説明

構造体、磁気記録媒体及びその製造方法

【課題】 柱状磁性粒子の形状が基本的に不定形であり、粒子サイズでジグザグパターンを減少させた場合には、個々の柱状磁性粒子体積のばらつきが存在しており、依然として反転磁界のばらつきとして残ることである。
【解決手段】 そこで、本発明は、基板と、基体上に所定の位置に配置された粒子を含む下地層と、前記下地層の上に複数の柱状の部分を含む層とを備え、前記下地層と前記複数の柱状の部分を含む層との境界面と平行な面で、前記面に対して平行な所定の方向上に配置された柱状部分の平均間隔<Ra>と、前記方向と実質的に直交し、前記面に対して平行である方向上に配置された柱状部分の平均間隔<Rb>とが、<Ra>/<Rb>>1の関係式を満たすことを特徴とする構造体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相分離構造を有するものの粒子(柱状部分)の分散に特徴を有しており、構造体や磁気記録媒体などに適用できるものである。
【背景技術】
【0002】
近年、磁気記録媒体の高密度化が進展し、面内磁気記録方式から垂直磁気記録方式への移行がなされようとしているが、高密度化においてはノイズの増加が、考えられる。この媒体ノイズの低減のためには、磁性粒子の微細化と隣接する粒子間の交換相互作用の低減が有効である。特に記録ビットの微細化に伴いCoCrPt系材料においてはビット間の境界における磁性粒子形状を反映したジグザグパターンが図3に示す模式図のように顕著になっている。この解決策として、特許文献1に記録方向に対する粒子の平均直径を微細化し、ジグザグパターンを低減する提案もなされている。ただし、記録方向と直交する方向においては、粒子直径の大小のサイズ分布があり、粒子ごとの反転磁界の分布が大きくなることが予想される。また、CoCrPt系材料では、相分離が複雑なCrの偏析により磁性粒子を形成しており、磁性粒子サイズに対して磁気的なクラスターサイズが比較的大きな場合があり、これは成膜初期の相分離の悪さに原因があると思われる。また、粒子形状も円形でなく、不定形のものが多数みられるのも特徴である。
【特許文献1】特開2003−338019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
柱状磁性粒子の形状が基本的に不定形であり、粒子サイズでジグザグパターンを減少させた場合には、個々の柱状磁性粒子体積のばらつきが存在しており、依然として反転磁界のばらつきとして残ることである。
【0004】
そこで、本発明は、容易に層分離可能な構造体の提供、そしてそれを用いて磁性粒子の粒子(柱状部分)のサイズを変えず、粒子(柱状部分)の間隔を変化させた構造体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、基板と、基体上に所定の位置に配置された粒子を含む下地層と、前記下地層の上に複数の柱状の部分を含む層とを備え、前記下地層と前記複数の柱状の部分を含む層との境界面と平行な面で、前記面に対して平行な所定の方向上に配置された柱状部分の平均間隔<Ra>と、前記方向と実質的に直交し、前記面に対して平行である方向上に配置された柱状部分の平均間隔<Rb>とが、<Ra>/<Rb>>1の関係式を満たす構造体を提供するものである。
【0006】
また、磁気記録媒体であって、基体と、基体上に所定の位置に配置された粒子を含む下地層と、前記下地層の上に複数の柱状の部分を含む記録層とを備え、前記下地層と前記記録層との境界面と平行な面で、前記面に対して平行な磁気記録方向上に配置された柱状部分の平均直径<Da>、平均間隔<Ra>と、前記方向と実質的に直交し、前記面に対して平行である方向上に配置された柱状部分の平均直径<Db>、平均間隔<Rb>とが、<Ra>/<Rb>が1より大きく、且つ<Da>/<Db>がほぼ1である関係式を満たす磁気記録媒体を提供するものである。
【0007】
