説明

検針システム

【課題】通信ユニットのない既設の検針システムに対してセンタ装置との通信機能を付加する際、通信経路を容易に確保することができる検針システムを提供する。
【解決手段】計測接続線3でカスケード接続された複数台の負荷計B1,B2,B3…のうち最上段の負荷計B1に接続された主通信ユニットC1は、センタ装置1に対して通信回線5で接続され、通信回線5を通してセンタ装置1と通信可能に構成される。最上段以外の負荷計B2,B3…に接続された副通信ユニットC2,C3…と主通信ユニットC1とは、それぞれ伝送線6によって対応する負荷計B1,B2,B3…における計測器接続線3の接続部位に接続され、伝送線6および計測器接続線3を通して通信信号により互いに通信するシステム内通信手段と、計測器接続線3上を伝送される通信信号をパルス信号から分離してシステム内通信手段に通す分離手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス等の計量対象の使用量の検針に用いられる検針システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、検針システムとして、それぞれ計量対象(ガス等)の使用量を計量し所定量を計量するごとにパルス信号を出力する複数台のメータ端末と、それぞれメータ端末からのパルス信号を入力可能な複数の入力端子を有し各入力端子に入力されたパルス信号のパルス数に基づいて使用量を計測する負荷計とを備えたものが知られている。
【0003】
この種の負荷計は、計測した使用量を記憶するメモリと、メモリに記憶された使用量を表示する表示手段とを有しており、負荷計のメモリに記憶された使用量を表示手段で確認することによって、複数台のメータ端末によって計量された使用量の検針を行うことができる(たとえば特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載の検針システムは、負荷計のマイコンに通信ユニット(通信インターフェース)を接続するとともに、負荷計の遠方に設置されたセンタ装置と通信ユニットとを通信回線で接続することにより、負荷計で計測した使用量をセンタ装置が通信回線を通じて取得できるように構成されている。
【0005】
ところで、1台の負荷計に接続可能なメータ端末の台数には上限(たとえば4台)がある。そのため、この上限を超える台数のメータ端末が設置されるビル等に上述の検針システムを採用する場合には、複数台の負荷計をカスケード接続することが考えられる。すなわち、負荷計には入力端子からの入力を合計して出力する出力端子が設けられ、下段となる負荷計の出力端子が上段となる負荷計の入力端子に計測器接続線で接続される。これにより、最上段の負荷計では、全メータ端末によって計量された使用量の累計が計測されることとなる。負荷計はたとえばビルの各階に1台ずつ設置される。
【0006】
このように複数台の負荷計をカスケード接続した場合に、図4に示すように、各負荷計Bに一対一に対応するように通信ユニットCも複数台設け、各負荷計Bに各通信ユニットCを接続することによって、センタ装置1で使用量を負荷計Bごとに取得可能とすることが考えられる。ただし、全ての通信ユニットCを個別の通信回線5(チャンネル)によってセンタ装置1に接続するには複数の通信回線5が必要になってしまう。
【0007】
そこで、図5に示すように、最上段の負荷計B1に対応する通信ユニットC1(以下、「主通信ユニット」ともいう)のみを通信回線5を通してセンタ装置1と通信可能に構成し、主通信ユニットC1以外の通信ユニットC2,C3(以下、「副通信ユニット」ともいう)については主通信ユニットC1と通信可能に構成することにより、副通信ユニットC2,C3についても主通信ユニットC1を経由してセンタ装置1と通信可能とすることが考えられる。
【特許文献1】特開2001−165749号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように通信ユニットC同士で通信可能とするためには、通信ユニットC間に通信経路7を確保する必要がある。しかし、通信ユニットCのない既設の検針システムに対してセンタ装置1との通信機能を付加する際、各負荷計Bがたとえばビルの各階に設置されていると、各通信ユニットCもビルの各階に設置されることとなり、通信ユニットC同士を直接接続するための配線を行うことは困難である。
【0009】
なお、通信ユニットC間で無線通信を行うことも考えられるが、この場合には、通信ユニットC同士がたとえばビルの屋上および地下室など離れた場所に設置されていると電波が届かない可能性があり、さらに、他の通信装置との電波干渉を生じ通信障害となる可能性もある。
