説明

樹脂乾燥装置及び樹脂乾燥方法

【課題】樹脂乾燥装置の組立て性を高め、メンテナンス性を向上させる。また、樹脂乾燥の大容量化を図る。
【解決手段】処理槽(2)は、樹脂(6、樹脂ペレット70)が装填され、底面部(錐状底部10)に排出口(20)を備える。この処理槽(2)を開閉する蓋部(14)に単一又は複数の複数のヒータユニット(30、32)が取付けられる。蓋部(14)には、処理槽(2)内に設置されると、ヒータユニット(30)と別部材であって、ヒータユニット(30)に吊り下げられて処理槽(2)に支持され、処理槽(2)内の樹脂(6、樹脂ペレット70)を成層状態に維持する成層手段(成層ガイド50)が備えられる。成層手段は、吊り下げられ、かつ、ヒータユニットと分離可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状、粉状又はペレット状の樹脂等、成形材料の乾燥技術に関し、例えば、処理槽内で樹脂を成層させる構造を備える樹脂乾燥装置及び樹脂乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形等の樹脂成形には、成形材料として粒状、粉状又はペレット状の樹脂が用いられる。樹脂に水分が付着していると、その水分が成形品に色調変化等を生じさせ、成形不良の原因になる。このため、成形前の樹脂乾燥は、製品の品質を高め、歩留りを向上させる上で不可欠である。この樹脂乾燥は例えば、成形材料を減圧下で加熱する低温乾燥が用いられている。
【0003】
この樹脂乾燥に関し、複数のヒータユニットが設置され、各ヒータユニットから伝導熱を樹脂に加えるものが知られている(例えば、特許文献1)。樹脂が装填されるホッパー本体が基底部と筒収容体に分割し、これら基底部と筒収容体とをヒンジ部で連結することにより、ヒンジ部を中心に筒収容体を傾倒させ、基底部を開放可能にした構造が知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−322119公報
【特許文献2】特開2004−144313公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、大量の乾燥処理を行う大型装置では、乾燥処理槽の直径や軸方向の長さ(高さ)が大きくなる。処理槽に設置された成層ガイドは処理槽内の樹脂を成層状態で保持するが、樹脂排出時に均一に樹脂を流出させるには、その先端部を処理槽の中心に配置することが必要である。処理槽が軸方向に長くなれば、その組立に当たり、成層保持ガイドを処理槽の中心に位置決めし、溶接するには高度な技術を必要とする。また、処理槽の直径を大きくすれば、ヒータユニットの設置本数等を再設計する必要がある。
【0006】
成層保持ガイドは、樹脂材料を成層状態で保持するとともに樹脂を先入れ先出しするために処理槽の中心に設置され、樹脂を加熱するヒータユニットを介して処理槽の蓋部に支えられている。加熱樹脂を変更する所謂材料替えや、処理槽のメンテナンスには、ヒータユニット及び成層保持ガイドを上昇させて処理槽から引出し、その上昇位置で維持させてヒータユニット及び成層保持ガイドの清掃、点検、部品交換等が行われる。
【0007】
処理槽が長くなれば、成層保持ガイドを支えるヒータユニットも長くなる。ヒータユニットを介して処理槽の蓋部に支持される成層保持ガイドが、その蓋部から垂直方向に維持されていない場合には処理槽の排出口の中心との間にずれが生じる場合がある。処理槽の内壁面と成層保持ガイドとの隙間に偏りがあると、広い隙間側に多くの材料が流れ、均等な樹脂流動や樹脂の成層状態に偏りを生じる。斯かる不都合を防止するには、成層保持ガイドを含むヒータユニットの垂直維持、加工精度等、部品精度及び設置精度を高める必要がある。このような精度を達成するにはコスト高となる。
【0008】
ヒータユニットから成層保持ガイドを分離した構成では、材料替え、清掃等、メンテナンスでは、ヒータユニットを上昇させて処理槽から引出した後、成層保持ガイドを処理槽から取出す必要がある。取出し治具を用いても、大容量の処理槽では深く、成層保持ガイドの取出しは非常に厄介である。
【0009】
また、処理槽を基底部と筒収容体とに分割した構造では必要に応じて処理槽を基底部と筒収容体とに分離させれば、基底部側にある成層保持ガイドを容易に取り出すことができる反面、処理槽は、気密性保持のための設備や開閉構造のために部品点数が増加する。
【0010】
斯かる課題について、特許文献1、2にはその開示や示唆はなく、それを解決する構成等についての開示や示唆はない。
【0011】
そこで、本発明の樹脂乾燥装置の目的は、組立て性を高め、メンテナンス性を向上させることにある。
【0012】
また、本発明の樹脂乾燥装置の他の目的は、樹脂乾燥の大容量化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成する本発明の樹脂乾燥装置は、樹脂が装填され、底面部に排出口を備える処理槽と、前記処理槽を開閉する蓋部に取付けられ、前記処理槽内に設置される単一又は複数のヒータユニットと、前記ヒータユニットと別部材であって、前記ヒータユニットに吊り下げられて前記処理槽に支持され、前記処理槽内の樹脂を成層状態に維持する成層手段とを備える。
【0014】