さらに、基体と基体上に配置される下地層と柱状粒子を有するアルミニウム部分とそれを取り囲むように配置されるシリコン部分からなる相分離層からなる構造体の製造方法において、実質的に下地層の形成前にある方向に沿って凹凸を形成する工程、下地層を構成する柱状粒の形状を細長くし、その長軸方向を該ある方向にほぼ揃うように形成する工程、下地層の細長い柱状粒の長軸方向には相分離層のアルミニウム部分の複数個を密に配列させる工程を有する構造体の製造方法を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の構造体、及び垂直磁気記録媒体に関して図面を用いて詳細を説明する。
【0009】
図1は、本発明の構造体の層構成を示すものである。11は基体、12は下地層、13は相分離層である。ただし、下地層は1層に限らず複数の層で構成してもかまわない。また、基体11の表面には、テクスチャー処理により3nm以下の凹凸が、凸と凸の間隔において3nm以上10nm以下の周期である一方向に施されていることが好ましい。このとき、一方向とはテクスチャーの方向41やテクスチャー処理による溝42が図示されているような方向を指すものであり、図4の(A)のように一直線のみを示すのではなく、図4(B)のような半径を同じくする円周上や、図4の(C)のように中心から外周方向に向けて伸ばしたようなものでもかまわない。図4は、模式図で一部に図示しており、実質的には目的の場所すべてに施すことが好ましい。さらに、基体でなく下地層にテクスチャー処理を施してもかまわない。
【0010】
また、図2は、本発明の垂直磁気記録媒体の層構成を示すものである。11は基体、21は軟磁性層、12は下地層、22は記録層、23は保護層、24は潤滑層である。基体11の表面には、構造体と同様にテクスチャー処理を施すことが好ましく、この垂直磁気記録媒体においては下地層12にテクスチャー処理を施すことがより好ましい。さらに、テクスチャー処理を施こす下地層上に新たな下地層を形成することも好ましい。
【0011】
まず、下地層に利用する材料は、テクスチャー処理による凹凸に対して、結晶粒が溝に沿って細長くなる材料であれば何でも良く、好ましくはグレインを形成しやすい高融点材料を利用すると効果的である。特に、W,Ru,Ta,Mo,Nb,Cr,V,Hf,Zr,Tiから選択することが好ましい。また、これらの合金を利用することも好ましい。さらには、Wのようにスパッタリング成膜で容易に結晶粒が細長くなりやすい特徴を有している材料を利用することがより好ましい。このような高融点材料を用いる場合には、スパッタリング成膜におけるアルゴンガス圧を1Pa以上という圧力の高い領域で行う方が、結晶粒の分離を促進させるためには好ましい。
【0012】
さらに、相分離層にはアルミニウムとシリコンからなる構造体を利用する。この構造体の特徴を説明すると、アルミニウムとシリコンの組成がAl56Si44である混合ターゲットよりスパッタリング法を用いて相互の材料が基体上で十分相互拡散可能なアルゴンガス圧が0.1Pa程度にて成膜すると基体より垂直方向に立った円柱状アルミニウム部分55とそれを取り囲むようなシリコン部分56で構成される構造体を得る。これらの構造は、図5に示すようなものであり、柱状アルミニウム部分55が一様にシリコン部分56に分散した状態であることが判明している。本発明では、スパッタリング成膜でアルミニウムが基体表面で拡散中に核を形成する過程において、等方的に拡散するのではなく、テクスチャーの凹凸、また好ましくは下地層の細長い結晶粒71に沿って拡散範囲を制御することを可能にするものである。従って、柱状アルミニウムは、等方的にシリコンに分散するのではなく、テクスチャー処理の方向41、または下地層の細長い結晶粒71の長軸方向に拡散方向が限定され、その拡散可能な方向には柱状アルミニウムが蜜に、それとは垂直な拡散を制限できる方向においては柱状アルミニウムが疎になるような制御を可能にする。ここで、重要なのはテクスチャー処理のみでは、本発明が達成されるものではなく、下地層の細長い結晶粒71の効果が必要となることである。特に、図8に示すように下地層の細長い結晶粒71がランダムに配置される場合においても相分離層13の柱状アルミニウム部分55は下地層の細長い結晶粒71の長軸方向に蜜に配列することからも確認できる。