説明

標示装置システム

【課題】現場の人に確実にピンポイントでの情報を瞬時に伝達し、安全な環境を確保することが可能である標示装置システムを提供する。
【解決手段】GPS機能を有し情報報知部を有する複数の標示装置と、前記標示装置と無線で接続され各標示装置に対しリモートアクセスを行うサーバとを有する、標示装置システムであって、前記サーバが、前記標示装置から位置情報を含む個別現状データを自動受信しインターネットを介して気象情報を取得し前記気象情報を細分化して各標示装置毎に当該標示装置の位置情報に応じて選出してリモートアクセス信号を作成し各標示装置に自動送信し、前記標示装置が、前記サーバから前記リモートアクセス信号を自動受信し前記情報報知部を制御して前記標示装置の周囲に気象情報を報知させ自己の位置情報を含む個別現状データを前記サーバに自動送信する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路工事現場等に配置され表示部等により工事等に関係する情報を告知する標示装置を含む標示装置システムに関する。
【背景技術】
【0002】
道路工事等の際は、ドライバーに道路工事中であること等を知らせる表示を行う標示装置が設置される。このような標示装置は、現場まで運ばれて、工事等の期間中は現場に備え付けられ、期間終了後に撤収され、また別の現場に配置される可動式のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
工事従事者にとっては、気象情報が非常に重要で、情報の有無が生死に関わることがある。近年、都心部では下水道網、道路網の普及に伴い、多くの補修工事が行われており、比例して、工事中に集中豪雨などの天候の影響による事故発生の危険が増幅している。加えて、気象状況の変化により、ゲリラ豪雨などの発生が多発するようになった。工事の多さとゲリラ豪雨等の発生の多発が重なることにより、下水道工事などでは急激な水位上昇による事故が発生し、道路工事に関しても、視界悪化による事故の多発が懸念される。特に下水道工事では、練馬区で作業員が死亡するなどの事故も起こっており、東京都でも「一滴ルール」を設け、気象条件の変化による工事現場の安全性の確保を重要視している。気象情報の提供システムとしては、携帯の電子メールに気象情報の提供を行うものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−213634号公報
【特許文献2】特開2004−317336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、携帯電話に電子メールが届いても、工事現場は他の音が大きいためメール自体に気付かないことが多いという問題があった。また、情報はPULL型であり、情報量も一般ユーザをターゲットとしているため、工事現場などでの活用は不便であるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、現場の人に確実にピンポイントでの情報を瞬時に伝達し、安全な環境を確保することが可能である標示装置システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、衛星測位システム機能を有し情報報知部を有する複数の標示装置と、前記標示装置と無線又は有線で接続され各標示装置に対しリモートアクセスを行うサーバと、を有する標示装置システムであって、
前記サーバが、前記標示装置から当該標示装置の位置情報を含む個別現状データを自動受信する個別現状データ受信手段と、インターネットを介して気象情報を取得する気象情報取得手段と、前記気象情報を細分化して詳細気象情報を作成する詳細気象情報作成手段と、前記詳細気象情報のうち各標示装置毎に当該標示装置の位置情報に応じて選出した個別気象情報を含む標示装置別情報を作成する標示装置別情報作成手段と、前記標示装置別情報に基づいてリモートアクセス信号を作成するリモートアクセス信号作成手段と、各標示装置に前記リモートアクセス信号を自動送信するリモートアクセス信号送信手段と、を有し、
前記標示装置が、前記サーバから前記リモートアクセス信号を自動受信するリモートアクセス受信手段と、前記リモートアクセス信号に基づいて前記情報報知部を制御して前記標示装置の周囲に気象情報を報知させる情報報知部制御手段と、自己の位置情報を含む個別現状データを前記サーバに自動送信する個別現状データ送信手段と、を有することを特徴とする標示装置システムを提供する。本発明において、無線には、IP−VPN(Virtual Private Network)やインターネットVPNなどの閉域網、またインターネットや携帯電話通信網、ISDN、広域LANが含まれる。また本発明において、リモートアクセスには、携帯電話会社のCIPL(CDMA IP Link)、CPA(cdma Packet Access)、PAS(PHS Packet Access)、IRASII、DOD(Data On Demand)などの無線接続や、有線のイーサネット(登録商標)などの有線接続の両方が含まれる。前記サーバは、単独サーバでも、複数のサーバからなるサーバ群であってもよい。
【0008】
前記情報報知部が、標示板及び/又はスピーカー及び/又は回転灯を含み、前記リモートアクセス信号が、文字表示制御信号及び/又は音声発生制御信号及び/又は点灯制御信号を含むことが好ましい。視覚的及び/又は聴覚的に情報を標示装置の周囲に報知することができる。
【0009】
前記リモートアクセス信号作成手段が、前記標示装置別情報の緊急度を判定し、緊急度に応じたリモートアクセス信号を作成することが好ましい。例えば、標示装置情報の緊急度が低い時は標示板に個別気象情報を表示するのみとし、警報など緊急度が高い時は標示板に個別気象情報を表示するのみならず、スピーカーで避難を呼びかける音声を発生させて、さらに、表示灯の光を短い間隔で点滅させるなどが挙げられる。
【0010】
前記標示装置が、当該標示装置周辺の環境を測定する環境測定部を有し、前記個別現状データが、前記位置情報に代えて又は前前記位置情報に加え、前記環境測定部により測定された環境測定データを含み、
前記サーバが、さらに、前記環境測定データが異常値データを含むか判断する手段と、異常値データの送信元である標示装置から一定範囲内に位置する標示装置を抽出して注意喚起対象とする手段とを有し、前記注意喚起対象とされた標示装置に送信するリモートアクセス信号が、前記異常値データに基づいたリモートアクセス信号を含むことが好ましい。前記環境測定部が、温度計及び/又は湿度計及び/又は風速計及び/又は騒音計及び/又は振動計を含み、前記環境測定データが、温度及び/又は湿度及び/又は風速及び/又は騒音値及び/又は振動値のデータを含むことがさらに好ましい。例えば、温度計で温度を測定し、測定した温度データを環境測定データとして個別現状データに含んでサーバに送信し、温度データが35℃などの高温であるときは、異常値データとして、例えば、かかる温度データの送信元の標示装置から1km圏内にある標示装置を抽出して注意喚起対象として、「高温により熱中症注意」などの文言を標示板に表示させる文字表示制御信号と「高温注意」などの音声をスピーカーで流す音声発生制御信号と表示灯の光を点滅させる光点滅制御信号を含むリモートアクセス信号を送信することが挙げられる。これにより高温になる可能性が高いエリアの標示装置の周辺にいる工事作業員が作業中に熱中症にかかる等のリスクを軽減できる。
