説明

横シール機構およびそれを備えた縦型充填包装機

【課題】包装袋の横シール部への内容物の噛み込みの発生を抑制することが可能な横シール機構等を提供する。
【解決手段】本発明に係る横シール機構は、筒状フィルム1’を間において対向配置されたヒータバー21およびヒータバー受け24を備え、これら一対の部材で筒状フィルムを挟み込み熱シールすることで、筒状フィルム1’の密封を行う。ヒータバー21の加圧面21aが曲面状に形成されている。ヒータバー21は、その加圧面21aを筒状フィルム1’に当接させながら、回転軸27a周りに回動しながら熱シールを行うように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状もしくはペースト状の内容物を樹脂製の筒状フィルム内に充填し、適宜熱シールを行うことで上記内容物が充填された袋詰め製品を製造する縦型充填包装機に関し、特に、その包装機のうち、横シールを行う横シール機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液状もしくはペースト状の内容物を袋詰めするための包装機として種々のものが知られているが、特許文献1には、図8に示すような横シール機構が開示されている。
【0003】
図8に示す横シール機構120は、内容物(不図示)が投入された筒状フィルム101を熱シールするための機構であり、ヒータバー121およびヒータバー受け124を有している。この横シール機構120の主たる特徴部は、ヒータバー121およびヒータバー受け124の他に、さらに、冷却バー131およびそれに対向する冷却バー受け134を備えている点である。冷却バー131および冷却バー受け134は、ヒータバー121およびヒータバー受け124により形成された直後の横シール部を挟み込むことで、該横シール部の熱を上記冷却バー131を通じて逃がし、これにより熱シール部の冷却を行う。
【0004】
横シール機構120の具体的な構成について説明すると、まず、ヒータバー121は、シリンダS2を駆動源として、筒状フィルム101に対して進退移動するようになっている。ヒータバー121の下部側には、カム部122が設けられている。冷却バー131は、軸135周りに回動できるようになっており、図8(a)に示すように、ローラ123が上記カム部122に乗り上がることにより、冷却バー131が下側に向かって回動することとなる。
【0005】
ヒータバー受け124側の構成も、上記と同じような構成となっている。すなわち、図8(b)に示すように、冷却バー受け134がシリンダS1を駆動源として筒状フィルム101に対して進退移動するようになっており、この移動に伴ってヒータバー受け124が軸125周りに回動するようになっている。
【0006】
以上のように構成された横シール機構120によって熱シールを行う場合、図8(a)に示すように、ヒータバー121が進出位置とされると共に、冷却バー受け134が退避位置とされる。これにより、ヒータバー受け124が筒状フィルム101に接する位置に移動し、ヒータバー121とヒータバー受け124とによって筒状フィルム101が挟持されることとなる。この挟持により、ヒータバー121からの熱を受けて筒状フィルム101が熱融着され、熱シール部が形成される。
【0007】
次いで、フィルムの搬送を停止したまま、今度は図8(b)の状態とされる。すなわち、ヒータバー121が退避位置とされることで、冷却バー131がフィルムに接する位置に移動し、反対側では、冷却バー受け134が進出位置とされる。これにより、先の工程で形成された熱シール部(まだ熱をもった状態の熱シール部を意図する)が、冷却バー131と冷却バー受け134とによって挟持され、シール部の熱が冷却バー131側に逃がされ、熱シール部が冷却されることとなる。
【0008】
その後、冷却バー受け134に内蔵されたカッター(符号を付して示さず)を筒状フィルムに向かって進出させることにより、1つの包装袋が、筒状フィルム101から切り分けられる。冷却バー131および冷却バー受け134による挟持が解除されることにより、この切り分けられた1つの包装袋が下方に落下することとなる。
【0009】
以上のように構成された横シール機構120によれば、筒状フィルム101に対して熱シールを行った直後に、熱シール部の冷却を行うことが可能であるため、熱シールされた直後の熱シール部においてフィルムが伸びてしまうといった従来の問題を解決することができる。特に、熱シール・冷却・切断がフィルムを移動させずにその場で行われるため、包装動作の高速化や包装機の小型化にも有利である。
