生を防止することができる。その結果、素子の発光効率の低下を防止できる。
【0090】
(5)本実施形態においては、絶縁膜5とリブ14が、同一の絶縁性の樹脂材料により、一体的に形成される構成としている。従って、有機EL表示装置1の製造工程が簡素化できる。
【0091】
(6)本実施形態においては、リブ14の厚みT2を、1μm以上50μm以下に設定する構成としている。従って、リブ14を設けた場合であっても、有機EL表示装置1の薄型化に対応することが可能になるとともに、マスク16と第1電極6、およびマスク16と第1電極6の表面上に設けられた有機層7との接触を確実に防止することができる。
【0092】
(7)本実施形態においては、絶縁膜5の厚みT1を、0.2μm以上1.0μm以下に設定する構成としている。従って、隣接する各画素領域2R,2G,2B間における混色等の干渉を生じることなく、リーク電流の発生による素子の発光効率の低下を防止することができる。
【0093】
(8)本実施形態においては、リブ14の間に各有機EL素子4を形成すれば良く、有機EL素子4の周囲全体をリブ14により取り囲む必要がないため、基板洗浄時等において、確実に液切りを行うことができる。
【0094】
なお、上記実施形態は以下のように変更しても良い。
【0095】
・上記実施形態においては、断面略矩形状を有するリブ14を設ける構成としたが、リブ14の形状は特に限定されず、リブ14の表面14aにマスク16を密着させることができる形状であれば、どのような形状であっても良い。例えば、図11に示すように、断面略台形状を有するリブ14を設ける構成としても良い。このような構成により、リブ14の表面14aとマスクの密着性を向上させることができる。
【0096】
・上記実施形態においては、絶縁膜5とリブ14を、同一の材料により一体的に形成したが、絶縁膜5とリブ14を、異なる材料により別体的に形成する構成としても良い。また、上記実施形態においては、絶縁膜5とリブ14を同時に形成したが、別工程により、絶縁膜5とリブ14を形成する構成としても良い。例えば、まず、上述の感光性ポリイミド樹脂を使用して、露光、現像処理を行うことにより、絶縁膜5を形成する。次いで、絶縁膜5上に、感光性のアクリル樹脂を塗布するとともに、露光、現像処理を行うことにより、絶縁膜5の表面上に、リブ14を形成する構成としても良い。
【0097】
・第2電極8上に、封止膜(不図示)を設ける構成としても良い。この封止膜は、第2電極8を大気中の水分から保護する役割を有するものであり、第2電極8を覆うように封止膜を形成する。この封止膜は、例えば、ガラスやプラスチック等により形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
以上説明したように、本発明は、有機EL素子を有する有機ELパネル等を備えた有機EL表示装置およびその製造方法に適している。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の実施形態に係る有機EL表示装置の平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る有機EL表示装置が備える有機EL素子を構成する有機層を説明するための断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る有機EL表示装置が備える絶縁膜の配置を説明するための平面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る有機EL表示装置の製造方法を説明するために断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る有機EL表示装置の製造方法を説明するために断面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る有機EL表示装置の製造方法を説明するために断面図である。
【図8】本発明の実施形態に係る有機EL表示装置の製造方法を説明するために断面図である。
【図9】本発明の実施形態に係る有機EL表示装置の製造方法を説明するために断面図である。
【図10】本発明の実施形態に係る有機EL表示装置の製造方法を説明するために断面図である。
【図11】本発明の実施形態に係る有機EL表示装置の変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0100】
1 有機EL表示装置
3 絶縁性基板
4 有機EL素子
5 絶縁膜
5a 絶縁膜の表面
6 第1電極
6a 第1電極の周縁部
7 有機層
8 第2電極
11 発光層
14 リブ
14a リブの表面
16 マスク
T1絶縁膜の厚み
T2 リブの厚み
Y 有機EL表示装置の厚み方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子:以下、「有機EL素子」と記載する)を有する有機ELパネルなどを備えた有機EL表示装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代フラットパネル表示装置として有機EL表示装置が注目されている。この有機EL表示装置は、自己発光型の表示装置であり、視野角特性に優れ、視認性が高く、低消費電力であり、かつ薄型化が可能であるため、需要が高まってきている。
【0003】
この有機EL表示装置は、所定の配列で配列された複数の有機EL素子を有し、複数の有機EL素子の各々は、絶縁性基板上に形成された第1電極と、第1電極上に形成された発光層を有する有機層と、有機層上に形成された第2電極とを備えている。
【0004】
また、一般に、この有機EL表示装置に用いる有機EL薄膜を基板上に成膜する手法として、蒸着法が知られている。この蒸着法は、まず、基板の被蒸着面である表面を下側にして水平状態に載置し、この基板表面に金属製のマスクを密着させる。次いで、その下方に設けた蒸着源から蒸着材料(即ち、有機EL材料)を所定パターンが形成されたマスク開口部を通して基板表面に蒸着させることで、基板表面に所定パターンの有機EL薄膜を成膜させている。
【0005】
ここで、上記蒸着法においては、R(赤)・G(緑)・B(青)の各画素領域(または、発光領域)を形成する際に、基板表面にマスクを密着させた状態で、当該マスクを絶縁性基板上に形成された第1電極や有機EL素子の表面上を移動させる必要がある。また、基板との位置合わせを行うために、基板表面にマスクを密着させた状態で、当該マスクを微少な距離(数十μm程度)移動させる必要がある。従って、マスクの移動に伴い、基板上に形成された第1電極や有機EL素子が損傷してしまい、結果として、歩留まりが低下するという問題が生じていた。
