説明

標準時刻と端末内時刻とのずれ情報の提供システム

【課題】 本発明は,そのようなずれ情報を用いて地震予知や,電磁波などの影響を把握できるシステムや,地震予知情報などを端末にフィードバックできるシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は,基本的には,これまで無視されていた“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報を有効活用することで,地震予知や,磁気分布などの情報を得ることができ,さらにそのような情報をフィードバックすることで,端末の所有者に地震予知情報などを提供できるというものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,標準時刻と端末内時刻とのずれ情報の提供システムなどに関する。より詳しく説明すると,本発明は,パーソナルコンピュータなどの時計のずれ情報を提供するとともに,そのずれ情報を集約して,地震予知や,地域における電磁波などの影響を分析できるシステムなどに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に,携帯電話,個人用情報端末(PDA),又はパーソナルコンピュータなどには時計が内蔵されている。それらの時計の精度は各端末により異なるので,一定期間ごとに標準時にあわせる作業が必要となる。従来は,この時刻合せの作業を,端末の所有者が自ら行っていた。しかし,そのような時刻調整の作業は煩雑であるので,現在では,標準時刻情報を受取って,自動的に標準時刻へ調整する端末が製造され,販売されている。
【0003】
たとえば,特開2002−286883号公報(下記特許文献1)には,“システム時計と,前記システム時計よりも高精度の基準時計と,外部から供給される基準信号に応じて前記システム時計及び前記基準時計を補正する第1の補正ユニットと,前記基準時計に基づいて前記システム時計を補正する第2の補正ユニットと,を具備する電子機器”が開示されている。
【0004】
しかしながら,このような時刻補正機能を有する電子機器は,単に内蔵時計の時刻を定期的に標準時刻に補正するのみである。標準時刻と端末内時刻とのずれに関する情報をフィードバックするものではない。しかしながら,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”は電磁波の影響などにより生ずるものであるから,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”に関する情報は貴重なものであるといえる。
【0005】
特開2003−215259号公報(下記特許文献2)には,磁気マップを作成して地震予知を行う方法が開示されている。この技術は,磁気センサを搭載した携帯端末を情報源として,各地の地磁気情報を収集して,その情報を基に地震予知を行って,さらにその地震予知情報を携帯端末へ配信する地震予知・広報システムである。
【0006】
しかしながら,このシステムでは,全ての端末に磁気センサを搭載しなければならないという問題がある。
【0007】
地震の前には地殻の微小破壊に伴ったパルス電磁波が発生すると考えられている(下記非特許文献1〜3を参照)。このとき発生する電磁波は,ちょうど火花放電によって発生する電磁波と同じように,広範囲の周波数を含む電磁波であると考えられている。電磁波は,電場と磁場が結びついて進む波として表現されるが,一般に電場と磁場を同時に計測することはできない。そこで,電場と磁場のどちらか一方あるいは両方を別々に計測することにより電磁波に関する知見を得ることができる。そのような測定を行うためには,電界強度計と磁界強度計を用いることが一般に行われている。したがって,地震を予測するために電磁波を測定するのであれば,広範囲にわたり複数の電界プローブ及び磁界プローブを設置して広範囲の周波数帯を連続して観測すればよい。しかしながら,多数の電界プローブや磁界プローブを設置して,それらからの情報を集約するには,大掛かりなシステムが必要となり,巨額の費用がかかることとなる。
【特許文献1】特開2002−286883号公報
【特許文献2】特開2003−215259号公報
【非特許文献1】池谷 元伺「地震の前、なぜ動物は騒ぐのか」日本放送出版協会、1998
【非特許文献2】池谷 元伺「大地震の前兆 こんな現象が危ない」青春出版社、(改訂版)、2005
【非特許文献3】MotojiIkeya, "Earthquakes and Animals: From Folk Legends to Science" (WorldScientific Pub Co Inc, 2004)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は,標準時刻と端末内時刻とのずれ情報を容易かつ簡便に提供できるシステムを提供することを目的とする。
【0009】
本発明はまた,そのようなずれ情報を用いて地震予知や,電磁波などの影響を把握できるシステムや,地震予知情報などを端末にフィードバックできるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は,基本的には,これまで無視されていた“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報を有効活用することで,地震予知や,磁気分布などの情報を得ることができ,さらにそのような情報をフィードバックすることで,端末の所有者に地震予知情報などを提供できるという知見に基づくものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば,パーソナルコンピュータなどに標準装備できるので,標準時刻と端末内時刻とのずれ情報を容易かつ簡便に提供できるシステムを提供できる。
【0012】
本発明によれば,そのようなずれ情報を用いて地震予知や,電磁波などの影響を把握できるシステムを提供でき,さらには地震予知情報などを端末にフィードバックできるシステムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報の提供システム]
以下,本発明の第一の側面に係る“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報の提供システムについて説明する。この“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報の提供システムは,端末に内蔵されるものであってもよいし,端末に接続できるものであってもよい。端末に接続できるシステムとして,USB端子により端末と接続可能とされるものや,カートリッジとして端末に差し込みできるものがあげられる。
【0014】