【特許文献1】特許第2598879号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、図8に示したような横シール機構120であっても、従来一般的な横シール機構に比べれば包装動作の高速化などの観点から非常に有利である。しかしながら、形成される熱シール部の品質をより向上させるためには更なる改善が行われることが望ましい。
【0011】
従来の構成では、ヒータバー121およびヒータバー受け123で筒状フィルム101を挟み込んだ際に、熱シールされる領域101h(図9参照)に内容物が取り残されてしまう可能性があった。この問題は、例えば飲料などの液体を袋詰めする際にはそれほど顕在化しないが、例えば液体中に微小な固形物が混ざっているような内容物を袋詰めするときに顕在化することがあった。すなわち、固形物を含む内容物では、液体は上下に逃げることができるにしても、固形物は比較的移動しにくく、そのままの位置に留まってしまうためである。この状態で熱シールを行えば、当然ながら熱シール部に固形物が残ってしまうこととなり、これにより最終的な製品の見栄えが悪くなるという問題があった。また、場合によっては、熱シール部に残った固形物が腐敗するという問題も生じうる。
【0012】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、包装袋の熱シール部(横シール部)への内容物の噛み込みの発生を抑えることが可能な横シール機構およびそれを備えた縦型充填包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明の熱シール機構は、内容物が充填される筒状フィルムを間において対向配置されたヒータバーおよびヒータバー受けを備え、該ヒータバーおよびヒータバー受けで前記筒状フィルムを挟み込み熱シールすることで前記筒状フィルムを密封する横シール機構において、前記ヒータバーは、前記筒状フィルム側に向かって凸型となる曲面状の加圧面を有すると共に、筒状フィルムの送り方向に直交し、かつ前記ヒータバーが前記筒状フィルムに向かって移動する方向に直交する方向に延びる回転軸周りに回動するように構成されていることを特徴とする。
【0014】
本発明の横シール機構によれば、ヒータバーが回動しながら熱シールが行われるようになっており、曲面状の加圧面でしごかれるようにして筒状フィルムが熱シールされるものであるため、熱シールされるべき領域に内容物が残りにくい。したがって、熱シール部(横シール部)への内容物の噛み込みの発生も最小限に抑えられる。
【0015】
上記本発明の横シール機構は、前記ヒータバーが、前記加圧面の一端側が前記筒状フィルムにまず当接し、次いで前記加圧面の中央部が前記筒状フィルムに当接し、その後、前記加圧面の他端側が前記筒状フィルムに当接するように設けられているものであってもよい。また、ヒータバー受けが、前記加圧面に対向する位置に平面状の受け面を有するものであってもよい。
【0016】
また、上記本発明の横シール機構は、より具体的には、前記回転軸を構成する軸部材を保持すると共に、該軸部材に取り付けられた第1のギアと係合する第2のギアを保持し、前記回転軸とは別に設けられた他の回転軸周りに回動する支持部材と、前記第2のギアと係合する固定歯車が形成された部材と、前記支持部材を前記他の回転軸周りに移動させる駆動手段とを有し、前記支持部材が前記他の回転軸周りに移動するのに伴って、前記第2のギアと前記固定歯車とが係合すると共に、前記第2のギアの回転により前記第1のギアが回転することで、前記ヒータバーが前記回転軸周りに回動するように構成されていることが好ましい。駆動源にはエアシリンダまたはサーボモータを利用可能である。
【0017】
さらに上記横シール機構は、前記ヒータバーによって前記筒状フィルムに形成された熱シール部を冷却するために、前記熱シールが終了した後、前記ヒータバー受けの受け面に対向する位置(熱シール部の形成が行われる位置)に移動させられる前記熱シール部に当接する冷却バーをさらに有し、該冷却バーは、前記筒状フィルムを基準として前記ヒータバーと同じ側に配置され、かつ、前記ヒータバーが前記筒状フィルムから離れるのに連動して該筒状フィルム側に向かって移動するように構成されているものであってもよい。
【0018】
本発明の縦型充填包装機は、上記本発明に係る横シール機構と、前記筒状フィルムを鉛直下方に搬送する搬送手段と、該横シール機構よりも上方に配置され、内容物が投入された前記筒状フィルムを挟み込みつつ回転して前記筒状フィルムを下方に送ることで前記筒状フィルムに空充填部を形成する一対のシゴキローラとを備えたものである。
