説明

検査システム

光透過性を有する容器2に液体3を充填した被検査体1を検査するシステム20であって,被検査体1を保持し,保持した被検査体1を傾斜もしくは倒立させて再び元の姿勢に戻す反転装置51と,前記反転装置51によって傾斜もしくは倒立させて再び元の姿勢に戻した直後の被検査体1を撮像する撮像装置91〜96と,前記撮像装置91〜96による画像を処理して被検査体1の良否を判定する撮像処理装置100とを備える。前記反転装置51は,被検査体1の上端部を保持するチャック55と,前記チャック55を水平方向の回転中心軸O2を中心として回転させるチャック回転機構56を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,例えばアンプルや輸液バッグ等の光透過性を有する容器に液体を充填した製品の製造において,製品の良否を自動的に判定する検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばアンプルや輸液バッグ等の光透過性を有する容器に,医薬品等の液体状の内容物を充填した製品の製造工程においては,液体を充填した後,液体にゴミ等の異物が混入していないか確認する検査を行っている。かかる検査においては,ランプによって製品に光を照射し,容器と内容物に光を透過させ,その様子をカメラによって撮像する。そしてそか,撮像された画像を画像処理装置によって解析することにより,液体中に混入した異物の存在を検出して,製品の良否を判定するようにしている。
【0003】
従来,かような検査を行うシステムとして,外周部で製品の下部を保持する回転テーブルと,回転テーブルの上部に配置され回転テーブルの回転中心周りに回転可能に支持された上部回転部材を備え,回転テーブルの外周部と上部回転部材の外周部にそれぞれ備えた保持部材によって製品の上下を保持し,回転テーブルと上部保持部材を同期させて回転させ,この回転に沿って製品を搬送する途中で,ランプとカメラを製品の移動に同期するように移動させ,撮像を行う構成としたものが知られている(例えば,特許文献1,2参照。)。これらのシステムにおいては,撮像する際に製品を自転させ,その自転を瞬時に停止させることにより,異物を液体中に浮遊させ,異物をより正確に検出できるようにしている。
【0004】
【特許文献1】日本国特許公開公報2002−139505号
【特許文献2】日本国特許公開公報10−142113号
【0005】
上記の製品において,例えば5本等,複数本の容器を横一列に並べて連結した形態のものがあるが,かような製品を自動的に検査するシステムは無く,目視によって検査していた。また,従来の検査システムでは,輸液バッグのような柔軟な素材で作られた容器は検査しづらかった。更にまた,従来の検査システムは,異物が容器の底部に沈殿し,あるいは内壁に貼り付いている場合,異物を正確に検出できないことがあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は,液体を充填したアンプルや輸液バッグ等の光透過性を有する容器に液体を充填した製品の検査において,異物を自動的に検出できる検査システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために,本発明によれば,光透過性を有する容器に液体を充填した被検査体を検査するシステムであって,被検査体を保持し,保持した被検査体を傾斜もしくは倒立させて再び元の姿勢に戻す反転装置と,前記反転装置によって傾斜もしくは倒立させて再び元の姿勢に戻した直後の被検査体を撮像する撮像装置と,前記撮像装置による画像を処理して被検査体の良否を判定する撮像処理装置とを備えることを特徴とする,検査システムが提供される。かかる検査システムによれば,被検査体を傾斜もしくは倒立させて再びもとの姿勢に戻すことで,容器の底部に沈殿した異物や,容器の内壁に貼り付いた異物を浮遊させることができる。従って,異物を確実に検出できる。
【0008】
この検査システムにあっては,前記反転装置は,被検査体の上端部を保持するチャックと,前記チャックを水平方向の回転中心軸を中心として回転させるチャック回転機構を備えることが好ましい。この場合,前記チャック回転機構は,例えばサーボモータを備える。また,被検査体を側方から撮像する第1の撮像装置と,被検査体を下方から撮像する第2の撮像装置を備えることことが好ましい。この場合,容器の底面付近の異物も確実に検出できる。
【0009】
さらに,複数の反転装置を円周方向に並べて装着した回転テーブルを備え,前記回転テーブルを回転させることにより前記反転装置に保持された被検査体を搬送し,前記検査装置を被検査体と同期して回転させながら,被検査体を撮像し,撮像した後,前記検査装置を被検査体と反対方向に回転させて,前記検査装置を前記被検査体との同期回転を開始する初期位置に戻す構成とすることが好ましい。この場合,製品を搬送しながら検査できるので,効率が良い。前記被検査体は,連結した複数の容器からなるものであっても良い。また,前記被検査体は柔軟な素材からなる容器に液体を充填したものであり,容器の変形を防ぐ治具を用いて被検査体が反転装置に保持されても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば,被検査体を傾斜もしくは倒立させて再び元の姿勢に戻すことにより,容器内の液体中に混入した異物を浮遊させることができる。そして,浮遊させた状態で異物を検出することにより,検出が容易となる。被検査体が連結した複数の容器あるいは柔軟な素材で作られた容器からなるものであっても,本発明を好適に適用でき,異物を自動的に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】被検査体としてのアンプルの正面図である。
【図2】被検査体としてのアンプルの側面図である。
【図3】検査システムの構成を説明する概略平面図である。
【図4】供給部の構成を説明する説明図である。
【図5】反転装置の構成を説明する説明図である。
【図6】反転装置の倒立動作と戻し動作を説明する説明図である。
【図7】検査部の構成を説明する説明図である。
【図8】ランプ,カメラ,製品の配置を示す説明図である。
【図9】ランプ,カメラ,製品の配置を示す説明図である。
【図10】反転装置の動作を説明する説明図である。
【図11】被検査体としての輸液バッグの正面図である。
【図12】被検査体としての輸液バッグを治具に取り付けた状態の説明図である。
【図13】チャック回転機構としてサーボモータを用いた反転装置の説明図である。
【図14】図13に示した反転装置によって非検査体任意の角度と回転速度で回転させる状態を示す説明図である。
【図15】被検査体を直立した姿勢から180度回転させて倒立させ,その後,180度反転させて再び直立した姿勢に戻す状態を示す説明図である。
【図16】被検査体を直立した姿勢から任意の角度回転させて傾斜させ,その後,反転させて再び直立した姿勢に戻す状態を示す説明図である。
【図17】被検査体を直立した姿勢から360度回転させる状態を示す説明図である。
【図18】被検査体を,直立した姿勢から任意の角度に傾斜させるまでの回転速度と,任意の角度に傾斜させた状態から更に別の任意の角度に傾斜させるまでの回転速度と,別の任意の角度に傾斜させた状態から再び直立した姿勢に戻すまでの回転速度を,任意に高速と低速に切替えた状態を示す説明図である。
【図19】被検査体を直立した姿勢から任意の角度に傾斜させ,その後,反転させて別の任意の角度に傾斜させる状態を示す説明図である。
【図20】被検査体である輸液バッグを,直立した姿勢から任意の角度に傾斜させ,その後,反転させて別の任意の角度に傾斜させる状態を示す説明図である。
【図21】被検査体を側方から撮像する第1の撮像装置として上下2個ずつ,横に5列のカメラを備え,下方から撮像する第2の撮像装置としての5つを備えた例の配置を示す側面図である。
【図22】図21の平面図である。
【図23】被検査体である輸液バッグを上下3個ずつ,横に2列に並べた6つのカメラで撮像する例の配置を示す側面図である。
【図24】図23の平面図である。
【図25】別の実施の形態にかかる検査システムの構成を説明する概略正面図である。
【図26】別の実施の形態にかかる検査システムの構成を説明する概略側面図である。
【図27】別の実施の形態にかかる検査システムの構成を説明する概略側面図である。
【図28】消泡機の構成を説明する説明図である。
【図29】消泡機の回転機構を説明する説明図である。
