説明

椅子型マッサージ機

【課題】脚へのマッサージ効果を高めることのできる椅子型マッサージ機を提供する。
【解決手段】被施療者の腰掛ける座部20と、該座部の先端に揺動可能に支持され被施療者のふくらはぎ及び/又は足先を保持する脚部40と、該脚部を座部に対して揺動させる脚部揺動手段44と、脚部に配備され、被施療者のふくらはぎ及び/又は足先をマッサージする脚部マッサージ手段48と、脚部揺動手段及び脚部マッサージ手段を制御する制御手段50と、を具えた椅子型マッサージ機において、制御手段は、脚部マッサージ手段の動作に応じて、脚部揺動手段を作動させ、脚部の揺動角度を変化させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脚部を揺動可能な椅子型マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
椅子型マッサージ機は、座部、背凭れ部及び脚部を夫々揺動可能に具え、座部、背凭れ部及び脚部に被施療者の患部をマッサージするマッサージ手段を内蔵している。
マッサージ機には、夫々座部、背凭れ部及び脚部を揺動する揺動手段を具え、被施療者による操作部の操作に基づいて、座部、背凭れ部及び脚部を所望の角度に揺動させたり、予め設定されたリクライニング角度まで自動的に座部、背凭れ部及び脚部を揺動させている(例えば、特許文献1参照)。
脚部には、被施療者のふくらはぎや足先(以下「脚」という)をマッサージする脚部マッサージ手段が配備されている。脚部マッサージ手段として、エアバッグを例示することができ、エアバッグを脚部に形成された凹状受部の側壁及び底面に配備し、エアバッグの膨張、収縮を繰り返すことで、脚に押圧マッサージを施している。
【0003】
【特許文献1】特開2004−344316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
脚を脚部マッサージ手段でマッサージする場合に、脚の位置を高くした方が、血流の戻りが良くなって、血行が良好となり、効果を高めることができる。しかしながら、従来のマッサージ機では、脚部の揺動角度は、脚部マッサージ手段の動作に関係なく設定されている。
【0005】
本発明の目的は、脚へのマッサージ効果を高めることのできる椅子型マッサージ機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の椅子型マッサージ機は、
被施療者の腰掛ける座部と、該座部の先端に揺動可能に支持され被施療者のふくらはぎ及び/又は足先を保持する脚部と、該脚部を座部に対して揺動させる脚部揺動手段と、脚部に配備され、被施療者のふくらはぎ及び/又は足先をマッサージする脚部マッサージ手段と、脚部揺動手段及び脚部マッサージ手段を制御する制御手段と、を具えた椅子型マッサージ機において、
制御手段は、脚部マッサージ手段の動作に応じて、脚部揺動手段を作動させ、脚部の揺動角度を変化させるようにした。
【発明の効果】
【0007】
本発明の椅子型マッサージ機によれば、脚部マッサージ手段の動作に応じて、脚部揺動手段を作動させて、脚部の揺動角度を変化するようにしているから、脚からの血流の戻りを良くすることができ、血行を良好とすることで、マッサージ効果を可及的に高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、本発明を実施することのできる椅子型マッサージ機(10)を側面から見た図である。なお、説明をわかり易くするために、手前側の肘当てを取り外した状態を示している。また、図2及び図3は、椅子型マッサージ機(10)の座部(20)、背凭れ部(30)及び脚部(40)のリクライニング角度を変えた側面図であり、図4は、図3に示すリクライニング角度の椅子型マッサージ機(10)の主要構成となるフレーム等のみを示す図である。
図に示すように、椅子型マッサージ機(10)は、床面(90)に載置されるベース(12)に被施療者の腰掛ける座部(20)が設けられ、該座部(20)の後端には背凭れ部(30)、座部(20)の前端には脚部(40)が設けられている。
【0009】
座部(20)は、クッション等が取り付けられた座部フレーム(22)の後端側が、ベース(12)を構成するベースフレーム(14)に対して揺動可能に支持されており、前端側が、モータを駆動源として動作するアクチュエータを具えた座部揺動手段(24)に連繋されている。座部(20)は、座部揺動手段(24)を作動させることで、ベース(12)に対して揺動可能となっている。
座部(20)には、エアバッグ等のマッサージ手段(28)が配備されている。
【0010】
背凭れ部(30)は、モータを駆動源として動作するアクチュエータを具えた背凭れ部揺動手段(34)によって、座部(20)又はベース(12)に対して揺動可能となっている。