【0019】
また、本発明の他の縦型充填包装機は、上記本発明に係る横シール機構と、前記筒状フィルムを鉛直下方に搬送する搬送手段と、該横シール機構よりも上方に配置され、内容物が投入された前記筒状フィルムを挟み込みつつ回転して前記筒状フィルムを下方に送ることで前記筒状フィルムに空充填部を形成する一対のシゴキローラと、前記横シール機構よりも下方に前記筒状フィルムを間において対向配置され、前記ヒータバーによって前記筒状フィルムに形成された熱シール部を挟み込むことで該熱シール部を冷却する冷却バーおよび冷却バー受けとを備えたものである。
【発明の効果】
【0020】
上述したように、本発明によれば、横シール機構のヒータバーが回動しつつ筒状フィルムをしごくようにして熱シールが行われるようになっていることから、熱シールされるべき領域に内容物が残りにくく、その結果、熱シール部への内容物の噛み込みの発生を抑えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について詳しく述べる。図1は、本発明の一実施形態に係る縦型充填包装機の全体構成を概略的に示す正面図であり、図2は、図1の縦型充填包装機の横シール機構を示す正面図である。なお、図2(a)は熱シールを行う際の状態を示しており、図2(b)は熱シール部の冷却時ないし切断時を示している。
【0022】
図1に示すように、本実施形態の縦型充填包装機50は、基本的には従来の構成と同じように、シート状のフィルム1を筒状に折り込むための製袋ガイド14と、互いに重ね合わせられたフィルムの側縁部同士を熱シールし、縦シール部を形成する縦シール機構10と、縦シール機構10の下方に配置された、フィルムを搬送するための搬送ローラ12とを有している。
【0023】
縦シール機構10は、ヒータ等の加熱手段が内蔵されたヒータバーを備えており、このヒータバーでフィルムの側縁部同士を加熱することで、フィルムを溶融させ熱シール部(縦シール部)を形成する。なお、本明細書においては、この縦シール部が形成された状態のフィルムを「筒状フィルム1’」という。
【0024】
筒状フィルム1’内には、投入ノズル15を通じて内容物が供給されるようになっている。特に限定されるものではないが、投入ノズル15の下端は、搬送ローラ12より下方に位置している。
【0025】
図1の縦型充填包装機50は、上記の他にも、筒状フィルム1’を挟み込むことが可能な一対のシゴキローラ11と、その下方に配置された横シール機構20とを有している。
【0026】
シゴキローラ11は、投入された内容物が存在している領域を挟み込むように駆動される。これにより、内容物はシゴキローラ11の上下に分割される。次いで、シゴキローラ11が回転し、筒状フィルム1’を下方に送ることで、筒状フィルム1’に扁平な空充填部1aが形成される。後述する横シール機構20は、この空充填部1aを熱シール(横シール)するようになっている。このように、空充填部1aを形成し、この部位を熱シールするという構成は従来公知であるが、このような構成の利点としては、扁平な部位を熱シールする構成であるので熱シール部にシワ等が生じにくいということが挙げられる。また、シゴキローラ11によって内容物をしごき分ける構成となっているので、最終的な袋詰め製品内に空気が残らないという利点もある。
【0027】
横シール機構20は、詳細には図2〜図4に示すような構成となっている。この横シール機構20は、基本的な構成は従来の横シール機構120(図6参照)と共通するが、ヒータバー21が図4に示すような動作、すなわち、筒状フィルム1’をしごきながら熱シールするような動作を実施できるように構成されている点で相違する。以下、これについて具体的に説明する。
【0028】
図2(a)に示すように、本実施形態の横シール機構20は、ヒータバー21およびヒータバー受け24を有している。ヒータバー受け側のユニットの構成は、従来の横シール機構120(図6参照)とほぼ同様であり、不図示のエアシリンダ等を駆動源としてヒータバー受け24が筒状フィルム1’に対して進退移動可能に構成されている。ヒータバー受け24の下部側にはカム部32が設けられている。
【0029】
冷却バー受け34は、軸35a周りに回動自在に構成されると共に、不図示の付勢手段によって矢印R1方向に付勢されている。図2(a)に示すようにヒータバー受け24が進出位置とされた状態で、冷却バー受け34の支持部材36に設けられたローラ33がカム部32に乗り上がるようになっている。これにより、支持部材36が、不図示の付勢手段からの付勢力に抗しながら矢印R1方向とは逆周りに回動し、冷却バー受け34が筒状フィルム1’から離れることとなる。
