説明

有糸分裂キネシン阻害剤

本発明は、細胞増殖性疾患の治療、KSPキネシン活性に関連する疾患の治療、及びKSPキネシの阻害に有用である、ジヒドロピラゾール化合物に関する。本発明は、また、これらの化合物を含む組成物、ほ乳類において癌を治療するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有糸分裂キネシン、特に、有糸分裂キネシンKSPの阻害剤であり、細胞増殖性疾患、例えば、癌、過形成、再狭窄、心臓肥大、免疫不全及び炎症の治療に有用である、ピラゾール及びジヒドロピラゾール化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
タキサン及びビンカアルカロイドは、癌を治療するために用いられる治療の1つである。タキサン及びビンカアルカロイドは、種々の細胞組織中に存在する微小管上で作用する。微小管は、紡錘体の主要な構成要素である。紡錘体は、細胞分裂から生じる2個の娘細胞のそれぞれに対するゲノムの複製コピーを分配する役割を担う。これらの薬剤による紡錘体の崩壊(disruption)が、癌細胞分裂の阻害及び癌細胞死の誘導をもたらすと考えられている。しかし、微小管は、神経突起中の細胞内輸送のためのトラック(track)を含む、他のタイプの細胞組織を形成する。これらの薬剤は、紡錘体を特に標的としていないので、それらの有用性を限定する副作用を引き起こす。
【0003】
これらの薬剤の投与に関連する副作用を減少することができるなら、現実化される治療的有用性のために、癌の治療に用いられる薬剤の特異性の改良には、相当に関心が持たれる。伝統的に、癌の治療における劇的な改良は、新規なメカニズムを通じて作用する治療薬の同定と結びついている。この具体例にはタキサンだけでなく、トポイソメラーゼIの阻害剤のカンプトテシン類が含まれる。これらの観点の両方から、有糸分裂キネシンは、新規な抗癌剤の魅力のある標的である。
【0004】
有糸分裂キネシンは、紡錘体の集合及び機能にとって必須の酵素であるが、一般に他の微小管構造、例えば神経突起の一部ではない。有糸分裂キネシンは、有糸分裂の全ての段階の際に重要な役割を演じている。これらの酵素は、ATPの加水分解によって放出されたエネルギーを、微小管に沿った細胞質カーゴ(cellular cargoes)の指向性移動を誘導する機械力に変換する、“分子モーター”である。この仕事のために十分な触媒ドメインは、約340アミノ酸のコンパクトな構造となっている。有糸分裂の間、キネシンは、微小管を、紡錘体である双極性(バイポーラ)構造に編成される。キネシンは、紡錘微細管に沿った染色体の移動、及び、有糸分裂の特定の段階と関連する紡錘体における構造の変化を媒介する。有糸分裂キネシン機能の実験的な混乱(perturbation)により、紡錘体の形成異常又は機能障害が引き起こされ、しばしば、細胞周期停止及び細胞死が引き起こされる。
【0005】
KSPは、同定された有糸分裂キネシンの1つである。KSPは、逆平行のホモ二量体からなるバイポーラホモ四量体に構築される、プラスエンドに配向する微小管モーターの進化的に保存されたキネシンサブファミリーに属する。有糸分裂の間、KSPは、紡錘体の微小管と関連する。KSPに対する抗体をヒト細胞へマイクロインジェクションすることで、分裂前中期の際の紡錘体極の分離が防止され、単極紡錘体が生じ、核分裂停止及びプログラムされた細胞死の誘導が引き起こされる。人間以外の有機体中のKSP及び関連キネシンは、逆平行の微小管を束ね、そして、互いにそれらを関連するようにすべらせ、2つの紡錘体極を強制的に離す。KSPは、また、減数分裂B紡錘体伸延において介在することができ、紡錘体極で微小管に集中する。
【0006】
ヒトKSP(HsEg5とも呼ばれる)は以下に開示されており[Blangy,ら,Cell,83:1159−69(1995);Whitehead,ら,Arthritis Rheum.,39:1635−42(1996);Galgioら,J.Cell Biol.,135:339−414(1996);Blangy,ら,JBiol.Chem.,272:19418−24(1997);Blangy,ら,Cell Motil Cytoskeleton,40:174−82(1998);Whitehead及びRattner,J.Cell Sci.,111:2551−61(1998);Kaiser,ら,JBC274:18925−31(1999);GenBank受け入れ番号:X85137,NM004523及びU37426]、KSP遺伝子(TRIP5)の断片は以下に開示されている[Lee,ら,Mol Endocrinol.,9:243−54(1995);GenBank受け入れ番号L40372]。アフリカツメガエルのKSP相同体(Eg5)、及びショウジョウバエK−LP61 F/KRP130が報告されている。
【0007】
最近、特定のキナゾリノンが、KSPの阻害剤であることが開示された(PCT出願WO01/30768、2001年5月3日)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の要約
有糸分裂キネシンは、新規な有糸分裂化学療法剤の発見及び開発のための魅力のある標的である。従って、本発明の目的は、有糸分裂キネシン、KSPの阻害に有用な化合物、方法及び組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、細胞増殖性疾患の治療、KSPキネシン活性に関連する障害の治療、及びKSPキネシンの阻害に有用である、ピラゾール及びジヒドロピラゾールに関する。本発明の化合物は、式Iにより示される。
【0010】
【化1】

【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の詳細な記述
本発明の化合物は、有糸分裂キネシンの阻害において有用であり、式I:
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、aは、独立して、0又は1であり;
bは、独立して、0又は1であり;
mは、独立して、0、1又は2であり、
nは、0ないし3であり;
pは、0、1、2又は3であり;
qは、0、1、2又は3であり;
uは、2、3、4又は5であり;
破線は任意の二重結合を表わし;
は、
1)(C=X)C−C10アルキル、
2)(C=X)アリール、
3)(C=X)C−C10アルケニル、
4)(C=X)C−C10アルキニル、
5)(C=X)C−Cシクロアルキル、
6)(C=X)ヘテロシクリル、
7)(C=X)NR
8)(C=X)OC−C10アルキル、
9)(CO)H、
10)SONR
11)SO−C10アルキル、
12)SO−C10アリール、
13)SO−C10ヘテロシクリル、
14)C−C10アルキル、
15)アリール、
16)ヘテロアリール、
17)(CH(C=O)C−C10アルキル、
18)(CH(C=O)NR
19)3−ピロリジノニル、3−ピペリジノニル、2−シクロペンタノニル、2−シクロヘキサノニル、
20)(C=O)(C=O)C−C10アルキル、
21)(C=O)(C=O)NR
22)(C=O)(C=O)O C−C10アルキル
から選択され、ここで、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール及びヘテロシクリルは、Rから選択される1個以上の置換基で置換されてもよく;
及びRは、独立して、
1)(C=O)−C10アルキル、
2)(C=O)−Cシクロアルキル、
3)COH、
4)ハロ、
5)CN、
6)OH、
7)O−Cペルフルオロアルキル、
8)O(C=O)NR
9)S(O)
10)S(O)NR、及び
11)−ORp;
から選択され、ここで、前記アルキル及びシクロアルキルは、Rから選択される、1、2又は3個の置換基で置換されてもよく;
は、
1)水素
2)C−C10アルキル、
3)C−C10アルケニル、
4)C−C10アルキニル、
5)(C−C−アルキレン)−Cシクロアルキル、
6)C−C10アルキル−(C=O)−NRc’
7)C−C10アルケニル−(C=O)NRc’
8)C−C10アルキニル−(C=O)NRc’
9)(C−C−アルキレン)−Cシクロアルキル−(C=O)NRc’
10)C−C10アルキル−S(O)−R
11)C−C10アルケニル−S(O)−R
12)C−C10アルキニル−S(O)−R
13)(C−C−アルキレン)−Cシクロアルキル−S(O)−R
から選択され、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル及びシクロアルキルは、Rから選択される、1個以上の置換基で置換されていてもよく;又は、破線が二重結合を表わす場合、Rは存在せず;
は独立して、
1)水素、
2)C−C10アルキル、
3)アリール、
4C−C10アルケニル、
5)C−C10アルキニル
6)ヘテロシクリル、
7)CO
8)OH、
9)C−Cペルフルオロアルキル、
10)O(C=O)NR
11)S(O)
12)S(O)NR
13)CHO、
14)C−Cシクロアルキル、又は
15)−ORp;
であり、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、及びシクロアルキルは、Rから選択される、1個以上の置換基で任意に置換されおり;
は、独立して、
1)(C=O)(C−C10)アルキル、
2)O(C−C)ペルフルオロアルキル、
3)オキソ、
4)OH
5)ハロ
6)CN、
7)(C−C10)アルケニル、
8)(C−C10)アルキニル、
9)(C=O)(C−C)シクロアルキル、
10)(C=O)(C−C)アルキレン−アリール、
11)(C=O)(C−C)アルキレン−ヘテロシクリル、
12)(C=O)(C−C)アルキレン−N(R
13)C(O)R
14)(C−C)アルキレン−CO
15)C(O)H、
16)(C−C)アルキレン−COH、
17)C(O)N(R
18)S(O)
19)S(O)NR、及び
20)−ORp、
から選択され、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール及びヘテロシクリルは、R、OH、(C−C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C−Cアルキル、オキソ、及びN(Rから選択される3個までの置換基で置換されていてもよく;又は
同じ炭素原子に結合する2個のRが一緒になって、−(CH−を形成し、ここで、vは、3ないし6であり、1個又は2個の炭素原子が、O、S(O)、−N(R)C(O)−、−N(R)−及び−N(COR)−から選択される部分で置換されてもよく;
及びRは、独立して、
1)H、
2)(C=O)O−C10アルキル、
3)(C=O)O−Cシクロアルキル
4)(C=O)Oアリール、
5)(C=O)Oヘテロシクリル、
6)C−C10アルキル、
7)アリール、
8)C−C10アルケニル、
9)C−C10アルキニル、
10)ヘテロシクリル、
11)C−Cシクロアルキル、
12)SO、及び
13)(C=O)NR
から選択され、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル及びアルキニルは、Rから選択される1、2又は3個の置換基で置換されてもよく;又は、
及びRは、それらが結合する窒素と一緒になって、単環式又は二環式複素環(各環に5ないし7個のメンバーを有し、また、窒素に加え、N、O及びSから選択される1又は2個の追加のヘテロ原子を含んでもよい。)を形成してもよく、前記単環式又は二環式複素環は、Rから選択される、1、2又は3個の置換基で置換されてもよく;
は、独立して、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、アリール、及びヘテロシクリルから選択され、
は、独立して、H、(C−C)アルキル、アリール、ヘテロシクリル、(C−C)シクロアルキル、(C=O)OC−Cアルキル、(C=O)C−Cアルキル又はS(O)から選択され;及び
及びRc’は、独立して、H、(C−C)アルキル、アリール、NH、OH、OR、−(C−C)アルキル−OH、−(C−C)アルキル−O−(C−C)アルキル、(C=O)OC−Cアルキル、(C=O)C−Cアルキル、(C=O)アリール、(C=O)ヘテロシクリル、(C=O)NRd’、S(O)及び−(C−C)アルキル−N(Rから選択され、ここで前記アルキルは、Rから選択される1、2又は3個の置換基で置換されてもよく;又は
及びRc’は、それらが結合する窒素と一緒になって、単環式又は二環式複素環(各環に3ないし7個のメンバーを有し、また、窒素に加え、N、O及びSから選択される1又は2個の追加のヘテロ原子を含んでもよい。)を形成してもよく、前記単環式又は二環式複素環は、Rから選択される、1、2又は3個の置換基で置換されてもよく;
及びRd’は、独立して、H、(C−C)アルキル、アリール、ヘテロシクリル、及び(C−C)シクロアルキルから選択され、これらは、Rから選択される1、2又は3個の置換基で置換されてもよく;又は
及びRd’は、それらが結合する窒素と一緒になって、単環式又は二環式複素環(各環に3ないし7個のメンバーを有し、また、窒素に加え、N、O及びSから選択される1又は2個の追加のヘテロ原子を含んでもよい。)を形成してもよく、前記単環式又は二環式複素環は、Rから選択される、1、2又は3個の置換基で置換されてもよく;及び
Rpは、−PO(OH)、−PO(R、−C(O)CHCHCHOPO(OH)、C(O)CHCHCHOPO(R、−CHOPO(OH)、−CHOPO(R、−C(O)(CHRNR、−C(O)(CHRNR、−CHOC(O)(CHRNR、−CHOC(O)(CHRNR、及び
【0014】
【化3】

【0015】
から選択される。)
の化合物、又はその薬学的に許容される塩又は立体異性体によって示される。
【0016】
本発明の更なる実施態様は、式II:
【0017】
【化4】

【0018】
(式中、aは、独立して、0又は1であり;
bは、独立して、0又は1であり;
mは、独立して、0、1又は2であり、
nは、0ないし3であり;
pは、0、1、2又は3であり;
qは、0、1、2又は3であり;
uは、2、3、4又は5であり;
は、
1)(C=O)C−C10アルキル、
2)(C=O)C−Cシクロアルキル、
3)(C=O)NR
4)(C=O)OC−C10アルキル、
5)SONR
6)SO−C10アルキル、
7)C−C10アルキル、
8)(CH(C=O)C−C10アルキル、
9)(CH(C=O)NR
から選択され、ここで、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール及びヘテロシクリルは、Rから選択される、1個以上の置換基で置換されてもよく;又は
及びRは、独立して、
1)ハロ、
2)CN、
3)OH、
4)O−Cペルフルオロアルキル、
5)O(C=O)NR
6)S(O)
7)S(O)NR、及び
8)−OPO(OH)
から選択され、ここで、前記アルキル及びシクロアルキルは、Rから選択される1、2又は3個の置換基で置換されてもよく;
2aは水素又はハロゲンであり;
は、
1)水素、
2)C−C10アルキル、
3)(C−C−アルキレン)−Cシクロアルキル、
4)C−C10アルキル−(C=O)−NRc’
5)(C−C−アルキレン)−Cシクロアルキル−(C=O)NRc’
6)C−C10アルキル−S(O)−R
7)(C−C−アルキレン)−Cシクロアルキル−S(O)−R
から選択され、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル及びシクロアルキルは、Rから選択される1個以上の置換基で置換されてもよく;
は、独立して、
1)水素、
2)C−C10アルキル、
3)アリール、
4)C−C10アルケニル、
5)C−C10アルキニル、
6)ヘテロシクリル、
7)CO
8)OH、
9)C−Cペルフルオロアルキル、
10)O(C=O)NR
11)S(O)
12)S(O)NR
13)CHO、又は
14)C−Cシクロアルキル
であり、ここで、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、及びシクロアルキルは、Rから選択される1個以上の置換基で置換されてもよく;
は、独立して、
1)(C=O)(C−C10)アルキル、
2)O(C−C)ペルフルオロアルキル、
3)オキソ、
4)OH、
5)ハロ、
6)CN、
7)(C−C10)アルケニル、
8)(C−C10)アルキニル、
9)(C=O)(C−C)シクロアルキル、
10)(C=O)(C−C)アルキレン−アリール、
11)(C=O)(C−C)アルキレン−ヘテロシクリル、
12)(C=O)(C−C)アルキレン−N(R
13)C(O)R
14)(C−C)アルキレン−CO
15)C(O)H、
16)(C−C)アルキレン−COH、
17)C(O)N(R
18)S(O)、及び
19)S(O)NR
から選択され、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロシクリルは、R、OH、(C−C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C−Cアルキル、オキソ、及びN(Rから選択される3個までの置換基で置換されていてもよく;又は、
同じ炭素原子に結合する2個のRが一緒になって、−(CH−を形成し、ここでuは、3ないし6であり、1個又は2個の炭素原子が、O、S(O)、−N(R)C(O)−、−N(R)−及び−N(COR)−から選択される部分で置換されてもよく;
及びRは、独立して、
1)H、
2)(C=O)O−C10アルキル、
3)(C=O)O−Cシクロアルキル、
4)(C=O)Oアリール、
5)(C=O)Oヘテロシクリル、
6)C−C10アルキル、
7)アリール、
8)C−C10アルケニル、
9)C−C10アルキニル、
10)ヘテロシクリル、
11)C−Cシクロアルキル、
12)SO、及び
13)(C=O)NR
から選択され、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル、及びアルキニルは、Rから選択される、1、2又は3個の置換基で置換されてもよく;
及びRは、それらが結合する窒素と一緒になって、単環式又は二環式複素環(各環に5ないし7個のメンバーを有し、また、窒素に加え、N、O及びSから選択される1又は2個の追加のヘテロ原子を含んでもよい。)を形成してもよく、、前記単環式又は二環式複素環は、Rから選択される、1、2又は3個の置換基で置換されてもよく;
は、独立して、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、アリール、及びヘテロシクリルから選択され;
は、独立して、H、(C−C)アルキル、アリール、ヘテロシクリル、(C−C)シクロアルキル、(C=O)OC−Cアルキル、(C=O)C−Cアルキル又はS(O)から選択され;及び
及びR’は、独立して、H、(C−C)アルキル、アリール、NH、OH、OR、−(C−C)アルキル−OH、−(C−C)アルキル−O−(C−C)アルキル(C=O)OC−Cアルキル、(C=O)C−Cアルキル、(C=O)アリール、(C=O)ヘテロシクリル、(C=O)NRd’、S(O)及び−(C−C)アルキル−N(Rから選択され、ここで、前記アルキルは、Rから選択される1、2又は3個の置換基で置換されてもよく;又は
及びR’は、それらが結合する窒素と一緒になって、単環式又は二環式複素環(各環に3ないし7個のメンバーを有し、また、窒素に加え、N、O及びSから選択される1又は2個の追加のヘテロ原子を含んでもよい。)を形成してもよく、前記単環式又は二環式複素環は、Rから選択される、1、2又は3個の置換基で置換されてもよく;
及びRd’は、独立して、Rから選択される、1、2又は3個の置換基で置換されてもよい、H、(C−C)アルキル、アリール、ヘテロシクリル及び(C−C)シクロアルキルから選択され;又は、
及びRd’は、それらが結合する窒素と一緒になって、単環式又は二環式複素環(各環に3ないし7個のメンバーを有し、また、窒素に加え、N、O及びSから選択される1又は2個の追加のヘテロ原子を含んでもよい。)を形成してもよく、前記単環式又は二環式複素環は、Rから選択される、1、2又は3個の置換基で置換されてもよい。)
で表わされる化合物、又はその薬学的に許容される塩又は立体異性体によって示される。
【0019】
本発明の更なる実施態様は、式III:
【0020】
【化5】

