説明

架橋可能な反応性シリコーンオルガノコポリマーならびにその製造および該反応性シリコーンオルガノコポリマーの使用

本発明の対象は、a)1つまたはそれ以上のエチレン系不飽和オルガノモノマーとb)1つまたはそれ以上のシリコーンマクロマーとのラジカルにより開始される溶液重合により得ることができる、架橋可能な反応性のシリコーンオルガノコポリマーであり、この架橋可能な反応性のシリコーンオルガノコポリマーは、c)少なくとも1個の他の官能基を含有する1つまたはそれ以上のエチレン系不飽和モノマーが有機溶剤または溶剤混合物中で共重合され、こうして得られたプレポリマーのモノマー単位c)が1つまたはそれ以上の他のモノマーc)との重合体類似の反応によって、少なくとも1個の架橋可能な反応性基がシリコーンオルガノコポリマー中に導入されるように結合されることによって特徴付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋可能な反応性基で官能化された高い透明度のシリコーンオルガノコポリマー、その製造法および反応性架橋剤としての該シリコーンオルガノコポリマーの使用に関する。
【0002】
反応性架橋剤を製造するためのシリコーン中への反応性基の組み込みは、米国特許第5618879号明細書中に記載されている。即ち、例えばアリール置換されたシリコーンは、ラジカル的にUV照射または電子線照射によって重合されてもよいし、架橋されてもよい。この種の変性シリコーンは、例えば疎水化剤の組成に使用される。
【0003】
勿論、シリコーン含有調製物は、一連の欠点を有する。即ち、調製物中のシリコーン成分は、移行傾向を有し、その結果、組成物の脱混合傾向を有する(Chemistry & technology of UV & EB formulation for coatings, Inks & Paitnts Volume V 1996 John Wiley & Sons ISBN 094 7798 374)。更に、シリコーンは、高度な表面接着性を提供し、このことは、汚れの吸収または支持体の接着を生じる。シリコーン被覆された支持体表面の汚染によって、該表面の被膜付着力は、著しく損なわれ、このことは、例えばコーティングまたは接着剤の場合に著しく重要である。更に、可塑剤の効果および溶剤中、例えばアルコール中での減縮された溶解性は、シリコーンにとっての特徴である。
【0004】
もう1つの問題は、高いシリコーン含量を有する高い透明度の分散可能なシリコーンオルガノコポリマー組成物を提供することである。殊に、20質量%を上廻るシリコーン含量を有するシリコーンオルガノコポリマーを製造する場合には、ラジカル重合の際にオレフィン含有モノマーおよびシリコーンの劣悪な相容性に基づく、相分離またはゲル化による問題をまねき、このことは、シリコーンオルガノコポリマーの混濁を生じる。
【0005】
シリコーンオルガノコポリマーの分散可能な組成物を得るために、シリコーンマクロマーおよび有機モノマーの共重合による製造の場合には、乳化剤または保護コロイドの存在が必要とされる。
【0006】
即ち、欧州特許出願公開第810243号明細書および特開平05−009248号公報では、シリコーンマクロマーは、有機モノマーと乳化剤の存在下に乳化重合され、この場合には、専ら油溶性の開始剤で作業される。油溶性開始剤を用いて開始する方法の場合に不利であるのは、これから生じる分散液の安定性が不十分であり、これらの分散液が極めて著しく相分離する傾向があることである。
【0007】
欧州特許出願公開第352339号明細書には、溶液重合により溶剤中のシリコーン含量の装入下およびモノマーと油溶性開始剤とからなる混合物の連続的な計量供給下でシリコーンオルガノコポリマーを製造する方法が記載されている。勿論、こうして得られたコポリマーは、水中で分散不可能である。このコポリマーを分散させるために、分散助剤、例えば乳化剤または保護コロイドが必要とされる。
【0008】
しかし、こうして得られたシリコーンオルガノコポリマー組成物は、相分離の傾向を有する。重合中の相分離は、混濁したポリマーフィルムを生じる。乳化剤または保護コロイドがシリコーンオルガノコポリマー組成物中に移行することによって、周知のように、シリコーンオルガノコポリマー組成物の性質は、耐水性、粘着性または安定性の点で不利な影響を及ぼされる。
【0009】
この背景から、可塑剤効果、表面粘着性および調製物中でシリコーンに対して典型的な上記移行傾向を全く有しない架橋可能な反応性のシリコーン含有ポリマーを提供するという課題が課された。更に、乳化剤または保護コロイドなしに水中で自己分散可能であり、および/または20質量%以上のシリコーン含量の場合であっても高い透明度を有する、架橋可能な反応性のシリコーン含有ポリマーが提供されるはずである。
【0010】
本発明の対象は、a)1つまたはそれ以上のエチレン系不飽和オルガノモノマーとb)1つまたはそれ以上のシリコーンマクロマーとのラジカルにより開始される溶液重合により得ることができる、架橋可能な反応性のシリコーンオルガノコポリマーであり、この架橋可能な反応性のシリコーンオルガノコポリマーは、c)少なくとも1個の他の官能基を含有する1つまたはそれ以上のエチレン系不飽和モノマーを有機溶剤または溶剤混合物中で共重合し、こうして得られた溶剤混合物のモノマー単位c)を1つまたはそれ以上の他のモノマーc)との重合体類似の反応によって、少なくとも1個の架橋可能な反応性基がシリコーンオルガノコポリマー中に導入されるように結合させることによって特徴付けられる。
【0011】
反応性の架橋可能なシリコーンオルガノコポリマーのためのプレポリマーは、ラジカル溶液重合によりラジカル開始剤の存在下で有機溶剤中は有機溶剤の混合物中または1つまたはそれ以上の有機溶剤と水との混合物中で製造される。
【0012】
溶剤混合物中の好ましい溶剤または好ましい溶剤成分は、アルコール、エステル、エーテル、脂肪族炭化水素または芳香族炭化水素の種類から選択される。
【0013】