“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報の提供システムは,具体的には,端末内時刻情報を得るための端末内時刻取得手段と;前記端末内時刻取得手段が取得した端末内時刻情報を一時的に記憶するための端末内時刻記憶手段と;標準時刻情報を取得するための標準時刻取得手段と;前記標準時刻取得手段が取得した標準時刻情報を一時的に記憶するための標準時刻記憶手段と;前記端末内時刻記憶手段が記憶する端末内時刻情報と,前記標準時刻記憶手段が記憶する標準時刻情報とを用いて,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”を求めるための時刻ずれ算出手段と;前記時刻ずれ算出手段が算出した“標準時刻と端末内時刻とのずれ”に関する情報を出力するための出力手段と;を具備する,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報の提供システムがあげられる。
【0015】
そして,基本的には,端末内時刻取得手段が端末内時刻情報を得る工程と;端末内時刻記憶手段が前記端末内時刻取得手段が取得した端末内時刻情報を一時的に記憶する工程と;標準時刻取得手段が標準時刻情報を取得する工程と;標準時刻記憶手段が前記標準時刻取得手段が取得した標準時刻情報を一時的に記憶する工程と;時刻ずれ算出手段が前記端末内時刻記憶手段が記憶する端末内時刻情報と,前記標準時刻記憶手段が記憶する標準時刻情報とを用いて,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”を求める工程と;出力手段が前記時刻ずれ算出手段が算出した“標準時刻と端末内時刻とのずれ”に関する情報を出力する工程と;を含む工程により“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報の提供する。以下,本発明の“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報の提供システムに関する各要素について説明する。
【0016】
[端末内時刻取得手段]
端末内時刻取得手段は,端末内時刻情報を得ることができるものであれば特に限定されない。端末内時刻取得手段として,通常端末には端末内時計が内蔵されているので,その内蔵される時計から時刻情報を読み出して,出力するものがあげられる。この端末内時刻取得手段は,ハードウェアにより実装されてもよいし,ハードウェアとソフトウェアにより実装されてもよい。そのようなソフトウェアとして,コンピュータを,コンピュータに内蔵される時計部から時刻情報を取得する手段と,取得した時刻情報をメモリなどに記憶させるための手段として機能させるものがあげられる。
【0017】
端末内時刻情報を得るための端末内時刻取得手段における“端末”は,携帯電話,個人用情報端末(PDA),コンピュータ(パーソナルコンピュータ又はサーバなど)など時計機能を内蔵する情報端末があげられる。端末として好ましいものは,インターネットに接続できるコンピュータである。
【0018】
端末内時刻情報を得るための端末内時刻取得手段における端末内時刻情報は通常,CRT(ブラウン管),液晶,プラズマパネルディスプレイ,有機ELなどの出力装置から出力される。
【0019】
端末内時刻情報を得るための端末内時刻取得手段における“端末内時刻”は,たとえば,端末がパーソナルコンピュータであればディスプレイ上のバーの端部などに表示される時刻があげられ,端末が携帯電話であれば待ち受け画面などにおいて表示される時刻があげられる。
【0020】
[端末内時刻記憶手段]
端末内時刻記憶手段は,端末内時刻取得手段が取得した端末内時刻情報を一時的に記憶するための手段である。端末内時刻記憶手段は,情報を一時的に記憶できるものであれば特に限定されず公知のメモリなどを適宜用いることができる。具体的な端末内時刻記憶手段として,DRAMなどのRAM,ハードディスクなどがあげられる。
【0021】
[標準時刻取得手段]
標準時刻取得手段は,標準時刻情報を取得することができる手段であれば特に限定されず公知の標準時刻取得手段を用いることができる。“標準時刻情報”として“インターネットを経由して送信される標準時刻情報”又は
“電波として送信される標準時刻情報”があげられる。
【0022】
“標準時刻情報”が“インターネットを経由して送信される標準時刻情報”である場合,標準時刻取得手段として,コンピュータの入力装置などがあげられる。また,“標準時刻情報”が
“電波として送信される標準時刻情報”である場合,標準時刻取得手段として,アンテナなどの受信器があげられる。アンテナから受信された標準時刻情報は,適宜電子状態の情報に変換され,システム内に伝えられる。
【0023】
[標準時刻記憶手段]
標準時刻記憶手段は,標準時刻取得手段が取得した標準時刻情報を一時的に記憶するための手段である。標準時刻記憶手段は,情報を一時的に記憶できるものであれば特に限定されず公知のメモリなどを適宜用いることができる。具体的な標準時刻記憶手段として,DRAMなどのRAM,ハードディスクなどがあげられる。
【0024】
[時刻ずれ算出手段]
時刻ずれ算出手段は,端末内時刻記憶手段が記憶する端末内時刻情報と,前記標準時刻記憶手段が記憶する標準時刻情報とを用いて,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”を求めるための手段である。時刻ずれ算出手段は,加算器,乗算器,減算器,除算器,メモリなどのハードウェアにより実装されてもよいし,ハードウェアとソフトウェアにより実装されてもよい。そのようなソフトウェアとして,コンピュータを,端末内時刻記憶手段が記憶する端末内時刻情報と,前記標準時刻記憶手段が記憶する標準時刻情報とを読み出す手段と,前記端末内時刻情報と前記標準時刻情報とをメモリに一時的に記憶させる手段と,前記メモリに記憶された端末内時刻情報と標準時刻情報とを用いて,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”を求める手段として機能させるものがあげられる。
【0025】
[出力手段]
出力手段は,情報を出力できる公知のものがあげられる。出力手段は,前記時刻ずれ算出手段が算出した“標準時刻と端末内時刻とのずれ”に関する情報を出力するため手段である。具体的な出力手段として,インターネットなどに情報を出力するコンピュータの出力装置,出力情報をさらに処理するためにシステムのほかの装置へ情報を出力する装置,モニタやディスプレイなどの出力装置,無線情報を送信するためのアンテナなどがあげられる。
【0026】
なお,出力手段の好ましい態様は,前記時刻ずれ算出手段が算出した“標準時刻と端末内時刻とのずれ”に関する情報に,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”に関する情報を受取るコンピュータ(サーバ)のアドレス情報,及び“端末に関する情報”を付加した情報を含む情報を出力するものである。このような出力手段を用いることで,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”に関する情報を所定のサーバに送信することができ,しかもその情報を提供した“端末に関する情報”をも送信できるので,情報を受信したコンピュータが様々な分析を行うことができる。また,“端末に関する情報”に,電子メールアドレスなどが含まれている場合,サーバが判断した情報を,情報提供者へフィードバックすることができることとなる。
【0027】
“端末に関する情報”として,端末の種類に関する情報,端末の電子メールアドレスに関する情報,端末の位置に関する情報,端末の整理番号に関する情報,端末の所有者に関する情報などのいずれか1つ以上があげられる。
