椅子
【課題】 座部と背部を有する椅子本体を昇降・リクライニング状態に切換えるための駆動装置が少なくて済み、かつ、構造がシンプルな椅子を提供することを目的とする。
また、椅子本体をリクライニング状態に切換える際に必要な背面スペースが、ほとんど不要であり、無駄な椅子設置スペースを要しない椅子を提供することを他の目的とする。【解決手段】 基台6と、中間昇降枠50と、座部7と背部8を有する椅子本体9とを、具備する。中間昇降枠50を基台6に平行四節の第1リンク機構10を介して昇降可能に付設する。かつ、椅子本体9を中間昇降枠50に第2リンク機構を介して付設し、座部7を前後進可能であって背部8をリクライニング可能に支持する。中間昇降枠50と共に椅子本体9を昇降させる昇降作動、及び、中間昇降枠50の下降状態に於て、座部7の前後進作動、及び、背部8のリクライニング動作を、単数個の伸縮アクチュエータ70によって、行う。
また、椅子本体をリクライニング状態に切換える際に必要な背面スペースが、ほとんど不要であり、無駄な椅子設置スペースを要しない椅子を提供することを他の目的とする。【解決手段】 基台6と、中間昇降枠50と、座部7と背部8を有する椅子本体9とを、具備する。中間昇降枠50を基台6に平行四節の第1リンク機構10を介して昇降可能に付設する。かつ、椅子本体9を中間昇降枠50に第2リンク機構を介して付設し、座部7を前後進可能であって背部8をリクライニング可能に支持する。中間昇降枠50と共に椅子本体9を昇降させる昇降作動、及び、中間昇降枠50の下降状態に於て、座部7の前後進作動、及び、背部8のリクライニング動作を、単数個の伸縮アクチュエータ70によって、行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動昇降(リクライニング)椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、座部と背部を有する椅子本体が、床載置枠の後端に揺動自在に枢着された略鉛直状のガイド柱枠体に、取付けられて、昇降自在に作動させることができると共に、椅子本体及びガイド柱枠体が、椅子本体が下降した状態において、後方へ傾斜状態へと揺動可能である椅子が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この椅子の具体的な構成について説明すると、ガイド柱枠体に、モータやスクリューシャフト等から成る昇降駆動装置が取付けられ、この昇降駆動装置のモータ等の作動により、椅子本体がガイド柱枠体に沿って昇降するように構成されている。
また、床載置枠の後端部と、ガイド柱枠体の背面の上部とが、モータやスクリューシャフト等から成る伸縮アクチュエータで連結されており、伸縮アクチュエータの伸縮作動により、椅子本体が略鉛直状態と後傾状態の間で揺動するように構成されている。
【特許文献1】特開平11−128014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように、従来の電動昇降椅子は、椅子本体を昇降させるための昇降駆動装置と、椅子本体をリクライニング状態にするための伸縮アクチュエータとを、別個に有するので、構造が複雑になると共に、部品点数が多い。これにより、椅子のコンパクト化を図るのが困難であり、椅子設置場所の省スペース化が図れない。しかも、夫々の駆動源の制御装置や配線等が必要となり、一層部品点数も多くなり、製造コストも多くなる。
また、椅子本体背部を後傾状態に作動させると、基本姿勢(背部が略鉛直状態の姿勢)に比べて、背部の上部が後方へ大きく突出してしまう。よって、壁に背を向けた状態で壁に接近して設置して椅子を使用すると、背部を後傾させた際に壁に当たるので、椅子の後方には広いスペースがある場所でしか使用できない。また、伸縮アクチュエータがガイド柱枠体の後方に突設されており、無駄に多くのスペースを要すると共に、邪魔になる。
【0004】
そこで、本発明は、座部と背部を有する椅子本体を昇降・リクライニング状態に切換えるための駆動装置が少なくて済み、かつ、構造がシンプルな椅子を提供することを目的とする。
また、椅子本体をリクライニング状態に切換える際に必要な背面スペースが不要であり、無駄な椅子設置スペースを要しない椅子を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明に係る椅子は、単数個の伸縮アクチュエータによって、座部と背部を有する椅子本体の昇降作動、及び、上記座部の前後進作動、及び、上記背部のリクライニング作動を、行うように構成したものである。
【0006】
また、本発明に係る椅子は、基台と、中間昇降枠と、座部と背部を有する椅子本体とを、具備し、単数個の伸縮アクチュエータによって、上記中間昇降枠と共に上記椅子本体を昇降させる昇降作動、及び、上記中間昇降枠の下降状態に於て、上記座部の前後進作動、及び、上記背部のリクライニング作動を、行うように構成したものである。
【0007】
また、本発明に係る椅子は、基台と、中間昇降枠と、座部と背部を有する椅子本体とを、具備し、上記中間昇降枠を上記基台に平行四節の第1リンク機構を介して昇降可能に付設し、さらに、上記椅子本体を上記中間昇降枠に第2リンク機構を介して付設し、上記座部を前後進可能であって上記背部をリクライニング可能に支持し、上記中間昇降枠と共に上記椅子本体を昇降させる昇降作動、及び、上記中間昇降枠の下降状態に於て、上記座部の前後進作動、及び、上記背部のリクライニング動作を、単数個の伸縮アクチュエータによって、行うように構成したものである。
【0008】
また、上記伸縮アクチュエータは、上記基台と、上記第2リンク機構の一部を成す駆動リンク片との間に、配設され、上記伸縮アクチュエータが中間伸縮状態と短縮状態では、上記駆動リンク片を介して上記第2リンク機構を作動させて上記座部の前後進作動と上記背部のリクライニング作動を行うと共に、上記伸縮アクチュエータが中間伸縮状態乃至伸長状態では、上記伸縮アクチュエータの先端部又は上記駆動リンク片が上記中間昇降枠の一部に当接して上記伸縮アクチュエータからの駆動力を伝達し、上記中間昇降枠を昇降作動させるように構成した。
【0009】
また、上記第1リンク機構は、枢支4点の内の1点の位置を、手動変換手段にて切換自在に構成され、平行四節リンク状態と変節リンク状態に切換えて、該変節リンク状態では、上記中間昇降枠の上昇に伴って該中間昇降枠とそれに付設の上記椅子本体を前傾姿勢に傾動させるように構成した。
【0010】
また、上記椅子本体の上記背部は上記座部に対して前後傾動可能として、上記第2リンク機構の一部を形成する第3リンク機構を介して支持され、該第3リンク機構は、上記座部の前進に伴って、上記背部を後方へ傾動させてリクライニングさせるように構成した。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、次のような著大な効果を奏する。
本発明に係る椅子は、基台と、中間昇降枠と、座部と背部を有する椅子本体とを、具備し、第1リンク機構・第2リンク機構によって、中間昇降枠と共に椅子本体を昇降させる昇降作動、及び、中間昇降枠の下降状態に於て、座部の前後進作動、及び、背部のリクライニング動作を、単数個の伸縮アクチュエータによって、行うように構成したので、椅子本体を昇降作動させるためのアクチュエータと、座部を前後進作動させるためのアクチュエータとを別個に設ける必要がなく、部品点数を大幅に減らすことができるので、椅子全体の大きさを抑えることができ、椅子設置場所の省スペース化を図り得る。また、駆動源が単数個の伸縮アクチュエータのみであることから、駆動装置用の制御装置や配線等も少なく済み、椅子の駆動機構を簡略化することができるので、製造が容易となる。
また、部品点数が少なくて済むことから、製造コストも抑えることができる。
【0012】
また、手動変換手段によって、椅子本体を昇降自在にするための第1リンク機構を、平行四節リンク状態と変節リンク状態に切換えて、変節リンク状態では、中間昇降枠の上昇に伴って中間昇降枠とそれに付設の椅子本体を前傾姿勢に傾動させるように構成したので、手動変換手段は簡易な構成でありながら、椅子本体を上昇させた姿勢を、前傾状態と、元の下降位置と同じ略水平状態とに、容易に切換えることができる。そして、椅子本体の上昇に伴って前傾姿勢になると、高齢者や身体弱者等が座部から立ち上がり易くなる。
【0013】
また、座部の前進に伴って、背部を後方へ傾動させてリクライニングさせるように構成したので、背部は、後方へ傾動すると共に前方へ移動し、背部の(上部の)後部が、後方へ突出状にならない。よって、椅子の背面を壁に近づけて設置して椅子を使用(ゼロウォール)できるので、省スペース化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、実施の形態を示す図面に基づき、本発明を詳説する。
図1〜図15は本発明に係る椅子の実施の一形態を示す。
先ず、図1〜図6に於て、本発明に係る椅子は、基台6と、中間昇降枠50と、座部7と背部8を有する椅子本体9とを、具備し、中間昇降枠50を基台6に平行四節の第1リンク機構10を介して昇降可能に付設したものである。椅子本体9の昇降作動は単数個の伸縮アクチュエータ70にて行われる。
具体的には、基台6は、4隅の下面に脚部材が取付けられた平面視略矩形状の枠形状を有し、この基台6の左右の側杆部45,45の上面45a,45aの後部に、第1リンク機構10の一部であってリンクの後端を支持するリンク支持部材40,40が、立設される。かつ、基台6は、伸縮アクチュエータ70の後端部72が枢支される枢支部46(図4では図示省略)を後部の左右略中央部に有し、アクチュエータ70は、その先端部71が前方上傾方向へ向きつつ揺動自在となるように、枢支部46に枢支される。リンク支持部材40の具体的な構成は後述する。
【0015】