【図30】消泡機の回転機構を説明する説明図である。
【図31】実験結果を示す表である。
【符合の説明】
【0012】
1 製品
1’ 輸液バッグ
2 アンプル
3 液体
20 検査システム
21 供給部
22 検査部
23 排出部
30 供給コンベア
31 移送スクリュー
32 スターホイール
40 製品保持部
43 ガイド部材
50 回転テーブル
51 反転装置
55 エアチャック
56 ロータリーアクチュエータ
65 電力供給部
80,81 アーム
83,84 不良品シュート
90 ランプ
91〜96 カメラ
98 オシレート
100 画像処理装置
110 ターンテーブル
111 排出コンベア
112 ガイド部材
200 治具
210 反転装置
211 サーボモータ
216 減速機
220〜226,230 カメラ
120 検査システム
121 供給コンベア
122 反転装置
123 移動機構
126 レール
127 反転装置昇降機構
130 エアチャック
131 ロータリーアクチュエータ
140 ランプ
141〜146 カメラ
150 画像処理装置
160 ランプ
161〜163 カメラ
170 消泡機
171 回転機構
172 回転テーブル
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下,本発明の好ましい実施の形態を説明する。図1に示すように,この実施の形態において被検査体となる製品1は,5本のアンプル2を横一列に並べて連結したものである。各アンプル2には,医薬品等の液体3が充填されている。また,空気等の気体4が液体3と共に封入されている。液体3を充填するための容器となるアンプル2は,例えば光透過性を有する樹脂等で形成されており,アンプル2を通して内部の液体3の状態を観察できる。また,液体3も光透過性を有するものである。
図1及び図2に示すように,アンプル2は,円筒状の筒部10と,筒部10の下部を塞ぐ底部11と,筒部10の上部に形成されたくびれ部12と,くびれ部12の上部に形成された薄片部13から構成されており,筒部10,底部11,くびれ部12によって,密閉空間15が形成されている。液体3及び気体4は,この密閉空間15に充填されている。図1に示すように,製品1は,5本のアンプル2を一列に並べて,隣り合う筒部10の外面同士を接合した形状になっている。薄片部13は,くびれ部12の上端部からアンプル2が並ぶ横方向と同一平面状に並んで上方に張り出すように,薄板状に形成されている。
【0014】
図3に示すように,製品1を被検査体として検査する検査システム20は,検査システム20に製品1を供給する供給部21と,供給部21によって供給された製品1を検査する検査部22と,検査部22から製品1を排出する排出部23を備えている。
【0015】
図4に示すように,供給部21は,製品1を横一列に並べて搬送する供給コンベア30と,移送スクリュー31と,供給コンベア30から製品1を受け取って検査部22に搬送するスターホイール32によって構成されている。移送スクリュー31は,供給コンベア30の末端部の側方に備えられている。移送スクリュー31の外周には,溝36が螺旋状に形成されており,溝36によって製品1の各アンプル2の側部を支持することができる。スターホイール32は,略円盤状に形成されており,供給コンベア30を挟んで移送スクリュー31と対向する側に備えられ,その円盤の中心部を回転中心として回転する。スターホイール32の周縁には,周縁に沿って等間隔な6箇所に,製品保持部40が形成されている。各製品保持部40には,スターホイール32の周縁から突出する3個の突起41がそれぞれ形成されている。各製品保持部40に配置される3個の各突起41は,製品1におけるアンプル2の接合箇所の間隔と同じピッチで設けられており,各製品保持部40において突起41間に形成される2個の凹部42によって,2本のアンプル2の側部を支持することができる。また,スターホイール32の周縁に沿って,円弧状のガイド部材43が備えられている。ガイド部材43は,移送スクリュー31の終端部から,スターホイール32の回転方向に沿って,検査部22に隣接する位置まで形成されている。このガイド部材43は,スターホイール32の周縁外側から所定の間隔を開けた位置に配置され,スターホイール32の周縁外側とガイド部材43の内面との間にアンプル2の筒部10を挟んだ状態で,(製品1)がスターホイール32の回転に伴って,移送スクリュー31の終端部から検査部22まで搬送されるようになっている。
【0016】
図3に示すように,検査部22は,回転テーブル50を備えている。回転テーブル50は円盤状に形成されており,その円盤の中心部に位置する鉛直方向の回転中心軸O1を中心として回転する。回転テーブル50の周縁部には,製品1を保持する反転装置51が16個装着されている。16個の反転装置51は,回転テーブル50の円周方向に等間隔に並べて配置されている。即ち,隣り合う反転装置51同士の間に対する中心角が約22.5°になるように配置されている。この回転テーブル50を回転させることにより,反転装置51を円周方向に移動させ,反転装置51に保持された製品1を搬送するようになっている。
【0017】
図5に示すように,回転テーブル50の上面周縁部には,支柱52が設けられている。反転装置51は,製品1の上端部を保持するエアチャック55と,チャック回転機構としてのロータリーアクチュエータ56を備えている。ロータリーアクチュエータ56は支柱52の上端部に固定されている。ロータリーアクチュエータ56の回転中心軸O2は,回転テーブル50の半径方向に沿って水平方向に配置されている。ロータリーアクチュエータ56の回転軸には,エアチャック支持部材57が外側に向かうように取り付けられている。エアチャック支持部材57の先端部には,エアチャック55の本体60が固定されている。エアチャック55は,挟み部61a,61bを開閉させることにより,製品1(接合された5個のアンプル2)の薄片部13を挟んで製品1を保持し,また,保持を解除するようになっている。図5に示す例では,挟み部61a,61bの上部を,本体60に対して水平方向の中心軸を中心として回転可能に支持することにより,挟み部61a,61bを互いに回転させて,挟み部61a,61bの下部を開閉させることにより,挟み部61a,61bの下部を互いに閉じて製品1の薄片部13を掴んだ状態(図5中の実線で示される状態)と,挟み部61a,61bの下部を互いに開いて製品1の薄片部13を放した状態(図5中の一点鎖線で示される状態)とに切替えられるようになっている。なお,挟み部61a,61bの開閉方式は,水平方向に近接及び離隔させることにより開閉させるスライド式であっても良い。
【0018】
図5及び図6に示すように,反転装置51は,ロータリーアクチュエータ56の駆動によって,エアチャック支持部材57を介して,エアチャック55を回転中心軸O2を中心として回転させることができる。また,ロータリーアクチュエータ56は,回転方向を変化させることができる。ロータリーアクチュエータ56を回転させることにより,エアチャック55に保持された製品1を下方から上方に回転させ,倒立させることができ,倒立させた製品1を上方から下方に回転させ,再び倒立前の元の姿勢に戻すことができる。
【0019】
図7に示すように,回転テーブル50の上方には,反転装置51に電力を供給するための電力供給部65が設けられている。電力供給部65は,回転テーブル50の上面中央部に固定され回転テーブル50と共に回転する回転体66と,回転体を内側に配置する固定筒体67を備え,回転体66と固定筒体67の間にスリップリング70が備えられている。固定筒体67は,回転テーブル50の外側に固定された固定支持部材71によって支持されている。回転体66は配線72を備えており,配線72の端部は,各反転装置51に接続されている。即ち,図示しない電力供給源からスリップリング70,配線72を介して,各反転装置51に電力が供給される。また,回転体66の内部には,エアを供給するエア供給路73が配設されている。エア供給路73の端部は各エアチャック55に接続されており,図示しないエア供給源からエア供給路73を介して,各エアチャック55にエアが供給される。
【0020】
一方,図3及び図7に示すように,検査部22には,回転テーブル50と同一の回転中心軸O1を中心として回転可能な2本のアーム80,81が設けられている。各アーム80,81は,回転テーブル50の下方に配置されている。各アーム80,81の隣には,不良品と判断された製品1を投棄する不良品シュート83,84がそれぞれ配置されている。
