説明

植物栽培装置

【課題】植物が植え付けられる栽培容器を安定した状態で搬送することができると共に、数多くの栽培容器を搬送することで、栽培効率を向上させることができる植物栽培装置を提供する。
【解決手段】一方と他方とに縦列に配置された内輪12と、一方と他方との内輪12と所定間隔離間させ、装置外側となるように併設された外輪14と、内輪12の間を蛇行するように内輪12に巻き掛けられた無端状内側移動体13と、外輪14の間を蛇行するように外輪14に巻き掛けられた無端状外側移動体15と、両側面の一側の端部が無端状外側移動体15に第2連結部材により回動自在に支持され、一側とは反対側となる他側の端部が第1連結部材により無端状内側移動体13に回動自在に支持された栽培容器Cが載置される搬送台16と、無端状外側移動体13および無端状内側移動体15を周回させて搬送台16を周回させる駆動部17とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栽培容器に収容した植物を、搬送台に載せて搬送しながら栽培する植物栽培装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
収穫を高めるために、コンベアにより植物を搬送しながら植物を栽培する装置が、特許文献1〜3に記載されている。
特許文献1には、複数のベンチの列を左右に一対のエンドレスチェーンで連結し、スプロケット列により複数段にわたって前後に往復させながら循環させ、供給取出装置位置に来たベンチから生長したシイタケないし菌床を収穫し、新しい菌床を供給することにより、ベンチ上の菌床を順次シイタケの生育に適切な環境中に移送するシイタケの栽培装置が記載されている。
【0003】
特許文献2には、上下方向へ蛇行状に重畳展張されたエンドレス状のコンベアネットと、このコンベアネットを走行させる駆動手段と、コンベアネットに対設された給種苗手段及び取入手段と、外装体内に設けられた給水手段とを備えた栽培装置が記載されている。
【0004】
特許文献3には、栽培容器が配列されて一対の回転移動体に橋渡しされ、この回転移動体を一対のガイドローラーにより周回する回転式集中管理栽培システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−245646号公報
【特許文献2】実開昭58−62848号公報
【特許文献3】特開平11−318214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載のシイタケの栽培装置は、エンドレスチェーンにベンチを吊り下げたゴンドラ型の栽培装置なので、作業のために停止させたときや、再始動のときなどに、植物を栽培する容器が大きく揺れる。更に、一方から他方へ折り返すときにも容器が揺れるおそれがある。また、植物が生長するに従って重心が変化するので、チェーンに吊り下げた容器が傾くおそれがある。容器が水平に保てず、揺動したり、傾斜したりすると、散布した水がこぼれたり、培養土がこぼれたりすることが心配される。
【0007】
特許文献2に記載の栽培装置は、もやしを栽培するためにコンベアネットが用いられているため、培養土を収納した栽培容器に植栽されるレタスやにんじんなどを栽培する場合には適していない。
【0008】
特許文献3に記載の回転式集中管理栽培システムでは、容器の両端を回転移動体により支持されているだけなので、やはり始動時や、停止時、折り返すときに揺動するおそれがある。また、大容量の容器を搬送する場合には、ガイドローラーの幅を広くする必要があるだけでなく、折り返す際にガイドローラーに緩衝しないように、ガイドローラーの直径も大きくする必要がある。ガイドローラーの直径が大きくなると、回転移動体を特許文献1や特許文献2のように蛇行させる場合には各段の隙間が大きくなり、搬送可能な容器の数が少なくなってしまう。
【0009】