【0011】
前記環境測定部が、カメラを含み、前記環境測定データが、道路渋滞データ及び/又は作業進捗状況データを含むことが好ましい。さらに、前記サーバが画像解析手段を有してもよい。サーバ側で各標示装置周辺の道路の混雑状況を把握できる。また、サーバ側で各標示装置が設置された工事現場の作業進捗状況を把握できるので労務管理に役立つという効果がある。
【0012】
前記リモートアクセス信号作成手段が、前記標示装置の環境測定部の制御を含むリモートアクセス信号を作成するものであり、かつ、前記標示装置が前記リモートアクセス信号に基づいて前記情報報知環境測定部を制御することが好ましい。サーバ側で任意の時に任意の環境(例えば周囲の映像や温度など)を測定してデータを入手できる。
【0013】
前記サーバが、さらに、各標示装置から受信した位置情報が別の地点の下水量により出水する範囲にあるかを判断する手段を有し、前記個別気象情報には、受信した位置情報が別の地点の下水量により出水する範囲にある場合に、各標示装置の位置情報に対する詳細気象情報のほか、当該別の地点における雨又は洪水に関する注意報又は警報についての詳細気象情報を含むことが好ましい。複数の下水道管が高低差をもって接続されているときには、土地の高低差に関わらず高い位置にある下水道管が満水になると低い位置の下水道管に下水が流れるため、ゲリラ豪雨が予想される地域の下水道管に接続されかつその下水道管より低い位置の下水道管がある地域での下水道工事等の際に、その工事現場での出水が発生する可能性のある地域の豪雨等の情報をいち早く知ることができ、人命を守ることができるという効果を奏する。
【0014】
前記サーバが、さらに、各標示装置から受信した位置情報が河川の流域となる範囲にあるかを判断する手段を有し、前記個別気象情報には、受信した位置情報が河川の流域となる範囲にある場合に、各標示装置の位置情報に対する詳細気象情報のほか、当該標示装置の位置の上流における雨又は洪水に関する注意報又は警報についての詳細気象情報を含むことが好ましい。工事作業員など、標示装置の周辺にいる人々が、上流の鉄砲水発生などの情報をいち早く知ることができ、人命を守ることができるという効果を奏する。
【0015】
前記サーバが気象情報を取得するのは、1分おきなどの所定時間毎であることが好ましい。あるいは気象情報の配信がある都度自動的に取得するものであってもよい。前記詳細気象情報作成手段が、前回取得した気象情報と今回取得した気象情報が異なるエリアのみ詳細気象情報を作成することが好ましい。前記標示装置別情報作成手段が、前記詳細気象情報に警報又は注意報が含まれるときは即時に標示装置別情報を作成し、いずれも含まれないときは5分おきなどの所定時間毎に標示装置別情報を作成することが好ましい。前記標示装置が個別現状データを前記サーバに自動送信するのは、2分おきなどの所定時間毎であることが好ましい。
【0016】
前記細分化については、データが過度に肥大化しない程度でピンポイント利用するのに適する程度に分けることが好ましく、例えば、気象情報を5km四方以下で細分化することが好ましい。前記情報報知部は、視覚的及び/又は聴覚的に情報を周囲に報知ないし告知する手段であることが好ましい。
【0017】
本発明の第2の態様は、衛星測位システム機能を有し情報報知部及び環境測定部を有する複数の標示装置で気象情報を前記標示装置の周囲に報知し、さらに前記標示装置から周辺の環境情報を取得する方法であって、
前記標示装置が、自己の位置情報を前記標示装置と無線又は有線で接続されたサーバに送信する位置情報送信ステップと、
前記サーバが、前記標示装置から当該標示装置の位置情報を受信する位置情報受信ステップと、
前記サーバが、インターネットを介して気象情報を取得する気象情報取得ステップと、
前記サーバが、前記気象情報を細分化して詳細気象情報を作成する詳細気象情報作成ステップと、
前記サーバが、前記詳細気象情報のうち各標示装置毎に位置情報に応じて選出した個別気象情報を含む標示装置別情報を作成する標示装置別情報作成ステップと、
前記サーバが、前記標示装置別情報に基づいて第1のリモートアクセス信号を作成する第1のリモートアクセス信号作成ステップと、
前記サーバが、各標示装置に前記第1のリモートアクセス信号を送信する第1のリモートアクセス信号送信ステップと、
前記標示装置が、前記サーバから前記第1のリモートアクセス信号を自動受信する第1のリモートアクセス受信ステップと、
前記標示装置が、前記第1のリモートアクセス信号に基づいて前記情報報知部を制御して気象に関する情報を周囲に報知する情報報知部制御ステップと、
前記サーバが、標示装置の環境測定部の制御を含む第2のリモートアクセス信号を作成する第2のリモートアクセス信号作成ステップと、
前記サーバが、各標示装置に前記第2のリモートアクセス信号を送信する第2のリモートアクセス信号送信ステップと、
前記標示装置が、前記サーバから前記第2のリモートアクセス信号を自動受信する第2のリモートアクセス受信ステップと、
前記標示装置が、前記第2のリモートアクセス信号に基づいて前記環境測定部を制御して環境測定データを取得する環境測定データ取得ステップと、
前記標示装置が、前記サーバに前記環境測定データを送信する環境測定データ送信ステップと、
前記サーバが、前記標示装置から当該標示装置の前記環境測定データを受信する環境測定データ受信ステップと、
を含むことを特徴とする気象情報報知方法を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の標示装置システムによれば、現場の人に確実にピンポイントでの情報を瞬時に伝達し、安全な環境を確保することが可能である。また、本発明の気象情報報知方法によれば、現場の人に確実にピンポイントでの情報を瞬時に伝達し、安全な環境を確保することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例1の標示装置システムのシステム概略図である。
【図2】本発明の実施例1の標示装置システムのマップマッチング説明図である。
【図3】本発明の実施例1の標示装置システムの標示装置の基板構成概略図である。
【図4】本発明の実施例1の標示装置システムのタイムチャート概略図である。
【図5】本発明の実施例2における水利データ活用方法説明図である。