【0006】
そこで、この様な成膜用のマスクによる損傷を防止するための有機EL素子が提案されている。より具体的には、画素領域を囲むように形成された絶縁膜を備えるとともに、画素領域内に、画素領域に有機層を形成する際に使用するマスクに対して、一定のスペースを確保するためのスペーサーを設けた有機EL素子が開示されている。そして、このような構成により、有機層を形成する際に、マスクと有機層との接触を回避できるため、マスクによる損傷を受けることなく、良好に発光体を形成することができると記載されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−59671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1に記載の有機EL素子においては、マスクによる損傷を回避することはできるものの、R(赤)・G(緑)・B(青)の各画素領域を形成する際に、基板とマスクのアライメント精度や、マスク自体の仕上がり寸法精度、基板とマスクとの密着性、及び基板表面にマスクを密着させる際のマスクの位置精度等の要因により、隣接する画素領域に異なる色の発光材料が混入して、表示画素間で発光色の混合(即ち、混色)が発生し、画質が著しく低下するという問題が生じていた。
【0008】
また、上述のごとく、画素領域にスペーサーを設ける必要があるため、有機層を形成する際に、画素領域におけるスペーサーの近傍において、当該スペーサーが障壁となり、均一な膜分布を有するとともに、効率的な発光に必要な膜厚を有する有機層を形成することが困難になっていた。その結果、不良画素が発生して、画質が著しく低下するという問題が生じていた。
【0009】
さらに、画素領域にスペーサーを設ける必要があるため、開口率が低下し、結果として、輝度が低下して良好な画質が得られないという問題が生じていた。
【0010】
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、成膜用のマスクによる損傷を防止できるとともに、画質の低下を防止することができる有機EL表示装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、絶縁性基板と、絶縁性基板上に形成された第1電極と、第1電極上に形成されるとともに、発光層を有する有機層と、有機層上に形成された第2電極とを有する複数の有機EL素子と、絶縁性基板上に形成されるとともに、複数の有機EL素子を区画する絶縁膜とを備える有機EL表示装置であって、絶縁膜上には、絶縁膜の表面から有機EL表示装置の厚み方向に突出する複数のリブが設けられるとともに、複数の有機EL素子の各々は、リブの間に形成されていることを特徴とする。
【0012】
同構成によれば、蒸着法により、成膜用のマスクを用いて、第1電極上に有機層を形成する際に、リブの表面にマスクを密着させることができるため、マスクと第1電極、およびマスクと第1電極の表面上に設けられた有機層との接触を防止することができる。従って、成膜用のマスクによる損傷を防止できるため、歩留まりの低下を防止することができる有機EL表示装置を提供することができる。
【0013】
また、前記複数の有機EL素子の各々が、リブの間に形成されているため、各画素領域を形成する際に、隣接する画素領域に異なる色の発光材料が混入することを防止することが可能になる。従って、混色の発生を防止することができ、結果として、画質の低下を防止することができる有機EL表示装置を提供することができる。
【0014】
更に、上述の従来技術とは異なり、画素領域にスペーサーを設ける必要がないため、均一な膜分布を有するとともに、効率的な発光に必要な膜厚を有する有機層を形成すること可能になる。従って、不良画素の発生を防止することができるため、画質の低下を防止することができる有機EL装置を提供することができる。また、画素領域にスペーサーを設ける必要がないため、開口率の低下を防止することができる。従って、輝度の低下を防止して、良好な画質を得ることができる有機EL表示装置を提供することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の有機EL表示装置であって、絶縁膜が、第1電極の周縁部を覆うように形成されていることを特徴とする。
【0016】
同構成によれば、シャドウ現象の発生を防止することができるため、第1電極と第2電極との短絡が回避でき、リーク電流の発生を防止することができる。その結果、素子の発光効率の低下を防止できる。
【0017】
なお、ここでいう「シャドウ現象」とは、蒸着法により、成膜用のマスクを用いて、第1電極上に有機層を形成する際に、マスク開口部内の第1電極の周縁部が、マスクの陰になり、有機層の周縁部の膜厚が中央部の膜厚より薄くなる現象を言う。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の有機EL表示装置であって、絶縁膜とリブが、同一の材料により、一体的に形成されていることを特徴とする。
【0019】
同構成によれば、製造工程が簡素化された有機EL表示装置を提供することができる。
【0020】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の有機EL表示装置であって、リブの厚みが、1μm以上50μm以下であることを特徴とする。
【0021】
同構成によれば、リブを設けた場合であっても、有機EL表示装置の薄型化に対応することが可能になるとともに、蒸着法により、成膜用のマスクを用いて、第1電極上に有機層を形成する際に、マスクと第1電極、およびマスクと第1電極の表面上に設けられた有機層との接触を確実に防止することができる有機EL表示装置を提供することができる。
【0022】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の有機EL表示装置であって、絶縁膜の厚みが、0.2μm以上1.0μm以下であることを特徴とする。
【0023】
同構成によれば、隣接する各画素領域間における混色等の干渉を生じることなく、リーク電流の発生による素子の発光効率の低下を防止することができる。
【0024】
請求項6に記載の発明は、絶縁性基板上に、第1電極、発光層を有する有機層、及び第2電極がこの順で形成された複数の有機EL素子を備える有機EL表示装置の製造方法であって、絶縁性基板上に、複数の第1電極を形成する工程と、絶縁性基板上に、複数の第1電極を区画する絶縁膜を形成する工程と、絶縁膜上に、絶縁膜の表面から有機EL表示装置の厚み方向に突出する複数のリブを形成するとともに、複数の第1電極の各々を前記リブの間に配置する工程と、リブの表面上にマスクを設けて、マスクをリブに密着させる工程と、マスクを用いて、第1電極上に有機層を形成するとともに、有機層上に第2電極を形成する工程とを少なくとも含むことを特徴とする。
