説明

検査装置及び検査方法

【課題】画像から取得される欠陥から目的欠陥を抽出するための検査方法を提供する。
【解決手段】複数の検査対象領域の画像データを取得し、前記複数の検査対象領域のうち同じ構造を形成する領域同士の同じ位置の輝度を比較して輝度の差から輝度差分布を求め、前記複数の検査対象領域のそれぞれにおいて、優先的に検査をしたい優先検出領域の閾値がその他の領域の閾値よりも低くなるよう閾値分布を設定し、前記輝度差分布のうち前記閾値分布以上になる位置を目的欠陥発生位置と判定する、処理を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
欠陥検査は、例えば、半導体装置の製造過程において半導体ウェハ上に付着した異物や半導体パターンの欠陥等をインラインで検査していた。このような検査工程では、欠陥検査装置を用いて異物や欠陥等の座標を取得する。そして、半導体ウェハ上に半導体回路を製造した後、電気特性を試験して半導体回路の動作を確認する。異常が発見された半導体回路については、光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡を用いて詳細な観察を行う。そして、欠陥検査装置で取得した異物や欠陥等の相関を調べ、半導体回路の異常の原因となった工程や製造装置を特定し、生産条件の見直しや装置のメンテナンスを実施するための判断材料とする。
【0003】
ここで、欠陥の有無を判定する方法としては、半導体ウェハ表面の外観を撮像し、画像信号に基づいて得られる輝度信号を利用することが知られている。この輝度信号は、例えば、最も暗い暗部の輝度値(階調値)を「0」、最も明るい明部の輝度値を「255」とした256階調で表される。この欠陥の判定方法では、検査対象となる部分の輝度信号と、比較基準となる部分の輝度信号を比較し、その差分が予め定められた欠陥検出用の1つの閾値以上であれば欠陥であると判定する。
【0004】
例えば、ウェハ全体に均一な1つの閾値を設定し、ウェハ表面の画像データを取得し、欠陥がない場合のデータと有る場合の諧調値の差を算出する。この諧調値の差が閾値を越えたら、欠陥であるとし、その数をカウントする。
【0005】
また、欠陥検査の効率を向上させるために、半導体ウェハの画像データを所定サイズの画像ブロックに分割して検査を行う方法が知られている。この場合には、画像ブロック内の輝度差が所定の閾値以上であれば、その画像ブロックは回路パターンが密に配置されていると判定する。このような領域の欠陥は、回路パターンが密であるために、電気試験の結果に影響を及ぼす可能性が高いと分類される。一方、画像ブロック内の輝度差が所定の閾値未満であれば、その画像ブロックは回路パターンが疎であると判定する。
【0006】
このような疎の領域の欠陥は、回路パターンが疎であるために、電気試験の結果に影響を及ぼす可能性が低いと分類される。これに対し、回路パターンが密に配置されている画像ブロックの領域の欠陥が、電気試験の結果に影響を及ぼす可能性の高い欠陥と考えられるので、その領域を優先的に光学顕微鏡等で検査する。これにより、半導体回路の異常の原因の解析の効率化が図れられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−138563号公報
【特許文献2】特開2003−329611号公報
【特許文献3】特開2009−283796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
半導体ウェハの外観の検出に使用される走査型電子顕微鏡(SEM)のような画像検出装置の感度は徐々に向上している。しかし、感度が向上するに伴って不要欠陥を多く検出
してしまう。不要欠陥は、評価の対象となる目的欠陥を除く欠陥であって、評価の対象から外したい欠陥である。不要欠陥としては、例えば、評価の対象となる層よりも下の層に生じている欠陥がある。
【0009】
従って、検出装置により検出された欠陥から不要欠陥を取り除いて目的欠陥を抽出する必要があるが、異なる層の欠陥を同時に検出してしまう場合に、検出された欠陥から目的欠陥を抽出することは行われていない。このため、検出された欠陥が目的欠陥なのか、或いは不要欠陥なのかの選別に困難をきたす。
【0010】
本発明の目的は、画像から取得される欠陥から目的欠陥を抽出するための検査装置及び検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態の1つの観点によれば、複数の検査対象領域の画像データを取得し、前記複数の検査対象領域のうち同じ構造を形成する領域同士の同じ位置の輝度を比較して前記輝度の差から輝度差分布を求め、前記複数の検査対象領域のそれぞれにおいて優先的に検査をしたい優先検出領域の閾値がその他の領域の閾値よりも低くなるよう閾値分布を設定し、前記輝度差分布のうち前記閾値分布以上になる位置を目的欠陥発生位置と判定することを特徴とする欠陥検査方法が提供される。
発明の目的および利点は、請求の範囲に具体的に記載された構成要素および組み合わせによって実現され達成される。前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、典型例および説明のためのものであって、本発明を限定するためのものではない、と理解される。
【発明の効果】
【0012】
実施形態によれば、暗視野像で表示される複数の検査対象領域の画像情報をグレースケール化した輝度分布で作成し、同じ構造の複数の検査対象領域の輝度分布を比較して互いの輝度の差の分布を求める。さらに、欠陥の判定に使用する閾値について、優先的に欠陥を検出したい領域の閾値をその他の領域の閾値より低く設定する。そして、輝度の差の分布において、閾値以上となる輝度の位置を目的欠陥と判断する。これにより、目的欠陥の抽出が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施形態に係る半導体装置の検査装置の一例を示す構成図である。
