説明

樹脂容器、それを用いた包装容器および包装製品

【課題】充填されるアルカリ剤を含有する内容物を長期間安定に保管できる包装製品を提供する。
【解決手段】硬性を有する樹脂容器11と、その内部に充填されるアルカリ剤を含有した内容物12とを有している包装製品10。樹脂容器11は、筒状の胴部11aと、その下端を閉じる底部11bと、胴部11aの上端に設けられた肩部11cと、その肩部11cの上端に設けられた首部11dとからなり、内面に蒸着膜15が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は樹脂容器と、それを用いた包装容器および包装製品に関する。詳しくは、蒸着膜で被覆した樹脂容器と、それを用いた包装容器および包装製品に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂容器は、生産性が高いため様々な製品に用いられている。しかし、充填される内容物によっては、その一部成分が樹脂容器を透過してしまい、時間と共に製品の品質が低下することがある。例えば特許文献3のように複数の反応性の高い内容物を隔壁によって区画する樹脂容器(外容器に収容される可撓性の内袋)において、各内容物から経時的に発生するアンモニアや酸素等のガスが透過することが知られている。このような透過してきたガス成分と内容物とが反応し、製品として効果を発揮できなくなることもある。
【0003】
一方、特許文献1には、香臭気性有機物のフレーバーバリア性、および、揮発性有機溶媒のガスバリア性を向上させたプラスチック容器が開示されている。このプラスチック容器は、内面にダイヤモンドライクカーボン膜(以下、DLC膜)を設けている。
特許文献2には、発泡アルコール飲料に適したガスバリア性を備えたポリエステル樹脂製容器が開示されている。このポリエステル樹脂製容器は、アモルファス炭素を含む皮膜を内面に設け、遮光フィルムを外面に設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−240034号公報
【特許文献2】特許第4030297号
【特許文献3】特許第4324455号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、依然としてアルカリ性溶液を安定に保管することができる樹脂容器が望まれている。そして、特許文献2、3にもアルカリ剤の透過を防止することについての記載はない。
本発明は、充填されるアルカリ剤を含有する内容物を長期間安定に保管できる包装製品を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の包装製品は、内面および/または外面に蒸着膜が設けられた収納部を有する樹脂容器と、その収納部に充填されるアルカリ剤を含有する内容物とを有することを特徴としている。
このような包装製品は、前記蒸着膜の上面に、さらに樹脂膜を設けることが好ましい。
このような包装製品の樹脂容器としては、外容器に収容され、かつ、外容器内の圧力によって収縮可能な可撓性の収納部を有することが好ましい。また、樹脂容器として、可壊性を有する樹脂容器、硬性を有する樹脂容器であってもよい。可壊性を有する樹脂容器とは、手で握ることで樹脂容器を潰すことができ、内容物を取り出すことができる容器を言う。硬性を有する樹脂容器とは、樹脂容器を潰さず内容物を取り出すものであって、内容物を取り出した後も容易に潰すことができず、変形させると割れてしまうほど硬性を有する容器を言う。
【0007】
このような包装製品は、アルカリ剤がアミノ基を含有するものが好ましい。特に、その
内容物がヘアカラーまたはパーマ剤であるものが好ましい。
このような包装製品は、内容物の圧力が、35℃において0.1〜1.0MPaであるものが好ましく、内容物が、35℃における圧力が0.2MPa未満である低圧液化ガスを含有しているのが好ましい。
【0008】
本発明の樹脂容器は、外容器に収納され、内面および/または外面に蒸着膜が設けられ、内容物を充填する収納部を有し、その収納部が外容器内の圧力によって収縮可能な可撓性を備えていることを特徴としている。
本発明の樹脂容器の第2の態様は、内面および/または外面に蒸着膜が設けられ、内容物を充填する可壊性を有する収納部を備えていることを特徴としている。ここで可壊性を有する収納部とは、手で握ることで樹脂容器を潰すことができ、内容物を取り出すことができる容器を言う。
【0009】
本発明の樹脂容器において、剛性の口部を有しているものが好ましい。また、収納部を複数個有しているものが好ましい。
本発明の包装容器は、収納部が可撓性を有する本発明の樹脂容器と、樹脂容器を内部に収容する外容器と、樹脂容器と外容器の開口部を密封するバルブを備えていることを特徴としている。
また、剛性の口部を有し、口部内面が円筒状である本発明の樹脂容器と、その口部に挿入されて樹脂容器の開口部を閉じ、弁を有する蓋部材と、前記樹脂容器の口部内面と蓋部材の外面との間に設けられるシール材とをさらに備えたものが好ましい。
前記キャップが樹脂容器の開口部の外面に螺着することで樹脂容器内を気密状態にするものが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の包装製品は、内面および/または外面に蒸着膜が設けられた収納部を有する樹脂容器と、その樹脂容器に充填されるアルカリ剤を含有する内容物とを有しているため、アルカリ剤の透過、特にアルカリ剤の浸透や揮発成分の透過を防止し、内容物を安定的に保管し、かつ、使用者の手等に樹脂容器の外面からアルカリ剤の成分が付着することを防止する。
前記蒸着膜の上面にさらに樹脂膜を設ける場合は、アルカリ剤の浸透や透過防止効果が高くなるだけでなく、蒸着膜の剥離を防止できる。
【0011】
前記樹脂容器が外容器内に収容され、外容器内の圧力によって収縮可能な可撓性の収納部を有する場合、樹脂容器の収納部に充填された内容物は、加圧剤によって収納部内に押さえ込まれるため、一層その浸透や透過を防止することができる。それにより、外容器の侵食、腐食等を防止することができる。さらに、蒸着膜は内部に内容物を収容した状態で常に外部から加圧剤の圧力を受けているため、使用により内容物が減少して樹脂容器が変形しても蒸着膜が樹脂容器本体から剥離するのを防止できる。
