説明

末端キャップポリマー鎖およびその産物

本発明では、カルボカチオン終端ポリマーを、アニオン終端ポリマーに転化する方法を記載する。この方法は、(a)カルボカチオン終端ポリマー部分を提供し、(b)カルボカチオン終端ポリマー部分を、式(I)の複素環式化合物、式中の-X-は、-S-、-O-、-NH-、および-NR-より選択され、Rは、アルキル基またはアリール基である、と反応させることにより、末端キャップポリマー部分を提供し、そして(c)末端キャップポリマー部分を、オルガノリチウム化合物と反応させて、アニオン終端ポリマー部分を得る工程を含むものである。本発明では、カチオン重合モノマーを含む第一ポリマーブロックが、アニオン重合モノマーを含む第二ポリマーブロックに、式(II)の基によって連結しているブロック共重合体、ならびにカチオン重合モノマーを含むポリマーブロックが、ハロゲン化シラン残基またはカルボシラン残基に、式(II)の基によって連結しているブロック共重合体も記載する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、カルボカチオン終端ポリマー(carbocationically terminated polymer)を、アニオン終端ポリマー(anionically terminated polymer)に転化する方法に関するものであり、また、この方法によって形成された産物にも関するものである。なお、本出願は、2003年6月20日に出願された米国仮出願第60/480,121号に対して、優先権を主張するものである。この出願は、参照により本出願に組み入れられるものである
【背景技術】
【0002】
発明の背景
リビング重合を用いると、多岐にわたる周知のポリマー構造、たとえば末端官能基導入ポリマー、星形ポリマー、および/またはブロック共重合体を製造する際に、各種の合成経路が利用可能となる。特定のリビング重合法(たとえば陰イオンおよびカルボカチオンリビング重合)は、それぞれ数の限られたモノマーにしか利用できないので、異なったリビング重合法を組み合わせると、ブロック共重合体で、ブロックを新規かつ独特のかたちで組合せることができるはずである。最近の、定量的な官能性を持つ官能基導入ポリイソブチレン(PIB)や、高度の構造一体性を持つブロック共重合体の合成の成功は、ホモ重合が不可能であったモノマー、たとえば1,1-ジフェニルエチレン(DPE)をカチオン重合で重合することによって実現されたものである。Bae, Y. C.; Faust, R. Macromolecules 1998, 31, 9379。これらのプロセスでは、リビングPIBをDPEまたはその誘導体で中間的にキャッピングする工程を行っている。その結果生じた安定で完全にイオン化されたカルベニウムイオンは、弱い求核性物質、たとえばシリルケトンアセタールを用いたリビングPIBへの定量的な末端官能基導入(Fodor, Z.; Hadjikyriacou, S.; Li, D.; Faust, R. Polym. Prepr. (Am. Chem. Soc., Div. Polym. Chem) 1994, 35(2), 492-493を参照のこと)、第二モノマー、たとえばp-メチルスチレン(Fodor, Z. Faust., R. J. Macromol. Sci., Pure Appl. Chem. 1994, A31 (12), 1985-2000を参照のこと)およびイソブチルビニルエーテル(Hadjikyriacou, S. Faust., R. Macromolecules 1995, 28, 7893-7900を参照のこと)の制御された重合開始に成功裏に用いられている。
【0003】
イソブチレン(IB)と、極性モノマー、たとえばメタクリレート、アクリルアミド、ポリエーテル、またはポリエステルのブロック共重合体では、弾性で非極性のPIBが持つ高度の環境安定性と、極性ポリマーが持つ多岐にわたる構造や特性が組合わさることになる。しかし、PIBは、カルボカチオン重合によってしか効果的に得ることができないので、リビング性でカチオン性のPIB鎖の末端を、ラジカルな末端に変えたり(Chen, X.; Ivan, B.; Kops, J.; Batsberg, W. Macromol. Rapid Commun. 1998, 19, 585を参照のこと)、陰イオン性の末端に変えたりする(Kitayama, T.; Nishiura, T.; Hatada, K. Polym. Bull. 1991, 26, 513を参照のこと)多くの試みが実施されている。
【0004】
先行する多くの試みが不成功に終わったものの、DPEで末端キャップしたPIBを、Na/K合金またはセシウムで金属化し、その後アニオン重合を行うと、PIB-b-PtBMAジブロック共重合体、PMMA-b-PIB-b-PMMAトリブロック共重合体、および(PMMA-b-PIB)3星形ブロック共重合体を合成することができた。Feldthusen, J.; Ivan, B.; Muller, A. H. E. Macromolecules, 1997, 30, 6989; and Feldthusen, J.; Ivan, B.; Muller, A. H. E. Macromolecules 1998, 31, 578-585を参照されたい。しかし、アルカリ金属を用いた金属化は好都合とはいえず、アルキルリチウム(たとえばブチルリチウム)を用いたリチウム化の方が好適である。残念ながら、DPE末端キャップPIBのアルキルリチウムを用いたリチウム化は、定量的に進行しない。
【0005】
最近になって、Faustらが、リビングPIBと2-トリブチルスタニルフランとを定量的に反応させることによって、フラン(Fu)官能性のポリイソブチレン(PIB-Fu)を得ることができることを示した。Hadjikyriacou, S.; Faust, R. Macromolecules 1999, 32, 6393-6399を参照されたい。しかし、非置換Fuを用いた場合には、2本のリビング鎖の末端が、単一のFuとカップリングしてしまう副反応を防ぐことができなかった。PIB-Fu鎖さえ形成できれば、その末端を、n-BuLiを用いることによってリチウム化することは可能であった。しかし、このマクロ開始剤を使用したメタクリレートの重合には、副反応が付随していた。Scheunemann, S. G.; Diplomarbeit, Universitat Mainz, 1999を参照されたい。
【0006】
発明者らは、金属化反応に、PIB-Fuではなく、チオフェン(T)で官能化したPIB(PIB-T)を使用することも可能であることを見出した。利点としては、Tの反応性がFuの約10分の1であるために、非置換Tを使用してPIB-Tを製造しても、Fuに関連した上述のような問題を回避できる点が挙げられる。
【0007】
Ivanらの報告によれば、TをリビングPIBのカップリング剤として使用しようとしたところ、選択した条件(-80℃、メチルシクロヘキサン/ジクロロメタン=60/40 v/v、[TiCl4]/[開始剤]/[T]=10/2/1)では、室温で攪拌した場合、2時間後で、カップリング生成物の17%のみが、約24時間後でも、36%のみが生成したとぃう。Infineum Holdings B.V.(オランダ)に譲渡されたIvan, B.、De Jong, F.のWO9909074(1999)を参照されたい。
【発明の開示】
【0008】
発明の概要