【0030】
一方、図2(b)に示すように、ヒータバー受け24を退避位置に移動させると、これに合わせてカム部32も図示左側に移動するため、ローラ33とカム部32との係合が解除される。これにより、支持部材36は、不図示の付勢手段からの付勢力により、矢印R1方向に回動し、冷却バー受け34が筒状フィルム1’に近接(または接触)することとなる。
【0031】
次に、ヒータバー21側のユニットの構成について説明する。図3に示すように、本実施形態に係るヒータバー21は、曲面状に形成された加圧面21aを有している。正確には、加圧面21aは断面が円弧状をなすような曲面(筒状フィルム側に向かって凸型となるような曲面)であり、その曲率半径は例えば40mmである。加圧面21aは金属で形成されていてもよく、あるいは耐熱高硬度ゴムで形成されていてもよい。ヒータバー受け24の受け面24a(図2に示す)は曲面ではなく平面で形成されている。
【0032】
ヒータバー21は、軸部材27aによって支持されており、この軸部材27aの中心軸(回転軸)周りに回動可能となっている。軸部材27a自体は、支持部材26によって回転可能に支持されており、図3(a)からも明らかなように、軸部材27aの延在方向は水平方向(Y方向)となっている。「Y方向」とは、筒状フィルム1’の送り方向に直交し、かつ、ヒータバー21が上記筒状フィルム1’に向かって進退移動する方向に直交する方向である。
【0033】
軸部材27aには第1のギア27が取り付けられており、このギア27の回転に応じてヒータバー21も回転するようになっている。支持部材26は、回転軸25a周りに回動自在に構成された部材であり、上記第1のギア27に係合する第2のギア28を保持している。第2のギア28は、支持部材26とは別に設けられた部材30に形成された固定歯車29にも係合するようになっている。
【0034】
このような構成により、支持部材26が、図3(a)の状態から図3(b)の状態へと矢印R2方向に回動するのに伴って、固定歯車29に係合している第2のギア28が回転させられる。この第2のギア28の回転により、それに係合する第1のギア27が所定角度だけ回転し、これに合わせてヒータバー21も同じ角度だけ回動するようになっている。
【0035】
支持部材26を回転軸25a周りに回動させるための駆動源としては、特に限定されるものではないが、例えばエアシリンダであってもよい。具体的には、本実施形態においては、2つのエアシリンダS1,S2が使用されている。エアシリンダS1,S2はいずれも、支持部材26のうち回転軸25aから所定距離だけ離れた連結部26aに連結されている。これら2つのエアシリンダS1,S2の作用により、支持部材26は後述する第1〜第3の姿勢をとるようになっている。なお、ヒータバー21側のユニットは、不図示のエアシリンダ等を駆動源としてヒータバー21が筒状フィルム1’に対して進退移動可能に構成されている。
【0036】
支持部材26の第1の姿勢は、図4(a),(b)〔図3(a)も同じ〕に示す姿勢であり、支持部材26がこの第1の姿勢をとるとき、ヒータバー21は、その加圧面21aの上部側が筒状フィルムに接するような状態となっている。
【0037】
第2の姿勢は、図4(c)に示す姿勢であり、この姿勢は、2つのシリンダS1,S2のうち、シリンダS1のみのシリンダアームを縮めることによって実現される。シリンダS1のストローク長は例えば10mmであってもよい。支持部材26がこの第2の姿勢をとるとき、ヒータバー21は、その加圧面21aの下部側が筒状フィルムに接するような状態となる。
【0038】
第3の姿勢は、図4(d)に示す姿勢であり、第2の姿勢から、さらにシリンダS2のシリンダアームを縮めることによって実現される。シリンダS2のストローク長は例えば35mmであってもよい。支持部材26がこの第3の姿勢をとるとき、ヒータバー21は、進出位置とされた冷却バー31の下方に位置し、またその加圧面21aはほぼ真上を向いている。この第3の姿勢は、冷却バー31および冷却バー受け34で筒状フィルム1’を挟み込む際にとられる姿勢である。
【0039】
以上のように構成された本実施形態の熱シール機構20の動作について、以下、図4および図5を参照して説明する。
【0040】