【0021】
図8に示すように,各アーム80,81の先端部には,製品1を照射するランプ90と,製品1を撮像する第1の撮像装置としての三つのカメラ91,92,93,第2の撮像装置としての三つのカメラ94,95,96がそれぞれ取り付けられている。図8,9に示すように,ランプ90は,反転装置51に保持された製品1より内側に配置され,内側から製品1全体に光線を照射するようになっている。ランプ90には,例えばメタルハライドランプ等が使用される。第1の撮像装置を構成する三つのカメラ91,92,93は,反転装置51に保持された製品1より外側に並べて配置されており,製品1を挟んでランプ90と対向する側(外側)において,製品1を透過した光を撮像する。一方,第2の撮像装置を構成する三つのカメラ94,95,96は,反転装置51に保持された製品1の下方に並べて配置されており,製品1を下方から撮像するようになっている。この実施の形態では,第1の撮像装置を構成する三つのカメラ91,92,93のうち,カメラ91は,製品1の先頭側の端から数えて第1番目と第2番目のアンプル2を側方から撮像し,カメラ92は第3番目と第4番目のアンプル2を側方から撮像し,カメラ93は第5番目のアンプル2を側方から撮像するように配置されている。また,第2の撮像装置を構成する三つのカメラ94,95,96のうち,カメラ94は第1番目と第2番目のアンプル2を下方から撮像し,カメラ95は第3番目と第4番目のアンプル2を下方から撮像し,カメラ96は第5番目のアンプル2を下方から撮像するように配置されている。なお,図9に示すように,第2の撮像装置としての三つのカメラ94,95,96は,いずれも各アンプル2の底部11を鉛直方向からランプ90側に例えば約5°程度傾斜した方向から撮像するように設けると良い。
【0022】
図7に示すように,回転テーブル50の下方には,回転テーブル50,アーム80,81を連動させて回転させるオシレート98が設けられている。オシレート98の駆動により,各アーム80,81は,図3に示すように,初期位置から所定の回転角度の範囲において回転テーブル50と同期回転し,その後,回転テーブル50と反対方向に回転して初期位置に戻る動作を繰り返すようになっている。この動作により,各アーム80,81に取付けられたランプ90,カメラ91,92,93,94,95,96を,反転装置51に保持された製品1とそれぞれ同期して回転移動させ,その後,各アーム80,81に取付けられたランプ90,カメラ91,92,93,94,95,96を製品1とそれぞれ反対方向に回転移動させ,製品1との同期回転を開始する初期位置まで戻す動作を繰り返すようになっている。各アーム80,81に取付けられたカメラ91,92,93,94,95,96は,製品1と同期回転する間に,製品1を撮像するようになっている。
【0023】
図7に示すように,各アーム80,81に取付けられた各カメラ91,92,93,94,95,96は,画像処理装置100に撮像した画像をそれぞれ送信するようになっている。画像処理装置100は,各カメラ91,92,93,94,95,96によって撮像された画像を処理して製品1の良否を判定する。画像の処理は,例えば画像間演算方式等によって行う。即ち,同一のカメラによって連続的に撮像された複数の画像を画像処理装置100に取り込み,一枚目の画像と他の画像をそれぞれ比較することで,液体3内で動いている異物を検出する。そして,画像間演算により異物が検出された場合は,画像処理装置100が製品1を不良品と判定する。また,製品1の良否の判定方法は,画像間演算方式による方法の他,撮像した画像に1枚でも異物が写った場合は不良品と判定する方法でも良い。
【0024】
図3に示すように,排出部23は,検査部22から製品を受け取って搬送するターンテーブル110と,ターンテーブル110から製品1を搬出する排出コンベア111によって構成されている。ターンテーブル110は略円盤状に形成されており,その円盤の中心部を回転中心として回転する。ターンテーブル110の上方には,ターンテーブル110の周縁部に沿って配置された一対のガイド部材112が備えられている。これら一対のガイド部材112は,製品1の厚さ(アンプル2の筒部3の外径)よりも僅かに長い程度の長さの間隔を開けて,ターンテーブル110の周縁部上方の内側と外側において,検査部22から排出コンベア111までの間に渡ってそれぞれ円弧状に配置されている。これにより,検査部22から受取った製品1を,ターンテーブル110の周縁部上方の上に載せて,ターンテーブル110の回転に伴って一対のガイド部材112の間を通して搬送し,次の排出コンベア111に製品1を受け渡すようになっている。なお,この排出部23のターンテーブル110と,前述した供給部21のスターホイール32,検査部22の回転テーブル50は,図7に示すオシレート98の駆動によって,互いに連動しており,前述した供給部21のスターホイール32から,検査部22の回転テーブル50,排出部23のターンテーブル110の順に,順次円滑に製品1を受け渡して搬送できるように,排出部23のターンテーブル110,前述した供給部21のスターホイール32,及び検査部22の回転テーブル50は,各々所定の回転方向,所定の回転速度で回転するようになっている。
【0025】
次に,以上のような検査システム20を用いた検査方法を説明する。先ず,図4に示すように,供給コンベア30によって,複数の製品1が連続的に移送スクリュー31に向かって搬送される。製品1は,アンプル2の薄片部13を上に向けた状態で搬送される。製品1が移送スクリュー31に到達すると,製品1の各アンプル2が溝36に当接し,製品1は,移送スクリュー31の回転による溝36の移動に伴って,スターホイール32に向かって移動させられる。一方,スターホイール32は,上方から見て時計回転方向(CW)に回転する。製品1がスターホイール32に到着すると,スターホイール32の製品保持部40が到着した製品1の位置に丁度移動する。そして,製品1の5つのアンプル2のうち,先頭から数えて第3番目と第4番目のアンプル2の間,第4番目と第5番目のアンプル2の間,第5番目のアンプル2の後方に,スターホイール32の突起41がそれぞれ入り込む。製品1は,スターホイール32の回転による製品保持部40の移動に伴って,ガイド部材43にガイドされながら,スターホイール32の周縁に沿って,検査部22に向かって移動させられる。このように,供給コンベア30で連続的に搬送された製品1は,スターホイール32の製品保持部40に1個ずつ受け渡され,順次検査部22に搬送される。
【0026】
図3に示すように,検査部22では,回転テーブル50が上方から見て反時計回転方向(CCW)に回転しており,製品1が検査部22側に到着したとき,反転装置51が製品1の位置に丁度移動する。そして,エアチャック55によって到着した製品1の薄片部13を挟み,筒部10を垂下させるようにして保持する。製品1をエアチャック55に受け渡した後の製品保持部40は,スターホイール32の回転により再び移送スクリュー31側に向かって移動し,製品1を受け取る。反転装置51は,製品1を受け取った後,回転テーブル50の回転により,先ずアーム80の位置まで移動して行く。また,この反転装置51に隣接する次の反転装置51が,製品保持部40から製品1を受け取る位置に移動し,次の製品保持部40から製品1を受け取る。このように,製品保持部40によって搬送された製品1が次々と反転装置51に保持され,回転テーブル50の円周方向に搬送されていく。
【0027】
製品1を保持した反転装置51は,スターホイール32から受取った製品1をアーム80の位置まで搬送する間に,製品1を倒立させる倒立動作と,倒立後再び製品1の姿勢を元に戻す戻し動作を行う。先ず,スターホイール32から受取った製品1をエアチャック55で保持したら,ロータリーアクチュエータ56を駆動させ,図10に示すように,回転テーブル50の外側から見てエアチャック55及び製品1を反時計回転方向(CCW)に約180°回転させる。これにより,薄片部13が下に,底部11が上になり,製品1が倒立した姿勢になる。このように製品1を倒立させると,各アンプル2内の液体3が攪拌され,液体3内に異物が混入している場合は,異物が液体3内で舞い上がり,浮遊する。各アンプル2の底部11に異物が沈殿していたり,筒部10やくびれ部12の内壁に異物が貼り付いたりしている場合は,これらの異物を液体3内に浮遊させることができる。次に,回転テーブル50の外側から見てエアチャック55及び製品1を時計回転方向(CW)に約180°回転させる。これにより,各アンプル2の薄片部13が上に,底部11が下になり,製品1の姿勢が倒立前と同じ直立した姿勢に戻される。各反転装置51は,製品1を製品保持部40から受け取った後,以上のような製品1を倒立させる動作と直立に戻す動作を順に行いながら,回転テーブル50の回転によりスターホイール32側からアーム80に向かって移動していく。