【0028】
“出力手段”の別の態様として,前記時刻ずれ算出手段が算出した“標準時刻と端末内時刻とのずれ”に関する情報を含む情報を所定の周波数を有する無線信号に変換して無線信号として出力するものがあげられる。このような出力手段を有するシステムであれば,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”に関する情報などを無線信号に変換しアンテナなどにより出力できるので,適宜ずれ情報を提供できることとなる。より好ましい“出力手段”は,前記時刻ずれ算出手段が算出した“標準時刻と端末内時刻とのずれ”に関する情報に,前記端末の位置に関する情報を付加した情報を含む情報を所定の周波数を有する無線信号に変換して無線信号として出力するものである。
【0029】
[システムの好ましい態様]
本発明の“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報の提供システムの好ましい態様は,前記時刻ずれ算出手段が算出した“標準時刻と端末内時刻とのずれ”が,所定の範囲かどうか判断する判断手段を具備し,前記判断手段が“標準時刻と端末内時刻とのずれ”が所定の範囲外であると判断した場合は,地震が起こる可能性がある旨の情報を出力するものである。
【0030】
判断手段はハードウェアのみにより実装されてもよいし,ハードウェアとソフトウェアにより実装されてもよい。判断手段はハードウェアのみにより実装する場合,たとえば,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”時間に応じて地震が発生する可能性をたとえば段階的にテーブルなどの記憶装置に格納しておき,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”が算出された場合,その“標準時刻と端末内時刻とのずれ”を一時的に記憶し,比較回路により前記テーブルのずれ時間に属するかどうかを連続的に判断するものがあげられる。
【0031】
判断手段をハードウェアとソフトウェアにより実装するためには,たとえば,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”時間に応じて地震が発生する可能性をたとえば段階的にテーブルなどの記憶装置に格納しておき,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”が算出された場合にCPUはメインメモリに格納される制御プログラムを読み出して,制御プログラムの指令に従ってCPUは,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報をメモリに一時的に記憶し,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報を読み出して,前記テーブルのどのランクに位置するか判断するものがあげられる。
【0032】
[“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報の提供システムの動作例]
以下,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報の提供システムの動作例を説明する。図1は,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報の提供システムの動作例を示すフローチャートである。なお,Sはステップを意味する。インターネットを経由して標準時刻情報が送信され,コンピュータの入力装置から入力される(S101)。コンピュータの入力装置から標準時刻情報が入力されたとの情報を受取ったCPUは,メインメモリに格納される制御プログラムを読み出して所定の制御・演算を行う。コンピュータの入力装置から入力された標準時刻情報は,適宜変換処理が行われた後,CPUの制御のもと,バスを介してメモリに伝えられる。標準時刻情報を受取ったメモリは,標準時刻情報を一時的に記憶する(S102)。
【0033】
一方,コンピュータの入力装置から標準時刻情報が入力されたとの情報を受取ったCPUは,メインメモリに格納される制御プログラムを読み出して所定の制御・演算を行う。たとえば,CPUは,コンピュータに内蔵される時計から時刻情報を読み出し,バスを介してメモリに伝える。端末内時刻情報を受取ったメモリは,端末内時刻情報を一時的に記憶する(S103)。なお,S102とS103とは同時平行して進行することが好ましい。
【0034】
次に,CPUは,メモリに格納された端末内時刻情報と標準時刻情報とを読み出して,その差を求める演算を行う。これにより“標準時刻と端末内時刻とのずれ”が求められる。そして,求められた“標準時刻と端末内時刻とのずれ”に関する情報は,CPUの制御のもとバスなどを介してメモリに伝えられ一時的に記憶される(S104)。
【0035】
次に,CPUは,メモリに格納された“標準時刻と端末内時刻とのずれ”に関する情報を読み出すとともに,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”時間に応じて地震が発生する可能性情報が格納されるテーブルから所定の時間情報を順次読み出して,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”がどのランクに位置するか順次判断して,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”が属するランクに関する情報を出力する(S105)。
【0036】
次に,CPUは,このランクと関連して記憶される表示情報を読み出して,地震予知情報などとしてモニタに出力する。たとえば,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”時間が,“地震が起こる可能性大”に分類されるものである場合は,それに関連して格納される表示情報,たとえば,所定のキャラクタとともに“地震可能性大,避難の準備を!”といった表示がディスプレイに表示される。
【0037】
なお,CPUは,メモリに格納された“標準時刻と端末内時刻とのずれ”に関する情報を読み出し,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”に関する情報に端末に関する情報を付加したうえで,所定のサーバに向けて電子メールなどを送信するなどして,情報を出力してもよい(S105’)。
【0038】
このようにして,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”に関する情報が出力されることとなる。
【0039】
[“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報の提供システムの実装例−1−]