【0025】
同構成によれば、成膜用のマスクを用いて、第1電極上に有機層を形成する際に、リブの表面にマスクを密着させるため、マスクと第1電極、およびマスクと第1電極の表面上に設けられた有機層との接触を防止することができる。従って、成膜用のマスクによる損傷を防止できるため、有機EL表示装置の歩留まりの低下を防止することができる。
【0026】
また、前記複数の有機EL素子の各々が、リブの間に形成されるため、各画素領域を形成する際に、隣接する画素領域に異なる色の発光材料が混入することを防止することが可能になる。従って、混色の発生を防止することができるため、画質の低下を防止することが可能になる。
【0027】
更に、上述の従来技術とは異なり、画素領域にスペーサーを設ける必要がないため、有機層を形成する際に、均一な膜分布を有するとともに、効率的な発光に必要な膜厚を有する有機層を形成すること可能になる。従って。不良画素の発生を防止することができるため、画質の低下を防止することが可能になる。また、画素領域にスペーサーを設ける必要がないため、開口率の低下を防止することができる。従って、輝度の低下を防止して、良好な画質を得ることが可能になる。
【0028】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の有機EL表示装置の製造方法であって、第1電極の周縁部を覆うように絶縁膜を形成することを特徴とする。
【0029】
同構成によれば、シャドウ現象の発生を防止することができるため、第1電極と第2電極との短絡が回避でき、リーク電流の発生を防止することができる。その結果、素子の発光効率の低下を防止できる。
【0030】
請求項8に記載の発明は、請求項6または請求項7に記載の有機EL表示装置の製造方法であって、絶縁膜とリブを同時に形成することを特徴とする。
【0031】
同構成によれば、有機EL表示装置の製造工程が簡素化できる。
【0032】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の有機EL表示装置の製造方法であって、絶縁膜とリブを、同一の材料により、一体的に形成することを特徴とする。
同構成によれば、有機EL表示装置の製造工程がより一層簡素化できる。
【0033】
請求項9に記載の発明は、請求項9に記載の有機EL表示装置の製造方法であって、材料が感光性材料であるとともに、互いに異なる露光パターンを有する複数の露光マスクで感光性材料を順次、露光する多重露光により、絶縁膜とリブを形成することを特徴とする。
【0034】
同構成によれば、絶縁膜とリブを精度良く形成することができる。
【0035】
請求項11に記載の発明は、請求項6〜請求項10のいずれか1項に記載の有機EL表示装置の製造方法であって、リブの厚みを、1μm以上50μm以下に形成することを特徴とする。
【0036】
同構成によれば、リブを設けた場合であっても、有機EL表示装置の薄型化に対応することが可能になるとともに、蒸着法により、成膜用のマスクを用いて、第1電極上に有機層を形成する際に、マスクと第1電極、およびマスクと第1電極の表面上に設けられた有機層との接触を確実に防止することができる。
【0037】
請求項12に記載の発明は、請求項6〜請求項11のいずれか1項に記載の有機EL表示装置の製造方法であって、絶縁膜の厚みを、0.2μm以上1.0μm以下に形成することを特徴とする。
【0038】
同構成によれば、隣接する各画素領域間における混色等の干渉を生じることなく、リーク電流の発生による素子の発光効率の低下を防止することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、成膜用のマスクによる損傷を防止して、有機EL表示装置の歩留まりの低下を防止することができる。また、混色の発生を防止して、画質の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0041】
図1は、本発明の実施形態に係る有機EL表示装置の平面図であり、図2は、図1のA−A断面図である。また、図3は、本発明の実施形態に係る有機EL表示装置が備える有機EL素子を構成する有機層を説明するための断面図であり、図4は、本発明の実施形態に係る有機EL表示装置が備える絶縁膜の配置を説明するための平面図である。
【0042】
図1に示すように、有機EL表示装置1には、赤色光を発する画素領域2Rと、緑色光を発する画素領域2Gと、青色光を発する画素領域2Bが、所定のパターンに従って配列されている。また、各画素領域2R,2G,2Bの間には、各画素領域2R,2G,2Bを区画する絶縁膜5が設けられている。
【0043】
また、図2に示す様に、有機EL表示装置1は、絶縁性基板3と、絶縁性基板3の表面上に所定の間隔で設けられた複数の有機EL素子4と、有機EL素子4の各々の間に設けられ、これら複数の有機EL素子4を区画する絶縁膜5とを備えている。
【0044】
絶縁性基板3は、例えば、ガラス、またはプラスチック等の絶縁性材料により形成されている。
【0045】
また、図2に示すように、有機EL素子4は、絶縁性基板3の表面上に設けられた第1電極6(陽極)と、第1電極6の表面上に設けられた有機層7と、有機層7の表面上に設けられた第2電極8(陰極)とを備えている。
【0046】
第1電極6は、絶縁性基板3の表面上に所定の間隔でマトリクス状に複数形成されており、複数の第1電極6の各々が、有機EL表示装置1の各画素領域2R,2G,2Bを構成している。なお、第1電極6は、例えば、Au、Ni、Pt、またはITO(インジウム−スズ酸化物)等により形成されている。
【0047】
有機層7は、マトリクス状に区画された各第1電極6の表面上に形成されている。この有機層7は、図3に示すように、正孔注入層9と、正孔注入層9の表面上に形成された正孔輸送層10と、正孔輸送層10の表面上に形成され、赤色光、緑色光、および青色光のいずれかを発する発光層11と、発光層11の表面上に形成された電子輸送層12と、電子輸送層12の表面上に形成された電子注入層13とを備えている。そして、これらの正孔注入層9、正孔輸送層10、発光層11、電子輸送層12、および電子注入層13が順次積層されることにより、有機層7が構成されている。
【0048】