次に、中間昇降枠50は、左右一対の側壁部51,51と、その前端縁・後端縁を連結する連結部材とを有し、中間昇降枠50は、側壁部51,51の間隔寸法が基台6の側杆部45,45の間隔寸法と略等しく設定して、側杆部45,45の上面45a,45aに載置される。各側壁部51の形状は、前後方向に細長略矩形状であり、かつ、各側壁部51の上縁部51aが、前方向へ僅かに上傾状である。これにより、椅子本体9(の座部7)が、側壁部51,51の上縁部51a,51aに載置された基本姿勢の状態では、座部7が僅かに前方上傾状となる。座部7が前方上傾状であることにより、座った人が滑り落ちにくくなると共に、座り心地も良好となる。
また、中間昇降枠50は、側壁部51,51の内面の前側上端部同士を連結する横杆部53を、有する。伸縮アクチュエータ70の先端部71に枢着された(後述の)駆動リンク片28が、この横杆部53に当接して伸長することで、(中間昇降枠50とこの上に載置された)椅子本体9が昇降するものである。横杆部53は、断面矩形状に形成される。
【0016】
また、伸縮アクチュエータ70の先端部71には、中間昇降枠50の一部52(横杆部53の後面中央部)に当接する駆動リンク片28が配設される。具体的には、駆動リンク片28は、(後述する)第2リンク機構20の一部を成すものであり、横断面コの字状のチャンネル材から成る。そして、駆動リンク片28の上部28aの一対の側壁部の間に、伸縮アクチュエータ70の先端部71を嵌込んで、枢結ピン73で横方向軸心L73廻りに揺動自在に枢結する。一方、中間昇降枠50の側壁部51,51は、横杆部53の下方において、枢結孔55,55が形成される。そして、丸棒軸29が、この枢結孔55,55に、横方向軸心L29廻りに回動自在に通される。駆動リンク片28は、その下部28bが丸棒軸29の中央部に固着されており(図6参照)、駆動リンク片28は、丸棒軸29と一体状になって、軸心L29廻りに揺動する。
【0017】
次に、第1リンク機構10について説明する。第1リンク機構10は、上リンク11と下リンク12と上記リンク支持部材40を有し、上リンク11・下リンク12の前端部11a,12aが、中間昇降枠50の各側壁部51の内面の前寄り位置に、上下離間した位置で、ピン部材により枢着される。かつ、上リンク11・下リンク12の後端部11b,12bが、基台6に付設されたリンク支持部材40に支持される。なお、上リンク11・下リンク12は、中間昇降枠50の左右の側壁部51,51に夫々配設される。
次に、リンク支持部材40について具体的に説明する。各リンク支持部材40は、小間隔をもって側杆部45の上面45aに立設された左右一対の略矩形状鉛直壁部41,41を、有し、鉛直壁部41,41の前寄りの下部には、(後述する)縦長孔42,42が形成される。そして、上リンク11の後端部11bが、鉛直壁部41,41間で縦長孔42の上方にて、鉛直壁部41,41にピン(ボルト)で枢支される。また、下リンク12の後端部12bは、鉛直壁部41,41間であって、縦長孔42,42に対応する位置に配設される。
【0018】
また、第1リンク機構10は、(平行リンクの主要部位を構成している)枢支4点の内の1点14(下リンク12の後端部12b)の位置が、手動変換手段60にて切換自在に構成される。具体的には、手動変換手段60は、リンク支持部材40の鉛直壁部41,41間にて鉛直壁部41,41に枢結部材(ピン)47で揺動自在に枢結されると共に後端部61bが鉛直壁部41,41から後方へ突出した略帯板状切換アーム部材61と、鉛直壁部41,41の上記縦長孔42,42と、切換アーム部材61の前端部61a及び下リンク12の後端部12bに貫設されると共に縦長孔42,42内を上下動自在に配設されるピン48と、を有する。つまり、下リンク12の後端部12bと切換アーム部材61の前端部61aは、ピン48により、縦長孔42,42に沿って移動自在となる。
【0019】
さらに、手動変換手段60は、リンク支持部材40の上部に後方突出状に固設されると共に切欠孔63がコの字状に打抜き形成された板片62と、左右一対の板片62,62の切欠孔63,63に通された後で両端が直角状に折曲げられさらに直角状に折曲げられて左右一対の切換アーム部材61,61の後端部61b,61bに枢支される横長門型の切換杆64と、を有する。切換杆64を、板片62,62の切欠孔63,63内の下側へ係止すると、切換アーム部材61の前端部61aが上側に切換わり、上下リンク11,12が、平行四節リンク状態となる(図1,図2の実線状態、図3参照)。平行四節リンク状態では、中間昇降枠50及び椅子本体9が、略水平状態のまま上昇する。一方、切換杆64を切欠孔63の上側へ移動させて係止すると、切換アーム部材61がピン47廻りに揺動して、切換アーム部材61の前端部61aが下側に切換わり、上下リンク11,12が、非平行状となって変節リンク状態となる(図2の二点鎖線,図4,図5参照。)。変節リンク状態では、上昇した中間昇降枠50及び椅子本体9が前傾姿勢になる。
なお、67は、切換杆64と板片62とを連結する縮みバネであり、バネ67の引っ張り力により、切換杆64が、板片62のコの字状切欠孔63の上側、下側に夫々確実に係止される。また、65は、切換アーム部材61,61の後端部61b,61bを連結する補強把持棒であり、この補強把持棒65は、切換杆64を上下に移動させる(切換える)際に、切換杆64と共に把持されて一体状に移動するためのものである。また、補強把持棒65によって、一対の切換アーム部材61,61の後端部61b,61bが確実に所定間隔に保持されると共に、切換アーム部材61,61を確実に一体状に揺動させる。また、鉛直壁部41,41は、その後縁部から上縁部の後側にかけて、帯壁部にて連結されると共に、後壁部には、切換アーム部材61挿通用開口部が切欠形成される。
【0020】
次に、図6〜図11に於て、椅子本体9は、中間昇降枠50に第2リンク機構20(リンク手段21)を介して付設されて、座部7が前後進可能であって背部8がリクライニング可能に支持されている。座部7の前後進作動は、中間昇降枠50が下降状態(基台6上に載置された状態)に於て行われる。この座部7の前後進作動、及び、(第2リンク機構20の一部である後述の第3リンク機構30による)背部8のリクライニング作動は、上記の伸縮アクチュエータ70により行われる。つまり、伸縮アクチュエータ70を共用している。
【0021】
第2リンク機構20について説明する。なお、各リンクの各部位の名称は、座部7が中間昇降枠50上に載置されている状態における上下前後方向を基準とした。
第2リンク機構20は、中間昇降枠50の側壁部51,51の外側において前後に配設されるリンクユニット22,22を、備える。各リンクユニット22は、側方から見て、略鉛直状として前後に離間して配設されると共に下端部1b・上端部2aが中間昇降枠50の側壁部51に第1ピン81・第2ピン82にて横方向軸心L81,L82廻りに枢着された第1リンク1・第2リンク2と、前端部3a・後端部3bが第1リンク1・第2リンク2の各中間部に枢結された第3リンク3と、前後方向に配設され前端部4aが第1リンク1の上端部1aに枢結されると共に後端部4bが椅子本体9の座部7に第3ピン83にて横方向軸心L83廻りに揺動可能に枢支される第4リンク4と、上端部が第4リンク4の中間部4cに枢結されると共に下端部が第2リンク2の下端部2bに枢結される第5リンク5と、を有する。
さらに具体的には、座部7の下面7aには、その左右側辺に沿って、第2リンク機構20の一部を成す前後方向略帯板状垂下壁17,17が、下設され、各リンクユニット22の第4リンク4の後端部4bは、垂下壁17の内面に、第3ピン83で枢支される(垂下壁17は、図7〜図10に於ては、下半部の図示を切欠状に省略してある)。
また、ユニット22,22のうち、前側リンクユニット22Aの第2リンク2(25)は、その上端部2aに、第3ピン83が枢支される位置よりも上方に突出状の突出部24が、一体状に形成される。そして、第2リンク25の突出部24は、後述する連結リンク26の上端部26aに、第4ピン84で枢結される。
なお、前後1組のリンクユニット22,22は、中間昇降枠50の左右両側に配設される。
【0022】
さらに、第2リンク機構20は、丸棒軸29の両端に固着されて前方へ向いている小板片27,27と、上方後傾状に配設されて下端部26bが小板片27の前端部27aと第5ピン85にて枢結されると共に上端部26aが第2リンク25の突出部24に第4ピン84で枢結される連結リンク26と、を有する。駆動リンク片28と小板片27は、側面視に於て略L字を成す配置となり、このL字状に保たれた一体状態で軸心L29廻りに揺動自在である(図8参照)。
また、前側リンクユニット22Aの第4リンク4の後端部4bは、第3ピン83が通される位置よりも後方に突出状の突出部44が、一体状に形成される。この突出部44は、(後述する)第3リンク機構30の中間リンク34の前端部と、第6ピン86にて枢結される。
なお、ユニット22のピンのうち、各リンクを中間昇降枠50の側壁部51に枢結する第1ピン81・第2ピン82と、座部7の垂下壁17に枢結する第3ピン83には、斜線を図示した。
【0023】
また、前側リンクユニット22Aの第4リンク4と、後側リンクユニット22Bの第4リンク4に於て、第3ピン83とその前側に通されたピンとの間隔寸法を夫々P1 ,P2 とすると、本発明では、P2 <P1 に設定されている。この設定により、椅子本体9が前方へ作動するに従い、座部7の後傾角度が増す(図9〜図11参照)。
【0024】
次に、図12〜図14に示したように、椅子本体9の背部8が、座部7に対して前後傾動可能として、第2リンク機構20の一部を形成する第3リンク機構30を介して支持される。第3リンク機構30は、座部7の前進に伴って、背部8を後方へ傾動させてリクライニングさせるように構成したものである。(第3リンク機構30はその構成が全て第2リンク機構20の構成の一部に含まれる。)