【0028】
一方,アーム80は,図3において上方から見て時計回転方向(CW)に移動し,姿勢が戻された直後の製品1とアーム80が互いに接近する。そして,製品1の内側にランプ90が移動し,製品1の外側にカメラ91,92,93が移動し,製品1の下方にカメラ94,95,96が移動する。こうしてカメラ91,92,93,94,95,96によってアンプル2をそれぞれ撮像できる配置となったら,アーム80の回転方向を反時計回転方向(CCW)とし,回転テーブル50と同期させて同じ回転速度で回転させる。これにより,アーム80に取付けられたランプ90,カメラ91,92,93,94,95,96が,製品1と同期して移動し,製品1に対しては,ランプ90,カメラ91,92,93,94,95,96が相対的に静止した状態となる。そして,所定の回転角度までアーム80を回転テーブル50と同期回転させる。
【0029】
こうして,製品1とアーム80に取付けられたランプ90,カメラ91,92,93,94,95,96を同期させて回転移動させる間に,製品1の1回目の検査を行う。アーム80のランプ90によって製品1を照射し,製品1にランプ90の光線を透過させ,アーム80に取付けられたカメラ91,92,93,94,95,96によって製品1を連続的に撮像する。カメラ91は,製品1の先頭側の端から数えて第1番目と第2番目のアンプル2を側方から撮像し,カメラ92は第3番目と第4番目のアンプル2を側方から撮像し,カメラ93は第5番目のアンプル2を側方から撮像する。また,カメラ94は第1番目と第2番目のアンプル2を下方から撮像し,カメラ95は第3番目と第4番目のアンプル2を下方から撮像し,カメラ96は第5番目のアンプル2を下方から撮像する。このような各カメラ91,92,93,94,95,96による撮像は複数回,例えば4回ずつ行う。このように,反転装置51によって倒立させて再び元の姿勢に戻した直後の製品1を,アーム80に取付けられた各カメラ91,92,93,94,95,96によってそれ撮像する。反転装置51によって倒立させて再び元の直立した姿勢に戻された直後の製品1は,異物が液体3内に浮遊した状態になっているので,画像間演算方式により異物を効果的に検出できる。この場合,異物がアンプル2の底部11に沈殿したままとなったり,アンプル2の内壁に貼り付いたままとなったりすることを防止して,異物を確実に検出できる。また,カメラ94,95,96によってアンプル2を下方から撮像することにより,底部11付近の異物も確実に検出することができる。
【0030】
アーム80に取付けられた各カメラ91,92,93,94,95,96によって撮像された画像情報は,画像処理装置100に取り込まれ,画像処理装置100において画像間演算が行われる。即ち,4回の撮像によって得られた画像のうち,1回目に得られた画像を基準にして,その後に撮像した画像を1回目の画像とそれぞれ比較し,画像の差異をそれぞれ検出する。これにより,液体3内に異物が浮遊している場合は異物が検出され,不良品と判断することができる。ここで,アンプル2内に封入された気体4が気泡となっていても,気泡は異物が落下するよりも先に上昇して静止するため,画像間の差異として検出されない。従って,気泡が異物と誤認して検出されることを防止できる。画像処理装置100は,画像間演算処理の結果に基づいて,製品1が不良品であるか否か判別する。アーム80に取付けられたカメラ91,92,93,94,95,96の撮像で異物が検出されなかった場合は,製品1は良品と判断される。アーム80に取付けられたカメラ91,92,93,94,95,96のいずれかの撮像で異物が検出された場合は,製品1は不良品と判断される。
【0031】
撮像後,アーム80を所定の回転角度まで回転させたら,アーム80の回転方向を逆に切り替え,アーム80を回転テーブル50と反対方向に回転させる。即ち,アーム80に取付けられたランプ90,カメラ91,92,93,94,95,96を製品1と反対方向に回転移動させる。そして,アーム80に取付けられたランプ90,カメラ91,92,93,94,95,96を,製品1との同期回転を開始する初期位置まで戻す。すると,次の反転装置51に保持された倒立動作及び戻し動作後の製品1に対してアーム80が丁度接近した状態となる。そして,再びアーム80を回転テーブル50と同期回転させ,各カメラ91,92,93,94,95,96を製品1と同期して回転移動させ,その製品1の撮像と画像処理を行う。こうして,アーム80に取付けられたランプ90,カメラ91,92,93,94,95,96によって,製品1について順次1回目の検査が行われる。
【0032】
一方,アーム80に取付けられたカメラ91,92,93,94,95,96による1回目の検査を終了した製品1は,回転テーブル50の回転によって,次に不良品シュート83の上方に向かって移動する。ここで,画像処理装置100において製品1が良品と判断された場合は,反転装置51及び製品1は不良品シュート83の上方をそのまま通過し,アーム81に向かって移動する。一方,画像処理装置100において製品1が不良品と判断された場合は,その製品1が不良品シュート83の上方を通過する際,エアチャック55の保持が解除され,その製品1は不良品シュート83内に落下する。こうして,不良品の製品1が回収される。
【0033】
また,良品と判断された製品1を保持した反転装置51は,アーム80の位置からアーム81の位置に向かって移動する間に,再び,その製品1を倒立させる倒立動作と,倒立させた姿勢から製品1の姿勢を直立の姿勢に戻す戻し動作を行う。即ち,ロータリーアクチュエータ56を駆動させ,図10に示すように,回転テーブル50の外側から見てエアチャック55及び製品1を反時計回転方向(CCW)に約180°回転させる。これにより,製品1を倒立させた姿勢とし,異物を液体3内に浮遊させる。次に,回転テーブル50の外側から見てエアチャック55及び製品1を時計回転方向(CW)に約180°回転させる。これにより,製品1の姿勢を倒立前と同じ直立した姿勢に戻す。各反転装置51は,以上のような倒立動作と戻し動作を順に行いながら,回転テーブル50の回転によりアーム80の位置からアーム81の位置に向かって移動させられていく。
【0034】
一方,アーム81は,図3において上方から見て時計回転方向(CW)に移動し,直立の姿勢に戻された直後の製品1にアーム81が接近する。そして,反転装置51に保持された製品1に対して回転テーブル50の内側にアーム81に取付けられたランプ90が移動し,製品1の外側にアーム81に取付けられたカメラ91,92,93が移動し,製品1の下方にアーム81に取付けられたカメラ94,95,96が移動する。こうしてアーム81に取付けられたカメラ91,92,93,94,95,96がそれぞれ製品1(アンプル2)を撮像可能な配置になったら,アーム81の回転方向を反時計回転方向(CCW)とし,回転テーブル50と同期させてアーム81を回転させる。これにより,アーム81に取付けられたランプ90,カメラ91,92,93,94,95,96が,製品1と同期して移動し,アーム81に取付けられたランプ90,カメラ91,92,93,94,95,96が製品1に対して相対的に静止した状態となる。そして,所定の回転角度までアーム81が回転テーブル50と同期回転する。
【0035】