【0010】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであって、通信ユニットのない既設の検針システムに対してセンタ装置との通信機能を付加する際、通信経路を容易に確保することができる検針システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明では、事業者から需要家に供給される供給物の使用量をそれぞれ計量し所定量を計量するごとにパルス信号を出力する複数台のメータ端末と、それぞれメータ端末からのパルス信号を入力可能な複数の入力端子を有し入力端子に入力されたパルス信号のパルス数に基づいて使用量を計測する負荷計とを備え、負荷計は、複数台設けられており、それぞれ入力端子に入力されたパルス信号のパルス数を合計したパルス信号を出力する出力端子を有し、下段側の負荷計の出力端子を上段側の負荷計の入力端子に接続する計測器接続線によって互いに接続されており、負荷計ごとに使用量の検針を行う検針システムであって、最上段の負荷計に接続され当該負荷計で計測された使用量を当該負荷計の遠方に設置されたセンタ装置に通信回線を通して伝送する主通信ユニットと、最上段以外の負荷計に一対一に対応するように接続される副通信ユニットとが設けられ、主通信ユニットおよび副通信ユニットは、それぞれ対応する負荷計における前記計測器接続線の接続部位に接続され、計測器接続線上を伝送されるパルス信号に当該パルス信号とは周波数の異なる通信信号を重畳させて当該通信信号により互いに通信するシステム内通信手段と、計測器接続線上を伝送される通信信号をパルス信号から分離してシステム内通信手段に通す分離手段とを有し、副通信ユニットは、対応する負荷計で計測された使用量をシステム内通信手段を用いて主通信ユニットに伝送し、主通信ユニットからセンタ装置に伝送させることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、最上段の負荷計で計測された使用量に関しては、主通信ユニットから通信回線を通してセンタ装置に直接伝送することができ、最上段以外の負荷計で計測された使用量に関しては、副通信ユニットからシステム内通信手段を用いて主通信ユニットに伝送し、さらに主通信ユニットからセンタ装置に伝送することができるので、センタ装置では、使用量を負荷計ごとに取得することができる。ここで、システム内通信手段は、負荷計同士を接続している計測器接続線を通信経路の一部として利用しているので、主通信ユニット・副通信ユニットのない既設の検針システムに対してセンタ装置との通信機能を付加する際、主通信ユニット・副通信ユニットと負荷計とを接続するだけで、既設の計測器接続線を利用して主通信ユニット・副通信ユニット間の通信経路を確保でき、主通信ユニット・副通信ユニット間を直接接続する専用の配線を敷設する必要はない。結果的に、主通信ユニット・副通信ユニット間の通信経路を容易に確保することができる。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記主通信ユニットおよび前記副通信ユニットが、それぞれ前記センタ装置から前記使用量の伝送を要求する内容の指令を受けると、対応する前記負荷計から使用量を取得してセンタ装置に伝送することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、主通信ユニットおよび副通信ユニットは、それぞれセンタ装置から使用量の伝送を要求する内容の指令を受けると、対応する負荷計から使用量を取得してセンタ装置に伝送するので、センタ装置は、任意のタイミングで使用量を取得できるという利点がある。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記主通信ユニットおよび前記副通信ユニットが、それぞれ前記センタ装置から前記負荷計の設定を変更する内容の指令を受けると、対応する負荷計の設定を前記指令に従って変更することを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、主通信ユニットおよび副通信ユニットは、それぞれセンタ装置から負荷計の設定を変更する内容の指令を受けると、対応する負荷計の設定を前記指令に従って変更するので、負荷計の遠方に設置されたセンタ装置からでも負荷計の設定を変更することができる。
【0017】