前記樹脂容器が可壊性を有する場合は、手で握ることで樹脂容器を圧縮変形させることができ、内容物を容易に取り出すことができる。さらに、内容物を取り出した後は樹脂容器内の容積を小さくしてリサイクルしやすい。
前記樹脂容器が硬性を有する場合は、内部に加圧剤(噴射剤)を充填したエアゾール容器の外容器として使用することができ、その場合、アルカリ剤だけでなく加圧剤の透過も防止できる。また、加圧剤の圧力により蒸着膜の剥離を防止できる。
【0012】
前記アルカリ剤がアミノ基を含有する場合は透過防止効果が高い。
前記内容物がヘアカラーまたはパーマ剤である場合は、染毛効果または縮毛効果を長期間維持することができる。
前記内容物の圧力が35℃において0.1〜1.0MPaである場合は蒸着膜の剥離を
防止することができる。
前記内容物が、35℃における圧力が0.2MPa未満である低圧液化ガスを含有する場合は、樹脂容器内の圧力が大気圧と同等になったときに製品を冷蔵庫や冷凍庫などで冷却すると、樹脂容器内に残存する液化ガスの気化ガスが液化して樹脂容器内の圧力が大気圧よりも低くなり、可壊性を有する樹脂容器を自動的に収縮させやすい。
【0013】
本発明の樹脂容器は、外容器に収容され、内面および/または外面に蒸着膜が設けられ、内容物を充填する収納部を有し、その収納部が外容器内の圧力によって収縮可能な可撓性を備えているため、内容物の透過、特に揮発成分や、液化ガスの気化ガス、圧縮ガスの透過を防止し、内容物を安定に保管することができる。また収納部に充填された内容物は、加圧剤によって収納部内に押さえ込まれるため、一層その浸透や透過を防止することができる。さらに、蒸着膜は内部に内容物を収容した状態で常に外部から加圧剤の圧力を受けているため、使用により内容物が減少して樹脂容器が変形しても蒸着膜が樹脂容器本体から剥離するのを防止できる。
本発明の樹脂容器の第2の態様は、内面および/または外面に蒸着膜が設けられ、内容物を充填する可壊性を有する収納部を備えているため、内容物の透過、特に揮発成分を防止し、内容物を安定に保管することができる。手で握ることで樹脂容器を圧縮変形させることができ、内容物を容易に取り出すことができる。さらに、内容物を取り出した後は樹脂容器内の容積を小さくしてリサイクルしやすい
本発明の樹脂容器であって、剛性の口部を有する場合、吐出口の強度を確保することにより、内容物の取り出しが容易になる。
また、収納部を複数個有する場合、複数の内容物を同時に保管することができる。
【0014】
本発明の包装容器は、可撓性の収納部を有する本発明の樹脂容器と、樹脂容器を内部に収容する外容器と、樹脂容器と外容器の開口部を密封するバルブを備えているため、内容物は蒸着膜を有する樹脂容器内に収納され、さらに樹脂容器の外部から加圧されるため、内容物中の成分、特に揮発成分や、液化ガスの気化ガス、圧縮ガスの透過はさらに透過しにくくなり、安定に保管することができる。
また、本発明の包装容器は、口部内面が円筒状であり剛性の口部を有する本発明の樹脂容器と、その口部に挿入されて樹脂容器の開口部を閉じ、弁を有する蓋部材と、前記樹脂容器の口部内面と蓋部材の外面との間に設けられるシール材とを備えている場合は、樹脂容器と蓋部材との間を気密にすることができる。特に、樹脂容器内の圧力を大気圧より大きくしてもその気密性が保たれる。
前記キャップが樹脂容器の開口部の外面に螺着することで樹脂容器内を気密状態にする場合、内容物を気密に安定に保管することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の包装製品の一実施形態を示す側面断面図である。
【図2】本発明の包装製品の他の実施形態を示す側面断面図である。
【図3】本発明の包装製品のさらに他の実施形態を示す側面断面図である。
【図4】本発明の包装製品のさらに他の実施形態を示す側面断面図である。
【図5】図5a、b、cは、それぞれ本発明の包装製品のさらに他の実施形態を示す側面断面図である。
【図6】本発明の包装製品のさらに他の実施形態を示す側面断面図である。
【図7】図7aは、本発明の包装製品のさらに他の実施形態を示す側面断面図であり、図7bはその内容器を示す斜視図である。
【図8】本発明の包装製品のさらに他の実施形態を示す側面断面図である。
【図9】図9aは、本発明の包装製品のさらに他の実施形態を示す側面断面図であり、図9bはそのエアゾールバルブを示す側面断面図である。
【図10】本発明の包装製品のさらに他の実施形態を示す側面断面図である。
【図11】本発明の包装製品のさらに他の実施形態を示す側面断面図である。
【図12】本発明の包装製品のさらに他の実施形態を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1の包装製品10は、可壊性を有する樹脂容器11と、その内部に充填されるアルカリ剤を含有した内容物12とを有している。
樹脂容器11は、筒状の胴部11aと、その下端を閉じる底部11bと、胴部11aの上端に設けられた肩部11cと、その肩部11cの上端に設けられた口部11dとからなり、内面には蒸着膜15が形成されている。また、口部11dの外周には、雄ねじが形成されており、「コ」字状のキャップ13が開閉自在に取り付けられている。また、胴部11aに内側に突出したリブ、あるいは、内側に突出した溝、凹部等を設け、内面から外側に向かう力(内容物等による力)に対する強度が大きくなるようにしてもよい。この場合、可壊性を保つべく、外面から内側に向かう力(外力)に対しては、強度が大きくならないようにする。
【0017】