そこで本発明は、植物が植え付けられる栽培容器を安定した状態で搬送することができると共に、数多くの栽培容器を搬送することで、栽培効率を向上させることができる植物栽培装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の植物栽培装置は、一方と他方とに縦列に配置された内輪と、前記一方と他方との内輪の水平方向の一側に所定間隔離間させ、回転面が前記内輪の回転面より装置外側となるように位置させて併設された外輪と、前記一方と他方との内輪の間を蛇行するように折り返しながら順次次段の内輪に巻き掛けられ周回する無端状内側移動体と、前記一方と他方との外輪の間を蛇行するように折り返しながら順次次段の外輪に巻き掛けられ周回する無端状外側移動体と、前記無端状外側移動体に一側面の一側の端部が前記無端状内側移動体を超えて接続する外側連結部材により回動自在に支持され、前記無端状内側移動体に前記一側面の一側とは反対側となる他側の端部が内側連結部材により回動自在に支持され、前記一側面とは反対側となる他側面が載置面を水平に保持しつつ移動自在に支持され、栽培容器が載置される搬送台と、前記無端状外側移動体および無端状内側移動体を周回させて前記搬送台を周回させる駆動部とを備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の植物栽培装置は、栽培容器を載置する搬送台が、一方と他方とに配置した内輪の間を周回する無端状内側移動体と、一方と他方との外輪の間を周回する無端状外側移動体とにより、蛇行するように往復しながら順次次段へ移動して周回する。内輪には無端状内側移動体が巻き掛けられ、外輪には無端状外側移動体が巻き掛けられているが、外輪は、回転面が内輪の回転面より装置外側となるように位置させて併設されているので、無端状外側移動体と無端状内側移動体とは互いに緩衝することなく周回させることができる。また、搬送台は、無端状外側移動体に無端状内側移動体を超えて接続する外側連結部材に、一側面の一側の端部が回動自在に支持されているので、無端状内側移動体に一側面の一側とは反対側となる他側の端部が回動自在に支持されている。従って、搬送台が内輪と外輪とを折り返すときには、搬送台の一側の端部は外輪を回り、他側の端部は内輪を回るので、搬送台を反転させることなく載置面を上に向けたまま内輪および外輪を折り返させることができる。従って、栽培容器を安定した状態で搬送することができる。また、搬送台は他側面が載置面を水平に保持しつつ移動自在に支持されていることにより、搬送台を幅広に形成することができるので、数多くの栽培容器を載置することができる。
【0012】
前記外輪と前記内輪とのそれぞれには、同軸の一対の外輪および内輪が設けられ、前記一対として設けられた内輪には、無端状内側移動体が巻き掛けられ、前記一対として設けられた外輪には、無端状外側移動体が巻き掛けられ、前記搬送台の他側面は、他側面の一側の端部が前記無端状外側移動体に前記無端状内側移動体を超えて接続する外側連結部材に回動自在に支持され、前記他側面の他側の端部が前記無端状内側移動体に回動自在に支持されているのが望ましい。
内輪と外輪とがそれぞれ同軸の一対として設けられて、無端状外側移動体と無端状内側移動体とが巻き掛けられていれば、搬送台の他側面側の一側の端部を無端状外側移動体に、他側面側の他側の端部を無端状内側移動体に回動自在に支持させることで、搬送台の載置面を水平に保持しつつ移動自在に支持させることができるので、搬送台を安定させた状態で移動させることができる。
【0013】
前記内輪および前記外輪は、一つの案内車輪とすることができる。そうすることで、簡単な構造で構成することができる。
【0014】
前記内輪および前記外輪は、上下方向に並べられた少なくとも2つの案内車輪とすることも可能である。そうすることで、丈の高く植物を載置する場合でも、案内車輪の上下間隔を広げて配置すれば、容易に搬送台の上方の隙間を確保することができる。
【0015】
前記縦列に配置された一方の外輪および内輪と、前記縦列に配置された他方の外輪および内輪との間を移動する搬送台であって、上段から下段に移動した搬送台に載置された栽培容器の植物に照光する照明装置が設けられているのが望ましい。搬送台が最上段に位置していれば、照光は可能であるが、搬送台が中段に位置すると上段の搬送台が邪魔をして光の当たり具合が悪くなる。照明装置を設けることで、日当たりの悪さを補うことができる。また、照明装置は発熱するため植物への影響が懸念されるが、栽培容器が搬送台と共に移動しているので、照明装置と植物との距離が近くても、植物に対する熱の影響を抑えることができる。
【0016】
前記一方の外輪および内輪と、前記他方の外輪および内輪との間は、装置上部の方が装置下部より広い間隔に形成されていると、装置上部の一部が装置下部からはみ出した状態とすることができる。従って、装置の横を作業場として使用した場合でも、作業場の上方をはみ出した装置上部とすることで、デッドスペースとなってしまうことが防止できる。従って、栽培スペースを有効活用することができる。
【0017】