【図6】本発明の実施例2におけるシステムフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の標示装置システム及び気象情報報知方法の一実施形態について、実施例を用いて具体的に説明する。
【実施例1】
【0021】
{構成}
図1は、本発明の実施例1の標示装置システムのシステム概略図である。本発明の実施例1の標示装置システムは、サーバ10と複数の標示装置20とを有する。サーバ10と各標示装置20とは、無線で接続され、サーバ10が各標示装置20をリモートアクセスによって遠隔操作する。サーバ10には、データベース及びデータ送受信手段、画像解析機手段、表示手段、入出力手段及び制御手段を有する。標示装置20は、データ送受信手段、データ測定手段、画像撮影手段、表示手段及びこれらの制御手段を有する。
【0022】
無線には、IP−VPN(Virtual Private Network)やインターネットVPNなどの閉域網、またインターネットや携帯電話通信網、ISDN、広域LANが含まれ、本実施例では、IP−VPNで、携帯電話会社のCIPL(CDMA IP Link)を用いてリモートアクセスを行う。専用回線で通信を暗号化し、サーバと各標示装置の間だけの閉域ネットワークであるので、安全で安定した情報通信が可能となる。CPA(cdma Packet Access)、PAS(PHS Packet Access)やIRASII、DOD(Data On Demand)などの接続方法を利用したリモートアクセスでもよい。本実施例では無線であるが、サーバ10と各標示装置20とは、有線のイーサネット(登録商標)など、有線で接続されてもよい。
【0023】
気象庁40から提供される気象情報は、気象情報提供会社等を通じてリアルタイムで配信されており、サーバ10は配信された気象情報をインターネットを介して取得する気象情報取得手段を有する。本実施例においては、サーバ10による気象情報の取得は、所定時間毎、例えば1分毎、に行うが、配信がある都度自動的に取得してもよい。取得したデータはサーバ10のデータベースに蓄積され、更新される。
【0024】
標示装置20は、それぞれGPS(Global Positioning System:全地球航法衛星システム)機能を有し、標示装置20の電源を入れた時点で、自己の位置情報として、緯度及び経度を取得し、サーバ10へ自動送信する。これにより、現場での作業員の操作は、電源を入れるだけであとは一切なくすことができ、したがって操作忘れによるトラブルを未然に防ぐことができる。また、GPSで確認可能なため、作業現場を問わず利用することができる。さらに、所定時間毎に自己の位置情報を取得してサーバ10へ自動送信してもよい。GPS機能の代わりにあるいはGPS機能に加えて、QZSS(Quasi-Zenith Satellite System:準天頂衛星システム)など、他の衛星測位システム機能を有してもよい。
【0025】
また、標示装置20は、環境測定部として、騒音計23、振動計24、温度計25、湿度計26、風速計27、カメラ28を有する。その他、雨量計や水位計などを含んでもよい。環境測定部は、標示装置20の電源投入後、標示装置20周辺の環境を定期的に測定する。騒音計23では騒音値を測定し、振動計24では振動値を測定し、温度計25では周囲の温度を測定し、湿度計26では周囲の湿度を測定し、風速計27では周囲の風向きや風速を測定し、カメラ28では、周囲の状況、例えば道路渋滞状況や作業状況を撮影する。環境測定部で得られた環境測定値のデータは、個別現状データとしてサーバ10に自動送信される。本実施例では、測定及び自動送信は、例えば2分おきなどの所定時間毎に行われる。
【0026】
サーバ10は、各標示装置20から、当該標示装置20の位置情報や環境測定値を、個別現状データとして自動受信する個別現状データ受信手段を有する。受信した個別現状データは、位置情報、各種環境測定種類ごとにサーバ10のデータベースに蓄積され、更新される。本実施例においては、温度データが35℃などの高温であるときは、サーバ10は、異常値データとして蓄積する。
【0027】
サーバ10は、気象情報取得手段により取得した気象情報を細分化して詳細気象情報を作成する詳細気象情報作成手段を有する。細分化については、データが過度に肥大化しない程度でピンポイント利用するのに適する程度に分けることが好ましく、例えば、気象情報を5km四方以下で細分化することが好ましい。本実施例では、気象情報を5km四方のメッシュ情報に細分化するが、より細かな情報を要する場合等には、例えば1km四方のメッシュ情報に細分化してもよい。詳細気象情報作成手段は、気象情報取得ごとに詳細気象情報を更新する。本実施例では、前回取得した気象情報と今回取得した気象情報が異なるエリアのみ詳細気象情報を作成して更新する。
【0028】
サーバ10は、作成した詳細気象情報のうち各標示装置20毎に当該標示装置20の位置情報に応じて選出した個別気象情報を含む標示装置別情報を作成する標示装置別情報作成手段を有する。図2は、本発明の実施例1の標示装置システムのマップマッチング説明図である。本実施例では、当該標示装置20の位置情報からされる地点を含む詳細気象情報をマップマッチングして選択し標示装置別情報とするが、さらに、当該地点が予め設定した特定エリアに含まれる場合は、それに応じて、予め設定した別のエリアの詳細気象情報をも選択し、当該表示装置別情報に含めることが好ましい。本実施例では、標示装置別情報作成手段は、さらに、詳細気象情報に警報又は注意報が含まれるかを判別し、詳細気象情報に警報又は注意報が含まれるときは即時に標示装置別情報を作成し、いずれも含まれないときは5分おきなどの所定時間毎に標示装置別情報を作成する。これにより、緊急性のある情報をより速やかに提供しつつ、サーバへの負担を軽減できる。判別が不要の場合は、警報等の有無を判別せずに所定時間毎に標示装置別情報を作成するものであってもよい。
【0029】
サーバ10は、作成した標示装置別情報に基づいてリモートアクセス信号を作成するリモートアクセス信号作成手段を有する。リモートアクセス信号は、標示装置20の情報報知部の動作についての制御信号で、サーバ10は、さらに、各標示装置に前記リモートアクセス信号を自動送信するリモートアクセス信号送信手段を有する。
【0030】
標示装置20は、情報報知部として、スピーカ21、回転灯22、標示板29を有する。標示板29は、本実施例ではLED標示板であるが、液晶モニターでもよい。本実施例においては、音声による聴覚的情報報知手段としてスピーカ21を、光による視覚的情報報知手段として回転灯22を、文字表示による視覚的情報報知手段として標示板29を有するが、情報報知部は、これらのうち1又は複数の手段であってもよく、また、他の情報報知手段、例えば、振動による情報報知手段として振動発生装置などを有してもよい。標示装置20はサーバ10からのリモートアクセス信号を自動受信するリモートアクセス受信手段を有する。標示装置20は、受信したリモートアクセス信号に基づいて情報報知部の動作を制御して標示装置20の周囲に気象情報を報知させる情報報知部制御手段を有する。本実施例においては、リモートアクセス信号作成手段は、標示装置別情報の緊急度を判定し、緊急度に応じたリモートアクセス信号を作成する。