図4(a)は一連の動作の初期状態であり、ヒータバー21側のユニットおよびヒータバー受け24側のユニットがいずれも筒状フィルム1’から離れている。ヒータバー21側のユニットでは、2つのシリンダS1,S2の各シリンダアーム(不図示)が進出させられることで、支持部材26が第1の姿勢となっている。ヒータバー受け24側のユニットでは、ヒータバー受け24が退避位置とされ、これにより、冷却バー受け34が筒状フィルム1’に対向した状態となっている。
【0041】
この状態から、次いで、図4(b)に示すように、ヒータバー21側のユニットとヒータバー受け24側のユニットをそれぞれ筒状フィルム1’に近接させると共に、これと同時に、ヒータバー受け24を進出位置とする。これにより、ヒータバー21とヒータバー受け24とにより、筒状フィルム1’が挟持され、熱シール動作が開始される。
【0042】
次いで、図4(c)に示すように、シリンダS1のシリンダアームを縮めさせ、支持部材26を、第1の姿勢から第2の姿勢へと移動させる。本実施形態における熱シール動作は、図4(b)の状態から図4(c)の状態になるまでの間に実施される。これについて、図5を参照し、ヒータバー21の動きに着目して具体的に説明する。
【0043】
まず、ヒータバー21は、図5(a)に示すように、加圧面21aの上部側がまず筒状フィルムに接するような姿勢で筒状フィルム1’に押し当てられる。次いで、この状態から、支持部材26が回転軸25a周りに所定角度だけ回動することで、ヒータバー21は、図5(b)に示すように、加圧面21aの中央部が筒状フィルム1’に押し当てられるような姿勢をとる。ここまでの動作により、熱シール部のおよそ半分が形成されることとなる。
【0044】
続いて、支持部材26がさらに回動することにより、ヒータバー21は、図5(c)に示すように、加圧面21aの下部側が筒状フィルムに接するような姿勢をとることとなる。これにより、加圧面21aが押し付けられた領域の全てが熱シールされることとなる。
【0045】
上述のように、本実施形態の横シール機構20では、ヒータバー21がこのように回動しながら筒状フィルムを押圧するようになっているため、筒状フィルム1’内に存在する内容物をしごき下ろしながら熱シールが行われることとなる。したがって、熱シール部に残留する内容物の量が最小限に抑えられ、最終的に得られる熱シール部は、内容物の噛み込みが抑えられた良好なものとなる。
【0046】
特に、本実施形態の構成においては、ヒータバー21の回転中心である軸部材27aが一箇所に固定されているものではなく、図5(a)〜図5(c)に示すように、軌道A25に沿って移動するようになっている。このように、軸部材27a自体が軌道A25上を移動すると共に、それに同期してヒータバー21が軸部材27a周りに回転する構成であることから、加圧面21aとフィルムとの間の擦れ等を生じさせることなく、良好に熱シールを行うことができるようになっている。
【0047】
以上の工程により、熱シール部が形成された後、図4(d)に示すように、支持部材26を第3の姿勢まで移動させると共に、冷却バー31を進出させる。また、これに合わせてヒータバー受け24を退避位置とし、冷却バー受け24を筒状フィルム1’に対向させる。この工程は、従来の横シール機構と同様のものであり、冷却バー31と冷却バー受け34とで筒状フィルムに形成された熱シール部を挟持することで熱シール部の冷却が行われる。
【0048】
熱シールが終了した直後では熱シール部は未だ高温のままとなっており、仮に熱シール部内に液体等が挟み込まれていた場合、この熱により、挟み込まれた液体が気化し、その結果、熱シール部が剥離する可能性もある。これに対して、本実施形態の横シール機構によれば、熱シールの直後に熱シール部の冷却を行うことが可能であるため、そのような問題が生じにくいものとなる。また、この冷却動作は、筒状フィルムの搬送を行うことなく実施されるものであるため、搬送に伴なって熱シール部が伸びるといった問題を生じさせることもない。
【0049】
続いて、図4(d)の状態において、冷却バー31に内蔵されたカッター(不図示)を進出させることにより、横シール部の中央を切断し、これにより袋詰め製品が筒状フィルム1’から切り分けられる。その後、図4(d)の状態から、まず、ヒータバー21側のユニット、および、ヒータバー受け24側のユニットをそれぞれ筒状フィルム1’から退避させると共に、冷却バー31を退避位置とし、かつ、両エアシリンダS1、S2のシリンダアームを戻して支持部材26を第1の姿勢とすることで、横シール機構は図4(a)の状態に戻る。
【0050】
