説明

樹脂組成物、フィルムまたはシート

【課題】接着強度に優れる樹脂組成物を提供する。
【解決手段】以下の成分(A)を30〜65重量%、成分(B)を5〜20重量%、および成分(C)を30〜50重量%含む樹脂組成物(ただし成分(A)、(B)、(C)の合計を100重量%とする)。
成分(A):プロピレン系重合体
成分(B):プロピレン系重合体を、カルボニル基、アミノ基、ヒドロキシル基のいずれかの官能基を少なくとも1つ有する化合物によって変性した酸変性プロピレン系重合体
成分(C):エポキシ基含有オレフィン系樹脂

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物、それからなるフィルムまたはシートに関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素樹脂は接着性に乏しい材料として知られている。特許文献1には、フッ素樹脂層からなる内層と、ポリウレタン樹脂からなる外層とを有する多層チューブにおいて、前記内層と外層との間に位置してこれらを接着する層として、少なくともグリシジルメタクリレートを含有するエチレン共重合体樹脂と酸変性ポリオレフィン樹脂とを配合したブレンド樹脂からなる中間層が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−126614
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、接着層として機能する中間層を構成するブレンド樹脂として、グリシジルメタクリレート含有エチレン共重合樹脂と酸変性ポリオレフィン樹脂とポリオレフィン系樹脂の配合比率が1:1:5〜30であるブレンド樹脂が記載されている。しかしながらこのようなブレンド樹脂には、接着強度のさらなる向上が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、鋭意検討の結果、以下に記載の手段により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、以下の成分(A)を30〜65重量%、成分(B)を5〜20重量%、および成分(C)を30〜50重量%含む樹脂組成物(ただし成分(A)、(B)、(C)の合計を100重量%とする)である。
成分(A):プロピレン系重合体
成分(B):プロピレン系重合体を、カルボニル基、アミノ基、ヒドロキシル基のいずれかの官能基を少なくとも1つ有する化合物によって変性した酸変性プロピレン系重合体
成分(C):エポキシ基含有オレフィン系樹脂
【発明の効果】
【0007】
本発明の樹脂組成物は、接着強度に優れるものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、以下の成分(A)を30〜65重量%、成分(B)を5〜20重量%、および成分(C)を30〜50重量%含む樹脂組成物(ただし成分(A)、(B)、(C)の合計を100重量%とする)である。
成分(A):プロピレン系重合体
成分(B):プロピレン系重合体を、カルボニル基、アミノ基、ヒドロキシル基のいずれかの官能基を少なくとも1つ有する化合物によって変性した酸変性プロピレン系重合体
成分(C):エポキシ基含有オレフィン系樹脂
以下、本発明について詳細に説明する。
【0009】
本発明における成分(A)のプロピレン系重合体としては、プロピレン単独重合体、プロピレン系ランダム共重合体、プロピレン系ブロック共重合体等が挙げられる。
プロピレン系ランダム共重合体またはプロピレン系ブロック共重合体としては、例えば、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体等のランダム共重合体またはブロック共重合体が挙げられる。
プロピレン系樹脂として、より好ましくは、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体である。
成分(A)として、これらの重合体を単独で用いてもよく、少なくとも2種を併用してもよい。
【0010】
プロピレン系重合体(A)の製造方法としては、例えば、チーグラー・ナッタ型触媒、周期表第4族〜第6族の遷移金属化合物を用いてなる触媒またはメタロセン触媒を用いて、プロピレンを単独重合またはプロピレンとα−オレフィンおよび/またはエチレンとを共重合する方法が挙げられる。
チーグラー・ナッタ型触媒としては、例えば、チタン含有固体状遷移金属成分と有機金属成分を組み合わせて用いられる触媒等が挙げられ、メタロセン触媒としては、例えば、シクロペンタジエン形アニオン骨格を少なくとも1個有する周期表第4族〜第6族の遷移金属化合物を用いてなる触媒等が挙げられる。
重合方法としては、例えば、スラリー重合法、気相重合法、バルク重合法、溶液重合法等が挙げられる。また、これらの重合方法を単独で用いる一段重合法またはこれらの重合法を組み合わせた多段重合法が挙げられる。
【0011】
本発明における成分(B)は、プロピレン系重合体を、カルボニル基、アミノ基、ヒドロキシル基のいずれかの官能基を少なくとも1つ有する化合物によって変性した酸変性プロピレン系重合体である。変性されるプロピレン系重合体としては、プロピレン単独重合体、プロピレン系ランダム共重合体、プロピレン系ブロック共重合体等が挙げられる。該プロピレン系重合体は、成分(A)のプロピレン系重合体と同じであっても異なっていてもよい。