製品1とアーム81に取付けられたランプ90,カメラ91,92,93,94,95,96を同期させて回転移動させる間に,製品1の2回目の検査を行う。即ち,アーム81に取付けられたランプ90によって製品1が照射され,アーム81に取付けられたカメラ91,92,93,94,95,96によって製品1を連続的に撮像する。カメラ91は,製品1の先頭側の端から数えて第1番目と第2番目のアンプル2を側方から撮像し,カメラ92は第3番目と第4番目のアンプル2を側方から撮像し,カメラ93は第5番目のアンプル2を側方から撮像する。カメラ94は第1番目と第2番目のアンプル2を下方から撮像し,カメラ95は第3番目と第4番目のアンプル2を下方から撮像し,カメラ96は第5番目のアンプル2を下方から撮像する。各カメラ91,92,93,94,95,96による撮像は複数回,例えば4回ずつ行う。このように,反転装置51によって倒立させて再び元の姿勢に戻した直後の製品1を,アーム81に取付けられたカメラ91,92,93,94,95,96によって撮像する。反転装置51によって倒立させて再び元の直立した姿勢に戻された直後の製品1は,異物が液体3内に浮遊した状態になっているので,画像間演算方式により検出可能な状態になっている。さらに,異物がアンプル2の底部11に沈殿したままとなったり,アンプル2の内壁に貼り付いたままとなったりすることを防止して,異物を確実に検出できる。また,カメラ94,95,96によってアンプル2を下方から撮像することにより,底部11付近の異物も確実に検出することができる。
【0036】
アーム81に取付けられた各カメラ91,92,93,94,95,96によって撮像された画像情報は,画像処理装置100に取り込まれ,画像処理装置100において画像間演算が行われる。即ち,1回目に得られた画像を基準にして,その後に撮像した画像を1回目の画像とそれぞれ比較し,画像の差異をそれぞれ検出する。これにより,液体3内に異物が浮遊している場合は異物が検出される。画像処理装置100は,画像間演算処理の結果に基づいて,製品1が不良品であるか否か判別する。アーム81に取付けられたカメラ91,92,93,94,95,96の何れの撮像でも異物が検出されなかった場合は,製品1は良品と判断される。アーム81に取付けられたカメラ91,92,93,94,95,96のいずれかの撮像で異物が検出された場合は,製品1は不良品と判断される。このように,アーム80,81の各位置で製品1の検査を計2回行うことにより,1回目で見逃した異物を検出することができ,不良品を確実に発見できる。
【0037】
撮像後,アーム81を所定の回転角度まで回転させたら,アーム81の回転方向を逆に切り替え,アーム81を回転テーブル50と反対方向に回転させる。即ち,アーム81に取付けられたランプ90,カメラ91,92,93,94,95,96を製品1と反対方向に回転移動させる。そして,アーム81に取付けられたランプ90,カメラ91,92,93,94,95,96を,製品1との同期回転を開始する初期位置まで戻す。すると,次の反転装置51に保持された2回目の倒立動作及び戻し動作をされた直後の製品1の位置にアーム81が接近する。そして,再びアーム81を回転テーブル50と同期回転させ,各カメラ91,92,93,94,95,96を製品1と同期して移動させ,この製品1の撮像と画像処理を行う。こうして,各製品1について次々と2回目の検査が行われる。
【0038】
一方,アーム81に取付けられたカメラ91,92,93,94,95,96による2回目の検査が終了した製品1は,回転テーブル50の回転によって不良品シュート84の上方に向かって移動する。ここで,2回目の検査により画像処理装置100において製品1が良品と判断された場合は,反転装置51及び製品1は不良品シュート84の上方をそのまま通過し,ターンテーブル110側に向かって移動する。一方,画像処理装置100において製品1が不良品と判断された場合は,その製品1が不良品シュート84の上方を通過する際,エアチャック55の保持が解除され,その製品1は不良品シュート84内に落下する。こうして,製品1の不良品が回収される。
【0039】
良品と判断され,不良品シュート84の上方を通過した製品1は,回転テーブル50の回転によってターンテーブル110側に向かって移動する。反転装置51は,ガイド部材112の入り口において,エアチャック55を開いて製品1の保持を解除して,ターンテーブル110上に製品1を受け渡す。ターンテーブル110は,上方から見て時計回転方向(CW)に回転し,製品1は,ターンテーブル110の回転に伴って,ガイド部材112の間をガイドされながら,排出コンベア111に向かって移動させられる。そして,排出コンベア111によって,製品1がターンテーブル110から搬出される。一方,製品1をターンテーブル110に受け渡した反転装置51は,ターンテーブル110側からスターホイール32側に向かって移動し,再び,製品保持部40から製品1を受け取る。
【0040】
かかる検査システム20によれば,アンプル2を複数連結した製品1を自動的に検査できる。複数の製品1を連続的に検査できる。また,各製品1の搬送を停止させることなく,搬送しながら倒立動作,戻し動作,及び検査を行うことができるので,効率が良い。製品1を倒立させることで,アンプル2内の液体3を攪拌し,アンプル2内に異物が存在している場合,異物を液体3内に浮遊させ,画像間演算方式により検出可能な状態にすることができる。さらに,異物がアンプル2の底部11に沈殿したままとなったり,アンプル2の内壁に貼り付いたままとなったりすることを防止して,異物を確実に検出できる。また,製品1の側方だけでなく下方からも撮像することにより,アンプル2の底部11付近の異物も,確実に検出できる。
【0041】
以上,本発明の好適な実施の形態の一例を示したが,本発明はここで説明した形態に限定されない。例えば,以上の形態では,容器はアンプル2とし,被検査体はアンプル2を5本並べて連結した製品1として説明したが,容器はアンプルに限定されず,容器の数は5本に限定されない。例えば,1本の容器からなる製品の検査にも,本発明を好適に適用できる。また,容器は,アンプルの他,ビン,バイアル等であっても良い。容器内に充填される液体3の種類は特に限定されない。
【0042】
図11に示すように,本発明における被検査体は,柔軟な素材からなる容器2’に輪液等の液体3’を充填した輸液バッグ1’などでも良い。但し,輸液バッグ1’などの被検査体は,傾斜もしくは倒立させた際に,その柔軟性によって容器2’が変形してしまう可能性がある。かかる場合,容器2’が変形したことに起因して,画像間演算方式による異物の検出が正しくできなくなる可能性がある。また,容器2’の変形によって,容器2’の底部に沈殿していた異物,あるいは容器2’の内壁に貼り付いていた異物を,充分に液体3’中に浮遊させられなくなることも懸念される。そこで,このような柔軟な素材からなる容器2’に輪液等の液体3’を充填した輸液バッグ1’などを被検査体とする場合は,図12に示すように,治具200によって輸液バッグ1’を保持し,容器2’の変形を防ぐことが好ましい。
【0043】
この治具200は,左右一対の縦フレーム201,202の上下に横フレーム203,204を取り付けた,縦長の長方形状を有している。かかる治具200を用いて,図12に示すように,輸液バッグ1’の頚部1a’をバインダ205によって横フレーム203に固定し,輸液バッグ1’の底部1b’をバインダ206によって横フレーム204に固定する。こうして容器2’の変形を防いだ状態で治具200に輸液バッグ1’を保持する。そして,輸液バッグ1’の頚部1a’を固定している横フレーム203の上部に延長された薄片部13’を,反転装置51のエアチャック支持部材57で保持することにより,図1,2で説明した製品1(アンプル2)と同様に異物を検査することが可能となる。
【0044】
例えば図3では,回転テーブル50に反転装置51を16個装着した例を説明したが,回転テーブル50の大きさによって,反転装置51の個数は適宜増減可能である。
【0045】
例えば図5,6では,被検査体(製品1)を外側から見て反時計回転方向(CCW)に約180°回転させることとしたが,被検査体の回転角度は,任意の角度,例えば,約90°,約135°等であっても良い。また,被検査体を回転させる方向も任意に設定できる。いずれにしても反転装置によって被検査体を傾斜もしくは倒立させて再び元の姿勢に戻すことにより,異物を液体中に浮遊させることができる。
【0046】
ここで,図13は,図5等で説明した反転装置51とは異なる構成の反転装置210の説明図である。図5等で説明した反転装置51と同様,この反転装置210でも,回転テーブル50’の上面周縁部には,支柱52’が設けられている。但し,この反転装置210は,非検査体(図示では製品1)の上端部を保持するエアチャック55’を回転させるチャック回転機構として,サーボモータ211を備えている。即ち,支柱52’の上端に取付けられたL字形状の支持部材212によって水平に支持された回転軸213の先端にエアチャック55’が固定されており,回転軸213の基端には,サーボモータ211の回転駆動軸215から入力された回転動力が減速機216を介して伝達されている。これにより,サーボモータ211の稼動によって,回転テーブル50’の半径方向に沿って水平方向に配置された回転中心軸O2’を中心にして,エアチャック55’によって上端部を保持された非検査体(図示では製品1)が回転させられるようになっている。