以上説明したような本実施形態の横シール機構20では、図5に示したように、曲面状の加圧面21aの上部側がまず筒状フィルムに当接し、次いで加圧面21aの中央部が当接し、最後に加圧面21aの下部側が当接するようにして、ヒータバー21が筒状フィルム1’に押し当てられるようになっている。このようにヒータバーが回転しながら熱シールが行われる構成によれば、筒状フィルム内の内容物をしごき下ろしながら熱シールが行われることとなるので、横シール部への内容物(特に、それに含まれる固形物)の噛み込みが発生しにくいものとなる。
【0051】
図5(a)〜(c)に示す順とは逆に、まず図5(c)に示すように加圧面21aの下部側を当接させ、次いで図5(b)の状態を経て、最終的に図5(a)の状態となるように、ヒータバー21を動作させた場合であっても、上記のような作用効果を得ることが可能である。しかし、図5(a)〜(c)に示すように、上方から下方に向かってしごくように動作させた方が、より効果的に上記作用効果を得ることができると考えられる。
【0052】
<変形例>
ヒータバー21が回転しながら筒状フィルムに押し当てられることによる上記のような作用効果に着目すると、本発明の横シール機構は、必ずしも冷却バー31および冷却バー受け34を備えた構成である必要はない。加圧面21aが曲面状に形成され、かつ、図5に示したような回動しながらの熱シールを行うことができるものであれば、上記同様、内容物をしごき下ろしながらの熱シールが可能となる。
【0053】
また上記本実施形態では、図3に示したように、支持部材26を移動させる駆動源としてエアシリンダS1,S2を用いている。駆動源としてエアシリンダを利用する場合、比較的簡単な構造で動作部を構成することができるという利点があるが、駆動源は必ずしもこれに限定されるわけではない。例えば、サーボモータ等を駆動源として利用すれば、動作タイミング等のずれがより生じにくい高信頼性な熱シール動作が実現される。
【0054】
ここで、図6および図7を参照して、図1に示した縦型充填包装機の一変形例について説明する。図6は図1に示した縦型充填包装機の一変形例の全体構成を概略的に示す正面図であり、図7は図6の縦型充填包装機の横シール機構を示す正面図である。
【0055】
図6に示すように、本変形例の縦型充填包装機50’は、シゴキローラ11の下方に配置された横シール機構60と、横シール機構60の下方に配置された冷却カット機構80とを有している。縦型充填包装機50’のその他の構成は、図1に示した縦型充填包装機50と同じである。本変形例における横シール機構60はヒータバーおよびヒータバー受けを有しているが、図2等に示した横シール機構20とは異なり、冷却バーおよび冷却バー受けを有していない。そのため、本変形例の縦型充填包装機50’は、冷却カット機構80を横シール機構60の下方に備え、これにより、横シール機構60による熱シールによって形成された筒状フィルム1’の熱シール部を冷却し、切断するように構成されている。
【0056】
図7(b)に示すように、本変形例の横シール機構60は、ヒータバー61およびヒータバー受け70を有している。ヒータバー受け70側のユニットは、エアシリンダ71を駆動源としてヒータバー受け70が筒状フィルム1’(図7では図示していない)に対して進退移動可能に構成されている。
【0057】
次に、ヒータバー61側のユニットの構成について説明する。図7(b)に示すように、本変形例に係るヒータバー61も、図2等に示したヒータバー21と同様に曲面状に形成された加圧面61aを有している。加圧面61aは金属で構成されていてもよく、あるいは耐熱高硬度ゴムで構成されていてもよい。ヒータバー受け70の受け面は曲面ではなく平面で形成されている。
【0058】
ヒータバー61は、軸部材61bによって支持されており、この軸部材61bの中心軸(回転軸)周りに回動可能となっている。軸部材61b自体は支持部材62によって支持されており、図7(b)に示されているように軸部材61bの延在方向は水平方向(Y方向)となっている。「Y方向」の定義は上述した通りである。
【0059】
軸部材61bには第1のギア64が取り付けられており、このギア64の回転に応じてヒータバー61も回転するようになっている。支持部材62は、回転軸62a周りに回動自在に構成された部材であり、第1のギア64に係合する第2のギア65を保持している。第2のギア65は、支持部材62とは別に設けられた部材63に設けられた固定歯車66にも係合するようになっている。
【0060】
このような構成によれば、支持部材62が回転軸62a周りに回動するのに伴って、固定歯車66に係合している第2のギア65が回転する。この第2のギア65の回転により、それに係合する第1のギア64が所定角度だけ回転し、これに合わせてヒータバー61も同じ角度だけ回動する。
