説明

条導体を備えたプラスチック表皮材

導電性材料とプラスチック表皮材のプラスチック材料の混合物からなる領域がプラスチック表皮材内に配置されている、コーティングされた物品の表面被覆材としての単層または多層のプラスチック表皮材。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック表皮材がそれに埋め込まれた導電性条導体を備えている、コーティングされた物品の表面被覆材としてのプラスチック表皮材に関する。同様に、このようなプラスチック表皮材を製造するのに特に適した方法と、このようなプラスチック表皮材で被覆した内装品(Verkleidungsteilen)および自動車の室内のための座席張り布が開示されている。
【背景技術】
【0002】
しぼまたは模様または微細構造を有するプラスチック表皮材は、物品の表面として広く知られており、例えば車両における内装のために使用される。この車両では、例えばダッシュボードのパネルまたはドアの内側シェル等のための、快適な感触を有し比較的に軟らかい、発泡材を裏付けしたフィルムとしてしばしば使用される。このようなフィルムはもちろん、強度やデザインを適当に適合させて、高価値の他の被覆された品物にも使用される。
【0003】
このようなプラスチック表皮材を製造するために、いろいろな方法が先行技術において知られている。例えば、熱可塑性プラスチック製の「無端の」フィルムウェッブを製造するためのロール加工法またはエンボス加工法あるいはオフツール(werkzeugfallende)の個々の成形表皮材、すなわちプラスチック成形部品を製造するための方法が知られている。
【0004】
ロール加工法およびエンボス加工法の場合、ウェッブ品物(Bahnenware)の熱可塑性フィルムは、エンボス加工ロールによって、三次元的な構造を有するエンボス加工された表面、すなわち例えばしぼ付き「皮革表面」を有する。
【0005】
ここで、オフツールの成形表皮材とは、例えばいろいろな焼結法またはスプレー法によって成形金型内で製造される多少剛性のあるプラスチック成形部品を言う。この方法の場合、液状または粉末状の1つまたは複数の成分が成形金型内に入れられ、そこで反応/硬化する。従って、オフツールの成形表皮材は回転焼結法、例えばいわゆるスラッシュ(Slush)表皮材を製造するための方法によっても生じる。
【0006】
このオフツールの方法の場合さらに、表面の構造/組織、つまりプラスチック表皮材の表面、すなわち例えばしぼの外観と、部品全体のジオメトリとを、製造中に一回の成形工程で決定することができる。そのために、例えばしぼ構造や部品ジオメトリがネガとして金型に形成され、プラスチック表皮材が焼結法またはスプレー法によって成形され、そしてその後プラスチック表皮材が取り出される。
【0007】
ウェッブ品物と成形表皮材は一般的に、その裏側に発泡プラスチックからなる層が備え付けられる。この備えつけは、(ウェッブ品物の場合)エンボス加工の後で、および/または部品型への挿入/深絞りの後で、あるいは(成形表皮材の場合)プラスチック表皮材が製造された金型内で行われる。もちろん、発泡体被覆のために、例えばカーディング法(Streichverfahren)のような他の方法が知られている。この後続の「発泡体の裏張り」によって、剛性のある三次元的に成形された部品が得られる。この場合、発泡体の裏張りは、プラスチック表皮材のために支持構造体を形成する1つの例を示しているにすぎない。例えば硬質プラスチックからなる支持構造要素を接着することも同様に知られている。
【0008】
特許文献1はダッシュボード、ドア内張りまたはグローブボックスのようなオフツールの溶融体/注型成形体を製造するための方法を開示している。この場合、先ず最初に、分割された下型の少なくとも一部に弾性フィルムが張られる。このフィルムは型内に存在する継目を覆い、そしてその内面に模様、例えば皮革組織を有する。この弾性フィルムには反応性混合物がスプレーされ、この混合物は部品の外皮を形成する。その後、他の補強部または発泡層を、種々のスプレー成形法または溶融成形法によって被覆形成する。
【0009】
支持構造体を有する成形表皮材は一般的に、製造工程後もう一度きれいに加工される。すなわち、場合によっては存在する表皮材エッジを切り落とし、ダッシュボードの場合には例えば計器、スイッチ、インナートリム(Zierleisten)、ラジオ等のための必要な切欠きまたは穴が形成される。その後、例えばすべてのスイッチと信号要素がダッシュボードに個々に組み込まれ、結線されるかまたは接続線が備え付けられる。この接続線はその後車両内に組み込むときに接続することができる。同じことが計器、ライト、スピーカ等の組み込みにも当てはまる。インナートリムおよびホルダも同様に取付けなければならない。
