説明

枝管ライニング材及び枝管ライニング工法

【課題】本管側から全ての作業を行うことができ、地上の状況に拘らず常に確実に枝管のライニングを可能ならしめる枝管ライニング材及び枝管ライニング工法を提供する。
【解決手段】硬化性樹脂を含浸し、外面に気密性の高いフィルムをコーティングして成る管状樹脂吸収材の一端に鍔3を形成し、管状樹脂吸収材の外周面にシーリングチューブ5を取り外し可能に取り付けて枝管ライニング材1を構成する。その枝管ライニング材1を、その鍔を折り返した状態で本管30内に導入し、該枝管ライニング材の鍔を本管の枝管開口部周縁に密着させた状態で、枝管ライニング材を流体圧によって枝管31内に本管側から地上に向かって反転挿入し、枝管ライニング材を枝管の内周面に押圧したまま枝管ライニング材に含浸された硬化性樹脂を硬化させた後、シーリングチューブ5を取り除く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本管から分岐する枝管のライニングに供される枝管ライニング材とこれを用いた枝管ライニング工法に関する。
【背景技術】
【0002】
地中に埋設された下水管等の管路が老朽化した場合、該管路を地中から掘出することなく、その内周面にライニングを施して当該管路を補修する管ライニング工法が知られている。
【0003】
即ち、上記管ライニング工法は、その外周面が気密性の高いフィルムで被覆された可撓性の管状樹脂吸収材に硬化性樹脂を含浸せしめて成る管ライニング材を流体圧によって管路内に反転させながら挿入するとともに、管路内周面に該管ライニング材を押圧し、その状態を保ったまま管ライニング材を加温等してこれに含浸された硬化性樹脂を硬化させることによって、管路の内周面にライニングを施す工法である。
【0004】
ところで、本管から分岐する枝管に対しても上記工法を適用することができるが、その例を図8に示す。
【0005】
即ち、図8は従来の枝管ライニング工法を示す断面図であり、本管130内に導入された作業用ロボット112にセットノズル115を支持せしめ、該セットノズル115に反転用の圧力バッグ113を取り付け、該圧力バッグ113に内装された枝管ライニング材101の一端に形成された鍔103を外側に折り返してこれを前記セットノズル115上にセットする。
【0006】
次に、作業用ロボット112を駆動してセットノズル115を上動させてこれにセットされた枝管ライニング材101の鍔103を図示のように本管130の枝管開口部周縁に密着させ、例えば不図示のコンプレッサーを駆動してエアーホース124を介して圧縮エアーを圧力バッグ113内に供給すれば、枝管ライニング材101は圧縮エアーの圧力を受けて反転しながら枝管131内を本管130から地上(上方)に向かって順次挿入されていく。
【0007】
そして、図示のように枝管ライニング材101の枝管131内への反転挿入がその全長に亘って終了すると、枝管ライニング材101を枝管131の内周面に押圧したまま、枝管ライニング材101を任意の方法によって加温等してこれに含浸された熱硬化性樹脂を硬化させれば、枝管131は、硬化した枝管ライニング材101によってその内周面がライニングされて補修される。
【0008】
枝管ライニング材101の硬化が終了すると、地上に開口する桝131a部分に突出した枝管ライニング材101の反転端部分を切除し、作業用ロボット112を圧力バッグ113と共に本管130から取り除けば、一連の枝管ライニング作業が完了する。
【0009】
しかしながら、地上の桝131aが設置されている周辺の状況によっては、枝管ライニング材101の桝131a部分に突出する反転端部分の切除作業が必ずしも可能でない場合があり、斯かる場合には枝管131に対して前記工法をそのまま適用することができないという問題がある。
【0010】