プロピレン系ランダム共重合体またはプロピレン系ブロック共重合体としては、例えば、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体等のランダム共重合体またはブロック共重合体が挙げられる。
プロピレン系重合体として、より好ましくは、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体である。
また、これらの重合体を単独で用いてもよく、少なくとも2種を併用してもよい。
成分(B)を得るために酸変性するプロピレン系重合体の製造方法としては、成分(A)と同様の方法が挙げられる。
【0012】
成分(B)は、前記プロピレン系樹脂を、カルボニル基、アミノ基、ヒドロキシル基のいずれかの官能基を少なくとも1つ有する化合物によって変性して得られる酸変性プロピレン系重合体である。
【0013】
プロピレン系重合体を変性するカルボニル基で表される構造を有する化合物としては、例えば一塩基性不飽和カルボン酸、二塩基性不飽和カルボン酸、ならびにこれらの不飽和カルボン酸が挙げられる。一塩基性不飽和カルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸が挙げられる。また、二塩基性不飽和カルボン酸の例としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ナディック酸が挙げられる。また、これらカルボン酸の金属塩、アミド、イミド、エステル、酸無水物誘導体でもよい。
【0014】
プロピレン系重合体を変性するアミノ基で表される構造を有する化合物としては、アミノ基または置換アミノ基を有する各種の不飽和化合物を使用することができる。例えば、N,N−ジメチルメタクリル酸−2−アミノエチル、アリルアミン、アミノスチレン、メタクリル酸アミノプロピルなどが挙げられる。
【0015】
プロピレン系重合体を変性するヒドロキシル基で表される構造を有する化合物としては、ヒドロキシル基と不飽和結合をそれぞれ少なくとも1つ有する化合物を用いることができる。例えば、ヒドロキシプロペン、ヒドロキシブテン、ジヒドロキシブテン、ジヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルクロトネート、ペンタヒドロキシヘキシルアクリレートが挙げられる。
【0016】
酸変性プロピレン系重合体(B)の酸変性量は、0.01〜10重量%であることが好ましく、0.1〜5重量%であることがさらに好ましい。ただし、該酸変性プロピレン系重合体の重量を100%とする。変性量が0.01重量%以上であると、接着強度がより向上し、変性量が10重量%以下であると、成形性に優れる。
【0017】
酸変性プロピレン系重合体(B)の酸変性量は、以下の方法で求められる。酸変性プロピレン系重合体(B)を厚さ100μmにプレスしたフィルムの赤外吸収スペクトル測定における、1780cm−1付近の吸収強度より算出することができる。
【0018】
本発明における成分(C)は、エポキシ基含有オレフィン系樹脂である。エポキシ基含有オレフィン系樹脂(C)としては、好ましくはエポキシ基含有オレフィンとオレフィン系不飽和化合物とを共重合して得られる共重合体である。
【0019】
エポキシ基含有オレフィン系樹脂(C)のエポキシ基含量は0.03〜15重量%であり、好ましくは0.1〜10重量%である。またこれらエポキシ基含有オレフィン系樹脂は少なくとも2種を併用してもよい。
【0020】
エポキシ基含有オレフィンとは、その分子中にオレフィン系不飽和化合物と共重合しうる不飽和基とエポキシ基とをそれぞれ含有する化合物である。例えば不飽和グリシジルエステル類、不飽和グリシジルエーテル類等が挙げられる。
【0021】
具体的にはグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、イタコン酸グリシジルエステル類、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル等が例示される。これらのうち、グリシジルメタクリレートが特に好ましく用いられる。
【0022】
オレフィン系不飽和化合物とはオレフィン類、炭素原子数2〜6の飽和カルボン酸のビニルエステル類、炭素原子数1〜8の飽和アルコール成分とアクリル酸またはメタクリル酸とのエステル類、マレイン酸エステル類、メタクリル酸エステル類、フマル酸エステル類、ハロゲン化ビニル類、スチレン類、ニトリル類、ビニルエーテル類およびアクリルアミド類が挙げられる。
オレフィン系不飽和化合物としては、具体的にはエチレン、プロピレン、ブテン−1、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、マレイン酸ジメチル、フマル酸ジエチル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、アクリロニトリル、イソブチルビニルエーテルおよびアクリルアミド等が例示される。
【0023】
