標高モデル生成装置、標高モデル生成方法および標高モデル生成プログラム
【課題】航空機、人工衛星等の移動プラットフォームに搭載した合成開口レーダによって取得した画像データ及び地表面表層データ(地物を含んだ標高)を使って、地物を抽出及び除去して、地表面標高データ(地物を除いた標高)を作成する。
【解決手段】データ格納部110は画像データ及び地表面表層データを複数セルに分割して、セル毎に画像データの強度情報と地表表層データの高度情報を記憶装置190に格納する。データ選択部120は所定の強度以上のセルを抽出する。地物背面セル選択部130はデータ取得時の撮像方向を参照して、地物背面セルを選択する。地物セル生成部140はデータ選択部120が抽出したセルと地物背面セル選択部130が選択した地物背面セルとをもとに地物の輪郭線を生成する。データ置換部150は地物セルの標高データを地物セル周辺の標高データの平均値に置換して地表面標高データを生成する。
【解決手段】データ格納部110は画像データ及び地表面表層データを複数セルに分割して、セル毎に画像データの強度情報と地表表層データの高度情報を記憶装置190に格納する。データ選択部120は所定の強度以上のセルを抽出する。地物背面セル選択部130はデータ取得時の撮像方向を参照して、地物背面セルを選択する。地物セル生成部140はデータ選択部120が抽出したセルと地物背面セル選択部130が選択した地物背面セルとをもとに地物の輪郭線を生成する。データ置換部150は地物セルの標高データを地物セル周辺の標高データの平均値に置換して地表面標高データを生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、航空機、人工衛星等の移動プラットフォームに搭載した合成開口レーダによって取得した画像データ及び地表面表層データを使って、地物を除く地表面の標高を示す地表面標高データを生成する標高モデル生成装置、標高モデル生成方法および標高モデル生成プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の標高モデル生成装置は、航空機レーザー測量によって取得した地物を含む表層の標高を示す地表面表層データ(DSM:Digital Surface Model)に対してメッシュによる細分化により地表面のセル化を行い、隣接するセル間の標高差に基づいて傾斜角を算出し、傾斜角が所定値以上の部分に囲まれたセルを地物として判定していた。また、従来の標高モデル生成装置は地物を近似化した多面体モデル(ポリゴンメッシュともいう。以下、地物の多面体モデルを地物ポリゴンとする)を生成し、この地物ポリゴンに基づいて地表面表層データに対する地物のフィルタリング処理を行い、地表面標高データ(DEM:Digital Elevation Model)を生成していた(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−236019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来の標高モデル生成装置が利用している航空機レーザー測量によって取得できる地表面表層データはメッシュ間隔を1〜2mとした場合に誤差15cm程度という高い精度を持つ標高データを表す。このため、前記従来の標高モデル生成装置は地上の建造物等の地物形状を高精度に抽出することができ、地物をフィルタリングした地表面標高データを生成することができる。
一方、地表面表層データに加えて地表の画像化に用いることができる画像データを取得することが可能な合成開口レーダ(SAR:Synthetic Aperture Radar)を用いる場合、合成開口レーダによって取得できる地表面表層データは標高精度が数m程度と航空機レーザー測量によって取得できる地表面表層データに比べて低い。加えて、合成開口レーダによる地表面表層データは、平滑化処理を経て生成されるため、輪郭(エッジ)がなまった形状の地物を示す。このため、合成開口レーダによる地表面表層データは、航空機レーザー測量による地表面表層データに比べて、実際と異なる地物形状を示す。
このため、従来の標高モデル生成装置において地表面を画像化するために合成開口レーダにより地表面表層データを取得した場合、地表面表層データから除去する地物を抽出することが難しく、地物ポリゴンの生成が困難であり、高精度の地表面標高データを生成することができなかった。
【0004】
本発明は、例えば、上記のような課題を解決するためになされたもので、合成開口レーダによって取得した地表面表層データから地物を抽出及び除去して地表面標高データを作成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の標高モデル生成装置は、電磁波を地表に向けて照射して地表からの反射波を観測したレーダ観測データであり、地物を含む表層の標高を示す地表面表層データと地表からの反射波の強度を示す画像データとを含むレーダ観測データに基づいて、地物を除く地表面の標高を示す地表面標高データを生成する標高モデル生成装置であり、前記画像データが示す地表からの反射波の強度に基づいて当該地表部分における地物の有無を特定する地表特定部であり、前記画像データに基づいて地物の輪郭の一部分として反射波の強度が所定値以上である地表部分をCPU(Central Proccessing Unit)を用いて特定する地表特定部と、前記地表特定部の特定結果に基づいて地表面の標高の算出対象となる地表部分を特定する標高算出部分特定部であり、前記地表特定部が特定した地物の輪郭の一部分と電磁波の照射方向との関係に基づいて当該地物の形成範囲を地表面の標高の算出対象となる地表部分としてCPUを用いて特定する標高算出部分特定部と、前記地表面表層データが示す表層の標高に基づいて前記標高算出部分特定部が特定した地表部分における地表面の標高を算出して前記地表面標高データを生成する標高算出部であり、前記標高算出部分特定部が特定した地物の形成範囲の周辺における表層の標高をCPUを用いて前記地表面表層データから抽出し、抽出した地物の形成範囲の周辺における表層の標高に基づいて地物の形成範囲における地表面の標高をCPUを用いて算出して前記地表面標高データを生成する標高算出部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、例えば、地表特定部が画像データの示す地表からの反射波の強度に基づいて地物の輪郭を特定し、標高算出部分特定部が地物の輪郭とレーダ観測時の電磁波の照射方向とに基づいて地物の形成範囲を特定することにより、合成開口レーダによって取得した地表面表層データから地物を抽出及び除去して高精度の地表面標高データを作成することができる。地表面標高データは洪水による被害のシミュレーションやシミュレーションに基づくハザードマップの作成や空港周辺の障害物の検知などに利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における標高モデルの概要を示す図である。
実施の形態1において、後述する標高モデル生成装置100は、図1(a)の標高モデルに示すように地物を含めた表層の標高を示す地表面表層データ(地物の標高データ)と後述する画像データとに基づいて、図1(b)の標高モデルに示すように地物を除いた地表面の標高を示す地表面標高データ(地表面の標高データ)を生成する。
図1(a)に示す地表面表層データは、航空機や人工衛星等の移動プラットフォームに搭載した合成開口レーダにより、電磁波(電波または光波)を斜め下方の地表に向けて照射し、地表(地表面または地物)で反射して後方散乱した反射波を受信して観測したレーダ観測データである。合成開口レーダを用いたレーダ観測では、電磁波を照射してから反射波を受信するまでの照射波の往復時間や反射波の電力・振幅を示す反射波の強度などが観測される。そして、合成開口レーダを用いたレーダ観測では、照射波の往復時間が示す合成開口レーダと地表との距離などに基づいて地物の標高データである地表面表層データが生成され、受信した反射波の強度に基づいて地表を画像化した画像データが生成される。合成開口レーダを用いたレーダ観測では、地表で後方散乱した反射波を観測するため、地物の裏側の照射波が届かない陰部分や海、川、湖など照射波が鏡面反射して後方散乱しない鏡面反射部分についての観測精度が落ちる。
【0008】
以下において、地物を含む表層の標高を示す地表面表層データと地表からの反射波の強度を示す画像データとを含むレーダ観測データに基づいて、地物を除く標高を示す地表面標高データを生成する標高モデル生成装置100、標高モデル生成方法、標高モデル生成プログラムについて説明する。
【0009】
図2は、実施の形態1における標高モデル生成装置100の構成図である。
図2において、標高モデル生成装置100はデータ格納部110、データ選択部120、地物背面セル選択部130、地物セル生成部140、データ置換部150および記憶装置190を備える。
データ格納部110は、画像データ及び地表面表層データを入力機器から入力し、入力した画像データ及び地表面表層データに対してメッシュによる細分化により地表面をセル化し、セル化した画像データの強度情報と地表面表層データの標高情報とを標高・強度データとして記憶装置190に格納する。
データ選択部120は標高・強度データから所定の強度以上のセルを地物の輪郭の一部分として抽出する。
地物背面セル選択部130は、画像データ及び地表面表層データが取得された際の撮像方向(レーダからの電磁波の照射方向)を入力機器から入力し、入力した撮像方向を参照して地物の陰部分を示す地物背面セルを選択する。
地物セル生成部140は、データ選択部120が抽出したセルと、地物背面セル選択部130が選択した地物背面セルとをもとに地物の形成範囲を示す地物の輪郭線を生成する。
データ置換部150は地物セル生成部140が生成した地物の輪郭線内に位置する地物セルの標高データを地物セル周辺の標高データの平均値に置換して地表面標高データを生成し、生成した地表面標高データを出力機器に出力する。
【0010】
実施の形態1における標高モデル生成装置100は、電磁波を斜め下方の地表に向けて照射して地表からの反射波を観測したレーダ観測データであり、地物を含む表層の標高を示す地表面表層データと地表からの反射波の強度を示す画像データとを含むレーダ観測データに基づいて、地物を除く地表面の標高を示す地表面標高データを生成する装置であり、以下の点を特徴とする。
データ選択部120は、前記画像データが示す地表からの反射波の強度に基づいて当該地表部分における地物の有無を特定する地表特定部であり、前記画像データに基づいて地物の輪郭の一部分として反射波の強度が所定値以上である地表部分をCPU(Central Proccessing Unit)を用いて特定する。
地物背面セル選択部130と地物セル生成部140とは、データ選択部120の特定結果に基づいて地表面の標高の算出対象となる地表部分を特定する標高算出部分特定部であり、データ選択部120が特定した地物の輪郭の一部分と電磁波の照射方向との関係に基づいて当該地物の形成範囲を地表面の標高の算出対象となる地表部分としてCPUを用いて特定する。
データ置換部150は、前記地表面表層データが示す表層の標高に基づいて地物背面セル選択部130と地物セル生成部140とが特定した地表部分における地表面の標高を算出して前記地表面標高データを生成する標高算出部であり、地物背面セル選択部130と地物セル生成部140とが特定した地物の形成範囲の周辺における表層の標高をCPUを用いて前記地表面表層データから抽出し、抽出した地物の形成範囲の周辺における表層の標高に基づいて地物の形成範囲における地表面の標高をCPUを用いて算出して前記地表面標高データを生成する。
【0011】
図3は、実施の形態における標高モデル生成装置100のハードウェア資源の一例を示す図である。
図3において、標高モデル生成装置100は、プログラムを実行するCPU911(Central・Processing・Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう)を備えている。CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、通信ボード915、表示装置901、キーボード902、マウス903、FDD904(Flexible・Disk・Drive)、CDD905(コンパクトディスク装置)、プリンタ装置906、スキャナ装置907、磁気ディスク装置920と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。磁気ディスク装置920の代わりに、光ディスク装置、メモリカード読み書き装置などの記憶装置でもよい。
RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913、FDD904、CDD905、磁気ディスク装置920の記憶媒体は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶機器、記憶装置あるいは記憶部の一例である。
通信ボード915、キーボード902、スキャナ装置907、FDD904などは、入力機器、入力装置あるいは入力部の一例である。また、入力データが記憶されている記憶装置は入力機器、入力装置あるいは入力部の一例である。
また、通信ボード915、表示装置901、プリンタ装置906などは、出力機器、出力装置あるいは出力部の一例である。また、出力データが記憶されている記憶装置は入力機器、入力装置あるいは入力部の一例である。
【0012】
通信ボード915は、有線または無線により、LAN、インターネット、WAN(ワイドエリアネットワーク)などに接続されている。
【0013】
磁気ディスク装置920には、OS921(オペレーティングシステム)、ウィンドウシステム922、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923のプログラムは、CPU911、OS921、ウィンドウシステム922により実行される。
【0014】
上記プログラム群923には、各実施の形態において「〜部」として説明する機能を実行するプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
【0015】
ファイル群924には、各実施の形態において、「〜部」の機能を実行した際の「〜の判定結果」、「〜の計算結果」、「〜の処理結果」などの結果データ、「〜部」の機能を実行するプログラム間で受け渡しするデータ、その他の情報やデータや信号値や変数値やパラメータが、「〜ファイル」や「〜データベース」の各項目として記憶されている。画像データ、地表面表層データ、撮像方向データ、標高・強度データ、地表面標高データはファイル群924に含まれるものの一例である。
「〜ファイル」や「〜データベース」は、ディスクやメモリなどの記録媒体に記憶される。ディスクやメモリなどの記憶媒体に記憶された情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU911によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示などのCPUの動作に用いられる。抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示のCPUの動作の間、情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、メインメモリやキャッシュメモリやバッファメモリに一時的に記憶される。
