説明

樹脂成型機で樹脂材料を供給し気体を遮断する方法および装置

【課題】 従来、シリンダー本体とシャッターを形成しているピストンロッドは空圧で作動するシリンダーを構成し、作動に際し樹脂材料の微細な粉末を発生させ、時には樹脂材料を噛み込み装置が動かなくなることもあった。更に、シャッターは金属の場合が多く、摺動により発生する金属粉末が樹脂に混入し不良の原因となっていた。 加えて、遮断装置のシリンダーや遮断プレートの形状を見た場合、通過していく樹脂材料が、段差や凹凸によって滞留させられ、長時間になると炭化し悪い影響を与えていた。
【解決手段】 樹脂材料を可塑化シリンダーに送り込む手前の位置を、ある時は樹脂材料が供給出来る様にまた気体の出入りとしては開放する様に当初の自然な形状を保った状態に、他の時は樹脂材料の流れを停止する様にまた気体の出入りを遮断する様に密着させた状態にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成型機で樹脂材料を供給し気体を遮断する方法および装置に関する技術であって、更に詳細に述べると、射出成型機や中空成形機等の樹脂成型機の中で、樹脂材料であるペレットの供給と気体の遮断の両方を目的とした装置について、樹脂材料の供給と気体の遮断を行う際に樹脂材料であるペレット挟み込んだり噛み込むことが無い様に配慮した技術に関して述べたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂成型機で樹脂材料を供給し気体を遮断する方法および装置に関する技術としては、図5に見られるような、一般的な樹脂成型機と、図6に見られるような、シリンダーによるシャッターの開閉で樹脂の停止と気体の遮断を行うものがあった。
【0003】
この場合、図5に見られるような、一般的な樹脂成型機では、可塑化シリンダー11内での溶融樹脂の酸化によって、黒点や焼けや変色や黄変やフイッシュアイ等の各種の不良が発生するのを防止する為に、可塑化シリンダー11内に窒素ガス配管121によって窒素ガス152を送り込んでいた。 尚、送り込んだ窒素ガス152を保持する為には、可塑化シリンダー11はなるべく外気と遮断しておく必要があるが、ホッパー30の底部に樹脂材料を残しておけば可塑化シリンダー11内の窒素ガスの濃度を所定の値に保つことが出来た。
【0004】
また、図6に見られるような、シリンダーによるシャッターの開閉で樹脂の停止と気体の遮断を行うものでは、最近は樹脂材料供給装置である吸引式ローダー20を使用したものが多く、この方式では可塑化シリンダー11内の窒素ガス152を吸込むばかりでなく、可塑化シリンダー11後部のグランド部の間隙より外気を吸込むことも多かった。 そこで、これを防ぐ為に、吸引式ローダー20と可塑化シリンダー11の間にシャッター61baを構成している遮断装置60を設けそれによってその間を遮断し、樹脂材料153が必要になると遮断装置60を開くことで樹脂材料153を可塑化シリンダー11に送り込んでいた。
【0005】
尚、吸引式ローダー20を作動させて吸引エアー171を吸引することで樹脂材料153の導入を開始すると、吸引開始の電気信号によって直ちに電磁弁63を作動させ、それによってシャッター61baが閉鎖の方向に動く様にポンプ64からシリンダー61に気体である空気を送っていた。 また、吸引式ローダー20の作動を停止すると、電気信号の発信を止めることで電磁弁63に別の作動をさせ、それによって図6とは違ってシャッター61baが開放する様にポンプ64からシリンダー61に気体である空気を送っていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の、樹脂成型機で樹脂材料を供給し気体を遮断する方法および装置に関しては、以下に示すような課題があった。
【0007】
即ち、装置を構成しているシャッター61baはロッド本体61bbとピストン61bcと共にピストンロッド61bを形成していて、シリンダー本体61aと共に空圧で作動するシリンダー61を構成している為に、作動の際に樹脂材料153であるペレットを挟み込んだり、ペレットを切断し粉砕して樹脂材料153の微細な粉末を発生させたり、時には樹脂材料153を噛み込み装置が動かなくなることもあった。 尚、ここで発生する樹脂材料153の微細な粉末は、活性度が高く酸化し易い特性を持っていた。 従って、不良を防止する目的の装置自体が別の不良の原因を作るという矛盾を含んでいた。