【0031】
例えば、ある標示装置20について、標示装置別情報に含まれる詳細気象情報が、暴風警報であるとき、サーバ10は、リモートアクセス信号として、スピーカ21で「暴風警報発令中、避難してください」との音声を流すためのスピーカ21への音声発生制御信号、また、回転灯22に光を点灯させるための回転灯22への点灯制御信号、標示板29に「暴風警報発令中 避難してください」の文字を標示するための標示板29への文字表示制御信号を作成し、標示装置20へ送信する。かかるリモートアクセス信号を受信した標示装置20は、情報報知部を受信したリモートアクセス信号に基づき制御する。これにより、標示装置20において、スピーカ21から上記アナウンスが流れ、回転灯22が点灯回転し、標示板には上記した文字が表示され、周囲は、視覚的、聴覚的に気象情報を知ることができる。これにより、工事作業中であっても、いち早く情報を知ることができ、危険を回避できる。一方、緊急度の高くない気象情報では、標示板29への表示のみにして、むやみに工事作業等の妨げを行わない。これにより、作業員等が回転灯の点灯等に慣れてしまって危険なときも逃げないなどのおそれを防止できる。
【0032】
本実施例において、サーバ10は、標示装置20から受信した個別現状データに異常値データ(例えば、湿球黒球温度の温度データが28℃)を受信した場合は、例えば、かかる温度データの送信元の標示装置から1km圏内にある標示装置を抽出して注意喚起対象として、「高温により熱中症注意」などの文言を標示板に表示させる文字表示制御信号と「高温注意」などの音声をスピーカーで流す音声発生制御信号と表示灯の光を点滅させる光点滅制御信号を含むリモートアクセス信号を送信する。これにより高温になる可能性が高いエリアの標示装置の周辺にいる工事作業員が作業中に熱中症にかかる等のリスクを軽減できる。
【0033】
本実施例においてはさらに、サーバ10は、標示装置20から送信された個別現状データに含まれるカメラの撮影データを画像解析する。これにより標示装置20周辺にある道路の混雑状況あるいは標示装置が設置された工事現場の作業進捗状況を把握できる。道路状況が分かることで、渋滞情報を得ることができる。また、作業状況を遠隔地でチェックできるため、労務管理に役立つ。
【0034】
また、本実施例においては、サーバ10は、各標示装置から受信した位置情報が河川の流域となる緯度及び経度の範囲にあるかを判断する手段を有する。データベースに地図情報を有し、受信した位置情報と照合し、河川の流域である位置にある標示装置20である場合、個別気象情報に、各標示装置の位置情報に対する詳細気象情報のほか、上流における風雨又は洪水に関する注意報又は警報についての詳細気象情報を含み、上流における詳細気象情報を加味したリモートアクセス信号が作成される。
【0035】
サーバ10は、ハードウェアとして、CPU、メモリ、ディスプレイ、キーボード、マウス、オペレーティングシステム、デバイスドライバ等で構成される制御装置と、磁気ディスク等の二次記憶、通信制御装置を備えている。サーバ10は、サーバ10のキーボード等の入出力手段により全体管理者が管理でき、また、サーバ10にインターネットを介して接続された、1又は複数の標示装置20の管理者であるユーザの端末で、担当分を遠隔管理することもできる。磁気ディスクには、気象情報取得やリモートアクセス信号作成等の制御やデータ解析等を含む管理用プログラムとデータベースが格納されている。データベースには、地図情報や気象情報のほか、互いにひも付けされた詳細気象情報と個別現状情報とリモートアクセス信号と管理される標示装置20の割当番号等のデータが蓄積されている。サーバ10は、CPUが、管理用プログラムをメモリ10にロードして実行することにより本発明の管理処理が可能なコンピュータの機能を実現する。CPUは、通常のコンピュータに搭載する演算処理装置であり、各種プログラムを実行し、各種制御等を行う。本実施例においては、サーバ10は、気象情報の取得・解析・マップマッチングを行う解析・マップマッチング部のサーバと、データベースや位置情報取得等のアプリケーションを行うDB+Appサーバー部のサーバとが互いにLANやインターネットで接続されてなるサーバ群であるが、全て一体となっていてもよい。また、ユーザである管理者の端末は、サーバ10に随時アクセス可能で、サーバ10の入出力手段としてサーバ10の表示画面を管理者の端末に表示したり、端末の操作によりサーバ10の各種操作を行うことができる。
【0036】
図3は、本発明の実施例1の標示装置システムの標示装置の基板構成概略図である。標示装置20は、全体の制御を行うためのCPUのほか、シリアルインターフェースとしてLAN USBやRS−232Cを有し、バックアップ電源、記憶媒体としてSDカード、位置情報を取得するためのGPS、タイマー・カレンダー機能を有するRTC(リアルタイムクロック)、NAND Flash(半導体フラッシュメモリ)、情報報知部の各種測定機器等の制御を行うインターフェース、起動のためのBOOT ROM、その他DAC(デジタル/アナログコンバータ)等を有し、また、LCD(液晶ディスプレイ)のポートと、AN3ch(アナログ入力アナログコンバータ)のポートと、8ビットのI/O(入出力)ポートと、LEDのPCB基板(プリント基板)に接続されたLEDドライブ、赤外線通信ポートを有する。
【0037】
{気象情報報知手順}
図4は、本発明の実施例1の標示装置システムのタイムチャート概略図である。図4において、サーバ10は、データベース及びアプリケーションサーバを有するDB+Appサーバー部と管理画面と解析・マップマッチング部とに分けてフローを説明する。サーバ10は、解析・マップマッチング部において、気象情報の発令について情報を取得し、解析・マップマッチングを行い、気象情報の内容を仕分けて詳細気象情報を作成し、DB+Appサーバー部において、データを保存するとともに、随時アクセス可能な、ユーザである管理者の端末及びサーバ10の管理画面に保存した詳細気象情報をリアルタイムで表示する。緊急の場合等は、管理画面から入力することによりサーバ10から標示装置20にリモートアクセス信号を送信するリクエストをすることができる。また、サーバ10は、標示装置20から位置情報等のデータを取得し、DB+Appサーバー部において取得した位置情報と詳細気象情報とをマッチングし、標示装置別情報に基づいて作成したリモートアクセス信号を気象内容として標示装置20に送信する。かかるリモートアクセス信号を受信した標示装置20は、その信号に基づき情報表示等を行う。また、標示装置20は風速や気温等の環境測定値のデータを測定し、得られた環境情報を個別現状データとして標示装置20に送信する。サーバ10が受信した個別現状データは、リアルタイムで表示できる。また、測定値に異常値すなわち異常トリガーが含まれていた場合、同様にして表示し、危険区域にある他の標示装置を調べて、該当する標示装置にかかる情報に基づくリモートアクセス信号を送信し、順次情報を表示させる。