また、実施の形態において説明するフローチャートの矢印の部分は主としてデータや信号の入出力を示し、データや信号値は、RAM914のメモリ、FDD904のフレキシブルディスク、CDD905のコンパクトディスク、磁気ディスク装置920の磁気ディスク、その他光ディスク、ミニディスク、DVD(Digital・Versatile・Disc)等の記録媒体に記録される。また、データや信号値は、バス912や信号線やケーブルその他の伝送媒体によりオンライン伝送される。
【0016】
また、各実施の形態において「〜部」として説明するものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」、「〜手段」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。すなわち、「〜部」として説明するものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等の記録媒体に記憶される。プログラムはCPU911により読み出され、CPU911により実行される。すなわち、標高モデル生成プログラムは、「〜部」としてコンピュータを機能させるものである。あるいは、「〜部」の手順や方法をコンピュータに実行させるものである。
【0017】
図4は、実施の形態1における標高モデル生成方法を示す標高モデル生成処理のフローチャートである。
図5〜図12は、実施の形態1における標高・強度データの一例を示す図である。
図13は、実施の形態1における地表面標高データの一例を示す図である。
実施の形態1における標高モデル生成方法として、標高モデル生成装置100が実行する標高モデル生成処理について、図4〜図13に基づいて以下に説明する。
各「〜部」は以下に説明する標高モデル生成処理をCPUを用いて実行する。
標高モデル生成プログラムは以下に説明する標高モデル生成方法をコンピュータに実行させる。
【0018】
<S101:地表セル化処理>
図4において、データ格納部110は画像データと地表面表層データとに基づいて標高・強度データを生成して記憶装置190に格納する。
このとき、データ格納部110は、まず、合成開口レーダによって取得された画像データと地表面表層データとを入力機器から入力する。画像データは合成開口レーダが電磁波を地表に向けて照射して観測した地表からの反射波の強度を示す。地表面表層データは地物を含む表層の標高を示す。次に、データ格納部110は入力した画像データと地表面表層データとに対してメッシュによる細分化により地表面をセル化する。そして、データ格納部110は画像データが示す各セルにおける反射波の強度と地表面表層データが示す各セルにおける地物を含む表層の標高とを標高・強度データ(レーダ観測データの一例)として記憶装置190に記憶する。
図5はデータ格納部110が生成した標高・強度データの一例を示す。データ格納部110は地表面標高データを生成する対象の地表部分を、例えば図5に示すように、縦横5×5のメッシュに分けた25のセルで表す。図5において、上段はデータ格納部110が地表面表層データから抽出した当該セルにおける地物を含む表層の標高をメートル(m)単位で示し、下段はデータ格納部110が画像データから抽出した当該セルにおける地表面及び地物からの反射波の強度をデシベル(dB)単位で示している。
【0019】
<S102:地表特定処理>
図4において、データ選択部120は標高・強度データから所定の強度以上のセルを地物輪郭セルとして選択する。
このとき、データ選択部120は、まず、記憶装置190からデータ格納部110が生成した標高・強度データを取得する。そして、データ選択部120は取得した標高・強度データにおいて反射波の強度が所定値以上であるセル群を地物の輪郭の一部分を示す地物輪郭セルとして選択する。S102において、データ選択部120は地物の輪郭の一部分として反射波の強度が所定値以上である地表部分を特定している。
図6は図5に示した標高・強度データに対してデータ選択部120が選択した地物輪郭セルを太枠で囲って示している。例えば、データ選択部120は、「20dB」を所定の強度として、反射波の強度が「20dB」以上である太枠内のセルを地物輪郭セルとして選択する。一般的に、地物は地表面より反射波の強度が強いため、データ選択部120が選択する反射波の強度が所定値以上であるセル群は地物の輪郭の一部分を表していると推定できる。
【0020】
<S103〜S104:標高算出部分特定処理>
<S103:地物背面セル選択処理>
図4において、地物背面セル選択部130は撮像方向に基づいて標高・強度データから所定の強度以下のセルを地物背面セルとして選択する。
このとき、地物背面セル選択部130は、まず、記憶装置190から標高・強度データを取得し、入力機器から撮像方向データを入力する。撮像方向データはデータ格納部110が入力した画像データと地表面表層データとが生成されたレーダ観測の際に合成開口レーダが電磁波を照射した方向を撮像方向として示す。そして、地物背面セル選択部130は、データ選択部120が選択した地物輪郭セルと撮像方向データが示す撮像方向との関係に基づいて、標高・強度データから地物輪郭セルに隣接し反射波の強度が所定値以下であるセル群を地物背面セルとして選択する。S103において、地物背面セル選択部130はデータ選択部120が特定した地物の輪郭の一部分の陰に位置するために電磁波が届かず反射波を観測できない地表部分を特定している。
図7は図5に示した標高・強度データに対して地物背面セル選択部130が選択した地物背面セルを太枠で囲って示している。例えば、地物背面セル選択部130は、「0dB」を所定の強度として、反射波の強度が「0dB」以下であり、撮像方向から見て地物の輪郭の背面に位置する太枠内のセルを地物背面セルとして選択する。撮像方向に対して地物が正対する方向を正面とすると、地物の背面は地物によりレーダからの電磁波が遮られるため、地物の背面には反射波の強度が著しく低下したシャドウが形成される。地物背面セル選択部130は、このシャドウを地物背面セルとして選択する。
【0021】
撮像方向を考慮することにより、地物の陰となる地表部分の他にも反射波の強度が所定値以下を示す地表部分(例えば、海、川、湖などの水面)が存在する場合であっても、地物背面セル選択部130は地物の陰部分を示す地物背面セルを正しく特定することができる。
データ選択部120が選択した地物輪郭セルの形状について、当該形状が地物の輪郭の少なくとも2辺を形成し地物の輪郭の一部分を形成するいずれの辺に対しても電磁波の水平面成分の照射方向(撮像方向))が直角を成さない「第一の場合」と、当該形状が地物の輪郭の1辺を形成し地物の輪郭の一部分を形成する1辺に対して電磁波の水平面成分の照射方向(撮像方向)が直角を成す「第二の場合」とに分けて、地物背面セル選択部130による地物背面セルの特定方法を以下に説明する。
【0022】
まず、「第一の場合」における地物背面セル選択部130による地物背面セルの特定方法について図8に基づいて説明する。
図8は、標高・強度データの一例として、反射波の強度が所定値以上であり地物の輪郭の一部分としてL字状に2辺を形成するB部分の地物輪郭セルと反射波の強度が所定値以下でありB部分の地物輪郭セルを挟んで存在するA部分のセルとC部分のセルとを示している。図8において電磁波の水平面成分の照射方向(撮像方向)がB部分のいずれの辺に対しても直角を成さないα方向の場合、地物背面セル選択部130はB部分からα方向に広がるC部分のセルを地物背面セルと特定する。また、図8において電磁波の水平面成分の照射方向(撮像方向)がB部分のいずれの辺に対しても直角を成さないβ方向の場合、地物背面セル選択部130はB部分からβ方向に広がるA部分のセルを地物背面セルと特定する。
【0023】
次に、「第二の場合」における地物背面セル選択部130による地物背面セルの特定方法について図9に基づいて説明する。
図9は、標高・強度データの一例として、反射波の強度が所定値以上であり地物の輪郭の一部分として直線状の1辺を形成するB部分の地物輪郭セルと反射波の強度が所定値以下でありB部分の地物輪郭セルを挟んで存在するA部分のセルとC部分のセルとを示している。図9において電磁波の水平面成分の照射方向(撮像方向)がB部分を形成する辺に対して直角を成すα方向の場合、地物背面セル選択部130はB部分からα方向に広がるC部分のセルを地物背面セルと特定する。また、図9において電磁波の水平面成分の照射方向(撮像方向)がB部分を形成する辺に対して直角を成すβ方向の場合、地物背面セル選択部130はB部分からβ方向に広がるA部分のセルを地物背面セルと特定する。
【0024】
<S104:地物セル生成処理>
図4において、地物セル生成部140はデータ選択部120の選択した地物輪郭セルと地物背面セル選択部130の選択した地物背面セルとに基づいて地物セルを選択する。
このとき、地物セル生成部140は、まず、記憶装置190から標高・強度データを取得する。次に、地物セル生成部140はデータ選択部120が選択した地物輪郭セルに基づいて地物背面セル選択部130が選択した地物背面セルのうち地物を形成するセルを選択する。そして、地物セル生成部140はデータ選択部120が選択した地物輪郭セルと地物背面セルから選択した地物を形成するセルとを当該地物の形成範囲を示す地物セルとして特定する。
【0025】
図10、図11、図12は図6に示した地物輪郭セルと図7に示した地物背面セルとに基づいて地物セル生成部140が選択した地物セルを太枠で囲って示している。この太枠は地物セル生成部140が地物のシャドウにより欠損した地物の輪郭を復元して生成した地物の輪郭線を示している。
例えば、地物セル生成部140は、地物がデータ選択部120の選択した地物輪郭セルを少なくとも1辺とする四角形を形成するように、地物背面セル選択部130が選択した地物背面セルから地物を形成するセルを選択して地物セルを特定する。この例において地物セル生成部140が特定した地物セルを図10に示す。図10において、地物セル生成部140は、地物が四角形を形成するように、図7に示す地物背面セルの一部を地物セルから除外している。
また例えば、地物セル生成部140はデータ選択部120が選択した地物輪郭セルの全セルと地物背面セル選択部130が選択した地物背面セルの全セルとを地物セルと特定する。この例において地物セル生成部140が特定した地物セルを図11に示す。図11において、地物セル生成部140は図7に示す地物背面セルを形成する全てのセルを地物セルとして選択している。
また例えば、地物セル生成部140は、地物がデータ選択部120の選択した地物輪郭セルを少なくとも1辺とする所定の形状を形成するように、所定の形状とのパターンマッチングにより、地物背面セル選択部130が選択した地物背面セルから地物を形成するセルを選択して地物セルを特定する。所定の形状がL字形である場合において地物セル生成部140が特定した地物セルを図12に示す。図12において、地物セル生成部140は、地物が所定の形状であるL字形を形成するように、図7に示す地物背面セルの一部を地物セルから除外している。
【0026】
地物セル生成部140は以下のような特徴を有する。
例えば、地物輪郭セルが地物の輪郭の少なくとも2辺を形成する場合、地物セル生成部140は地物輪郭セルを少なくとも2辺とし地物背面セルを含む領域を地物セルと特定する。
また例えば、地物輪郭セルが地物の輪郭の1辺を形成する場合、地物セル生成部140は地物輪郭セルを少なくとも1辺とし地物背面セルを含む領域を地物セルと特定する。
【0027】
<S105:標高算出処理>
図4において、データ置換部150は地物セル周辺の標高に基づいて地物セルの標高を置換する。
このとき、データ置換部150は、まず、記憶装置190から標高・強度データを取得する。次に、データ置換部150は地物セル生成部140が選択した地物セルの周辺のセルが示す標高に基づいて地物セル生成部140が選択した地物セルの標高を算出する。次に、データ置換部150は算出した標高を地物セル生成部140が選択した地物セルに設定して地表面標高データを生成する。そして、データ置換部150は生成した地表面標高データを出力機器に出力する。地表面標高データは地物を除く地表面の標高を示す。
図13は図5に示した標高・強度データに対してデータ置換部150が生成した地表面標高データを示している。図13において、太枠で示した地物セルの標高(単位:メートル[m])がデータ置換部150により算出された地物を除く地表面の標高を示している。例えば、データ置換部150は地物セルの周辺のセルが示す標高の平均値を地物セルにおける地物を除く地表面の標高として算出する。
【0028】
ここで、地物セルの周辺のセルとは、地物セルを囲む周囲幅1セルの範囲でもよいし、地物セルを囲む所定のセル数分の範囲でもよい。また、地物セルの周辺のセルは、図13に示すように、地物セルを囲む全周のセルでなくても構わない。
また、データ置換部150は地物セルの周辺のセルが示す標高の平均値以外の値を地物セルにおける地物を除く地表面の標高として算出しても構わない。例えば、データ置換部150は地物セルに近いセルの標高ほど重みを与える重み付け計算により地物セルにおける地物を除く地表面の標高を算出してもよい。例えば、地物セルに隣接する周囲のセルの標高が「80.5m」で、さらにその外側に位置する周囲のセルの標高が「80.1m」である場合、データ置換部150は、「80.5m」と「80.1m」の平均値である「80.3m」ではなく、地物セルに隣接する周囲幅1セルの標高「80.5m」に近い「80.4m」を地物セルにおける地物を除く地表面の標高として算出する。また例えば、データ置換部150は地物セルの周辺のセル間における標高の変化に応じて地物セルにおける地物を除く地表面の標高を算出しても構わない。例えば、地物セルに隣接する周囲のセルの標高が「80.5m」で、さらにその外側に位置する周囲のセルの標高が「80.1m」である場合、データ置換部150は地物セルの周辺のセル間における標高の変化として外側に位置する周囲のセルの標高「80.1m」に対する地物セルに隣接する周囲のセルの標高「80.5m」の標高差「0.4m」を算出し、算出した標高差「0.4m」を地物セルに隣接する周囲のセルの標高「80.5m」に加えた「80.9m」を地物セルにおける地物を除く地表面の標高として算出する。
【0029】
以上のように、実施の形態1における標高モデル生成装置100は、合成開口レーダによって取得された地表面表層データから地物を抽出及び除去して、高精度な地表面標高データを作成することができる。
【0030】
実施の形態1において以下のような標高モデル生成装置100を説明した。
実施の形態1における標高モデル生成装置100は、航空機、人工衛星等の移動プラットフォームに搭載した合成開口レーダによって取得した画像データ及び地表面表層データを使って、地物を抽出及び除去して、地表面標高データを作成する。
実施の形態1における標高モデル生成装置100はデータ格納部110、データ選択部120、地物背面セル選択部130、地物セル生成部140、データ置換部150を備える。データ格納部110は画像データ及び地表面表層データをメッシュに分割して、各セル毎に画像データの強度情報と地表表層データの高度情報を格納する。データ選択部120は所定の強度以上のセルを抽出する。地物背面セル選択部130はデータ取得時の撮像方向を参照して地物背面セルを選択する。地物セル生成部140はデータ選択部120が抽出したセルと地物背面セル選択部130が選択した地物背面セルをもとに地物の輪郭線を生成する。データ置換部150は地物セルの標高データを地物セル周辺の標高データの平均値に置換する。
【0031】
実施の形態2.