その樹脂容器11の材質としては、ポリエチレンテレフタレート(以下、PET)、ポリエチレン(以下、PE)、ポリプロピレン(以下、PP)、ポリアミド(以下、PA)等が用いられる。特に、ブロー成型しやすく、耐熱性に優れている点からPETが、また耐アルカリ性の点からPAが好ましい。また、樹脂容器11の最も薄い部位(この実施形態では胴部11a)の厚さは、0.1〜1mm、特に好ましくは0.2〜0.8mmにしている。1mmより大きいと可壊性が得られにくく手で握っても変形しにくくなり、0.1mmより小さいとアルカリ剤の透過量が大きくなる。
蒸着膜15としては、たとえば、減圧下で炭素、酸化アルミ、シリカなどをガス状にして表面(内面)を被覆して膜を形成したものであり、アルカリ剤の透過防止効果が高く、内容物を安定的に保管できる点から炭素皮膜(DLC膜)が好ましい。DLC膜は、主として炭化水素あるいは炭素の同素体からなるアモルファスの硬質膜である。DLC膜の厚さは10〜100nm、特に好ましくは20〜80nmにしている。DLC膜の厚さが100nmより大きいと剥離しやすくなり、10nmより小さいとアルカリ剤の透過量が大きくなる。
【0018】
このような樹脂容器11は、ブロー成形等の合成樹脂の一体成形によって容器本体が成形され、その後、その内面に蒸着膜15を形成することによって製造される。蒸着膜15は、物理蒸着(PVD)法または化学蒸着(CVD)法などの蒸着法によって形成される。また、蒸着膜15の上面にさらに保護膜を設けてもよい。保護膜としては、ポリアミドイミド、エポキシフェノール、ポリフッ化ビニリデンなどの合成樹脂コートなどが挙げられ、アルカリ剤の透過防止効果を高くするだけでなく、蒸着膜の剥離を防止できる。
【0019】
前記内容物12はアルカリ剤を含有するものであり、たとえば、2液式染毛剤の第1剤(カラーベース)、2液式パーマ剤の第1剤などがあげられる。
前記アルカリ剤は原液のpHをアルカリ性にして有効成分を安定化させるなどの目的で用いられ、たとえば、アンモニア、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールなどのアミノ基有するもの、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カリウムなどがあげられる。
前記アルカリ剤の配合量は、原液中0.01〜30重量%、さらには0.1〜20重量%が好ましい。アルカリ剤の配合量が0.01重量%よりも少ない場合は安定化効果が得られにくい傾向があり、30重量%よりも多い場合は透過しやすく、蒸着膜が剥離しやすくなる傾向がある。
【0020】
前記有効成分としては、2液式染毛剤の場合は、たとえば、パラフェニレンジアミン、
硫酸パラフェニレンジアミン、パラトルイレンジアミン、N、N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−パラフェニレンジアミン、N−フェニル−パラフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルアミン、2−クロロパラフェニレンジアミン、N、N−ジメチルパラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、メタアミノフェノール、オルトアミノフェノールなどの酸化染料があげられる。また、2液式パーマ剤の場合は、たとえば、チオグリコール酸、チオグリコール酸アンモニウム、チオグリコール酸モノエタノールアミンなどのチオグリコール酸またはその塩、塩酸L−システイン、DLシステインなどのシステインまたはその塩などの還元剤があげられる。
前記原液は、前記有効成分とアルカリ剤、さらには安定化剤、他の有効成分、界面活性剤、アルコール類、油成分などを適宜選択して水などの溶媒に配合することで調製できる。前記原液のpHは8〜13、好ましくは9〜12に調整される。
【0021】
このような樹脂容器11は、その内面に蒸着膜15を備えているため、内容物12中のアルカリ剤の透過を防止する。そのため、内容物中の有効成分の分解が防止され、長期間安定に保管することができる。
【0022】
図2の包装製品16は、可壊性を有する樹脂容器17と、その樹脂容器17に充填される内容物18とを有し、樹脂容器17(胴部11a、底部11b、肩部11c)の外面に蒸着膜15が設けられている。しかし、口部11dの外周に蒸着膜を設けてもよい。他の構成は、図1の樹脂容器11と実質的に同じである。このように蒸着膜を外側に設けることにより、内容物中のアルカリ剤の透過を防止するだけでなく、内容物の他の成分による蒸着膜15の劣化を防止することができる。また、蒸着膜の外周に、蒸着膜を保護するための保護膜をさらに設けてもよい。このような保護膜としては、ポリアミドイミド、エポキシフェノール、ポリフッ化ビニリデンなどの合成樹脂コートなどがあげられる。
【0023】
図3の包装製品20は、樹脂容器21が蒸着膜15を内面に備えた図1の樹脂容器11(またはDLC膜を外面に備えた図2の樹脂容器17)の開口部(口部上端)に吐出部材22を設けたものである。吐出部材22は、口部11d外周の雄ねじ部に取り付けられる円筒状の固定部材23と、その固定部材と樹脂容器の開口部に挟持され、樹脂容器の開口部を閉じる吐出部本体24とからなる。吐出部本体24は、リング状の連結部24a、その連結部24aの中心を閉じるように設けられる多孔質体24bとからなる。また、キャップ13は、固定部材23と係合するように取り付けられる。
このように構成されているため、容器を手で強く握ることで容器が収縮するように変形し、内容物12が吐出部材の多孔質体24bを通過して外部に吐出され、内容物12を発泡させながら吐出させることができる。
【0024】
