説明

樹脂タブレット供給装置およびこれを備えた樹脂封止装置

【課題】モールド金型に複数列に設けられたポット配置に合わせて複数列に整列して樹脂タブレットを迅速に供給する。
【解決手段】送り出し機構14は、樹脂タブレットtを順送する送り出し部24a、24bを有している。ホルダ機構15は、第1および第2列を有して整列して配置され、樹脂タブレットtを保持する複数の保持穴23a、23bを有している。受け渡し機構15は、送り出し機構14から送り出された樹脂タブレットtを載置して搬送し、送り出し部24a、24bのそれぞれに対応するシフトステージ44a、44bを有している。シフトステージ44a、44bが、送り出し部24a、24bのそれぞれからの樹脂タブレットtを、送り出し部24a、24b間のピッチP2から保持穴23a、23b間のピッチP1に変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂タブレット供給装置、特に、樹脂封止装置に用いられる樹脂タブレット供給装置に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許第4370041号公報(特許文献1)には、樹脂タブレット供給装置および樹脂封止装置に関する技術が開示されている。この樹脂タブレット供給装置は、樹脂タブレットを送り出す送り出し機構と、樹脂タブレットの保持穴が長手方向に複数形成された一対のホルダ部と、樹脂タブレットを保持穴に装填するタブレット装填部とを備えたものである。すなわち、特許文献1に記載の樹脂封止装置では、タブレット装填部によって、送り出し機構から送り出された樹脂タブレットが一列に整列して一対のホルダ部に交互に収納される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4370041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体パッケージ(半導体装置)の製造装置として用いられる樹脂封止装置は、被成形品供給部からローダにより被成形品がモールド金型を有するプレス部に搬入され、アンローダにより成形品がプレス部から取り出されて成形品収納部へ収納されるようになっている。被成形品から成形品へと樹脂封止するには、まず、被成形品供給部から基板(被成形品)および樹脂タブレットをローダに渡す。次いで、このローダが基板および樹脂タブレットを保持して、型開きしたプレス部に搬入する。そして、プレス部が基板および樹脂タブレットをクランプして、トランスファ成形によって樹脂封止が行われる。
【0005】
例えば車載用として利用されるインバータなどのパワー半導体を封止したパッケージは、パーソナルコンピュータや、モバイル製品などの電子部品(例えば、CPU、メモリ)として用いられるものよりも大型である。半導体パッケージが大型化すると、用いられる樹脂の量も増加することとなる。
【0006】
樹脂タブレット供給装置(樹脂タブレット供給部)からプレス部(モールド金型)へ樹脂タブレットを供給するにあたり、例えば、特許文献1に記載の技術のように、ホルダ部に樹脂タブレットを一列に整列してローダへ渡すものがある。プレス部で整列して配置されたポットに樹脂タブレットを搬入する際、そのポットの配置に合わせて樹脂タブレットを整列して配置しておけば、樹脂タブレットの反応を抑制して迅速に搬入することができるからである。
【0007】
ところで、パワー半導体パッケージの製造のように、被成形品を封止する樹脂量が増大すると、1のポットから1の金型キャビティに供給する樹脂量では、足りずに複数のポットを使用して1の金型キャビティに樹脂を供給する必要性が生じる。よって、樹脂タブレットを一列ではなく複数列に整列して、ローダへ供給することが考えられる。
【0008】
上記従来の樹脂タブレット供給装置では、タブレット保管部から樹脂タブレットを一列ずつ整列して回転テーブルに供給し、回転テーブルに90度ずつ位相をずらせて保持させておく。また、一列にポットピッチを合わせて保持穴が形成されたホルダを回転テーブルに対向させて、樹脂タブレットが1個ずつ各保持穴に装填される。この方式では、複数列のポットに対応して樹脂タブレットを供給するのに時間がかかり効率が悪い。したがって、成形サイクルが長くなってしまう。
【0009】