【0047】
このように,チャック回転機構として,ロータリーアクチュエータ56の代りにサーボモータ211を用いることにより,エアチャック55’で保持した非検査体(製品1)を,図14に示すように,回転中心軸O2’を中心にして任意の角度と回転速度で回転させることが可能となる。油圧や空気圧などを動力源とするロータリーアクチュエータは,回転角度が段階的であり,回転速度の制御もしにくいが,チャック回転機構としてサーボモータ211を用いれば,回転角度や回転速度の制御が容易となり,被検査体中に充填された液体の泡立ちなども防止できるようになる。
【0048】
図15〜19は,このようにチャック回転機構としてサーボモータ211を用いて,被検査体1の回転角度や回転速度を制御した場合の例示である。図15に示すように,被検査体1を,直立した姿勢から180度回転させて倒立させ,その後,180度反転させて再び直立した姿勢に戻すようにしても良い。その場合,倒立させた姿勢で被検査体1を一旦静止させてから,180度反転させて再び直立した姿勢に戻しても良い。被検査体1を,直立した姿勢から180度回転させて倒立させる場合,時計回転方向に回転させても良いし,反時計回転方向に回転させても良い。また,被検査体1を,倒立した姿勢から180度回転させて再び直立した姿勢に戻す場合も,時計回転方向に回転させても良いし,反時計回転方向に回転させても良い。それらの組合せは任意である。
【0049】
図16に示すように,被検査体1を,直立した姿勢から任意の角度(例えば120度)回転させて傾斜させ,その後,反転させて再び直立した姿勢に戻すようにしても良い。その場合,傾斜させた姿勢で被検査体1を一旦静止させてから,反転させて再び直立した姿勢に戻しても良い。被検査体1を,直立した姿勢から任意の角度回転させて傾斜させる場合,時計回転方向に回転させても良いし,反時計回転方向に回転させても良い。また,被検査体1を,傾斜させた姿勢から回転させて再び直立した姿勢に戻す場合も,時計回転方向に回転させても良いし,反時計回転方向に回転させても良い。それらの組合せは任意である。
【0050】
図17に示すように,被検査体1を,直立した姿勢から360度回転させるようにしても良い。この場合,被検査体1を時計回転方向に回転させても良いし,反時計回転方向に回転させても良い。あるいは,被検査体1を,直立した姿勢から360度よりも多く回転させて任意の角度で傾斜させ,その後,反転させて再び直立した姿勢に戻すようにしても良い。その場合,傾斜させた姿勢で被検査体1を一旦静止させてから,反転させて再び直立した姿勢に戻しても良い。この場合も,被検査体1の回転方向は任意である。
【0051】
図18に示すように,被検査体1を,直立した姿勢から任意の角度(例えば120度)に傾斜させるまでの回転速度と,任意の角度(例えば120度)に傾斜させた状態から更に別の任意の角度(例えば240度)に傾斜させるまでの回転速度と,別の任意の角度(例えば240度)に傾斜させた状態から再び直立した姿勢に戻すまでの回転速度を,任意に高速と低速に切替えても良い。その場合,任意の角度で傾斜させた姿勢や,別の任意の角度で傾斜させた姿勢で被検査体1を一旦静止させるようにしても良い。また,直立した姿勢,任意の角度(例えば120度)に傾斜した姿勢,別の任意の角度に傾斜した姿勢,各間において,被検査体1を,時計回転方向に回転させても良いし,反時計回転方向に回転させても良い。それらの組合せは任意である。
【0052】
図19に示すように,被検査体1を,直立した姿勢から任意の角度(例えば60度)に傾斜させ,その後,反転させて別の任意の角度(例えば−60度)に傾斜させることにより,被検査体1を振子運動させても良い。その場合,任意の角度で傾斜させた姿勢や,別の任意の角度で傾斜させた姿勢で被検査体1を一旦静止させるようにしても良い。また,直立した姿勢,任意の角度(例えば60度)に傾斜した姿勢,別の任意の角度(例えば−60度)に傾斜した姿勢,各間において,被検査体1を,時計回転方向に回転させても良いし,反時計回転方向に回転させても良い。それらの組合せは任意である。
【0053】
また図15〜19では,被検査体の一例として,アンプル2を5本並べて連結した製品1について説明したが,非検査体として輸液バッグ1’を用いた場合でも,非検査体(輸液バッグ1’)を,回転中心軸O2’を中心にして任意の角度と回転速度で回転させることが可能となる。但し,非検査体として輸液バッグ1’などのように,柔軟な素材からなる容器2’に輪液等の液体3’を充填したものと使用する場合は,先に図12で説明したように,治具200によって輸液バッグ1’を保持し,容器2’の変形を防ぐことが好ましい。
【0054】
図20に示すように,治具200によって保持した被検査体(輸液バッグ1’)を,直立した姿勢から任意の角度(例えば60度)に傾斜させ,その後,反転させて別の任意の角度(例えば−60度)に傾斜させることにより,輸液バッグ1’を振子運動させても良い。その場合も,任意の角度で傾斜させた姿勢や,別の任意の角度で傾斜させた姿勢で被検査体1を一旦静止させるようにしても良い。また,直立した姿勢,任意の角度(例えば60度)に傾斜した姿勢,別の任意の角度(例えば−60度)に傾斜した姿勢,各間において,輸液バッグ1’を,時計回転方向に回転させても良いし,反時計回転方向に回転させても良い。それらの組合せは任意である。その他,輸液バッグ1’についても,先に図15〜18で説明した場合と同様に,チャック回転機構としてサーボモータ211を用いて,被検査体1’の回転角度や回転速度を任意に制御することが可能である。
【0055】
また,図8,9では,ランプ90を製品1より内側に配置し,カメラ91,92,93を製品1より外側に配置した例を説明したが,ランプ90を製品1より外側に配置し,カメラ91,92,93を製品1より内側に配置しても良い。
【0056】
また,図8,9では,製品1を挟んでランプ90と対向する側にカメラ91,92,93を配置し,ランプ90の光を製品1に透過させ,反対側に向かう透過光を利用してカメラ91,92,93の撮像を行い,製品1の下方に向かう透過光を利用して,カメラ94,95,96の撮像例を説明したが,製品1によって反射される反射光を利用して撮像するようにしても良い,この場合は,製品1に対して光を照射する方向と撮像する方向を同じ側にすれば良い。例えば,アーム80,81において,ランプ90とカメラ91,92,93を共に製品1より外側に配置し,外側から光を照射し,カメラ91,92,93に向かって外側に反射する反射光を撮像すれば良い。
【0057】
図8,9では,ランプ90,カメラ91,92,93,94,95,96を2個のアーム80,81にそれぞれ取り付け,製品1の検査を2回行う構成を説明したが,検査は1回であっても良い。また,ランプ90,カメラ91,92,93,94,95,96を備えたアームを3個以上備え,検査を3回以上行っても良い。
【0058】
また,図8,9では,カメラ91,92,93によって製品1を側方から撮像し,カメラ94,95,96によって製品1を下方から撮像する例を説明したが,側方からの撮像のみでも異物の検出率が高い場合は,下方からの撮像を省略しても良い。また,側方からの撮像を省略して,下方からの撮像のみにしても良い。さらに,側方と下方からの撮像に限定されず,上方や斜方等,様々な方向から撮像するようにしても良い。側方からの撮像と下方からの撮像との組み合わせに限定されず,上方,下方,側方,斜方等のうち,2以上の方向からの撮像を適切に組み合わせたり,いずれか1方向からの撮像のみにしたりしても良い。また,製品1を倒立前の姿勢に戻した状態,即ち,製品1の薄片部13を上に,底部11を下にした状態で撮像する例を説明したが,製品1を倒立させた状態や,傾斜させた状態において,製品1の上方,下方,側方,斜方等,様々な方向から撮像可能な構成としても良い。
【0059】
図8,9では,3個のカメラ91,92,93によって,製品1の5本のアンプル2を1又は2本ずつ分割するようにして側方から撮像し,3個のカメラ94,95,96によって,5本のアンプル2を1又は2本ずつ分割するようにして下方から撮像する例を説明したが,カメラ91,92,93,94,95,96の個数,及び,各カメラ91,92,93,94,95,96が撮像するアンプル2の本数は,かかる数に限定されない。例えば,1個のカメラで製品1を側方又は下方から撮像しても良い。また,5個のカメラで製品1の5本のアンプル2を1本ずつ側方又は下方から撮像しても良い。
