説明

案内板を具備する環境清浄装置

【課題】 オゾンや紫外線および光触媒反応による消臭や殺菌および汚染物質の分解作用は、或る値以上のオゾン濃度や紫外線照度と触媒反応に必要な時間の条件が調わなければ効果は期待できない。
特に光触媒の触媒反応は緩慢で効果を発揮させるためには紫外線照射の下でも分単位以上の接触時間を必要とする。
【解決手段】 消臭や殺菌および汚染物質の分解に必要なオゾン濃度や紫外線照度を確保するため光源に185nmの紫外線を放射する冷陰極管を使用し、冷陰極管の周にスパイラル状の案内板を配置し、更に案内板の外周を囲い未処理物が囲い内側のオゾン濃度および紫外線照度雰囲気の中を旋回しながら案内板に沿って移動するようにして処理の有効距離を延長させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
紫外線、オゾン、光触媒反応を活用して空気や水の消臭、殺菌、汚染物質の分解など環境浄化装置に係わる技術分野。
【背景技術】
【0002】
最近の空気清浄機や殺菌装置および水の浄化装置など生活環境の浄化装置は、TiO2による光触媒反応やオゾン処理など二次的な環境汚染を発生させない方法が主流に成っており、特にTiO2の光触媒は殺菌だけではなく汚染物質の分解作用などの効果が認められて多岐に至る分野で活用されている。
しかし、光触媒反応は紫外線などの光エネルギー照射の下で未処理物質と触媒が直接接触しなければ反応が起こらない事と反応が遅い事が欠点である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
光触媒機能を付加した実用的な空気清浄機器は、紫外線の照射面に対峙して光触媒を着けたハニカム構造や繊維フイルター、その他のフイルターを配置し、未処理空気をその微小間隙を通過させ光触媒と接触するようにして触媒反応面積を増加させ浄化処理効果を高めている。
しかし、光触媒反応を励起する光エネルギーが表面から僅かの距離に迄しか到達できない事と光触媒反応が光源と対峙する照射面だけしか作用しないなどの構造的な欠陥のため、光触媒が反応する距離が不足して浄化処理は複数パスを通過させなければ光触媒効果が発揮できない欠点が有る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明では、光源の有効照射面積を拡大し、未処理物質と光触媒の接触距離を延ばし、光触媒反応時間を向上させた。
光触媒反応を励起する光源の周囲を表面に光触媒を有するスパイラル状の案内板で囲み、更に案内板の外周を包むように囲んで未処理物質がその囲みの内側を案内板に沿って光源の周囲を旋回するように移動させて光触媒に対する有効照射面を拡大し、未処理物質と光触媒が反応する距離を延長させた。
【発明の効果】
【0005】
本発明では、光触媒反応を励起させる光源の外周に光触媒を着けたスパイラル状の案内板を配置し、更に案内板を包むように内側に光触媒を着けた板で円周状に囲む事で、光源全周の光エネルギーを触媒反応の有効範囲とした。
更に、未処理流体はスパイラル状の案内板を配置した事で直進できず光源の周囲を案内板に沿って旋回しながら移動するので同じ光源管の長さでも光触媒作用面積の増加と未処理物質と光触媒の接触距離が延び反応時間が延長できるので光触媒効果が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の一実施例として「図1」および「図2」に概略構造図を示す。
「図1」の概略構造図は空気清浄器の一例で1筐体内部は9案内筒を支える4隔壁で仕切り未処理空気を3吸気ブロアーで吸引する。
吸引された未処理空気は4隔壁で遮られ全て9案内筒内へ導入され8案内板に沿って旋回しながら移動するので移動中に紫外線やオゾン、光触媒反応で消臭、殺菌、汚染物質の分解などの処理が同時に行われる。
光触媒を使用しない消臭、殺菌機器に於いてもスパイラル状の8案内板の作用で9案内筒内を旋回しながら移動するので処理する距離が延びて機器の浄化能力が向上する。
「図2」の概略構造図は水の浄化処理の一例で密閉した1′タンクの中央に冷陰極管または紫外線ランプを透明な紫外線を吸収しない材質の2′防水ジャケットで覆い、その周囲に光触媒を着けたスパイラル状の3′案内板を取り付ける。
2′防水ジャケット内は紫外線のエネルギーでオゾンを生成するが5′オゾンポンプを介して1タンク内に導入する。