本発明の目的は、モールド金型に複数列に設けられたポット配置に合わせて、複数列に整列して樹脂タブレットを迅速に供給することのできる技術を提供することにある。本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。本発明の一実施形態における樹脂タブレット供給装置は、樹脂タブレットを送り出す送り出し機構と、樹脂タブレットを前記送り出し機構からホルダ機構へ渡す受け渡し機構と、樹脂タブレットを整列して配置した状態で保持する前記ホルダ機構と、を備えており、前記ホルダ機構で保持されている樹脂タブレットを供給する。前記送り出し機構は、樹脂タブレットを順送する第1および第2送り出し部を有している。前記ホルダ機構は、第1および第2列を有して整列して配置され、樹脂タブレットを保持する複数の保持穴を有している。前記受け渡し機構は、前記送り出し機構から送り出された樹脂タブレットを載置して搬送し、前記第1および第2送り出し部のそれぞれに対応する第1および第2シフトステージを有している。前記第1および第2シフトステージが、前記第1および第2送り出し部のそれぞれからの樹脂タブレットを、前記第1および第2送り出し部間の前記第2ピッチから前記第1および第2列間の前記第1ピッチに変換する。
【発明の効果】
【0011】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、次のとおりである。モールド金型に複数列に設けられたポット配置に合わせて、複数列に整列して樹脂タブレットを迅速に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態における樹脂封止装置を模式的に示す平面図である。
【図2】本発明の一実施形態における樹脂タブレット供給装置を模式的に示す平面図である。
【図3】図2における樹脂タブレット供給装置を模式的に示す側面図である。
【図4】動作中における樹脂タブレット供給装置の要部を模式的に示す平面図である。
【図5】図4に続く動作中における樹脂タブレット供給装置の要部を模式的に示す平面図である。
【図6】図5に続く動作中における樹脂タブレット供給装置の要部を模式的に示す平面図である。
【図7】図6に続く動作中における樹脂タブレット供給装置の要部を模式的に示す平面図である。
【図8】図7に続く動作中における樹脂タブレット供給装置の要部を模式的に示す平面図である。
【図9】図8に続く動作中における樹脂タブレット供給装置の要部を模式的に示す平面図である。
【図10】図9に続く動作中における樹脂タブレット供給装置の要部を模式的に示す平面図である。
【図11】図10に続く動作中における樹脂タブレット供給装置の要部を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0014】
まず、本実施形態における樹脂封止装置について説明する。図1に樹脂タブレット供給装置1を備えた樹脂封止装置101の平面を模式的に示す。樹脂封止装置101は、被成形品供給部Aからローダ2により被成形品3aがモールド金型4を有する複数のプレス部Bのいずれかに搬入され、アンローダ5により成形品3bがプレス部Bから取り出されて成形品収納部Cへ収納されるようになっている。ローダ2およびアンローダ5は、樹脂封止装置101内の奥側に配置されたレール6を共用してレール6上を左右に移動でき、また、装置手前側に前後(図1の上下方向)に移動できるものである。
【0015】
被成形品供給部Aでは、供給テーブル7上に載置された被成形品3a(基板)と、樹脂タブレット供給装置1から供給された樹脂タブレットとがローダ2に渡される。
【0016】
被成形品3aは、マガジン8に収納されており、個々にエレベータ11により搬送された後、モールド金型4に載置される配置(図1では、二列で整列した配置)と同じ配置で配置テーブル12に載置される。この配置テーブル12から被成形品3aは、供給テーブル7まで図示しない送り出し機構によって送り出され、ローダ2に受け取られる。
【0017】
樹脂タブレットは、2つのホッパ13に収納されており、送り出し機構14により送り出されて、受け渡し機構15を介して、ホルダ機構16に載置され、ローダ2に受け取られる。これら送り出し機構14、受け渡し機構15およびホルダ機構16を備えた樹脂タブレット供給装置1については、後で詳述する。
【0018】
プレス部Bは、モールド金型4と、モールド金型4を型締め、型開きする公知の型開閉機構(図示せず)と、モールド金型4のキャビティに樹脂圧を印加しながら複数のポット17から封止樹脂を送り出す公知のトランスファ機構(図示せず)とを備えている。
【0019】