本発明の一態様では、カルボカチオン終端ポリマーを、アニオン終端ポリマーに転化する方法を提供する。この方法は、(a)カルボカチオン終端ポリマーを提供し、(b)カルボカチオン終端ポリマーを、式

の複素環式化合物、式中の-X-は、-S-(チオフェン)、-O-(フラン)、-NH-(1H-ピロール)、または-NR-より選択され、ここでRは、アルキルまたはアリールである、と反応させることにより、末端キャップポリマーを提供し、そして(c)末端キャップポリマーを、オルガノリチウム化合物と反応させて、アニオン終端ポリマー部分を得る工程を含むものである。
【0009】
上記のプロセスでは、カルボカチオン終端ポリマーの少なくとも75重量%を、複素環式化合物にモノ官能的に(モノ置換によって)結合させることが好ましく、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、または少なくとも99重量%を、複素環式化合物に結合させることがさらに好ましい。
【0010】
一般に反応混合物中の複素環式化合物対カルボカチオン終端ポリマーのモル比は、通常1:1超であり、より好ましくは、3:1超、10:1超、30:1超、場合によっては100:1以上である。カルボカチオン終端ポリマーの量は、カチオン重合反応プロセスの最初に供給する開始剤の量によって概算することができる。
【0011】
カルボカチオン終端ポリマーの例としては、カチオン重合性モノマーのカルボカチオン終端ポリマー、たとえばオレフィン、たとえばイソブチレン、2-メチルブチレン、イソプレンなど、ビニル芳香族化合物、たとえばスチレン、α-メチルスチレン、p-クロロスチレン、p-メチルスチレンなど、ビニルエーテル、たとえばメチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、N-ビニルカルバゾールなどを挙げることができる。
【0012】
一態様では、カルボカチオン終端ポリマーを、低温(たとえば-80℃)で、(a)多くが当業界で周知であるカチオン重合に適した溶剤系(たとえば極性溶剤と非極性溶剤の混合物、たとえば塩化メチルとヘキサンの混合物)、(b)モノマー(たとえば、上述したようなイソブチレンなどの他のカチオン重合性モノマー)、(c)開始剤、たとえばtert-エステル、tert-エーテル、tert-ヒドロキシル、またはtert-ハロゲン含有化合物、より好ましくは、炭化水素酸のクミルエステル、たとえば、アルキルクミルエーテル、クミルハロゲン化物、クミルヒドロキシル化合物、およびそれらの立体障害物(hindered version)、たとえばtert-ブチルジクミルクロリドおよびtert-ブチルジクミルクロリド(5-tert-ブチル-1,3-ビス(l-クロロ-1-メチルエチル)ベンゼン)が以下の実施例で使用される、および(d)共開始剤、通常ルイス酸、たとえば三塩化ホウ素または四塩化チタンを含む反応混合物中で形成する。カルボカチオン終端星形ポリマーを形成するには、開始部位を3箇所以上持つ開始剤、たとえばトリクミルクロリド(1,3,5-トリス(1-クロロ(chloroy)-1-メチルエチル)ベンゼン)を選択すればよい。
【0013】
また、必要に応じて、反応混合物に電子対供与体(たとえば、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、またはジメチルフタレート)またはプロトン捕捉剤(たとえば、2,6-ジ-tert-ブチルピリジン、4-メチル-2,6-ジ-tert-ブチルピリジン、1,8-ビス(ジメチルアミノ)-ナフタレン、またはジイソプロピルエチルアミン)を加えることもできる。
【0014】
カルボカチオン終端ポリマーが上述したような適当な溶剤系中で生成したら(たとえば、リビング性でカチオン性のPIBがCH3Cl/n-ヘキサン溶剤系で提供されたら)、上述したような複素環式化合物(たとえばチオフェン)を加え、適当な反応条件(たとえば-78℃)で、カルボカチオン終端ポリマーと反応させ、末端キャップポリマー(たとえばPIB-T)を形成する。
【0015】
プロトン捕捉剤を使用する場合には、(たとえば、プロトン性不純物を捕捉することによって、カルボカチオン終端ポリマーの分子量分布を狭めるためには)、プロトン捕捉剤の量を最小限とすることにより、1以上のカルボカチオン終端ポリマーが各複素環式化合物と反応するのを防止することが好ましい。プロトン捕捉剤対カルボカチオン終端ポリマーのモル比(開始剤の初期濃度によって概算可能)は、好ましくは1:1以下、たとえば0.75:1以下、0.66:1以下、0.5:1以下、0.25:1以下、または場合によっては0.1:1以下である。
【0016】
さらに、ルイス酸対カルボカチオン終端ポリマー(または開始剤)のモル比は、ポリマーと複素環式化合物の反応性を改善するために、通常、10超、より好ましくは20超、30超、40超、またはそれ以上とする。
【0017】
末端キャップポリマー(たとえばPIB-T)は、形成したら、通常、単離精製する。上述したように、好適な末端キャップポリマーは、カチオン重合性モノマーのチオフェン終端ポリマーである。単離精製の後、末端キャップポリマーを、オルガノリチウム化合物でリチウム化することにより、アニオン終端ポリマー(すなわちマクロ開始剤)を得る。オルガノリチウム化合物の例としては、アルキルリチウム化合物、たとえばメチルリチウム、エチルリチウム、イソプロピルリチウム、ノーマル(normal-)、第二(secondary-)、および第三(tertiary-)ブチルリチウム、ベンジルリチウム、アリルリチウムなどを挙げることができる。
【0018】
リチウム化は、たとえば、低温(たとえば-40℃)で、(a)当業界で周知のものも多い、リチウム化に適した溶剤系(たとえば、N,N,N’N’-テトラメチルエチレンジアミンなどの電子供与体の存在下で極性溶剤、たとえばTHF、または非極性溶剤、たとえばヘキサンまたはトルエン)、(b)リチウム化の対象である末端キャップポリマー(たとえばPIB-T)、(c)オルガノリチウム化合物(たとえば、n-BuLi、s-BuLi、またはtert-BuLiのようなアルキルリチウム化合物)を含む反応混合物中で実施することができる。
【0019】
オルガノリチウム化合物は、末端キャップポリマーに対して、過剰なモル量を使用することができる。たとえば、オルガノリチウム化合物対末端キャップポリマーのモル比は、1.1:1、1.5:1、2:1、4:1、またはこれより大きな比を使用することが好ましい。過剰なオルガノリチウム化合物は、たとえば、反応性溶剤の存在下で温度を上昇させることによって、たとえば、THFの存在下で温度を+30℃以上まで上昇させることによって除去することができる。
【0020】
上記と一致して、好適なアニオン終端ポリマーは、カチオン重合性モノマーのリチウム化されたチオフェン終端ポリマーである。
【0021】
一度形成されると、生成したアニオン終端ポリマーは、各種のさらなる工程に供することができる。たとえば、アニオン重合工程、たとえば、リビングアニオン重合工程を実施する場合には、アニオン終端ポリマーを、適当なアニオン重合性モノマー、たとえば極性モノマーと組み合わせればよい。アニオン重合性モノマーの例としては、ビニル芳香族モノマー、たとえばスチレン、アルキル置換スチレン、およびジビニルベンゼン、ジフェニルエチレン、共役ジエン、たとえばイソプレンおよびブタジエン、N,N-ジ置換アクリルアミド、およびメタクリルアミド、たとえばN,N-ジメタクリルアミド、アルキルアクリレートおよびメタクリレート、たとえばイソデシルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、およびtert-ブチルメタクリレート、ビニル不飽和アミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニルピリジン、イソプロペニルピリジン、他のビニルモノマー、たとえばn-アルキルイソシアネート、複素環式モノマー、たとえばエチレンオキシド、ε-カプロラクトン、L,L-ラクチド、D,D-ラクチド、D,L-ラクチド、およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0022】