請求項4の発明は、請求項2または請求項3の発明において、前記主通信ユニットおよび前記副通信ユニットが、それぞれ予め設定された受信開始時刻から一定時間のみ、前記センタ装置からの指令を受信可能な受信待機状態となることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、主通信ユニットおよび副通信ユニットは、それぞれ予め設定された受信開始時刻から一定時間のみ、センタ装置からの指令を受信可能な受信待機状態となるので、受信待機状態以外での主通信ユニットおよび副通信ユニットの消費電力を低く抑えることができ、主通信ユニットおよび副通信ユニットの電源を電池とする場合には、電池の寿命を延ばすことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、システム内通信手段が、負荷計同士を接続している計測器接続線を通信経路の一部としているので、主通信ユニット・副通信ユニットのない既設の検針システムに対してセンタ装置との通信機能を付加する際、主通信ユニット・副通信ユニットと負荷計とを接続するだけで、既設の計測器接続線を利用して主通信ユニット・副通信ユニット間の通信経路を確保できる。すなわち、主通信ユニット・副通信ユニット間を直接接続する専用の配線を新規に敷設する必要はなく、主通信ユニット・副通信ユニット間の通信経路を容易に確保することができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下の実施形態では、メータ端末としてガスメータを採用しガス使用量の検針に用いられる検針システムを例示する。ただし、本発明は電気や水道など、ガス以外の使用量の検針に用いられる検針システムに適用することもでき、この場合には、ガスメータに代えて電力量計や水道メータなどをメータ端末として採用する。
【0021】
本実施形態の検針システムは、ガス使用設備(給湯設備など)を複数備えたビルに使用されるものであって、図1に示すように、それぞれガス使用量を計量するとともに所定量を計量するごとにパルス信号を出力する複数台のガスメータAと、ガスメータAからのパルス信号を入力可能な入力端子Tをそれぞれ有した複数台の負荷計Bとを備える。ここでは1台の負荷計Bに最大4台のガスメータAを接続可能なように、各負荷計Bには入力端子Tが4つずつ(T1〜T4)設けられている。各ガスメータAは、メータ接続線2を用いて負荷計Bの各入力端子T1〜T4にそれぞれ接続される。
【0022】
ここで、複数台の負荷計Bはカスケード接続されている。具体的に説明すると、最上段となる1台の負荷計Bを除く各負荷計Bには、それぞれ入力端子T1〜T4から入力されたパルス信号を合計して出力する出力端子T0が設けられており、パルス信号を通す計測器接続線3を用いて上段側の負荷計Bの入力端子T1〜T4のいずれかと下段側の負荷計Bの出力端子T0とを接続している。負荷計Bはビルの各階に1台ずつ設置され、1つの階に設置されたガスメータAは全て同階に設置された負荷計Bに接続される。
【0023】
ところで、ガスの単価が時間帯によって異なる場合、負荷計Bで時間帯別にガス使用量を計測すればガス料金の算出が簡単になる。そのため、本実施形態の負荷計Bは、時計機能を有しており、所望の計測時間(たとえば24時間)のガス使用量の累計を表す総積算量や、夜間となる時間帯(22時から7時まで)のガス使用量を表す夜間使用量や、単位時間(たとえば1時間)当たりの最大使用量や、休日のガス使用量を表す休日使用量や、平日の所望の設定時間帯におけるガス使用量を表す平日時間帯別使用量や、休日の所望の設定時間帯におけるガス使用量を表す休日時間帯別使用量などをガス使用量として計測可能に構成されている。
【0024】
具体的には、負荷計Bは、図2に示すようにそれぞれ入力端子T1〜T4から入力したパルス数を時計機能で計時される所定時間(たとえば1時間)ごとに記憶するデータテーブルを有する。ここで、データテーブルに記憶可能な最大時間(たとえば100時間)を前記計測時間としてもよい。本実施形態では、図3に示すように負荷計Bにマイコン(マイクロコンピュータ)7を設け、このマイコン7によってパルス数に基づきガス使用量を計算するとともに、マイコン7内のメモリをデータテーブル8として用いている。データテーブル8は、入力端子T1〜T4ごとにパルス数を記憶するように構成されており、負荷計Bは、上述した各種のガス使用量を全入力端子T1〜T4への入力の合計だけでなく、各入力端子T1〜T4について個別に計測することもできる。
【0025】
各負荷計Bには計測した各種のガス使用量を表示する表示部(図示せず)が設けられており、表示部によって各種ガス使用量を確認することができる。さらに、この他に、負荷計Bの遠方(ビルの構外)に設置されたセンタ装置1においても各負荷計Bで計測された各種のガス使用量を取得可能とするために、センタ装置1との通信を行う通信ユニットCが各負荷計Bに対して1台ずつ接続される。ここで、負荷計Bと通信ユニットCとはユニット接続線4によって接続される。