図4の包装製品25は、蒸着膜15を内面に備え、耐圧性および硬性を有する樹脂容器26(または蒸着膜を外面に備えた樹脂容器)の開口部(口部上端)にエアゾールバルブ27を設けたものである。樹脂容器26は、たとえばPET、PAなどを二軸延伸ブロー成型より成型することができる。この包装製品25には、内容物としてアルカリ剤を含有する原液と、液化石油ガス、ジメチルエーテル、ハイドロフルオロオレフィンおよびこれらの混合物である液化ガス、または、窒素、炭酸ガス、圧縮空気、亜酸化窒素ガスおよびこれらの混合物である圧縮ガス、または、これらの混合物が噴射剤(加圧剤)とが充填される。アルカリ剤を含有する原液は、図1の内容物12と実質的に同じものである。噴射剤は、容器内の圧力が35℃において、0.1〜1.0MPaとなるように充填される。特に、圧縮ガスを用いる場合は、0.1〜1.0MPaとし、液化ガスを用いる場合は、0.1〜0.8MPaとし、それらを混合する場合は、0.1〜0.8MPaとするのが好ましい。樹脂容器26の最も薄い部位(この実施形態では胴部)の厚さは、0.8〜3mm、特に好ましくは1〜2.5mmで形成されている。3mmより大きいと樹脂の使用量が多く環境負荷が大きくなり、0.8mmより小さいと耐圧性が低くなる。他の構成は
、図1の樹脂容器11と実質的に同じである。
【0025】
エアゾールバルブ27は、樹脂容器26の口部に挿入されるハウジング27aと、そのハウジング27aの内部に上下動自在に挿入されるステム27bと、そのステムを常時上向きに付勢するバネ27cと、そのステムのステム孔を開閉するステムラバー27dと、それらを閉じるカバー27eとからなる。またエアゾールバルブ27と樹脂容器26との間にはシール材28が設けられている。さらに、ハウジングの下端には、ディップチューブ29が固定されている。この樹脂容器26は、エアゾールバルブのカバー27eと樹脂容器26とがねじにより固定されているが、カバー27eの下端を樹脂容器26に対してカシメて固定してもよい。また、このハウジング27a、ステム27bに蒸着膜を設けてもよい。これにより一層内容物の透過を防止することができる。
この包装製品26も内面に蒸着膜15を備えているため、アルカリ剤を含む内容物、特にアンモニアなどのアミノ基を含有する窒素含有成分の揮発成分の浸透や透過を防止できる。さらには、加圧剤として圧縮ガス、特に窒素や亜酸化窒素のような窒素含有成分の透過も防止できるため、化粧水やヘアミストなどの化粧品、点鼻薬や殺菌消毒薬などの医薬品、ホィップクリームなどの食品など、アルカリ剤を含有しない原液と圧縮ガス、特に好ましくは窒素や亜酸化窒素を含む圧縮ガス、とからなる内容物も長期に安定して保管することができる。また、この実施の形態では、内容物として前述の原液と共に噴射剤(加圧剤)が充填されており、容器内の圧力が35℃において0.1〜1.0MPaとなるため、圧力により容器本体と蒸着膜の密着性が高くなりアルカリ剤の透過を防止する効果が高く、さらに蒸着膜の剥離を防止でき、内容物の安定性が一層高くなる。
図1の樹脂容器11(または図2の樹脂容器17)の開口部に吐出部材22またはエアゾールバルブ27に代えて、ポンプバルブや他のバルブ等を取り付けてもよい。
【0026】
図5aの包装製品30aは、耐圧性を有する外容器31と、その内部に収容される可撓性を有する内容器32と、その外容器31および内容器32の開口部を閉じるエアゾールバルブ33と、内容器内に充填されるアルカリ剤を含有した内容物34と、外容器31と内容器32との間の加圧室に充填される噴射剤35とからなるエアゾール製品である。エアゾールバルブ33は、図4のエアゾールバルブ27と実質的に同じものである。さらに、内容物34は、図1の内容物12と実質的に同じものである。
【0027】
外容器31は、筒状の胴部31a、テーパー状の肩部31bおよび上端にビード部31cを備えた金属製の耐圧容器である。この外容器31は、アルミニウムなどの金属スラグをインパクト成形や絞り・しごき成形により筒状の胴部、肩部に形成した一体成形体である。しかし、底部、胴部および肩部(目金部)を別々に成形して連結するスリーピース缶を用いても良い。
【0028】
内容器32は、筒状の胴部32a、テーパー状の肩部32b、筒状の首部32c、上端にフランジ部32dを備えた可撓性を有するものであり、内面に蒸着膜15が設けられている。この実施形態では、内容器32が特許請求の範囲の文言である「樹脂容器」に該当する。
その内容器32の材質は、ポリエチレン(以下、PE)、ポリアミド(以下、PA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、EvOH)などの単層構造体、PE/EvOH/PE、PE/PA/PEなどの積層構造体等の可撓性を有するものが用いられる。また、内容器32の胴部32aの厚さは、0.05〜1mm、特に好ましくは0.1〜0.8mmにしている。1mmより大きいと収縮しにくくなり、0.05mmより小さいとアルカリ剤の透過量が大きくなる。
この内容器32の蒸着膜15の厚さは、10〜100nm、特に好ましくは20〜80nmにしている。蒸着膜15の厚さが100nmより大きいと内容器32の可撓性が低下し、10nmより小さいとアルカリ剤の透過量が大きくなる。蒸着膜15の厚さ以外は、
図1の蒸着膜15と実質的に同じものである。
【0029】
この包装製品30は、内容器32の内面に蒸着膜15が形成されているため、内容物34のアルカリ剤、特にアンモニアなどのアミノ基を含有する揮発成分が内容器32を浸透および/または透過して、外容器31と内容器32の間の隙間空間である加圧室に移行するのを防止できる。さらに内容器32を介して内容物34を加圧室に充填した加圧剤で加圧しているため、内容物34を内容器32内に閉じ込めることになり一層浸透や透過を防止できる。そのため、内容物34を安定に保管することができ、かつ、外容器31のアルカリ剤による腐食を防止することができる。さらに、蒸着膜は内部に内容物を収容した状態で常に外部から加圧剤の圧力を受けているため、使用により内容物が減少して内容器32が変形しても蒸着膜が内容器本体から剥離するのを防止できる。なお、内容物として前述のアルカリ剤を含有しない原液と加圧剤を用いることができ、この場合は加圧剤、特に圧縮ガスが内容器を透過して原液中に溶解することを防止できる。
【0030】
図5b、cの包装製品30b、cも同様の構成を備えたエアゾール製品である。