好適なブロック共重合体は、(a)カチオン重合性モノマーから形成された1以上のポリマーブロックと、(b)1以上のブロックのアニオン重合性モノマーを含むものである。例としては、X-(CA)n、X(CC’A)n、またはX(CAA’)nを挙げることができ、ここで、CおよびC’は、カチオン重合性モノマーの1種以上から形成されたブロック、AおよびA’は、アニオン重合性モノマーの1種以上から形成されたブロック、Xは開始剤分子、nは正の整数(上述したように、開始剤を用いると、アームが複数のブロックポリマーを得ることができる)である。チオフェン残基は示していない。より好ましくは、X-(CA)nの構造(nは1および2)であり、この構造は、それぞれ、ジブロック共重合体およびトリブロック共重合体と称されることも多い(この名称の付け方では、開始剤の存在が無視されているが、これは、些細なことである。たとえば、C-X-Cを単一のCブロックとして扱うと、トリブロックは、ACAと記載できる)。nが3以上である場合には、これらの構造は、一般に、星形ブロック共重合体または星状ブロック共重合体と称される。
【0023】
別の例では、本発明のアニオン終端ポリマーを、架橋性化合物と反応させることができる。架橋性化合物の例としては、ハロゲン化シラン、SiClnR4-nまたはカルボシラン、たとえば[ClnSiR3-n]4-mCR’m、またはもっと分枝した構造があり、ここで、nおよびmは、1〜4の整数、RおよびR’は、それぞれ、水素またはアルキル基であり、チオフェン残基は示していない。他の架橋剤としては、芳香族化合物、たとえば2つ以上のクロロメチルまたはブロモメチルまたはクロロジアルキルシリル基を持つベンゼンまたはナフタレンを挙げることができる。
【0024】
たとえば、アニオン終端ポリマーをSiClnR4-nと反応させて、線状および星形のポリマー(たとえば分枝数4以下)を形成することができる。このプロセスは、一般に、それ以前の工程(たとえばカチオン重合、末端キャップ、およびリチウム化)より高い温度、たとえば、室温(25℃)または室温を超える温度(たとえば40℃)で実施する。
【0025】
本発明のポリマー生成物は、新規な熱可塑性エラストマー、分散剤、相溶化剤、乳化剤、非イオン性界面活性剤、またはバイオマテリアルとして使用することができる。
【0026】
当業者であれば、本明細書の開示内容に照らして、本発明の以上の態様や他の態様、各種の側面や実施例を容易に理解できるはずである。
【0027】
詳細な説明
次に、本発明を、特定の具体的態様に言及しつつさらに詳しく説明する。しかし、本発明は、もっと別のかたちで実施することもでき、本明細書で説明する態様に限定されるものではない。
【0028】
本発明の一側面では、アニオン終端ポリマー(本発明では、さらなる反応を開始する能力にもとづいて、「マクロ開始剤」と称することもある)、たとえば、アニオンPIBマクロ開始剤を生成する新たな経路を提供するものであり、この経路では、カルボカチオン終端ポリマー(たとえば、リビング性でカチオン性のPIB)を複素環式化合物(たとえば、T)と反応させて、末端キャップ化合物(たとえば、PIB-T)を形成し、その後、アルキルリチウム化合物(たとえば、n-BuLi)を用いてリチウム化することによって、この場合であればマクロカルボアニオン、PIB-T-,Li+を生成する。
【0029】
態様によっては、これらのマクロ開始剤を使用して、星形ポリマー(たとえば、星形PIB)を合成し、その際には、マクロ開始剤(たとえば、PIB-T,Li+)を、カップリング分子であるクロロシラン(従来、リビングポリブタジエンのアニオン鎖末端をカップリングして星形ポリマーを形成する際に使用されていたもの。Roovers, J. E. L. and S. Bywater (1972). “Macromolecules 1972, 5, 385を参照のこと)と反応させる。
【0030】
別の態様では、これらのアニオンマクロ開始剤(たとえば、PIB-T-,Li+)を使用して、アニオン重合性モノマー(たとえば、tert-ブチルメタクリレート、tBMA)の重合を効率的に開始し、ほぼ定量的な収量でブロック共重合体を製造する。このように、本発明は、リビングカルボカチオン重合とアニオン重合とを組み合わせた、ブロック共重合体(たとえば、PIB-ポリ(メタクリレート))の新規な合成経路を提供するものである。必要に応じて、アニオン重合の後でアニオンの急冷を行う前に、得られたブロック共重合体を、カップリング分子、たとえば(ジ-またはトリクロロメチル)ベンゼンと反応させて、星形共重合体(たとえば、星形PIB-tBMA)を形成することもできる。
【0031】
本発明のさらに別の具体的な態様では、(a)リビングPIB鎖への迅速かつ定量的なチオフェンのモノ付加を、TiCl4をルイス酸としてn-ヘキサン/CH2Cl2(60/40(v/v))中で-78℃にて使用することにより行って、2-ポリイソブチレニル-チオフェン(PIB-T)を形成し、(b)PIB-Tを、THF中で、-40℃にて、n-ブチルリチウムを用いて定量的に金属化し、(c)得られた安定したマクロカルボアニオン(PIB-T-,Li+)を使用して、tert-ブチルメタクリレート(tBMA)のリビングアニオン重合を開始して、PIB-b-PtBMAブロック共重合体を高いブロック化効率で得、そして(d)安定したマクロカルボアニオン(PIB-T-,Li+)を、SiCl4をカップリング剤として用いることによって、星形PIBをカップリング反応によって形成した。
【0032】
実験
材料
2,6-ジ-tert-ブチルピリジン(DtBP、Aldrich、97%)は、CaH2から蒸留することによって精製した。イソブチレン(IB、BASF)は、CaSO4とno.13分子ふるいを充填したインラインガス精製カラムに通し、-15℃で凝縮した後、重合した。CH3Clは、BaO/ドライライトを充填したインラインガス精製カラムに通し、-80℃で凝縮してから、重合した。CH2Cl2は、10%NaOH水溶液で洗浄し、その後中性となるまで蒸留水で洗浄することによって精製し、無水MgSO4で一晩乾燥した。このものを、使用の直前に、24時間還流し、CaH2から蒸留した。N-ヘキサンは、濃硫酸で48時間還流することによって、オレフィンを除去した。このものを、10%NaOH水溶液で洗浄し、さらに脱イオン水で中性となるまで洗浄し、MgSO4とともに24時間保存した。さらに、CaH2で一晩還元し、蒸留した。メチルシクロヘキサン(MeCHX、Aldrich、99%)と塩化チタン(IV)(TiCl4、Aldrich、99.9%)は、受領時のまま使用した。チオフェン(T、Aldrich、99%)は、使用の前日に蒸留し、4℃で保存した。2-クロロ-2,4,4-トリメチルペンタン(TMPCl)は、2,4,4-トリメチル-1-ペンテン(Fluka,98%)を乾燥ジクロロメタン中で塩化水素ガスで0℃にて塩化水素化することによって製造した。