説明

樹脂塗布装置

【課題】低い設備コストで作業効率に優れた電子部品接着用の樹脂塗布装置を提供することを目的とする。
【解決手段】基板保持テーブル5aに保持された基板7の反り変形量を測定する反り測定手段において、接触式の変位センサ42を基板搬送動作のために設定された基板搬送時高さ位置と基板7を対象とする測定動作の実行前に待機するために設定された待機高さ位置との間でシリンダ43によって昇降させ、待機高さ位置からプローブ42aが基板に接触して変位を測定する測定高さ位置まで下降させる下降動作を、ヘッド移動機構によって板カム部材41をセンサ押し下げ部47に対して進退させて押し下げることにより行う。これにより変位センサ42の昇降のための機構を簡略化するとともに、昇降のための動作時間を短縮することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に電子部品接着用の樹脂を塗布する樹脂塗布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体チップなどの部品はウェハシートが装着されたウェハテーブルなどの部品供給部から取り出され、リードフレームや樹脂基板などの基板に樹脂接着剤を介して実装される。このような部品実装作業を行う部品実装装置は、基板に樹脂接着剤を塗布する樹脂塗布装置と組み合わされて使用され、部品の搭載に先だって基板の部品実装位置には電子部品接着用の樹脂接着剤が樹脂塗布装置に装着されたディスペンサによって塗布される。
【0003】
このような樹脂接着剤による部品実装においては、規定量の樹脂接着剤を規定の塗布形状で正しく塗布することが求められる。そしてディスペンサによる樹脂塗布においては、基板の表面に対してディスペンサの塗布ノズルを適正な高さまで下降させることが重要であるため、塗布対象となる基板の表面の高さを測定して基板の反り変形状態を検出することが行われる(特許文献1参照)。この特許文献例に示す先行技術においては、非接触式の光学検出手段を樹脂接着剤の塗布ヘッドに近接して設けるようにしている。
【特許文献1】特開平3−91998号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上述の先行技術においては、非接触式の光学検出手段を用いることに起因して、設備費用が増大するという難点があった。すなわち非接触式の光学検出手段としては、レーザ変位計など高価格の変位計測器を用いる必要があるため、低コストの設備を実現することが困難であった。またこのような設備費用の増大を避けるため、接触式の変位計を用いる場合には、基板の表面を対象とした高さ測定動作の都度変位計を昇降させる必要があり、高さ測定に時間を要して作業タクトタイムの遅延を招く結果となっていた。
【0005】
そこで本発明は、低い設備コストで作業効率に優れた電子部品接着用の樹脂塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子部品接着用の樹脂塗布装置は、基板保持部に保持された基板に電子部品接着用の樹脂を塗布する樹脂塗布装置であって、前記樹脂を吐出する塗布ユニットが装着された塗布ヘッドと、この塗布ヘッドを昇降させる昇降機構と、前記塗布ヘッドを前記基板に対して水平移動させるヘッド移動機構と、前記基板保持部に保持された基板の反り変形量を測定する反り測定手段とを備え、前記反り測定手段は、測定対象に測定子を接触させることによりこの測定子が押し込まれて変位する変位量を測定する接触式の変位センサと、前記基板保持部を対象とした基板搬送動作のために設定された基板搬送時高さ位置と前記基板を対象とする測定動作の実行前に待機するために設定された待機高さ位置との間で前記変位センサを昇降させるセンサ昇降機構と、前記センサ昇降機構によって昇降し前記変位センサを上向きに付勢する付勢手段と、前記ヘッド移動機構による水平方向の移動動作によって駆動され、前記待機高さ位置から前記測定子が前記基板に接触して前記変位を測定する測定高さ位置まで、前記変位センサを前記付勢手段の上向きの付勢力に抗して押し下げるセンサ押し下げ機構とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、基板保持部に保持された基板の反り変形量を測定する反り測定手段に
