説明

有軌道台車システム

【課題】有軌道台車システムにおいて、接続軌道を効果的に短縮し、省スペースを実現する。
【解決手段】有軌道台車システムは、第1及び第2の本軌道(101,102)、並びに接続軌道(105)を有する軌道(100)と、台車(200)とを備える。台車は、一対の第1及び第2の分岐ローラ(610)をシフト可能に支持する分岐ローラ支持部(720)と、姿勢安定ローラ(620)をシフト不能に支持する姿勢安定ローラ支持部(710)とを有している。軌道は、第1の分岐ローラを案内する第1の分岐ガイド(110a)と、第2の分岐ローラを案内する第2の分岐ガイド(110b)と、無ガイド区間で姿勢安定ローラを案内する姿勢安定ローラガイド(120b)とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体装置製造用の各種基板等が収容された容器などの被搬送物を軌道に沿って搬送する有軌道台車システムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の有軌道台車システムとして、例えば天井に敷設された軌道を走行することでFOUP(Front Opening Unified Pod)等の被搬送物を搬送する懸垂型の台車を有するもの(所謂OHT:Overhead Hoist Transport)が知られている。
【0003】
このような有軌道台車システムは、例えばスペース単価が高額なクリーンルーム内で使用されることが多いことから、省スペースを実現することが求められる。このため、2つの本軌道間を接続する接続軌道の長さを短縮することで、省スペースを実現しようとする技術が提案されている。例えば、特許文献1では、接続軌道を走行する際に用いる分岐ローラを接続軌道上で強制的にシフトさせる強制ガイドを設けることで、上述した接続軌道の長さを短縮しようとする技術が開示されている。
【0004】
より具体的には、N型軌道において他の軌道へと乗り移ろうとする台車は、先ず台車の走行ユニットが有する分岐ローラ機構を走行中の軌道の幅方向の乗り移る軌道がある側にシフトさせておいて、走行中の軌道から接続軌道中まで延びる分岐ガイドの案内により接続軌道へと乗り移る。その後、走行方向について、ある一定の離隔領域を経て接続軌道の幅方向反対側に存在する合流側の分岐ガイドに案内されるように、分岐ローラ機構を逆側にシフトさせる。この際、分岐ローラ機構は、離隔領域に設けられた強制ガイドによって、逆側の分岐ガイド方向へと強制的にシフトされる。このようにして、台車の走行ユニットは乗り移る側の軌道へと案内される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−126743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に係る技術では、分岐ガイドが存在しない離隔領域でなければ、分岐ローラ機構をシフトすることができない。しかしながら、離隔領域には、仮に強制ガイドを用いたとしても、1つの分岐ローラ機構の走行方向についての長さと、分岐ローラ機構をシフトしている間に走行する長さとを足した値以上となる長さが求められる。
【0007】
ここで、より一層の接続軌道の短縮を実現しようとする場合、離隔領域を短くするには、例えば強制ガイドの走行方向の長さを短縮することが求められる。しかしながら、強制ガイドの長さを短縮すると、台車の走行速度を遅くしない限り、急激に分岐ローラをシフトさせることになる。このような急激なシフトは、分岐ローラに対して大きい力を働かせるため、分岐ローラに異常が発生してしまうおそれがある。また、分岐ローラが強制ガイドに当接する際の衝撃も大きくなるため、台車の振動や分岐ローラの破損等を招くおそれがある。
【0008】
以上のように、特許文献1に係る技術は、仮に接続軌道の長さを短縮できたとしても、その効果は限定的であり、それ以上の短縮化を図ろうとすると様々な不都合が生じてしまうという技術的問題点を有している。
【0009】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、接続軌道を効果的に短縮し、省スペースを実現することが可能な有軌道台車システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の有軌道台車システムは上記課題を解決するために、第1及び第2の本軌道、並びに前記第1及び第2の本軌道を互いに接続する接続軌道を有する軌道と、前記軌道に支持されると共に案内されて走行する台車とを備える有軌道台車システムであって、前記台車は、前記軌道を走行する走行部と、前記走行部に設けられており、前記走行部の幅方向の一方側及び他方側に設けられた一対の第1及び第2の分岐ローラを、前記走行部の幅方向にシフト可能に支持する分岐ローラ支持部と、前記走行部に設けられており、前記走行部の走行姿勢を安定させるための姿勢安定ローラを、前記走行部の幅方向にシフト不能に指示する姿勢安定ローラ支持部とを有しており、前記軌道は、前記接続軌道の幅方向の一方側において、前記第1の本軌道から前記接続軌道の延伸方向に沿って延び、前記第1の分岐ローラを案内する第1の分岐ガイドと、前記接続軌道の幅方向の他方側において、前記接続軌道の延伸方向に関して前記第1の分岐ガイドと重ならない無ガイド区間を隔てて、前記接続軌道の延伸方向に沿って前記第2の本軌道まで延び、前記第2の分岐ローラを案内する第2の分岐ガイドと、前記無ガイド区間に設けられており、前記無ガイド区間内で前記姿勢安定ローラを案内する姿勢安定ローラガイドとを有している。
【0011】
