説明

梱包部材

【課題】従来より強度が大きい内側梱包部材を有する梱包部材を提供する。
【解決手段】
内側梱包部材10において、内側板状体17には、間隔Wに合わせて設けられた開口部17aが形成される。開口部17aの内側縁部17cは、正面板11及び背面板12の幅方向外側の表面に当接し、幅方向の外側への移動を規制する。外側板状体16と内側板状体17との間には、略L字状の折り曲げ部が形成されており、正面板11と背面板12の間に位置して幅方向の内側への移動を規制する。外側板状体16には、貫通孔16a及び16bが形成される。上記の貫通孔を、正面板11及び背面板12が貫通することで、正面板11及び背面板12の幅方向への移動が規制される。右端部14及び左端部15の外側に突き出した正面板11及び背面板12の端部である突き出し部20〜23は、図1の手前側及び奥側にそれぞれ折り曲げられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品や完成品などの被梱包物を梱包する梱包部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、部品や完成品などの被梱包物は、ダンボール箱などに梱包されて運搬などが行われる。このとき、被梱包物は、外部からの衝撃に対する被梱包物の保護や、外側梱包部材に対する被梱包物の固定を目的とした内側梱包部材に収納された状態で、段ボール箱などの外側梱包部材に梱包される。
【0003】
図12は、例えば、特許文献1が開示する、従来の内側梱包部材の斜視図である(特許文献1、図3参照)。図12に示す内側梱包部材80は、細長い箱状の形状である。内側梱包部材80は、端面板81と、上面と下面をそれぞれ形成する対向壁板82及び83と、図12の右上部分の側面及び左下部分の側面をそれぞれ形成する脚片板84及び85と、外側端面板86とを有する。図12に示すように、対向壁板82及び83に設けられた切欠き87と、脚片板84及び85とがそれぞれ嵌合しており、脚片板84及び85に設けられた切欠き88と、対向壁板82及び83とがそれぞれ嵌合している。なお、両端部で脚片板84及び85と対向壁板82及び83とがそれぞれ嵌合する部分(図12の点線で囲んだ部分)を、嵌合部分Kとする。被梱包物は、端面板81と、対向壁板82及び83と、脚片板84及び85とによって形成される空間に収納される。
【0004】
図13は、内側梱包部材80を収納する、従来の外側梱包部材の一例を示す斜視図である。図13に示す外側梱包部材90において、上面板91は開閉蓋を構成する。外側梱包部材90において、内側梱包部材80を収納する空間は、側面板92及び93と、底面板96と、図13の右上部分及び左下部分にそれぞれ示す右端面板94及び左端面板95とによって形成される空間である。
【0005】
次に、外側梱包部材90に内側梱包部材80を収納した状態について説明する。内側梱包部材80を外側梱包部材90に収納する方向は、図12に示す矢印Pの方向であり、矢印Pの方向は、図13の上から下の方向に対応する。すなわち、内側梱包部材80が外側梱包部材90に収納された状態は、内側梱包部材80の外側端面板86が外側梱包部材の底面板96に接している状態となる。
【0006】
内側梱包部材80が外側梱包部材90に収納された状態において、底面板96と端面板81との間、側面板92と対向壁板82との間、側面板93と対向壁板83との間、右端面板94と脚片板84との間、及び左端面板95と脚片板85との間にそれぞれ空間が形成される。これらの空間によって、外側梱包部材90の外部から衝撃が加わったとしても、内側梱包部材80に収納された被梱包物を衝撃から保護する。
【特許文献1】特開平8−244852号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図12に示すように、内側梱包部材80において、対向壁板82と83との間隔を一定に保持している嵌合部分Kは、対向壁板82及び83の各端部において1箇所ずつである。このため、図12に示すような従来の内側梱包部材80は、長手方向の端面に加わる衝撃に弱いという問題がある。具体的には、例えば、梱包部材の落下により内側梱包部材80に、図12の矢印Qの方向から衝撃が加わった場合、加わった衝撃に伴って、対向壁板82及び83がたわんだりして変形する。したがって、加わった衝撃が、内側梱包部材80の嵌合部分Kに集中するため、嵌合部分Kを形成する切欠きが拡がるなどして内側梱包部材80が破損することがある。このように、従来の内側梱包部材は、長手方向の端面側から受ける衝撃に対する耐強度性が小さい、という問題があった。