【0021】
(式中、aは、独立して、0又は1であり;
bは、独立して、0又は1であり;
mは、独立して、0、1又は2であり;
nは、0ないし3であり;
pは、0、1、2又は3であり;
qは、0、1、2又は3であり;
uは、2、3、4又は5であり;
は、
1)(C=O)C−C10アルキル、
2)(C=O)C−Cシクロアルキル、
3)(C=O)NR
4)(C=O)OC−C10アルキル、
5)SONR
6)SO−C10アルキル、
7)C−C10アルキル、
8)(CH(C=O)C−C10アルキル、
9)(CH(C=O)NR
から選択され、ここで、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール及びヘテロシクリルは、Rから選択される、1個以上の置換基で置換されてもよく;
2aは、水素又はハロゲンであり;
2bは、水素、ハロゲン及びOHから選択され;
は、
1)水素、
2)C−C10アルキル、
3)(C−C−アルキレン)−Cシクロアルキル、
4)C−C10アルキル−(C=O)−NRc’
5)(C−C−アルキレン)−Cシクロアルキル−(C=O)NRc’
6)C−C10アルキル−S(O)−R
7)(C−C−アルキレン)−Cシクロアルキル−S(O)−R
から選択され、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル及びシクロアルキルは、Rから選択される、1個以上の置換基で置換されてもよく;
は、独立して、
1)(C=O)−C10アルキル、
2)(C=O)アリール、
3)C−C10アルケニル、
4)C−C10アルキニル、
5)(C=O)ヘテロシクリル、
6)COH、
7)ハロ、
8)CN、
9)OH、
10)O−Cペルフルオロアルキル、
11)O(C=O)NR
12)S(O)
13)S(O)NR
14)オキソ、
15)CHO、
16)(N=O)R、又は
17)(C=O)−Cシクロアルキル、
から選択され、ここで、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル及びシクロアルキルは、Rから選択される、1個以上の置換基で置換されてもよく;
は、独立して、
1)(C=O)(C−C10)アルキル(ここで、r及びsは、独立して、0又は1である。)、
2)O(C−C)ペルフルオロアルキル(ここで、rは、0又は1である。)、
3)オキソ、
4)OH、
5)ハロ、
6)CN、
7)(C−C10)アルケニル、
8)(C−C10)アルキニル、
9)(C=O)(C−C)シクロアルキル、
10)(C=O)(C−C)アルキレン−アリール、
11)(C=O)(C−C)アルキレン−ヘテロシクリル、
12)(C=O)(C−C)アルキレン−N(R
13)C(O)R
14)(C−C)アルキレン−CO
15)C(O)H、
16)(C−C)アルキレン−COH、及び
17)C(O)N(R
18)S(O)、及び
19)S(O)NR
から選択され、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロシクリルは、R、OH、(C−C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C−Cアルキル、オキソ、及びN(Rから選択される3個までの置換基で置換されていてもよく;又は
同じ炭素原子に結合する2個のRが一緒になって、−(CH−を形成し、ここでuは、3ないし6であり、1個又は2個の炭素原子が、O、S(O)、−N(R)C(O)−、−N(R)−及び−N(COR)−から選択される部分で置換されてもよく;
及びRは、独立して、
1)H、
2)(C=O)O−C10アルキル、
3)(C=O)O−Cシクロアルキル、
4)(C=O)Oアリール、
5)(C=O)Oヘテロシクリル、
6)C−C10アルキル、
7)アリール、
8)C−C10アルケニル、
9)C−C10アルキニル、
10)ヘテロシクリル、
11)C−Cシクロアルキル、
12)SO、及び
13)(C=O)NR
から選択され、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル、及びアルキニルは、Rから選択される、1、2又は3個の置換基で置換されてもよく;又は、
及びRは、それらが結合する窒素と一緒になって、単環式又は二環式複素環(各環に5ないし7個のメンバーを有し、また、窒素に加え、N、O及びSから選択される1又は2個の追加のヘテロ原子を含んでもよい。)を形成してもよく、、前記単環式又は二環式複素環は、Rから選択される、1、2又は3個の置換基で置換されてもよく;
は、独立して、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、アリール、及びヘテロシクリルから選択され;
は、独立して、H、(C−C)アルキル、アリール、ヘテロシクリル、(C−C)シクロアルキル、(C=O)OC−Cアルキル、(C=O)C−Cアルキル又はS(O)から選択され;及び
及びRc’は、独立して、H、(C−C)アルキル、アリール、NH、OH、OR、−(C−C)アルキル−OH、−(C−C)アルキル−O−(C−C)アルキル(C=O)OC−Cアルキル、(C=O)C−Cアルキル、(C=O)アリール、(C=O)ヘテロシクリル、(C=O)NRd’、S(O)及び−(C−C)アルキル−N(Rから選択され、ここで、前記アルキルは、Rから選択される1、2又は3個の置換基で置換されてもよく;又は
及びR’は、それらが結合する窒素と一緒になって、単環式又は二環式複素環(各環に3ないし7個のメンバーを有し、また、窒素に加え、N、O及びSから選択される1又は2個の追加のヘテロ原子を含んでもよい。)を形成してもよく、前記単環式又は二環式複素環は、Rから選択される、1、2又は3個の置換基で置換されてもよく;
及びR’は、独立して、Rから選択される、1、2又は3個の置換基で置換されてもよい、H、(C−C)アルキル、アリール、ヘテロシクリル及び(C−C)シクロアルキルから選択され;又は、
及びRd’は、それらが結合する窒素と一緒になって、単環式又は二環式複素環(各環に3ないし7個のメンバーを有し、また、窒素に加え、N、O及びSから選択される1又は2個の追加のヘテロ原子を含んでもよい。)を形成してもよく、前記単環式又は二環式複素環は、Rから選択される、1、2又は3個の置換基で置換されてもよい。)
で表わされる化合物、又はその薬学的に許容される塩又は立体異性体によって示される。
【0022】
本発明の特定の具体例には、
(±)−1−[4−[3−(4−アセチルピペラジン−1−イル)プロピル]−1−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン、
(±)−1−[4−[3−(4−アセチルピペラジン−1−イル)プロピル]−1−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン、
(±)−1−[4−[3−(4−アセチルピペラジン−1−イル)プロピル]−1−(2,5−ジフルオロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン、
(±)−1−[4−[3−(4−アセチルピペラジン−1−イル)プロピル]−1−(2−フルオロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン、
(±)−1−[4−[3−(4−アセチルピペラジン−1−イル)プロピル]−1−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン、
(±)−4−アリル−1−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル
(±)−1−[4−アリル−1−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン、
(±)−4−アリル−1−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル、
(±)−4−アリル−1−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−N−メトキシ−N−メチル−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド、
(±)−4−アリル−1−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル)−N−メトキシ−N−メチル−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド、
(±)−1−[1−(2,5−ジフルオロフェニル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾールl−3−イル]エタノン、
(±)−1−(2,5−ジフルオロフェニル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)−N−メトキシ−N−メチル−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド、
(±)−1−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)−N−メトキシ−N−メチル−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド、
(±)−1−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)−N−メトキシ−N−メチル−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド、
(±)−1−[1−(2−フルオロ−5−トリフルオロフェニル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン、
(±)−1−[1−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン、
(±)−1−[4−[3−モルホリニルプロピル]−1−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン、
(±)−1−[4−[3−ジメチルアミノプロピル]−1−(2,5−ジフルオロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン、
(±)−1−[4−[3−(3−フルオロアゼチジン−1−イル)プロピル]−1−(2−フルオロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン、
(±)−1−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)−N−メトキシ−N−メチル−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド、
(±)−1−[4−[3−(4−アセチルピペラジン−1−イル)プロピル]−1−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン(2−2)、
(+)−1−[4−[3−(4−アセチルピペラジン−1−イル)プロピル]−1−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン、
(−)−1−[4−[3−(4−アセチルピペラジン−1−イル)プロピル]−1−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン、
(±)−(1−[4−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−1−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン、
(+)−(1−[4−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−1−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン、
(−)−(1−[4−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−1−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン、
(±)−1−[1−(3−フルオロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1Hピラゾール−3−イル]エタノン、
1−[1−(2,5−ジフルオロフェニル)−4−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン又はその薬学的に許容される塩又は立体異性体が含まれる。
【0023】
本発明の化合物は、不斉中心、キラル軸及びキラル面を有していてもよく(E.L.Eliel and S.H.Wilen,炭素化合物の立体化学,John Wiley及びSons,New York,1994,1119−1190頁に開示されているように)、光学異性体を含む、全ての可能な異性体及びその混合物を有するラセミ化合物、ラセミ混合物、及び個々のジアステレオマーとして存在し、このような全ての立体異性体は本発明に含まれる。更に、本明細書で開示された化合物は互変異性体として存在してもよく、たとえ1種のみの互変異性体の構造が示されたとしても、両方の互変異性体が本発明の範囲に含まれることが意図される。
【0024】
任意の変数(例えばR,R,R等)が、任意の構成中で1度以上使用される場合、各場合におけるその定義は、その他の全ての場合から独立している。また、置換基及び変化の組み合わせは、このような組み合わせが安定な化合物を生じる場合にのみ許容される。置換基からの環構造に引き入れられる線は、示された結合が置換可能な環原子のいずれかに結合することを表わす。環構造が多環式である場合、結合は、隣接した環上の適当な炭素原子のいずれかにのみ結合すると理解される。
【0025】
本発明の化合物の置換基及び置換パターンは、当業者によって選択することができ、化学的に安定で、かつ当該技術分野において公知の技術、及び容易に入手可能な材料から後述する方法によって容易に合成することができる化合物を得ることができると理解される。置換基自身が1個以上の基で置換されている場合、これらの複数の置換基は、安定な構造が得られる限り、同一の炭素又は異なる炭素原子上に存在してもよい。「1個以上の置換基で置換されてもよい」なる語句は、「少なくとも1個の置換基で置換されてもよい」なる語句と等しく、そのような場合、他のケースの実施態様は0ないし3個の置換基を有する。
【0026】
本明細書で用いられる「アルキル」は、特定の数の炭素原子を有する、分枝鎖状及び直鎖状の両方の飽和脂肪族炭化水素基を含むことを意味する。例えば、「C−C10アルキル」におけるC−C10は、直鎖状又は分枝鎖状配列中に、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の炭素を有する基を含むことを意味する。例えば、「C−C10アルキル」には、特に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等が含まれる。「シクロアルキル」なる用語は、特定の数の炭素原子を有する、単環式飽和芳香族炭化水素基を意味する。例えば、「シクロアルキル」には、シクロプロピル、メチル−シクロプロピル、2,2−ジメチルシクロブチル、2−エチル−シクロペンチル、シクロヘキシル等が含まれる。本発明の実施態様において、「シクロアルキル」なる用語には、前記に記載した基が含まれ、更に、単環式不飽和脂肪族炭化水素基が含まれる。例えば、この実施態様において定義される「シクロアルキル」には、シクロプロピル、メチル−シクロプロピル、2,2−ジメチル−シクロブチル、2−エチル−シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンテニル、シクロブテニル等が含まれる。
【0027】
「アルキレン」なる用語は、特定の数の炭素原子を有する炭化水素ジラジカル基を意味する。例えば、「アルキレン」には、−CH−,−CHCH−等が含まれる。
【0028】
「C−Cアラルキル」及び「C−Cヘテロアラルキル」なる語句中で用いられる場合、「C−C」なる用語は、置換基のアルキル部分を意味し、置換基のアリール及びヘテロアリール部分中の原子数を表していない。
【0029】
「アルコキシ」は、酸素橋(oxygen bridge)を通じて結合した、表示された炭素原子数の、環状又は非環式のアルキル基のいずれかを表わす。従って、「アルコキシ」には、上記アルキル及びシクロアルキルの定義が含まれる。
【0030】
炭素原子数が特定されない場合、「アルケニル」なる用語は、直鎖状、分枝鎖状又は環式の、2〜10個の炭素原子と、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合とを含む、非芳香族炭化水素基を意味する。好ましくは、1個の炭素−炭素二重結合が存在し、4個までの非芳香族炭素−炭素二重結合が存在してもよい。従って、「C−Cアルケニル」は、2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基を意味する。アルケニル基には、エテニル、プロペニル、ブテニル、2−メチルブテニル及びシクロヘキセニルが含まれる。置換されたアルケニル基が示される場合、アルケニル基の直鎖状、分枝鎖状又は環状部分は二重結合を含み、置換されてもよい。
【0031】
「アルキニル」なる用語は、2〜10個の炭素原子と、及び少なくとも1個の炭素−炭素三重結合とを含む、直鎖状、分枝鎖状又は環式の炭化水素基を意味する。3個までの炭素−炭素三重結合が存在してもよい。従って、「C−Cアルキニル」は、2〜6個の炭素原子を有するアルキニル基を意味する。アルキニル基には、エチニル、プロピニル、ブチニル、3−メチルブチニル等が含まれる。置換されたアルキニル基が示される場合、アルキニル基の直鎖状、分枝鎖状又は環状部分は三重結合を含み、置換されてもよい。
【0032】
特定の具体例において、置換基は、例えば、(C−C)アルキレン−アリール等のように、0を含む炭素数の範囲を用いて定義される。アリールがフェニルである場合、この定義には、フェニル及び−CHPh,−CHCHPh,CH(CH)CHCH(CH)Ph等が含まれる。
【0033】
本明細書で用いられる「アリール」は、各環中に7個までの原子を含み、少なくとも1個の環が芳香族である、安定な単環式又は二環式炭素環のいずれかを意味する。このようなアリール基の具体例には、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル及びビフェニルが含まれる。アリール基が二環式であり、1個の環が非芳香族であるケースにおいては、結合は芳香環によると理解される。
【0034】
本明細書で用いられる「ヘテロアリール」なる用語は、各環中に7個までの原子を含み、少なくとも1個の環が芳香族であり、O、N及びSからなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子を含む、安定な単環式又は二環式環を表わす。この定義の範囲内のヘテロアリール基には、アクリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、キノキサリニル、ピラゾリル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、フラニル、チエニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、テトラヒドロキノリンが含まれるがこれらに限定されない。以下のヘテロシクリルの定義と同様、「ヘテロアリール」には、また、窒素含有ヘテロアリールのいずれかのN−オキシド誘導体が含まれることが理解される。ヘテロアリール基が二環式であり、1個の環が非芳香族であるか、又は、ヘテロ原子を含まないケースにおいては、結合は、それぞれ、芳香環を通じるか又は環を含むヘテロ原子を通じるものであることが理解される。
【0035】
本明細書で用いられる「複素環」(heterocycle)又は「ヘテロシクリル」(heterocyclyl)なる用語は、O、N及びSからなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子を含み二環式基を含む、3〜10員環の芳香族又は非芳香族複素環を意味する。従って、「ヘテロシクリル」には、上述したヘテロアリール、及び、そのジヒドロ及びテトラヒドロ誘導体が含まれる。「ヘテロシクリル」のさらなる具体例には、以下の、アゼチジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソオキサゾリン、オキセタニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピリジン−2−オニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾリル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロチエニル、及びそれらのN−オキシドが含まれるが、これらに限定されない。ヘテロシクリル基の結合は、炭素原子又はヘテロ原子を通して存在してもよい。
【0036】
一実施態様において、本明細書で用いられる「複素環」又は「ヘテロシクリル」なる用語は、O、N及びSからなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子を含み二環式基を含む、5〜10員環の芳香族又は非芳香族複素環を意味する。従って、本実施態様における「ヘテロシクリル」には、上述したヘテロアリール、及び、そのジヒドロ及びテトラヒドロ誘導体が含まれる。「ヘテロシクリル」のさらなる具体例には、以下の、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソオキサゾリン、オキセタニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピリジン−2−オニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾリル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロチエニル、及びそれらのN−オキシドが含まれるが、これらに限定されない。ヘテロシクリル基の結合は、炭素原子又はヘテロ原子を通して存在してもよい。
【0037】
他の実施態様においては、複素環は、2−アゼピノン、ベンズイミダゾリル、2−ジアザピノン、イミダゾリル、2−イミダゾリジノン、インドリル、イソキノリニル、モルホリニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、ピロリジニル、2−ピペリジノン、2−ピリミジノン、2−ピロリジノン、キノリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル及びチエニルから選択される。
【0038】
当業者によって認識されるように、本明細書で用いられる「ハロ」又は「ハロゲン」は、クロロ、フルオロ、ブロモ及びヨードを含むことを意味する。
【0039】
特に別に定義しない限りは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリル基は、置換されていても、置換されていなくてもよい。例えば、(C−C)アルキルは、OH、オキソ、ハロゲン、アルコキシ、ジアルキルアミノ、又はモルホリニル、ピペリジニル等のヘテロシクリルから選択される、1、2又は3個の置換基で置換されていてもよい。このケースにおいて、1個の置換基がオキソであり、他の置換基がOHである場合、この定義に、以下の、−(C=O)CHCH(OH)CH,−(C=O)OH,−CH(OH)CHCH(O)などが含まれる。
【0040】
及びR上の定義中にあるように、同じ炭素原子上の(2個の)置換基が一緒になって−(CH−を形成するときの基は、以下に例示される。
【0041】
【化6】

【0042】
更に、このような環状部分は、任意に1又は2個のヘテロ原子を含んでもよい。このようなヘテロ原子含有環状部分は、下記を含むがこれらに限定されない。
【0043】
【化7】

【0044】
特定の例においては、R及びRは、それらが結合する窒素と一緒になって、単環又は2環式複素環(各環において5ないし7員環を有し、また、窒素に加え、N、O及びSから選択される1又は2個の追加のヘテロ原子を含んでもよい。)を形成し、前記複素環が、Rから選択される、1個以上の置換基で置換されてもよい、ものであると定義される。このようにして形成することのできる複素環には、以下のものが含まれるが、これらに限定されず、複素環が、Rから選択される1個以上(他の実施態様においては、1、2又は3個)の置換基で置換されてもよいことに留意する。
【0045】
【化8】