【0026】
以下では、複数台の負荷計Bを上段側から負荷計B1,B2,…と表記し、負荷計B1に接続されるガスメータAをガスメータA1a,A1b,…と表記し、負荷計B2に接続されるガスメータAをガスメータA2a,A2b,…と表記し、各負荷計B1,B2,…に接続される通信ユニットCをそれぞれ通信ユニットC1,C2,…と表記する。また、負荷計B1,B2,…を区別しない場合は負荷計Bと表記し、ガスメータA1a,A1b,…、A2a,A2b,…を区別しない場合はガスメータAと表記し、通信ユニットC1,C2,…を区別しない場合は通信ユニットCと表記する。
【0027】
本実施形態では、最上段の負荷計B1に対応する通信ユニットC1(以下、「主通信ユニット」ともいう)のみをセンタ装置1と通信回線5によって接続し、主通信ユニットC1以外の通信ユニットC2,C3,…(以下、「副通信ユニット」ともいう)については主通信ユニットC1と通信可能に構成している。すなわち、最上段の負荷計B1で計測されたガス使用量は主通信ユニットC1のみを通してセンタ装置1に伝送され、最上段以外の負荷計B2,B3,…で計測されたガス使用量はこれらの負荷計B2,B3,…に対応する副通信ユニットC2,C3,…および主通信ユニットC1を通してセンタ装置1に伝送される。
【0028】
ここにおいて、主通信ユニットC1とセンタ装置1とを接続する通信回線5としてはたとえば電話回線などの商用回線を用いることができる。各通信ユニットCにはそれぞれマイコン9(図3参照)が備わっており、主通信ユニットC1のマイコン9はインタフェースIFを介して通信回線5に接続される。ここでは主通信ユニットC1とセンタ装置1との間の通信方式の一例としてPNC伝送方式を採用するが、特にこの通信方式に限定するものではない。主通信ユニットC1がセンタ装置と通信するため手段は、通信ユニットC1のマイコン9に組み込まれている。
【0029】
一方、通信ユニットC同士の通信には、前記パルス信号に比べて高周波となる通信信号を用いており、通信ユニットCは、対応する負荷計Bにおける計測器接続線3との接続部位(つまり、入力端子T1〜T4と出力端子T0との少なくとも一方)に対して、通信信号を通す伝送線6によって接続される。これにより、計測器接続線3によって接続された一対の負荷計Bにそれぞれ対応する一対の通信ユニットCは、伝送線6および計測器接続線3によって互いに接続され、通信信号は、伝送線6および計測器接続線3を通して伝送される。要するに、計測器接続線3はパルス信号の伝送だけでなく通信信号の伝送にも用いられることとなる。ここで、通信ユニットCが他の通信ユニットCと通信するための手段(システム内通信手段)は各通信ユニットCのマイコン9に組み込まれている。なお、通信ユニットC同士の通信方式の一例としてもPNC伝送方式を採用するが、特にこの通信方式に限定するものではない。
【0030】
したがって、センタ装置1との通信機能がない既設の検針システムに対して、各負荷計Bで計測されたガス使用量をセンタ装置1で取得可能とする機能を付加する場合には、ユニット接続線4および伝送線6で各負荷計Bに通信ユニットCをそれぞれ接続するとともに、通信回線5を用いて主通信ユニットC1とセンタ装置1とを通信可能に接続すればよく、通信ユニットC同士を新規に直接接続する必要は無い。すなわち、通信ユニットC間の接続に既設の計測器接続線3を用いることにより、負荷計B同士が異なる階に設置されている場合など通信ユニットC間に新規の配線を敷設することが困難な場合であっても、通信ユニットC同士で通信可能とすることができ、各負荷計Bで計測されたガス使用量をセンタ装置1において取得可能とすることができる。
【0031】
また、通信ユニットC同士を直接接続する場合には、各階に設置されている負荷計B同士を接続する計測器接続線3と同程度の長さの配線が必要になる。これに対して、本実施形態では負荷計Bと通信ユニットCとを伝送線6で接続する必要があるものの、負荷計Bと通信ユニットCとを近接配置すれば伝送線6の必要長さは計測器接続線3に比べて格段に短くなるので、配線にかかる費用を低く抑えることができるという利点がある。
【0032】
ここにおいて、負荷計Bにおける入力端子T1〜T4および出力端子T0のそれぞれには、パルス信号に対して低インピーダンスであって通信信号に対して高インピーダンスとなるローパスフィルタ10を設け、通信ユニットCにおける伝送線6の接続部位には、通信信号に対して低インピーダンスであってパルス信号に対して高インピーダンスとなるハイパルフィルタ11(分離回路)を設けてある。これらローパスフィルタ10およびハイパスフィルタ11を設けたことにより、計測器接続線3にパルス信号と通信信号との両方を通しながらも両信号を容易に分離することができ、両信号の相互干渉を防止することができる。
