説明

板状部材の取付具

【課題】 板状部材を支持部材に簡単に取り付けるだけでなく、より簡素な構造で強固且つ確実に取り付けることを可能にしたフェンス用の板状部材の取付具を提供することにある。
【解決手段】 取付具2は、支持部材12に固定される基板部4と、その端辺から屈曲して立ち上がり板状部材10の溝10a内に嵌入される嵌入板部6と、その先端付近に設けられ且つバネ性を有し溝10a内に係合する係合片8と、を備えている。取付具2は、その基板部4を支持部材12に固定し、嵌入板部6が溝10a内に嵌入するように板状部材10を押圧すると、溝10a内に入った係合片8が段部10cに係合する。これにより、嵌入板部6は溝10aから抜脱できない状態になり、板状部材10を支持部材12に確実に取り付けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に屋外に設置されるフェンスに用いられる板状部材を支柱等に固定する取付具に関するものであり、特に、板状部材を押圧するだけで取り付けることができるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から家屋の周囲等に設けられるフェンスは、木材、プラスチック、金属等からなる板状部材を1枚1枚支柱に釘やネジで固定することにより構築されるものであった。しかしながら、このように釘やネジで1枚ずつ板状部材を取り付けるのは、非常に手間がかかるという問題があった。
【0003】
そこで、板状部材を支柱等にワンタッチで確実に取り付けることが望まれており、例えば、係合用の爪を設けることでワンタッチで取り付けること等が考えられた。例えば、胴縁と縦格子との取り付けに関しては、板バネと爪を組み合わせた支持材を縦格子内に設け、胴縁の開口に縦格子を挿入することにより、縦格子から突出する爪が板バネに抗して引っ込み、胴縁内にて爪が飛び出して係合するよう構成した取付構造が提案されていた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、上記従来の取付構造では、胴縁と縦格子の形状が限定されると共に爪部分の強度が低く、支柱に横木を取り付けるフェンスに応用すると、支柱や横木の形状や組み付けが限定され、また、爪の変形や脱落等の問題が生じることが考えられた。このため、支柱に横木を取り付けるフェンスの構造では、より簡素で確実に取り付けることができる構造が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−14102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点を解決し、板状部材を支持部材に簡単に取り付けるだけでなく、より簡素な構造で強固且つ確実に取り付けることを可能にした板状部材の取付具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る板状部材の取付具は、フェンス用の板状部材を支持部材に取り付けるための取付具であって、前記支持部材に固定される基板部と、該基板部の相対する端辺から立ち上がり、前記板状部材に設けられた溝内に嵌入される一対の嵌入板部と、バネ性を有し且つ前記嵌入板部の外側に突出すると共に、前記板状部材の溝内に係合する係合片と、を備えている。
【0008】
この取付具における前記係合片は、前記嵌入板部の先端付近を切り起こすことにより形成されている。また、この係合片は、前記嵌入板部の先端側から前記基板部の方向に向かって広がるように傾斜して突出している。
【0009】
また、この取付具における前記嵌入板部の先端には、屈曲されて前記係合片に連続する傾斜部が形成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る板状部材の取付具は、支持部材に固定される基板部と、その端辺から屈曲して立ち上がる嵌入板部と、その先端付近に設けられた係合片と、を有している。また、この取付具においては、基板部が支持部材に固定され、嵌入板部が板状部材の溝に嵌入されることで支持部材に板状部材を取り付けており、更に係合片が溝内に係合することで溝から嵌入板部が抜脱することを阻止している。このように、本発明における取付具は、1枚の板材を屈曲及び切り起こすことで形成可能であり、極めて簡素な構成を有しており、どのような形状の支持部材及び板状部材であっても使用することができる。特に、板状部材の荷重は、基板部と嵌入板部が受け、係合片に無理な負荷が加わることがない。従って、係合片が変形して嵌入板部が板状部材の溝から抜脱することがなく、確実に取り付けることができる。
【0011】
また、係合片は、嵌入板部の先端側から基板部の方向に向かって広がるように傾斜して突出しており、嵌入板部の先端には係合片に連続する傾斜部が設けられている。これにより、嵌入板部と係合片は、溝に嵌入し易く外れ難い状態になり、組み付け易く、確実に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施例に係る板状部材の取付具を示す平面側の斜視図である。
【図2】図1に示した取付具の底面側の斜視図である。
【図3】図1に示した取付具の平面図である。
【図4】図1に示した取付具の正面図である。