特に好ましい溶剤は、1〜6個のC原子を有する脂肪族アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノールまたはイソプロパノールならびにこれらと水との混合物である。多くの場合に好ましいのは、イソプロパノールおよびイソプロパノールと1〜6個のC原子を有する脂肪族アルコールまたは水との混合物である。
【0014】
成分a)〜c)の全質量に対して20質量%以上のシリコーン含量を有するシリコーンオルガノコポリマーを製造する場合には、好ましくは、シリコーンマクロマーb)に対して非溶解性でありかつモノマーa)およびc)に対して溶解性である溶剤または溶剤混合物が使用される。その点で、シリコーンマクロマーb)は、5質量%未満で、およびモノマーa)およびc)は、5質量%を上廻ってDIN50014による標準条件(23/50)下で溶解性である。
【0015】
20質量%のシリコーン含量を有するシリコーンオルガノコポリマーを製造する際の好ましい溶剤は、イソプロパノールである。このために好ましいのは、イソプロパノールと1〜6個のC原子を有するアルコールおよび水を含む群から選択された1つまたはそれ以上の溶剤とからなる溶剤の混合物である。特に好ましい溶剤混合物は、イソプロパノールとエタノールまたはイソプロパノールとプロパノール、またはイソプロパノールと水である。
【0016】
重合の場合、エチレン系不飽和オルガノモノマーa)として、1〜15個のC原子を有する非分枝鎖状または分枝鎖状のアルキルカルボン酸のビニルエステル、1〜15個のC原子を有する非分枝鎖状または分枝鎖状のアルコールのメタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステル、ビニル芳香族化合物、オレフィン、ジエンおよびビニルハロゲン化物を含む群からの1つまたはそれ以上のモノマーが使用される。
【0017】
一般に、それぞれ成分a)〜c)の全質量に対してエチレン系不飽和オルガノモノマーa)5〜95質量%、特に20〜80質量%が使用される。
【0018】
好ましいビニルエステルは、1〜15個のC原子を有する非分枝鎖状または分枝鎖状のカルボン酸のビニルエステルである。特に好ましいビニルエステルは、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニル−2−エチルヘキサノエート、ビニルラウレート、1−メチルビニルアセテート、ビニルピバレートおよび、5〜13個のC原子を有するα位で分枝したモノカルボン酸のビニルエステル、例えばVeoVa5(登録商標)、VeoVa9(登録商標)、VeoVa10(登録商標)またはVeoVa11(登録商標)(Shell社の商品名)である。最も好ましいのは、ビニルアセテートである。
【0019】
アクリル酸またはメタクリル酸のエステルの群からの好ましいオルガノモノマーa)は、1〜15個のC原子を有する非分枝鎖状または分枝鎖状のアルコールのエステルである。特に好ましいメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルは、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレートおよびt−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレートおよびt−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノルボルニルアクリレートである。最も好ましいのは、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレートおよびt−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートおよびノルボルニルアクリレートである。
【0020】
好ましいジエンは、1,3−ブタジエンおよびイソプレンである。共重合可能なオレフィンの例は、エテンおよびプロペンである。ビニル芳香族化合物として、スチレンおよびビニルトルエンは共重合されることができる。ビニルハロゲン化物の群からは、通常、塩化ビニル、塩化ビニリデンまたはフッ化ビニル、特に塩化ビニルが使用される。
【0021】
好ましいシリコーンマクロマーb)は、少なくとも10個のシロキサン繰返し単位および少なくとも1個のラジカル重合可能な官能基を有する線状シリコーン、分枝鎖状シリコーン、環状シリコーンおよび立体架橋されたシリコーン(ポリシロキサン)である。特に、鎖長は、10〜1000個のシロキサン繰返し単位である。特に、鎖長は、10〜1000個のシロキサン繰返し単位である。エチレン系不飽和基、例えばアルケニル基は、重合可能な官能基として好ましい。成分a〜c)からなるコポリマー中のシリコーン含量は、それぞれ成分a〜c)からなるコポリマーの全質量に対して特に5〜80質量%、特に有利に15〜60質量%、殊に有利に30〜60質量%である。
【0022】
好ましいシリコーンマクロマーb)は、一般式R1a3-aSiO(SiRO)n3-a1aを有するシリコーンであり、この場合、Rは同じかまたは異なり、それぞれ1〜18個のC原子を有する、一価の置換されていてよい、アルキル基またはアルコキシ基を表わし、R1は重合可能な基を表わし、aは0または1であり、およびnは10〜1000である。
【0023】
一般式R1a3-aSiO(SiRO)n3-a1a中で、基Rの例は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、1−n−ブチル基、2−n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基、ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基、オクチル基、例えばn−オクチル基およびイソオクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基、ノニル基、例えばn−ノニル基、デシル基、例えばn−デシル基、ドデシル基、例えばn−ドデシル基、およびオクタデシル基、例えばn−オクタデシル基、シクロアルキル基、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基およびメチルシクロヘキシル基である。好ましくは、基Rは、1〜6個の炭素原子を有する一価の炭化水素基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、アミル基およびヘキシル基であり、この場合、メチル基が特に好ましい。
