説明

材料を加えることによって部材をサポートに接着する方法、および2つの要素を重ね合わせる装置

【課題】マス形成はんだを冷却することによって形成されるチップとホルダの間の接合部の質を向上させる製造方法を提供する。
【解決手段】この方法は、ろう材を形成するマス16を加熱するステップ、加熱ステップの前にマスおよび部材12を支持体14上に配置するステップを含む。具体的には、方法は、マスを支持体上に位置付けるステップと、前記マスを支持体に対して押し付けるように、第1の圧縮力F1をマス上に加えるステップとを含み、第1の力F1の強度は、マスを平らにするように選択される所定の第1の値まで上がる。次に、方法は、部材を、平らにされたマス上に位置付けるステップと、前記部材を、平らにされたマスおよび支持体に対して押し付けるように、第2の圧縮力F2を部材に加えるステップとを含み、第2の力F2の強度は第2の所定値まで上がり、第2の所定値は第1の所定値より低い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料を加えることによってコンポーネントをホルダにはんだ付けする方法、および2つの要素を重ね合わせる装置に関する。
【0002】
本発明は、より詳細には、半導体チップなどのコンポーネントをホルダ上にはんだ付けすることに適用する。
【背景技術】
【0003】
マス(mass)が加熱されるステップを含むタイプの、マス形成はんだを加えることによって、コンポーネントをホルダ上にはんだ付けする方法は、当技術分野においてはすでに知られている。
【0004】
従来のやり方では、マス形成はんだは、半導体チップとホルダの間に挿入されるはんだペースト、または円盤もしくは長方形に切断された薄いストリップからなる。
【0005】
一般には、加熱ステップの前に、コンポーネントは、チップとホルダの間の平行度を保証する元の位置のマス形成はんだ上に正確に配置される。
【0006】
マス形成はんだが、はんだの融点より高い、またはその融点と等しい温度に加熱されると、マスは融解し、凝固すると、チップをホルダに取り付ける。
【0007】
例えば、はんだを加熱するために、このマスの位置にて、レーザビームが、マスを支えるホルダの第2の面と反対側のホルダの第1の面に向けられ、ビームの衝撃によって発生するホルダ上の熱は、ホルダを通ってマスに伝わる。
【0008】
一般には、第1には、マス形成はんだとチップの間、および第2には、ホルダとマス形成はんだの間の接触面は、比較的不整形であり、加熱ステップ中、ホルダからチップへの熱伝達を困難にする。
【0009】
したがって、一般に、チップとホルダの間の熱伝達を向上させるためには、加熱ステップの前にチップを位置付けるとともに、表面の不整形をできる限り取り除くために、圧縮力が、チップ、マス形成はんだおよびホルダを含む組立部の上に加えられる。
【0010】
この圧縮力の強度は、圧縮している間に半導体チップにダメージを与えないように、比較的低い必要がある。
【0011】
しかし、この圧縮力の強度は比較的低いので、いくつかの不整形により、加熱ステップ中、熱伝達が不十分なままの状態である場合がある。
【0012】
したがって、加熱ステップ中、チップ、マスおよびホルダを含む組立部の温度は一様でなく、その場合、マス形成はんだを冷却することにより生じる接合部は、特に、不均一の厚さなどの欠点を示す場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そのため、本発明の主な目的は、マス形成はんだを冷却することによって形成されるチップとホルダの間の接合部の質を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そのため、本発明は、前述したタイプのはんだ付け方法に関し、加熱ステップの前に、マスおよびコンポーネントをホルダ上に配置する以下のステップ:
− マスをホルダ上に位置付けるステップと、
− マスをホルダに対して押し付けるように、第1の圧縮力をマス上に加えるステップであって、第1の力の強度は、マス形成はんだを平らにするように選択される所定の第1の値まで上がる、ステップと、
− コンポーネントを、平らにされたマス上に位置付けるステップと、
− コンポーネントを、平らにされたマスおよびホルダに対して押し付けるように、第2の圧縮力をコンポーネントに加えるステップであって、第2の力の強度は、第2の所定値まで上がり、第2の所定値は、第1の所定値より低い、ステップと、
を含むことを特徴とする。
【0015】