【0033】
なお、通信信号は、パルス信号の伝送に影響を与えないように、パルス信号よりも十分に高い周波数帯域の搬送波を用いている。本実施形態ではパルス信号について、最大周波数が2Hzとなるように、パルス幅を250ms、最短繰返し周期を500msに設定している。そのため、通信信号の搬送波には100kHz〜300kHzの周波数帯域を用いているが、この範囲に限るものではなく1MHz程度を上限としてさらに高い周波数帯域を用いてもよい。
【0034】
以下に、本実施形態の具体的な接続関係について説明する。
【0035】
負荷計B1においては、4つの入力端子T1〜T4のうち3つT1〜T3にガスメータA1a〜A1cがそれぞれ接続され残りの入力端子T4に下段の負荷計B2が接続されている。負荷計B2においては、4つの入力端子T1〜T4のうち3つT1〜T3にガスメータA2a〜A2cがそれぞれ接続され残りの入力端子T4に下段の負荷計B3が接続されている。この負荷計B3においては、3つの入力端子T1〜T4のうち1つT1にガスメータA3aが接続され残りの2つの入力端子T2,T3に2台の負荷計B4,B5がそれぞれ接続されている。負荷計B4においては、4つの入力端子T1〜T4のそれぞれにガスメータA4a〜A4dが接続され、負荷計B5においては、4つの入力端子T1〜T4のそれぞれに下段の負荷計B6〜B9がそれぞれ接続されている。
【0036】
そのため、たとえば負荷計B3で計測された各種のガス使用量をセンタ装置1で収集する場合には、通信ユニットC3により負荷計B3から各種のガス使用量が読み出され、読み出されたガス使用量は、通信信号を用いて通信ユニットC3から通信ユニットC2を経由して通信ユニットC1に伝送される。このとき、通信信号は通信ユニットC2を経由するだけであって、通信ユニットC2で何らかの変更が加えられるものではない。そして、通信ユニットC1に伝送されたガス使用量は、通信ユニットC1から通信回線5を通してセンタ装置1に伝送されることとなる。
【0037】
また、各通信ユニットCは、センタ装置1からガス使用量の伝送を要求する内容の指令を受けた際に、対応する負荷計Bからガス使用量を読み出してセンタ装置1に伝送する。このときの指令には、上述した各種のガス使用量(総積算量、夜間使用量、最大使用量、休日使用量、平日時間帯別使用量、休日時間帯別使用量)のうち少なくとも1つを指定する内容が含まれており、負荷計Bは、指定されたガス使用量を、通信ユニットCによってセンタ装置1に伝送する。
【0038】
さらにまた、本実施形態では、各通信ユニットCは、センタ装置1からの指令に従って負荷計Bの設定を変更する機能を有している。センタ装置1から変更可能な負荷計Bの設定としては、たとえば時計機能の時刻修正や、夜間使用量や平日時間帯別使用量や休日時間帯別使用量に関する設定時刻の修正などがある。負荷計Bの設定を変更する指令は、センタ装置1から通信回線5を通して主通信ユニットC1に伝送されることとなる。ここで、主通信ユニットC1に対応する負荷計B1の設定を変更する場合には、主通信ユニットC1がセンタ装置1からの指令に従って負荷計B1に対して設定変更の指示を与える。一方、副通信ユニットC2,C3,…に対応する負荷計B2,B3,…の設定を変更する場合には、主通信ユニットC1が通信信号を用いてセンタ装置1からの指令を副通信ユニットC2,C3,…に転送する。この通信信号を受信した副通信ユニットC2,C3,…は、前記指令に従って負荷計B2,B3,…に対して設定変更の指示を与える。
【0039】
ところで、本実施形態では、通信ユニットCは電池(図示せず)を電源として動作するように構成されており、消費電力を抑えて電池の寿命を延ばすために、以下の構成を採用している。
【0040】
すなわち、主通信ユニットC1と副通信ユニットC2,C3,…とは常に通信可能な状態にあるのではなく、副通信ユニットC2,C3,…は、定常時には時計機能のみを動作させ、1日(24時間)に1回だけ設定された所定の受信開始時刻になるとマイコン9を起動し、受信待機状態となる。この受信待機状態で初めて主通信ユニットC1から副通信ユニットC2,C3,…への通信信号の伝送が可能となり、センタ装置1によるガス使用量の取得や、センタ装置1による負荷計Bの設定変更が可能となる。副通信ユニットC2,C3,…は、通信信号を送信あるいは受信した後、通信信号を受信しない期間が所定時間継続すると、自動的にマイコン9の動作を停止し、受信待機状態を解除する。なお、主通信ユニットC1のみ商用電源を電源として動作するように構成してもよく、この場合にはセンタ装置1と主通信ユニットC1との間に関しては常時通信可能としてもよい。
【0041】
