説明

有段リフタ装置

【課題】昇降体が昇降端に達し入力部材を操作したとき後期ストロークが可能であり、構成部品に有害な負荷をかけない有段リフタ装置を得る。
【解決手段】昇降リンク10Xとリンクピニオン15を有し昇降リンク10Xと連動し揺動する有歯リンク10T、有歯リンク10Tを揺動させる昇降機構;中立位置と上昇位置と下降位置の間で往復操作可能に支持された入力部材20;入力部材20に支持されリンクピニオン15を回転させる運動伝達ラチェット23と係脱するラッチ27、28;入力部材20が操作されるとラッチ27、28と運動伝達ラチェット23の噛合により有歯リンク10Tを回動させるラッチ制御機構;ラッチ制御機構は有歯リンク10Tが上方または下方昇降端に達した状態でさらに入力部材20が上昇位置方向または下降位置方向に操作されたとき、ラッチ27、28を運動伝達ラチェット23に対して相対回転させる空振り機構を有する有段リフタ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力部材の往復揺動運動で昇降体(例えばシート座面)を有段で下降させることができる有段下降装置に関し、さらに同昇降体を上昇方向にも有段で上昇させることができる有段リフタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両のシート座面を昇降させる装置は、同座面を無段階で昇降させる無段階リフタ装置と、有段で昇降させる有段リフタ装置に大別される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-195969号公報
【特許文献2】特開2000-190762号公報
【特許文献3】米国特許第5466047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このうち、無段階リフタ装置は、体重の影響を受けず操作性に優れるという利点があるが、機構が複雑でコストが高い。一方、従来の有段リフタ装置は、構成が比較的単純であるが、操作性(使用感)に問題があり、殆ど実用化されていないのが実情である。
【0005】
本出願人は、このような技術背景に基づき、特に有段で昇降体を昇降(特に下降)させることができる、構造が簡易で操作性に優れた安価なリフタ装置(有段下降装置)を開発している。この有段リフタ装置は、入力部材の往復運動で昇降動作を行わせるものであり、入力部材の中立位置からの前期ストロークでは昇降の仕事をさせず、後期ストロークにおいて昇降の仕事をさせている。ところが、昇降体が上下いずれかの昇降端に達した状態において入力部材が操作されると、後期ストローク動作をさせることができず、構成部品に有害な負荷がかかってしまう。また、操作者にとっては、後期ストロークができないことから昇降端に達していることを感じ取ることができる反面、昇降端に達する前とは操作感が全く異なって違和感を生じる。
【0006】
本発明は、このような問題意識に基づき、昇降体が昇降端に達した状態で入力部材を操作したとき、後期ストロークが可能であって、かつ構成部品に有害な負荷をかけることがない有段リフタ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による有段リフタ装置は、基部への枢着部と昇降体への枢着部を有する昇降リンク;上記基部と昇降体のいずれか一方に枢着されていて、該枢着軸を中心とする円弧上に位置するリンクピニオンを有し、上記昇降リンクと連動して揺動する有歯リンク;上記リンクピニオンを介して上記有歯リンクを揺動させ、上記昇降体を昇降させる昇降機構;上記昇降体と基部のうち、上記リンクピニオンの円弧中心となる枢着軸を有する側の部材に、中立位置と、上昇位置と下降位置の少なくとも一方との間で往復揺動操作可能に支持された入力部材;上記入力部材に支持された、上記リンクピニオンを連動回転させる運動伝達ラチェットと係脱するラッチ;上記入力部材が中立位置から上昇位置方向または下降位置方向に揺動操作されるたびに、該ラッチと運動伝達ラチェットの噛合により上記有歯リンクを上昇方向または下降方向に回動させるラッチ制御機構;上記ラッチ制御機構は、上記有歯リンクが上方昇降端または下方昇降端に達した状態でさらに入力部材が中立位置から上昇位置方向または下降位置方向に操作されたとき、上記ラッチを運動伝達ラチェットに対して相対回転させる空振り機構;を有することを特徴としている。
【0008】
本発明の有段リフタ装置は、入力部材の揺動操作により、昇降体に上昇と下降のいずれか一方の有段昇降動作を与え、上昇と下降の他方の動作は無段階とする装置とすることができる。
【0009】
好ましい実施形態では、入力部材には、上昇ラッチと下降ラッチが対で備えられており、上記ラッチ制御機構は、上記入力部材が中立位置から上昇位置方向に揺動操作されるとき下降ラッチと運動伝達ラチェットとの噛合を外して上昇ラッチと運動伝達ラチェットの噛合により有歯リンクを上昇方向に回動させ、同入力部材が中立位置から下降位置方向に揺動操作されるとき上昇ラッチと運動伝達ラチェットとの噛合を外して下降ラッチと運動伝達ラチェットの噛合により同有歯リンクを下降方向に回動させる。
【0010】
空振り機構は、具体的には、運動伝達ラチェットに形成した無歯領域によって構成するのが実際的である。
【0011】
本発明の有段リフタ装置は、上記有歯リンクは、上記リンクピニオンと同軸のリンクラチェットを有し、さらに、上記入力部材の中立位置では上記リンクラチェットと噛み合って上記昇降リンクの下降揺動を阻止し、該入力部材が下降方向に揺動操作されるときに上記昇降リンクの下降揺動を許容する第1下降防止ラッチ機構;及び上記第1下降防止ラッチ機構により下降揺動を許容された昇降リンクの下降揺動を、上記リンクラチェット一歯分許すとともに、それ以上の昇降リンクの下降揺動を防止するために同リンクラチェットと噛み合う第2下降防止ラッチ機構;を備えることが好ましい。
【0012】
また、さらに、上記入力部材が中立位置から下降方向に揺動操作されるとき、上記有歯リンクの回動に抵抗を与えて、昇降体の下降運動に抵抗を与える摩擦機構;を備えることが好ましい。
【0013】
この摩擦機構は、例えば、上記有歯リンクの回動と連動回転する、周面に一定ピッチの摩擦歯を有する摩擦ギヤと、この摩擦ギヤの摩擦歯に噛み合う摩擦ラッチとを含む。
【0014】
昇降リンクと有歯リンクは同一部材とすることも別部材とすることもできる。別部材とする態様では、昇降体に同一の軸で枢着する態様、昇降体に前後に離れた軸で枢着し、連結リンクを介して連動させる態様が可能である。昇降リンクと有歯リンクを同一部材にできるので、部品点数が減り、組立が容易になる。
【0015】
