説明

樹脂メッキ製品とその製造方法

【課題】射出成形と浸漬メッキ処理により、短時間に金属メッキ樹脂を製造できる。
【解決手段】金属メッキ可能なABS樹脂1と金属メッキ不可能なメタクリル樹脂2を射出成形により成形し一体化樹脂3とする。この一体化樹脂3を金属メッキ溶液に一体的に浸漬しABS樹脂1の露出表面のみを金属メッキしてメッキ層4を形成する。金属メッキ後にメッキ済み一体化樹脂5のメタクリル樹脂2の露出表面のみにエラストマー樹脂6を射出成形により成形した樹脂メッキ製品7を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用部品や電子装置用部品等の樹脂メッキを施した樹脂メッキ製品とその製造方法に関する。更に詳しくは、メッキ液に浸漬して必要な箇所をメッキするとき、メッキしない部分をコートすることなく樹脂に金属メッキを施し、かつエラストマー樹脂を付加した樹脂メッキ製品とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環境問題の解決や省資源等の社会状況により、種々の製品や部品の軽量化が進められている。従来金属部品として使用されていた部品も強度等がそれほど必要としない部品については、軽量、生産性の観点からエンジニアリング樹脂製の部品に代替されている。しかし、外観を重視し従来の金属イメージを持たせなければならない部品も多い。このようなことから樹脂に金属メッキを施すことが従来から行われている。樹脂へ金属メッキ、又は被覆を行う方法には、樹脂をメッキ液に浸漬して行う電気メッキ法、蒸着法等が知られている。蒸着法は、金属を蒸発させて、樹脂の表面に付着させる表面処理あるいは薄膜を形成する方法である。
【0003】
しかしながら、例えば、蒸着の一種である真空蒸着は、真空の設備等が大がかりでコスト高になることは避けられない。従って、可能な限り、樹脂をメッキ液に浸漬し、これを電解、又は無電解によりメッキ処理が可能なメッキが好ましい。例えば、ABS樹脂は、メッキ液に樹脂を浸漬して行う電気メッキ法でメッキされることが多い。このように、樹脂の表面への金属メッキ方法は公知であるが、メッキを必要としない部分は避け、メッキをすべき部分のみメッキを施すようなことをしなければならない。このため種々の方法が提示されている。例えば、自動車外装用樹脂メッキ部品であるが、基材となる合成樹脂成形品の表面の塗装を予定した部分に、金属メッキ操作における化学処理用薬剤に対する抵抗性を有する塗料膜を設け、次いで、金属メッキを予定した部分に耐候性の金属メッキ膜を設けてなるものである。これによると、塗料膜面上に金属メッキ膜が生成することがなく、また金属メッキ膜上に塗料膜が形成されないとするものである(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−104875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メッキの施されたABS樹脂の特徴は、外見は金属薄膜で覆われることから、金属と区別がつかない。合成樹脂は、金属と比べ軽いこと、樹脂であることから成形により複雑な部品の製造が可能であることである。また、メッキ部分は表面硬度が得られることと、耐食性も向上するなどの利点はあるが、キズがつきやすい欠点はある。この金属メッキ樹脂の適用範囲は、例えば、自動車のラジエータグリル、水洗シャワーヘッド、家電のスイッチ類、カメラ部品等その分野は広い。金属メッキ樹脂そのものについては、前述のとおり種々の分野に適用され公知である。
【0005】
しかし、樹脂に金属メッキを施すには、これをメッキ液中に浸漬しなければならないことから、メッキを不要とする部分を保護した上で行う必要があり、またメッキ不要部分を避ける工夫を要する。更に、第2の樹脂を成形させる場合には、メッキ処理後のメッキ不要部分を成形可能な状態に、機械加工での除肉加工等の表面処理をしなければならない。そのため種々の技術は提案されているが、どうしてもその工程は複雑となり、コスト高となってしまう。
【0006】
本発明は、このような従来の問題点を解決するために開発されたもので、次の目的を達成する。本発明の目的は、メッキ処理方法を簡素化して効率よく製造のできる樹脂メッキ製品とその製造方法の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記目的を達成するために次の手段をとる。
本発明1の樹脂メッキ製品の製造方法は、
メッキ液への浸漬により、熱可塑性である金属メッキが可能な樹脂(1,11,21,31)と、