前記一方と他方とに縦列に配置させた外輪および内輪は、一部または全部が直線状に配置されていると、栽培スペースの壁面に合わせて装置を配置することができる。
【0018】
前記搬送台が搬送される搬送路の下方に温度調整された水を貯留する水槽が設けられ、前記搬送台には、前記水槽に移動しながら浸漬して、前記搬送台に載置される栽培容器に伝熱する熱伝導体が設けられているのが望ましい。貯留された水槽に搬送台に設けられた熱伝導体が移動しながら浸漬することで、温度調整された水の温度を栽培容器に伝熱させることができるので、周囲の空気全体を温度管理するより効率的に植物の温度管理を行うことが可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の構成によれは、搬送台を反転させることなく載置面を上に向けたまま内輪および外輪を折り返させることができるので、栽培容器を安定した状態で搬送することができ、搬送台を幅広に形成することができるので、数多くの栽培容器を載置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1に係る植物栽培装置が設置された栽培工場を示す斜視図である。
【図2】図1に示す栽培工場に設置された第1栽培装置を示す正面図である。
【図3】図2に示す第1栽培装置の内輪であるスプロケットと外輪であるスプロケットと、これら周回するチェーンおよび搬送台を示す斜視図であり、(A)は搬送台が折り返す前の状態の図、(B)は搬送台が折り返しているときの状態の図である。
【図4】搬送台がチェーンに連結されている状態を示す部分拡大図であり、(A)は第1連結部材を説明するための図、(B)は第2連結部材を説明するための図である。
【図5】図1に示す栽培工場に設置された第2栽培装置を示す正面図である。
【図6】搬送台の他側面を案内レールで支持している状態を示す斜視図である。
【図7】搬送台の他側面を1つのスプロケットで支持している状態を示す斜視図である。
【図8】内輪および外輪を2つのスプロケットで構成した状態を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る植物栽培装置を説明するための概略図である。
【図10】図9に示す植物栽培装置の搬送台に植物が植えられた栽培容器を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る植物栽培装置を、図面に基づいて説明する。
図1に示す植物栽培装置は、栽培工場Fに設置されている。栽培工場Fは、2階の奥に位置する播種室R1と、播種室R1に隣接する発芽室R2と、植物栽培装置として2種類の第1,2栽培装置1,2が配置された栽培室R3と、栽培室R3に隣接したパッキングエリアPと、播種室R1および発芽室R2の下に位置する冷蔵室R4とに区切られている。
【0022】
播種室R1では、植物を植え付けるための培養土を入れた栽培容器Cに種蒔き機Aにより種が蒔かれる。発芽室R2では、播種室R1にて播種された栽培容器Cが、発芽するまで安置される。栽培室R3には、植物を栽培するために第1栽培装置1および第2栽培装置2が設置されている。発芽室R2で発芽した栽培容器Cは、2階の窓Wから第1栽培装置1の搬送台へ載せられたり、直接第2栽培装置2の場所まで運ばれ、搬送台へ載せられたりする。栽培室R3は、採光するために、屋根に開口部を設けたり、光透過する天井としたりしている。パッキングエリアPでは、生長して製品となった植物を取り入れ、包装機Bにより包装する場所である。冷蔵室R4では、包装された製品が冷蔵して保管されて出荷待ちとなる。ここで、栽培室R3に設置された第1栽培装置1の構成について、図2に基づいて説明する。
【0023】
図2に示す第1栽培装置1は、栽培容器Cを上下方向に8段載せてコンベアのように周回して植物を栽培するものである。第1栽培装置1は、フレーム11と、内輪12と、無端状内側移動体13と、外輪14と、無端状外側移動体15と、搬送台16と、駆動部17と、照明装置18と、灌水装置19とを備えている。
【0024】
フレーム11は、床面Fに垂直方向に立設された4本の柱フレーム111と、4本の柱フレーム111に水平方向に橋渡しされた梁フレーム112とを備えている。図2においては、前側の柱フレーム111は省略している。
【0025】
図2と、図3(A)および同図(B)とに示すように、内輪12は、同軸で回転面を対向させて一対としたスプロケット12a,12bを、一方(壁面W1側)と他方(壁面W2側)とに所定間隔を空けて縦列に配置した案内車輪として機能するものである。