摩擦ギヤと摩擦ラッチは、上記入力部材が中立位置から下降方向に揺動操作され上記第1下降防止ラッチ機構が上記有歯リンクの下降揺動を許容しているときに、上記有歯リンクの下降回動に抵抗を与えて昇降体の下降運動を規制し、上記入力部材がさらに下降方向に揺動操作されると上記有歯リンクの下降回動に抵抗を与えた状態で上記昇降体の下降運動を許容するようにバランスさせることが好ましい。この構成によれば、第1下降防止ラッチ機構による下降防止ラッチが解除されても昇降体が急激に下降することがなく、しかも入力部材が下降方向に揺動操作されると有歯リンクの下降回動に抵抗を与えた状態で昇降体の下降運動を許容するので、入力部材の操作により昇降体を緩やかに下降させることが可能となり、乗客の操作に追従した下降となって使用感がよい。
【0016】
この摩擦機構の摩擦ギヤの摩擦歯は、昇降体が下降するときに摩擦ラッチが摺接する下降時摺接面と、同昇降体が上昇するときに摩擦ラッチが摺接する上昇時摺接面とを有している。下降時摺接面の長さは上昇時摺接面の長さより長く設定することが好ましい。この構成によれば、昇降体の自由落下期間を極力少なくでき、衝撃力も緩和できる。
【0017】
さらに摩擦ギヤと摩擦ラッチは、入力部材が中立位置にあるときに、互いに噛み合って昇降体の上昇を防止し、入力部材が中立位置から上昇方向に揺動操作されるとき、上記摩擦ギヤと摩擦ラッチの噛合を外す解除機構をさらに備えることが実際的である。この構成によれば、入力部材が中立位置にあるときには摩擦ギヤと摩擦ラッチが昇降体の上昇防止ラッチ機構として機能し、入力部材が中立位置から上昇方向に揺動操作されるとき解除機構により摩擦ギヤと摩擦ラッチの噛合が外されるので、それ以後は昇降体の上昇運動に抵抗を与えることがない。
【0018】
上記摩擦機構は、別の態様では、上記有歯リンクの回動に伴って回転するウォームホイルと、このウォームホイルに噛み合うウォームギヤとを有し、該ウォームホイルの回転によってウォームギヤが回転可能なウォームギヤ機構から構成することができる。この構成によれば、昇降体の自由落下期間がなく、スムーズな昇降動作が可能になる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の有段リフタ装置によれば、昇降体が昇降端に達した状態で入力部材を操作したとき、入力部材の揺動操作が可能で、かつ構成部品に有害な負荷をかけることがない有段リフタ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による有段リフタ装置の一実施形態を示す側面図である。
【図2】本発明による有段リフタ装置の有歯リンク回りの一実施形態を示す分解斜視図である。
【図3】同有段リフタ装置の組立状態における、図1のIII-III線に沿う断面図である。
【図4】同組立状態における図1のIV-IV線に沿う断面図である。
【図5】同組立状態における図1のV-V線に沿う断面図である。
【図6】同組立状態における図1のVI-VI線に沿う断面図である。
【図7】同有段リフタ装置の組立状態における要部を示す平面図である。
【図8】同有段リフタ装置をシートの外側から見た側面図である。
【図9】同有段リフタ装置をシートの内側前方から見た斜視図である。
【図10】同有段リフタ装置をシートの外側後方から見た斜視図である。
【図11】同有段リフタ装置の特定高さ位置のロック状態(初期位置)を示す側面図である。
【図12】同有段リフタ装置の上昇操作の第1段階を示す側面図である。
【図13】同上昇操作の第2段階を示す側面図である。
【図14】同上昇操作の第3段階を示す側面図である。
【図15】同上昇操作の第4段階を示す側面図である。
【図16】同上昇操作の第5段階を示す側面図である。
【図17】同上昇操作の第6段階(初期位置復帰第1段階)を示す側面図である。
【図18】同上昇操作の第7段階(初期位置復帰第2段階)を示す側面図である。
【図19】同有段リフタ装置の上方昇降端のロック状態(初期位置)を示す側面図である。
【図20】同有段リフタ装置の特定高さ位置のロック状態(初期位置)を示す側面図である。
【図21】同有段リフタ装置の下降操作の第1段階を示す側面図である。
【図22】同下降操作の第2段階を示す側面図である。
【図23】同下降操作の第3段階を示す側面図である。
【図24】同下降操作の第4段階を示す側面図である。
【図25】同下降操作の第5段階(初期位置復帰段階)を示す側面図である。
【図26】同有段リフタ装置の下方昇降端のロック状態(初期位置)を示す側面図である。
【図27】本発明による有段リフタ装置に使用する摩擦機構の他の実施形態を示す正面図である。
【図28】本発明による有段リフタ装置の他の実施形態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図示実施形態は、本発明を車両の有段リフタ装置に適用した実施形態を示している。図1及び図11ないし図26は、その一実施形態の側面図であり、シート(座面)が支持されるベースプレート(昇降体)13上に回動可能に支持された軸11には、該軸11の軸線方向の位置を異ならせて、昇降リンク10Xと有歯リンク10Tが一体に結合されており、昇降リンク10Xの下端部は、床面と一体の床面ブラケット(基部)14に軸12で枢着されている。従って、有歯リンク10Tが軸11を中心に揺動すると、昇降リンク10Xが軸11を中心に揺動し、ベースプレート13が基部14に対して昇降する。本実施形態は、有歯リンク10Tを正逆に揺動させることにより、ベースプレート13を昇降させる実施形態である。有歯リンク10Tと昇降リンク10Xを同一リンクとする態様も可能である。
【0022】
有歯リンク10T回りの全体構造を、図1ないし図10で説明する。
軸11でベースプレート13上に枢着された有歯リンク10Tには、軸11を中心とする円弧上に位置するリンクピニオン15と、このリンクピニオン15より小径のリンクラチェット16が一体に形成されている。また、有歯リンク10Tには、軸11を中心とする円弧ガイド10Pが穿設されており、この円弧ガイド10Pには、ベースプレート13と第1補助ブラケット17に両端を固定したガイドピン10Qが相対移動自在に嵌まっている。
【0023】
ベースプレート13(リンクピニオン15とリンクラチェット16の円弧(基礎円)中心となる軸11を有する部材)上には、該ベースプレート13の表裏に固定される第1、第2補助ブラケット17と18を介して、軸21が回動可能に支持されている。この軸21に、第1補助レバープレート201が相対回動自在に支持され、この第1補助レバープレート201に、コ字形ブラケット202を介して角軸ピン203が固定され、この角軸ピン203に、コントロールレバー(入力部材)20が一体回動自在に支持されている。軸21には、その両端部に第1、第2補助ブラケット17と18に回動自在に軸支される軸部と、両軸部間に、入力ピニオン(セクタギヤ)22、両方向運動伝達ラチェット23及び摩擦ギヤ30を嵌合支持して、軸21を介して一体回動させる角軸部21a、セレーション部21b、21cが形成されている。角軸部21aには、有歯リンク10Tのリンクピニオン15に噛み合う入力ピニオン22が同軸一体に(相対回転不能に)結合され、セレーション部21bには、両方向運動伝達ラチェット23が同軸一体に(相対回転不能に)結合され、セレーション部21cには摩擦ギヤ30が同軸一体に(相対回転不能に)結合されている。