具体的には、先ず、座部7に付設された上記垂下壁17は、その後端部を上向きに曲がり状に形成した支持片部16を、有する。そして、第3リンク機構30は、略三角形状を有し背部8の側辺部下端に取付けられると共に底辺前側の頂部が各垂下壁17の支持片部16の上端に枢結される固定プレート31と、上端が固定プレート31の後側の頂部に枢結される小板片32と、倒立三角形状を有し上辺の後側の頂部が小板片32の下端に枢結されると共に上辺の前側の頂部が上記垂下壁17の後端に第2ピン82により枢結される後側揺動プレート33と、後端部が後側揺動プレート33の略中央部に枢結された中間リンク34と、を有する。中間リンク34の前端部は、前側リンクユニット22Aの第4リンク4の上記突出部44に、第6ピン86にて枢結される。また、座部7の垂下壁17と後側揺動プレート33は、後側リンクユニット22Bの第4リンク4の後端部4bと重ね状になり、第2ピン82により共通して枢結される。
【0025】
次に、15は横長矩形状フットレスト体であり、椅子本体9が最下位置にある場合(図12参照)には、フットレスト体15は、座部7の下方にて前端縁に沿って鉛直状として配設される(収納状態となる)。フットレスト体15の内部には、横長帯板状補強板体13が、配設される。そして、後述の前後進リンク機構74によって、座部7の前進に伴って、フットレスト体15を収納状態から、座部7の前方で略水平状となる使用状態へ変化する。
この前後進リンク機構74は、上端部が垂下壁17の前寄り部に枢結される略三角形状の前側揺動プレート75と、後端部が後側揺動プレート33の下頂部に枢結されかつ前端部が前側揺動プレート75の略中央部に枢結される長尺リンク76と、後端部が前側揺動プレート75の下辺の前側の頂部に枢結されかつ前端部が補強板体13の側辺の上部に枢結される上リンク77と、上端部が垂下壁17の前部に枢支されかつ中間部が上リンク77の中間部に枢結されたクロス状リンク79と、前端部が補強板体13の側辺の中間部に枢結されかつ後端部がクロス状リンク79の下端部に枢結された下リンク78と、を有する。
【0026】
また、図1に於て、椅子本体9の背部8の縦長さL8 のうち、上端から25%〜35%の縦長さL18の枕部18は、骨材(合板)が内蔵されないフレキシブルな構造である。具体的には、背部8内には、発泡プラスチック片等のチップ材を接着剤にて固着一体化したものや、発泡プラスチック塊材が配設されると共に、下端部から枕部18の根元(背部8の上端から25%〜35%の位置)に該当する位置まで、平板状骨材(合板)93が配設されている。即ち、骨材93の上端から枕部18の上端までの寸法が、縦長さL18に該当する。かつ、骨材93の後面に、(各筒状)横バー材94が、骨材93の上端縁から僅かに(20mm程度)下方位置に沿って、固設される。枕部18に頭をもたれさせて、図15に示したように後方へ折れ曲げた際に、横バー材94が、内部材(チップ材)を介して、荷重を受けるので、大きく折れ曲がるのが防がれ、破損防止となる。背部8の縦長さL8 に対する、枕部18の縦長さL18を25%未満とすると、フレキシブルな部位が少ないため、折れ曲がり具合が小さく、リラックス効果が少ない。しかも、骨材93の上端縁がちょうど頭部に位置するような場合、逆に頭部の後部が痛みを受ける虞もある。また、35%超過とすると、骨材93の上端縁が肩部に位置して、使用者は無理な体勢となって不快感を感じる。
【0027】
また、中間昇降枠50の側壁部51,51の上縁部51a,51aの後端には、半円弧状凹部54,54が形成される。そして、両端に弯曲状アームレスト(肘掛け)90,90が取付けられた揺動棒91が、凹部54,54に揺動自在に嵌め込まれており、図1のように、アームレスト90,90は、略水平状(実線)、乃至、はね上げ状(二点鎖線)に、切換自在であり、横方向からの乗り降りが楽になる。
【0028】
次に、本発明の椅子の使用方法・作用について説明する。
先ず、椅子本体9を昇降作動させる場合について説明する。図1,図2,図6に於て、椅子本体9は最下位置にある基本状態であり、伸縮アクチュエータ70の伸縮長さが中間状態であって、伸縮アクチュエータ70の先端部71に配設された駆動リンク片28の前壁部の上部28aが、中間昇降枠50の横杆部53に当接、又は、僅かに離間した状態である。また、手動切換手段60に於ては、切換杆64を切換用板片62の切欠孔63の下側係止部に係止し、第1リンク機構10が、平行四節リンク状態となっている。
そして、図示省略のリモコンを操作して、伸縮アクチュエータ70を伸長作動させると、駆動リンク片28の上部28aが中間昇降枠50の横杆部53を押圧して、中間昇降枠50(及びその上に載置された椅子本体9)を、基台6上から押し上げる。この際、第1リンク機構10の上下リンク11,12により、椅子本体9は略鉛直方向に上昇する。
そして、図3に示したように、中間昇降枠50及び椅子本体9が一定の高さまで上昇すると、伸縮アクチュエータ70に内蔵されたリミッタ機能によりアクチュエータ70の伸長作動が自動的にストップして、椅子本体9の上昇がストップする。第1リンク機構10が平行四節リンク状態なので、上昇した椅子本体9の座部7は、略水平状である。
そして、反対に、伸縮アクチュエータ70を短縮作動すれば、中間昇降枠50及び椅子本体9が略鉛直方向に下降する。そして、図1のように、中間昇降枠50が基台6上に下降したら、伸縮アクチュエータ70の作動を止めて、基本姿勢状態で使用できる。
昇降中には、揺動リンク片28が、横杆部53に密着し、中間昇降枠50に対して軸心L29廻りに回転しないので、第2リンク機構20が不意に作動することはなく、椅子本体9の前後移動は起こり得ない。
このように、椅子本体9は、略鉛直方向に昇降するので、背部8が後方に突出状となることがなく、椅子は、壁に接近させて使用可能なゼロウォールタイプである。
【0029】
また、椅子本体9及び中間昇降枠50を上昇させる前に、手動変換手段60の切換杆64を、図2に於て実線に示した状態から二点鎖線で示した状態(及び図4の状態)に切換えれば、第1リンク機構10が変節リンク状態に切換わる。そして、伸縮アクチュエータ70を伸長作動させると、椅子本体9及び中間昇降枠50は次第に前傾状に変化し、図5に示したような前傾状態になる。このような前傾状とすることで、高齢者や身体弱者が、椅子本体9から楽に前方へ降りることができる。
【0030】
次に、座部7の前後進、及び、背部8のリクライニング作動について説明する。先ず、座部7の前後進について説明する。
図6〜図9は、伸縮アクチュエータ70の伸縮長さが中間状態であって、中間昇降枠50が基台6上に載置した基本状態である。
そして、図示省略のリモコンを操作して、伸縮アクチュエータ70の短縮作動させると、駆動リンク片28は、その上部28aが後方へ倒れる方向へ、軸心L29廻りに揺動する。駆動リンク片28、丸棒軸29、一対の小板片27,27は、軸心L29廻りに一体状に揺動するので、小板片27は、矢印87のように、先端部が上方へ移動する方向へ、軸心L29廻りに揺動して(図8参照)、連結リンク26を押し上げていく。すると、前側リンクユニット22Aの第2リンク25は、矢印88のように、下端部2bが前方へ移動する方向に、第2ピン82の軸心L82廻りに揺動する。よって、前側リンクユニット22Aの全リンクが一斉に作動する。
【0031】
具体的には、第2リンク25が、その下端部2bが前方へ移動する方向に、第2ピン82廻りに揺動すると、第5リンク5が第4リンク4を前方斜め上方向に押し上げると共に、第3リンク3が第1リンク1を前傾状に揺動させる。よって、第4リンク4の動きに着目すると、図9,図10,図11の順に示したように、第4リンク4は、その後端部4bに枢結された第3ピン83の位置が前方向へ緩やかな低起伏状の第1軌道R1 上を移動するように、揺動する。よって、第4リンク4に第3ピン83にて枢着された椅子本体9も、同様の軌道上に沿って、前方へ移動する。
【0032】
ここで、後側リンクユニット22Bは、伸縮アクチュエータ70の駆動力が直接に伝達されるものではなく、椅子本体9の前後作動の補助用に設けられたものである。第4リンク4が第3ピン83にて垂下壁17に枢着されているので、各リンクは、前側リンクユニット22Aのものと同様の動きをする。
よって、後側リンクユニット22Bの第4リンク4の後端部4bも、前方へ緩やかな低起伏状の第2軌道R2 上を移動するように、移動するが、前側リンクユニット22Aの第4リンク4に於ける、第3ピン83と前側のピンとの間隔寸法P1 と、後側リンクユニット22Bの第4リンク4に於ける、第3ピン83と前側のピンとの間隔寸法P2 が、P2 <P1 の関係にあるので、第1軌道R1 は、第2軌道R2 よりも僅かに大きな起伏状となる。よって、図11に示したように、前方へ移動した後の椅子本体9は、僅かに前方上傾状となる。
そして、伸縮アクチュエータ70は、内蔵されたリミッタ装置の機能により、一定長さまで短縮すれば自動的にストップするので、椅子本体9は一定位置まで前進すると、自動的にストップする。
この状態から、伸縮アクチュエータ70を伸長作動に切換えると、図11,図10,図9の順に、椅子本体9及び中間昇降枠50が後退する。
なお、上記の前後進作動中に、中間昇降枠50は、伸縮アクチュエータ70から駆動力を受けないので、基台6上に載置された状態が保たれる。
【0033】
次に、図12〜図14に於て、背部8のリクライニング作動について説明する。
図9〜図11で述べたように、椅子本体9の座部7が前方へ移動する過程に於て、前側リンクユニット22Aの第4リンク4の後端部4b及び突出部44が、座部7に対して第1軌道R1 上を前方へ移動するので、第4リンク4の突出部44にピン86にて枢結された中間リンク34が、前方へと引かれる。よって、中間リンク34の後端部に枢結された後側揺動プレート33が、第2ピン82廻りに前方へ揺動するので、小板片32を介して、固定プレート31が後傾状に揺動する。よって、固定プレート31が取付けられた背部8は、座部7が前進作動するのに伴い、図12,図13,図14の順に後傾状となってリクライニング状態になる。