上記目的を達成するには、上記樹脂乾燥装置において、好ましくは、前記ヒータユニットに前記成層手段を取外しが可能に連結する自由継手を備え、この自由継手を介して前記成層手段を前記ヒータユニットに支持させてもよい。
【0015】
上記目的を達成するには、上記樹脂乾燥装置において、好ましくは、前記成層手段又は前記処理槽に着座部を備え、該着座部が前記成層手段を前記排出口の中心に位置決めして載置させてもよい。
【0016】
上記目的を達成するには、上記樹脂乾燥装置において、好ましくは、前記成層手段を支持する前記ヒータユニットは前記処理槽の中央部に設置されている構成でもよい。
【0017】
上記目的を達成するには、上記樹脂乾燥装置において、好ましくは、前記ヒータユニットは複数に分割されており、前記処理槽の中央に設置されるヒータユニットに前記成層手段が支持されている構成でもよい。
【0018】
上記目的を達成するには、上記樹脂乾燥装置において、好ましくは、前記成層手段は、前記ヒータユニットから吊下げ状態で前記処理槽に挿入され、前記ヒータユニットの所定位置に設置される構成でもよい。
【0019】
上記目的を達成するには、上記樹脂乾燥装置において、好ましくは、前記成層手段は、前記ヒータユニットに吊下げ状態で前記処理槽から引き出され、前記処理槽外で前記ヒータユニットから分離される構成でもよい。
【0020】
上記目的を達成するには、上記樹脂乾燥装置において、好ましくは、前記成層手段は、上部側から徐々に前記処理槽の錐状壁面部に接近させた傾斜面部を備えた成層部と、
前記処理槽の錐状壁面部の内径より小さく設定された前記成層部の最大幅部より徐々に小さくし、前記処理槽の錐状壁面部との間に前記樹脂を通過させる間隔を設定する錐状部とを備えてもよい。
【0021】
上記目的を達成する本発明の樹脂乾燥方法は、処理槽内に設置される単一又は複数のヒータユニットと別部材である成層手段を前記ヒータユニットから吊り下げて前記処理槽に支持させる工程と、前記処理槽に樹脂を装填し、前記処理槽に設置されている前記成層手段によって前記処理槽内の樹脂を成層状態に維持する工程と、前記処理槽を減圧し、前記ヒータユニットの発熱によって前記樹脂を乾燥させる工程と、前記成層手段で成層状態に維持された状態で、乾燥した樹脂を前記処理槽の底面部の排出口から排出させる工程とを含んでいる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の樹脂乾燥装置又は樹脂乾燥方法によれば、次の何れかの効果が得られる。
【0023】
(1) ヒータユニットに成層手段を吊下げているので、成層手段を鉛直状態に維持させることができ、成層手段を処理槽の排出口の中心に位置決めすることができる。
【0024】
(2) 鉛直状態に維持された成層手段では、処理槽内の樹脂を成層状態に維持できるとともに、成層状態にある樹脂を排出口から均一に排出させることができる。
【0025】
(3) 処理槽が大型化し、処理槽が深い場合であっても、処理槽からヒータユニットを引き上げれば、それに連動して成層手段を引き出すことができるので、清掃、部品交換等、メンテナンスを容易に行うことができる。メンテナンスコストを低減できる。
【0026】
(4) 処理槽が大型化しても、成層手段はヒータユニットから吊下げ状態で支持されるので、その構造は簡易であるとともに、低コストで実現でき、樹脂乾燥の大量処理を容易化できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1の実施の形態に係る処理槽部の一例を示す縦断面図である。
【図2】蓋部のヒータユニットの支持構造を示す図である。
【図3】成層ガイドの支持構造の一例を示す図である。
【図4】ヒータユニット及び成層ガイドの引出し状態を示す断面図である。
【図5】成層ガイドの垂下状態及び据付け状態を正面から見て示す図である。
【図6】成層ガイドの垂下状態及び据付け状態を側面から見て示す図である。
【図7】第2の実施の形態に係る樹脂乾燥装置の一例を示す図である。
【図8】制御装置の一例を示す図である。
【図9】処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】第3の実施の形態に係る樹脂乾燥装置のメンテナンスの一例を示す図である。
【図11】他の実施の形態に係る成層ガイドの支持形態を示す図である。
【図12】他の実施の形態に係る成層ガイドを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
〔第1の実施の形態〕
【0029】
第1の実施の形態は樹脂乾燥装置の処理槽部を開示している。この処理槽部について、図1及び図2を参照する。図1は処理槽部の一例を示し、図2はヒータユニットの支持構造の一例を示している。図1及び図2に示す構成は一例であって、係る構成に本発明が限定されるものではない。
【0030】
この処理槽2は、本発明の樹脂乾燥装置の処理槽部の一例であって、後述の樹脂乾燥装置4(例えば、図7)に設置され、粒状、粉状又はペレット状の樹脂6(例えば、図7)を減圧下で乾燥させるタンクである。この処理槽2は、図1に示すように、胴部8と、錐状底部10とを有する。胴部8は例えば、円筒状の筒体であり、錐状底部10は円錐状の底部を構成する。一例としての処理槽2では、胴部8と錐状底部10とをステンレス等の金属材料で一体に形成されている。
【0031】