成分(C)として具体的には、上記エポキシ基含有オレフィン系樹脂とオレフィン系不飽和化合物の2元共重合体として、例えば、エチレンとエポキシ基含有オレフィンとの2元共重合体としてはエチレン−グリシジルアクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−イタコン酸モノグリシジルエステル共重合体、エチレン−イタコン酸ジグリシジルエステル共重合体、エチレン−アリルグリシジルエーテル共重合体、エチレン−2−メチルアリルグリシジルエーテル共重合体、エチレン−スチレン−p−グリシジルエーテル共重合体などが挙げられる。エチレンの代わりにプロピレン、ブテン−1、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、マレイン酸ジメチル、フマル酸ジエチル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、アクリロニトリル、イソブチルビニルエーテルおよびアクリルアミド等のオレフィン系不飽和化合物を用いた2元共重合体でもよい。また成分(C)は、エポキシ基含有オレフィン系樹脂、オレフィン系不飽和化合物の中から選ばれた3種類の化合物のエポキシ基含有オレフィン系樹脂−オレフィン系不飽和化合物3元共重合体であってもよい。例えば、エチレン−プロピレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−ブテン−1−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸メチル−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−メタクリル酸−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸メチル−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−マレイン酸ジメチル−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−フマル酸ジメチル−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−塩化ビニル−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−塩化ビニリデン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−スチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−アクリロニトリル−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−イソブチルビニルエーテル−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−アクリルアミド−グリシジルメタクリレート共重合体が挙げられる。
【0024】
エポキシ基含有オレフィン系樹脂(C)は種々の方法で合成することができる。例えばフリーラジカル開始剤による塊状重合、乳化重合、溶液重合などによって製造することができる。なお、代表的な重合方法は、特公昭46−45085号公報、特開昭61−127709号公報などに記載された方法、フリーラジカルを生成する重合開始剤の存在下、圧力500kg/cm2以上、温度40〜300℃の条件により製造することができる。また、エチレン、エチレン以外のオレフィン系不飽和化合物から選ばれる少なくとも1種の単量体からなる樹脂に不飽和エポキシ化合物およびラジカル発生剤を混合し、押出機の中で溶融グラフト共重合させる方法、あるいは不飽和エポキシ化合物とオレフィン系不飽和化合物とを水または有機溶剤等の不活性媒体中、ラジカル発生剤の存在下共重合させる方法が挙げられる。
【0025】
本発明の樹脂組成物は、前記した成分(A)を30〜65重量%、成分(B)を5〜20重量%、および成分(C)を30〜50重量%含む樹脂組成物であり、成分(A)を45〜65重量%、成分(B)を5〜15重量%、成分(C)を30〜40重量%含むことがより好ましい(ただし成分(A)、(B)、(C)の合計を100重量%とする)。上記のような組成の本発明の樹脂組成物は接着強度に優れ、フッ素樹脂など接着しにくい材料からなる成形体との接着性にも優れる。
【0026】
本発明の樹脂組成物の製造方法としては、特に制限されるものではなく、従来の樹脂組成物の製造において用いられている方法、例えば、成分(A)、成分(B)および成分(C)を混練機や押出機等を用いて溶融加熱混練して製造する方法が挙げられる。混練機としては、例えば、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール等が挙げられ、押出機としては、例えば、一軸押出機や二軸押出機が挙げられる。
本発明の樹脂組成物を溶融加熱混練して製造する場合、溶融混練温度は、好ましくは120〜300℃であり、より好ましくは150〜270℃であり、さらに好ましくは180〜250℃である。
【0027】
