説明

樹脂組成物、樹脂層、樹脂層付きキャリア材料および回路基板

【課題】 誘電特性、寸法安定性および実装信頼性に優れる樹脂組成物、樹脂層、樹脂層付きキャリア材料および回路基板を提供する。
【解決手段】 (A)環状オレフィン系樹脂と、(B)多孔質無機フィラー、無機中空フィラー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子のいずれか一種もしくは複数種組み合わせたものと、を含んでなることを特徴とする樹脂組成物、好ましくは、前記環状オレフィン系樹脂がポリノルボルネン系樹脂を含むものである樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物、樹脂層、樹脂層付きキャリア材料および回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の高機能化並びに軽薄短小化の要求に伴い、電子部品の高密度集積化、高密度実装化が進むと共に、電気信号の高速伝送化が要求されている。しかしながら、電子部品の高密度化が進むにつれて、電気信号の遅延などによって電気的性能が確保できない状況にまで高速化が進展してきているため、電気信号の劣化防止が、高速伝送化のための課題となっている。電気信号の劣化は、導体からの電気信号の損失および誘電体からの電気信号の損失の和となる。例えば多層配線板においては、特に層間絶縁材料に起因する誘電体からの電気信号の損失は、電気信号の周波数の増大に伴い、顕著に増加し、GHz帯の周波数においては、電気信号が劣化する主要因となっている。そのため、多層配線板などの電子デバイスの層間絶縁材料として、一般に使用されているエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等では、誘電率、誘電正接の電気特性が不十分であり、電気信号の高速伝送化に対応することが困難となる場合がある。
【0003】
そこで、誘電特性に優れ、電子機器において、半導体素子やその他の実装部品を実装するための配線板用の材料としてポリノルボルネン系樹脂が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、ポリノルボルネン系樹脂は熱膨張係数が大きく、小型高性能化に伴う狭ピッチ化に対して寸法安定性の観点から問題が残る。このような問題を改善するために、無孔無機シリカを充填することで熱膨張係数をおさえてきた(例えば、特許文献2参照)。しかし、無孔無機シリカを充填することで、かえって絶縁材料としての誘電特性は劣化してしまうという問題が残った。
【0004】
【特許文献1】特開2002−232138号公報
【特許文献2】国際公開第94/20575号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、回路基板の絶縁層を形成した場合に、誘電特性および寸法安定性に優れる樹脂組成物を提供することにある。
また、本発明の目的は、誘電特性および寸法安定性に優れる樹脂層を提供することである。
また、本発明の目的は、誘電特性及び寸法安定性に優れる樹脂層付きキャリア材料を提供することである。
また、本発明の目的は、誘電特性及び接続信頼性に優れた回路基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、以下[1]〜[11]に記載の本発明により達成される。
[1] (A)環状オレフィン系樹脂と、(B)多孔質無機フィラー、無機中空フィラー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子のいずれか一種もしくは複数種組み合わせたものと、を含んでなることを特徴とする樹脂組成物。
[2] (A)環状オレフィン系樹脂と、(B)多孔質無機フィラー、無機中空フィラー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子のいずれか一種もしくは複数種組み合わせたものと、(C)無孔無機フィラーと、を含んでなることを特徴とする樹脂組成物。
[3] 前記多孔質無機フィラーが多孔質シリカであり、前記無機中空フィラーが無機中空シリカであり、前記無孔無機フィラーがシリカである第[1]又は[2]項に記載の樹脂組成物。
[4] 前記環状オレフィン系樹脂は、ポリノルボルネン系樹脂を含むものである第[1]ないし[3]項のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5] 前記ポリノルボルネン系樹脂は、下記一般式(1)で表される構造を含むものである第[4]項に記載の樹脂組成物。
【0007】
【化3】

(式(1)中、Xは、O,−CH2−または−CH2CH2−を示し、R1、R2、R3、およびR4はそれぞれ、水素、あるいは、直鎖もしくは分岐したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシシリル基、エポキシ基を含有する有機基、アルコキシシリル基を含有する有機基、エーテル基を含有する有機基、(メタ)アクリル基を含有する有機基、エステル基を含有する有機基、およびケトン基を含有する有機基から選ばれる基を示し、これらの基は、アルキル基、エーテル基、エステル基を介して結合されていても良く、同一であっても、異なっていても良い。mは10〜10000の整数、nは0〜5までの整数である。)
[6] 前記ポリノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン型モノマーを付加重合して得られるものである第[4]または[5]項に記載の樹脂組成物。
【0008】
[7] 前記ポリノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン型モノマーを付加重合して得られるものである第[4]ないし[6]項のいずれかに記載の樹脂組成物。
[8] 前記ポリノルボルネン系樹脂は、下記一般式(2)で表されるモノマーを含むノルボルネン型モノマーを付加(共)重合して得られるものである第[4]ないし[7]項のいずれかに記載の樹脂組成物。
【0009】
【化4】