本実施形態では、モールド金型4内において複数のポット17は、一列12個のものが、二列に整列して配置されている。この複数のポット17の配置は、被成形品3aの樹脂量が多い場合、例えば、1つのキャビティに対して2つのポットから樹脂が供給される配置となっている。
【0020】
このため、ローダ2は、樹脂タブレット供給装置1のホルダ機構16で整列して配置された複数の樹脂タブレットをそのままの配置で複数のポット17のそれぞれに搬入する。このように複数のポット17を配置することで、例えば車載用のパワー半導体のパッケージのような樹脂量を多く必要とする被成形品3aに対して、複数の樹脂タブレットを迅速に供給することができる。
【0021】
成形品収納部Cでは、アンローダ5によってプレス部B(モールド金型4)から取り出した成形品3bを取り出しテーブル18に載置した後、ディゲート部21で成形品3bのゲートブレイクが行われる。ゲートブレイクされた成形品3bは、複数のピックアップ部22を経て、必要に応じて旋回して図示しないマガジンに収納される。
【0022】
次に、本実施形態における樹脂タブレット供給装置1について説明する。図2に樹脂タブレット供給装置1の平面を模式的に示す。また、図3に樹脂タブレット供給装置1の側面を模式的に示す。
【0023】
樹脂タブレット供給装置1は、樹脂タブレットを送り出す送り出し機構14と、樹脂タブレットを送り出し機構14からホルダ機構16へ受け渡す受け渡し機構15と、樹脂タブレットを整列して配置した状態で保持するホルダ機構16とを備えている。樹脂封止装置101において、樹脂タブレット供給装置1は、ホルダ機構16で保持されている樹脂タブレットを、ローダ2(図1、図3参照)を介してプレス部Bへ供給するものである。
【0024】
送り出し機構14は、図2に示すように、ホッパ13、送り出し部24および循環部25を1組として2組有している。なお、送り出し機構14には、例えば、特許第4327988号公報で開示されている技術を用いることができる。
【0025】
ホッパ13には、樹脂タブレットを保管する保管容器から多数の樹脂タブレットが投入される。この樹脂タブレットを、ホッパ13は、一定時間振動して定量ずつ送り出し装置24に投入するものである。また、送り出し部24は、ホッパ13から投入された樹脂タブレットを整列して順送するものである。また、循環部25は、送り出し部24で順送されずに残存した樹脂タブレットを再度送り出し部24へ循環するものである。このため、送り出し部24と循環部25とは、近接して併設されている。
【0026】
送り出し部24は、受け渡し機構15側へ樹脂タブレットを送るための、ガイド部が形成された収容器と、振動部とを備えている。また、循環部25は、受け渡し機構15側とは反対側へ樹脂タブレットを送るための、ガイド部が形成された容器と、振動部とを備えている。送り出し部24の振動部と、循環部25の振動部とは、振動方向が互いに逆向きとなるパーツフィーダを組み合わせることで、送り出し部24の収容器と、循環部25の収容器とを容易に同期取りを行って振動させることができ、樹脂タブレットを迅速かつスムーズに送りながら容器内を循環させることができる。
【0027】
ホルダ機構16は、ホルダ部26およびそれを移動するホルダ移動機構27を有しており、一方のホルダ部26が受け渡し機構15から樹脂タブレットを受けるとき、他方のホルダ部26がローダ2へ樹脂タブレットを渡すことが交互に行われるものである。なお、ホルダ機構16には、例えば、特許文献1で開示されている技術を用いることができる。
【0028】
図3に示すように、ホルダ部26には、樹脂タブレットtを保持する複数の保持穴23が、複数列(ピッチP1)に整列して形成されており、第1列の保持穴23aが12個、第2列の保持穴23bが12個の計24個で配置されている。すなわち、ホルダ機構16は、第1および第2列を有して整列して配置され、樹脂タブレットを保持する複数の保持穴23を有している。なお、樹脂タブレットの形状は例えば円柱状であり、保持穴23の形状も樹脂タブレットに合わせた形状(円柱状)となっている。
【0029】
また、ホルダ移動機構27は、ホルダ部26を所定の位置に移動させるものである。例えば、ホルダ移動機構27によって、図3に示すように、保持穴23が形成されている面が、1つのホルダ部26ではローダ2に樹脂タブレットを渡せるように位置(ローダ2と対面するように位置)しており、別のホルダ部26では受け渡し機構15から樹脂タブレットtを受け入れられるように位置している。
【0030】