図2は,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報の提供システムの実装例を示すブロック図である。図2に示されるように, 本実施形態に係るシステムは,コンピュータシステム10であり,CPU11,メモリ12,I/O(インプットアウトプット)13,グラフィクスデバイス14及びディスプレイ15を具備する。そして,CPU11,メモリ12,I/O13,グラフィクスデバイス14,及びディスプレイ15は,バス16に接続され,相互にデータ転送を行うことができるようにされている。そして,メモリ12は,作業領域や一時的に情報を記憶するメモリとして機能するとともにメインメモリを有する記憶部として機能する。そして,メインメモリには,コンピュータを“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報の提供システムとして機能させるためのプログラムが格納されているので,所定の演算処理が行われる。また,I/Oを介して外部から所定の演算情報がコンピュータ内に入力されることで,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報の提供システムとして機能してもよい。
【0040】
[“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報の提供システムの実装例−2−]
図3は,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報の提供システムの実装例を示すブロック図である。図3に示されるように,この携帯電話は,制御部21と,制御部21のためのプログラムや画像データなどが格納され,制御部や通信部などのワーク領域となるメモリ部22と,無線通信を行うための無線通信機能部23と,静止画や動画を撮影してデジタル信号に変換するCCDカメラなどの任意要素である撮像部24と,画像や文字を表示するためのLCDなどの表示部25と,テンキーや各種機能キーなどを含む操作部26と,音声通話のためのマイクなどの音声入力部27と,レシーバやスピーカなど音を出力するための音声出力部28と,当該携帯電話端末を動作させるための電池29と,電池29を安定化し各機能部へ分配する電源部30を含む。
【0041】
制御部21は,携帯電話システム全体の制御,システム内の各ブロックへの命令の指示,ゲーム処理,画像処理,音処理などの各種の処理を行うものである。制御部21の機能は,各種プロセッサ(CPU,DSP等),又はASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや,所与のプログラム(ゲームプログラム)により実現できる。
【0042】
本発明の携帯電話は,たとえば,メモリ部に格納されるプログラムに,上記したプログラムを具備するので,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報の提供システムとして機能する。
【0043】
[携帯電話機の動作例]
まず,音声による通信動作について説明する。例えば音声入力部27に入力された音声は,インターフェイスによりデジタル情報に変換され,制御部21によって,所定の処理が施され,無線通信機能部23から無線信号として出力される。また,相手の音情報を受信する場合は,無線通信機能部23が無線信号を受信し,所定の変換処理が施された後,制御部21の制御を受けて,音声出力部28から出力される。
【0044】
この携帯電話が“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報の提供システムとして機能する際の動作は,先に説明したと同様であるから,繰返しを避けるため,ここでは上記の記載を引用することとする。
【0045】
[“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報を提供するためのプログラム]
本発明の“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報を提供するためのプログラムは,たとえば,コンピュータを,端末内時刻情報を得るための端末内時刻取得手段と;前記端末内時刻取得手段が取得した端末内時刻情報を一時的に記憶するための端末内時刻記憶手段と;標準時刻情報を取得するための標準時刻取得手段と;前記標準時刻取得手段が取得した標準時刻情報を一時的に記憶するための標準時刻記憶手段と;前記端末内時刻記憶手段が記憶する端末内時刻情報と,前記標準時刻記憶手段が記憶する標準時刻情報とを用いて,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”を求めるための時刻ずれ算出手段と;前記時刻ずれ算出手段が算出した“標準時刻と端末内時刻とのずれ”に関する情報を出力するための出力手段と;して機能させるためのプログラムがあげられる。それぞれの手段の説明は上記したとおりである。
【0046】
本発明の“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報を提供するためのプログラムの好ましい別の態様は,コンピュータを,端末内時刻情報を得るための端末内時刻取得手段と;前記端末内時刻取得手段が取得した端末内時刻情報を一時的に記憶するための端末内時刻記憶手段と;標準時刻情報を取得するための標準時刻取得手段と;前記標準時刻取得手段が取得した標準時刻情報を一時的に記憶するための標準時刻記憶手段と;前記端末内時刻記憶手段が記憶する端末内時刻情報と,前記標準時刻記憶手段が記憶する標準時刻情報とを用いて,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”を求めるための時刻ずれ算出手段と;前記時刻ずれ算出手段が算出した“標準時刻と端末内時刻とのずれ”に関する情報を出力するための出力手段と;前記時刻ずれ算出手段が算出した“標準時刻と端末内時刻とのずれ”が,所定の範囲かどうか判断する判断手段と前記判断手段が“標準時刻と端末内時刻とのずれ”が所定の範囲外であると判断した場合は,地震が起こる可能性がある旨の情報を出力する手段とを含むように機能させるものがあげられる。
【0047】
[“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報を提供するための情報記憶媒体]
本発明は,上記のプログラムを格納した,コンピュータにより読み取ることができる記録媒体をも提供できる。このような記録媒体としては,CD−ROM,DVD,ハードディスク,カードリッジ,USB端子などでコンピュータに接続可能なメモリ,又はコンピュータ内のメモリなどがあげられる。そして,コンピュータの入力部に所定の情報が入力さると,制御部の指令を受けてプログラムが読み取され,制御部の指令を受けた演算部が,読み出されたプログラムを用いて,入力されたデータや,記憶部に記憶されるデータなどを読み出し,例えば記憶部のメモリを作業領域として利用し,所定の演算を行う。演算結果は,例えばメモリに一時的に記憶された後,出力部から出力される。これらのデータは,例えばバスを通じて,伝達されればよい。このようにして,ハードウェア資源とプログラムとが協働した処理が行われる。
【0048】
[“標準時刻と端末内時刻とのずれ”状況の取得システム]