Kaszas, G.; Gyor, M.; Kennedy, J. P.; Tudos, F. J. Macromol. Sci., Chem 1983, A18, 1367-1382を参照されたい。生成物を、CaCl2で乾燥し、使用の前に減圧下で蒸留した。5-tert-ブチル-1,3-ビス(1-クロロ-1-メチルエチル)ベンゼン(tBuDiCumCl)は、他に記載され他手順にしたがって合成した。Gyor, M. Wang., H. C.; Faust, R. J. J. Macromol. Sci., Pure Appl. Chem 1992, A29, 639を参照されたい。クロロトリメチルシラン(Me3SiCl)およびテトラクロロシラン(SiCl4)(双方ともMerck製、98%)は、新しく粉砕したCaH2とともに少なくとも24時間かきまぜ、その後、使用の前に蒸留した。トリエチルアルミニウム(AlEt3、Aldrich、1.0Mヘキサン溶液)は、受領時のまま使用した。tert-ブチルメタクリレート(tBMA、BASF)は、CaH2で予備乾燥し、高度の真空中での凍結乾燥サイクルによって注意深く脱ガスし、黄色が持続するまでAlEt3溶液と混合し、アンプルに凝縮した。THF(Merck p. a.)は、まず窒素中でCaH2から蒸留し、その後カリウムで乾留することによって精製した。n-ブチルリチウム(n-BuLi、1.6Mヘキサン溶液)は、Aldrichから購入し、標準的な方法で、濃度を滴定した。Reed, P.J.; Urwin, J.R.J. Organometal. Chem. 1972, 39, 1-10を参照されたい。
【0033】
特性解析
1H-NMR分光分析は、BrukerのAC-250MHzの分光計で、25℃にて、CDCl3中で、TMSを内部標準として使用することによって実施した。ガスクロマトグラフィー(GC)は、水素炎イオン化検出器(FID)が装着されたFisons GC 8000モデルで実施した。DB1メチルポリシロキサンカラム(30m×内径0.53mm)を、水素を担持ガスとして使用した。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、THFを溶出剤として流速1mL/minで使用し、40℃に加熱した30cmのPSS SDVゲルカラム(粒径5μm、多孔度102〜105Å)4本を用いて実施した。校正は、PIBおよびPtBMAの標準品を用いて実施した(PSS、Mainz)。星形PIBの分子量は、3本の30 cmのPSS SDVゲルカラム、5μm、多孔度は103、105、および106Åを使用し、汎用の校正によって実施した。検出装置は、Shodex RI-71 屈折率検出装置、JascoのUvidec-100-III UV検出装置(λ=254nm)、Viscotekの粘度検出装置H 502Bを使用した。臨界条件下での液体吸着クロマトグラフィー(Liquid adsorption chromatography under critical conditions、LACCC)は、TSP HPLCシステムで、流速0.5mL/分にて実施した。質量の検出には、50℃でガス流速3.5L/分で作動させた蒸発光散乱検出器(ELSD、PL-EMD 960)を使用した。10μLの約0.5重量%のポリマー溶液を導入した。すべての測定は、一定のカラム温度を35℃にて実施した。平均粒径が5μm、孔径が100Åおよび300Åの孔径2本の逆相カラム(YMC、250×4mm)を使用した。PIBについての必須の溶剤組成は、THF/メタノールで80.5/19.5(wt/wt)である。一定かつ正確な組成を得るうえでは、移動相を重量基準で予め混合しておくことが必須である。
【0034】
実施例1:PIBのチオフェンによる末端キャッピング
TMPClを用いたモデル実験
tert-クロロ終端PIBの末端基の構造およびTiCl4をルイス酸として付加した場合のリビング鎖末端に似ているTMPClを使用して、配向モデル実験を行った。これらの反応は、Tを用いた末端キャッピングについて調べる目的で実施した。2-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)チオフェンの1H NMRスペクトルを、図1に、解析結果とともに示す。6.82(1H on Cd)、6.89(1H on Ce)、7.10(1H on Cf)で芳香領域について検出された共鳴の結果から、チオフェン環1つがTMP残基によって置換していることが示された。脂肪族領域では、1H NMRスペクトルの解析結果は以下の通りであった。0.81ppm(s、9H、CH3)、1.44ppm(s、6H、CH3)、1.73ppm(s、2H、CH2)、6.82ppm(m、1H、チオフェンCH)、6.89ppm(m、1H、チオフェンCH)、7.10ppm(m、1H、チオフェンCH)。
【0035】
チオフェン末端PIB(PIB-T)の合成
モデル化合物での末端への官能基の導入の結果が、チオフェン末端PIBの合成に適用できるどうかを判定することは重要であった。
【0036】
PIB-Tの合成を、グローブボックス内で、乾燥窒素雰囲気中で実施した。TMPClを開始剤としたIBのリビング重合を、以下の代表的手順にしたがって実施した。隔壁と、マグネチックスターラと、窒素注入口を備えた1L入り三つ口フラスコに、240mLのCH3Cl、404mLのn-ヘキサン、および0.355mL(0.302g、1.58mmol)のDtBPを加え、その後、混合物を-78℃に冷却した。15mL(10.57g、0.188mol)のIBを、シリンジで反応容器に加えた。10分間撹拌した後、0.6mL(0.525g、3.53mmol)のTMPClを、移動用ニードルで反応容器に移した。5分間撹拌した後、1.5mL(2.68g、0.014mol)のTiCl4を、移動用ニードルで反応容器に移した。1時間後、28.3mL(29.74g、0.353mol)のTを重合系に加えたところ、溶液の色が、淡黄色から赤色に変化した。Tを、リビング鎖末端と、60分間反応させた。最後に、30mL(23.55g、0.75mol)の予め冷却しておいたメタノールを加えることによって、反応をクエンチした。粗生成物を、n-ヘキサンに溶解し、混合物を濾過して、有機析出物を除去した。その後ヘキサン相を単離し、NH3(aq)で1回洗浄し、さらに中性となるまで洗浄した。有機層を分離し、MgSO4で約2時間乾燥した。その後、溶液を濾過し、溶剤をロータリーエバポレータで除去した。その後、ポリマーを少量のn-ヘキサンに溶解し、アセトンに2回または3回析出させて過剰なTを除去した。
【0037】
上記の反応についての想定反応経路を図2に示す。図3は、得られたポリマーについての1H NMRスペクトルを示す。このスペクトルから、このプロセスによって、定量的な末端官能基導入が行われ、2-ポリイソブチレニル-チオフェン(PIB-T)が形成されたことがわかる。このことにより、対応モデル化合物で得られた結果が確認される。定量的な付加が生じていることは、1.9ppm(PIB-CH2-C(CH3)2-Cl)および1.69ppm(PIB-CH2-C(CH3)2-Cl)のピークが消失することによって示唆された。鎖の末端にチオフェン環が存在しているため、あらたに、1.82、6.80、6.88、および7.09ppmの一連のピークが現れた。望ましくないカップリング生成物(PIBのチオフェンへの二重付加11)や、たとえばフランによって判定されるような他の副反応9,16は、使用した条件では検出できなかった。Ivan, B.; De Jong, F.; WO 9909074 (1999), to: Infineum Holdings B.V., Netherlands; Hadjikyriacou, S.; Faust, R. Macromolecules 1999, 32, 6393-6399; Hadjikyriacou, S.; Faust, R. Macromolecules 2000, 33, 730-733を参照されたい。