ホルダ部26は、ホルダアーム部28に一体に保持されている。ホルダアーム部28は、可動ブロック31を挿通して設けられた可動軸32に連係している。可動ブロック31には回動アクチュエータ33が設けられており、該回動アクチュエータ33により可動軸32を所定範囲で回動可能になっている。具体的には、90度回動することにより、ホルダ部26を、その長手方向が上下方向となる上下姿勢位置から、保持穴23がローダ2に対峙する水平姿勢位置へと姿勢を変えることができる。また、可動軸32にはスライド用シリンダ34が設けられており、ホルダ部26を受け渡し機構15に対向する装填位置から上下動を行う移送位置へ水平方向にスライド可能になっている。
【0031】
可動ブロック31は、装置フレーム35の上下方向に2箇所に立設されたガイドロッド36に連係しており、該ガイドロッド36に沿って上下にスライド可能になっている。図3に示すように可動ブロック31の一部には無端状のタイミングベルト37が連結されており、該タイミングベルト37は上下に設けられたプーリ38間に掛け渡されている。上下のプーリ38のうち一方は図示しない駆動モータ(サーボモータ)により回転駆動され、可動ブロック31と共にホルダ部26を上下動させる。
【0032】
例えば、図3に示す一方(図中右側)のホルダ部26は、樹脂タブレットtの装填位置にある。このホルダ部26に対して、保持穴23に樹脂タブレットtが装填される度に、次の保持穴23を受け渡し機構15に対向させるべく、可動ブロック31が上方にピッチ送りされる。ホルダ部26のすべての保持穴23に樹脂タブレットtの装填が完了すると、スライド用シリンダ34を作動させて可動軸32を右側へスライドさせて、ホルダ部26を装填位置から移送位置へ水平方向に移動させる。
【0033】
回動アクチュエータ33によるホルダ部26の上下姿勢位置から水平姿勢位置への回動は、他の機構との干渉を避けるため移送位置より若干上方へ移動した位置で行われる。また、移送位置よりタイミングベルト37によって、ホルダ部26を移送位置より上方の受け渡し位置(ローダ2)へ移動させる。なお、図3では、他方(図中左側)のホルダ部26は、樹脂タブレットの受け渡し位置にある。
【0034】
可動ブロック31に可動軸32を介して連係するホルダアーム部28は、ロッド支持部41に突出量を調節可能に立設されている。このロッド支持部41のシリンダロッドには、突き上げ手段である各保持穴23のピッチで形成された櫛歯状の突き上げロッド42が突き上げ可能に設けられている。
【0035】
例えば、図3中左側のホルダ部26では、ローダ2と対峙した受渡し位置へ移動した状態で、ロッド支持部41を更に上動させると、ホルダアーム部28はその高さが一定になるようにロッド支持部41内に沈み込むことで突き上げロッド42が各保持穴26の底部側より樹脂タブレットを突き上げてローダ2側の保持部に渡すようになっている。本実施形態におけるホルダ部26には、一列12個の保持穴23が、二列に整列して計24個で配置されている。すなわち、樹脂タブレット供給装置1は、樹脂タブレットを、各列12個を二列に整列した状態でホルダ部26を介してプレス部Bに供給するものである。
【0036】
受け渡し機構15は、図2に示すように、排出ステージ43、シフトステージ44、回転テーブル45およびガイドステージ51を備えている。受け渡し機構15内での樹脂タブレットは、上流側の排出ステージ43から、シフトステージ44、回転テーブル45、そして下流側のガイドステージ51に搬送される。回転テーブル45では、樹脂タブレットは、外周部に設けられた搭載部46に搭載されて、回転して搬送される。また、この回転テーブル45の外周部側で隣接して設けられたガイドステージ51では、樹脂タブレットtはガイドされてホルダ機構16へ搬送される。
【0037】
排出ステージ43は、不良の樹脂タブレットを排出するステージである。また、シフトステージ44は、送り出し機構14からの樹脂タブレットを載置して回転テーブル45まで搬送するステージである。また、回転テーブル45は、外周部に設けられ、樹脂タブレットを搭載する複数の搭載部46を有しており、シフトステージ44a、44bからの樹脂タブレットを、搭載部46に搭載してガイドステージ51まで回転搬送するテーブルである。また、ガイドステージ51は、樹脂タブレットを回転テーブル45からホルダ機構16までの搬送をガイドするものであり、より具体的には、搭載部46から保持穴23まで樹脂タブレットをガイドするものである。
【0038】