本発明の有軌道台車システムは、天井や天井近傍或いは地上等に敷設された軌道と、軌道に支持されると共に案内されて走行する台車とを備えている。また本発明に係る軌道は特に、第1及び第2の本軌道、並びに第1及び第2の本軌道を互いに接続する接続軌道を有している。このため、例えば第1の本軌道を走行している台車は、接続軌道を走行して第2の本軌道に乗り移ることができる。尚、第1及び第2の本軌道は、典型的には互いに平行に設けられており、接続軌道は、第1及び第2の本軌道間で斜めに延びるように設けられている。即ち、第1及び第2の本軌道並びに接続軌道は、N字型になるように配置されている。
【0012】
本発明に係る台車は、軌道を走行する走行部を有している。この走行部には、例えばFOUPやレチクル等の被搬送物を積載する本体部が取り付けられ、走行部が軌道に沿って走行することで、被搬送物を搬送可能に構成される。
【0013】
また上述した走行部には、走行部の幅方向の一方側及び他方側に設けられた一対の第1及び第2の分岐ローラを、走行部の幅方向にシフト可能に支持する分岐ローラ支持部が設けられている。即ち、第1及び第2の分岐ローラは、走行部に対して、その幅方向で移動可能に取り付けられている。尚、ここでの「走行部の幅方向」とは、走行部の進行方向に交わる方向を意味している。
【0014】
走行部には更に、走行部の走行姿勢を安定させるための姿勢安定ローラを、走行部の幅方向にシフト不能に支持する姿勢安定ローラ支持部が設けられている。即ち、姿勢安定ローラは、上述した第1及び第2の分岐ローラとは異なり、走行部に対して固定されている。
【0015】
本発明に係る軌道は、接続軌道の幅方向の一方側に設けられており、台車に設けられた第1の分岐ローラを案内する第1の分岐ガイドと、接続軌道の幅方向の他方側に設けられており、台車に設けられた第2の分岐ローラを案内する第2の分岐ガイドとを有している。尚、ここでの「接続軌道の幅方向」とは、接続軌道の延伸方向に交わる方向を意味している。
【0016】
第1の分岐ガイドは、第1の本軌道から接続軌道の延伸方向に沿って延びるように設けられている。一方、第2の分岐ガイドは、接続軌道の延伸方向に関して第1の分岐ガイドと重ならない無ガイド区間を隔てて、接続軌道の延伸方向に沿って第2の本軌道まで延びるように設けられている。即ち、接続軌道を、第1の本軌道側から延伸方向に見ると、第1の分岐ガイドが設けられる区間、無ガイド区間、第2の分岐ガイドが設けられる区間が順に並んでいる。
【0017】
ここで、第1の本軌道を走行している台車が、接続軌道を利用して、第2の本軌道へと移動する場合の動作を具体的に説明する。第1の本軌道を走行している台車が接続軌道へ進行する場合には、先ず第1の分岐ローラが第1の分岐ガイドに案内される状態となる。この際、第1及び第2の分岐ローラは、走行部の幅方向の一方側にシフトされている。台車が接続軌道に移動すると、第1の分岐ガイドが途切れ、無ガイド区間に差し掛かる。ここで、第1及び第2の分岐ローラは、走行部の幅方向の他方側にシフトされる。無ガイド区間が終わると、第2の分岐ローラが第2の分岐ガイドに案内される状態となる。これにより、接続軌道を走行している台車は、第2の本軌道へと移動することができる。
【0018】
上述した無ガイド区間は、第1及び第2の分岐ローラを確実にシフトさせるためにも、十分な長さを有していることが求められ、通常、接続軌道における直線部の走行方向の左右両側に軌道壁(即ち、軌道の内側側面)が存在し、走行部のサイドローラが軌道壁に当接することにより、台車の走行姿勢が安定する区間に設けられる。しかしながら、接続軌道の軌道長を短縮しようとすると、この無ガイド区間を設けられる長さも必然的に短くなり、十分な長さを確保することができなくなる。そして、軌道長を短縮しつつ十分な無ガイド区間を確保しようとすると、分岐合流部のカーブ部において、サイドローラが軌道壁に当接しない、かつ、分岐ガイドもない区間を設けざるを得ないため、そのような区間では台車の走行姿勢が不安定になってしまう。台車の走行姿勢が不安定になると、走行輪が走行面の間隙に落輪したり、走行部が軌道壁に衝突するおそれがあるため、何らかの対策なしには、そのような設計をすることは困難である。
【0019】
ここで本発明に係る軌道には特に、無ガイド区間に設けられており、無ガイド区間内で姿勢安定ローラを案内する姿勢安定ローラガイドが設けられている。姿勢安定ローラガイドによれば、無ガイド区間において、台車の姿勢を安定させることが可能となる。即ち、無ガイド区間において、第1及び第2の分岐ローラが分岐ガイドに案内されていない状態となったとしても、姿勢安定ローラが姿勢安定ローラガイドに案内されることによって、台車の姿勢を安定させることができる。
【0020】
無ガイド区間において台車の姿勢を安定させることができれば、無ガイド区間を、本来であれば第1及び第2の分岐ガイドが設けられるべき区間(即ち、第1及び第2の分岐ローラが、第1及び第2の分岐ガイドに案内されることによって台車の姿勢を安定させるべき区間)にまで広げることができる。よって、無ガイド区間を十分な長さとしつつも、接続軌道全体が長くなってしまうことを防止できる。従って、第1の本軌道及び第2の本軌道間での台車の移動を好適に行うことができ、接続軌道の短縮も実現できる。
【0021】
以上説明したように、本発明の有軌道台車システムによれば、接続軌道を効果的に短縮し、省スペースを実現することが可能である。
【0022】
本発明の有軌道台車システムの一態様では、前記台車は、水平方向に沿って回動可能に設けられた複数のボギー台車部を更に有しており、前記走行部、前記分岐ローラ支持部及び前記姿勢安定ローラ支持部は、前記複数のボギー台車部の各々にそれぞれ設けられている。
【0023】