また、本実施形態では、負荷計B同士を接続する計測器接続線3およびガスメータAと負荷計Bとを接続するメータ接続線2のそれぞれに、共通線と2本の電圧線とからなる3線式のものを採用している。ここにおいて、パルス信号は、共通線および一方の電圧線の間に印加されるパルス電圧と、共通線および他方の電圧線の間に印加されるパルス電圧との組み合わせからなり、パルス信号を受ける負荷計Bにおいては両パルス電圧の論理和を1パルスとしてパルス数を計数する。すなわち、少なくとも一方のパルス電圧が伝送されれば1パルスとしてパルス数が計数される。これにより、伝送エラー等で一方の電圧線と共通線との間のパルス電圧が正常に伝送されない場合でも、他方の電圧線と共通線との間のパルス電圧が伝送されることによりパルス数が正確に計数されることとなる。ここで、他方の電圧線と共通線との間のパルス電圧は、一方の電圧線と共通線との間のパルス電圧に対して、パルス信号の最短周期以下に設定された徴少時間だけ遅れて伝送される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態の全体構成を示すブロック図である。
【図2】同上に用いるデータテーブルを示す説明図である。
【図3】同上の要部の構成を示すブロック図である。
【図4】従来例を示すブロック図である。
【図5】他の従来例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0043】
1 センタ装置
3 計測器接続線
5 通信回線
9 マイコン(システム内通信手段)
11 ハイパスフィルタ(分離手段)
A ガスメータ(メータ端末)
B 負荷計
C 通信ユニット
T0 出力端子
T1〜T4 入力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
事業者から需要家に供給される供給物の使用量をそれぞれ計量し所定量を計量するごとにパルス信号を出力する複数台のメータ端末と、それぞれメータ端末からのパルス信号を入力可能な複数の入力端子を有し入力端子に入力されたパルス信号のパルス数に基づいて使用量を計測する負荷計とを備え、負荷計は、複数台設けられており、それぞれ入力端子に入力されたパルス信号のパルス数を合計したパルス信号を出力する出力端子を有し、下段側の負荷計の出力端子を上段側の負荷計の入力端子に接続する計測器接続線によって互いに接続されており、負荷計ごとに使用量の検針を行う検針システムであって、最上段の負荷計に接続され当該負荷計で計測された使用量を当該負荷計の遠方に設置されたセンタ装置に通信回線を通して伝送する主通信ユニットと、最上段以外の負荷計に一対一に対応するように接続される副通信ユニットとが設けられ、主通信ユニットおよび副通信ユニットは、それぞれ対応する負荷計における前記計測器接続線の接続部位に接続され、計測器接続線上を伝送されるパルス信号に当該パルス信号とは周波数の異なる通信信号を重畳させて当該通信信号により互いに通信するシステム内通信手段と、計測器接続線上を伝送される通信信号をパルス信号から分離してシステム内通信手段に通す分離手段とを有し、副通信ユニットは、対応する負荷計で計測された使用量をシステム内通信手段を用いて主通信ユニットに伝送し、主通信ユニットからセンタ装置に伝送させることを特徴とする検針システム。
【請求項2】
前記主通信ユニットおよび前記副通信ユニットは、それぞれ前記センタ装置から前記使用量の伝送を要求する内容の指令を受けると、対応する前記負荷計から使用量を取得してセンタ装置に伝送することを特徴とする請求項1記載の検針システム。
【請求項3】
前記主通信ユニットおよび前記副通信ユニットは、それぞれ前記センタ装置から前記負荷計の設定を変更する内容の指令を受けると、対応する負荷計の設定を前記指令に従って変更することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の検針システム。
【請求項4】
前記主通信ユニットおよび前記副通信ユニットは、それぞれ予め設定された受信開始時刻から一定時間のみ、前記センタ装置からの指令を受信可能な受信待機状態となることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の検針システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−79243(P2008−79243A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−259174(P2006−259174)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】