図示の実施例では、背凭れ部フレーム(32)は、座部フレーム(22)と共通の軸(16)によって、ベースフレーム(14)に枢支されている。背凭れ部揺動手段(34)は、一端が背凭れ部フレーム(32)の下端に連繋され、他端が座部フレーム(22)の前端に連繋されている。従って、座部(20)を揺動したときには、背凭れ部(30)は、座部(20)と一体に揺動する。このため、背凭れ部(30)を揺動させることなく、座部(20)のみを揺動させるには、座部(20)の揺動方向に対して逆向きに背凭れ部(30)を揺動させる必要がある。
背凭れ部(30)をベース(12)に揺動可能に支持し、且つ、背凭れ部揺動手段(34)も他端側がベース(12)側に連繋された構成とすることもでき、この場合、背凭れ部(30)は座部(20)に対して独立して揺動可能となる。背凭れ部(30)を座部(20)と一体に揺動させるには、座部(20)の揺動方向と同じ方向に背凭れ部(30)を揺動させればよい。
背凭れ部(30)には、施療指等の公知のマッサージ手段(38)が昇降可能に配備されている。
【0011】
脚部(40)は、座部(20)の先端に直接支持される。脚部(40)には、エアバッグ等のマッサージ手段(48)が配備されている。
脚部(40)を揺動させる脚部揺動手段(44)は、モータ等を座部(20)側に配備してもよいし、脚部(40)を座部(20)に軸支し、座部(20)の重量化を防ぐために、脚部揺動手段(44)のモータ等をベース(12)側に配備してもよい。
図示の実施例では、脚部揺動手段(44)は、モータを駆動源とするアクチュエータ(45)であって、座部(20)の前端下面から後方に向けて延びるフレーム(18)に、アクチュエータ(45)を前後方向に平行な面内で揺動可能に支持しており、該アクチュエータ(45)の先端は、座部(20)の前方下面に枢支された押上げフレーム(46)に連結されている。押上げフレーム(46)の先端には、ローラ(47)が軸支されており、該ローラ(47)には、脚部(40)のフレーム(42)が接触可能となっている。
脚部揺動手段(44)であるアクチュエータ(45)を伸び方向に作動させると、押上げフレーム(46)は、前方上向きに揺動し、脚部(40)を前方に押し上げる。アクチュエータ(45)を縮み方向に作動させると、押上げフレーム(46)は後退して、脚部(40)を押し下げる。脚部フレーム(42)は、ローラ(47)に対して自重によって当接しているのみであるため、脚部(40)が押し下げられるときに、脚部(40)の通路上に物品等の障害物が介在している場合には、ローラ(47)が脚部フレーム(42)から離間して、脚部(40)がそれ以上後退することはない。
【0012】
上記揺動手段(24)(34)(44)やマッサージ手段(28)(38)(48)は、マッサージ機(10)の適所に配置された制御手段(50)に駆動回路(52)(52)(52)を介して電気的に接続され、制御手段(50)からの命令を受けて作動する。図5に示すように、制御手段(50)には、以下に説明する操作部(60)や、各揺動手段(24)(34)(44)、マッサージ手段(28)(38)(48)等が接続される。また、制御手段(50)には、マッサージ手段(28)(38)(48)の動作時間をカウントするタイマー(図示せず)を有する。
【0013】
図6は、マッサージ機(10)の各種操作を行なう操作部(60)を示している。操作部(60)は、制御手段(50)に電気的に接続されており、操作部(60)に配備された複数のボタン(61)〜(69)等によって、マッサージ手段(28)(38)(48)の各種制御や、座部(20)、背凭れ部(30)及び脚部(40)の揺動角度(リクライニング角度)を適宜調整することができる。
符号(69)で示された脚部のリクライニング起又は倒スイッチは、脚部(40)の揺動角度を調整する。ここで、脚部が「起」とは、図1のような状態で、「倒」とは脚部が図2及び図3のように持ち上げられる状態をいう。
また、符号(63)で示された脚スイッチは、脚部マッサージ手段(48)を動作又は停止させるスイッチである。
【0014】
以下、本発明のマッサージ機(10)のマッサージ動作についてフローチャート図
7を用いて説明する。
フローチャート図7に示すように、制御手段(50)は、脚部(40)を揺動させる操作ボタン、即ち、操作部(60)の脚部(40)のリクライニング起又は倒スイッチ(69)の「倒」入力(ステップ1)、又は、脚部マッサージ手段(48)の開始ボタン(63)の入力(ステップ2)を待つ。何れかのボタン(69)(63)が操作されると、制御手段(50)は、予め設定された脚マッサージ用の角度まで脚部(40)を上向きに揺動させるように、脚部揺動手段(44)を駆動し(ステップ3)、脚部(40)を、上記のように、所定の角度まで揺動した後(ステップ4)、脚部揺動手段(44)を停止し、脚部マッサージ手段(48)を作動させる(ステップ5)。