【0024】
好ましいアルコキシ基Rは、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基およびn−ブトキシ基であり、これらは場合によってはさらにオキシアルキレン基、例えばオキシエチレン基またはオキシメチレン基で置換されていてよい。メトキシ基およびエトキシ基は、特に好ましい。記載されたアルキル基およびアルコキシ基Rは、場合によっては、例えばハロゲン、メルカプト基、エポキシ官能基、カルボキシ基、ケト基、エナミン基、アミノ基、アミノエチルアミノ基、イソシアナト基、アリールオキシ基、アルコキシシリル基およびヒドロキシ基で置換されていてもよい。
【0025】
適した重合可能な基R1は、2〜8個のC原子を有するアルケニル基である。このような重合可能な基の例は、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ならびにアクリルオキシアルキル基およびメタクリルオキシアルキル基であり、この場合にアルキル基は、1〜4個のC原子を有する。好ましいのは、ビニル基、3−メタクリルオキシプロピル基、アクリルオキシメチル基および3−アクリルオキシプロピル基である。
【0026】
好ましいのは、α,ω−ジビニル−ポリジメチルシロキサン、α,ω−ジ−(3−アクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン、α,ω−ジ−(3−メタクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサンである。不飽和基で単に一置換されたシリコーンの場合、α−モノビニル−ポリジメチルシロキサン、α−モノ−(3−アクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン、α−モノ−(アクリルオキシメチル)−ポリジメチルシロキサン、α−モノ−(3−メタクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサンが好ましい。単官能性ポリジメチルシロキサンの場合に、他方の鎖末端にアルキル基またはアルコキシ基、例えばメチル基またはブチル基が存在する。
【0027】
線状または分枝鎖状のジビニル−ポリジメチルシロキサンと、線状または分枝鎖状のモノビニル−ポリジメチルシロキサンおよび/または官能化されていないポリジメチルシロキサン(後者は重合可能な基を有しない)との混合物も好ましい。ビニル基は鎖末端に存在する。このような混合物の例は、Wacker Chemie AG社の溶剤不含のDehesive(登録商標)の6つのシリーズ(分枝鎖状)またはDehesive(登録商標)の9つのシリーズ(非分枝鎖状)のシリコーンである。二成分系または三成分系の混合物の場合に、それぞれシリコーンマクロマーの全質量に対して、非官能性のポリジアルキルシロキサンの割合は、15質量%まで、好ましくは5質量%までであり;一官能性のポリジアルキルシロキサンの割合は、50質量%までであり;および二官能性のポリジアルキルシロキサンの割合は、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%である。
【0028】
多くの場合にシリコーンマクロマーb)として好ましいのは、α,ω−ジビニル−ポリジメチルシロキサンである。
【0029】
好ましいモノマーc)として、次のモノマーが使用され、このモノマーは、以下、求核性モノマーc)と呼称される:
エチレン系不飽和モノカルボン酸およびエチレン系不飽和ジカルボン酸またはこれらの塩、特にクロトン酸、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸またはマレイン酸;
フマル酸またはマレイン酸のモノエステル、特に前記酸のエチルエステルまたはイソプロピルエステル;エチレン系不飽和スルホン酸またはその塩、特にビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸;
エチレン系不飽和アルコール、特に2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレートまたはグリセリン−1−アリルエーテル;
エチレン系不飽和の第1アミン、第2アミンまたは第3アミン、特に2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−t−ブチルアミノエチルメタクリレート、アリル−N−(2−アミノエチル)−カルバメート塩酸塩、アリル−N−(6−アミノヘキシル)−カルバメート塩酸塩、アリル−N−(3−アミノプロピル)−塩酸塩、アリルアミンまたはビニルピリジン;
エチレン系不飽和アミド、特に3−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、3−トリメチルアンモニウムプロピル基メタクリルアミドクロリド;ホスホン酸またはその塩、特にビニルホスホン酸、SIPOMER PAMー100(登録商標)またはSIPOMER−200(登録商標)(Rhodia社の商品名)。
【0030】
好ましいモノマーc)として、次のモノマーが使用され、このモノマーは、以下、求電子性モノマーc)と呼称される:エチレン系不飽和エポキシド、特にグリシジルメタクリレート(GMA);エチレン系不飽和イソシアネート、特に1−(イソシアナト−1−メチル)−3−(メチルエチル)−ベンゼン;エチレン系不飽和無水物、特に無水マレイン酸。
【0031】
特に好ましいモノマーc)は、クロトン酸、アクリル酸、メタクリル酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルメタクリレート(GMA)および1−(イソシアナト−1−メチル)−3−(メチルエチル)−ベンゼンである。
【0032】
