説明

核酸塩基の特徴づけ

本発明は、修飾核酸塩基化合物、修飾核酸模倣化合物、及びそれらの各種使用を提供する。加えて、本発明は、核酸塩基の特徴づけ、SNPの特徴づけ及び核酸の配列決定を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、修飾核酸塩基化合物、修飾核酸模倣剤および様々な用途に関連する。より具体的には、本発明は、核酸塩基の特性評価、SNP特性評価および核酸配列の方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
DNAの配列決定を可能にする二つの原法−Maxim及びGilbertの化学的アプローチ(非特許文献1)並びにSangerの酵素に基づいた方法(非特許文献2)−が開示されるが、現在使われている有力な方法は、Sangerのアプローチ、いわゆる終結又はジデオキシ配列決定に基づいている。この基本的な方法論は、標識化した終結フラグメントのラダーを作るための成長DNA鎖の部分終結に基づいており、配列分析を行うためにサイズ分離を必要とする。明らかなことには、その発端以来、様々な改良がされ、そのため、標識は、従来の放射性ヌクレオチドから蛍光色素に転換され、平坦ゲル電気泳動よりもキャピラリーが(しばしば重合体を充填するが)多く用いられている。その結果として、96キャピラリーの同時走行、4つの色素の使用、単一チャンネルにおける分析等、並列処理への大きな流れがあり、一方、蛍光感度の増強及びより効率的なポリメラーゼは、より長い配列決定の走行を可能にした。しかしながら、この方法が固有の限界を有するという事実が、ヒトゲノムの配列を決定するのに必要な途方もない苦労によってわかる。
【0003】
多くのより新しいアプローチがここ数年で報告されており、実際には三つのカテゴリー:(i)反復単一塩基付加による配列決定、(ii)ピロシーケンス法、(iii)解析/解読を用いた制限酵素媒介開裂又はキナーゼ連結に分類される。
【0004】
(i)反復単一塩基付加による配列決定
この範囲には多くの報告がある(非特許文献3,4,5)。このアプローチは、成長プライムドDNA鎖への単一塩基の酵素媒介付加に対応する。単一塩基の付加は、三リン酸塩の一部の修飾によって制御され、複数の付加が不可能である。これは、ヌクレオチド上の物理的遮断又は化学的遮断(例えば、3'OH基上のエステル)である可能性がある。このアプローチは、蛍光標識化したビルディングブロックに依存し、典型的には遮断基の除去の後に、蛍光発生的なレポーターも開裂することになり、他の反応サイクルを受け入れることが可能となる。このアプローチに関しては、多くの問題があるため、酵素及び複合三リン酸を必要とする。また、適度に長さを読み込めるように本質的に定量的であることが必要である開裂及び終結化学に関する問題もある。
【0005】
(ii)ピロシーケンス法(非特許文献6)
このアプローチでは、成長プライムドDNA鎖が、酵素及び四つの三リン酸塩の内の一つで処理される。塩基が組み込まれたら、ピロリン酸塩が遊離し、組み込みがない場合は、そのときピロリン酸塩は生成しない。ピロリン酸塩は、APS(アデノシン−5'−ホスホ硫酸)の存在下ATPに転換するスルフリラーゼと反応する。その後、これは他の酵素(ルシフェラーゼ)で処理され、光を発生する。この光は、特定塩基の成長DNA鎖への付加か又はその反対を決定するのに使用される。同じ種類の二種以上の塩基を一度に付加すると、より多くの光が発生し、これを定量化することができる。次いで、このプロセスは、次の種類の三リン酸塩が配列を形成する場合、繰り返される。多くの問題があり、発光の定量化はいつも可能ではなく、単一塩基のやや長い広がりは、基本的には読み込めないという事実もある(例えば、発光の変化のため、1種類の内の14又は15個の塩基を見分けられない)。これは、マイクロウェルにおいて配列した何百万ものビーズからの配列決定を開示した最近の論文において用いられるアプローチであった(非特許文献7)。
【0006】
(iii)解析/解読を用いた制限酵素媒介開裂又は連結(非特許文献8)
このアプローチでは、配列が制限酵素によって開裂し、張り出した配列を与える。その後、16個のコード化したアダプターを用いて解読する。次いで、アダプターそれ自体を開裂し、解読される次の組の塩基をさらす。同様のアプローチが、連結を用いてなし得る。再び多くの問題があり、解析ごとの複数の工程、標識化したプローブ及び様々な酵素が依然として必要であること、不完全開裂又は不必要な開裂等である。これは、Brennerによって用いられたアプローチ(非特許文献9)であり、超並列チップベースの配列決定においてShendure及びChurchによって用いられたアプローチ(ポリアクリルアミドゲルに閉じ込められたビーズ、非特許文献10,11)であった。
【0007】
一塩基多型
他の領域であるが配列決定に関連した領域は、一塩基多型のアプローチである(非特許文献12)。実際、SNP分析は、単一塩基を配列決定するものとみなすことができる。一塩基多型(SNPs)は、平均してヒトの300〜1000個の塩基毎に見られ、個人間での全遺伝的変異の90%も示す。SNPは、特異的疾患の病状に対する遺伝子的な危険因子(又は実際には利点)、並びに多くの物理的特徴を構成することができる。SNP分析方法は、多く、変化に富む。しかしながら、捕捉及び分析の方法はかなり異なるものの、概して、ポリメラーゼ及び蛍光標識された三リン酸塩を用いてプライマー伸長反応からなる。SNP分析は、単一塩基の同一性が主要な関心事であるから(当然、その前後関係は重大であるが)、いくつかの点でDNA配列決定の単純な形である。
【0008】
DNA依存性連結及び反応
DNA及びペプチド核酸(PNA)は、多くの連結ベースの合成する化学的アプローチにおいて使用されている(非特許文献13,14)。非酵素連結反応も、Kool及びRichertによってDNA−DNAセンスにおいて達成されており(非特許文献15及びその参考文献(例えば、非特許文献16)−彼らは、DNA鎖(例えば、5'−ヨードチミジンと反応する3'−ホスホチオエート)又は単量体(例えば、活性リン酸塩と反応する3'アミノヌクレオチド)を連結するために、古典的な求核付加化学を使用した。最初のアプローチは、RNA及びDNAの点異変の色検出に使用できるが、求核性試薬及び求電子試薬の両方で大きなプライマーが必要となる。Richertsのアプローチは、単量体ベースであるが、いわゆるヘルパープライマーを必要とするため、単一塩基の隙間をまたがる2つのプライマーが直接的な取り込みに必要である。Liuは、DNAテンプレートを用いてPNAの重合体を作るために動的化学を使用した(非特許文献17)。
【0009】
PNAは、相補的なDNA又はRNA配列を正確に認識するため、遺伝子プローヴとして以前用いられていたが(非特許文献18参照)、ポリメラーゼによる認識の欠如のために、遺伝分析に対する道具としての使用が非常に限定される。
【0010】
動的化学
過去10年の間、動的(組む合わせの)ライブラリの範囲において熱心な活動がある(非特許文献19,20,21)。「動的ライブラリ」は、相補的な2つの成分を溶液において混合することで準備でき、テンプレート存在下でのアルデヒド及びアミン、又はジオール及びボロン酸、又はチオール及びジスルフィド等がある。該系(アミン/アルデヒド/イミン)にセットされた動的平衡のため、最も強く結合した配位子が優位になり、このため、本質的には、テンプレートが、それ特有のパートナーを「構築」及び「集中」させる。最近、Dawsonらは、動的過程の平行動力学もまた、アニリン等の触媒によって加速できることを示した(非特許文献22)。
【0011】
上述したように、DNA分析の新しい全ての方法(及び古い方法)は、それらの用途、特に酵素及び多くの場合高価な三リン酸塩の使用に関連して様々な課題及び問題を有する。
【0012】
本発明の目的は、前述の問題の少なくとも一つを取り除くか又は緩和することである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】A.M. Maxam and W. Gilbert, PNAS, 1977, 74, 560-564
【非特許文献2】F. Sangeret al.., PNAS, 1976, 5463-5467
【非特許文献3】Z.M. Li et al, PNAS, 2003, 100, 414-419
【非特許文献4】T.S. Seo et.al, PNAS, 2005, 102, 5926-5931
【非特許文献5】L.R. Bi et al, J. Am. Chem. Soc, 2006, 128, 2542
【非特許文献6】P. Nyren et.al., Anal. Biochem., 1996, 242, 84-89
【非特許文献7】M. Margulies et al., Nature, 2005, 437, 376-380
【非特許文献8】S. Brenner et al., Nature Biotech., 2000, 18, 630-634
【非特許文献9】S. Brenner et al., Nature Biotech., 2000, 18, 630-634
【非特許文献10】J. Shendure et.al., Science, 2005, 308, 1728-1732
【非特許文献11】R. D. Mitra et al., PNAS, 2003, 100, 5926-5931
【非特許文献12】A-C. Syvanen et al., Nature Genetics, 2005, 37, S5-S10
【非特許文献13】D. R. Liu and O. Seitz -X. Li and D.R. Liu, Angew, Chem. Int. Ed., 2004, 43, 4848-4870
【非特許文献14】S. Ficht et al., ChemBioChem, 2005, 6, 2098-2103
【非特許文献15】N. Griesang et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2006, 45, 6144-6148
【非特許文献16】P. Hagenbuch et al., Angew. Chem. Int. Ed. 2005, 44, 6588-6592
【非特許文献17】D.R. Liu et al. J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 13924-13925
【非特許文献18】P. Paulosova and F. Pellestor Ann. Genetique, 2004, 47, 349-358
【非特許文献19】P. T. Corbett et al.. Chem. Rev., 2006, 106, 3652-3711
【非特許文献20】J.M. Lehn, Chem. Eur. J, 1999, 5, 2455-2463
【非特許文献21】O. Ramstroem and J.M. Lehn, Nat. Rev. Drug Discov., ,2002 1, 26-36
【非特許文献22】Dawson et al. J. Am. Chem. Soc., 2006, 128, 15602-15603
【発明の概要】
【0014】
ここで説明する本発明は、様々な核酸の配列決定及び/又はSNPキャラクタリゼーション法で使用できる修飾塩基、修飾核酸塩基及びDNA模倣化合物を提供する。本発明は、ここで説明する各方法が化学ベースであり酵素の使用を必要としないため、従来技術を越えて明確な利点を提供する。
【0015】
したがって、第1態様において、本発明は、可逆的な共有結合反応が可能な部分及び検出可能なタグを備える修飾塩基を提供する。
【0016】
当業者は、塩基(さもなければ「核酸塩基」として知られるか又はここでは「核酸塩基」といわれる)が、プリン及びピリミジンを有し、それらは、例えば、特定の塩基アデニン、グアニン、チミン、シトシン及びウラシルを含むことを理解することになる。このように、一つの実施形態において、本発明は、修飾されたアデニン、グアニン、チミン、シトシン及び/又はウラシル塩基に関する。加えて、本発明は、例えば、キサンチン、ヒポキサンチン、イソグアニン及び尿酸等の変種を包含する。
【0017】
用語「修飾塩基」は、アルキル鎖を備え、更には可逆的な共有結合反応が可能な官能基を備える塩基/核酸塩基を包含することを理解されたい。好ましくは、該塩基の複素環を修飾して、アルキル鎖及び官能基を備えるようにすることができる。より詳細には、複素環のヘテロ原子又は炭素原子が、アルキル鎖及び官能基を備えるように修飾できる。
【0018】
「可逆的な共有結合反応」が可能な官能基は、例えば、アルデヒド及び/又はケトンを備える基とすることができ、一つの実施形態において、可逆的な共有結合反応は、修飾塩基のアルデヒド/ケトン基と、アミン、ヒドラジド及びヒドラジド類(A. Dirksen, et al., J. Am. Chem. Soc, 2006, 128, 15602-15603)、アルコキシアミン(V.A. Polyakov et al., J. Phys. Org. Chem. 1999, 12, 357-363)、又はアルコール、ジオール及び/若しくはボロン酸(O. Abed et at.. Chem. Mater., 2006, 18, 1247 -1260)との間の反応を含むことができることを理解されたい。一つの実施形態において、可逆的な共有結合反応が可能な基はアルコールではない。
【0019】
用語「検出可能なタグ」は、例えば、光学的に又は他の方法で相互に区別できるタグ又は標識を含む。かかるタグ又は標識の多くは、当業者に知られているが、一例として、本発明での使用に適切なタグとしては、例えば、蛍光又は質量−タグ化合物が挙げられる。より詳細には、一つの実施形態において、本発明の修飾塩基/核酸塩基は、例えば、青から遠赤外スペクトルの範囲の光学的に検出可能な色素を有するタグの群から選択される一つ又はそれ以上の検出可能なタグ(例えば、フルオロフォア等)を備えることができる。適切となり得るタグの例としては、例えば、ダンシル、フルオレセイン、ローダミン、テキサスレッド、IAEDANS、シアニン色素(Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7)、ボディピー(Bodipy)色素(インビトロジェン(Invitrogen)社)及び/又はアレクサフルオロ(Alexa Fluor)色素(インビトロジェン(Invitrogen)社)が挙げられる。一つの実施形態において、検出可能なタグはフェロセンではない。
【0020】
適切な「質量−タグ」化合物には、例えば、臭化物部分又は他の化合物、例えばMALDI−TOF等の質量分析技術において明確な同位体パターンを示すことができる分子又は部分を備えるタグを挙げることができる。
【0021】
したがって、当業者は、ここで説明する修飾核酸塩基のいずれも、例えば、MALDI−TOF等の蛍光顕微鏡又は質量分析技術によって検出できることを理解することになる。
【0022】
有利には、ここで説明する各修飾塩基/核酸塩基の複素環は、例えば、ヘテロ原子又は炭素原子を介していずれかの位置で結合した検出可能なタグを備えることができる。一つの実施形態においては、ヘテロ原子を修飾して、さらに、例えば、上述した検出可能なタグの内の一つ又はそれ以上で独立して置換され得るアルキン、アルケニレン又はアルキニレン部分等の適切なスペーサ/炭素スペーサ部分を備えるようにすることができる。一例として、複素環のヘテロ原子及び/又は修飾ヘテロ原子は、一つ又はそれ以上のフルオロフォア(T.S. Seo et al., PNAS, 2004, 101, 5488-5493; Z. Li et al., PNAS, 2003, 100, 414-419; L. Thoresen et al., Chem. Eur. J. 2003, 9, 4603- 4610)及び/又は質量タグ、すなわち臭化物、塩化物(C. Portal et al., J. Comb. Chem., 2005, 7, 554-560)を備えることができる。一つの実施形態において、プリン及び/又はピリミジン複素環は、例えば、パラジウム触媒を用いたクロスカップリング反応によって修飾できる(L. Thoresen et at., Chem. Eur. J. 2003, 9, 4603-4610; N.K. Garg et al. Chem. Commun., 2005, 4551-4553)。
【0023】
有利には、各修飾塩基/核酸塩基は、異なる検出可能なタグを備えることができる。このように、検出可能なタグによって、例えば、修飾アデニン核酸塩基を他の修飾核酸塩基と区別することが可能となる。
【0024】
一つの実施形態において、本発明は、
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

