説明

樹脂シートの製造装置及び製造方法

【課題】様々な熱可塑性樹脂を用いて表面に微細な凹凸を確実に形成することを可能とする樹脂シートの製造装置を得る。
【解決手段】金属からなるロール本体4aを有する温度調節ロール4と、温度調節ロール4を駆動する駆動装置6と、外表面に樹脂シート表面に形成される凹凸に対応した形状の凹凸が形成されている無端金属帯状体4cと、温度調節ロール4の外周面及び無端金属帯状体4cの内周面の少なくとも一方に設けられており、無端金属帯状体4cよりも透磁率の低い素材4bと、透磁率の低い素材4bを介して無端金属帯状体4cを温度調節ロール4に接触させつつ温度調節ロール4が回転しているうちに、樹脂シート3を無端金属帯状体4cの外周面に接触させて熱可塑性樹脂シート3の一方面に凹凸を付与する装置と、無端金属帯状体4cを加熱するための電磁誘導加熱装置7とを備える、樹脂シートの製造装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂シートの片面に凹凸を付与するための樹脂シートの製造装置及び製造方法に関し、より詳細には、高周波誘導加熱により加熱された無端金属帯状体の外表面の凹凸を樹脂シートの片面に付与することにより樹脂シートの片面に凹凸を付与する樹脂シートの製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽電池用封止フィルム、液晶表示装置用光学フィルムあるいは合わせガラス用インナーフィルムなどに、表面に凹凸を有する合成樹脂フィルムが広く用いられている。このような合成樹脂フィルムの製造に際しては、溶融押出によりダイから押し出された溶融樹脂を、表面に凹凸が設けられた型ロールと圧着ロールとで挟圧する、いわゆる2ロール法や、凹凸が表面に付与された転写材を合成樹脂フィルムに加熱プレスする方法などの様々な方法が用いられている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、図8に略図的に示す熱可塑性樹脂のシート加工装置が開示されている。図8に示すように、シート加工装置101では、供給ロール102に巻回された熱可塑性樹脂シート103が繰り出される。熱可塑性樹脂シート103は、型ロール104と圧着ロール105との間に導かれる。型ロール104の外周面には凹凸が付与されている。型ロール104の外表面に熱可塑性樹脂シート103が供給される部分よりも型ロール104の回転方向上流側に加熱装置106が設けられている。加熱装置106により金属からなる型ロール104を加熱する。そのため、型ロール104と圧着ロール105との間で熱可塑性樹脂シート103を挟圧することにより、型ロール104の外表面の凹凸を熱可塑性樹脂シート103に確実に転写することができるとされている。
【0004】
ここでは、圧着ロール105と、ロール107,108とにエンドレスベルト109が架けわたされている。エンドレスベルト109は、型ロール104表面の熱可塑性樹脂シート103に密着される。エンドレスベルト109により、凹凸が付与された熱可塑性樹脂シート103が冷却され、型ロール104から熱可塑性樹脂シート103を無理なく剥離することができるとされている。
【0005】
他方、下記の特許文献2には、このような型ロールによる熱可塑性樹脂フィルムへの微細形状の転写に際し、型ロールを加熱する装置として、高周波誘導加熱を用いる方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−291251号公報
【特許文献2】特許第4232608号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の熱可塑性樹脂のシート加工装置101によれば、表面に微細な凹凸が付与されている熱可塑性樹脂シートを得ることができる。しかしながら、特許文献1に記載の熱可塑性樹脂のシート加工装置101では、加熱装置106として、輻射熱を与える加熱装置が用いられている。そのため、エネルギー効率が充分でなかった。
【0008】
また、特許文献1では、熱可塑性樹脂の中でも粘度が比較的低い軟質ポリ塩化ビニルに、可塑材を添加した熱可塑性樹脂組成物を用いることにより、凹凸の転写性が高め得ると記載されている。しかしながら、特許文献1に記載のシート加工装置101では、粘度が比較的高い熱可塑性樹脂を用いた場合には、微細な凹凸を熱可塑性樹脂シート表面に確実に転写することは困難であった。また、粘度を低めるために、粘度低下作用を有する添加剤等を配合しなければならず、使用し得る熱可塑性樹脂や熱可塑性樹脂組成物の組成に制限があった。
【0009】
他方、特許文献2に記載の方法は、型ロール自体を高周波誘導加熱を利用して加熱するため、熱効率において優れている。しかしながら、金属からなる型ロール内において熱が拡散しやすく、型ロール表面の温度を凹凸形状の転写に適切な比較的高い温度に維持するには、相当量の電力を供給しなければならなかった。また、特許文献2に記載の製造方法を用いたとしても、使用に微細な凹凸を高精度に熱可塑性樹脂シート表面に転写することは困難であった。例えば、凹凸の凸部断面において、高さと幅との比に相当するアスペクト比が大きくとも0.5程度が限界であった。
【0010】