以下,本発明の第二の側面に係る“標準時刻と端末内時刻とのずれ”状況の取得システムについて説明する。この“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報の提供システムは,たとえば,インターネットに接続されたサーバや,所定の周波数帯域の電波などを受信できる局における受信処理システムとして構成される。この“標準時刻と端末内時刻とのずれ”状況の取得システムは,具体的には上記において説明したコンピュータシステムなどによって実装される。たとえば,図2に示されるように, コンピュータシステム10は,CPU11,メモリ12,I/O13,グラフィクスデバイス14及びディスプレイ15を具備する。そして,CPU11,メモリ12,I/O13,グラフィクスデバイス14,及びディスプレイ15は,バス16に接続され,相互にデータ転送を行うことができるようにされている。そして,メモリ12は,作業領域や一時的に情報を記憶するメモリととも,メインメモリを有する記憶部として機能する。そして,メインメモリには,コンピュータを“標準時刻と端末内時刻とのずれ”状況の取得システムとして機能させるためのプログラムが格納されているので,所定の演算処理が行われる。また,I/Oを介して外部から所定の演算情報がコンピュータ内に入力されることで,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”状況の取得システムとして機能してもよい。
【0049】
“標準時刻と端末内時刻とのずれ”状況の取得システムとして,具体的には,複数の“標準時刻と端末内時刻とのずれ情報の提供システム”から,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報を受信するための“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報受信手段と;前記“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報受信手段が受信した“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報から,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報を抽出すると共に,前記端末の位置情報を算出する“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報抽出手段と;前記“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報抽出手段が抽出した“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報と,前記端末の位置情報を基に,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”の分布を求めるずれ状況取得手段と;を具備する,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”状況の取得システムがあげられる。
【0050】
“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報受信手段が,複数の“標準時刻と端末内時刻とのずれ情報の提供システム”から,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報を受信し;“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報抽出手段が,前記受信手段が受信した“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報から,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”に関する情報を抽出すると共に,前記端末の位置情報を算出し;ずれ状況取得手段が情報抽出手段が抽出した“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報と,前記端末の位置情報とを基に,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”の分布を求める。以下,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”状況の取得システムの各要素について説明する。
【0051】
複数の“標準時刻と端末内時刻とのずれ情報の提供システム”における“標準時刻と端末内時刻とのずれ情報の提供システム”として,本明細書においてこれまで説明したいずれかの“標準時刻と端末内時刻とのずれ情報の提供システム”があげられる。
【0052】
[“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報受信手段]
“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報受信手段は,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報を受信することができるものであれば特に限定されず,公知の受信装置を適宜用いることができる。“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報がインターネットを介して転送される場合は,コンピュータなどの入力装置が“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報受信手段として機能する。一方,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報が,無線信号として送信される場合は,アンテナやアンテナと変換装置などが“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報受信手段として機能する。
【0053】
[“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報抽出手段]
“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報抽出手段は,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報受信手段が受信した“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報から,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報を抽出すると共に,前記端末の位置情報を算出することができるものであれば特に限定されない。なお,端末の位置情報を求めず,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報のみを抽出するものであってもよい。この場合は,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報に基づいて,地震予知などの演算処理を行った後,その演算結果を,情報を提供してきた端末にフィードバックすればよい。
【0054】