そこで、この問題を解決するために、管状樹脂吸収材の鍔付近外周に引き剥がし部材を接着し、枝管ライニング材に含浸された硬化性樹脂を硬化させた後、引き剥がし部材を引き剥がしてこれを取り除くことにより、枝管ライニング材の反転端の地上側での切断作業を不要にする工法が提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平8−164560号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来の引き剥がし部材を接着した枝管ライニング材では、その引き剥がし部材が枝管ライニング材の一端部にしか取り付けられていないので、充分な効果を発揮できず、また、引き剥がし部材が枝管ライニング材に強固に溶着されているので、引き剥がしにより枝管ライニングに部分的な損傷が発生するなどの問題があった。
【0012】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、地上の状況に拘らず枝管の任意の管路長までライニングを可能ならしめる枝管ライニング材及び枝管ライニング工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、硬化性樹脂を含浸し、外面に気密性の高いフィルムをコーティングして成る管状樹脂吸収材の一端に鍔を形成し、前記管状樹脂吸収材の外周面にシーリングチューブを取り外し可能に取り付けたことを特徴とし、前記シーリングチューブは、管状樹脂吸収材の全長より長く、管状樹脂吸収材の鍔と反対側の端部は閉止(密封)され、鍔側の端部は、鍔より長く延びて開放して開口端を形成している。また、シーリングチューブの開口端は、シーリングチューブも含めた枝管ライニング材全体を反転させるための圧力バッグに取り付けられる。
【0014】
また、本発明は、硬化性樹脂を含浸し、外面に気密性の高いフィルムをコーティングして成る管状樹脂吸収材の一端に鍔を形成し、前記管状樹脂吸収材の外周面にシーリングチューブを取り外し可能に取り付けた枝管ライニング材を、その鍔を折り返した状態で本管内に導入し、該枝管ライニング材の鍔を本管の枝管開口部周縁に密着させた状態で、枝管ライニング材を流体圧によって枝管内に本管側から地上に向かって反転挿入し、該枝管ライニング材を枝管の内周面に押圧したまま該枝管ライニング材に含浸された硬化性樹脂を硬化させた後、前記シーリングチューブを取り除くことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、硬化性樹脂を含浸し、外面に気密性の高いフィルムをコーティングして成る管状樹脂吸収材の一端に鍔を形成し、前記管状樹脂吸収材の外周面にシーリングチューブを取り外し可能に取り付けた枝管ライニング材を、その鍔を折り返した状態で本管内に導入し、該枝管ライニング材の鍔を本管の枝管開口部周縁に密着させた状態で、枝管ライニング材を流体圧によって枝管内に本管側から地上に向かって反転挿入し、枝管ライニング材のシーリングチューブを地上に突出させ、該枝管ライニング材を枝管の内周面に押圧したまま、地上に突出したシーリングチューブを介して供給される熱媒により該枝管ライニング材に含浸された硬化性樹脂を硬化させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、枝管ライニング材の反転によりそのシーリングチューブが反転するので、反転したシーリングチューブにより密閉空間が形成されるとともに、該シーリングチューブを介して管状樹脂吸収材全体を枝管に効果的に押圧させることができる。また、反転後のシーリングチューブの閉止部分の切断作業が不要となるため、地上の状況に拘らず常に確実に枝管のライニングを実施することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、地上の状況に拘らず枝管の任意の管路長までライニングを可能ならしめるものであり、以下に、添付図面に示した実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は本発明に係る枝管ライニング材の断面図であり、図1に示す枝管ライニング材1は、不織布から成る管状樹脂吸収材2を含んで構成され、その一端は外方へ折り返されてフランジ状の鍔3を構成している。そして、管状樹脂吸収材2の鍔3を除く部分には未硬化の液状熱硬化性樹脂が含浸されており、該部分の外面(外周面)には気密性の高いプラスチックフィルム4がコーティングされている。