胴部8の上部にはフランジ部12が形成され、このフランジ部12の上面には蓋部14が設置され、この蓋部14は処理槽2の胴部8を開閉する開閉手段を構成する。フランジ部12の周縁には、立壁部13が備えられ、この立壁部13によって蓋部14が位置決めされている。この蓋部14には、封止手段の一例であるパッキン16を備え、このパッキン16によりフランジ部12との密着性が維持されている。蓋部14の中心部には、処理槽2に樹脂6を装填するための導入口18が形成され、錐状底部10の中心部には、乾燥後の樹脂6を排出させるための排出口20が形成されている。
【0032】
蓋部14の下面側には、成層生成手段として第1の成層ガイド22が設置されている。この成層ガイド22は、導入口18から導入される樹脂6を放射状に散らすことにより、処理槽2内に樹脂6を積もらせて成層状態を生成させるためのガイドである。図1に示す成層ガイド22は、円錐部24と円柱部26とを備える。円錐部24は、導入口18の中心から処理槽2の内壁側に下降する円錐面を有する。また、円柱部26は、円錐部24の最大径部分から延長した同径部である。この円柱部26には固定及び支持手段として例えば、複数のブラケット28が形成され、これらブラケット28の端部が蓋部14の導入口18の周囲部にねじ29等の固定手段によって固定されている。円錐部24は、先端部を導入口18の中央に位置決めされ、円錐部24の円錐面の中心軸が導入口18の中心に位置決めされている。
【0033】
この成層ガイド22には処理槽2の中心軸方向にヒータユニット30が設置され、このヒータユニット30の周囲には複数のヒータユニット32が設置されている。ヒータユニット30とヒータユニット32の近接間隔、各ヒータユニット32間の近接間隔は、同一間隔又は近似間隔に設定して配置されている。ヒータユニット30は、蓋部14に成層ガイド22及びブラケット28を介して蓋部14に取り付けられているのに対し、各ヒータユニット32は蓋部14に直結され、ヒータユニット30を包囲している。各ヒータユニット30、32は中央にヒータパイプ34を備え、このヒータパイプ34の周囲部に複数の放熱フィン36を備えている。ヒータパイプ34には例えば、セラミックヒータ等のヒータ部38が設置されている。従って、蓋部14は、成層ガイド22及びヒータユニット30、32を支持する支持手段を構成している。
【0034】
各ヒータユニット32は、蓋部14にヒータパイプ34を貫通させ、例えば、図2に示すように、導入口18と同心円上に所定の角度間隔で配置されている。各ヒータパイプ34の上部には蓋部14に配置された係止板40に係止させ、この係止板40を例えば、蝶ナット42で蓋部14に固定している。
【0035】
そして、処理槽2の中央に配置されたヒータユニット30では、図1に示すように、各放熱フィン36の上端が成層ガイド22の円柱部26に固定されている。ヒータユニット30のヒータパイプ34の下端には成層手段の支持部材の一例として吊下げ具44が固定されている。この吊下げ具44には吊下げ孔46を有し、この吊下げ孔46には、吊下げリング48を介して第2の成層ガイド50が吊り下げられている。
【0036】
成層ガイド50は処理槽2内の樹脂6の成層生成手段及び成層保持手段の一例である。即ち、樹脂6の装填時、成層ガイド50は、上部側の成層ガイド22側から放射状に落下した樹脂6を受けて放射状に散らし、処理槽2の底部側で樹脂6を成層させる。このため、成層ガイド50は、落下してくる樹脂6に当たる部分が成層ガイド22より大きく形成されている。樹脂6の装填を完了した場合には、成層ガイド50は、処理槽2に先入れされた樹脂6の上に後入れの樹脂6を積層させ、投入順序に応じた成層状態に維持する。また、樹脂6の排出時には、樹脂6の成層状態を崩すことなく、先入れされた樹脂6から先に排出口20から排出させる。即ち、成層ガイド50は、樹脂6の成層生成、成層保持及び先入れ、先出しの樹脂排出を可能にする。
【0037】
この機能を実現するため、成層ガイド50は、例えば、第1の円錐部として上側円錐部52と、第2の円錐部として下側円錐部54とを一体に備えている。上側円錐部52は、上部側から徐々に処理槽2の胴部8側の高さ位置から錐状底部10の内壁面に接近させた傾斜面部である。この上側円錐部52は、成層ガイド22の円柱部26の直径より径大であり、傾斜角度は成層ガイド22より急峻である。また、下側円錐部54は、円錐部24の最大径部より徐々に径小にした傾斜面部で形成され、処理槽2の錐状底部10との間に同一幅の同心円筒状の間隔56を設定している。この間隔56が樹脂通路を構成する。
【0038】
間隔56内には複数の着座部58が設置され、この実施の形態では、各着座部58が成層ガイド50の下側円錐部54に所定の角度間隔で放射状に形成されている。各着座部58は既述の間隔56と同一幅であり、成層ガイド50の下側円錐部54が処理槽2の錐状底部10の内壁面に既述の間隔56を維持しつつ着座させている。また、垂下状態にある成層ガイド50は、複数の着座部58を備えたことにより、処理槽2内の所定位置即ち、排出口20を中心として水平位置に位置決めされる。
【0039】
成層ガイド50の支持構造について、図3を参照する。図3は、既述の支持構造を拡大して示しており、図3のAは、吊下げリングを正面から見て示し、図3のBは、その側面を示している。
【0040】