【0034】
また、フットレスト体15が鉛直状の収納状態から、略水平状の使用状態へと変化する作動を説明する。上述のように、座部7が前方へ移動する過程に於て、後側揺動プレート33が揺動して、その下端部が前方へ移動するので、該プレート33に枢結された長尺リンク76を前方へ押して、前側揺動プレート75を前方へ揺動させる。よって、前側揺動プレート75に枢結された上リンク77、及び、下リンク78・クロス状リンク79により、補強板体13、即ち、フットレスト体15が、鉛直状態から、略水平状態へと変化する。
なお、座部7が、図14から図12に示す順に後退するのに伴い、背部8は、略鉛直状に戻るよう作動すると共に、フットレスト体15が、略水平状態から、鉛直状態へと戻るように変化する。
このように、座部7の前後進作動に伴い、背部8がリクライニング状態と基本姿勢(略鉛直状態)とに自動的に(連動して)切換わり、かつ、フットレスト体15が収納状態と使用状態とに自動的に(連動して)切換わる。よって、単数個の伸縮アクチュエータ70を用いた簡易な構造でありながら、椅子の様々な機能を連動して作動させることができる。
【0035】
以上のように、本発明に係る椅子は、単数個の伸縮アクチュエータ70によって、座部7と背部8を有する椅子本体9の昇降作動、及び、座部7の前後進作動、及び、背部8のリクライニング作動を、行うように構成したので、椅子本体9を昇降作動させるためのアクチュエータと、座部7を前後進作動させるためのアクチュエータとを別個に設ける必要がなく、部品点数を大幅に減らすことができると共に、駆動装置の大きさを抑えることができ、椅子のコンパクト化を図って、椅子設置場所の省スペース化を図ることができる。また、駆動源が単数個の伸縮アクチュエータ70のみであることから、駆動装置用の制御装置や配線等も少なく済み、椅子の駆動機構を簡略化することができるので、製造が容易となる。
また、部品点数が少なくて済むことから、製造コストも抑えることができる。
【0036】
また、椅子は、基台6と、中間昇降枠50と、座部7と背部8を有する椅子本体9とを、具備し、単数個の伸縮アクチュエータ70によって、中間昇降枠50と共に椅子本体9を昇降させる昇降作動、及び、中間昇降枠50の下降状態に於て、座部7の前後進作動、及び、背部8のリクライニング作動を、行うように構成したので、椅子本体9を昇降作動させるためのアクチュエータと、座部7を前後進作動させるためのアクチュエータとを別個に設ける必要がなく、部品点数を大幅に減らすことができると共に、駆動装置の大きさを抑えることができ、椅子のコンパクト化を図って、椅子設置場所の省スペース化を図ることができる。また、駆動源が単数個の伸縮アクチュエータ70のみであることから、駆動装置用の制御装置や配線等も少なく済み、椅子の駆動機構を簡略化することができるので、製造が容易となる。
また、部品点数が少なくて済むことから、製造コストも抑えることができる。
【0037】
また、椅子は、基台6と、中間昇降枠50と、座部7と背部8を有する椅子本体9とを、具備し、中間昇降枠50を基台6に平行四節の第1リンク機構10を介して昇降可能に付設し、さらに、椅子本体9を中間昇降枠50に第2リンク機構20を介して付設し、座部7を前後進可能であって背部8をリクライニング可能に支持し、中間昇降枠50と共に椅子本体9を昇降させる昇降作動、及び、中間昇降枠50の下降状態に於て、座部7の前後進作動、及び、背部8のリクライニング動作を、単数個の伸縮アクチュエータ70によって、行うように構成したので、椅子本体9を昇降作動させるためのアクチュエータと、座部7を前後進作動させるためのアクチュエータとを別個に設ける必要がなく、部品点数を大幅に減らすことができると共に、駆動装置の大きさを抑えることができ、椅子のコンパクト化を図って、椅子設置場所の省スペース化を図ることができる。また、駆動源が単数個の伸縮アクチュエータ70のみであることから、駆動装置用の制御装置や配線等も少なく済み、椅子の駆動機構を簡略化することができるので、製造が容易となる。
また、部品点数が少なくて済むことから、製造コストも抑えることができる。
【0038】
また、伸縮アクチュエータ70は、基台6と、第2リンク機構20の一部を成す駆動リンク片28との間に、配設され、伸縮アクチュエータ70が中間伸縮状態と短縮状態では、駆動リンク片28を介して第2リンク機構20を作動させて座部7の前後進作動と背部8のリクライニング作動を行うと共に、伸縮アクチュエータ70が中間伸縮状態乃至伸長状態では、伸縮アクチュエータ70の先端部71又は駆動リンク片28が中間昇降枠50の一部52に当接して伸縮アクチュエータ70からの駆動力を伝達し、中間昇降枠50を昇降作動させるように構成したので、簡易な構造でありながら、単数個の伸縮アクチュエータ70を伸縮作動させるだけで、椅子本体9の昇降作動と、座部7の前後進作動及び背部8のリクライニング作動とを確実に行うことができる。
【0039】
また、第1リンク機構10は、枢支4点の内の1点14の位置を、手動変換手段60にて切換自在に構成され、平行四節リンク状態と変節リンク状態に切換えて、変節リンク状態では、中間昇降枠50の上昇に伴って中間昇降枠50とそれに付設の椅子本体9を前傾姿勢に傾動させるように構成したので、手動変換手段60は簡易な構成でありながら、椅子本体9を上昇させた姿勢を、前傾状態と、元の下降位置と同じ略水平状態とに、容易に切換えることができる。そして、椅子本体9が上昇するのに伴って前傾姿勢に傾動すると、高齢者や身体弱者等が座部7から立ち上がり易くなり、介護等にも役に立つ。また、切換作業は簡単なので、高齢者等にも操作し易い。
【0040】
また、椅子本体9の背部8は座部7に対して前後傾動可能として、第2リンク機構20の一部を形成する第3リンク機構30を介して支持され、第3リンク機構30は、座部7の前進に伴って、背部8を後方へ傾動させてリクライニングさせるように構成したので、背部8は、後方へ傾動する際に前方へ移動し、背部8の(上部の)後部が、後方へ突出状にならない。よって、椅子の背面を壁に近づけて設置して使用(ゼロウォール)できるので、椅子設置場所の省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る椅子の実施の一形態を示す一部断面側面図である。
【図2】説明用要部側面図である。
【図3】一部断面側面図である。
【図4】要部斜視図である。
【図5】一部断面側面図である。
【図6】中間昇降枠の説明図であって、(ア)は要部平面説明図であり、(イ)は(ア)のA−A断面説明図である。
【図7】要部拡大側面図である。
【図8】説明用要部拡大側面図である。
【図9】座部の前後作動を説明する要部側面図である。
【図10】座部の前後作動を説明する要部側面図である。
【図11】座部の前後作動を説明する要部側面図である。
【図12】背部のリクライニング作動を説明する要部側面図である。
【図13】背部のリクライニング作動を説明する要部側面図である。
【図14】背部のリクライニング作動を説明する要部側面図である。
【図15】説明用要部側面図である。
【符号の説明】
【0042】
6 基台
7 座部
8 背部
9 椅子本体
10 第1リンク機構
14 1点
20 第2リンク機構
28 駆動リンク片
30 第3リンク機構
50 中間昇降枠
52 一部
60 手動変換手段
70 伸縮アクチュエータ
71 先端部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動昇降(リクライニング)椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、座部と背部を有する椅子本体が、床載置枠の後端に揺動自在に枢着された略鉛直状のガイド柱枠体に、取付けられて、昇降自在に作動させることができると共に、椅子本体及びガイド柱枠体が、椅子本体が下降した状態において、後方へ傾斜状態へと揺動可能である椅子が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この椅子の具体的な構成について説明すると、ガイド柱枠体に、モータやスクリューシャフト等から成る昇降駆動装置が取付けられ、この昇降駆動装置のモータ等の作動により、椅子本体がガイド柱枠体に沿って昇降するように構成されている。
また、床載置枠の後端部と、ガイド柱枠体の背面の上部とが、モータやスクリューシャフト等から成る伸縮アクチュエータで連結されており、伸縮アクチュエータの伸縮作動により、椅子本体が略鉛直状態と後傾状態の間で揺動するように構成されている。
【特許文献1】特開平11−128014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように、従来の電動昇降椅子は、椅子本体を昇降させるための昇降駆動装置と、椅子本体をリクライニング状態にするための伸縮アクチュエータとを、別個に有するので、構造が複雑になると共に、部品点数が多い。これにより、椅子のコンパクト化を図るのが困難であり、椅子設置場所の省スペース化が図れない。しかも、夫々の駆動源の制御装置や配線等が必要となり、一層部品点数も多くなり、製造コストも多くなる。
また、椅子本体背部を後傾状態に作動させると、基本姿勢(背部が略鉛直状態の姿勢)に比べて、背部の上部が後方へ大きく突出してしまう。よって、壁に背を向けた状態で壁に接近して設置して椅子を使用すると、背部を後傾させた際に壁に当たるので、椅子の後方には広いスペースがある場所でしか使用できない。また、伸縮アクチュエータがガイド柱枠体の後方に突設されており、無駄に多くのスペースを要すると共に、邪魔になる。
【0004】
そこで、本発明は、座部と背部を有する椅子本体を昇降・リクライニング状態に切換えるための駆動装置が少なくて済み、かつ、構造がシンプルな椅子を提供することを目的とする。