【0024】
軸21には、角軸部21aとセレーション部21bの間に、ベースプレート13の軸穴に挿通される丸軸部及びベースプレート13に当接して軸方向位置決めするフランジ部21dが形成されている。軸21の両端部には、抜け止め用のナット、ワッシャが装着されている。
【0025】
第1、第2補助レバープレート201、204は、連結リンクピン205を介して、軸21を中心に回動自在に連結されている。コントロールレバー20は、角軸ピン203、コ字形ブラケット202を介して第1補助レバープレート201と一体に回動するように連結されているので、連結リンクピン205を介して第2補助レバープレート204と一体に回動する。コントロールレバー20と第1、第2補助レバープレート201、204は、一体に回動する入力部材を構成している。
【0026】
このコントロールレバー20は、中立位置復帰ばね20aによって常時は中立位置に保持されている。中立位置復帰ばね20aは、中心のコイル部が軸21に嵌合支持され、一対の脚部20a1、20a2が、第2補助ブラケット18に設けた中立突起18aと、第2補助レバープレート204に設けた中立突起204aに係止されていて、該コントロールレバー20を中立位置に保持している。すなわち、コントロールレバー20は、操作力を加えない状態では中立位置に保持されていて、上下に揺動操作可能であり、揺動操作した操作力を開放すると、中立位置復帰ばね20aの力により中立位置に復帰する。
【0027】
第2補助レバープレート204上には、両方向運動伝達ラチェット23に選択的に係合する一対の上昇方向運動伝達ラッチ(以下、上昇ラッチ)27と下降方向運動伝達ラッチ(以下、下降ラッチ)28が軸27aと軸28aでそれぞれ枢着されている。
【0028】
この上昇ラッチ27と下降ラッチ28は、両方向運動伝達ラチェット23の上下歯面に対称形に位置するもので、その先端部に噛合爪部27bと28bを備え、中間部に強制解除ピン27cと28cを備えている。一対の強制解除ピン27cと28cの間には、噛合爪部27b、28bが両方向運動伝達ラチェット23の歯23aに噛み合う方向に両ラッチ27、28を回動付勢するトーションばね278が挿入されている。トーションばね278は、その中心コイル部が連結リンクピン205に嵌合されている。
【0029】
上昇ラッチ27の強制解除ピン(制御ピン)27cと、下降ラッチ28の強制解除ピン(制御ピン)28cは、ベースプレート13に形成した位置規制カム孔(制御カム溝)270と280内に嵌まっている。位置規制カム孔270と280は、コントロールレバー20の中立位置及びその近傍では、強制解除ピン27cと強制解除ピン28cとに接触して、上昇ラッチ27、下降ラッチ28をそれぞれ両方向運動伝達ラチェット23との噛合待機位置に保持する待機面271、281と(図8、図11、図12、図17、図18、図19、図25、図26参照)、コントロールレバー20を中立位置から上昇方向に揺動させたときには、トーションばね278による上昇ラッチ27の回動を規制しないで上昇ラッチ27の噛合爪部27bと両方向運動伝達ラチェット23の歯23aの噛み合いを可能にする規制解除面273、下降ラッチ28を両方向運動伝達ラチェット23との非噛合位置に移動させる規制面282(図8、図12、図13、図14参照)、コントロールレバー20を中立位置から下降方向に揺動させたときには、トーションばね278による下降ラッチ28の回動を規制しないで下降ラッチ28の噛合爪部28bと両方向運動伝達ラチェット23の歯23aの噛み合いを可能にする規制解除面283、上昇ラッチ27を両方向運動伝達ラチェット23との非噛合位置に移動させる規制面272(図8、図20、図21、図22参照)を有する。そして、コントロールレバー20が中立位置から上昇方向に揺動操作されると、その初期ストロークで上昇ラッチ27がその噛合爪部27bを歯23aに噛み合わせ、後期ストロークで上昇ラッチ27が両方向運動伝達ラチェット23の歯23aを押して入力ピニオン22を上昇方向に回動させ、中立位置から下降方向に揺動操作されると、その初期ストロークで下降ラッチ27がその噛合爪部28bを歯23aに噛み合わせ、後期ストロークで下降ラッチ28が両方向運動伝達ラチェット23の歯23aを押して入力ピニオン22を下降方向に回動させる結果、入力ピニオン22と噛み合うリンクピニオン15を有する有歯リンク10Tが正逆に回動して、ベースプレート13が昇降する。
【0030】
以上の、コントロールレバー20、上昇ラッチ27及び両方向運動伝達ラチェット23とで、コントロールレバー20が中立位置から上昇位置に揺動操作される度に、上記リンクピニオン15を介して有歯リンク10Tを上昇方向に揺動させ、ベースプレート13を有段で上昇させる上昇機構を構成し、コントロールレバー20、下降ラッチ28及び両方向運動伝達ラチェット23とで、コントロールレバー20が中立位置から下降位置に揺動操作される度に、上記リンクピニオン15を介して有歯リンク10Tを下降方向に揺動させ、ベースプレート13を有段で下降させる下降機構を構成する。これらの上昇機構及び下降機構で昇降機構を構成する。
【0031】
以上の、上昇ラッチ27の強制解除ピン27cと位置規制カム孔(制御カム溝)270、下降ラッチ28の強制解除ピン28cと位置規制カム孔(制御カム溝)280とで、コントロールレバー20が中立位置から上昇位置方向に揺動操作されるたびに、下降ラッチ28の噛合爪部28bと両方向運動伝達ラチェット23の歯23aとの噛合を外して上昇ラッチ27の噛合爪部27bと両方向運動伝達ラチェット23の歯23aの噛合により有歯リンク10Tを上昇方向に回動させ、同コントロールレバー20が中立位置から下降位置方向に揺動操作されるたびに、上昇ラッチ27の噛合爪部27bと両方向運動伝達ラチェット23の歯23aとの噛合を外して下降ラッチ28の噛合爪部27bと両方向運動伝達ラチェット23の歯23aの噛合により同有歯リンク10Tを下降方向に回動させるラッチ制御機構を構成する。
【0032】
一方、コントロールレバー20が上昇端または下降端に達した後、中立位置に戻る過程では、上昇ラッチ27と下降ラッチ28は両方向運動伝達ラチェット23に対して空転する(図17、図18、図24、図25)。つまり、コントロールレバー20の中立位置からの揺動操作方向を問わず、上昇ラッチ27または下降ラッチ28が両方向運動伝達ラチェット23を介して入力ピニオン22を回動させるとき、常にベースプレート13が昇降する。ベースプレート13が昇降するときには常にコントロールレバー20の揺動を伴う。コントロールレバー20は、上昇方向の揺動端または下降方向の揺動端に達すると、連結リンクピン205がベースプレート13に一体に形成した上昇端規制突起13a、下降端規制突起13bに当接して、それ以上の上昇方向の回動操作、下降方向の回動操作が規制される。コントロールレバー20の上昇方向及び下降方向の回動端をベースプレート13に一体に形成した上昇端規制突起13a、下降端規制突起13bによって規制するので、ストッパとして別部材を設ける必要がなく、低コスト化できる。