【0010】
従って、即組み込み可能なダッシュボード、ドアインサートまたは機能要素を備えた類似の部品を、さらなる加工を行う工場、すなわち、この場合、車両メーカに送り込むまでに、総じて、相当な労力と時間およびコストがかかる一連の生産ステップと、物流計画とがなお必要になる。
【0011】
この生産コストを低減するために、発泡体を裏付けする前または後に、導電体または薄いフィルム回路、すなわち蒸着または接着した薄い金属導体を有するフィルムを、成形表皮材またはフィルムの背面に直接連結、すなわち実質的に張り合わせまたは積層することが既に提案されている。
【0012】
その場合、2つの異なる材料(成形表皮材またはフィルムと導体)を接合する際に、張り合わせ工程中の押圧力によって装飾表面、すなわち外から見えるプラスチック表皮材の表面が傷つくという問題が生じる。
【0013】
さらに、温度が高すぎる状態で材料が積層され、個々の材料の収縮が異なる状態で互いに張り合わせされ、そしてその後異なるように冷却されるときに、この材料が装飾表面に印をつけるという問題がある。
【0014】
さらに、成形表皮材またはフィルムと導体が、熱のあるところに保管する際に、異なる熱膨張係数を有し、それによって場合によっては装飾表面の背後に張り合わせられる第2ウェッブが見えるようになるという問題がある。
【0015】
さらに、装飾表面が製造および導体との張り合わせの後で、材料の異なる強度によって屈曲するという問題がある。
【0016】
さらに、表面の所定領域、まさしくスラッシュプロセス(回転焼結)によって製造される表面のところが、離型時に異なる強度によって屈曲個所を生じるという問題がある。
【0017】
さらに、成形表皮材の近づきにくい領域に、フィルム回路または導体を張り合わせることができないという問題がある。なぜなら、背面に近づくことができないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1190828A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
そこで、本発明の課題は、一方ではさらなる加工の複雑なステップをできるだけ減らし、他方では高い部品融合性をプラスチック表皮材の好ましい外観と組み合わせるプラスチック表皮材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この課題は請求項1の特徴によって解決される。他の有利な実施形態は従属請求項に記載してある。同様に、このようなプラスチック表皮材に適した製造方法の観点から解決策が開示されている。
【0021】
その際、条導体はプラスチック表皮材のプラスチック材料、すなわち基本材料と、導電性材料との混合物からなっている。条導体は一方ではプラスチック表皮材に類似する特性または熱膨張率および構造を有する、マトリックスとしてのポリマーと、他方では導電性材料とからなる混合物からなっている。それによって、硬化した後で、導電性材料/材料部分が生成されたプラスチックマトリックス内に組み込まれる。導電性材料として、導電性の特殊スポンジゴム、カーボンブラック、炭素繊維、C−ナノチューブ、固有導電性ポリマーまたは金属粉末またはこれらの混合形態が使用可能である。それによって、用途に応じて、混合を変更するだけで、必要なオーム抵抗または導電性を広範囲で適合させることができる。もちろん、他の導電性材料、例えば金属をコーティングしたコア等も適している。
【0022】
ポリマーであるマトリックス材料と導電性材料の混合物は、スプレーロボットを介して、装飾表面の裏側に被覆層を形成可能である。装飾表面が十分に高温であると、スプレーされた混合物は溶融し、装飾表面に固定連結される。
【0023】
有利な実施形態では、プラスチック表皮材のプラスチック材料がポリ塩化ビニル(PVC)であり、条導体がポリ塩化ビニルとグラファイトまたはカーボンブラックの混合物からなっている。これにより、スプレー法の観点から、きわめて良好な材料加工可能性と、機械的な強度特性と導電性との間の良好な関係が生じる。
【0024】
他の有利な実施形態では、条導体がプラスチック表皮材の背面に配置されている。これは、プラスチック表皮材が複雑な形状である場合にも製造を容易にする。