【0008】
また、微細な粉末となった樹脂材料153は、シャッター61baの作動によって捏ねられることで、塊を作っていた。 そして、それらが炭化して成形品の中に析出して不良品を作っていた。
【0009】
更に、シャッター61baは金属で製作されることが多く、そのシャッター61baが摺動することで磨耗によって発生する微細な金属粉末が樹脂に混入し、不良の原因となっていた。
【0010】
加えて、遮断装置60の構成部品であるシリンダー61や遮断プレート62の形状を見た場合、原材料として可塑化シリンダー11で使用する為に通過していく樹脂材料153が、段差や凹凸によって悪い影響を受けていた。 即ち、樹脂材料153や樹脂材料153の微細な粉末が段差や凹凸によって滞留させられ、そのまま滞留を長時間放置することで炭化し、不良の原因となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、樹脂成型機で樹脂材料を供給し気体を遮断する方法に於いて、樹脂材料を可塑化シリンダー11に送り込む手前の位置を、ある時は樹脂材料が流れ易い形で供給出来る様にまた気体の出入りとしては容易に流れて開放する様に当初の自然な形状を保った状態に、他の時は樹脂材料の流れを停止する様にまた気体の出入りを遮断する様に密着させた状態にすることを特徴とし、更には、密着させた状態とは、内側を樹脂材料が流れている筒状の伸縮可能な弾性ゴム41の外側に外部からの力を加えることによるものであることを特徴とし、更には、外部から力を加えるとは、前記弾性ゴム41の外側の密閉された加圧室40aに圧力の高いガスを充填することによるものであり、または前記弾性ゴム41の外側に往復動のシリンダーを配設して作動させることによるものであることを特徴とし、更には、圧力の高いガスは窒素ガスであり、使用後は溶融樹脂の酸化防止のために前記可塑化シリンダー11の内側に送り込むことを特徴とし、更には、密着させた状態とは、内側を樹脂材料が流れている筒状の形状記憶合金51に通電することにより達成するものであることを特徴とすることによって、上記課題を解決したのである。
【0012】
また、本発明は、樹脂成型機で樹脂材料を供給し気体を遮断する装置に於いて、樹脂材料を可塑化シリンダー11に送り込む手前に円筒42を設け、前記円筒42の内側に更にその内側を樹脂材料が流れていてその樹脂材料の付着する様な切欠きや凹凸部を形成していない伸縮可能な弾性ゴム41を配設し、前記弾性ゴム41は、ある時は樹脂材料が流れ易い形で供給出来る様にまた気体の出入りとしては容易に流れて開放する様に当初の自然な形状を保った状態に、他の時は樹脂材料の流れを停止する様にまた気体の出入りを遮断する様に前記弾性ゴム41を開閉手段40a、45、46によって密着させた状態にすることを特徴とし、更には、前記開閉手段40a、45、46は、窒素ガス発生装置45から電磁弁46の作動によって前記円筒42の内側と前記弾性ゴム41の外側の間の密閉された加圧室40aに圧力の高い高圧窒素ガス154を充填したり排出することによるものであることを特徴とし、更には、前記高圧窒素ガス154は、使用後は溶融樹脂の酸化防止のために窒素ガス配管121を経由して前記可塑化シリンダー11の内側に送り込むことを特徴とし、更には、前記開閉手段は、前記弾性ゴム41の外側に往復運動するシリンダーを配設することでその往復運動によって前記弾性ゴム41を密着させることで停止や遮断したり、当初の自然な形に戻して供給や開放をするものであることを特徴とし、更には、樹脂成型機で樹脂材料を供給し気体を遮断する装置に於いて、樹脂材料を可塑化シリンダー11に送り込む手前にその上部を支える筒52を設け、前記筒52の内側に更にその内側を樹脂材料が流れていてその樹脂材料の付着する様な切欠きや凹凸部を形成していない形状記憶合金51を配設し、前記形状記憶合金51は、ある時は樹脂材料が流れ易い形で供給出来る様にまた気体の出入りとしては容易に流れて開放する様に前記形状記憶合金51に通電しないことで当初の自然な形状を保った状態に、他の時は樹脂材料の流れを停止する様にまた気体の出入りを遮断する様に前記形状記憶合金51に通電することによって密着させた状態にすることを特徴とすることによって、上記課題を解決したのである。