正孔注入層9は、発光層11への正孔注入効率を高めるためのものである。この正孔注入層9を形成する材料としては、例えば、ベンジン、スチリルアミン、トリフェニルアミン、ポルフィリン、トリアゾール、イミダゾール、オキサジアゾール、ポリアリールアルカン、フェニレンジアミン、アリールアミン、オキザゾール、アントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、トリフェニレン、アザトリフェニレン、あるいはこれらの誘導体、または、ポリシラン系化合物、ビニルカルバゾール系化合物、チオフェン系化合物あるいはアニリン系化合物等の複素環式共役系のモノマー、オリゴマーあるいはポリマーを挙げることができる。
【0049】
正孔輸送層10は、上述の正孔注入層9と同様に、発光層11への正孔注入効率を高めるためのものであり、正孔輸送層10を形成する材料としては、上述の正孔注入層9と同様のものが使用できる。
【0050】
発光層11は、第1電極6、及び第2電極8による電圧印加の際に、両電極の各々から正孔および電子が注入されるとともに、正孔と電子が再結合する領域である。この発光層11は、発光効率が高い材料により形成され、例えば、低分子蛍光色素、蛍光性の高分子、金属錯体等の有機材料により形成されている。より具体的には、例えば、アントラセン、ナフタレン、インデン、フェナントレン、ピレン、トリフェニレン、ペリレン、ピセン、フルオランテン、アセフェナントリレン、ペンタフェン、ペンタセン、コロネン、ブタジエン、クマリン、アクリジン、スチルベン、あるいはこれらの誘導体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体、ビス(ベンゾキノリノラト)ベリリウム錯体、トリ(ジベンゾイルメチル)フェナントロリンユーロピウム錯体ジトルイルビニルビフェニルが挙げられる。
【0051】
電子輸送層12は、第2電極8から注入される電子を発光層11に輸送するためのものである。この電子輸送層12を形成する材料としては、例えば、キノリン、ペリレン、フェナントロリン、ビススチリル、ピラジン、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、フルオレノン、またはこれらの誘導体や金属錯体が挙げられる。より具体的には、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム、アントラセン、ナフタレン、フェナントレン、ピレン、アントラセン、ペリレン、ブタジエン、クマリン、アクリジン、スチルベン、1,10−フェナントロリンまたはこれらの誘導体や金属錯体が挙げられる。
【0052】
電子注入層13は、上述の電子輸送層12と同様に、第2電極8から注入される電子を発光層11に輸送するためのものであり、電子注入層13を形成する材料としては、上述の電子輸送層12と同様のものが使用できる。
【0053】
第2電極8は、有機層7に電子を注入する機能を有するものである。この第2電極8は、例えば、マグネシウム合金(MgAg等)、アルミニウム合金(AlLi、AlCa、AlMg等)、金属カルシウム、または仕事関数の小さい金属等により形成されている。
【0054】
絶縁膜5は、絶縁性基板3の表面上に設けられるとともに、隣接する複数の第1電極6の各々を区画するものである。この絶縁膜5を形成する材料としては、例えば、感光性ポリイミド樹脂、アクリル系樹脂、メタリル系樹脂、またはノボラック系樹脂等の絶縁性の樹脂材料が挙げられる。
【0055】
また、図2、図4に示すように、絶縁膜5は、第1電極6の周縁部6aを覆うように、絶縁性基板3上に形成されている。このような構成により、第1電極6と第2電極8との間の短絡を防止して、リーク電流の発生を回避することが可能になる。
【0056】
即ち、一般に、蒸着法により、成膜用のマスクを用いて、第1電極上に有機層を形成する際に、マスク開口部内の第1電極の周縁部が、マスクの陰になり、有機層の周縁部の膜厚が中央部の膜厚より薄くなる現象(いわゆる、シャドウ現象)が生じる。そして、シャドウ現象が生じると、膜厚が薄い箇所に電流が集中する、あるいはそこを介して第1電極と第2電極とが短絡し、結果として、リーク電流が生じることで素子の発光効率の低下が発生してしまう。
【0057】
一方、本実施形態においては、上述のごとく、第1電極6の周縁部6aを覆うように、絶縁膜5を形成しているため、シャドウ現象の発生を防止することができる。従って、第1電極6と第2電極8との短絡が回避でき、リーク電流の発生を防止することができる。
【0058】
なお、絶縁膜5の厚みT1は、特に限定されないが、0.2μm以上1.0μm以下が好ましい。これは、絶縁膜5の厚みT1が0.2μm未満の場合は、リーク電流の発生を防止することが困難になるという不都合が生じる場合があるからであり、1.0μmより大きい場合は、有機EL素子4において発生した光が絶縁層5の内部を伝搬して、隣接する各画素領域2R,2G,2B間における発光色の混合等の干渉が生じる場合があるからである。
【0059】
ここで、本実施形態においては、蒸着法により、成膜用のマスク16(後述する図8〜図11を参照)を用いて、第1電極6上に有機層7を形成する際に、マスク16と第1電極6間、およびマスク16と有機層7間のスペーサーとしての役割を有するリブ14が設けられている点に特徴がある。より具体的には、図1、図2に示すように、有機EL表示装置1において、絶縁膜5上に、絶縁膜5の表面5aから有機EL表示装置1の厚み方向(即ち、有機EL装置1の面方向Xに直交する方向であって、図2の矢印Yの方向)に突出する複数のリブ14が設けられている。そして、複数の有機EL素子4の各々は、これらのリブ14の間に形成されている。
【0060】
このような構成により、後述のごとく、蒸着法により、成膜用のマスク16を用いて、第1電極6上に有機層7を形成する際に、リブ14の表面14aにマスク16を密着させることができるため、マスク16と第1電極6、およびマスクと第1電極6の表面上に設けられた有機層7との接触を防止することができる。
【0061】
また、各画素領域2R,2G,2Bに形成される複数の有機EL素子4の各々が、リブ14の間に形成されているため、各画素領域2R,2G,2Bを形成する際に、隣接する画素領域に異なる色の発光材料が混入することを防止することが可能になる。
【0062】
また、上述の従来技術とは異なり、画素領域にスペーサーを設ける必要がないため、有機層7を形成する際に、均一な膜分布を有するとともに、効率的な発光に必要な膜厚を有する有機層7を形成すること可能になるとともに、開口率の低下を防止することができる。
【0063】
