説明

構成部品とその構成部品に割り当てられた駆動素子との構成

【課題】 構成部品、およびこの構成部品に割り当てられた駆動素子の構成を提供する。
【解決手段】 本発明は、構成部品(6)、および構成部品に割り当てられた、ハウジング(9)を有する駆動素子(11、12)の構成に関する。
本発明によれば、そのような構成では、構成部品が一次成形法によって製造され、構成部品の少なくとも部分領域が駆動素子のハウジングを構成するように、この部分領域を実現することが提供される。
そのような構成では、構成部品およびハウジングは、軽量で、必要な構造空間が小さいことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構成部品と、その構成部品に割り当てられるとともにハウジング(函体、筐体、Gehause(“a”はウムラウト付き))を有する駆動素子との構成に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような構成は、特許文献1から知られている。この明細書は、自動車の場合の、電動駆動装置を有する窓昇降装置に関する。ここでは、構成部品はベースプレートとハウジングで構成され、それらは一体成形されており、ハウジングは隔壁によって、電動モータ用の空間および変速機用の空間に分割されている。ハウジングは、ベースプレートの平面からの凸面を構成し、かつベースプレートの平面に開口してモータおよび変速機を挿入可能としている。これらのモータおよび変速機は個別の機能ユニットを構成し、よって、いずれの場合もハウジングを有する。ベースプレートおよびハウジングによって構成された一体形の構成部品は、ダイキャスト法で製造される。特に、このようにするための材料として亜鉛、プラスチックまたはマグネシウムが使用される。
【0003】
上述の構成は、非常に広い構造空間が必要であることを特徴とする。なぜなら、構成部品と電動機とが機能的に別個の部品を構成するからである。さらに、構成部品が、ハウジングと、個別にハウジングを備えた駆動素子とを有する構成により、その構成全体の重量はかなり重くなる。その上、駆動素子がそれ自体のハウジングを有するため、駆動装置からの、すなわち、モータおよび/または変速機からの熱放散が不十分である。
【0004】
特許文献2から、射出成形された熱可塑性材料から作製された自動車のシートが知られている。このシートの場合、シートの調整機構が座部と一体成形される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第OS22 39 256号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0027 416A1号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第198 48 952A1号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第10 2006 002 520A1号明細書
【特許文献5】独国実用新案第298 14 449U1号明細書
【特許文献6】オーストリア特許第4 13 580B号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、冒頭で述べたタイプの構成を、構成部品とハウジングが軽量であり、必要な構造空間が小さいことを特徴とするように、発展させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、構成部品が一次成形法(工程、プロセス)によって製造され、構成部品の少なくとも部分領域が駆動素子のハウジングを構成するように、この部分領域を実現することによって達成される。
【0008】
それゆえ、本発明によれば、構成部品の部分領域は、その部分領域がさらに駆動素子のハウジングとしての機能を果たすように、一次成形によって形成される。
【0009】
構成部品は、具体的には、構造部分、ハウジングまたはカバーである。
【0010】
構成部品は、具体的には、ダイキャスト、チクソモールディング(thixomolding)またはプラスチック射出成形によって製造される。
【0011】
好ましくは、駆動素子を電動モータおよび/または変速機として実現する。
【0012】
それゆえ構成部品の部分領域は、その部分領域がさらに駆動素子、具体的には電動モータまたは変速機のハウジングとしての機能を果たすように、一次成形によって形成され、例えば対応する電動モータの磁石もしくはコイル、または変速機ユニットの歯車を収容する。このように、構成部品は2つの機能を有し、それにより、駆動素子、具体的には電動モータまたは変速機用の個別のハウジングを省略することが可能となる。
【0013】
そのような、構造部分である構成部品の一例として、自動車のシート構造、特に自動車の軽金属シート構造の部品が挙げられる。ここでは、シート構造の製造の際に、シート構造を調整するためのモータまたは変速機用のハウジングが付随して形成される。
【0014】
構成部品が一次成形によって製造されるため、モータおよび/または変速機などの、ハウジングに囲まれる構成要素部分を収容するための空洞部を、複雑な形状とすることが可能となる。その結果、モータまたは変速機に生じた熱を、モータ/変速機ユニットが別個の構成である場合よりも、構成部品に隣接する構造を通じて良好に放散させることができる。さらに、構成部品の剛性が高まるので、構成部品においてハウジングにより構成される構成要素部分を意図的に使用して、荷重がかかる位置に位置決めする。さらに、システムの統合化に必要な構造空間が削減される。
【0015】
それゆえ、本発明による構成は種々の利点を有する。第一に、駆動素子、具体的には変速機および/またはモータからの熱放散である。加えて、ハウジングの省略により重量が軽くなることである。さらに、駆動素子のハウジングを構成する構成部品の部分領域が、構成部品の剛性に寄与することである。最後に、結果としてパッケージ化(機能の統合化)できるという著しい利点が得られる。その上、この機能の統合化は部品数を減少させ、これに対応して費用も削減される。
【0016】