無端状内側移動体13は、スプロケット12aとスプロケット12bの間を蛇行するように折り返しながら順次下段となる次段のスプロケット12a,12bに巻き掛けられている。そして、最下段の他方の内輪12となるスプロケット12bから最上段の他方のスプロケット12bへ戻ることで周回するチェーン13aにより形成されている。
【0026】
外輪14は、同軸で回転面を対向させて一対としたスプロケット14a,14bを、一方のスプロケット12aと他方のスプロケット12bとの水平方向の一側に、所定間隔離間させ、回転面がスプロケット12a,12bの回転面より装置外側となるように位置させて併設した案内車輪として機能するものである。スプロケット14a,14bとは、スプロケット12a,12bと同径である。外輪14のスプロケット14a,14bと、内輪12のスプロケット12a,12bとの間隔は、搬送台16の一端側と他端側とを支持している間隔と同じである。
無端状外側移動体15は、スプロケット14aとスプロケット14bとの間を蛇行するように折り返しながら順次、下段となる次段のスプロケット14a,14bに巻き掛けられている。そして、最下段の他方の外輪14となるスプロケット14bから最上段の他方のスプロケット14bへ戻ることで周回するチェーン14aにより形成されている。
【0027】
搬送台16は、矩形状に形成された栽培される植物が植え付けられる栽培容器Cが載置されるテーブルである。搬送台16は、図4(A)に示すように、両側面の一側の端部が外側連結部材である第1連結部材161により無端状内側移動体15であるチェーン15aに連結されている。また、搬送台16は、図4(B)に示すように、両側面の他側の端部が内側連結部材である第2連結部材162により無端状内側移動体13であるチェーン13aに連結されている。
【0028】
図4(A)に示す第1連結部材161は、略コ字状に形成された板部材161aと、両端が軸部より拡径した軸部材161bとにより形成されている。板部材161aは、先端部がチェーン13aを超えてチェーン15aに固定され、基端部が搬送台16と共に軸部材161bが貫通して接続されている。このように、搬送台16が第1連結部材162によりチェーン15aに接続されていることで、一定方向に移動するチェーン15aに対して搬送台16は回動自在としている。
【0029】
図4(B)に示す第2連結部材162は、略コ字状に形成された板部材162aと、両端が軸部より拡径した軸部材162bとにより形成されている。板部材162aは、先端部がチェーン13aに固定され、基端部が搬送台16と共に軸部材162bが貫通して接続されている。このように、搬送台16が第1連結部材162によりチェーン13aに接続されていることで、一定方向に移動するチェーン13aに対して搬送台16は回動自在としている。
軸部材161b,162bが貫通している搬送台16の貫通孔にベアリングを設けていると、軸部材161b,162bの回動がスムーズなので望ましい。
【0030】
図2に示す駆動部17は、下端に位置する他方の内輪12のスプロケット12bと、他方の外輪14のスプロケット14bとに同軸で設けられた駆動スプロケット171a,171bと、駆動スプロケット171a,171bのそれぞれに巻き掛けられた駆動チェーン172a,172bを周回させるモーター173とを備えている。なお、本実施の形態1では、モーター173が駆動するスプロケットを、下端に位置する他方の内輪12のスプロケット12bと、他方の外輪14のスプロケット14bとしているが、他のスプロケットとしてもよいし、複数の内輪12のスプロケット12a,12bや複数の外輪14のスプロケット14a,14bを同時に駆動するようにしてもよい。
【0031】
照明装置18は、柱フレーム11a同士の間に取り付けられた取り付け棒181の所定間隔ごとに配置されたLED照明器具182である。
灌水装置19は、植物に散水する装置である。本実施の形態1では、灌水装置19は最上段から次段へ折り返す正面視して右上に設けられているが、搬送台6が周回するいずれか一箇所に設けられていればよい。水量に応じて灌水装置19を複数箇所に設けるようにしてもよい。
【0032】
次に、第2栽培装置2を図5に基づいて説明する。なお、第2栽培装置2においては、第1栽培装置1を示す図2と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