おいて、接触式の変位センサを基板搬送動作のために設定された基板搬送時高さ位置と基板を対象とする測定動作の実行前に待機するために設定された待機高さ位置との間でセンサ昇降機構によって昇降させ、待機高さ位置から測定子が基板に接触して変位を測定する測定高さ位置までの下降動作を、ヘッド移動機構による水平方向の移動動作によって駆動されるセンサ押し下げ機構によって行う構成とすることにより、変位センサの昇降のための機構を簡略化するとともに昇降のための動作時間を短縮して、低い設備コストで作業効率に優れた電子部品接着用の樹脂塗布装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態の部品実装装置の全体斜視図、図2は本発明の一実施の形態の部品実装装置の正面図、図3は本発明の一実施の形態の部品実装装置に装着された樹脂塗布用の塗布ヘッドの構成説明図、図4は本発明の一実施の形態の部品実装装置の塗布ヘッドに用いられる反り測定ユニットの構成説明図、図5は本発明の一実施の形態の部品実装装置に用いられるセンサ押し下げ機構の構成説明図、図6は本発明の一実施の形態の部品実装装置における基板の反り測定方法の動作説明図である。
【0009】
まず図1、図2を参照して、部品実装装置1の全体構成を説明する。部品実装装置1は基板に半導体チップなどの部品をボンディングによって実装する機能を有するものである。図1において基台2上には、部品供給ステージ3(部品供給部)、ユニット集合ステージ4および基板保持ステージ5(基板保持部)がY方向に配列されている。部品供給ステージ3に備えられたウェハ保持テーブル3aには、実装対象となる部品である複数の半導体チップ6aが配列された半導体ウェハ6が保持されている。基板保持ステージ5は、基板7を保持する基板保持テーブル5aをXYテーブル機構34(図2参照)によって水平駆動する構成となっており、基板7には半導体チップ6aが実装される。
【0010】
ユニット集合ステージ4は、直動機構(図2に示すX軸移動機構30)によってX方向に往復動する移動テーブル4aに、後述するツールストッカ15、中継ステージ16、部品回収箱17、部品認識カメラ18などの機能ユニットを集合的に配設した構成となっている。ツールストッカ15には、搭載ユニット19に装着される部品保持ツール19aなど、部品種に応じて交換されて使用される複数の作業ツールが各部品種毎に収納される。部品回収箱17は、部品供給ステージ3から取り出された後に、不良部品や混入した異種部品など基板7への実装が不適と判断された部品を廃棄回収する機能を有している。
【0011】
部品供給ステージ3、ユニット集合ステージ4および基板保持ステージ5の上方には、基台2のX方向の端部に位置して、Y軸フレーム8が支持ポスト8aによって両端部を支持されてY方向に架設されている。Y軸フレーム8の前面には、以下に説明する第1ヘッド11、第2ヘッド12をリニアモータ駆動によりY方向に案内して駆動するY軸ガイド機構9が組み込まれている。第1ヘッド11には半導体チップ6aを保持して基板7に搭載する機能を有する搭載ユニット19が装着されている。第2ヘッド12には、基板7に電子部品接合用の接着剤を塗布する機能を有する塗布ユニット20、塗布ユニット20をX方向に移動させるためのX軸駆動機構22および基板7の反り変形を測定するための反り測定ユニット21が装着されている。
【0012】
部品供給ステージ3、中継ステージ16および基板保持ステージ5の上方には、位置認識のために第1カメラ23、第2カメラ24、第3カメラ25が配設されている。第1カメラ23は部品供給ステージ3において取り出し対象の半導体チップ6aを撮像する。第2カメラ24は部品供給ステージ3から取り出されて中継ステージ16に位置補正のために仮置きされた半導体チップ6aを撮像する。また第3カメラ25は、基板保持ステージ5に保持された基板7を撮像して部品実装点の位置を認識する。またユニット集合ステー
ジ4に配設された部品認識カメラ18は、部品供給ステージ3から取り出された半導体チップ6aを下方から撮像する。
【0013】