尚、管状樹脂吸収材2を構成する不織布の材質としてはポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン、アクリル、ビニロン等が選定され、これに含浸される熱硬化性樹脂としては不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等が用いられる。又、前記プラスチックフィルム4の材質としては、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリエチレン/ナイロン共重合体、塩化ビニール等が選定される。
【0019】
なお、枝管ライニング材1の管状樹脂吸収材2の鍔3を除く部分の内面(内周面)にもプラスチックフィルム4と同様なフィルムをコーティングすることができる。
【0020】
ところで、管状樹脂吸収材2の一端に形成された鍔3は後述の本管30(図2参照)に等しい曲率で円弧状に湾曲する曲面を構成しており、その外径は後述の枝管31(図2参照)の内径よりも大きく設定されており、これに含浸された硬化性樹脂が硬化することによって該鍔3はその形状を保持している。
【0021】
又、管状樹脂吸収材2の外周面には所定長さのシーリングチューブ(インライナー)5が、枝管ライニング材の管状樹脂吸収材2全体を包み込むように、取り外し可能に(着脱自在に)取り付けられている。このシーリングチューブ5の一端5aは、開放していて、管状樹脂吸収材2の鍔3からはみ出して、後述するように、圧力バッグ近辺まで延びている。また、シーリングチューブ5の他端5bは気密に密封され、連結具6を介して牽引ロープ10と結合されている。
【0022】
従って、シーリングチューブ5は袋状の細長い管状部材であり、管状樹脂吸収材2のほぼ全体がシーリングチューブ5に包み込まれるように挿入されてそこに収納される。
【0023】
尚、シーリングチューブ5の材質にはプラスチックフィルム4と同様のものが選定される。また、鍔部には、鍔3と管状樹脂吸収材2との結合を高め、また管状樹脂吸収材2を保護するための金属製のカラー7が取り付けられている。
【0024】
尚、シーリングチューブ5は、管状樹脂吸収材2への取り付けを確実にするために、枝管ライニング材1の一部、例えば鍔3の近辺5cで仮接着あるいは仮溶着させることができる。
【0025】
次に、上記枝管ライニング材1を用いて施工される本発明に係る枝管ライニング工法を図2乃至図6に基づいて説明する。尚、図2乃至図5は本発明に係る枝管ライニング工法をその工程順に示す断面図、図6は図5のA部拡大詳細図である。
【0026】
図2において、30は下水管等の本管、31は本管30から分岐する小径の枝管であって、本管30内には、地上で予め組付一体化された作業用ロボット12、圧力バッグ13、枝管ライニング材1等が引き込まれている。
【0027】
作業用ロボット12は、油圧で駆動されてそのヘッド14が図2の矢印a,b方向に進退し、且つ、矢印c方向に回転するものであって、ヘッド14にはフランジ状のセットノズル15が支持されている。又、この作業用ロボット12の上部にはモニター用のTVカメラ16が設置されている。そして、作業用ロボット12の前後には牽引ロープ17,18が取り付けられており、一方の牽引ロープ17は圧力バッグ13のチューブ20に接続され、他方の牽引ロープ18は地上まで延設されている。
【0028】
圧力バッグ13は、2つの可撓性チューブ19,20を円筒状のジョイント21で接続して構成したものであり、一方のチューブ19の開口端はキャップ22によって気密に閉塞されており、他方のチューブ20の開口端はセットノズル15の筒状部15aに取り付けられている。
【0029】
そして、枝管ライニング材1はその鍔3がセットノズル15上にセットされており、他の未反転部分(管状樹脂吸収材2の鍔3を除く部分)はセットノズル15を通って圧力バッグ13内に収納されている。又、管状樹脂吸収材2の外周面に取り付けられたシーリングチューブ5も圧力バッグ13内に収納されており、シーリングチューブ5の開口端5aは折り返されて、圧力バッグ13のチューブ20の内周部(ジョイント21の外周)に取り付けられている。