第1の力の第1の所定値は、第2の力の第2の所定値より大きいので、本発明によるはんだ付け工程は、チップと、マス形成はんだとの異なる圧縮強さを考慮することが可能である。
【0016】
例えば、第1の圧縮力の強度は50グラム−力であり、第2の圧縮力の強度は10グラム−力である。
【0017】
第1に、第1の圧縮力は、チップなしのマス形成はんだに加えられるということにより、比較的高い値が、マスを十分に平らにするように選択可能であり、それにより、ホルダとマスの間の熱伝達が向上する。
【0018】
次いで、第2に、第2の圧縮力は、平らにされたマスおよびホルダに対するコンポーネントに加えられることが可能であり、第2の所定値は、比較的低く選択可能である。そのため、チップは、圧縮力の強度が高過ぎることによるダメージから保護される。
【0019】
加えて、第2の圧縮力をチップ、マスおよびホルダ上に加えることによって、熱伝達は、ホルダとチップの間で最適化される。
【0020】
好ましくは、マスをホルダ上に位置付けるステップ中に、マスは、マスがホルダと接触し始める位置を検出するまで、ホルダの方に移動し、加力ステップ中に、第1の力の強度は、接触位置の検出中に設定される実質的にゼロの初期値から第1の所定値まで上がる。
【0021】
同様に、コンポーネントを、平らにされたマス上に位置付けるステップ中に、コンポーネントは、コンポーネントが平らにされたマスと接触し始める位置を検出するまで、平らにされたマスの方に移動し、加力ステップ中に、第2の力の強度は、接触位置の検出中に設定される実質的にゼロの初期値から第2の所定値まで上がる。
【0022】
したがって、接触位置を検出し、実質的にゼロの初期強度の圧縮力を加えるステップは、ホルダに対するマスの圧縮、ならびに平らにされたマスおよびホルダに対するチップの圧縮全体にわたって、効率的な制御を可能にする。
【0023】
本発明によるはんだ付け方法はまた、1つまたは複数の以下の特徴を含むことが可能である:
− 第1の圧縮力および/または第2の圧縮力の強度が、強度の値から第1の所定値および/または第2の所定値まで、段階的増加で上がる。
− 加熱ステップ中、ホルダに対するコンポーネントの相対位置が、一定に維持される。
− 加熱ステップ中、このマスの位置にて、レーザビームが、ビームによるホルダの照射期間中、このマスを支えるホルダの第2の面と反対側のホルダの第1の面に向けられ、ホルダに対するコンポーネントの相対位置が、少なくとも照射の期間中、一定に維持される。
− 第1の所定値は、第1の力を加えるステップの後、マスの厚さの下限臨界値により決定される。
− 第2の所定値が臨界値未満であり、それを超えると、コンポーネントはダメージを与えられることになる。
− コンポーネントが半導体チップである。
【0024】
また、本発明は、第1の要素を第2の要素上に配置するための装置に関し、以下を含む:
− 第1の要素を第2の要素上に移動させる手段、
− 第1の要素を第2の要素に対して押し付けるための手段、
さらに、それは、以下を含むことを特徴とする:
− 第1の要素が第2の要素と接触し始めると、接触位置を検出する手段、
− 変位手段のカウンタウェイトを形成する手段、および
− 圧縮手段と、接触位置の検出によりカウンタウェイトを形成する手段とを制御する手段。
【0025】
また、本発明による配置装置は、以下による1つまたは複数の特徴を含むことが可能である:
− 変位手段が、第1の要素を保持するための吸引タイプの保持手段を含み、
− 変位手段が、保持手段の吸引チューブを通る光ファイバを有する赤外線タイプの温度測定手段を含み、
− 検出手段が、容量性タイプの接触検出器と、圧力センサとから選択され、
− 装置が、マス形成はんだと、半導体チップとから選択される第1の要素を、ホルダを形成する第2の要素上に配置するように設計される。
【0026】
以下の、実施例として示される説明を読み、図面を参照すると、本発明は理解されやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による配置装置を含むはんだ取付け部を示す図である。
【図2】本発明による、チップをホルダ上にはんだ付けするはんだ付け工程のステップを示す、図1に示された配置装置の正面図である。
【図3】本発明による、チップをホルダ上にはんだ付けするはんだ付け工程のステップを示す、図1に示された配置装置の正面図である。
【図4】本発明による、チップをホルダ上にはんだ付けするはんだ付け工程のステップを示す、図1に示された配置装置の正面図である。