この態様によれば、台車に複数のボギー台車部が設けられているため、台車を比較的大型のものとして構成することができる。具体的には、台車が軌道のカーブに差し掛かった場合には、複数のボギー台車部の各々が水平方向に沿ってそれぞれ異なる角度で回動することで、好適な走行を実現することができる。
【0024】
ここで本態様では特に、走行部、分岐ローラ支持部及び姿勢安定ローラ支持部が、複数のボギー台車部の各々にそれぞれ設けられている。即ち、台車が2つのボギー台車部を有する場合には、走行部、分岐ローラ支持部及び姿勢安定ローラ支持部も2つずつ設けられ、台車が3つのボギー台車部を有する場合には、走行部、分岐ローラ支持部及び姿勢安定ローラ支持部も3つずつ設けられる。
【0025】
上述したように、ボギー台車部毎に、走行部、分岐ローラ支持部及び姿勢安定ローラ支持部が設けられていれば、複数のボギー台車部の各々において、第1及び第2の分岐ローラ、並びに第1及び第2の姿勢安定ローラを動作させることができる。よって、第1の本軌道から接続軌道に移動する際及び接続軌道から第2の本軌道に移動する際のボギー台車部各々の姿勢を安定させることが可能である。
【0026】
本発明の搬送車の他の態様では、前記姿勢安定ローラは、前記姿勢安定ローラ支持部の前記幅方向の一方側及び他方側に夫々シフト不能に取付けられた第1及び第2のローラ部を有しており、前記姿勢安定ローラガイドは、前記無ガイド区間内の前記幅方向の一方側において前記延伸方向に延び、前記第1のローラ部を案内する第1のローラガイド部と、前記無ガイド区間内の前記幅方向の他方側において前記延伸方向に延び、前記第2のローラ部を案内する第2のローラガイド部とを有している。
【0027】
この態様によれば、姿勢安定ローラ支持部の幅方向の一方側には、第1のローラ部が幅方向にシフト不能に取付けられる。また、姿勢安定ローラ支持部の幅方向の他方側には、第2のローラ部が幅方向にシフト不能に取付けられる。第1のローラ部及び第2のローラ部は、例えば台車の走行方向で見て左右対称となるような位置に設けられる。
【0028】
本態様では更に、姿勢安定ローラガイドとして、無ガイド区間内の接続軌道の幅方向の一方側において延伸方向に延びる第1のローラガイド部と、無ガイド区間内の接続軌道の幅方向の他方側において延伸方向に延びる第2のローラガイド部とが設けられている。第1のローラガイド部は、無ガイド区間において、台車に設けられた第1のローラ部を案内する。一方、第2のローラガイド部は、無ガイド区間において、台車に設けられた第2のローラ部を案内する。
【0029】
上述した構成によれば、第1の分岐ガイドから無ガイド区間に差し掛かった台車では、先ず第1のローラガイド部によって、第1のローラ部が案内される状態となる。続いて、第1のローラガイド部が途切れると、第2のローラガイド部によって、第2のローラ部が案内される状態となる。第1及び第2のローラ部、並びに第1及び第2のローラガイド部によれば、左右方向へのぶれや位置ずれの発生が抑制されるため、無ガイド区間における台車の姿勢を確実に安定させることが可能である。
【0030】
本発明の搬送車の他の態様では、前記軌道は、天井又は該天井の近傍位置に敷設され、下部両側に走行面部を有すると共に前記走行面部間に間隙を有しており、前記第1のローラガイド部は、前記接続軌道の幅方向の一方側の前記走行面部における間隙の近傍位置から板状をなして屹立し、前記第2のローラガイド部は、前記接続軌道の幅方向の他方側の前記走行面部における間隙の近傍位置から板状をなして屹立し、前記第1及び第2のローラ部の各々は、前記第1及び第2のローラガイド部に対して、前記接続軌道の幅方向の両外側から夫々当接して案内される。
【0031】
この態様によれば、軌道が天井又は該天井の近傍位置に敷設される。また、軌道の下部両側には走行面部(即ち、走行部が走行に利用する部分)が有されると共に、走行面部間には間隙が有される。間隙からは、例えば台車の本体部が吊り下げられる。
【0032】
本態様では更に、第1のローラガイド部は、接続軌道の幅方向の一方側の走行面部における間隙の近傍位置から板状をなして屹立するように設けられている。即ち、第1の姿勢安定ローラガイドは、走行面部の間隙側(即ち、接続軌道の幅方向の他方側)に設けられている。一方、第2のローラガイド部は、接続軌道の幅方向の他方側の走行面部における間隙の近傍位置から板状をなして屹立するように設けられている。即ち、第2の姿勢安定ローラガイドも、第1の姿勢安定ローラガイドと同様に、走行面部の間隙側(即ち、接続軌道の幅方向の一方側)に設けられている。
【0033】
上述した第1及び第2のローラガイド部によれば、第1及び第2のローラ部の各々は、第1及び第2のローラガイド部に対して、夫々当接することで案内される。具体的には、第1のローラ部は、接続軌道の幅方向の内側から第1のローラガイド部が当接した状態で案内される。他方、第2のローラ部は、接続軌道の幅方向の内側から第2のローラガイド部が当接した状態で案内される。よって、無ガイド区間における台車の姿勢を確実に安定させることができる。
【0034】
本発明の搬送車の他の態様では、前記軌道は、天井又は該天井の近傍位置に敷設され、下部両側に走行面部を有すると共に前記走行面部間に間隙を有しており、前記無ガイド区間内の前記軌道下部の幅方向一方側から前記間隙側に張り出し、前記接続軌道の延伸方向に沿って所定長さ延びると共に、幅方向端部に第1の側面部を有する第1の張出部と、前記無ガイド区間内で前記第1の張出部と前記接続軌道の延伸方向に関して重ならない位置における、前記軌道下部の幅方向他方側から前記間隙側に張り出し、前記接続軌道の延伸方向に沿って所定長さ延びると共に、幅方向端部に第2の側面部を有する第2の張出部とを更に備え、前記姿勢安定ローラ支持部は、前記走行部の下側に設けられており、前記姿勢安定ローラを前記第1の側面部及び前記第2の側面部と当接可能に支持する。