【図2】図2は、実施形態に係る半導体装置の検査装置の検査対象である半導体装置が形成される半導体ウェハを例示する平面図である。
【図3】図3は、実施形態に係る半導体装置の欠陥検査方法のフローチャートの一例である。
【図4A】図4A、図4Bは、実施形態に係る半導体装置の検査方法の検査対象となる半導体装置の形成工程を示す断面図である。
【図4C】図4C〜図4Eは、実施形態に係る半導体装置の検査方法の検査対象となる半導体装置の形成工程を示す断面図である。
【図4F】図4F〜図4Hは、実施形態に係る半導体装置の検査方法の検査対象となる半導体装置の形成工程を示す断面図である。
【図5】図5A、図5Bは、実施形態に係る半導体装置の検査方法において取得される輝度分布の第1例を示す図である。
【図6】図6は、図5A、図5Bに基づいて得られる欠陥分布と閾値の第1例を示す図である。
【図7】図7A、図7Bは、実施形態に係る半導体装置の検査方法において取得される輝度分布の第2例を示す図である。
【図8】図8は、図7A、図7Bに基づいて得られる欠陥分布と閾値の一例を示す図である。
【図9】図9A、図9Bは、実施形態に係る半導体装置の検査方法において取得される輝度分布の第3例を示す図である。
【図10】図10は、図9A、図9Bに基づいて得られる欠陥分布と閾値の一例を示す図である。
【図11】図11A、図11Bは、実施形態に係る半導体装置の検査方法において取得される輝度分布の第4例を示す図である。
【図12】図12は、図11A、図11Bに基づいて得られる欠陥分布と閾値の一例を示す図である。
【図13】図13A、図13Bは、実施形態に係る半導体装置の検査方法において取得される輝度分布の第5例を示す図である。
【図14】図14は、図13A、図13Bに基づいて得られる欠陥分布と閾値の一例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。図面において、同様の構成要素には同じ参照番号が付されている。
図1は、第1の実施の形態に係る半導体装置の検査装置の構成を示している。
半導体装置の検査装置(以下、検査装置)1は、半導体ウェハ5の画像を取得する外観検査部2と、データ処理を行うデータ処理部3とを有する。
【0015】
外観検査部2は、半導体ウェハ5を載置するステージ10を有する。ステージ10は、直交する2方向、即ちX方向とY方向にそれぞれ半導体ウェハ2を水平移動可能なXステージ11とYステージ12を有している。ステージ10の上に取り付けられるホルダ13には、半導体ウェハ5を位置決めする位置決めピン14が設けられている。
【0016】
また、外観検査部2は、半導体ウェハ5に向けて光を照射する照明部15と、半導体ウェハ5から反射した光を受光する受光素子、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサを有する撮像部16を有している。撮像部16はデータ処理部3に接続されていて、撮像部16からの撮像(画像)データはデータ処理部3に入力される。なお、外観検査部2の構成は、図示した構成に限定されず、例えば、半導体ウェハ5が載置されるステージ10を固定し、撮像部16を移動させる構造を有しても良い。
【0017】
データ処理部3は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を含む制御部21を有している。また、データ処理部3は、さらに表示部22、記憶部23、入出力部24、画像処理部30を有している。表示部22は、バス20を介して撮像部16から送られる画像データに基づいて画像を表示させる表示部22と、データやプラグラムを記憶する記憶部23と、画像データを処理して欠陥の有無と位置を判断する画像処理部30とを有している。
【0018】
制御部21は、バス20を介して表示部22、記憶部23、入出力部24、画像処理部30を制御し、記憶部23に記憶されている欠陥検査用のプログラムを実行することで各種の機能を実現する。入出力部24として、例えば、作業者が操作するキーボード、マウスや、サーバとの通信を行う通信制御装置、外部記録装置へのデータの入出力を制御するドライブ装置、プリンタなどがあり、入出力部24は、バス20に接続される。
【0019】
画像処理部30は、信号変換部31と、輝度分布作成部32と、領域輝度比較部33と、閾値設定部34と、欠陥判定部35とに機能的に分割できる。画像処理部30は、制御部21に組みこまれてもよい。
【0020】
信号変換部31は、撮像部16により撮像された半導体ウェハ5の撮像データに基づいて、撮像された画像の各画素における輝度を例えば256階調でグレースケール化し、これに基づいて半導体ウェハ5の輝度の分布を作成する。例えば黒の階調値を「0」とし、白の階調値を「255」とする。
【0021】
輝度分布作成部32は、信号変換部31から入力する画素位置、輝度等の画像データと半導体ウェハ5のノッチ、オリフラ、アライメントマークなどに基づいて複数の半導体装置形成領域6の位置をxy座標から判別する。また、輝度分布作成部32は、図3に示す半導体ウェハ5に配置される複数の半導体装置形成領域6ごとの輝度の分布データをxy座標で作成する。
【0022】
輝度比較部33は、半導体ウェハ5において同じ構造を形成しようとする複数の半導体形成領域6を順に選択する。さらに、輝度比較部33は、輝度分布作成部32により作成されたデータに基づいて、半導体装置形成領域6同士の同じ座標位置又は同じ構造の輝度の階調の大きさを比較し、比較した階調の差を演算し、さらにいずれが大きいかを判定する。
【0023】