第2栽培装置2は、第1栽培装置1より多段に形成されていると共に、最上段に位置する一方の内輪12および外輪14と、他方の内輪12および外輪14との間隔が、他の段より間隔が広く形成されていることで、拡張部21が設けられている。最上段の拡張部21は、2階の播種室R1および発芽室R2の天井上まで延びている。
【0033】
第2栽培装置2には、拡張部21を2階の播種室R1および発芽室R2の天井上まで延ばすために、最下段からのチェーン13a,15aを受け、拡張部21の方向である水平方向へ向かわせる内輪12のスプロケット211aと外輪14のスプロケット212aと、上方へ向かわせる内輪12のスプロケット211bと外輪14のスプロケット212bとを備えている。
内輪12に巻き掛けたチェーン13aがスプロケット211a,211bも含めて周回し、外輪14に巻き掛けたチェーン15aがスプロケット212a,212bも含めて周回することで、搬送台16を全体に周回させている。
【0034】
以上にように構成された第1栽培装置1と第2栽培装置2との動作および使用状態について、図面に基づいて説明する。
まず、図1に示すように、播種室R1にて培養土が入れられ培地とした栽培容器Cに栽培される植物の種子が種蒔き機Aにより植え付けられる。そして発芽室R2により発芽した栽培容器Cは、順次、第1栽培装置1や第2栽培装置2の搬送台16上に載置される。
【0035】
第1栽培装置1の搬送台16上に栽培容器Cを載置する場合には、最上段の他方側の端が2階の発芽室R2の窓下の位置しているため、容易に発芽した栽培容器Cを搬送台16に載置することができる。
図2に示すように、搬送台16を上昇させるための最下段のスプロケット12b,14bと、最上段のスプロケット12b,14bとが、上下同士に位置しているため、壁面W1に合わせて第1栽培装置1を配置することができる。また、一方のスプロケット12a,14aの全部が直線状に縦列に配置されているので、壁面W2に合わせて第1栽培装置1を配置することができる。
【0036】
駆動部17のモーター173を始動すると、モーター173が駆動チェーン172a,172bを介してスプロケット171a,171bを駆動することで、最下段のスプロケット12b,14bが回転駆動される。
最下段のスプロケット12b,14bが回転駆動されると、他のスプロケットが従動スプロケットとなって、チェーン13a,15aが周回し始める。
【0037】
図2から図4に示すように、搬送台16は、一方の端(壁面W1側)まで移動する。搬送台16の前端は、第1連結部材161の板部材161aにより外輪14を周回するチェーン15aに連結されているが、板部材161aがチェーン13aを超えてチェーン15aに連結されているので、装置内側を周回するチェーン13aに干渉することなく搬送台16は一方の端まで移動することができる。
【0038】
一方の端まで移動した搬送台16の前端は、スプロケット14aの回転と共に移動するチェーン15aによりスプロケット14aを半回転して折り返し、進行方向が入れ替わることで後端となる。このとき搬送台16がスプロケット14aの周囲を半回転することで、第1連結部材161の板部材161aが上下反転するが、搬送台16に板部材161aが回動自在に連結されているので、搬送台16の前端は上下反転することなくスムーズに折り返して後端となる。以下、スプロケット14aを正面視したときに、回転する反時計回りの回転方向を正転方向、逆方向を逆転方向と称する。
【0039】
また、搬送台16の後端は、スプロケット12aの回転と共に移動するチェーン13aによりスプロケット12aを正転方向に半回転して折り返し、進行方向が入れ替わることで後端となる。第2連結部材162の板部材162aが上下反転するが、搬送台16に板部材162aが回動自在に連結されているので、搬送台16の後端は上下反転することなくスムーズに折り返して前端となる。
【0040】
このようにして、搬送台16が一方(壁面W1側)の端まで移動すると、搬送台16を反転させることなく載置面を上に向けたままスプロケット12a,14aを折り返させることができる。
【0041】
折り返して下段へ移動した搬送台16は、他方(壁面W2側)の端まで到達すると、搬送台16の前端が内輪12であるスプロケット12bを逆転方向に半回転して折り返して後端となり、後端が外輪14であるスプロケット14bを逆転方向に半回転して折り返して前端となって、進行方向が入れ替わる。
【0042】