【0033】
両方向運動伝達ラチェット23には、円周方向に所定間隔で並んだ歯23aの円周方向略中央部に、歯の無い、円弧面形状の無歯領域(空走領域)23bが形成されている。この空走領域23aには、ベースプレート13(有歯リンク10T)が上方昇降端に達したときに上昇ラッチ27の噛合爪部27bが位置し、この状態でコントロールレバー20が中立位置から上昇方向に揺動操作されると噛合爪部27bが無歯領域23aの円弧面を摺動して相対回転し、ベースプレート13(有歯リンク10T)が下方昇降端(最下端)に達したときに下降ラッチ28の噛合爪部28bが位置し、この状態でコントロールレバー20が中立位置から下降方向に揺動操作されると噛合爪部28bが無歯領域23aの円弧面を摺動して相対回転し、いずれの場合も両方向運動伝達ラチェット23は回転しない。以上の上昇ラッチ27及び下降ラッチ28と両方向運動伝達ラチェット23の無歯領域23aは、有歯リンク10Tが上方昇降端または下方昇降端に達した状態でさらにコントロールレバー20が中立位置から上昇位置方向または下降位置方向に操作されたとき、コントロールレバー20の後期ストロークにおいて上昇ラッチ27及び下降ラッチ28を両方向運動伝達ラチェット23に対して相対回転させる空振り機構を構成する。
【0034】
ベースプレート13と第1補助ブラケット17の間には、リンクラチェット16と係合する第1下降防止ラッチ24が軸46で枢着されている。第1下降防止ラッチ24の先端部には、リンクラチェット16と係脱する噛合爪部(先端爪部、係合爪部)24cが形成されている。
【0035】
第1下降防止ラッチ24とベースプレート13の間の軸46には、ラッチ付勢ばね(トーションばね)46aが挿入されている。このラッチ付勢ばね46aは、第1下降防止ラッチ24をその噛合爪部24cがリンクラチェット16の歯と係合する方向に回動付勢している。自由状態では、第1下降防止ラッチ24の噛合爪部24cはリンクラチェット16に噛み合う。
【0036】
第1下降防止ラッチ24とリンクラチェット16は、有歯リンク10Tが軸11を中心に上昇方向(図1の反時計方向)に揺動するときには、ラッチ付勢ばね46aの力に抗して噛合爪部24cがリンクラチェット16の歯を乗り越えてその揺動を許し、逆に下降方向(同時計方向)に揺動しようとするときには、噛合爪部24cがリンクラチェット16の歯に係合してその揺動を阻止する一方向回動許容有段ストッパ機構を構成する。すなわち、リンクラチェット16はベースプレート13が下降するときには図1の時計方向に回動しようとし、このとき、リンクラチェット16に噛み合っている該第1下降防止ラッチ24にはリンクラチェット16の歯から軸46方向の力が加わる。このため該第1下降防止ラッチ24は回動できず、リンクラチェット16(有歯リンク10T)の回動を阻止するストッパとして作用する。逆に、リンクラチェット16と第1下降防止ラッチ24が噛み合っているときに、リンクラチェット16が反時計方向に回動すると、該リンクラチェット16の歯が第1下降防止ラッチ24に軸46を中心に時計方向に回動させる力を与えるため、噛合爪部24cがリンクラチェット16の歯を乗り越える。
【0037】
第1下降防止ラッチ24には、その側面(裏面)に、強制解除ピン24dが植設されている。第2補助レバープレート204には、該第2補助レバープレート204を中立位置から下方に揺動操作したとき、この第1下降防止ラッチ24の強制解除ピン24dと係合して、第1下降防止ラッチ24とリンクラチェット16との係合を外す強制解除突起204bが形成されている。リンクラチェット16、第1下降防止ラッチ24、強制解除ピン24d及び第2補助レバープレート204の強制解除突起204bは、コントロールレバー20の中立位置では有歯リンク10Tの下降揺動を阻止し、該レバー20が下降方向に揺動操作されるときには有歯リンク10Tの下降揺動を許容する第1下降防止ラッチ機構を構成する。
【0038】
ベースプレート13(補助ブラケット17、18)上の軸21には、第2下降防止ラッチ25がコントロールレバー20との相対回動を自在にして枢着されている。この第2下降防止ラッチ25は、一方の端部にリンクラチェット16と噛み合う噛合爪部(先端爪部、係合爪部)25bが形成され、他方の端部に連結リンクピン205に当接する位置規制面25cが形成され、連結リンクピン205(第1補助レバープレート201)との間に挿入したラッチ付勢ばね(トーションばね)59により、第2下降防止ラッチ25の位置規制面25cが連結リンクピン205に当接する方向に付勢されている。
【0039】
連結リンクピン205は、ラッチ付勢ばね59によってばね連結された第2下降防止ラッチ25の位置規制面25cに当接し、コントロールレバー20の動きに第2下降防止ラッチ25が追従(連動)するように構成されている。そして、コントロールレバー20が中立位置にあるときには、第2下降防止ラッチ25は、その噛合爪部25bがリンクラチェット16との噛合を解く非噛合位置に保持されている。コントロールレバー20を中立位置から下降方向に回動させたときには、ラッチ付勢ばね59を介して第2下降防止ラッチ25をリンクラチェット16方向に回動させて、噛合爪部25bとリンクラチェット16とを当接させあるいは噛み合わせる。第2下降防止ラッチ25がリンクラチェット16に当接してその回動が阻止された状態で、さらにコントロールレバー20が下降方向に揺動操作されると、コントロールレバー20は第2下降防止ラッチ25に対して相対回動し(連結リンクピン205が位置規制面25cから離反し)、この相対回動の間に、ラッチ付勢ばね59が蓄力される。
【0040】
軸21に相対回転不能に結合された摩擦ギヤ30は、その周面に一定ピッチの摩擦歯30aを有しており、この摩擦歯30aに、ガイドピン10Q上に枢着した摩擦ラッチ(摩擦レバー)31の先端摩擦爪31bが係合している。すなわち、摩擦ラッチ31は、ガイドピン10Qと先端摩擦爪31bとの間にばね掛け突起31cを有しており、このばね掛け突起31cとベースプレート13上の固定部分との間に、ガイドピン10Qに挿入されたトーションばね32が掛渡されていて、摩擦ラッチ31をその先端摩擦爪31bが摩擦歯30aに係合する方向に回動付勢している。
【0041】
摩擦歯30aの各歯は、摩擦ギヤ30が上昇方向に回動するとき(ベースプレート13が上昇するとき)摩擦ラッチ31の先端摩擦爪31bが摺接する上昇時摺接面30a1と、下降方向に回動するとき先端摩擦爪31bが摺接する下降時摺接面30a2とを交互に有している。この実施形態では、下降時摺接面30a2の長さが上昇時摺接面30a1の長さより長い。
【0042】