【0038】
すなわち、本実施例1は、GPS機能を有し情報報知部を有する複数の標示装置20に個別の気象情報を標示装置20の周囲に報知する方法であって、標示装置20が、自己の位置情報を含む個別現状データを標示装置20と無線で接続されたサーバ10に自動送信する個別現状データ送信ステップと、サーバ10が、標示装置20から当該標示装置の位置情報を含む個別現状データを自動受信する個別現状データ受信ステップと、サーバ10が、インターネットを介して気象情報を取得する気象情報取得ステップと、サーバ10が、前記気象情報を細分化して詳細気象情報を作成する詳細気象情報作成ステップと、サーバ10が、前記詳細気象情報のうち各標示装置毎に位置情報に応じて選出した個別気象情報を含む標示装置別情報を作成する標示装置別情報作成ステップと、サーバ10が、前記標示装置別情報に基づいてリモートアクセス信号を作成するリモートアクセス信号作成ステップと、サーバ10が、各標示装置に前記リモートアクセス信号を自動送信するリモートアクセス信号送信ステップと、標示装置20が、サーバ10から前記リモートアクセス信号を自動受信するリモートアクセス受信ステップと、標示装置20が、前記リモートアクセス信号に基づいて前記情報報知部を制御する情報報知部制御ステップと、を含む。
【0039】
{効果}
本発明の実施例1によれば、現場の人に確実にピンポイントでの情報を瞬時に伝達し、安全な環境を確保することが可能である標示装置システムを実現することができる。また、自動で情報を送受信するため、例えば通常の気象情報は5分等一定間隔で自動的に情報更新を行い、警報や注意報及びそれらの解除などの緊急情報は随時、例えば3分以内で表示することができる。工事作業で必要な標示装置が自動的に気象情報も提供するため、気象情報を得るのに作業員の操作を全く必要とせず、間違いなく、安定的に情報提供が行える。
【0040】
例えば下水道工事や道路工事などでは、気象条件の悪化により事故発生の危険が大幅に増加するところ、気象情報を随時入手できる環境をつくることで、自己の抑制に大きく貢献することができる。下水道工事では、例えば、降雨量の急激な増加(ゲリラ豪雨)などの影響による放水事故の防止ができる。また、一般道工事では、例えば、強風などによる重機の横転、路面環境の変化による車両との接触事故の防止ができる。ビル建設工事では、例えば、強風などに依る重機の横転や高層現場からの滑落事故の防止ができる。また、高速道路工事では、例えば、降雨量の増加や濃霧、路面凍結などによる視界悪化による交通事故の防止ができる。また、本実施例によれば、工事作業員など、標示装置の周辺にいる人々が、上流の鉄砲水発生などの情報をいち早く知ることができ、人命を守ることができる。
【実施例2】
【0041】
本発明の実施例2は、実施例1と以下の点が異なる。実施例2の標示装置システムは、サーバ10は、各標示装置から受信した位置情報が河川の流域となる緯度及び経度の範囲にあるかを判断する手段の代わりに、標示装置から受信した位置情報が別の地点の下水量により出水する範囲にあるかを判断する手段を有する。また、個別気象情報には、その標示装置から受信した位置情報が別の地点の下水量により出水する範囲にある場合に、各標示装置の位置情報に対する詳細気象情報のほか、当該別の地点における雨又は洪水に関する注意報又は警報についての詳細気象情報を含み、当該別の地点における詳細気象情報を加味した標示装置別情報が作成され、かかる標示装置別情報に基づきリモートアクセス信号が作成される。
【0042】
サーバには下水道管に関する水利データをデータベースに有する。本実施例の水利データは、下水道管の位置及び各下水道管の高低差並びに下水道管同士の接続状況のデータを含む。図5は、本発明の実施例2における水利データ活用方法説明図である。基本的には、地中の比較的浅い所に上水道管があり、それより十分下方に下水道管がある。これは、下水道管が破裂しても雨水や汚水が上水道に影響を及ぼさないようにするためである。しかし、高低差のある地域や開発時期が異なる地域では、下水道管が通っている深さが異なる場合がある。複数の下水道管が高低差をもって接続されているときには、土地の高低差に関わらず高い位置にある下水道管が満水になると低い位置の下水道管に下水が流れる。
【0043】
例えば、図5の例1では、ゲリラ豪雨がB地域に降ると、B地域の下水道管と接続されておりかつB地域の下水道管の位置より低いところにあるA地域においては、A地域で天気が晴れであっても、B地域の下水道管が満水になってA地域の下水管に流れ込んで溢れ出す恐れがある。実施例2では、A地域にある標示装置用のリモートアクセス信号として、B地域の雨や洪水に関する注意報及び警報に関する気象情報を含む標示装置別情報に基づいてリモートアクセス信号がサーバによって作成され、A地域にある標示装置に送信される。リモートアクセス信号には、例えば、スピーカで「出水注意、避難してください」との音声を流すためのスピーカへの音声発生制御信号、また、回転灯に光を点灯させるための回転灯への点灯制御信号、標示板に「出水注意」の文字をLEDで標示するための標示板への文字表示制御信号を含む。本実施例によれば、作業地域の天候が晴れであっても、他の地域の豪雨による影響をいち早く知ることができ、危険を回避できる。特に下水道工事にの場合には、B地域のゲリラ豪雨の影響は大きく、本実施例によれば、作業中止の必要性を早い段階で知ることができ事故の発生を防止でき、人命を守ることができるという効果を奏する。一方、C地域はB地域より低いであっても、C地域の下水道管はB地域の下水道管と繋がっていないのでB地域のゲリラ豪雨が原因でC地域の下水道管から水があふれて出水する危険性はない。したがってC地域の標示装置へのリモートアクセス信号は、B地域の気象情報は加味されない。
【0044】
また、例えば図5の例2では、A地域やC地域よりも高い位置にあるB地域でも下水道管がA地域やC地域の下水道管よりも低い位置にありかつそれらの地域の下水道管と接続されている場合、例1のA地域と同様に、A地域やC地域の雨や洪水に関する注意報及び警報に関する気象情報を含む標示装置別情報に基づいてリモートアクセス信号がサーバによって作成され、B地域にある標示装置に送信される。
【0045】
サーバは、各標示装置が、雨または洪水に関する注意報又は警報が発令されている地域の下水道管に接続されかつその下水道管より低い位置の下水道管がある地域であるかを、標示装置の位置情報と水利データとを照らし合わせて判定し、該当する場合は、当該注意報・警報を標示装置別情報に含ませる。