このリブ14を形成する材料としては、上述の絶縁膜5と同様のものが使用でき、例えば、感光性ポリイミド樹脂、アクリル系樹脂、メタリル系樹脂、またはノボラック系樹脂等の絶縁性の樹脂材料が挙げられる。また、絶縁膜5とリブ14を同一の絶縁性の樹脂材料により形成する場合、絶縁膜5とリブ14を一体的に形成することができる。なお、本実施形態においては、図2に示すように、断面略矩形状を有するリブ14が設けられている。
【0064】
また、リブ5の厚みT2は、特に限定されないが、1μm以上50μm以下が好ましい。これは、リブ5の厚みT2が1μm未満の場合は、マスク16を用いて、第1電極6上に有機層7を形成する際に、リブ14の表面14aに密着させたマスク16が、第1電極6、及び有機層7に接近するという不都合が生じる場合があるからであり、50μmより大きい場合は、マスク16と第1電極6、およびマスク16と第1電極6の表面上に設けられた有機層7との接触を確実に防止することができるものの、有機EL表示装置1の厚みが大きくなってしまい、装置の薄型化が困難になるという不都合が生じる場合があるからである。
【0065】
次に、本実施形態の有機EL表示装置の製造方法の一例について説明する。図5〜図10は、本発明の実施形態に係る有機EL表示装置の製造方法を説明するために断面図である。
【0066】
まず、図5に示すように、基板サイズが300×400mmで、厚さが0.7mmのガラス基板等の絶縁性基板3上に、スパッタ法によりITO膜をパターン形成して、複数の第1電極6を形成する。このとき、第1電極6の膜厚は、例えば、150nm程度に形成する。
【0067】
次に、図6に示すように、ポジ型の感光性ポリイミド樹脂を、絶縁性基板3上にスピンコート法により塗布する。その後、フォトリソグラフィー法により第1電極6の一部を露出させるとともに、所定の条件下(例えば、100℃の温度で3分間)において、焼成を行うことにより、各画素領域2R,2G,2B間に構造体15をパターン形成する。なお、構造体15の膜厚は、例えば、5μmに形成する。また、構造体13をフォトリソグラフィー法により形成したが、例えば、転写法や印刷法等で形成しても良い。
【0068】
次いで、構造体13に対して、連続して露光する多重露光を行うことにより、絶縁膜5とリブ14を同一の絶縁性の樹脂材料(即ち、感光性ポリイミド樹脂)により、一体的に形成する。より具体的には、まず、互いに異なる露光パターンを有する2つの露光マスクを用意し、絶縁膜5に対応する領域にのみ遮光部分が設けられた露光パターンを有する露光マスクを使用して、所定の露光量(例えば、300mJ/cm2)により、絶縁膜5を形成するための1回目の露光を行う。次いで、リブ14に対応する領域にのみ遮光部分が設けられた露光パターンを有する露光マスクを使用して、所定の露光量(例えば、150mJ/cm2)により、リブ14を形成するための2回目の露光を行う。即ち、互いに異なる露光パターンを有する2つの露光マスクで感光性ポリイミド樹脂を順次、露光する多重露光により、感光性ポリイミド樹脂に対する累積露光量を領域毎に相違させる。
【0069】
次いで、感光性ポリイミド樹脂に対して、現像液(例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム液)を用いて、現像処理を行う。そうすると、感光性ポリイミド樹脂は、露光量に応じて除去され、図7に示すように、感光性ポリイミド樹脂により、絶縁膜5と複数のリブ14が一体的に形成される。
【0070】
このように、本実施形態においては、絶縁膜5とリブ14を同時に形成されるため、有機EL表示装置1の製造工程が簡素化できる。また、上述のごとく、多重露光により、絶縁膜5とリブ14を形成するため、絶縁膜5とリブ14を精度良く形成することができる。
【0071】
なお、絶縁膜5は、複数の第1電極6を区画するように形成されるとともに、第1電極6の周縁部6aを覆うように形成される。そして、複数の第1電極6の各々は、リブ14の間に配置される。また、リブ14は、絶縁膜5上に、絶縁膜5の表面5aから有機EL表示装置の厚み方向Yに突出するように形成される。絶縁膜5の厚みT1は、例えば、0.5μmに形成され、リブ14の厚みT2は、例えば、4.5μmに形成される。
【0072】
次に、第1電極6上に、発光層11を含む有機層7、及び第2電極8を金属製のマスク16を使用して、蒸着法により形成する。
【0073】
より具体的には、まず、絶縁膜5、第1電極6、およびリブ14を備えた絶縁性基板3を蒸着装置のチャンバー内に設置する。なお、蒸着装置のチャンバー内は、真空ポンプにより、1×10−5〜1×10−4(Pa)の真空度に保たれている。また、絶縁膜5、第1電極6、およびリブ14を備えた絶縁性基板3は、チャンバー内に取り付けられた1対の基板受けによって2辺を固定した状態で設置する。
【0074】
次いで、図8に示すように、金属製のマスク16をリブ14の表面14a上に設けて、マスク16をリブ14の表面14aに密着させる。この際、マスク16は、その開口部16aが赤色光を発する画素領域2Rに対応するように位置合わせを行い、設置する。また、マスク16としては、例えば、厚さが40μm程度のインバーマスクを厚さが8mm程度のインバーフレームにレーザ溶接したものが使用できる。
【0075】
絶縁性基板3とマスク16との位置合わせは、絶縁性基板3、及びマスク16のそれぞれに二箇所ずつ設けたアライメントマークを蒸着装置に組み込んだCCDカメラで認識することで行う。アライメントマークの認識は、まず、リブ14、及びマスク16を接触させない状態で各アライメントマーク間の位置誤差が±2μm以内におさまるまで繰り返して行う。続いて、リブ14、及びマスク16を完全に密着させた状態で、各アライメントマーク間の位置誤差が±5μm以内におさまった段階でアライメントマークの認識完了とする。リブ14、及びマスク16を完全に密着させた状態で各アライメントマーク間の位置誤差が±5μm以内におさまらない場合は、再度、リブ14とマスク16とを接触させない状態からやり直す。
【0076】
次いで、リブ14に密着させたマスク16の四隅を、チャンバー内のマスク受けで固定する。
【0077】
そして、蒸着源から、正孔注入層9、正孔輸送層10、発光層11、電子輸送層12、および電子注入層13の各蒸着材料を順次蒸発させて、正孔注入層9、正孔輸送層10、発光層11、電子輸送層12、および電子注入層13を積層することにより、図8に示すように、画素領域2Rに有機層7を形成する。この際、図8に示すように、リブ14の表面14aに密着させたマスク16と、第1電極6及び有機層7との間には、十分な距離が確保されており、マスク16と、第1電極6及び有機層7との接触は生じない。また、リブ14により、隣接する画素領域2Gに赤色の発光材料が混入することを防止できる。