摩擦ラッチ31の位置は、コントロールレバー20、第2補助レバープレート204を介して制御される。摩擦ラッチ31の側面(裏面)には位置規制ピン31dが植設されており、第2補助レバープレート204の押圧面204cは、この位置規制ピン31dと対向している。摩擦ラッチ31は、コントロールレバー20(第2補助レバープレート204)が中立位置にあるときには、トーションばね32の回動付勢力によって先端摩擦爪31bが摩擦歯30aに係合した位置に保持されている。コントロールレバー20を中立位置から上昇方向に揺動させると、押圧面204cが位置規制ピン31dを押圧して、摩擦ラッチ31は先端摩擦爪31bが摩擦歯30aから離脱する方向に回動する。コントロールレバー20を中立位置から下降方向に揺動させると、押圧面204cが位置規制ピン31dから離反して、摩擦ラッチ31は先端摩擦爪31bが摩擦歯30aに係合した状態に保持される。
【0043】
以上のコントロールレバー20、第2補助レバープレート204、摩擦ラッチ31及び摩擦ギヤ30は、コントロールレバー20が中立位置にあるときには、摩擦ラッチ31と摩擦ギヤ30とが噛合を保持して有歯リンク10Tの上昇揺動(ベースプレート13の上昇運動)を妨げ、コントロールレバー20を中立位置から上昇方向に揺動させたときには、摩擦ラッチ31と摩擦ギヤ30との噛合を解き、有歯リンク10Tの上昇揺動(ベースプレート13の上昇運動)を許す上昇防止ラッチ機構を構成する。
【0044】
以上のコントロールレバー20、第2補助レバープレート204、摩擦ラッチ31及び摩擦ギヤ30は、同時に、ベースプレート13が昇降するときに、該ベースプレート13に移動抵抗を与える摩擦機構を構成する。コントロールレバー20及び第2補助レバープレート204は、コントロールレバー20が中立位置から上昇方向に揺動操作されるとき、摩擦ラッチ31と摩擦ギヤ30の噛合を外す解除機構を構成する。
【0045】
また、コントロールレバー20、第2下降防止ラッチ25及びリンクラチェット16は、第1下降防止ラッチ機構が有歯リンク10Tの下降揺動を許容した後、コントロールレバー20が下降端に揺動される迄に、該リンクラチェット16の一歯分の有歯リンク10Tの下降揺動を許し、その後、リンクラチェット16と噛み合って該有歯リンク10Tの下降揺動を防止する第2下降防止ラッチ機構を構成する。また、コントロールレバー20と一体に回動する第1、第2補助レバープレート201、204を連結する連結リンクピン205と、第2下降防止ラッチ25の位置規制面25cは、コントロールレバー20を中立位置から下降方向に揺動させるときには第2下降防止ラッチ25を該レバー20と一緒に揺動させ、第2下降防止ラッチ25の噛合爪部25bがリンクラチェット16と係合(当接)した後さらにコントロールレバー20が下降方向に揺動したときには、ラッチ付勢ばね59を蓄力しながらコントロールレバー20だけを下降方向に揺動させる連動部を構成する。
【0046】
図11ないし図26は、上記構成の本有段リフタ機構の動作を説明するための図である。
図11ないし図26では、部材の上下(表裏位置)関係を無視して主要要素を実線で描いている。第1、第2補助ブラケット17、18は図示を省略してある。以下の昇降動作の説明に際し、ベースプレート13と有歯リンク10Tとの相対的な上下関係は、図12から図18、図20から図25の下方に符号Xを付した部分のリンクピニオン15の歯を参照すると、分かり易い。
【0047】
最初に図11から図18について、上昇動作を説明する。図11は、コントロールレバー20が中立位置にあるときを示している。このとき、摩擦ラッチ31の先端摩擦爪31bは、摩擦ギヤ30の摩擦歯30aと噛み合い、第1下降防止ラッチ24の噛合爪部24cはリンクラチェット16と噛み合って有歯リンク10Tの上昇揺動及び下降揺動を阻止(ロック)している。一方、第2下降防止ラッチ25の噛合爪部25bは、リンクラチェット16との非係合位置にある。また、上昇ラッチ27と下降ラッチ28はそれぞれ両方向運動伝達ラチェット23との噛合待機位置(噛み合う直前の位置)にある。
【0048】
この状態において、軸21を中心にコントロールレバー20を上昇方向に揺動させると、その前期ストロークにおいて、上昇ラッチ27は、その強制解除ピン27cの拘束が位置規制カム孔270の規制解除面273により開放されて両方向運動伝達ラチェット23方向への移動が自由になり、トーションばね278の付勢力によって噛合爪部27bが両方向運動伝達ラチェット23と噛合する位置に移動する。逆に、下降ラッチ28は、その強制解除ピン28cが位置規制カム孔280の規制面282に拘束されて両方向運動伝達ラチェット23との非噛合位置に移動し、噛合爪部28bが両方向運動伝達ラチェット23から離れる(図12、図13)。
【0049】
この図13の状態において、コントロールレバー20をさらに上昇方向に揺動させると、その後期ストロークにおいて、上昇ラッチ27の噛合爪部27bが両方向運動伝達ラチェット23の歯23aに係合し、これを押して入力ピニオン22を上昇方向に回動させ、入力ピニオン22と噛み合うリンクピニオン15を有する有歯リンク10Tが上方方向に回動し、ベースプレート13が上昇する(図14ないし図16のX部分のリンクピニオン15の歯とベースプレート13の相対位置に注目)。
【0050】
また、この間(前期ストロークの間)、第2補助レバープレート204の押圧面204cが摩擦ラッチ31の位置規制ピン31dを押して、先端摩擦爪31bと摩擦歯30aの噛合を解く。そして、先端摩擦爪31bと摩擦歯30aとの噛合が解かれる前には、先端摩擦爪31bは摩擦歯30aの上昇時摺接面30a1に摺接し(図11)、摩擦ギヤ30の回動、つまりベースプレート13の昇降運動に一定の摩擦抵抗が与えられる。ベースプレート13の上昇方向と下降方向の抵抗は、ベースプレート13に関連する重量、ベースプレート13上の乗員の体重、ベースプレート13を上昇方向に付勢するヘルパースプリングの強さによって決定されるが、いずれにしても、先端摩擦爪31bと上昇時摺接面30a1の摺接によって、ベースプレート13の上昇方向の抵抗が増す。
【0051】
このとき、コントロールレバー20は、第2下降防止ラッチ25を共に揺動させるが、噛合爪部25bとリンクラチェット16の噛合は、その前から外れており、以上の上昇動作に影響を与えない。つまり、第2下降防止ラッチ25は、コントロールレバー20の上昇動作に際しては、何らの働きをしない。また、第1下降防止ラッチ24の噛合爪部24cは、リンクラチェット16との噛合を維持しているが、前述のように、リンクラチェット16の上昇方向の相対揺動は許す。また、第2補助レバープレート204の強制解除突起204bは、第1下降防止ラッチ24の強制解除ピン24dから離れる方向に移動するから、第1下降防止ラッチ24にも何ら力が作用しない。
【0052】
従って、コントロールレバー20を上昇方向へ揺動させる度に、両方向運動伝達ラチェット23及び軸21を介して入力ピニオン22が上昇方向に回転し、入力ピニオン22と噛み合うリンクピニオン15を有する有歯リンク10Tが上昇方向に回動する。