からなる群から選択される修飾塩基を提供する。
【0025】
ここで、Yは、可逆的な共有結合反応が可能な官能基を備えることができる。適切な官能基には、例えば、アルデヒド、ケトン及び/又はジオールが含まれ得る。
【0026】
〜Xは、異なる検出可能なタグ若しくはスペーサ−タグの組み合わせ又は水素とすることができる。
【0027】
Zは、炭素、窒素、酸素及び硫黄とすることができる。
【0028】
上記(iii)及び(iv)の場合、Xは、Zが炭素であるZ又は位置8での炭素部分を介して複素環に結合できる。
【0029】
更なる実施形態において、本発明は、
【化5】

【化6】

【化7】

及び
【化8】

からなる群から選択される修飾塩基を提供するものであり、
ここで、X及びYは、水素又は炭化水素鎖とすることができ、nは1,2又は3と等しく、色素〜色素は、上述した検出可能なタグの一つ又はそれ以上とすることができる。好ましくは、各色素〜色素は、異なる検出可能なタグを示すため、例えば、式5の修飾核酸塩基は、式6〜8に示したものと区別できる。
【0030】
ペプチド核酸(PNA)は、自然発生の核酸−デオキシリボ核酸(DNA)及びリボ核酸(RNA)に類似している。DNA及びRNAは、それぞれデオキシリボース又はリボース糖骨格を有するが、PNAの骨格は、ペプチド結合によって結合したN−(2−アミノエチル)−グリシン繰り返し単位を備える。PNAの様々なピリミジン及び/又はプリン塩基(又は核酸塩基)は、アミド結合の形成によってペプチド骨格に結合される。当業者が理解することには、アミド結合を介して単一のN−(2−アミノエチル)−グリシン単位に結合した単一の核酸塩基は、PNA単量体として説明できるが、他のPNAには、例えば、ピロリジン系(R. J. Worthington et al. Org. Biomol. Chem., 2007, 5, 249-259)及びインドール系DNA模倣物(式9)等の修飾アミノエチル−グリシン骨格を含有するものが含まれる。当業者は、他の適切なオリゴマーを認識することになる。
【化9】

【0031】
第2態様において、本発明は、下記一般式:
【化10】

を有する修飾PNA単量体を提供するものであり、
ここで、「複素環」は、検出可能なタグを備え得る修飾塩基(例えば、シトシン、アデニン、グアニン又はチミン/ウラシル等)であり、nは1,2又は3と等しく、更には、Xは、複素環とR及びYを備える骨格との間の結合の手段を示す。Rは、可逆的な共有結合反応が可能な基を示す。一例として、Rは、アミン、ヒドラジド、アルコキシミン(alkoxymine)、ボロン酸、ジオール及び/又はチオール等の基を備えることができる。
【0032】
Yは、例えば、アルデヒド、ケトン、ジオール、ボロン酸及びチオール等の可逆的な共有結合反応が可能な官能基とすることができる。
【0033】
更なる実施形態において、本発明は、下記一般式:
【化11】

を有する修飾PNA単量体を提供するものであり、
ここで、「複素環」は、上述した検出可能なタグを備え得る修飾塩基(例えば、シトシン、アデニン、グアニン又はチミン/ウラシル)であり、nは1,2又は3と等しく、更には、Rは、可逆的な共有結合反応が可能な基を示す。一例として、Rは、アミン、ヒドラジド、アルコキシミン、ボロン酸、ジオール及び/又はチオール等の基を備えることができる。
【0034】
Yは、例えば、アルデヒド、ケトン、ジオール、ボロン酸及びチオール等の可逆的な共有結合反応が可能な官能基とすることができる。
【0035】
は、上述した検出可能なタグの一つ又はそれ以上を備える(例えば、共有結合した)保護基又は任意には保護基を備えるように誘導体化できる。
【0036】
更にRの誘導体化での使用に適切な保護基には、例えば、アセチル、N−[1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキシ−1−イリデン)エチル](Dde)、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、トリチル基、ジスルフィド(Ardec(アリールジチオエチルオキシカルボニル))光開裂保護基(ニトロベラチル系)、ブチルオキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、トリフルオロアセチル(Tfa)、フタルイミド、ベンジル、アリルオキシカルボニル(Alloc)、トルエンスルホニル(Ts)、メトキシメチルエーテル(MOM)、テトラヒドロピラニルエーテル(THP)、アリルエーテル、ブチルエーテル、ベンジリデンアセタール等の保護基が含まれ得る(Green,Wiley-Interscience, New York, 1999)。
【0037】
一つの実施形態において、修飾PNA単量体は、
【化12】