実施の形態1では地物セル生成部140がデータ選択部120の選択した地物輪郭セルと撮像方向との関係に基づいて地物を除く地表面の標高の算出対象とする地物セルを選択する形態について説明した。
実施の形態2では地物セル生成部140がデータ選択部120の選択した地物輪郭セルが成す形状に基づいて地物セルを選択する形態について説明する。
以下、実施の形態1と異なる事項を中心に説明し、説明しない事項については実施の形態1と同様であるものとする。
【0032】
図14は、実施の形態2における標高モデル生成方法を示す標高モデル生成処理のフローチャートである。
実施の形態2における標高モデル生成方法として、標高モデル生成装置100が実行する標高モデル生成処理について、図14に基づいて以下に説明する。また、実施の形態1で説明した図4、図6、図8、図9を以下の説明において参照する。
各「〜部」は以下に説明する標高モデル生成処理をCPUを用いて実行する。
標高モデル生成プログラムは以下に説明する標高モデル生成方法をコンピュータに実行させる。
【0033】
<S201:地表セル化処理>
図14において、S201は実施の形態1におけるS101(図4参照)と同様である。
【0034】
<S202:地表特定処理>
図14において、S202は実施の形態1におけるS102(図4参照)と同様である。
【0035】
<S203〜S204:標高算出部分特定処理>
<S203:地物背面セル選択処理>
図14において、S203は実施の形態1におけるS103(図4参照)に相当する。
S203において、地物背面セル選択部130は標高・強度データから地物輪郭セルに隣接し反射波の強度が所定値以下であるセル群を地物背面セルとして選択する。
このとき、地物背面セル選択部130は撮像方向を考慮せず、地物輪郭セルに隣接し反射波の強度が所定値以下である全てのセルを地物背面セルとして選択する。但し、図8や図9に示したように反射波の強度が所定値以下であるセル群が複数存在し、そのうちのいずれかのセル群のみが地物の陰部分である場合もあるため、実施の形態1に示したように地物背面セル選択部130は撮像方向を考慮して地物背面セルを選択するのが好ましい。また、地物背面セル選択部130は地物輪郭セルに隣接し反射波の強度が所定値以下であるセル群が複数存在する場合には実施の形態1に示したように撮像方向を考慮して地物背面セルを選択し、地物輪郭セルに隣接し反射波の強度が所定値以下であるセル群が1群のみ存在する場合には撮像方向を考慮せずに当該セル群を地物背面セルとして選択してもよい。
【0036】
<S204:地物セル生成処理>
図14において、S204は実施の形態1におけるS104(図4参照)と同様である。
実施の形態2における地物セル生成部140は以下のような特徴を有する。
地物セル生成部140は地物輪郭セルの形状に基づいて地物セルを特定する。
例えば、地物輪郭セルが地物の輪郭の少なくとも2辺を形成する場合、地物セル生成部140は地物輪郭セルを少なくとも2辺とする領域を地物セルと特定する。特に、地物セル生成部140は地物輪郭セルを少なくとも2辺とし地物背面セルを含む領域を地物セルと特定する。
また例えば、地物輪郭セルが地物の輪郭の1辺を形成する場合、地物セル生成部140は地物輪郭セルを少なくとも1辺とし地物背面セルを含む領域を地物セルと特定する。
つまり、実施の形態2における地物セル生成部140は、図6に示した地物輪郭セルを2辺とする四角形の領域を図10に示したように地物セルとして選択したり、図6に示した地物輪郭セルを2辺とする所定の形状の領域を図13に示したように地物セルとして選択したりする。このとき、地物セル生成部140は、反射波の強度が所定値以下のセルであるか否かに関わらず、地物輪郭セルを少なくとも2辺とする四角形の領域や所定の形状の領域を形成するセルを地物セルと特定しても構わない。つまり、実施の形態2における標高モデル生成装置100は地物背面セル選択部130による地物背面セル選択処理(S203)を実行しなくても構わない。
【0037】
<S205:標高算出処理>
図14において、S205は実施の形態1におけるS105(図4参照)と同様である。
【0038】
以上のように、実施の形態2における標高モデル生成装置100は、撮像方向を考慮せずに地物セルを選択しても高精度な地表面標高データを生成することができる。
【0039】
実施の形態3.
実施の形態1や実施の形態2ではデータ選択部120が標高・画像データに基づいて反射波の強度が所定値以上である地物輪郭セルを選択し、地物セル生成部140がデータ選択部120の選択した地物輪郭セルに基づいて地物の形成範囲を示す地物セルを選択し、データ置換部150が地物セル生成部140の選択した地物の形成範囲を示す地物セルにおける地表面の標高を算出する形態について説明した。
実施の形態3ではデータ選択部120が反射波の強度が地物の存在を示す第一の所定値より小さく反射波の観測がされなかった地表部分を示す第二の所定値より大きい地表面セルを選択し、地物セル生成部140がデータ選択部120の選択した地表面セル以外のセルを地表面の標高の算出対象とする地物セルとして選択し、データ置換部150が地物セル生成部140の選択した地表面の標高の算出対象である地物セルにおける地表面の標高を算出する形態について説明する。
つまり、実施の形態1や実施の形態2では地物の形成範囲を特定し、地物の形成範囲について地表面の標高を算出したが、実施の形態3では地表面の範囲を特定し、特定した地表面以外の範囲について地表面の標高を算出する。
以下、実施の形態1や実施の形態2と異なる事項を中心に説明し、説明しない事項については実施の形態1や実施の形態2と同様であるものとする。
【0040】
図15は、実施の形態3における標高モデル生成方法を示す標高モデル生成処理のフローチャートである。
図16、図17は、実施の形態3における標高・強度データの一例を示す図である。
実施の形態3における標高モデル生成方法として、標高モデル生成装置100が実行する標高モデル生成処理について、図15〜図17に基づいて以下に説明する。また、実施の形態1で説明した図4、図5を以下の説明において参照する。
各「〜部」は以下に説明する標高モデル生成処理をCPUを用いて実行する。
標高モデル生成プログラムは以下に説明する標高モデル生成方法をコンピュータに実行させる。
【0041】
<S301:地表セル化処理>
図15において、S301は実施の形態1におけるS101(図4参照)と同様である。
【0042】
<S302:地表特定処理>
図15において、S302は実施の形態1におけるS102(図4参照)に相当する。
S302において、データ選択部120は標高・強度データから所定の強度範囲のセルを地表面セルとして選択する。
ここで、所定の強度範囲とは、実施の形態1においてデータ選択部120が地物輪郭セルを選択する際に基準とした所定の強度(第一の所定値)より小さく、実施の形態1において地物背面セル選択部130が地物背面セルを選択する際に基準とした所定の強度(第二の所定値)より大きい反射波の強度を示す。つまり、実施の形態3におけるデータ選択部120は地物輪郭セルにも地物背面セルにも相当しないセルを地物が存在しない地表面を示す地表面セルとして特定する。
図16は図5に示した標高・強度データに対して実施の形態3におけるデータ選択部120が選択した地表面セルを太枠で囲って示している。例えば、実施の形態3におけるデータ選択部120は、「0dB(第二の所定値)<X<20dB(第一の所定値)」の関係を示すXを所定の強度範囲として太枠内のセルを地表面セルとして選択する。
【0043】
<S303:地物セル生成処理、標高算出部分特定処理>
図15において、S303は実施の形態1におけるS104(図4参照)に相当する。
S303において、地物セル生成部140はデータ選択部120の選択した地表面セルに基づいて地物セルを選択する。
このとき、地物セル生成部140はデータ選択部120の選択した地表面セル以外のセルを地物セルとして選択する。
図17は図5に示した標高・強度データに対して実施の形態3における地物セル生成部140が選択した地物セルを太枠で囲って示している。図17において、反射波の強度(下段の値)が「0dB」を示すセルは反射波が観測されなかった部分であるため、当該セルが示す標高(上段の値)は周辺の標高に基づいて平滑化処理によって推定されている。このため、当該セルの示す標高が周辺に位置する地物の標高の影響を受けて実際より高い標高を示している場合も考えられる。そこで、実施の形態3における地物セル生成部140は地表面セル以外のセルを地物を除く地表面の標高の算出対象とする地物セルとして選択する。
【0044】
<S304:標高算出処理>
図15において、S304は、実施の形態1におけるS105(図4参照)と同様に、地物セル生成部140の選択した地物セルの地表面の標高を算出して地表面標高データを生成する。
【0045】
以上のように、実施の形態3における標高モデル生成装置100は、反射波が観測されず周辺の標高に基づいて推定され周辺の地物の影響を受けて実際より高い標高を示す部分についても高精度に地表面の標高を算出し、高精度の地表面標高データを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施の形態1における標高モデルの概要を示す図。
【図2】実施の形態1における標高モデル生成装置100の構成図。
【図3】実施の形態1における標高モデル生成装置100のハードウェア資源の一例を示す図。
【図4】実施の形態1における標高モデル生成方法を示す標高モデル生成処理のフローチャート。
【図5】実施の形態1における標高・強度データの一例を示す図。
【図6】実施の形態1における標高・強度データの一例を示す図。
【図7】実施の形態1における標高・強度データの一例を示す図。
【図8】実施の形態1における標高・強度データの一例を示す図。
【図9】実施の形態1における標高・強度データの一例を示す図。
【図10】実施の形態1における標高・強度データの一例を示す図。
【図11】実施の形態1における標高・強度データの一例を示す図。
【図12】実施の形態1における標高・強度データの一例を示す図。
【図13】実施の形態1における地表面標高データの一例を示す図。
【図14】実施の形態2における標高モデル生成方法を示す標高モデル生成処理のフローチャート。
【図15】実施の形態3における標高モデル生成方法を示す標高モデル生成処理のフローチャート。
【図16】実施の形態3における標高・強度データの一例を示す図。
【図17】実施の形態3における標高・強度データの一例を示す図。
【符号の説明】
【0047】
100 標高モデル生成装置、110 データ格納部、120 データ選択部、130 地物背面セル選択部、140 地物セル生成部、150 データ置換部、190 記憶装置、901 表示装置、902 キーボード、903 マウス、904 FDD、905 CDD、906 プリンタ装置、907 スキャナ装置、911 CPU、912 バス、913 ROM、914 RAM、915 通信ボード、920 磁気ディスク装置、921 OS、922 ウィンドウシステム、923 プログラム群、924 ファイル群。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、航空機、人工衛星等の移動プラットフォームに搭載した合成開口レーダによって取得した画像データ及び地表面表層データを使って、地物を除く地表面の標高を示す地表面標高データを生成する標高モデル生成装置、標高モデル生成方法および標高モデル生成プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の標高モデル生成装置は、航空機レーザー測量によって取得した地物を含む表層の標高を示す地表面表層データ(DSM:Digital Surface Model)に対してメッシュによる細分化により地表面のセル化を行い、隣接するセル間の標高差に基づいて傾斜角を算出し、傾斜角が所定値以上の部分に囲まれたセルを地物として判定していた。また、従来の標高モデル生成装置は地物を近似化した多面体モデル(ポリゴンメッシュともいう。以下、地物の多面体モデルを地物ポリゴンとする)を生成し、この地物ポリゴンに基づいて地表面表層データに対する地物のフィルタリング処理を行い、地表面標高データ(DEM:Digital Elevation Model)を生成していた(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−236019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来の標高モデル生成装置が利用している航空機レーザー測量によって取得できる地表面表層データはメッシュ間隔を1〜2mとした場合に誤差15cm程度という高い精度を持つ標高データを表す。このため、前記従来の標高モデル生成装置は地上の建造物等の地物形状を高精度に抽出することができ、地物をフィルタリングした地表面標高データを生成することができる。
一方、地表面表層データに加えて地表の画像化に用いることができる画像データを取得することが可能な合成開口レーダ(SAR:Synthetic Aperture Radar)を用いる場合、合成開口レーダによって取得できる地表面表層データは標高精度が数m程度と航空機レーザー測量によって取得できる地表面表層データに比べて低い。加えて、合成開口レーダによる地表面表層データは、平滑化処理を経て生成されるため、輪郭(エッジ)がなまった形状の地物を示す。このため、合成開口レーダによる地表面表層データは、航空機レーザー測量による地表面表層データに比べて、実際と異なる地物形状を示す。