【0035】
この態様によれば、軌道が天井又は該天井の近傍位置に敷設される。また、軌道の下部両側には走行面部(即ち、走行部が走行に利用する部分)が有されると共に、走行面部間には間隙が有される。間隙からは、例えば台車の本体部が吊り下げられる。
【0036】
本態様では特に、無ガイド区間内の軌道下部の幅方向一方側から間隙側に張り出し、接続軌道の延伸方向に沿って所定長さ延びると共に、幅方向端部に第1の側面部を有する第1の張出部が設けられる。また、無ガイド区間内の軌道下部の幅方向他方側から間隙側に張り出し、接続軌道の延伸方向に沿って所定長さ延びると共に、幅方向端部に第2の側面部を有する第2の張出部が設けられる。尚、第1張出部及び第2張出部は、接続軌道の延伸方向に関して互いに重ならない位置に設けられている。
【0037】
本態様では更に、姿勢安定ローラ支持部は、走行部の下側に設けられている。そして、姿勢安定ローラ支持部は、第1の張出部における第1の側面部及び第2の張出部における第2の側面部と夫々当接可能に姿勢安定ローラを支持している。
【0038】
上述した第1の張出部及び第2の張出部によれば、無ガイド区間における姿勢安定ローラは、先ず接続軌道の幅方向一方側に存在する第1の側面部に当接した状態とされる。続いて、姿勢安定ローラは、接続軌道の幅方向他方側に存在する第2の側面部に当接した状態とされる。従って、無ガイド区間における台車の走行姿勢を確実に安定させることができる。尚、姿勢安定ローラが第1の側面部に当接している場合には、例えばサイドローラが幅方向他方側の軌道壁に当接することで、より確実に姿勢を安定させることができる。同様に、姿勢安定ローラが第2の側面部に当接している場合には、例えばサイドローラが幅方向一方側の軌道壁に当接することで、より確実に姿勢を安定させることができる。
【0039】
上述した第1及び第2の張出部を備える態様では、前記姿勢安定ローラ支持部は、前記走行部の下側であって前記幅方向の中央部近傍に設けられ、前記台車の走行方向に縦列となるように複数の前記姿勢安定ローラを支持し、前記第1の側面部及び前記第2の側面部の間は、前記幅方向において、前記姿勢安定ローラの直径と等しい長さとなるように離間されてもよい。
【0040】
この場合、姿勢安定ローラ支持部は、走行部の下側であって幅方向の中央部近傍(好適には、正確な中央位置)に設けられる。姿勢安定ローラ支持部には、台車の走行方向に縦列となるよう複数の姿勢安定ローラが支持される。また、第1張出部及び第2張出部は、第1の側面部及び第2の側面部の間が、接続軌道の幅方向において、姿勢安定ローラの直径と等しい長さとなるように離間されて設けられる。
【0041】
このようにすれば、姿勢安定ローラが複数箇所で第1の側面部及び第2の側面部に当接することになるので、比較的少ない数の姿勢安定ローラで、左右方向へのぶれや位置ズレの発生を抑制できる。従って、無ガイド区間における台車の走行姿勢を、より好適に安定させることができる。尚、第1の側面部及び第2の側面部の間と、姿勢安定ローラの直径とは、完全に等しい値である必要はなく、互いに近い値となればよい。
【0042】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】第1実施形態に係る有軌道台車システムの全体構成を示す上面図である。
【図2】第1実施形態に係る台車の構成を示す側面図である。
【図3】第1実施形態に係る台車の移載動作を示す斜視図である。
【図4】第1実施形態に係る台車の横移載動作を示す斜視図である。
【図5】第1実施形態に係る台車の接続軌道における走行を示す上面図である。
【図6】第1実施形態に係る台車の走行部の構成を軌道と共に示す断面図(その1)である。
【図7】第1実施形態に係る台車の走行部の構成を軌道と共に示す断面図(その2)である。
【図8】第1実施形態に係る台車の走行部の構成を軌道と共に示す断面図(その3)である。
【図9】第1実施形態に係る台車の走行部の構成を軌道と共に示す断面図(その4)である。
【図10】比較例に係る台車の走行部の構成を軌道と共に示す断面図である。
【図11】比較例に係る台車の姿勢が安定する区間及び不安定となる区間を示す上面図である。
【図12】比較例に係る台車における分岐ローラシフト区間を示す上面図である。
【図13】第2実施形態に係る台車の走行部の構成を軌道と共に示す断面図(その1)である。
【図14】第2実施形態に係る台車の走行部の構成を示す側面図である。
【図15】第2実施形態に係る軌道の走行面の構成を示す上面図である。
【図16】第2実施形態に係る台車の接続軌道における走行を示す上面図である。
【図17】第2実施形態に係る台車の走行部の構成を軌道と共に示す断面図(その2)である。
【図18】第2実施形態に係る台車の走行部の構成を軌道と共に示す断面図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
【0045】
<第1実施形態>
先ず、第1実施形態に係る有軌道台車システムの全体構成について、図1を参照して説明する。ここに図1は、第1実施形態に係る有軌道台車システムの全体構成を示す上面図である。
【0046】
図1において、本実施形態に係る有軌道台車システムは、軌道100と、台車200と、コントローラ300とを備えて構成されている。
【0047】
軌道100は、例えば天井に敷設されており、アルミニウムやステンレス等の金属から構成される。尚、本実施形態に係る軌道は特に、互いに平行に設けられた第1の本軌道101及び第2の本軌道102と、第1の本軌道101及び第2の本軌道102間を接続する接続軌道105とを有している。このため、第1の本軌道101を走行する台車200は、接続軌道105を走行することで、第2の本軌道102へと乗り移ることができる。