【0038】
実施例2:α,ω-ジチオフェン末端PIB(T-PIB-T)の合成
二官能性開始剤である5-tert-ブチル-1,3-ビス(1-クロロ-1-メチルエチル)ベンゼン(tBuDiCumCl)を用いて、重合を開始した。IBの重合の終了後、反応容器中のポリマー溶液を、等容積ずつ、培養管に分けた。各培養管に、TiCl4またはDtBPをさらに加えて、ポリマー溶液中の[TiCl4]対[tBuDiCumCl]、または[DtBP]対[tBuDiCumCl]の比を変化させた。PIBへの官能基の導入は、2つの異なった方法、すなわち、T/CH3Cl溶液をポリマー溶液に加える方法(Tのポリマーへの添加)、およびポリマー溶液をT/CH3Cl溶液に加える方法(ポリマーのTへの添加)によって行った。200等量のTを使用して、PIBへの官能基の導入を行った。1時間後、反応混合物を予め冷却しておいたメタノールで急冷し、メタノールに加えた。ポリマーの精製を、ポリマー溶液をメタノールから析出させることによって行い、減圧下で乾燥した。
【0039】
[TiCl4]対[tBuDiCumCl]の比の効果
リビングPIBを、IBの重合を、MeCHX/CH3Cl中で、tBuDiCumCl(1.1×10-2M)/TiCl4(1.1×10-2M)の開始剤系を用い、プロトン補足剤であるDtBP(3.0×10-3M)の存在下で、-80℃にて行うことによって製造した。IBの重合後、ポリマー溶液を培養管に分け、TiCl4をさらに加えて、ポリマー溶液中の[TiCl4]対[tBuDiCumCl]の比を、1〜8の範囲で変化させた。上述の方法を使用して、PIBのT末端官能化を実施した。図4は、PIBとPIB-Tの1H NMRスペクトルを示す。[TiCl4]/[tBuDiCumCl]の比が上昇するにつれて、PIB鎖末端のメチレンおよびメチルプロトンに対応する2.0ppmおよび1.7ppmのピークが低くなり、PIB-T鎖末端のメチレンプロトンと、開始剤部分に隣接するメチレンプロトンに対応する1.85ppmのピークが高くなった。1H NMRスペクトルから、表1に示すPIBの官能価が計算された。PIBの官能価は、[TiCl4]/[tBuDiCumCl]とともに上昇し、[TiCl4]/[tBuDiCumCl]=8とした場合には、1時間で100%のT-PIB-Tを得ることができた。Tの添加方法が、PIBへの官能基の導入に影響を与えなかったことには留意しておいてよい。出発PIBと生成物のMnおよびMW/Mnは、[TiCl4]/[tBuDiCumCl]比には依存しておらず、カップリング反応がないことを示す。
(表1)PIBaの分子量とチオフェン官能価

aPIB前駆物質: Mn=6,900g/mol、Mw/Mn=1.34、[tBuDiCumCl]=1.1×10-2M、[DtBP]=3.0×10-3M、[IB]=1.1M
【0040】
Mnの比較的低いT-PIB-Tを、上述のようにして、10-2Mの範囲の開始剤濃度を使用して製造したが、Mnの高いT-PIB-Tを製造するには、開始剤を10-3Mの範囲のもっと低い濃度で使用することが必要である。Tによるこうした条件でのリビングPIBの官能基導入反応について調べる目的で、以下の濃度、すなわち[tBuDiCumCl]=2.7×10-3M、[TiCl4]=2.2×10-2M、[DtBP]=3.0×10-3Mを使用することによってリビングPIBを製造した。[TiCl4]/[tBuDiCumCl]の比を、8〜32の範囲で変化させた。表2に示されているように、[TiCl4]/[tBuDiCumCl]≧24の場合には、PIBの官能価は、Tの添加方法にかかわりなく、100%となった。官能基導入PIBのMnおよびMw/Mnは、[TiCl4]/[tBuDiCumCl]によって変化することはなかったが、[TiCl4]/[tBuDiCumCl]≧16の場合には、1H NMRスペクトルで、4〜5mol%のジ置換チオフェン(PIB-T-PIB)が観察された。
(表2)PIBaの分子量とチオフェン官能価

aPIB前駆物質: Mn=7,300g/mol、Mw/Mn=1.11、[tBuDiCumCl]=2.7×10-3M、[DtBP]=3.0×10-3M、[IB]=0.27M
【0041】
DtBPの効果
カップリングに際しては、リビングPIBとPIB-Tの反応が生じるので、第一工程には、TをリビングPIBに付加した際に形成されるPIB-Tカチオンからプロトンが取り除かれる過程が含まれていると想定される。DtBPの役割を調べる目的で、DtBPを用いず、[tBuDiCumCl]=1.0×10-3Mとし、[TiCl4]=3.6×10-2Mとして、リビングPIBを製造した。得られたPIB前駆物質は、広い分子量分布(Mw/Mn=1.67)を示した。次に、DtBPを官能基導入の目的でポリマー溶液に加えて、[DtBP]/[tBuDiCumCl]の比を、0〜3の範囲で変化させた。図5は、PIB前駆物質と官能基を導入したPIBの1H NMRスペクトルを示す。[DtBP]/[tBuDiCumCl]の比が上昇するにしたがって、ジ置換Tのプロトンに対応する6.65ppmのピークが高くなり、モノ置換Tのプロトンに対応する6.70ppm〜7.15ppmのピークが低くなった。すべてのサンプルの官能価は、[DtBP]対[tBuDiCumCl]の比にかかわりなく、100%であると計算された。しかし、PIBカチオンとTのカップリング反応によって得られたジ置換T部分のmol%は、[DtBP]/[tBuDiCumCl]とともに上昇し(表3)、その結果、官能基を導入したPIBのMnおよびMw/Mnが上昇した。これらの結果から、DtBPが、カップリング反応で重要な役割を果たしていることが明らかである。
(表3)PIBa中のジ置換Tの分子量と割合

aPIB前駆物質: Mn=9,900g/mol、Mw/Mn=1.67、[tBuDiCumCl]=1.0×10-3M、[TiCl4]/[tBuDiCumCl]=36、[IB]=0.15M、チオフェンの官能価=100%
【0042】
想定されるカップリングの機構
結果から、PIB-Tカチオンが脱プロトン化され、インサイチューでPIB-Tが生成していることが示唆される(図6)。プロトンの離脱が、DtBPによって誘導される2分子反応なのか、それとも、プロトンの離脱は単分子反応であって、DtBPの役割は、単に離脱されたプロトンを捕捉することなのかについては、現時点ではわかっていない。しかし、PIB-Tが成功裏に製造できることが、Mnと直接関係していないことは明らかである。開始剤の濃度(約10-2M)を、DtBP(約10-3M)の濃度より高くして用いたので、低MnのPIB-Tを、カップリング生成物を生じることなく製造できた。この知見にしたがえば、DtBPは、外来のプロトン不純物(約1.0×10-3M)の濃度に近い濃度で使用するのが好ましく、過剰量のDtBPの使用は、開始剤濃度が低い場合には、通常、行わないことが好ましい。したがって、高MnのPIB-Tは、以下の条件、すなわち、[IB]=1.5M、[tBuDiCumCl]=1.5×10-3M、[DtBP]=1.0×10-3M、[TiCl4]=3.6×10-2Mで製造した。リビングPIBのTとの反応によって生成されたPIB-T(Mn=52,000g/mol)のMnおよびMw/Mnと、PIB前駆物質(Mn=50,100g/mol)のMnおよびMw/Mnは、実質的に同一である。生成物を1H NMR分光分析によって、官能基が定量的に導入され、カップリング生成物が含まれないことが確認された。