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、様々な熱可塑性樹脂を用いて表面に微細な凹凸を確実に形成することを可能とする樹脂シートの製造装置及び製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る樹脂シートの製造装置は、一方面に凹凸が形成されている樹脂シートの製造装置であって、金属からなるロール本体を有する温度調節ロールと、前記温度調節ロールを回転駆動する第1の駆動装置と、外表面に前記樹脂シートの表面に形成される凹凸に対応した形状の凹凸が形成されている無端金属帯状体と、前記温度調節ロールの外周面及び前記無端金属帯状体の内周面の少なくとも一方に設けられており、前記無端金属帯状体よりも透磁率の低い素材と、前記透磁率の低い素材を介して前記無端金属帯状体を前記温度調節ロールに接触させつつ前記温度調節ロールを回転している内に、前記樹脂シートを前記無端金属帯状体の外周面に接触させて前記樹脂シートの一方面に凹凸を付与する装置と、前記無端金属帯状体の外周面に前記樹脂シートが接触される位置よりも上流側において前記無端金属帯状体を加熱するための電磁誘導加熱装置とを備える。
【0012】
本発明に係る樹脂シートの製造装置のある特定の局面では、前記透磁率の低い素材が前記温度調節ロールの前記ロール本体の外周面に一体に形成されている。この場合には、製造装置の小型化を図り得るだけでなく、透磁率の低い素材により、無端金属帯状体に渦電流を発生させるための磁界を無端金属帯状体内に閉じこめておくことができる。
【0013】
本発明に係る樹脂シートの製造装置の他の特定の局面によれば、前記無端金属帯状体が前記透磁率の低い素材の外周面に一体的に設けられており、それによって前記ロール本体に、前記透磁率の低い素材及び前記無端金属帯状体が一体化されている。この場合には、透磁率の低い素材及び無端金属帯状体がロール本体に一体化されていることにより、製造装置の小型化を図ることができるとともに、使用する部材の低減及び製造装置のコストの低減を図ることができる。
【0014】
本発明に係る樹脂シートの製造装置のさらに別の特定の局面では、前記無端金属帯状体が無端金属ベルトであり、前記温度調節ロールが、複数の温度調節ロールを有し、前記無端金属ベルトが、複数の温度調節ロールに架けわたされている。この場合には無端金属帯状体の温度をより高精度にコントロールすることができる。
【0015】
本発明に係る樹脂シートの製造装置の他の特定の局面では、前記樹脂シートの一方面に凹凸を付与する装置が、樹脂シートと前記無端金属帯状体の外周面に圧接する圧着ロールを有し、前記圧着ロールが前記温度調節ロールとの間に隙間を有するように配置されており、該隙間において、前記金属帯状体の外表面側に圧着ロールに前記樹脂シートが圧着される。
【0016】
本発明に係る樹脂シートの製造装置において、樹脂シートの一方面に凹凸を付与する装置は、上記温度調節ロールと圧着ロールとを有する構成に限らず、エッジピニング装置であってもよく、あるいはエアナイフであってもよい。
【0017】
本発明に係る樹脂シートの製造装置のさらに他の特定の局面では、溶融された樹脂をシート状に押し出す溶融押出装置をさらに備え、該溶融押出装置により押し出された平坦な樹脂シートの一方面に、凹凸が付与される。この場合には、溶融押出されており、当初から比較的高い温度にあるシート状体を用いるため、樹脂シート表面に凹凸をより容易にかつ高精度に付与することができる。
【0018】
本発明に係る樹脂シートの製造装置のさらに他の特定の局面では、前記温度調節ロールが、金属からなるロール本体内部に中空部を有し、該中空部に冷媒を供給するための冷媒供給装置をさらに備える。この場合には、冷媒によりロール本体を冷却することができ、凹凸が付与された樹脂シートを温度調節ロールから容易に分離することができる。
【0019】
本発明に係る樹脂シートの製造装置のさらに他の特定の局面では、前記無端金属帯状体の外表面の凹凸において、凸部の断面のアスペクト比が0.5以上である。本発明によれば、このような無端金属帯状体を用いることにより、凸部断面のアスペクト比が0.5以上である凹凸形状を有する樹脂シートを提供することができる。
【0020】
本発明に係る樹脂シートの製造方法は、本発明に係る樹脂シートの製造装置を用いた製造方法であり、前記無端金属帯状体及び前記温度調節ロールを駆動装置により駆動する工程と、前記無端金属帯状体を前記電磁誘導加熱装置により加熱する工程と、駆動装置により搬送されている無端金属帯状体の前記電磁誘導加熱装置により加熱される位置よりも無端金属帯状体の搬送方向下流側において、前記無端金属帯状体の搬送方向の少なくとも一部の領域において、前記断熱材を介して前記無端金属帯状体を前記温度調節ロールに接触させつつ、前記無端金属帯状体の搬送方向の少なくとの一部の前記領域内において、樹脂シートの一方面を無端金属帯状体の外周面に接触させ、前記樹脂シートの一方面に凹凸を付与する工程と、前記凹凸が付与された前記樹脂シートを前記温度調節ロールの外周面上において前記無端金属帯状体から剥離する工程とを備える。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る樹脂シートの製造装置及び製造方法によれば、無端金属帯状体が熱効率に優れた電磁誘導加熱装置により加熱され、加熱された無端金属帯状体が透磁率の低い素材を介して温度調節ロールに接触されつつ、温度調節ロールが回転している内に、樹脂シートの一方面が無端金属帯状体の外周面に接触されるので、樹脂シートの一方面に無端金属帯状体の外周面の凹凸を確実にかつ高精度に転写することができる。すなわち、熱効率に優れた電磁誘導加熱装置を用い、無端金属帯状体が少ない電力量で凹凸を高精度に転写するのに充分な温度に確実に加熱される。しかも、該無端金属帯状体が透磁率の低い素材を介してロール本体と接触しているため、磁界を無端金属帯状体内に集中させることができ、それによって発生する渦電流はより効率的に発生させることができる。