図2に示すように、部品供給ステージ3はXYテーブル機構26を備えており、XYテーブル機構26の上面に装着された水平な移動プレート27には、複数の支持部材28が立設されている。支持部材28は、上面に半導体ウェハ6が装着保持されるウェハ保持テーブル3aを支持している。半導体ウェハ6はウェハシート6bに複数の半導体チップ6aを所定配列で貼着した構成となっており、半導体チップ6aはウェハシート6bに能動面を上向きにしたフェイスアップ姿勢で個片に分割された状態で貼着保持されている。
【0014】
部品供給ステージ3には、半導体ウェハ6から半導体チップ6aをピックアップするためのピックアップ作業位置[P1]が設定されている。第1カメラ23の位置はピックアップ作業位置[P1]に対応しており、第1カメラ23によって半導体ウェハ6を撮像した撮像結果を認識処理することにより、ピックアップ対象の半導体チップ6aの位置が検出される。ウェハ保持テーブル3aの内部においてピックアップ作業位置[P1]に対応する位置には、エジェクタ機構29が配設されている。エジェクタ機構29は、ウェハシート6bの下面側から半導体チップ6aをピンで突き上げることにより、半導体チップ6aのウェハシート6bからの剥離を促進する機能を有している。半導体チップ6aの取り出し時にエジェクタ機構29を昇降させてウェハシート6bの下面に当接させることにより、後述するピックアップヘッド14による半導体チップ6aのウェハシート6bからの取り出しを容易に行うことができる。
【0015】
部品取り出し動作においては、XYテーブル機構26を駆動してウェハシート6bをXY方向に水平移動させることにより、ウェハシート6bに貼着された複数の半導体チップ6aのうち、取り出し対象となる所望の半導体チップ6aをピックアップ作業位置[P1]に位置させる。なおここでは、部品供給ステージ3として、ウェハシート6bに貼着されたウェハ状態の部品を供給する方式のウェハテーブルを用いる例を示したが、複数の部品を所定の平面配列で供給する部品トレイを、ウェハテーブルと交換自在に部品供給ステージ3に配置するようにしてもよい。
【0016】
部品供給ステージ3の上方には、半導体チップ6aを吸着して保持するピックアップノズル14aを備えたピックアップヘッド14が配設されている。ピックアップヘッド14はピックアップアーム13aによって保持されており、ピックアップアーム13aは、Y軸フレーム8の下面に縣吊して配置されたピックアップヘッド移動機構13から、部品供給ステージ3の上方に延出して設けられている。ピックアップヘッド移動機構13を駆動することにより、ピックアップアーム13aはXYZ方向に移動するとともに、X方向の軸廻りに回転する。
【0017】
これにより、ピックアップヘッド14は部品供給ステージ3の上方とユニット集合ステージ4の上方との間でY方向に移動するとともに、Z方向に昇降する。これによりピックアップヘッド14は、部品供給ステージ3から半導体チップ6aをピックアップして、ユニット集合ステージ4に設けられた中継ステージ16に移送する動作を行う。また必要時には、ピックアップヘッド14をピックアップ作業位置[P1]の上方からX方向に退避させることが可能となっており、さらにピックアップアーム13aを回転させてピックアップヘッド14を反転させることにより、ピックアップノズル14aに保持した半導体チップ6aの姿勢を表裏反転させることが可能となっている。
【0018】
図2に示すように、ユニット集合ステージ4および基板保持ステージ5は、ベースプレート33の上面に設けられており、ベースプレート33は基台2の上面に立設された複数の支持ポスト32によって下方から支持されている。移動テーブル4aをX方向に移動さ
せるX軸移動機構30は、ベース部31上にモータを駆動源とする送りねじ直動機構30aと直動ガイド機構30bを配設して構成されている。
【0019】