【0008】
本発明は、上記従来の課題を考慮して、衝撃に対する耐強度性が従来に比べて向上した梱包部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、第1の本発明は、
外形が直方体状の部材であり、前記直方体状の部材の外周面の内、上面が開閉する開閉蓋である外側梱包部材と、
前記外側梱包部材に収納され上面が開放された、内部に収納スペースを有する箱状の部材であり、前記箱状の部材の長手方向の両端側に形成された両端部が、前記長手方向に沿って形成された正面板状体と背面板状体とを所定の間隔に保持する保持部を有する内側梱包部材とを備え、
前記保持部は、前記両端部の少なくとも一方の端部において、前記正面板状体と前記背面板状体とをそれぞれ少なくとも2箇所で保持する、梱包部材である。
【0010】
また、第2の本発明は、
前記保持部は、前記両端部の他方の端部において、前記正面板状体と前記背面板状体とをそれぞれ少なくとも2箇所で保持する、第1の本発明の梱包部材である。
【0011】
また、第3の本発明は、
前記一方及び前記他方の端部は、前記長手方向に対し直交するように配置された外側板状体と、前記外側板状体より内側に対向配置された内側板状体とをそれぞれ有し、
前記保持部は、(1)前記2箇所の保持の内の一方の保持のために前記両端部の前記外側板状体上に設けられた、前記正面板状体及び前記背面板状体の両端側がそれぞれ貫通した二つの貫通孔と、(2)前記両端部の前記内側板状体と協働することにより前記2箇所の保持の内の他方の保持を行うための、前記内側板状体の一部が前記外側板状体側に折り曲げられた折り曲げ部とを有する、第2の本発明の梱包部材である。
【0012】
また、第4の本発明は、
前記外側板状体の各前記貫通孔から外側にそれぞれ突き出した、前記正面板状体と前記背面板状体の前記両端の突き出し部が、前記外側板状体に沿って折れ曲がっている、第3の本発明の梱包部材である。
【0013】
また、第5の本発明は、
前記内側梱包部材が前記外側梱包部材に収納されている状態において、
前記外側板状体の各前記貫通孔から外側にそれぞれ突き出した、前記正面板状体と前記背面板状体の前記両端の突き出し部の先端が、前記外側梱包部材の長手方向の両端部の内面側に当接している、第3の本発明の梱包部材である。
【0014】
また、第6の本発明は、
前記両端部の前記内側板状体と協働することによりとは、前記内側板状体の内側縁部が前記正面板状体と背面板状体との外側表面に当接し、前記折り曲げ部の両縁部が前記正面板状体と前記背面板状体とに当接することである、第3の本発明の梱包部材である。
【0015】
また、第7の本発明は、
前記一方及び前記他方の端部は、前記長手方向に対し直交するように配置された外側板状体と、前記外側板状体より内側に対向配置された内側板状体とをそれぞれ有し、
前記保持部は、(1)前記2箇所の保持の内の一方の保持のために前記両端部の前記外側板状体上に設けられた、前記正面板状体及び前記背面板状体の両端側がそれぞれ貫通した二つの貫通孔と、(2)前記2箇所の保持の内の他方の保持のために、前記内側板状体の中央に設けられ、前記正面板状体及び前記背面板状体の両端側が挿入された第1の切欠きの底縁部の両角部に設けられた、前記正面板状体及び前記背面板状体とそれぞれ嵌合する第2の切欠きを有する、第2の本発明の梱包部材である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、衝撃に対する耐強度性が従来に比べて向上した梱包部材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。また、以下の実施の形態の説明において、背景技術に記載された梱包部材と同じ構成要素には同じ参照符号を付し、その説明を省略する。
【0018】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る梱包部材は、内側梱包部材と外側梱包部材とで構成される。なお、本実施の形態に係る梱包部材の外側梱包部材は、図13に示す外側梱包部材90と同様であるため、その説明を省略する。
【0019】
以下、本実施の形態の内側梱包部材について説明する。図1は、本実施の形態に係る梱包部材の内側梱包部材の斜視図である。図1に示す内側梱包部材10は、上面が開放された細長い箱状の形状であり、長手方向の側面を形成する正面板11及び背面板12と、底面を形成する底面板13と、図1の右上部分の端面を形成する右端部14と、図1の左下部分の端面を形成する左端部15とを有する。