このため、従来の標高モデル生成装置において地表面を画像化するために合成開口レーダにより地表面表層データを取得した場合、地表面表層データから除去する地物を抽出することが難しく、地物ポリゴンの生成が困難であり、高精度の地表面標高データを生成することができなかった。
【0004】
本発明は、例えば、上記のような課題を解決するためになされたもので、合成開口レーダによって取得した地表面表層データから地物を抽出及び除去して地表面標高データを作成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の標高モデル生成装置は、電磁波を地表に向けて照射して地表からの反射波を観測したレーダ観測データであり、地物を含む表層の標高を示す地表面表層データと地表からの反射波の強度を示す画像データとを含むレーダ観測データに基づいて、地物を除く地表面の標高を示す地表面標高データを生成する標高モデル生成装置であり、前記画像データが示す地表からの反射波の強度に基づいて当該地表部分における地物の有無を特定する地表特定部であり、前記画像データに基づいて地物の輪郭の一部分として反射波の強度が所定値以上である地表部分をCPU(Central Proccessing Unit)を用いて特定する地表特定部と、前記地表特定部の特定結果に基づいて地表面の標高の算出対象となる地表部分を特定する標高算出部分特定部であり、前記地表特定部が特定した地物の輪郭の一部分と電磁波の照射方向との関係に基づいて当該地物の形成範囲を地表面の標高の算出対象となる地表部分としてCPUを用いて特定する標高算出部分特定部と、前記地表面表層データが示す表層の標高に基づいて前記標高算出部分特定部が特定した地表部分における地表面の標高を算出して前記地表面標高データを生成する標高算出部であり、前記標高算出部分特定部が特定した地物の形成範囲の周辺における表層の標高をCPUを用いて前記地表面表層データから抽出し、抽出した地物の形成範囲の周辺における表層の標高に基づいて地物の形成範囲における地表面の標高をCPUを用いて算出して前記地表面標高データを生成する標高算出部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、例えば、地表特定部が画像データの示す地表からの反射波の強度に基づいて地物の輪郭を特定し、標高算出部分特定部が地物の輪郭とレーダ観測時の電磁波の照射方向とに基づいて地物の形成範囲を特定することにより、合成開口レーダによって取得した地表面表層データから地物を抽出及び除去して高精度の地表面標高データを作成することができる。地表面標高データは洪水による被害のシミュレーションやシミュレーションに基づくハザードマップの作成や空港周辺の障害物の検知などに利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における標高モデルの概要を示す図である。
実施の形態1において、後述する標高モデル生成装置100は、図1(a)の標高モデルに示すように地物を含めた表層の標高を示す地表面表層データ(地物の標高データ)と後述する画像データとに基づいて、図1(b)の標高モデルに示すように地物を除いた地表面の標高を示す地表面標高データ(地表面の標高データ)を生成する。
図1(a)に示す地表面表層データは、航空機や人工衛星等の移動プラットフォームに搭載した合成開口レーダにより、電磁波(電波または光波)を斜め下方の地表に向けて照射し、地表(地表面または地物)で反射して後方散乱した反射波を受信して観測したレーダ観測データである。合成開口レーダを用いたレーダ観測では、電磁波を照射してから反射波を受信するまでの照射波の往復時間や反射波の電力・振幅を示す反射波の強度などが観測される。そして、合成開口レーダを用いたレーダ観測では、照射波の往復時間が示す合成開口レーダと地表との距離などに基づいて地物の標高データである地表面表層データが生成され、受信した反射波の強度に基づいて地表を画像化した画像データが生成される。合成開口レーダを用いたレーダ観測では、地表で後方散乱した反射波を観測するため、地物の裏側の照射波が届かない陰部分や海、川、湖など照射波が鏡面反射して後方散乱しない鏡面反射部分についての観測精度が落ちる。
【0008】
以下において、地物を含む表層の標高を示す地表面表層データと地表からの反射波の強度を示す画像データとを含むレーダ観測データに基づいて、地物を除く標高を示す地表面標高データを生成する標高モデル生成装置100、標高モデル生成方法、標高モデル生成プログラムについて説明する。
【0009】
図2は、実施の形態1における標高モデル生成装置100の構成図である。
図2において、標高モデル生成装置100はデータ格納部110、データ選択部120、地物背面セル選択部130、地物セル生成部140、データ置換部150および記憶装置190を備える。
データ格納部110は、画像データ及び地表面表層データを入力機器から入力し、入力した画像データ及び地表面表層データに対してメッシュによる細分化により地表面をセル化し、セル化した画像データの強度情報と地表面表層データの標高情報とを標高・強度データとして記憶装置190に格納する。
データ選択部120は標高・強度データから所定の強度以上のセルを地物の輪郭の一部分として抽出する。
地物背面セル選択部130は、画像データ及び地表面表層データが取得された際の撮像方向(レーダからの電磁波の照射方向)を入力機器から入力し、入力した撮像方向を参照して地物の陰部分を示す地物背面セルを選択する。
地物セル生成部140は、データ選択部120が抽出したセルと、地物背面セル選択部130が選択した地物背面セルとをもとに地物の形成範囲を示す地物の輪郭線を生成する。
データ置換部150は地物セル生成部140が生成した地物の輪郭線内に位置する地物セルの標高データを地物セル周辺の標高データの平均値に置換して地表面標高データを生成し、生成した地表面標高データを出力機器に出力する。
【0010】
実施の形態1における標高モデル生成装置100は、電磁波を斜め下方の地表に向けて照射して地表からの反射波を観測したレーダ観測データであり、地物を含む表層の標高を示す地表面表層データと地表からの反射波の強度を示す画像データとを含むレーダ観測データに基づいて、地物を除く地表面の標高を示す地表面標高データを生成する装置であり、以下の点を特徴とする。
データ選択部120は、前記画像データが示す地表からの反射波の強度に基づいて当該地表部分における地物の有無を特定する地表特定部であり、前記画像データに基づいて地物の輪郭の一部分として反射波の強度が所定値以上である地表部分をCPU(Central Proccessing Unit)を用いて特定する。
地物背面セル選択部130と地物セル生成部140とは、データ選択部120の特定結果に基づいて地表面の標高の算出対象となる地表部分を特定する標高算出部分特定部であり、データ選択部120が特定した地物の輪郭の一部分と電磁波の照射方向との関係に基づいて当該地物の形成範囲を地表面の標高の算出対象となる地表部分としてCPUを用いて特定する。
データ置換部150は、前記地表面表層データが示す表層の標高に基づいて地物背面セル選択部130と地物セル生成部140とが特定した地表部分における地表面の標高を算出して前記地表面標高データを生成する標高算出部であり、地物背面セル選択部130と地物セル生成部140とが特定した地物の形成範囲の周辺における表層の標高をCPUを用いて前記地表面表層データから抽出し、抽出した地物の形成範囲の周辺における表層の標高に基づいて地物の形成範囲における地表面の標高をCPUを用いて算出して前記地表面標高データを生成する。
【0011】
図3は、実施の形態における標高モデル生成装置100のハードウェア資源の一例を示す図である。
図3において、標高モデル生成装置100は、プログラムを実行するCPU911(Central・Processing・Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう)を備えている。CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、通信ボード915、表示装置901、キーボード902、マウス903、FDD904(Flexible・Disk・Drive)、CDD905(コンパクトディスク装置)、プリンタ装置906、スキャナ装置907、磁気ディスク装置920と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。磁気ディスク装置920の代わりに、光ディスク装置、メモリカード読み書き装置などの記憶装置でもよい。
RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913、FDD904、CDD905、磁気ディスク装置920の記憶媒体は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶機器、記憶装置あるいは記憶部の一例である。
通信ボード915、キーボード902、スキャナ装置907、FDD904などは、入力機器、入力装置あるいは入力部の一例である。また、入力データが記憶されている記憶装置は入力機器、入力装置あるいは入力部の一例である。
また、通信ボード915、表示装置901、プリンタ装置906などは、出力機器、出力装置あるいは出力部の一例である。また、出力データが記憶されている記憶装置は入力機器、入力装置あるいは入力部の一例である。
【0012】
通信ボード915は、有線または無線により、LAN、インターネット、WAN(ワイドエリアネットワーク)などに接続されている。
【0013】
磁気ディスク装置920には、OS921(オペレーティングシステム)、ウィンドウシステム922、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923のプログラムは、CPU911、OS921、ウィンドウシステム922により実行される。
【0014】
上記プログラム群923には、各実施の形態において「〜部」として説明する機能を実行するプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
【0015】
ファイル群924には、各実施の形態において、「〜部」の機能を実行した際の「〜の判定結果」、「〜の計算結果」、「〜の処理結果」などの結果データ、「〜部」の機能を実行するプログラム間で受け渡しするデータ、その他の情報やデータや信号値や変数値やパラメータが、「〜ファイル」や「〜データベース」の各項目として記憶されている。画像データ、地表面表層データ、撮像方向データ、標高・強度データ、地表面標高データはファイル群924に含まれるものの一例である。
「〜ファイル」や「〜データベース」は、ディスクやメモリなどの記録媒体に記憶される。ディスクやメモリなどの記憶媒体に記憶された情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU911によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示などのCPUの動作に用いられる。抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示のCPUの動作の間、情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、メインメモリやキャッシュメモリやバッファメモリに一時的に記憶される。
また、実施の形態において説明するフローチャートの矢印の部分は主としてデータや信号の入出力を示し、データや信号値は、RAM914のメモリ、FDD904のフレキシブルディスク、CDD905のコンパクトディスク、磁気ディスク装置920の磁気ディスク、その他光ディスク、ミニディスク、DVD(Digital・Versatile・Disc)等の記録媒体に記録される。また、データや信号値は、バス912や信号線やケーブルその他の伝送媒体によりオンライン伝送される。
【0016】
また、各実施の形態において「〜部」として説明するものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」、「〜手段」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。すなわち、「〜部」として説明するものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等の記録媒体に記憶される。プログラムはCPU911により読み出され、CPU911により実行される。すなわち、標高モデル生成プログラムは、「〜部」としてコンピュータを機能させるものである。あるいは、「〜部」の手順や方法をコンピュータに実行させるものである。
【0017】
図4は、実施の形態1における標高モデル生成方法を示す標高モデル生成処理のフローチャートである。
図5〜図12は、実施の形態1における標高・強度データの一例を示す図である。
図13は、実施の形態1における地表面標高データの一例を示す図である。
実施の形態1における標高モデル生成方法として、標高モデル生成装置100が実行する標高モデル生成処理について、図4〜図13に基づいて以下に説明する。
各「〜部」は以下に説明する標高モデル生成処理をCPUを用いて実行する。
標高モデル生成プログラムは以下に説明する標高モデル生成方法をコンピュータに実行させる。
【0018】
<S101:地表セル化処理>