【0043】
実施例3:PIB-Tのリチウム化
モデル化合物2-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)チオフェン(TMP-T)のリチウム化
PIB-Tの末端基構造に似ているTMP-Tを使用して、配向モデル実験を行った。これらの反応は、PIB-Tのリチウム化を最適なものとし、高温でのアニオン鎖末端、PIB-T-,Li+の安定性を予測する目的で実施した。リチウム化が不完全であった場合には、所望のブロック共重合体とともに未反応前駆物質が存在していることがある。さらに、未反応n-BuLiが、独立にアニオン重合を開始したり(たとえばtBMAの重合)、求核置換反応によってエステル基を攻撃したりすることもある。Hsieh, H. L.; Quirk, R. P. Anionic Polymerization. Principles and Practical Applications; M. Dekker: New York, 1996を参照されたい。n-BuLiは、高温ではTHFと反応してエチレンとアルコキシドを形成するので、過剰なn-BuLiを除去する最も簡単な方法は、THF溶液を加熱する方法である。Jung, M. E. Blum., R. B. Tetrahedron Lett. 1977, 43, 3791-3794を参照されたい。したがって、リチウム化に過剰なn-BuLiを使用し、その後、加熱によって過剰なn-BuLiを分解することができる。この方法は、形成されたアニオン(PIB-T-,Li+)がこうした条件で安定である場合にのみ使用することができる。オルガノリチウム化合物の一部には、THFや他のエーテル類と反応するものものあることが知られているが(Rembaum, A. Siao, S.P.; Indictor, N.J. Polym. Sci. 1962, 56 S17, 1962を参照のこと)、アニオンPIB-T-,Li+については熱的安定性についての情報が存在していない。したがって、モデル反応は、TMP-Tを使用して実施した。この反応を、図7に示す。
【0044】
2-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)チオフェン(TMP-T)の合成
TMPClを用いたモデル反応を、IBのリビングカチオン重合と同一の条件で、-78℃にて実施した。隔壁と、マグネチックスターラと、窒素注入口を備えた500mL入り三口フラスコに、16mLのCH2Cl2、20mLのn-ヘキサン、0.07mL(0.059g、0.312mmol)のDtBPを加え、混合物を-78℃に冷却した。10分間撹拌した後に、5.07mL(4.43g、29mmol)のTMPClを、移動用ニードルで反応容器に移した。5分間撹拌した後に、6.57mL(11.38g、60mmol)のTiCl4を、移動用ニードルで反応容器に移した。1時間後に、この反応系に、6mLのn-ヘキサンと4mLのCH2Cl2の溶液へ2.6mL(2.73g、32mmol)のTを加えた。Tを、リビング鎖末端と60分間反応させた。20mL(15.7g、0.51mol)のあらかじめ冷却しておいたメタノールを加えることによって、反応をクエンチした。最後に、ロータリーエバポレータで溶剤を除去し、使用前に、生成物(TMP-T)を乾燥し、減圧下で蒸留した。
【0045】
TMP-Tのリチウム化と、Me3SiClとの反応
リチウム化TMP-TのMe3SiClとの反応を、tBMAのリビングアニオン重合と同一条件で実施した。1L入りのガラス反応容器に、400mLのTHFと1.75g(8.93mmol)のTMP-Tを撹拌しながら加え、混合物を-40℃に冷却した。サンプルを採取し、ガスクロマトグラフィー(GC)とNMR分光分析で、TMP-Tの正確な濃度を測定した(図8参照)。
【0046】
10分間撹拌した後、7.25mL(11.6mmol)のn-BuLiを、移動用ニードルで反応容器に移した。過剰のn-BuLiを、TMP-Tと60分間反応させて、アニオン(PIB-T-,Li+)を形成した。反応系を+40℃に加熱し、1時間攪拌して、過剰なn-BuLiを分解し、その後、1.46mL(1.26g、11.6mmol)のMe3SiClを加えた。最後に、溶剤をロータリーエバポレータで除去し、生成物(TMP-T-SiMe3)を、乾燥し、減圧下で蒸留した。
【0047】
反応生成物を、GCとNMR分光分析で解析した。図8に、得られた生成物の1H NMRスペクトルを示す。このスペクトルから、2-(トリメチルシリル)-5-(l,1,3,3-テトラメチルブチル)チオフェンが定量的に形成されたことが示された。定量的な付加が生じたことは、7.10ppmのピークが消失したことによって示唆された。トリメチルシリル基が存在することによって、0.29ppmに新たなピークが現れた。この反応で生じた転化を、GCで調べた(図9)。GCによる解析は、デカンを内部標準として使用することによって実施した。Me3SiClで+40℃にて急冷することによって得られたサンプルは、2-(トリメチルシリル)-5-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)チオフェンの形成に際して高い収率(>98.9%)を示した。このことから、リチウム化の間に形成されたアニオン(TMP-T-,Li+)が、反応混合物を40℃に加熱した後も、1時間にわたって安定であったことがわかる。このように、モデル実験の結果から、過剰なn-BuLiを使用することによって前駆物質(PIB-T)のリチウム化を行い、その後、アニオン(PIB-T-,Li+)の安定性に影響を及ぼすことなく、加熱によって過剰なn-BuLiを分解することができることが示唆された。
【0048】
実施例4:PIB-b-PtBMAの合成
PIB-b-PtBMAの合成を、リチウム化したPIB-Tを、tBMA重合のアニオンマクロ開始剤として使用することによって、THF中で実施した(図10)。
【0049】
共重合の過程は、いずれも、恒温装置付きの冷却ジャケットと、ガスと溶剤を導入するための鋼製の毛管連結管と、温度と圧力の測定装置とを備えた1L入りのガラス反応容器(Buchi)中で、撹拌しながら行った。溶剤は、蒸留装置から、直接、反応容器に加えた。モノマーは、ガラス製アンプルから、球面継ぎ手を介して、または乾燥シリンジによって、反応容器に加えた。n-BuLiとマクロ開始剤(PIB-T)の溶液は、シリンジで取り扱った。典型的な手順では、5mL(8mmol)のn-BuLi溶液を、400mLの精製THFに加え、室温に一晩置いた。
【0050】