【0030】
なお、シーリングチューブ5の開口端5aは、気密構造の圧力バッグ13の開口部(開口端)に気密に取り付けられるもので、これにより、圧力バッグ13とシーリングチューブ5によって、シーリングチューブ5並びに管状樹脂吸収材2を反転させるための気密な密閉空間Sが形成され、後述するように、この密閉空間に圧縮エアーが供給されると、管状樹脂吸収材2とシーリングチューブ5は反転しながら枝管31に挿入される。
【0031】
また、牽引ロープ10の一端はキャップ22に取り付けられ、また、連結具6には、エアー・蒸気ホース11が取り付けられていて、エアー・蒸気ホース11は、キャップ22を貫通して圧力バッグ13外へ延出している。また、キャップ22からエアー抜きホース24(圧力バッグ内のエアー抜きホースは不図示)が外へ延出しており、その端部にはバルブ23が取り付けられている。
【0032】
圧力バッグ13内の空間と、シーリングチューブ5で包囲された空間により気密な密閉空間Sが形成されており、該密閉空間Sはキャップ22に取り付けられたエアー・蒸気ホース11を介して地上に設置されたコンプレッサー25に接続されるとともに、エアー・蒸気ホース11から分岐する蒸気ホース26を介して蒸気槽27に接続されている。そして、蒸気ホース26の途中にはバルブ28と蒸気ポンプ29が接続され、エアー・蒸気ホース11にはバルブ32が接続されている。
【0033】
以上において、牽引ロープ18又は圧力バッグ13(エアー・蒸気ホース11)を引っ張ることによって作業用ロボット12とこれに支持された枝管ライニング材1(シーリングチューブ5を含む)や圧力バッグ13等は本管30内を一体的に移動する。TVカメラ16によって本管30内をモニタリングしながら、図2に示すように、枝管ライニング材1の鍔3を枝管31の開口部に位置決めし、作業用ロボット12のヘッド14を矢印a方向に上動させて枝管ライニング材1の鍔3を本管30の枝管開口部(本管30に枝管31が開口する部分)の周縁壁に押圧してこれを密着せしめる。
【0034】
次に、バルブ23,28を閉じてバルブ32を開けた状態で、コンプレッサー25を駆動してエアー・蒸気ホース11を経て圧縮エアーを圧力バッグ13内の密閉空間Sに供給すると、図3に示すように、管状樹脂吸収材2及びシーリングチューブ5は圧縮エアーの圧力を受けて反転しながら枝管31内を本管30から地上側(上方)に向かって順次挿入されていく。尚、このとき、密閉空間Sはシーリングチューブ5によって気密にシールされる。
【0035】
ここで、枝管ライニング材1の管状樹脂吸収材2の長さは枝管31の長さよりも短く設定されており、図3に示すように枝管ライニング材1の枝管31内への反転挿入が終了すると、該枝管ライニング材1の管状樹脂吸収材2は枝管31の一部(本管30から所定長さ部分)の内周壁に押圧され、このとき、シーリングチューブ5も図示のように反転されており、管状樹脂吸収材2全体は反転したシーリングチューブ5により均一に枝管内壁面に押圧されるようになる。
【0036】
次に、バルブ32を閉めてバルブ23,28を開けた状態で、蒸気ポンプ29を駆動して蒸気を蒸気ホース26及びエアー・蒸気ホース11を経て密閉空間S内に供給すれば、密閉空間S内の圧縮エアーはエアー抜きホース24を経て大気中に放出され、一方、枝管ライニング材1は図3に示すように枝管31の内周壁に押圧された状態でエアー・蒸気ホース11から放出されるミスト(霧)状になった蒸気(熱媒)40で加温され、管状樹脂吸収材2に含浸された熱硬化性樹脂が硬化し、枝管31は、硬化した管状樹脂吸収材2によってその内周面の一部が部分的にライニングされて補修される。
【0037】
上述のように枝管ライニング材1の管状樹脂吸収材2が硬化すると、密閉空間Sから蒸気を抜き、図4に示すように、作業用ロボット12のヘッド14を図示矢印b方向に下動させてセットノズル15を枝管ライニング材1の鍔3から引き離した後、エアー・蒸気ホース11等を図示矢印d方向に引く。
【0038】
