説明

横型半導体装置

【課題】抵抗性フィールドプレート部のレイアウトの自由度を高める技術を提供すること。
【解決手段】コーナー範囲に設けられている中間抵抗性フィールドプレート部34は、カソード領域28とアノード領域23の間で往復を繰返して形成されている。直線範囲に設けられている中間抵抗性フィールドプレート部34も、カソード領域28とアノード領域23の間で往復を繰返して形成されている。コーナ範囲に設けられている中間抵抗性フィールドプレート部34と直線範囲に設けられている中間抵抗性フィールドプレート部34は接していない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抵抗性フィールドプレートを備えた横型半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
横型半導体装置は、例えばSOI(Silicon on Insulator)基板を利用して形成されている。横型半導体装置の一例に、横型ダイオードが知られている。横型ダイオードの半導体層の表面部には、カソード領域とアノード領域が形成されている。アノード領域は、カソード領域の周囲を一巡して配置されている。
【0003】
横型ダイオードはさらに、LOCOS膜と抵抗性フィールドプレートを備えている。LOCOS膜は、半導体層の表面に設けられており、カソード領域とアノード領域の間に配置されている。抵抗性フィールドプレートは、LOCOS膜の表面に設けられており、一端がカソード領域に電気的に接続されており、他端がアノード領域に電気的に接続されている。抵抗性フィールドプレートには微小電流が流れており、これにより、カソード領域とアノード領域の間に存在する半導体層の表面の電位分布が均一化され、半導体層の表面電界を緩和することができる。
【0004】
特許文献1に示されるように、このような抵抗性フィールドプレートは、平面視したときに、カソード領域とアノード領域の間で渦巻状又は同心円状に構成された抵抗性フィールドプレート部を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−22175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、平面視したときに、カソード領域とアノード領域の間の範囲は、レーストラック状の形態を有している。このため、カソード領域とアノード領域の間の範囲は、周方向に沿って一様な形態ではなく、コーナー範囲、直線範囲等が含まれている。通常、コーナー範囲に対応する半導体層には、電界が集中し易いことが知られている。したがって、コーナー範囲に対応する半導体層では、径方向の長さを直線範囲よりも長くすることが望まれる。
【0007】
しかしながら、渦巻き状又は同心円状の抵抗性フィールドプレート部は、カソード領域とアノード領域の間を周方向に一巡していることから、コーナー範囲と直線範囲で異なるレイアウトを採用することが難しい。このため、コーナー範囲と直線範囲を比較すると、コーナー範囲に設けられる抵抗性フィールドプレート部は、カソード領域とアノード領域の間の長さに対して相対的に少なく配置されることとなる。なお、仮に、コーナー範囲と直線範囲に異なるレイアウトを採用しても、コーナー範囲と直線範囲の抵抗性フィールドプレート部が接触している限り、その接触部位を介して双方に微小電流が流れることから、少なからずも影響を受けることになる。このような影響を考慮すると、コーナー範囲と直線範囲に最適ではない妥協したレイアウトを採用せざるを得ない。
【0008】
本明細書で開示される技術は、抵抗性フィールドプレート部のレイアウトの自由度を高める技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書で開示される技術では、隣り合う範囲に形成される抵抗性フィールドプレート部が接していないことを特徴としている。これにより、異なる範囲に設けられた抵抗性フィールドプレート部間に微小電流が流れることが防止されるので、各々の範囲に最適なレイアウトの抵抗性フィールドプレート部を形成することができる。本明細書で開示される技術では、抵抗性フィールドプレート部のレイアウトの自由度を高めることができる。
【0010】