【0053】
図16は、コントロールレバー20を上昇端に回動させ、連結リンクピン205がベースプレート13の上昇端規制突起13aに当接して、それ以上上昇方向に回動操作できない状態を示している。図16の下部Xにおいて、有歯リンク10Tのリンクピニオン15とベースプレート13の関係に着目すると、ベースプレート13が有歯リンク10Tのリンクピニオン15の一歯分を越えて上昇している(リンクピニオン15がオーバー回動している)のが分かる。この状態において、コントロールレバー20を開放すると、該コントロールレバー20は中立位置復帰ばね20aの力により中立位置に復帰し(図17、図18)、これに伴い、ベースプレート13も最も上昇した位置から若干下降する(同)。つまり、有歯リンク10Tは停止位置より若干オーバー回動し(図16)、その後オーバー回動分戻ることとなる(図17)。図17の状態では、第1下降防止ラッチ24の噛合爪部24cとリンクラチェット16とが噛み合い、有歯リンク10Tの下降揺動が阻止される。また、コントロールレバー20が中立位置まで戻ると、摩擦ラッチ31の先端摩擦爪31bは、一歯分ずれた位置において摩擦ギヤ30の摩擦歯30aと再び噛み合い、有歯リンク10Tの上昇揺動が阻止される(図17、図18)(仮にベースプレート13を上昇方向に付勢するヘルパースプリングの力が強くても、有歯リンク10Tは回動しない)。
【0054】
従って、コントロールレバー20を中立位置から上昇方向に1回揺動させる度に、有歯リンク10Tは両方向運動伝達ラチェット23及びリンクラチェット16の一歯分ずつ上昇する上昇方向有段回動伝達動作が行われる(図11、図18)。コントロールレバー20の上昇方向の揺動操作は、連結リンクピン205が上昇端規制突起13aに当接して規制される(図16)。
【0055】
ベースプレート13がそれ以上上昇できない最上昇(最高)端にあるときに、上昇ラッチ27の噛合爪部27bは両方向運動伝達ラチェット23の無歯領域23bに位置している(図19)。この状態においてコントロールレバー20を中立位置から上昇方向に回動操作すると、その前期ストローク及び後期ストロークにおいて噛合爪部27bは無歯領域23bの円弧面を相対摺動するだけなので、両方向運動伝達ラチェット23(入力ピニオン22)が回動することはない。このようにベースプレート13の上方昇降端においてコントロールレバー20を上昇方向に揺動操作してもその揺動運動は両方向運動伝達ラチェット23に伝達されないので、入力ピニオン22及び入力ピニオン22の回転力が伝達される部材、機構(ベースプレート13を昇降させる機構)に有害な過負荷をかけることがなく、いわゆるこじりを防止できる。
【0056】
次に下降動作を説明する。図20の初期状態(中立位置)において、軸21を中心にコントロールレバー20を下降方向に揺動させると、その前期ストロークにおいて、コントロールレバー20上の下降ラッチ28の強制解除ピン28cは位置規制カム孔280により両方向運動伝達ラチェット23方向への移動が自由になり、トーションばね278の力によって該両方向運動伝達ラチェット23との噛合位置に移動する。逆に、上昇ラッチ27の強制解除ピン27cは位置規制カム孔270により、両方向運動伝達ラチェット23との非噛合位置に移動し、噛合爪部27bは両方向運動伝達ラチェット23から離れる(図20、図21)。
【0057】
このコントロールレバー20の前期ストロークの間に、第2補助レバープレート204の強制解除突起204bは、強制解除ピン24dを押して、軸46を中心に第1下降防止ラッチ24を揺動させ、噛合爪部24cをリンクラチェット16との非係合位置に移動させ、有歯リンク10Tの回動が可能となる(図23)。このとき摩擦ラッチ31の先端摩擦爪31bは、トーションばね32の力により、摩擦ギヤ30の摩擦歯30a(下降時摺接面30a2)と接触しているため、摩擦ギヤ30の下降回動(ベースプレート13の下降運動)に対し、一定の摩擦抵抗を与えることとなる。この実施形態では、ベースプレート13は自然下降しないが、コントロールレバー20が下降方向に揺動されたときに、摩擦抵抗に抗して有歯リンク10Tの下降回動、ベースプレート13の下降運動を許容する程度の摩擦抵抗を与えている。この摩擦抵抗は、ベースプレート13に関連する重量、ベースプレート13上の乗員の体重、ベースプレート13を上昇方向に付勢するヘルパースプリングの強さによって決定されるが、いずれにしても、先端摩擦爪31bと下降時摺接面30a2の摺接によって、ベースプレート13の下降運動に対する抵抗が増す。
【0058】
他方、コントロールレバー20の中立位置では、該第1、第2補助レバープレート201、204を連結する連結リンクピン205が第2下降防止ラッチ25の位置規制面25cに当接していて、噛合爪部25bはリンクラチェット16から離れている。この状態でコントロールレバー20が下降方向へ揺動すると、最初(前期ストロークの間)は、ラッチ付勢ばね59の力により連結リンクピン205と一緒に第2下降防止ラッチ25が同方向に回動し、やがて、該第2下降防止ラッチ25の噛合爪部25bがリンクラチェット16の歯に当接係合して、第2下降防止ラッチ25の回動が阻止される(図21、図22)と、ラッチ付勢ばね59が蓄力されていく。図23の状態は、第1下降防止ラッチ24とリンクラチェット16との噛合が外れ、ラッチ付勢ばね59が蓄力されて、第2下降防止ラッチ25の噛合爪部25bがリンクラチェット16に当接係合した状態(完全に噛み合う前の状態、不完全噛合状態)である。
【0059】
この図23の状態において、コントロールレバー20をさらに下降方向に揺動させると、その後期ストロークにおいて、下降ラッチ28の噛合爪部28bが両方向運動伝達ラチェット23の歯23aに係合し、これを押して入力ピニオン22を下降方向に回動させ、入力ピニオン22と噛み合うリンクピニオン15を有する有歯リンク10Tが下降方向に回動し、ベースプレート13が下降する(図21ないし図23のX部分のリンクピニオン15の歯とベースプレート13の相対位置に注目)。
【0060】
有歯リンク10Tが下降方向に回動すると、入力ピニオン22と一体の軸21及び摩擦ギヤ30も下降方向に回動する。この際、摩擦ラッチ31の先端摩擦爪31bは、トーションばね32の力により、摩擦ギヤ30の下降時摺接面30a2と接触しているため、摩擦ギヤ30の下降回動に対し、一定の摩擦抵抗を与えることとなる。したがってコントロールレバー20が下降方向に揺動操作されると、摩擦ラッチ31と摩擦ギヤ30により摩擦抵抗が与えられた状態で有歯リンク10Tが下降方向に回動し、ベースプレート13が下降運動する。そして、コントロールレバー20が下降端に達すると(連結リンクピン205が下降端規制突起13bに当接してそれ以上の下降回動が規制されるまでに)、摩擦ラッチ31の先端摩擦爪31bは、下降時摺接面30a2から脱して、次の摩擦歯30aの上昇時摺接面30a1の入口部に達する。図24の状態では、ラッチ付勢ばね59の付勢力によって第2下降防止ラッチ25の噛合爪部25bは、リンクラチェット16に噛み合って有歯リンク10Tの下降回動を阻止(ロック)している。