これら排出ステージ43、シフトステージ44、回転テーブル45の搭載部46およびガイドステージ51はそれぞれ溝を有しており、この溝で樹脂タブレットtが載置され、あるいは通過する。樹脂タブレットtは円柱状であるので、長さ方向の溝の断面を例えばV字状とした場合、樹脂タブレットtは、V字状の2つの内壁面で挟まれ、溝内で安定して載置されることとなる。
【0039】
受け渡し機構15の構造および動作について、図4〜図11を参照して詳細に説明する。受け渡し機構15は、送り出し機構14からホルダ機構16へ樹脂タブレットtを受け渡すものである。送り出し機構14では、円柱状の樹脂タブレットt(t1、t2、・・・)を順送する2つの送り出し部24a、24bが、所定の間隔(ピッチP2)で配置されている。また、ホルダ機構16では、ホルダ部26において第1列の保持穴23a、第2列の保持穴23bが、所定の間隔(ピッチP1)で配置されている。すなわち、受け渡し機構15では、樹脂タブレットtのピッチ変換が行われる。
【0040】
図4に示すように、送り出し部24a、24bによって、樹脂タブレットt1、t1は、送り出し部24a、24bの端まで送り出される。ここでは、樹脂タブレットt1、t1は、所定の長さの範囲内であれば良品、範囲外であれば不良品と判定される。なお、樹脂タブレットの良否判定には、例えば、特許文献1で開示されている技術を用いることができる。
【0041】
続いて、図5に示すように、送り出し部24a、24bの端まで送り出された樹脂タブレットt1、t1は、送りハンド47、47によってチャックされ、直線的に搬送されて排出ステージ43a、43bに載置される。ここで、樹脂タブレットt1、t1が不良品の場合には、排出ステージ43を開放して落下させ、図示しない排出ボックスに回収される。
【0042】
また、樹脂タブレットt1、t1が排出ステージ43a、43bに載置される際、樹脂タブレットt1、t1の次に順送される樹脂タブレットt2、t2は、送り出し部24a、24bの端まで送り出される。ここで、樹脂タブレットt2、t2も良否判定が行われる。後続の樹脂タブレットt、tも同様に送り出し部24a、24bの端で良否判定が行われる。
【0043】
続いて、送り出し部24a、24bの端まで送り出された樹脂タブレットt2、t2は、送りハンド47、47によってチャックされ、図6に示すように、直線的に搬送されて排出ステージ43a、43bに載置される。また、樹脂タブレットt2、t2が排出ステージ43a、43bに載置される際、樹脂タブレットt2、t2の次に順送される樹脂タブレットt3、t3は、送り出し部24の端まで送り出される。
【0044】
ここで、樹脂タブレットt2、t2を排出ステージ43a、43bに載置する際、樹脂タブレットt2、t2をチャックしたまま送りハンド47、47は、樹脂タブレットt1、t1をシフトステージ44a、44bに押し出す。送りハンド47、47のタブレット搬送方向下流側の側面には図示しないプッシャが設けられており、これにより、樹脂タブレットt1、t1は直線的に押し出されてシフトステージ44a、44bに載置される。
【0045】
このシフトステージ44a、44bは、送り出し部24a、24bのそれぞれに対応して、樹脂タブレットt1、t1を載置して回転テーブル45の所定の搭載部46まで搬送するものである。
【0046】
例えば、シフトステージ44aの駆動機構は、図6に示すように、装置フレーム(図示しない)に固定されたガイド部52aと、ガイド部52aに沿って移動可能に取り付けられたスライダ部52bとを有している。このスライダ部52bの端部にシフトステージ44aが固定されている。スライダ部52bは、ガイド部52aに供給したエアで前後方向(図6中上下方向)に駆動するものとなっている。同様に、シフトステージ44bの駆動機構も、ガイド部52aおよびスライダ部52bを有している。
【0047】
樹脂タブレットt1、t1が載置されたシフトステージ44a、44bは、図7に示すように、回転テーブル45の所定の搭載部46に対向する位置まで移動する。回転テーブル45では、回転テーブル45の周方向に90度ずつ位相がずれた4つの位置にそれぞれ搭載部46が設けられており、いずれかの搭載部46がシフトステージ44a、44bと対向する位置や、ガイドテーブル51と対向する位置に配置されている。なお、回転テーブル45は、図示しない回転用駆動モータにより回転駆動される。
【0048】