【0022】
よって、本発明によれば、凸部断面のアスペクト比が例えば0.5以上の凹凸や、非常に微細な凹凸を一方面に有する樹脂シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(a)は本発明の一実施形態に係る樹脂シートの製造装置の概略構成図であり、(b)はその要部を示す拡大図であり、(c)は第1の実施形態で得られる樹脂シートを示す部分切欠正面断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態で用いられる温度調節ロールと、透磁率の低い素材及び金属帯状体の構成を示す部分拡大断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態で得られる樹脂シートの応用例を示す部分切欠断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態で得られる樹脂シートの変形例を示す部分切欠断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る樹脂シートの製造装置の概略構成図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る樹脂シートの製造装置の概略構成図である。
【図7】本発明の樹脂シートの製造装置の変形例を説明するための模式図である。
【図8】従来の熱可塑性樹脂のシート加工装置を説明するための概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0025】
(第1の実施形態)
図1(a)は、発明の第1の実施形態に係る樹脂シートの製造装置を示す概略構成図であり、図1(b)はその要部を示す部分拡大断面図であり、(c)は本実施形態で得られる樹脂シートを示す部分切欠正面断面図である。
【0026】
図1(a)で示すように、樹脂シートの製造装置1は、熱可塑性樹脂を溶融する溶融押出装置2を有する。溶融押出装置2は、熱可塑性樹脂を溶融し、シート3として押し出す。なお、本実施形態では、溶融押出装置2を用いているが、本発明においては、溶融押出装置2を用いずともよく、予めシート成型された熱可塑性樹脂シートを当初から用いてもよい。
【0027】
もっとも、溶融押出装置2から押し出された直後の熱可塑性樹脂シート3は比較的高温状態にあり、転写による微細な凹凸の付与が容易であるため、溶融押出装置2を用いることが好ましい。予め成型された熱可塑性樹脂シートを用いる場合には、後の工程で、微細な凹凸を転写するのに必要な温度に充分に熱可塑性樹脂シート3を加熱する必要がある。
【0028】
用いられる熱可塑性樹脂としては特に限定されないが、本実施形態では、ポリメチルメタクリレートが用いられる。他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルブチラール、エチレンビニルアルコール樹脂、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマーなどが挙げられる。
【0029】
熱可塑性樹脂シート3は、温度調節ロール4と圧着ロール5との間に供給される。
【0030】
図1(b)に示すように、温度調節ロール4は、金属からなるロール本体4aを有する。このような金属としては特に限定されず、アルミニウム、ステンレスや鉄などの強度の高い適宜の金属を用いることができる。ロール本体4aは円筒状であり、中空部を有し、必須ではないが図示しない冷媒供給装置から内部に空気等の冷媒が供給される。
【0031】
ロール本体4aの外周面には、本発明の透磁率の低い素材としての低比透磁率層4bが形成されている。低比透磁率層4bは、ロール本体4aの外周面を覆うように形成されており、従って低比透磁率層4bはロール本体4aと一体化されている。
【0032】
上記透磁率の低い素材としては、無端帯状金属帯よりも透磁率が低い適宜の材料を用いることができる。このような材料としては、例えば、Cr、Al、ジルコニア・酸化カルシウム混合物などの無機化合物や、ポリイミドに代表される耐熱性有機化合物などを挙げることができる。本実施形態では、低比透磁率層4bはCrからなる。
【0033】
低比透磁率層4bの厚みは、特に限定されるわけではないが、透磁率の低い素材は低熱伝導性を併せ持つことが多い。熱伝導性が低くなりすぎると、位置Xから位置Zの間での適度な冷却が行い難くなる。従って、5mm以下の厚みであることが好ましい。また、薄すぎると耐久性が低下するので、0.001mm以上であることが望ましい。もっとも、これらの厚みは、低比透磁率層4bの材料によって適宜調整すればよい。
【0034】