【0015】
予め設定された脚部(40)の角度として、図2、図3に示すように、脚部(40)の先端側が持ち上げあられた角度を例示できる。また、脚部(40)の先端が、脚部(40)の基端側よりも高くなる角度にしてもよい。さらに、足先が心臓よりも上に位置し、膝が心臓よりも下に位置する姿勢として、足の血流をさらに良好にした状態で脚部にマッサージを施すこともできる。
【0016】
また、マッサージ機(10)の座部(20)、背凭れ部(30)及び脚部(40)の全体的なリクライニング角度として、図2及び図8に示すように、床面(90)に対する座部(20)の形成角度がZ20〜40度、望ましくは約30度、座部(20)と背凭れ部(30)との形成角度Lが100〜120度、望ましくは約110度、座部(20)と脚部(40)との形成角度Kが100〜120度、望ましくは約110度であるリクライニング角度を例示できる。このリクライニング角度は、被施療者が腰掛けた状態で、全身がリラックスできる楽な姿勢である。身体の表側と裏側の筋肉が弛緩し、この状態でマッサージ手段(28)(38)(48)を作動させることで、効果的なマッサージ効果を得ることができる。
【0017】
上記とは異なるマッサージ機(10)の全体的なリクライニング角度として、図3、図4のように、床面(90)に対する座部(20)の形成角度Zが20〜40度、望ましくは約30度、座部(20)と背凭れ部(30)との形成角度Lが110〜130度、望ましくは約120度、座部(20)と脚部(40)との形成角度Kが130〜160度、望ましくは約140度であるリクライニング角度を例示できる。
このリクライニング角度は、図2のリクライニング角度よりも緩やかな姿勢でマッサージを受けることができるリクライニング角度である。このリクライニング角度は、前記(図2)に比べて足先を高くしているから、この状態で、マッサージ手段(28)(38)(48)を作動させることで、特に脚に効果的にマッサージを施すことができ、脚の疲れを取り除くことができる。
なお、このリクライニング角度において、足先が心臓よりも上に位置し、膝が心臓よりも下に位置する姿勢として、足の血流をさらに良好にすることもできる。
【0018】
上記図2、図3に示すようなリクライニング角度まで脚部(40)等を揺動させた後、被施療者の姿勢、即ち、脚の血流がよいという優位性を生かし、脚部(40)に配備されたマッサージ手段(48)によって、被施療者の脚をマッサージすると、効果的なマッサージ効果を得ることができる。この場合、例えば、操作部(60)に図6に示すように、かかるマッサージを行なうために、マッサージ手段(48)を作動させる脚上げ下半身ボタン(65)を配備し、マッサージ機(10)がこのリクライニング角度であるときのみに当該ボタン(65)が操作可能としておくことが望ましい。或いは、当該ボタン(65)を操作すれば、このリクライニング角度へ自動的に移行するようにしておいてもよい。
脚を高い位置に保持したまま、脚に重点的にマッサージを施すようにすることで、脚の血流が向上するだけでなく、全身の血流も向上させることができる利点がある。
【0019】
上記のように、脚部マッサージ手段(48)の動作と、脚部(40)のリクライニング角度の調整により、被施療者の脚の血流を良好にした状態でマッサージを受けることができ、脚部マッサージ手段(48)のマッサージ効果を高めることができる。
【0020】
なお、制御手段(50)に脚部マッサージ手段(48)によるマッサージ動作の種類、例えば、施療強さや施療時間等を組み合わせたマッサージコースを記憶させておき、ステップ6に示すように、脚部マッサージ手段(48)のマッサージ動作の種類等に合わせて、脚部揺動手段(44)を動作させ、脚部(40)の角度を変えると効果的なマッサージを施すことができる。
マッサージの種類と脚部(40)の角度の一例として、脚部マッサージ手段(48)の施療強さが強いときに、被施療者のふくらはぎが脚部(40)により強く押し付けられるように、脚部(40)を水平に近い角度に傾動させ、逆に、脚部マッサージ手段(48)の施療強さが弱いときには脚部(40)を垂直に近い角度に傾動させ、緩急のあるマッサージを施す制御を挙げることができる。
逆に、脚部マッサージ手段(48)の施療強さが弱いときに、脚部(40)を水平に近い角度に傾動させ、逆に、脚部マッサージ手段(48)の施療強さが強いときに脚部(40)を垂直に近い角度に傾動させてもよい。
【0021】