【化13】

【化14】

及び
【化15】

からなる群から選択でき、
ここで、R〜Rは、(上述した)保護基で任意に保護される可逆的な共有結合反応が可能な基(上記参照)を備えることができる。加えて、代案として、R〜Rは、更に上述の検出可能なタグを一つ又はそれ以上を備える(例えば、共有結合した)保護基を備えることができる。
【0038】
〜Xは、ここで説明した検出可能なタグの一つ又はそれ以上とすることができ、ヘテロ原子又は炭素原子を介していずれかの位置で複素環に結合され得る。一つの実施形態において、ヘテロ原子を修飾して、さらに、例えば、上述した検出可能なタグの一つ又はそれ以上で独立して置換され得るアルキン、アルケニレン又はアルキニレン部分等の適切なスペーサ/炭素スペーサ部分を備えるようにすることができる。
【0039】
〜Xは、開裂可能なリンカーによって複素環に結合した検出可能なタグ又は水素である。Zは、炭素、窒素、酸素及び硫黄とすることができ、上記(iii)及び(iv)の場合、Xは、Zが炭素であるZ又は位置8での炭素を介して複素環に結合され得る。
【0040】
Yは、例えば、アルデヒド、ケトン、ジオール、ボロン酸及びチオール等の可逆的な共有結合反応が可能な官能基とすることができる。
【0041】
更なる実施形態において、本発明は、
【化16】

【化17】

【化18】

及び
【化19】

からなる群から選択される修飾PNA単量体を提供するものであり、
ここで、Rは、炭化水素鎖及びアリール環とすることができ、Xは、炭化水素鎖とすることができ、Yは、炭化水素鎖又は水素とすることができる。
【0042】
更なる実施形態において、本発明は、
【化20】

【化21】

【化22】

及び
【化23】

からなる群から選択される修飾塩基を提供するものであり、
ここで、Yは、水素又は炭化水素鎖とすることができる。
【0043】
当業者は、PNA単量体を提供することに加えて、本発明が、PNA二量体又は三量体に関することを理解することになる。本発明に従う用語「PNA二量体」は、共有結合した二つの(又はPNA「三量体」の場合は3つの)PNA単量体に関するものとして理解されるべきである。一つの実施形態において、PNA二量体は、ここで説明する検出可能なタグのいずれかを含むように修飾された少なくとも一つの核酸塩基を備えることができる。他の実施形態において、PNA二量体は、そのN又はC末端にて、ここで説明する検出可能なタグのいずれか一つを備えることができる。
【0044】
PNA二量体のN又はC末端が検出可能なタグを含むように修飾した場合、他のN又はC末端は、可逆的な共有結合反応が可能な部分を含むことができる。このように、一つの実施形態において、本発明は、N末端で検出可能なタグと、C末端で可逆的な共有結合反応が可能な部分とを備えるPNA二量体(又は三量体)を提供する。その上、ある実施形態においては、PNA単量体の核酸塩基のうち少なくとも一つが、更に検出可能なタグを備え得る。
【0045】
以下、本発明に包含されるPNA二量体(又は三量体)を生成する例示的な方法及びPNA二量体の特定の形態の例を更に詳細に説明する。
【0046】
本発明はまた、PNAオリゴマーにも関連しており、当業者は、用語「オリゴマー」が、例えばペプチド結合によって結合した少なくとも2つのPNA単量体を備える分子を指すことを容易に理解することになる。また、本発明は、上述した他のDNA模倣物にも関連する。
【化24】

ここで、NBは、核酸塩基(例えば本発明に従う修飾核酸塩基)であり、nは、少なくとも2である。
【0047】
上述のことを考慮すると、当業者は、PNAオリゴマーが、典型的に、ペプチド骨格の各第2級アミンが(上述の修飾核酸塩基等の)核酸塩基を備えるように更に誘導体化された連続ペプチド骨格を備えることを理解することになる。更なる実施形態において、本発明は、連続ペプチド骨格の第2級アミンの一部が核酸塩基を備えるように誘導体化されずカップリングしないままであるPNAオリゴマーを提供することができる。それらオリゴマーは、「空白位置」を備えるオリゴマーと称されることがある。以下の式24は、空白位置を備えるPNA単量体の例を提供する(すなわち、第2級アミンNo:3は、核酸塩基(NB)を備えるように誘導体化されていない)。
【化25】

【0048】
一つの実施形態において、本発明のPNAオリゴマーは、さらに、N又はC末端位置にて、可逆的な共有結合反応が可能な基を備えることができる。例えば、N末端位置は、遊離アミン基、アルデヒド/ケトンヒドラジド、ヒドラジン、アルコキシアミン、アルコール、ジオール及び/又はボロン酸を備えることができ、また、C末端位置は、N末端位置の該基と可逆的な共有結合反応を形成することが可能な基を備えることができる。一つの実施形態において、N末端及び/又はC末端位置のいずれかは、誘導体化され、更に(上述した)保護基を備えるようにすることができる。
【0049】
ここで説明する方法で用いるPNAオリゴマーは、直交する保護基で保護したN−2アミノエチル−グリシン単位を用いて合成され得る。かかる単位は、下記一般式:
【化26】