従って、本発明は下地層の細長い結晶粒71の方向もそろえたものに限らず、下地層による制御という点では、図8の状態も十分に発明に値するものである。また、このアルミニウムとシリコンの特徴として、組成はAl56Si44に限定されるものではなく、アルミニウムの組成で30at%以上70at%以下の範囲ならば利用可能である。さらに、柱状アルミニウムの直径に関しては、スパッタリング中のアルゴンガス圧や成膜レートや供給パワーにも依存するが、3nm以上15nm以下で制御可能である。また、柱状アルミニウム間の間隔は、5nm以上20nm以下で制御可能である。ただし、本発明の基体のテクスチャー処理や図7(A)に示すような下地層の細長い結晶粒71による制御においては、テクスチャー処理後の凹凸のピッチや下地層の細長い結晶粒71の短軸方向の直径サイズ<Ua>72に依存したサイズとなる。そこで、アルミニウムのある方向の平均柱状粒子直径を<Da>51、平均柱状粒子間間隔を<Ra>52とし、ある方向に直交する方向の平均柱状粒子直径を<Db>53、平均柱状粒子間間隔を<Rb>54とする。また、下地層の結晶粒において上記相分離層における<Ra>を定義する方向に対する粒の平均粒子直径を<Ua>72、<Rb>を定義する方向に対する粒の平均粒子直径を<Ub>73とする。この場合、制御される相分離層の関係は、<Da>/<Db>がおよそ1または1以上であり、かつ<Ra>/<Rb>が1より大きいことが特徴であり、また<Ua>が3nm以上10nm以下であることが好ましく、<Ua>/<Ub>が0.5以上であることが特徴である。このとき、<Ua>/<Ub>が0.5においては、柱状アルミニウムは比較的等方的な分布に近づき、0.5よりも小さい場合(例えば0.3)には柱状アルミニウムは<Ra>/<Rb>が1より大きい関係を十分満たす状況に制御可能である。<Da>/<Db>が1以上にするには、相分離層のアルミニウムの組成を高くこと、相互拡散をより促進させることで達成することが好ましい。ただし、垂直磁気記録媒体への応用の観点においては、およそ1であることが好ましく。これは、磁性粒子体積を一定の範囲に保つためで、磁性粒子の反転磁界分布の広がりを抑制する効果を有する。
【0013】
ここで述べる方向は、すべて基板面内と平行に定義されるものであり、基板垂直方向等を向くものではない。また、ある方向とは基準を規定する目印が一般的には存在しないためであるが、テクスチャー処理が施されている場合と下地層の細長い結晶粒71の長軸方向が存在する場合には、テクスチャー処理の溝42や下地層の結晶粒の長軸方向に沿った方向と定義するものである。また、それに直交する方向とは基板面内と平行でありかつ直交しているということである。また、円周上にテクスチャーや結晶粒を配列した場合にも、各点において直交関係をみたしていればよい。
【0014】
本発明のAlSi構造体においては、柱状粒子であるアルミニウム部分55をアルカリ、または酸により容易に溶解することが可能である。シリコン部分56を溶解しない溶液で実施することが好ましく、アルカリでは代表的にアンモニア水、酸では代表的にリン酸などが挙げられる。これにより得られる構造体は、ナノホールを有するシリコン構造体となる。この構造は図6に示すものであり、ナノホール部分61は下地層まで貫通しており、下地層が導電性を有する場合には通電させ、電気メッキを施すことが可能である。このため、本発明においては3nm以上10nm以下のナノホール部分61に機能材料を充填することが可能である。特に、図9に示すように本発明の垂直磁気記録媒体においては、この充填材料の硬磁性体部分91としてコバルトや特に結晶磁気異方性の大きなCoPt、FePtの規則合金相を用いることが好ましい。
【0015】
また、垂直磁気記録媒体とする場合には、記録層のあとにダイヤモンドライクカーボンからなる保護層23、パーフルオロポリエーテル系の潤滑剤24を塗布することが好ましい。
【実施例1】
【0016】
本実施例は、本発明の構造体の形成に関するものである。
【0017】