上記低比透磁率層4bの外周面に、無端金属帯状体4cが形成されている。無端金属帯状体4cは、電磁誘導加熱により加熱されるものであるため、好ましくは、ニッケルもしくはニッケル合金または炭素鋼などの透磁率の高い金属材料からなることが好ましく、より具体的には、比透磁率が2以上のものが望ましい。また、金属からなるため、熱伝導性に優れ、温度制御も容易である。本実施形態では、無端金属帯状体4cはNiからなる。
【0035】
無端金属帯状体4cの外周面には、図1(b)に示すように、複数の凸部4dが周方向に沿って規則的に設けられた凹凸が設けられている。上記凹凸は、最終的に得られる熱可塑性樹脂シートの一方面に形成される凹凸を反転した形状に相当する。
【0036】
上記無端金属帯状体4cの形成は、上記形状を有する無端金属帯状体を外周面に低比透磁率層4bが形成されたロール本体4aに外挿する方法、あるいは低比透磁率層4bの外周面に無端金属帯状体4cを成膜し、表面に凹凸を付与する加工を施す方法など、適宜の方法を用いることができる。
【0037】
好ましくは、無端金属帯状体4cの外周面すなわち上記凹凸が形成されている側の面には、熱可塑性樹脂シートの剥離を容易とするために、易剥離性材料層が形成されていてもよい。このような易剥離性材料としては、フッ素含有単分子膜等の有機系材料、あるいはダイヤモンドライクカーボンのような無機材料を適宜用いることができる。
【0038】
図1(a)に示すように、温度調節ロール4は、モータなどの駆動装置Mにより、図示の矢印A方向に回転する。他方、圧着ロール5は、回転自在に設けられており、熱可塑性樹脂シート3を温度調節ロール4と圧着ロール5との間の隙間において温度調節ロール4側に圧着ロール5が熱可塑性樹脂シート3を圧接する。すなわち、熱可塑性樹脂シート3は、温度調節ロール4と圧着ロール5との間で挟圧される。
【0039】
圧着ロール5は、適宜の金属により形成することができる。このような金属として、特に限定されず、ステンレスや、鉄などを挙げることができる。更には、圧着性を高めるためにゴム等柔軟性物質がコーティングされているのも良い。
【0040】
圧着ロール5は、矢印A方向と反対方向に、駆動装置(図示せず)により回転駆動されてもよい。
【0041】
温度調節ロール4と圧着ロール5とで熱可塑性樹脂シート3が挟圧され、後述の転写が行われる部分を位置Xとする。位置Xよりも温度調節ロール4の回転方向上流側の位置、すなわち無端金属帯状体4cの搬送方向上流側の位置Yにおいて、無端金属帯状体4cを電磁誘導加熱するために、電磁誘導加熱装置7が配置されている。電磁誘導加熱装置7は、高周波電流が通電されるコイルを有し、該コイルに高周波電流が通電された際の磁界により、前述した金属からなる無端金属帯状体4cが電磁誘導加熱され、発熱する。加熱の程度は、無端金属帯状体4cが、熱可塑性樹脂シート3に前述した凹凸を転写するのに適宜な温度に無端金属ベルト24を加熱するように設定される。
【0042】
位置Yは、位置Xよりも、無端金属帯状体4cの搬送方向すなわち温度調節ロール4の回転方向において上流側であれば、特に限定されるものではないが、好ましくは、Yで加熱された無端金属帯状体4cがXで樹脂シートに形状が転写されるに十分な温度に保持できること位置にあることが望ましい。
【0043】
圧着ロール5と温度調節ロール4のうち少なくとも一方は、軸方向における端部の直径よりも軸方向中央における直径が大きい、樽型のクラウンロールにより形成されていてもよい。少なくとも一方をクラウンロールとすることにより、ロールの軸方向中央部におけるへこみを抑制することができる。従って、ロールの軸方向中央においても樹脂シートの形状の精度を高めることができる。
【0044】
温度調節ロール4と隔てられて、ロール13が配置されている。熱可塑性樹脂シート3は、上記位置Xで凹凸が付与された後、温度調節ロール4の外周面、より具体的には、上記無端金属帯状体4cの外周面に接触したまま温度調節ロール4とともに移動し、位置Zにおいて温度調節ロール4から分離される。ロール8は、この位置Zを調節するために設けられている。すなわち、ロール8に凹凸が付与された熱可塑性樹脂シート3が掛けわたされており、位置Zが適切な位置となるようにロール8が設定されている。
【0045】
本実施形態の樹脂シートの製造装置1を用いた製造方法を説明する。
【0046】
本実施形態では、図1(c)に示す熱可塑性樹脂シート3が最終的に得られる。熱可塑性樹脂シート3は、一方面側においてシート搬送方向に沿う断面形状が矩形の複数の凸部3aを有する。複数の凸部3aは規則的に配置されている。この複数の凸部3aの形成により、熱可塑性樹脂シート3の一方面に凹凸が形成されている。凸部3aの上記断面における幅方向寸法W1、複数の凸部3a,3aが設けられている位置をW2とする。また、凸部3aの高さをh、熱可塑性樹脂シート3の上記凸部3aを除いたシート本体部分の厚みをtとする。言い換えれば、熱可塑性樹脂シート3では、一方面側に高さh及び幅W1の複数の凸部3aを有する。
【0047】
熱可塑性樹脂シート3を転写法により得るため、無端金属帯状体4cの外表面には、上記複数の凸部3a間の凹部が凸部に相当する凸部4dが形成されている。
【0048】