ヒータユニット30のヒータパイプ34の下端には、吊下げ具44のねじ部60が固定されるとともに、ねじ部60には緩み防止用のナット62が取り付けられている。吊下げ孔46は吊下げリング48に取り付けられているとともに、成層ガイド50側の吊下げ具64の吊下げ孔66に取り付けられている。ヒータユニット30には、成層ガイド50が吊下げ具44、64及び吊下げリング48により揺動可能に吊り下げられ、支持されている。従って、成層ガイド50は吊下げリング48により吊り下げられて垂下状態となり、図3のA及びBの破線で示すように、揺動可能である。
【0041】
成層ガイド50の引上げ、位置決めについて、図4、図5及び図6を参照する。図4はヒータユニット30、32及び成層ガイド50の引上げ状態を示している。図5及び図6は成層ガイドの位置決めを示している。
【0042】
既述のように、蓋部14に成層ガイド22とともに吊り下げられた成層ガイド50は、図4に示すように、蓋部14とともに処理槽2から離脱させることができる。つまり、蓋部14を処理槽2から外し、上昇させると、蓋部14に支持されたヒータユニット30とともに成層ガイド50を処理槽2から引き出すことができ、処理槽2外で清掃、部品交換等のメンテナンスを行うことができる。
【0043】
また、成層ガイド50はヒータユニット30と別部材であり、吊下げリング48で連結されているにすぎないので、処理槽から引き出された成層ガイド50はヒータユニット30から離脱させ、清掃、部品交換等のメンテナンスを行うことができ、その容易化が図られる。
【0044】
また、成層ガイド50は、図4に示すように、蓋部14に成層ガイド22とともに固定されたヒータユニット30に揺動可能に垂下状態に吊り下げられる。このため、処理槽2に設置する際、図5のAに示すように、吊下げリング48の正面から見て角度θ1 の傾きが生じていても、成層ガイド50の中心線を重力により鉛直状態に維持でき、処理槽2側の排出口20の中心に合致させることができる。これにより、蓋部14側が処理槽2に水平に設置された場合であっても、例えば、成層ガイド22やヒータユニット30の鉛直度に誤差が生じも、図5のBに示すように、水平度が維持された処理槽2の所定位置に成層ガイド50を位置決めし、据えつけることができる。
【0045】
また、図6のAに示すように、吊下げリング48の側面から見て角度θ2 の傾きが生じていても、成層ガイド50の中心線を重力により鉛直状態に維持でき、処理槽2側の排出口20の中心に合致させることができる。即ち、成層ガイド22やヒータユニット30の鉛直度に誤差があっても、この鉛直方向の傾き方向に関係なく、図6のBに示すように、処理槽2の所定位置に成層ガイド50を位置決めし、据えつけることができる。
【0046】
この第1の実施の形態の特徴事項や利点は以下の通りである。
【0047】
(1) ヒータユニット30や吊下げ具44が排出口20の中心からずれても、揺動可能な垂下状態にある成層ガイド50は、重力を受けて排出口20の中心に位置決めすることができ、位置決めや据え付けが容易になる。大型機のように処理槽2が深くなっても成層ガイド50の水平位置や中心位置を容易に調整することができる。
【0048】
(2) 大容量の処理のため、また、据え付け面積を縮小するため、処理槽2を深く形成する要請に対しても、成層ガイド50の水平位置や中心位置の調整、着脱のための制約がなくなるので、処理槽2を深くすることができ、据え付け面積を縮小した大型乾燥装置を実現することができる。
【0049】
(3) ヒータユニット30のヒータパイプ34を延長し、長尺化しても、その先端部に取り付けられた吊下げリング48を用いることにより、成層ガイド50を設置することができる。上記実施の形態では、成層ガイド50がヒータユニット30と別部材で別個に構成されるので、ヒータユニット30を長尺化することができ、処理槽2の大容量化に寄与することができる。
【0050】
(4) 樹脂6の成層手段として構成された成層ガイド50は、放熱手段であるヒータユニット30と別部材で構成し、処理槽2の中心に配置すればよく、例えば、内部を空洞化し、軽量化することができる。この軽量化によって、清掃やメンテナンスを容易化することができる。
【0051】
(5) 長尺のヒータユニット30の蓋部14から垂直に垂下させるには、高度な加工技術や溶接技術が必要となるが、成層ガイド50は、吊下げリング48によって吊り下げられているので、ヒータユニット30と一体に垂直化する必要はなく、多少の溶接加工のずれが生じたとしても、処理槽2の排出口の中心に容易に設置することができる。吊下げリング48により、ヒータユニット30と別個に成層ガイド50の垂直度を保つことができる。
【0052】
(6) ヒータユニット30のヒータパイプ34にねじ加工を施して吊下げ具44がねじ込まれている。また、成層ガイド50の上端には、吊下げ具64が取付けられている。この二つの金具には、吊下げ孔46、66が形成され、吊下げリング48が取り付けられている。吊下げ孔46、66は吊下げリング48の線径よりも径大であり、吊下げリング48により、成層ガイド50を自由に移動し、揺動状態に垂下することができる。
【0053】
(7) ヒータユニット30の蓋部14への取り付け精度が低くても、分解・掃除等で処理槽2からヒータユニット30とともに、成層ガイド50を処理槽2から引き出し、再組立した後、処理槽2の中央に成層ガイド50を高精度に位置決めして設置できる。
【0054】