まず、基板としてSi基板を準備し、ダイヤモンドスラリーが付着しているテープを基板に対して一方向にこすりつけることでテクスチャー処理を施こす。このときテクスチャーの凹凸の周期をおおよそ10nmにする。さらに、下地層としてタングステンをスパッタリング法によりRFパワー300W、アルゴンガス圧1Paとして50nm成膜すると、図7(A)のようにテクスチャーの溝方向に長く、短軸方向が10nm程度で長軸方向が40nm程度の結晶粒を形成することが可能である。最後に、Al56Si44のスパッタリングターゲットを用いて、RFパワー120W、アルゴンガス圧0.1Paとして10nm成膜すると図7(B)のように下地層のタングステン結晶粒の長軸方向にアルミニウムの柱状粒子が蜜に配列し、短軸方向にはやや間隔が空いた構造を形成することが可能である。
【0018】
このときは、図7におけるのテクスチャー方向に対する平均柱状粒子直径<Da>51、平均柱状粒子間間隔<Ra>52、さらにそれに直行する方向の平均柱状粒子直径<Db>53、平均柱状粒子間間隔<Rb>54において、<Da>と<Db>はほぼ同じ値8nmであり、<Ra>が<Rb>よりも大きいことが確認でき、およそ1.2である。このとき下地層の結晶粒の短軸方向に対応する平均直径の<Ua>72、長軸方向に対応する平均直径<Ub>73の関係は、<Ua>/<Ub>が0.25である。
【0019】
比較例として、テクスチャー処理の無い基板に対して下地層とAlSi相分離層13を形成した場合と直接テクスチャー付き基板にAlSi相分離層13を成膜したものの構造を観察する。そうすると、テクスチャー処理無しの場合には、タングステン下地層の細長い結晶粒の71方向が図8(A)のようにまばらであり、アルミニウムの柱状粒子はタングステン結晶粒の長軸方向に蜜に配列した様子が図8(B)において見受けられるが、平均的には一様に分布しており、平均柱状粒子直径、平均柱状粒子間間隔の双方にてあらゆる方向に対してほぼ同一の値を示すことが確認できる。これは、下地層の結晶粒の形状にも相分離層13の柱状アルミニウム部分55の分布が依存していることを示している。また、テクスチャー付き基板で下地層が無い場合には、上記の<Da>と<Db>はほぼ同じ値であり、<Ra>が<Rb>よりもやや大きいことが確認できる。
【0020】
つまり、テクスチャー処理があればアルミニウムの柱状粒子の間隔を一方向に蜜に配列する効果が幾分あり、テクスチャーの凹凸を下地層の結晶粒の形状に反映させることでさらにアルミニウムの柱状粒子の間隔を一方向に蜜に配列が可能であることが確認できる。
【実施例2】
【0021】
本実施例では、下地層の細長い結晶粒71のサイズによる違いに関する。
【0022】
実施例1では、<Ua>/<Ub>が0.25であるが、これを<Ua>/<Ub>が0.5である場合で実施すると<Da>と<Db>はほぼ同じ値7nmであり、<Ra>が<Rb>よりも大きいことが確認でき、およそ1.1である。ここから、下地層の細長い結晶粒の短軸と長軸方向の比の違いによって柱状アルミニウムの配列の状態も変化することが確認できる。
【実施例3】
【0023】
本実施例では、AlSi相分離層13の柱状アルミニウム部分55を除去することで形成される図6に示すようなナノホールを有するSi構造体に関する。
【0024】
実施例1と同様の構造体を準備し、これを2.8at%アンモニア水、と0.3mol/lリン酸水溶液にそれぞれ浸漬させる。アンモニア水は5分、リン酸では30分浸漬を行う。これにより、AlSi相分離層の柱状アルミニウム部分は、アルカリと酸にそれぞれ溶解し、空洞化する。結果として得られるものは、アルミニウム部分がエッチングにより除去され、図6に示すようにナノホールを有するシリコン構造体である。
【実施例4】
【0025】
本実施例では、実施例3で得られた構造体を用いて垂直磁気記録媒体の形成に関する。
【0026】