各搭載部46は、複数の溝46a、46bを有している。溝46a、46b間のピッチは、ホルダ機構16(ホルダ部26)の保持穴23が複数列で配置されているピッチP1と同じピッチとしている。前述したように、ホルダ機構16からローダ2を介してプレス部Bへ樹脂タブレットが供給される。プレス部Bの整列配置されたポット17に樹脂タブレットtを搬入する際、そのポット17の配置に合わせて樹脂タブレットtを整列して配置しておけば、樹脂タブレットtの反応を抑制して迅速に搬入することができる。そこで、本実施形態では、ホルダ機構16が複数の樹脂タブレットtを整列配置させた状態でプレス部Bへ供給できるように、搭載部46の溝46a、46b間のピッチを、ホルダ機構16の複数列で配置された保持穴23のピッチP1と同じとしている。
【0049】
シフトステージ44a、44bは、送り出し部24a、24bのそれぞれからの樹脂タブレットt1、t1を、送り出し部24a、24b間のピッチP2から保持穴23a、23b間のピッチP1に変換するものである。このようなシフトステージ44a、44bを用いずに、例えば特許文献1の技術を参照して、送り出し部24a、24bの端を、搭載部46に対向して配置することも考えられる。
【0050】
しかしながら、例えば、半導体パッケージを形成するようなプレス部Bで整列配置されているポット17のピッチ、すなわち、保持穴23a、23b間のピッチP1が、送り出し機構14の送り出し部24a、24b間のピッチP2より狭い。送り出し機構14は、図2を参照して説明したように、送り出し部24、循環部25を有しており、また、それらは収容部と振動部を備えている。このため、送り出し部24a、24bのピッチP2を保持穴23a、23b間のピッチP1と同じにすることができない。
【0051】
そこで、本実施形態では、シフトステージ44a、44bを用いて、樹脂タブレットt、tのピッチ変換を行っている。これにより、樹脂タブレットt、tを所望のピッチの複数列に整列して供給することができることとなる。
【0052】
図7に示すように、シフトステージ44a、44bの溝が延びる方向と搭載部46の溝46a、46bが延びる方向が一致するように、シフトステージ44a、44bを搭載部46に対向させている。このため、シフトステージ44a、44bから搭載部46へ樹脂タブレットt1、t1をスムーズに渡すことができる。
【0053】
本実施形態では、シフトステージ44a、44bを互いに同じ距離だけ近づけて、ピッチP2からピッチP1に変換している。すなわち、シフトステージ44aが送り出し部24aから樹脂タブレットtを受ける位置と搭載部46の溝46aに渡す位置との距離と、シフトステージ44bが送り出し部24bから樹脂タブレットtを受ける位置と搭載部46の溝46bに渡す位置との距離は、同じである。シフトステージ44a、44bの移動距離を同じにしているので、シフトステージ44a、44bによる2つの樹脂タブレットtを搬送する時間を最も短縮することができる。このことは、樹脂タブレット供給装置1が多量の樹脂タブレットtを高速に供給することの一要因となる。
【0054】
また、受け渡し機構15は、図7に示すように、シフトステージ44a、44bからそれぞれ樹脂タブレットt、tを同時に押し出すプッシャ53を有している。このプッシャ53は、このプッシャ53は、樹脂タブレットtを押し出すため、伸縮可能な複数のロッド54a、54bを有している。なお、ロッド54a、54b間のピッチは、保持穴23が複数列で配置されているピッチP1と同じピッチとしている。
【0055】
シフトステージ44a、44bが搭載部46と対向した状態で、図8に示すように、プッシャ53のロッド54a、54bを伸ばしてシフトステージ44a、44bから樹脂タブレットt1、t1が同時に押し出される。これにより、搭載部46の溝46a、46bのそれぞれに樹脂タブレットt1、t1が同時に搭載される。すなわち、シフトステージ44a、44bから回転テーブル45の搭載部46に樹脂タブレットtを渡す時間を最も短縮することができる。このことは、樹脂タブレット供給装置1が多量の樹脂タブレットtを高速に供給することの一要因となる。
【0056】
続いて、図9に示すように、樹脂タブレットt1、t1が搭載されている搭載部46は、シフトステージ44a、44bと対向していた位置Aから左回りに90度回転して、ガイドステージ51と対向する位置に配置される。また、シフトステージ44a、44bから樹脂タブレットt1、t1が搭載された位置Aには、次の樹脂タブレットt2、t2が搭載される空の搭載部46a、46bが配置されることとなる。
【0057】
続いて、図10に示すように、樹脂タブレットt1、t1と同様に送り出し機構14から受け渡し機構15へ樹脂タブレットt2が渡され、搭載部46に次の樹脂タブレットt2が搭載される。その際、樹脂タブレットt1、t1を搭載した搭載部46は、ガイドステージ51と対向することとなる。