【図5】本発明による、チップをホルダ上にはんだ付けするはんだ付け工程のステップを示す、図1に示された配置装置の正面図である。
【図6】本発明による、チップをホルダ上にはんだ付けするはんだ付け工程のステップを示す、図1に示された配置装置の正面図である。
【図7】本発明による、チップをホルダ上にはんだ付けするはんだ付け工程のステップを示す、図1に示された配置装置の正面図である。
【図8】本発明による、チップをホルダ上にはんだ付けするはんだ付け工程のステップを示す、図1に示された配置装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
はんだ取付け部は、図1に示されている。はんだ取付け部は、全体共通の参照符号10で指定される。
【0029】
取付け部10は、マス形成はんだ16を加えることによって、コンポーネント12をホルダ14上にはんだ付けするために使用される。
【0030】
説明されている実施例において、コンポーネント12は、従来の半導体チップである。従来のやり方では、マス形成はんだ16は、はんだ付けペーストまたは円盤もしくは長方形に切断された薄いストリップからなる。
【0031】
説明されている実施例において、ホルダ14は、ホルダ14によって支持される半導体チップ12を保護するための保護ボックスの一部を形成する合成材料でできている部分PSによって少なくとも部分的に取り囲まれている金属部分PM、具体的には、銅を含む。
【0032】
ホルダ14は、両側に第1の面S1および第2の面S2を含み、マス形成はんだ16は、ホルダ14の金属部分PMの第2の面S2に取り付けられるように意図されている。好ましくは、第2の面S2は、ニッケルの薄層によりメッキされている。
【0033】
チップ12およびマス16をホルダ14上に正確に配置するために、はんだ取付け部10はまた、マス形成はんだ16と、半導体チップ12とから選択される第1の要素を、ホルダ(ホルダ14など)を形成する第2の要素上に配置するための装置18を含む。
【0034】
配置装置18は、チップ12またはマス16を、ホルダを形成する第2の要素上に変位させるための手段20を含む。この実施例において、変位手段20は、X軸およびY軸に実質的に平行な水平面に、およびZ軸に実質的に平行な垂直方向に、チップ12またはマス16を変位させるための連結式手段22を含む。
【0035】
また、好ましくは、変位手段20は、第1の要素12または16を保持するための保持手段24を含む。
【0036】
好ましくは、保持手段24は、吸引タイプである。そのため、保持手段24は、例えば真空ポンプを含む吸引手段28に接続されている吸引チューブ26を備える。
【0037】
保持手段24を正確に変位させるために、変位手段20は、連結式手段22を接続するための接続手段30を備え、保持手段24は、手段24が連結式手段22に締結されている活動化状態と、手段24が連結式手段22から分離されているアイドル状態とを取ることができる。
【0038】
これらの接続手段30は、例えば、第1のクランピングジョー34Aおよび第2のクランピングジョー34B(図2から図8)が備えられている連結式手段22に締結されている水平動作(この実施例においては、y軸に平行)を持つ第1の線形アクチュエータアーム32Aおよび第2の線形アクチュエータアーム32Bを含む。例えば、アクチュエータアーム32は、ロッドを有する空気式タイプの線形シリンダである。各ジョー34A、34Bは、対応するシリンダ32A、32Bのロッドの一端部に締結されている。
【0039】
この実施例において、接続手段30の活動化状態では、クランピングジョー34は、保持手段24を締め付けるように意図され、接続手段30のアイドル状態では、クランピングジョー34は、保持手段24を解放するように意図されている。
【0040】
また、配置装置18は、第1の要素上の圧縮力を第2の要素に対して加えるように意図されている、第1の要素を第2の要素に対して押し付ける圧縮手段36を有する。
【0041】
圧縮手段36は、例えば、連結式手段22に締結されている垂直動作(実施例においては、z軸に平行)を持つ第1の線形アクチュエータアーム38Aおよび第2の線形アクチュエータアーム38Bを備える。アクチュエータアーム38は、保持手段24上に垂直推力を及ぼすことによって、第1の要素上の垂直圧縮力を第2の要素に対して加えるように意図されている。
【0042】
また、各アクチュエータアーム38は、ロッドを有する空気式タイプの線形シリンダである。そのため、従来のやり方において、アクチュエータアーム38は、各シリンダのロッドが引き込まれるアイドル状態と、各シリンダのロッドが引き伸ばされる作動状態とを取るように意図されている。