中継ステージ16には、部品供給ステージ3からピックアップヘッド14によって取り出された半導体チップ6aが位置補正のために載置される(矢印a)。中継ステージ16には中継位置[P2]が設定されており、第2カメラ24は中継位置[P2]に対応して配置されている。X軸移動機構30によって中継ステージ16を移動させることにより、中継ステージ16に載置された半導体チップ6aを中継位置[P2]に位置させて第2カメラ24によって撮像することができ、これにより中継ステージ16に載置された半導体チップ6aの位置が検出される。部品認識カメラ18は中継ステージ16に隣接して配置されており、同様にX軸移動機構30を駆動することにより、部品認識位置[P3]に移動する。
【0020】
基板保持ステージ5は、XYテーブル機構34上に基板7を保持する基板保持テーブル5aを設けた構成となっている。基板保持ステージ5には、半導体チップ6aを基板保持テーブル5aに保持された基板7に実装するための実装作業位置[P4]が設定されており、第3カメラ25は実装作業位置[P4]に対応して配置されている。第3カメラ25によって基板7を撮像することにより、基板7に設定された部品実装点7aの位置が検出される。そしてXYテーブル機構34を駆動することにより、基板保持テーブル5aは基板7とともにXY方向に水平移動し、基板7に設定された任意の部品実装点7aを実装作業位置[P4]に位置させることができる。
【0021】
次に、第1ヘッド11、第2ヘッド12について説明する。図2においてY軸フレーム8に設けられたY軸ガイド機構9の前面には、第1ヘッド11および第2ヘッド12をY方向にガイドするための2条のガイドレール9aが設けられており、これらのガイドレール9aの間には以下に説明する第1ヘッド11および第2ヘッド12をY方向に駆動するためのリニアモータを構成する固定子9bが配設されている。ガイドレール9aには図示しないスライダがY方向にスライド自在に嵌合しており、このスライダは垂直な移動プレート11a,12aの背面に固着されている。
【0022】
移動プレート11a,12aの背面には、固定子9bに対向してリニアモータを構成するする可動子(図示省略)が配設されている。これらのリニアモータを駆動することにより、第1ヘッド11および第2ヘッド12はガイドレール9aによってガイドされて、それぞれY方向に移動する(矢印b)。移動プレート11a,12aの前面には、それぞれ昇降機構11b,12bが配設されており、昇降機構11b,12bの前面には昇降プレート11c,12cが、スライドガイド機構(図示省略)により垂直方向にスライド自在に配設されている。昇降機構11b,12bを駆動することにより、昇降プレート11c,12cはそれぞれ昇降する(矢印c)。昇降プレート11cには、下部に部品保持ツール19aを備えた搭載ユニット19が着脱自在に装着されている。昇降プレート12cにはX軸駆動機構22が装着されており、X軸駆動機構22は反り測定ユニット21を固定位置に保持するとともに、2基の塗布ユニット20をX方向に移動させる。
【0023】
搭載ユニット19は部品保持ツール19aによって実装対象の部品である半導体チップ6aを保持する機能を有しており、第1ヘッド11をY方向に水平移動させて昇降プレート11cが昇降することにより、搭載ユニット19は部品供給ステージ3から供給された半導体チップ6aを、基板保持ステージ5に保持された基板7に搭載する(矢印d)。ここでは、搭載ユニット19が装着された第1ヘッド11による実装形態として、ピックアップヘッド14によって部品供給ステージ3から取り出され中継ステージ16上に載置された半導体チップ6aを搭載ユニット19によって保持して基板7に搭載するプリセンタ実装形態と、部品供給ステージ3の半導体チップ6aを直接搭載ユニット19によって保
持して基板7に搭載するダイレクト実装形態と、ピックアップヘッド14によって部品供給ステージ3から取り出され表裏反転状態でピックアップヘッド14に保持された半導体チップ6aを搭載ユニット19によって保持して基板7に搭載するフェイスダウン実装形態とを選択的に実行できるようになっている。すなわち搭載ユニット19が装着された第1ヘッド11は、部品供給ステージ3によって供給された半導体チップ6aを吸着保持して、基板保持ステージ5に保持された基板7に実装する実装ヘッドとなっている。
【0024】