図5bの包装製品30bは、外容器31が上端にビード部を備えておらず、内容器32が肩部32bから胴部32a、底部にかけてプリーツ状に形成されており、折り畳み可能の形状となっている点で図5aの包装製品30aと異なる。そのため、外容器31に収容するときは折り畳んで容積を小さくし、収容後は、内容物の充填量が大きくなるように拡げて用いられる。内容器の収納部をプリーツ状にすることで収縮形状が安定するため、蒸着膜の剥離を抑制できる。また、加圧剤の圧力により、使用により内容物が減少して内容器が変形しても蒸着膜が剥離するのを防止できる。
図5cの包装製品30cは、エアゾールバルブ33がハウジング33aと、そのステム33bと、バネ33cと、ステムラバー33dと、それらを外容器31および内容器32に挿入し、固定するカバー33eとからなる。カバー33eは、ハウジング33aを保持し、外容器31に内容器32の上端を挟んで挿入されるプラグ36aと、全体を外容器の開口部に固定するカップ状のバルブ用キャップ36bとを備えている。内容器32は、開口部をプラグ36aの外周に嵌合させている。ハウジング33a、ステム33b、バネ33c、ステムラバー33dは図4のエアゾールバルブ27と実質的に同じものである。
これらの包装製品30b、cも、図5aの包装製品30aと同様に、内容物を加圧剤の圧力により内容器内に閉じ込めるため、アルカリ剤を含有する内容物であっても安定に保管でき、外容器31の腐食を防止できる。これらの包装製品30a、b、cでは、蒸着膜15を内容器32の内面に設けているが、外面に設けてもよい。
【0031】
図1〜図5の包装製品は、一種類の内容物を保管するものであった。図6〜図10の包装製品は、2種類の内容物を保管するものである。しかし、3種類以上の内容物を保管するものであってもよい。
図6の包装製品40は、外容器41と、その内部に収納される2つの内容器42と、それぞれの内容器42に連結される2つのエアゾールバルブ43と、2つのエアゾールバルブ43を保持するバルブホルダー44と、エアゾールバルブ43とバルブホルダー44とを外容器41に固定するカバー45と、それぞれの内容器42に充填される第1内容物46aおよび第2内容物46bと、外容器41と内容器42との間の加圧室に充填される噴射剤47とを有している。また、包装製品40は、外容器41および内容器42の両方に蒸着膜15が設けられている。外容器41は、図4の樹脂容器26と実質的に同じ耐圧性と剛性、さらに透光性を有するものであり、内面に蒸着膜15が設けられている。内容器42は、図5bの内容器32と実質的に同じものであり、内面に蒸着膜15が設けられており、収納部が可撓性を有するプリーツ型のものである。エアゾールバルブ43は、図5bのエアゾールバルブ33と実質的に同じものである。
【0032】
バルブホルダー44は、円柱状の基部44aと、その基部を上下に貫通するように形成
された2つの筒状のホルダー部44bと、外周に外容器41の上端と係合する環状フランジ部44cとを有している。ホルダー部44bにそれぞれエアゾールバルブ43が挿入される。
カバー45は、エアゾールバルブ43の上端を覆い、かつ、バルブホルダーの環状フランジ部44cと外容器41の上端とを挟圧して、エアゾールバルブ43およびバルブホルダー44を外容器41に固定するものである。
樹脂容器の口部内面とバルブホルダーとの間にはOリングなどのシール材が設けられており、バルブホルダーを樹脂容器の口部に挿入することで樹脂容器内をシールすることができる。
第1内容物46aと第2内容物46bは、たとえば、アルカリ剤を含有する染毛剤第1剤またはパーマ剤第1剤と、過酸化水素や臭素酸ナトリウムなどの酸化剤を含有する染毛剤第2剤またはパーマ剤第2剤を用いることができる。他にも、どちらか一方がアルカリ剤を含む内容物であっても、両方がアルカリ剤を含む内容物であってもよい。少なくともアルカリ剤を含む内容物が充填される内容器42にのみ蒸着膜15が設けられていれば、第1内容物46aおよび第2内容物46bを長期間安定に保管できる。しかし、両方に蒸着膜15を設けることにより、たとえ一方から透過しても他方の内容器42の内部までアルカリ剤が到達しないようにすることができる。
【0033】
この包装製品40は、アルカリ剤を含む内容物が充填される内容器42に蒸着膜15が設けられているため、反応する2種類の内容物を1つの外容器内に充填しているにも関わらず、第1内容物および第2内容物を共に長期間安定に保存することができる。また、外容器の内面にも蒸着膜15を設けているため、外容器と内容器の間の加圧室に充填された噴射剤の透過も防止することができ、さらに蒸着膜の剥離も防止することができる。
【0034】
図7の包装製品50は、2枚の合成樹脂シートから構成された可撓性を有する2つの内容器51を採用している。他の構成は図6の包装製品40と実質的に同じものである。
内容器51は、PET、PE、PP、PA、EvOHなどの単層あるいは積層した合成樹脂シート本体に蒸着膜15を施した透光性を有する合成樹脂シート51aを重ねたものであり、その上端にエアゾールバルブ43と連結する連結部材52が設けられている。詳しくは、合成樹脂シート51aの上端を連結部材52の側面に貼り合わせ、他はシートの周囲同士を溶着して貼り合わせることにより成形される。この包装製品50も、図6の包装製品40と実質的に同じ効果が得られる。蒸着膜15は、2つの合成樹脂シート51aを貼り合わせた後に設けてもよい。
【0035】
図8の包装製品55は、一つの内容器56が可撓性を有する2つの収納部56a、56bを有しており、それぞれの収納部56a、56bと2つのエアゾールバルブ43とが連結されており、他の構成は図6の包装製品40と実質的に同じものである。
内容器56は、蒸着膜15を施した合成樹脂シート51aを3枚重ねたものであり、その上端に2つのエアゾールバルブ43と連結する連結部材57が設けられている。このとき、真ん中に位置する合成樹脂シート51aには、蒸着膜15を両面に設けている。しかし、一方の収納部のみに蒸着膜15を設けてもよい。連結部材57は、それぞれの収納部を閉じる柱状の基部57aと、その基部に上下貫通するように形成されたバルブ係合部57bとからなる。基部57aの下端は、一方の収納部(図8では収納部56b)を閉じるように突出した突出部57cを備えている。この突出部57cの側面に真ん中の合成樹脂シート51aが貼り付けられ、収納部56a、56bとは真ん中の合成樹脂シート51aによって区画される。なお、連結部材にも蒸着膜を施しても良い。