(式(2)中、Xは、O,−CH2−または−CH2CH2−を示し、R1、R2、R3、およびR4はそれぞれ、水素、あるいは、直鎖もしくは分岐したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシシリル基、エポキシ基を含有する有機基、アルコキシシリル基を含有する有機基、エーテル基を含有する有機基、(メタ)アクリル基を含有する有機基、エステル基を含有する有機基、およびケトン基を含有する有機基から選ばれる基を示し、これらの基は、アルキル基、エーテル基、エステル基を介して結合されていても良く、同一であっても、異なっていても良い。nは0〜5までの整数である。)
【0010】
[9] 第[1]ないし[8]項のいずれかに記載の樹脂組成物で構成されていることを特徴とする樹脂層。
[10] 第[9]項に記載の樹脂層が、キャリア材料の少なくとも片面に形成されていることを特徴とする樹脂層付きキャリア材料。
[11] 第[9]項に記載の樹脂層を有することを特徴とする回路基板。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、従来成し得なかった誘電特性と寸法安定性とがともに優れる樹脂組成物が得られるため、これを多層配線板などの電子デバイスの層間絶縁材料として用いることにより、電気信号の高速伝送化、及び小型高性能化に伴う狭ピッチ化への対応が可能となる樹脂層付きキャリア材料、回路基板が得られるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の樹脂組成物、樹脂層、樹脂層付きキャリア材料および回路基板について説明する。
本発明の樹脂組成物は、配線板の樹脂層を構成する樹脂組成物であって、(A)環状オレフィン系樹脂と、(B)多孔質無機フィラー、無機中空フィラー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子のいずれか一種もしくは複数種組み合わせたものと、を含むことを特徴とする。
また、本発明の樹脂層は、上記に記載の樹脂組成物で構成されていることを特徴とする。
また、本発明の樹脂付きキャリア材料は、上記に記載の樹脂層が、キャリア材料の少なくとも片面に形成されていることを特徴とする。
また、本発明の回路基板は、上記に記載の樹脂層を有することを特徴とする。
【0013】
まず、樹脂組成物について説明する。
【0014】
本発明で使用する環状オレフィン系樹脂としては、環状オレフィンモノマーの重合体が挙げられる。なお重合方法はランダム重合、ブロック重合など公知の方法が用いられる。具体例としては、ノルボルネン型モノマーの(共)重合体、ノルボルネン型モノマーとα−オレフィン類などの共重合可能な他のモノマーとの共重合体、およびこれらの共重合体の水素添加物などが具体例に該当する。これら環状オレフィン系樹脂は、公知の重合法により製造することが可能であり、その重合方法には付加重合法と開環重合法とがある。このうち、ノルボルネンモノマーを付加(共)重合することによって得られたポリマーが好ましいが、本発明はなんらこれに限定されるものではない。
【0015】
前記環状オレフィンモノマーとしては、一般的には、シクロヘキセン、シクロオクテン等の単環体、ノルボルネン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、トリシクロペンタジエン、ジヒドロトリシクロペンタジエン、テトラシクロペンタジエン、ジヒドロテトラシクロペンタジエン等の多環体が挙げられる。これらのモノマーに官能基が結合した置換体も用いることができる。
【0016】
環状オレフィン系樹脂の付加重合体としては、(1)ノルボルネン型モノマーを付加(共)重合させて得られるノルボルネン型モノマーの付加(共)重合体、(2)ノルボルネン型モノマーとエチレンやα−オレフィン類との付加共重合体、(3)ノルボルネン型モノマーと非共役ジエン、および必要に応じて他のモノマーとの付加共重合体が挙げられる。これらの樹脂は公知のすべての重合方法で得ることができる。
【0017】
環状オレフィン系樹脂の開環重合体としては、(4)ノルボルネン型モノマーの開環(共)重合体、及び必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂、(5)ノルボルネン型モノマーとエチレンやα−オレフィン類との開環共重合体、及び必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂、(6)ノルボルネン型モノマーと非共役ジエン、又は他のモノマーとの開環共重合体、及び必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂が挙げられる。これらの樹脂は公知のすべての重合方法で得ることができる。
上記のうち、(1)ノルボルネン型モノマーを付加(共)重合させて得られる付加(共)重合体が好ましいが、本発明はなんらこれに限定されるものではない。
【0018】
環状オレフィン系樹脂の付加重合体は、金属触媒による配位重合、又はラジカル重合によって得られる。このうち、配位重合においては、モノマーを、遷移金属触媒存在下、溶液中で重合することによってポリマーが得られる(NiCOLE R. GROVE et al. Journal of Polymer Science:part B,Polymer Physics, Vol.37, 3003−3010(1999))。
配位重合に用いる金属触媒として代表的なニッケルと白金触媒は、PCT WO 9733198とPCT WO 00/20472に述べられている。配位重合用金属触媒の例としては、(トルエン)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、(メシレン)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、(ベンゼン)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、ビス(テトラヒドロ)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、ビス(エチルアセテート)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、ビス(ジオキサン)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケルなどの公知の金属触媒が挙げられる。
【0019】
ラジカル重合技術については、Encyclopedia of Polymer Science, John Wiley & Sons, 13, 708(1988)に述べられている。