【0078】
次いで、図9に示すように、リブ14の表面14aに密着させたマスク16の開口部16aが、緑色光を発する画素領域2Gに対応するように位置合わせを行う。この場合も、図9に示すように、リブ14の表面14aに密着させたマスク16と、第1電極6及び有機層7との間には、十分な距離が確保されており、マスク16と、第1電極6及び有機層7との接触は生じない。そして、蒸着源から、正孔注入層9、正孔輸送層10、発光層11、電子輸送層12、および電子注入層13の各蒸着材料を順次蒸発させて、正孔注入層9、正孔輸送層10、発光層11、電子輸送層12、および電子注入層13を積層することにより、図9に示すように、画素領域2Gに有機層7を形成する。この際、リブ14により、隣接する画素領域2R,2Bへの緑色の発光材料の混入が防止される。
【0079】
次いで、図10に示すように、リブ14の表面14aに密着させたマスク16の開口部16aが、青色光を発する画素領域2Bに対応するように位置合わせを行う。この場合も、図10に示すように、リブ14の表面14aに密着させたマスク16と、第1電極6及び有機層7との間には、十分な距離が確保されており、マスク16と、第1電極6及び有機層7との接触は生じない。そして、蒸着源から、正孔注入層9、正孔輸送層10、発光層11、電子輸送層12、および電子注入層13の各蒸着材料を順次蒸発させて、正孔注入層9、正孔輸送層10、発光層11、電子輸送層12、および電子注入層13を積層することにより、図10に示すように、画素領域2Bに有機層7を形成する。この際、リブ14により、隣接する画素領域2Gへの青色の発光材料の混入が防止される。
【0080】
そして、マスク16を用いて、有機層7上に、第2電極8を形成することにより、複数の有機EL素子7がリブ14の間に形成され、図2に示す有機EL表示装置1が製造されることになる。
【0081】
このように本実施形態においては、複数の有機EL素子7の各々が、リブ14の間に形成されるため、リブ14により、隣接する画素領域に異なる色の発光材料が混入することを防止できる。
【0082】
なお、蒸発源としては、例えば、各蒸発材料が仕込まれた坩堝を使用することができる。坩堝は、チャンバー内の下部に設置されるとともに、坩堝にはヒーターが備え付けられており、このヒーターにより、坩堝は加熱される。そして、ヒーターによる加熱により、坩堝の内部温度が各種蒸着材料の蒸発温度に到達することで、坩堝内に仕込まれた各種蒸着材料が蒸発分子となってチャンバー内の上方向へ飛び出す。
【0083】
また、蒸発分子の蒸発レート(単位時間あたりに蒸着される膜厚)は、チャンバー内に設置された水晶振動子でモニタリングし、蒸発レートが安定するまでは、チャンバー内に設置された開閉可能なシャッターによって絶縁性基板3上に蒸着されないようにしている。そして、各種蒸着材料の蒸発レートが所望の値で安定したところでシャッターをオープンし、坩堝から飛び出した各種蒸発分子をマスク16の開口部16aを介して絶縁性基板3の表面に付着させ、有機層7、及び第2電極8を形成する。
【0084】
また、有機層7、及び第2電極8の形成の具体例としては、まず、絶縁性基板3上にパターニングされた第1電極6上に、RGB全ての画素に共通して、m−MTDATA(4,4,4-tris(3-methylphenylphenylamino)triphenylamine)からなる正孔注入層9を、マスク16を介して、例えば、25nmの膜厚で形成する。続いて、正孔注入層9上に、RGB全ての画素に共通して、α−NPD(4,4-bis(N-1-naphthyl-N-phenylamino)biphenyl)からなる正孔輸送層10を、マスク16を介して、例えば、30nmの膜厚で形成する。次に、赤色の発光層11として、ジ(2-ナフチル)アントラセン(ADN)に2,6-ビス((4’-メトキシジフェニルアミノ)スチリル)-1,5-ジシアノナフタレン(BSN)を30重量%混合したものを、マスク16を介して、画素領域2Rに形成された正孔輸送層10上に、例えば、30nmの膜厚で形成する。次いで、緑色の発光層11として、ADNにクマリン6を5重量%混合したものを、マスク16を介して、画素領域2Gに形成された正孔輸送層10上に、例えば、30nmの膜厚で形成する。次に、青色の発光層11として、ANDに4,4’-ビス(2-{4-(N,N-ジフェニルアミノ)フェニル}ビニル)ビフェニル(DPAVBi)を2.5重量%混合したものを、マスク16を介して、例えば、30nmの膜厚で形成する。次いで、各発光層11上に、RGB全ての画素に共通して、8-ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)を電子輸送層12として、マスク16を介して、例えば、20nmの膜厚で形成する。次いで、電子輸送層12上に、フッ化リチウム(LiF)を電子注入層13として、マスク16を介して、例えば、0.3nmの膜厚で形成する。そして、第2電極8として、マグネシウム銀(MgAg)からなる陰極を、例えば、10nmの膜厚で形成する。
【0085】
以上に説明した本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0086】
(1)本実施形態においては、絶縁膜5上に、絶縁膜5の表面5aから有機EL表示装置1の厚み方向Yに突出する複数のリブ14が設けるとともに、複数の有機EL素子4の各々を、これらのリブ14の間に形成する構成としている。従って、蒸着法により、成膜用のマスク16を用いて、第1電極6上に有機層7を形成する際に、リブ14の表面14aにマスクを密着させることができるため、マスクと第1電極6、およびマスクと第1電極6の表面上に設けられた有機層7との接触を防止することができる。従って、マスク16による損傷を防止できるため、結果として、有機EL表示装置1の歩留まりの低下を防止することができる。
【0087】
(2)また、複数の有機EL素子4の各々が、リブ14の間に形成されているため各画素領域2R,2G,2Bを形成する際に、隣接する画素領域に異なる色の発光材料が混入することを防止することが可能になる。従って、表示画素間における混色の発生を防止することができ、結果として、画質の低下を防止することが可能になる。
【0088】
(3)更に、画素領域にスペーサーを設ける必要がないため、均一な膜分布を有するとともに、効率的な発光に必要な膜厚を有する有機層7を形成すること可能になる。従って。不良画素の発生を防止することができるため、画質の低下を防止することが可能になる。また、画素領域にスペーサーを設ける必要がないため、開口率の低下を防止することができる。従って、輝度の低下を防止して、良好な画質を得ることが可能になる。