【0025】
他の有利な実施形態では、条導体が中間層としてプラスチック表皮材の層厚内に配置されている。それによって、条導体は非導電性プラスチックによって完全に取り囲まれ、従って後に場合によって起こる接触短絡が防止される。
【0026】
プラスチック材料としてのポリマーマトリックス材料と導電性材料とから条導体または条導体混合物を製造するためにきわめて適した方法では、導電性材料がロール混練方法でプラスチック材料に入れられる。これは比較的に大きな剪断力で、すなわち混練ロールの間のロール間隙を比較的に狭くして、および比較的に高い温度で良好に行われる。
【0027】
本発明に係るプラスチック表皮材を製造するためにきわめて適した方法では、プラスチック表皮材が成形表皮材として、温められた成形金型の表面領域でプラスチックを順々に複数回溶着することによって形成され、その後成形表皮材が成形金型から取り出され、複数回の溶着において、先ず最初にプラスチック表皮材のプラスチック材料の少なくとも1つの層が成形金型上に被覆形成されて溶着され、その後プラスチック表皮材のプラスチック材料と導電性材料の混合物が被覆形成されて溶着される。このような方法は既存の製造設備に容易に組み込むことができる。
【0028】
他の有利な実施形態では、複数回の溶着において、先ず最初に粉末の形態をしたプラスチック表皮材のプラスチック材料の少なくとも1つの層が成形金型上に被覆形成されて溶着され、その後粉末混合物の形態をした、プラスチック表皮材のプラスチック材料と導電性材料の混合物が被覆形成されて溶着される。温められた反応形態での粉末状プラスチック成分の加工は、焼結法またはスラッシュ法、好ましくは回転焼結法に容易に組み込み可能である。
【0029】
粉末化された導電性材料は例えば、ロール混練方法で製造された上記導電性混合物をその製造後再び粉砕することによって製造可能である。
【0030】
他の有利な実施形態では、粉末化されたプラスチック材料と粉末化された混合物の複数の層が交互に被覆形成されて溶着される。それによって、「三次元的に」分配された条導体が発生し、従って複雑なリード線と回路を形成することができる。
【0031】
他の有利な実施形態では、粉末混合物の被覆層を形成する前に、既に被覆形成したプラスチック表皮材のプラスチック材料の表面が、条導体を被覆しない表面領域において、カバーまたはマスクによって覆われる。それによって、条導体の正確な形状が得られる。
【0032】
他の有利な実施形態では、プラスチック表皮材の粉末状プラスチック材料が、回転焼結法によって成形金型に被覆形成されるかあるいは粉末状混合物が回転焼結法によって既に被覆形成されたプラスチック表皮材のプラスチック材料の表面に被覆形成される。回転焼結時に上昇した温度で微細粉末状顆粒の溶着プロセスがゆっくり行われることにより、プラスチック表皮材内への条導体のきわめて確実な閉じ込めあるいはプラスチック表皮材に対する条導体の確実な溶着が行われる。この方法の場合一般的に、プラスチック粉末は温められた回転する金型/反応型内にあり、そして金型の加熱された壁部分に溶着する。
【0033】
他の有利な実施形態では、粉末状混合物がスプレー法によって既に被覆したプラスチック表皮材のプラスチック材料の表面に被覆形成される。それによって、混合物の正確な位置決めと配量が達成される。
【0034】
他の有利な実施形態では、複数回の溶着において、先ず最初に粉末の形態をしたプラスチック表皮材のプラスチック材料の少なくとも1つの層が成形金型上に被覆形成されて溶着され、その後溶液内にある混合物の形態をした、プラスチック表皮材のプラスチック材料と導電性材料の混合物が被覆形成されて溶着される。溶剤は層の結合を容易にし、従って製造法を加速する。
【0035】
他の有利な実施形態では、プラスチック表皮材が、先ず最初にロールフィルムとして製造され、その後プラスチック表皮材のプラスチック材料と導電性材料の混合物が被覆形成され、かつロールフィルムとして存在するプラスチック表皮材に連結される。それによって、このようなプラスチック表皮材は大きな面積を有するようにかつ巻物形態またはウェッブ形態で形成可能である。このプラスチック表皮材はいろいろな用途に多量供給可能である。このような無端フィルムは後続の深絞り法のために部品形状に切断した後で容易に使用可能である。
【0036】
他の有利な実施形態では、混合物が普通の押し付け法によってロールフィルムに押し付けられる。これは大量生産を容易にする。
【0037】