【0046】
一実施態様においては、Rは、Rから選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい、(C=O)NR、−(C=O)C−C10アルキル及び−SO−Cアルキルから選択される。
更なる実施態様においては、Rは、R10から選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい、アセチル、アミノカルボニル、N,N−ジメチルアミノカルボニル、メチルスルホニル、エチルスルホニル又はアミノメチルカルボニルである。
【0047】
一実施態様においては、Rは、独立して、C−C10アルキル、ハロ、トリフルオロメチル及びOHから選択される。
【0048】
式IIで表わされる化合物の一実施態様においては、Rは、独立して、ハロ及びOHから選択され、R2aは、C−C10アルキル、ハロ、トリフルオロメチル及びOHから選択される。式IIで表される化合物の実施態様の他の側面においては、pが1であり、Rがフルオロである。
【0049】
一実施態様においては、qが1であり、RがOHである。
【0050】
他の実施態様においては、qが0である。
【0051】
一実施態様においては、Rは、Rから選択される1〜2個の置換基で置換されてもよい、水素、−C−C10アルキル及び−C−C10アルキル−NRc’から選択される。
【0052】
式IIIで表される化合物の一実施態様においては、R2aは、水素及びハロから選択され;R2bはハロから選択され;Rは、Rから選択される1〜3個の置換基で置換されてもよい、(C=O)NR、−(C=O)C−C10アルキル、及びSO−Cアルキルから選択され;及びRは、Rから選択される1〜2個の置換基で置換されてもよい、−C−C10アルキル、及び−C−C10アルキル−NRc’から選択される。
【0053】
本発明に含有されるものは、式Iで表される化合物のフリー体、及びその薬学的に許容される塩及び立体異性体である。本明細書に例示される、いくつかの特定の化合物は、アミン化合物のプロトン化塩である。「フリー体」(free form)なる用語は、塩の形態でないアミン化合物を意味する。包含される薬学的に許容される塩は、本明細書に開示された特定の化合物について例示された塩のみならず、式Iで表される化合物のフリー体の、通常の薬学的に許容される塩をも含む。開示された特定の塩化合物のフリー体は、当該技術分野で公知の方法を用いて分離することができる。例えば、フリー体は、塩を、適当な、塩基の希薄溶液(例えば、希薄水性NaOH、炭酸カリウム、アンモニウム及び重炭酸ナトリウム等)と処理することによって再生することができる。フリー体は、それぞれの塩形態とは、極性溶媒における溶解性等の特定の物性において多少異なるが、酸塩及び塩基塩は、本発明の目的のためには、その他の点では、それぞれのフリー体と薬学的に等価である。
【0054】
本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、通常の化学的方法によって、塩基性又は酸性部分を含む本発明の化合物から合成することができる。一般に、塩基性化合物の塩は、イオン交換クロマトグラフィーによるか、又は適当な溶媒中、又は種々の溶媒の組み合わせ中でフリーの塩基を化学量論的量又は過剰量の所望の塩形成無機又は有機酸と反応させるのいずれかによって調整される。同様に、酸性化合物の塩基は、適当な無機又は有機塩基との反応によって形成される。
【0055】
従って、本発明の化合物の薬学的に許容される塩には、塩基性の本発明の化合物を、無機又は有機酸と反応させることにより形成されるような、本発明の通常の非毒性塩が含まれる。例えば、通常の非毒性塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸、等の無機酸から誘導される塩;酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ−安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタン二スルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸から誘導される塩が含まれる。
【0056】
本発明の化合物が酸性である場合、適当な「薬学的に許容される塩」は、無機塩基及び有機塩基を含む、薬学的に許容される非毒性塩基から製造される塩を意味する。無機塩基から由来する塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン塩、マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛等が含まれる。特に好ましくは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウム塩である。薬学的に許容される有機非毒性塩基から由来する塩には、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等の、一級、二級及び三級アミン、天然の置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂を含む、置換アミンが含まれる。本発明の化合物が酸性である場合、「フリー体」なる用語は、酸性の機能がまだプロトン化するような、非塩形態における化合物であることを意味する。
【0057】
上述した薬学的に許容される塩、及び他の典型的な薬学的に許容される塩は、Bergら,“薬学的塩”J.Pharm.Sci.,1977:66:1−19に更に十分に開示されている。
【0058】
生理的条件下で、化合物中の脱プロトン化された酸性部分、例えばカルボキシル基は陰イオン性であってもよく、次いで、この電荷は、四級窒素原子等の、プロトン化された、又はアルキル化された塩基部分の陽イオン性電荷に対して内部的に平衡を保つかもしれないしれないので、本発明の化合物は、潜在的に内部塩(internal salt)又は両性イオンであることが明記されよう。内部的に釣り合いのとれた電荷を有し、これによって分子間カウンターイオンと関係しない、分離された化合物は、また、化合物の「フリー体」と考えられる。
【0059】
本発明の化合物は、文献において公知であるか、実験手順に例示した、他の標準的操作に加え、以下のスキームに示すような反応を用いることによって製造することができる。
従って、以下に図示したスキームは、記載された化合物、又は説明の目的のために用いられた特定の置換基によって限定されない。スキーム中で示されるような置換基の番号は、請求項で用いられるものと必ずしも相関せず、明確にするため、しばしば、上述した式Iの定義において複数の置換基が許容される化合物に結合する、単一の置換基が示される。
【0060】
スキーム
スキームAに示すように、適切に置換されたフェニルヒドラジンA−1と、適切に置換されたアトロプアルデヒド(atropaldehyde)との反応により、ジヒドロピラゾールA−2が得られる。次いで、ビルスマイヤー反応条件下で中間体A−2との反応により、3−カルバルデヒド誘導体A−3が得られる。次に、中間体A−3は、種々の求核試薬と反応し、置換ヒドロキシメチルA−4が得られる。次いで、デスマーチンペルヨージナン(Dess−Martin Periodinate)酸化により、本発明の化合物A−5が得られる。
【0061】
スキームBは、1,4−ジアリールジヒドロピラゾールへの他のルートを示す。即ち、適切な置換メチル桂皮酸B−1が、アジ化メチルと反応して、4−アリールジヒドロピラゾール−3−カルボキシレートが得られる。次に、適切に置換されたフェニルボロン酸とのカップリングにより、化合物B−3が得られる。ワインレブ(Winereb)アミンとの処理により、中間体B−4が得られ、次に、これが、脱プロトン化し得て、適切なアルキル化剤と反応して、4,4−二置換中間体B−5が得られる。次に、このメトキシメチルアミノ部分の求核置換により、本発明の化合物B−6が得られる。
【0062】
スキームCは、1,4−ジアリールジヒドロピラゾールの4位への機能化アルキル側鎖の導入を示す。スキームに示されるように、このような側鎖は、適切に置換されたアミン部分を本発明の化合物C−4に導入するために用いることができる。
【0063】
スキームDは、本発明のピラゾール化合物の製造を示す。即ち、適切に置換されたアニリンが、ヒドラゾノエタノエートD−2に変換され、次に、これが、適切に置換されたモルホリノスチレンと一緒に環状化して、テトラ置換ジヒドロピロールD−4が得られる。このピラゾールは、トリフルオロ酢酸で再度芳香化され、本発明の化合物D−5が得られる。次いで、その3位のエステル上で機能的操作(functional manipulation)を実施することができる。
【0064】
【化9】