を有することができ、
ここで、P及びPは、ジスルフィド(Ardec(アリールジチオエチルオキシカルボニル))、光開裂保護基(ニトロベラチル系)、ブチルオキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、トリフルオロアセチル(Tfa)、フタルイミド、ベンジル、アリルオキシカルボニル(Alloc)、N−[1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキシ−1−イリデン)エチル](Dde)、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)及びトリチル基とすることができる(Green,Wiley-Interscience, New York, 1999)。
【0050】
上述したPNAオリゴマーは、遺伝子分析方法において特定の用途を見出すことができる。
【0051】
そのようなものとして、第3態様においては、本発明が、遺伝子分析方法における、本発明の第1態様によって提供される修飾塩基/核酸塩基及び/又はここで説明したPNA単量体/オリゴマーの一つ又はそれ以上の使用を提供する。「遺伝子分析」には、例えば、核酸の核酸塩基の特徴づけ、同定及び/又は配列決定が含まれ得ることを理解されたい。一つの実施形態において、該方法は、一塩基多型を特徴づけしたり及び/又は核酸を配列決定するのに使用できる。
【0052】
当業者は、用語「一塩基多型」又は「SNP」をよく知っている。簡単に言えば、「SNP」は、ゲノムの変化の形を示すものであり、ここで、該ゲノムの特定のヌクレオチドが、集団のメンバーの間で変化する。一例として、SNPは、2つの対立遺伝子(すなわち、特定の座位にて考えられる2つのヌクレオチドの内の1つ)を備えることができ、また、かかる場合においては、集団内の個体の一部が、特定の座位で1つのSNP対立遺伝子を保有するが、他の個体は、同じ座位で他の対立遺伝子を保有する。
【0053】
したがって、「核酸塩基を特徴づける」という語句は、核酸配列の特定の核酸塩基を同定し又は決定する行為を包含しており、言い換えれば、特定のヌクレオチドがどんな核酸塩基を備えるのかを同定する。この方法を用いてSNPを特徴づける場合、「特徴づける」の語は、どの特定のSNP対立遺伝子(又は核酸塩基)が特定の核酸配列に存在するかを決定する行為を包含する。
【0054】
したがって、第4態様において、本発明は、核酸の配列におけるヌクレオチドを特徴づける方法を提供するものであり、前記方法は、
(a)核酸を、該核酸の一部と混成し、該核酸の核酸塩基に相補的な核酸塩基を欠くことが可能なペプチド核酸(PNA)オリゴマーと接触させ、核酸/PNA二本鎖を形成する工程と、
(b)核酸/PNA二本鎖を、本発明の第1態様に従う修飾核酸と接触させる工程と、
を含み、
ここで、上記核酸/PNA二本鎖と統合する修飾核酸が、核酸の核酸塩基に相補的であり、ヌクレオチドが、PNA単量体の検出可能なタグを用いて特徴づけられる。
【0055】
当業者が理解することには、核酸配列の核酸塩基と相補的な塩基を欠くPNAオリゴマー部分は、上述した修飾塩基の部分と可逆的に反応することが可能な部分、例えば第2級アミンを与えることができる。そのようなものとして、核酸/PNA二本鎖との接触時に、核酸の核酸塩基と相補的な(又は適合した)修飾塩基は、例えば、(i)PNAオリゴマーの第2級アミンと修飾核酸塩基の反応部位(アルデヒド基)との間の可逆的なイミニウム種の形成、また、(ii)修飾核酸塩基と核酸の核酸塩基との間の水素結合の形成によって、核酸/PNA二本鎖に組み込まれ得る。
【0056】
一つの実施形態において、上記方法は、更に、核酸/PNA二本鎖と統合された、核酸のヌクレオチドと相補的な(すなわち、一組になった)塩基を捕捉する工程を備えることができる。例えば、PNAオリゴマーの第2級アミンと修飾核酸塩基の可逆的な共有結合反応が可能な基との間の可逆反応を停止することができる。例えば、シアノ水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤を用いて、イミニウム種を還元して第3級アミンを安定化させる。
【0057】
「核酸配列の一部と混成することが可能な」という語句は、PNAオリゴマーは、核酸配列の一部と相補的であるか又は核酸配列の一部とある程度の相同性を共有することを意味すると理解できる。
【0058】
当業者は、核酸/PNA二本鎖と接触した各修飾核酸塩基上に存在する検出可能なタグを用いて、どの修飾核酸が核酸/PNA二本鎖に組み込まれたか検出できることを容易に理解することになる。このように、核酸のヌクレオチドの特徴づけは、容易に達成できる。例えば、核酸/PNA二本鎖と統合していることが分かった修飾核酸塩基が、チミン核酸塩基を備えることを示すタグを備える場合、標準的な相補的核酸の対形成に従って、核酸のヌクレオチドは、アデニン核酸塩基を備えることが必要である。
【0059】
理論に束縛されることを望むものではないが、核酸の核酸塩基と相補的な修飾核酸塩基の統合は、相補的な(適合した)及び不適合の核酸塩基の様々な相互作用の強さと、4つの修飾核酸塩基の相対的濃度とに関連する動的選択過程の例を示すことができ、緩衝液濃度、pH、温度の変化及び異なる触媒の使用によって制御できる。動的選択過程は、当業者によく知られており、多くの相補的成分がテンプレートの存在下で一緒に混合される系を包含する(J.M. Lehn, Nat. Rev. Drug Disc, 2002 1, 26-36)。このような系において設定する動的平衡によって、最も強く結合した配位子が優位となるため、テンプレートは、付加した様々な成分から、それ特有の「配位子」又は「パートナー」を「構築」又は選択する。
【0060】
有利には、核酸/PNA二本鎖は、上述した修飾核酸塩基のそれぞれと接触する。典型的には、核酸/PNA二本鎖は、核酸サンプルに存在し得る核酸塩基のそれぞれと相補的な核酸塩基を備える修飾核酸塩基と接触することになる。例えば、一つの実施形態において、核酸/PNA二本鎖は、上述した修飾アデノシン、グアニン、シトシン、及びチミン塩基と接触し得る。更に、ここで説明する方法で用いた各種の修飾塩基が、他の修飾塩基と個別に区別できるタグを備えることを確保することで、核酸サンプルにおけるヌクレオチドの特徴づけを容易に達成できる。
【0061】
ここで説明する方法を溶液中で行う間においては、核酸又はPNAオリゴマーを、何らかの形の支持体、好ましくは固体の支持体に固定化するか又は結合することが有利となり得る。一つの実施形態において、支持体は、ガラス、ニトロセルロース、セルロース、プラスチック、アガロース、ビーズ、金属(例えば金等)等を備えることができる。ビーズの場合、約1nmから約2mmの大きさが好ましい。
【0062】
第5態様において、本発明は、核酸のヌクレオチドを特徴づける代替方法を提供する。上述したように、「特徴づける」という語は、ヌクレオチドの特定の核酸塩基を同定する行為を包含する。先に与えた定義の全てを本発明のこの態様に適用できることに留意されたい。第5態様に従う方法は、
(a)核酸配列を、特徴づけられるヌクレオチドの核酸配列上流の一部に相補的で、更に可逆的な共有結合反応が可能な官能基を備えるPNAオリゴマーと混成させ、核酸/PNA二本鎖を形成する工程と、
(b)核酸/PNA二本鎖を、本発明の第2態様に従う修飾PNA単量体と接触させる工程と、
を含み、
ここで、核酸/PNA二本鎖と統合する修飾PNA単量体は、ヌクレオチドの核酸塩基に相補的であり、前記ヌクレオチドは、PNA単量体の検出可能なタグを用いて特徴づけられる。
【0063】
好ましくは、PNAオリゴマーは、特徴づけられるヌクレオチドのすぐ上流に位置する核酸の配列と混成し又は相補的である。言い換えれば、PNAオリゴマーは、核酸のヌクレオチドに対して位置3'での核酸配列と混成又は結合し、PNAオリゴマーの末端(又はN-end)残基が、特徴づけられるヌクレオチドのすぐ近くに位置するようにする。
【0064】
有利には、核酸/PNA二本鎖は、核酸サンプルに存在し得る核酸塩基のそれぞれと相補的な核酸塩基を備える修飾PNA単量体(本発明の第2態様によって与えられるもの等)と接触する。例えば、一つの実施形態において、核酸/PNA二本鎖は、上述したアデノシン、グアニン、シトシン及びチミン核酸塩基を備える修飾PNA単量体と接触し得る。
【0065】
当業者が理解することには、PNA単量体が核酸/PNA二本鎖と接触するとき、核酸の核酸塩基と相補的な修飾核酸塩基を備えるPNA単量体は、(上述の)動的選択によって、核酸/PNA二本鎖中に組み込まれることになる。
【0066】
ここで説明する方法、特には本発明の第5態様によって与えられる方法は、本発明によって与えられるPNA二量体を利用することができる。かかる場合、例えば上記工程(b)において説明するようにPNA単量体を用いるのではなく、第5態様によって与えられる方法は、ここで説明するPNA二量体(又は三量体)を利用することになる。更に、特徴づけられるヌクレオチドを備える核酸配列と混成したPNAオリゴマーは、特徴づけられるヌクレオチドの上流で、PNA二量体の末端(又はN-end)残基が、特徴づけられるヌクレオチドのすぐ近くに位置するヌクレオチドに隣接するようにして混成できる。このようにして、特徴づけられるヌクレオチドを含有する核酸ストランドと正しく混成させるため、PNA二量体は、2つの相補的な核酸塩基を備えることが必要であり、一方は、特徴づけられるヌクレオチドに相補的で、他方は、それらのすぐ上流のヌクレオチドに相補的である。
【0067】
当業者が理解することには、PNA単量体又は二量体ではなくPNA三量体を用いる場合、PNAオリゴマーは、特徴づけられるヌクレオチドを備える核酸配列に混成することができ、PNAオリゴマーのN-末端と配列決定されるヌクレオチドとの間に核酸配列の2つのヌクレオチドがあるようにする。このようにして、PNA三量体の正しい組み込みは、3つの相補的な核酸塩基を所有することが必要であり、2つは、特徴づけられるヌクレオチドのすぐ上流のヌクレオチドに相補的で、1つは、特徴づけられるヌクレオチドに相補的である。
【0068】
一つの実施形態において、本発明の第5態様によって与えられる方法は、更に、例えば可逆反応を停止することで、核酸の核酸塩基に相補的な核酸塩基を備える修飾PNA単量体(又はPNA二量体/三量体)を捕捉する工程を含むことができる。例えば、イミン種は、シアノ水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤を用いた還元的アミノ化として知られる過程において還元できる。
【0069】
有利には、修飾PNA単量体(又はPNA二量体/三量体)のそれぞれが、他の種類のPNA単量体(二量体又は三量体)上の検出可能なタグと区別できる少なくとも1つの検出可能なタグで標識化されるため、統合された特定の単量体(二量体又は三量体)の検出は容易に達成できる。
【0070】
当業者が容易に理解することには、PNA二量体を用いる場合、考慮される必要がある4つの標準的なヌクレオチド(A,G,T及びG)の考えられる16個の組み合わせがある。このように、PNA二量体を用いる場合、ここで説明する方法は、16個の可能性のあるPNA二量体全部の付加を必要とすることがある。同様に、PNA三量体を用いる場合、4つの標準的なヌクレオチドの考えられる64個の組み合わせがあり、このようにしてPNA三量体を用いる場合、ここで説明する方法は、64個のPNA三量体全部の付加を必要とすることがある。
【0071】
上述のように、上述の方法のそれぞれは、核酸配列の特定の核酸塩基/ヌクレオチドの特徴づけを参照しながら説明されたが、該方法によって、使用者が、核酸サンプルに存在するSNPを特徴づけできることも理解されたい。例えば、SNPが遺伝子内の特定の座位で起こることが分かれば、SNP座位の側部又は(上述の)SNP座位のすぐ上流で混成するPNAオリゴマーを設計することによって、SNPを特徴づける(すなわち、どの特定のSNP対立遺伝子が該座位に存在するかを同定する)ことが可能になる。かかる方法は、特定の遺伝子疾患に関連する変異を検出するのに特に有用となり得る。
【0072】
第6態様において、本発明は、核酸を配列決定する方法を提供するものであり、前記方法は、