【図5】図1に示した取付具の底面図である。
【図6】図1に示した取付具の左側面図である。
【図7】図4に示した取付具のA−A線断面図である。
【図8】本発明の取付具を用いてフェンスを組み立てる状態を示す斜視図である。
【図9】図8に示したフェンスの組み立て完成の状態を示す正面図である。
【図10】本発明の取付具を用いて支持部材に板状部材を取り付ける状態を示す図9のB−B線断面に相当する図である。
【図11】本発明の第2実施例に係る板状部材の取付具を示す平面側の斜視図である。
【図12】図11に示した取付具の底面側の斜視図である。
【図13】図11に示した取付具の平面図である。
【図14】本発明の第3実施例に係る板状部材の取付具を示す平面側の斜視図である。
【図15】図14に示した取付具の底面側の斜視図である。
【図16】図14に示した取付具の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る板状部材の取付具は、支持部材に固定される基板部と、その端辺から屈曲して立ち上がり板状部材の溝内に嵌入される一対の嵌入板部と、その先端付近に設けられ且つバネ性を有し溝内に係合する係合片と、を備えている。この取付具は、その基板部を支持部材に固定し、嵌入板部が溝内に嵌入するように板状部材を押圧すると、溝内に入った係合片が溝内に係合する。この係合片が溝内に係合すると、嵌入板部は溝から抜脱できない状態になり、板状部材を支持部材に確実に取り付けることができる。
【実施例】
【0014】
図1乃至図6は本発明の第1実施例に係る板状部材の取付具を示す上下の斜視図、平面図、正面図、底面図及び左側面図であり、図7は図4のA−A線断面図である。また、図8乃至図10はこの取付具を用いて支持部材にフェンス用の板状部材を取り付ける状態を示す斜視図、正面図、及び断面図である。
【0015】
図中、符号2は板状部材10を支持部材12に固定するための取付具である。この取付具2は、1枚の金属板を屈曲及び切り起こすことにより形成されており、基板部4と、嵌入板部6と、係合片8とを備えている。
【0016】
基板部4は、図8乃至図10に示すように、支持部材12の取付面12aに適合する矩形状の平板からなる。また、基板部4には、ネジ、ボルト等の止め具を挿通するための貫通孔4aが2つ設けられている。
【0017】
嵌入板部6は、基板部4の相対する端辺からそれぞれ略直角に立ち上がるように屈曲されて形成されている。本実施例における嵌入板部6は、細長矩形状をなし、その先端付近に係合片8が設けられている。
【0018】
係合片8は、嵌入板部6の先端付近を、先端側が連結し且つ基板部4側が略コの字形をなすように切断して、先端側から基板部4の方向に向かって広がるように切り起こして傾斜させることにより形成されている。このように形成された係合片8は、切り起こした下端部8aが嵌入板部6の外側に突出することになると共にバネ性を有する。また、嵌入板部6の外側への突出幅は、係合片8の下端部8aを切断することで適宜調整している。また、この係合片8は、嵌入板部6に連結した部分で屈曲させて形成しても良いが、本実施例においては、嵌入板部6の先端を係合片8と連続するように内側に屈曲傾斜させて傾斜部6aを形成することで、係合片8を切り起こしている。このように形成すると、傾斜部6aにより嵌入板部6を後述する溝に嵌入し易くすることができ、また、嵌入板部6の先端の屈曲位置を変えることで係合片8の傾斜丈を調整することもできる。
【0019】
次に、上記構成からなる取付具2によって、支持部材12に板状部材10を取り付けてフェンスを施工する場合について図8乃至図10に基づいて説明する。
【0020】
本実施例における支持部材12は木製、金属製等の支柱や外壁等からなるものであり、取付具2を強固にネジ止めすることができるものであればどのような材質のものであっても良い。また、この支持部材12に取り付ける板状部材10は、木、発泡ポリエチレン等のプラスチック等からなるものであり、本実施例においては、横木として使用する細長い板形状に形成されている。また、この板状部材10には、図8に示すように、取付具2の嵌入板部6が嵌入可能な上下幅を有し且つ図8中横方向に形成された溝10aが設けられている。本実施例における溝10aは、図10に示すように、板状部材10の取付方向にある開口の縁部に案内斜面10bを有し、断面形状が略T形状をなすように内部が広がっていて内側壁に段部10cが設けられている。
【0021】
図8に示すように、はじめに柱状の支持部材12の取付面12aに取付具2を固定する。本実施例における取付具2は、嵌入板部6が上下に位置するように方向付けし、図10に示すように、その基板部4の貫通孔4aにネジ14を挿通させて支持部材12にネジ止めする。その後、図10(a)に示すように、溝10a内に嵌入板部6が嵌入するように、板状部材10の溝10aの案内斜面10bを取付具2の係合片8に位置合わせし、その状態で板状部材10を取付具2に向かって矢印方向に押し付ける。この押し付けにより、係合片8はその下端部8aが溝10aの案内斜面10bに沿って内側に押し込まれ、さらに図10(b)に示すように、案内斜面10bから溝10aに続く縦壁10d(図10(a)参照)によって押し込まれ、係合片8は縦壁10dと略平行になるまで弾性変形する。そして、板状部材10をさらに押し付けると、図10(c)に示すように、取付具2の嵌入板部6が板状部材10の溝10aの内部に嵌入されると同時に、係合片8が縦壁10dの拘束から解放されて弾性復帰し、溝部10aの段部10cに係合する。このように、係合片8が段部10cに係合することで、嵌入板部6が溝10aから抜脱することが阻止され、板状部材10は取付具2から取り外すことができなくなり、板状部材10を支持部材12に確実に取り付けることができる。