【0065】
【化10】

【0066】
【化11】

【0067】
【化12】

【0068】
有用性
本発明の化合物は、種々の応用において利用法が見い出せる。当業者によって認識されるように、有糸分裂が種々の手段(経路)で変化し得、すなわち、1つは、有糸分裂の経路における、ある成分の活性を増加させるか、又は減少させるか、いずれかによって有糸分裂に影響を及ぼすことができる。換言すると、有糸分裂は、特定の成分を阻害するか又は活性化するか、いずれかによって平衡状態を乱すことによって影響(例えば、混乱)され得る。同様のアプローチは、減数分裂を変化させるために用いてもよい。
【0069】
一実施態様において、本発明の化合物は、紡錘体形成を調節するために用いられ、これによって、有糸分裂における細胞周期停止の延長を引き起こす。本明細書による「調節」は、紡錘体形成の増加及び減少を含む、紡錘体形成の変化を意味する。本明細書による「紡錘体形成」は、有糸分裂キネシンにより、微小管が双極性構造へ組織化することを意味する。本明細書による「紡錘体機能障害」は、核分裂停止及び単極紡錘体形成を意味する。
【0070】
本発明の化合物は、有糸分裂キネシンに結合し、及び/又は、活性を調節するのに有用である。一実施態様において、有糸分裂キネシンは、有糸分裂キネシンのbimCサブファミリーのメンバーである(米国特許第6,284,480号明細書、カラム5に記載されているように)。更なる実施態様において、他の生物由来の有糸分裂キネシンの活性が本発明の化合物によって調節されるにもかかわらず、有糸分裂キネシンはヒトのKSPである。これに関連して、「調節」は、紡錘体極分裂を増加又は減少し、奇形を引き起こすことを意味し、すなわち、紡錘体極を広げること、又は紡錘体の形態学的な混乱を引き起こすことを意味する。また、これらの目的のためのKSPの定義内に含まれるものは、KSPの変異体及び/断片である。更に、他の有糸分裂キネシンは、本発明の化合物によって阻害される。
【0071】
本発明の化合物は、細胞増殖性疾患を治療するために用いられる。本明細書に提供された方法及び組成物によって治療することができる疾患には、癌(更に下記で議論する)、自己免疫疾患、関節炎、移植片拒絶(組織不適合性)、炎症性腸疾患、医療処置(手術、血管形成術等を含むがこれらに限定されない)後に誘発される増殖が含まれるが、これらに限定されない。いくつかのケースにおいて、細胞は過剰増殖又は低増殖状態(異常な状態)にないと認識されるが、更なる治療が必要である。例えば、創傷治癒の間、細胞は「正常に」増殖するかもしれないが、増殖の増強が要求されるかもしれない。同様に、上記で議論したように、農業の領域において、細胞は「正常な」状態にあるかもしれないが、作物の増殖を直接向上させることによって、又は産出高に不利な影響を及ぼす植物又は生物の増殖を阻害することによって、産出高を向上させるために増殖の調節が要求されるかもしれない。従って、一実施態様において、本発明は、これらの疾患又は状態に悩むか、又は最終的に悩むことになるかもしれない、細胞又は個人への適用を含む。
【0072】
本明細書に提供される化合物、組成物及び方法は、特に、皮膚、胸部、脳、子宮頸癌、睾丸癌を含む固形癌を含む癌の治療に有用であると考えられる。特に、本発明の化合物、組成物及び方法によって治療され得る癌には、心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫及びテラトーマ;:気管支癌(扁平上皮細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(細気管支)癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫、中皮腫;胃腸:食道(扁平上皮癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(導管腺癌、膵島細胞腺腫、グルカゴン産生腫瘍、ガストリン産生腫瘍、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポシ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫):尿生殖器官:腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍[腎芽腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱及び尿道(扁平上皮癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、睾丸(精上皮腫、テラトーマ、胎児性癌、奇形癌、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、脂肪腫);肝臓:肝臓癌(肝細胞癌)、胆管癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;:骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性骨巨細胞腫瘍脊索腫、オステオクロンフローマ(osteochronfroma)(骨軟骨性外骨症)、良性脊索腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液腫様線維腫、骨腫及び巨細胞腫瘍;神経系:頭蓋骨(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽細胞腫、神経膠腫、上衣細胞腫、未分化胚細胞腫[松果体腫]、膠芽細胞腫、多形性膠芽腫、希突起膠細胞腫、シュワン細胞腫、網膜芽腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);婦人科:子宮(子宮内膜癌)、頚部(子宮頚癌、腫瘍前子宮頚部異形成)、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、未分類癌]、顆粒膜卵胞膜細胞腫、セルトリ−ライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰部(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、繊維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞癌、扁平上皮癌、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、ファローピウス管(癌);血液学的:血液(骨髄性白血病[急性及び慢性]、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、脊髄形成異常症候群)、ホジキン病、非ホジキン性リンパ腫[悪性リンパ腫];皮膚:悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮癌、カポシ肉腫、モル形成異常母斑、リンパ腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬;及び副腎:神経芽細胞腫が含まれるが、これらに限定されない。従って、本明細書で提供される「癌性細胞」なる用語は、上記に定義された病状のいずれか1つによって苦しめられる細胞を含む。
【0073】
本発明の化合物は、また、米国特許第6,284,480号明細書に記載されているような、bimCキネシンサブグループの真菌のメンバーの活性を調節することによる、抗真菌剤として有用である。
【0074】
更に、本発明の範囲内に含まれるものは、ステントをコーティングするための本発明の使用であり、従って、再狭窄の治療及び/又は予防のための、コーティングされたステント上における本発明の化合物の使用である(WO03/032809)。
【0075】
本発明の化合物は、ほ乳類、好ましくはヒトに、標準的な薬学プラクティスに従い、医薬組成物中で、単独で、又は薬学的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤と組み合わせて投与することができる。化合物は、経口的又は非経口的に投与され、これらは、静脈注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射、直腸投与、局所投与を含む。
【0076】
活性成分を含有する医薬組成物は、例えば、錠剤、トローチ、薬用ドロップ又は油性懸濁液、分散性粉末又は顆粒、エマルジョン、硬又は軟カプセル剤、又はシロップ又はエリキシル剤等の経口投与に用いるのに適した形態であってもよい。経口用途を意図する医薬組成物は、医薬組成物の製造について当該技術分野で公知の任意の方法に従って製造することができ、このような組成物は、薬学的に洗練され及び味の良さを与えるために、甘味剤、着香料、着色剤及び保存剤からなる群から選択される1種以上の薬剤を含んでいてもよい。錠剤は、その錠剤に適する無毒性の薬学的に許容できる賦形剤を有する混合物に一緒に、活性成分を含む。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム等の不活性賦形剤;例えば、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、コーンスターチ又はアルギン酸等の造粒剤及び崩壊剤;例えば、デンプン、ゼラチン、ポリビニル−ピロリドン又はアラビアゴム等の結合剤;例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルク等の滑沢剤であってもよい。錠剤は、コーティングされていなくてもよく、又は薬物の好ましくない味をマスキングし、又は崩壊、胃腸管における吸収を遅らせ、その結果、長期間にわたった持続性作用を供給するために公知の技術によってコーティングされていてもよい。例えば、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロース等の水溶性のマスキング材料、エチルセルロース、アセテートブチレート等の時間遅延材料が用いられ得る。
【0077】
経口用途のための製剤は、また、その活性成分が、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリン等の固体賦形剤と混合されている硬カプセル剤、又はその活性成分が、ポリエチレングリコール等の水溶性担体、又はピーナッツ油、流動パラフィン又はオリーブ油等の油媒体と混合されている軟カプセル剤として存在してもよい。
【0078】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合された活性物質を含有する。このような賦形剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガントゴム及びアラビアゴム等の懸濁剤であり;分散剤又は湿潤剤は、レシチン等の天然のホスファチド、又はアルキレンオキシドと、ステアリン酸ポリオキシエチレン等の脂肪酸との縮合物、又はエチレンオキシドと、ヘプタデカエチレンオキシセタノール等の長鎖脂肪族アルコールとの縮合物、又はエチレンオキシドと、脂肪酸由来の部分エステル及びモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール等のヘキシトールとの縮合物、又はエチレンオキシドと、脂肪酸由来の部分エステル及びモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン等のヘキシトール無水物との縮合物である。水性懸濁液は、また、エチル、又はn−プロピルp−ヒドロキシ安息香酸等の1種以上の防腐剤、1種以上の着色剤、1以上の着香料、及びショ糖、サッカリン又はアスパルテーム等の1種以上の甘味剤を含んでいてもよい。
【0079】
油性懸濁液は、活性成分を、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油又はやし油等の植物性油脂中、又は流動パラフィン等の鉱油中に懸濁することによって製剤化される。油性懸濁液は、蜜ろう、固形パラフィン又はセチルアルコール等の増粘剤を含んでいてもよい。味の良い経口製剤を得るために、上述した甘味剤、着香料を加えてもよい。これらの組成物は、ブチル化ヒドロキシアニソール又はα−トコフェロール等の抗酸化剤の添加により、保存され得る。
【0080】
水の添加により水性懸濁液の製造に適した分散性粉末及び顆粒では、分散剤又は湿潤剤、懸濁剤及び1以上の保存剤と混合された活性成分が与えられる。適当な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤は、既に上述したものによって例示される。また、追加の賦形剤、例えば甘味剤、着香料及び着色剤も存在してもよい。これらの組成物は、アスコルビン酸等の抗酸化剤の追加によって保存され得る。
【0081】
本発明の組成物は、また、水中油系エマルジョンの形態であってもよい。その油相は、オリーブ油、ラッカセイ油等の植物性油脂、又は流動パラフィン等の鉱油又はそれらの混合物であってもよい。適切な乳化剤は、大豆レシチン等の天然のホスファチド、モノオレイン酸ソルビタン等の、脂肪酸及びヘキシトール無水物由来のエステル又は部分エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート等の前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物であってもよい。そのエマルジョンは、また、甘味剤、着香料、防腐剤及び抗酸化剤を含んでいてもよい。
【0082】
シロップ及びエリキシル剤は、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はショ糖等の甘味剤と一緒に製剤化され得る。このような製剤は、また、鎮痛剤、防腐剤、香料及び着色剤及び抗酸化剤を含んでいてもよい。
【0083】
医薬組成物は、無菌の注射用水溶液の形態であってもよい。前記許容される賦形剤及び溶媒の中で、水、リンゲル液及び等張性塩化ナトリウム溶液を使用することができる。
【0084】
無菌の注射製剤は、活性成分が油相に溶解している無菌の注射用水中油型マイクロエマルションであってもよい。例えば、活性成分を、最初に大豆油及びレシチンの混合物に溶解してもよい。次いで、その油溶液を水及びグリセロールの混合液に入れ、マイクロエマルション化する処理を行なう。
【0085】
注射製剤又はマイクロエマルションは、局所大量注射によって患者の血流に注入してもよい。或いは、本発明の化合物の一定の血中濃度を維持するような方法で、溶液又はマイクロエマルションを投与することが有利である。このような一定の濃度を維持するために、連続静脈内配送システムが利用され得る。このような装置の具体例は、Deltec CADD−PLUS(登録商標)モデル5400静脈内ポンプである。
【0086】
医薬組成物は、筋肉内又は皮下投与のための無菌注射用水又は油脂性懸濁液の形態であってもよい。この懸濁液は、前述した、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて、当業界で公知の方法に従って製剤化され得る。無菌注射製剤は、また、非毒性の非経口的に許容される希釈液又は溶媒中の無菌注射溶液又は懸濁液、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液であってもよい。更に、無菌の不揮発性油は、溶媒又は懸濁媒体として通常に用いられる。このため、合成モノ−又はジグリセライドを含む任意の無菌の不揮発性油が、用いられる。更に、オレイン酸等の脂肪酸が、注射液の調製において用いられる。
【0087】
式Iで表される化合物は、また、薬物の直腸投与のための座剤の形態で投与され得る。これらの組成物は、薬物と、通常の温度では固体であり、直腸温度で液体であって、それ故、直腸で溶解して薬物を遊離する、適切な非刺激性賦形剤とを混合することによって製造することができる。このような材料には、カカオ脂、グリセリンゼラチン、硬化植物油、種々の分子量のポリエチレングリコールの混合物及びポリエチレングリコールの脂肪酸エステルが含まれる。
【0088】
局所利用のために、式Iで表される化合物を含む、クリーム、軟膏、ゼリー、溶液又は懸濁液等が使用される(この応用の目的のため、局所的応用は、口内洗浄剤及びうがい薬を含む)。
【0089】
本発明の化合物は、適切な鼻腔媒体及び配送装置の局所的使用によって鼻腔内形態で、又は当業者に周知の経皮的皮膚用パッチ剤の形態を用いた経皮経路によって投与することができる。経皮的送達システムの形態で投与するために、もちろん、投与量は、投与計画を通じて断続的(間欠的)よりもむしろ連続的であろう。本発明の化合物は、また、カカオ脂、グリセリンゼラチン、硬化植物油、種々の分子量のポリエチレングリコールの混合物及びポリエチレングリコールの脂肪酸エステル等の塩基を使用した座剤として供給されてもよい。
【0090】
本発明の化合物をヒトの患者に投与する場合、一日の投与量は、通常、年齢、体重、性及び個々の患者の反応、及び患者の症状の重症度に従って一般的に変化しうる投与量で、指示する医師によって決定される。
【0091】
模範的な応用においては、適当量の化合物が、癌の治療を受けているほ乳類に投与される。1日あたり、約0.1mg/体重1kg〜約60mg/体重1kg、好ましくは1日あたり、0.5mg/体重1kg〜約40mg/体重1kgの量で投与は行われる。
【0092】
本発明の化合物は、また、公知の治療薬及び抗癌剤との組み合わせに有用である。例えば、本発明の化合物は、公知の抗癌剤との組み合わせに有用である。本明細書に開示された化合物と、他の抗癌剤又は化学療法剤との組み合わせは、本発明の範囲内である。このような薬物の具体例は、V.T.Devita及びS.Hellman(編集)による、腫瘍学における、癌の原理及び実践、第6版(2001年2月15日)、Lippincott Williams & Wilkins Publishersに見出される。当業者は、薬物及び関与する癌の特定の特性に基づき、どの組み合わせが有用であるかについて識別することができる。このような抗癌剤には、以下の、エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、レチノイド受容体モジュレーター、細胞障害性/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤及び他の血管形成阻害剤、細胞増殖及び生存シグナル伝達の阻害剤、アポトーシス誘導剤、細胞周期のチェックポイントに干渉する薬剤が含まれるが、これらに限定されない。本発明の化合物は、放射線療法と共に治療するのに特に有用である。
【0093】
一実施態様において、本発明の化合物は、また、以下のエストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、レチノイド受容体モジュレーター、細胞障害性薬剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、及び他の血管形成阻害剤を含む、公知の抗癌剤と組み合わせるのが有用である。
【0094】
「エストロゲン受容体モジュレーター」は、メカニズムに関係なく、エストロゲンの受容体への結合を妨害又は阻害する化合物を意味する。エストロゲン受容体モジュレーターの具体例には、タモキシフェン、ラロキシフェン、イドキシフェン、LY353381、LY117081、トレミフェン、フルベストラント、4−[7−(2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−フェニル−2,2−ジメチルプロパノエート、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニル−ヒドラゾン、及びSH646
が含まれるが、これらに限定されない。
【0095】
「アンドロゲン受容体モジュレーター」は、メカニズムに関係なく、アンドロゲンの受容体への結合を妨害又は阻害する化合物を意味する。アンドロゲン受容体モジュレーターの具体例には、フィナステライド及び他の5α−レダクターゼ阻害剤、ニルタミド、フルタミド、ビカルタミド、リアロゾール及び酢酸アビラテロンが含まれる。
【0096】
「レチノイド受容体モジュレーター」は、メカニズムに関係なく、レチノイドの受容体への結合を妨害又は阻害する化合物を意味する。レチノイド受容体モジュレーターの具体レーには、ベキサロテン、トレチノイン、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、α−ジフルオロメチルオルニチン、ILX23−7553、トランス−N−(4’−ヒドロキシフェニル)レチナミド、ターグレチン及びN−4−カルボキシフェニルレチナミドが含まれる。
【0097】
「細胞障害性/細胞増殖抑制剤」は、アルキル化剤、腫瘍壊死因子、インターカレーター、低酸素症活性化化合物、微小管阻害剤/微小管安定化剤、有糸分裂キネシンの阻害剤、有糸分裂の進行に必要なキナーゼの阻害剤、代謝拮抗剤;生体応答物質;ホルモン性/抗ホルモン性治療薬、造血性成長因子、モノクローナル抗体標的治療薬、トポイソメラーゼ阻害剤、プロテアソーム阻害剤及びユビキチンリガーゼ阻害剤を含む、細胞の機能を直接に妨害するか、細胞の有糸分裂を阻害又は妨害することにより、主として細胞死を引き起こすか、又は細胞増殖を阻害する化合物を意味する。
【0098】
細胞障害性薬剤の具体例には、サーテネフ(sertenef)、カケクチン、イホスファミド、タソネルミン、ロニダミン、カルボプラチン、アルトレタミン、プレドニマスチン、ジブロモズルシトール、ラニムスチン、フォテムスチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、テモゾロミド、ヘプタプラチン、エストラムスチン、インプロスルファントシレート、トロフォスアミド、ニムスチン、塩化ジブロスピジウム、プミテパ、ロバプラチン、サトラプラチン、プロフィロマイシン、シスプラチン、イロフルベン、デキシフォスファミド、シス−アミンジクロロ(2−メチル−ピリジン)白金、ベンジルグアニン、グルフォスファミド、GPX100、(トランス、トランス、トランス)−ビス−mu−(ヘキサン−1,6−ジアミン)−mu−[ジアミン−白金(II)]ビス〔ジアミン(クロロ)白金(II)〕テトラクロライド、ジアリジジニルスペルミン、三酸化砒素、1−(11−ドデシルアミノ−10−ヒドロキシウンデシル)−3,7−ジメチルキサンチン、ゾルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ビサントレン、ミトキサントロン、ピラルビシン、ピナフィド、バルルビシン、アムルビシン、抗新生物薬、3’−デアミノ−3’−モルホリノ−13−デオキソ−10−ヒドロキシカルミノマイシン、アナマイシン、ガラルビシン、エリナフィド、MEN10755、及び4−デメトキシ−3−デアミノ−3−アジリジニル−4−メチルスルホニル−ダウノルビシン(WO00/50032を参照)。
【0099】
低酸素症活性化化合物の具体例は、チラパザミンである。
【0100】
プロテアソーム阻害剤の具体例には、ラクタシスチン及びボルテゾミブが含まれるが、これらに限定されない。
【0101】
微小管阻害剤/微小管安定化剤の具体例には、パクリタクセル、硫酸ビンデシン、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−8’−ノルビンカロイコブラスチン、ドセタキソール、リゾキシン、ドラスタチン、イセチオン酸ミボブリン、オーリスタチン、セマドチン、RPR109881、BMS184476、ビンフルニン、クリプトフィシン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−N−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、無水ビンブラスチン、N,N−ジメチル−L−バリル−L−バリル−N−メチル−L−バリル−L−プロリル−L−プロリン−t−ブチルアミド、TDX258、エポチロン(例えば、米国特許第6,284,781号及び第6,288,237号明細書を参照)及びBMS188797が含まれる。
【0102】
トポイソメラーゼ阻害剤のいくつかの具体例は、トポテカン、ヒカプタミン、イリノテカン、ルビテカン、6−エトキシプロピオニル−3’,4’−O−エキソ−ベンジリデン−カルトリューシン(chartreusin)、9−メトキシ−N,N−ジメチル−5−ニトロピラゾロ[3,4,5−kl]アクリジン−2−(6H)プロパナミン、1−アミノ−9−エチル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−1H,12H−ベンゾ[デ]ピラノ[3’,4’:b,7]−インドリジノ[1,2b]キノリン−10,13(9H,15H)ジオン、ラートテカン(lurtotecan)、7−[2−(N−イソプロピルアミノ)エチル]−(20S)カンプトテシン、BNP1350、BNPI1100、BN80915、BN80942、リン酸エトポシド、テニポシド、ソブゾキサン、2’−ジメチルアミノ−2’−デオキシ−エトポシド、GL331、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−9−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−6H−ピリド[4,3−b]カルバゾール−1−カルボキサミド、アスラクリン、(5a,5aB,8aa,9b)−9−[2−[N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチルアミノ]エチル]−5−[4−ヒドロキシオキシ−3,5−ジメトキシフェニル]−5,5a,6,8,8a,9−ヘキソヒドロフロ(3’,4’:6,7)ナフト(2,3−d)−1,3−ジオキソール−6−オン、2,3−(メチレンジオキシ)−5−メチル−7−ヒドロキシ−8−メトキシベンゾ[c]−フェナントリジニウム、6,9−ビス[(2−アミノエチル)アミノ]ベンゾ[g]イソギノリン−5,10−ジオン、5−(3−アミノプロピルアミノ)−7,10−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチルアミノメチル)−6H−ピラゾロ[4,5,1−デ]アクリジン−6−オン、N−[1−[2(ジエチルアミノ)エチルアミノ]−7−メトキシ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イルメチル]ホルムアミド、N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)アクリジン−4−カルボキサミド、6−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]−3−ヒドロキシ−7H−インデノ[2,1−c]キノリン−7−オン、及びディメスナである。
【0103】
有糸分裂キネシン、特にヒト有糸分裂キネシンKSPの阻害剤の具体例は、PCT出願、WO01/30768、WO01/98278、WO03/050,064、WO03/050,122、WO03/049,527、WO03/049,679、WO03/049,678及びWO03/39460、及び継続PCT出願番号US03/06403(2003年3月4日出願)、US03/15861(2003年5月19日出願)、US03/15810(2003年5月19日出願)、US03/18482(2003年6月12日出願)及びUS03/18694(2003年6月12日出願)に開示されている。一実施態様において、有糸分裂キネシンには、KSPの阻害剤、MKLP1の阻害剤、CENP−Eの阻害剤、MCAKの阻害剤、Kif14の阻害剤、Mphosphlの阻害剤及びRab6−KIFLの阻害剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0104】
「ヒストンデアセチラーゼ阻害剤」の具体例には、SAHA、TSA、オキサムフラチン、PXD101、MG98及びスクリプタイドが含まれるが、これらに限定されない。
他のヒストンデアセチラーゼ阻害剤の更なる参考文献は以下に、すなわちMiller, T.A.ら、J.Med.Chem.46(24):5097−5116(2003)に見出される。
【0105】
「有糸分裂の進行に関与するキナーゼの阻害剤」には、オーロラキナーゼの阻害剤、ポロ様キナーゼの阻害剤(PLK;特にPLK−1の阻害剤)、bub−1の阻害剤及びbub−R1の阻害剤が含まれるが、これらに限定されない。「オーロラキナーゼ阻害剤」の具体例は、VX−680である。
【0106】
「抗増殖剤」には、G3139、ODN698、RVASKRAS、GEM231、及びINX3001等のアンチセンスRNA及びDNAオリゴヌクレオチド;エノシタビン、カーモフュア(carmofur)、テガフール、ペントスタチン、ドキシフルリジン、トリメトレキセート、フルダラビン、カペシタビン、ガロシタビン、シタラビン、オクホスフェート、フォステアビンナトリウム水和物、ラルチトレキセド、パルチトレキシド、エミテファー(emitefur)、チアゾフリン、デシタビン、ノラトレキシド、ペメトレキセド、ネルザラビン、2’−デオキシ−2’−メチリデンシチジン、2’−フルオロメチレン−2’−デオキシシチジン、N−[5−(2,3−ジヒドロ−ベンゾフリル)スルホニル]−N’−(3,4−ジクロロフェニル)尿素、N6−[4−デオキシ−4−[N2−[2(E),4(E)−テトラデカジエノイル]グリシルアミノ]−L−グリセロ−B−L−マンノ−ヘプトピラノシル]アデニン、アプリジン、エクテイナシジン、トロキサシタビン、4−[2−アミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピリミジノ[5,4−b][1,4]チアジン−6−イル−(S)−エチル]−2,5−チエノイル−L−グルタミン酸、アミノプテリン、5−フルオロウラシル、アラノシン、11−アセチル−8−(カルバモイルオキシメチル)−4−ホルミル−6−メトキシ−14−オキサ−1,11−ジアザテトラシクロ(7.4.1.0.0)−テトラデカ−2,4,6−トリエン−9−イル酢酸エステル、スワンソニン、ロメトレキソール、デキスラゾキサン、メチオニナーゼ、2’−シアノ−2’−デオキシ−N4−パルミトイル−1−B−D−アラビノフラノシルシトシン、及び3−アミノピリジン−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾンが含まれるが、これらに限定されない。
【0107】
モノクローナル抗体標的治療薬の具体例は、細胞障害性薬剤、又は癌細胞特異的又は標的細胞特異的モノクローナル抗体に結合する放射性同位元素を有する治療薬である。具体例にはベクザーが含まれる。
【0108】
HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼの阻害剤を意味する。用いられるHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の具体例には、ロバスタチン(MEVACOR(登録商標);米国特許第4,231,938号、第4,294,926号及び第4,319,039号明細書を参照)、シムバスタチン(ZOCOR(登録商標);米国特許第4,444,784号、第4,820,850号及び第4,916,239号明細書を参照)、プラバスタチン(PRAVACHOL(登録商標);米国特許第4,346,227号、第4,537,859号、第4,410,629号、第5,030,447号及び第5,180,589号明細書を参照)、フルバスタチン(LESCOL(登録商標);米国特許第5,354,772号、第4,911,165号、第4,929,437号、第5,189,164号、第5,118,853号、第5,290,946号及び5,356,896号明細書を参照)及びアトルバスタチン(LIPITOR(登録商標);米国特許第5,273,995号、第4,681,893号、第5,489,691号及び第5,342,952号明細書を参照)が含まれるが、これらに限定されない。具体例に使用されているこれら及び付加的HMG−CoAレダクターゼ阻害剤の構造式は、Chemistry & Industry,pp.85−89(1996年2月5日)のページ87のM.Yalpani著「コレステロール低下剤」及び米国特許4,782,084及び4,885,314に記載されている。本明細書で用いられる、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤なる用語には、HMG−CoAレダクターゼ阻害活性を有する、全ての薬学的に許容されるラクトン及び開放酸型(open−acid form)、すなわち、ラクトン環が開いてフリーの酸を形成している)、及び化合物の塩及びエステル型が含まれ、従って、このような塩、エステル、開放型及びラクトン型の使用は本発明の範囲内である。
【0109】
「プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤」は、ファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼ(FPTアーゼ)、ゲラニルゲラニル−タンパク質トランスフェラーゼタイプI(GGPTアーゼ−I)、及びゲラニルゲラニル−タンパク質トランスフェラーゼII型(GGPTアーゼII、Rab GGPTアーゼとも呼ばれる)を含む、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ酵素の1種又は任意の組み合わせを阻害する化合物を意味する。
【0110】
プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤の具体例は、以下の文献及び特許公報、すなわち、WO96/30343、WO97/18813、WO97/21701、WO97/23478、WO97/38665、WO98/28980、WO98/29119、WO95/32987、米国特許第5,420,245号明細書、米国特許第5,523,430号明細書、米国特許第No.5,532,359号明細書、米国特許第5,510,510号明細書、米国特許第5,589,485号明細書、米国特許第No.5,602,098号明細書、欧州特許出願公開第0618221号明細書、欧州特許出願公開第0675112号明細書、欧州特許出願公開第0604181号明細書、欧州特許出願公開第0696593号明細書、WO94/19357、WO95/08542、WO95/11917、WO95/12612、WO95/12572、WO95/10514、米国特許第5,661,152号明細書、WO95/10515、WO95/10516、WO95/24612、WO95/34535、WO95/25086、WO96/05529、WO96/06138、WO96/06193、WO96/16443、WO96/21701、WO96/21456、WO96/22278、WO96/24611、WO96/24612、WO96/05168、WO96/05169、WO96/00736、米国特許第5,571,792号明細書、WO96/17861、WO96/33159、WO96/34850、WO96/34851、WO96/30017、WO96/30018、WO96/30362、WO96/30363、WO96/31111、WO96/31477、WO96/31478、WO96/31501、WO97/00252、WO97/03047、WO97/03050、WO97/04785、WO97/02920、WO97/17070、WO97/23478、WO97/26246、WO97/30053、WO97/44350、WO98/02436、及び米国特許第5,532,359号明細書に見出される。プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤の血管形成における役割の具体例については、European J.of Cancer,Vol.35,No.9,pp.1394−1401(1999)を参照されたい。
【0111】