【0020】
正面板11及び背面板12は、図1に示すように、正面板11及び背面板12の各端部が、右端部14の外側板状体16及び左端部15の外側板状体18をそれぞれ貫通している。なお、正面板11及び背面板12が、右端部14及び左端部15を貫通する構造については、右端部14及び左端部15の構造と合わせて後述する。
【0021】
正面板11及び背面板12の端部のうち、右端部14を貫通して突き出した部分を、それぞれ突き出し部20及び21とする。突き出し部20及び21は、幅方向に沿って、図1の手前側及び奥側にそれぞれ折り曲げられている。一方、正面板11及び背面板12の端部のうち、左端部15を貫通して外側に突き出した部分を、それぞれ突き出し部22及び23とする。突き出し部22及び23は、幅方向に沿って、図1の手前側及び奥側にそれぞれ折り曲げられている。
【0022】
次に、右端部14及び左端部15の形状について説明する。
【0023】
図1の右上部分に示す右端部14は、図1の矢印B方向から見ると、図1の下方向が開口したコの字形の形状であり、長手方向の外側に位置する外側板状体16と、内側に位置する内側板状体17と、折り曲げ部25(図2参照)とを有する。一方、図1の左下部分に示す左端部15は、右端部14と同様に、外側板状体18と、内側板状体19と、折り曲げ部26(図2参照)とを有する。なお、折り曲げ部25及び26については、図2を用いて後述する。
【0024】
続いて、内側板状体17及び19について説明する。内側板状体17は、正面板11と背面板12との間隔Wより大きい幅を有している。図1に示すように、内側板状体17には、折り曲げ部25が内側に折り曲げられていることにより、間隔Wの寸法に合わせた開口部17aが形成されている。一方、内側板状体19についても、内側板状体17と同様に、開口部19aが形成されている。
【0025】
続いて、外側板状体16及び18について説明する。外側板状体16は、正面板11と背面板12との間隔Wより大きい幅を有している。外側板状体16は、図1の右上部分の手前側及び奥側に、貫通孔16a及び16bがそれぞれ形成されている。一方、外側板状体18についても、同様に、図1の左下部分の手前側及び奥側に、正面板11及び背面板12がそれぞれ貫通する貫通孔18a及び18bがそれぞれ形成されている。
【0026】
上記のように、正面板11及び背面板12が、右端部14及び左端部15をそれぞれ貫通するため、正面板11と背面板12との間隔Wは、外側板状体16と18との間において一定である。
【0027】
続いて、折り曲げ部25及び26について、図2を用いて説明する。図2は、長手方向に沿って底面板13に垂直な平面である、A−A面で内側梱包部材を切断した断面における、右端部14の拡大断面図である。なお、図2では、外側板状体16の貫通孔16bと、突き出し部21を省略して図示している。
【0028】
図2に示す右端部14において、外側板状体16と内側板状体17との間には、開口部17aで内側板状体17の一部が右端部14の内側に折り曲げられて略L字形状をなす折り曲げ部25が形成されている。折り曲げ部25の先端25aは、右端部14の上面板27のスリット28に挿入されている。なお、図示は省略しているが、左端部15についても同様に、折り曲げ部26が形成されている。
【0029】
折り曲げ部25及び26が、正面板11及び背面板12の間に位置するため、正面板11及び背面板12の幅方向の内側への移動を規制している。また、内側板状体17の内側縁部17c及び内側板状体19の内側縁部19cは、正面板11及び背面板12の外側の面と当接するため、正面板11及び背面板12の幅方向の外側への移動を規制している。このように、内側板状体17(19)と、折り曲げ部25(26)とが協働して正面板11及び背面板12の幅方向への移動を規制している。
【0030】
なお、内側梱包部材10が、本発明の内側梱包部材の一例であり、正面板11が、本発明の正面板状体の一例であり、背面板12が、本発明の背面板状体の一例であり、外側板状体16、内側板状体17、及び折り曲げ部25が本発明の保持部の一例であり、突き出し部20〜23が本発明の突き出し部の一例であり、外側梱包部材90が、本発明の外側梱包部材の一例である。
【0031】
以下に、本実施の形態に係る梱包部材による、被梱包物の収納について説明する。
【0032】