次に図3を参照して、第2ヘッド12の構成を説明する。図3において昇降プレート12cには、X軸駆動機構22が結合されている。X軸駆動機構22を駆動することにより、X軸駆動機構22の側面に設けられた移動プレート22aはX方向(矢印f方向)に往復移動する。移動プレート22aには結合部材40aを介して2つの塗布ユニット20を備えた塗布ヘッド40が装着されている。Y軸ガイド機構9およびX軸駆動機構22を駆動することにより塗布ヘッド40は基板保持テーブル5aに保持された基板7に対してXY方向に水平移動し、昇降機構12bを駆動することによりこれらの塗布ユニット20は昇降する。したがって、Y軸ガイド機構9、X軸駆動機構22は、塗布ヘッド40を基板7に対して水平移動するヘッド移動機構となっており、昇降機構12bは塗布ヘッド40を昇降させる昇降機構となっている。
【0025】
塗布ヘッド40を構成する塗布ユニット20は、部品接着用の樹脂接着剤であるペーストを収納したシリンジ20aおよびペーストを吐出する塗布ノズル20bを備えている。塗布ヘッド40を基板保持ステージ5に保持された基板7の上方に移動させて、塗布ユニット20による塗布動作を行わせることにより(矢印e)、塗布ノズル20bから吐出したペーストを基板7の部品実装点7aに塗布する。このとき、Y軸ガイド機構9、X軸駆動機構22を駆動することにより、塗布ノズル20bを基板7に対して任意の描画パターンで水平移動させ、電子部品接着用の樹脂を描画塗布することができる。すなわち、部品実装装置1において第2ヘッド12に塗布ヘッド40が装着された構成は、基板保持ステージ5に保持された基板7に電子部品接着用の樹脂を塗布する樹脂塗布装置に相当する。
【0026】
X軸駆動機構22の側面には、反り測定ユニット21が配設されている。反り測定ユニット21は、基板保持ステージ5に保持された基板7の反り変形量を測定する機能を有しており、接触式の変位センサ42を内蔵している。変位センサ42は、測定対象に測定子であるプローブ42aを接触させることによりプローブ42aが押し込まれて変位する変位量を測定する機能を有している。すなわち測定対象の基板7に対して変位センサ42を規定高さまで下降させて基板7の上面にプローブ42aを接触させ、このときのプローブ42aが押し込まれる変位量を測定することにより基板7の上面の高さ位置を測定し、この測定結果から当該基板7の反り変形を求めるようにしている。
【0027】
本実施の形態においては、X軸駆動機構22によるX方向の水平移動を駆動源として、測定動作時において変位センサ42を規定高さまで下降させる機構を採用している。図3のA−A矢視に示すように、移動プレート22aには板カム部材41が結合されており、X軸駆動機構22を駆動して板カム部材41がX方向(矢印g方向)に移動することにより、反り測定ユニット21に内蔵された変位センサ42を押し下げるようにしている。
【0028】
以下、図4を参照して反り測定ユニット21の構造を説明する。反り測定ユニット21はX軸駆動機構22のフレーム部に固定的に配設されており、図4において駆動方向を下向きにした垂直で配設されたシリンダ43のロッド43aには、昇降部材44が結合されている。昇降部材44は垂直に配置されたガイドレール46およびスライダ45より成るガイド機構によって上下方向にガイドされており、昇降部材44の一方側の端部44aにはセンサ押し下げ部47が固着されている。センサ押し下げ部47には変位センサ42がプローブ42aを下向きにした姿勢で保持されており、シリンダ43を駆動してロッド4
3aを突出させることにより、昇降部材44はセンサ押し下げ部47とともに実線位置から鎖線位置まで下降する。図4に示す実線位置は、基板保持ステージ5を対象とした基板搬送動作のために設定された基板搬送時高さ位置に相当し、鎖線位置は、変位センサ42が基板7を対象とする測定動作の実行前に待機するために設定された待機高さ位置に相当する。そしてシリンダ43、スライダ45、ガイドレール46は、基板搬送時高さ位置と待機高さ位置との間で変位センサ42を昇降させるセンサ昇降機構を構成する。
【0029】
センサ押し下げ部47が下降した状態における停止位置の側方には、図3に示す板カム部材41が位置する。板カム部材41には、センサ押し下げ部47に近接した側の先端部41aに、下向き斜め方向のテーパカム面41bが設けられている。X軸駆動機構22を駆動することにより、板カム部材41は鎖線位置まで下降したセンサ押し下げ部47に対して側方から進退する(矢印h)。