前記メッキ液への浸漬により、熱可塑性である前記金属メッキが不可能な樹脂(2,12,32)を射出成形により成形して一体化成形物(3)とする工程と、
この一体化成形物(3)を金属メッキ溶液に一体的に浸漬し、前記金属メッキが可能な樹脂(1,11,21,31)の露出表面のみに前記金属メッキしてメッキ層(4,14,34)を形成し、メッキ済み一体化成形物(5)とする工程と、
前記金属メッキ後に、前記一体化成形物(5)の前記金属メッキが不可能な樹脂(2,12,32)の所定表面のみに、熱可塑性であるエラストマー樹脂(6,13,23)を射出し樹脂メッキ製品(5,16,25,35)を接合して形成する工程とからなる。
【0008】
本発明2の樹脂メッキ製品の製造方法は、本発明1において、
前記金属メッキ可能な樹脂(1,11,21,31)は、ABS樹脂であることを特徴とする。
本発明3の樹脂メッキ製品の製造方法は、本発明1又は2において、
前記金属メッキ不可能な樹脂(2,12,32)は、メタクリル樹脂又はポリカーボネートであり、
前記エラストマー樹脂(6,13,23)は、ポリエステル系、ポリアミド系、及びポリウレタン系から選択される1種以上であることを特徴とする。
【0009】
本発明4の樹脂メッキ製品は、
メッキ液に浸漬により、熱可塑性である金属メッキが可能な樹脂(1,11,21,31)、及びメッキ液に浸漬により、熱可塑性である金属メッキが不可能な樹脂(2,12,32)と
が射出成形により一体に成形された一体化成形物(3)と、
前記一体化成形物(3)を、金属メッキ溶液へ全体を浸漬して、前記金属メッキが可能な樹脂の露出表面のみに形成されたメッキ層と、
前記金属メッキが不可能な樹脂(2,12,32)の所定表面のみに射出成形により形成されるエラストマー樹脂とからなる。
本発明5の樹脂メッキ製品は、本発明4において、
前記金属メッキが可能な樹脂はABS樹脂であり、前記金属メッキが不可能な樹脂はメタクリル樹脂又はポリカーボネートであり、
前記エラストマー樹脂は、ポリエステル系、ポリアミド系、及びポリウレタン系から選択される1種以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の樹脂メッキ製品とその製造方法は、実質的に射出成形及び金属メッキ処理のみで効率よく樹脂メッキ製品を製造することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を説明する前に、本発明で使用する主な樹脂について説明する。
[使用する熱可塑性樹脂の概要]
本発明の実施の形態においては、金属メッキ可能な樹脂としてABS樹脂を使用し、金属メッキ不可能な樹脂としてポリメタクリル酸メチル(メタクリル樹脂)(Poly (methl methacrylate):PMMA)、又はポリカーボネート(PC)を使用する。先ずこの2つの樹脂を射出成形により一体化する。次にこの一体化した樹脂をメッキ処理し、射出成形によりエラストマー樹脂を成形して樹脂メッキ製品とする。エラストマー樹脂は、PMMA、又はPCに接合できる樹脂としては、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系の熱可塑性エラストマー等を使用する。なお、ここでいう接合とは、最終製品に要求される接合強度であれば、熱融着、接着等のいかなる固着であっても良い。従って、使用できる熱可塑性エラストマーは、上記の種類に限定されるものではない。
【0012】
次に、その詳細について説明する。メッキ対象の樹脂であるABS樹脂は熱可塑性樹脂で、密着強度が高くメッキに適した樹脂で多くの実績を有している。ABS樹脂の金属メッキへの適応性は、成形品肉厚が厚く、金型温度が高く、樹脂温度が高いと密着力が増加することである。メッキ可能な樹脂は他にもあるが、現状では最も好適な樹脂である。
【0013】
[ABS樹脂のメッキ工程]
次に本発明の理解を容易にするため、従来から行われているABS樹脂のメッキ工程について、その概略を説明する。1、セッティングと脱脂−成形品にキズを付けないように取り付けることと、ごみや油脂類の不純物を除去する。2、エッチングと中和−エッチング液中でABS樹脂中のポリブタジエン粒子が酸化分解、溶出される。残存エッチング液を中和除去する。
【0014】
3、触媒化…整面し、親水性にされた成形品表面に吸着力の強い還元力のある触媒(バラジウム−スズコロイド)を付与する。4、活性化…無電解メッキ浴中の銅及びニッケル金属イオンの化学反応(還元作用)を促す目的で触媒を付加する。触媒表面のスズを除去し、バラジウムを金属化する。5、無電解メッキ−触媒を付加した成形品を化学メッキ液中に浸漬する。ニッケル金属イオンが還元されニッケル金属が析出する。6、電気メッキ−順次金属層を形成させる。a、電気銅メッキ、b、光沢銅ニッケル、c、光沢ニッケルクロム、である。ABS樹脂以外にメッキ可能な樹脂は、ポリプロピレン(PP)等がある。