プレポリマーの製造の際に求核性モノマーc)を使用する場合には、架橋可能な反応性シリコーンオルガノコポリマーを製造するためのプレポリマーの引続く反応のために、求電子性モノマーc)を選択することができ、これに対して、プレポリマーを製造するための求電子性モノマーc)を使用する場合には、架橋可能な反応性シリコーンオルガノコポリマーを製造するためのプレポリマーの引続く反応のために、求核性モノマーc)を選択することができる。
【0033】
一般に、それぞれ成分a)〜c)の全質量に対してモノマーc)が2〜15質量%、有利に4〜10質量%使用される。この場合、全体でシリコーンオルガノコポリマーの製造に使用されるモノマーc)の中、有利に50〜75モル%、特に有利に50〜67モル%がプレポリマーの製造に使用され、残りの50〜25モル%または50〜33モル%がプレポリマーとモノマーc)との重合体類似の反応に使用される。
【0034】
シリコーンオルガノコポリマーの製造のために、モノマーa〜c)と共に、付加的に補助モノマーを使用することができる。適当な補助モノマーは、重合可能なシランまたは加水分解された形のメルカプトシランである。好ましいのは、γ−アクリルオキシプロピルトリ(アルコキシ)シランまたはγ−メタクリルオキシプロピルトリ(アルコキシ)シラン、α−メタクリルオキシメチルトリ(アルコキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジ(アルコキシ)シラン、ビニルアルキル−ジ(アルコキシ)シランおよびビニルトリ(アルコキシ)シランであり、この場合、アルコキシ基として、例えばメトキシ基、エトキシ基、メトキシエチレン基、エトキシエチレン基、メトキシプロピレングリコールエーテル基またはエトキシプロピレングリコールエーテル基を使用することができる。このための例は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリス−(1−メトキシ)−イソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリルオキシメチルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルトリス−(2−メトキシエトキシ)シラン、トリスアセトキシビニルシラン、3−(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物シランである。3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランおよび3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランも好ましい。
【0035】
補助モノマーは、一般に有機モノマーa)の全質量に対して10質量%までの割合が使用される。
【0036】
好ましいのは、ビニルアセテート、ビニルラウレート、VeoVa5(登録商標)、VeoVa9(登録商標)、VeoVa10(登録商標)およびVeoVa11(登録商標)を含む群から選択された1つまたはそれ以上の有機モノマーa)と、α,ω−ジビニル−ポリジメチルシロキサン、α,ω−ジ−(3−アクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサンおよびα,ω−ジ−(3−メタクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサンを含む群から選択された1つまたはそれ以上のシリコーンマクロマーb)と、クロトン酸、アクリル酸、メタクリル酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルメタクリレート(GMA)および1−(イソシアナト−1−メチル)−3−(メチルエチル)−ベンゼンを含む群から選択された1つまたはそれ以上のモノマーC)と、場合によっては1つまたはそれ以上の付加的な補助モノマーおよび場合によってはエチレンとのラジカル的に開始される溶液重合、およびこうして得られたプレポリマーとクロトン酸、アクリル酸、メタクリル酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルメタクリレート(GMA)および1−(イソシアナト−1−メチル)−3−(メチルエチル)−ベンゼンを含む群から選択された1つまたはそれ以上のモノマーc)との重合体類似の反応により得ることができるシリコーンオルガノコポリマーである。
【0037】
プレポリマーが求核性モノマー単位c)を含有する限り、重合体類似の反応には、求電子性モノマーc)が適している。相応して、プレポリマーが求電子性モノマー単位c)を含有する限り、重合体類似の反応には、求核性モノマーc)が適している。
【0038】
本発明のもう1つの対象は、a)1つまたはそれ以上のエチレン系不飽和オルガノモノマーとb)1つまたはそれ以上のシリコーンマクロマーとのラジカルにより開始される溶液重合により得ることができる、架橋可能な反応性のシリコーンオルガノコポリマーの製造法であり、この製造法は、c)少なくとも1個の他の官能基を含有する1つまたはそれ以上のエチレン系不飽和モノマーを有機溶剤または溶剤混合物中で共重合し、こうして得られたプレポリマーのモノマー単位c)を1つまたはそれ以上の他のモノマーc)との重合体類似の反応によって、少なくとも1個の架橋可能な反応性基がシリコーンオルガノコポリマー中に導入されるように結合させることによって特徴付けられる。
【0039】
反応性の架橋可能なシリコーンオルガノコポリマーのためのプレポリマーを製造するための反応温度は、20℃〜100℃、特に40℃〜80℃である。一般に、常圧で還流下に重合される。室温でガス状のモノマー、例えばエチレンを共重合する場合には、一般に1〜100バールの圧力下で作業される。
【0040】
一般に、重合は、15〜90%の固体含量になるまで、有利には、40〜80%の固体含量になるまで実施される。
【0041】