【0030】
次に図5を参照してセンサ押し下げ部47の構成および機能を説明する。図5(a)において、ベース部47aには上下方向にガイドレール48が配設されており、ガイドレール48に上下方向にスライド自在に嵌合したスライダ49には、変位センサ42が保持されたセンサホルダ50が結合されている。変位センサ42はセンサホルダ50を介して引張りバネ部材51によって上方に付勢されており(矢印i)、通常時にはこの付勢力によって変位センサ42はセンサホルダ50とともに上昇した位置にある。センサ押し下げ部47に設けられた引張りバネ部材51は、前述構成のセンサ昇降機構によって昇降し変位センサ42を上向きに付勢する付勢手段となっている。
【0031】
センサホルダ50の端部50aには、カムフォロア52が配設されている。図5(b)に示すように、昇降部材44を図4に示す鎖線位置まで下降させて、変位センサ42は前述の待機高さ位置に下降させると、センサ押し下げ部47は板カム部材41の側方に位置する。そしてこの状態でX軸駆動機構22を駆動して板カム部材41を進出させることにより(矢印j)、板カム部材41のテーパカム面41bがカムフォロア52に当接し、センサホルダ50は変位センサ42とともに引張りバネ部材51の付勢力に抗して下方に押し下げられる(矢印k)。
【0032】
これにより変位センサ42が下降して、プローブ42aが基板保持テーブル5aに保持された基板7の部品実装点7aに当接し、上面7bの高さ状態に応じた変位量だけ押し込まれる。これにより変位センサ42はその変位量に応じた測定信号を測定部53に対して出力し、測定部53がこの測定信号に基づいて所定の演算を行うことにより、測定対象の基板7の上面7bの高さ位置Zを求めることができる。そしてこの高さ位置Zを本来の基板7の上面7bの高さ位置と比較することにより、基板7の反り変形量が測定される。すなわち変位センサ42が押し下げられた位置は、プローブ42aが基板7に接触して変位を測定する測定高さ位置に相当する。そして板カム部材41が反対方向に退避することにより、変位センサ42は引張りバネ部材51の付勢力によってセンサホルダ50とともに上昇し、測定高さ位置から待機高さ位置に復帰する。
【0033】
したがって板カム部材41、センサ押し下げ部47は、ヘッド移動機構を構成するX軸駆動機構22による水平方向の移動動作によって駆動され、待機高さ位置からプローブ42aが基板7に接触して変位を測定する測定高さ位置まで、変位センサ42を引張りバネ部材51の上向きの付勢力に抗して押し下げるセンサ押し下げ機構となっている。そして変位センサ42,前述構成のセンサ昇降機構、センサ押し下げ機構、付勢手段は、基板保持ステージ5に保持された基板7の反り変形量を測定する反り測定手段を構成する。このように、X軸駆動機構22による水平方向の移動動作によって変位センサ42を押し下げる構成を採用することにより、別途駆動機構を設ける場合と比較して、設備コストを低減させることが可能となっている。
【0034】
次に図6を参照して、反り測定ユニット21によって、基板保持テーブル5aに保持された基板7の反り変形量を測定する反り測定方法について説明する。図6(a)は、シリンダ43のロッド43aが没入して、変位センサ42が基板搬送動作のために設定された基板搬送時高さ位置にある状態を示している。この状態では、変位センサ42と基板保持テーブル5aとの間には十分なクリアランスが確保され、基板保持テーブル5a上への基板7の搬入・搬出動作が妨げられることなく実行できるようになっている。
【0035】
図6(b)は、シリンダ43のロッド43aを突出させてセンサ押し下げ部47を下降させ(矢印l)、基板7を対象とする測定動作の実行前に待機するために設定された待機高さ位置に、変位センサ42を位置させた状態を示している。これにより、プローブ42aは基板保持テーブル5aに保持された基板7の上方の直近に位置する。
【0036】