(8) ヒータユニット30を掃除等で処理槽2の外部に露出した後に、再び処理槽に対して容易に、且つ精度よく設置することができる。即ち、ヒータユニット30から吊り下げられた成層ガイド50は、設置の自由度があるため、処理槽2の錐状底部10の傾斜壁面に着座部58を合致させるだけで、排出口20の中心に成層ガイド50の中心を合致させて設置できる。この実施の形態では、吊下げリング48を用いた継手構造を用いているが、ボールジョイント等の自由度のある継手を用いてもよい。
【0055】
(9) 蓋部14は、処理槽2側のフランジ部12の周囲壁(立壁部13)で位置決めされ、所定位置に設置される。この結果、蓋部14にある導入口18を処理槽2の中心に位置決めすることができる。蓋部14の中央には樹脂6の導入口18が形成されており、蓋部14の下面側には複数のブラケット28がねじ29で固定されている。
【0056】
(10) 蓋部14の上面には、蓋部14を貫通させたヒータユニット32のヒータ部38が係止板40及び蝶ねじ42により固定されている。即ち、蓋部14の上面にある係止板40を蝶ねじ42により外すことにより、ヒータユニット32を着脱でき、交換することができる。
【0057】
〔第2の実施の形態〕
【0058】
第2の実施の形態は既述の成層ガイドの支持構造を備える処理槽部を用いた樹脂乾燥装置である。この樹脂乾燥装置について、図7及び図8を参照する。図7は樹脂乾燥装置の一例を示し、図8は制御装置の一例を示している。
【0059】
図7に示す樹脂乾燥装置4は、本発明の樹脂乾燥装置の一例であって、中央に処理槽2を備え、樹脂6を処理槽2に供給し、乾燥処理を経た樹脂6を処理槽2から需要箇所に供給する樹脂乾燥処理システムを構成している。
【0060】
樹脂成形用の樹脂6には、粒状、粉状又はペレット状等の各種の形態のものがある。この実施形態では、成形樹脂として樹脂ペレット70が用いられている。樹脂ペレット70は、ペレットタンク72から処理槽2に導かれて乾燥処理が施された後、射出成形機74に供給される。
【0061】
ペレットタンク72には補給ホッパ76から延長された管路78が挿入されている。補給ホッパ76には開閉弁80を設けた管路82を介して吸引手段であるブロワ84が連結されている。ブロワ84には管路86が連結され、この管路86には開閉弁88が設けられ、管路86から分岐された管路90には開閉弁92が設けられて開放されている。管路82には管路94が分岐され、この管路94には開閉弁96が設けられている。このような構成では、開閉弁88、96を閉じ、開閉弁80、92を開いてブロワ84を駆動すると、補給ホッパ76内の空気が管路82、86、90を通じて外気に放出され、補給ホッパ76が減圧される。このため、ペレットタンク72から樹脂ペレット70が管路78を通じて補給ホッパ76内に吸引され、装填される。補給ホッパ76には空気と樹脂ペレット70とを分離するフィルタ98が設置されており、吸引された樹脂ペレット70が管路82側に流出することを防止している。
【0062】
補給ホッパ76の下部には、開閉手段の一例として第1のシャッタ装置100、樹脂ペレット70の有無を検出するための樹脂検出筒102が設置されている。シャッタ装置100には、補給ホッパ76の底部を開閉するシャッタ板104が設けられ、このシャッタ板104は駆動手段として例えば、シリンダ装置106によって開閉される。樹脂検出筒102には、樹脂ペレット70が所定の高さまで装填されているか否かを電気的又は光学的に検出する手段の一例として近接スイッチ108が設置されている。
【0063】
処理槽2は既述の通り、樹脂成形に適する乾燥状態に樹脂ペレット70を乾燥させる処理手段であって、その処理には処理槽2自体を密閉化して減圧化するとともに、既述のヒータユニット30、32が加熱手段として用いられている。
【0064】
処理槽2の蓋部14には管路110を介して減圧手段である真空ポンプ112が連結されている。処理槽2の外壁部には加熱手段として複数のヒータ114が配設されるとともに、その加熱温度を検出する温度センサ116が設けられている。ヒータ114は、処理槽2の槽壁の近傍にある樹脂ペレット70を乾燥させるために設置され、処理槽2の排出口20の近傍まで配置されている。この樹脂乾燥装置4では、成層ガイド50がヒータユニット30、32と分離しており、処理槽2の底部に着座部58を用いて設置している。このような構成において、成層ガイド50側の加熱手段として、ヒータ114を利用すれば、処理槽2の底面側の熱量を補完することができる。このヒータ114には例えば、ラバーヒータ等が用いられる。処理槽2の内部には、蓋部14に支持された複数の加熱手段としてヒータユニット30、32が設置されている。これらヒータユニット30、32は、中央にヒータユニット30が設置され、複数のヒータユニット32が均一な伝導熱分布が得られるように蓋部14に位置決めされて着脱可能に取り付けられている。
【0065】
処理槽2内に設置された成層ガイド22、50は既述の通りであるので、その説明を割愛する。上部にある成層ガイド22は、落下する樹脂ペレット70を放射状に散らして成層する。ヒータユニット30の下部側にある成層ガイド50は、処理槽2内に順次に積み上げる形態で樹脂ペレット70を成層化し、その上下流動の阻止とともに部分的な成層破壊が防止する。また、成層ガイド50は、排出時には積層された樹脂ペレット70は、中央部分の陥没排出等の不都合を防止し、下層側から順次に排出させる。