実施例1と実施例2の同様の成膜条件による構造体を2.5inchガラス基板を用いて準備し、実施例3のようにアンモニア水で5分エッチング行う。ただし、テクスチャー処理の方向は、図4(B)のように行う。続いて、FePtのメッキを行い2種類の膜のホールへ充填を行う。引き続き、水素中アニールを450度で行い、FePtを規則合金化させる。このようにして得られる試料を観察するとそれぞれの磁性粒子は、構造体のホール径に一致しており、実施例1、乃至2で示される直径がそれぞれ8nm、7nmで、かつ<Ua>/<Ub>がそれぞれ0.25、0.5のものが得られる。つまり、構造体におけるアルミニウム部分を硬磁性材料のFePtの規則合金に置き換え、形状や配向の制御により垂直磁気異方性をもたせることが可能である。こうして、図9に示すように構造体を用いた垂直磁気記録媒体の形成可能なことが確認できる。なお、これらの媒体に保護層としてダイヤモンドライクカーボンをプラズマCVD法にて3nm成膜したのち、潤滑剤の塗布を行うことで磁気ヘッドの浮上を可能させる。さらに、比較例として一般的なCoCrPt系媒体を準備し、磁気ヘッドにてビットパターンを書き込んだもののビット境界を磁気力顕微鏡にて観察すると、図12にある違いのようにビットを垂直に横切る方向のシグナルのプロファイルが比較例ではなだらかであるのに対し、本実施例で作製される媒体2種共に急峻なプロファイルであることが確認可能である。つまり、急峻であることはビット境界に起因するノイズの低減を示すものである。
【実施例5】
【0027】
本実施例は、磁気記録再生装置に関する。
【0028】
本発明の垂直磁気記録媒体を用いて、図10のような磁気記録媒体駆動部102と磁気ヘッド103と磁気ヘッド駆動部104と信号処理部105からなる装置に組み立てることで、磁気記録再生装置を形成することが可能である。また、本実施例により垂直磁気記録媒体101の駆動は回転のみ、磁気ヘッド103の駆動は円周上のスライドのみに限定されるものではない。
【実施例6】
【0029】
本実施例は、情報処理装置に関する。
【0030】
前記、実施例5に記載の磁気記録再生装置部112は、情報の出し入れが可能であるため、図11に示すように、前記装置とメモリ部分114と演算部113と外部入出力部116と電源115とこれらをつなぐ配線117を格納容器111に収めた情報処理装置を形成することが可能である。また、配線117は有線、無線の関係なく、情報のやり取りが可能であればその役割を果たすものである。
【0031】
以上説明したように本発明により得られる構造体、及びこれを利用した垂直磁気記録媒体において、磁気記録のビット境界が急峻に変化させることが可能であり、媒体ノイズを有効的に減少させるための手段を可能にするものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の構造体の断面構造を示す模式図。
【図2】本発明の垂直磁気記録媒体の断面構造を示す模式図。
【図3】従来の相分離構造に磁気記録した場合の記録ビット境界の模式図。
【図4】テクスチャー処理方向、または下地層の細長い結晶粒の長軸方向を示す模式図。
【図5】AlSi構造体の平面構造を示す模式図。
【図6】ナノホールを有するシリコン構造体の模式図。
【図7】(A)は下地層の細長い結晶粒の模式図、(B)は下地層に連続して成膜したAlSi構造体の模式図。
【図8】テクスチャーのない場合の(A)は下地層の細長い結晶粒の模式図、(B)は下地層に連続して成膜したAlSi構造体の模式図。
【図9】本発明の垂直磁気記録媒体の平面構造を示す模式図。
【図10】本発明の垂直磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装置の模式図。
【図11】本発明の磁気記録再生装置を組み込んだ情報処理装置の概念図。
【図12】ビット境界部分を磁気力顕微鏡により計測した場合のプロファイル。
【符号の説明】
【0033】
11 基体
12 下地層
13 相分離層
21 軟磁性層
22 記録層
23 保護層
24 潤滑層
41 テクスチャー処理の方向
42 テクスチャー処理による溝
51 テクスチャー処理による溝に平行な方向の平均粒子直径<Da>
52 テクスチャー処理による溝に平行な方向の平均粒子間間隔<Ra>
53 テクスチャー処理による溝に垂直な方向の平均粒子直径<Db>
54 テクスチャー処理による溝に垂直な方向の平均粒子間間隔<Rb>
55 柱状アルミニウム部分
56 シリコン部分