【0043】
シリンダロッドに締結されている保持手段24は、アクチュエータアーム38のシリンダが活動化状態からアイドル状態に変わると引き上げられ、そうでない場合は引き下げられるように、シリンダロッドによって変位する。
【0044】
説明されている実施例において、装置18はまた、(図1に示されている)圧縮力強度を調整するための手段40を含む。
【0045】
加えて、また、配置装置18は、第1の要素が第2の要素と接触し始めると、接触位置を検出するための手段42を含む。好ましくは、検出手段42は、保持手段24内に一体化される圧力センサを含む。
【0046】
変形形態として、検出手段42は、容量性タイプの接触検出器を含む。
【0047】
また、配置装置18は、変位手段20のカウンタウェイト(図示せず)を形成する手段を含む。この実施例において、より正確には、手段は、保持手段24のカウンタウェイトを形成し、圧縮手段36の要素、より詳細には、アクチュエータアーム38の要素を形成する。
【0048】
また、配置装置18は、圧縮手段36と、手段42によって接触位置を検出することによりカウンタウェイトを形成する手段とを制御するための手段44を含む。
【0049】
マス形成はんだ16を加熱して、チップ12をホルダ14上にはんだ付けするために、取付け部10はまた、例えば、レーザビーム46を放射するレーザ源など、熱源(図示せず)を含む。
【0050】
また、取付け部10は、マス形成はんだ16の位置における点50に、レーザビーム46の焦点を合わせるための手段48を含む。
【0051】
場合により、マス形成はんだ16および半導体チップ12の温度を、これら2つの要素を加熱しながら調べるために、変位手段20は、赤外線タイプの温度測定手段52(図1)を含む。
【0052】
例えば、測定手段52は、保持手段24の吸引チューブ26を通る光ファイバ54を含む。場合により、測定手段52はまた、光ファイバ54に接続されている赤外線高温計56を含む。
【0053】
次に、図2から図8を参照して、本発明によるはんだ付け方法の主なステップを説明することにする。
【0054】
まず、この方法は、コンポーネント12およびマス16をホルダ14上に配置するためのステップを含む。
【0055】
したがって、図2に示されている第1の配置ステップ中に、マス16は、ホルダ12上に位置付けられる。図2に見られるように、マス形成はんだ16の初期の全体的形状は、比較的不整形である。
【0056】
このステップ中に、クランピングジョー34は保持手段24を締め付け、それにより、保持手段24は、連結式手段22に締結される。加えて、アクチュエータアーム38は、それらのアイドル状態にある。したがって、連結式手段22によって完全に制御されているので、保持手段24の変位は比較的正確である。
【0057】
保持手段24は、吸引によってマス形成はんだ16を保持する。
【0058】
次いで、変位手段20は、座標X、YおよびZにより、第1の所定の位置Pまで、比較的迅速に、水平および垂直にマス16を変位させる。
【0059】
この実施例において、座標X、Yは、チップ12との電気的接続を意図されるホルダ14上の電気コネクタ(図示せず)の位置によりあらかじめ規定されている。座標Zは、ホルダ14およびマス16が、これら2つの要素の間のいかなる偶発的な接触も回避するよう十分に離れているように選択される。
【0060】
次いで、手段20は、マス16がホルダ14と接触し始める位置を検出するまで、マス16を垂直方向Zに徐々に変位させる。
【0061】
マス16がホルダ14と接触し始める位置を検出すると、手段44は、圧縮手段36の活動化を制御する。
【0062】
したがって、図3によって示されている、マス16をホルダ14上に配置するための第2のステップ中に、圧縮手段36は、第1の圧縮力F1をマス16上に加えて、保持手段24を使用して、マス16をホルダ14に対して押し付ける。
【0063】
より正確には、このステップ中、連結式手段22を接続するための手段30と、保持手段24とは、アイドル状態にある。そのため、保持手段24は、連結式手段22に、もはや締結されていない。
【0064】
次いで、アクチュエータアーム38は、マス16上の圧縮力F1をホルダ14に対して加えるために、保持手段24上に、z軸によって規定される方向に沿って、垂直推力を及ぼす。本発明によれば、圧縮手段36は、第1の力F1の強度を、マス形成はんだ16を平らにするように選択される第1の所定値まで上げる。