【0089】
(4)本実施形態においては、第1電極6の周縁部6aを覆うように絶縁膜5を形成している。従って、シャドウ現象に起因する第1電極6と第2電極8との短絡が回避でき、リーク電流の発生を防止することができる。その結果、素子の発光効率の低下を防止できる。
【0090】
(5)本実施形態においては、絶縁膜5とリブ14が、同一の絶縁性の樹脂材料により、一体的に形成される構成としている。従って、有機EL表示装置1の製造工程が簡素化できる。
【0091】
(6)本実施形態においては、リブ14の厚みT2を、1μm以上50μm以下に設定する構成としている。従って、リブ14を設けた場合であっても、有機EL表示装置1の薄型化に対応することが可能になるとともに、マスク16と第1電極6、およびマスク16と第1電極6の表面上に設けられた有機層7との接触を確実に防止することができる。
【0092】
(7)本実施形態においては、絶縁膜5の厚みT1を、0.2μm以上1.0μm以下に設定する構成としている。従って、隣接する各画素領域2R,2G,2B間における混色等の干渉を生じることなく、リーク電流の発生による素子の発光効率の低下を防止することができる。
【0093】
(8)本実施形態においては、リブ14の間に各有機EL素子4を形成すれば良く、有機EL素子4の周囲全体をリブ14により取り囲む必要がないため、基板洗浄時等において、確実に液切りを行うことができる。
【0094】
なお、上記実施形態は以下のように変更しても良い。
【0095】
・上記実施形態においては、断面略矩形状を有するリブ14を設ける構成としたが、リブ14の形状は特に限定されず、リブ14の表面14aにマスク16を密着させることができる形状であれば、どのような形状であっても良い。例えば、図11に示すように、断面略台形状を有するリブ14を設ける構成としても良い。このような構成により、リブ14の表面14aとマスクの密着性を向上させることができる。
【0096】
・上記実施形態においては、絶縁膜5とリブ14を、同一の材料により一体的に形成したが、絶縁膜5とリブ14を、異なる材料により別体的に形成する構成としても良い。また、上記実施形態においては、絶縁膜5とリブ14を同時に形成したが、別工程により、絶縁膜5とリブ14を形成する構成としても良い。例えば、まず、上述の感光性ポリイミド樹脂を使用して、露光、現像処理を行うことにより、絶縁膜5を形成する。次いで、絶縁膜5上に、感光性のアクリル樹脂を塗布するとともに、露光、現像処理を行うことにより、絶縁膜5の表面上に、リブ14を形成する構成としても良い。
【0097】
・第2電極8上に、封止膜(不図示)を設ける構成としても良い。この封止膜は、第2電極8を大気中の水分から保護する役割を有するものであり、第2電極8を覆うように封止膜を形成する。この封止膜は、例えば、ガラスやプラスチック等により形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
以上説明したように、本発明は、有機EL素子を有する有機ELパネル等を備えた有機EL表示装置およびその製造方法に適している。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の実施形態に係る有機EL表示装置の平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る有機EL表示装置が備える有機EL素子を構成する有機層を説明するための断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る有機EL表示装置が備える絶縁膜の配置を説明するための平面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る有機EL表示装置の製造方法を説明するために断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る有機EL表示装置の製造方法を説明するために断面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る有機EL表示装置の製造方法を説明するために断面図である。
【図8】本発明の実施形態に係る有機EL表示装置の製造方法を説明するために断面図である。
【図9】本発明の実施形態に係る有機EL表示装置の製造方法を説明するために断面図である。
【図10】本発明の実施形態に係る有機EL表示装置の製造方法を説明するために断面図である。
【図11】本発明の実施形態に係る有機EL表示装置の変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0100】
1 有機EL表示装置
3 絶縁性基板
4 有機EL素子
5 絶縁膜
5a 絶縁膜の表面
6 第1電極
6a 第1電極の周縁部
7 有機層
8 第2電極
11 発光層
14 リブ
14a リブの表面
16 マスク
T1絶縁膜の厚み
T2 リブの厚み
Y 有機EL表示装置の厚み方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性基板と、
前記絶縁性基板上に形成された第1電極と、該第1電極上に形成されるとともに、発光層を有する有機層と、該有機層上に形成された第2電極とを有する複数の有機EL素子と、
前記絶縁性基板上に形成されるとともに、前記複数の有機EL素子を区画する絶縁膜と
を備える有機EL表示装置であって、
前記絶縁膜上には、前記絶縁膜の表面から前記有機EL表示装置の厚み方向に突出する複数のリブが設けられるとともに、前記複数の有機EL素子の各々は、前記リブの間に形成されていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項2】
前記絶縁膜が、前記第1電極の周縁部を覆うように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項3】
前記絶縁膜と前記リブが、同一の材料により、一体的に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機EL表示装置。
【請求項4】
前記リブの厚みが、1μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の有機EL表示装置。
【請求項5】
前記絶縁膜の厚みが、0.2μm以上1.0μm以下であることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の有機EL表示装置。