【0036】
図9の包装製品60は、一つの内容器62が可撓性を有する2つの収納部62a、62bを有しており、それぞれの収納部62a、62bと2つの独立通路を有する1つのエアゾールバルブ63とが連結されたものである。詳しくは、耐圧性の外容器61と、内容器
62と、エアゾールバルブ63と、それぞれの収納部62a、bに収納される第1内容物64a、第2内容物64bと、外容器61と内容器62との間の加圧室に充填される噴射剤65とからなる。外容器61は、図5aの外容器31と実質的に同じものである。
【0037】
内容器62は、中央近辺に縮径されたくびれ部66を備えた有底筒状の本体62cと、そのくびれ部66に密に嵌入される隔壁部材67とからなり、2つの収納部62a、62bが上下に配置されたものである。そして、本体62cの内面に蒸着膜15が設けられている。隔壁部材67には、下の収納部62bとエアゾールバルブ63とを連通するディップチューブ68を通す係合孔67aが形成されている。また、隔壁部材67の外周に蒸着膜15を設けてもよい。
【0038】
エアゾールバルブ63は、図9bに示すように、筒状のハウジング63aと、2つの独立した通路とそれぞれ連通する上下に配置された2つのステム孔69a、bを有するステム63bと、バネ63cと、それぞれのステム孔を閉じる2つのステムラバー63dと、カバー63eとからなる。ハウジング63aには、2つ連通路68a、bが形成されている。そして、連通路68aとステム孔69aとを独立してつなぐ第1独立通路(矢印A)と、連通路68bとステム孔69bとを独立してつなぐ第2独立通路(矢印B)とを有する。このように構成されているため、第1独立通路Aとディップチューブ68が連結されてステム孔69aと下収納部62bが連通し、第2独立通路Bと上収納部62aが直接連通されてステム孔69bと上収納部62bが連通する。
係合部材63fは、下開口部が下方に向かって広がるようにテーパー部を備えたものであり、エアゾールバルブ63とディップチューブ68との間に設けられている。この係合部材63fは、ディップチューブ68とエアゾールバルブ63との連結を容易にしている。
【0039】
この包装製品60も内容器61の内面に蒸着膜15を備えており、それぞれの収納部が加圧剤により加圧されているため、それぞれの収納部62a、62bに充填される内容物64a、64bを安定に保管することができる。
【0040】
図10の包装製品70は、2つの内容器72a、bと1つのエアゾールバルブ73とを連結したものである。
包装製品70は、耐圧性と剛性を有する合成樹脂製の外容器71と、その外容器内に収納される第1内容器72aと、その第1内容器72a内に収納される第2内容器72bと、外容器71および内容器72a、bとを閉じるエアゾールバルブ73と、内容器72bに充填される第1内容物74aと、外容器71と第1内容器72aとの間に充填される第2内容物74bと、第1内容器72aと第2内容器72bとの間の加圧室に充填される噴射剤75とからなる。外容器71は、図4の外容器26と実質的に同じものである。内容器72a、bは、それぞれ図5aの内容器32と実質的に同じものである。つまり、このものは、外容器71と内容器72a、bに蒸着膜15が設けられ、可撓性を有している。
【0041】
エアゾールバルブ73は、2つの内容物をハウジング内で混合するものであり、筒状のハウジング73aと、ステム73bと、バネ73cと、ステムラバー73dと、カバー73eとからなり、ハウジング73aには、第2内容器72bと連通する第1連通路75aと、第1内容器72aと外容器71との間の空間と連通する第2連通路75bとが形成されている。また、第1連通路75aには、第2内容器72bからハウジング73への流れを許し、ハウジング73から第2内容器への流れを遮断する逆止弁77が設けられている。
この包装製品70も外容器71と内容器72a、bの内面に蒸着膜15を備えており、
それぞれの内容物が加圧剤により加圧されているため、内容物74a、74bを安定に保管することができる。
【0042】
図11の包装製品80は、蒸着膜15を内面に備え、可壊性を有する樹脂容器81(または蒸着膜を外面に備えた樹脂容器)と、その開口部に設けられたエアゾールバルブ82と、樹脂容器81にエアゾールバルブ82を取り付ける連結部材83と、エアゾールバルブに取り付けられた噴射部材84と、その噴射部材を覆うキャップ85と、樹脂容器81内に充填される内容物86とからなる。噴射部材84は、エアゾール容器に用いられる公知のものであり、キャップ85は連結部材83と係合する断面コ字状のものである。この包装製品80の内容物87は、原液86aと噴射剤(加圧剤)87bとからなる。原液87aは、アルカリ剤を含有するものであり、図1の内容物12と実質的に同じものである。噴射剤87bには、35℃での圧力が0.2MPa未満の低圧液化ガスが用いられており、液化ガス87bは原液87aの上部に分離している。
樹脂容器81は、胴部の収納部が可壊性であり、口部が剛性を有する点で、図4の樹脂容器26と異なる。つまり、噴射剤が入っている状態では手で握り潰すことができず、噴射剤が入っていない状態では容易に潰すことができる。樹脂容器81は、ポリエチレンテレフタレート製が好ましく、その最も薄い部位の厚さは、0.1〜1mm、好ましくは0.2〜0.8mmにしている。
【0043】
エアゾールバルブ82は、ハウジングを保持するプラグ86を備えたものであり、他の構成はハウジング27a、ステム27b、バネ27c、ステムラバー27dを備えた図4のエアゾール容器27と実質的に同じものである。プラグ86は、樹脂容器81内に挿入される円筒状の周縁部86aと、ハウジングを保持する円筒状のハウジング保持部86bとからなり、周縁部86aとハウジング保持部86bとは、下端で連結している。周縁部86aの上端には、樹脂容器81の上端と当接するフランジ部86dが形成されており、周縁部86aの外周にはシール材88を保持するシール保持部86cが形成されている。シール材88は剛性を有する樹脂容器81の口部内面とプラグ86の周縁部86aとの間で圧縮されてシール性を発揮する。樹脂容器81の口部が剛性を有することで安定したシール性が維持される。