本発明の樹脂組成物は、成分(A)を0〜50重量%、成分(B)を0.5〜40重量%、成分(C)を60〜99.5重量%混合した混合物を予め上記のような方法で溶融加熱混練して組成物を得、該組成物にさらに成分(A)を混合し、再度溶融加熱混練して製造してもよい。
【0028】
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、例えば、造核剤、アンチブロッキング剤、耐熱安定剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、オゾン劣化防止剤、耐候性安定剤、発泡剤、無機充填剤、帯電防止剤、着色剤等の各種添加剤を加えることができる。
【0029】
本発明の樹脂組成物は、フィルムまたはシートにして、接着性が求められる用途に使用することができる。また、基材の少なくとも片面に本発明の樹脂組成物からなる層が積層された積層体も、接着性が求められる用途に使用される。本発明の樹脂組成物からなる層を含む、単層または積層のフィルムまたはシートの製造方法としては、例えば、通常用いられる押出成形法、Tダイ法、インフレーション法、カレンダー法、ラミネ−ション成形、プレス成形等を挙げることができる。
【0030】
また、2つの異なる物品を、本発明の樹脂組成物によって接着して、積層体とすることもできる。この場合、物品を基材とみなすことができる。前記樹脂組成物に換えて、基材の両面に該樹脂組成物からなる層が積層された積層体を用いて、2つの異なる物品を接着してもよい。接着する2つの物品を構成する材料は、同じであってもよく、異なっていてもよい。物品を構成する材料としては、例えば、金、銀、銅、鉄、錫、鉛、アルミニウム、シリコン等の金属類、ガラス、セラミックス等の無機材料類、紙、布等のセルロース系高分子類、メラミン系樹脂、アクリル・ウレタン系樹脂、ウレタン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン・アクリロニトリル系共重合体、ポリカーボネート系樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂等の合成高分子類等が挙げられる。各物品は、2種類以上の材料から構成されていてもよい。物品の形状は特に限定されず、フィルム状、シート状、板状、繊維状等が挙げられる。また、物品には、必要に応じて、離型剤、メッキ等の被膜、本発明以外の樹脂組成物からなる塗料による塗膜、プラズマやレーザー等による表面改質、表面酸化、エッチング等の表面処理等が施されていてもよい。
【0031】
本発明の樹脂組成物または基材の両面に前記樹脂組成物からなる層を有する積層体によって2つの物品を接着する方法としては、2つの物品の間に、樹脂組成物からなるフィルムまたはシート、あるいは積層体を挟んで、通常100℃〜350℃、好ましくは120〜300℃、特に好ましくは140〜250℃の温度範囲で、数秒〜10分間加熱する方法が挙げられる。また、加熱可能なプレス機を用い、大気圧〜6MPaの範囲で積層してもよい。
【0032】
本発明の樹脂組成物は、集積回路、プリント配線板等の電子・電気部品等の接着に好ましく用いられる。本発明のフィルムまたはシートは、特に電気・電子分野の部品の接着に好適に用いることができる。
【実施例】
【0033】
以下、実施例等により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0034】
1.メルトフローレート(MFR)
メルトフローレート(MFR)は、JIS K 7210に準拠して実施した。
【0035】
2.接着強度
接着強度は、下記層構成で測定を行った。
アルミニウム板(50μmt)/樹脂組成物からなるフィルム/アルミニウムシート(2mmt)の順で積層して、230℃、3kg/cm、5秒の条件で接着した。(以下、AL//ALと示す。)剥離は1.5cm幅でT剥離を行い、温度は23℃または100℃、剥離速度は200mm/minとした。
ETFE(50μmt)/樹脂組成物からなるフィルム/PPシート(2mmt)の順で積層して、230℃、3kg/cm、5秒の条件で接着した。(以下、ETFR//PPと示す。)ETFEシートは東洋ポリマー(株)製、PPシートは住友化学(株)製ノーブレン AW564をインジェクション成形して得たシートである。剥離は1.5cm幅で180°剥離を行い、温度は23℃または100℃、剥離速度は200mm/minとした。
【0036】
実施例、比較例に用いた(A)〜(C)の重合体について物性などを下記に示す。
【0037】
プロピレン系重合体(A)
(A−1):住友化学(株)製ノーブレン H501、ホモポリプロピレン、MFR(230℃)=4
(A−2):住友化学(株)製ノーブレン FLX80E4、ホモポリプロピレン、MFR(230℃)=9g/10分
【0038】
酸変性プロピレン系樹脂(B)
(B):無水マレイン酸変性ポリプロピレン、MFR(230℃)=120g/10分、マレイン酸グラフト量=0.5重量%
【0039】
エポキシ基含有オレフィン系樹脂(C)
(C):エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(グリシジルメタクリレート=13.5重量%)、MFR(190℃)=3g/10分
【0040】
(実施例1)