図4において、データ格納部110は画像データと地表面表層データとに基づいて標高・強度データを生成して記憶装置190に格納する。
このとき、データ格納部110は、まず、合成開口レーダによって取得された画像データと地表面表層データとを入力機器から入力する。画像データは合成開口レーダが電磁波を地表に向けて照射して観測した地表からの反射波の強度を示す。地表面表層データは地物を含む表層の標高を示す。次に、データ格納部110は入力した画像データと地表面表層データとに対してメッシュによる細分化により地表面をセル化する。そして、データ格納部110は画像データが示す各セルにおける反射波の強度と地表面表層データが示す各セルにおける地物を含む表層の標高とを標高・強度データ(レーダ観測データの一例)として記憶装置190に記憶する。
図5はデータ格納部110が生成した標高・強度データの一例を示す。データ格納部110は地表面標高データを生成する対象の地表部分を、例えば図5に示すように、縦横5×5のメッシュに分けた25のセルで表す。図5において、上段はデータ格納部110が地表面表層データから抽出した当該セルにおける地物を含む表層の標高をメートル(m)単位で示し、下段はデータ格納部110が画像データから抽出した当該セルにおける地表面及び地物からの反射波の強度をデシベル(dB)単位で示している。
【0019】
<S102:地表特定処理>
図4において、データ選択部120は標高・強度データから所定の強度以上のセルを地物輪郭セルとして選択する。
このとき、データ選択部120は、まず、記憶装置190からデータ格納部110が生成した標高・強度データを取得する。そして、データ選択部120は取得した標高・強度データにおいて反射波の強度が所定値以上であるセル群を地物の輪郭の一部分を示す地物輪郭セルとして選択する。S102において、データ選択部120は地物の輪郭の一部分として反射波の強度が所定値以上である地表部分を特定している。
図6は図5に示した標高・強度データに対してデータ選択部120が選択した地物輪郭セルを太枠で囲って示している。例えば、データ選択部120は、「20dB」を所定の強度として、反射波の強度が「20dB」以上である太枠内のセルを地物輪郭セルとして選択する。一般的に、地物は地表面より反射波の強度が強いため、データ選択部120が選択する反射波の強度が所定値以上であるセル群は地物の輪郭の一部分を表していると推定できる。
【0020】
<S103〜S104:標高算出部分特定処理>
<S103:地物背面セル選択処理>
図4において、地物背面セル選択部130は撮像方向に基づいて標高・強度データから所定の強度以下のセルを地物背面セルとして選択する。
このとき、地物背面セル選択部130は、まず、記憶装置190から標高・強度データを取得し、入力機器から撮像方向データを入力する。撮像方向データはデータ格納部110が入力した画像データと地表面表層データとが生成されたレーダ観測の際に合成開口レーダが電磁波を照射した方向を撮像方向として示す。そして、地物背面セル選択部130は、データ選択部120が選択した地物輪郭セルと撮像方向データが示す撮像方向との関係に基づいて、標高・強度データから地物輪郭セルに隣接し反射波の強度が所定値以下であるセル群を地物背面セルとして選択する。S103において、地物背面セル選択部130はデータ選択部120が特定した地物の輪郭の一部分の陰に位置するために電磁波が届かず反射波を観測できない地表部分を特定している。
図7は図5に示した標高・強度データに対して地物背面セル選択部130が選択した地物背面セルを太枠で囲って示している。例えば、地物背面セル選択部130は、「0dB」を所定の強度として、反射波の強度が「0dB」以下であり、撮像方向から見て地物の輪郭の背面に位置する太枠内のセルを地物背面セルとして選択する。撮像方向に対して地物が正対する方向を正面とすると、地物の背面は地物によりレーダからの電磁波が遮られるため、地物の背面には反射波の強度が著しく低下したシャドウが形成される。地物背面セル選択部130は、このシャドウを地物背面セルとして選択する。
【0021】
撮像方向を考慮することにより、地物の陰となる地表部分の他にも反射波の強度が所定値以下を示す地表部分(例えば、海、川、湖などの水面)が存在する場合であっても、地物背面セル選択部130は地物の陰部分を示す地物背面セルを正しく特定することができる。
データ選択部120が選択した地物輪郭セルの形状について、当該形状が地物の輪郭の少なくとも2辺を形成し地物の輪郭の一部分を形成するいずれの辺に対しても電磁波の水平面成分の照射方向(撮像方向))が直角を成さない「第一の場合」と、当該形状が地物の輪郭の1辺を形成し地物の輪郭の一部分を形成する1辺に対して電磁波の水平面成分の照射方向(撮像方向)が直角を成す「第二の場合」とに分けて、地物背面セル選択部130による地物背面セルの特定方法を以下に説明する。
【0022】
まず、「第一の場合」における地物背面セル選択部130による地物背面セルの特定方法について図8に基づいて説明する。
図8は、標高・強度データの一例として、反射波の強度が所定値以上であり地物の輪郭の一部分としてL字状に2辺を形成するB部分の地物輪郭セルと反射波の強度が所定値以下でありB部分の地物輪郭セルを挟んで存在するA部分のセルとC部分のセルとを示している。図8において電磁波の水平面成分の照射方向(撮像方向)がB部分のいずれの辺に対しても直角を成さないα方向の場合、地物背面セル選択部130はB部分からα方向に広がるC部分のセルを地物背面セルと特定する。また、図8において電磁波の水平面成分の照射方向(撮像方向)がB部分のいずれの辺に対しても直角を成さないβ方向の場合、地物背面セル選択部130はB部分からβ方向に広がるA部分のセルを地物背面セルと特定する。
【0023】
次に、「第二の場合」における地物背面セル選択部130による地物背面セルの特定方法について図9に基づいて説明する。
図9は、標高・強度データの一例として、反射波の強度が所定値以上であり地物の輪郭の一部分として直線状の1辺を形成するB部分の地物輪郭セルと反射波の強度が所定値以下でありB部分の地物輪郭セルを挟んで存在するA部分のセルとC部分のセルとを示している。図9において電磁波の水平面成分の照射方向(撮像方向)がB部分を形成する辺に対して直角を成すα方向の場合、地物背面セル選択部130はB部分からα方向に広がるC部分のセルを地物背面セルと特定する。また、図9において電磁波の水平面成分の照射方向(撮像方向)がB部分を形成する辺に対して直角を成すβ方向の場合、地物背面セル選択部130はB部分からβ方向に広がるA部分のセルを地物背面セルと特定する。
【0024】
<S104:地物セル生成処理>
図4において、地物セル生成部140はデータ選択部120の選択した地物輪郭セルと地物背面セル選択部130の選択した地物背面セルとに基づいて地物セルを選択する。
このとき、地物セル生成部140は、まず、記憶装置190から標高・強度データを取得する。次に、地物セル生成部140はデータ選択部120が選択した地物輪郭セルに基づいて地物背面セル選択部130が選択した地物背面セルのうち地物を形成するセルを選択する。そして、地物セル生成部140はデータ選択部120が選択した地物輪郭セルと地物背面セルから選択した地物を形成するセルとを当該地物の形成範囲を示す地物セルとして特定する。
【0025】
図10、図11、図12は図6に示した地物輪郭セルと図7に示した地物背面セルとに基づいて地物セル生成部140が選択した地物セルを太枠で囲って示している。この太枠は地物セル生成部140が地物のシャドウにより欠損した地物の輪郭を復元して生成した地物の輪郭線を示している。
例えば、地物セル生成部140は、地物がデータ選択部120の選択した地物輪郭セルを少なくとも1辺とする四角形を形成するように、地物背面セル選択部130が選択した地物背面セルから地物を形成するセルを選択して地物セルを特定する。この例において地物セル生成部140が特定した地物セルを図10に示す。図10において、地物セル生成部140は、地物が四角形を形成するように、図7に示す地物背面セルの一部を地物セルから除外している。
また例えば、地物セル生成部140はデータ選択部120が選択した地物輪郭セルの全セルと地物背面セル選択部130が選択した地物背面セルの全セルとを地物セルと特定する。この例において地物セル生成部140が特定した地物セルを図11に示す。図11において、地物セル生成部140は図7に示す地物背面セルを形成する全てのセルを地物セルとして選択している。
また例えば、地物セル生成部140は、地物がデータ選択部120の選択した地物輪郭セルを少なくとも1辺とする所定の形状を形成するように、所定の形状とのパターンマッチングにより、地物背面セル選択部130が選択した地物背面セルから地物を形成するセルを選択して地物セルを特定する。所定の形状がL字形である場合において地物セル生成部140が特定した地物セルを図12に示す。図12において、地物セル生成部140は、地物が所定の形状であるL字形を形成するように、図7に示す地物背面セルの一部を地物セルから除外している。
【0026】
地物セル生成部140は以下のような特徴を有する。
例えば、地物輪郭セルが地物の輪郭の少なくとも2辺を形成する場合、地物セル生成部140は地物輪郭セルを少なくとも2辺とし地物背面セルを含む領域を地物セルと特定する。
また例えば、地物輪郭セルが地物の輪郭の1辺を形成する場合、地物セル生成部140は地物輪郭セルを少なくとも1辺とし地物背面セルを含む領域を地物セルと特定する。
【0027】
<S105:標高算出処理>
図4において、データ置換部150は地物セル周辺の標高に基づいて地物セルの標高を置換する。
このとき、データ置換部150は、まず、記憶装置190から標高・強度データを取得する。次に、データ置換部150は地物セル生成部140が選択した地物セルの周辺のセルが示す標高に基づいて地物セル生成部140が選択した地物セルの標高を算出する。次に、データ置換部150は算出した標高を地物セル生成部140が選択した地物セルに設定して地表面標高データを生成する。そして、データ置換部150は生成した地表面標高データを出力機器に出力する。地表面標高データは地物を除く地表面の標高を示す。
図13は図5に示した標高・強度データに対してデータ置換部150が生成した地表面標高データを示している。図13において、太枠で示した地物セルの標高(単位:メートル[m])がデータ置換部150により算出された地物を除く地表面の標高を示している。例えば、データ置換部150は地物セルの周辺のセルが示す標高の平均値を地物セルにおける地物を除く地表面の標高として算出する。
【0028】
ここで、地物セルの周辺のセルとは、地物セルを囲む周囲幅1セルの範囲でもよいし、地物セルを囲む所定のセル数分の範囲でもよい。また、地物セルの周辺のセルは、図13に示すように、地物セルを囲む全周のセルでなくても構わない。
また、データ置換部150は地物セルの周辺のセルが示す標高の平均値以外の値を地物セルにおける地物を除く地表面の標高として算出しても構わない。例えば、データ置換部150は地物セルに近いセルの標高ほど重みを与える重み付け計算により地物セルにおける地物を除く地表面の標高を算出してもよい。例えば、地物セルに隣接する周囲のセルの標高が「80.5m」で、さらにその外側に位置する周囲のセルの標高が「80.1m」である場合、データ置換部150は、「80.5m」と「80.1m」の平均値である「80.3m」ではなく、地物セルに隣接する周囲幅1セルの標高「80.5m」に近い「80.4m」を地物セルにおける地物を除く地表面の標高として算出する。また例えば、データ置換部150は地物セルの周辺のセル間における標高の変化に応じて地物セルにおける地物を除く地表面の標高を算出しても構わない。例えば、地物セルに隣接する周囲のセルの標高が「80.5m」で、さらにその外側に位置する周囲のセルの標高が「80.1m」である場合、データ置換部150は地物セルの周辺のセル間における標高の変化として外側に位置する周囲のセルの標高「80.1m」に対する地物セルに隣接する周囲のセルの標高「80.5m」の標高差「0.4m」を算出し、算出した標高差「0.4m」を地物セルに隣接する周囲のセルの標高「80.5m」に加えた「80.9m」を地物セルにおける地物を除く地表面の標高として算出する。
【0029】
以上のように、実施の形態1における標高モデル生成装置100は、合成開口レーダによって取得された地表面表層データから地物を抽出及び除去して、高精度な地表面標高データを作成することができる。
【0030】
実施の形態1において以下のような標高モデル生成装置100を説明した。
実施の形態1における標高モデル生成装置100は、航空機、人工衛星等の移動プラットフォームに搭載した合成開口レーダによって取得した画像データ及び地表面表層データを使って、地物を抽出及び除去して、地表面標高データを作成する。
実施の形態1における標高モデル生成装置100はデータ格納部110、データ選択部120、地物背面セル選択部130、地物セル生成部140、データ置換部150を備える。データ格納部110は画像データ及び地表面表層データをメッシュに分割して、各セル毎に画像データの強度情報と地表表層データの高度情報を格納する。データ選択部120は所定の強度以上のセルを抽出する。地物背面セル選択部130はデータ取得時の撮像方向を参照して地物背面セルを選択する。地物セル生成部140はデータ選択部120が抽出したセルと地物背面セル選択部130が選択した地物背面セルをもとに地物の輪郭線を生成する。データ置換部150は地物セルの標高データを地物セル周辺の標高データの平均値に置換する。
【0031】
実施の形態2.