【0022】
なお、本実施例においては、溝10aを板状部材10の長手方向の一端から他端まで形成しているので、板状部材10をその長手方向にずらすことで取付具2から取り外すことが可能である。このため、板状部材10の端部に金具を嵌めたり、溝10aを分断して部分的に形成することで、長手方向にも取り外すことができなくすることが可能である。また、板状部材10を長手方向にずらすことが可能であると、板状部材10がプラスチック等からなり温度によって長手方向に伸縮するものであっても、取付具2との係合状態に影響を及ぼすことなく、板状部材10の伸縮を逃がすことが可能となる。従って、プラスチック等からなる板状部材10の場合には、その長手方向一杯に溝10aを形成することが好ましい。
【0023】
また、本実施例では、溝10aに案内斜面10bや段部10cを設けているが、木やプラスチックのように係合片8の嵌め込みと係合が比較的容易な材料で板状部材10が形成されている場合には、凹状の断面を有する簡単な溝や蟻溝で溝10aを構成しても良い。
【0024】
また、本実施例においては、取付具2を用いて板状部材10を横向きに取り付けることでフェンスを形成しているが、板状部材10を壁面等に縦に向けて取り付けることも可能である。
【0025】
図11乃至図13には本発明に係る板状部材の取付具の第2実施例が示される。ここに示された取付具20は、第1実施例に係る取付具2に対して全体幅寸法w1を大きくとり、それに合わせて係合片28の係合幅寸法w2も大きくした以外は共通するので、同様の構成には同一の符号を付すことで詳細な説明は省略する。この実施例では取付具20の全体幅寸法w1及び係合片28の係合幅寸法w2を大きくしたことで、板状部材10との係合をより確実なものとすることができる。
【0026】
図14乃至図16には本発明に係る板状部材の取付具の第3実施例が示される。ここに示された取付具30は、第2実施例に係る取付具20とは全体形状が同じ大きさであり、また係合片の係合幅寸法w2もほぼ同じであるが、この係合片を左右に2つに分けて係合片38a,38bとし、その間を嵌入板部36で連結して補強構造とした点で異なる。このように係合片38a,38bを2つに分け、その間を連結することで2つの係合片38a,38bが補強され、係合幅寸法w2を大きくしたことによる係合片の強度低下を防ぐことができると共に、より板状部材10との係合をより一層確実なものとするにすることができる。なお、第2実施例と同様、第1実施例の取付具2の同様の構成には同一の符号を付すことで詳細な説明は省略する。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明に係る板状部材の取付具は、フェンス用として使用することが最も好ましいが、外壁面に板状部材を取り付けるサイディング等にも利用することができる。
【符号の説明】
【0028】
2 取付具
4 基板部
4a 貫通孔
6 嵌入板部
6a 傾斜部
8 係合片
8a 下端部
10 板状部材
10a 溝
10b 案内斜面
10c 段部
10d 縦壁
12 支持部材
12a 取付面
14 ネジ
20 取付具
28 係合片
30 取付具
36 嵌合板部
38a 係合片
38b 係合片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状部材を支持部材に取り付ける取付具であって、
前記支持部材に固定される基板部と、
該基板部の相対する端辺から立ち上がり、前記板状部材に設けられた溝内に嵌入される一対の嵌入板部と、
バネ性を有し且つ前記嵌入板部の外側に突出すると共に、前記板状部材の溝内に係合する係合片と、
を備えることを特徴とする板状部材の取付具。
【請求項2】
前記係合片は、前記嵌入板部の先端付近を切り起こすことにより形成されることを特徴とする請求項1に記載の板状部材の取付具。
【請求項3】
前記係合片は、前記嵌入板部の先端側から前記基板部の方向に向かって広がるように傾斜して突出することを特徴とする請求項2に記載の板状部材の取付具。
【請求項4】
前記嵌入板部の先端には、屈曲されて前記係合片に連続する傾斜部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の板状部材の取付具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−248857(P2010−248857A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−101934(P2009−101934)
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【出願人】(507152453)株式会社F&F (2)
【Fターム(参考)】