一般的にはラジカル重合はラジカル開始剤の存在下、温度を50℃〜150℃に上げ、モノマーを溶液中で反応させる。ラジカル開始剤としてはアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル、アゾビスイソカプトロニトリル、アゾビスイソレロニトリル、t−ブチル過酸化水素などである。
【0020】
環状オレフィン系樹脂の開環重合体は、公知の開環重合法により、チタンやタングステン化合物を触媒として、少なくとも一種以上のノルボルネン型モノマ−を開環(共)重合して開環(共)重合体を製造し、次いで必要に応じて通常の水素添加方法により前記開環(共)重合体中の炭素−炭素二重結合を水素添加して熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂を製造することによって得られる。
【0021】
上述重合系の適当な重合溶媒としては炭化水素や芳香族溶媒が含まれる。炭化水素溶媒の例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、やシクロヘキサンなどであるがこれに限定されない。芳香族溶媒の例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンやメシチレンなどであるがこれに限定されない。ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチルアセテート、エステル、ラクトン、ケトン、アミドも使用できる。これら溶剤を単独や混合しても重合溶媒として使用できる。
【0022】
本発明の環状オレフィン系樹脂の分子量は、開始剤とモノマーの比を変えたり、重合時間を変えたりすることにより制御することができる。上記の配位重合用が用いられる場合、米国特許No.6,136,499に開示されるように、分子量を連鎖移動触媒を使用することにより制御することができる。この発明においては、エチレン、プロピレン、1−ヘキサン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン、などα―オレフィンが分子量制御するのに適当である。
【0023】
本発明において環状オレフィン系樹脂の重量平均分子量は、10,000〜500,000、好ましくは30,000〜100,000さらに好ましくは50,000〜80,000である。重量平均分子量は標準ポリノルボルネンを用いて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。(ASTMDS3536−91準拠)
【0024】
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂は、炭化水素からなる有機基および/または官能基を含有する有機基を含むものであってもよい。一般的には分子内に炭化水素からなる有機基および/または官能基を含有する有機基を含むモノマーを直接重合することによって得ることができるが、重合後に変性反応等によって側鎖に炭化水素からなる有機基および/または官能基を含有する有機基を導入する方法によっても同様の重合体を得ることができる。
【0025】
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂を製造するために使用する環状オレフィンモノマーとしては、一般式(2)で表されるノルボルネン型モノマーが好ましい。
アルキル基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチル基等が、アルケニル基の具体例としては、ビニル、アリル、ブチニル、シクロヘキセニル基等が、アルキニル基の具体例としては、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、ヘキシニル、オクチニル、ヘプチニル基等が、アリール基の具体例としては、フェニル、トリル、ナフチル、アントラセニル基等が、アラルキル基の具体例としてはベンジル、フェネチル基等がそれぞれ挙げられるが、本発明は何らこれらに限定されない。また、エポキシ基の具体例としては、グリシジルエーテル基等が、アルコキシシリル基の具体例としては、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル、トリエトキシシリル、トリエトキシシリルエチル基等が、(メタ)アクリル基の具体例としては、メタクリロキシメチル基等が、エステル基の具体例としては、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、n−ブチルエステル、t−ブチルエステル基等が、がそれぞれ挙げられるが、本発明は何らこれらに限定されない。また、エーテル基およびケトン基を含有する有機基については、これらの基を有している官能基であれば特に構造は限定されない。
【化5】

(式(2)中、Xは、O,−CH2−または−CH2CH2−を示し、R1、R2、R3、およびR4はそれぞれ、水素、あるいは、直鎖もしくは分岐したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシシリル基、エポキシ基を含有する有機基、アルコキシシリル基を含有する有機基、エーテル基を含有する有機基、(メタ)アクリル基を含有する有機基、エステル基を含有する有機基、およびケトン基を含有する有機基から選ばれる炭素数1〜12個の基を示し、これらの基は、アルキル基、エーテル基、エステル基を介して結合されていても良く、同一であっても、異なっていても良い。nは0〜5までの整数である。)
【0026】