連結部材83は、上筒部83aと、下筒部83bと、それらの区画するように設けられた隔壁部83cとからなる。上筒部83aは、キャップ85を受けて、連結する部位である。下筒部83bは、内面に樹脂容器81の口部の雄ねじと螺合する雌ねじが形成されている。隔壁部83cは、エアゾールバルブ82が樹脂容器81から飛び出さないようにエアゾールバルブ82を支持している。
【0044】
この包装製品80も樹脂容器81の内面に蒸着膜15を備えているため、内部に充填される内容物を安定に保管することができる。また、内容物を全量吐出すると容器内は液化ガスの気化ガスのみが残留している状態となり、製品を冷蔵庫や冷凍庫に入れて冷却すると、気化ガスが液化して容器内の圧力が大気圧よりも低くなり、容器の胴部を自動的に圧縮することができる。なお、剛性を有する口部は変形しないため、連結部材を容器から外すことができ、バルブと容器を分別して廃棄することができる。
【0045】
図12の包装製品90は、外容器91と、その内部に収容される可撓性を有する内容器92と、外容器91および内容器92の開口部に取り付けられるエアゾールバルブ82と、外容器91および内容器92にエアゾールバルブ82を取り付ける連結部材83と、エアゾールバルブに取り付けられた噴射部材84と、その噴射部材を覆うキャップ85と、内容器92内に充填される原液93と、内容器と外容器との間の加圧室に充填される噴射剤94とからなる。エアゾールバルブ82、連結部材83、噴射部材84およびキャップ85は、図11のものと実質的に同じである。また、内容器92は、図5aの内容器32と実質的に同じものである。さらに、原液93は、図1の内容物12と実質的に同じものである。
【0046】
外容器91は、蒸着膜15を内面に備え、耐圧性および剛性を有する樹脂容器である。しかし、蒸着膜を外面に備え、耐圧性および剛性を有する樹脂容器としてもよく、また、蒸着膜15を内面または外面に備え、可壊性を有する樹脂容器としてもよい。さらに、外容器91に蒸着膜を設けなくても良い。
噴射剤94は、圧縮ガスが用いられ、その圧力は、0.1〜1.0MPaとしている。しかし、35℃での圧力が0.1〜0.8MPaの液化ガスを用いても良い。
【実施例】
【0047】
蒸着膜15としてDLC膜を設けた図1の樹脂容器(ポリエチレンテレフタレート製)11を4つ用意し、それぞれにアルカリ性原液を充填した後、キャップ13で内部を密封し、それぞれ実施例1〜4の包装製品を準備した。また、蒸着膜15を施していない樹脂容器を用意し、それぞれにアルカリ性原液1〜4を充填した後、キャップ13で内部を密封し、それぞれ比較例1〜4の包装製品を準備した。表1に樹脂容器11に充填したアルカリ性原液の詳細を示す。
【表1】

【0048】
次にそれらの包装製品を、それぞれ精製水が充填された広口ポリ容器内に入れて、その広口ポリ容器内の精製水のpHを測定した。その保存期間とpHの関係、外観の変化を表2に示す。上段がpH、下段が樹脂容器の外観の変化を示す。ここで保存温度とは精製水の温度である。
【表2】

外観の変化
○:異常なし
△:コートが一部剥離したが問題ない程度
×:全体が白化し劣化している
【0049】
表2からもわかるように、アルカリ剤として水酸化ナトリウム水溶液を用いた実施例1は30日目でも原液のpHの変動がなく、樹脂容器にも異常は認められなかった。一方、蒸着膜を設けていない樹脂容器を用いた比較例1は30日目でpHがアルカリ性に変動し、樹脂容器も全体が白化した。
また、アルカリ剤として高濃度のアンモニア水溶液を用いた実施例2は30日目で若干のpH変動と一部蒸着膜の剥離があったが問題ない程度である。一方、蒸着膜を設けていない樹脂容器を用いた比較例2は2日目でpHが変動し始め、4日目でアルカリ性に変動した。30日目には樹脂容器も全体が白化した。
アルカリ剤として5%のアンモニア水溶液を用いた実施例3は30日が経過してもpHおよび容器に変化は認められなかった。一方、蒸着膜を設けていない樹脂容器を用いた比較例3は4日目でpHが変動し始め、30日目でアルカリ性に変動した。
アルカリ剤として5%のモノエタノールアミン水溶液を用いた実施例4は30日が経過してもpHおよび容器に変化は認められなかった。一方、蒸着膜を設けていない樹脂容器を用いた比較例4は30日目でpHがアルカリ性に変動した。
【0050】
蒸着膜15としてDLC膜を設けた図11の樹脂容器(ポリエチレンテレフタレート製
)81を4つ用意し、それぞれにアルカリ性原液を充填した後、バルブを取り付けて内部を密封し、35℃での圧力が0.2MPaである液化ガス(n−ブタンとイソペンタンの混合物)を充填し、それぞれ実施例5〜8の包装製品を準備した(内容物の圧力は0.2MPa)。また、蒸着膜15を施していない樹脂容器を用意し、それぞれにアルカリ性原液1〜4を充填した後、バルブを取り付けて内部を密封し、35℃での圧力が0.2MPaである液化ガス(n−ブタンとイソペンタンの混合物)を充填し、それぞれ比較例5〜8の包装製品を準備した。
【0051】
次にそれらの包装製品を、実施例1〜4と同様に、それぞれ精製水が充填された広口ポリ容器内に入れて、その広口ポリ容器内の精製水のpHを測定した。その保存期間とpHの関係、外観の変化を表3に示す。上段がpH、下段が樹脂容器の外観の変化を示す。こ
こで保存温度とは精製水の温度である。
【表3】

【0052】
表3からもわかるように、アルカリ剤として水酸化ナトリウム水溶液を用いた実施例5は30日目でも原液のpHの変動がなく、樹脂容器にも異常は認められなかった。一方、蒸着膜を設けていない樹脂容器を用いた比較例5は30日目でpHがアルカリ性に変動し、樹脂容器も全体が白化した。
アルカリ剤として高濃度のアンモニア水溶液を用いた実施例6は30日目で若干のpH変動があったが問題ない程度である。実施例2で認められた蒸着膜の一部剥離は実施例6では認められなかった。一方、蒸着膜を設けていない樹脂容器を用いた比較例6は2日目