(a)核酸配列を、前記核酸配列の一部と混成して、本発明の第2態様に従うPNA単量体と相互作用することが可能な官能基をN-末端位置にて有するPNAオリゴマーと、核酸/PNA二本鎖を形成できる条件下で混成させる工程と、
(b)核酸/PNA二本鎖を、本発明の第2態様に従うPNA単量体に接触させる工程と、
を含み、
ここで、核酸/PNA二本鎖と統合するPNA単量体は、その後にPNA単量体の検出可能なタグを用いて同定できる核酸配列の核酸塩基に相補的である。
【0073】
各PNA単量体は、他の核酸塩基を備えるPNA単量体の検出可能なタグと区別できる検出可能なタグで標識化できるため、核酸/PNA二本鎖内に組み込まれるか又は核酸/PNA二本鎖と統合されるPNA単量体のタグを検出することで、核酸を配列決定することができる。
【0074】
加えて、上述したように、本発明の第6態様によって与えられる方法は、工程(b)においてPNA単量体を用いるよりも、本発明によって与えられるPNA二量体及び/又は三量体を用いることができる。
【0075】
好ましくは、核酸/PNA二本鎖と接触したPNA単量体(又は二量体若しくは三量体)のそれぞれは、(上述したように)そのN-末端位置に遮断基を備えることができる。かかるPNA単量体(又は二量体若しくは三量体)は、以下「ブロックトPNA単量体(二量体/三量体)」と呼ばれる。ブロックトPNA単量体(二量体/三量体)を用いる方法は、特に、一つのPNA単量体のみが1回に核酸/PNA二本鎖と統合できるので有利である。その後に統合される更なるPNA単量体(二量体又は三量体)のため、統合したPNA単量体(二量体又は三量体)の遮断基を(任意には、いずれかの検出可能なタグと共に)まず除去しなければならない。このようにして、更なるPNA単量体(二量体又は三量体:ブロックト又はそうでないもの)を付加する前に、統合した修飾核酸塩基の検出可能なタグを同定でき、対応する核酸の核酸塩基を決定できる。
【0076】
保護基を(存在するいずれかのタグと共に)除去するのに使用できる技術は、当業者に知られており、例えば、塩基性系開裂、酸性系開裂、ジスルフィド還元、金属系触媒反応、光系開裂反応を含むことができる(Green,Wiley-Interscience, New York, 1999)。
【0077】
統合した修飾核酸塩基上に存在する保護基及びいずれかのタグの除去は、遊離アミン、アルデヒド/ケトン、ヒドラジド、ヒドラジン、アルコキシアミン、アルコール、ジオール及び/又はボロン酸等、他のPNA単量体と可逆的に反応することが可能な部分を露出するか又は得ることができる。加えて、該方法は、更に、更なる可逆的な反応を防ぐために統合したPNA単量体を捕捉する工程を備えることができる。例えば、シアノ水素化ホウ素ナトリウムによるイミン種の還元と、更には、例えば塩化アセチルを用いたアミド化によって生成した第2級アミンの捕捉である。核酸/PNA二本鎖と統合するための各修飾核酸塩基は、核酸の相補的な核酸塩基に結合するため、ここで説明する方法は、その後に核酸の配列を決定することを可能にする。
【0078】
ここで説明する各方法は、従来技術を越えて多くの利点を提供する。特に、酵素を必要とせず、標識化された三リン酸塩を必要とせず、標識化されたPNA単量体、二量体又は三量体のみを使用する。加えて、例えば、酵素の要求によってのみ使用されるアルキンの使用等の既存の戦略のような、現在のフルオロフォア付着戦略を使用する必要がない(Q. Meng et al., J. Org. Chem., 2006, 71, 3248-3252)。
【0079】
当業者が理解することには、本発明によって与えられるいずれかの方法、特には本発明の第4態様、第5態様及び第6態様によって与えられる方法は、マイクロアレイ技術の使用を必要とする場合がある。例えば、特徴づけられるヌクレオチドを備える核酸は、例えば、マイクロプリンティングシステム等を用いて、何らかの形の適切な支持体上に固定化され得る。このように、多くの異なる核酸は、このような離れた場所の支持体上に固定化できる。
【0080】
他の実施形態において、特徴づけられるヌクレオチドを備える核酸は、他の成分と共に溶液中に入れられる場合があり、すなわち、PNAオリゴマー、修飾核酸塩基等も溶液中に加えられる。
【0081】
更なる実施形態において、特徴づけられるヌクレオチドを備える核酸は、例えば、質量分析に適切な金表面等の支持体上に固定化できる。
【0082】
本発明の第7態様において、本発明の第4態様、第5態様及び第6態様によって与えられる方法に必要な試薬及び要素を備えるキットを提供する。一つの実施形態において、キットは、核酸のヌクレオチドを特徴づける方法及び/又は核酸を配列決定する方法に有用な試薬及び要素を提供し、前記キットは、
(a)核酸の一部と混成して、特徴づけられるヌクレオチドの核酸塩基に相補的な核酸塩基を欠くことが可能なペプチド核酸(PNA)オリゴマー、
(b)本発明に従う修飾核酸塩基、
(c)ここで説明されるPNA単量体、二量体、三量体及び/又はオリゴマー、及び
(d)特徴づけられるヌクレオチドの核酸配列上流の一部に相補的で、更に可逆的な共有結合反応が可能な官能基を備えるPNAオリゴマー
からなる群から選択される要素を備える。
【0083】
当業者が理解することには、本発明は、DNA模倣のPNAを参照しながら説明されたが、他のDNA模倣物もまた、核酸塩基の動的な組み込みが可能であるとすれば使用できる。かかる代替の模倣物には、R. J. Worthington et al., Org. Biomol. Chem.,2007, 5, 249-259によって開示されるものが含まれる。加えて、本発明の第4態様、第5態様、第6態様及び第7態様によって与えられる方法において、修飾DNA二量体、三量体及び/又はオリゴマーを用いることが可能となる。より詳細には、配列決定される核酸配列と混成し又は特徴づけられるヌクレオチドを備えることが可能なPNAオリゴマーの使用を必要とするこれらの工程は、代案の実施形態において、可逆反応が可能な必須の官能基及び/又は特徴づけられるヌクレオチドに対応する空白位置を含むように修飾した、DNA二量体、三量体及び/又はオリゴマーを利用する。
【0084】
図を参照しながら、本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】PNA−DNA混成を示すPNA及びDNAの構造である。
【図2】動的系SNP分析である。SNP位置と反対の塩基を欠いている相補的PNA配列は、SNPを備える核酸配列と混成し、核酸/PNA二本鎖を形成する。動的付着によって、SNPヌクレオチドに相補的な塩基は、核酸/PNA二本鎖と統合する。各修飾塩基は、フルオロフォアとなり得る特定のタグで標識化できる(図1参照)。
【図3】図2に示す動的系SNP分析の説明図である。
【図4】動的系SNP分析の代替方法である。DNAオリゴマーは、N末端で遊離アミノ基を有する相補的PNAオリゴマーと混成し、SNP核酸塩基に相補的な塩基の動的付着を可能とする。
【図5】図4に示す動的系SNP分析の説明図である。
【図6】動的系DNA配列決定の説明図である。(a)表面上に付着するか又は溶液中にある、N末端位置で遊離アミノ基を含有するPNAオリゴマー、(b)対応する「PNAプライマー」に対するDNAテンプレート混成、(c)4つのN-保護アルデヒドPNA単量体の付加、(d)対応する核酸塩基の動的付着、(e)保護基とタグの双方の除去、還元過程による成長ストランドの「固定」、及び(f)繰り返しである。
【図7】動的系DNA配列決定の説明図である。(a)表面上に付着するか又は溶液中にある、DNAオリゴマー、(b)N末端位置で遊離アミノ基を有する「PNAプライマー」が対応するDNAテンプレートと混成すること、(c)4つのN-保護アルデヒドPNA単量体の付加、(d)対応する核酸塩基の動的付着、(e)保護基とタグの双方の除去、還元過程による成長ストランドの「固定」、及び(f)繰り返しである。
【図8】図6及び図7の動的系DNA配列決定である。
【図9】アルデヒド塩基の合成:(i)ブロモアルキルアセタールを用いた核酸塩基のN-アルキル化、(ii)Sonogashira反応を介した核酸塩基の標識化、(iii)アセタール保護基の脱保護である。
【図10】保護した/タグを付けたPNA-アルデヒドの合成:(i)プライマーの保護、(ii)CMmtCH2COOH、AMmtCH2COOH又はGMmtCH2COOH又はT-CH2COOH、DCC、HOBt;NB=核酸塩基である。
【図11】8のDNAオリゴマー(表1)及び蛍光標識マーカーをプリントした後のパターンの配置図である。
【図12】空白位置を含有するPNA13と混成した蛍光DNAマーカーをプラスした、8のDNAオリゴマー(表1)を含有するスライドのFITCチャンネルイメージである。DNAマーカーのみを検出する。
【図13】空白位置を含有するPNA13と混成した蛍光DNAマーカーをプラスした、8のDNAオリゴマー(表1)を含有するスライドのCy5チャンネルイメージであり、PNA−DNAの逆平行二本鎖を混成することができる。
【図14A】(A)圧電ピペットを設けたMicrodropロボットを用いてアルデヒドスライド上にプリントしたアミノ修飾オリゴヌクレオチド(表2)のパターンを示す(3×8パターン)。
【図14B】(B)PNA13及び表2で見られるDNAオリゴヌクレオチドによって形成された逆平行二本鎖の略図である。
【図14C】(C)オリゴ1及び2(表2)と混成したPNA13を示す蛍光イメージ(Cy5チャンネル)である。
【図14D】(D)DNA−PNAの13の二本鎖を含有するアレイのアルデヒド9及び10でのインキュベーション後の蛍光標識シトシンアルデヒド10の動的組み込みを示すFITCチャンネルイメージである。蛍光シグナルは、G-逆平行オリゴ2(表2,図14A及び14B)をプリントした場所のみで検出された。
【図14E】(E)インサイチューでのアプローチの結果と、蛍光標識シトシンアルデヒドの動的組み込みとを示す更なるFITCチャンネルのイメージである。蛍光シグナルは、G-逆平行オリゴ2(表2,図14A及び14B)をプリントした場所のみで検出された。
【図15】(A)第2核酸塩基が色素によって画定された場所を動的配列決定するためのアルデヒドの合成である。(B)第1核酸塩基が色素によって画定されたPNA二量体である。
【図16】(A)二量体の第2核酸塩基が検出可能なタグで標識化されたPNA二量体を用いたヌクレオチド特徴づけの方法である。(B)第1核酸塩基が検出可能なタグで標識化されたPNA二量体を利用したヌクレオチド特徴づけの代替方法である。
【図17】質量分析を基にしたSNP分析の方法を示す概略図である。
【図18】質量分析を基にしたSNP分析で用いる修飾核酸塩基の一般的な構造を示す。
【図19】質量分析を基にした核酸配列決定方法に有用な修飾核酸塩基の一般的な構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0086】
方法
標識化塩基、ビルディングブロック及びプライマーの合成
(i)PNA−アルデヒド単量体及びアルデヒド塩基。図9及び10において示されるように用意した。この方法は、多くの保護基に適用でき、これには、Dde基、Fmoc基、開裂可能なチオール保護基(Ardec(アリールジチオエチルオキシカルボニル)光開裂保護基(ニトロベラチル系)及びフルオロフォアが含まれる。
【0087】
上述の詳細な方法は、ブロモ及びヨード-ピリミジン及びプリン誘導体のプロパルギルアミンへの典型的なSonogashiraカップリングと、各種フルオロフォアでの蛍光標識化によって、蛍光標識物質を与えるのに適用できる(スキーム3参照)。このアプローチはまた、蛍光標識した「アルデヒド塩基」の合成にも適用できる(図6)。フルオロフォアの選択は、塩基の個々の検出を可能にする必要性によって決定することになる。
【0088】
保護及びタグを付けたPNA−アルデヒドの合成:
標準的な化学に従って、PNAカルボン酸、PNAエステル又はPNAアルコールからPNA−アルデヒド2を用意した(スキーム1)。1は、開示された方法に従って用意された(L. Bialy et al.. Tetrahedron 2005, 61, 8295-8305)。
【0089】
【化27】