【0066】
処理槽2の底面側には排出口20を開閉する手段、処理槽2を気密状態に保持する手段として第2のシャッタ装置118が設置されている。この実施形態では、シャッタ装置118では、2枚のシャッタ板120、122が間隔を設けて摺動可能に取り付けられ、シャッタ板120はシリンダ装置124、シャッタ板122はシリンダ装置126で選択的に開閉することができる。即ち、シャッタ板120、122を同時に開くと、処理槽2の排出口20から樹脂ペレット70を排出させることができる。この排出中にシャッタ板120を閉じると、シャッタ板122に樹脂ペレット70が挟み込まれて必要な気密性が損なわれるおそれがある。しかし、シャッタ板120で樹脂ペレット70の落下を阻止した後、シャッタ板122を閉じれば、このシャッタ板122によって処理槽2の気密性を保持できる。つまり、シャッタ板120は樹脂ペレット70の排出阻止、シャッタ板122は処理槽2の気密保持として機能する。
【0067】
処理槽2の下側には、シャッタ装置118を介して貯留槽128が設置され、この貯留槽128には処理槽2から排出させた樹脂ペレット70を一時的に滞留させることができる。この貯留槽128には管路86を介してブロワ84が接続されるとともに、管路130を介して射出成形機74側の供給ホッパ132が連結され、この供給ホッパ132には管路94が連結されている。即ち、開閉弁80、92を閉じ、開閉弁88、96を開き、ブロワ84を駆動して供給ホッパ132を低圧化させれば、管路86を通して貯留槽128内に加圧空気を送り込むことにより、貯留槽128内の樹脂ペレット70が管路130を通して供給ホッパ132に供給することができる。供給ホッパ132には、空気と樹脂ペレット70とを分離するフィルタ134が設置されており、流れ込む樹脂ペレット70が管路94側に入り込むことを阻止している。また、供給ホッパ132には樹脂ペレット70の有無を検出する手段として近接スイッチ136が設けられている。
【0068】
このような構成によれば、ペレットタンク72に予め装填されている樹脂ペレット70がペレットタンク4から補給ホッパ76に供給される。この樹脂ペレット70はシャッタ装置100を開くことにより、処理槽2に導かれる。処理槽2には、樹脂検出筒102の近接スイッチ108に検出されるまで樹脂ペレット70が装填される。真空ポンプ112を駆動して処理槽2から排気し、処理槽2を減圧し、所定の低圧、即ち、真空化するとともに、ヒータ114及びヒータユニット30、32に給電して発熱させる。これにより、樹脂ペレット70が加熱され、所定時間、樹脂ペレット70の乾燥処理が実行される。この乾燥処理の後、処理槽2の真空を解除した後、シャッタ装置118を開けば、処理槽2から乾燥した樹脂ペレット70を貯留槽128に落下させることができる。貯留槽128の樹脂ペレット70は、ブロワ84による加圧空気により射出成形機74の供給ホッパ132に供給することができる。樹脂ペレット70の有無は近接スイッチ136で検出でき、射出成形機74には必要量の樹脂ペレット70が供給される。乾燥した樹脂供給を受けた射出成形機74では、樹脂成形が行われる。
【0069】
次に、樹脂乾燥装置4の制御装置140について、図8を参照する。図8は樹脂乾燥装置4の制御装置の一例を示している。図8において、図7と同一部分には同一符号を付してある。
【0070】
図8に示す制御装置140は、処理槽2の電熱制御を含む樹脂乾燥装置4の電気的な制御手段を構成する。ヒータ114、ヒータユニット30及び複数のヒータユニット32は切換部142を介して電源部144に接続されている。切換部142及び電源部144には制御部146が接続されている。
【0071】
切換部142は、ヒータ114への給電とともに、ヒータユニット30、32の配置パターンに対応し、給電対象の選択により所望の伝導熱分布を得るために給電すべきヒータユニット30、32と電源部144の接続を切り換えるスイッチである。このスイッチは、リレー等で構成することができる。
【0072】
また、電源部144は、直流電源、交流電源又はパルス電源等で構成することができる。そして、制御部146は、シーケンス制御回路やプログラム制御回路で構成でき、マイクロコンピュータ等を制御手段として用いることができる。
【0073】
制御部146には切替弁80、88、92、96、ブロア84、シャッタ装置100、118の駆動部、近接スイッチ108、136、真空ポンプ112の駆動部、温度センサ116が接続されている。従って、制御部146には近接スイッチ108、136のスイッチ出力や、温度センサ116の検出温度が取り込まれる。また、制御部146の制御出力が切替弁80、88、92、96、ブロア84、シャッタ装置100、118の駆動部、真空ポンプ112の駆動部に出力される。
【0074】
係る構成では、処理槽2の容量や乾燥すべき樹脂ペレット70の形態等、種々の条件に対応した伝導熱分布が形成され、例えば、ヒータユニット32を1つ置きに給電して伝導熱分布を形成できる。この結果、処理槽2内の樹脂ペレット70を偏ることなく万遍なく乾燥処理することができるとともに、効率的な処理を行うことができる。
【0075】
次に、樹脂乾燥装置4を用いた乾燥処理について、図9を参照する。図9は乾燥処理の処理手順の一例を示している。
【0076】