【0061】
本変形例では、支持部材62を回転軸62a周りに回動させるための駆動源としてサーボモータ69が用いられている。サーボモータ69は駆動ギア67を回転駆動し、駆動ギア67は支持部材62の後端部に形成された駆動歯車68に係合している。サーボモータ69によって駆動ギア67を回転駆動することで、支持部材62を回転軸62a周りに回動させることが可能である。サーボモータ69による支持部材62の回動動作により、支持部材62は以下の第1〜第2の姿勢をとるようになっている。なお、ヒータバー61側のユニットは、不図示のエアシリンダ等を駆動源として筒状フィルム1’に対して進退移動可能に構成されている。
【0062】
支持部材26の第1の姿勢は、図7(a)に示す姿勢であり、支持部材62がこの第1の姿勢をとるとき、ヒータバー51は、その加圧面61aの上部側が筒状フィルムに接するような状態となっている。
【0063】
第2の姿勢は、図7(c)に示す姿勢であり、支持部材62がこの第2の姿勢をとるとき、ヒータバー61は、その加圧面61aの下部側が筒状フィルムに接するような状態となる。
【0064】
以上のように構成された本変形例の熱シール機構60および冷却カット機構80の動作について、以下、図6および図7を参照して説明する。
【0065】
一連の動作の初期状態では、ヒータバー61側のユニットおよびヒータバー受け70側のユニットはいずれも筒状フィルム1’から離れている。ヒータバー61側のユニットでは、サーボモータ69が図7(b)のA方向に回転させられて、支持部材62が第1の姿勢(図7(a)参照)となっている。
【0066】
この状態から、図7(a)に示すように、ヒータバー61側のユニットを筒状フィルム1’(図7では不図示)に近接させると同時に、ヒータバー受け70を進出位置とする。これにより、ヒータバー61とヒータバー受け70とにより、筒状フィルム1’が挟持され、熱シール動作が開始される。
【0067】
次いで、サーボモータ69を図7(b)のB方向に回転させて、支持部材62を、第1の姿勢から第2の姿勢へと移動させていく。本変形例における熱シール動作は、図7(a)の状態から図7(c)の状態になるまでの間に実施される。なお、本変形例におけるヒータバー61の動きも図5に示した動きと同様であるので、ここではその説明は省略する。
【0068】
図7に示すように、本変形例における横シール機構60も、ヒータバー61が回動しながら筒状フィルムを押圧するようになっているため、筒状フィルム内に存在する内容物をしごき下ろしながら熱シールが行われることとなる。したがって、熱シール部に残留する内容物の量が最小限に抑えられ、最終的に得られる熱シール部は、内容物の噛み込みが抑えられた良好なものとなる。
【0069】
以上の工程によって熱シール部が形成された後、ヒータバー61側のユニットおよびヒータバー受け70を待避位置に移動させる。そして、シゴキローラ11を回転させて、熱シール部が冷却カット機構80の位置に配置されるまで、筒状フィルム1’を下方に送る。
【0070】
続いて、冷却カット機構80の冷却バー81と冷却バー受け82とで筒状フィルムに形成された熱シール部を挟持することで熱シール部の冷却を行う。その後、冷却バー81に内蔵されたカッター(不図示)を進出させることにより、横シール部の中央を切断し、これにより袋詰め製品が筒状フィルム1’から切り分けられる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係る縦型充填包装機の全体構成を概略的に示す正面図である。
【図2】図1の縦型充填包装機の横シール機構を示す正面図である。
【図3】図2の横シール機構の一部を拡大して示す図であり、図3(a),(b)のそれぞれの状態は図2(a),(b)の各状態に対応する。
【図4】本発明に係る横シール機構による熱シール動作および熱シール部の冷却動作について説明するための図である。
【図5】本発明に係る横シール機構による熱シール動作についてより詳細に説明するための模式図である。
【図6】図1に示した縦型充填包装機の一変形例の全体構成を概略的に示す正面図である。
【図7】図6の縦型充填包装機の横シール機構を示す正面図である。
【図8】従来の横シール機構の構成および動作を説明するための正面図である。
【図9】ヒータバーおよびヒータバー受けで挟まれる筒状フィルムの領域を示す図である。
【符号の説明】
【0072】
1 フィルム
1’ 筒状フィルム
1a 空充填部
10 縦シール機構