【発明の効果】
【0013】
以上の説明から明らかなように、本発明によって、以下に示すような効果をあげることが出来る。
【0014】
第一に、樹脂材料を可塑化シリンダーに送り込む手前の位置を、ある時は樹脂材料が流れ易い形で供給出来る様にまた気体の出入りとしては容易に流れて開放する様に当初の自然な形状を保った状態に、他の時は樹脂材料の流れを停止する様にまた気体の出入りを遮断する様に密着させた状態にすることで、当初の自然な形状を保った状態と密着させた状態という単純な形状の変化だけで対応させることにより、樹脂材料であるペレットを挟み込んだり、ペレットを切断し粉砕して樹脂材料の微細な粉末を発生させたり、時には樹脂材料を噛み込み装置が動かなくなることについては、全く発生しなくなった。
【0015】
第二に、密着させた状態とは、内側を樹脂材料が流れている筒状の伸縮可能な弾性ゴムの外側に外部からの力を加えることによるものであり、更に内側を樹脂材料が流れている筒状の形状記憶合金に通電することにより達成するものであることで、供給と開放及び停止と遮断の動作が確実なものとなった。 また、樹脂材料や樹脂材料の微細な粉末が、段差や凹凸によって滞留させられることはなくなった。
【0016】
第三に、外部から力を加えるとは、弾性ゴムの外側の密閉された加圧室に圧力の高いガスを充填することによるものであり、または弾性ゴムの外側に往復動のシリンダーを配設して作動させることによるものであることで、供給と開放及び停止と遮断の動作がより確実なものとなった。 また、樹脂材料や樹脂材料の微細な粉末が、段差や凹凸によって滞留させられることはなくなった。
【0017】
第四に、圧力の高いガスは窒素ガスであり、使用後は溶融樹脂の酸化防止のために可塑化シリンダーの内側に送り込むことで、従来も使用していた樹脂材料の酸化を防止する窒素ガスを、供給と開放及び停止と遮断の動作の為にも有効活用が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面と共に詳細に説明する。
ここで、図1は、本願発明の加圧によって樹脂の供給と気体の開放を示した図であり、図2は、本願発明の加圧によって樹脂の停止と気体の遮断を示した図であり、図3は、本願発明の形状記憶合金によって樹脂の供給と気体の開放を示した図であり、図4は、本願発明の形状記憶合金によって樹脂の停止と気体の遮断を示した図である。
【0019】
(第一の実施例)
図1と図2に見られる様に、40はゴム筒シャッターであり、伸縮可能な弾性ゴム41と円筒42から構成され、弾性ゴム41と円筒42の間には密閉された加圧室40aを形成している。 この場合、円筒42には、窒素ガス供給口42aが形成されていて、圧力の高い高圧窒素ガス154が流入する様になっている。 尚、図1と図2には具体的に図示していないが、両端に取付の為の鍔を持った弾性ゴム41と両端に取付の為の鍔を持った円筒42の両者が、注入プレート14とローダー取付プレート21に複数のボルトで固定されるようになっている。 当然のことながら、弾性ゴム41とローダー取付プレート21および注入プレート14の間は、窒素ガス151が洩れない様に密閉等の配慮はされている。
【0020】
ところで、加圧室40aに圧力の高い高圧窒素ガス154を流入させることで、伸縮可能な弾性ゴム41の外側に高圧窒素ガス154を充填させ、従って弾性ゴム41を圧縮して図2に見られる様に中央部で密着させた状態にすることが可能となり、それによって吸引式ローダー20から可塑化シリンダー11に対する樹脂材料153の供給を停止する様にまた可塑化シリンダー11から吸引式ローダー20に流れる気体である窒素ガス151の出入りを遮断する様にしているのである。
【0021】
その一方、加圧室40aから高圧窒素ガス154を排出させることで加圧された状態が解消され、図1に見られる様に弾性ゴム41を当初の自然な形状を保った状態に戻して、樹脂材料153が吸引式ローダー20から可塑化シリンダー11に流れ易い形で供給できる様にまた気体である窒素ガス151の出入りとしては可塑化シリンダー11から吸引式ローダー20に容易に流れることで開放する様にさせているのである。
【0022】
ここで大切な事は、弾性ゴム41の形状については、加圧する前の当初のものは両端の鍔を除いて内側と外側共に単純な円筒状のものであり、内側には樹脂材料153が通過することになるが、樹脂材料153が付着したり残留する可能性のある切欠きや凹凸をした形状を持たないことである。