【0065】
好ましくは、圧縮力F1の強度を正確に制御するために、手段44はまた、接触位置を検出すると、保持手段24のカウンタウェイトを形成する手段の活動化を制御する。そのため、カウンタウェイトを形成する手段の活動化は、マス16上に及ぼされる保持手段24の重力を相殺する。
【0066】
この場合、接触位置を検出すると、第1の力F1の強度は、第1に、調整手段40による力の強度を調整することによって、および第2に、カウンタウェイトを形成する手段を活動化にすることによって、ゼロの初期値に調整可能である。
【0067】
したがって、力F1が加えられるステップ中、圧縮手段36は、第1の力F1の強度を、接触位置を検出すると設定される実質的にゼロの初期値から第1の所定値まで上げる。
【0068】
好ましくは、第1の圧縮力F1の強度は、強度の値から第1の所定値まで、段階的増加で上がる。
【0069】
力F1が加えられるステップ中、保持手段24は、シリンダロッド38が、圧縮力F1の強度の第1の所定値に到達するのに必要とされる長さlだけ引き伸ばされる位置P1に下りる。
【0070】
説明されている実施例において、第1の所定値は、約50グラム−力である。
【0071】
概して、マス形成はんだ16の初期の厚さは、圧縮力が加えられるステップの前では、約100ミクロンである。
【0072】
好ましくは、第1の所定値は、第1の力F1が加えられるステップの後で、マス16の厚さの下限臨界値により決定される。
【0073】
例えば、この厚さの下限臨界値は、限界の厚さであるとして規定され、それを下回ると、マス16の冷却により生じる接合部は、比較的脆弱である可能性がある。この実施例において、マスの厚さの下限臨界値は、約70ミクロンである。
【0074】
マス16が平らにされた後、吸引手段52は非活動化にされ、それにより、保持手段24はマス16を解放する(図4)。次いで、アクチュエータアーム38は、活動化状態からアイドル状態に切り替わり、保持手段24を引き上げることを可能にする。加えて、具体的には、クランピングジョー34を含む保持手段24を接続するための手段30は活動化にされ、それにより、保持手段24は、再度、連結式手段22に締結される。
【0075】
図5に示されている第3の配置ステップ中、半導体チップ12は、平らにされたマス16上に位置付けられる。
【0076】
変位手段20は、吸引によってチップ12を拾い上げるように移動する。
【0077】
次いで、変位手段20は、座標X、YおよびZにより、所定位置Pまで、比較的迅速に、水平および垂直にチップ12を変位させる。この位置では、チップ12は、マス16と接触しない。
【0078】
手段20は、チップ12が平らにされたマス16と接触し始める位置を検出するまで、チップ12を垂直方向Zに徐々に変位させる。
【0079】
チップ12が平らにされたマス16と接触し始める位置を検出すると、手段44は、圧縮手段36の活動化を制御する。
【0080】
したがって、図6に示されている第4の配置ステップ中に、チップ12と、平らにされたマス16との間の接触面の不整形を低減するために、圧縮手段36は、第2の圧縮力F2をチップ12上に加えて、チップ12を、平らにされたマス16およびホルダ14に対して押し付ける。
【0081】
本発明によれば、圧縮手段36は、第2の力F2の強度を第1の所定値未満の第2の所定値まで上げる。
【0082】
第2の所定値は、臨界値未満であり、それを超えると、チップ12はダメージを与えられることになる。例えば、第2の所定値は、約10グラム−力である。
【0083】
好ましくは、圧縮力F2の強度を正確に制御するために、手段44はまた、チップ12がマス16と接触し始める時の位置を検出すると、保持手段24のカウンタウェイトを形成する手段の活動化を制御する。カウンタウェイトを形成する手段を活動化にし、調整手段40を使用して第2の力の強度の値を調整することによって、初期値は、実質的にゼロの値に調整可能である。
【0084】
次いで、第2の力F2の強度は、接触位置を検出すると設定される初期の実質的にゼロの値から、第2の所定値まで上がる。
【0085】
好ましくは、第2の圧縮力F2の強度は、強度の値から第2の所定値まで、段階的増加で上がる。
【0086】
力F2が加えられるステップ中、保持手段24は、シリンダロッド38が、圧縮力F2の強度の第2の所定値に到達するのに必要とされる長さlだけ引き伸ばされる位置P2に下りる。
【0087】