【0061】
図24の状態から、コントロールレバー20に対する操作力を開放すると、該コントロールレバー20は中立位置復帰ばね20aの力により中立位置に復帰する(図25)。この復帰過程において、第1、第2補助レバープレート201、204を連結する連結リンクピン205が第2下降防止ラッチ25の位置規制面25cに当接して、噛合爪部25bをリンクラチェット16から離し始め、コントロールレバー20が中立位置に復帰したときに有歯リンク10Tのロックを解除する(図25)。他方、第1下降防止ラッチ24は、第2補助レバープレート204の強制解除突起204bが強制解除ピン24dから離れていくことから、ラッチ付勢ばね46aの力により、噛合爪部24cがリンクラチェット16と噛合する噛合状態への復帰を開始し(図24)、コントロールレバー20が中立位置に復帰したときには噛合状態になって有歯リンク10Tをロックしている(図25)。また、摩擦ラッチ31の先端摩擦爪31bは、一歯分ずれた位置において摩擦ギヤ30の摩擦歯30aと再び噛み合い、有歯リンク10Tを重ねてロック状態にする。この摩擦ラッチ31と摩擦ギヤ30との再噛合に際しては、上述のように、まず先端摩擦爪31bが摩擦歯30aの上昇時摺接面30a1の入口部に達し、次いで先端摩擦爪31bが同上昇時摺接面30a1に摩擦接触しながら、摩擦ギヤ30が下降回動(ベースプレート13が下降運動)する二段階下降動作が行われる。
【0062】
従って、コントロールレバー20を中立位置から下降方向に1回揺動させる度に、両方向運動伝達ラチェット23及び軸21を介して入力ピニオン22が回転し、有歯リンク10Tは両方向運動伝達ラチェット23及びリンクラチェット16の一歯分ずつ下降する。コントロールレバー20の中立位置から下降方向への揺動は、連結リンクピン205が下降端規制突起13bに当接して規制される。
【0063】
ベースプレート13がそれ以上下降できない最下降端(最低位置)にあるときに下降ラッチ28の噛合爪部28bは、両方向運動伝達ラチェット23の無歯領域23bに位置している(図26)。この状態においてコントロールレバー20を中立位置から下降方向に揺動操作すると、その前期ストローク及び後期ストロークにおいて噛合爪部28bは無歯領域23bの円弧面を摺動するだけなので、両方向運動伝達ラチェット23が回動することはない。このようにベースプレート13の下方昇降端においてコントロールレバー20を下降方向に揺動操作してもその揺動運動は両方向運動伝達ラチェット23に伝達されないので、入力ピニオン22及び入力ピニオン22の回転力が伝達される部材、機構(ベースプレート13を昇降させる機構)に有害な過負荷をかけることがなく、いわゆるこじりを防止できる。コントロールレバー20の下降方向の揺動は、連結リンクピン205が下降端規制突起13bに当接して規制される。
【0064】
以上の通りこの実施形態では、ベースプレート13に有段リフト装置の各部材が装着されているので、このベースプレート13を昇降体(シートブラケット50)に固定することで、後付で構成できる有段リフタ装置を得ることができる。
【0065】
以上の実施形態では、ベースプレート13の上方昇降端及び下方昇降端において、上昇ラッチ27、下降ラッチ28が位置する無歯領域23bを共通としたが、上方昇降端及び下方昇降端それぞれで別の無歯領域に位置するように無歯領域を形成してもよい。
以上の実施形態では、位置規制カム孔270と280をベースプレート13に形成したが、ベースプレート13が装着されるシートブラケット(アッパアーム)50に形成してもよく、ベースプレート13をシートブラケット50と一体に形成してもよい。
また、以上の実施形態では摩擦ギヤ30を軸21と一体に結合したが、摩擦ギヤ30は有歯リンク10Tと一体に、軸11に軸方向に離間させてまたはベースプレート13の昇降に連動回動する軸に結合可能である。
【0066】
図27は、ベースプレート13の昇降に摩擦抵抗を与える摩擦機構の別の実施形態を示している。この実施形態の摩擦機構は、ベースプレート13の昇降(軸21の回転)に伴って回転するウォームホイル41と、このウォームホイル41に噛み合うウォームギヤ42とを有するウォームギヤ機構からなっている。一般的に、ウォームギヤ機構はウォームホイル41の回転によってはウォームギヤ42を回転させることができないように、ウォームホイル41とウォームギヤ42の噛合リード角が設定されているが、本実施形態では、該ウォームホイル41の回転によってウォームギヤ42が回転可能なように同噛合リード角が設定されており、ベースプレート13の昇降に大きな抵抗を与えることができる。ウォームホイル41は、有歯リンク10Tと一体に、軸11に軸方向に離間させてまたはベースプレート13の昇降に連動回動する軸に結合可能であり、ウォームギヤ42は、軸方向移動が生じないように、軸の両端部をベースプレート13に軸支する。
【0067】
以上の実施形態では、昇降リンク10Xと有歯リンク10Tを別々に設けたが、両リンクを同一の部材とすることも可能である。あるいは、別部材とした有歯リンクと昇降リンクを同一の軸11に軸方向に離間させて結合する態様も可能である。以上の場合、昇降リンクを複数設けて同一の軸11に離間させて結合することも可能である。さらに、別々に設けた有歯リンクと昇降リンクの軸を前後に離間させる態様も可能である。
【0068】
図28は、その一実施形態の側面図であり、シート(座面)が支持されるベースプレート(昇降体)13上には、前後に離れた軸11Xと軸11で昇降リンク10X1と有歯リンク10Tがそれぞれ枢着されている。昇降リンク10X1の下端部は、床面と一体の床面ブラケット(基部)14に軸12で枢着されており、昇降リンク10X1と有歯リンク10Tの上部間は、軸10A、10Bを介して連結リンク10Cの両端に枢着されている。従って、有歯リンク10Tが軸11Xを中心に揺動すると、連結リンク10Cを介して昇降リンク10X1が軸11を中心に揺動し、ベースプレート13が基部14に対して昇降する。本実施形態は、有歯リンク10Tを正逆に揺動させることにより、ベースプレート13を昇降させる実施形態である。
【0069】
また、以上の実施形態では、入力部材として軸を中心に揺動操作可能なコントロールレバー20を用いたが、回動ハンドルも使用可能である。
【0070】
また、以上の実施形態では、ベースプレート13側の軸11に、該軸を中心とする円弧上に位置するリンクラチェット16を有する有歯リンク10Tを枢着したが、基部14側の軸12に、該軸を中心とする円弧上に位置するリンクラチェットを有する有歯リンク10Tを枢着しても本発明は成立する。この態様では、図示実施形態においてベースプレート13に搭載した、昇降リンク10X、有歯リンク10T、コントロールレバー20、第1補助レバープレート201、コ字形ブラケット202、角軸ピン203、第2補助レバープレート204、連結リンクピン205を含む運動伝達レバー機構、第1下降防止ラッチ24とリンクラチェット16を含む第1下降防止ラッチ機構、第2下降防止ラッチ25とリンクラチェット16を含む第2下降防止ラッチ機構、及び両方向運動伝達ラチェット23と上昇ラッチ27及び下降ラッチ28を含む上昇方向回動伝達機構を、基部14側に設置すればよい。