未処理水は入力コックから1′タンク内へ導入し、3′案内板に沿って2′防水ジャケットの周囲を旋回移動させて、その移動過程で紫外線殺菌、オゾン水処理、光触媒反応などによる浄化処理を行い出力コックから浄化処理水として取り出す。
【実施例】
【0007】
本発明の一実施例である空気清浄器について「図1」の概略構造図に従って説明する。
「図1」概略構造図に示す空気清浄器はオゾンや紫外線による消臭やウイルス菌の殺菌のみならずTiO2の光触媒作用で菌が死滅したとき生成する毒素の分解やシックハウス症候群などの化学物質の分解も可能とする。
1筐体の内部に9案内筒を4隔壁で固定するが周囲も処理前の空気が9案内筒の内部以外からは通過できないように遮蔽する。
7冷陰極管を9案内筒の中心に6ランプ支えで固定し、7冷陰極管の外周にはスパイラル状の8案内板を配置する。
8案内板はスパイラル状の連続した薄板で表面にはTiO2の光触媒が着けて有り、中心部は7冷陰極管が取り付けられる直線的な内径空間が確保されている。
8案内板の外周は9案内筒の内面に接して径方向へガタ付かない様にするか9案内筒の内側に固定する。
8案内板の材質は金属、セラッミクス、PET樹脂など形状保持が確保できれば何れの材質でもよく、TiO2の付着方法も塗布、焼付け、その他、混合物など製法は問わない。
7冷陰極管は5高圧電源から6ランプ支えを経由して高圧電界が供給されると点灯して185nmの紫外線を放射し、その光エネルギーでオゾンが生成する。
矢印で示す未処理空気は3ブロアーで吸引され2フイルターで塵や埃を濾過した後、9案内筒内に導入する。
9案内筒内では直進を遮られ7冷陰極管の周囲を8案内板に沿って旋回しながら移動し、7冷陰極管が照射する紫外線下で9案内筒内側と8案内板に着けたTiO2の11光触媒に接触して光触媒反応が励起する。
未処理空気は9案内筒内で光触媒作用と紫外線およびオゾンにより各種殺菌、消臭、汚染物質の分解が行われて空気を浄化する。
【産業上の利用可能性】
【0008】
本発明の一実施例で示した「図1」概略構造図の空気清浄器は1筐体内へ導入される空気は必ず9案内筒内を旋回しながら移動する。
未処理空気は強い紫外線殺菌とオゾンによる殺菌、消臭および光触媒による酸化分解作用で浄化されるので消臭やウイルス系の殺菌には非常に効果を発揮すると考えられるので、特に病院の院内感染防止や食品関係などの空気清浄器としてその効果が期待される。
尚、8案内板は光触媒を着けない場合でも紫外線照射の有効範囲の拡大だけでは無く、紫外線やオゾン雰囲気部の通過距離が延長できるので消臭や殺菌等の浄化効率を向上させる事が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】 本発明の一実施例の空気清浄器の構造を示した概略構造図である。
【0010】
【図2】 本発明の一実施例の水浄化処理器の構造を示した概略構造図である。
【符号の説明】
【0011】
「図1」
1 筐体の断面 6 ランプ支え 11 光触媒
2 フイルイター 7 冷陰極管
3 ブロアー 8 案内板
4 隔壁 9 案内筒
5 高圧電源 10 案内板押さえ
「図2」
1’タンクの断面
2’防水ジャケット
3’案内板
4’光触媒
5’オゾンポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷陰極管や紫外線ランプなど紫外線を放射する光源の外周を囲い、囲いの内側と光源との間にスパイラル状の案内板を具備し、未処理流体を光源の周囲を案内板に沿って移動させながら浄化する環境浄化機器。
【請求項2】
蛍光灯や冷陰極管、ブラックライトなど光触媒反応を励起する光源を内面に光触媒作用を有する材料で囲い、該、囲いの内側と光源の間に光触媒作用を有するスパイラル状の案内板を配置して、処理流体を案内板に沿って移動させながら紫外線、オゾン、光触媒反応で消臭、殺菌、汚染物質の分解などを実施する環境浄化機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2006−142270(P2006−142270A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−365041(P2004−365041)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(391015889)大阪電研工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】