【0023】
さて、高圧窒素ガス154は、円筒42を形成している窒素ガス供給口42aに接続している窒素ガス配管165より加圧室40aに流入するようになっている。 この場合、窒素ガス発生装置45から圧力の高い窒素ガスが窒素ガス配管161、163によって減圧弁47と電磁弁46に流れるようになっている。 そして、減圧弁47からは、窒素ガス配管162から窒素ガス配管121に接続して大気圧位まで減圧した窒素ガス151を可塑化シリンダー11の内側に供給するようになっている。
【0024】
また、電磁弁46からは、窒素ガス配管165を窒素ガス供給口42aに接続して圧力の高い高圧窒素ガス154を加圧室40aに供給して図2に見られる様に弾性ゴム41を圧縮したり、電磁弁46のもう一つ別の選択として窒素ガス供給口42aに接続している窒素ガス配管165によって加圧室40aから高圧窒素ガス154を排出することで弾性ゴム41を図1に見られる様に当初の自然な形状にしながら電磁弁46を経由した後に窒素ガス配管164によって窒素ガス配管162に合流させている。 この場合、排出する高圧窒素ガス154は、大気圧位にまで減圧する目的で減圧弁47や他の減圧弁を介することも考えられる。
【0025】
尚、窒素ガス発生装置45に関しては、窒素ガスを貯蔵しているタンクやボンベによるものでも構わないし、圧縮空気を分離膜に送り込むことで窒素ガスを作り出す方式のものでも構わないし、圧縮空気をPSA装置に送り込むことで窒素ガスを作り出す方式のものでも構わない。
【0026】
加えて、加圧室40aと窒素ガス発生装置45と電磁弁46は、ゴム筒シャッター40を作動させることで図1と図2の状態を作り出す開閉手段40a、45、46を意味していて、窒素ガス発生装置45から電磁弁46の作動によって円筒42の内側と弾性ゴム41の外側の間の密閉された加圧室40aに圧力の高い高圧窒素ガス154を充填したり排出することで、弾性ゴム41を密着させたり当初の自然な形状に戻すことが可能となるのである。
【0027】
一方、窒素ガス配管121は、可塑化シリンダー11の内側に窒素ガス151を送り込むことを目的としている。 従って、可塑化シリンダー11内の溶融樹脂は、酸化される心配も無い。
【0028】
ところで、弾性ゴム41を密着させる方法としては、加圧室40aに圧力の高い高圧窒素ガス154を充填することに限定する必要は無く、高圧窒素ガス154の代わりに圧縮空気やその他の高圧ガスを充填しても構わない。 また、弾性ゴム41の外側に往復動のシリンダーを配設することで、それを作動させストロークエンドの状態で弾性ゴム41を密着の状態にさせることも可能である。 従って、これ等に関しても開閉手段と言うことは出来る。
【0029】
尚、ゴム筒シャッター40の上部には、ローダー取付プレート21を介して樹脂材料153を導入し貯留する吸引式ローダー20を配設している。 この場合、吸引式ローダー20は、吸出口20aより吸引エアー171を排出することによってその内部に樹脂材料153を導入する目的で配設したものであり、吸引エアー171の吸引を開始すると、吸引開始の電気信号によって直ちに電磁弁46を作動させ、それによって弾性ゴム41が圧縮して密着する様に窒素ガス発生装置45から加圧室40aに高圧窒素ガス154を送っているのである。
【0030】
本発明による、樹脂成型機で樹脂材料を供給し気体を遮断する方法および装置は前述したように構成されており、以下にその動作について説明する。
【0031】
先ず、前提条件として、可塑化シリンダー11の内圧は、グランド部等から大気と繋がっていて、ほぼ大気圧に近い状態になっている。 従って、窒素ガス発生装置45からの窒素ガスは、0.6〜0.8MPa程度の圧力のものが流れて来るが、減圧弁47を通過したものに関しては、ほぼ大気圧程度に減圧された窒素ガス151が窒素ガス配管162、121を経由して可塑化シリンダー11の内部に流れて来るようになっている。
【0032】