本明細書で開示される横型半導体装置は、半導体層と絶縁層と抵抗性フィールドプレートを備えている。半導体層は、第1半導体領域と第2半導体領域を有している。第1半導体領域は、半導体層の表面部に設けられている。第2半導体領域は、半導体層の表面部に設けられており、第1半導体領域の周囲を一巡している。絶縁層は、半導体層の表面に設けられており、第1半導体領域と第2半導体領域の間に配置されている。抵抗性フィールドプレートは、絶縁層の表面に設けられており、一端が第1半導体領域に電気的に接続されており、他端が第2半導体領域に電気的に接続されている。平面視したときに、第1半導体領域と第2半導体領域の間には、第1半導体領域の周囲を周方向に沿って隣り合う第1範囲と第2範囲が存在している。抵抗性フィールドプレートは、第1抵抗性フィールドプレート部と第2抵抗性フィールドプレート部とを有している。第1抵抗性フィールドプレート部は、第1範囲に設けられており、前記周方向に沿って往復を繰返している。第2抵抗性フィールドプレート部は、第2範囲に設けられており、前記周方向に沿って往復を繰返している。第1範囲に設けられている第1抵抗性フィールドプレート部と第2範囲に設けられている第2抵抗性フィールドプレート部が接していない。上記態様の横型半導体装置によると、第1範囲の第1抵抗性フィールドプレート部と第2範囲の第2抵抗性フィールドプレート部に異なるレイアウトを採用することができる。
【0011】
第1範囲に設けられている第1抵抗性フィールドプレート部の往復回数と第2範囲に設けられている第2抵抗性フィールドプレート部の往復回数が異なっているのが望ましい。本明細書で開示される横型半導体装置では、往復回数を変えたレイアウトの第1抵抗性フィールドプレート部と第2抵抗性フィールドプレート部を採用することができる。本明細書で開示される横型半導体装置では、レイアウトの自由度が極めて高い。
【0012】
本明細書で開示される横型半導体装置では、平面視したときに、第1半導体領域と第2半導体領域の間の範囲が、コーナー範囲と直線範囲を有していてもよい。この場合、第1範囲は、コーナー範囲に含まれている。第2範囲は、直線範囲に含まれている。第1範囲に設けられている第1抵抗性フィールドプレート部の往復回数は、第2範囲に設けられている第2抵抗性フィールドプレート部の往復回数よりも多い。上記態様の横型半導体装置では、電界集中の大きいコーナー部には、往復回数の多い第1抵抗性フィールドプレート部が設けられており、電界集中を緩和することができる。
【0013】
第1抵抗性フィールドプレート部がコーナー範囲に設けられている場合、その第1抵抗性フィールドプレート部では、周方向に沿って伸びる各部分の抵抗値が略等しくてもよい。コーナー範囲に設けられている第1抵抗性フィールドプレート部では、周方向に沿って伸びる部分が、内側(第1半導体領域側)で短く、外側(第2半導体領域側)で長くなる。例えば、内側に設けられている部分の幅を狭くし、外側に設けられている部分の幅を広くすることで、周方向に沿って伸びる各部分の抵抗値を略等しくすることができる。これにより、半導体層の表面の電位分布が均一化され、電界集中が緩和される。
【0014】
第1抵抗性フィールドプレート部は、第2範囲に向けて突出する第1抵抗性フィールドプレート突出部を有していてもよい。第2抵抗性フィールドプレート部は、第1範囲に向けて突出する第2抵抗性フィールドプレート突出部を有していてもよい。この場合、平面視したときに、第1抵抗性フィールドプレート突出部と第2抵抗性フィールドプレート突出部が、第1半導体領域と第2半導体領域を結ぶ方向に沿って繰り返し設けられていてもよい。この態様によると、第1範囲と第2範囲の間においても、抵抗性フィールドプレートが形成されない空白範囲が存在しない。これにより、半導体層の表面の電位分布が均一化され、電界集中が緩和される。
【0015】
第1抵抗性フィールドプレート部の抵抗値と第2抵抗性フィールドプレート部の抵抗値が略等しいのが望ましい。この態様によると、第1抵抗性フィールドプレート部を流れる電流と第2抵抗性フィールドプレート部を流れる電流が略等しくなる。これにより、半導体層の電位分布が均一化され、電界集中が緩和される。
【発明の効果】
【0016】
本明細書で開示される技術によると、抵抗性フィールドプレート部のレイアウトの自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】横型ダイオードの概略平面図を模式的に示す(明瞭化を目的として、SOI基板上の電極等を除去した状態で図示されている)。
【図2】図1のII-II線に対応した断面図を模式的に示す。
【図3】図1のIII-III線に対応した断面図を模式的に示す。