また、椅子本体をリクライニング状態に切換える際に必要な背面スペースが不要であり、無駄な椅子設置スペースを要しない椅子を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明に係る椅子は、単数個の伸縮アクチュエータによって、座部と背部を有する椅子本体の昇降作動、及び、上記座部の前後進作動、及び、上記背部のリクライニング作動を、行うように構成したものである。
【0006】
また、本発明に係る椅子は、基台と、中間昇降枠と、座部と背部を有する椅子本体とを、具備し、単数個の伸縮アクチュエータによって、上記中間昇降枠と共に上記椅子本体を昇降させる昇降作動、及び、上記中間昇降枠の下降状態に於て、上記座部の前後進作動、及び、上記背部のリクライニング作動を、行うように構成したものである。
【0007】
また、本発明に係る椅子は、基台と、中間昇降枠と、座部と背部を有する椅子本体とを、具備し、上記中間昇降枠を上記基台に平行四節の第1リンク機構を介して昇降可能に付設し、さらに、上記椅子本体を上記中間昇降枠に第2リンク機構を介して付設し、上記座部を前後進可能であって上記背部をリクライニング可能に支持し、上記中間昇降枠と共に上記椅子本体を昇降させる昇降作動、及び、上記中間昇降枠の下降状態に於て、上記座部の前後進作動、及び、上記背部のリクライニング動作を、単数個の伸縮アクチュエータによって、行うように構成したものである。
【0008】
また、上記伸縮アクチュエータは、上記基台と、上記第2リンク機構の一部を成す駆動リンク片との間に、配設され、上記伸縮アクチュエータが中間伸縮状態と短縮状態では、上記駆動リンク片を介して上記第2リンク機構を作動させて上記座部の前後進作動と上記背部のリクライニング作動を行うと共に、上記伸縮アクチュエータが中間伸縮状態乃至伸長状態では、上記伸縮アクチュエータの先端部又は上記駆動リンク片が上記中間昇降枠の一部に当接して上記伸縮アクチュエータからの駆動力を伝達し、上記中間昇降枠を昇降作動させるように構成した。
【0009】
また、上記第1リンク機構は、枢支4点の内の1点の位置を、手動変換手段にて切換自在に構成され、平行四節リンク状態と変節リンク状態に切換えて、該変節リンク状態では、上記中間昇降枠の上昇に伴って該中間昇降枠とそれに付設の上記椅子本体を前傾姿勢に傾動させるように構成した。
【0010】
また、上記椅子本体の上記背部は上記座部に対して前後傾動可能として、上記第2リンク機構の一部を形成する第3リンク機構を介して支持され、該第3リンク機構は、上記座部の前進に伴って、上記背部を後方へ傾動させてリクライニングさせるように構成した。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、次のような著大な効果を奏する。
本発明に係る椅子は、基台と、中間昇降枠と、座部と背部を有する椅子本体とを、具備し、第1リンク機構・第2リンク機構によって、中間昇降枠と共に椅子本体を昇降させる昇降作動、及び、中間昇降枠の下降状態に於て、座部の前後進作動、及び、背部のリクライニング動作を、単数個の伸縮アクチュエータによって、行うように構成したので、椅子本体を昇降作動させるためのアクチュエータと、座部を前後進作動させるためのアクチュエータとを別個に設ける必要がなく、部品点数を大幅に減らすことができるので、椅子全体の大きさを抑えることができ、椅子設置場所の省スペース化を図り得る。また、駆動源が単数個の伸縮アクチュエータのみであることから、駆動装置用の制御装置や配線等も少なく済み、椅子の駆動機構を簡略化することができるので、製造が容易となる。
また、部品点数が少なくて済むことから、製造コストも抑えることができる。
【0012】
また、手動変換手段によって、椅子本体を昇降自在にするための第1リンク機構を、平行四節リンク状態と変節リンク状態に切換えて、変節リンク状態では、中間昇降枠の上昇に伴って中間昇降枠とそれに付設の椅子本体を前傾姿勢に傾動させるように構成したので、手動変換手段は簡易な構成でありながら、椅子本体を上昇させた姿勢を、前傾状態と、元の下降位置と同じ略水平状態とに、容易に切換えることができる。そして、椅子本体の上昇に伴って前傾姿勢になると、高齢者や身体弱者等が座部から立ち上がり易くなる。
【0013】
また、座部の前進に伴って、背部を後方へ傾動させてリクライニングさせるように構成したので、背部は、後方へ傾動すると共に前方へ移動し、背部の(上部の)後部が、後方へ突出状にならない。よって、椅子の背面を壁に近づけて設置して椅子を使用(ゼロウォール)できるので、省スペース化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、実施の形態を示す図面に基づき、本発明を詳説する。
図1〜図15は本発明に係る椅子の実施の一形態を示す。
先ず、図1〜図6に於て、本発明に係る椅子は、基台6と、中間昇降枠50と、座部7と背部8を有する椅子本体9とを、具備し、中間昇降枠50を基台6に平行四節の第1リンク機構10を介して昇降可能に付設したものである。椅子本体9の昇降作動は単数個の伸縮アクチュエータ70にて行われる。
具体的には、基台6は、4隅の下面に脚部材が取付けられた平面視略矩形状の枠形状を有し、この基台6の左右の側杆部45,45の上面45a,45aの後部に、第1リンク機構10の一部であってリンクの後端を支持するリンク支持部材40,40が、立設される。かつ、基台6は、伸縮アクチュエータ70の後端部72が枢支される枢支部46(図4では図示省略)を後部の左右略中央部に有し、アクチュエータ70は、その先端部71が前方上傾方向へ向きつつ揺動自在となるように、枢支部46に枢支される。リンク支持部材40の具体的な構成は後述する。
【0015】
次に、中間昇降枠50は、左右一対の側壁部51,51と、その前端縁・後端縁を連結する連結部材とを有し、中間昇降枠50は、側壁部51,51の間隔寸法が基台6の側杆部45,45の間隔寸法と略等しく設定して、側杆部45,45の上面45a,45aに載置される。各側壁部51の形状は、前後方向に細長略矩形状であり、かつ、各側壁部51の上縁部51aが、前方向へ僅かに上傾状である。これにより、椅子本体9(の座部7)が、側壁部51,51の上縁部51a,51aに載置された基本姿勢の状態では、座部7が僅かに前方上傾状となる。座部7が前方上傾状であることにより、座った人が滑り落ちにくくなると共に、座り心地も良好となる。
また、中間昇降枠50は、側壁部51,51の内面の前側上端部同士を連結する横杆部53を、有する。伸縮アクチュエータ70の先端部71に枢着された(後述の)駆動リンク片28が、この横杆部53に当接して伸長することで、(中間昇降枠50とこの上に載置された)椅子本体9が昇降するものである。横杆部53は、断面矩形状に形成される。
【0016】
また、伸縮アクチュエータ70の先端部71には、中間昇降枠50の一部52(横杆部53の後面中央部)に当接する駆動リンク片28が配設される。具体的には、駆動リンク片28は、(後述する)第2リンク機構20の一部を成すものであり、横断面コの字状のチャンネル材から成る。そして、駆動リンク片28の上部28aの一対の側壁部の間に、伸縮アクチュエータ70の先端部71を嵌込んで、枢結ピン73で横方向軸心L73廻りに揺動自在に枢結する。一方、中間昇降枠50の側壁部51,51は、横杆部53の下方において、枢結孔55,55が形成される。そして、丸棒軸29が、この枢結孔55,55に、横方向軸心L29廻りに回動自在に通される。駆動リンク片28は、その下部28bが丸棒軸29の中央部に固着されており(図6参照)、駆動リンク片28は、丸棒軸29と一体状になって、軸心L29廻りに揺動する。
【0017】
次に、第1リンク機構10について説明する。第1リンク機構10は、上リンク11と下リンク12と上記リンク支持部材40を有し、上リンク11・下リンク12の前端部11a,12aが、中間昇降枠50の各側壁部51の内面の前寄り位置に、上下離間した位置で、ピン部材により枢着される。かつ、上リンク11・下リンク12の後端部11b,12bが、基台6に付設されたリンク支持部材40に支持される。なお、上リンク11・下リンク12は、中間昇降枠50の左右の側壁部51,51に夫々配設される。
次に、リンク支持部材40について具体的に説明する。各リンク支持部材40は、小間隔をもって側杆部45の上面45aに立設された左右一対の略矩形状鉛直壁部41,41を、有し、鉛直壁部41,41の前寄りの下部には、(後述する)縦長孔42,42が形成される。そして、上リンク11の後端部11bが、鉛直壁部41,41間で縦長孔42の上方にて、鉛直壁部41,41にピン(ボルト)で枢支される。また、下リンク12の後端部12bは、鉛直壁部41,41間であって、縦長孔42,42に対応する位置に配設される。
【0018】
また、第1リンク機構10は、(平行リンクの主要部位を構成している)枢支4点の内の1点14(下リンク12の後端部12b)の位置が、手動変換手段60にて切換自在に構成される。具体的には、手動変換手段60は、リンク支持部材40の鉛直壁部41,41間にて鉛直壁部41,41に枢結部材(ピン)47で揺動自在に枢結されると共に後端部61bが鉛直壁部41,41から後方へ突出した略帯板状切換アーム部材61と、鉛直壁部41,41の上記縦長孔42,42と、切換アーム部材61の前端部61a及び下リンク12の後端部12bに貫設されると共に縦長孔42,42内を上下動自在に配設されるピン48と、を有する。つまり、下リンク12の後端部12bと切換アーム部材61の前端部61aは、ピン48により、縦長孔42,42に沿って移動自在となる。
【0019】