「血管形成阻害剤」は、メカニズムに関係なく、新規な血管の形成を阻害する化合物を意味する。血管形成阻害剤の具体例には、チロシンキナーゼ受容体Flt−1(VEGFR1)及びFlk−1/KDR(VEGFR2)等のチロシンキナーゼ阻害剤、表皮由来、線維芽細胞由来、又は血小板由来成長因子の阻害剤、MMP(マトリクスメタロプロテアーゼ)阻害剤、インテグリン遮断薬、インターフェロン−α、インターロイキン−12、ペントサン多硫酸、アスピリン及びイブプロフェン等の非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)を含むシクロオキシゲナーゼ阻害剤、及びセレコキシブ及びロフェコキシブ等の選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤((PNAS,Vol.89,p.7384(1992);JNCI,Vol.69,p.475(1982);Arch.Opthalmol.,Vol.108,p.573(1990);Anat.Rec.,Vol.238,p.68(1994);FEBS Letters,Vol.372,p.83(1995);Clin,Orthop.Vol.313,p.76(1995);J.Mol.Endocrinol.,Vol.16,p.107(1996);Jpn.J.Pharmacol.,Vol.75,p.105(1997);Cancer Res.,Vol.57,p.1625(1997);Cell,Vol.93,p.705(1998);Intl.J.Mol.Med.,Vol.2,p.715(1998);J.Biol.Chem.,Vol.274,p.9116(1999))、ステロイド性抗炎症剤(例えば、コルチコステロイド、鉱質コルチコイド、デキサメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレド、ベタメタゾン)、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチンA−4、スクワラミン、6−O−クロロアセチル−カルボニル)フマギロール、サリドマイド、アンジオスタチン、トロポニン−1、アンジオテンシンIIアンタゴニスト(Fernandezら,J.Lab.Clin.Med.105:141−145(1985)を参照)、及びVEGFに対する抗体(Nature Biotechnology,Vol.17,pp.963−968(1999年10月);Kimら,Nature,362,841−844(1993);WO00/44777;及びWO00/61186を参照)が含まれるが、これらに限定されない。
【0112】
血管形成を調節又は阻害し、本発明の化合物と組み合わせて用いてもよい他の治療薬には、凝固及び線維素溶解システムを調節又は阻害する薬剤が含まれる(review in Clin.Chem.La.Med.38:679−692(2000)を参照)。凝固及び線維素溶解経路を調節又は阻害する、このような薬剤には、ヘパリン(Thromb.Haemost.80:10−23(1998)を参照)、低分子量ヘパリン及びカルボキシペプチダーゼU阻害剤(活性化トロンビンの活性化可能な線維素溶解阻害の阻害剤[TAFIa]としても知られている)(Thrombosis Res.101:329−354(2001)を参照)が含まれるが、これらに限定されない。TAFIa阻害剤は、PCT出願WO03/013,526及び米国特許出願第60/349,925号(2002年1月18日出願)に記載されている。
【0113】
「細胞周期チェックポイントに干渉する薬剤」は、細胞周期チェックポイントシグナルを伝達するプロテインキナーゼを阻害し、その結果、DNA損傷剤に対して癌細胞を増感させるものを意味する。このような薬剤には、ATR、ATMの阻害剤、Chk1及びChk2キナーゼ、及びcdk及びcdcキナーゼ阻害剤が含まれ、特に7−ヒドロキシスタウロスポリン、フラボピリドール、CYC202 (サイクラセル)及びBMS−387032によって例示される。
【0114】
「細胞増殖及び生存シグナル伝達経路の阻害剤」は、細胞表面受容体、及びこの表面受容体の下流にカスケードするシグナル伝達を阻害する医薬品を意味する。このような薬剤には、EGFRの阻害剤(例えば、ゲフィチニブ及びエルロチニブ)、ERB−2 の阻害剤(例えば、トラスツズマブ)、IGFRの阻害座、サイトカイン受容体の阻害剤、METの阻害剤、PI3Kの阻害剤(例えば、LY294002)、セリン/スレオニンキナーゼ(WO02/083064、WO02/083139、WO02/083140及びWO02/083138に記載されたような、Aktの阻害剤を含むが、これに限定されない)、Rafキナーゼの阻害剤(例えば、BAY−43−9006)、MEKの阻害剤(例えば、CI−1040及びPD−098059)、及びmTORの阻害剤(例えば、Wyeth CCI−779)が含まれる。このような薬剤には、小分子量阻害剤化合物及び抗体アンタゴニストが含まれる。
【0115】
「アポトーシス誘導剤」には、TNF受容体ファミリーのメンバー(TRAIL受容体を含む)の活性化剤が含まれる。
【0116】
本発明は、また、選択的COX−2阻害剤である、NSAIDとの併用を含む。この明細書の目的のため、COX−2の選択的阻害剤であるNSAIDは、細胞又はミクロソームアッセイによる評価される、COX−1についてのIC50の、COX−2についてのIC50に対する比によって測定されるような、COX−2の阻害が、COX−1の阻害よりも少なくとも100倍超える、特異性を有するものとして定義される。このような化合物には、全てが本明細書に参考文献として組み入れられる、米国特許第5,474,995号明細書、米国特許第5,861,419号明細書、米国特許第6,001,843号明細書、米国特許第6,020,343号明細書、米国特許第5,409,944号明細書、米国特許第5,436,265号明細書、米国特許第5,536,752号明細書、米国特許第5,550,142号明細書、米国特許第5,604,260号明細書、米国特許第5,698,584号明細書、米国特許第5,710,140号明細書、WO94/15932、米国特許第5,344,991号明細書、米国特許第5,134,142号明細書、米国特許第5,380,738号明細書、米国特許第5,393,790号明細書、米国特許第5,466,823号明細書、米国特許第5,633,272号明細書、及び米国特許第5,932,598号明細書に開示されたものが含まれるが、これらに限定されない。
【0117】
本発明の治療方法において特に有用なCOX−2の阻害剤は、3−フェニル−4−(4−(メチルスフホニル)フェニル)−2−(5H)−フラノン;及び5−クロロ−3−(4−メチルスルホニル)−フェニル−2−(2−メチル−5−ピリジニル)ピリジン;又はそれらの薬学的に許容される塩である。
【0118】
COX−2の特異的阻害剤として記載され、その結果本発明において有用である化合物には、パレコキシブ、セレブレックス(CELEBREX:登録商標)及びべクストラ(BEXTRA:登録商標)又はそれらの薬学的に許容される塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0119】
血管形成阻害剤の他の具体例には、エンドスタチン、ウクライン、ランピルナーゼ、IM862、5−メトキシ−4−[2−メチル−3−(3−メチル−2−ブテニル)オキシラニル]−1−オキサスピロ[2,5]オクタ−6−イル(クロロアセチル)カルバメート、アセチルジナナリン、5−アミノ−1−[[3,5−ジクロロ−4−(4−クロロベンゾイル)−フェニル]メチル]−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド、CM101、スクワラミン、コンブレタスタチン、RPI4610、NX31838、硫酸化マンノペンタオースホスフェート、7,7−(カルボニル−ビス[イミノ−N−メチル−4,2−ピロロカルボニルイミノ[N−メチル−4,2−ピロール]−カルボニルイミノ]−ビス−(1,3−ナフタレジスルホネート)、及び3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチレン]−2−インドリノン(SU5416)が含まれるが、これらに限定されない。
【0120】
上記で用いられたように、「インテグリン遮断薬」は、αβインテグリンに対する生理学的リガンドの結合を選択的に拮抗し、阻害し、又は妨げる化合物;αβインテグリンに対する生理学的リガンドの結合を選択的に拮抗し、阻害し、又は妨げる化合物;αβインテグリン及びαβインテグリンの両方に対する生物学的リガンドの結合を拮抗し、阻害し、又は妨げる化合物を意味する。該用語は、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ1、αβ及びαβインテグリンのアンタゴニストを意味する。該用語は、また、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ 及びαβインテグリンの任意の組み合わせのアンタゴニストを意味する。
【0121】
チロシンキナーゼ阻害剤のいくつかの具体例には、N−(トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミド、3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル)インドリン−2−オン、17−(アリルアミノ)−17−デメトキシゲルダナマイシン、4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−7−メトキシ−6−[3−(4−モルホリニル)プロポキシル]キナゾリン、N−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)−4−キナゾリナミン、BIBX1382、2,3,9,10,11,12−ヘキサヒドロ−10−(ヒドロキシメチル)−10−ヒドロキシ−9−メチル−9,12−エポキシ−1H−ジインドロ[1,2,3−fg:3’,2’,1’−kl]ピロロ[3,4−i][1,6]ベンゾジアゾシン−1−オン、SH268、ゲニステイン、STI571、CEP2563、4−(3−クロロフェニルアミノ)−5,6−ジメチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンメタンスルホネート、4−(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、4−(4’−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、SU6668、STI571A、N−4−クロロフェニル−4−(4−ピリジルメチル)−1−フタラジンアミン、及びEMD12197が含まれる。
【0122】
抗癌化合物以外の化合物との組み合わせも、本発明の方法に含まれる。例えば、本願の請求項の化合物と、PPAR−γ(すなわち、PPAR−ガンマ)アゴニスト及びPPAR−δ(すなわち、PPAR−デルタ)との組み合わせは、特定の悪性腫瘍の治療に有用である。PPAR−γ及びPPAR−δは、核ペルオキソソーム増殖因子−活性化受容体γ及びδである。内皮細胞上PPAR−γの発現及び血管形成における関与は文献に報告されている(J.Cardiovasc.Pharmacol.1998;31:909−913;J.Biol.Chem.1999;274:9116−9121;Invest.Ophthalmol Vis.Sci.2000;41:2309−2317を参照)。最近、PPAR−γアゴニストが、インビトロにおいてVEGFに対する血管形成応答を阻害すること;トログリタゾン及びマレイン酸ロシグリタゾンの両方が、マウスにおいて網膜新血管新生を阻害することが示された(Arch.Ophthamol.2001;119:709−717)。PPAR−γアゴニスト及びPPAR−γ/αアゴニストの具体例には、チアゾリジンジオン(例えば、DRF2725、CS−011、トログリタゾン、ロシグリタゾン、及びピオグリタゾン)、フェノフィブレート、ゲムフィブロジル、クロフィブレート、GW2570、SB219994、AR−H039242、JTT−501、MCC−555、GW2331、GW409544、NN2344、KRP297、NP0110、DRF4158、NN622、GI262570、PNU182716、DRF552926、2−[(5,7−ジプロリル−3−トリフルオロメチル−1,2−ベンズイソオキサゾール−6−イル)オキシ]−2−メチルプロピオン酸(米国特許出願第09/782,856号に開示されている)、及び2(R)−7−(3−(2−クロロ−4−(4−フルオロフェノキシ)フェノキシ)プロポキシ)−2−エチルクロマン−2−カルボン酸(米国特許出願第60/235,708号及び第60/244,697号に開示されている。)が含まれるが、これらに限定されない。
【0123】
本発明の他の実施態様は、癌の治療のための遺伝子治療との組み合わせにおける本発明の化合物の使用である。癌の治療に対する遺伝的戦略の概要については、Hallら(Am J Hum Genet 61:785−789,1997)及びKufeら(Cancer Medicine,5th Ed,pp 876−889,BC Decker,Hamilton 2000)を参照されたい。遺伝子治療は、いずれかの癌抑制遺伝子を輸送するために用いられ得る。このような遺伝子には、組換型ウィルス媒介遺伝子伝達を介して輸送され得るp53(例えば、米国特許第6,069,134号明細書を参照)、uPA/uPARアンタゴニスト(uPA/uPARアンタゴニスト抑制血管新生依存腫瘍の成長のアデノウィルスが媒介する配送及びマウスにおける播種、Gene Therapy,August 1998;5(8):1105−13)、及びインターフェロンガンマ(J Immunol 2000;164:217−222)が含まれるが、これらに限定されない。
【0124】
本発明の化合物は、また、固有の多剤耐性(MDR)の阻害剤、特に、高濃度のトランスポータータンパク質と関連するMDRの阻害剤と組み合わせて投与されもよい。このようなMDR阻害剤には、LY335979、XR9576、OC144−093、R101922、VX853及びPSC833(バルスポーダー)等のp−糖タンパク質(P−gp)の阻害剤が含まれる。
【0125】
本発明の化合物は、本発明の化合物を、単独で又は放射線療法と共に用いることにより引き起こされるかもしれない、急性、遅延型、遅発性及び予測的嘔吐を含む、吐き気又は嘔吐を治療するために、抗催吐薬と一緒に用いることができる。嘔吐の予防又は治療について、本発明の化合物は、他の抗催吐薬、特に、ニューロキニン−1受容体アンタゴニスト、オンダンセトロン、グラニセトロン、トロピセトロン、及びザチセトロン等の5HT3受容体アンタゴニスト、バクロフェン等のGABAB受容体アゴニスト、デカドロン(デキサメタゾン)等のコルチコステロイド、ケナログ、アリストコート、ナサリデ、プレフェリド、ベネコーテン又は米国特許第2,789,118号明細書、第2,990,401号明細書、第3,048,581号明細書、第3,126,375号明細書、第3,929,768号明細書、第3,996,359号明細書、第3,928,326号明細書及び第3,749,712号明細書に開示された他の薬剤、フェノチアジン(プロクロルペラジン、フルフェナジン、チオリダジン及びメソリダジン)、メトクロプラミド又はドロナビノール等の抗ドーパミン作用薬とともに用いられ得る。一実施態様において、ニューロキニン−1受容体アンタゴニスト、5HT3受容体アンタゴニスト及びコルチコステロイドから選択される抗催吐薬が、本発明の投与に起因するかもしれない嘔吐の治療又は予防の補助剤として投与される。
【0126】
本発明の化合物と組み合わせて用いられるニューロキニン−1受容体アンタゴニストは例えば、米国特許第5,162,339号明細書、第5,232,929号明細書、第5,242,930号明細書、第5,373,003号明細書、第5,387,595号明細書、第5,459,270号明細書、第5,494,926号明細書、第5,496,833号明細書、第5,637,699号明細書、第5,719,147号明細書;欧州特許出願公開第0360390号明細書、第0394989号明細書、第0428434号明細書、第0429366号明細書、第0430771号明細書、第0436334号明細書、第0443132号明細書、第0482539号明細書、第0498069号明細書、第0499313号明細書、第0512901号明細書、第0512902号明細書、第0514273号明細書、第0514274号明細書、第0514275号明細書、第0514276号明細書、第0515681号明細書、第0517589号明細書、第0520555号明細書、第0522808号明細書、第0528495号明細書、第0532456号明細書、第0533280号明細書、第0536817号明細書、第0545478号明細書、第0558156号明細書、第0577394号明細書、第0585913号明細書、第0590152号明細書、第0599538号明細書、第0610793号明細書、第0634402号明細書、第0686629号明細書、第0693489号明細書、第0694535号明細書、第0699655号明細書、第0699674号明細書、第0707006号明細書、第0708101号明細書、第0709375号明細書、第0709376号明細書、第0714891号明細書、第0723959号明細書、第0733632及び第0776893号明細書;PCT国際公開WO90/05525、90/05729、91/09844、91/18899、92/01688、92/06079、92/12151、92/15585、92/17449、92/20661、92/20676、92/21677、92/22569、93/00330、93/00331、93/01159、93/01165、93/01169、93/01170、93/06099、93/09116、93/10073、93/14084、93/14113、93/18023、93/19064、93/21155、93/21181、93/23380、93/24465、94/00440、94/01402、94/02461、94/02595、94/03429、94/03445、94/04494、94/04496、94/05625、94/07843、94/08997、94/10165、94/10167、94/10168、94/10170、94/11368、94/13639、94/13663、94/14767、94/15903、94/19320、94/19323、94/20500、94/26735、94/26740、94/29309、95/02595、95/04040、95/04042、95/06645、95/07886、95/07908、95/08549、95/11880、95/14017、95/15311、95/16679、95/17382、95/18124、95/18129、95/19344、95/20575、95/21819、95/22525、95/23798、95/26338、95/28418、95/30674、95/30687、95/33744、96/05181、96/05193、96/05203、96/06094、96/07649、96/10562、96/16939、96/18643、96/20197、96/21661、96/29304、96/29317、96/29326、96/29328、96/31214、96/32385、96/37489、97/01553、97/01554、97/03066、97/08144、97/14671、97/17362、97/18206、97/19084、97/19942及び97/21702;及び英国特許出願公開第2266529号明細書、第2268931号明細書、第2269170号明細書、第2269590号明細書、第2271774号明細書、第2292144号明細書、第2293168号明細書、第2293169号明細書及び第2302689号明細書に完全に開示されている。このような化合物の製造法は、参考文献として組み入れられる、上記特許及び公開公報に完全に開示されている。
【0127】
一実施態様において、本発明の化合物と組み合わせて用いられるニューロキニン−1受容体アンタゴニストは、米国特許第5,719,147号明細書に開示されている、2−(R)−(1−(R)−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)−フェニル)エトキシ)−3−(S)−(4−フルオロフェニル)−4−(3−(5−オキソ−1H,4H−1,2,4−トリアゾロ)メチル)モルホリン、またはその薬学的に許容される塩から選択される。
【0128】
本発明の化合物は、ビスホスフォネート(ビスホスフォネート、ジホスフォネート、ビスホスホン酸及びジホスホン酸を含むと理解される)と組み合わせて、骨癌を含む癌の治療又は予防に有用であり得る。ビスホスフォネートの具体例には、いずれかの及び全ての薬学的に許容される塩、誘導体、水和物及びそれらの混合物を含む、エチドロネート(Didronel)、パミドロネート(Aredia)、アレンドロネート(Fosamax)、リセドロネート(Actonel)、ゾレドロネート(Zometa)、イバンドロネート(Boniva)、インカドロネート又はシマドロネート、クロドロネート、EB−1053、ミノドロネート、ネリドロネート、ピリドロネート及びチルドロネートが含まれるが、これらに限定されない。
【0129】
本発明の化合物は、また、貧血の治療に有用な薬剤とともに投与され得る。このような貧血治療薬は、このような治療薬としては、例えば、連続的な赤血球形成受容体活性化因子(例えばエポエチンアルファ)である。
【0130】
本発明の化合物は、また、好中球減少症の治療に有用な薬剤とともに投与され得る。このような好中球減少症の治療薬は、例えば、ヒト顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)等の、好中球の生産及び機能を調節する造血成長因子である。G−CSFの具体例にはフィルグラスチムが含まれる。
【0131】
本発明の化合物は、レバミゾール、イソプリノシン及びザダキシン等の免疫増強剤とともに投与され得る。
【0132】
従って、本発明の範囲は、エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、レチノイド受容体モジュレーター、細胞障害性/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、血管形成阻害剤、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、固有の多剤耐性の阻害剤、抗催吐薬、ビスホスフォネート、貧血の治療に有用な薬剤、好中球減少症の治療に有用な薬剤、免疫強化剤、細胞増殖及び生存シグナル伝達の阻害剤、細胞周期ポケットに干渉する薬剤及びアポトーシス誘導剤から選択される第二の化合物と組み合わせた、本請求の範囲の化合物の使用を含む。
【0133】
本発明の化合物に関連して、「投与」なる用語、及びその変形(例えば、化合物を「投与する」)は、治療の必要な動物の系に、化合物又は化合物のプロドラッグを投与することを意味する。本発明の化合物又はそのプロドラッグを、1種以上の他の活性薬剤(例えば、細胞障害性薬剤)と組み合わせて与える場合、「投与」及びその変形は、化合物又はそのプロドラッグ及び他の薬剤の同時的投与及び経時的投与を含むことが理解される。
【0134】
本明細書で用いられる「組成物」なる用語は、特定の成分を特定の量で含有する製品、及び特定の量で特定の成分の組み合わせから直接又は間接に由来する製品を含むことを意図する。
【0135】
本明細書で用いられる「治療的に有効な量」なる用語は、研究者、獣医、医師又は他の臨床家によって研究されている、組織、システム、動物又はヒトにおける生物学的又は医学的反応を誘発する、活性化合物又は医薬の量を意味する。
【0136】
「癌を治療する」又は「癌の治療」なる用語は、癌性状態に苦しんでいるほ乳類への投与、及び癌性細胞を死滅させることによって癌性状態を軽減する効果を意味するのみならず、癌の増殖及び/又は転移を阻害を引き起こす効果を意味する。
【0137】
一実施態様において、第二の化合物として用いられる血管形成阻害剤は、チロシンキナーゼ阻害剤、上皮由来成長因子の阻害剤、線維芽細胞由来成長因子の阻害剤、血小板由来成長因子の阻害剤、MMP(メタロプロテアーゼ)阻害剤、インテグリン遮断薬、インターフェロン−α、インターロイキン−12、ペントサン多硫酸、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチンA−4、スクワラミン、6−O−クロロアセチルカルボニル)−フマギロール、サリドマイド、アンギオスタチン、トロポニン−1、又はVEGFに対する抗体から選択される。一実施態様において、エストロゲン受容体モジュレーターは、タモキシフェン又はラロキシフェンである。
【0138】
請求の範囲には、また、放射線療法と組み合わせて、及び/又はエストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、レチノイド受容体モジュレーター、細胞障害性/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、血管形成阻害剤、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、固有の多剤耐性の阻害剤、抗催吐薬、ビスホスフォネート、貧血の治療に有用な薬剤、好中球減少症の治療に有用な薬剤、免疫強化剤、細胞増殖及び生存シグナル伝達阻害剤、細胞周期チェックポイントに干渉する薬剤、アポトーシス誘導剤から選択される化合物と組み合わせて、式Iで表される化合物の治療的に有効な量を投与することを含む、癌の治療方法が含まれる。
【0139】
また、本発明の更なる実施態様は、パクリタクセル又はトラスツズマブと組み合わせて、式Iで表される化合物の治療的に有効な量を投与することを含む、癌の治療方法である。
【0140】
更に、本発明は、COX−2阻害剤と組み合わせて、式Iで表される化合物の治療的に有効な量を投与することを含む、癌の治療又は予防方法を含む。
【0141】
本発明は、また、式Iで表される化合物の治療的に有効な量、及びエストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、レチノイド受容体モジュレーター、細胞障害性/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、血管形成阻害剤、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、細胞増殖及び生存シグナル伝達阻害剤、細胞周期チェックポイントに干渉する薬剤、ビスホスフォネート、及びアポトーシス誘導剤から選択される化合物を含有する、癌の治療又は予防に有用な医薬組成物を含む。
【0142】
本発明の、これら及び他の特徴は、本明細書に含まれる教示から明らかである。
【0143】
アッセイ
実施例に開示された本発明の化合物は、以下に開示するアッセイで試験され、キネシン阻害活性を有していることがわかった。他のアッセイは文献において公知であり、当業者によって容易に実施することができる(例えば、PCT国際公開WO01/30768,2001年5月3日、18−22頁を参照)。
【0144】
I.キネシンATPアーゼインビトロアッセイ
ヒトポリ−ヒスチジン標識KSPモータードメイン(KSP(367H))のクローニング及び発現
ヒトKSPモータードメイン構築物の発現のためのプラスミドは、鋳型として、pBluescript完全長ヒトKSP構築物(Blangyら,Cell,vol.83,pp1159−1169,1995)を用いたPCRによってクローニングされた。N−末端プライマー5’−GCAACGATTAATATGGCGTCGCAGCCAAATTCGTCTGCGAAG(配列番号:1)及びC−末端プライマー5’−GCAACGCTCGAGTCAGTGAT GATGGTGGTGATGCTGATTCACTTCAGGCTTATTCAATAT(配列番号:2)を用いて、モータードメイン及びネックリンカー領域を増幅させた。PCR生成物を、AseI及びXhoIで消化し、pRSETa(Invitrogen)のNdeI/XhoI消化産物に結合し、大腸菌(E.coli)BL21(DE3)に形質転換した。
【0145】
細胞を、OD600が0.5になるまで37℃で増殖させた。培地を室温に冷却した後、KSPの発現を100μMのIPTGで誘発し、インキュベーションを一晩続けた。遠心によって細胞を沈殿させ、氷冷したPBSで1度洗浄した。沈殿物を急速冷凍し、−80℃に保存した。
【0146】
タンパク質精製
細胞沈殿物を氷上で解凍し、溶解バッファー(50mM K−HEPES,pH8.0,250mM KCl,0.1%Tween,10mMイミダゾール,0.5mM Mg−ATP,1mM PMSF,2mMベンズイミジン,1x完全プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche))に再懸濁した。細胞懸濁液を、氷上で、1mg/mlのライソザイム及び5mMのβ−メルカプトエタノールで10分間インキュベートし、超音波処理(3×30秒)を行った。以下の全ての手順は4℃で行った。溶解物を、40,000xgで40分間遠心した。上清を希釈し、バッファーA(50mM K−HEPES,pH6.8,1mM MgCl,1mM EGTA,10μM Mg−ATP,1mM DTT)中のSPセファロースカラムに乗せ、バッファーA中の0〜750mM KClで溶出した。KSPを含む画分を集め、Ni−NTA樹脂(Qiagen)で1時間インキュベートした。樹脂をバッファーB(溶解バッファーからPMSF及びプロテアーゼ阻害剤カクテルを除いたもの)で3回洗浄し、15分のインキュベーション及びバッファーBを用いた洗浄を3回行った。最後に、樹脂をインキュベートし、バッファーC(pH6.0である以外はバッファーBと同じ)で15分間、3回洗浄し、カラムに注いだ。溶出バッファー(150mM KCl及び250mMイミダゾールである以外はバッファーBと同じ)でKSPを溶出させた。KSPを含む画分を集め、10%ショ糖とし、−80℃に保存した。
【0147】
ウシの脳から分離したチューブリンから微小管を調製する。精製した、1mg/mlのチューブリン(>97%MAPフリー)を、BRB80バッファー(80 mM K−PIPES,1mM EGTA,1mM MgCl,pH6.8)中で、10μMパクリタクセル,1mM DTT,1mM GTPの存在下で37℃で重合させる。得られた微小管を、超遠心及び上清の除去によって、重合していないチューブリンから分離する。微小管を含む沈殿物を、BRB80中の10μMパクリタクセル、1mM DTT,50μg/mlアンピシリン、及び5μg/mlクロラムフェニコールに、徐々に再懸濁する。
【0148】
キネシンモータードメインを、微小管、1mM ATP(1:1MgCl:Na−ATP)、及び80mM K−HEPES(pH7.0),1mM EGTA,1mM DTT,1mM MgCl,及び50mM KClを含むバッファー中の化合物と、23℃でインキュベートする。80mM HEPES及び50mM EDTAの最終バッファー組成物で2〜10倍希釈することによって反応を停止させる(又は、反応容量の1:1停止バッファー(1.8M KCl及び50mM EDTA)の添加によって)。1.5倍容量のクエンチC(例えば、40μlの反応容量+40μlの停止バッファーの混合物に、120μlのクエンチCを加える)を加えることによるキナルジンレッド/モリブデン酸アンモニウムアッセイによって、ATP加水分解からのフリーのリン酸を測定する。クエンチAは、0.1mg/mlのキナルジンレッド及び0.14%のポリビニルアルコールを含有する;クエンチBは、1.15M硫酸中に12.3mMのモリブデン酸アンモニウム四水和物を含む。クエンチCは、クエンチA:クエンチBの2:1の比の混合物である。反応物を、23℃で5〜10分間インキュベートし、ホスホ−モリブデン酸複合体の吸光度を540nmで測定する。
【0149】
実施例における、化合物1−6から1−31、2−1、2−2、2−3、3−5、4−4及び4−7を、上記試験で試験し、50μM以下のIC50を有することがわかった。
【0150】
II.細胞増殖アッセイ
細胞を96穴の組織培養シャーレで、24、48、及び72時間を超えて対数増殖させて培養し、一晩接着させる。次の日、全てのプレートに、10ポイントの半分の対数滴定(10−point,one−half log titration)で化合物が加えられる。各滴定シリーズを3重で行い、アッセイの間、0.1%の一定のDMSO濃度を維持する。0.1%DMSOのみのコントロールも含む。各化合物の希釈シリーズを、血清なしの培地中で作製する。アッセイ中の血清の最終濃度は、200μLの培地中で5%である。薬剤の追加に続く24、48又は72時間で、20μLのアラマーブルー染色試薬を、滴定プレートの各試料及びコントロールのウェルに加え、37℃でインキュベートする。6〜12時間後に、アラマーブルーの蛍光を、530〜560nm波長励起、590nm放射を用いて、サイトフルオロ(CytoFluor)IIプレートリーダー上で解析する。
【0151】
X−軸上に化合物の濃度をプロットし、Y−軸上に各滴定ポイントに対する細胞増殖の阻害の平均割合をプロットすることによって、細胞毒性(cytotoxic)EC50が得られる。溶媒のみで処理した、コントロールのウェル中の細胞の増殖は、アッセイについて100%増殖と定義され、化合物で処理された細胞の増殖を、この値と比較する。所有者の社内のソフトウエアを用いて、ロジスティック4−パラメーター・カーブ・フィッティングを用いて、細胞毒性値の割合及び彎曲点を計算する。
細胞毒性割合は以下のように定義される:
%細胞毒性:(蛍光コントロール)−(蛍光試料)×100×(蛍光コントロール−1
彎曲点は、細胞毒性EC50として報告される。
【0152】
III.FACSによる核分裂停止及びアポトーシスの評価
FACS分析は、処理した細胞集団中におけるDNA含有量を測定することにより、化合物が、有糸分裂中の細胞を停止し、アポトーシスを誘導する能力を評価するために用いられる。細胞を、6cmの組織培養シャーレあたり、1.4×10細胞の濃度で播種し、一晩接着させる。次いで、細胞を、溶媒(0.1%DMSO)、又は化合物の滴定シリーズで、8〜16時間処理する。処理に続いて、指示した時間にトリプシン処理によって細胞を集め、遠心によって沈殿化させる。細胞沈殿物を、PBSで洗浄し、70%エタノールで固定し、4℃で、一晩又はそれ以上保存する。
【0153】
FACS分析のために、少なくとも500,000個の固定細胞を沈殿化し、70%エタノールを吸引によって除去する。次いで、細胞を、RNアーゼA(50Kunitzユニット/ml)及びヨウ化プロピジウム(50μg/ml)で4℃で30分間インキュベートし、Becton Dickinson FACSCaliberを用いて解析する。データ(10,000細胞から)は、Modfit cell cycle analysis molding software(Verity社)を使用して分析される。
【0154】
核分裂停止のためのEC50は、X−軸に化合物濃度を、Y−軸に、各滴定ポイントについての細胞周期のG2/M相の細胞の割合(ヨウ化プロピジウム蛍光によって測定)をプロットすることにより得られる。ロジスティック4−パラメーターカーブフィッティングを彎曲点を計算するためのシグマプロットプログラムを用いて、データ解析を行う。彎曲点は、核分裂停止についてのEC50として報告される。アポトーシスについての化合物EC50を測定するために同様の方法が用いられる。ここで、各滴定ポイントにおけるアポトーシス細胞の割合(ヨウ化プロピジウム蛍光によって測定)はY−軸にプロットされ、同様の解析が、上述したように実施される。
【0155】
IV.単極紡錘体の検出のための免疫蛍光顕微鏡
DNA、チューブリン及びペリセントリンの免疫蛍光染色法は、本質的に、Kapoorら、(2000)J.Cell Biol.150:975−988に記載されている。細胞培養研究のため、細胞を、組織培養処理ガラスチャンバースライド上に播種し、一晩接着させる。次いで、細胞を関心のある化合物と共に、4〜16時間インキュベートする。インキュベーションの完了後、培地及び薬剤を吸引し、チャンバー及びガスケットをスライドグラスから除去する。次いで、細胞を透過化処理し、固定し、洗浄し、参考にされたプロトコールに従って非特異的抗体結合をブロックする。パラフィン包埋腫瘍切片を、キシレンを用いて脱パラフィン処理し、ブロッキング前にエタノールの系によって再水和する。スライドグラスを、4℃で一晩、一次抗体(マウスモノクローナル抗−α−チューブリン抗体、Sigmaの1:500希釈のクローン化DM1A;Covanceの1:2000希釈のウサギポリクローナル抗−ペリセントリン抗体)中でインキュベートする。洗浄した後、スライドグラスを、15μg/mlに希釈した抱合型二次抗体(チューブリンに対する、FITC−結合ロバ抗−マウスIgG;ペリセントリンに対する、テキサスレッド結合ロバ抗−ウサギIgG)と、室温で1時間インキュベートする。次いで、スライドグラスを洗浄し、Hoechst33342を用いて対比染色し、DNAを可視化する。メタモルフデコンボリューション及び画像ソフトウエアを用いたニコン落射蛍光顕微鏡上で、100×油浸液浸系対物レンズを用いて、免疫染色された試料を画像化する。
【実施例】
【0156】
提供される実施例は、本発明の更なる理解を補助することを意図する。用いられる特定の材料、種及び条件は、本発明の説明を意図しており、本発明の合理的な範囲を限定するものではない。
【0157】
【化13】