適当なラジカル開始剤は、油溶性開始剤、例えばt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、過酸化ジベンゾイル、t−アミルペルオキシピバレート、ジ−(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよびジ−(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネートである。アゾ開始剤、例えばアゾビスイソブチロニトリルも適している。開始剤は、一般にそれぞれモノマーa〜c)の全質量に対して0.005〜3.0質量%、有利に0.1〜1.5質量%の量で使用される。
【0042】
分子量および重合度の調節は、当業者に公知である。この調節は、例えば調節剤の添加、溶剤とモノマーとの比、開始剤濃度の変動、モノマーの計量供給量の変動および温度の変動によって行なうことができる。調節剤または連鎖移動剤は、例えばアセトアルデヒドまたはメルカプト基含有化合物、例えばドデシルメルカプタンまたはメルカプト基含有シリコーンである。
【0043】
重合は、反応混合物の全てまたは個々の成分の装入下に、または反応混合物の成分または個々の成分の部分的な装入下および後計量供給下に、または装入なしに計量供給法により実施されることができる。好ましくは、全てのポリジメチルシロキサン、モノマーの一部、溶剤および開始剤の一部を装入し、モノマーおよび開始剤の残分を供給することにより行なわれる。
【0044】
バッチ法として、全てのモノマー、溶剤および開始剤の一部が装入され、開始剤の残分が供給されるかまたは断続的に添加される。
【0045】
重合の終結後、残留モノマーの除去のために、公知方法により後重合されてよい。揮発性の残留モノマーおよび他の揮発性成分は、蒸留またはストリップ法により、特に減圧下で除去されてもよい。
【0046】
モノマーa〜c)から製造されたプレポリマーと他のモノマーc)との重合体類似の反応によって、最終的に架橋可能な反応性シリコーンオルガノコポリマーが得られる。
【0047】
重合体類似の反応は、直接に溶剤または溶剤混合物中で行なうことができ、この場合には、重合体類似の反応のために選択されたモノマーc)が前記の溶剤または溶剤混合物中で十分に安定性である限り、相応するプレポリマーが製造される。他の場合には、プレポリマーの製造後に、溶剤または溶剤混合物は、除去されることができ、不活性の溶剤または溶剤混合物の添加後に重合体類似の反応は実施されることができる。重合体類似の反応に適した不活性の溶剤または溶剤混合物中の溶剤成分は、脂肪族または芳香族の炭化水素、エーテルまたはエステル、特にキシレン、トルエンまたはブチルアセテートである。
【0048】
選択可能な方法の場合には、プレポリマーとモノマーc)との重合体類似の反応は、溶融液中で行なうこともできる。そのために、相応するプレポリマーの製造に使用される溶剤または溶剤混合物は、重合体類似の反応の前に除去される。溶融液中での反応のための前提条件は、100℃で800Pa.s未満のポリマーの溶融粘度である。
【0049】
重合体類似の反応は、有利に40〜140℃、有利に90〜120℃の温度範囲内で実施される。
【0050】
架橋可能な反応性シリコーンオルガノコポリマーのガラス温度および分子量は、公知方法で成分a〜c)の組成および重合条件、例えば溶剤、開始剤濃度、重合温度および調節剤によって調節されてよい。分子量は、有利に3500g/mol以上、特に有利に3500〜100000g/molの間にある。このような分子量の場合には、相分離または移行による問題は、全く起こらない。シリコーンオルガノコポリマーの相容性は、モノマーの選択ならびにシリコーンコポリマーに対するモノマー単位の質量%含量によって意図的に調節されてよい。
【0051】
重合体類似の反応の他の選択可能な方法による実施態様において、プレポリマーのモノマー単位c)の官能基は、完全には、他のモノマーc)と反応されず、したがって異なる反応性官能基を有する部分変性された架橋可能な反応性シリコーンオルガノコポリマーが生じる。プレポリマーとモノマーc)との反応によって導入されるオレフィン基と共に、部分変性されたシリコーンオルガノコポリマー中には、付加的にプレポリマーのモノマー単位c)の未反応の官能基、即ちカルボン酸基またはその塩、スルホン酸基またはその塩、アルコール基、アミン基、アミド基、ホスホン酸基またはその塩、エポキシ基、イソシアネート基または無水物基が存在する。
【0052】
部分変性されたシリコーンオルガノコポリマーは、その異なる官能基のために、二重架橋下で支持体と結合されうる。二重架橋とは、2つの異なる架橋機構、例えばラジカル架橋機構と熱的架橋機構が起こることと考えられている。この異なる架橋機構は、同時にかまたは順次に進行しうる。こうして、シリコーンコポリマーの付着特性は、支持体に影響を及ぼしうる。
【0053】
更に、こうして得られた部分変性されたシリコーンオルガノコポリマーは、乳化剤、保護コロイドまたは他の助剤なしに水中に自己分散可能である。
【0054】
架橋可能な反応性シリコーンオルガノコポリマーは、その反応性のために高い架橋速度を示し、それによって極めて急速な粘度上昇が架橋中に生じる。架橋速度は、開始剤の半減時間、開始剤促進剤の使用または開始剤濃度によって制御されうる。UV架橋のための開始剤としては、当業者に公知のUV開始剤が使用される。
【0055】
架橋可能な反応性シリコーンオルガノコポリマーは、開始剤または触媒の添加によって自体架橋しうるかまたは別の有機物質または無機物質と架橋しうる。架橋は、電子線によっても生じうるし、適当な開始剤の存在下でUV線によっても生じうる。架橋は、室温または高められた温度で行なわれる。
【0056】
シリコーンオルガノコポリマーは、分離剤および被覆剤として適している。例えば、撥水性表面および防汚性表面の形成に適している。このシリコーンオルガノコポリマーは、織物、紙、フィルムおよび金属の被覆のために、例えば保護被覆または防汚性被覆としても適している。もう1つの使用分野は、建築物の保護、殊に耐候性の被覆またはシール材の製造である。前記のシリコーンオルガノコポリマーは、変性剤および疎水化剤としても適しており、プラスチック加工および包装工業における添加剤として適しており、例えば酸素バリヤーを製出しうる。
【0057】
次の例は、本発明をさらに説明するために役立つが、本発明を何ら限定するものではない。