スキーム1.標的の合成.
【0090】
例3をWeinrebアミド4に転換しながら(スキーム2)、その後、標的アルデヒド2を与えるように還元した。4の過剰な還元を防ぐため、より軽度の還元剤リチウムトリ-tert-ブトキシアルミニウムヒドリド(LiAlH(O−t−Bu))をLiAlHの代わりに用いた(M. Paris et al. Tetrahedron Lett. 1998, 39, 1341-1344)。
【0091】
【化28】

スキーム2.Weinrebアミドの還元を経た標的アルデヒドの合成:(a)MeONHMe.HCl,EDC.HCl,HOBt.HO,EtN,DMF,室温;(b)LiAlH(O−t−Bu)),THF,室温,収率65%(HPLC).
【0092】
アルデヒドは、トレオニル樹脂上でのキャッチ・アンド・リリースストラテジーを用いて精製した(D.R. Liu et al. J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 13924-13925)。
(a)樹脂の準備:アミノメチルNovaGel HLをDMFで約10分かけて膨潤させた。その間、DIPEAをFmoc−Thr(t−Bu)−OH及びTBTUのDMF溶液に加え、反応混合物を5分間振った。次いで、膨潤した樹脂を濾過し、活性化した保護トレオニンの溶液を加えた。得られた縣濁液を室温で2時間振った。次いで、樹脂を反応混合物から濾過し、DMF(5回)、THF(5回)及びDCM(5回)で洗浄し、その後、40℃の真空内で一晩乾燥させた。次に、該樹脂を約10分間DMF中で膨潤させて濾過し、その後、DMF中の20%v/vピぺリジンで2回振った。その後、樹脂をDCM中の80%v/vTFA(トリフルオロ酢酸)で振って、濾過し、DCMで1回洗浄し、再びDCM中の80%v/vTFAで振った。樹脂を濾過し、DCMで(5回)洗浄し、40℃の真空内で乾燥させた。
【0093】
(b)キャッチアンドリリースによるアルデヒドの精製
捕獲:脱保護したトレオニル除去樹脂に粗アルデヒドの溶液に加えた。混合物を室温で1時間振り、次いで樹脂を濾過及び洗浄した。放出:樹脂をAcOH/HO/DCM/MeOHの混合物(10/5/5/80,2ml×5)で20分間振って洗浄し、洗浄物を真空で濃縮してアルデヒドを得た。
【0094】
【化29】

スキーム3.不純アルデヒドのトレオニン修飾樹脂での縮合は、支持オキサゾリジンを生じる。洗浄後、開裂によって純アルデヒドを与える。
【0095】
1.アルデヒド2への代替経路は、スキーム4に示されるようにS−ベンジルチオエステル5を経由するものである(P.T. Ho, et al. J. Org. Chem. 1993, 58, 2313-2316)。
【化30】

スキーム4:標的アルデヒドのS−ベンジルチオエステルを介した合成:(a)ベンジルメルカプタン,DMAP,DCC,DMF,室温,(b)トリエチルシラン,Pd/C,THF,室温,20時間,収率95%(HPLC).
【0096】
代替経路は、メチルエステルを対応する第一級アルコールへの還元及びその後の酸化又はPNAアルコールの直接合成及び酸化が含まれる。
【0097】
SNP分析のためのタグを付けた核酸塩基−アルデヒドの合成(方法1):市販のハロ−核酸塩基から、マイクロ波照射下で2−(ブロモメチル)−1,3−ジオキソラン(スキーム5)でのアルキル化、その後のTfa保護プロパルギルアミンでのSonogashira反応、Tfa保護基の脱保護、及びカルボン酸誘導体化色素とのカップリングによって、核酸塩基−アルデヒド6を用意した。
【0098】
【化31】

スキーム5.核酸塩基−アルデヒドを合成するための一般的な戦略
【0099】
例として、チミン及びシトシン誘導体をスキーム6及び7で説明したように合成した。
【0100】
【化32】

スキーム6:ローダミン標識化シトシン−アルデヒド7の合成
【0101】
【化33】

スキーム7:フルオレセイン標識化チミン−アルデヒド8の合成
【0102】
核酸塩基のアセタールでのアルキル化
この過程は、THF中100℃にて30分間のマイクロ波放射を用いて最適化された。NEtと共に1.2当量の2−(ブロモメチル)−1,3−ジオキソランの使用によって、モノ−アルキル化生成物を4:1の比で生じさせた。
【0103】
核酸塩基の標識化は、アミノメチルアセチレンを用いたSonogashiraクロスカップリング反応を介して達成された。
(a)アンモニアでTfa基を脱保護する前のTfa保護アミノメチルアセチレンとのSonogashira反応。PyBOPは、カップリング剤である。
(b)第2に研究された経路は、既に色素を有するアセチレン基とのSonogashira反応を行うことであった。この反応は、ヒドロキシニトロベンゾイック樹脂を用いた支持された活性化色素とアミノメチルアセチレンを反応させることによって行われた(スキーム8)。
【0104】
【化34】

スキーム8:支持された活性化色素を用いた標識化アセチレンの合成
【0105】
最後に、HO中2NのHClを用いてアセタールを脱保護し、生成物7及び8を与えた。
【0106】
「クランプ」SNP分析のための蛍光標識アルデヒド塩基の合成
核酸塩基のアルキル化は、L. Christensen et al., Nucl. Acids Res., 1998, 26, 2735-2739によって説明された修飾手順を用いて達成された。1当量のハロゲン化核酸塩基をNaH(1.2当量)と共にDMF中に溶解し、その後30分間室温で撹拌した。次いで、1.12当量のブロモアセトアルデヒドジエチルアセタールを加えて、マイクロ波放射下で30分間120℃にて溶液を撹拌した。
【0107】
アルキル化ハロ塩基は、N.K. Garg et al. Chem. Commun., 2005, 4551-4553に記載の手順に従い、Tfa保護アミノメチルアセチレンを用いたSonogashiraクロスカップリングを受けた。MeOH中、Tfa基をアンモニアで脱保護し、カルボキシル基を含有する色素をカップリングするのに用いる遊離第1級アミンを与えた。アミドカップリングは、HOBt/EDCl HClカップリング剤を用いて達成された。
【0108】
アセタール脱保護は、24時間室温での75%TFA/12.5%HO/12.5%CHCNによる処理によって達成された。或いは、60℃にてマイクロ波放射下で2時間加熱する。アセタールは、RP−HPLCによって精製された。RP−HPLCは、Phenomenex Prodigy C18逆相カラム(250mm×10mm×5mm)を設けたHP1100システム上で、2.5mL/minの流速にて行われ、(A)HO中0.1%TFA及び(B)アセトニトリル中0.042%TFAで溶出し、0%(B)での4分の初期均一溶媒期間、その後の25分間で0〜50%(B)の勾配、10分間で50〜100%(B)の勾配で、5分間100%(B)で保持した。ESI−/MS分析は、Agilent Technologies LC/MSDシリーズ1100四重極質量分析計(QMS)上、エレクトロスプレーイオン化(ESI)モードにて行われた。最終アルデヒドは、NMR及びLC−MS(ESI)によって同定された。
【0109】
例として、ローダミン標識化チミンアルデヒド(スキーム9)及びフルオレセイン標識化シトシンアルデヒド(スキーム10)を上述のように生成した。このようにして修飾した核酸塩基は、ここで説明するいずれかの方法、特にSNP特徴づけ及び/又は分析の方法において使用できる。
【0110】
【化35】

スキーム9:「クランプ」アプローチを用いたSNP分析のためのローダミン標識化チミン9アルデヒドの合成
【0111】
【化36】

スキーム10:「クランプ」アプローチを用いたSNP分析のためのフルオレセイン標識化シトシンアルデヒド10の合成
【0112】
当業者が理解することには、BODIPY色素を用いたアデニン及びグアニン誘導体は、同様の方法において準備することになる。かかる場合、ハロ核酸塩基は、以下のものである。
【化37】