【0015】
[金属メッキが不可能な樹脂]
金属メッキが不可能な樹脂としてのメタクリル樹脂は、総称してアクリル樹脂と言われているものであるが、強度があり透明度の高い非晶質の樹脂である。透明固体材は、アクリルガラスとも呼ばれるものである。熱可塑形成で複雑な形状のものを射出成形が可能である。非晶質プラスチックで80〜100℃程度で軟化し、熱時成形は通常260℃程度で実施される。又、耐候性があり、鋼板や他の樹脂との密着性もよく、コーティング等が可能である。金属メッキが不可能な樹脂として樹脂は、ポリカーボネート(PC)であっても良い。ポリカーボネートは、機械強さが強く、引張り強さ、曲げ強さばかりでなく、衝撃強さも非常に大きな値を示し、また成形精度がよく、耐熱性が高い等すぐれた性質を持つものとして知られている。ポリカーボネート(PC)の具体的な特性は、公知であり、その説明は省略する。
【0016】
[エラストマー樹脂]
次に、このメタクリル樹脂(PMMA)、又はポリカーボネートに、射出成形により接合が可能なエラストマー樹脂としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、更にはそれらを変性させたTPEが適用される。これらの樹脂は非導電性のプラスチックである。この中のポリウレタンは、柔軟性、機械的強度、耐磨耗性を併せ持つ材料として、熱融着性に優れ、防水性シール効果をもつので、例えば自動車部品のセンサーケーブルのシース材(外皮)として使用されている。
【0017】
[樹脂相互の接合性]
複数の樹脂を射出成形で一体化させるにおいては、相互に密着性があることが要件である。一方は、金属メッキの密着性がよいこと、他方はエラストマー樹脂との密着性がよいことである。本発明は、これらを満足する2つの樹脂、即ち金属メッキの密着性がよい樹脂としてABS樹脂を、エラストマー樹脂との密着性(固着)がよい樹脂としてポリメタルクリル樹脂、ポリカーボネートを適用した。
【0018】
又、ABS樹脂は化学薬品に対する耐食性もよい。密着性のよいエラストマー樹脂は、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン又はそれらの変性したTPEである。又、本実施の形態における樹脂メッキ製品は、導電性と非導電性の組み合わせたものである。次にこれらの樹脂による樹脂メッキ製品の製造方法について説明する。
【0019】
[実施の形態1]
以下、本発明の実施の形態1を説明する。図1は、金属メッキが可能な樹脂、即ち、ABS樹脂1と、金属メッキが実質的に不可能な樹脂、即ち、メタクリル樹脂2を射出成形により一体化成形物3とした成形品の断面図である。一体化成形物3の成形は、射出成形金型(図示せず)により公知の射出成形方法で行うものである。図1に示す一体化成形物3は、最初にメタクリル樹脂2で作られた第1形状物を成形する。この第1形状物には、複数の貫通孔が形成されている。この第1形状物には、ABS樹脂1からなる第2形状物が積層するように成形されている。
【0020】
第2形状物であるABS樹脂1は、メタクリル樹脂2である第1形状物の貫通孔に侵入し、かつ一部が突出してT字状の凸部1aが形成されている。一体化成形物3の成形は、最初にメタクリル樹脂2で作られた第1形状物を成形する。この第1形状物を射出成形金型にインサートし、第2形状物を射出して成形することにより積層して成形する。この一体化成形物3の形状、構造は、成形される第1形状物、及び第2形状物の間の相互の樹脂の接合強度が低くても一体化できる構成例である。なお、密着性の高い樹脂同士であれば、凸部1aを、第1形状物の貫通孔から突出することなく平坦な形状の突合せ成形も可能である。
【0021】
次に、この一体化成形物3を射出成形金型から取り出した状態で、一体化のままメッキ液中に浸漬する。このメッキ処理の技術内容については、前述のとおり公知のABS樹脂のメッキ処理方法に準じる。本実施の形態1の特徴は、一体化成形物3をそのままの状態で、メッキ液中に浸漬できることである。第2形状物であるABS樹脂1においては、メッキを要するところのみを露出表面として成形されているので、必要でない表面をコーティングするような処理は不要である。従って、メッキに際して、前後の表面処理が不要となるが故に、メッキ処理が簡素化される。
【0022】