たとえば,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報には,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”に関する情報以外に,送信者のメールアドレス情報,情報を送信した端末に関する情報などが含まれているので,それらの情報に関して情報提供者の位置情報を格納しておき,得られた情報を基に位置情報を引き出して分析するようにしてもよい。
【0055】
[ずれ状況取得手段]
ずれ状況取得手段は,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報抽出手段が抽出した“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報と,前記端末の位置情報を基に,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”の分布を求めるための手段である。具体的には,前記端末の位置情報は,地図情報とリンクされており,前記端末の標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報に関連する情報が地図上に表示されるようにされているものがあげられる。
【0056】
[“標準時刻と端末内時刻とのずれ”状況の取得システムの好ましい態様−1−]
“標準時刻と端末内時刻とのずれ”状況の取得システムの好ましい態様は,前記“標準時刻と端末内時刻とのずれ”状況の取得システムが求めた“標準時刻と端末内時刻とのずれ”が,所定の範囲かどうか判断する判断手段を具備し,前記判断手段が“標準時刻と端末内時刻とのずれ”が所定の範囲外であると判断した場合は,地震が起こる可能性がある旨の情報を出力する,上記のシステムである。
【0057】
[“標準時刻と端末内時刻とのずれ”状況の取得システムの好ましい態様−2−]
“標準時刻と端末内時刻とのずれ”状況の取得システムの好ましい態様は,前記“標準時刻と端末内時刻とのずれ”状況の取得システムが求めた“標準時刻と端末内時刻とのずれ”が,所定の範囲かどうか判断する判断手段と,前記判断手段が“標準時刻と端末内時刻とのずれ”が所定の範囲外であると判断した箇所を計測する計測手段と,前記計測手段が計測した“標準時刻と端末内時刻とのずれ”が所定の範囲外である箇所が一定以上の密度かどうか判断するずれ密度判断手段とを具備し,前記ずれ密度判断手段が判断した“標準時刻と端末内時刻とのずれ”が所定の範囲外である箇所が一定以上の密度である場合は,地震が起こる可能性がある旨の情報を出力する,上記のシステムである。
【0058】
[“標準時刻と端末内時刻とのずれ”状況の取得システムの好ましい態様−3−]
“標準時刻と端末内時刻とのずれ”状況の取得システムの好ましい態様は,前記“標準時刻と端末内時刻とのずれ”状況の取得システムが求めた“標準時刻と端末内時刻とのずれ”が,所定の範囲かどうか判断する判断手段を具備し,前記判断手段が“標準時刻と端末内時刻とのずれ”が所定の範囲外であると判断した場合は,地震が起こる可能性がある旨の情報を,前記“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報を提供した端末へ出力する,上記のシステムである。
【0059】
なお,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”状況の取得システムを用いて作成した地震状況の分布例を図4に示す。図4において,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”が所定時間以上だった位置には,丸を置いたので,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”が所定時間以上とされる端末が多い領域を把握することができる。この時間のずれは,電磁波によるものと考えられるので,丸の多い領域は,近いうちに地震が起きる可能性が高いといえる。
【0060】
本明細書は,コンピュータを,複数の“標準時刻と端末内時刻とのずれ情報の提供システム”から,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報を受信するための“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報受信手段と;前記“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報受信手段が受信した“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報から,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報を抽出すると共に,前記端末の位置情報を算出する“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報抽出手段と;前記“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報抽出手段が抽出した“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報と,前記端末の位置情報を基に,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”の分布を求めるずれ状況取得手段として機能させるプログラムをも提供する。また,本明細書は,コンピュータを上記した“標準時刻と端末内時刻とのずれ”状況の取得システムの好ましい態様として機能させるためのプログラムをも提供する。
【0061】
[“電磁波関連外乱”情報の提供システム]
次に,本発明の“電磁波関連外乱”情報の提供システムについて説明する。“電磁波関連外乱”情報の提供システムは,基本的には,電波のずれ,水銀計における水銀の位置変化,放射線蛍光強度変化,又は電子機器の誤作動のうちいずれかである電磁波関連外乱情報を取得するための電磁波関連外乱取得手段と;前記電磁波関連外乱取得手段が取得した電磁波関連外乱情報を一時的に記憶するための電磁波関連外乱記憶手段と;前記電磁波関連外乱記憶手段が記憶した電磁波関連外乱に関する情報を出力するための出力手段と;を具備する“電磁波関連外乱”情報の提供システムである。そして,それらの基本的構成及び動作は,先に説明した “標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報の提供システムの基本構成及び動作と基本的には同様であるので,適宜読み替えて準用することとする。なお,出力手段が出力する“電磁波関連外乱”情報には,その情報を出力する端末の位置や機種番号,ユーザなどに関する情報が含まれていても良い。
【0062】
電磁波関連外乱取得手段は,電波のずれ情報取得手段,水銀計における水銀の位置変化情報取得手段,放射線蛍光強度変化情報取得手段,又は電子機器の誤作動情報取得手段など電磁波に関連してもたらされる乱れ情報を取得する手段である。すなわち,電磁波関連外乱とは,たとえば地震などの際に発生する電磁波に関連してもたらされる乱れを意味する。
【0063】