他の有利な実施形態では、プラスチック表皮材のプラスチック材料と導電性材料の混合物が溶剤を含み、この溶剤が既存のまたは既に被覆されたプラスチック表皮材を膨化するかまたは部分的に溶解する。溶剤は既に述べたように、層の結合を容易にし、それによって製造方法を加速する。
【0038】
他の有利な実施形態では、先ず最初に条導体を別個に製造し、その後プラスチック表皮材に連結される。その際、プラスチック材料の層と、混合物の層と、再びプラスチック材料の層とが交互に層状に積み重ねられ、そして互いに連結されて多層の導体フィルムを形成する。その後で、導体フィルムが帯状の条導体に切断され、プラスチック表皮材に連結される。それによって、多量の条導体を予備製造し、必要に応じて使用することができる。本方法のこの実施形態によって、異なるように製造されたプラスチック表皮材のための条導体、例えば回転焼結法で製造された成形表皮材のための条導体を、ロール表皮材と同様に提供することができる。
【0039】
他の有利な実施形態では、多数のプラスチック材料層と混合物層が連結されて1つの多層の導体フィルムを形成する。それによって、既に上述したように、「三次元的に」分配された条導体を生じることができる。
【0040】
きわめて簡単であるため有利である他の実施形態では、条導体とプラスチック表皮材の連結が接着によって行われる。接着はこの用途ではきわめて確実な連結方法である。
【0041】
他の有利な実施形態では、条導体とプラスチック表皮材の連結が熱による溶着によって行われる。これも熱成形プロセスにおいて有利である。なぜなら、いずれにせよ十分なプロセス熱が供されるからである。さらに、例えば導電性PVC混合物からなる条導体の導電性混合物は、溶融ストランドの形に加工可能である。すなわち、例えば150〜200°Cの温度で高温接着ピストルによって被覆形成可能である。
【0042】
きわめて簡単な他の実施形態では、条導体とプラスチック表皮材の連結が連結境界域の可塑化によって、例えば溶剤を添加して行われる。
【0043】
本発明に係るプラスチック表皮材が車両の室内用の内装品のための表面コーティングとしてきわめて適している、すなわち車両の室内の内装品、特にダッシュボードに使用するためにきわめて適している。それによって、プラスチック表皮材内に条導体がすでに配置され、この条導体によってプラスチック表皮材は導電機能またはスイッチ機能、センサ機能または信号伝達機能を実現することができる。プラスチック表皮材内のこのような機能要素によって、別個の導体、スイッチ、センサの形をした機能要素を後から組み込む必要がなくなる。この導体、スイッチ、センサの形をした機能要素は個々の要素としてプラスチック表皮材に確実に連結され、かつ多数の接続ケーブルを備えていなければならない。
【0044】
例えば車両乗員によって操作される特にスイッチ要素のために、条導体の埋め込みが重要である。温度プローブまたは赤外線センサのようなセンサ要素はプラスチック表皮材の表面に直接配置され、条導体を介して適当な制御機器またはアクチュエータに接続可能である。
【0045】
条導体を介してプラスチック表皮材に組み込まれた例示的な電子回路要素は、例えば圧力、温度等に応答するセンサまたは例えば光、音、波、振動等の形の信号を発生する要素である。好ましくはLED発光手段としての発光手段は条導体と一体化可能であるので、ダッシュボードの場合にダッシュボード照明装置またはグローボックス照明装置を後から組み込む必要がない。この後からの組み込みは面倒である。
【0046】
ディスプレイの周辺地図に映し出す、車両の衛星支援ナビゲーション機器が広く普及している場合には、プラスチック表皮材内に埋め込まれた導体要素によって、例えば、好ましくはフィルム状のディスプレイとしての平面ディスプレイの形をした信号伝達要素を接続することができる。このディスプレイはナビゲーション機器のための表示器としてあるいは適当なTVドライブと共にテレビディスプレイとして使用可能である。
【0047】
例えば信号伝達要素としてプラスチックフィルムに組み込まれた平形ヒータまたは平面ディスプレイのような要素は、プラスチック表皮材に埋め込まれた条導体を介して簡単に接続できるので、会議場またはホテルホール内の家具の被覆材と同様に、乗用車のダッシュボードのために適している。
【0048】
本発明にかかるプラスチック表皮材は車両座席のための張り布として使用するために非常に適している。この場合、例えば条導体は座席ヒータのためのヒートコンダクタとしての働きをすることができる。このような導電性プラスチック表皮材は、導電性の平面物体の形をした抵抗式ヒータ、例えば座席ヒータとして使用可能である。この場合、導電性平面物体を加熱する電流が電極を経て供給される。