【0113】
N−2(Dde−アミノ)エチル−N−boc−グリシン11の合成
【化38】

メチルN−2(Dde−アミノ)エチル−グリシンンエステル(1mmol)(L. Bialy et al.., Tetrahedron, 2005, 61, 8295-8305)の乾燥THF溶液(10mL,0.1M)に、BocO(1.1mmol)及びトリエチルアミン(1.1mmol)を加え、反応を5時間撹拌し、TLCによって追跡した。溶媒を除去した後、クルードをDCM中に溶解し、NaHCO,KHSO及び塩水で洗浄した。有機相をNaSO4anhで乾燥し、濃縮して黄色の固体を得た。更なる精製をせず、クルードをMeOH中に溶解し、2MのCsCO水溶液を加えた。1.5時間後、反応をKHSOでpH3まで酸性化した。酸は沈殿し、濾過及び乾燥して、白色の固体としての酸11を得た。
【0114】
PNAオリゴマー12及び13の合成
PNAオリゴマー12(HN−TACTACATC CTTCC−CONH)及び13(Cy5COHN−TACTACATC CTTCC−CONH =boc脱保護した空白単量体9をDde保護単量体(Bradley et al., Tetrahedron, 2005, 61, 8295-8305)を用いて固相上で(JJ. Diaz-Mochon et al., Org. Lett. 2004, 6, 1127-1129)合成した。空白単量体を挿入するため、N−2(Dde−アミノ)エチル−N−boc−グリシン11を用いた。
【0115】
HPLC及びMALDI−TOF
PNA12(MALDI−TOF;理論質量:3780,観測質量:3781(M+1).
PNA13(MALDI−TOF;理論質量:4244,観測質量:4246(M+1).
【0116】
アレイベースのスクリーニング
8−アミノ修飾オリゴヌクレオチド(表1)を、SNP分析のためのCode−link(Amersahm)スライド上に接触プリントした。それらのオリゴは、PNA13と混成した場合の平行配向(DNA3'末端に面するPNAのC末端)又は逆平行(DNA3'末端に面するPNAのN末端)のいずれかを有するように設計された。
【0117】
【表1】

【0118】
スライドは、Genetix Qmini Arrayer及び固体ピンを用いてプリントされた。FITC標識化DNAオリゴは、マーカーとして使用され、図11に示す以下のパターンを用いた。
【0119】
HybGen緩衝液(Genetix)中のPNA13の2μM溶液を、スライド上でHyb4混成ステーションを用いて混成した(6時間に亘って65℃〜40℃、その後の2時間40℃)。洗浄後、スライドをLavision Biotech Scanner FITC及びCy5フィルターセットを用いてスキャンした(図12及び13)。図12は、FITCチャンネルを示し、マーカーのみを検出しており、図13(Cy5チャンネル)では、逆平行配向のオリゴのみが、修飾PNA13を混成することができた。
【0120】
SNP分析
アミノ修飾オリゴヌクレオチド(表2)をSNP分析のためのアルデヒドスライド(Genetix)上にインクジェットプリントした。それらのオリゴは、PNA13と混成する場合の逆平行(DNA3'末端に面するPNAのN末端)配向に従って混成するように設計された。
【0121】
【表2】

【0122】
スライドは、Microdropロボット及び圧電ピペットを用いてプリントされた。図14Aは、用いたパターンを示す。
【0123】
HybGen緩衝液(Genetix)中のPNA13の2μM溶液を、55℃〜30℃で12時間以上のHyb4混成ステーションを用いてスライド上で混成した。洗浄後、スライドをLavision Biotech Scannerを用いてスキャンした。図14Bは、形成された二本鎖を示す。図14C(Cy5チャンネル)は、逆平行配向を有するオリゴが修飾PNA13を混成できたことを示す。
【0124】
アレイを混成した時点で、アルデヒド塩基9及び10をアレイでインキュベートした。アレイが、各アルデヒド5μMで、1mMのNaBCNHと共に室温で16時間(図14D参照)、pH6(0.1M NHOAc)及びpH8.5(0.2M NaHCO;0.3M NaCl)の両方でインキュベートした場合に、動的組み込みが観察された。フルオレセインチャンネル(FITCチャンネル)を用いて得た画像は、DNAオリゴ2(G逆平行)を検出する(図14D)。このシグナルは、フルオレセイン色素を有する塩基−アルデヒドに由来し、この場合、シトシンアルデヒド10は、Gに完全に一致する。
【0125】
また、第2のアプローチを使用した。HybGen緩衝液(Genetix)中のPNA13の2μM溶液に、アルデヒド9及び10を2μMの濃度で1mMのNaBCNHと共に加えた。この溶液を用いて、表2に示すDNAオリゴを含有するスライドを混成した。55℃〜30℃で12時間混成した。これらの条件下、フルオレスセインチャンネル(FITCチャンネル)を用いて得た画像は、DNAオリゴ2(G逆平行;図14E参照)を検出する。このシグナルは、フルオレスセイン色素を有する塩基−アルデヒドに由来し、この場合、シトシンアルデヒド10は、Gに完全に一致する。
【0126】
溶液ベースのスクリーニング
PNAオリゴマー12の合成
PNAオリゴマー14(NH−CATTCTTCCTCT−CONH)は、Dde保護単量体(L. Bialy et al., Tetrahedron, 2005, 61, 8295-8305)を用いて固相上で合成した(J.J. Diaz-Mochon et al., Org. Lett. 2004, 6, 1127-1129)。
PNA14(MALDI−TOF;理論質量:3345,観測質量:3348(M+1).
PNA14に相補的な2つのアミノ修飾オリゴヌクレオチドは、質量分析及び固相分析を用いて溶液中のDNA分析に使用された。
【0127】
【表3】

【0128】
HybGen緩衝液中のPNA14の1μM溶液に、TE緩衝液中のDNAオリゴマーの1.2μM溶液を加えた(表3)。この混合物を65℃まで加熱し、その後ゆっくり40℃まで冷却した。この段階で、PNA単量体アルデヒド2を加える前に、異なるpHの変更を行った。延長反応は、逆相カラム及びアンモニア緩衝液を用いたHPLC及び質量分析によって行った。
【0129】
動的延長のための蛍光標識したPNAアルデヒド単量体の合成
これらの化合物は、PNA単量体の合成のためのL. Bialy et al. Tetrahedron, 2006, 61, 8295-8305によって開発された修飾プロトコルに従って合成された。主な違いは、マイクロ波を用いたエチレンジアミンのブロモアセトアルデヒドジエチルアセタールによる最初のアルキル化である(スキーム11参照)。
【0130】
溶液中のDde脱保護は、ヒドラジン及び水を用いて室温で16時間かけて達成された。色素カップリングは、EDCI及びHOBtを用いて行った。最後の脱保護は、30分間かけてアセトニトリル中のTFAを用いて達成された。精製及び分析は、上述のように行われた。
【0131】
【化39】

【0132】
例として、フルオレセイン標識化PNA−アルデヒドチミン及びローダミン標識化PNA−アルデヒドシトシンを準備した−スキーム12参照。
【0133】
【化40】

【0134】
当業者は、BODIPY色素を用いたアデニン及びグアニン誘導体が同様の方法で準備できることを理解することになる。
【0135】
配列決定のための二量体の使用
アルデヒドを、追加のPNAビルディングブロックへの付着によって準備した。これは、分裂及び混合戦略を用いた固相法によって達成した16の化合物の混合物の準備を必要とする。この場合、4のN−保護アルデヒド(A,T,C及びG)は、ヒドラジンリンカー(A. Lee et. al., J. Am. Chem. Soc, 1999, 121, 9907-9914参照)又はトレオニル除去樹脂(D.M. Rosenbaum and D.R. Liu, J. Am. Chem. Soc, 2003 125, 13924-13925)上に固定化される。その後、保護基を開裂し、4つの樹脂を混合して、4つのプールに分けて、標準的な保護PNA単量体をカップリングする。最後の核酸塩基に従う特定の色素を含有する活性化ジスルフィド(スキーム13)を用いた脱保護及び標識化に続いて、樹脂の全体的な混合及び開裂により、16のPNA二量体を与える(図15A)。
【0136】
【化41】

【0137】
図16(A及びB)は、本発明によって与えられるPNA二量体/三量体を利用するSNPs/ヌクレオチドの特徴づけ方法及び/又は配列決定方法について詳しく述べる。4つのDNAオリゴマーは、1つの位置においてのみ変えてスライドに付着させた(簡単に示すため6つの塩基のみを示す)。単一の相補的なPNA配列をアレイに混成させる(再び示すが、PNAは12塩基長さで、明確のため2つのみ示す)。16のPNA−二量体アルデヒドのすべてを加えて、対応する二量体の動的付着させる。この場合、二量体の第2塩基を、検出可能なタグを用いて同定することになる。
【0138】
代わりの実施形態においては、第1核酸塩基を検出可能なタグを用いて同定し、第2核酸塩基がランダムとなるように、二量体を作る。この場合、第1核酸塩基は、環中に色素を有するが、その保護基は、いずれの色素も有しない。図15Bは、この形の二量体の例を示す。
【0139】
金−アレイ上での質量分析に基づいた検出のためのスキーム
金−チオール自己組織化した単層(SAM)を通してDNAオリゴが付着した金表面は、遺伝物質の分析に使用できる。例えば、金表面上でのチオール修飾DNAオリゴを用いたSAMの形成及びPNAオリゴマーの混成に続いて、アルデヒド修飾核酸塩基を用いた動的組み込みを用いて、SNPs/ヌクレオチドを特徴づけしたり及び/又は核酸を配列決定したりすることができる。上述したように、PNAストランドに組み込んだ塩基は、MALDI−TOFによって検出できる(金表面の使用及びPNA−DNA混成の検出、Brandt et al/ Nucleic Acid Research, 2003, 31, e119参照)。
【0140】
SNP分析を行うとき、核酸塩基は、実質的に上述した修飾核酸塩基、即ちそれらに付着した色素を有する修飾核酸塩基、未修飾核酸塩基、又は臭化物タグ等の質量−タグを含むように修飾した核酸塩基とすることができ、明確な同位体パターンを与える(図17)。
【0141】
質量に基づいたSNP分析(MALDI−TOF等の関連技術等)で用いる修飾核酸塩基の一般的な構造を図18に与える。
【0142】
当業者は、同様の「質量に基づいた」分析アプローチが配列決定に使用でき、かかる方法に有用な修飾核酸塩基が図19で詳しく述べられることを理解する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】