【0060】
図21,22に示すように,5本のアンプル2を横一列に並べて連結した製品1を側方から撮像する第1の撮像装置として上下2個ずつのカメラ220,221を横に5列並べて設け,製品1を下方から撮像する第2の撮像装置としての5つのカメラ222,223,224,225,226を横に並べて設けても良い。この図21,22に示す例によれば,第1番目のアンプル2を側方から2つのカメラ220,221で撮像すると共に,下方から1つのカメラ222で撮像し,第2番目のアンプル2を側方から2つのカメラ220,221で撮像すると共に,下方から1つのカメラ223で撮像し,第3番目のアンプル2を側方から2つのカメラ220,221で撮像すると共に,下方から1つのカメラ224で撮像し,第4番目のアンプル2を側方から2つのカメラ220,221で撮像すると共に,下方から1つのカメラ225で撮像し,第5番目のアンプル2を側方から2つのカメラ220,221で撮像すると共に,下方から1つのカメラ226で撮像することができる。
【0061】
また,被検査体が輸液バッグ1’である場合も,被検査体を撮像するカメラの台数,配置は任意である。図23,24に示すように,被検査体が輸液バッグ1’を,上下3個ずつで,横に2列に並べた6つのカメラ230で撮像しても良い。
【0062】
図示の形態では,反転装置51を回転テーブル50に取り付け,ランプ90,カメラ91,92,93,94,95,96を取り付けた各アーム80,81を回転テーブル50と同期回転させることにより,製品1とランプ90,カメラ91,92,93,94,95,96を同期させて移動させながら撮像する構成としたが,かかる構成に限定されない。例えば,各アーム80,81は回転させず固定し,各アーム80,81の箇所において反転装置51を一旦停止させて撮像するようにしても良い。また,反転装置取り付け部材は直線運動するものとし,検査装置取り付け部材を所定の範囲で往復直線運動させながら,あるいは,検査装置取り付け部材の箇所において反転装置51を一旦停止させて撮像するようにしても良い。
【0063】
図25及び図26は,本発明の別の実施の形態にかかる検査システム120である。検査システム120は,製品1を横一列に並べて搬送する供給コンベア121と,製品1を保持して倒立動作と戻し動作を行う反転装置122と,反転装置122を水平方向に直線移動させる移動機構123と,製品1を排出する排出コンベア124を備えている。移動機構123は,水平方向に延設されたレール126を備え,レール126に沿って,反転装置昇降機構127が水平方向に往復移動するようになっている。反転装置122は,反転装置昇降機構127の下端部に取り付けられており,反転装置昇降機構127の駆動によって昇降する。反転装置122は,製品1の上端部を保持するエアチャック130と,チャック回転機構としてのロータリーアクチュエータ131を備えている。ロータリーアクチュエータ131は反転装置昇降機構127の下端部に支持されている。ロータリーアクチュエータ131の回転中心軸O3は,水平方向に配置されている。エアチャック130は,ロータリーアクチュエータ131の外周に取り付けられており,ロータリーアクチュエータ131の駆動によって,エアチャック130を回転中心軸O3を中心として回転させることができる。さらに,照射装置としてのランプ140と,製品1を側方から撮像する第1の撮像装置としてのカメラ141,142,143,製品1を下方から撮像する第2の撮像装置としてのカメラ144,145,146を取り付け,ランプ140とカメラ141,142,143の間に製品1が通過するように配置する。カメラ141は,製品1の先頭側から数えて第1番目と第2番目のアンプル2を側方から撮像し,カメラ142は第3番目と第4番目のアンプル2を側方から撮像し,カメラ143は第5番目のアンプル2を側方から撮像するように配置する。カメラ144は第1番目と第2番目のアンプル2を下方から撮像し,カメラ145は第3番目と第4番目のアンプル2を下方から撮像し,カメラ146は第5番目のアンプル2を下方から撮像するように配置する。カメラ144,145,146は,各アンプル2の底部11をランプ140側に約5°程度傾斜した方向から撮像するように備えられている。カメラ141,142,143,144,145,146は,画像処理装置150に接続され,撮像した画像を送信する。画像処理装置150の画像処理方法は,前述した画像処理装置100と同様である。
【0064】
この検査システム120においては,先ず,供給コンベア121によって製品1を搬送し,反転装置122を下降させ,エアチャック130によって薄片部13を挟み,反転装置昇降機構127によって反転装置122を上昇させ,製品1を持ち上げる。そして,移動機構123によって反転装置122をランプ140とカメラ141,142,143の間の検査位置に移動させ,検査を行う前に,製品1を倒立させる倒立動作と,倒立後製品1の姿勢を元に戻す戻し動作を順に行い,液体3内の異物を浮遊させる。その後,製品1をランプ140によって照射し,各カメラ141,142,143,144,145,146によって撮像を連続的に数回行い,撮像した画像を画像処理装置150によって解析し,製品1が不良品であるか否か判別する。撮像後,移動機構123によって反転装置122を排出コンベア124に向かって移動させ,反転装置昇降機構127によって反転装置122を下降させ,エアチャック130を開いて製品1の保持を解除し,排出コンベア124に製品1を受け渡す。
【0065】
なお,検査システム120においては,検査を2回以上行って,異物を確実に検出するようにしても良い。また,図27に示すように,ロータリーアクチュエータ131より上方に,製品1を倒立させた状態で検査するためのランプ160とカメラ(第3の撮像装置)161,162,163を備えても良い。即ち,製品1を倒立させたとき,ランプ160とカメラ161,162,163の間に製品1が移動するようにして,倒立させた状態の製品1をカメラ161,162,163によって側方から撮像し,撮像した画像を画像処理装置150によって解析し,製品1が不良品であるか否か判別する。その後,製品1の姿勢を倒立前の元の姿勢に戻して,カメラ141,142,143,144,145,146によって撮像し,撮像した画像を画像処理装置150によって解析し,製品1が不良品であるか否か判別する。この場合,製品1を倒立させた状態と姿勢を戻した状態で計2回の検査を行うことができ,異物をさらに確実に検出できる。
【0066】
製品1のアンプル2内に気泡が多く発生する場合は,画像処理装置100,150に,気泡を異物として検出せずゴミ等の異物のみを検出できるソフトウェアを使用すると好ましい。また,消泡機によって気泡を除去する処理を行ってから,検査システム20又は検査システム120に製品1を供給するようにしても良い。図28は,消泡機の一例を示している。消泡機170は,製品1を4個保持する回転機構171と,回転機構171を周縁部に沿って等間隔な複数箇所に取り付けた回転テーブル172を備えている。
【0067】
図29及び図30に示すように,回転機構171の周縁部には,回転機構171の周縁部に対して揺動可能に取り付けられた製品保持部176が4個取り付けられている。回転機構171を回転させると,製品保持部176は,下部が外側に移動するように傾斜する。この製品保持部176に製品1を保持させ,回転機構171の回転によって生じる遠心力により,製品1のアンプル2内の気泡を除去するようになっている。
【0068】