【0049】
このようなプラスチック表皮材は特に、自動車のドア内張りとしてあるいは飛行機の座席張り布および背もたれ張り布等のために使用可能である。このドア内張りの場合には、窓ガラスとドアミラーのためのスイッチ要素がプラスチック表皮材内の条導体を介して接続されている。飛行機の座席張り布および背もたれ張り布の場合には、ライト、換気および呼び出しのためのスイッチ要素が一体化されている。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る成形表皮材を示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1は、本発明に係る成形表皮材1、すなわち回転焼結法で製造されるような、乗用車のダッシュボード用のいわゆるスラッシュ表皮材を示している。この場合、ダッシュボードの輪郭が既にはっきり現れているので、成形表皮材はそれに対応して形成された補強用下部構造体、いわゆる支持体に容易に取付け可能である。
【0052】
成形表皮材の斜線領域2、3は余分な成形エッジであり、これは仕上げ加工で除去される。斜線領域4は同様に仕上げ加工で切り落とされ、それによって表示計器を後で挿入するための切欠きを形成する。
【0053】
スイッチ要素、センサ要素または信号伝達要素5、6、7、8のための条導体は、成形表皮材内に埋め込まれて溶着されているので見えない。このスイッチ要素、センサ要素または信号伝達要素は、平面放射スピーカ5と、この平面放射スピーカに属し、スイッチ帯状体6にまとめられた、バランス、音量等のためのスイッチと、ヘッドライト高さ調節装置の操作のためのスイッチ要素7と、後に乗員用の読み取り灯としての働きをするLED発光手段8である。これらのすべての要素は条導体に接触するかあるいは一部が条導体からなっているかあるいは条導体によって形成または提供される回路部分によって機能する。スイッチ要素6、7は接触時に行われる電場の変化に応答するいわゆるフィルムスイッチである。要素5、6、7、8のすべての端子は、ここでは詳細に示されていないが、条導体として既に成形表皮材の背面まで案内され、ダッシュボードを組み込む際に自動車の搭載電装品に直接接続可能である。
【符号の説明】
【0054】
(明細書の一部)
1 プラスチック表皮材
2 余分な成形エッジ
3 余分な成形エッジ
4 切欠き
5 平面放射スピーカ
6 スイッチ帯状体/スイッチ要素
7 スイッチ要素
8 LED(発光ダイオード)発光手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック表皮材がそれに埋め込まれた導電性条導体を備えている、車両の室内用の内装品のための表面コーティングとしてのプラスチック表皮材(1)において、
前記条導体が導電性材料と前記プラスチック表皮材のプラスチック材料の混合物からなっていることを特徴とするプラスチック表皮材(1)。
【請求項2】
前記プラスチック表皮材の前記プラスチック材料がポリ塩化ビニル(PVC)であり、前記条導体がポリ塩化ビニルとグラファイトまたはカーボンブラックの混合物からなっていることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック表皮材(1)。
【請求項3】
前記条導体の混合物が導電性材料として炭素繊維または金属粉末を含んでいることを特徴とする請求項1または2に記載のプラスチック表皮材(1)。
【請求項4】
前記条導体が前記プラスチック表皮材の背面に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のプラスチック表皮材(1)。
【請求項5】
前記条導体が中間層として前記プラスチック表皮材の層厚内に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のプラスチック表皮材(1)。
【請求項6】
前記導電性材料がロール混練方法でプラスチック材料に入れられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の条導体混合物を製造するための方法。
【請求項7】
前記プラスチック表皮材が成形表皮材として、温められた成形金型の表面領域でプラスチックを順々に複数回溶着することによって形成され、その後成形表皮材が成形金型から取り出され、前記複数回の溶着において、