本発明の別の特徴および利点を、従属請求項および以下の本発明の例示的な実施形態の説明に開示する。本発明の例示的な実施形態では、図面を参照してより完全に説明するが、それに限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に従って実現される自動車のシートのシート構造であって、シートレールに旋回可能に取り付けられたシート構造の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に示すように、例えば乗用車の運転席の領域に、2つのシートレール1が配置されており、それらのシートレールは、シートレール受け(図示せず)に変位および固定可能に取り付けられ、シートレール受けは、車両の床に取り付けられている。各シートレール1は、シートレール1に取り付けられたアクスル3の周りを自由に旋回可能な前部リンク2を有し、さらに、シートレール1に取り付けられたアクスル5の周りを旋回可能な後部リンク4を有する。シートレールから離れているリンク2および4の領域では、これらのリンクは、シート構造6として実現される構成部品を保持する。そして後部領域では、シート構造6は、車両シートのシートバック構造(図示せず)を傾動させる。
【0019】
それぞれシートレール1に割り当てられるリンク2および4は、実質的に互いに平行に配置され、図示のシート構造6の位置では、ピボットアクスル3および5を起点として後方に斜めに向けられている。
【0020】
前部では、シート構造6が両側でリンク2に旋回可能に取り付けられる。このようにするために、シート構造6を、リンク2の上端部の領域にアクスル7によって取り付ける。対応して、後部リンク4を、シート構造6の後部領域において両側でアクスル8によって旋回可能に取り付ける。
【0021】
シート構造6は、一次成形法(例えば、ダイキャスト、チクソモールディング、プラスチック射出成形)によって製造される。シート構造6の部分領域、具体的にはシート構造6の後部領域は、キャスト構造の一部を構成する空洞部10を備え、空洞部10を取り囲むシート構造6の領域は、同時に変速機11および電動モータ12が配置されるハウジング9の機能を果たしている。シート構造6の構成要素部分を構成しそれゆえ一次成形によって形成されるこのハウジング9は、電動モータ12の磁石またはコイルおよび変速機11のギアの歯を収容する働きをする(図示せず)。このように、シート構造6はその後部部分領域において2つの機能を有し、それにより、電動モータまたは変速機用の個別のハウジングを省略することが可能となる。シート構造6は側方開口部13、つまりキャスト構造における開口部を備えて、変速機11および電動モータ12を収容する。変速機11の出力歯車14が、開口部13に隣接して配置されたリンク4の歯部15と噛み合い、その歯部は、アクスル8に対して同心状に配置されている。
【0022】
構成部品、具体的にはシート構造6は、特に軽金属でできている。別の実施形態では、構成部品はプラスチックまたは繊維強化プラスチックでできている。
【符号の説明】
【0023】
1:シートレール、 2:前部リンク、 3、5、7、8:アクスル、
4:後部リンク、 6:構成部品、 9:ハウジング、 10:空洞部、
11、12:駆動素子、 13:側方開口部、 15:歯部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成部品(6)、および前記構成部品(6)に割り当てられた、ハウジング(9)を有する駆動素子(11、12)の構成において、
前記構成部品(6)が一次成形法によって製造され、前記構成部品(6)の少なくとも部分領域は、当該部分領域が前記駆動素子(11、12)の前記ハウジング(9)を構成するように実現されることを特徴とする、構成。
【請求項2】
前記構成部品(6)が、構造部分、ハウジングまたはカバーであることを特徴とする、請求項1に記載の構成。
【請求項3】
前記構成部品(6)が、ダイキャスト、チクソモールディングまたはプラスチック射出成形によって製造されることを特徴とする、請求項1または2に記載の構成。
【請求項4】
前記駆動素子(11、12)が、電動モータ(12)または変速機(11)のいずれか一方または両方として実現されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の構成。
【請求項5】
前記駆動素子(11、12)の前記ハウジング(9)を構成する前記構成部品(6)の前記部分領域が、前記電動モータ(12)の磁石またはコイルを収容する働きをすることを特徴とする、請求項4に記載の構成。
【請求項6】
前記駆動素子(11、12)の前記ハウジング(9)を構成する前記構成部品(6)の前記部分領域が、前記変速機(11)のギアの歯を収容する働きをすることを特徴とする、請求項4または5に記載の構成。
【請求項7】
前記構成部品(6)が自動車のシートのシート構造(6)であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の構成。
【請求項8】
前記駆動素子(11、12)が、前記構成部品(6)を調整する働きをすることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の構成。
【請求項9】
前記構成部品(6)が軽金属でできていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の構成。

【図1】
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【公開番号】特開2010−143564(P2010−143564A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259377(P2009−259377)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(508174975)ドクトル イング ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト (134)
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D−70435 Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】