61 ナノホール部分
71 下地層の細長い結晶粒
72 細長い結晶粒の短軸方向の平均直径<Ua>
73 細長い結晶粒の長軸方向の平均直径<Ub>
91 硬磁性体部分
101 垂直磁気記録媒体
102 磁気記録媒体駆動部
103 磁気ヘッド
104 磁気ヘッド駆動部
105 信号処理部
111 格納容器
112 磁気記録再生装置部
113 演算部
114 メモリ部
115 電源
116 外部入出力部
117 配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
基体上に所定の位置に配置された粒子を含む下地層と、
前記下地層の上に複数の柱状の部分を含む層とを備え、
前記下地層と前記複数の柱状の部分を含む層との境界面と平行な面で、前記面に対して平行な所定の方向上に配置された柱状部分の平均間隔<Ra>と、前記方向と実質的に直交し、前記面に対して平行である方向上に配置された柱状部分の平均間隔<Rb>とが、<Ra>/<Rb>>1の関係式を満たすことを特徴とする構造体。
【請求項2】
平行な所定の方向上に配置された前記柱状部分の平均直径<Da>と、前記方向と実質的に直交し、前記面に対して平行である方向上に配置された前記柱状部分の平均直径<Db>とが、<Da>/<Db>が1又は1より大きいことを特徴とする請求項1記載の構造体。
【請求項3】
前記<Ra>を定義した方向に対する粒子の平均直径<Ua>と前記<Rb>を定義した方向に対する粒の平均直径<Ub>で、<Ua>が3nm以上10nm以下、<Ua>/<Ub>が0.5以下であることを特徴とする請求項1記載の構造体。
【請求項4】
前記柱状粒子の平均直径<Da>、<Db>は、それぞれ3nm以上10nm以下であることを特徴とする請求項1記載の構造体。
【請求項5】
前記下地層を形成する材料が凹凸を有し、かつ相分離層にて平均粒子間隔<Ra>を定義した方向と凹凸の凸、または凹の方向が一致することを特徴とする請求項1記載の構造体。
【請求項6】
磁気記録媒体であって、
基体と、
基体上に所定の位置に配置された粒子を含む下地層と、
前記下地層の上に複数の柱状の部分を含む記録層とを備え、
前記下地層と前記記録層との境界面と平行な面で、前記面に対して平行な磁気記録方向上に配置された柱状部分の平均直径<Da>、平均間隔<Ra>と、前記方向と実質的に直交し、前記面に対して平行である方向上に配置された柱状部分の平均直径<Db>、平均間隔<Rb>とが、<Ra>/<Rb>が1より大きく、且つ<Da>/<Db>がほぼ1である関係式を満たすことを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項7】
請求項6に記載の下地層にあって、実質的に下地層を形成する材料は粒状構造を有し、かつ相分離層にて<Ra>を定義する方向に対する粒の平均直径<Ua>と<Rb>を定義する方向に対する粒の平均直径<Ub>で、<Ua>が3nm以上10nm以下、<Ua>/<Ub>が0.5以下であることを特徴とする構造体。
【請求項8】
請求項6に記載の磁気記録媒体を組み込んだ磁気記録再生装置。
【請求項9】
請求項8に記載の磁気記録再生装置を組み込んだ情報処理装置。
【請求項10】
基体と基体上に配置される下地層と柱状粒子を有するアルミニウム部分とそれを取り囲むように配置されるシリコン部分からなる相分離層からなる構造体の製造方法において、実質的に下地層の形成前にある方向に沿って凹凸を形成する工程、下地層を構成する柱状粒の形状を細長くし、その長軸方向を該ある方向にほぼ揃うように形成する工程、下地層の細長い柱状粒の長軸方向には相分離層のアルミニウム部分の複数個を密に配列させる工程を有する構造体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−7436(P2006−7436A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−183666(P2004−183666)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】