配置ステップを行った後、方法はまた、図7に示されているマス形成はんだ16を加熱するためのステップを含む。
【0088】
そのため、マス形成はんだ16を加熱するために、レーザビーム46は、ホルダ14の第1の面S1上に向けられる。より正確には、レーザビーム46は、ビーム46によるホルダ14の照射期間中、マス形成はんだ16の位置に向けられる。
【0089】
レーザビーム46によるホルダ14の照射の点50に発生する熱は、ホルダ14を通じて、マス形成はんだ16およびチップ12に伝わる。
【0090】
表面の不整形は、圧縮力F1およびF2が加えられるステップ中に弱められるので、熱伝達は、ホルダ14とマス16の間、ならびにマス16とチップ12の間で比較的良好である。
【0091】
この実施例において、加熱ステップ中、ビーム46によるホルダの照射期間中は少なくとも、チップ12およびホルダ14の相対位置は、一定に維持される。
【0092】
そのため、加熱ステップの前に、保持手段24は、位置P2に固定される。具体的には、シリンダロッド38を長さlだけ引き伸ばされた状態に維持しながら、制御手段44は、圧縮手段36を非活動化にし、クランピングジョー34は、活動化にされる。
【0093】
加熱ステップの前は、マス16は、比較的硬質である。第2の所定値と等しい強度の力F2は、マス16と、力F2の強度とやはり等しい強度の保持手段24上のチップ12との反作用によって、従来通りに補償される。
【0094】
加熱ステップ中、保持手段24は、位置P2に維持される。マス16の軟化により、マス16と、保持手段24上のチップ12との反作用の強度は、マス16が液状である場合は、ゼロに下がる。圧縮手段36が非活動化にされるので、チップ12およびマス16上に保持手段24によって及ぼされる力F2の強度は、同様にして、低下する。
【0095】
これは、特には、加熱ステップ中のマス16の軟化を考慮に入れるために行われ、それにより、チップ12へのダメージが回避される。加熱ステップ中に、チップ12および軟化されたマス16上に過度の強度の圧縮力を加えると、チップ12の側面に軟化されたマス16を突き出してしまうこともあり、それにより、チップ12をホルダ14上に直接、押し付けてしまうこともありえる。
【0096】
好ましくは、チップ12およびホルダ14の相対位置は、マス形成はんだ16が冷却されるまで一定に維持される。
【0097】
加えて、レーザビーム46によるホルダ14の照射中、およびマス16の冷却中、具体的には、チップ12の温度は、測定手段52を使用して調べられることが可能である。光ファイバ54は、チップ12によって放射される赤外線フラックスを収集し、それを高温計56に送る。次いで、高温計56は、収集された光束を温度値に変換する。
【0098】
図8に示されているように、マス16が冷却された後、吸引手段28は非活動化にされ、保持手段24はチップ12を解放する。接続手段30は非活動化にされ、ジョー34は保持手段24を解放する。シリンダロッド38は引き込まれ、保持手段24を引き上げることを可能にする。次いで、接続手段30は、再度、活動化にされ、連結式手段22は、保持手段24を移動させて、例えば、新規要素をホルダ14上に配置し、はんだ付けすることを可能にする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マス(16)が加熱されるステップを含むタイプの、マス形成はんだ(16)を加えることによって、コンポーネント(12)をホルダ(14)にはんだ付けする方法であって、加熱ステップの前に、マス(16)およびコンポーネント(12)をホルダ(14)上に配置する以下のステップ、
マス(16)をホルダ(14)上に位置付けるステップと、
マス(16)をホルダ(14)に対して押し付けるように、第1の圧縮力(F1)をマス(16)上に加えるステップであって、第1の力(F1)の強度は、マス形成はんだ(16)を平らにするように選択される所定の第1の値まで上がる該ステップと、
コンポーネント(12)を、平らにされたマス(16)上に位置付けるステップと、
コンポーネント(12)を、平らにされたマス(16)およびホルダ(14)に対して押し付けるように、第2の圧縮力をコンポーネント(12)に加えるステップであって、第2の力(F2)の強度は、第2の所定値まで上がり、第2の所定値は、第1の所定値未満である該ステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