すると、圧力バッグ13と、これに牽引ロープ17を介して接続された作業用ロボット12、圧力バッグ13のジョイント21に取り付けられたシーリングチューブ5が管状樹脂吸収材2の内周面から引き出される。
【0039】
なお、シーリングチューブ5が、枝管ライニング材1の一部、例えば鍔3の近辺5cで仮接着されている場合には、この引出しにより、接着部分5cが管状樹脂吸収材2から引き剥される。
【0040】
従って、エアー・蒸気ホース11、作業用ロボット12、圧力バッグ13、シーリングチューブ5は本管30内を一体的に移動して本管30内から取り除かれ、図5に示すように、枝管31内には硬化した枝管ライニング材1の鍔3と管状樹脂吸収材2が残され、ここに枝管31に対する一連のライニング作業が終了する。尚、ライニングが終了した枝管31の内壁には、図6に詳細に示すように、プラスチックフィルム4をコーティングした管状樹脂吸収材2がライニングされている。
【0041】
以上のように、本実施例においては、シーリングチューブ5を外周面に所定長さに渡って取り付けて構成される枝管ライニング材1を流体圧によって枝管31内に本管30側から地上に向かって反転挿入し、該枝管ライニング材1が硬化すると、そのあとシーリングチューブ5を簡単に取り除くことができるので、枝管ライニング材1の反転端の地上側での切断作業が不要となり、全ての作業を本管30側で行うことができ、この結果、地上の状況に拘らず常に確実に枝管31のライニングを実施することが可能となる。
【0042】
また、シーリングチューブ5の開放端5aは圧力バッグ13の開口端に取り付けられるので、圧力バッグ13と鍔3間は、シーリングチューブ5により密閉されており、従来では、圧力バッグ13と鍔3間を密閉するために必要であった密閉部材(特許文献1の引き剥がしチューブ5など)が不要になる、という効果が得られる。
【0043】
尚、以上は枝管ライニング材1の管状樹脂吸収材2に熱硬化性樹脂を含浸させた例について述べたが、管状樹脂吸収材2には光硬化性樹脂、その他の硬化性樹脂を含浸させても良い。
【0044】
また、反転した管状樹脂吸収材2の硬化は、蒸気だけでなく、温水、温水シャワリングで行うようにすることができる。
【実施例2】
【0045】
図7に示した第2の実施例では、枝管ライニングの反転迄は実施例1と同様に行われる。
【0046】
この実施例2では、管状樹脂吸収材2が反転したあと、更に、シーリングチューブ5を、図7に示すように、地上まで反転させて突出させ、この突出したシーリングチューブ5の一部を切除し、そこにアタッチメント50を地上側より接続させている。
【0047】
そして、バルブ32を閉めてバルブ23,28を開けた状態で、蒸気ポンプ29を駆動して蒸気を蒸気ホース51を経て密閉空間S内に供給すれば、密閉空間S内の圧縮エアーはエアー抜きホース52を経て大気中に放出され、一方、枝管ライニング材1は枝管31の内周壁に押圧された状態で加温され、管状樹脂吸収材2に含浸された熱硬化性樹脂が硬化し、枝管31は、硬化した管状樹脂吸収材2によってその内周面の一部が部分的にライニングされて補修される。
【0048】
なお、反転した管状樹脂吸収材2の硬化は、実施例1と同様に、蒸気だけでなく、温水、温水シャワリングで行うようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る枝管ライニング材の断面図である。
【図2】本発明に係る枝管ライニング工法を示す断面図である。
【図3】本発明に係る枝管ライニング工法を示す断面図である。
【図4】本発明に係る枝管ライニング工法を示す断面図である。
【図5】本発明に係る枝管ライニング工法を示す断面図である。
【図6】図5のA部の拡大詳細図である。
【図7】本発明に係る枝管ライニング工法の他の実施例を示す断面図である。
【図8】従来の枝管ライニング工法を示す断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 枝管ライニング材
2 管状樹脂吸収材
3 鍔
4 プラスチックフィルム
5 シーリングチューブ
10 牽引ロープ
11 エアー・蒸気ホース