このメッキ処理のなされた一体化成形物が、図2にABS樹脂1の表面にメッキ層4を設けたメッキ済みの一体化成形物5として示される。メッキ処理は、ABS樹脂1の露出表面部分、即ち、表面側のABS樹脂露出面1bと裏面側の接合部分のABS樹脂露出面1cのみに施される。樹脂製品として機能上必要なのは表面側であるので、図2に示すように裏面側のABS樹脂1にメッキが施されても問題はない。メタクリル樹脂2の露出面にはメッキは施されない。
【0023】
このように本実施の形態1の一体化成形物5の場合は、コーティング等の保護膜を設けることなく、一体化成形物5を必要な前処理を行って、メッキ液に浸漬して必要な部分に電気メッキ、又は無電解メッキを行うのみである。次に、このメッキ処理のなされたメッキ済み一体化成形物5を射出成形金型(図示せず)にインサートし、メタクリル樹脂2の所定表面2aと射出成形金型との間に区画されているキャビティにエラストマー樹脂6を射出し、エラストマー6からなる第3形状物の部分を成形する。なお、メタクリル樹脂2の所定表面2aに、エラストマー樹脂6を射出成形により接合するには、接合力を発揮できるように、前述したようなエラストマー樹脂を選択する。
【0024】
メッキがなされたABS樹脂1の部分は、射出成形金型の表面に接しているのでエラストマー樹脂6が射出されることはない。このようにメッキ済み一体化成形物5に、エラストマー樹脂6の射出成形した構成が図3に示される。図3は完成した樹脂メッキ製品7の断面図である。この樹脂メッキ製品7は、中心部が金属で作られたような外観と質感を有し、その外周部は柔らかい感触のエラストマーとなる。
【0025】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2を図4で説明する。図4は、ABS樹脂11とメタクリル樹脂12を積層して接合した、樹脂メッキ製品15の断面図である。メタクリル樹脂12からなる第1形状物を、射出成形金型にインサートし、これにABS樹脂11からなる第2形状物を射出成形して、ABS樹脂11とメタクリル樹脂12からなる第3成形物を成形する。この第3成形物をそのままの形態で、メッキ処理のために浸漬処理して、ABS樹脂11からなる第2形状物の表面のみにメッキ層14を形成する。このメッキ処理後に、第3成形物を射出成形金型内にインサートする。
【0026】
インサーサされた第3成形物と射出成形金型との間に区画されるキャビティ内に、第4成形物であるエラストマー樹脂13を射出して成形して、樹脂メッキ製品15を成形する。第3成形物であるメタクリル樹脂12と、第4成形物であるエラストマー樹脂13とは、射出成形金型内で接合される。なお、エラストマー樹脂13は、メタクリル樹脂12の端部に接合するので、ある程度の接合幅は必要である。この樹脂メッキ製品15は、メッキはABS樹脂11のみに施され、メッキ処理後メタクリル樹脂12の露出端部にエラストマー樹脂13を施したものである。この実施の形態の樹脂メッキ製品15は、ABS樹脂11の必要とする部分に先にメッキを施し、その後メタクリル樹脂12とエラストマー樹脂13を成形により一体化接合することもできる構成である。この方法によれば、成形工程の短縮化できる。
【0027】
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3を図5で説明する。図5に示すメッキ製品25のメッキ製品は、図4に示すメッキ製品とは形態が異なる製品例である。ABS樹脂21とメタクリル樹脂22の成形後に、ABS樹脂21の表面にメッキを施してメッキ層24を形成し、メタクリル樹脂22にエラストマー樹脂23を接合させて樹脂メッキ製品25とする。この実施の形態3では、メタクリル樹脂22が、ABS樹脂21とエラストマー樹脂23に囲われて内部に封入された状態になるので、外観上はエラストマー樹脂23にメッキ処理のなされた部材が張り付いた状態となり、メタクリル樹脂22が外部に露出しない製品となる。外観上は、ABS樹脂21に柔らかい質感のエラストマー樹脂23が直接的に接合したようになる。この構造は、例えば、ABS樹脂21に変形が許されない液晶表示器を配置し、柔らかい質感が要求され体に接する部分はエラストマー樹脂23が好ましい体温計等の筐体に適用すると好適である。
【0028】
[実施の形態4]
次に、本発明の実施の形態4を図6で説明する。図6に示すものは、ABS樹脂31の一部に、メタクリル樹脂32を部分的に成形で組み入れた樹脂メッキ製品35の例である。樹脂メッキ製品35は、一体化成形物をメッキ処理を施しメッキ層34(図示した層は、実際より厚く表示されている。)を形成したものであり、エラストマー樹脂33を射出成形でメタクリル樹脂32に接合させたものである。ABS樹脂31中に組み込まれたメタクリル樹脂32は、一体化成形物としてそのままメッキ処理されても、露出部分がメッキされない状態で残る。例えばメタクリル樹脂32で文字が判読できる構成にすれば、文字盤のある樹脂メッキ製品35となり、携帯電話機のキーボード等に適用すると好適である。