マス(16)をホルダ(14)上に位置付けるステップ中に、マス(16)は、マス(16)がホルダ(14)と接触し始める位置の検出まで、ホルダ(14)の方に移動し、加力ステップ中に、第1の力(F1)の強度が、接触位置の検出中に設定される実質的にゼロの初期値から第1の所定値まで上がる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
コンポーネント(12)を、平らにされたマス(16)上に位置付けるステップ中に、コンポーネント(12)が、コンポーネント(12)が平らにされたマス(16)と接触し始める位置を検出するまで、平らにされたマス(16)の方に移動し、加力ステップ中に、第2の力(F2)の強度が、接触位置の検出中に設定される実質的にゼロの初期値から第2の所定値まで上がる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第1の圧縮力(F1)および/または第2の圧縮力(F2)の強度が、強度の値から第1の所定値および/または第2の所定値まで、段階的増加で上がる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
加熱ステップ中、コンポーネント(12)と、ホルダ(14)との相対位置が一定に維持される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
加熱ステップ中、このマスの位置にて、レーザビーム(46)が、ビーム(46)によるホルダ(14)の照射期間中、マス(16)を支えるホルダ(14)の第2の面(S2)と反対側のホルダ(14)の第1の面(S1)に向けられ、コンポーネント(12)と、ホルダ(14)との相対位置が、一定に維持される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
第1の所定値が、第1の力(F1)が加えられるステップの後、マス(16)の厚さの下限臨界値により決定される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
第2の所定値が臨界値未満であり、それを超えると、コンポーネント(12)はダメージを与えられることになる、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
コンポーネント(12)が半導体チップである、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
第1の要素を第2の要素上に配置する装置(18)であって、
第1の要素(12、16)を第2の要素(14)上に移動させる手段(20)、
第1の要素(12、16)を第2の要素(14)に対して押し付ける手段(36)を含み、
また、
第1の要素(12、16)が第2の要素(14)と接触し始める接触位置を検出するための手段(42)、
変位手段(20)のカウンタウェイトを形成する手段、
圧縮手段(36)と、接触位置の検出によりカウンタウェイトを形成する手段とを制御するための手段(44)、
を含むことを特徴とする、装置。
【請求項11】
変位手段(20)が、第1の要素(12、16)を保持するための吸引タイプの保持手段(24)を含む、請求項10に記載の装置(18)。
【請求項12】
変位手段が、保持手段(24)の吸引チューブ(26)を通る光ファイバ(54)を有する赤外線タイプの温度測定手段(52)を含む、請求項11に記載の装置(18)。
【請求項13】
検出手段(42)が、容量性タイプの接触検出器と、圧力検出器とから選択される、請求項10から12のいずれか一項に記載の装置(18)。
【請求項14】
マス形成はんだ(16)と、半導体チップ(12)とから選択される第1の要素を、ホルダ(14)を形成する第2の要素上に配置するように設計されている、請求項10から13のいずれか一項に記載の装置(18)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−138583(P2012−138583A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−21293(P2012−21293)
【出願日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【分割の表示】特願2009−527866(P2009−527866)の分割
【原出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(503041904)
【Fターム(参考)】