【実施例】
【0058】
原料:
約100、133および177個のSiOMe2繰返し単位を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)、官能化されたα,ω−ジビニル(VIPO200、300および500)
製造業者:Wacker Chemie AG社
【0059】
プレポリマーの製造:
例1:
馬蹄形攪拌機、還流冷却器および計量供給装置を備えた2 lのガラス製の攪拌ポット中に、イソプロパノール407.0g、PDMS混合物182.4g、ビニルアセテート152.0gおよびPPV1.6g(t−ブチルペルピバレート、脂肪族化合物中の75%の溶液)を装入した。引続き、この装入物を200rpmの攪拌機回転数で窒素雰囲気下で75℃に加熱した。75℃の内部温度の達成後、ビニルアセテート413.6g、ビニルラウレート109.6g、クロトン酸55gおよび開始剤溶液(イソプロパノール70gおよびPPV13.3g)を供給した。モノマー溶液を120分間で供給し、開始剤溶液を180分間で供給した。開始剤の計量供給の終結後、なお80℃で2時間、後重合した。65質量%の固体含量を有する澄明なポリマー溶液が得られた。真空下および高められた温度でイソプロパノールを留去した。エチルアセテート溶液からなる乾燥フィルム(層厚70μm)は、澄明であった。
【0060】
例2:
馬蹄形攪拌機、還流冷却器および計量供給装置を備えた2 lのガラス製の攪拌ポット中に、ブチルアセテート770.0g、PDMS混合物140.3g、ビニルアセテート117.0gおよびPPV1.2g(t−ブチルペルピバレート、脂肪族化合物中の75%の溶液)を装入した。引続き、この装入物を200rpmの攪拌機回転数で窒素雰囲気下で75℃に加熱した。75℃の内部温度の達成後、ビニルアセテート318.1g、ビニルラウレート84.3g、クロトン酸42.3gおよび開始剤溶液(ブチルアセテート70gおよびPPV13.3g)を供給した。モノマー溶液を120分間で供給し、開始剤溶液を180分間で供給した。開始剤の計量供給の終結後、なお80℃で2時間、後重合した。45質量%の固体含量を有する殆んど澄明なポリマー溶液が生じた。ブチルアセテート溶液からなる乾燥フィルム(層厚70μm)は、澄明であった。
【0061】
重合体類似の反応:
例3:溶融液中での重合体類似の反応:
基礎樹脂の変性のために、例1からのカルボキシル含有オルガノシリコーンコポリマーを単離し(200g)、110℃で反応器中で溶融し、触媒0.4g(トリフェニルホスフィン)、抑制剤0.1g(ヒドロキノン)を添加し、および約15分間、攪拌した。その後に、グリシジルメタクリレート20gを30分間で反応器中に供給した。約4時間後、真空下で揮発性成分を除去し、溶融液を冷却した。
【0062】
例4:プレポリマーの部分変性下での溶融液中での重合体類似の反応:
試験を例3と同様に実施したが、しかし、グリシジルメタクリレート量を12gに減少させた。
【0063】
分散:温水70g(温度40〜80℃)に例4からの単離された生成物30gおよび中和剤としてのアンモニア溶液を撹拌下に添加し、その結果、pH値は、8未満に降下しなかった。約3時間後、安定した分散液が得られた。
【0064】
例5:溶剤中での重合体類似の反応:
基礎樹脂の変性のために、例2からのカルボキシル含有オルガノシリコーンコポリマー溶液(445g)を反応器中で、110℃で触媒0.4g(トリフェニルホスフィン)、抑制剤0.1g(ヒドロキノン)と混合し、約15分間攪拌した。その後に、グリシジルメタクリレート20gを30分間で反応器中に供給した。約10時間後、真空下で揮発性成分を除去し、生成物を単離した。
【0065】
架橋速度の試験またはシリコーンオルガノコポリマーの反応性:
架橋速度またはシリコーンオルガノコポリマーの反応性は、巨視的に架橋中の粘度変化と相関関係にある。
【0066】
本発明によるシリコーンオルガノコポリマーの高い架橋速度または高い反応性を証明するために、例3からの架橋可能な反応性シリコーンオルガノコポリマーまたは例1からのプレポリマーを、コポリマーに対して開始剤TBPEH1質量%と混合し、真空中で30℃で乾燥した(TBPEH=t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、イソプロパノール中で10%;100℃での半減時間20分間)。
【0067】
引続き、架橋を等温反応時間で100℃の温度で行なった。架橋中の粘度上昇を溶融液レオロジー測定によりBohlin CVO 120 HR機器で測定した。測定システム 板/板を選択した。複雑な溶融液粘度を振動測定によって1Hzの周波数および一定の温度で測定した。
【0068】
初期溶融粘度と架橋中の粘度とからの商は、架橋度、ひいてはシリコーンオルガノコポリマーの反応性の1つの基準である。
【0069】
100℃で例3からのシリコーンオルガノコポリマーの架橋:
【数1】

【0070】
100℃で例1からのプレポリマーとの比較測定:
【数2】

【0071】
2つの測定の比較によって、架橋中の本発明による組成物の高くかつ急速な粘度上昇が明らかになる。これは、架橋速度が高いかまたは本発明によるシリコーンオルガノコポリマーの反応性が高いことを証明する。
【0072】
反応性または架橋速度は、開始剤濃度および低い半減時間を有する開始剤、または開始剤促進剤の使用によって明らかに短縮させることができる。
【0073】
UV架橋のための開始剤としては、当業者に公知のUV開始剤が使用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)1つまたはそれ以上のエチレン系不飽和オルガノモノマーとb)1つまたはそれ以上のシリコーンマクロマーとのラジカルにより開始される溶液重合により得ることができる、架橋可能な反応性のシリコーンオルガノコポリマーにおいて、c)少なくとも1個の他の官能基を含有する1つまたはそれ以上のエチレン系不飽和モノマーは有機溶剤または溶剤混合物中で共重合され、こうして得られたプレポリマーのモノマー単位c)は、1つまたはそれ以上の他のモノマーc)との重合体類似の反応によって、少なくとも1個の架橋可能な反応性基がシリコーンオルガノコポリマー中に導入されるように結合されていることを特徴とする、架橋可能な反応性のシリコーンオルガノコポリマー。