図1に示す内側梱包部材10において、被梱包物(図示省略)を収納する空間は、正面板11と、背面板12と、底面板13と、外側板状体16と、外側板状体18とによって形成される空間である。また、内側梱包部材10に被梱包物が収納された状態において、被梱包物の図1の上方向への移動は、折り曲げ部25及び26によって規制される。
【0033】
図3は、内側梱包部材10を外側梱包部材90に収納した状態を示す斜視図である。図3に示すように、内側梱包部材10は、底面板13を下に向けた状態で、外側梱包部材90に収納される。
【0034】
次に、右端部14及び左端部15の機能について説明する。上述のように、従来の内側梱包部材80と比較して、内側梱包部材10では、正面板11と背面板12の間隔Wを一定に保持する箇所が増加している。このため、例えば、落下などによる衝撃が内側梱包部材10の右端部14に加わった際、その衝撃によって正面板11及び背面板12がたわむなど変形して、正面板11と背面板12との間隔Wが変化することを、右端部14の外側板状体16、内側板状体17及び折り曲げ部25との2箇所で規制する。すなわち、内側梱包部材10の右端部14に加わる衝撃を、正面板11と背面板12の間隔Wを一定に保持する部分に分散する。左端部15に衝撃が加わった場合も同様である。したがって、内側梱包部材10は、従来の内側梱包部材よりも、長手方向の端面に加わる衝撃に対して、耐強度性を向上させることができる。
【0035】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2に係る梱包部材について説明する。なお、本実施の形態において、実施の形態1と同一の構成要素については、同じ参照符号を付してその説明を省略する。
【0036】
図4は、本発明の実施の形態2に係る梱包部材の内側梱包部材の斜視図である。図4に示す内側梱包部材30は、上面が開放された細長い箱状の形状であり、正面板31と、背面板32と、底面板13と、図4の右上部分の端面を形成する右端部14と、図4の左下部分の端面を形成する左端部15とを有する。
【0037】
本実施の形態の内側梱包部材30が、実施の形態1の内側梱包部材10と異なる点は、内側梱包部材30が、正面板11に代えて正面板31を有する点と、背面板12に代えて背面板32を有する点である。
【0038】
まず、正面板31と背面板32について説明する。
【0039】
図4の右上部分に示すように、正面板31及び背面板32は、外側板状体16の貫通孔16a及び16bをそれぞれ貫通して、そのまま長手方向に沿って突き出している。外側板状体16の外側に突き出した正面板31及び背面板32の端部を、それぞれ突き出し部33及び34とする。一方、図4の左下部分に示すように、正面板31及び背面板32は、外側板状体18の貫通孔18a及び18bをそれぞれ貫通して、そのまま長手方向に沿って突き出している。外側板状体18の外側に突き出した正面板31及び背面板32の端部を、それぞれ突き出し部35及び36とする。突き出し部33〜36には、底辺の部分に、それぞれ切欠き37が設けられている。
【0040】
図4に示すように、内側梱包部材30において、右端部14及び左端部15からそれぞれ突き出した突き出し部33〜36が、実施の形態1の突き出し部20〜23のように幅方向に折れ曲がることなく、長手方向にそのまま突き出している点が、内側梱包部材10と異なる。
【0041】
なお、内側板状体17(19)と、折り曲げ部25(26)とが協働して正面板31及び背面板32の幅方向への移動を規制している点は、実施の形態1の内側梱包部材10(図1参照)と同じである。
【0042】
次に、本実施の形態に係る梱包部材の外側梱包部材について説明する。
【0043】
図5は、本実施の形態に係る梱包部材の外側梱包部材の斜視図である。図5に示す外側梱包部材40は、直方体状の形状である。外側梱包部材40は、上面板91と、長手方向の側面を形成する側面板92及び93と、底面板96と、図5の右上部分の端面を形成する右端部41と、図5の左下部分の端面を形成する左端部42とを有する。
【0044】
上面板91と側面板92とは、一体となって開閉蓋を構成している。このため、被梱包物を収納した内側梱包部材を、外側梱包部材40から取り出しやすい構造となっている。
【0045】
右端部41及び左端部42は、二重構造となっている。右端部41は、外壁43と内壁44とで構成される。内壁44には、図5の右上部分の手前側及び奥側に、切欠き44a及び44bがそれぞれ設けられている。一方、左端部42は、外壁45と内壁46とで構成される。内壁46には、図5の左下部分の手前側及び奥側に、切欠き46a及び46bがそれぞれ設けられている。