【0048】
台車200は、軌道100上に複数配置されており、軌道100に沿って走行することで、被搬送物であるFOUPを搬送することが可能である。
【0049】
また台車200は、車上コントローラ205を夫々有している。車上コントローラ205は、コントローラ300から搬送指令を受け取り、台車200の走行を制御する。尚、車上コントローラ205は、台車200の走行を制御するだけでなく、台車200に備えられた各機器を総括的に制御するという機能も有している。
【0050】
コントローラ300は、例えば演算回路やメモリ等を含んで構成されており、車上コントローラ205を介して、台車200に搬送指令を与えることが可能に構成されている。
【0051】
尚、ここでの図示は省略しているが、軌道100に沿った位置には、FOUPを一時的に保管する棚(例えば、バッファやポート等)及び半導体製造装置が設けられている
【0052】
次に、台車200のより具体的な構成について、図2を参照して説明する。ここに図2は、第1実施形態に係る台車の構成を示す側面図である
【0053】
図2において、台車200は、走行部210、本体部220、移動部230、昇降部235、昇降ベルト240及び把持部250を備えて構成されている。尚、図2では、説明の便宜上、後述する分岐ローラ及び姿勢安定ローラの図示を省略している。
【0054】
台車200は、走行部210が例えばリニアモータ等によって推進力を与えることで、走行ローラ215が転動されつつ、軌道100に沿って走行する。走行部210の下面には、本体部220が吊り下がる形で取り付けられている。
【0055】
本体部220には、移動部230が取り付けられている。移動部230は、軌道100の側方(即ち、図における左右方向)に移動することが可能である。移動部230の下面には、昇降部235が取り付けられている。
【0056】
昇降部235の下面には、FOUPを把持する把持部250が昇降ベルト240によって取り付けられている。把持部250は、昇降ベルト240を巻き出す或いは巻き取ることで、本体部220に対し昇降可能である。
【0057】
次に、台車によるFOUPの移載方法について、図3及び図4を参照して説明する。ここに図3及び図4は夫々、第1実施形態に係る台車のFOUPの移載方法を示す斜視図である。
【0058】
図3において、台車200が、軌道100の真下に位置するポート510上のFOUP400を移載する際には、先ず台車200が軌道100上を走行して、ポート510上に設置されたFOUP400の上方に停止する。
【0059】
続いて、図に示すように、昇降部235によって昇降ベルト240が巻き出されることで把持部250がFOUP400の位置まで降下して、FOUP400が把持される。
【0060】
FOUP400が把持されると、昇降ベルト240が巻き取られ、把持部250及び把持されたFOUP400が本体部220の位置まで上昇する。そして、再び台車200が軌道100上を走行して、FOUP400が搬送される。
【0061】
図4において、FOUP400が、軌道100の側方にそれた位置にあるサイドバッファ520に設置されている場合には、移動部230が軌道100の側方に移動した後に、昇降部235によって昇降ベルト240が巻き出され、把持部250がFOUP400の位置まで降下する。このように動作することで、軌道部100からFOUP400の横移載を行うことが可能となる。
【0062】
次に、本実施形態に係る台車による接続軌道の走行方法、及び接続軌道の好適な走行を実現する台車及び軌道の具体的構成について、図5から図9を参照して説明する。ここに図5は、第1実施形態に係る台車の接続軌道における走行を示す上面図である。また図6から図9は夫々、第1実施形態に係る台車の走行部の構成を軌道と共に示す断面図である。尚、図6から図9では、台車を進行方向の後方から見た状態を図示している。
【0063】
以下では、図5に示すように、第1の本軌道101を走行する台車200が、接続軌道105を走行し、第2の本軌道102へと乗り移る際の動作について、順を追って説明する。本実施形態に係る台車200には、ボギー台車の各々に、分岐ローラ610及び姿勢安定ローラ620が設けられている。
【0064】
図5及び図6において、第1の本軌道101を走行する台車200aが分岐ガイド110aの設けられた箇所に差し掛かると、分岐ガイド110aによって分岐ローラ610が案内される状態となる。一対の分岐ローラ610は、台車200の進行方向に交わる方向(即ち、図6の左右方向)にシフト可能な分岐ローラ支持部720に支持されており、分岐ガイド110aが設けられた箇所では、分岐ローラ支持部720が左側にシフトされた状態となる。このため、一対の分岐ローラ610のうち左側のものが分岐ガイド110aに案内される状態となる。よって、台車200は、第1の本軌道101から接続軌道105へと案内される。
【0065】
尚、台車200を接続軌道105へと案内しない場合には、分岐ローラ支持部720が右側にシフトされた状態となる。この場合、分岐ローラ620は接続軌道105側の分岐ガイド110aに案内されず、直進側の分岐ガイド110cによって案内される。これにより、台車200は、第1の本軌道101を走行し続けることになる。
【0066】
図5及び図7において、接続軌道105へ乗り移り、姿勢安定ローラガイド120aが設けられた箇所に差し掛かった台車200bでは、左側の姿勢安定ローラ620が、姿勢安定ローラガイド120aに案内される状態となる。一対の姿勢安定ローラ620は、一対のサイドローラ650と共に、姿勢安定ローラ支持部710に支持されている。姿勢安定ローラ710は、姿勢安定ローラガイド710に案内されることで、台車の姿勢を安定させることが可能である。