【請求項2】
モノマーa〜c)は、溶剤または溶剤混合物中で共重合され、この場合シリコーンマクロマーb)は、標準条件下で5質量%未満の溶解性を有する、請求項1記載の架橋可能な反応性シリコーンオルガノコポリマー。
【請求項3】
成分a〜c)の全質量に対するシリコーンマクロマーb)の含量は、20質量%以上である、請求項1または2記載の架橋可能な反応性シリコーンオルガノコポリマー。
【請求項4】
重合体類似の反応によって、プレポリマーのモノマー単位c)の官能基は、完全に他のモノマーc)と反応されている、請求項1から3までのいずれか1項に記載の架橋可能な反応性シリコーンオルガノコポリマー。
【請求項5】
重合体類似の反応によって、プレポリマーのモノマー単位c)の官能基は、完全には、他のモノマーc)と反応されず、したがって異なる反応性官能基を有する部分変性された架橋可能な反応性シリコーンオルガノコポリマーが生じている、請求項1から3までのいずれか1項に記載の架橋可能な反応性シリコーンオルガノコポリマー。
【請求項6】
エチレン系不飽和オルガノモノマーa)として、1〜15個のC原子を有する非分枝鎖状または分枝鎖状のアルキルカルボン酸のビニルエステル、または1〜15個のC原子を有する非分枝鎖状または分枝鎖状のアルコールとメタクリル酸またはアクリル酸とのエステル、ビニル芳香族化合物、オレフィン、ジエンまたはビニルハロゲン化物が使用される、請求項1から5までのいずれか1項に記載の架橋可能な反応性シリコーンオルガノコポリマー。
【請求項7】
エチレン系不飽和オルガノモノマーa)として、ビニルアセテート、またはビニルアセテートおよびエチレン、またはビニルアセテートおよび5〜11個のC原子を有するα位で分枝したモノカルボン酸のビニルエステル、またはビニルアセテートおよびVeoVa5(登録商標)および場合によってはエチレン、またはビニルアセテートおよびVeoVa9(登録商標)および場合によってはエチレン、またはビニルアセテートおよびVeoVa10(登録商標)および場合によってはエチレン、またはビニルアセテートおよびVeoVa11(登録商標)および場合によってはエチレン、またはビニルアセテートおよびビニルラウレートおよび場合によってはエチレン、またはエチレンおよび5〜11個のC原子を有するα位で分枝したモノカルボン酸のビニルエステルが使用されている、請求項1から6までのいずれか1項に記載の架橋可能な反応性シリコーンオルガノコポリマー。
【請求項8】
エチレン系不飽和オルガノモノマーa)として、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレートおよびt−ブチルメタクリレート、特に有利にメチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレートおよびt−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートおよびノルボルニルアクリレートが使用されている、請求項1から6までのいずれか1項に記載の架橋可能な反応性シリコーンオルガノコポリマー。
【請求項9】
シリコーンマクロマーb)として、少なくとも10個のシロキサン繰返し単位、特に有利に25〜1000個のシロキサン繰返し単位および少なくとも1個のラジカル重合可能な官能基を有する線状シリコーン、分枝鎖状シリコーン、環状シリコーンおよび立体架橋されたシリコーンが使用されている、請求項1から8までのいずれか1項に記載の架橋可能な反応性シリコーンオルガノコポリマー。
【請求項10】
シリコーンマクロマーb)として、一般式R1a3-aSiO(SiRO)n3-a1aのシリコーンが使用されており、この場合、Rは同じかまたは異なり、それぞれ1〜18個のC原子を有する、一価の置換されていてよい、アルキル基またはアルコキシ基を表わし、R1は重合可能な基を表わし、aは0または1であり、およびnは10〜1000である、請求項1から9までのいずれか1項に記載の架橋可能な反応性シリコーンオルガノコポリマー。
【請求項11】
シリコーンマクロマーb)として、α,ω−ジビニル−ポリジメチルシロキサン、α,ω−ジ−(3−アクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン、α,ω−ジ−(3−メタクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン、α−モノビニル−ポリジメチルシロキサン、α−モノ−(3−アクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン、α−モノ−(アクリルオキシメチル)−ポリジメチルシロキサン、α−モノ−(3−メタクリルオキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン、α,ω−ジビニル−ポリジメチルシロキサンを含む群からの1つまたはそれ以上が使用されている、請求項1から10までのいずれか1項に記載の架橋可能な反応性シリコーンオルガノコポリマー。
【請求項12】
モノカルボン酸またはジカルボン酸、またはこれらの塩、フマル酸のモノエステル、マレイン酸のモノエステル、スルホン酸またはその塩、アルコール、アミン、アミド、ホスホン酸またはその塩、エポキシド、イソシアネートまたは無水物を含む群から選択された1つまたはそれ以上の他の官能基を含有するエチレン系不飽和モノマーc)が使用されている、請求項1から11までのいずれか1項に記載の架橋可能な反応性シリコーンオルガノコポリマー。
【請求項13】