【0046】
また、実施例2の標示装置システムは、サーバにインターネットを介して接続された1又は複数の標示装置の管理者であるユーザの端末からサーバを通じて標示装置のカメラ等の環境測定部を遠隔操作する。移動式の標示装置のほか、常設の標示装置も遠隔操作を行う。実施例1では、標示装置の環境測定部は、標示装置の電源投入後、標示装置周辺の環境を定期的に測定するが、実施例2では、サーバはユーザ端末に管理画面を表示しユーザ端末から環境測定部への遠隔操作命令を受付し、サーバはユーザ端末からの遠隔操作命令を受け付けるとリモートアクセス信号を標示装置に送信し、標示装置はリモートアクセス信号を受信するとその内容に応じて環境測定部を制御して標示装置周辺の環境を測定して測定データをサーバに送信し、サーバは測定データを受信し、受信した測定データをユーザ端末に送信して表示させる。実施例2では、ユーザは端末に表示される管理画面上で入力手段により担当する標示装置の環境測定部の動作をサーバを通じて遠隔管理することができる。
【0047】
実施例2の標示装置システムは、サーバが、受信した各標示装置の位置情報を地図上にマッピングした合成マップデータを作成する手段と、ユーザ端末に管理画面を表示して管理画面内に当該合成マップデータを表示する手段と、ユーザ端末に表示した合成マップデータからリモートアクセスする標示装置をユーザ端末に選択させる手段と、選択された標示装置へリモートアクセス信号を送信する手段とを有する。したがって、本実施例によれば、ユーザが任意のときに任意の標示装置について管理画面上からデータを入手することができる。
【0048】
図6は、本発明の実施例2におけるシステムフロー図である。標示装置が移動式である場合と常設である場合とに分けて説明する。
【0049】
標示装置が移動式である場合、標示装置の電源を入れた時点で標示装置からサーバへ、衛星測位システムによる測位情報及び高度情報からなる位置情報を個別現状データとして送信する。サーバは、標示装置からの個別現状データを受信し、データベースに保存蓄積するとともに、受信した個別現状データすなわち位置情報を、当該標示装置を担当する遠隔管理者であるユーザの端末に送信する。気象の変化が生じたり、注意報や警報が発令されるなど、新しい気象情報が発表されると、気象情報が気象情報提供者からサーバへインターネットを介して送信され、サーバはこれを受信する。サーバは、地理情報システム(GIS:Geographic Information System)を使用して、地理的環境に応じたデータを活用し、またIMES(Indoor message system)、WAF(Wall attenuation factor)などを利用し、フィルタリング等地理データを元にして詳細気象情報を作成し、詳細気象情報のうち各標示装置毎に当該標示装置の位置情報に応じて選出した個別気象情報を含む標示装置別情報を作成し、標示装置別情報に基づいてリモートアクセス信号を作成し、各標示装置にリモートアクセス信号を送信する。標示装置はリモートアクセス信号を受信し、リモートアクセス信号に基づいて情報報知部を制御して標示装置の周囲、例えば労働者や周囲の第三者等、に情報を報知し、注意を喚起する。なお、上述したGISは、地理的位置を手がかりに、位置に関する情報をもったデータ(空間データ)を総合的に管理・加工し、視覚的に標示し、高度な分析や迅速な判断を可能にする技術である。
【0050】
遠隔管理者が標示装置の状態を確認したいとき、サーバからユーザ端末に送信して表示される管理画面において、遠隔操作対象とする標示装置と操作する環境測定部や情報報知部の選択及び操作命令の内容についての入力を受け付ける。受け付けた内容を操作命令情報とする。管理画面は、必要に応じてIDやパスワードを入力することとしてもよい。ユーザ端末で受け付けた操作命令情報はサーバへ送信され、サーバはこれを受信する。サーバは受信した操作命令情報に基づき、標示装置の環境測定部や情報報知部の動作についての制御信号を含むリモートアクセス信号を作成する。サーバは該当する標示装置にリモートアクセス信号を送信する。標示装置はリモートアクセス信号を受信し、その信号に基づき情報報知部で情報表示を行ったり、環境測定部で測定して測定データをサーバに送信したりする。例えば、ユーザ端末で受け付けた操作命令情報がカメラへの撮影命令であった場合、標示装置側は、環境測定部のカメラを作動させて映像を撮影し、撮影データをサーバに送信し、サーバがユーザ端末に送信して管理画面に撮影された映像を表示する。また例えば、ユーザ端末で受け付けた操作命令情報が回転灯の状態確認命令であった場合、標示装置側は、情報報知部の回転灯で状態を確認し、結果データをサーバに送信し、サーバがユーザ端末に送信して管理画面に結果データを表示する。さらに、また例えば、ユーザ端末で受け付けた操作命令情報がLED標示板への情報表示命令であった場合、標示装置側は、情報報知部のLED標示板に受付した情報を表示する。
【0051】
なお、気象情報には注意報や警報の解除情報を含む。例えば、サーバがインターネットを介して受信した気象情報が注意報の解除情報であった場合、サーバは標示装置の情報報知部であるLED標示板に注意報の情報表示を消灯させるリモートアクセス信号を標示装置に送信し、標示装置はこれを受信してLED標示板の表示から注意報の情報を削除する。
【0052】
本実施例においては、リモートアクセス信号は、個別気象情報に基づいて作成される場合は情報報知部の動作についての制御信号を含み、操作命令情報に基づいて作成される場合は環境測定部又は情報報知部の動作についての制御信号を含む。
【0053】
標示装置が常設である場合、設置後、標示装置からサーバへ、衛星測位システムによる測位情報及び高度情報からなる位置情報を個別現状データとして送信する。サーバは、標示装置からの個別現状データを受信し、データベースに保存蓄積する。
【0054】
遠隔管理者が標示装置の状態を確認したいとき、サーバからユーザ端末に送信して表示される管理画面において、遠隔操作対象とする標示装置と操作する環境測定部や情報報知部の選択及び操作命令の内容についての入力を受け付ける。受け付けた内容を操作命令情報とする。管理画面は、必要に応じてIDやパスワードを入力することとしてもよい。ユーザ端末で受け付けた操作命令情報はサーバへ送信され、サーバはこれを受信する。サーバは受信した操作命令情報に基づき、標示装置の環境測定部や情報報知部の動作についての制御信号を含むリモートアクセス信号を作成する。サーバは該当する標示装置にリモートアクセス信号を送信する。標示装置はリモートアクセス信号を受信し、その信号に基づき情報報知部による情報表示や、環境測定部による測定及び測定データのサーバへの送信を行う。
【0055】