実施の形態1では地物セル生成部140がデータ選択部120の選択した地物輪郭セルと撮像方向との関係に基づいて地物を除く地表面の標高の算出対象とする地物セルを選択する形態について説明した。
実施の形態2では地物セル生成部140がデータ選択部120の選択した地物輪郭セルが成す形状に基づいて地物セルを選択する形態について説明する。
以下、実施の形態1と異なる事項を中心に説明し、説明しない事項については実施の形態1と同様であるものとする。
【0032】
図14は、実施の形態2における標高モデル生成方法を示す標高モデル生成処理のフローチャートである。
実施の形態2における標高モデル生成方法として、標高モデル生成装置100が実行する標高モデル生成処理について、図14に基づいて以下に説明する。また、実施の形態1で説明した図4、図6、図8、図9を以下の説明において参照する。
各「〜部」は以下に説明する標高モデル生成処理をCPUを用いて実行する。
標高モデル生成プログラムは以下に説明する標高モデル生成方法をコンピュータに実行させる。
【0033】
<S201:地表セル化処理>
図14において、S201は実施の形態1におけるS101(図4参照)と同様である。
【0034】
<S202:地表特定処理>
図14において、S202は実施の形態1におけるS102(図4参照)と同様である。
【0035】
<S203〜S204:標高算出部分特定処理>
<S203:地物背面セル選択処理>
図14において、S203は実施の形態1におけるS103(図4参照)に相当する。
S203において、地物背面セル選択部130は標高・強度データから地物輪郭セルに隣接し反射波の強度が所定値以下であるセル群を地物背面セルとして選択する。
このとき、地物背面セル選択部130は撮像方向を考慮せず、地物輪郭セルに隣接し反射波の強度が所定値以下である全てのセルを地物背面セルとして選択する。但し、図8や図9に示したように反射波の強度が所定値以下であるセル群が複数存在し、そのうちのいずれかのセル群のみが地物の陰部分である場合もあるため、実施の形態1に示したように地物背面セル選択部130は撮像方向を考慮して地物背面セルを選択するのが好ましい。また、地物背面セル選択部130は地物輪郭セルに隣接し反射波の強度が所定値以下であるセル群が複数存在する場合には実施の形態1に示したように撮像方向を考慮して地物背面セルを選択し、地物輪郭セルに隣接し反射波の強度が所定値以下であるセル群が1群のみ存在する場合には撮像方向を考慮せずに当該セル群を地物背面セルとして選択してもよい。
【0036】
<S204:地物セル生成処理>
図14において、S204は実施の形態1におけるS104(図4参照)と同様である。
実施の形態2における地物セル生成部140は以下のような特徴を有する。
地物セル生成部140は地物輪郭セルの形状に基づいて地物セルを特定する。
例えば、地物輪郭セルが地物の輪郭の少なくとも2辺を形成する場合、地物セル生成部140は地物輪郭セルを少なくとも2辺とする領域を地物セルと特定する。特に、地物セル生成部140は地物輪郭セルを少なくとも2辺とし地物背面セルを含む領域を地物セルと特定する。
また例えば、地物輪郭セルが地物の輪郭の1辺を形成する場合、地物セル生成部140は地物輪郭セルを少なくとも1辺とし地物背面セルを含む領域を地物セルと特定する。
つまり、実施の形態2における地物セル生成部140は、図6に示した地物輪郭セルを2辺とする四角形の領域を図10に示したように地物セルとして選択したり、図6に示した地物輪郭セルを2辺とする所定の形状の領域を図13に示したように地物セルとして選択したりする。このとき、地物セル生成部140は、反射波の強度が所定値以下のセルであるか否かに関わらず、地物輪郭セルを少なくとも2辺とする四角形の領域や所定の形状の領域を形成するセルを地物セルと特定しても構わない。つまり、実施の形態2における標高モデル生成装置100は地物背面セル選択部130による地物背面セル選択処理(S203)を実行しなくても構わない。
【0037】
<S205:標高算出処理>
図14において、S205は実施の形態1におけるS105(図4参照)と同様である。
【0038】
以上のように、実施の形態2における標高モデル生成装置100は、撮像方向を考慮せずに地物セルを選択しても高精度な地表面標高データを生成することができる。
【0039】
実施の形態3.
実施の形態1や実施の形態2ではデータ選択部120が標高・画像データに基づいて反射波の強度が所定値以上である地物輪郭セルを選択し、地物セル生成部140がデータ選択部120の選択した地物輪郭セルに基づいて地物の形成範囲を示す地物セルを選択し、データ置換部150が地物セル生成部140の選択した地物の形成範囲を示す地物セルにおける地表面の標高を算出する形態について説明した。
実施の形態3ではデータ選択部120が反射波の強度が地物の存在を示す第一の所定値より小さく反射波の観測がされなかった地表部分を示す第二の所定値より大きい地表面セルを選択し、地物セル生成部140がデータ選択部120の選択した地表面セル以外のセルを地表面の標高の算出対象とする地物セルとして選択し、データ置換部150が地物セル生成部140の選択した地表面の標高の算出対象である地物セルにおける地表面の標高を算出する形態について説明する。
つまり、実施の形態1や実施の形態2では地物の形成範囲を特定し、地物の形成範囲について地表面の標高を算出したが、実施の形態3では地表面の範囲を特定し、特定した地表面以外の範囲について地表面の標高を算出する。
以下、実施の形態1や実施の形態2と異なる事項を中心に説明し、説明しない事項については実施の形態1や実施の形態2と同様であるものとする。
【0040】
図15は、実施の形態3における標高モデル生成方法を示す標高モデル生成処理のフローチャートである。
図16、図17は、実施の形態3における標高・強度データの一例を示す図である。
実施の形態3における標高モデル生成方法として、標高モデル生成装置100が実行する標高モデル生成処理について、図15〜図17に基づいて以下に説明する。また、実施の形態1で説明した図4、図5を以下の説明において参照する。
各「〜部」は以下に説明する標高モデル生成処理をCPUを用いて実行する。
標高モデル生成プログラムは以下に説明する標高モデル生成方法をコンピュータに実行させる。
【0041】
<S301:地表セル化処理>
図15において、S301は実施の形態1におけるS101(図4参照)と同様である。
【0042】
<S302:地表特定処理>
図15において、S302は実施の形態1におけるS102(図4参照)に相当する。
S302において、データ選択部120は標高・強度データから所定の強度範囲のセルを地表面セルとして選択する。
ここで、所定の強度範囲とは、実施の形態1においてデータ選択部120が地物輪郭セルを選択する際に基準とした所定の強度(第一の所定値)より小さく、実施の形態1において地物背面セル選択部130が地物背面セルを選択する際に基準とした所定の強度(第二の所定値)より大きい反射波の強度を示す。つまり、実施の形態3におけるデータ選択部120は地物輪郭セルにも地物背面セルにも相当しないセルを地物が存在しない地表面を示す地表面セルとして特定する。
図16は図5に示した標高・強度データに対して実施の形態3におけるデータ選択部120が選択した地表面セルを太枠で囲って示している。例えば、実施の形態3におけるデータ選択部120は、「0dB(第二の所定値)<X<20dB(第一の所定値)」の関係を示すXを所定の強度範囲として太枠内のセルを地表面セルとして選択する。
【0043】
<S303:地物セル生成処理、標高算出部分特定処理>
図15において、S303は実施の形態1におけるS104(図4参照)に相当する。
S303において、地物セル生成部140はデータ選択部120の選択した地表面セルに基づいて地物セルを選択する。
このとき、地物セル生成部140はデータ選択部120の選択した地表面セル以外のセルを地物セルとして選択する。
図17は図5に示した標高・強度データに対して実施の形態3における地物セル生成部140が選択した地物セルを太枠で囲って示している。図17において、反射波の強度(下段の値)が「0dB」を示すセルは反射波が観測されなかった部分であるため、当該セルが示す標高(上段の値)は周辺の標高に基づいて平滑化処理によって推定されている。このため、当該セルの示す標高が周辺に位置する地物の標高の影響を受けて実際より高い標高を示している場合も考えられる。そこで、実施の形態3における地物セル生成部140は地表面セル以外のセルを地物を除く地表面の標高の算出対象とする地物セルとして選択する。
【0044】
<S304:標高算出処理>
図15において、S304は、実施の形態1におけるS105(図4参照)と同様に、地物セル生成部140の選択した地物セルの地表面の標高を算出して地表面標高データを生成する。
【0045】
以上のように、実施の形態3における標高モデル生成装置100は、反射波が観測されず周辺の標高に基づいて推定され周辺の地物の影響を受けて実際より高い標高を示す部分についても高精度に地表面の標高を算出し、高精度の地表面標高データを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施の形態1における標高モデルの概要を示す図。
【図2】実施の形態1における標高モデル生成装置100の構成図。
【図3】実施の形態1における標高モデル生成装置100のハードウェア資源の一例を示す図。
【図4】実施の形態1における標高モデル生成方法を示す標高モデル生成処理のフローチャート。
【図5】実施の形態1における標高・強度データの一例を示す図。
【図6】実施の形態1における標高・強度データの一例を示す図。
【図7】実施の形態1における標高・強度データの一例を示す図。
【図8】実施の形態1における標高・強度データの一例を示す図。
【図9】実施の形態1における標高・強度データの一例を示す図。
【図10】実施の形態1における標高・強度データの一例を示す図。
【図11】実施の形態1における標高・強度データの一例を示す図。
【図12】実施の形態1における標高・強度データの一例を示す図。
【図13】実施の形態1における地表面標高データの一例を示す図。
【図14】実施の形態2における標高モデル生成方法を示す標高モデル生成処理のフローチャート。
【図15】実施の形態3における標高モデル生成方法を示す標高モデル生成処理のフローチャート。
【図16】実施の形態3における標高・強度データの一例を示す図。
【図17】実施の形態3における標高・強度データの一例を示す図。
【符号の説明】
【0047】
100 標高モデル生成装置、110 データ格納部、120 データ選択部、130 地物背面セル選択部、140 地物セル生成部、150 データ置換部、190 記憶装置、901 表示装置、902 キーボード、903 マウス、904 FDD、905 CDD、906 プリンタ装置、907 スキャナ装置、911 CPU、912 バス、913 ROM、914 RAM、915 通信ボード、920 磁気ディスク装置、921 OS、922 ウィンドウシステム、923 プログラム群、924 ファイル群。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を地表に向けて照射して地表からの反射波を観測したレーダ観測データであり、地物を含む表層の標高を示す地表面表層データと地表からの反射波の強度を示す画像データとを含むレーダ観測データに基づいて、地物を除く地表面の標高を示す地表面標高データを生成する標高モデル生成装置であり、