【0058】
ガイドステージ51は、複数の溝51a、51bを有している。溝51a、51b間のピッチは、ホルダ機構16(ホルダ部26)の保持穴23が複数列で配置されているピッチP1と同じピッチとしている。前述したように、ホルダ機構16からローダ2を介してプレス部Bへ樹脂タブレットが供給される。プレス部Bの整列配置されたポット17に樹脂タブレットtを搬入する際、そのポット17の配置に合わせて樹脂タブレットtを整列して配置しておけば、樹脂タブレットtの反応を抑制して迅速に搬入することができる。そこで、本実施形態では、ホルダ機構16が複数の樹脂タブレットtを整列配置させた状態でプレス部Bへ供給できるように、ガイドステージ51の溝51a、51b間のピッチを、ホルダ機構16の複数列で配置された保持穴23のピッチP1と同じとしている。
【0059】
また、受け渡し機構15は、搭載部46の溝46a、46bから樹脂タブレットt、tを同時に押し出すプッシャ55を有している。回転テーブル45の外周部に設けられた搭載部46から、その外側へ樹脂タブレットt、tを押し出すので、プッシャ55を回転ステージ45の中心の上方に配置している。このプッシャ55は、樹脂タブレットt、tを押し出すため、所定長さの複数のロッド56a、56bを有している。なお、ロッド54a、54b間のピッチは、保持穴23が複数列で配置されているピッチP1と同じピッチとしている。
【0060】
例えば、プッシャ55の駆動機構は、図2に示すように、装置フレーム(図示しない)に固定されたガイド部57と、ガイド部57に沿って移動可能に取り付けられたスライダ部58とを有している。このスライダ部58の端部にプッシャ55が固定されている。スライダ部58は、ガイド部57に供給したエアで前後方向(図2中上下方向)に駆動するものとなっている。すなわち、前後方向に移動するプッシャ55によって、樹脂タブレットtが押し出される(図11参照)。
【0061】
図10に示すように、樹脂タブレットt1、t1が搭載された搭載部46の溝46a、46bが延びる方向とガイドステージ51の溝51a、51bが延びる方向が一致するように、搭載部46をガイドステージ51に対向させている。このため、搭載部46からガイドステージ51へ樹脂タブレットt1、t1をスムーズに渡すことができる。
【0062】
図11に示すように、搭載部46の溝46a、ガイドステージ51の溝51aおよびホルダ部26の第1列の保持穴23aが列んで配置され、かつ、搭載部46の溝46b、ガイドステージ51の溝51bおよびホルダ部26の第2列の保持穴23bが列んで配置されている。この状態において、樹脂タブレットt1、t1が搭載された搭載部46が、ガイドステージ51を介してホルダ部26と対向した状態で、プッシャ55を駆動して搭載部46から樹脂タブレットt1、t1が同時に押し出される。
【0063】
これにより、ホルダ部26の保持穴23a、23bのそれぞれに樹脂タブレットt1、t1が同時に装填される。すなわち、搭載部46からホルダ部26に樹脂タブレットtを装填する時間を最も短縮することができる。このことは、樹脂タブレット供給装置1が多量の樹脂タブレットtを高速に供給することの一要因となる。
【0064】
また、本実施形態では、ガイドステージ51で樹脂タブレットt、tをガイドして搭載部46からホルダ部26へ装填している。ここで、図4に示すように、搭載部46とガイドステージ51(ホルダ部26)との間には、ギャップgがある。これは回転テーブル45が、円板状であるため、板状のガイドステージ51や、ホルダ部26に対して、ギャップgが生じてしまう。本実施形態のように、搭載部46に2つの溝46a、46bを設ける方が、1つだけ溝を設ける場合よりもギャップgは大きくなる。
【0065】
また、ホルダ部26の保持穴23a、23bの形状は、樹脂タブレットt、tが装填される方向からみて円形状である。これに対して、搭載部46の溝46a、46bの形状は、V字状である。
【0066】
このため、ガイドステージ51を用いずに、搭載部46からホルダ部26へ直接樹脂タブレットt、tを装填しようとしても、保持穴23a、23bの形状と、搭載部46の溝46a、46bの形状が異なるため、スムーズにできない場合がある。そこで、本実施形態では、搭載部46の溝46a、46bの形状と同じ形状の溝51a、51bを有するガイドステージ51を用い、ギャップgの影響を排除して搭載部46からホルダ部26へ樹脂タブレットt、tを装填している。なお、ガイドステージ51とホルダ部26との間には、ギャップgは無くなるので、ガイドステージ51の溝51a、51bと、保持穴23a、23bの形状が異なっても問題ない。