【0067】
図5及び図8において、姿勢安定ローラガイド120bが設けられた箇所に差し掛かると、右側の姿勢安定ローラ620(即ち、それまで案内されていたローラとは逆のローラ)が、姿勢安定ローラガイド120bに案内される状態となる。尚、本実施形態では、姿勢安定ローラガイド120a及び120bが設けられる区間は互いに重複していないが、姿勢安定ローラガイド120a及び120bの両方が設けられる区間があっても構わない。
【0068】
ここで特に、姿勢安定ローラガイド120a及び120bの各々によって姿勢安定ローラ620が案内される区間では、分岐ローラ610を案内する分岐ガイド110が設けられていないため、分岐ローラ支持部720が解放された状態(即ち、シフト可能な状態)となる。分岐ローラ支持部720は、姿勢安定ローラ620が案内される区間において、進行方向の右側にシフトされる。
【0069】
図5及び図9において、姿勢安定ローラガイド120bが設けられた区間を抜け、分岐ガイド110bが設けられた箇所に差し掛かった台車200cでは、分岐ローラ支持部720が右側にシフトされているため、右側の分岐ローラ610が分岐ガイド110bに案内される状態となる。よって、台車200は、接続軌道105から第2の本軌道102へと乗り移ることになる。
【0070】
以上のように、本実施形態に係る有軌道台車システムでは、分岐ローラ610及び姿勢安定ローラ620が夫々、分岐ガイド110及び姿勢安定ローラガイド120に案内されることで、第1の本軌道101から第2の本軌道102への乗り移りを好適に実現できる。本実施形態では特に、分岐ガイド110が設けられていない無ガイド区間において、姿勢安定ローラ620が姿勢安定ローラガイド120に案内された状態となる。従って、無ガイド区間においても、台車200の姿勢を安定させることが可能となる。
【0071】
ここで、上述した姿勢安定ローラ620及び姿勢安定ローラガイド120を有しない有軌道台車システムについて、図10から図12を参照して説明する。ここに図10は、比較例に係る台車の走行部の構成を軌道と共に示す断面図である。また図11は、比較例に係る台車の姿勢が安定する区間及び不安定となる区間を示す上面図であり、図12は、比較例に係る台車における分岐ローラシフト区間を示す上面図である。
【0072】
図10及び図11において、比較例に係る有軌道台車システムでは、姿勢安定ローラ620及び姿勢安定ローラガイド120が設けられていないため、分岐ガイド110が設けられていない無ガイド区間においては、サイドローラ650が軌道壁(即ち、軌道100の内側側面)に当接することにより、台車200の姿勢が安定する。しかしながら、図11に示すような無ガイド区間であり、且つ軌道壁が走行方向の両側に存在しない区間では、サイドローラ650は、軌道壁の一方にしか当接されない状態となる。このため、上述したような区間では、サイドローラ650による姿勢安定が図れず、台車200の姿勢を安定させることが困難となる。よって、接続軌道105における台車200の安定した走行を実現するためには、分岐ガイド110を長くすることが求められる。
【0073】
図12に示すように、比較例に係る有軌道台車システムにおいて分岐ガイド110を長くしてしまうと、分岐ローラ610をシフトする区間(即ち、分岐ガイド110が設けられない無ガイド区間)の長さが短くなってしまう。よって、分岐ローラ610を適切にシフトさせることが困難となってしまうおそれがある。また、このような場合、分岐ローラ610を強制的にシフトさせる強制ガイドを用いる方法も考えられるが、台車200の走行速度を遅くしない限り、急激に分岐ローラ610をシフトさせることになる。このような急激なシフトは、分岐ローラ610に対して大きい力を働かせるため、分岐ローラ610に異常が発生してしまうおそれがある。また、分岐ローラ610が分岐ガイド110に当接する際の衝撃も大きくなるため、台車200の振動や分岐ローラ610の破損等を招くおそれがある。
【0074】
これに対し、図5から図9で示した本実施形態に係る有軌道台車システムは、姿勢安定ローラ620及び姿勢安定ローラガイド120が設けられているため、無ガイド区間を長く設け、分岐ローラ610の確実で安全なシフト動作を実現できる。
【0075】
尚、図5と図11及び図12とを比較しても分かるように、本実施形態に係る有軌道台車システムでは、比較例に係る有軌道台車システムと比べて無ガイド区間が長いものの、接続軌道105の長さ自体は変わらない。即ち、本実施形態に係る有軌道台車システムでは、無ガイド区間を長くしたとしても、それに伴って接続軌道105が長くなってしまうことを防止できる。言い換えれば、接続軌道105を短縮できる。
【0076】
以上説明したように、本実施形態に係る有軌道台車システムによれば、姿勢安定ローラ620によって安定した接続軌道の走行が可能になると共に、接続軌道105の長さを短縮し省スペースを実現することが可能である。
【0077】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る有軌道台車システムについて説明する。尚、第2実施形態は、上述した第1実施形態と比べて一部の構成が異なるのみであり、その他の構成については概ね同様である。このため、以下では第1実施形態と異なる部分について詳細に説明し、重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0078】