先ず最初に前記プラスチック表皮材の前記プラスチック材料の少なくとも1つの層が前記成形金型上に被覆形成されて溶着され、
その後前記プラスチック表皮材の前記プラスチック材料と前記導電性材料の混合物が被覆形成されて溶着されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のプラスチック表皮材を製造するための方法。
【請求項8】
前記複数回の溶着において、
先ず最初に粉末の形態をした前記プラスチック表皮材の前記プラスチック材料の少なくとも1つの層が前記成形金型上に被覆形成されて溶着され、
その後粉末混合物の形態をした、前記プラスチック表皮材の前記プラスチック材料と前記導電性材料の混合物が被覆形成されて溶着されることを特徴とする請求項7に記載のプラスチック表皮材を製造するための方法。
【請求項9】
前記粉末混合物が、スプレー法または回転焼結法によって、前記プラスチック表皮材の既に被覆形成された前記プラスチック材料の表面に被覆形成されることを特徴とする請求項10または11に記載の方法。
【請求項10】
前記複数回の溶着において、
先ず最初に粉末の形態をした前記プラスチック表皮材の前記プラスチック材料の少なくとも1つの層が前記成形金型上に被覆形成されて溶着され、
その後溶液内にある混合物の形態をした、前記プラスチック表皮材の前記プラスチック材料と前記導電性材料の混合物が被覆形成されて溶着されることを特徴とする請求項7に記載のプラスチック表皮材を製造するための方法。
【請求項11】
前記プラスチック表皮材が、
先ず最初にロールフィルムとして製造され、
その後前記プラスチック表皮材の前記プラスチック材料と導電性材料の混合物が被覆形成され、かつロールフィルムとして存在する前記プラスチック表皮材に連結されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のプラスチック表皮材を製造するための方法。
【請求項12】
前記混合物がロールフィルムに押し付けられることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記プラスチック表皮材の前記プラスチック材料と導電性材料の混合物が溶剤を含み、この溶剤が既存のまたは既に被覆されたプラスチック表皮材を膨化するかまたは部分的に溶解することを特徴とする請求項11または12に記載のプラスチック表皮材を製造するための方法。
【請求項14】
プラスチック材料の層と
混合物の層と、
再びプラスチック材料の層
とを交互に層状に積み重ね、そして互いに連結して多層の導体フィルムを形成し、
その後前記導体フィルムを帯状の条導体に切断することにより、
先ず最初に条導体を製造し、
その後で条導体をプラスチック表皮材に連結することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のプラスチック表皮材を製造するための方法。
【請求項15】
多数のプラスチック材料層と混合物層が連結されて1つの多層の導体フィルムを形成することを特徴とする請求項11または14に記載の方法。
【請求項16】
条導体とプラスチック表皮材の連結が連結境界域の可塑化によって行われることを特徴とする請求項11、14または15に記載の方法。
【請求項17】
車両座席のための温めることができる張り布としての、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプラスチック表皮材の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2012−501870(P2012−501870A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525486(P2011−525486)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際出願番号】PCT/EP2009/059835
【国際公開番号】WO2010/026000
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(511051568)ジョンソン・コントロールズ・インテリアズ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディトゲゼルシャフト (2)
【Fターム(参考)】