【図4】横型ダイオードのコーナー範囲と直線範囲を示す。
【図5】横型ダイオードを変形例の一例を示す。
【図6】直線範囲CとDの境界の一例の拡大平面図を模式的に示す。
【図7】直線範囲CとDの境界の他の一例の拡大平面図を模式的に示す。
【図8】中間抵抗性フィールドプレートを構成する各部分の抵抗値の概念を示す。
【図9】各範囲に設けられている中間抵抗性フィールドプレートの抵抗値の概念を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書で開示される技術の特徴を整理しておく。
(第1特徴)横型半導体装置は、支持層と埋込み絶縁層と活性層が積層した積層基板に形成されている。前記積層基板は、SOI基板であるのが望ましい。
(第2特徴)第1特徴において、半導体装置は、活性層を一巡する絶縁分離トレンチで囲まれる島領域に形成されている。
(第3特徴)横型半導体装置は、半導体層に形成される半導体構造を備える。半導体構造は、複数種類の半導体領域で構成されており、半導体層を流れる電流を制御する。半導体構造には、ダイオード構造、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)構造、MOSFET(Metal Oxide Silicon Field Effect Transistor)構造等が用いられる。ダイオード構造の場合、第1半導体領域がn型のカソード領域であり、第2半導体領域がp型のアノード領域である。IGBTの場合、第1半導体領域がp型のコレクタ領域であり、第2半導体領域がn型のエミッタ領域である。MOSFETの場合、第1半導体領域がn型のドレイン領域であり、第2半導体領域がn型のソース領域である。
【実施例】
【0019】
図1〜図3に示されるように、横型のダイオード1は、n型又はp型の支持層12と埋込み絶縁層14とn-型の活性層16が積層したSOI基板10に形成されている。図1に示されるように、ダイオード1は、絶縁分離トレンチ18で囲まれた活性層16の島領域内に形成されている。絶縁分離トレンチ18は、活性層16の表面から活性層16を貫通して埋込み絶縁層14まで達しており、平面視したときに活性層16の一部を一巡している。一例では、支持層12と活性層16の材料には単結晶シリコンが用いられており、埋込み絶縁層14の材料には酸化シリコンが用いられている。
【0020】
ダイオード1は、n型のカソード領域28とp型のアノード領域23とn型のドリフト領域26を備えている。カソード領域28とアノード領域23とドリフト領域26はダイオード構造を構成しており、活性層16を横方向に流れる電流を制御する。具体的には、カソード領域28とアノード領域23の間に順バイアスが印加されたときに(アノード領域23が高圧側に接続されたときに)、カソード領域28とアノード領域23の間に電流を導通させる。一方、カソード領域28とアノード領域23の間に逆バイアスが印加されたときに(カソード領域28が高圧側に接続されたときに)、カソード領域28とアノード領域23の間を非導通とする。
【0021】
図1に示されるように、カソード領域28は、島領域の中央部に配置されており、紙面左右方向に長く伸びて形成されている。カソード領域28は、例えばイオン注入技術を利用して、活性層16の表面部にリンイオンを注入して形成することができる。なお、この例ではカソード領域28が1つの拡散領域で形成されているが、この例に代えて、カソード領域28が紙面左右方向に分散した状態で形成されていてもよい。また、カソード領域28に接するように、p型の領域を部分的に形成してもよい。
【0022】
アノード領域23は、島領域の周辺部に配置されており、絶縁分離トレンチ18に接しながらカソード領域28の周囲を一巡して形成されている。アノード領域23は、高濃度アノード領域22と低濃度アノード領域24を有している。低濃度アノード領域24は、高濃度アノード領域22よりも深く形成されており、高濃度アノード領域22を取り囲んでいる。なお、高濃度アノード領域22と低濃度アノード領域24の形態はこの例に限られない。例えば、高濃度アノード領域22の面積がより小さく形成され、低濃度アノード領域24の一部がアノード電極32と接するような形態でもよい。また、低濃度アノード領域24の深さを部分的に変えたような形態でもよい。アノード領域23は、例えばイオン注入技術を利用して、活性層16の表面部にボロンイオンを注入して形成することができる。
【0023】