先ず、第2実施形態に係る台車の構成について、図13及び図14を参照して説明する。ここに図13は、第2実施形態に係る台車の走行部の構成を軌道と共に示す断面図である。また図14は、第2実施形態に係る台車の走行部の構成を示す側面図である。
【0079】
図13において、第2実施形態に係る台車200には、走行部210の下側部分に下側姿勢安定ローラ625が設けられている。下側姿勢安定ローラ625は、走行部210に対してシフト不能に固定されており、軌道100の下面(即ち、走行部210が走行する走行面)に近い高さに設けられている。
【0080】
図14において、下側姿勢安定ローラ625は、台車200の走行方向に沿って縦列するように複数設けられている。具体的には、台車200の走行方向前方側の走行部210aには、下側姿勢安定ローラ625aが2つ縦列するように設けられている。また、台車200の走行方向後方側の走行部210bには、下側姿勢安定ローラ625bが2つ縦列するように設けられている。
【0081】
次に、第2実施形態に係る有軌道台車システムにおける軌道の構成について、図15を参照して説明する。ここに図15は、第2実施形態に係る軌道の走行面の構成を示す上面図である。
【0082】
図15において、第2実施形態に係る軌道100は、接続軌道105における走行面に、第1の張出部910及び第2の張出部920を有している。第1の張出部910は、張出す方向の端部に第1の側面部915を有している。第2の張出部920は、張出す方向の端部に第2の側面部925を有している。第1の側面部915及び第2の側面部925の各々は、後述するように、下側姿勢安定ローラ625と当接するような位置に設けられている。
【0083】
第1の張出部910は、軌道100の走行方向右側に設けられており、第1の本軌道101及び接続軌道105への分岐点周辺から接続軌道105の途中まで延在している。第2の張出部920は、軌道100の走行方向左側に設けられており、接続軌道105の途中から接続軌道105及び第2の本軌道102の合流点周辺まで延在している。第1張出部910及び第2の張出部920は、台車200の走行方向に関して互いに重ならないような位置に設けられている。
【0084】
ここで特に、第1の側面部915と第2の側面部925との、台車200の走行方向に関する間隙の長さは、下側姿勢安定ローラ625の回転方向可変な長さとされている。また、第1の側面部915と第2の側面部925との、台車200の走行方向に交わる方向に関する間隙の長さは、下側姿勢安定ローラ625の直径と等しい長さとされている。
【0085】
次に、第2実施形態に係る台車200による接続軌道105の走行方法、及びその際の走行部210の動作について、図16から図18を参照して具体的に説明する。ここに図16は、第2実施形態に係る台車の接続軌道における走行を示す上面図である。また図17及び図18は夫々、第2実施形態に係る台車の走行部の構成を軌道と共に示す断面図である。
【0086】
図16において、以下では、第1の本軌道101を走行する台車200aが、接続軌道105を走行し、第2の本軌道102へと乗り移る場合の動作について説明する。尚、分岐ローラ610の案内動作及びシフト動作については、上述した第1実施形態と同様であるため、ここでは第2実施形態特有の下側姿勢安定ローラ625の動作について詳細に説明するものとする。
【0087】
図16及び図17において、接続軌道105に差し掛かった台車200bでは、分岐ガイド110aが途切れる時点で、下側姿勢安定ローラ625が、第1の張出部910の第1の側面部915に当接する状態となる。このため、分岐ローラ610が分岐ガイド110aに案内されていない状態となっても、台車200の姿勢を安定させることができる。具体的には、台車200は、下側姿勢安定ローラ625及び第1の側面部915の当接部分と、左側サイドローラ650と軌道壁との当接部分とによって姿勢が保たれる。
【0088】
図16及び図18において、第1の張出部910が途切れると、下側姿勢安定ローラ625は、続いて第2の張出部920の第2の側面部に当接する状態となる。このため、分岐ローラ610が第2の本軌道102側に存在する分岐ガイド110bに案内されていない状態であっても、台車200の姿勢を安定させることができる。具体的には、台車200は、下側姿勢安定ローラ625及び第2の側面部925の当接部分と、右側サイドローラ650と軌道壁との当接部分とによって姿勢が保たれる。
【0089】
図16において、台車200が第2の本軌道102に差し掛かり、第2の張出部920が途切れる時点では、分岐ローラ610が分岐ガイド110bに案内された状態となる。よって、姿勢安定ローラ625が第2の側面部925に当接していなくとも、台車200の姿勢は安定する。
【0090】
上述したように、下側姿勢安定ローラ625、並びに第1の張出部910及び第2の張出部920によれば、分岐ガイド110が存在しない区間においても、台車200の走行姿勢を安定させることができる。これにより、分岐ガイド110が設けられる区間を短くできるため、接続軌道105の長さを変更せずとも分岐ローラ610がシフト可能となる無ガイド区間を長くすることができる。即ち、無ガイド区間を長くしたとしても、それに伴って接続軌道105が長くなってしまうことを防止できる。言い換えれば、接続軌道105を短縮できる。
【0091】
以上説明したように、第2実施形態に係る有軌道台車システムによれば、上述した第1実施形態と同様に、姿勢安定ローラ620によって安定した接続軌道の走行が可能になると共に、接続軌道105の長さを短縮し省スペースを実現することが可能である。