さらに、手動変換手段60は、リンク支持部材40の上部に後方突出状に固設されると共に切欠孔63がコの字状に打抜き形成された板片62と、左右一対の板片62,62の切欠孔63,63に通された後で両端が直角状に折曲げられさらに直角状に折曲げられて左右一対の切換アーム部材61,61の後端部61b,61bに枢支される横長門型の切換杆64と、を有する。切換杆64を、板片62,62の切欠孔63,63内の下側へ係止すると、切換アーム部材61の前端部61aが上側に切換わり、上下リンク11,12が、平行四節リンク状態となる(図1,図2の実線状態、図3参照)。平行四節リンク状態では、中間昇降枠50及び椅子本体9が、略水平状態のまま上昇する。一方、切換杆64を切欠孔63の上側へ移動させて係止すると、切換アーム部材61がピン47廻りに揺動して、切換アーム部材61の前端部61aが下側に切換わり、上下リンク11,12が、非平行状となって変節リンク状態となる(図2の二点鎖線,図4,図5参照。)。変節リンク状態では、上昇した中間昇降枠50及び椅子本体9が前傾姿勢になる。
なお、67は、切換杆64と板片62とを連結する縮みバネであり、バネ67の引っ張り力により、切換杆64が、板片62のコの字状切欠孔63の上側、下側に夫々確実に係止される。また、65は、切換アーム部材61,61の後端部61b,61bを連結する補強把持棒であり、この補強把持棒65は、切換杆64を上下に移動させる(切換える)際に、切換杆64と共に把持されて一体状に移動するためのものである。また、補強把持棒65によって、一対の切換アーム部材61,61の後端部61b,61bが確実に所定間隔に保持されると共に、切換アーム部材61,61を確実に一体状に揺動させる。また、鉛直壁部41,41は、その後縁部から上縁部の後側にかけて、帯壁部にて連結されると共に、後壁部には、切換アーム部材61挿通用開口部が切欠形成される。
【0020】
次に、図6〜図11に於て、椅子本体9は、中間昇降枠50に第2リンク機構20(リンク手段21)を介して付設されて、座部7が前後進可能であって背部8がリクライニング可能に支持されている。座部7の前後進作動は、中間昇降枠50が下降状態(基台6上に載置された状態)に於て行われる。この座部7の前後進作動、及び、(第2リンク機構20の一部である後述の第3リンク機構30による)背部8のリクライニング作動は、上記の伸縮アクチュエータ70により行われる。つまり、伸縮アクチュエータ70を共用している。
【0021】
第2リンク機構20について説明する。なお、各リンクの各部位の名称は、座部7が中間昇降枠50上に載置されている状態における上下前後方向を基準とした。
第2リンク機構20は、中間昇降枠50の側壁部51,51の外側において前後に配設されるリンクユニット22,22を、備える。各リンクユニット22は、側方から見て、略鉛直状として前後に離間して配設されると共に下端部1b・上端部2aが中間昇降枠50の側壁部51に第1ピン81・第2ピン82にて横方向軸心L81,L82廻りに枢着された第1リンク1・第2リンク2と、前端部3a・後端部3bが第1リンク1・第2リンク2の各中間部に枢結された第3リンク3と、前後方向に配設され前端部4aが第1リンク1の上端部1aに枢結されると共に後端部4bが椅子本体9の座部7に第3ピン83にて横方向軸心L83廻りに揺動可能に枢支される第4リンク4と、上端部が第4リンク4の中間部4cに枢結されると共に下端部が第2リンク2の下端部2bに枢結される第5リンク5と、を有する。
さらに具体的には、座部7の下面7aには、その左右側辺に沿って、第2リンク機構20の一部を成す前後方向略帯板状垂下壁17,17が、下設され、各リンクユニット22の第4リンク4の後端部4bは、垂下壁17の内面に、第3ピン83で枢支される(垂下壁17は、図7〜図10に於ては、下半部の図示を切欠状に省略してある)。
また、ユニット22,22のうち、前側リンクユニット22Aの第2リンク2(25)は、その上端部2aに、第3ピン83が枢支される位置よりも上方に突出状の突出部24が、一体状に形成される。そして、第2リンク25の突出部24は、後述する連結リンク26の上端部26aに、第4ピン84で枢結される。
なお、前後1組のリンクユニット22,22は、中間昇降枠50の左右両側に配設される。
【0022】
さらに、第2リンク機構20は、丸棒軸29の両端に固着されて前方へ向いている小板片27,27と、上方後傾状に配設されて下端部26bが小板片27の前端部27aと第5ピン85にて枢結されると共に上端部26aが第2リンク25の突出部24に第4ピン84で枢結される連結リンク26と、を有する。駆動リンク片28と小板片27は、側面視に於て略L字を成す配置となり、このL字状に保たれた一体状態で軸心L29廻りに揺動自在である(図8参照)。
また、前側リンクユニット22Aの第4リンク4の後端部4bは、第3ピン83が通される位置よりも後方に突出状の突出部44が、一体状に形成される。この突出部44は、(後述する)第3リンク機構30の中間リンク34の前端部と、第6ピン86にて枢結される。
なお、ユニット22のピンのうち、各リンクを中間昇降枠50の側壁部51に枢結する第1ピン81・第2ピン82と、座部7の垂下壁17に枢結する第3ピン83には、斜線を図示した。
【0023】
また、前側リンクユニット22Aの第4リンク4と、後側リンクユニット22Bの第4リンク4に於て、第3ピン83とその前側に通されたピンとの間隔寸法を夫々P1 ,P2 とすると、本発明では、P2 <P1 に設定されている。この設定により、椅子本体9が前方へ作動するに従い、座部7の後傾角度が増す(図9〜図11参照)。
【0024】
次に、図12〜図14に示したように、椅子本体9の背部8が、座部7に対して前後傾動可能として、第2リンク機構20の一部を形成する第3リンク機構30を介して支持される。第3リンク機構30は、座部7の前進に伴って、背部8を後方へ傾動させてリクライニングさせるように構成したものである。(第3リンク機構30はその構成が全て第2リンク機構20の構成の一部に含まれる。)
具体的には、先ず、座部7に付設された上記垂下壁17は、その後端部を上向きに曲がり状に形成した支持片部16を、有する。そして、第3リンク機構30は、略三角形状を有し背部8の側辺部下端に取付けられると共に底辺前側の頂部が各垂下壁17の支持片部16の上端に枢結される固定プレート31と、上端が固定プレート31の後側の頂部に枢結される小板片32と、倒立三角形状を有し上辺の後側の頂部が小板片32の下端に枢結されると共に上辺の前側の頂部が上記垂下壁17の後端に第2ピン82により枢結される後側揺動プレート33と、後端部が後側揺動プレート33の略中央部に枢結された中間リンク34と、を有する。中間リンク34の前端部は、前側リンクユニット22Aの第4リンク4の上記突出部44に、第6ピン86にて枢結される。また、座部7の垂下壁17と後側揺動プレート33は、後側リンクユニット22Bの第4リンク4の後端部4bと重ね状になり、第2ピン82により共通して枢結される。
【0025】
次に、15は横長矩形状フットレスト体であり、椅子本体9が最下位置にある場合(図12参照)には、フットレスト体15は、座部7の下方にて前端縁に沿って鉛直状として配設される(収納状態となる)。フットレスト体15の内部には、横長帯板状補強板体13が、配設される。そして、後述の前後進リンク機構74によって、座部7の前進に伴って、フットレスト体15を収納状態から、座部7の前方で略水平状となる使用状態へ変化する。
この前後進リンク機構74は、上端部が垂下壁17の前寄り部に枢結される略三角形状の前側揺動プレート75と、後端部が後側揺動プレート33の下頂部に枢結されかつ前端部が前側揺動プレート75の略中央部に枢結される長尺リンク76と、後端部が前側揺動プレート75の下辺の前側の頂部に枢結されかつ前端部が補強板体13の側辺の上部に枢結される上リンク77と、上端部が垂下壁17の前部に枢支されかつ中間部が上リンク77の中間部に枢結されたクロス状リンク79と、前端部が補強板体13の側辺の中間部に枢結されかつ後端部がクロス状リンク79の下端部に枢結された下リンク78と、を有する。
【0026】
また、図1に於て、椅子本体9の背部8の縦長さL8 のうち、上端から25%〜35%の縦長さL18の枕部18は、骨材(合板)が内蔵されないフレキシブルな構造である。具体的には、背部8内には、発泡プラスチック片等のチップ材を接着剤にて固着一体化したものや、発泡プラスチック塊材が配設されると共に、下端部から枕部18の根元(背部8の上端から25%〜35%の位置)に該当する位置まで、平板状骨材(合板)93が配設されている。即ち、骨材93の上端から枕部18の上端までの寸法が、縦長さL18に該当する。かつ、骨材93の後面に、(各筒状)横バー材94が、骨材93の上端縁から僅かに(20mm程度)下方位置に沿って、固設される。枕部18に頭をもたれさせて、図15に示したように後方へ折れ曲げた際に、横バー材94が、内部材(チップ材)を介して、荷重を受けるので、大きく折れ曲がるのが防がれ、破損防止となる。背部8の縦長さL8 に対する、枕部18の縦長さL18を25%未満とすると、フレキシブルな部位が少ないため、折れ曲がり具合が小さく、リラックス効果が少ない。しかも、骨材93の上端縁がちょうど頭部に位置するような場合、逆に頭部の後部が痛みを受ける虞もある。また、35%超過とすると、骨材93の上端縁が肩部に位置して、使用者は無理な体勢となって不快感を感じる。
【0027】
また、中間昇降枠50の側壁部51,51の上縁部51a,51aの後端には、半円弧状凹部54,54が形成される。そして、両端に弯曲状アームレスト(肘掛け)90,90が取付けられた揺動棒91が、凹部54,54に揺動自在に嵌め込まれており、図1のように、アームレスト90,90は、略水平状(実線)、乃至、はね上げ状(二点鎖線)に、切換自在であり、横方向からの乗り降りが楽になる。
【0028】
次に、本発明の椅子の使用方法・作用について説明する。
先ず、椅子本体9を昇降作動させる場合について説明する。図1,図2,図6に於て、椅子本体9は最下位置にある基本状態であり、伸縮アクチュエータ70の伸縮長さが中間状態であって、伸縮アクチュエータ70の先端部71に配設された駆動リンク片28の前壁部の上部28aが、中間昇降枠50の横杆部53に当接、又は、僅かに離間した状態である。また、手動切換手段60に於ては、切換杆64を切換用板片62の切欠孔63の下側係止部に係止し、第1リンク機構10が、平行四節リンク状態となっている。