ところで、一例として射出成型作業時には、樹脂成型機10Aが駆動されて可塑化工程が開始される。 即ち、加熱を目的として配設されたヒーターが通電され、スクリュー12が回転させられることにより、吸引式ローダー20内の樹脂材料153は、ゴム筒シャッター40と材料供給口プレート13を通り可塑化シリンダー11内のスクリュー12の螺旋溝12aに沿って前方のノズル側に移送され、加熱及びせん断作用によって溶融・混錬され、スクリューヘッドの前側の溶融樹脂貯留部に順次貯留される。 この間、貯留部の溶融樹脂の圧力によりスクリュー12は後退させられる。 ここで、所定の溶融樹脂が貯留されると、スクリュー12の回転が停止して、可塑化工程が終了する。
【0033】
次に、スクリュー駆動装置の軸方向駆動部でスクリュー12に前進方向の力が加えられることにより、貯留された溶融樹脂がノズルを通り、金型のキャビティ内に射出され、射出工程が行われる。 このとき、逆流防止リングは、押し金の前端部に押し付けられることにより、貯留中の溶融樹脂が材料供給口プレート13側に逆流するのを防止しているのである。 従って、可塑化シリンダー11内の逆流防止リングより前方は高圧になるが、逆流防止リングより後方は大気圧程度の圧力である。 また、逆流防止リングより後方では、材料供給口プレート13に近づくほど未溶融樹脂の割合が増加し、材料供給口プレート13の近傍では未溶融樹脂だけになっているのである。 特に、材料供給口プレート13の近傍では可塑化シリンダー11に送り込まれた樹脂は、空隙の多い状態になっているのである。
【0034】
一方、吸引式ローダー20を作動させて、樹脂材料153が材料流入口20bより吸引式ローダー20内に導入される様に吸出口20aより吸引エアー171の吸引を開始すると、吸引開始の電気信号によって直ちに電磁弁46を作動させ、窒素ガス発生装置45から窒素ガス配管161、163と電磁弁46と窒素ガス配管165を経由して窒素ガス供給口42aより加圧室40aに高圧窒素ガス154を送り充填する。 その事によって、図2に見られる様に弾性ゴム41が圧縮して中央部を密着させることで、吸引式ローダー20から可塑化シリンダー11に対する樹脂材料153の供給を停止したり可塑化シリンダー11から吸引式ローダー20に流れる気体である窒素ガス151を遮断する事が出来るのである。
【0035】
ここで、吸引式ローダー20の作動を停止すると、今迄は発信していた電気信号の発信を止めることで電磁弁46にもう一つ別の作動をさせ、加圧室40aに充填していた高圧窒素ガス154を窒素ガス供給口42aから窒素ガス配管165を経由して電磁弁46に送り、更に電磁弁46から窒素ガス配管164を経由して窒素ガス配管162に合流して窒素ガス151として窒素ガス配管121を経由して可塑化シリンダー11の内側に送っているのである。 その事によって、弾性ゴム41は、図1に見られる様に当初の自然な形状を保った状態に戻るのである。
【0036】
尚、可塑化シリンダー11の内側には、窒素ガス発生装置45から窒素ガス配管161と減圧弁47と窒素ガス配管162と窒素ガス配管121を経由して常時窒素ガス151が送り込まれ、溶融樹脂の酸化を防止している。
【0037】
(第二の実施例)
図3と図4に見られる様に、50は形状記憶合金筒シャッターであり、形状記憶合金51と筒52から構成されている。 この場合、筒52は、その上部に配設している吸引式ローダー20とローダー取付プレート21を支える為のもので、円筒を含む筒状のものでも複数の柱を位置させても構わない。 尚、図3と図4には具体的に図示していないが、形状記憶合金51と筒52は、注入プレート14とローダー取付プレート21に複数のボルトで固定したり、柱そのものをボルトにすることも考えられる。 当然のことながら、形状記憶合金51とローダー取付プレート21および注入プレート14の間は、窒素ガス152が洩れない様に密閉等の配慮はされている。
【0038】
また、形状記憶合金51には通電可能な様に、電源55からスイッチ56を経由させ配線57、58と接続している。 この場合、図3と図4には具体的に図示していないが、制御装置と接続して吸引式ローダー20の作動に対応し、電気信号がスイッチ56に来るようになっている。 尚、その他の構成に関しては、第一の実施例に同じであるので省略する。
【0039】
本発明による、樹脂成型機で樹脂材料を供給し気体を遮断する方法および装置は前述したように構成されており、以下にその動作について説明する。
【0040】
この場合、樹脂成型機10Bの駆動に関しては、第一の実施例の樹脂成型機Aの駆動と同じになるので省略する。
【0041】