【0092】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う有軌道台車システムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0093】
100…軌道、101…第1の本軌道、102…第2の本軌道、105…接続軌道、110…分岐ガイド、120…姿勢安定ローラガイド、200…台車、210…走行部、215…走行ローラ、220…本体部、230…移動部、240…昇降ベルト、250…把持部、300…コントローラ、400…FOUP、510…ポート、520…サイドバッファ、610…分岐ローラ、620…姿勢安定ローラ、625…下側姿勢安定ローラ、710…姿勢安定ローラ支持部、720…分岐ローラ支持部、810…連結シャフト、910…第1の張出部、915…第1の側面部、920…第2の張出部、925…第2の側面部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の本軌道、並びに前記第1及び第2の本軌道を互いに接続する接続軌道を有する軌道と、前記軌道に支持されると共に案内されて走行する台車とを備える有軌道台車システムであって、
前記台車は、
前記軌道を走行する走行部と、
前記走行部に設けられており、前記走行部の幅方向の一方側及び他方側に設けられた一対の第1及び第2の分岐ローラを、前記走行部の幅方向にシフト可能に支持する分岐ローラ支持部と、
前記走行部に設けられており、前記走行部の走行姿勢を安定させるための姿勢安定ローラを、前記走行部の幅方向にシフト不能に指示する姿勢安定ローラ支持部と
を有しており、
前記軌道は、
前記接続軌道の幅方向の一方側において、前記第1の本軌道から前記接続軌道の延伸方向に沿って延び、前記第1の分岐ローラを案内する第1の分岐ガイドと、
前記接続軌道の幅方向の他方側において、前記接続軌道の延伸方向に関して前記第1の分岐ガイドと重ならない無ガイド区間を隔てて、前記接続軌道の延伸方向に沿って前記第2の本軌道まで延び、前記第2の分岐ローラを案内する第2の分岐ガイドと、
前記無ガイド区間に設けられており、前記無ガイド区間内で前記姿勢安定ローラを案内する姿勢安定ローラガイドと
を有している
ことを特徴とする有軌道台車システム。
【請求項2】
前記台車は、水平方向に沿って回動可能に設けられた複数のボギー台車部を更に有しており、
前記走行部、前記分岐ローラ支持部及び前記姿勢安定ローラ支持部は、前記複数のボギー台車部の各々にそれぞれ設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の有軌道台車システム。
【請求項3】
前記姿勢安定ローラは、前記姿勢安定ローラ支持部の前記幅方向の一方側及び他方側に夫々シフト不能に取付けられた第1及び第2のローラ部を有しており、
前記姿勢安定ローラガイドは、前記無ガイド区間内の前記幅方向の一方側において前記延伸方向に延び、前記第1のローラ部を案内する第1のローラガイド部と、前記無ガイド区間内の前記幅方向の他方側において前記延伸方向に延び、前記第2のローラ部を案内する第2のローラガイド部とを有している
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の有軌道台車システム。
【請求項4】
前記軌道は、天井又は該天井の近傍位置に敷設され、下部両側に走行面部を有すると共に前記走行面部間に間隙を有しており、
前記第1のローラガイド部は、前記接続軌道の幅方向の一方側の前記走行面部における間隙の近傍位置から板状をなして屹立し、
前記第2のローラガイド部は、前記接続軌道の幅方向の他方側の前記走行面部における間隙の近傍位置から板状をなして屹立し、
前記第1及び第2のローラ部の各々は、前記第1及び第2のローラガイド部に対して、前記接続軌道の幅方向の両外側から夫々当接して案内される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の有軌道台車システム。
【請求項5】
前記軌道は、天井又は該天井の近傍位置に敷設され、下部両側に走行面部を有すると共に前記走行面部間に間隙を有しており、
前記無ガイド区間内の前記軌道下部の幅方向一方側から前記間隙側に張り出し、前記接続軌道の延伸方向に沿って所定長さ延びると共に、幅方向端部に第1の側面部を有する第1の張出部と、
前記無ガイド区間内で前記第1の張出部と前記接続軌道の延伸方向に関して重ならない位置における、前記軌道下部の幅方向他方側から前記間隙側に張り出し、前記接続軌道の延伸方向に沿って所定長さ延びると共に、幅方向端部に第2の側面部を有する第2の張出部と
を更に備え、
前記姿勢安定ローラ支持部は、前記走行部の下側に設けられており、前記姿勢安定ローラを前記第1の側面部及び前記第2の側面部と当接可能に支持する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の有軌道台車システム。
【請求項6】
前記姿勢安定ローラ支持部は、前記走行部の下側であって前記幅方向の中央部近傍に設けられ、前記台車の走行方向に縦列となるように複数の前記姿勢安定ローラを支持し、
前記第1の側面部及び前記第2の側面部の間は、前記幅方向において、前記姿勢安定ローラの直径と等しい長さとなるように離間している
ことを特徴とする請求項5に記載の有軌道台車システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−240463(P2012−240463A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109715(P2011−109715)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】