【0046】
外側梱包部材40において、内側梱包部材30を収納する空間は、側面板92及び93と、底面板96と、内壁44及び46とによって形成される空間である。
【0047】
以下に、本実施の形態に係る梱包部材による、被梱包物の梱包について説明する。
【0048】
図6は、内側梱包部材30を外側梱包部材40に収納した状態を示す斜視図である。図6に示すように、内側梱包部材30は、底面板13を下に向けた状態で、外側梱包部材40に収納される。
【0049】
内側梱包部材30が外側梱包部材40に収納された状態において、図6の右上部分では、正面板31の突き出し部33及び背面板32の突き出し部34は、内壁44の切欠き44a及び44bとそれぞれ嵌合している。正面板31の突き出し部33及び背面板32の突き出し部34の切欠き37は、内壁44と嵌合している。
【0050】
一方、図6の左下部分では、正面板31の突き出し部35及び背面板32の突き出し部36は、内壁46の切欠き46a及び46bと嵌合している。正面板31の突き出し部35及び背面板32の突き出し部36の切欠き37は、内壁46と嵌合している。このように、内側梱包部材30は、外側梱包部材40に対して固定された状態で収納される。
【0051】
このように、本実施の形態に係る梱包部材の内側梱包部材30は、内側梱包部材10と同様に、従来の内側梱包部材80と比較して、正面板31と背面板32との間隔Wを一定に保持する箇所が増加している。例えば、内側梱包部材30の右端部14に衝撃が加わった際、その衝撃を、正面板11と背面板12の間隔Wを一定に保持する部分に分散する。左端部15に衝撃が加わった場合も同様である。したがって、内側梱包部材30は、従来の内側梱包部材よりも、強度が増しているため、落下等による衝撃で破損することが少なくなる。
【0052】
また、上述したように、内側梱包部材30は、外側梱包部材40に固定された状態で収納される。このため、図6に示すように、外側梱包部材40の開閉蓋を開けた際に、側面板92が内側梱包部材30を支えない状態となっても、内側梱包部材30は、外側梱包部材40から滑り落ちにくくなる。このように、本実施の形態に係る梱包部材は、内側梱包部材30の落下等による被梱包物の破損を防ぐことができる。
【0053】
次に、内側梱包部材30が外側梱包部材40に収納された状態における、外側梱包部材40の端部の状態について説明する。図7は、内側梱包部材30が外側梱包部材40に収納された状態における、外側梱包部材40の右端部41の上面図である。図7に示すように、内側梱包部材30が外側梱包部材40に収納された状態において、突き出し部33及び34の先端が、外壁43の内壁44側の面に当接している。また、図示は省略しているが、突き出し部35及び36の先端についても、同様に、外壁45の内壁46側の面に当接している。この結果、内側梱包部材30が外側梱包部材40に収納されている状態において、正面板31及び背面板32は、外側梱包部材40の梁の役割を果たすことができる。したがって、本実施の形態に係る梱包部材は、内側梱包部材が外側梱包部材に収納された状態において、実施の形態1に係る梱包部材よりも、さらに強度を増すことができる。
【0054】
なお、本実施の形態において、突き出し部33〜36にそれぞれ切欠き37が設けられているものとして説明したが、これに限らず、例えば、突き出し部33〜36に切欠きが設けられていなくてもよい。図8は、内側梱包部材30の一変形例の斜視図である。図8に示す内側梱包部材50は、突き出し部33〜36に切欠きが設けられていない点が、内側梱包部材30と異なる。内側梱包部材50が外側梱包部材40に収納された状態は、図6に示す状態とほぼ同じであるが、内側梱包部材50の場合、図6に示す切欠き37が存在しない。具体的には、正面板31の突き出し部33及び背面板32の突き出し部34が、内壁44の切欠き44a及び44bにそれぞれ嵌合し、正面板31の突き出し部35及び背面板32の突き出し部36が、内壁46の切欠き46a及び46bにそれぞれ嵌合する。このように、内側梱包部材50は、内側梱包部材30と同様に、外側梱包部材40に固定された状態で収納されるため、外側梱包部材40の開閉蓋を開けた際に、内側梱包部材を滑り落ちにくくすることができる。また、突き出し部33〜36が、外側梱包部材40の外壁43及び45の内面に当接することによって、正面板31及び背面板32が、外側梱包部材40の梁の役割を果たすことができる。