電波のずれ情報取得手段は,電波のずれに関する情報を取得できるものであれば特に限定されず,例えば,パソコン,テレビ,ラジオ,無線送受信装置,携帯電話,PDA,無線LANケーブル,およびこれらの電波の送受信基地局などにおいて通常送信又は受信する電波の周波数(強度,時間又は位相)と実際に送信又は受信した電波の周波数の差を測定し,その電波のずれに関する情報を得るものがあげられる。電磁波は,電波という側面を有しているので,電波を送受信するものはすべて地震電磁波を,たとえばノイズとして検出できる可能性がある。本発明では,そのようにたとえばノイズとして検出され,通常は補正されて捨てられる,通常の電波周波数と実際の電波周波数との差を電磁波関連外乱情報として利用するものである。なお,これらの差が電磁波によってもたらされたものでなくても,そのような差を提供することは,価値のある分析を行うことができるので有用である。地震に由来する電磁波ノイズを検出するためには,電波のずれ情報を少なくとも1秒以上(例えば,10時間以下)連続して提供することが好ましい。
【0064】
水銀計における水銀の位置変化情報取得手段は,体温計などの水銀計における水銀の位置が変化する情報を取得するための手段である。この位置変化は,気温など水銀計の置かれる環境温度の変化によりもたらされるものではなく,電磁波などによりもたらされるものである。たとえば,体温計の水銀は最高温度に達すると止まる。しかし,阪神大震災の数日前に体温計を使用した人の証言によると,最高温度に達した水銀がすぐに自然に下がりだしたとのことである。後の実験によって,電磁波がこの現象に関係することはわかっている(上記非特許文献1〜3参照)。たとえば,水銀温度計と(好ましくは水銀温度計の温度を一定範囲に維持するための温度制御機構と),水銀の動きを検出するセンサとを内蔵する装置を用いて,センサにより水銀の位置変化を観測することにより水銀の位置変化に関する情報を得ることができる。そして,そのような装置は,パソコンなどの端末に内蔵されるかUSB端子などにより接続可能とされているので,得られた水銀の位置変化情報は,パソコンなどにより送信されることとなる。
【0065】
放射線蛍光強度変化情報取得手段は,放射線の強度又は蛍光強度が変化する情報を取得するための手段である。関東大震災の前に,時計の文字盤に使われていたラジウム蛍光塗料が光らなくなった。その後の実験によって,この現象は,電磁波によりもたらされたものであることが解明された(上記非特許文献1〜3を参照)。すなわち,蛍光灯などの蛍光強度や,ブラウン管などの放射線の強度,モニタなどの放射線強度を測定するセンサ(例えば光検出器)を用いれば,それらの情報を得ることができることとなる。より具体的には,モニタの輝度を測定するセンサをパソコンに内蔵させ,そのようなセンサが測定したモニタの輝度情報により放射線強度の変化を得ることができる。そして,そのようなパソコンを用いれば,センサが測定した輝度の変化情報を,提供できることとなる。なお,パソコンの輝度は通常適宜調整できるが,そのような意図的な輝度調整をすることなく,輝度が変化した場合,それは何らかの外乱(たとえば,地震によりもたらされる電磁波)に由来するものと考えられるので,輝度の経時変化を測定することは,地震予知などにつながることとなる。
【0066】
電子機器の誤作動情報取得手段は,電子機器の誤作動情報を取得するための手段である。
ICチップを使用した電子機器が電磁波によって誤動作することは良く知られている。ICチップは炊飯器から飛行機にまで搭載されているので,それらすべてのものが地震電磁波をノイズとして検出できる可能性がある。たとえば,パソコンも多数のICチップを有しているので,誤動作(ハングアップ、フリーズ)やその回数を記録して,位置情報と共に提供することにより,有用な情報を提供できることとなる。より具体的には,そのような誤動作情報を収集・分析することにより地震予知を行うことができる。
【0067】
[“電磁波関連外乱”状況の取得システム]
本発明の“電磁波関連外乱”状況の取得システムは,“電磁波関連外乱”情報の提供システムから出力される“電磁波関連外乱”情報を受信するための情報受信手段と;前記情報受信手段が受信した“電磁波関連外乱”情報から,“電磁波関連外乱”情報を抽出すると共に,前記端末の位置情報を算出する“電磁波関連外乱”情報抽出手段と;前記“電磁波関連外乱”情報抽出手段が抽出した“電磁波関連外乱”情報と,前記端末の位置情報を基に,“電磁波関連外乱”の分布を求めるずれ状況取得手段と;を具備する“電磁波関連外乱”状況の取得システムである。このシステムの基本構成及び基本動作は,先に説明した“標準時刻と端末内時刻とのずれ”状況の取得システムの構成及び動作と基本的には同様であるので,適宜読み替えて準用することとする。なお,このような電磁波関連外乱状況を把握すれば,たとえば図4に示された時間のずれと同様に,地震予知などさまざまな情報を得ることができるので,このシステムは,好ましくは,地震予知システムとして利用されうる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報の提供システムは,携帯電話,個人用情報端末(PDA),パーソナルコンピュータ,サーバなどに組み込むことができ,又はそれらに用いられるプログラムやカードリッジなどとして利用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】図1は,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報の提供システムの動作例を示すフローチャートである。
【図2】図2は,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報の提供システムの実装例を示すブロック図である。
【図3】図3は,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報の提供システムの実装例を示すブロック図である。
【図4】図4は,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”状況の取得システムを用いて作成した地震状況の分布例を示す図である。
【符号の説明】
【0070】
10 コンピュータシステム
11 CPU
12 メモリ
13 I/O(インプットアウトプット:インターフェイス)
14 グラフィクスデバイス
15 ディスプレイ
21 制御部
22 メモリ部
23 無線通信機能部
24 撮像部
25 表示部
26 操作部
27 音声入力部
28 音声出力部
29 電池
30 電源部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末内時刻情報を得るための端末内時刻取得手段と;
前記端末内時刻取得手段が取得した端末内時刻情報を一時的に記憶するための端末内時刻記憶手段と;
標準時刻情報を取得するための標準時刻取得手段と;
前記標準時刻取得手段が取得した標準時刻情報を一時的に記憶するための標準時刻記憶手段と;
前記端末内時刻記憶手段が記憶する端末内時刻情報と,前記標準時刻記憶手段が記憶する標準時刻情報とを用いて,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”を求めるための時刻ずれ算出手段と;
前記時刻ずれ算出手段が算出した“標準時刻と端末内時刻とのずれ”に関する情報を出力するための出力手段と;
を具備する,