モノマーc)として、クロトン酸、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、フマル酸エチルエステル、フマル酸イソプロピルエステル、マレイン酸エチルエステル、マレイン酸イソプロピルエステル、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、グリセリン−1−アリルエーテル、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−t−ブチルアミノエチルメタクリレート、アリル−N−(2−アミノエチル)−カルバメート塩酸塩、アリル−N−(2−アミノヘキシル)−カルバメート塩酸塩、アリル−N−(2−アミノプロピル)−塩酸塩、アリルアミン、ビニルピリジン、3−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、3−トリメチルアンモニウムプロピルメタクリルアミド、3−トリメチルアンモニウムプロピルメタクリルアミドクロリド、ビニルホスホン酸、SIPOMER PAM−100(登録商標)またはSIPOMERー200(登録商標)が使用されている、請求項1から12までのいずれか1項に記載の架橋可能な反応性シリコーンオルガノコポリマー。
【請求項14】
a)1つまたはそれ以上のエチレン系不飽和オルガノモノマーとb)1つまたはそれ以上のシリコーンマクロマーとのラジカルにより開始される溶液重合により得ることができる、架橋可能な反応性のシリコーンオルガノコポリマーの製造法において、c)少なくとも1個の他の官能基を含有する1つまたはそれ以上のエチレン系不飽和モノマーを有機溶剤または溶剤混合物中で共重合し、こうして得られたプレポリマーのモノマー単位c)を1つまたはそれ以上の他のモノマーc)との重合体類似の反応によって、少なくとも1個の架橋可能な反応性基がシリコーンオルガノコポリマー中に導入されるように結合させることを特徴とする、架橋可能な反応性のシリコーンオルガノコポリマーの製造法。
【請求項15】
全ての成分a〜c)、溶剤および開始剤の一部を装入し、開始剤の残分を供給するかまたは断続的に添加する、請求項14記載の架橋可能な反応性シリコーンオルガノコポリマーの製造法。
【請求項16】
全てのシリコーンマクロマーb)およびモノマーc)の一部を望ましい量比で溶剤中に装入し、モノマーの残分を一緒にかまたは別々に供給する、請求項14記載の架橋可能な反応性シリコーンオルガノコポリマーの製造法。
【請求項17】
重合体類似の反応をモノマーa〜c)の共重合の溶剤または溶剤混合物中で実施する、請求項14から16までのいずれか1項に記載の架橋可能な反応性シリコーンオルガノコポリマーの製造法。
【請求項18】
重合体類似の反応を脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エーテルおよびエステルの群から選択された1つまたはそれ以上の溶剤中で実施する、請求項14から17までのいずれか1項に記載の架橋可能な反応性シリコーンオルガノコポリマーの製造法。
【請求項19】
重合体類似の反応を溶融液中で実施する、請求項14から16までのいずれか1項に記載の架橋可能な反応性シリコーンオルガノコポリマーの製造法。
【請求項20】
プレポリマーの製造の際に求核性モノマーc)を使用する場合には、重合体類似の反応のために、求電子性モノマーc)を選択するか、またはプレポリマーを製造するための求電子性モノマーc)を使用する場合には、重合体類似の反応のために、求核性モノマーc)を選択する、請求項14から10までのいずれか1項に記載の架橋可能な反応性シリコーンオルガノコポリマーの製造法。
【請求項21】
a)1つまたはそれ以上のエチレン系不飽和オルガノモノマーとb)1つまたはそれ以上のシリコーンマクロマーとのラジカルにより開始される溶液重合により得ることができる、架橋可能な反応性のシリコーンオルガノコポリマーの水性分散液において、c)少なくとも1個の他の官能基を含有する1つまたはそれ以上のエチレン系不飽和モノマーは有機溶剤または溶剤混合物中で共重合され、こうして得られたプレポリマーのモノマー単位c)は、1つまたはそれ以上の他のモノマーc)との重合体類似の反応によって、少なくとも1個の架橋可能な反応性基がシリコーンオルガノコポリマー中に導入されるように結合され、コポリマーは、溶剤から除去され、残留する固体は、水中に分散されていることを特徴とする、架橋可能な反応性のシリコーンオルガノコポリマーの水性分散液。
【請求項22】
架橋可能な被覆中の結合剤または添加剤としての請求項1から13までのいずれか1項に記載の反応性シリコーンオルガノコポリマーの使用。
【請求項23】
それぞれ液状形ならびに粉末形での溶剤含有接着剤、水性接着剤または溶剤不含の接着剤中での請求項1から13までのいずれか1項に記載の反応性シリコーンオルガノコポリマーの使用。
【請求項24】
木材、紙、フィルムまたは金属を被覆するための被覆剤としての請求項1から13までのいずれか1項に記載の反応性シリコーンオルガノコポリマーの使用。
【請求項25】
疎水化剤または変性剤としての請求項1から13までのいずれか1項に記載の反応性シリコーンオルガノコポリマーの使用。
【請求項26】
撥水性被覆および/または防汚性被覆、接着剤不含の表面または落書き防止被覆を形成させるための請求項1から13までのいずれか1項に記載の反応性シリコーンオルガノコポリマーの使用。
【請求項27】
プライマーおよび耐蝕剤としての請求項1から13までのいずれか1項に記載の反応性シリコーンオルガノコポリマーの使用。
【請求項28】
被覆の際の流展剤としての請求項1から13までのいずれか1項に記載の反応性シリコーンオルガノコポリマーの使用。
【請求項29】
結合剤、補助結合剤または組成物中の収縮防止添加剤としての請求項1から13までのいずれか1項に記載の反応性シリコーンオルガノコポリマーの使用。
【請求項30】
繊維、顔料または充填剤の表面変性のための請求項1から13までのいずれか1項に記載の反応性シリコーンオルガノコポリマーの使用。

【公表番号】特表2010−500438(P2010−500438A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523280(P2009−523280)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058190
【国際公開番号】WO2008/017674
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】