そして、搬送台16が一方と他方とを往復する折り返しを繰り返しながら、順次下段方向へ移動する。搬送台16が最上段を移動しているときには、屋根から取り入れられた太陽光が、栽培容器Cにより栽培されている植物に直接照射されるが、下段に移動すると最上段の搬送台16や栽培容器Cの影となって植物に太陽光を照射させることができない。第1栽培装置1では、上段から下段に移動した搬送台16に載置された栽培容器Cに植え付けられた植物に照光する照明装置18が所定間隔ごとに設けられているので、日当たりの悪さを補うことができる。照明装置18は発熱するため植物への影響が懸念されるが、栽培容器Cが搬送台16と共に移動しているので、照明装置18と植物との距離が近くても、植物に対する熱の影響を抑えることができる。
【0043】
搬送台16が最下段の他方(図2ではW2側)の内輪12であるスプロケット12bと外輪14であるスプロケット14bまで到達すると、搬送台16はスプロケット12b,14bの正転方向の回転に伴ってスプロケット12b,14bの周囲を1/4回転して上方へ向かう。
そして、搬送台16は、最上段の他方のスプロケット12b,14bまで上昇すると、スプロケット12b,14bの周囲を正転方向に1/4回転して最上段に戻る。
【0044】
次に、第2栽培装置2について、動作および使用状態を図面に基づいて説明する。第2栽培装置2については、第1栽培装置1と、段数が多い、拡張部21が設けられていること以外は同じであるため、基本的な動作の説明は省略する。
最下段のスプロケット12b,14bを回った搬送台16は、上昇してスプロケット211a,212aの周囲を逆転方向に1/4回転して拡張部21の方向である水平方向へ向かう。次に、搬送台16は、2階の播種室R1および発芽室R2の天井上に位置する拡張部21を移動して、スプロケット211b,212bの周囲を正転方向に1/4回転して上方へ向かう。そして、最上段のスプロケット12b,14bの周囲を正転方向に1/4回転して最上段へ戻る。
このように第2栽培装置2では、一方の内輪12および外輪14の全部が縦列に直線状に配置され、他方の最上段に位置する拡張部21を除く内輪12および外輪14が縦列にほぼ直線状に配置されているので、壁面W1,W2に挟まれた栽培スペースを最大限活用することができるので、栽培効率を向上させることができる。また、第2栽培装置2では、拡張部21が設けられているので、デッドスペースとなってしまいがちな2階の播種室R1および発芽室R2の天井上までも栽培室R3とすることができるので、更に栽培効率を向上させることができる。
【0045】
このように、第1栽培装置1および第2栽培装置2は、搬送台16が反転したり傾斜したりせずに周回することができるので、栽培容器Cに衝撃や揺動を与えることなく安定した状態で栽培容器Cを搬送することができる。また、内輪12であるスプロケット12a,12bと外輪14であるスプロケット14a,14bとの対向幅を広げることで、栽培容器Cが載置される搬送台16の幅を広げることができるので、数多くの栽培容器Cを搬送することができる。従って、第1栽培装置1および第2栽培装置2は、栽培効率を向上させることができる。
【0046】
例えば、横長の栽培容器Cをゴンドラのように吊して周回させる栽培装置では、一旦、水が栽培容器Cの片方に偏ってしまえば、重心がずれて傾いたまま周回することになるため、全体に水を行き渡らせることができない。従って、栽培容器を立方体状や逆円錐状としなければならず、大量の植物を栽培することが困難になる。しかし、本実施の形態1に係る第1,2栽培装置1,2では、栽培容器Cに衝撃や揺動を与えることなく安定した状態で栽培容器Cを搬送することができるので、横長の栽培容器Cであっても、水平を保つことができることにより、定量の水を補給するだけで自然に栽培容器C全体に水を行き渡らせることができる。
【0047】
なお、本実施の形態1では、内輪12をスプロケット12a,12bをそれぞれ回転面が対向した一対のスプロケットとし、外輪14をスプロケット14a,14bもそれぞれ回転面が対向した一対のスプロケットとしているが、対となるスプロケットを省略することも可能である。その場合には、図6に示すように第1連結部材161および第2連結部材162(図6では図示せず)によりチェーン13a,15aに連結された搬送台16の一側面とは反対側となる他側面を、チェーン13a,15aの移動に沿って蛇行する案内レール19により移動自在に支持されるようにする。そうすることで、対となるスプロケットがなくても、搬送台16の搭載面を水平に保持しつつ、搬送台16をチェーン13a,15aに沿って移動させることできる。