製造に際しては、溶融押出装置2から溶融状態にある熱可塑性樹脂シート3を押し出し、熱可塑性樹脂シート3を温度調節ロール4と圧着ロール5との間に送り出す。温度調節ロール4を駆動装置Mで回転駆動しつつ、電磁誘導加熱装置7により無端金属帯状体4cを加熱する。それによって、良好な転写を行うのに必要な温度以上に無端金属帯状体4cを加熱する。この温度は、熱可塑性樹脂シート3の材料、また熱可塑性樹脂シート3の温度調節ロール4に供給される直前の温度によっても異なるが、位置Xにおいて、転写を良好に行い得る温度となるように加熱を行えばよい。
【0049】
加熱された無端金属帯状体4cは、温度調節ロール4の回転にともなって、位置Xまで移動していく。位置Xにおいて、圧着ロール5により、熱可塑性樹脂シート3が温度調節ロール4側に圧接される。その結果、熱可塑性樹脂シート3の温度調節ロール4側の面に無端金属帯状体4cの表面の凹凸4dを反転した形状の凹凸が転写されることとなる。しかる後、熱可塑性樹脂シート3は温度調節ロール4の外周面、より具体的には、上記無端金属帯状体4cの外周面に接触されたまま、位置Xから位置Zまで移動する。この場合、温度調節ロール4のロール本体4aの内部に水や油などの冷媒が供給されているため、温度調節ロール4のロール本体4aは、位置Xから位置Zに至るにつれ温度が低下し、さらに低比透磁率層4b及び無端金属帯状体4cもまた冷却されることとなるため、位置Zにおいて、熱可塑性樹脂シート3を無端金属帯状体4cの外表面から無理なく剥離することができる。このようにして、一方面に凹凸が付与された無端金属帯状体4cをロール8を介して引き取ることができる。
【0050】
本実施形態の製造装置及び製造方法によれば、上記電磁誘導加熱装置7を用いて、電磁誘導加熱により無端金属帯状体4cを加熱するため、微細な凹凸の転写に必要な温度以上に無端金属帯状体4cを速やかにかつ確実に加熱することができる。加えて、上記低比透磁率層4bが無端金属帯状体4cの内側に位置しているため、渦電流の発生をより効率的な物としている。更には、比透磁率の低い素材は、熱伝導性も低いことが多く、無端金属帯状体4cの熱が、冷媒が供給されているロール本体4a側に伝わり難い。従って、位置Xから位置Yに至るまで、無端金属帯状体4cは、転写に適切な温度に確実に保温される。よって、位置Xにおいて、熱可塑性樹脂シート3に微細な凹凸を高精度に転写することができる。
【0051】
加えて、位置Xから位置Zの間の領域においては、冷媒により温度調節ロール4が冷却されているが、無端金属帯状体4cの温度がゆるやかに低下し、位置Zにおいて、微細な凹凸を一方面に有する熱可塑性樹脂シート3を無端金属帯状体4cの外表面から無理なく剥離することができる。
【0052】
前述した図8に示した従来の熱可塑性樹脂シートの加工装置では、予備加熱により予め熱可塑性樹脂シートの温度を高めることが試みられていた。しかしながら、予備加熱で与えられた熱が転写に先立ち放散し、転写時の温度が必ずしも適切な温度とされ難かった。従って、微細な凹凸を高精度に転写することができなかった。これに対して、本実施形態によれば、上記のとおり、微細な凹凸を熱可塑性樹脂シート3に高精度に転写することができる。特に、上記凸部3aのアスペクト比h/w1が高い凹凸も本実施形態によれば高精度に転写することができる。具体的には、前述した従来のシート加工装置101では、アスペクト比が0.5以上の凸部を転写法により形成することができなかったのに対し、本実施形態によれば、上記アスペクト比h/w1が0.5以上の凸部3aを有する凹凸を確実に熱可塑性樹脂シート3の一方面に転写することができる。
【0053】
また、上記のようなアスペクト比の大きい凹凸が一方面に形成された場合、熱可塑性樹脂シート3を温度調節ロール4から剥離するのに、ある程度低い温度まで冷却する必要がある。さもなければ、アスペクト比の大きい凹凸の形状が剥離に際し変形したり、熱可塑性樹脂シート3に不毛でない歪み等が生じるおそれがある。本実施形態では、位置Xから位置Zに至る間に、無端金属帯状体4cが適度に冷却されるため、アスペクト比の大きい凸部を有する凹凸の場合であっても、無理なく温度調節ロール4から剥離することができる。
【0054】
従って、得られた熱可塑性樹脂シートの均一性を高めることができ、歪み量を小さくすることができる。よって、例えば光学用フィルムもしくはシートとして、上記熱可塑性樹脂シート3を好適に用いることができる。
【0055】
図3はこのような光学シートの一例として、ルーバーシート3Aを示す部分切欠断面図である。ルーバーシート3Aでは、上記熱可塑性樹脂シート3の凸部3a間に遮光性材料層3bが充填されている。熱可塑性樹脂シート3自体は透光性であり、遮光性材料層3bが遮光性であるため、図3の矢印Bで示すように熱可塑性樹脂シート3の面方向と直交する方向においては透光性を有し、矢印Cで示すように、熱可塑性樹脂シート3の表面に対して傾斜した角度においては、上記遮光性材料層3bにより光が通過しないこととなる。従って、視野角制御シートとして、ルーバーシート3Aを用いることができる。
【0056】
なお、上記ルーバーシート3Aや、図4に示すプリズムシート11の他、本発明により得られる熱可塑性樹脂シートは、様々な凹凸が一方面に付与された光学シートに好適に用いることができる。このような光学シートとしては、ベンチキラーレンズシート、フレネルレンズシート、マイクロレンズアレイシートなどが挙げられる。また、光学シートに限らず、無秩序で微細な凹凸が一方面に設けられているエンボスシートなど、様々な微細な凹凸を一方面に有する熱可塑性樹脂シートを発明により提供することができる。