さらに、輝度比較部33は、半導体装置形成領域6における欠陥に対して優先的に欠陥を発見したい優先検出領域とそれ以外の領域について、階調の差が所定の値より大きくなる欠陥の数を計測する。また、輝度比較部33は、優先検出領域の欠陥数とその他の欠陥数の欠陥密度を求め、それらの欠陥密度の差が予定した誤差範囲内の場合には、その欠陥は半導体ウェハ5全体での共通欠陥であると判断して検査を終了し、それ以外の場合には処理を継続する。
【0024】
閾値設定部34は、半導体装置形成領域6における欠陥に対して優先検出領域とそれ以外の領域のそれぞれについて欠陥判定用の異なる閾値を座標上に設定し、閾値分布を作成する。欠陥判別部35は、輝度分布作成部32により求められた輝度の階調の差とその差が生じている座標位置のデータと、閾値設定部34により設定された閾値のデータを入力する。さらに、欠陥判定部35は、それらのデータに基づいて、選択された複数の半導体装置形成領域6における互いの輝度の階調の差が閾値以上となる位置を特定して欠陥位置、即ち目的欠陥と判定し、その他の位置を不要欠陥と判断する。
【0025】
次に、上記の検査装置1を使用して導体装置の欠陥を検査する方法について図2を参照して説明する。
まず、外観検査部2のステージ10上に半導体ウェハ5を載置し、その後に半導体ウェハ5の上面全体の画像を撮像装置16により撮像する(図2のa)。撮像装置16により撮像された画像の画像データは、バス20を介して画像処理部30に入力される。
【0026】
画像処理部30の信号変換部31では、撮像データに基づいて、画像の各画素における輝度をグレースケール化する(図2のb)とともに、半導体ウェハ5の上から見た画像の輝度の分布を作成する(図2のc)。さらに、輝度分布作成部32では、半導体ウェハ5のノッチ、オリフラ、アライメントマーク等を基準位置に設定して半導体ウェハ5における複数の半導体装置形成領域6のそれぞれの位置を判別する(図2のd)。各半導体装置形成領域6は、設計に基づいて同じ構造の半導体集積回路等を形成しようとする領域である。
【0027】
その後に、輝度分布作成部32では、半導体装置形成領域6の位置と半導体ウェハ5の輝度の分布を重ね合わせることにより、半導体装置形成領域6ごとに輝度の分布データを作成する(図2のe)。複数の半導体装置形成領域6のそれぞれにパターン欠陥が無い場合には、それぞれの輝度の分布は原則的に同じになる。
【0028】
次に、領域輝度比較部33では、半導体装置形成領域6同士の輝度の分布を互いに比較し、半導体装置形成領域6のそれぞれの同じ位置の輝度の差をグレースケールの階調に基づいて演算する(図2のf)。この場合の半導体装置形成領域6内の位置は、画素の位置で示されてもよいし、XY座標で示されてもよい。
【0029】
そのような比較結果により輝度の差が生じている位置では、原則として欠陥が発生している可能性が大きいことになる(図2のg)。なお、欠陥の発生位置を検出する場合には、複数の半導体装置形成領域6を互いに比較し、同じ位置に欠陥が発生している回数が多い半導体装置形成領域6にその欠陥が発生していると判断する(図2のh)。
【0030】
次に、欠陥を優先的に発見したい優先検出領域の欠陥密度とその他の領域の欠陥密度を比較する(図2のh)。それらの欠陥密度の差が誤差範囲内にある場合には、それらの欠陥は半導体ウェハ5の全体に生じている欠陥、例えば装置に由来するゴミの発生による欠陥と判断して、処理を終了し、誤差範囲外にある場合には次の処理に進む(図2のi)。
【0031】
半導体形成領域同士の輝度の差により求められる欠陥位置には、実際に生じている欠陥の他に、ノイズにより見られる欠陥や、無視できる程度の欠陥も含まれる。また、欠陥位置には、欠陥を検出したい領域に存在する重要度が高い欠陥がある一方で、欠陥を検出したい領域を除いた領域に存在する重要度が低い欠陥もある。
【0032】
そこで、閾値設定部34では、半導体装置形成領域6における欠陥のうち、欠陥を優先的に発見したい優先検出領域にあるものとそれ以外の領域にあるものを区別し、併せてノイズを排除するために、優先検出領域とその他の領域に異なる閾値を設定する(図2のj)。例えば、優先検出領域に設定する閾値を他の領域に設定する閾値よりも小さくし、閾値以上の輝度差が存在する位置を目的欠陥発生位置とし、それ以外を不要欠陥とする。その閾値は、少なくとも予測される雑音に起因する輝度差よりも高い値に設定される。
【0033】
次に、欠陥判定部35では、半導体装置形成領域6において選択した位置における輝度差と閾値を比較し、閾値以上の輝度差が存在する位置を欠陥発生位置と判定する(図2のk、l、m、n)。この場合、検査優先領域以外の領域であっても、閾値以上の輝度の差が存在する場合には、その差が生じた原因を調べる必要があるので、その差が生じている位置も欠陥発生位置として判断する。選択した位置、例えば半導体装置形成領域6の全部又は一部の領域について欠陥の有無を判断することにより欠陥の検出を終える(図2のo)。
【0034】
次に、本実施形態に係る検査方法を図4A〜図4Hに示す半導体装置の製造工程に即してさらに具体的に説明する。
【0035】
図3に示す半導体装置6が形成される半導体ウェハ5として例えばシリコンウェハ41を使用する。シリコンウェハ41の半導体装置形成領域6のそれぞれの表面には、図4Aに示すように、複数の活性領域を囲む素子分離絶縁層42が形成されている。活性領域のそれぞれには、p型不純物、n型不純物のイオンが注入され、これによりPウェル43、Nウェル44が形成されている。
【0036】
Pウェル43上にはゲート絶縁膜45aが形成され、さらに、ゲート絶縁膜45a上には横方向に間隔をおいて第1、第2のゲート電極46a、46bが形成されている。また、Nウェル44上にはゲート絶縁膜45bが形成され、ゲート絶縁膜45b上には横方向に間隔をおいて第3、第4のゲート電極46c、46dが形成されている。第1〜第4のゲート電極46a〜46dは、例えばポリシリコン膜をパターニングすることにより形成