【請求項6】
絶縁性基板上に、第1電極、発光層を有する有機層、及び第2電極がこの順で形成された複数の有機EL素子を備える有機EL表示装置の製造方法であって、
前記絶縁性基板上に、複数の前記第1電極を形成する工程と、
前記絶縁性基板上に、前記複数の第1電極を区画する絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜上に、該絶縁膜の表面から前記有機EL表示装置の厚み方向に突出する複数のリブを形成するとともに、前記複数の第1電極の各々を前記リブの間に配置する工程と、
前記リブの表面上にマスクを設けて、該マスクを前記リブに密着させる工程と、
前記マスクを用いて、前記第1電極上に前記有機層を形成するとともに、該有機層上に前記第2電極を形成する工程と
を少なくとも含むことを特徴とする有機EL表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1電極の周縁部を覆うように前記絶縁膜を形成することを特徴とする請求項6に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記絶縁膜と前記リブを同時に形成することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記絶縁膜と前記リブを、同一の材料により、一体的に形成することを特徴とする請求項8に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記材料が感光性材料であるとともに、互いに異なる露光パターンを有する複数の露光マスクで前記感光性材料を順次、露光する多重露光により、前記絶縁膜と前記リブを形成することを特徴とする請求項9に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記リブの厚みを、1μm以上50μm以下に形成することを特徴とする請求項6〜請求項10のいずれか1項に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記絶縁膜の厚みを、0.2μm以上1.0μm以下に形成することを特徴とする請求項6〜請求項11のいずれか1項に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項1】
絶縁性基板と、
前記絶縁性基板上に形成された第1電極と、該第1電極上に形成されるとともに、発光層を有する有機層と、該有機層上に形成された第2電極とを有する複数の有機EL素子と、
前記絶縁性基板上に形成されるとともに、前記複数の有機EL素子を区画する絶縁膜と
を備える有機EL表示装置であって、
前記絶縁膜上には、前記絶縁膜の表面から前記有機EL表示装置の厚み方向に突出する複数のリブが設けられるとともに、前記複数の有機EL素子の各々は、前記リブの間に形成されていることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項2】
前記絶縁膜が、前記第1電極の周縁部を覆うように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項3】
前記絶縁膜と前記リブが、同一の材料により、一体的に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機EL表示装置。
【請求項4】
前記リブの厚みが、1μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の有機EL表示装置。
【請求項5】
前記絶縁膜の厚みが、0.2μm以上1.0μm以下であることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の有機EL表示装置。
【請求項6】
絶縁性基板上に、第1電極、発光層を有する有機層、及び第2電極がこの順で形成された複数の有機EL素子を備える有機EL表示装置の製造方法であって、
前記絶縁性基板上に、複数の前記第1電極を形成する工程と、
前記絶縁性基板上に、前記複数の第1電極を区画する絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜上に、該絶縁膜の表面から前記有機EL表示装置の厚み方向に突出する複数のリブを形成するとともに、前記複数の第1電極の各々を前記リブの間に配置する工程と、
前記リブの表面上にマスクを設けて、該マスクを前記リブに密着させる工程と、
前記マスクを用いて、前記第1電極上に前記有機層を形成するとともに、該有機層上に前記第2電極を形成する工程と
を少なくとも含むことを特徴とする有機EL表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1電極の周縁部を覆うように前記絶縁膜を形成することを特徴とする請求項6に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記絶縁膜と前記リブを同時に形成することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記絶縁膜と前記リブを、同一の材料により、一体的に形成することを特徴とする請求項8に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記材料が感光性材料であるとともに、互いに異なる露光パターンを有する複数の露光マスクで前記感光性材料を順次、露光する多重露光により、前記絶縁膜と前記リブを形成することを特徴とする請求項9に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記リブの厚みを、1μm以上50μm以下に形成することを特徴とする請求項6〜請求項10のいずれか1項に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記絶縁膜の厚みを、0.2μm以上1.0μm以下に形成することを特徴とする請求項6〜請求項11のいずれか1項に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−118191(P2010−118191A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289150(P2008−289150)
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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