【0048】
また、図7に示すように、内輪12のスプロケット12a,12bと、外輪14をスプロケット14a,14bとをそれぞれ一対とせず、共通したスプロケットSを配置すると共に、スプロケットSの配置位置に合わせてスプロケットSに巻き掛けられたチェーンCに搬送台16を、例えば第2連結部材162を用いて連結することで、搬送台16の他側面を支持させて、搬送台16を移動させながら載置面を水平に保つことが可能である。
【0049】
更に、図2および5では、内輪12のスプロケット12a,12bと、外輪14をスプロケット14a,14bとを、案内車輪として1つのスプロケットで構成しているが、図8に示すように、内輪12を2つのスプロケット12c,12cを上下方向に並べ、外輪14も2つのスプロケット14c,14cを上下方向に並べて構成することも可能である。そうすることで、搬送台16が折り返したときの上段と下段との間隔を、2つのスプロケットの上下間隔で確保することができるので、丈の高い植物を栽培するときには好適である。
【0050】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る植物栽培装置を、図9および図10に基づいて説明する。なお、図9について、図2と同じ構成は同符号を付して説明を省略する。また、図10においてはフレームや駆動部などは省略している。
【0051】
図9および図10に示すように、本実施の形態2に係る植物栽培装置3は、温度調整が必要な植物Vを栽培容器Cにて栽培するのに適している。
植物栽培装置3は、搬送台16xの裏面に互いが平行で対向した複数のフィン163が設けられている。フィン163は、移動方向と同じ方向に沿って台本体164に突設されている。フィン163は、搬送台16xが移動する搬送路の下方に配置された水槽20に浸漬されている。水槽20には、温度調整装置21により温度が管理された水が貯留されている。
【0052】
本実施の形態2に係る植物栽培装置3では、搬送台16xが、載置面を形成する板状体である台本体164と、台本体164の周囲を囲って保持する矩形枠体である枠部165とで形成されているので、フィン163と台本体164とを一体的に形成したヒートシンク22を、熱伝導体として採用している。
このヒートシンク22は、高い熱伝導性を有する金属で形成されている。例えば、ヒートシンク22は、銅、ステンレス、アルミニウム等が使用できるが、コストの面や調達性の面からアルミニウム製とするのが望ましい。
【0053】
また、栽培容器Cは、ヒートシンク22からの熱を培地に伝達しやすいように、熱伝導性の高い容器を採用するのが望ましいので、ヒートシンク22と同様にアルミニウムで形成されている。
【0054】
このように実施の形態2に係る植物栽培装置3では、低温に弱い植物Vのときには温水を、高温に弱い植物Vのときには冷水を、室温に応じて温度調整装置21により温度管理を行うことで、栽培室R3(図1参照)全体の空気を調整するよりも、効率よく管理ができると共に、省エネルギー化を図ることができる。
【0055】
また、搬送台16xの載置面は水平を維持したまま移動するので、フィン163の長さ程度の深さの水槽20を準備すればよい。従って、深さが深い水槽とする必要がないため貯留される水の量も少なくてよいので、温度管理が容易である。
更に水平方向に移動する搬送台16xは上下方向に揺動しないので、水槽20に貯留された水がこぼれにくい。
【0056】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。本実施の形態では、内輪12としてスプロケット12a,12b、外輪14としてスプロケット14a,14b、無端状内側移動体13としてチェーン13a、無端状外側移動体15としてチェーン15aとしているが、内輪および外輪をプーリ、無端状内側移動体および無端状外側移動体としてベルトを採用してもよい。またベルトはロープとしてもよい。また、搬送台は矩形状でなくてもよい。
また、本実施の形態1では、一方では外輪14が内輪12より外側に位置しており、他方では内輪12が外輪14より外側に位置しているが、一方と他方とで内輪12と外輪14との位置関係が同じであれば逆の配置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、屋内で植物を大量に栽培する植物栽培装置に好適である。