【0055】
また、上記実施の形態において、内側梱包部材50を外側梱包部材40に収納するものとして説明したが、これに限らず、例えば、内側梱包部材50を、外側梱包部材90に収納してもよい。図9は、内側梱包部材50を外側梱包部材90に収納した状態を示す斜視図である。内側梱包部材50は、外側梱包部材90に固定されない状態で収納されるが、正面板31及び背面板32が、外側梱包部材90の梁の役割を果たすため、耐強度性をさらに上げることができる。また、同様に、内側梱包部材30(図4参照)を、外側梱包部材90に収納してもよい。
【0056】
また、上記実施の形態において、正面板11及び背面板12が、右端部14及び左端部15を貫通するものとして説明したが、これに限らず、例えば、図10に示す内側梱包部材51のように、正面板11及び背面板12が、左端部15のみを貫通していてもよい。図10の右上部分に示すように、内側梱包部材51の右端部52において、外側板状体53には、貫通孔が設けられておらず、正面板11及び背面板12は、右端部52から突き出していない。この場合、例えば、被梱包物を内側梱包部材51に収納する際、特に衝撃から保護したい部分を、左端部15側に位置させて収納するなどの使用方法が考えられる。
【0057】
また、上記実施の形態において、正面板11及び背面板12の幅方向の内側への移動を規制するために、折り曲げ部25及び26を設けるものとして説明したが、これに限らず、例えば、図11に示す内側梱包部材54を用いてもよい。図11の右上部分に示す内側板状体17において、中央部分に大きく切り欠かれた切欠き部170が形成されており、底縁部17bの手前側及び奥側の角部に、小さな切欠き部17d及び17eが設けられている。切欠き部17dに正面板11が嵌合し、切欠き部17eに背面板12が嵌合することによって、正面板11及び背面板12の幅方向の移動を規制することができる。図11に左下部分に示す内側板状体19においても、同様に、切欠き部190と、手前側及び奥側の角部に小さな切欠き部19d及び19eとが形成されている。なお、切欠き部170が本発明の第1の切欠きの一例であり、切欠き部17d及び17eが本発明の第2の切欠きの一例である。
【0058】
また、上記実施の形態において、右端部14において、外側板状体16に設けられた貫通孔16a及び16bと、内側板状体17及び折り曲げ部25との2箇所で正面板11及び背面板12の幅方向への移動を規制するものとして説明したが、これに限らず、例えば、右端部14は、複数の内側板状体17及び折り曲げ部25を有していてもよい。左端部15についても同様である。すなわち、本発明の内側梱包部材の各端部において、正面板11と背面板12との間隔Wを一定に保持するために、正面板11及び背面板12の幅方向への移動を、2箇所以上で規制していればよい。
【0059】
また、上記実施の形態において、内側梱包部材及び外側梱包部材の部品構成について言及していないが、例えば、内側梱包部材をダンボールなどの板状の素材を用いて一部材で形成してもよい。
【0060】
また、上記実施の形態において、上面板のみが開閉蓋を構成するものとして説明した外側梱包部材は、上面板及び側面板が一体となって開閉蓋を構成するものでもよいし、上面板及び側面板が一体となって開閉蓋を構成するものとして説明した外側梱包部材は、上面板のみが開閉蓋を構成するものでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明に係る梱包部材は、衝撃に対する耐強度性が従来に比べて向上した梱包部材を提供することができ、部品や完成品などの被梱包物を梱包する梱包部材等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施の形態1に係る梱包部材の内側梱包部材10の斜視図
【図2】本発明の実施の形態1に係る内側梱包部材10のA−A断面における右端部14の拡大図
【図3】本発明の実施の形態1に係る内側梱包部材10を外側梱包部材90に収納した状態を示す斜視図
【図4】本発明の実施の形態2に係る内側梱包部材30の斜視図
【図5】本発明の実施の形態2に係る外側梱包部材40の斜視図
【図6】本発明の実施の形態2に係る内側梱包部材30を外側梱包部材40に収納した状態を示す斜視図
【図7】本発明の実施の形態2に係る内側梱包部材30を外側梱包部材40に収納した状態における、外側梱包部材40の右端部41付近の上面図
【図8】本発明の実施の形態2に係る内側梱包部材40の一変形例の斜視図