そして、図示省略のリモコンを操作して、伸縮アクチュエータ70を伸長作動させると、駆動リンク片28の上部28aが中間昇降枠50の横杆部53を押圧して、中間昇降枠50(及びその上に載置された椅子本体9)を、基台6上から押し上げる。この際、第1リンク機構10の上下リンク11,12により、椅子本体9は略鉛直方向に上昇する。
そして、図3に示したように、中間昇降枠50及び椅子本体9が一定の高さまで上昇すると、伸縮アクチュエータ70に内蔵されたリミッタ機能によりアクチュエータ70の伸長作動が自動的にストップして、椅子本体9の上昇がストップする。第1リンク機構10が平行四節リンク状態なので、上昇した椅子本体9の座部7は、略水平状である。
そして、反対に、伸縮アクチュエータ70を短縮作動すれば、中間昇降枠50及び椅子本体9が略鉛直方向に下降する。そして、図1のように、中間昇降枠50が基台6上に下降したら、伸縮アクチュエータ70の作動を止めて、基本姿勢状態で使用できる。
昇降中には、揺動リンク片28が、横杆部53に密着し、中間昇降枠50に対して軸心L29廻りに回転しないので、第2リンク機構20が不意に作動することはなく、椅子本体9の前後移動は起こり得ない。
このように、椅子本体9は、略鉛直方向に昇降するので、背部8が後方に突出状となることがなく、椅子は、壁に接近させて使用可能なゼロウォールタイプである。
【0029】
また、椅子本体9及び中間昇降枠50を上昇させる前に、手動変換手段60の切換杆64を、図2に於て実線に示した状態から二点鎖線で示した状態(及び図4の状態)に切換えれば、第1リンク機構10が変節リンク状態に切換わる。そして、伸縮アクチュエータ70を伸長作動させると、椅子本体9及び中間昇降枠50は次第に前傾状に変化し、図5に示したような前傾状態になる。このような前傾状とすることで、高齢者や身体弱者が、椅子本体9から楽に前方へ降りることができる。
【0030】
次に、座部7の前後進、及び、背部8のリクライニング作動について説明する。先ず、座部7の前後進について説明する。
図6〜図9は、伸縮アクチュエータ70の伸縮長さが中間状態であって、中間昇降枠50が基台6上に載置した基本状態である。
そして、図示省略のリモコンを操作して、伸縮アクチュエータ70の短縮作動させると、駆動リンク片28は、その上部28aが後方へ倒れる方向へ、軸心L29廻りに揺動する。駆動リンク片28、丸棒軸29、一対の小板片27,27は、軸心L29廻りに一体状に揺動するので、小板片27は、矢印87のように、先端部が上方へ移動する方向へ、軸心L29廻りに揺動して(図8参照)、連結リンク26を押し上げていく。すると、前側リンクユニット22Aの第2リンク25は、矢印88のように、下端部2bが前方へ移動する方向に、第2ピン82の軸心L82廻りに揺動する。よって、前側リンクユニット22Aの全リンクが一斉に作動する。
【0031】
具体的には、第2リンク25が、その下端部2bが前方へ移動する方向に、第2ピン82廻りに揺動すると、第5リンク5が第4リンク4を前方斜め上方向に押し上げると共に、第3リンク3が第1リンク1を前傾状に揺動させる。よって、第4リンク4の動きに着目すると、図9,図10,図11の順に示したように、第4リンク4は、その後端部4bに枢結された第3ピン83の位置が前方向へ緩やかな低起伏状の第1軌道R1 上を移動するように、揺動する。よって、第4リンク4に第3ピン83にて枢着された椅子本体9も、同様の軌道上に沿って、前方へ移動する。
【0032】
ここで、後側リンクユニット22Bは、伸縮アクチュエータ70の駆動力が直接に伝達されるものではなく、椅子本体9の前後作動の補助用に設けられたものである。第4リンク4が第3ピン83にて垂下壁17に枢着されているので、各リンクは、前側リンクユニット22Aのものと同様の動きをする。
よって、後側リンクユニット22Bの第4リンク4の後端部4bも、前方へ緩やかな低起伏状の第2軌道R2 上を移動するように、移動するが、前側リンクユニット22Aの第4リンク4に於ける、第3ピン83と前側のピンとの間隔寸法P1 と、後側リンクユニット22Bの第4リンク4に於ける、第3ピン83と前側のピンとの間隔寸法P2 が、P2 <P1 の関係にあるので、第1軌道R1 は、第2軌道R2 よりも僅かに大きな起伏状となる。よって、図11に示したように、前方へ移動した後の椅子本体9は、僅かに前方上傾状となる。
そして、伸縮アクチュエータ70は、内蔵されたリミッタ装置の機能により、一定長さまで短縮すれば自動的にストップするので、椅子本体9は一定位置まで前進すると、自動的にストップする。
この状態から、伸縮アクチュエータ70を伸長作動に切換えると、図11,図10,図9の順に、椅子本体9及び中間昇降枠50が後退する。
なお、上記の前後進作動中に、中間昇降枠50は、伸縮アクチュエータ70から駆動力を受けないので、基台6上に載置された状態が保たれる。
【0033】
次に、図12〜図14に於て、背部8のリクライニング作動について説明する。
図9〜図11で述べたように、椅子本体9の座部7が前方へ移動する過程に於て、前側リンクユニット22Aの第4リンク4の後端部4b及び突出部44が、座部7に対して第1軌道R1 上を前方へ移動するので、第4リンク4の突出部44にピン86にて枢結された中間リンク34が、前方へと引かれる。よって、中間リンク34の後端部に枢結された後側揺動プレート33が、第2ピン82廻りに前方へ揺動するので、小板片32を介して、固定プレート31が後傾状に揺動する。よって、固定プレート31が取付けられた背部8は、座部7が前進作動するのに伴い、図12,図13,図14の順に後傾状となってリクライニング状態になる。
【0034】
また、フットレスト体15が鉛直状の収納状態から、略水平状の使用状態へと変化する作動を説明する。上述のように、座部7が前方へ移動する過程に於て、後側揺動プレート33が揺動して、その下端部が前方へ移動するので、該プレート33に枢結された長尺リンク76を前方へ押して、前側揺動プレート75を前方へ揺動させる。よって、前側揺動プレート75に枢結された上リンク77、及び、下リンク78・クロス状リンク79により、補強板体13、即ち、フットレスト体15が、鉛直状態から、略水平状態へと変化する。
なお、座部7が、図14から図12に示す順に後退するのに伴い、背部8は、略鉛直状に戻るよう作動すると共に、フットレスト体15が、略水平状態から、鉛直状態へと戻るように変化する。
このように、座部7の前後進作動に伴い、背部8がリクライニング状態と基本姿勢(略鉛直状態)とに自動的に(連動して)切換わり、かつ、フットレスト体15が収納状態と使用状態とに自動的に(連動して)切換わる。よって、単数個の伸縮アクチュエータ70を用いた簡易な構造でありながら、椅子の様々な機能を連動して作動させることができる。
【0035】
以上のように、本発明に係る椅子は、単数個の伸縮アクチュエータ70によって、座部7と背部8を有する椅子本体9の昇降作動、及び、座部7の前後進作動、及び、背部8のリクライニング作動を、行うように構成したので、椅子本体9を昇降作動させるためのアクチュエータと、座部7を前後進作動させるためのアクチュエータとを別個に設ける必要がなく、部品点数を大幅に減らすことができると共に、駆動装置の大きさを抑えることができ、椅子のコンパクト化を図って、椅子設置場所の省スペース化を図ることができる。また、駆動源が単数個の伸縮アクチュエータ70のみであることから、駆動装置用の制御装置や配線等も少なく済み、椅子の駆動機構を簡略化することができるので、製造が容易となる。
また、部品点数が少なくて済むことから、製造コストも抑えることができる。
【0036】
また、椅子は、基台6と、中間昇降枠50と、座部7と背部8を有する椅子本体9とを、具備し、単数個の伸縮アクチュエータ70によって、中間昇降枠50と共に椅子本体9を昇降させる昇降作動、及び、中間昇降枠50の下降状態に於て、座部7の前後進作動、及び、背部8のリクライニング作動を、行うように構成したので、椅子本体9を昇降作動させるためのアクチュエータと、座部7を前後進作動させるためのアクチュエータとを別個に設ける必要がなく、部品点数を大幅に減らすことができると共に、駆動装置の大きさを抑えることができ、椅子のコンパクト化を図って、椅子設置場所の省スペース化を図ることができる。また、駆動源が単数個の伸縮アクチュエータ70のみであることから、駆動装置用の制御装置や配線等も少なく済み、椅子の駆動機構を簡略化することができるので、製造が容易となる。
また、部品点数が少なくて済むことから、製造コストも抑えることができる。
【0037】
また、椅子は、基台6と、中間昇降枠50と、座部7と背部8を有する椅子本体9とを、具備し、中間昇降枠50を基台6に平行四節の第1リンク機構10を介して昇降可能に付設し、さらに、椅子本体9を中間昇降枠50に第2リンク機構20を介して付設し、座部7を前後進可能であって背部8をリクライニング可能に支持し、中間昇降枠50と共に椅子本体9を昇降させる昇降作動、及び、中間昇降枠50の下降状態に於て、座部7の前後進作動、及び、背部8のリクライニング動作を、単数個の伸縮アクチュエータ70によって、行うように構成したので、椅子本体9を昇降作動させるためのアクチュエータと、座部7を前後進作動させるためのアクチュエータとを別個に設ける必要がなく、部品点数を大幅に減らすことができると共に、駆動装置の大きさを抑えることができ、椅子のコンパクト化を図って、椅子設置場所の省スペース化を図ることができる。また、駆動源が単数個の伸縮アクチュエータ70のみであることから、駆動装置用の制御装置や配線等も少なく済み、椅子の駆動機構を簡略化することができるので、製造が容易となる。
また、部品点数が少なくて済むことから、製造コストも抑えることができる。
【0038】