11 シゴキローラ
12 搬送ローラ
14 製袋ガイド
15 投入ノズル
20,60 横シール機構
21,61 ヒータバー
24 ヒータバー受け
25a,62a 回転軸
26,62 支持部材
26a 連結部
27,64 第1のギア
27a,61b,65a 軸部材
28,65 第2のギア
29,66 固定歯車
30,63 部材
31,81 冷却バー
32 カム部
33 ローラ
34,82 冷却バー受け
35a 軸
36 支持部材
50 縦型充填包装機
80 冷却カット機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が充填される筒状フィルムを間において対向配置されたヒータバーおよびヒータバー受けを備え、該ヒータバーおよびヒータバー受けで前記筒状フィルムを挟み込み熱シールすることで前記筒状フィルムを密封する横シール機構において、
前記ヒータバーは、前記筒状フィルム側に向かって凸型となる曲面状の加圧面を有すると共に、前記筒状フィルムの送り方向に直交し、かつ前記ヒータバーが前記筒状フィルムに向かって移動する方向に直交する方向に延びる回転軸周りに回動するように構成されていることを特徴とする横シール機構。
【請求項2】
前記ヒータバーは、前記加圧面の一端側が前記筒状フィルムにまず当接し、次いで前記加圧面の中央部が前記筒状フィルムに当接し、その後、前記加圧面の他端側が前記筒状フィルムに当接するように構成されている、請求項1に記載の横シール機構。
【請求項3】
前記ヒータバー受けは、前記加圧面に対向する位置に平面状の受け面を有する、請求項1または2に記載の横シール機構。
【請求項4】
前記回転軸を構成する軸部材を保持すると共に、該軸部材に取り付けられた第1のギアと係合する第2のギアを保持し、前記回転軸とは別に設けられた他の回転軸周りに回動する支持部材と、
前記第2のギアと係合する固定歯車が形成された部材と、
前記支持部材を前記他の回転軸周りに移動させる駆動手段とを有し、
前記支持部材が前記他の回転軸周りに移動するのに伴って、前記第2のギアと前記固定歯車とが係合すると共に、前記第2のギアの回転により前記第1のギアが回転することで、前記ヒータバーが前記回転軸周りに回動する、請求項1から3のいずれか1項に記載の横シール機構。
【請求項5】
前記駆動手段はエアシリンダである、請求項4に記載の横シール機構。
【請求項6】
前記駆動手段はサーボモータである、請求項4に記載の横シール機構。
【請求項7】
前記ヒータバーによって前記筒状フィルムに形成された熱シール部を冷却するために、前記熱シールが終了した後、前記ヒータバー受けの受け面に対向する位置に移動させられる冷却バーをさらに有し、該冷却バーは、前記筒状フィルムを基準として前記ヒータバーと同じ側に配置され、かつ、前記ヒータバーが前記筒状フィルムから離れるのに連動して該筒状フィルム側に向かって移動するように構成されている、請求項1から6のいずれか1項に記載の横シール機構。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の横シール機構と、
前記筒状フィルムを鉛直下方に搬送する搬送手段と、
該横シール機構よりも上方に配置され、内容物が投入された前記筒状フィルムを挟み込みつつ回転して前記筒状フィルムを下方に送ることで前記筒状フィルムに空充填部を形成する一対のシゴキローラと、
を備えた縦型充填包装機。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか1項に記載の横シール機構と、
前記筒状フィルムを鉛直下方に搬送する搬送手段と、
該横シール機構よりも上方に配置され、内容物が投入された前記筒状フィルムを挟み込みつつ回転して前記筒状フィルムを下方に送ることで前記筒状フィルムに空充填部を形成する一対のシゴキローラと、
前記横シール機構よりも下方に前記筒状フィルムを間において対向配置され、前記ヒータバーによって前記筒状フィルムに形成された熱シール部を挟み込むことで該熱シール部を冷却する冷却バーおよび冷却バー受けと、
を備えた縦型充填包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−44666(P2008−44666A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−224440(P2006−224440)
【出願日】平成18年8月21日(2006.8.21)
【出願人】(596088093)オリヒロエンジニアリング株式会社 (15)
【Fターム(参考)】