次いで図6(c)は、測定状態を示している。すなわち、X軸駆動機構22を駆動して板カム部材41をセンサ押し下げ部47に対して進出させる(矢印m)。これによりカムフォロア52が所定の押し下げ量だけ押し下げられて、変位センサ42が測定高さ位置まで下降する(矢印n)。これによりプローブ42aが基板7に当接し、基板7の反り変形量が測定される。このとき、プローブ42aは予め基板7の上方の直近位置に位置しているため、測定時の昇降ストロークは短くて済み、短い動作時間で速やかに作業効率よく測定を実行することができる。
【0037】
上記説明したように、本発明は、基板保持ステージ5に保持された基板7の反り変形量を測定する反り測定手段において、接触式の変位センサ42を基板搬送動作のために設定された基板搬送時高さ位置と、基板7を対象とする測定動作の実行前に待機するために設定された待機高さ位置との間でセンサ昇降機構によって昇降させ、待機高さ位置からプローブ42aが基板7に接触して変位を測定する測定高さ位置までの下降動作を、X軸移動機構22による水平方向の移動動作によって駆動されるセンサ押し下げ機構によって行うように構成している。
【0038】
これにより、変位センサ42の昇降のための機構を簡略化するとともに、昇降のための動作時間を短縮して、低い設備コストで作業効率に優れた電子部品接着用の樹脂塗布装置を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の電子部品接着用の樹脂塗布装置は、低い設備コストで作業効率に優れるという効果を有し、リードフレームや樹脂基板などに部品を接着するための樹脂塗布を行う分野に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施の形態の部品実装装置の全体斜視図
【図2】本発明の一実施の形態の部品実装装置の正面図
【図3】本発明の一実施の形態の部品実装装置に装着された樹脂塗布用の塗布ヘッドの構成説明図
【図4】本発明の一実施の形態の部品実装装置の塗布ヘッドに用いられる反り測定ユニットの構成説明図
【図5】本発明の一実施の形態の部品実装装置に用いられるセンサ押し下げ機構の構成説明図
【図6】本発明の一実施の形態の部品実装装置における基板の反り測定方法の動作説明図
【符号の説明】
【0041】
1 部品実装装置
3 部品供給ステージ
4 ユニット集合ステージ
5 基板保持ステージ
6 半導体ウェハ
6a 半導体チップ
7 基板
9 Y軸ガイド機構
11 第1ヘッド
12 第2ヘッド
19 搭載ユニット
20 塗布ユニット
21 反り測定ユニット
22 X軸駆動機構
41 板カム部材
42 変位センサ
42a プローブ
47 センサ押し下げ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板保持部に保持された基板に電子部品接着用の樹脂を塗布する樹脂塗布装置であって、
前記樹脂を吐出する塗布ユニットが装着された塗布ヘッドと、この塗布ヘッドを昇降させる昇降機構と、前記塗布ヘッドを前記基板に対して水平移動させるヘッド移動機構と、前記基板保持部に保持された基板の反り変形量を測定する反り測定手段とを備え、
前記反り測定手段は、測定対象に測定子を接触させることによりこの測定子が押し込まれて変位する変位量を測定する接触式の変位センサと、前記基板保持部を対象とした基板搬送動作のために設定された基板搬送時高さ位置と前記基板を対象とする測定動作の実行前に待機するために設定された待機高さ位置との間で前記変位センサを昇降させるセンサ昇降機構と、前記センサ昇降機構によって昇降し前記変位センサを上向きに付勢する付勢手段と、
前記ヘッド移動機構による水平方向の移動動作によって駆動され、前記待機高さ位置から前記測定子が前記基板に接触して前記変位を測定する測定高さ位置まで、前記変位センサを前記付勢手段の上向きの付勢力に抗して押し下げるセンサ押し下げ機構とを有することを特徴とする樹脂塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−167322(P2010−167322A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9493(P2009−9493)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】