【0029】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本実施の形態の部品は、分野を特定したものではない。種々の分野に適用できる事例として記載したものであって、本発明は、これに限定されないことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、実施の形態1のABS樹脂とメタクリル樹脂とを射出成形して一体化させた一体化成形物の断面図である。
【図2】図2は、金属メッキしてメッキ層を形成した実施の形態1の一体化成形物の断面図である。
【図3】図3は、金属メッキした一体成形物にエラストマー樹脂を射出成形させて形成された実施の形態1の樹脂メッキ製品の断面図である。
【図4】図4は、実施の形態2の樹脂メッキ製品の断面図である。
【図5】図5は、メタクリル樹脂が外部に露出しない構成の実施の形態3の樹脂メッキ製品の断面図である。
【図6】図6は、ABS樹脂に部分的にメタクリル樹脂を組み入れた実施の形態4の樹脂メッキ製品の断面図である。
【符号の説明】
【0031】
1…ABS樹脂
2…メタクリル樹脂
3…一体化成形物
4…メッキ層
5…メッキ済み一体化成形物
6…エラストマー樹脂
7,15,25,35…樹脂メッキ製品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッキ液への浸漬により、熱可塑性である金属メッキが可能な樹脂(1,11,21,31)と、
前記メッキ液への浸漬により、熱可塑性である前記金属メッキが不可能な樹脂(2,12,32)を射出成形により成形して一体化成形物(3)とする工程と、
この一体化成形物(3)を金属メッキ溶液に一体的に浸漬し、前記金属メッキが可能な樹脂(1,11,21,31)の露出表面のみに前記金属メッキしてメッキ層(4,14,34)を形成し、メッキ済み一体化成形物(5)とする工程と、
前記金属メッキ後に、前記一体化成形物(5)の前記金属メッキが不可能な樹脂(2,12,32)の所定表面のみに、熱可塑性であるエラストマー樹脂(6,13,23)を射出し樹脂メッキ製品(5,16,25,35)を接合して形成する工程と
からなる樹脂メッキ製品の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の樹脂メッキ製品の製造方法において、
前記金属メッキ可能な樹脂(1,11,21,31)は、ABS樹脂であることを特徴とする樹脂メッキ製品の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の樹脂メッキ製品の製造方法において、
前記金属メッキ不可能な樹脂(2,12,32)は、メタクリル樹脂又はポリカーボネートであり、
前記エラストマー樹脂(6,13,23)は、ポリエステル系、ポリアミド系、及びポリウレタン系から選択される1種以上である
ことを特徴とする樹脂メッキ製品の製造方法。
【請求項4】
メッキ液に浸漬により、熱可塑性である金属メッキが可能な樹脂(1,11,21,31)、及びメッキ液に浸漬により、熱可塑性である金属メッキが不可能な樹脂(2,12,32)と
が射出成形により一体に成形された一体化成形物(3)と、
前記一体化成形物(3)を、金属メッキ溶液へ全体を浸漬して、前記金属メッキが可能な樹脂の露出表面のみに形成されたメッキ層と、
前記金属メッキが不可能な樹脂(2,12,32)の所定表面のみに射出成形により形成されるエラストマー樹脂と
からなる樹脂メッキ製品。
【請求項5】
請求項4に記載の樹脂メッキ製品において、
前記金属メッキが可能な樹脂はABS樹脂であり、前記金属メッキが不可能な樹脂はメタクリル樹脂又はポリカーボネートであり、
前記エラストマー樹脂は、ポリエステル系、ポリアミド系、及びポリウレタン系から選択される1種以上である
ことを特徴とする樹脂メッキ製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−290295(P2008−290295A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−136565(P2007−136565)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【出願人】(000206141)大成プラス株式会社 (87)
【Fターム(参考)】