翌日、マクロ開始剤とn-BuLiを導入し、-40℃に冷却した。Auschra, C. Stadler., R. Polymer Bulletin 1993, 30, 257-264を参照されたい。具体的には、1.21g(0.355mmol)のPIB-T(Mn=3.40×103g/mol)をベンゼン溶液から8時間かけて凍結乾燥し、その後、10時間超の時間をかけて真空乾燥した。真空ライン上で、乾燥したPIB-TをTHFに溶解し、その後、混合物を、撹拌しながらガラス反応容器に加え、-40℃に冷却した。その後、乾燥したシリンジで、0.23mL(0.368mmol)のn-BuLi溶液を加えた。反応を、-40℃に1時間保持した。5.34g(0.037mol)のtBMAを、バルクでマクロ開始剤溶液に加えた。2.5時間後に、重合をメタノールでクエンチした。最後に、ポリマーをイソプロパノールに沈殿させ、減圧下で室温にて乾燥した。2つの実験を実施した。第一の実験では(上記参照)、等モル量のn-BuLiを使用して、金属化を行った。第二の実験では、4倍過剰量のn-BuLiを使用し、+40℃に1時間加熱することによって、未反応のBuLiを分解した。
【0051】
ブロック共重合体の完全な解析、すなわち、モル質量分布の測定と、所望のアーキテクチャ(ジブロック、トリブロック、マルチブロック)の成分の化学的分布の測定が、合成方法を最適化するうえで有用である。そこで、得られたポリマーを、まず、SECで調べた。図11に、これらのブロック共重合体について、SECで得られた溶出図(RI信号)を示す。結果を表4にまとめて示す。図には、等モル量のn-BuLiによってリチウム化したポリマー中の未反応PIBに対応するピークが見えるが、過剰なn-BuLiを使用した場合には、前駆物質は検出されない。
(表4)PIB-b-PtBMAのSECとLACCCによる特性解析

a線状PIBの標準品を用いて測定
b線状PtBMAの標準品を用いて測定
cELSD検出装置を用いたLACCCで測定したブロック効率
【0052】
吸収の臨界条件での液体クロマトグラフィー(LACCC)は、ブロック共重合体を化学的異質性によって解析するにあたって、最近の最も強力な方法である。Falkenhagen, J.; Much, H.; Stauf, W.; Muller, A.H.E. Macromolecules 2000, 33, 3687-3693; Pasch, H.; Brinkmann, C.; Gallot, Y. Polymer 1993, 34, 4100-4104; Pasch, H. Macromol. Symp. 1996, 110, 107-120を参照されたい。吸収の臨界条件でポリマーの分離を行うと、多孔質分離相で混合移動相を使用することにより、ホモポリマーをモル質量とは独立に溶出させることができる。こうした条件では、ホモポリマーは、官能基の数と性質、たとえば、末端基なのか、コモノマーなのかのにしたがって分離できる。より良好な分離を行えるため、LACCCは、SECより、前駆物質の含量の定量的測定に関して、感度が高い。図12は、PIBの臨界条件での2つのPIB-b-PtBMAのLACCCクロマトグラムを示す。TMP-Tのリチウム化の結果とともに、過剰のn-BuLiが失活され、PIB-T-,Li+が+40℃では安定していて、tBMAの重合を開始しうることが確認された。これらの結果から、ブロック化効率がほぼ定量的であり、所望のPIB-b-PtBMAブロック共重合体が形成されていることがわかる(表4)。
【0053】
実施例5:SiCl4を使用した星形PIBの合成
SiCl4を使用した星形PIBの合成を、ガラス反応容器で実施した。反応容器に、40mLのTHFと0.5081g(0.149mmol)のPIB-T(Mn=3.40×103g/mol)を加え、その後、混合物を-40℃に冷却した。10分間攪拌した後、0.280mL(0.448mmol)のn-BuLiを、移動用ニードルを用いて反応容器に移した。n-BuLiをPIB-Tと、60分間反応させた。その後、反応系を40℃に加熱し、1時間攪拌して、過剰のn-BuLiを分解した。その後、4.34μL(0.037mmol)のSiCl4を加え、リビング鎖末端と、40℃で2時間または22℃で22時間反応させた。最後に、5mL(3.93g、0.12mol)の予め冷却しておいたメタノールを加えることによって、反応をクエンチした。生成物を、イソプロパノールに沈殿させ、減圧下で室温にて乾燥した
【0054】
星形ポリマーの合成にあたっては、リンキング反応は、通常、もっとも遅い工程であり、カチオン重合によって形成された星形ポリマーは、通常、低温冷却を行うことが必要である。Asthana, S.; Kennedy, J. P. J. Polymer. Sci., Part A: Polym. Chem. 1999, 37, 2235-2243を参照されたい。今日までのところ、リビングカルボカチオンPIB鎖末端については、星形カップリング剤は知られていない。通常、カップリングは、二官能性モノマー、たとえばジビニルベンゼンを使用することによって実施され(Asthana, S.; Kennedy, J.P. J.Polymer.Sci., Part A: Polym.Chem. 1999, 37, 2235-2243を参照のこと)、この場合、腕の数がまちまちな星形化合物の混合物が得られる。本発明は、室温でのリンキング法を記載するものであり、リチウム化PIB-Tをクロロシラン、たとえばSiCl4と反応させる。クロロシランは、アニオン鎖末端、たとえばリビングポリブタジエンのカップリングに使用されてきたものである。Roovers, J.E.L. and S. Bywater (1972) “Macromolecules 1972, 5, 385。図13に、リチウム化PIB-TおよびSiCl4を使用した星形PIBの合成戦略を示す。
【0055】
最初の実験は、[PIB-T]:[SiCl4]の比を4:1として、40℃で実施した。反応を、2時間後に停止した。GPCのデータから、腕の数が平均で3.9の星形化合物が形成されていることが判明した。反応条件のやや異なる別の実験(室温、22時間以下の反応時間)を実施した。12時間後には、星形化合物の形成が進行していたが、大部分の未反応PIB鎖が残っていた(図14参照)。最終的な星形ポリマーは、22時間の反応時間の後に得られた。この段階でのポリマーは、平均した腕の数が3.7本であった(表5)。特定量の3腕星形化合物は、排除できず、この点については、たとえば、反応時間が不十分であったり、チオフェン環によって立体障害が生じたためである可能性がある。
(表5)星形PIBのSECによる特性解析

a線状PIBの標準品によって判定した。
b汎用校正を用いて粘度検出装置で判定した。
【0056】
本明細書では、各種の態様を具体的に例示し、記載してきたが、本発明の変更や改良も、以上の開示内容によってカバーされ、請求の範囲の範囲内であって、本発明の精神および意図する範囲を逸脱するものではないと理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は、2-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)チオフェンに対応する1H NMRスペクトルである。
【図2】図2は、リビングPIBカルボカチオンのチオフェンによるキャッピングを行う合成経路図である。
【図3】図3は、チオフェンで官能化したPIBに対応する1H NMRスペクトルである。
【図4】図4は、(a)PIBと、ポリマーにチオフェン(T)を加えることによって製造したPIB-Tであって、[TiCl4]/[tBuDiCumCl]の比が以下のとおり、すなわち(b)1、(c)2、(d)4、(e)8であるものの1H NMRスペクトルを示す。
【図5】図5は、(a)PIBと、ポリマーにチオフェン(T)を加えることによって製造したPIB-Tであって、[DtBP]/[tBuDiCumCl]の比が以下のとおり、すなわち(b)0、(c)1、(d)2、(e)3であるものの1H NMRスペクトルを示す。