【0057】
なお、第1の実施形態では、図1(c)に示した複数の凸部3aを有する凹凸が形成されていたが、本発明により熱可塑性樹脂シートの一面に形成される凹凸形状は特に限定されない。例えば、図4に示すプリズムシート11のように、表面に熱可塑性樹脂シート3の搬送方向に沿う断面において、幅W高さhの三角形状の凸部が連続する形状であってもよい。ここで、厚みtは、上記凹凸の凸部を除いた熱可塑性樹脂シート11のシート本体部の厚みである。この場合のアスペクト比は、上記と同様に、h/Wで定義される。
【0058】
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態に係る樹脂シートの製造装置を示す概略構成図である。本実施形態の樹脂シートの製造装置1では、溶融押出装置2から熱可塑性樹脂シート3が温度調節ロール22と圧着ロール5との間に供給される。溶融押出装置2及び圧着ロール5は第1の実施形態と同様に構成されている。温度調節ロール22は、第1の実施形態の温度調節ロール4とは異なり、外周面に無端金属帯状体4cを有しないことを除いては、第1の実施形態の温度調節ロール4と同様に構成されている。従って、第1の実施形態の説明を援用することにより、ロール本体及び低比透磁率層の説明は省略する。
【0059】
温度調節ロール22と隔てられて、温度調節ロール23が設けられている。温度調節ロール23と温度調節ロール22とに、無端金属帯状体としての無端金属ベルト24が掛けわたされている。無端金属ベルト24は、第1の実施形態で用いた無端金属帯状体4cと同様の材料で構成されている。無端金属ベルト24は、温度調節ロール22と別体で構成されており、温度調節ロール23を回転駆動することにより、図示の矢印D方向に移動する。そして、位置Xすなわち熱可塑性樹脂シート3に転写が行われる位置よりも無端金属ベルト24の搬送方向上流側に電磁誘導加熱装置7が配置されている。このように、本発明における無端金属帯状体は、温度調節ロール22の別体の無端金属ベルト24であってもよい。
【0060】
本実施形態においても、温度調節ロール22と隔てられて、第1の実施形態と同様にロール8が配置されている。
【0061】
本実施形態の樹脂シートの製造装置21を用いた製造方法においても、位置Xに至るまでに、すなわち電磁誘導加熱装置7により無端金属ベルト24が位置Yにおいて加熱され、無端金属ベルト24が転写に充分な温度以上に加熱される。従って、位置Xにおいて、微細な凹凸が熱可塑性樹脂シート3に確実に転写される。転写後は、第1の実施形態と同様に、適度に熱可塑性樹脂シート3が温度調節ロール22の外周面に沿って移動する際に、適度な温度に冷却される。従って、位置Zにおいて、微細な凹凸が一方面に付与された熱可塑性樹脂シート3を無理なく剥離することができる。
【0062】
なお、本実施形態では、温度調節ロール22の外周面に断熱材層が一体化されているが、低比透磁率層は、無端金属ベルト24の内面に低比透磁率素材をコーティングすることにより形成されていてもよい。あるいは、無端金属ベルト24の内面及び温度調節ロール22の外周面の双方に低比透磁率素材が設けられていてもよい。この場合、異なる低比透磁率素材を用いてもよく、同じ低比透磁率素材を用いてもよい。
【0063】
また、さらに、無端金属ベルト24は温度調節ロール22と別体であるため、摩擦による無端金属ベルト24の内周面の磨耗や、無端金属ベルト24の位置擦れもしくは切断等を抑制するために、このような効果を果たす無機材料層を形成してもよい。それによって、樹脂シートへの異物の混入を防ぐことも可能となる。
【0064】
電磁誘導加熱に用いる高周波電流の周波数は特に限定されないが、10kHz〜1MHzの範囲が好ましい。周波数が高くなりすぎると、無端金属帯状体4cの透磁率が低くなるため、効率的に加熱することが困難となる。低すぎると無端金属帯状体4c内における電磁場の乱れが生じるおそれがあり、外部に磁界が漏洩したりし、やはり効率的な加熱を行うことができないおそれがある。
【0065】
図5では、温度調節ロール23と温度調節ロール22との間に無端金属ベルト24を掛けわたしていたが、温度調節ロール23として、温度調節ロール22と同様の構造を有するロールを用いてもよい。このように、無端金属ベルト24の内側に複数個の温度調節ロールを配置することにより、無端金属ベルト24の温度調節をより細やかに行うことができる。例えば、ポリプロピレンなどの結晶性の熱可塑性樹脂をシート化する場合、結晶化速度の制御も、複数の温度調節ロールを用いることにより容易に行い得る。従って、より品質の優れた熱可塑性樹脂シートを提供することができる。
【0066】
温度調節ロール23の制御温度は、温度調節ロール22と等しくともよく、異なっていてもよく、また温度調節ロール23の構成は温度調節ロール22と同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0067】
もっとも、温度調節ロール23は温度調節ロール22と同一とした場合、成型条件の調整例えば温度調整をより確実にかつ速やかに行うことができる。また、製造装置の準備や、メンテナンスも容易となる。
【0068】