【化2】

【化3】

及び
【化4】

からなる群から選択された修飾塩基であって、
Yは、可逆的な共有結合反応が可能な官能基であり、
〜Xは、検出可能なタグ又はスペーサ−タグの組み合わせであり、
Zは、炭素又は窒素であることを特徴とする修飾塩基。
【請求項2】
前記検出可能なタグが、光学的に検出可能なタグ又は標識であることを特徴とする請求項1に記載の修飾塩基。
【請求項3】
前記検出可能なタグが、ダンシル、フルオレセイン、ローダミン、テキサスレッド、IAEDANS、シアニン色素(Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7)、ボディピー色素(インビトロジェン社)、アレクサフルオロ色素(インビトロジェン社)及びSNARF色素からなる群から選択される一つ又はそれ以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の修飾塩基。
【請求項4】
前記検出可能なタグが、質量−タグであるとする、請求項1に記載の修飾塩基。
【請求項5】
前記可逆的な共有結合反応が可能な官能基が、アルデヒド、ケトン、チオール及び/又はジオールからなる群から選択されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の修飾塩基。
【請求項6】
下記一般式:
【化5】

を有する修飾PNA単量体であって、
「複素環」は、検出可能なタグを備えることができる修飾塩基(例えば、シトシン、アデニン、グアニン又はチミン/ウラシル等)であり、nは、1、2又は3と等しく、更に、Xは、前記複素環とR及びYを備える骨格との間の結合の手段を示し、Rは、可逆的な共有結合反応が可能な基を示し、一例として、Rは、アミン、ヒドラジド、アルコキシミン、ボロン酸、ジオール及び/又はチオール等の基を有することができ、Yは、可逆的な共有結合反応が可能な基であることを特徴とする修飾PNA単量体。
【請求項7】
【化6】

【化7】

【化8】

及び
【化9】

からなる群から選択されてなり、
〜Rは、可逆的な共有結合反応が可能な基であり、
〜Xは、請求項2〜4のいずれかに記載の検出可能なタグの一つ又はそれ以上であり、
Zは、炭素又は窒素であり、
Yは、可逆的な共有結合反応が可能な官能基である
ことを特徴とする請求項6に記載の修飾PNA単量体。
【請求項8】
一般式:
【化10】

を有する修飾PNA二量体であって、
NB及びNBは、核酸塩基であり、NB及び/又はNBの内の少なくとも一つが、請求項1〜5のいずれかに記載の修飾核酸塩基であり、
Yは、可逆的な共有結合反応が可能な官能基であり、
は、可逆的な共有結合反応が可能な基である
ことを特徴とする修飾PNA二量体。
【請求項9】
〜Rが、アミン、ヒドラジド、アルコキシミン、ボロン酸、ジオール及び/又はチオールからなる群から選択されることを特徴とする請求項6若しくは7に記載の修飾PNA単量体又は請求項8に記載の修飾PNA二量体。
【請求項10】
Yが、アルデヒド、ケトン、ジオール、ボロン酸及びチオールからなる群から選択されることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の修飾PNA単量体又は二量体。
【請求項11】
〜Rが、保護基、又は更に請求項2、3若しくは4に記載の検出可能なタグを一つ若しくはそれ以上備える保護基を備えるように誘導体化されたことを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の修飾PNA単量体又は二量体。
【請求項12】
〜Rの誘導体化で用いる保護基が、アセチル、N−[1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキシ−1−イリデン)エチル](Dde)、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、トリチル基、ジスルフィド(Ardec(アリールジチオエチルオキシカルボニル))光開裂保護基(ニトロベラチル系)、ブチルオキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、トリフルオロアセチル(Tfa)、フタルイミド、ベンジル、アリルオキシカルボニル(Alloc)、トルエンスルホニル(Ts)、メトキシメチルエーテル(MOM)、テトラヒドロピラニルエーテル(THP)、アリルエーテル、ブチルエーテル、ベンジリデンアセタールからなる群から選択されることを特徴とする請求項11に記載の修飾PNA単量体又は二量体。
【請求項13】
下記式:
【化11】

を有するペプチド核酸(PNA)オリゴマーであって、
NBは、アデニン、グアニン、チミン、シトシン及び請求項1〜5のいずれかに記載の修飾核酸塩基からなる群から選択され、nは、1又はそれ以上であることを特徴とするペプチド核酸(PNA)オリゴマー。
【請求項14】
遺伝子分析方法における、請求項1〜5のいずれかに記載の修飾塩基/核酸塩基及び/又は請求項6〜13のいずれかに記載のPNA単量体/二量体の内の一つ又はそれ以上の使用。
【請求項15】
前記遺伝子分析方法が、一塩基多型の特徴づけ及び/又は核酸の配列決定の目的で、核酸の核酸塩基の特徴づけ及び同定を含むことを特徴とする請求項14の使用。
【請求項16】
核酸配列におけるヌクレオチドを特徴づける方法であって、前記方法は、
(c)核酸を、該核酸の一部と混成して、特徴づけられる前記ヌクレオチドの塩基に相補的な塩基を欠くことが可能なペプチド核酸(PNA)オリゴマーと接触させ、核酸/PNA二本鎖を形成する工程と、
(d)前記核酸/PNA二本鎖を、請求項1〜5のいずれかに記載の修飾塩基と接触させる工程と、
を含み、ここで、前記核酸/PNA二本鎖と統合する前記修飾核酸が、特徴づけられる前記ヌクレオチドの修飾塩基に相補的であり、前記ヌクレオチドは、前記修飾塩基の検出可能なタグを用いて特性づけられることを特徴とする方法。
【請求項17】
核酸のヌクレオチドを特徴づける方法であって、前記方法は、
(a)核酸配列を、特徴づけられる前記ヌクレオチドの核酸配列上流の一部に相補的で、更に可逆的な共有結合反応が可能な官能基を備えるPNA又はDNAオリゴマーと混成させ、核酸/PNA又はDNA二本鎖を形成する工程と、
(b)前記核酸/PNA又はDNA二本鎖を、請求項6〜11のいずれかに記載の修飾PNA単量体又は二量体と接触させる工程と
を含み、ここで、前記核酸/PNA又はDNA二本鎖と統合する修飾PNA単量体が、前記ヌクレオチドの塩基に相補的であり、前記ヌクレオチドは、前記PNA単量体の検出可能なタグを用いて特徴づけられることを特徴とする方法。
【請求項18】
核酸を配列決定する方法であって、前記方法は、
(a)核酸配列を、配列決定される核酸の一部に相補的で、更に可逆的な共有結合反応が可能な官能基を備えるPNA又はDNAオリゴマーと混成させ、核酸/PNA又はDNA二本鎖を形成する工程と、
(b)前記核酸/PNA又はDNA二本鎖を、請求項10又は11に記載の修飾PNA単量体又は二量体と接触させる工程と、
(c)前記核酸/PNA又はDNA二本鎖と統合する前記PNA単量体又は二量体を前記検出可能なタグを用いて同定する工程と、
(d)請求項10又は11に記載の単量体から保護基を除去する工程と、
(e)工程(b)及び(c)を繰り返す工程と、
を含み、ここで、工程(c)で同定したPNA単量体又は二量体が、前記核酸を配列決定するため、その後に前記PNA単量体又は二量体の検出可能なタグを用いて同定できる核酸配列の核酸塩基の少なくとも一つに相補的であることを特徴とする方法。
【請求項19】
前記検出可能なタグが、質量分析法又は顕微鏡観察法によって同定されることを特徴とする請求項16、17又は18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
核酸のヌクレオチドを特徴づける方法及び/又は核酸を配列決定する方法に有用な試薬及び要素を提供するキットであって、前記キットは、
(a)核酸の一部と混成して、特徴づけられる前記ヌクレオチドの核酸塩基に相補的な核酸塩基を欠くことが可能なペプチド核酸(PNA)オリゴマー、
(b)本発明に係る修飾核酸塩基、
(c)ここで説明されるPNA単量体、二量体、三量体及び/又はオリゴマー、
(d)特徴づけられる前記ヌクレオチドの核酸配列上流の一部に相補的で、更に可逆的な共有結合反応が可能な官能基を備えるPNAオリゴマー、及び
(e)使用上の指示
からなる群から選択される要素を備えることを特徴とするキット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図14E】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2010−538673(P2010−538673A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525429(P2010−525429)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【国際出願番号】PCT/GB2008/003185
【国際公開番号】WO2009/037473
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(510055323)ユニヴァーシティ コート オブ ザ ユニバーシティ オブ エディンバラ (6)
【Fターム(参考)】