ドリフト領域26は、カソード領域28とアノード領域23の間に形成されている。ドリフト領域26は、活性層16にカソード領域28とアノード領域23を形成した残部である。ドリフト領域26には、必要に応じて、高耐圧化のための半導体領域(例えば、リサーフ領域)が形成されていてもよい。
【0024】
ダイオード1はさらに、活性層16の表面に設けられているカソード電極36とアノード電極32とLOCOS(Local Oxidation of Silicon)膜37と抵抗性フィールドプレート30を備えている。
【0025】
カソード電極36は、島領域の中央部に配置されており、カソード領域28に直接的に接触している。アノード電極32は、島領域の周辺部に配置されており、アノード領域23に直接的に接触している。
【0026】
LOCOS膜37は、活性層16の表面に設けられており、カソード領域28とアノード領域23の間に配置されている。LOCOS膜37は、ドリフト領域26上に設けられている。LOCOS膜37の材料には、例えば酸化シリコンが用いられている。
【0027】
抵抗性フィールドプレート30は、LOCOS膜37の表面に設けられており、内周側抵抗性フィールドプレート部35と中間抵抗性フィールドプレート部34と外周側抵抗性フィールドプレート部33を有している。内周側抵抗性フィールドプレート部35は、島状領域の中央部を一巡するように配置されており、カソード電極36を介してカソード領域28に電気的に接続されている。外周側抵抗性フィールドプレート部33は、島状領域の周辺部を一巡するように配置されており、アノード電極32を介してアノード領域23に接続されている。中間抵抗性フィールドプレート部34は、内周側抵抗性フィールドプレート部35と外周側抵抗性フィールドプレート部33の双方に接続されている。
【0028】
図1及び図4に示されるように、平面視したときに、カソード領域28とアノード領域23の間は、レーストラック状の形態を有している。図4に示されるように、このレーストラック状の形態は、A,B,E,Fに対応するコーナー範囲と、C,D,G,Hに対応する直線範囲を含む。
【0029】
図1及び図4に示されるように、各範囲A〜Hに形成されている中間抵抗性フィールドプレート部34はそれぞれ、一方の端部が内周側抵抗性フィールドプレート部35に接触しており、他方の端部が外周側抵抗性フィールドプレート部33に接触しており、その間の部分は他の中間抵抗性フィールドプレート部34と接触していない。
【0030】
コーナー範囲A,B,E,Fに形成される中間抵抗性フィールドプレート部34は、カソード領域28とアノード領域23の間において、カソード領域28の周方向に沿って往復を繰り返して形成されている。この例では、中間抵抗性フィールドプレート部34が、カソード領域28とアノード領域23の間で5往復している。また、カソード領域28とアノード領域23を結ぶ方向で観測したときに、隣り合う中間抵抗性フィールドプレート部34間の長さは一定であり、特定の値に固定されている。
【0031】
直線範囲C,D,G,Hに形成される中間抵抗性フィールドプレート部34は、カソード領域28とアノード領域23の間において、カソード領域28の周方向に沿って往復を繰り返して形成されている。この例では、中間抵抗性フィールドプレート部34が、カソード領域28とアノード領域23の間で4往復している。また、カソード領域28とアノード領域23を結ぶ方向で観測したときに、隣り合う中間抵抗性フィールドプレート部34間の長さは一定であり、特定の値に固定されている。なお、コーナー範囲A,B,E,Fにおいてカソード領域28とアノード領域23を結ぶ方向で観測したときに隣り合う中間抵抗性フィールドプレート部34間の長さと直線範囲C,D,G,Hにおいてカソード領域28とアノード領域23を結ぶ方向で観測したときに隣り合う中間抵抗性フィールドプレート部34間の長さは同一である。
【0032】