また、温度調節ロール22,23に加えて、さらに電磁誘導加熱装置7の下流側であって、位置Xよりも上流側に温度調節ロールを設けてもよく、その場合、上流側の温度調節ロールの温度を相対的に高くすることにより、転写性をよりいっそう高めることができる。
【0069】
温度調節ロール22,23を用いた場合、温度調節ロール23の位置を制御することにより、無端金属ベルト24の張力を調整することができる。それによって、無端金属ベルト24の蛇行を防止したり、温度調節ロール22,23間の熱伝達の程度を調整することも可能となる。
【0070】
(第3の実施形態)
図6は、本発明の第3の実施形態に係る樹脂シートの製造装置を示す概略構成図である。本実施形態の樹脂シートの製造装置31では、第1の実施形態と同様に構成された温度調節ロール4が用いられる。第1の実施形態と異なるところは、溶融押出装置2から押し出された熱可塑性樹脂シート3が温度調節ロール4の外周面に設けられた無端金属帯状体の外周面に接触される部分において、エッジピニング装置32により熱可塑性樹脂シート3が無端金属帯状体4cの外表面に密着されることにある。エッジピニング装置32は、公知のエッジピニング装置を用いて形成することができる。エッジピニングによれば、残留位相差が小さく、フレアが小さく、さらに厚み精度に優れた熱可塑性樹脂シートを得ることができる。
【0071】
本実施形態においても、無端金属帯状体4cが電磁誘導加熱装置7により転写に適切な温度に予め加熱されているため、凹凸を付与する装置としてのエッジピニング装置32により熱可塑性樹脂シート3を無端金属帯状体に密着させた際に、微細な凹凸を確実にかつ高精度に転写することができる。エッジピニング装置32を用いた場合、第1の実施形態における圧着ロール5を省略することができる。
【0072】
また、エッジピニング装置に代えて、熱可塑性樹脂シート3の一方面に凹凸を付与する装置としてダイリップから押し出された樹脂を直接無端金属帯状体に押しつけるダイロール法やエアナイフ法を用いてもよい。このようなダイロール法やエアナイフ法を用いた装置としても、公知の装置を適宜用いることができる。
【0073】
また、第1の実施形態の変形例として、図7に示すように、無端金属帯状体4cが、温度調節ロール4とは別体の無端金属ベルト24Aで形成されていてもよい。すなわち、本発明において、無端金属帯状体は、温度調節ロール4と一体化されている必要は必ずしもない。
【0074】
〔実施例及び比較例〕
以下、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げて、本発明の効果を明らかにする。
【0075】
(実施例1)
第1の実施形態の樹脂シートの製造装置1を用い、図1(c)に示した熱可塑性樹脂シート3を得た。図1(c)に示すW1,W2,h及びtは、それぞれ、W1=20μm、W2=53μm、h=100μm、t=300μmとした。使用した熱可塑性樹脂は旭化成株式会社製、アクリル樹脂、商品名:デルペットを用いた。
【0076】
なお、位置Xにおいて無端金属帯状体の表面温度は160℃とするように条件を設定した。
【0077】
(実施例2)
凹凸の形状を変更したことを除いては実施例1と同様にして熱可塑性樹脂シートを得た。すなわち、W1=20μm、W2=53μm、h=50μm、t=300μm。
【0078】
(実施例3)
図4に示した熱可塑性樹脂シート11を得るように無端金属帯状体の表面の凹凸の形状を変更したことを除いては、実施例2と同様にして、熱可塑性樹脂シート11を得た。なお、図4における寸法は以下の通りとした。
【0079】
W=50μm、h=25μm、t=300μm
(比較例1)
図8に示した従来の加工装置101を用い、実施例2と同様の熱可塑性樹脂シートを作製した。転写が行われる位置の温度が高くなるにつれ、熱可塑性樹脂シートのロールからの剥離不良が生じたので、転写位置のロール温度は、成型可能な温度である130℃とした。
【0080】
(比較例2)
図8に示した加工装置101を用い、実施例3と同様の凹凸を有する熱可塑性樹脂シート11の作製を試みた。転写位置の温度が高温になるに従い、ロールかちの熱可塑性樹脂シートの剥離不良が生じたので、転写位置の温度は、成型可能な温度である130℃に設定した。
【0081】
(評価)
実施例1〜3及び比較例1,2で得られた各熱可塑性樹脂シートにおける凹凸転写性を評価した。凹凸部分をシート面方向と直交する方向に切断し、マイクロスコープにより撮影し、転写率及び凸部の角部の曲率半径Rを求めた。結果を下記の表1に示す。
【0082】
表1における転写率とは、無端金属帯状体に形成された凹凸と、熱可塑性樹脂シートに転写された凹凸の高さの比を意味する。すなわち、無端金属帯状体の凸部の高さと、図1(c)に示した高さhとの比を100分率で表した値である。また、表1の角部Rは、上記断面における凸部の先端の両側のコーナー部の曲率半径の平均値である。
【0083】
【表1】

【0084】
表1における角部Rの測定不能とは、角部が丸みを帯びていないことを意味する。
【0085】
実施例1〜3では、無端金属帯状体の凹凸の形状が、熱可塑性樹脂シート3の一方面に完全に転写されており、角部においても、丸みが見られなかった。これに対して、比較例1では、角部に丸みが生じており、比較例2では、転写率が95%と低く、また角部において、丸みが見られた。
【符号の説明】
【0086】
1…樹脂シート製造装置
2…溶融押出装置
3…熱可塑性樹脂シート
3A…ルーバーシート