この処理手順は、本発明の乾燥処理方法の一例である。図9に示す処理手順では、処理槽2の組立工程(ステップS11)、樹脂ペレット70の装填及び成層工程(ステップS12)、乾燥工程(ステップS13)、樹脂ペレット70の排出工程(ステップS14)が含まれている。
【0077】
(a) 処理槽2の組立工程(ステップS11)
【0078】
この組立工程には、処理槽2内に設置される単一又は複数のヒータユニット30、32と成層ガイド50をヒータユニット30から吊り下げ、処理槽2に支持させる処理が含まれる。
【0079】
(b) 樹脂ペレット70の装填及び成層工程(ステップS12)
【0080】
この装填及び成層工程には、処理槽2に樹脂ペレット70を装填し、処理槽2に設置されている成層ガイド22や成層ガイド50によって処理槽2内の樹脂ペレット70を成層状態にし、その成層状態を成層ガイド50によって維持する。
【0081】
(c) 乾燥工程(ステップS13)
【0082】
この乾燥工程では、処理槽2を真空ポンプ112によって減圧する。減圧下でヒータユニット30、32の発熱により、樹脂ペレット70を均等に加熱し、樹脂ペレット70を乾燥させる。
【0083】
(d) 樹脂ペレット70の排出工程(ステップS14)
【0084】
この排出工程では、射出成形機74側にある近接スイッチ136からのスイッチ信号に基づき、排出処理に移行する。この樹脂ペレット70の排出では、成層ガイド50で樹脂ペレット70を成層状態に維持された状態で、乾燥した樹脂ペレット70を処理槽2の底面部の排出口20から排出させる。これにより、樹脂ペレット70が射出成形機74側に供給される。
【0085】
〔第3の実施の形態〕
【0086】
第3の実施の形態は、処理槽部の組立てやメンテナンスを開示している。この第3の実施の形態について、図10を参照する。図10は昇降装置及びその動作を示している。図10に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0087】
このシリンダ昇降装置150は、樹脂乾燥装置4の処理槽部152の据え付けや組立、分解等に用いられ、処理槽2から蓋部14とともに加熱手段や成層手段の昇降に用いられる。樹脂乾燥装置4処理槽部152は、処理槽2及びシャッタ装置118を含む固定機構部152Aと、蓋部14及び成層ガイド50を含む可動機構部152Bとに分離可能である。シリンダ昇降装置150は、樹脂乾燥装置4のメンテナンス手段であり、処理槽部152に隣接して設置される。
【0088】
図10に示すシリンダ昇降装置150では、シリンダ部154、ピストン部156及び加圧装置158を備える。シリンダ部154にはピストン部156が進退可能に設置されているとともに加圧装置158が接続されている。加圧装置158は空気圧、油圧の何れの圧力であってもよい。ピストン156は、加圧装置158からの加圧ないし減圧により昇降させることができる。ピストン156に連結されたプランジャ160は、ピストン156から昇降又は固定のための駆動力を受け、上昇又は下降又は停止させることができる。加圧装置158には制御手段に例えば、既述の制御装置140が接続され、ピストン156の上昇、下降又は停止の制御を行うことができる。
【0089】
プランジャ160にはブラケット162が取り付けられ、このブラケット162の先端部にはチャック部164が設けられ、このチャック部164が蓋部14に着脱される。蓋部14とチャック部164とは常時固定してもよいし、必要に応じて着脱するようにしてもよい。
【0090】
このような構成とすれば、図10の矢印Aに示すように、シリンダ昇降装置150で蓋部14を含む可動機構部152Bを処理槽2から引き上げ、又は処理槽2に可動機構部152Bを導いて、処理槽2に可動機構部152Bを設置することができる。
【0091】
処理槽2から引き上げられた蓋部14、ヒータユニット30、32及び成層ガイド22、50を処理槽2の外部で清掃、部品交換等を容易に行うことができる。また、処理槽2は、可動機構部152Bが除かれた状態で、その内部を点検、清掃等のメンテナンスを行うことができる。成層ガイド50は吊下げリング48の部分でヒータユニット30から外し、その交換や清掃等を行うこができる。また、蓋部14からヒータユニット30、32を外し、又は交換でき、その作業を容易に行うことができる。
【0092】
この実施の形態の特徴事項や利点は以下の通りである。
【0093】
(1) 樹脂乾燥装置4は、処理槽2側の固定機構部152Aと、蓋部14側の可動機構部152Bとに分離され、可動機構部152Bはシリンダ昇降装置150により昇降させることができ、処理槽2、ヒータユニット30、32、成層ガイド50等の各部品の点検、清掃、交換等を容易に行うことができる。
【0094】
(2) シリンダ昇降装置150の昇降制御は、既述の制御装置140で行うことができ、メンテナンスの迅速化や簡易化を図ることができる。
【0095】
(3) シリンダ昇降装置150を用いれば、蓋部14側を含む可動機構部152Bを容易に昇降でき、作業者の労力を軽減できる。
【0096】
(4) シリンダ昇降装置150は、樹脂乾燥装置4の近傍に設置してもよいし、可動機構を備えることにより、必要に応じて移動し、複数の樹脂乾燥装置4に共用させてもよい。
【0097】
(5) シリンダ昇降装置150はチェーンブロック等の他の昇降機構に代えてもよい。
【0098】
〔他の実施の形態〕
【0099】