図2は、コーナー範囲A,B,E,Fに形成される中間抵抗性フィールドプレート部34を代表して示している。図3は、直線範囲C,D,G,Hに形成される中間抵抗性フィールドプレート部34を代表して示している。コーナー範囲A,B,E,Fに対応するドリフト領域26は、電界が集中し易い。このため、ドリフト領域26の横方向の長さ(カソード領域28とアノード領域23の間の長さ)は、直線範囲C,D,G,Hよりもコーナー範囲A,B,E,Fの方が長い。上記したように、コーナー範囲A,B,E,Fに形成される中間抵抗性フィールドプレート部34は、直線範囲C,D,G,Hに形成される中間抵抗性フィールドプレート部34よりも往復回数が多く形成されている。このため、コーナー範囲A,B,E,Fと直線範囲C,D,G,Hのいずれにおいても、ドリフト領域26の上方には、その全範囲に亘って一様に中間抵抗性フィールドプレート部34が形成されている。すなわち、ドリフト領域26の横方向の長さに対する中間抵抗性フィールドプレート部34の配置間隔が、コーナー範囲A,B,E,Fと直線範囲C,D,G,Hで同一である。したがって、コーナー範囲A,B,E,Fと直線範囲C,D,G,Hのいずれにおいても、ドリフト領域26の表面電界が緩和されており、高耐圧なダイオード1が具現化される。
【0033】
図5に、ダイオード1の変形例を示す。このダイオード1は、隣り合う中間抵抗性フィールドプレート部34間に高抵抗な半導体領域38が形成されている。このダイオード1では、抵抗性フィールドプレート30と半導体領域38が、イオン注入技術を利用して形成されることを特徴としている。具体的には、LOCOS膜37の表面に高抵抗半導体層を形成した後に、抵抗性フィールドプレート30の形成範囲に対応して開口を有するマスクをパターニングする。次に、その開口を介して高抵抗半導体層に不純物を導入し、抵抗性フィールドプレート30の形成範囲に対して選択的に不純物を導入する。その後に、アニール処理を実施することで、抵抗性フィールドプレート30と半導体領域38を作り分けることができる。この製造方法を利用すると、エッチング技術を利用する必要がないので、加工バラツキを抑えることができる。
【0034】
図6に、ダイオード1の好ましい態様の一例を示す。図6は、直線範囲CとDの境界部分の拡大平面図である。図6に示されるように、直線範囲Cの中間抵抗性フィールドプレート部34は、直線範囲Dに向けて突出する突出部34aを有している。同様に、直線範囲Dの中間抵抗性フィールドプレート部34も、直線範囲Cに向けて突出する突出部34aを有している。これにより、直線範囲CとDの間において、突出部34aがアノード・カソード間方向(紙面上下方向)に繰り返し設けられている。なお、突出部34aは、図7に示すような例であってもよい。このように、突出部34aが設けられていると、直線範囲CとDの間において、中間抵抗性フィールドプレート部34が存在しない空白範囲が存在しない。このため、直線範囲CとDの間においても、ドリフト領域26の表面電界が緩和されており、高耐圧なダイオード1が具現化される。なお、図6及び図7では、直線範囲CとDの境界部分を例示したが、当然に、他の範囲の間にも同様な構造が設けられているのが望ましい。
【0035】
図8に、ダイオード1の好ましい態様の一例を示す。図8は、コーナー範囲A,B,E,Fに形成されている中間抵抗性フィールドプレート部34の各部分の抵抗値の概念図を示す。中間抵抗性フィールドプレート部34は、周方向に沿って伸びる複数の部分(以下、円弧部分という)によって構成されている。最もカソード側(最内周側)の円弧部分の抵抗値をR1とし、最もアノード側(最外周側)の円弧部分の抵抗値をRNとする。コーナー範囲A,B,E,Fに形成されている中間抵抗性フィールドプレート部34では、円弧部分の周方向の長さがカソード側からアノード側に向けて増加する。このため、中間抵抗性フィールドプレート部34の幅が一定であると、R1<R2<R3<・・・<RNの関係が成立する。ダイオード1では、中間抵抗性フィールドプレート部34の幅をカソード側(最内周側)からアノード側(最外周側)に向けて増加させ、R1=R2=R3=・・・=RNの関係が成立するように構成されている。これにより、ドリフト領域26の表面電位分布は、アノード・カソード間方向において均一化され、表面電界が緩和される。
【0036】
図9に、ダイオード1の好ましい態様の一例を示す。図9は、各範囲A〜Hに形成されている中間抵抗性フィールドプレート部34の抵抗値の概念図を示す。各範囲A〜Hに形成されている中間抵抗性フィールドプレート部34は、内周側抵抗性フィールドプレート部35と外周側抵抗性フィールドプレート部33の間において並列に接続されている。コーナー範囲Aに形成されている中間抵抗性フィールドプレート部34の抵抗値がRaであり、直線範囲Hに形成されている中間抵抗性フィールドプレート部34の抵抗値がRhである。ダイオード1では、コーナー範囲A,B,E,Fと直線範囲C,D,G,Hにおいて中間抵抗性フィールドプレート部34のレイアウトが異なるけれども、Ra=Rb=・・・=Rhの関係が成立するように構成されている。これにより、各中間抵抗性フィールドプレート部34に流れる電流値が同じになり、電流の偏りが抑えられ、ドリフト領域26の表面電界が緩和され、高耐圧なダイオード1が具現化される。