される。
【0037】
その後に、シリコンウェハ41上にフォトレジスト61を塗布し、これを露光、現像することにより、Pウェル43及び第1、第2のゲート電極46a、46bを露出する開口部61aを有する第1のレジストパターン61を形成する。この場合、Nウェル44と第3、第4のゲート電極46c、46dは、第1のレジストパターン61により覆われる。
【0038】
この後に上記の検査装置1を使用してシリコンウェハ41上の欠陥を検査するために、シリコンウェハ41を外観検査部3のステージ10上に載置する。ついで、照明部15からシリコンウェハ41に向けて例えばUV光を照射し、さらにシリコンウェハ14から反射した光を撮像部16で撮像し、これによりシリコンウェハ41の上から見た全体の画像データを取得する。撮像データは、図2のフローに従って処理される。
【0039】
これにより、シリコンウェハ41の撮像データに基づいて作成された半導体形成領域6同士の輝度のグレースケールの分布が比較される。この場合、選択された1つの半導体装置形成領域6においては、図4Aの波線の丸n、vで示す部分に欠陥が発生し、その他の半導体装置形成領域6では欠陥が発生していない状態となる。
【0040】
選択された半導体装置形成領域6のうち図4Aに示す部分を上から撮像した画像データの輝度の階調の分布は、図5Bに示すようになる。これに対し、欠陥が発生していないその他の半導体装置形成領域6のうち図4Aに示すと同じ部分を上から撮像した画像データの輝度の階調の分布は図5Aに示すようになる。ここで、本来的に欠陥の発生を検出したい優先検出領域は、第1のレジストパターン61の開口部61a内、即ち、Pウェル43の上である。
【0041】
UV光照射に基づく輝度のグレースケールの分布は、欠陥の無い図5Aに例示するように、第1のレジストパターン61上ではエッジの部分において最も高くなる。また、Pウェル43上では、ゲート電極46a、46bの輝度がシリコンウェハ41の表面よりも高くなっている。さらに、第1のレジストパターン61に覆われる領域のうちNウェル44上のゲート電極46c、46d上で局所的に高くなっている。また、図4Aの波線の丸v、mで示す箇所にコンタミが付着しているような欠陥発生場所では、図5Bに示すように、輝度が例えばパルス状に突出している。
【0042】
従って、比較される半導体形成領域6のそれぞれのNウェル43、Pウェル44及びその周辺領域の輝度の分布の差を演算すると、図6に示す結果が得られる。即ち、露出したPウェル43上の第2のゲート電極46bの側部の位置と第1のレジストパターン46上で輝度のパルスが突出し、さらにNウェル44の第4のゲート電極46dの側部の位置にも輝度のパルスが生じているような輝度の分布が得られる。従って、選択された半導体装置形成領域6には欠陥が発生していることになる。
【0043】
次に、図6に示すように、パルス状の輝度を含む輝度の絶対値の分布と予め設定された閾値の分布を比較し、閾値よりも低いパルス状の輝度の部分を不要欠陥と判断し、閾値以上のパルス状の輝度の部分を目的欠陥とする。閾値は、図6の破線に示すように、優先的に欠陥を検出したい優先検出領域で低く設定され、その他の領域ではそれよりも高く設定される。これにより、Pウェル43領域上にのみ欠陥が生じていると判断される。
【0044】
図5A、図5B、図6は、図1に例示した表示部22に表示され、さらに閾値と比較後の目的欠陥のみが最終的に表示されるようにしてもよい。もとより、欠陥が無い場合には、欠陥が表示されない。なお、優先検出領域以外の第1のレジストパターン46において閾値以上の大きさの輝度の絶対値が現れる箇所が存在する例として、大きなピンホールが
形成されている欠陥がある。
【0045】
以上のように、目的欠陥が無い場合には、さらに工程を進めて図4Bに示す構造を形成する。即ち、第1、第2のゲート電極46a、46b及び第1のレジストパターン61をマスクとして使用し、第1、第2のゲート電極46a、46bの両側にn型不純物イオン、例えばリンイオン又はヒ素イオンをPウェル43に注入する。これにより、第1、第2のゲート電極46a、46bの両側に第1〜第3のn型エクステンション領域47a〜47cを形成する。なお、第1のゲート電極46aと第2のゲート電極46bの間には共通の第2のn型エクステンション領域47bが形成される。その後に、第1のレジストパターン61を除去する。
【0046】
次に、図4Cに示す構造を形成するまでの工程について説明する。
まず、シリコンウェハ41及び第1〜第4のゲート電極46a〜46dの上にフォトレジストを塗布し、これを露光、現像して第2のレジストパターン62を形成する。第2のレジストパターン62は、Nウェル44を露出する開口部62aを有するとともにPウェル43を覆う形状を有している。
【0047】
その後に、第3、第4のゲート電極46c、46d及び第2のレジストパターン62をマスクとして使用し、第3、第4のゲート電極46c、46dの両側にp型不純物イオン、例えばホウ素イオンをNウェル44にイオン注入する。これにより、第3、第4のゲート電極46c、46dの両側に第1〜第3のp型エクステンション領域48a〜48cを形成する。なお、第3のゲート電極46cと第4のゲート電極46dの間の領域のNウェル44には共通の第2のp型エクステンション領域48bが形成される。この後に、図2に示すフローに従って欠陥検査を行う。その後に、第2のレジストパターン62を除去する。
【0048】
次に、図4Dに示す構造を形成するまでの工程を説明する。
まず、シリコンウェハ41及び第1〜第4のゲート電極46a〜46dの上にCVD法により絶縁膜、例えばシリコン酸化膜を形成する。続いて、絶縁膜を垂直方向にエッチングすることにより、第1〜第4のゲート電極46a〜46dの側壁に絶縁膜を残す。これにより、第1〜第4のゲート電極46a〜46dの側壁上の絶縁膜をサイドウォール51a〜51dとして使用する。