さらに、遠隔管理者が標示装置を用いて在庫管理やエリア管理、生産管理確認をしたいとき、サーバからユーザ端末に送信して表示される管理画面において、遠隔操作対象とする標示装置と操作する周辺機の選択及び操作命令の内容についての入力を受け付ける。標示装置はSmart Moduleを利用してネットワークを介して周辺機に接続してある。ユーザ端末で受け付けた操作命令情報はサーバへ送信され、サーバはこれを受信する。サーバは受信した操作命令情報に基づき、標示装置の環境測定部や情報報知部の動作についての制御信号を含むリモートアクセス信号を作成する。サーバは該当する標示装置にリモートアクセス信号を送信する。標示装置はリモートアクセス信号を受信し、その信号に基づき周辺機の動作を行う。したがって、様々な機器等を遠隔操作できる。
【0056】
気象の変化が生じたり、注意報や警報が発令されるなど、新しい気象情報が発表されると、気象情報が気象情報提供者からサーバへインターネットを介して送信され、サーバはこれを受信する。サーバは、GISを使用して、地理的環境に応じたデータを活用し、またIMES、WAFなどを利用し、フィルタリング等地理データを元にして詳細気象情報を作成し、詳細気象情報のうち各標示装置毎に当該標示装置の位置情報に応じて選出した個別気象情報を含む標示装置別情報を作成し、標示装置別情報に基づいてリモートアクセス信号を作成し、各標示装置にリモートアクセス信号を送信する。標示装置はリモートアクセス信号を受信し、リモートアクセス信号に基づいて情報報知部を制御して標示装置の周囲、例えば労働者や周囲の第三者等、に情報を報知し、注意を喚起する。また、それと同時にサーバはユーザ端末に担当する常設の標示装置の位置情報を、当該標示装置を担当する遠隔管理者であるユーザの端末に送信する。気象情報には注意報や警報の解除情報を含む。
【0057】
すなわち、本実施例2は、衛星測位システム機能を有し情報報知部及び環境測定部を有する複数の標示装置20で気象情報を標示装置20の周囲に報知し、さらに標示装置20から周辺の環境情報を取得する方法であって、標示装置20が、自己の位置情報を標示装置20と無線又は有線で接続されたサーバ10送信する位置情報送信ステップと、サーバ10が、標示装置20から当該標示装置の位置情報を受信する位置情報受信ステップと、サーバ10が、インターネットを介して気象情報を取得する気象情報取得ステップと、サーバ10が、前記気象情報を細分化して詳細気象情報を作成する詳細気象情報作成ステップと、サーバ10が、前記詳細気象情報のうち各標示装置毎に位置情報に応じて選出した個別気象情報を含む標示装置別情報を作成する標示装置別情報作成ステップと、サーバ10が、前記標示装置別情報に基づいて第1のリモートアクセス信号を作成する第1のリモートアクセス信号作成ステップと、サーバ10が、各標示装置に前記第1のリモートアクセス信号を送信する第1のリモートアクセス信号送信ステップと、標示装置20が、サーバ10から前記第1のリモートアクセス信号を自動受信する第1のリモートアクセス受信ステップと、標示装置20が、前記第1のリモートアクセス信号に基づいて前記情報報知部を制御して気象に関する情報を周囲に報知する情報報知部制御ステップと、サーバ10が、標示装置20の環境測定部の制御を含む第2のリモートアクセス信号を作成する第2のリモートアクセス信号作成ステップと、サーバ10が、各標示装置に前記第2のリモートアクセス信号を送信する第2のリモートアクセス信号送信ステップと、標示装置20が、サーバ10から前記第2のリモートアクセス信号を自動受信する第2のリモートアクセス受信ステップと、標示装置20が、前記第2のリモートアクセス信号に基づいて前記環境測定部を制御して環境測定データを取得する環境測定データ取得ステップと、標示装置20が、サーバ10に前記環境測定データを送信する環境測定データ送信ステップと、サーバ10が、標示装置20から当該標示装置の前記環境測定データを受信する環境測定データ受信ステップと、を含む。
【0058】
{効果}
本発明の実施例2によれば、現場の人に確実にピンポイントでの情報を瞬時に伝達し、安全な環境を確保することが可能である標示装置システムを実現することができる。また、実施例1の効果に加え、サーバ側で標示装置の各部を遠隔操作できるので、リアルタイムの情報を必要なだけ必要な時に収集することができ、またより的確な注意を標示装置周辺にいる人たちに与えることができる。また、地理情報だけでは分からない下水道の水利情報に基づいた注意を喚起できるため、下水道の出水による事故を、避難勧告等で効果的に防止できる。
【実施例3】
【0059】
本発明の実施例3は、実施例1に加え、標示装置のGPSが自己の位置情報として緯度・経度だけでなく高度のデータも取得し、標示装置から自己の緯度及び経度のほか高度についても位置情報としてサーバへ送信する手段を有する。本実施例では、サーバが、大雨又は洪水に関する注意報又は警報についての詳細気象情報が含まれるエリアに位置する標示装置から一定範囲内の緯度及び経度でかつ当該標示装置よりも低い高度の位置情報を有する標示装置をデータベース上で検索する手段と、検索でヒットした標示装置に対しては当該注意報又は警報についての詳細気象情報が含まれるエリア外であっても洪水の注意を喚起するリモートアクセス信号を送信する手段とを有する。
【0060】
本実施例によれば、実施例1の効果に加え、集中豪雨などの場合に、豪雨が発生している位置以外でも土地の高低差から被害が及ぶと考えられる場所にある標示装置に、情報をいち早く知ることができ、工事車両等の車の移動や避難を促すことができ、被害を抑えることができる。
【0061】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、その発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々と変形実施が可能である。また、上記各実施の形態の構成要素を発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に組み合わせることができる。例えば、上記実施例において、環境測定データとして、道路渋滞データを含むものと作業進捗状況データを含むものを挙げたが、両方のデータを含んでもよい。
【符号の説明】
【0062】
10 サーバ
20 標示装置
21 スピーカ
22 回転灯
23 騒音計
24 振動計
25 温度計
26 湿度計
27 風速計
28 カメラ
29 標示板
40 気象庁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星測位システム機能を有し情報報知部を有する複数の標示装置と、前記標示装置と無線又は有線で接続され各標示装置に対しリモートアクセスを行うサーバと、を有する標示装置システムであって、