でpHが変動し始め、4日目でアルカリ性に変動した。30日目には樹脂容器も全体が白化した。
アルカリ剤として5%のアンモニア水溶液を用いた実施例7は30日が経過してもpHおよび容器に変化は認められなかった。一方、蒸着膜を設けていない樹脂容器を用いた比較例7は4日目でpHが変動し始め、30日目でアルカリ性に変動した。
アルカリ剤として5%のモノエタノールアミン水溶液を用いた実施例8は30日が経過してもpHおよび容器に変化は認められなかった。一方、蒸着膜を設けていない樹脂容器を用いた比較例8は30日目でpHがアルカリ性に変動した。
【符号の説明】
【0053】
10 包装製品
11 樹脂容器
11a 胴部
11b 底部
11c 肩部
11d 口部
11e 開口部
12 内容物
13 キャップ
15 蒸着膜
16 包装製品
17 樹脂容器
18 内容物
20 包装製品
21 樹脂容器
22 吐出部材
23 固定部材
24 吐出部本体
24a 連結部
24b 多孔質体
25 包装製品
26 樹脂容器
27 エアゾールバルブ
27a ハウジング
27b ステム
27c バネ
27d ステムラバー
27e カバー
28 シール材
29 ディップチューブ
30a、b、c 包装製品
31 外容器
31a 胴部
31b 肩部
31c ビード部
32 内容器
32a 胴部
32b 肩部
32c 首部
32d フランジ部
33 エアゾールバルブ
33a ハウジング
33b ステム
33c バネ
33d ステムラバー
33e カバー
34 内容物
35 噴射剤
36a プラグ
36b バルブ用キャップ
40 包装製品
41 外容器
42 内容器
43 エアゾールバルブ
44 バルブホルダー
44a 基部
44b ホルダー部
44c 環状フランジ部
45 カバー
46a 第1内容物
46b 第2内容物
47 噴射剤
50 包装製品
51 内容器
51a 合成樹脂シート
52 連結部材
55 包装製品
56 内容器
56a、b 収納部
57 連結部材
57a 基部
57b バルブ係合部
57c 突出部
60 包装製品
61 外容器
62 内容器
62a、b 収納部
62c 本体
63 エアゾールバルブ
63a ハウジング
63b ステム
63c バネ
63d ステムラバー
63e カバー
63f 係合部材
64a 第1内容物
64b 第2内容物
65 噴射剤
66 くびれ部
67 隔壁部材
67a 係合孔
68 ディップチューブ
68a、b 連通路
69a、b ステム孔
70 包装製品
71 外容器
72a 第1内容器
72b 第2内容器
73 エアゾールバルブ
73a ハウジング
73b ステム
73c バネ
73d ステムラバー
73e カバー
74a 第1内容物
74b 第2内容物
75 噴射剤
75a 第1連通路
75b 第2連通路
77 逆止弁
80 包装製品
81 樹脂容器
82 エアゾールバルブ
83 連結部材
83a 上筒部
83b 下筒部
83c 隔壁部
84 噴射部材
85 キャップ
86 プラグ
86a 周縁部
86b ハウジング保持部
86c シール保持部
86d フランジ部
87 内容物
87a 原液
87b 噴射剤
88 シール材
90 包装製品
91 外容器
92 内容器
93 原液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面および/または外面に蒸着膜が設けられた収納部を有する樹脂容器と、
その収納部に充填されるアルカリ剤を含有する内容物とを有する、
包装製品。
【請求項2】
前記蒸着膜の上面に、さらに樹脂膜を設けた、請求項1記載の包装製品。
【請求項3】
前記樹脂容器が、外容器内に収容され、かつ、外容器内の圧力によって収縮可能な可撓性の収納部を有する、請求項1記載の包装製品。
【請求項4】
前記樹脂容器が可壊性を有する、請求項1記載の包装製品。
【請求項5】
前記樹脂容器が硬性を有する、請求項1記載の包装製品。
【請求項6】
前記アルカリ剤がアミノ基を含有する、請求項1記載の包装製品。
【請求項7】
前記内容物がヘアカラーまたはパーマ剤である、請求項1記載の包装製品。
【請求項8】
前記内容物の圧力が、35℃において0.1〜1.0MPaである、請求項1記載の包装製品。
【請求項9】
前記内容物が、35℃における圧力が0.2MPa未満である低圧液化ガスを含有する、請求項4記載の包装製品。
【請求項10】
外容器に収容され、内面および/または外面に蒸着膜が設けられ、内容物を充填する収納部を有し、その収納部が外容器内の圧力によって収縮可能な可撓性を有する樹脂容器。
【請求項11】
内面および/または外面に蒸着膜が設けられ、内容物を充填する収納部を有し、収納部が可壊性を有する樹脂容器。
【請求項12】
剛性の口部を有する、請求項10または11記載の樹脂容器。
【請求項13】
前記収納部を複数個有する、請求項10または11記載の樹脂容器。
【請求項14】
請求項10または13記載の樹脂容器と、
樹脂容器を内部に収容する外容器と、
樹脂容器と外容器の開口部を密封するバルブを備えた、
包装容器。
【請求項15】
口部内面が円筒状である請求項12記載の樹脂容器と、
その口部に挿入されて樹脂容器の開口部を閉じ、弁を備えた蓋部材と、
前記樹脂容器の口部内面と蓋部材の外面との間に設けられるシール材とをさらに有する、包装容器。
【請求項16】
キャップが樹脂容器の開口部の外面に螺着することで樹脂容器内を気密状態にする、請求項14記載の包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−148802(P2012−148802A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9154(P2011−9154)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(391021031)株式会社ダイゾー (130)
【Fターム(参考)】