【0158】
工程1
((±)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル(1−2))
0℃で、プラスチックボトル中のエーテル(300mL)及び40%KOH(250mL)の激しく撹拌した溶液に、25gの1−メチル−3−ニトロソグアニジンを5分かけて加えた。0.5時間撹拌した後、反応混合物をプラスチックの分液ロートに移し、水相を分離した。エーテル相を、エーテル(200mL)中のケイ皮酸メチル(5.0g、30.8ミリモル)溶液に、0℃で30分かけてゆっくりと加えた。反応溶液を一晩撹拌し、生成物が沈殿した。反応物に、窒素を20分間泡立てて加え、反応物をオフホワイト固体になるまで濃縮し、次の反応に直接用いた。1−2についてのデータ:HNMR (500MHz,CDCl)7.36−7.20(m,5H),6.22(br s,1H),4.37(dd,J=14.5,7.0Hz,1H),4.10−4.04(m,1H),3.74(s,3H),3.73−3.68(m,1H)ppm。
【0159】
工程2
((±)−1−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル(1−4))
25℃で、CHCl(150mL)中のピラゾリン(3.0g,14.7ミリモル)溶液に、5−クロロ−2−フルオロフェニルボロン酸(1−3,5.1g,29.4ミリモル)、トリエチルアミン(3.0g,29.4ミリモル)、4Åモレキュラーシーブス(2g)、及び最後に酢酸銅(II)(2.9g,16.2ミリモル)を加え、反応物を24時間撹拌した。24時間時に、0.5当量の酢酸銅(II)(1.5g)、及び3当量の5−クロロ−2−フルオロフェニルボロン酸(5.1g,29.4ミリモル)を加え、更に48時間撹拌した。飽和NHCl(50mL)を用いて反応を停止し、CHCl(2x150mL)で抽出し、有機相をMgSOで乾燥し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の0〜10%EtOAc)によって精製し、黄色の固体として生成物を得た。1−4についてのデータ:HNMR(500MHz,CDCl)δ7.66(dd,J=7.5,2.5Hz,1H),7.35−7.22(m,5H),7.01−6.91(m,2H),4.59(dd,J=12.0,5.5Hz,1H),4.51−4.45(m,1H),4.32−4.27(m,1H),3.78(s,3H)ppm。
【0160】
工程3
((±)−4−アリル−1−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル(1−5))
−78℃で、THF(3mL)中の1−4(0.30g,0.90ミリモル)の溶液に、LiHMDSのTHF溶液(1.0M溶液、THF中、1.8mL)、次いで、臭化アリル(0.39mL,4.5ミリモル)を加えた。反応混合物を、−78℃で45分間撹拌し、次いで、0℃に加温し、30分間撹拌した。反応混合物の反応を、飽和NHClで停止し、EtOAcで抽出し、MgSOで乾燥し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の0〜25%EtOAC)によって精製し、生成物をオイルとして得、出発材料を回収した。1−5についてのデータ:HNMR(500MHz,CDCl)δ7.63(dd,J=7.5,2.5Hz,1H),7.38−7.23(m,5H),7.00−6.90(m,2H),5.74−5.66(m,1H),5.23−5.16(m,2H),4.39−4.30(m,2H),3.77(s,3H),3.22(dd,J=14.0,7.0Hz,1H),2.95(dd,J=14.0,7.0Hz,1H)ppm。
【0161】
工程4
((±)−4−アリル−1−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−N−メトキシ−N−メチル−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド(1−6))
25℃で、THF(5mL)中の1−5(0.12g,0.56ミリモル)溶液に、LiOH(1M,5.5mL)を加え、24時間激しく撹拌し、その反応は、tlc解析によって完結させた。反応混合物を、1N HCl(8mL)を用いてpH1に酸性化し、EtOAc(4x50mL)で抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥し、濃縮し次の反応において粗生成物として用いた。カルボン酸のTHF/DMF(1:1;5mL)溶液に、ワインラブアミン(0.082g,0.84ミリモル),トリエチルアミン(0.24mL,1.7ミリモル)、EDC(0.16g,0.84ミリモル)及びHOAT(0.12g,0.84ミリモル)を連続して加えた。反応混合物を25℃で18時間撹拌し、EtOAc(50mL)で希釈し、水(4x50mL)で洗浄した。合わせた有機相をMgSOで乾燥し、濃縮し、黄色のオイルとして更なる精製なしで用いた。1−6についてのデータ:HNMR(500MHz,CDCl)δ7.44(dd,J=7.5,2.5Hz,1H),7.38−7.23(m,5H),6.99(dd,J=11.5,8.5Hz,1H),6.91−6.86(m,1H),5.80−5.70(m,1H),5.23−5.10(m,2H),4.26−4.17(m,2H),3.80(s,3H),3.33−3.26(m,1H),3.25(s,3H),2.94(dd,J=13.5,7.5Hz,1H)ppm。
【0162】
工程5
((±)−1−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)−N−メトキシ−N−メチル−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド(1−7))
25℃で、THF(3mL)中の1−6(0.14g,0.35ミリモル)溶液に、TNF中の9−BBN(THF中、1M、1.4mL)を加え、反応物を55℃で24時間加熱した。Tlc解析により、出発材料の100%消費が示された。反応混合物を0℃に冷却し、2.5mLの1N NaOH及び2.5mLのH(30重量%)をゆっくりと加えた。反応混合物を0℃で45分間、25℃で15分間撹拌した。反応混合物を食塩水(10mL)で希釈し、EtOAc(4x15mL)で抽出し、MgSOで乾燥し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中の10〜100%EtOAC)によって精製し、黄色のオイルを得た。1−7についてのデータ:HNMR(500MHz,CDCl)δ7.63(dd,J=7.5,2.5Hz,1H),7.36−7.22(m,5H),7.00(dd,J=12.5,9.0Hz,1H),6.91−6.87(m,1H),4.28−4.25(m,1H),4.20−.16(m,1H),3.81(s,3H),3.75−3.71(m,2H),3.24(s,3H),2.61−2.53(m,1H),2.31−2.25(m,1H),1.72−1.52(m,2H)ppm。
【0163】
工程6
((±)−1−[1−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン(1−8))
0℃で、THF(1mL)中の1−7(0.023g,0.055ミリモル)溶液に、MeLi(EtO中、1.6M,0.137mL)を加え、反応物を0.5時間撹拌した。反応をtlc解析によって完結させた。反応混合物の反応を、飽和NHCl(5mL)で停止し、EtOAc(4x15mL)で抽出し、MgSOで乾燥し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中の0〜100%EtOAC)によって精製し、黄色のオイルを得た。1−8についてのデータ:HNMR(500MHz,CDCl)δ7.60(dd,J=7.5,2.5Hz,1H),7.36−7.22(m,5H),7.01(dd,J=12.5,9.0Hz,1H),6.96−6.92(m,1H),4.39(dd,J=11.5,4.0Hz,1H),4.28(dd,J=11.5,3.5Hz,1H),3.76−3.66(m,2H),2.49(s,3H),2.51−2.43(m,1H),2.38−2.28(m,1H),1.70−1.60(m,1H),1.42−1.32(m,1H)ppm。
【0164】
工程7
(±)−1−[4−[3−(4−アセチルピペラジン−1−イル)プロピル]−1−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン(1−9))
25℃で、CHCl中の1−8(0.009g,0.024ミリモル)の溶液(1mL)に、NaHCO(0.01g,0.12ミリモル)及びデス−マーチンペルヨージナン(0.020g,0.048ミリモル)を加えた。反応混合物を25℃で30分間撹拌し、反応はtlc解析によって完結させた。反応混合物の反応を、飽和NaHCO/Na(2mL)で停止し、EtOAc(3x10mL)で抽出し、MgSOで乾燥し、濃縮し、次の反応において粗生成物として用いた。25℃で、1,2−ジクロロエタン(2mL)中の粗アルデヒド溶液に、トリエチルアミン(0.06mL,0.429ミリモル)、アセチルピペラジン(0.028g,0.215ミリモル)、及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.045g,0.215ミリモル)を加えた。反応混合物を30分間撹拌し、食塩水(5mL)で反応を停止し、CHCl(3x10mL)で抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc中の0〜20%MeOH)によって精製し、黄色のオイルを得た。1−9についてのデータ:HRMSm/z(M+H)485.2115実測値,485.2114理論値:HNMR(500MHz,CDCl)δ7.60(dd,J=7.5,2.5Hz,1H),7.36−7.22(m,5H),7.00(dd,J=12.5,9.0Hz,1H),6.96−6.92(m,1H),4.39(dd,J=11.5,4.0Hz,1H),4.27(dd,J=11.5,3.5Hz,1H),3.64−3.57(m,2H),3.48−3.42(m,2H),2.48(s,3H),2.46−2.34(m,7H),2.28−2.20(m,1H),2.07(s,3H),1.58−1.50(m,1H),1.34−1.25(m,1H)ppm。
【0165】
以下の化合物を、上記手順の簡単な修飾によって調製した。特に示さない限り、表中の化合物はフリーの塩基として分離された。
【0166】
【表1】