“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報の提供システム。
【請求項2】
前記“端末”は,インターネットに接続できるコンピュータである請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記“端末”は,インターネットに接続できるコンピュータであり,
前記“標準時刻情報”は,“インターネットを経由して送信される標準時刻情報”である請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記“標準時刻情報”は,“電波として送信される標準時刻情報”である請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記“端末”は,インターネットに接続できるコンピュータであり,
前記“出力手段”は,前記時刻ずれ算出手段が算出した“標準時刻と端末内時刻とのずれ”に関する情報に,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”に関する情報を受取るコンピュータのアドレス情報,及び“端末に関する情報”を付加した情報を含む情報を出力する,
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記“出力手段”は,前記時刻ずれ算出手段が算出した“標準時刻と端末内時刻とのずれ”に関する情報を含む情報を所定の周波数を有する無線信号に変換して無線信号として出力する,
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記“出力手段”は,前記時刻ずれ算出手段が算出した“標準時刻と端末内時刻とのずれ”に関する情報に,前記端末の位置に関する情報を付加した情報を含む情報を所定の周波数を有する無線信号に変換して無線信号として出力する,
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記時刻ずれ算出手段が算出した“標準時刻と端末内時刻とのずれ”が,所定の範囲かどうか判断する判断手段を具備し,
前記判断手段が“標準時刻と端末内時刻とのずれ”が所定の範囲外であると判断した場合は,地震が起こる可能性がある旨の情報を出力する,
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
複数の“標準時刻と端末内時刻とのずれ情報の提供システム”から,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報を受信するための“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報受信手段と;
前記“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報受信手段が受信した“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報から,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報を抽出すると共に,前記端末の位置情報を算出する“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報抽出手段と;
前記“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報抽出手段が抽出した“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報と,前記端末の位置情報を基に,“標準時刻と端末内時刻とのずれ”の分布を求めるずれ状況取得手段と;
を具備する,
“標準時刻と端末内時刻とのずれ”状況の取得システム。
【請求項10】
前記“標準時刻と端末内時刻とのずれ”状況の取得システムが求めた“標準時刻と端末内時刻とのずれ”が,所定の範囲かどうか判断する判断手段を具備し,
前記判断手段が“標準時刻と端末内時刻とのずれ”が所定の範囲外であると判断した場合は,地震が起こる可能性がある旨の情報を出力する,
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記“標準時刻と端末内時刻とのずれ”状況の取得システムが求めた“標準時刻と端末内時刻とのずれ”が,所定の範囲かどうか判断する判断手段と,
前記判断手段が“標準時刻と端末内時刻とのずれ”が所定の範囲外であると判断した箇所を計測する計測手段と,
前記計測手段が計測した“標準時刻と端末内時刻とのずれ”が所定の範囲外である箇所が一定以上の密度かどうか判断するずれ密度判断手段とを具備し,
前記ずれ密度判断手段が判断した“標準時刻と端末内時刻とのずれ”が所定の範囲外である箇所が一定以上の密度である場合は,地震が起こる可能性がある旨の情報を出力する,
請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記“標準時刻と端末内時刻とのずれ”状況の取得システムが求めた“標準時刻と端末内時刻とのずれ”が,所定の範囲かどうか判断する判断手段を具備し,
前記判断手段が“標準時刻と端末内時刻とのずれ”が所定の範囲外であると判断した場合は,地震が起こる可能性がある旨の情報を,前記“標準時刻と端末内時刻とのずれ”情報を提供した端末へ出力する,
請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
地震予知システムである請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
電波のずれ,水銀計における水銀の位置変化,放射線蛍光強度変化,又は電子機器の誤作動のうちいずれかである電磁波関連外乱情報を取得するための電磁波関連外乱取得手段と,
前記電磁波関連外乱取得手段が取得した電磁波関連外乱情報を一時的に記憶するための電磁波関連外乱記憶手段と;
前記電磁波関連外乱記憶手段が記憶した電磁波関連外乱に関する情報を出力するための出力手段と;を具備する,
“電磁波関連外乱”情報の提供システム。
【請求項15】
請求項14に記載のシステムから出力される“電磁波関連外乱”情報を受信するための情報受信手段と;
前記情報受信手段が受信した“電磁波関連外乱”情報から,“電磁波関連外乱”情報を抽出すると共に,前記端末の位置情報を算出する“電磁波関連外乱”情報抽出手段と;
前記“電磁波関連外乱”情報抽出手段が抽出した“電磁波関連外乱”情報と,前記端末の位置情報を基に,“電磁波関連外乱”の分布を求めるずれ状況取得手段と;
を具備する,
“電磁波関連外乱”状況の取得システム。
【請求項16】
地震予知システムである請求項15に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−147413(P2007−147413A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−341295(P2005−341295)
【出願日】平成17年11月27日(2005.11.27)
【出願人】(505439174)
【出願人】(505439200)
【Fターム(参考)】