【0049】
続いて、図4Aの第1のレジストパターン61と同じような形状を有する第3のレジストパターン(不図示)をシリコンウェハ41上に形成する。第3のレジストパターンは、Pウェル43を露出する開口部とNウェル44を覆う領域を有する。
【0050】
その後に、第1、第2のゲート電極46a、46b、サイドウォール51a、51b及び第3のレジストパターン(不図示)をマスクとして使用し、Pウェル43内にn型不純物をイオン注入する。これにより、サイドウォール51a、51bの下のn型エクステンション領域47a〜47cに接続するn型ソース/ドレイン領域49a〜49dが形成される。
【0051】
これにより、第1、第2のn型MOSトランジスタT、Tと第1、第2のp型MOSトランジスタT、Tが形成される。第1のn型MOSトランジスタTは、第1のゲート電極46aとその両側のソース/ドレイン領域49a、49b等を有する。第2のn型MOSトランジスタTは、第2のゲート電極46bとその両側のソース/ドレイン領域49b、49c等を有する。第1のp型MOSトランジスタTは、第3のゲート電極46cとその両側のソース/ドレイン領域50a、50b等を有する。第2のp型MOSトランジスタTは、第4のゲート電極46dとその両側のソース/ドレイン領域50
b、50c等を有する。
【0052】
さらに、第3のレジストパターン(不図示)を除去した後に、Nウェル44を露出する開口部とPウェル43を覆う領域を有する第4のレジストパターン(不図示)をシリコンウェハ41上に形成する。その後に、第4のレジストパターン、第3、第4のゲート電極46c、46d及びサイドウォール51c、51dをマスクとして使用し、Nウェル44内にp型不純物イオンを注入する。これにより、サイドウォール51c、51dの下のp型エクステンション領域48a〜48cに接続するp型ソース/ドレイン領域50a〜50cが形成される。
【0053】
次に、図4Eに示す構造を形成するまでの工程を説明する。
まず、シリコンウェハ41上に、第1〜第4のゲート電極46a〜46dを覆う第1の層間絶縁膜52として例えばシリコン酸化膜をCVD法により形成する。続いて、第1の層間絶縁膜52上にフォトレジストを塗布し、これを露光、現像することにより第5のレジストパターン(不図示)を形成する。第5のレジストパターンは、第1〜第3のn型ソース/ドレイン領域49a〜49c、第1〜第3のp型ソース/ドレイン領域50a〜50cのそれぞれの上に開口部を有する。さらに、第5のレジストパターンの開口部を通して第1の層間絶縁膜52をエッチングすることにより、第1〜第3のn型ソース/ドレイン領域49a〜49c、第1〜第3のp型ソース/ドレイン領域50a〜50cのそれぞれの上に第1〜第6のコンタクトホール52a〜52fを形成する。その後に、第5のレジストパターンを除去する。
【0054】
この後に上記の検査装置1を使用してシリコンウェハ41上の欠陥の有無を検査するために、外観検査部3のステージ10上にシリコンウェハ41を載置する。ついで、照明部15からシリコンウェハ41に向けて例えばUV光を照射し、さらにシリコンウェハ41から反射した光を撮像部16で撮像する。撮像データは、図2のフローに従って処理される。
【0055】
これにより、シリコンウェハ41の撮像データに基づいて作成された複数の半導体形成領域6の輝度の階調の分布が比較される。この場合、1つの半導体装置形成領域6においては、図4Eの波線の丸v、nで示す部分に欠陥が発生し、その他の半導体装置形成領域6では欠陥が発生していない。
【0056】
欠陥が発生している半導体装置形成領域6のうち図4Eに例示する部分を上から撮像すると、その画像データの輝度の分布は、図7Bに示すようになる。これに対し、欠陥が発生していないその他の半導体装置形成領域6のうち図4Eに示すと同じ部分を上から撮像した画像データの輝度の分布は図7Aに示すようになる。ここで、本来的に欠陥の発生を検出したい優先検出領域は、第1〜第6のコンタクトホール52a〜52f内とする。
【0057】
UV光照射に基づく輝度の階調の共通の分布は、図7Aに例示するように、第1〜第6のコンタクトホール52a〜52f内で局所的に低くなっている。
【0058】
比較される2つの半導体形成領域6のそれぞれの第1の層間絶縁膜52と第1〜第6のコンタクトホール52a〜52fにおける輝度の分布の差を演算すると、図8に実線で示す結果が得られる。図8によれば、第1のコンタクトホール52a内に輝度の突起が存在し、さらに第1の層間絶縁膜52のうち第1、第2のコンタクトホール52a、52bの間に輝度の突起が生じていることがわかり、それらの箇所で欠陥が発生していることになる。
【0059】
次に、図8に示すように、欠陥となる部分を含む輝度の絶対値の分布を、予め設定した
閾値の分布と比較し、その閾値より低いパルス状の輝度の部分を不要欠陥と判断する一方、閾値以上のパルス状の輝度の部分を目的欠陥とする。閾値は、図8の破線に示すように、優先的に欠陥を検出したい第1〜第6のコンタクトホール52a〜52bの領域で低く設定され、その他の領域ではそれよりも高く設定される。これにより、第1のコンタクトホール52a内にのみ欠陥が生じていると判断される。
【0060】
図7A、図7B、図8は、図1に例示した表示部22に表示され、さらに目的欠陥のみが最終的に表示されるようにしてもよい。もとより、欠陥が無い場合には、欠陥が表示されない。また、第1の層間絶縁膜52上で、閾値以上の輝度が現れる箇所が存在している場合、例えば、第1〜第6のコンタクトホール52a〜52fを除く領域での第1の層間絶縁膜52に大きなピンホール(不図示)が形成されている場合にはその位置が欠陥として表示部22に表示される。
【0061】
以上のような目的欠陥が存在しない場合には、さらに工程を進めて次のような方法により図4Fに示す構造を形成する。