【0167】
【表2】

【0168】
【表3】

【0169】
【表4】

【0170】
【化14】

【0171】
((±)−1−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)−N−メトキシ−N−メチル−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド(2−1))
25℃で、DMF(1.5mL)中の1−21(0.031g,0.067ミリモル)溶液に、テトラメチルスズ(0.060g,0.334ミリモル)、LiCl(0.028g,0.668ミリモル)、トリフェニルホスフィン(0.018g,0.067ミリモル)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.015g,0.013ミリモル)を連続して加えた。反応混合物を急速に105℃に加温し、20分間撹拌した。反応が、tlc解析によって約15%完了させ、反応混合物に、0.8当量のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.060g,0.052ミリモル)を加え、105℃で1時間加熱した。反応物を冷却し、飽和NHCl溶液(5mL)で反応を停止し、EtOAc(4x15mL)で抽出し、MgSOで乾燥し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の25〜10%EtOAc)によって精製し、黄色のオイルを得た。2−1についてのデータ::HNMR(500MHz,CDCl)δ7.39−7.30(m,3H),7.27−7.21(m,2H)6.95(dd,J=12.5,8.5Hz,1H),6.77−6.73(m,1H),4.27(dd,J=11.0,3.0Hz,1H),4.16(dd,J=11.0,3.0Hz,1H),3.80(s,3H),3.74−3.70(m,2H),3.26(s,3H),2.62−2.53(m,1H),2.32(s,3H),2.31−2.23(m,1H),1.77−1.54(m,2H)ppm。
【0172】
((±)−1−[4−[3−(4−アセチルピペラジン−1−イル)プロピル]−1−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン(2−2))
上述したように(MeLi追加、Dess−Martin酸化、還元アミン化)、及びスキーム2に示したように、化合物2−12−2に変えた。2−2についてのデータ:HRMS m/z(M+H)465,2634実測値,465,2661理論値、HNMR(500MHz,CDCl)δ7.40(dd,J=8.0,2.0Hz,1H),7.34−7.28(m,34),7.24−7.20(m,1H)6.97(dd,J=12.5,8.5Hz,1H),6.84−6.79(m,1H),4.38(dd,J=12.0,3.5Hz,1H),4.27(dd,J=12.0,3.0Hz,1H),3.63−3.56(m,2H),3.47−3.42(m,2H),2.47(s,3H),2.46−2.35(m,7H),2.35(s,3H),2.28−2.20(m,1H),2.07(s,3H),1.58−1.50(m,1H),1.37−1.28(m,1H)ppm。
【0173】
(+)−1−[4−[3−(4−アセチルピペラジン−1−イル)プロピル]−1−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン及び(−)−1−[4−[3−(4−アセチルピペラジン−1−イル)プロピル]−1−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン(2−2))
化合物2−2を、調製用HPLCによって2種のエナンチオマーに分離した(Chiralpak ADカラム50×50cm;20% IPA/80%ヘキサン+0.1%ジエチルアミン;より早く溶出するエナンチオマー16aのRは18.03分であり、より遅く溶出する第二のエナンチオマー16bのRは22.88分である。)。化合物2−2は、また調製用HPLCによっても分離され得る(Chiralpak ADカラム50×50cm;20% IPA/80%ヘキサン+0.1%ジエチルアミン;より早く溶出するエナンチオマー16aのRは20.88分であり、より遅く溶出する第二のエナンチオマー16bのRは29.04分である。)。
【0174】
【化15】

【0175】
(±)−(1−[4−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−1−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン(2−3)
アセチルピペラジンに代え、ジメチルアミンを用いて、スキーム2に示す手順によって、化合物2−3(1−[4−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−1−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン)を調製した。2−3についてのデータ:HRMS m/z(M+H)382.2289実測値,382.2224理論値。HNMR(500MHz,CDCl)δ7.39(dd,J=8.0,1.5Hz,1H),7.32−7.28(m,3H),7.24−7.19(m,1H)6.95(dd,J=12.5,8.5Hz,1H),6.84−6.78(m,1H),4.38(dd,J=11.5,3.5Hz,1H),4.27(dd,J=11.5,3.5Hz,1H),2.47(s,3H),2.46−2.35(m,6H),2.27−2.18(m,7H),1.58−1.49(m,1H),1.34−1.25(m,1H)ppm。
【0176】
((+)−(1−[4−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−1−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン及び(−)−(1−[4−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−1−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン(2−3))
化合物2−3を、HPLCによって2種のエナンチオマーに分離した。(Chiralpak ADカラム4.6mmx250mm;1mL/分;1%EtOH/90%ヘキサン+0.1%ジエチルアミン;より早く溶出するエナンチオマーのRは6.77分であり、より遅く溶出する第二のエナンチオマーのRは9.03分である。)。
【0177】
同様の方法で、スキーム1及び3、及びスキーム1の後の表中に記載された本発明の化合物は、光学異性体分離用HPLCによって2種のエナンチオマーに分離される。
【0178】
【化16】

【0179】
工程1
((±)−1−(3−フルオロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール(3−2))
EtOH(1000mL)中のアトロプアルデヒド(7.25g,54.8ミリモル)溶液を、3−フルオロフェニルヒドラジンと処理し、溶液を加熱して1時間還流した。溶液を室温にまで冷却し、濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO;ヘキサン中、0〜5%EtOAc)で精製し、ピラゾリン3−2を得た。3−2についてのデータ:HNMR(500MHz,CDCl)δ7.40−7.20(m,6H),6.90−6.75(m,3H),6.55(t,1H),4.40(t,1H),4.15(t,1H),3.65(t,1H)ppm。
【0180】
工程2
((±)−1−(3−フルオロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルアバルデヒド(3−3))
POCl(1mL)及びDMF(2mL)の溶液を5分間撹拌した。きれいなピラゾリン3−2(0.47g,1.95ミリモル)を加え、混合物を100℃に1時間加熱した。室温にまで冷却した後、反応混合物を氷水に注ぎ、EtOAcで2回抽出した。合わせた有機相をNaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO;ヘキサン中のEtOAc 0〜20%)によって精製し、3−3を得た。3−3についてのデータ:HNMR(500MHz,CDCl)δ9.81(s,1H),7.39−7.25(m,4H),7.20(d,2H),7.07(d,1H),6.95(d,1H),6.79(t,1H),4.64(dd,1H),4.42(t,1H),4.09(dd,1H)ppm。
【0181】
工程3
((±)−1−[1−(3−フルオロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン(3−5))
冷却した、THF(6mL)中のアルデヒド3−3(0.163g,0.61ミリモルの)溶液を−78℃に冷却し、メチルリチウムの溶液(エーテル中、1.6M溶液、0.456mL)で処理した。20分間撹拌した後、NHClの飽和溶液を加えることにより反応を停止した。室温に加温した後、混合物をEtOAcで抽出した。有機相を水及び食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。室温で、3−4の残渣(0.15g,0.528ミリモル)をジクロロメタン(5mL)に溶解し、デスマーチンペルヨージナン(0.224g,0.528ミリモル)で処理した。30分間撹拌した後、溶液を飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(5mL)及び飽和NaHCO水溶液(5mL)で処理した。混合物を、12時間激しく撹拌し、EtOAcで希釈し、飽和NaHCO水溶液及び食塩水で洗浄した。有機溶液をNaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(SiO,0〜15%EtOAc/ヘキサン)で精製し、混ざりもののある3−5を得た。この材料は、分取逆相HPLC(0.01%TFAを含む、15〜100%水/MeCN)によって精製され、純粋な3−5を得た。3−5についてのデータ:HNMR(500MHz,CDCl)δ7.35−7.24(m,4H),7.20(d,2H),7.03(d,1H),6.92(d,1H),6.73(t,1H),4.64(dd,1H),4.34(t,1H),4.05(dd,1H),2.55(s,3H)ppm。
【0182】
【化17】

【0183】
工程1
(エチル(2Z)−クロロ[(2,5−ジフルオロフェニル)ヒドラゾノ]エタノエート(4−2))
2,5−ジフルオロアニリン(3.0g,23.2ミリモル)を、60%AcOH水溶液中1M HClに懸濁し(基質中に0.5M)、エチル2−クロロアセトアセテート(9.6mL,69.7ミリモル)を手際よく加えた。反応物を−5℃(塩氷浴)まで冷却し、激しく撹拌した反応混合物に、亜硝酸ナトリウム(水中に1.4M、1.4等量)を加えた。NaOAc(8g)を用いて反応pHをpH4に調整し、25℃で2時間撹拌した。次いで、反応物をCHCl(3x150mL)で抽出し、MgSOで乾燥し、濃縮した。
粗反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中、0〜15%EtOAc)で精製し、わずかに、エチル2−クロロアセトアセテートの混ざりもの(20%)を有する、褐色の結晶としての生成物を得た。4−2についてのデータ:HNMR(500MHz,CDCl)δ8.44(s,1H),7.35−7.30(m,1H),7.07−7.02(m,1H),6.67−6.62(m,1H),4.43−4.38(m,2H),1.42(t,J=7.0Hz,1H)ppm。
【0184】
工程2
((±)−1−(2,5−ジフルオロフェニル)−5−モルホリン−4−イル−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチル(4−4))
25℃で、トルエン(7mL)中のエチル(2Z)−クロロ[(2,5−ジフルオロフェニル)ヒドラゾノ]エタノエート(0.50g,1.9ミリモル)及び4−3(0.54g,2.9ミリモル)溶液に、トリエチルアミン(0.35mL,2.5ミリモル)を加え、反応混合物を75℃に3時間加熱した。反応混合物を25℃に冷却し、水で(10mL)で反応を停止し、CHCl(3x15mL)で抽出し、MgSOで乾燥した。合わせた有機相を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中、0〜50%EtOAc)で精製し、黄色のオイルとして4−4を得た。4−4についてのデータ:HNMR(500MHz,CDCl)δ7.50−7.45(m,1H),7.36−7.31(m,2H),7.30−7.25(m,1H),7.20−7.16(m,1H),7.01−6.96(m,1H),6.74−6.69(m,1H),5.30(t,J=2.5Hz,1H),4.42(d,J=2.5Hz,1H),4.28−4.19(m,2H),3.59−3.46(m,4H),2.50−2.47(m,4H),1.30−1.24(m,3H)ppm。
【0185】
工程3
(1−(2,5−ジフルオロフェニル)−4−フェニル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチル(4−5))
25℃で、きれいな4−4(0.14g,0.35ミリモル)に、TFAのCHCl(1:1;2mL)溶液を加えた。反応物を1時間撹拌し、固体のNaHCO(約4g)で反応を停止した。反応物を、更に蒸留水(10mL)で希釈し、CHCl(4x10mL)で抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥し、濃縮し、黄色の固体として4−5を得た。4−5についてのデータ:HNMR(500MHz,CDCl)δ8.08(d,J=3.0Hz,1H),7.84−7.80(m,1H),7.53−7.48(m,2H),7.43−7.34(m,3H),7.26−7.20(m,1H),7.07−7.01(m,1H),4.40−4.36(m,2H),1.34−1.30(m,3H)ppm。
【0186】
工程4
(1−(2,5−ジフルオロフェニル)−N−メトキシ−N−メチル−4−フェニル−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド(4−6))
THF(0.7mL)中の4−5(0.02g,0.06ミリモル)溶液に、1M LiOH(0.7mL)を加え、55℃に24時間加熱した。反応混合物を冷却し、1M HCl(2mL)でpH1に酸性化し、EtOAc(4x10mL)で抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥し、濃縮した。粗反応混合物を次の反応に直接用いた。25℃で、THF:DMF(1:1;2mL)中のカルボン酸の溶液に、トリエチルアミン(0.02g,0.20ミリモル)、EDC(0.026g,0.133ミリモル)、HOAT(0.018g,0.133ミリモル)及びN,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(0.032g,0.333ミリモル)を加えた。反応物を48時間撹拌し、EtOAc(15mL)で希釈し、水(3x10mL))及び食塩水(1x10mL)で洗浄した。合わせた有機相を、MgSOで乾燥し、濃縮して、LCMS及びNMR解析によって90%以上純粋である黄色のオイルとして4−6を得た。4−6についてのデータ:HNMR(500MHz,CDCl)δ8.22(d,J=2.5Hz,1H),7.80−7.75(m,1H),7.53−7.48(m,2H),7.42−7.37(m,2H),7.33−7.29(m,1H),7.25−7.20(m,1H),7.02−6.96(m,1H),3.60(bs,3H),3.33(bs,3H)ppm。
【0187】
工程5
(1−[1−(2,5−ジフルオロフェニル)−4−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン(4−7))
0℃で、THF(1mL)中の4−6(0.015g,0.044ミリモル)溶液に、MeLiのEtO溶液(1.6M溶液,0.11mL,0.175ミリモル)を加えた。反応物を1時間撹拌し、反応はtlc分析によって完結させた。反応混合物の反応を、飽和NHCl(5mL)で停止し、EtOAc(4x10mL)で抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中、0〜25%EtOAc)で精製し、白色固体として4−7を得た。4−7についてのデータ:HNMR(500MHz,CDCl)δ8.11(d,J=2.0Hz,1H),7.83−7.79(m,1H),7.56−7.52(m,2H),7.43−7.33(m,3H),7.28−7.22(m,1H),7.08−7.03(m,1H),2.69(s,3H)ppm。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