3a…凸部
3b…遮光性材料層
3c…無端金属帯状体
4…温度調節ロール
4a…ロール本体
4b…低比透磁率層
4c…無端金属帯状体
4d…凸部
5…圧着ロール
7…電磁誘導加熱装置
8…ロール
11…熱可塑性樹脂シート
13…ロール
21…樹脂シートの製造装置
22,23…温度調節ロール
24…無端金属ベルト
24A…無端金属ベルト
31…製造装置
32…エッジピニング装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方面に凹凸が形成されている樹脂シートの製造装置であって、
金属からなるロール本体を有する温度調節ロールと、
前記温度調節ロールを回転駆動する第1の駆動装置と、
外表面に前記樹脂シートの表面に形成される凹凸に対応した形状の凹凸が形成されている無端金属帯状体と、
前記温度調節ロールの外周面及び前記無端金属帯状体の内周面の少なくとも一方に設けられており、前記無端金属帯状体よりも比透磁率が低い素材と、
前記低比透磁率素材を介して前記無端金属帯状体を前記温度調節ロールに接触させつつ前記温度調節ロールを回転している内に、前記樹脂シートを前記無端金属帯状体の外周面に接触させて前記樹脂シートの一方面に凹凸を付与する装置と、
前記無端金属帯状体の外周面に前記樹脂シートが接触される位置よりも上流側において前記無端金属帯状体を加熱するための電磁誘導加熱装置とを備える、樹脂シートの製造装置。
【請求項2】
前記低比透磁率素材が前記温度調節ロールの前記ロール本体の外周面に一体に形成されている、請求項1に記載の樹脂シートの製造装置。
【請求項3】
前記無端金属帯状体が前記低比透磁率素材の外周面に一体的に設けられており、それによって前記ロール本体に、前記断熱材及び前記無端金属帯状体が一体化されている、請求項2に記載の樹脂シートの製造装置。
【請求項4】
前記無端金属帯状体が無端金属ベルトであり、前記温度調節ロールが、複数の温度調節ロールを有し、前記無端金属ベルトが、複数の温度調節ロールに架けわたされている、請求項1に記載の樹脂シートの製造装置。
【請求項5】
前記樹脂シートの一方面に凹凸を付与する装置が樹脂シートと前記無端金属帯状体の外周面に圧接する圧着ロールを有し、前記圧着ロールが前記温度調節ロールとの間に隙間を有するように配置されており、該隙間において、前記金属帯状体の外表面側に圧着ロールに前記樹脂シートが圧着される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂シートの製造装置。
【請求項6】
前記樹脂シートの一方面に凹凸を付与する装置がエッジピニング装置である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂シートの製造装置。
【請求項7】
前記樹脂シートの一方面に凹凸を付与する装置がエアナイフである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂シートの製造装置。
【請求項8】
溶融された樹脂をシート状に押し出す溶融押出装置をさらに備え、該溶融押出装置により押し出された平坦な樹脂シートの一方面に、凹凸が付与される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂シートの製造装置。
【請求項9】
前記温度調節ロールが、金属からなるロール本体内部に中空部を有し、該中空部に冷媒を供給するための冷媒供給装置をさらに備える、請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂シートの製造装置。
【請求項10】
前記無端金属帯状体の外表面の凹凸において、凸部の断面のアスペクト比が0.5以上である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂シートの製造装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の樹脂シートの製造装置を用いた、一方面に凹凸が形成されている樹脂シートの製造方法であって、
前記無端金属帯状体及び前記温度調節ロールを駆動装置により駆動する工程と、
前記無端金属帯状体を前記電磁誘導加熱装置により加熱する工程と、
駆動装置により搬送されている無端金属帯状体の前記電磁誘導加熱装置により加熱される位置よりも無端金属帯状体の搬送方向下流側において、前記無端金属帯状体の搬送方向の少なくとも一部の領域において、前記断熱材を介して前記無端金属帯状体を前記温度調節ロールに接触させつつ、前記無端金属帯状体の搬送方向の少なくとの一部の前記領域内において、樹脂シートの一方面を無端金属帯状体の外周面に接触させ、前記樹脂シートの一方面に凹凸を付与する工程と、
前記凹凸が付与された前記樹脂シートを前記温度調節ロールの外周面上において前記無端金属帯状体から剥離する工程とを備える、樹脂シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−68041(P2011−68041A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−221554(P2009−221554)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】