【符号の説明】
【0058】
1 第1栽培装置
11 フレーム
11a 柱フレーム
11b 梁フレーム
12 内輪
12a,12b スプロケット
13 無端状内側移動体
13a チェーン
14 外輪
14a,14b スプロケット
15 無端状外側移動体
15a チェーン
16 搬送台
161 第1連結部材
161a 板部材
161b 軸部材
162 第2連結部材
162a 板部材
162b 軸部材
17 駆動部
171a,171b 駆動スプロケット
172a,172b 駆動チェーン
173 モーター
18 照明装置
2 第2栽培装置
21 拡張部
211a,211b スプロケット
212a,212b スプロケット
3 植物栽培装置
R1 播種室
R2 発芽室
R3 栽培室
R4 冷蔵室
P パッキングエリア
C 栽培容器
A 種蒔き機
B 包装機
W 窓
W1,W2 壁面
G 案内レール
S スプロケット
C チェーン
3 栽培装置
16x 搬送台
163 フィン
164 台本体
165 枠部
19 灌水装置
20 水槽
21 温度調整装置
22 ヒートシンク
V 植物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方と他方とに縦列に配置された内輪と、
前記一方と他方との内輪の水平方向の一側に所定間隔離間させ、回転面が前記内輪の回転面より装置外側となるように位置させて併設された外輪と、
前記一方と他方との内輪の間を蛇行するように折り返しながら順次次段の内輪に巻き掛けられ周回する無端状内側移動体と、
前記一方と他方との外輪の間を蛇行するように折り返しながら順次次段の外輪に巻き掛けられ周回する無端状外側移動体と、
前記無端状外側移動体に一側面の一側の端部が前記無端状内側移動体を超えて接続する外側連結部材により回動自在に支持され、前記無端状内側移動体に前記一側面の一側とは反対側となる他側の端部が内側連結部材により回動自在に支持され、前記一側面とは反対側となる他側面が載置面を水平に保持しつつ移動自在に支持され、栽培容器が載置される搬送台と、
前記無端状外側移動体および無端状内側移動体を周回させて前記搬送台を周回させる駆動部とを備えたことを特徴とする植物栽培装置。
【請求項2】
前記外輪と前記内輪とのそれぞれには、同軸の一対の外輪および内輪が設けられ、
前記一対として設けられた内輪には、無端状内側移動体が巻き掛けられ、
前記一対として設けられた外輪には、無端状外側移動体が巻き掛けられ、
前記搬送台の他側面は、他側面の一側の端部が前記無端状外側移動体に前記無端状内側移動体を超えて接続する外側連結部材に回動自在に支持され、前記他側面の他側の端部が前記無端状内側移動体に回動自在に支持されている請求項1記載の植物栽培装置。
【請求項3】
前記内輪および前記外輪は、一つの案内車輪である請求項1または2記載の植物栽培装置。
【請求項4】
前記内輪および前記外輪は、上下方向に並べられた少なくとも2つの案内車輪である請求項1または2記載の植物栽培装置。
【請求項5】
前記縦列に配置された一方の外輪および内輪と、前記縦列に配置された他方の外輪および内輪との間を移動する搬送台であって、上段から下段に移動した搬送台に載置された栽培容器の植物に照光する照明装置が設けられている請求項1から4のいずれかの項に記載の植物栽培装置。
【請求項6】
前記一方の外輪および内輪と、前記他方の外輪および内輪との間は、装置上部の方が装置下部より広い間隔に形成されている請求項1から5のいずれかの項に記載の植物栽培装置。
【請求項7】
前記一方と他方とに縦列に配置させた外輪および内輪は、一部または全部が直線状に配置されている請求項1から6のいずれかの項に記載の植物栽培装置。
【請求項8】
前記搬送台が搬送される搬送路の下方に温度調整された水を貯留する水槽が設けられ、
前記搬送台には、前記水槽に移動しながら浸漬して、前記搬送台に載置される栽培容器に伝熱する熱伝導体が設けられている請求項1記載の植物栽培装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−72224(P2011−72224A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−225294(P2009−225294)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(508107146)株式会社シェリーズ (2)
【Fターム(参考)】