【0071】
以上の実施形態は、本発明を車両用シートの昇降装置に適用したものであるが、通常の椅子や作業台(昇降体)の昇降装置としても本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0072】
10X 昇降リンク
10T 有歯リンク
10C 連結リンク
11 11X 12 軸
13 ベースプレート(昇降体)
13a 上昇端規制突起(ストッパ突起)
13b 下降端規制突起(ストッパ突起)
14 床面ブラケット(基部)
15 リンクピニオン
16 リンクラチェット
17 第1補助ブラケット
18 第2補助ブラケット
20 コントロールレバー(入力部材)
201 第1補助レバープレート
202 コ字形ブラケット
203 角軸ピン
204 第2補助レバープレート(入力部材)
204b 強制解除突起
204c 押圧面(カム面)
205 連結リンクピン
20a 中立位置復帰ばね
21 軸
21a 角軸部
21b 21c セレーション部
22 入力ピニオン
23 両方向運動伝達ラチェット(運動伝達ラチェット)
23a 歯
23b 無歯領域
24 第1下降防止ラッチ
24c 噛合爪部
24d 強制解除ピン
25 第2下降防止ラッチ
59 第2ラッチ付勢ばね
25b 噛合爪部
25c 位置規制面(連動部)
27 上昇方向運動伝達ラッチ(上昇ラッチ)
28 下降方向運動伝達ラッチ(下降ラッチ)
27a 28a 軸
27b 28b 噛合爪部
27c 28c 強制解除ピン(制御ピン)
270 280 位置規制カム孔(制御カム溝)
271 281 待機面
272 282 規制面
273 283 規制解除面
278 トーションばね
30 摩擦ギヤ
30a 摩擦歯
30a1 上昇時摺接面
30a2 下降時摺接面
31 摩擦ラッチ
31b 先端摩擦爪
31c ばね掛け突起
31d 位置規制ピン
32 トーションばね
41 ウォームホイル
42 ウォームギヤ
46 軸
46a ラッチ付勢ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部への枢着部と昇降体への枢着部を有する昇降リンク;
上記基部と昇降体のいずれか一方に枢着されていて、該枢着軸を中心とする円弧上に位置するリンクピニオンを有し、上記昇降リンクと連動して揺動する有歯リンク;
上記リンクピニオンを介して上記有歯リンクを揺動させ、上記昇降体を昇降させる昇降機構;
上記昇降体と基部のうち、上記リンクピニオンの円弧中心となる枢着軸を有する側の部材に、中立位置と、上昇位置と下降位置の少なくとも一方との間で往復揺動操作可能に支持された入力部材;
上記入力部材に支持された、上記リンクピニオンを連動回転させる運動伝達ラチェットと係脱するラッチ;
上記入力部材が中立位置から上昇位置方向または下降位置方向に揺動操作されるたびに、該ラッチと運動伝達ラチェットの噛合により上記有歯リンクを上昇方向または下降方向に回動させるラッチ制御機構;
上記ラッチ制御機構は、上記有歯リンクが上方昇降端または下方昇降端に達した状態でさらに入力部材が中立位置から上昇位置方向または下降位置方向に操作されたとき、上記ラッチを運動伝達ラチェットに対して相対回転させる空振り機構;
を有することを特徴とする有段リフタ装置。
【請求項2】
請求項1記載の有段リフタ装置において、
上記入力部材には、上昇ラッチと下降ラッチが対で備えられており、
上記ラッチ制御機構は、上記入力部材が中立位置から上昇位置方向に揺動操作されるとき下降ラッチと運動伝達ラチェットとの噛合を外して上昇ラッチと運動伝達ラチェットの噛合により有歯リンクを上昇方向に回動させ、同入力部材が中立位置から下降位置方向に揺動操作されるとき上昇ラッチと運動伝達ラチェットとの噛合を外して下降ラッチと運動伝達ラチェットの噛合により同有歯リンクを下降方向に回動させる有段リフタ装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の有段リフタ装置において、上記空振り機構は、運動伝達ラチェットに形成した無歯領域によって構成されている有段リフタ装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項記載の有段リフタ装置において、
上記有歯リンクは、上記リンクピニオンと同軸のリンクラチェットを有し、
さらに、
上記入力部材の中立位置では上記リンクラチェットと噛み合って上記昇降リンクの下降揺動を阻止し、該入力部材が下降方向に揺動操作されるときに上記昇降リンクの下降揺動を許容する第1下降防止ラッチ機構;及び
上記第1下降防止ラッチ機構により下降揺動を許容された昇降リンクの下降揺動を、上記リンクラチェット一歯分許すとともに、それ以上の昇降リンクの下降揺動を防止するために同リンクラチェットと噛み合う第2下降防止ラッチ機構;
を備えている有段リフタ装置。
【請求項5】
請求項4記載の有段リフタ装置において、さらに、
上記入力部材が中立位置から下降方向に揺動操作されるとき、上記有歯リンクの回動に抵抗を与えて、昇降体の下降運動に抵抗を与える摩擦機構;
を備えている有段リフタ装置。
【請求項6】
請求項5記載の有段リフタ装置において、上記摩擦機構は、上記有歯リンクの回動と連動回転する、周面に一定ピッチの摩擦歯を有する摩擦ギヤと、この摩擦ギヤの摩擦歯に噛み合う摩擦ラッチとを含んでいる有段リフタ装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項記載の有段リフタ装置において、上記昇降リンクと有歯リンクは別部材であり、上記昇降体に同一の軸で枢着されている有段リフタ装置。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれか1項記載の有段リフタ装置において、上記昇降リンクと有歯リンクは別部材であり、前後に離れた軸で上記昇降体に枢着され、連結リンクを介して連動している有段リフタ装置。
【請求項9】
請求項1ないし6のいずれか1項記載の有段リフタ装置において、上記昇降リンクと有歯リンクは同一部材である有段リフタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2012−140074(P2012−140074A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293505(P2010−293505)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(590001164)シロキ工業株式会社 (610)
【Fターム(参考)】