12 作業用ロボット
13 圧力バッグ
15 セットノズル
30 本管
31 枝管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性樹脂を含浸し、外面に気密性の高いフィルムをコーティングして成る管状樹脂吸収材の一端に鍔を形成し、前記管状樹脂吸収材の外周面にシーリングチューブを取り外し可能に取り付けたことを特徴とする枝管ライニング材。
【請求項2】
前記シーリングチューブは、管状樹脂吸収材の全長より長く、管状樹脂吸収材の鍔と反対側の端部は閉止され、一方鍔側の端部は、鍔より長く延びて開放して開口端を形成していることを特徴とする請求項1に記載の枝管ライニング材。
【請求項3】
前記シーリングチューブの開口端は、枝管ライニング材を反転させるための圧力バッグに取り付けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の枝管ライニング材。
【請求項4】
硬化性樹脂を含浸し、外面に気密性の高いフィルムをコーティングして成る管状樹脂吸収材の一端に鍔を形成し、前記管状樹脂吸収材の外周面にシーリングチューブを取り外し可能に取り付けた枝管ライニング材を、その鍔を折り返した状態で本管内に導入し、該枝管ライニング材の鍔を本管の枝管開口部周縁に密着させた状態で、枝管ライニング材を流体圧によって枝管内に本管側から地上に向かって反転挿入し、該枝管ライニング材を枝管の内周面に押圧したまま該枝管ライニング材に含浸された硬化性樹脂を硬化させた後、前記シーリングチューブを取り除くことを特徴とする枝管ライニング工法。
【請求項5】
本管内に移動自在に導入された作業用ロボットに保持されたセットノズルに圧力バッグの開口端を取り付け、該圧力バッグに前記枝管ライニング材を内装し、該枝管ライニング材の鍔を前記圧力バッグ外へ臨ませてこれを前記セットノズル上にセットし、該鍔を本管の枝管開口部周縁に密着させた状態で前記圧力バッグ内に圧力流体を供給して枝管ライニング材を枝管内に反転挿入することを特徴とする請求項4記載の枝管ライニング工法。
【請求項6】
前記枝管ライニング材には熱硬化性樹脂を含浸せしめ、前記シーリングチューブの閉止された一端には牽引ロープとホースを取り付け、該枝管ライニング材の枝管への反転挿入によって前記牽引ロープとホースを枝管内に引き込み、該ホースによって供給される熱媒で枝管ライニング材に含浸された前記熱硬化性樹脂を加温して硬化せしめ、該熱硬化性樹脂が硬化した後、前記牽引ロープを用いて前記シーリングチューブを取り除くことを特徴とする請求項4又は5記載の枝管ライニング工法。
【請求項7】
前記シーリングチューブの他端を前記圧力バッグに取り付けたことを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の枝管ライニング工法。
【請求項8】
硬化性樹脂を含浸し、外面に気密性の高いフィルムをコーティングして成る管状樹脂吸収材の一端に鍔を形成し、前記管状樹脂吸収材の外周面にシーリングチューブを取り外し可能に取り付けた枝管ライニング材を、その鍔を折り返した状態で本管内に導入し、該枝管ライニング材の鍔を本管の枝管開口部周縁に密着させた状態で、枝管ライニング材を流体圧によって枝管内に本管側から地上に向かって反転挿入し、枝管ライニング材のシーリングチューブを地上に突出させ、該枝管ライニング材を枝管の内周面に押圧したまま、地上に突出したシーリングチューブを介して供給される熱媒により該枝管ライニング材に含浸された硬化性樹脂を硬化させることを特徴とする枝管ライニング工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−123547(P2006−123547A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−299497(P2005−299497)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(592057385)株式会社湘南合成樹脂製作所 (61)
【Fターム(参考)】