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂を製造するために使用する環状オレフィンモノマーとしては、例えば、アルキル基を有するものとして、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−プロピル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−ペンチル−2−ノルボルネン、5−ヘキシル−2−ノルボルネン、5−ヘプチル−2−ノルボルネン、5−オクチル−2−ノルボルネン、5−ノニル−2−ノルボルネン、5−デシル−2−ノルボルネンなど、アルケニル基を有するものとしては、5−アリル−2−ノルボルネン、5−メチリデン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−(2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(2,3−ジメチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(2−エチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(3,4−ジメチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(7−オクテニル)−2−ノルボルネン、5−(2−メチル−6−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(1,2−ジメチル−5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(5−エチル−5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(1,2,3−トリメチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネンなど、アルキニル基を有するものとしては、5−エチニル−2−ノルボルネンなど、アルコキシシリル基を有するものとしては、ジメチルビス((5−ノルボルネン−2−イル)メトキシ))シランなど、シリル基を有するものとしては、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ジメチルビス((2−(5−ノルボルネン−2−イル)エチル)トリシロキサンなど、アリール基を有するものとしては、5−フェニルー2−ノルボルネン、5−ナフチル−2−ノルボルネン、5−ペンタフルオロフェニル−2−ノルボルネンなど、アラルキル基を有するものとしては、5−ベンジル−2−ノルボルネン、5−フェネチル−2−ノルボルネン、5−ペンタフルオロフェニルメタン−2−ノルボルネン、5−(2−ペンタフルオロフェニルエチル)−2−ノルボルネン、5−(3−ペンタフルオロフェニルプロピル)−2−ノルボルネンなど、アルコキシシリル基を有するものとしては、5−トリメトキシシリル−2−ノルボルネン、5−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン、5−(2−トリメトキシシリルエチル)−2−ノルボルネン、5−(2−トリエトキシシリルエチル)−2−ノルボルネン、5−(3−トリメトキシプロピル)−2−ノルボルネン、5−(4−トリメトキシブチル)−2−ノルボルネン、5ートリメチルシリルメチルエーテル−2−ノルボルネンなど、ヒドロキシル基、エーテル基、カルボキシル基、エステル基、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有するものとしては、5−ノルボルネン−2−メタノール、及びこのアルキルエーテル、酢酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、プロピオン酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、酪酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、吉草酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、カプロン酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、カプリル酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、カプリン酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、ラウリン酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、ステアリン酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、オレイン酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、リノレン酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸エチルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸t−ブチルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸i−ブチルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸トリメチルシリルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸トリエチルシリルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸イソボニルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−ヒドロキシエチルエステル、5−ノルボルネン−2−メチル−2−カルボン酸メチルエステル、ケイ皮酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、5−ノルボルネン−2−メチルエチルカルボネート、5−ノルボルネン−2−メチルn−ブチルカルボネート、5−ノルボルネン−2−メチルt−ブチルカルボネート、5−メトキシ−2−ノルボルネン、(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−メチルエステル、(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−エチルエステル、(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−n−ブチルエステル、(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−n―プロピルエステル、(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−i−ブチルエステル、(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