【0062】
まず、第1〜第6のコンタクトホール52a〜52fの内面と第1の層間絶縁膜52の上面の上に、バリア層として窒化チタン膜を形成する。続いて、窒化チタン膜上にタングステン膜を形成することにより、タングステン膜を第1〜第6のコンタクトホール52a〜52f内に埋め込む。その後に、第1の層間絶縁膜52上のタングステン膜と窒化チタン膜を化学機械研磨(CMP)法により除去する。これにより、第1〜第6のコンタクトホール52a〜52f内に残されたタングステン膜と窒化チタン膜を第1〜第6のコンタクトプラグ53a〜53fとして使用する。
【0063】
この後に上記の検査装置1を使用してシリコンウェハ41上の欠陥の有無を検査するために、外観検査部3のステージ10上にシリコンウェハ41を載置する。ついで、照明部15からシリコンウェハ41に向けて例えばUV光を照射し、さらにシリコンウェハ41から反射した光を撮像部16で撮像する。撮像データは、図2のフローに従って処理される。
【0064】
これにより、シリコンウェハ41の撮像データに基づいて作成された複数の半導体形成領域6の輝度の階調の分布が互いに比較される。この場合、選択された1つの半導体装置形成領域6においては、図4Fの波線の丸v、nで示す部分に欠陥が発生し、他の半導体装置形成領域6では欠陥が発生していない。
【0065】
欠陥が発生している半導体装置形成領域6のうち図4Fに例示する部分を上から撮像すると、その画像データの輝度の分布は、図9Bに示すようになる。これに対し、欠陥が発生していないその他の半導体装置形成領域6の図4Fに示すと同様な部分を上から撮像した画像データの輝度の分布は図9Aに示すようになる。ここで、本来的に欠陥の発生を検出したい優先検出領域は、第1〜第6のコンタクトプラグ53a〜53f上である。
【0066】
半導体装置形成領域6の輝度の階調の分布の共通部分では、図9Aに例示するように、第1の層間絶縁膜52上に比べて第1〜第6のコンタクトプラグ53a〜53fで高くなっている。
【0067】
従って、比較される2つの半導体形成領域6のそれぞれの第1の層間絶縁膜52と第1〜第6のコンタクトプラグ53a〜53fにおける輝度の分布の差を演算すると、図10の実線に示す結果が得られる。図10によれば、第1のコンタクトプラグ53a内に輝度の低下が存在し、さらに第1の層間絶縁膜52のうち第1、第2のコンタクトプラグ53a、53bの間に輝度の突起が生じていることがわかり、それらの箇所で欠陥が発生して
いることになる。
【0068】
次に、図10に示すように、検出した欠陥となる輝度の絶対値の分布を閾値の分布と比較し、閾値より低い輝度の突起は不要欠陥と判断し、閾値以上の欠陥を目的欠陥とする。閾値は、図10の破線に示すように、優先的に欠陥を検出したい第1〜第6のコンタクトプラグ53a〜53bの領域で低く設定され、その他の領域ではそれよりも高く設定される。これにより、第1のコンタクトプラグ52a上にのみ欠陥が生じていると判断される。そのような欠陥として、例えば、第1のコンタクトプラグ52aのエッジに金属充填不良箇所を有する欠陥がある。
【0069】
図9A、図9B、図10は、図1に例示した表示部22に表示され、さらに目的欠陥のみが最終的に表示されるようにしてもよい。もとより、欠陥が無い場合には、欠陥が表示されない。また、第1の層間絶縁膜52で閾値以上の輝度が現れる箇所が存在している例として、例えば、第1〜第6のコンタクトプラグ53a〜53fを除く領域で第1の層間絶縁膜52の上面上に大きな金属残渣が存在する場合にはその位置も目的欠陥となる。大きな金属残渣は、第1の層間絶縁膜上に形成される配線を短絡させる原因となるので問題になる。
【0070】
以上のように、閾値を基準にした欠陥が存在しない場合には、さらに次のような方法により図4Gに示す構造を形成する。
まず、第1の層間絶縁膜52及び第1〜第6のコンタクトプラグ53a〜53fの上に第2の層間絶縁膜54をCVD法により形成する。第2の層間絶縁膜54として、例えばシリコン酸化膜をCVD法により形成する。その後に、第2の層間絶縁膜54をパターニングすることにより、第1〜第6のコンタクトプラグ53a〜53fのそれぞれに接続される第1〜第6の配線溝54a〜54fを形成する。
【0071】
この後に上記の検査装置1を使用してシリコンウェハ41上の欠陥を検査するために、外観検査部3のステージ10上にシリコンウェハ41を載置する。ついで、照明部15からシリコンウェハ41に向けて例えばUV光を照射し、さらにシリコンウェハ41から反射した光を撮像部16で撮像する。撮像データは、図2のフローに従って処理される。
【0072】
これにより、シリコンウェハ41の撮像データに基づいて作成された複数の半導体形成領域6の輝度の階調の分布が比較される。この場合、選択された半導体装置形成領域6においては、図4Gの波線の丸v、nで示す部分に欠陥が発生し、他の半導体装置形成領域6では欠陥が発生していない。
【0073】
欠陥が発生している半導体装置形成領域6のうち図4Gに例示する部分を上から撮像すると、その画像データの輝度の分布は、図11Bに示すようになる。これに対し、欠陥が発生していないその他の半導体装置形成領域6の図4Gに示すと同様な部分を上から撮像した画像データの輝度の分布は図11Aに示すようになる。ここで、本来的に欠陥の発生を検出したい優先検出領域は、第1〜第6の配線溝54a〜54f内である。
【0074】
UV光照射に基づく半導体装置形成領域6の輝度の階調の分布の欠陥の無い部分は、図11Aに例示するように、第1〜第6の配線溝54a〜54f内が第2の層間絶縁膜54上に比べて低くなっている。
【0075】
従って、比較される2つの半導体形成領域6のそれぞれの第2の層間絶縁膜54と第1〜第6の配線溝54a〜54fにおける輝度の分布の差を演算すると、図12の実線に示す結果が得られる。図12によれば、第1の配線溝54a内にパルス状の輝度の突起が存在し、さらに第2の層間絶縁膜54のうち第1、第2の配線溝54a、54bの間に輝度