前記サーバが、前記標示装置から当該標示装置の位置情報を含む個別現状データを自動受信する個別現状データ受信手段と、インターネットを介して気象情報を取得する気象情報取得手段と、前記気象情報を細分化して詳細気象情報を作成する詳細気象情報作成手段と、前記詳細気象情報のうち各標示装置毎に当該標示装置の位置情報に応じて選出した個別気象情報を含む標示装置別情報を作成する標示装置別情報作成手段と、前記標示装置別情報に基づいてリモートアクセス信号を作成するリモートアクセス信号作成手段と、各標示装置に前記リモートアクセス信号を自動送信するリモートアクセス信号送信手段と、を有し、
前記標示装置が、前記サーバから前記リモートアクセス信号を自動受信するリモートアクセス受信手段と、前記リモートアクセス信号に基づいて前記情報報知部を制御して前記標示装置の周囲に気象情報を報知させる情報報知部制御手段と、自己の位置情報を含む個別現状データを前記サーバに自動送信する個別現状データ送信手段と、を有することを特徴とする標示装置システム。
【請求項2】
前記情報報知部が、標示板及び/又はスピーカー及び/又は回転灯を含み、前記リモートアクセス信号が、文字表示制御信号及び/又は音声発生制御信号及び/又は点灯制御信号を含むことを特徴とする請求項1記載の標示装置システム。
【請求項3】
前記リモートアクセス信号作成手段が、前記標示装置別情報の緊急度を判定し、緊急度に応じたリモートアクセス信号を作成することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の標示装置システム。
【請求項4】
前記標示装置が、当該標示装置周辺の環境を測定する環境測定部を有し、前記個別現状データが、前記位置情報に代えて又は前前記位置情報に加え、前記環境測定部により測定された環境測定データを含み、
前記サーバが、さらに、前記環境測定データが異常値データを含むか判断する手段と、異常値データの送信元である標示装置から一定範囲内に位置する標示装置を抽出して注意喚起対象とする手段とを有し、前記注意喚起対象とされた標示装置に送信するリモートアクセス信号が、前記異常値データに基づいたリモートアクセス信号を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の標示装置システム。
【請求項5】
前記環境測定部が、温度計及び/又は湿度計及び/又は風速計及び/又は騒音計及び/又は振動計を含み、前記環境測定データが、温度及び/又は湿度及び/又は風速及び/又は騒音値及び/又は振動値のデータを含むことを特徴とする請求項4に記載の標示装置システム。
【請求項6】
前記環境測定部が、カメラを含み、前記環境測定データが、道路渋滞データ及び/又は作業進捗状況データを含むことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の標示装置システム。
【請求項7】
前記リモートアクセス信号作成手段が、前記標示装置の環境測定部の制御を含むリモートアクセス信号を作成するものであり、かつ、前記標示装置が前記リモートアクセス信号に基づいて前記情報報知環境測定部を制御することを特徴とする請求項4から請求項6のいずれかに記載の標示装置システム。
【請求項8】
前記サーバが、さらに、各標示装置から受信した位置情報が別の地点の下水量により出水する範囲にあるかを判断する手段を有し、前記個別気象情報には、受信した位置情報が別の地点の下水量により出水する範囲にある場合に、各標示装置の位置情報に対する詳細気象情報のほか、当該別の地点における雨又は洪水に関する注意報又は警報についての詳細気象情報を含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の標示装置システム。
【請求項9】
前記サーバが、さらに、各標示装置から受信した位置情報が河川の流域となる範囲にあるかを判断する手段を有し、前記個別気象情報には、受信した位置情報が河川の流域となる範囲にある場合に、各標示装置の位置情報に対する詳細気象情報のほか、当該標示装置の位置の上流における雨又は洪水に関する注意報又は警報についての詳細気象情報を含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の標示装置システム。
【請求項10】
衛星測位システム機能を有し情報報知部及び環境測定部を有する複数の標示装置で気象情報を前記標示装置の周囲に報知し、さらに前記標示装置から周辺の環境情報を取得する方法であって、
前記標示装置が、自己の位置情報を前記標示装置と無線又は有線で接続されたサーバに送信する位置情報送信ステップと、
前記サーバが、前記標示装置から当該標示装置の位置情報を受信する位置情報受信ステップと、
前記サーバが、インターネットを介して気象情報を取得する気象情報取得ステップと、
前記サーバが、前記気象情報を細分化して詳細気象情報を作成する詳細気象情報作成ステップと、
前記サーバが、前記詳細気象情報のうち各標示装置毎に位置情報に応じて選出した個別気象情報を含む標示装置別情報を作成する標示装置別情報作成ステップと、
前記サーバが、前記標示装置別情報に基づいて第1のリモートアクセス信号を作成する第1のリモートアクセス信号作成ステップと、
前記サーバが、各標示装置に前記第1のリモートアクセス信号を送信する第1のリモートアクセス信号送信ステップと、
前記標示装置が、前記サーバから前記第1のリモートアクセス信号を自動受信する第1のリモートアクセス受信ステップと、
前記標示装置が、前記第1のリモートアクセス信号に基づいて前記情報報知部を制御して気象に関する情報を周囲に報知する情報報知部制御ステップと、
前記サーバが、標示装置の環境測定部の制御を含む第2のリモートアクセス信号を作成する第2のリモートアクセス信号作成ステップと、
前記サーバが、各標示装置に前記第2のリモートアクセス信号を送信する第2のリモートアクセス信号送信ステップと、
前記標示装置が、前記サーバから前記第2のリモートアクセス信号を自動受信する第2のリモートアクセス受信ステップと、
前記標示装置が、前記第2のリモートアクセス信号に基づいて前記環境測定部を制御して環境測定データを取得する環境測定データ取得ステップと、
前記標示装置が、前記サーバに前記環境測定データを送信する環境測定データ送信ステップと、
前記サーバが、前記標示装置から当該標示装置の前記環境測定データを受信する環境測定データ受信ステップと、
を含むことを特徴とする気象情報報知方法。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−68883(P2012−68883A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212863(P2010−212863)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【特許番号】特許第4705196号(P4705196)
【特許公報発行日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(505358521)株式会社テントー標識 (2)
【Fターム(参考)】