前記画像データが示す地表からの反射波の強度に基づいて当該地表部分における地物の有無を特定する地表特定部であり、前記画像データに基づいて地物の輪郭の一部分として反射波の強度が所定値以上である地表部分をCPU(Central Proccessing Unit)を用いて特定する地表特定部と、
前記地表特定部の特定結果に基づいて地表面の標高の算出対象となる地表部分を特定する標高算出部分特定部であり、前記地表特定部が特定した地物の輪郭の一部分と電磁波の照射方向との関係に基づいて当該地物の形成範囲を地表面の標高の算出対象となる地表部分としてCPUを用いて特定する標高算出部分特定部と、
前記地表面表層データが示す表層の標高に基づいて前記標高算出部分特定部が特定した地表部分における地表面の標高を算出して前記地表面標高データを生成する標高算出部であり、前記標高算出部分特定部が特定した地物の形成範囲の周辺における表層の標高をCPUを用いて前記地表面表層データから抽出し、抽出した地物の形成範囲の周辺における表層の標高に基づいて地物の形成範囲における地表面の標高をCPUを用いて算出して前記地表面標高データを生成する標高算出部と
を備えたことを特徴とする標高モデル生成装置。
【請求項2】
前記標高算出部分特定部は、地物の輪郭の一部分が地物の輪郭の少なくとも2辺を形成し地物の輪郭の一部分を形成するいずれの辺に対しても電磁波の水平面成分の照射方向が直角を成さない場合、地物の輪郭の一部分を形成する少なくとも2辺から電磁波の水平面成分の照射方向に広がる領域を当該地物の形成範囲と特定し、地物の輪郭の一部分が地物の輪郭の1辺を形成し地物の輪郭の一部分を形成する1辺に対して電磁波の水平面成分の照射方向が直角を成す場合、地物の輪郭の一部分を形成する1辺から電磁波の水平面成分の照射方向に広がり前記画像データが所定値以下の反射波の強度を示す領域を当該地物の形成範囲と特定する
ことを特徴とする請求項1記載の標高モデル生成装置。
【請求項3】
電磁波を地表に向けて照射して地表からの反射波を観測したレーダ観測データであり、地物を含む表層の標高を示す地表面表層データと地表からの反射波の強度を示す画像データとを含むレーダ観測データに基づいて、地物を除く地表面の標高を示す地表面標高データを生成する標高モデル生成装置であり、
前記画像データが示す地表からの反射波の強度に基づいて当該地表部分における地物の有無を特定する地表特定部であり、前記画像データに基づいて地物の輪郭の一部分として反射波の強度が所定値以上である地表部分をCPU(Central Proccessing Unit)を用いて特定する地表特定部と、
前記地表特定部の特定結果に基づいて地表面の標高の算出対象となる地表部分を特定する標高算出部分特定部であり、前記地表特定部が特定した地物の輪郭の一部分が成す形状に基づいて当該地物の形成範囲を地表面の標高の算出対象となる地表部分としてCPUを用いて特定する標高算出部分特定部と、
前記地表面表層データが示す表層の標高に基づいて前記標高算出部分特定部が特定した地表部分における地表面の標高を算出して前記地表面標高データを生成する標高算出部であり、前記標高算出部分特定部が特定した地物の形成範囲の周辺における表層の標高をCPUを用いて前記地表面表層データから抽出し、抽出した地物の形成範囲の周辺における表層の標高に基づいて地物の形成範囲における地表面の標高をCPUを用いて算出して前記地表面標高データを生成する標高算出部と
を備えたことを特徴とする標高モデル生成装置。
【請求項4】
前記標高算出部分特定部は、地物の輪郭の一部分が地物の輪郭の少なくとも2辺を形成する場合、地物の輪郭の一部分を少なくとも2辺とする領域を当該地物の形成範囲と特定し、地物の輪郭の一部分が地物の輪郭の1辺を形成する場合、地物の輪郭の一部分を1辺とし前記画像データが所定値以下の反射波の強度を示す領域を当該地物の形成範囲と特定する
ことを特徴とする請求項3記載の標高モデル生成装置。
【請求項5】
前記標高算出部分特定部は、地物の輪郭の一部分が地物の輪郭の少なくとも2辺を形成する場合、地物の輪郭の一部分を少なくとも2辺とする前記領域の中で前記画像データが所定値以下の反射波の強度を示す部分の領域を当該地物の形成範囲と特定する
ことを特徴とする請求項2または請求項4記載の標高モデル生成装置。
【請求項6】
電磁波を地表に向けて照射して地表からの反射波を観測したレーダ観測データであり、地物を含む表層の標高を示す地表面表層データと地表からの反射波の強度を示す画像データとを含むレーダ観測データに基づいて、地物を除く地表面の標高を示す地表面標高データを生成する標高モデル生成装置であり、
前記画像データが示す地表からの反射波の強度に基づいて当該地表部分における地物の有無を特定する地表特定部であり、前記画像データに基づいて地物が無い地表面範囲として反射波の強度が地物の存在を示す第一の所定値より小さく反射波の観測がされなかった地表部分を示す第二の所定値より大きい地表部分をCPU(Central Proccessing Unit)を用いて特定する地表特定部と、
前記地表特定部の特定結果に基づいて地表面の標高の算出対象となる地表部分を特定する標高算出部分特定部であり、前記地表特定部が特定した地表面範囲以外の地表部分を地表面の標高の算出対象となる地表部分としてCPUを用いて特定する標高算出部分特定部と、
前記地表面表層データが示す表層の標高に基づいて前記標高算出部分特定部が特定した地表部分における地表面の標高を算出して前記地表面標高データを生成する標高算出部であり、前記標高算出部分特定部が特定した地表部分の周辺における表層の標高をCPUを用いて前記地表面表層データから抽出し、抽出した周辺における表層の標高に基づいて前記標高算出部分特定部が特定した地表部分における地表面の標高をCPUを用いて算出して前記地表面標高データを生成する標高算出部と
を備えたことを特徴とする標高モデル生成装置。
【請求項7】
電磁波を地表に向けて照射して地表からの反射波を観測したレーダ観測データであり、地物を含む表層の標高を示す地表面表層データと地表からの反射波の強度を示す画像データとを含むレーダ観測データに基づいて、地物を除く地表面の標高を示す地表面標高データを生成する標高モデル生成方法であり、
地表特定部が前記画像データの示す地表からの反射波の強度に基づいて当該地表部分における地物の有無を特定する地表特定処理であり、前記画像データに基づいて地物の輪郭の一部分として反射波の強度が所定値以上である地表部分をCPU(Central Proccessing Unit)を用いて特定する地表特定処理を行い、
標高算出部分特定部が前記地表特定部の特定結果に基づいて地表面の標高の算出対象となる地表部分を特定する標高算出部分特定処理であり、前記地表特定部が特定した地物の輪郭の一部分と電磁波の照射方向との関係に基づいて当該地物の形成範囲を地表面の標高の算出対象となる地表部分としてCPUを用いて特定する標高算出部分特定処理を行い、
標高算出部が前記地表面表層データの示す表層の標高に基づいて前記標高算出部分特定部が特定した地表部分における地表面の標高を算出して前記地表面標高データを生成する標高算出処理であり、前記標高算出部分特定部が特定した地物の形成範囲の周辺における表層の標高をCPUを用いて前記地表面表層データから抽出し、抽出した地物の形成範囲の周辺における表層の標高に基づいて地物の形成範囲における地表面の標高をCPUを用いて算出して前記地表面標高データを生成する標高算出処理を行う
ことを特徴とする標高モデル生成方法。
【請求項8】
電磁波を地表に向けて照射して地表からの反射波を観測したレーダ観測データであり、地物を含む表層の標高を示す地表面表層データと地表からの反射波の強度を示す画像データとを含むレーダ観測データに基づいて、地物を除く地表面の標高を示す地表面標高データを生成する標高モデル生成方法であり、
地表特定部が前記画像データの示す地表からの反射波の強度に基づいて当該地表部分における地物の有無を特定する地表特定処理であり、前記画像データに基づいて地物の輪郭の一部分として反射波の強度が所定値以上である地表部分をCPU(Central Proccessing Unit)を用いて特定する地表特定処理を行い、
標高算出部分特定部が前記地表特定部の特定結果に基づいて地表面の標高の算出対象となる地表部分を特定する標高算出部分特定処理であり、前記地表特定部が特定した地物の輪郭の一部分が成す形状に基づいて当該地物の形成範囲を地表面の標高の算出対象となる地表部分としてCPUを用いて特定する標高算出部分特定処理を行い、
標高算出部が前記地表面表層データが示す表層の標高に基づいて前記標高算出部分特定部が特定した地表部分における地表面の標高を算出して前記地表面標高データを生成する標高算出処理であり、前記標高算出部分特定部が特定した地物の形成範囲の周辺における表層の標高をCPUを用いて前記地表面表層データから抽出し、抽出した地物の形成範囲の周辺における表層の標高に基づいて地物の形成範囲における地表面の標高をCPUを用いて算出して前記地表面標高データを生成する標高算出処理を行う
ことを特徴とする標高モデル生成方法。
【請求項9】
電磁波を地表に向けて照射して地表からの反射波を観測したレーダ観測データであり、地物を含む表層の標高を示す地表面表層データと地表からの反射波の強度を示す画像データとを含むレーダ観測データに基づいて、地物を除く地表面の標高を示す地表面標高データを生成する標高モデル生成方法であり、
地表特定部が前記画像データが示す地表からの反射波の強度に基づいて当該地表部分における地物の有無を特定する地表特定処理であり、前記画像データに基づいて地物が無い地表面範囲として反射波の強度が地物の存在を示す第一の所定値より小さく反射波の観測がされなかった地表部分を示す第二の所定値より大きい地表部分をCPU(Central Proccessing Unit)を用いて特定する地表特定処理を行い、
標高算出部分特定部が前記地表特定部の特定結果に基づいて地表面の標高の算出対象となる地表部分を特定する標高算出部分特定処理であり、前記地表特定部が特定した地表面範囲以外の地表部分を地表面の標高の算出対象となる地表部分としてCPUを用いて特定する標高算出部分特定処理を行い、
標高算出部が前記地表面表層データが示す表層の標高に基づいて前記標高算出部分特定部が特定した地表部分における地表面の標高を算出して前記地表面標高データを生成する標高算出処理であり、前記標高算出部分特定部が特定した地表部分の周辺における表層の標高をCPUを用いて前記地表面表層データから抽出し、抽出した周辺における表層の標高に基づいて前記標高算出部分特定部が特定した地表部分における地表面の標高をCPUを用いて算出して前記地表面標高データを生成する標高算出処理を行う
ことを特徴とする標高モデル生成方法。
【請求項10】
請求項7〜請求項9いずれかに記載の標高モデル生成方法をコンピュータに実行させることを特徴とする標高モデル生成プログラム。
【請求項1】
電磁波を地表に向けて照射して地表からの反射波を観測したレーダ観測データであり、地物を含む表層の標高を示す地表面表層データと地表からの反射波の強度を示す画像データとを含むレーダ観測データに基づいて、地物を除く地表面の標高を示す地表面標高データを生成する標高モデル生成装置であり、