上記マッサージ動作は、リクライニングボタン(69)の「起」又はマッサージ停止スイッチ(63)又は(67)が操作されたとき(ステップ7、ステップ8)、又は、制御手段(50)に具備されたタイマーが所定時間をカウントしたとき(ステップ9)に停止するようにすることができる。
【0022】
ステップ8〜10により、マッサージ動作を停止するには、まず、脚部マッサージ手段(48)を停止し(ステップ10)、次に、脚部揺動手段(44)を作動させ(ステップ11)、脚部(40)が図1に示すような所定の角度まで復帰すると、脚部揺動手段(44)を停止させ(ステップ12)、脚部のマッサージが終了する。
【0023】
なお、上記では、脚マッサージを行なう際、ステップ3〜5のように、脚部(40)を所定角度まで傾動させた後、脚部マッサージ手段(48)を動作させているが、脚部マッサージ手段(48)を動作させつつ、脚部(40)を所定角度まで傾動させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、脚へのマッサージ効果を高めることのできる椅子型マッサージ機として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の椅子型マッサージ機の側面図である。
【図2】本発明の椅子型マッサージ機の側面図である。
【図3】本発明の椅子型マッサージ機の側面図である。
【図4】図3の椅子型マッサージ機について、主要構成となるフレーム等のみを示す図である。
【図5】制御手段のブロック図である。
【図6】操作部の正面図である。
【図7】本発明のマッサージ工程を示すフローチャート図である。
【図8】座部の床面に対する角度Zと背凭れ部の座部に対する角度Lと脚部の座部に対する角度Kを説明する図である。
【符号の説明】
【0026】
(10) 椅子型マッサージ機
(20) 座部
(30) 背凭れ部
(40) 脚部
(48) 脚部揺動手段
(65) 脚上げ下半身ボタン(操作ボタン)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の腰掛ける座部と、該座部の先端に揺動可能に支持され被施療者のふくらはぎ及び/又は足先を保持する脚部と、該脚部を座部に対して揺動させる脚部揺動手段と、脚部に配備され、被施療者のふくらはぎ及び/又は足先をマッサージする脚部マッサージ手段と、脚部揺動手段及び脚部マッサージ手段を制御する制御手段と、を具えた椅子型マッサージ機において、
制御手段は、脚部マッサージ手段の動作に応じて、脚部揺動手段を作動させ、脚部の揺動角度を変化させるようにしたことを特徴とする椅子型マッサージ機。
【請求項2】
制御手段は、脚部マッサージ手段の動作を開始すると、脚部揺動手段を作動させ、脚部の先端が上向きに傾動する方向に揺動させる請求項1に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項3】
制御手段は、脚部揺動手段を作動させて、脚部が予め設定された角度まで上向きに揺動すると、脚部マッサージ手段を作動させる請求項1又は請求項2に記載のマッサージ。
【請求項4】
制御手段は、被施療者の足先が、被施療者の心臓の位置よりも高い位置となるように脚部揺動手段を作動させる請求項1乃至請求項3の何れかに記載の椅子型マッサージ機。
【請求項5】
脚部マッサージ手段は、エアバッグである請求項1乃至請求項4の何れかに記載の椅子型マッサージ機。
【請求項6】
座部は、床面に載置されるベースに揺動可能に支持され、座部揺動手段によって、ベースに対して揺動可能であり、座部揺動手段は、制御手段によって制御され、
制御手段は、脚部マッサージ手段の動作に合わせて、座部揺動手段を動作させる請求項1乃至請求項5の何れかに記載の椅子型マッサージ機。
【請求項7】
被施療者の腰掛ける座部と、該座部の先端に揺動可能に支持され被施療者のふくらはぎ及び/又は足先を保持する脚部と、該脚部を座部に対して揺動させる脚部揺動手段と、脚部に配備され、被施療者のふくらはぎ及び/又は足先をマッサージする脚部マッサージ手段と、脚部揺動手段及び脚部マッサージ手段を制御する制御手段と、を具えた椅子型マッサージ機において、
制御手段は、脚部揺動手段を作動させて、脚部が予め設定された角度まで上向きに揺動したときのみ、脚部マッサージ手段を動作させることが可能な操作ボタンを具えた椅子型マッサージ機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−80048(P2008−80048A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−266440(P2006−266440)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】