の突起が生じていることがわかる。従って、それらの突起の箇所で欠陥が発生していることになる。第1の配線溝54aでの欠陥として、例えば、パターニング不良により一部が狭く形成される欠陥である。
【0076】
次に、図12に示すように、検出した欠陥となる輝度の絶対値の分布を閾値の分布と比較し、閾値より低い輝度の突起は不要欠陥と判断し、閾値以上の欠陥を目的欠陥とする。閾値は、図12の破線に示すように、優先的に欠陥を検出したい第1〜第6の配線溝54a〜54fの領域で低く設定され、その他の領域ではそれよりも高く設定される。これにより、第1の配線溝54a上にのみ欠陥が生じていると判断される。
【0077】
図11A、図11B、図12は、図1に例示した表示部22に表示され、さらに目的欠陥のみが最終的に表示されるようにしてもよい。もとより、欠陥が無い場合には、欠陥が表示されない。また、第2の層間絶縁膜54で、閾値以上の輝度の絶対値が現れる例として、第2の層間絶縁膜54に大きなピンホールが存在する場合がある。
【0078】
以上のような目的欠陥が存在しない場合には、さらに次のような方法により図4Hに示す構造を形成する。
まず、第1〜第6の配線溝54a〜54fの内面と第2の層間絶縁膜54の上面の上に、バリア金属膜、銅シード層を例えばスパッタ法により順に形成する。続いて、銅シード層及びバリア金属膜を電極に使用して、銅シード膜の上に銅膜を電解メッキにより形成する。なお、バリア金属膜としてタンタル膜が形成される。
【0079】
その後に、第2の層間絶縁膜54の上面上の銅膜、銅シード膜及び銅膜をCMP法により除去する。これにより、第1〜第6の配線溝54a〜54f内に残された銅膜、銅シード膜及び銅膜をダマシン構造の第1〜第6の配線55a〜55fとして使用する。
【0080】
この後に上記の検査装置1を使用してシリコンウェハ41上の欠陥を検査するために、外観検査部3のステージ上にシリコンウェハ41を載置する。ついで、照明部15からシリコンウェハ41に向けて例えばUV光を照射し、さらにシリコンウェハ41から反射した光を撮像部16で撮像する。撮像データは、図2のフローに従って処理される。
【0081】
これにより、シリコンウェハ41の撮像データに基づいて作成された複数の半導体形成領域6の輝度の階調の分布が比較される。この場合、選択された1つの半導体装置形成領域6においては、図4Hの波線の丸v、nで示す部分に欠陥が発生し、他の半導体装置形成領域6では欠陥が発生していない。
【0082】
欠陥が発生している半導体装置形成領域6のうち図4Hに例示する部分を上から撮像すると、その画像データの輝度の分布は、図13Bに示すようになる。これに対し、欠陥が発生していないその他の半導体装置形成領域6の図4Hに示すと同様な部分を撮像した画像データの輝度の分布は図13Aに示すようになる。ここで、本来的に欠陥の発生を検出したい優先検出領域は、第1〜第6の配線55a〜55f上である。
【0083】
UV光照射に基づく半導体装置形成領域6の輝度の分布の欠陥の無い部分は、図13Aに例示するように、第2の層間絶縁膜54上に比べて第1〜第6の配線55a〜55fで高くなっている。
【0084】
従って、比較される2つの半導体形成領域6のそれぞれの第2の層間絶縁膜54と第1〜第6の配線55a〜55fにおける輝度の分布の差を演算すると、図14の実線に示す結果が得られる。図14によれば、第1の配線55a上に輝度の低下が存在し、さらに第2の層間絶縁膜54のうち第1、第2の配線55a、55bの間に輝度の突起が生じてい
ることがわかり、それらの箇所で欠陥が発生していることになる。輝度の低下の例として、例えば、第1の配線溝54aが設計よりも狭く形成されている場合、或いは、第1の配線55aにボイドが発生している場合がある。
【0085】
次に、図14に示すように、検出した欠陥となる輝度の絶対値の分布と予め設定した閾値の分布を比較し、閾値より低い輝度の突起は不要欠陥と判断し、閾値以上の欠陥を目的欠陥とする。閾値は、図14の破線に示すように、優先的に欠陥を検出したい第1〜第6の配線55a〜55fの領域で低く設定され、その他の領域ではそれよりも高く設定される。これにより、第1の配線55a上にのみ欠陥が生じていると判断される。
【0086】
図13A、図13B、図14は、図1に例示した表示部22に表示され、さらに目的欠陥のみが最終的に表示されるようにしてもよい。もとより、欠陥が無い場合には、欠陥が表示されない。また、第2の層間絶縁膜54で、閾値以上の輝度が現れる箇所が存在している場合、例えば、第2の層間絶縁膜54に大きな金属残渣が存在する場合にはその位置が欠陥として表示部22に表示される。
そのような閾値を基準にした欠陥が存在しない場合には、さらに層間絶縁膜、配線を形成する工程を続けるが、その詳細は省略する。
【0087】
以上のように、半導体装置形成のための複数の工程のうち所望の工程における欠陥検査方法では、欠陥発生部分の輝度の大きさを閾値と比較して欠陥を判定する際に、欠陥を優先して発見したい領域については、その他の領域よりも閾値を低くしている。
【0088】
これにより、優先的に欠陥を発見したい優先検査領域で、目的欠陥を発見しやすくなるとともに、その他の領域に生じている欠陥についても重大なものを発見しやすいようにしているので、SEM等を使用する欠陥原因の分析がしやすくなる。また、優先検査領域以外の領域で目的欠陥が生じている場合には、その欠陥はレベルの高い欠陥であるので、別途調査を促すことができる。
【0089】
なお、上記した説明では、半導体装置形成領域同士の輝度の分布を比較して目的欠陥を判定しているが、1つの半導体装置形成領域において同じ構造が形成される複数の領域の輝度分布を互いに比較しそれらの差を求めて判定してもよい。