【0067】
その後、ホルダ機構16では、ホルダ部26はスライド用シリンダ34によって列方向(例えば、図3の上方向)にピッチ送りされ、空の保持穴23a、23bがガイドステージ51の溝51a、51bと対向して配置される。この空の保持穴23a、23bに同様にして次の樹脂タブレットt2、t2が装填される。以上の動作を繰り返すことで、ホルダ部26の複数の保持穴23全てに複数の樹脂タブレットtが装填される。その後は、前述したように、ホルダ機構16が動作することによって、ホルダ部26に装填された全ての樹脂タブレットtがローダ2に渡される。
【符号の説明】
【0068】
1 樹脂タブレット供給装置
14 送り出し機構
15 受け渡し機構
16 ホルダ機構
23a、23b 保持穴
24a、24b 送り出し部
44a、44b シフトステージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂タブレットを送り出す送り出し機構と、
樹脂タブレットを前記送り出し機構からホルダ機構へ渡す受け渡し機構と、
樹脂タブレットを整列して配置した状態で保持する前記ホルダ機構と、
を備えており、前記ホルダ機構で保持されている樹脂タブレットを供給する樹脂タブレット供給装置であって、
前記送り出し機構は、樹脂タブレットを順送する第1および第2送り出し部を有しており、
前記ホルダ機構は、第1および第2列を有して整列して配置され、樹脂タブレットを保持する複数の保持穴を有しており、
前記受け渡し機構は、前記送り出し機構から送り出された樹脂タブレットを載置して搬送し、前記第1および第2送り出し部のそれぞれに対応する第1および第2シフトステージを有しており、
前記第1および第2シフトステージが、前記第1および第2送り出し部のそれぞれからの樹脂タブレットを、前記第1および第2送り出し部間のピッチから前記第1および第2列間のピッチに変換するものであることを特徴とする樹脂タブレット供給装置。
【請求項2】
請求項1記載の樹脂タブレット供給装置において、
前記第1および第2シフトステージが、互いに同じ距離で近づいて前記第1および第2送り出し部間のピッチから前記第1および第2列間のピッチに変換するものであることを特徴とする樹脂タブレット供給装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の樹脂タブレット供給装置において、
前記第1および第2シフトステージからそれぞれ樹脂タブレットを同時に押し出すプッシャを有していることを特徴とする樹脂タブレット供給装置。
【請求項4】
請求項1、2または3記載の樹脂タブレット供給装置において、
前記受け渡し機構は、樹脂タブレットを搭載する複数の搭載部が一定間隔で外周部に設けられた回転テーブルと、前記回転テーブルの外周部側で隣接して設けられたガイドステージとを有しており、
前記回転テーブルが、前記第1および第2シフトステージからの樹脂タブレットを、前記搭載部に搭載して前記ガイドステージに対向するまで回転搬送するものであり、
前記ガイドステージが、前記搭載部に搭載されている樹脂タブレットを前記回転テーブルから前記ホルダ機構までの搬送をガイドするものであることを特徴とする樹脂タブレット供給装置。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の樹脂タブレット供給装置と、
複数のポットが複数列に整列して配置され、1の金型キャビティに複数のポットより樹脂が供給されるモールド金型を有するプレス部と、
前記樹脂タブレット供給装置の前記ホルダ機構で整列して配置された複数の樹脂タブレットをそのままの配置で前記複数のポットのそれぞれに搬入するローダと、
を備えていることを特徴とする樹脂封止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−121243(P2012−121243A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274454(P2010−274454)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(000144821)アピックヤマダ株式会社 (194)
【Fターム(参考)】