(式中、aは、独立して、0又は1であり;
bは、独立して、0又は1であり;
mは、独立して、0、1又は2であり、
nは、0ないし3であり;
pは、0、1、2又は3であり;
qは、0、1、2又は3であり;
uは、2、3、4又は5であり;
破線は任意の二重結合を表わし;
は、
1)(C=X)C−C10アルキル、
2)(C=X)アリール、
3)(C=X)C−C10アルケニル、
4)(C=X)C−C10アルキニル、
5)(C=X)C−Cシクロアルキル、
6)(C=X)ヘテロシクリル、
7)(C=X)NR
8)(C=X)OC−C10アルキル、
9)(CO)H、
10)SONR
11)SO−C10アルキル、
12)SO−C10アリール、
13)SO−C10ヘテロシクリル、
14)C−C10アルキル、
15)アリール、
16)ヘテロアリール、
17)(CH(C=O)C−C10アルキル、
18)(CH(C=O)NR
19)3−ピロリジノニル、3−ピペリジノニル、2−シクロペンタノニル、2−シクロヘキサノニル、
20)(C=O)(C=O)C−C10アルキル、
21)(C=O)(C=O)NR
22)(C=O)(C=O)O C−C10アルキル
から選択され、ここで、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール及びヘテロシクリルは、Rから選択される1個以上の置換基で置換されてもよく;
及びRは、独立して、
1)(C=O)−C10アルキル、
2)(C=O)−Cシクロアルキル、
3)COH、
4)ハロ、
5)CN、
6)OH、
7)O−Cペルフルオロアルキル、
8)O(C=O)NR
9)S(O)
10)S(O)NR、及び
11)−ORp;
から選択され、ここで、前記アルキル及びシクロアルキルは、Rから選択される、1、2又は3個の置換基で置換されてもよく;
は、
1)水素
2)C−C10アルキル、
3)C−C10アルケニル、
4)C−C10アルキニル、
5)(C−C−アルキレン)−Cシクロアルキル、
6)C−C10アルキル−(C=O)−NRc’
7)C−C10アルケニル−(C=O)NRc’
8)C−C10アルキニル−(C=O)NRc’
9)(C−C−アルキレン)−Cシクロアルキル−(C=O)NRc’
10)C−C10アルキル−S(O)−R
11)C−C10アルケニル−S(O)−R
12)C−C10アルキニル−S(O)−R
13)(C−C−アルキレン)−Cシクロアルキル−S(O)−R
から選択され、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル及びシクロアルキルは、Rから選択される、1個以上の置換基で置換されていてもよく;又は破線が二重結合を表わす場合、Rは存在せず;
は、独立して、
1)水素、
2)C−C10アルキル、
3)アリール、
4)C−C10アルケニル、
5)C−C10アルキニル
6)ヘテロシクリル、
7)CO
8)OH、
9)C−Cペルフルオロアルキル、
10)O(C=O)NR
11)S(O)
12)S(O)NR
13)CHO、
14)C−Cシクロアルキル、又は
15)−ORp;
であり、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、及びシクロアルキルは、Rから選択される、1個以上の置換基で置換されてもよく;
は、独立して、
1)(C=O)(C−C10)アルキル、
2)O(C−C)ペルフルオロアルキル、
3)オキソ、
4)OH
5)ハロ
6)CN、
7)(C−C10)アルケニル、
8)(C−C10)アルキニル、
9)(C=O)(C−C)シクロアルキル、
10)(C=O)(C−C)アルキレン−アリール、
11)(C=O)(C−C)アルキレン−ヘテロシクリル、
12)(C=O)(C−C)アルキレン−N(R
13)C(O)R
14)(C−C)アルキレン−CO
15)C(O)H、
16)(C−C)アルキレン−COH、
17)C(O)N(R
18)S(O)
19)S(O)NR、及び
20)−ORp、
から選択され、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール及びヘテロシクリルは、R、OH、(C−C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C−Cアルキル、オキソ、及びN(Rから選択される3個までの置換基で置換されていてもよく;又は
同じ炭素原子に結合する2個のRが一緒になって、−(CH−を形成し、ここで、vは、3ないし6であり、1個又は2個の炭素原子が、O、S(O)、−N(R)C(O)−、−N(R)−及び−N(COR)−から選択される部分で置換されてもよく;
及びRは、独立して、
1)H、
2)(C=O)O−C10アルキル、
3)(C=O)O−Cシクロアルキル
4)(C=O)Oアリール、
5)(C=O)Oヘテロシクリル、
6)C−C10アルキル、
7)アリール、
8)C−C10アルケニル、
9)C−C10アルキニル、
10)ヘテロシクリル、
11)C−Cシクロアルキル、
12)SO、及び
13)(C=O)NR
から選択され、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル及びアルキニルは、Rから選択される1、2又は3個の置換基で置換されてもよく;又は、
及びRは、それらが結合する窒素と一緒になって、単環式又は二環式複素環(各環に5ないし7個のメンバーを有し、また、窒素に加え、N、O及びSから選択される1又は2個の追加のヘテロ原子を含んでもよい。)を形成してもよく、前記単環式又は二環式複素環は、Rから選択される、1、2又は3個の置換基で置換されてもよく;
は、独立して、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、アリール、及びヘテロシクリルから選択され、
は、独立して、H、(C−C)アルキル、アリール、ヘテロシクリル、(C−C)シクロアルキル、(C=O)OC−Cアルキル、(C=O)C−Cアルキル又はS(O)から選択され;及び
及びRc’は、独立して、H、(C−C)アルキル、アリール、NH、OH、OR、−(C−C)アルキル−OH、−(C−C)アルキル−O−(C−C)アルキル、(C=O)OC−Cアルキル、(C=O)C−Cアルキル、(C=O)アリール、(C=O)ヘテロシクリル、(C=O)NRd’、S(O)及び−(C−C)アルキル−N(Rから選択され、ここで前記アルキルは、Rから選択される1、2又は3個の置換基で置換されてもよく;又は
及びRc’は、それらが結合する窒素と一緒になって、単環式又は二環式複素環(各環に3ないし7個のメンバーを有し、また、窒素に加え、N、O及びSから選択される1又は2個の追加のヘテロ原子を含んでもよい。)を形成してもよく、前記単環式又は二環式複素環は、Rから選択される、1、2又は3個の置換基で置換されてもよく;
及びRd’は、独立して、H、(C−C)アルキル、アリール、ヘテロシクリル、及び(C−C)シクロアルキルから選択され、これらは、Rから選択される1、2又は3個の置換基で置換されてもよく;又は
及びRd’は、それらが結合する窒素と一緒になって、単環式又は二環式複素環(各環に3ないし7個のメンバーを有し、また、窒素に加え、N、O及びSから選択される1又は2個の追加のヘテロ原子を含んでもよい。)を形成してもよく、前記単環式又は二環式複素環は、Rから選択される、1、2又は3個の置換基で置換されてもよく;及び
Rpは、−PO(OH)、−PO(R、−C(O)CHCHCHOPO(OH)、C(O)CHCHCHOPO(R、−CHOPO(OH)、−CHOPO(R、−C(O)(CHRNR、−C(O)(CHRNR、−CHOC(O)(CHRNR、−CHOC(O)(CHRNR、及び
【化2】

から選択される。)
で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩又は立体異性体。
【請求項2】
式II:
【化3】

(式中、aは、独立して、0又は1であり;
bは、独立して、0又は1であり;
mは、独立して、0、1又は2であり、
nは、0ないし3であり;
pは、0、1、2又は3であり;
qは、0、1、2又は3であり;
uは、2、3、4又は5であり;
は、
1)(C=O)C−C10アルキル、
2)(C=O)C−Cシクロアルキル、
3)(C=O)NR
4)(C=O)OC−C10アルキル、
5)SONR
6)SO−C10アルキル、
7)C−C10アルキル、
8)(CH(C=O)C−C10アルキル、
9)(CH(C=O)NR
から選択され、ここで、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール及びヘテロシクリルは、Rから選択される、1個以上の置換基で置換されてもよく;又は
及びRは、独立に
1)ハロ、
2)CN、
3)OH、
4)O−Cペルフルオロアルキル、
5)O(C=O)NR
6)S(O)
7)S(O)NR、及び
8)−OPO(OH)
から選択され、ここで、前記アルキル及びシクロアルキルは、Rから選択される1、2又は3個の置換基で置換されてもよく;
2aは水素又はハロゲンであり;
は、
1)水素、
2)C−C10アルキル、
3)(C−C−アルキレン)−Cシクロアルキル、
4)C−C10アルキル−(C=O)−NRc’
5)(C−C−アルキレン)−Cシクロアルキル−(C=O)NRc’
6)C−C10 アルキル−S(O)−R
7)(C−C−アルキレン)−Cシクロアルキル−S(O)−R
から選択され、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル及びシクロアルキルは、Rから選択される1個以上の置換基で置換されてもよく;
は、独立して、
1)水素、
2)C−C10アルキル、
3)アリール、
4)C−C10アルケニル、
5)C−C10アルキニル、
6)ヘテロシクリル、
7)CO
8)OH、
9)C−Cペルフルオロアルキル、
10)O(C=O)NR
11)S(O)
12)S(O)NR
13)CHO、又は
14)C−Cシクロアルキル
であり、ここで、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、及びシクロアルキルは、Rから選択される1個以上の置換基で置換されてもよく;
は、独立して、
1)(C=O)(C−C10)アルキル、
2)O(C−C)ペルフルオロアルキル、
3)オキソ、
4)OH、
5)ハロ、
6)CN、
7)(C−C10)アルケニル、
8)(C−C10)アルキニル、
9)(C=O)(C−C)シクロアルキル、
10)(C=O)(C−C)アルキレン−アリール、
11)(C=O)(C−C)アルキレン−ヘテロシクリル、
12)(C=O)(C−C)アルキレン−N(R
13)C(O)R
14)(C−C)アルキレン−CO
15)C(O)H、
16)(C−C)アルキレン−COH、
17)C(O)N(R
18)S(O)、及び
19)S(O)NR
から選択され、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロシクリルは、R、OH、(C−C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C−Cアルキル、オキソ、及びN(Rから選択される3個までの置換基で置換されていてもよく;又は
同じ炭素原子に結合する2個のRが一緒になって、−(CH−を形成し、ここでuは、3ないし6であり、1個又は2個の炭素原子が、O、S(O)、−N(R)C(O)−、−N(R)−及び−N(COR)−から選択される部分で置換されてもよく;
及びRは、独立して、
1)H、
2)(C=O)O−C10アルキル、
3)(C=O)O−Cシクロアルキル、
4)(C=O)Oアリール、
5)(C=O)Oヘテロシクリル、
6)C−C10アルキル、
7)アリール、
8)C−C10アルケニル、
9)C−C10アルキニル、
10)ヘテロシクリル、
11)C−Cシクロアルキル、
12)SO、及び
13)(C=O)NR
から選択され、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル、及びアルキニルは、Rから選択される、1、2又は3個の置換基で置換されてもよく;又は、
及びRは、それらが結合する窒素と一緒になって、単環式又は二環式複素環(各環に5ないし7個のメンバーを有し、また、窒素に加え、N、O及びSから選択される1又は2個の追加のヘテロ原子を含んでもよい。)を形成してもよく、前記単環式又は二環式複素環は、Rから選択される、1、2又は3個の置換基で置換されてもよく;
は、独立して、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、アリール、及びヘテロシクリルから選択され;
は、独立して、H、(C−C)アルキル、アリール、ヘテロシクリル、(C−C)シクロアルキル、(C=O)OC−Cアルキル、(C=O)C−Cアルキル又はS(O)から選択され;及び
及びR’は、独立して、H、(C−C)アルキル、アリール、NH、OH、OR、−(C−C)アルキル−OH、−(C−C)アルキル−O−(C−C)アルキル、(C=O)OC−Cアルキル、(C=O)C−Cアルキル、(C=O)アリール、(C=O)ヘテロシクリル、(C=O)NRd’、S(O)及び−(C−C)アルキル−N(Rから選択され、ここで、前記アルキルは、Rから選択される1、2又は3個の置換基で置換されてもよく;又は
及びR’は、それらが結合する窒素と一緒になって、単環式又は二環式複素環(各環に3ないし7個のメンバーを有し、また、窒素に加え、N、O及びSから選択される1又は2個の追加のヘテロ原子を含んでもよい。)を形成してもよく、前記単環式又は二環式複素環は、Rから選択される、1、2又は3個の置換基で置換されてもよく;
及びRd’は、独立して、Rから選択される、1、2又は3個の置換基で置換されてもよい、H、(C−C)アルキル、アリール、ヘテロシクリル及び(C−C)シクロアルキルから選択され;又は、
及びRd’は、それらが結合する窒素と一緒になって、単環式又は二環式複素環(各環に3ないし7個のメンバーを有し、また、窒素に加え、N、O及びSから選択される1又は2個の追加のヘテロ原子を含んでもよい。)を形成してもよく、前記単環式又は二環式複素環は、Rから選択される、1、2又は3個の置換基で置換されてもよい。)
で表される、請求項1記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩又は立体異性体。
【請求項3】
式III:
【化4】

(式中、aは、独立して、0又は1であり;
bは、独立して、0又は1であり;
mは、独立して、0、1又は2であり;
nは、0ないし3であり;
pは、0、1、2又は3であり;
qは、0、1、2又は3であり;
uは、2、3、4又は5であり;
は、
1)(C=O)C−C10アルキル、
2)(C=O)C−Cシクロアルキル、
3)(C=O)NR
4)(C=O)OC−C10アルキル、
5)SONR
6)SO−C10アルキル、
7)C−C10アルキル、
8)(CH(C=O)C−C10アルキル、
9)(CH(C=O)NR
から選択され、ここで、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール及びヘテロシクリルは、Rから選択される1個以上の置換基で置換されてもよく;
2aは、水素又はハロゲンであり;
2bは、水素、ハロゲン及びOHから選択され;
は、
1)水素、
2)C−C10アルキル、
3)(C−C−アルキレン)−Cシクロアルキル、
4)C−C10アルキル−(C=O)−NRc’
5)(C−C−アルキレン)−Cシクロアルキル−(C=O)NRc’
6)C−C10アルキル−S(O)−R
7)(C−C−アルキレン)−Cシクロアルキル−S(O)−R
から選択され、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル及びシクロアルキルは、Rから選択される、1個以上の置換基で置換されてもよく;
は、独立して、
1)(C=O)−C10アルキル、
2)(C=O)アリール、
3)C−C10アルケニル、
4)C−C10アルキニル、
5)(C=O)ヘテロシクリル、
6)COH、
7)ハロ、
8)CN、
9)OH、
10)O−Cペルフルオロアルキル、
11)O(C=O)NR
12)S(O)
13)S(O)NR
14)オキソ、
15)CHO、
16)(N=O)R、又は
17)(C=O)−Cシクロアルキル、
から選択され、ここで、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル及びシクロアルキルは、Rから選択される1個以上の置換基で置換されてもよく;
は、独立して、
1)(C=O)(C−C10)アルキル(ここで、r及びsは、独立して、0又は1である。)、
2)O(C−C)ペルフルオロアルキル(ここで、rは、0又は1である。)、
3)オキソ、
4)OH、
5)ハロ、
6)CN、
7)(C−C10)アルケニル、
8)(C−C10)アルキニル、
9)(C=O)(C−C)シクロアルキル、
10)(C=O)(C−C)アルキレン−アリール、
11)(C=O)(C−C)アルキレン−ヘテロシクリル、
12)(C=O)(C−C)アルキレン−N(R
13)C(O)R
14)(C−C)アルキレン−CO
15)C(O)H、
16)(C−C)アルキレン−COH、及び
17)C(O)N(R
18)S(O)、及び
19)S(O)NR
から選択され、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、及びヘテロシクリルは、R、OH、(C−C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C−Cアルキル、オキソ、及びN(Rから選択される3個までの置換基で置換されていてもよく;又は
同じ炭素原子に結合する2個のRが一緒になって、−(CH−を形成し、ここでuは、3ないし6であり、1個又は2個の炭素原子が、O、S(O)、−N(R)C(O)−、−N(R)−及び−N(COR)−から選択される部分で置換されてもよく;
及びRは、独立して、
1)H、
2)(C=O)O−C10アルキル、
3)(C=O)O−Cシクロアルキル、
4)(C=O)Oアリール、
5)(C=O)Oヘテロシクリル、
6)C−C10アルキル、
7)アリール、
8)C−C10アルケニル、
9)C−C10アルキニル、
10)ヘテロシクリル、
11)C−Cシクロアルキル、
12)SO、及び
13)(C=O)NR
から選択され、ここで、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル、及びアルキニルは、Rから選択される、1、2又は3個の置換基で置換されてもよく;又は、
及びRは、それらが結合する窒素と一緒になって、単環式又は二環式複素環(各環に5ないし7個のメンバーを有し、また、窒素に加え、N、O及びSから選択される1又は2個の追加のヘテロ原子を含んでもよい。)を形成してもよく、前記単環式又は二環式複素環は、Rから選択される、1、2又は3個の置換基で置換されてもよく;
は、独立して、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、アリール、及びヘテロシクリルから選択され;
は、独立して、H、(C−C)アルキル、アリール、ヘテロシクリル、(C−C)シクロアルキル、(C=O)OC−Cアルキル、(C=O)C−Cアルキル又はS(O)から選択され;及び
及びRc’は、独立して、H、(C−C)アルキル、アリール、NH、OH、OR、−(C−C)アルキル−OH、−(C−C)アルキル−O−(C−C)アルキル、(C=O)OC−Cアルキル、(C=O)C−Cアルキル、(C=O)アリール、(C=O)ヘテロシクリル、(C=O)NRd’、S(O)及び−(C−C)アルキル−N(Rから選択され、ここで、前記アルキルは、Rから選択される1、2又は3個の置換基で置換されてもよく;又は
及びR’は、それらが結合する窒素と一緒になって、単環式又は二環式複素環(各環に3ないし7個のメンバーを有し、また、窒素に加え、N、O及びSから選択される1又は2個の追加のヘテロ原子を含んでもよい。)を形成してもよく、前記単環式又は二環式複素環は、Rから選択される、1、2又は3個の置換基で置換されてもよく;
及びR’は、独立して、Rから選択される、1、2又は3個の置換基で置換されてもよい、H、(C−C)アルキル、アリール、ヘテロシクリル及び(C−C)シクロアルキルから選択され;又は、
及びRd’は、それらが結合する窒素と一緒になって、単環式又は二環式複素環(各環に3ないし7個のメンバーを有し、また、窒素に加え、N、O及びSから選択される1又は2個の追加のヘテロ原子を含んでもよい。)を形成してもよく、前記単環式又は二環式複素環は、Rから選択される、1、2又は3個の置換基で置換されてもよい。)
で表される、請求項2記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩又は立体異性体。
【請求項4】
下記:
(±)−1−[4−[3−(4−アセチルピペラジン−1−イル)プロピル]−1−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン、
(±)−1−[4−[3−(4−アセチルピペラジン−1−イル)プロピル]−1−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン、
(±)−1−[4−[3−(4−アセチルピペラジン−1−イル)プロピル]−1−(2,5−ジフルオロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン、
(±)−1−[4−[3−(4−アセチルピペラジン−1−イル)プロピル]−1−(2−フルオロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン、
(±)−1−[4−[3−(4−アセチルピペラジン−1−イル)プロピル]−1−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン、
(±)−4−アリル−1−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル、
(±)−1−[4−アリル−1−(5−クロロ−2−フルオロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン、
(±)−4−アリル−1−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸メチル、
(±)−4−アリル−1−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−N−メトキシ−N−メチル−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド、
(±)−4−アリル−1−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル)−N−メトキシ−N−メチル−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド、
(±)−1−[1−(2,5−ジフルオロフェニル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン、
(±)−1−(2,5−ジフルオロフェニル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)−N−メトキシ−N−メチル−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド、
(±)−1−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)−N−メトキシ−N−メチル−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド、
(±)−1−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェニル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)−N−メトキシ−N−メチル−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド、
(±)−1−[1−(2−フルオロ−5−トリフルオロフェニル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン、
(±)−1−[1−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン、
(±)−1−[4−[3−モルホリニルプロピル]−1−(5−ブロモ−2−フルオロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン、
(±)−1−[4−[3−ジメチルアミノプロピル]−1−(2,5−ジフルオロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン、
(±)−1−[4−[3−(3−フルオロアゼチジン−1−イル)プロピル]−1−(2−フルオロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン、
(±)−1−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)−N−メトキシ−N−メチル−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド、
(±)−1−[4−[3−(4−アセチルピペラジン−1−イル)プロピル]−1−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン
(+)−1−[4−[3−(4−アセチルピペラジン−1−イル)プロピル]−1−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン
(−)−1−[4−[3−(4−アセチルピペラジン−1−イル)プロピル]−1−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン
(±)−(1−[4−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−1−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン
(+)−(1−[4−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−1−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン
(−)−(1−[4−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−1−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン
(±)−1−[1−(3−フルオロフェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン
1−[1−(2,5−ジフルオロフェニル)−4−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル]エタノン、
から選択される化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩又は多形体。
【請求項5】
請求項1記載の化合物と、薬学的に許容される担体とを含有する医薬組成物。
【請求項6】
請求項4記載の化合物と、薬学的に許容される担体とを含有する医薬組成物。
【請求項7】
治療を必要とするほ乳類において、癌を治療又は予防するのに有用な医薬を製造するための請求項1記載の化合物の使用方法
【請求項8】
治療を必要とするほ乳類において、癌を治療又は予防するのに有用な医薬を製造するための請求項1記載の化合物の使用方法であって、前記癌が、組織球性リンパ腫、肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓癌、グリア芽腫及び乳癌から選択される、前記方法。
【請求項9】
治療を必要とするほ乳類において紡錘体形成を調節するのに有用な医薬を製造するための請求項1記載の化合物の使用方法。

【公表番号】特表2008−524329(P2008−524329A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548319(P2007−548319)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/045563
【国際公開番号】WO2006/068933
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】