そこで先ず、吸引式ローダー20を作動させて、樹脂材料153が材料流入口20bより吸引式ローダー20内に導入される様に吸出口20aより吸引エアー171の吸引を開始すると、吸引開始の電気信号によって直ちにスイッチ56を作動させて通電の状態にする。 その事によって、形状記憶合金51は図4に見られる様に中央部を密着させることで、吸引式ローダー20から可塑化シリンダー11に対する樹脂材料153の供給を停止したり吸引式ローダー20と可塑化シリンダー11の間を流れる気体である窒素ガス152を遮断する事が出来るのである。
【0042】
一方、吸引式ローダー20の作動を停止すると、今迄は発信していた電気信号の発信を止めることでスイッチ56を切断の状態にし、図3に見られる様に形状記憶合金51は元の形状に戻り、樹脂材料153を供給したり気体である窒素ガス152を開放する様になるのである。
【産業上の利用可能性】
【0043】
樹脂材料を可塑化シリンダーに送り込む手前の位置を、ある時は樹脂材料が流れ易い形で供給出来る様にまた気体の出入りとしては容易に流れて開放する様に当初の自然な形状を保った状態に、他の時は樹脂材料の流れを停止する様にまた気体の出入りを遮断する様に密着させた状態にすることで、樹脂材料であるペレットを挟み込んだり、ペレットを切断し粉砕して樹脂材料の微細な粉末を発生させたり、時には樹脂材料を噛み込み装置が動かなくなることについては、全く発生しなくなり、品質の高い成形品を作り出すことが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】 本願発明の加圧によって樹脂の供給と気体の開放を示した図
【図2】 本願発明の加圧によって樹脂の停止と気体の遮断を示した図
【図3】 本願発明の形状記憶合金によって樹脂の供給と気体の開放を示した図
【図4】 本願発明の形状記憶合金によって樹脂の停止と気体の遮断を示した図
【図5】 従来の一般的な樹脂成型機
【図6】 従来のシリンダーによるシャッターの開閉で樹脂の停止と気体の遮断を示した図
【符号の説明】
【0045】
10A・・・・・樹脂成形機
10B・・・・・樹脂成形機
10C・・・・・樹脂成形機
10D・・・・・樹脂成形機
11・・・・・・可塑化シリンダー
12・・・・・・スクリュー
12a・・・・・螺旋溝
13・・・・・・材料供給口プレート
14・・・・・・注入プレート
20・・・・・・吸引式ローダー
20a・・・・・吸出口
20b・・・・・材料流入口
21・・・・・・ローダー取付プレート
30・・・・・・ホッパー
40・・・・・・ゴム筒シャッター
40a・・・・・加圧室(開閉手段)
41・・・・・・弾性ゴム
42・・・・・・円筒
42a・・・・・窒素ガス供給口
45・・・・・・窒素ガス発生装置(開閉手段)
46・・・・・・電磁弁(開閉手段)
47・・・・・・減圧弁
50・・・・・・形状記憶合金筒シャッター
51・・・・・・形状記憶合金
52・・・・・・筒
55・・・・・・電源
56・・・・・・スイッチ
57・・・・・・配線
58・・・・・・配線
60・・・・・・遮断装置
61・・・・・・シリンダー
61a・・・・・シリンダー本体
61b・・・・・ピストンロッド
61ba・・・・シャッター
61bb・・・・ロッド本体
61bc・・・・ピストン
62・・・・・・遮断プレート
63・・・・・・電磁弁
64・・・・・・ポンプ
121・・・・・窒素ガス配管
151・・・・・窒素ガス
152・・・・・窒素ガス
153・・・・・樹脂材料
154・・・・・高圧窒素ガス
161・・・・・窒素ガス配管
162・・・・・窒素ガス配管
163・・・・・窒素ガス配管
164・・・・・窒素ガス配管
165・・・・・窒素ガス配管
166・・・・・エアー配管
167・・・・・エアー配管
168・・・・・エアー配管
169・・・・・エアー配管
171・・・・・吸引エアー
172・・・・・排出ガス
173・・・・・排出ガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成型機で樹脂材料を供給し気体を遮断する方法に於いて、樹脂材料を可塑化シリンダー(11)に送り込む手前の位置を、ある時は樹脂材料が流れ易い形で供給出来る様にまた気体の出入りとしては容易に流れて開放する様に当初の自然な形状を保った状態に、他の時は樹脂材料の流れを停止する様にまた気体の出入りを遮断する様に密着させた状態にすることを特徴とする樹脂成型機で樹脂材料を供給し気体を遮断する方法。