(1) 上記実施の形態では、吊下げリング48を用いてヒータユニット30に成層ガイド50を吊り下げているが、これに限定されない。成層ガイド50を揺動可能に吊り下げる自由継手であればどのような構成でもよく、例えば、図11に示すように、2つのリング170、172をワイヤ174で連結した連結具176を用いてもよい。このような構成によっても、成層ガイド50を揺動可能に吊り下げることができ、垂下状態の成層ガイド50を処理槽2の所定位置に設置することができる。
【0100】
(2) 上記実施の形態では、成層ガイド50を中空体で構成したが、これに限定されない。図12に示すように、成層ガイド50にヒータ178を設置し、このヒータ178にヒータユニット30側から給電する構成としてもよい。斯かる構成とすれば、錐状底部10の中心で成層された樹脂ペレット70を成層ガイド50から加熱することができ、乾燥処理の迅速化や均一化を図ることができる。
【0101】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、樹脂乾燥の迅速化や効率化に寄与する樹脂乾燥技術として利用でき、処理槽や成層手段の清掃、点検等のメンテナンス性が高められ、有用である。
【符号の説明】
【0103】
2 処理槽
4 樹脂乾燥装置
6 樹脂
8 胴部
10 錐状底部
14 蓋部
18 導入口
20 排出口
24 円錐部
26 円柱部
28 ブラケット
30、32 ヒータユニット
34 ヒータパイプ
38 ヒータ部
44、64 吊下げ具
46、66 吊下げ孔
48 吊下げリング
50 成層ガイド
52 上側円錐部
54 下側円錐部
56 間隔
58 着座部
70 樹脂ペレット
72 ペレットタンク
150 シリンダ昇降装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂が装填され、底面部に排出口を備える処理槽と、
前記処理槽を開閉する蓋部に取付けられ、前記処理槽内に設置される単一又は複数のヒータユニットと、
前記ヒータユニットと別部材であって、前記ヒータユニットに吊り下げて前記処理槽に支持され、前記処理槽内の樹脂を成層状態に維持する成層手段と、
を備えることを特徴とする樹脂乾燥装置。
【請求項2】
前記ヒータユニットに前記成層手段を取外しが可能に連結する自由継手を備え、この自由継手を介して前記成層手段を前記ヒータユニットに支持させていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂乾燥装置。
【請求項3】
前記成層手段又は前記処理槽に着座部を備え、該着座部が前記成層手段を前記排出口の中心に位置決めして載置させることを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載の樹脂乾燥装置。
【請求項4】
前記成層手段を支持する前記ヒータユニットは前記処理槽の中央部に設置されていることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の樹脂乾燥装置。
【請求項5】
前記ヒータユニットは複数に分割されており、前記処理槽の中央に設置されるヒータユニットに前記成層手段が支持されていることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の樹脂乾燥装置。
【請求項6】
前記成層手段は、前記ヒータユニットから吊下げられて前記処理槽に挿入され、前記ヒータユニットの所定位置に設置されることを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載の樹脂乾燥装置。
【請求項7】
前記成層手段は、前記ヒータユニットに吊下げ状態で前記処理槽から引き出され、前記処理槽外で前記ヒータユニットから分離されることを特徴とする請求項1ないし6の何れかに記載の樹脂乾燥装置。
【請求項8】
前記成層手段は、
上部側から徐々に前記処理槽の錐状壁面部に接近させた傾斜面部を備えた成層部と、
前記処理槽の錐状壁面部の内径より小さく設定された前記成層部の最大幅部より徐々に小さくし、前記処理槽の錐状壁面部との間に前記樹脂を通過させる間隔を設定する錐状部と、
を備えることを特徴とする請求項1ないし7の何れかに記載の樹脂乾燥装置。
【請求項9】
処理槽内に設置される単一又は複数のヒータユニットと別部材である成層手段を前記ヒータユニットから吊り下げて前記処理槽に支持させる工程と、
前記処理槽に樹脂を装填し、前記処理槽に設置されている前記成層手段によって前記処理槽内の樹脂を成層状態に維持する工程と、
前記処理槽を減圧し、前記ヒータユニットの発熱によって前記樹脂を乾燥させる工程と、
前記成層手段で成層状態に維持された状態で、乾燥した樹脂を前記処理槽の底面部の排出口から排出させる工程と、
を含むことを特徴とする樹脂乾燥方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−101493(P2012−101493A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253245(P2010−253245)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000170130)パーパス株式会社 (87)
【Fターム(参考)】