前記画像データが示す地表からの反射波の強度に基づいて当該地表部分における地物の有無を特定する地表特定部であり、前記画像データに基づいて地物の輪郭の一部分として反射波の強度が所定値以上である地表部分をCPU(Central Proccessing Unit)を用いて特定する地表特定部と、
前記地表特定部の特定結果に基づいて地表面の標高の算出対象となる地表部分を特定する標高算出部分特定部であり、前記地表特定部が特定した地物の輪郭の一部分と電磁波の照射方向との関係に基づいて当該地物の形成範囲を地表面の標高の算出対象となる地表部分としてCPUを用いて特定する標高算出部分特定部と、
前記地表面表層データが示す表層の標高に基づいて前記標高算出部分特定部が特定した地表部分における地表面の標高を算出して前記地表面標高データを生成する標高算出部であり、前記標高算出部分特定部が特定した地物の形成範囲の周辺における表層の標高をCPUを用いて前記地表面表層データから抽出し、抽出した地物の形成範囲の周辺における表層の標高に基づいて地物の形成範囲における地表面の標高をCPUを用いて算出して前記地表面標高データを生成する標高算出部と
を備えたことを特徴とする標高モデル生成装置。
【請求項2】
前記標高算出部分特定部は、地物の輪郭の一部分が地物の輪郭の少なくとも2辺を形成し地物の輪郭の一部分を形成するいずれの辺に対しても電磁波の水平面成分の照射方向が直角を成さない場合、地物の輪郭の一部分を形成する少なくとも2辺から電磁波の水平面成分の照射方向に広がる領域を当該地物の形成範囲と特定し、地物の輪郭の一部分が地物の輪郭の1辺を形成し地物の輪郭の一部分を形成する1辺に対して電磁波の水平面成分の照射方向が直角を成す場合、地物の輪郭の一部分を形成する1辺から電磁波の水平面成分の照射方向に広がり前記画像データが所定値以下の反射波の強度を示す領域を当該地物の形成範囲と特定する
ことを特徴とする請求項1記載の標高モデル生成装置。
【請求項3】
電磁波を地表に向けて照射して地表からの反射波を観測したレーダ観測データであり、地物を含む表層の標高を示す地表面表層データと地表からの反射波の強度を示す画像データとを含むレーダ観測データに基づいて、地物を除く地表面の標高を示す地表面標高データを生成する標高モデル生成装置であり、
前記画像データが示す地表からの反射波の強度に基づいて当該地表部分における地物の有無を特定する地表特定部であり、前記画像データに基づいて地物の輪郭の一部分として反射波の強度が所定値以上である地表部分をCPU(Central Proccessing Unit)を用いて特定する地表特定部と、
前記地表特定部の特定結果に基づいて地表面の標高の算出対象となる地表部分を特定する標高算出部分特定部であり、前記地表特定部が特定した地物の輪郭の一部分が成す形状に基づいて当該地物の形成範囲を地表面の標高の算出対象となる地表部分としてCPUを用いて特定する標高算出部分特定部と、
前記地表面表層データが示す表層の標高に基づいて前記標高算出部分特定部が特定した地表部分における地表面の標高を算出して前記地表面標高データを生成する標高算出部であり、前記標高算出部分特定部が特定した地物の形成範囲の周辺における表層の標高をCPUを用いて前記地表面表層データから抽出し、抽出した地物の形成範囲の周辺における表層の標高に基づいて地物の形成範囲における地表面の標高をCPUを用いて算出して前記地表面標高データを生成する標高算出部と
を備えたことを特徴とする標高モデル生成装置。
【請求項4】
前記標高算出部分特定部は、地物の輪郭の一部分が地物の輪郭の少なくとも2辺を形成する場合、地物の輪郭の一部分を少なくとも2辺とする領域を当該地物の形成範囲と特定し、地物の輪郭の一部分が地物の輪郭の1辺を形成する場合、地物の輪郭の一部分を1辺とし前記画像データが所定値以下の反射波の強度を示す領域を当該地物の形成範囲と特定する
ことを特徴とする請求項3記載の標高モデル生成装置。
【請求項5】
前記標高算出部分特定部は、地物の輪郭の一部分が地物の輪郭の少なくとも2辺を形成する場合、地物の輪郭の一部分を少なくとも2辺とする前記領域の中で前記画像データが所定値以下の反射波の強度を示す部分の領域を当該地物の形成範囲と特定する
ことを特徴とする請求項2または請求項4記載の標高モデル生成装置。
【請求項6】
電磁波を地表に向けて照射して地表からの反射波を観測したレーダ観測データであり、地物を含む表層の標高を示す地表面表層データと地表からの反射波の強度を示す画像データとを含むレーダ観測データに基づいて、地物を除く地表面の標高を示す地表面標高データを生成する標高モデル生成装置であり、
前記画像データが示す地表からの反射波の強度に基づいて当該地表部分における地物の有無を特定する地表特定部であり、前記画像データに基づいて地物が無い地表面範囲として反射波の強度が地物の存在を示す第一の所定値より小さく反射波の観測がされなかった地表部分を示す第二の所定値より大きい地表部分をCPU(Central Proccessing Unit)を用いて特定する地表特定部と、
前記地表特定部の特定結果に基づいて地表面の標高の算出対象となる地表部分を特定する標高算出部分特定部であり、前記地表特定部が特定した地表面範囲以外の地表部分を地表面の標高の算出対象となる地表部分としてCPUを用いて特定する標高算出部分特定部と、
前記地表面表層データが示す表層の標高に基づいて前記標高算出部分特定部が特定した地表部分における地表面の標高を算出して前記地表面標高データを生成する標高算出部であり、前記標高算出部分特定部が特定した地表部分の周辺における表層の標高をCPUを用いて前記地表面表層データから抽出し、抽出した周辺における表層の標高に基づいて前記標高算出部分特定部が特定した地表部分における地表面の標高をCPUを用いて算出して前記地表面標高データを生成する標高算出部と
を備えたことを特徴とする標高モデル生成装置。
【請求項7】
電磁波を地表に向けて照射して地表からの反射波を観測したレーダ観測データであり、地物を含む表層の標高を示す地表面表層データと地表からの反射波の強度を示す画像データとを含むレーダ観測データに基づいて、地物を除く地表面の標高を示す地表面標高データを生成する標高モデル生成方法であり、
地表特定部が前記画像データの示す地表からの反射波の強度に基づいて当該地表部分における地物の有無を特定する地表特定処理であり、前記画像データに基づいて地物の輪郭の一部分として反射波の強度が所定値以上である地表部分をCPU(Central Proccessing Unit)を用いて特定する地表特定処理を行い、
標高算出部分特定部が前記地表特定部の特定結果に基づいて地表面の標高の算出対象となる地表部分を特定する標高算出部分特定処理であり、前記地表特定部が特定した地物の輪郭の一部分と電磁波の照射方向との関係に基づいて当該地物の形成範囲を地表面の標高の算出対象となる地表部分としてCPUを用いて特定する標高算出部分特定処理を行い、
標高算出部が前記地表面表層データの示す表層の標高に基づいて前記標高算出部分特定部が特定した地表部分における地表面の標高を算出して前記地表面標高データを生成する標高算出処理であり、前記標高算出部分特定部が特定した地物の形成範囲の周辺における表層の標高をCPUを用いて前記地表面表層データから抽出し、抽出した地物の形成範囲の周辺における表層の標高に基づいて地物の形成範囲における地表面の標高をCPUを用いて算出して前記地表面標高データを生成する標高算出処理を行う
ことを特徴とする標高モデル生成方法。
【請求項8】
電磁波を地表に向けて照射して地表からの反射波を観測したレーダ観測データであり、地物を含む表層の標高を示す地表面表層データと地表からの反射波の強度を示す画像データとを含むレーダ観測データに基づいて、地物を除く地表面の標高を示す地表面標高データを生成する標高モデル生成方法であり、
地表特定部が前記画像データの示す地表からの反射波の強度に基づいて当該地表部分における地物の有無を特定する地表特定処理であり、前記画像データに基づいて地物の輪郭の一部分として反射波の強度が所定値以上である地表部分をCPU(Central Proccessing Unit)を用いて特定する地表特定処理を行い、
標高算出部分特定部が前記地表特定部の特定結果に基づいて地表面の標高の算出対象となる地表部分を特定する標高算出部分特定処理であり、前記地表特定部が特定した地物の輪郭の一部分が成す形状に基づいて当該地物の形成範囲を地表面の標高の算出対象となる地表部分としてCPUを用いて特定する標高算出部分特定処理を行い、
標高算出部が前記地表面表層データが示す表層の標高に基づいて前記標高算出部分特定部が特定した地表部分における地表面の標高を算出して前記地表面標高データを生成する標高算出処理であり、前記標高算出部分特定部が特定した地物の形成範囲の周辺における表層の標高をCPUを用いて前記地表面表層データから抽出し、抽出した地物の形成範囲の周辺における表層の標高に基づいて地物の形成範囲における地表面の標高をCPUを用いて算出して前記地表面標高データを生成する標高算出処理を行う
ことを特徴とする標高モデル生成方法。
【請求項9】
電磁波を地表に向けて照射して地表からの反射波を観測したレーダ観測データであり、地物を含む表層の標高を示す地表面表層データと地表からの反射波の強度を示す画像データとを含むレーダ観測データに基づいて、地物を除く地表面の標高を示す地表面標高データを生成する標高モデル生成方法であり、
地表特定部が前記画像データが示す地表からの反射波の強度に基づいて当該地表部分における地物の有無を特定する地表特定処理であり、前記画像データに基づいて地物が無い地表面範囲として反射波の強度が地物の存在を示す第一の所定値より小さく反射波の観測がされなかった地表部分を示す第二の所定値より大きい地表部分をCPU(Central Proccessing Unit)を用いて特定する地表特定処理を行い、
標高算出部分特定部が前記地表特定部の特定結果に基づいて地表面の標高の算出対象となる地表部分を特定する標高算出部分特定処理であり、前記地表特定部が特定した地表面範囲以外の地表部分を地表面の標高の算出対象となる地表部分としてCPUを用いて特定する標高算出部分特定処理を行い、
標高算出部が前記地表面表層データが示す表層の標高に基づいて前記標高算出部分特定部が特定した地表部分における地表面の標高を算出して前記地表面標高データを生成する標高算出処理であり、前記標高算出部分特定部が特定した地表部分の周辺における表層の標高をCPUを用いて前記地表面表層データから抽出し、抽出した周辺における表層の標高に基づいて前記標高算出部分特定部が特定した地表部分における地表面の標高をCPUを用いて算出して前記地表面標高データを生成する標高算出処理を行う
ことを特徴とする標高モデル生成方法。
【請求項10】
請求項7〜請求項9いずれかに記載の標高モデル生成方法をコンピュータに実行させることを特徴とする標高モデル生成プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−164481(P2008−164481A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−355383(P2006−355383)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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