【請求項2】
密着させた状態とは、内側を樹脂材料が流れている筒状の伸縮可能な弾性ゴム(41)の外側に外部からの力を加えることによるものであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成型機で樹脂材料を供給し気体を遮断する方法。
【請求項3】
外部から力を加えるとは、前記弾性ゴム(41)の外側の密閉された加圧室(40a)に圧力の高いガスを充填することによるものであり、または前記弾性ゴム(41)の外側に往復動のシリンダーを配設して作動させることによるものであることを特徴とする請求項2に記載の樹脂成型機で樹脂材料を供給し気体を遮断する方法。
【請求項4】
圧力の高いガスは窒素ガスであり、使用後は溶融樹脂の酸化防止のために前記可塑化シリンダー(11)の内側に送り込むことを特徴とする請求項3に記載の樹脂成型機で樹脂材料を供給し気体を遮断する方法。
【請求項5】
密着させた状態とは、内側を樹脂材料が流れている筒状の形状記憶合金(51)に通電することにより達成するものであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成型機で樹脂材料を供給し気体を遮断する方法。
【請求項6】
樹脂成型機で樹脂材料を供給し気体を遮断する装置に於いて、樹脂材料を可塑化シリンダー(11)に送り込む手前に円筒(42)を設け、前記円筒(42)の内側に更にその内側を樹脂材料が流れていてその樹脂材料の付着する様な切欠きや凹凸部を形成していない伸縮可能な弾性ゴム(41)を配設し、前記弾性ゴム(41)は、ある時は樹脂材料が流れ易い形で供給出来る様にまた気体の出入りとしては容易に流れて開放する様に当初の自然な形状を保った状態に、他の時は樹脂材料の流れを停止する様にまた気体の出入りを遮断する様に前記弾性ゴム(41)を開閉手段(40a、45、46)によって密着させた状態にすることを特徴とする樹脂成型機で樹脂材料を供給し気体を遮断する装置。
【請求項7】
前記開閉手段(40a、45、46)は、窒素ガス発生装置(45)から電磁弁(46)の作動によって前記円筒(42)の内側と前記弾性ゴム(41)の外側の間の密閉された加圧室(40a)に圧力の高い高圧窒素ガス(154)を充填したり排出することによるものであることを特徴とする請求項6に記載の樹脂成型機で樹脂材料を供給し気体を遮断する装置。
【請求項8】
前記高圧窒素ガス(154)は、使用後は溶融樹脂の酸化防止のために窒素ガス配管(121)を経由して前記可塑化シリンダー(11)の内側に送り込むことを特徴とする請求項7に記載の樹脂成型機で樹脂材料を供給し気体を遮断する装置。
【請求項9】
前記開閉手段は、前記弾性ゴム(41)の外側に往復運動するシリンダーを配設することでその往復運動によって前記弾性ゴム(41)を密着させることで停止や遮断したり、当初の自然な形に戻して供給や開放をするものであることを特徴とする請求項6に記載の樹脂成型機で樹脂材料を供給し気体を遮断する装置。
【請求項10】
樹脂成型機で樹脂材料を供給し気体を遮断する装置に於いて、樹脂材料を可塑化シリンダー(11)に送り込む手前にその上部を支える筒(52)を設け、前記筒(52)の内側に更にその内側を樹脂材料が流れていてその樹脂材料の付着する様な切欠きや凹凸部を形成していない形状記憶合金(51)を配設し、前記形状記憶合金(51)は、ある時は樹脂材料が流れ易い形で供給出来る様にまた気体の出入りとしては容易に流れて開放する様に前記形状記憶合金(51)に通電しないことで当初の自然な形状を保った状態に、他の時は樹脂材料の流れを停止する様にまた気体の出入りを遮断する様に前記形状記憶合金(51)に通電することによって密着させた状態にすることを特徴とする樹脂成型機で樹脂材料を供給し気体を遮断する装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−55214(P2007−55214A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−269088(P2005−269088)
【出願日】平成17年8月22日(2005.8.22)
【出願人】(000154521)株式会社フクハラ (87)
【Fターム(参考)】