【図9】本発明の実施の形態2に係る内側梱包部材50を外側梱包部材90に収納した状態を示す斜視図
【図10】本発明の実施の形態1に係る内側梱包部材10の一変形例の斜視図
【図11】本発明の実施の形態1に係る内側梱包部材10の一変形例の斜視図
【図12】従来の梱包部材の内側梱包部材の斜視図
【図13】従来の梱包部材の外側梱包部材の斜視図
【符号の説明】
【0063】
10、30、50、51、54 内側梱包部材
11、31 正面板
12、32 背面板
13 底面板
14 右端部
15 左端部
16、18 外側板状体
16a、16b、18a、18b 貫通孔
17、19 内側板状体
17a、19a 開口部
17b、19b 底縁部
17c、19c 内側縁部
17d、17e、19d、19e、170、190 切欠き部
20、21、22、23、33、34、35、36 突き出し部
25、26 折り曲げ部
37、44a、44b、46a、46b 切欠き
40 外側梱包部材
41 右端部
42 左端部
43、45 外壁
44、46 内壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外形が直方体状の部材であり、前記直方体状の部材の外周面の内、上面が開閉する開閉蓋である外側梱包部材と、
前記外側梱包部材に収納され上面が開放された、内部に収納スペースを有する箱状の部材であり、前記箱状の部材の長手方向の両端側に形成された両端部が、前記長手方向に沿って形成された正面板状体と背面板状体とを所定の間隔に保持する保持部を有する内側梱包部材とを備え、
前記保持部は、前記両端部の少なくとも一方の端部において、前記正面板状体と前記背面板状体とをそれぞれ少なくとも2箇所で保持する、梱包部材。
【請求項2】
前記保持部は、前記両端部の他方の端部において、前記正面板状体と前記背面板状体とをそれぞれ少なくとも2箇所で保持する、請求項1に記載の梱包部材。
【請求項3】
前記一方及び前記他方の端部は、前記長手方向に対し直交するように配置された外側板状体と、前記外側板状体より内側に対向配置された内側板状体とをそれぞれ有し、
前記保持部は、(1)前記2箇所の保持の内の一方の保持のために前記両端部の前記外側板状体上に設けられた、前記正面板状体及び前記背面板状体の両端側がそれぞれ貫通した二つの貫通孔と、(2)前記両端部の前記内側板状体と協働することにより前記2箇所の保持の内の他方の保持を行うための、前記内側板状体の一部が前記外側板状体側に折り曲げられた折り曲げ部とを有する、請求項2に記載の梱包部材。
【請求項4】
前記外側板状体の各前記貫通孔から外側にそれぞれ突き出した、前記正面板状体と前記背面板状体の前記両端の突き出し部が、前記外側板状体に沿って折れ曲がっている、請求項3に記載の梱包部材。
【請求項5】
前記内側梱包部材が前記外側梱包部材に収納されている状態において、
前記外側板状体の各前記貫通孔から外側にそれぞれ突き出した、前記正面板状体と前記背面板状体の前記両端の突き出し部の先端が、前記外側梱包部材の長手方向の両端部の内面側に当接している、請求項3に記載の梱包部材。
【請求項6】
前記両端部の前記内側板状体と協働することによりとは、前記内側板状体の内側縁部が前記正面板状体と背面板状体との外側表面に当接し、前記折り曲げ部の両縁部が前記正面板状体と前記背面板状体とに当接することである、請求項3に記載の梱包部材。
【請求項7】
前記一方及び前記他方の端部は、前記長手方向に対し直交するように配置された外側板状体と、前記外側板状体より内側に対向配置された内側板状体とをそれぞれ有し、
前記保持部は、(1)前記2箇所の保持の内の一方の保持のために前記両端部の前記外側板状体上に設けられた、前記正面板状体及び前記背面板状体の両端側がそれぞれ貫通した二つの貫通孔と、(2)前記2箇所の保持の内の他方の保持のために、前記内側板状体の中央に設けられ、前記正面板状体及び前記背面板状体の両端側が挿入された第1の切欠きの底縁部の両角部に設けられた、前記正面板状体及び前記背面板状体とそれぞれ嵌合する第2の切欠きを有する、請求項2に記載の梱包部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−105722(P2008−105722A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−291854(P2006−291854)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】