また、伸縮アクチュエータ70は、基台6と、第2リンク機構20の一部を成す駆動リンク片28との間に、配設され、伸縮アクチュエータ70が中間伸縮状態と短縮状態では、駆動リンク片28を介して第2リンク機構20を作動させて座部7の前後進作動と背部8のリクライニング作動を行うと共に、伸縮アクチュエータ70が中間伸縮状態乃至伸長状態では、伸縮アクチュエータ70の先端部71又は駆動リンク片28が中間昇降枠50の一部52に当接して伸縮アクチュエータ70からの駆動力を伝達し、中間昇降枠50を昇降作動させるように構成したので、簡易な構造でありながら、単数個の伸縮アクチュエータ70を伸縮作動させるだけで、椅子本体9の昇降作動と、座部7の前後進作動及び背部8のリクライニング作動とを確実に行うことができる。
【0039】
また、第1リンク機構10は、枢支4点の内の1点14の位置を、手動変換手段60にて切換自在に構成され、平行四節リンク状態と変節リンク状態に切換えて、変節リンク状態では、中間昇降枠50の上昇に伴って中間昇降枠50とそれに付設の椅子本体9を前傾姿勢に傾動させるように構成したので、手動変換手段60は簡易な構成でありながら、椅子本体9を上昇させた姿勢を、前傾状態と、元の下降位置と同じ略水平状態とに、容易に切換えることができる。そして、椅子本体9が上昇するのに伴って前傾姿勢に傾動すると、高齢者や身体弱者等が座部7から立ち上がり易くなり、介護等にも役に立つ。また、切換作業は簡単なので、高齢者等にも操作し易い。
【0040】
また、椅子本体9の背部8は座部7に対して前後傾動可能として、第2リンク機構20の一部を形成する第3リンク機構30を介して支持され、第3リンク機構30は、座部7の前進に伴って、背部8を後方へ傾動させてリクライニングさせるように構成したので、背部8は、後方へ傾動する際に前方へ移動し、背部8の(上部の)後部が、後方へ突出状にならない。よって、椅子の背面を壁に近づけて設置して使用(ゼロウォール)できるので、椅子設置場所の省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る椅子の実施の一形態を示す一部断面側面図である。
【図2】説明用要部側面図である。
【図3】一部断面側面図である。
【図4】要部斜視図である。
【図5】一部断面側面図である。
【図6】中間昇降枠の説明図であって、(ア)は要部平面説明図であり、(イ)は(ア)のA−A断面説明図である。
【図7】要部拡大側面図である。
【図8】説明用要部拡大側面図である。
【図9】座部の前後作動を説明する要部側面図である。
【図10】座部の前後作動を説明する要部側面図である。
【図11】座部の前後作動を説明する要部側面図である。
【図12】背部のリクライニング作動を説明する要部側面図である。
【図13】背部のリクライニング作動を説明する要部側面図である。
【図14】背部のリクライニング作動を説明する要部側面図である。
【図15】説明用要部側面図である。
【符号の説明】
【0042】
6 基台
7 座部
8 背部
9 椅子本体
10 第1リンク機構
14 1点
20 第2リンク機構
28 駆動リンク片
30 第3リンク機構
50 中間昇降枠
52 一部
60 手動変換手段
70 伸縮アクチュエータ
71 先端部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単数個の伸縮アクチュエータ(70)によって、座部(7)と背部(8)を有する椅子本体(9)の昇降作動、及び、上記座部(7)の前後進作動、及び、上記背部(8)のリクライニング作動を、行うように構成したことを特徴とする椅子。
【請求項2】
基台(6)と、中間昇降枠(50)と、座部(7)と背部(8)を有する椅子本体(9)とを、具備し、単数個の伸縮アクチュエータ(70)によって、上記中間昇降枠(50)と共に上記椅子本体(9)を昇降させる昇降作動、及び、上記中間昇降枠(50)の下降状態に於て、上記座部(7)の前後進作動、及び、上記背部(8)のリクライニング作動を、行うように構成したことを特徴とする椅子。
【請求項3】
基台(6)と、中間昇降枠(50)と、座部(7)と背部(8)を有する椅子本体(9)とを、具備し、上記中間昇降枠(50)を上記基台(6)に平行四節の第1リンク機構(10)を介して昇降可能に付設し、さらに、上記椅子本体(9)を上記中間昇降枠(50)に第2リンク機構(20)を介して付設し、上記座部(7)を前後進可能であって上記背部(8)をリクライニング可能に支持し、上記中間昇降枠(50)と共に上記椅子本体(9)を昇降させる昇降作動、及び、上記中間昇降枠(50)の下降状態に於て、上記座部(7)の前後進作動、及び、上記背部(8)のリクライニング動作を、単数個の伸縮アクチュエータ(70)によって、行うように構成したことを特徴とする椅子。
【請求項4】
上記伸縮アクチュエータ(70)は、上記基台(6)と、上記第2リンク機構(20)の一部を成す駆動リンク片(28)との間に、配設され、上記伸縮アクチュエータ(70)が中間伸縮状態と短縮状態では、上記駆動リンク片(28)を介して上記第2リンク機構(20)を作動させて上記座部(7)の前後進作動と上記背部(8)のリクライニング作動を行うと共に、上記伸縮アクチュエータ(70)が中間伸縮状態乃至伸長状態では、上記伸縮アクチュエータ(70)の先端部(71)又は上記駆動リンク片(28)が上記中間昇降枠(50)の一部(52)に当接して上記伸縮アクチュエータ(70)からの駆動力を伝達し、上記中間昇降枠(50)を昇降作動させるように構成した請求項3記載の椅子。
【請求項5】
上記第1リンク機構(10)は、枢支4点の内の1点(14)の位置を、手動変換手段(60)にて切換自在に構成され、平行四節リンク状態と変節リンク状態に切換えて、該変節リンク状態では、上記中間昇降枠(50)の上昇に伴って該中間昇降枠(50)とそれに付設の上記椅子本体(9)を前傾姿勢に傾動させるように構成した請求項3又は4記載の椅子。
【請求項6】
上記椅子本体(9)の上記背部(8)は上記座部(7)に対して前後傾動可能として、上記第2リンク機構(20)の一部を形成する第3リンク機構(30)を介して支持され、該第3リンク機構(30)は、上記座部(7)の前進に伴って、上記背部(8)を後方へ傾動させてリクライニングさせるように構成した請求項3,4又は5記載の椅子。
【請求項1】
単数個の伸縮アクチュエータ(70)によって、座部(7)と背部(8)を有する椅子本体(9)の昇降作動、及び、上記座部(7)の前後進作動、及び、上記背部(8)のリクライニング作動を、行うように構成したことを特徴とする椅子。
【請求項2】
基台(6)と、中間昇降枠(50)と、座部(7)と背部(8)を有する椅子本体(9)とを、具備し、単数個の伸縮アクチュエータ(70)によって、上記中間昇降枠(50)と共に上記椅子本体(9)を昇降させる昇降作動、及び、上記中間昇降枠(50)の下降状態に於て、上記座部(7)の前後進作動、及び、上記背部(8)のリクライニング作動を、行うように構成したことを特徴とする椅子。
【請求項3】
基台(6)と、中間昇降枠(50)と、座部(7)と背部(8)を有する椅子本体(9)とを、具備し、上記中間昇降枠(50)を上記基台(6)に平行四節の第1リンク機構(10)を介して昇降可能に付設し、さらに、上記椅子本体(9)を上記中間昇降枠(50)に第2リンク機構(20)を介して付設し、上記座部(7)を前後進可能であって上記背部(8)をリクライニング可能に支持し、上記中間昇降枠(50)と共に上記椅子本体(9)を昇降させる昇降作動、及び、上記中間昇降枠(50)の下降状態に於て、上記座部(7)の前後進作動、及び、上記背部(8)のリクライニング動作を、単数個の伸縮アクチュエータ(70)によって、行うように構成したことを特徴とする椅子。
【請求項4】
上記伸縮アクチュエータ(70)は、上記基台(6)と、上記第2リンク機構(20)の一部を成す駆動リンク片(28)との間に、配設され、上記伸縮アクチュエータ(70)が中間伸縮状態と短縮状態では、上記駆動リンク片(28)を介して上記第2リンク機構(20)を作動させて上記座部(7)の前後進作動と上記背部(8)のリクライニング作動を行うと共に、上記伸縮アクチュエータ(70)が中間伸縮状態乃至伸長状態では、上記伸縮アクチュエータ(70)の先端部(71)又は上記駆動リンク片(28)が上記中間昇降枠(50)の一部(52)に当接して上記伸縮アクチュエータ(70)からの駆動力を伝達し、上記中間昇降枠(50)を昇降作動させるように構成した請求項3記載の椅子。
【請求項5】
上記第1リンク機構(10)は、枢支4点の内の1点(14)の位置を、手動変換手段(60)にて切換自在に構成され、平行四節リンク状態と変節リンク状態に切換えて、該変節リンク状態では、上記中間昇降枠(50)の上昇に伴って該中間昇降枠(50)とそれに付設の上記椅子本体(9)を前傾姿勢に傾動させるように構成した請求項3又は4記載の椅子。
【請求項6】
上記椅子本体(9)の上記背部(8)は上記座部(7)に対して前後傾動可能として、上記第2リンク機構(20)の一部を形成する第3リンク機構(30)を介して支持され、該第3リンク機構(30)は、上記座部(7)の前進に伴って、上記背部(8)を後方へ傾動させてリクライニングさせるように構成した請求項3,4又は5記載の椅子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−159840(P2007−159840A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−360475(P2005−360475)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(000130293)株式会社コムラ製作所 (14)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(000130293)株式会社コムラ製作所 (14)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]