【図6】図6は、PIBカチオンのPIB-Tとのカップリング反応の想定メカニズムを示す模式図である。
【図7】図7は、TMP-Tのリチウム化と、その後のMe3SiClとの反応を示す模式図である。
【図8】図8は、Me3SiClを用いて+40℃で急冷を行う前および後のTMP-Tの1H NMRスペクトルを示す。
【図9】図9は、Me3SiClを用いて+40℃で急冷を行った後のTMP-Tのガスクロマトグラムを示す。
【図10】図10は、PIB-b-PtBMAブロック共重合体の合成を示す模式図である。
【図11】図11は、(a)[n-BuLi]:[PIB-T]=1:1である場合と、(b)[n-BuLi]:[PIB-T]=4:1である場合について、PIB-b-PtBMAのSECの記録を示す(RI検出装置)。
【図12】図12は、(a)[n-BuLi]:[PIB-T]=1:1である場合と、(b)[n-BuLi]:[PIB-T]=4:1である場合について、PIBの臨界条件でのPIB-b-PtBMAのLACCCクロマトグラムを示す(ELSD検出装置)。
【図13】図13は、星形PIBの合成についての模式図である。
【図14】図14は、アーム前駆物質(PIB-T)と、PIB-TのSiCl4との架橋反応(実験2)中に採取したサンプルのSECの記録を示す(RI検出装置)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボカチオン終端ポリマー(carbocationically terminated polymer)を、アニオン終端ポリマー(anionically terminated polymer)に転化する方法であって、(a)カルボカチオン終端ポリマー部分を提供し、(b)該カルボカチオン終端ポリマー部分を、式

の複素環式化合物、式中の-X-は、-S-、-O-、-NH-、および-NR-より選択され、ここでRは、アルキル基またはアリール基である、と反応させることにより、末端キャップポリマー部分を提供して、カルボカチオン終端ポリマー部分の少なくとも75重量%を、複素環式化合物にモノ置換様式によって結合させ、そして(c)該末端キャップポリマー部分を、オルガノリチウム化合物と反応させて、アニオン終端ポリマー部分を得る工程を含む方法。
【請求項2】
-X-が-S-である請求項1記載の方法。
【請求項3】
-X-が-O-である請求項1記載の方法。
【請求項4】
-X-が、-NH-および-NR-より選択され、Rがアルキル基またはアリール基である請求項1記載の方法。
【請求項5】
複素環式化合物がチオフェンである請求項1記載の方法。
【請求項6】
カルボカチオン終端ポリマー部分の少なくとも95重量%を、複素環式化合物にモノ置換様式によって結合させる請求項1記載の方法。
【請求項7】
カルボカチオン終端ポリマー部分の少なくとも99重量%を、複素環式化合物にモノ置換様式によって結合させる請求項1記載の方法。
【請求項8】
カルボカチオン終端ポリマー部分が、ポリ(ビニル芳香族)ブロック、カルボカチオン終端ポリ(ビニルエーテル)ブロック、およびカルボカチオン終端ポリ(ビニルアミン)ブロックより選択されたポリマーブロックを含む請求項1記載の方法。
【請求項9】
カルボカチオン終端ポリマー部分が、ポリオレフィンブロックを含む請求項1記載の方法。
【請求項10】
カルボカチオン終端ポリマー部分が、ポリイソブチレンブロックを含む請求項1記載の方法。
【請求項11】
カルボカチオン終端ポリマーが、複数のカルボカチオン終端部分を含む請求項1記載の方法。
【請求項12】
オルガノリチウム化合物が、アルキルリチウム化合物である請求項1記載の方法。
【請求項13】
オルガノリチウム化合物が、メチルリチウム、エチルリチウム、イソプロピルリチウム、ノーマル(normal-)ブチルリチウム、第二(secondary-)ブチルリチウム、第三(tertiary-)ブチルリチウム、ベンジルリチウム、およびアリルリチウムより選択される請求項1記載の方法。
【請求項14】
過剰なオルガノリチウム化合物を、反応性溶剤の存在下で、温度を上昇させることによって除去する工程をさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項15】
過剰なオルガノリチウム化合物を、テトラヒドロフランの存在下で、温度を30℃以上まで上昇させることによって除去する工程をさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項16】
終端ポリマー部分を、アニオン重合性モノマーと反応させて、アニオン重合ポリマーブロックを生産する工程をさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項17】
アニオン重合性モノマーが、N,N-ジ置換アクリルアミド、N,N-ジメタクリルアミド、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、ビニルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニルピリジン、イソプロペニルピリジン、n-アルキルイソシアネート、エチレンオキシド、ε-カプロラクトン、L,L-ラクチド、D,D-ラクチド、D,L-ラクチド、およびそれらの混合物より選択される請求項16記載の方法。
【請求項18】
カチオン重合モノマーを含む第一ポリマーブロックが、アニオン重合モノマーを含む第二ポリマーブロックに、

基によって連結しているブロック共重合体。
【請求項19】
第一ポリマーブロックが、ポリオレフィンブロック、ポリ(ビニルエーテル)ブロック、およびポリ(ビニルアミン)ブロックより選択される請求項18記載のブロック共重合体。
【請求項20】
第二ポリマーブロックが、ポリ(N,N-ジ置換アクリルアミド)ブロック、ポリ(N,N-ジメタクリルアミド)ブロック、ポリ(アルキルアクリレート)ブロック、ポリ(アルキルメタクリレート)ブロック、ポリ(ビニルアミド)ブロック、ポリ(アクリロニトリル)ブロック、ポリ(メタクリロニトリル)ブロック、ポリ(ビニルピリジン)ブロック、ポリ(イソプロペニルピリジン)ブロック、ポリ(n-アルキルイソシアネート)ブロック、ポリ(エチレンオキシド)ブロック、ポリ(ε-カプロラクトン)ブロック、ポリ(L,L-ラクチド)ブロック、ポリ(D,D-ラクチド)ブロック、およびポリ(D,L-ラクチド)ブロックより選択される請求項18記載のブロック共重合体。
【請求項21】
カチオン重合モノマーを含むポリマーブロックを含むポリマーが、ハロゲン化シラン残基またはカルボシラン残基に、

基によって連結しており、式中の-X-が、-S-、-O-、-NH-、および-NR-(ここでRはアルキル基またはアリール基である)より選択されるポリマー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2007−524722(P2007−524722A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517481(P2006−517481)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/019774
【国際公開番号】WO2004/113400
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(505469137)サイメッド ライフ システムズ インコーポレーティッド (1)
【Fターム(参考)】