【0037】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、上記実施例では半導体材料にシリコンを用いたものを例示したが、この例に代えて、ワイドギャップ半導体を用いてもよい。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0038】
10:SOI基板
12:支持層
14:埋込み絶縁層
16:活性層(半導体層の一例)
23:アノード領域(第2半導体領域の一例)
26:ドリフト領域
28:カソード領域(第1半導体領域の一例)
30:抵抗性フィールドプレート
33:外周側抵抗性フィールドプレート部
34:中間抵抗性フィールドプレート部
35:内周側抵抗性フィールドプレート部
37:LOCOS膜(絶縁層の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体層と絶縁層と抵抗性フィールドプレートを備えており、
前記半導体層は、
表面部に設けられている第1半導体領域と、
表面部に設けられており、前記第1半導体領域の周囲を一巡している第2半導体領域と、を有しており、
前記絶縁層は、前記半導体層の表面に設けられており、前記第1半導体領域と前記第2半導体領域の間に配置されており、
前記抵抗性フィールドプレートは、前記絶縁層の表面に設けられており、一端が前記第1半導体領域に電気的に接続されており、他端が前記第2半導体領域に電気的に接続されており、
平面視したときに、前記第1半導体領域と前記第2半導体領域の間には、前記第1半導体領域の周囲を周方向に沿って隣り合う第1範囲と第2範囲が存在しており、
前記抵抗性フィールドプレートは、
前記第1範囲に設けられており、前記周方向に沿って往復を繰返す第1抵抗性フィールドプレート部と、
前記第2範囲に設けられており、前記周方向に沿って往復を繰返す第2抵抗性フィールドプレート部と、を有しており、
前記第1範囲に設けられている前記第1抵抗性フィールドプレート部と前記第2範囲に設けられている前記第2抵抗性フィールドプレート部が接していない横型半導体装置。
【請求項2】
前記第1範囲に設けられている前記第1抵抗性フィールドプレート部の往復回数と前記第2範囲に設けられている前記第2抵抗性フィールドプレート部の往復回数が異なっている請求項1に記載の横型半導体装置。
【請求項3】
平面視したときに、前記第1半導体領域と前記第2半導体領域の間の範囲は、コーナー範囲と直線範囲を有しており、
前記第1範囲は、前記コーナー範囲に含まれており、
前記第2範囲は、前記直線範囲に含まれており、
前記第1範囲に設けられている前記第1抵抗性フィールドプレート部の往復回数は、前記第2範囲に設けられている前記第2抵抗性フィールドプレート部の往復回数よりも多い請求項2に記載の横型半導体装置。
【請求項4】
前記第1抵抗性フィールドプレート部は、前記周方向に沿って伸びる各部分の抵抗値が略等しい請求項3に記載の横型半導体装置。
【請求項5】
前記第1抵抗性フィールドプレート部は、第2範囲に向けて突出する第1抵抗性フィールドプレート突出部を有しており、
前記第2抵抗性フィールドプレート部は、第1範囲に向けて突出する第2抵抗性フィールドプレート突出部を有しており、
平面視したときに、前記第1抵抗性フィールドプレート突出部と前記第2抵抗性フィールドプレート突出部が、前記第1半導体領域と前記第2半導体領域を結ぶ方向に沿って繰り返し設けられている請求項1〜4のいずれか一項に記載の横型半導体装置。
【請求項6】
前記第1抵抗性フィールドプレート部の抵抗値と前記第2抵抗性フィールドプレート部の抵抗値が略等しい請求項1〜5のいずれか一項に記載の横型半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−256854(P2012−256854A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−88455(P2012−88455)
【出願日】平成24年4月9日(2012.4.9)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】