【0090】
ここで挙げた全ての例および条件的表現は、発明者が技術促進に貢献した発明および概念を読者が理解するのを助けるためのものであり、ここで具体的に挙げたそのような例および条件に限定することなく解釈され、また、明細書におけるそのような例の編成は本発明の優劣を示すこととは関係ない。本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、それに対して種々の変更、置換および変形を施すことができると理解される。
【0091】
次に、本発明の実施形態について特徴を付記する。
(付記1)複数の検査対象領域の画像データを取得し、前記複数の検査対象領域のうち同じ構造を形成する領域同士の同じ位置の輝度を比較して輝度の差から輝度差分布を求め、前記複数の検査対象領域のそれぞれにおいて、優先的に検査をしたい優先検出領域の閾値がその他の領域の閾値よりも低くなるよう閾値分布を設定し、前記輝度差分布のうち前記閾値分布以上になる位置を目的欠陥発生位置と判定することを特徴とする欠陥検査方法。(付記2)前記複数の検査対象領域のうち、2以上の前記検査対象領域に対して前記目的欠陥発生位置が判定される1つの前記検査対象領域に前記目的欠陥発生位置の存在を判定することを特徴とする付記1に記載の欠陥検査方法。
(付記3)前記輝度の差の分布は、絶対値で求められることを特徴とする付記1又は付記2に記載の欠陥検査方法。
(付記4)複数の前記検査対象領域は、異なる半導体装置形成領域であることを特徴とする付記1乃至付記3のいずれか1つに記載の欠陥検査方法。
(付記5)複数の前記検査対象領域は、同じ半導体形成領域のうち同じ構造が形成される異なる領域であることを特徴とする付記1乃至付記3のいずれか1つに記載の欠陥検査方法。
(付記6)目的欠陥発生位置を判定する前に、前記輝度差分布に基づいて前記優先検出領域と前記その他の領域のそれぞれの欠陥密度を求め、前記欠陥密度の互いの差が予め設定された誤差範囲内にある場合には全体に共通する共通欠陥であると判定することを特徴とする付記1に記載の欠陥検査方法。
(付記7)
同じ構造が形成される複数の検査対象領域を判別する領域判別部と、複数の前記検査対象領域のそれぞれの輝度の分布を比較して前記輝度の分布の差を求める輝度比較部と、優先的に検査する優先検出領域がその他の領域よりも低い閾値を設定する閾値設定部と、前記輝度の分布のうち前記閾値以上の値となる位置を目的欠陥発生位置と判定する欠陥判定部とを有する欠陥検査装置。
(付記8)前記検査対象領域における前記輝度をグレースケール化する信号変換部を有することを特徴とする付記7に記載の欠陥検査装置。
(付記9)前記検査対象領域に光を照射する照射部と、前記光の反射に基づいて前記検査対象領域を撮像する撮像部と、を有することを特徴とする付記7又は付記8に記載の欠陥検査装置。
【符号の説明】
【0092】
1 検査装置
2 外観検査部
3 データ処理部
5 半導体ウェハ
6 半導体装置形成領域
10 ウェハステージ
15 照明部
16 撮像部
5、41 半導体ウェハ
20 バス
21 制御部
22 表示部
23記憶部
24 入出力部
30 データ処理部
31 信号変換部
32 領域判別部
33 領域輝度比較部
34 閾値設定部
35 欠陥判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検査対象領域の画像データを取得し、
前記複数の検査対象領域のうち同じ構造を形成する領域同士の同じ位置の輝度を比較して輝度の差から輝度差分布を求め、
前記複数の検査対象領域のそれぞれにおいて、優先的に検査をしたい優先検出領域の閾値がその他の領域の閾値よりも低くなるよう閾値分布を設定し、
前記輝度差分布のうち前記閾値分布以上になる位置を目的欠陥発生位置と判定する
ことを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項2】
前記複数の検査対象領域のうち、2以上の前記検査対象領域に対して前記目的欠陥発生位置が判定される1つの前記検査対象領域に前記目的欠陥発生位置の存在を判定することを特徴とする請求項1に記載の欠陥検査方法。
【請求項3】
目的欠陥発生位置を判定する前に、
前記輝度差分布に基づいて前記優先検出領域と前記その他の領域のそれぞれの欠陥密度を求め、
前記欠陥密度の互いの差が予め設定された誤差範囲内にある場合には全体に共通する共通欠陥であると判定することを特徴とする
ことを特徴とする請求項1に記載の欠陥検査方法。
【請求項4】
同じ構造が形成される複数の検査対象領域を判別する領域判別部と、
複数の前記検査対象領域のそれぞれの輝度の分布を比較して前記輝度の分布の差を求める輝度比較部と、
前記輝度の分布の差に対して優先的に検査する優先検出領域がその他の領域よりも低い閾値を有するよう閾値を設定する閾値設定部と、
前記輝度の分布のうち前記閾値以上の値となる位置を目的欠陥発生位置と判定する欠陥判定部と
を有する欠陥検査装置。
【請求項5】
前記検査対象領域における前記輝度をグレースケール化する信号変換部を有することを特徴とする請求項4に記載の欠陥検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4C】
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【図4F】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−251935(P2012−251935A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126393(P2011−126393)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】