A−1:B:C=50:5:45の重量比でペレットブレンドにより混合し、20mmΦTダイで230℃にて100μm厚フィルムを作成した。得られたフィルムのMFRと、接着強度を表1に示した。
(実施例2)
A−1:B:C=50:10:40の重量比とした以外は実施例1と同様に行った。
(実施例3)
A−1:B:C=60:8:32の重量比で混合し、30mmΦ単軸押出機で250℃にて溶融混練して樹脂組成物を作成した。該樹脂組成物を用いて、20mmΦTダイで230℃にて100μm厚のフィルムを作成した。得られた樹脂組成物のMFRと、フィルムを用いて測定した接着強度を表1に示した。
(実施例4)
A−1:B:C=50:10:40の重量比とした以外は実施例3と同様に行った。
(実施例5)
プロピレン系重合体(A)に住友化学(株)製ノーブレン FLX80E4(A−2;ホモポリプロピレン、MFR(230℃)=9)を用いた以外は実施例3と同様に行った。MFRと接着強度を表2に示した。
(実施例6)
プロピレン系重合体(A)にA−2を用いた以外は実施例4と同様に行った。
(比較例1)
B=100とし、プロピレン系樹脂(A)、エポキシ基含有オレフィン系樹脂(C)を用いなかった以外は実施例1と同様にしてフィルムの接着強度を測定した。MFRはペレットの値である。これらの値を表3に示した。
(比較例2)
C=100とし、プロピレン系樹脂(A)、酸変性プロピレン系樹脂(B)を用いなかった以外は比較例1と同様に行った。AL//AL、23℃の条件では接着強度が4000g/1.5cmを超え、剥離できなかった。
(比較例3)
A:B=75:25とし、エポキシ基含有オレフィン系樹脂(C)を用いなかった以外は実施例1と同様に行った。
(比較例4)
A:C=75:25とし、酸変性プロピレン系樹脂(B)を用いなかった以外は実施例1と同様に行った。
(比較例5)
A−1:C=80:20の重量比とし、酸変性プロピレン系樹脂(B)は用いなかった以外は実施例3と同様にして樹脂組成物、フィルムを得た。樹脂組成物のMFR、フィルムを用いて測定した接着強度を表4に示した。
(比較例6)
A−1:C=70:30の重量比とした以外は比較例5と同様に行った。
(比較例7)
A−1:C=60:40の重量比とした以外は比較例5と同様に行った。
(比較例8)
A−1:C=50:50の重量比とした以外は比較例5と同様に行った。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
【表3】

【0044】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(A)を30〜65重量%、成分(B)を5〜20重量%、および成分(C)を30〜50重量%含む樹脂組成物(ただし成分(A)、(B)、(C)の合計を100重量%とする)。
成分(A):プロピレン系重合体
成分(B):プロピレン系重合体を、カルボニル基、アミノ基、ヒドロキシル基のいずれかの官能基を少なくとも1つ有する化合物によって変性した酸変性プロピレン系重合体
成分(C):エポキシ基含有オレフィン系樹脂
【請求項2】
前記成分(B)の酸変性ポリプロピレン系樹脂の変性量が0.01〜10重量%である請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
成分(C)のエポキシ基含有オレフィン系樹脂が、少なくともエチレンとエポキシ基含有オレフィンとを共重合して得られる共重合体である請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
(C)成分のエポキシ基含有オレフィン系樹脂のエポキシ基含量が0.03〜15重量%である請求項1〜3のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
【請求項5】
成分(A)がホモポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体の中から選ばれる少なくとも1種のプロピレン系重合体である請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項6】
成分(B)が、ホモポリプロピレンまたはエチレン−プロピレン共重合体を、カルボニル基、アミノ基、ヒドロキシル基のいずれかの官能基を少なくとも1つ有する化合物で変性された酸変性プロピレン系重合体である請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物から形成されるフィルムまたはシート。
【請求項8】
基材の少なくとも片面に、請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物からなる層が積層された積層体。
【請求項9】
2つの異なる物品を、請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物によって接着する方法。

【公開番号】特開2010−241920(P2010−241920A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−90833(P2009−90833)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】