図28に示すように,製品1は,供給コンベア180によって横一列に並べて搬入され,移送スクリュー181の回転によって,供給コンベア180の末端部まで移送される。供給コンベア180の末端部には供給ディスク182が配置されており,供給ディスク182の周囲に,4つの製品保持溝183が設けられている。供給ディスク182を回転させながら,移送スクリュー181の回転によって,製品1を順次1つずつ製品保持部183に移送し,供給ディスク182の周囲に4個の製品1を保持させたら,搬入機構185によって,供給ディスク182から4個の製品1を一括して把持して持ち上げ,回転テーブル172側に搬送して,回転機構171の製品保持部176に製品1をそれぞれ挿入する。回転テーブル172の回転により,順次回転機構171が搬入機構185の製品挿入位置に移動して,製品1が挿入される。回転機構171は,製品1が挿入された後,順次回転(自転)を開始し,製品1中の気泡を除去しながら,回転テーブル172の回転により移動する。各回転機構171の回転速度は,例えば約1000〜4000rpm程度である。回転機構171が搬出機構190の製品搬出位置に近づいたら,回転機構171の回転を停止させる。そして,搬出機構190によって,回転機構171の各製品保持部176から製品1を一括して把持して抜き取り,排出ディスク191側に搬送して,排出ディスク191の周囲に設けられた4つの製品保持溝192に,製品1をそれぞれ挿入する。排出ディスク191には,排出コンベア195が接続されており,排出ディスク191を回転させながら,製品1を順次1つずつ排出コンベア195に移載して,搬出するようになっている。排出コンベア195は,前述の検査システム20の供給コンベア30又は検査システム120の供給コンベア121に連結されており,気泡を除去した製品1が消泡機170から検査システム20又は検査システム120に供給される。この消泡機170によれば,大量の製品1を連続的に搬送しながら効率良く処理することができる。
【実施例】
【0069】
本発明者は,本発明の効果を確認する実験を行った。実験機として,図25に示す検査システム120を用いた。製品1のテストサンプルとして,20mlアンプルを5本連結した5連ボトル,10mlアンプルを5本連結した5連ボトル,5mlアンプルを5本連結した5連ボトルを用意し,各5連ボトルの良品(アンプル内の液体に異物が混入していない製品)と,各5連ボトルにおける第1番目のアンプル内の液体に異物として長さ約500μmの毛髪を混入した不良品,長さ約1mmの毛髪を混入した不良品,長さ約5mmの毛髪を混入した不良品,長さ約500μmの繊維を混入した不良品,長さ約1mmの繊維を混入した不良品,長さ約5mmの繊維を混入した不良品を作成した。これら21種類のテストサンプルを被検査体として各々実験を行った。ランプ140はメタルハライドランプを使用した。撮像は,被検査体の第1番目のアンプル2をカメラ144(図25においてC2)によって下方から4回撮像し,被検査体の第1番目のアンプル2をカメラ141(図25においてC1)によって側方から4回撮像するようにした。画像間演算を行う画像処理装置150としては,松下電工株式会社製MUVSGA100を使用した。
【0070】
この実験においては,被検査体を倒立させた状態で約2秒間静止させ,その後,被検査体の姿勢を戻してから約1秒間経過後に,カメラ144(C2)による下方からの撮像を開始し,さらに被検査体の姿勢を戻してから約2秒間経過後,カメラ141(C1)による側方からの撮像を開始することで,異物を効果的に検出できることがわかった。即ち,被検査体を倒立させた状態で2秒経過させることで,異物を十分に浮遊させることができる。また,被検査体の姿勢を反転から戻した直後は,気泡が液体から上昇移動する途中にあり,気泡が異物と誤って検出されてしまう虞があるが,被検査体の姿勢を戻してから2秒経過させると,異物の落下より先に気泡が液体から上昇し終えて,液体内に異物のみが浮遊する。従って,被検査体の姿勢を戻してから2秒経過後に,カメラ141(C1)による側方からの撮像を行うことで,気泡を異物と誤って検出することを防止できる。しかし,異物が大きい場合,被検査体の姿勢を戻してから2秒経過する間に,異物がアンプルの底部に落下してしまい,カメラ141(C1)による側方からの撮像では,異物の検出率が悪くなった。そこで,被検査体の姿勢を反転から戻してから1秒経過後に,カメラ144(C2)による下方からの撮像を開始するようにした。即ち,気泡の上昇を待つ間に,底部に下降する異物を検出するようにした。このようにすると,気泡を異物と誤って検出することを防止するとともに,落下の早い異物を見逃すことを防止することができる。
【0071】
さらに,検査システム120を用いた検査方法における,異物の検出率を調べる実験を行った。この実験における検査方法は次のようなものである。被検査体を倒立させた状態で約2秒間静止させ,その後,被検査体の姿勢を倒立前の姿勢に戻してから約1秒間経過後に,カメラ144(C2)による下方からの撮像を4回行い,さらに被検査体の姿勢を戻してから約2秒間経過後,カメラ141(C1)による側方からの撮像を4回行って,画像処理装置150によって異物の検出を行う。画像処理装置150は,カメラ144(C2),カメラ141(C1)のいずれか一方で異物が検出されれば,被検査体の第1番目のアンプル2に異物が混入していると判断する。これらの倒立動作,戻し動作,異物の検出からなる一連の検査を,上記の21種類のテストサンプルを被検査体として,各々10回ずつ行った。図31に実験結果を示す。この実験においては,毛髪又は繊維を混入した不良品について,10回中7回以上,カメラ144(C2),カメラ141(C1)の両方又はいずれか一方で異物を検出でき,第1番目のアンプル2に異物が混入していると判断できた。しかし,アンプル2の筒部内面(サイド)近くにある異物を検出できないことがあった。実際の検査システムにおいては,ランプ140,カメラ141,142,143,144,145,146をさらに別の箇所に追加して設け,1回目の検査を行った後,反転装置122及び製品1を移動させて,1回目とは別のランプ140,カメラ141,142,143,144,145,146を用いて,2回目の検査を行うことにより,ほぼ100%に近い異物検出率が期待できると考えられる。また,図27に示すように,ロータリーアクチュエータ131より上方に倒立させたときに撮像することで,異物検出率が向上すると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は,例えばアンプルや輸液バッグ等の光透過性を有する容器に液体を充填した製品の検査に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性を有する容器に液体を充填した被検査体を検査するシステムであって,
被検査体を保持し,保持した被検査体を傾斜もしくは倒立させて再び元の姿勢に戻す反転装置と,
前記反転装置によって傾斜もしくは倒立させて再び元の姿勢に戻した直後の被検査体を撮像する撮像装置と,
前記撮像装置による画像を処理して被検査体の良否を判定する撮像処理装置とを備えることを特徴とする,検査システム。
【請求項2】
前記反転装置は,被検査体の上部を保持するチャックと,前記チャックを水平方向の回転中心軸を中心として回転させるチャック回転機構を備えることを特徴とする,請求項1の検査システム。
【請求項3】
前記チャック回転機構は,サーボモータを備えることを特徴とする,請求項2の検査システム。
【請求項4】
被検査体を側方から撮像する第1の撮像装置と,被検査体を下方から撮像する第2の撮像装置を備えることを特徴とする,請求項1の検査システム。
【請求項5】
複数の反転装置を円周方向に並べて装着した回転テーブルを備え,
前記回転テーブルを回転させることにより前記反転装置に保持された被検査体を搬送し,
前記検査装置を被検査体と同期して回転させながら,被検査体を撮像し,撮像した後,前記検査装置を被検査体と反対方向に回転させて,前記検査装置を前記被検査体との同期回転を開始する初期位置に戻す構成としたことを特徴とする,請求項1の検査システム。
【請求項6】
被検査体は,連結した複数の容器からなることを特徴とする,請求項1の検査システム。
【請求項7】
前記被検査体は柔軟な素材からなる容器に液体を充填したものであり,容器の変形を防ぐ治具を用いて被検査体が反転装置に保持されることを特徴とする,請求項1の検査システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【国際公開番号】WO2005/031328
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【発行日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514274(P2005−514274)
【国際出願番号】PCT/JP2004/014361
【国際出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(506137147)エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社 (215)
【Fターム(参考)】