−i−プロピルエステル、(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−オクチルエステル、(メタ)アクリル酸5−ノルボルネン−2−デシルエステルなど、エポキシ基を有するものとしては、5−[(2,3−エポキシプロポキシ)メチル]−2−ノルボルネンなど、またテトラシクロ環から成るものとして、8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−n−プロピルカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−i−プロピルカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−(2−メチルプロポキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−(1−メチルプロポキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−t−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−シクロヘキシロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−(4‘−t−ブチルシクロヘキシロキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−テトラヒドロフラニロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−テトラヒドロピラニロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−i−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−(2−メチルポロポキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−(1−メチルポロポキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−t−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−シクロヘキシロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−(4‘−t−ブチルシクロヘキシロキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−テトラヒドロフラニロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチル−8−テトラヒドロピラニロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−アセトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(メトキシカロボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(エトキシカロボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(n−プロポキシカロボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(i−プロポキシカロボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(n−ブトキシカロボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(t−ブトキシカロボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(シクロへキシロキシカロボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(フェノキシロキシカロボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8,9−ジ(テトラヒドロフラニロキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−ジ(テトラヒドロピラニロキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン−8−カルボン酸、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン−8−カルボン酸、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック−3−エン、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.01,6]ドデック−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,12]ドデック−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,101,6]ドデック−3−エンなどが挙げられる。
【0027】
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂は、周波数がGHz帯において、優れた誘電率、誘電正接を示すものであり、また、特に、付加型のポリノルボルネン系樹脂は耐熱性にも優れるものであり、中でも、下記一般式(1)で表される構造を有する付加型のポリノルボルネンの化学構造における主鎖骨格は、ガラス転移温度が300℃前後の耐熱性を有し好適である。
【化6】

(式(1)中、Xは、O,−CH2−または−CH2CH2−を示し、R1、R2、R3、およびR4はそれぞれ、水素、あるいは、直鎖もしくは分岐したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシシリル基、エポキシ基を含有する有機基、アルコキシシリル基を含有する有機基、エーテル基を含有する有機基、(メタ)アクリル基を含有する有機基、エステル基を含有する有機基、およびケトン基を含有する有機基から選ばれる基を示し、これらの基は、アルキル基、エーテル基、エステル基を介して結合されていても良く、同一であっても、異なっていても良い。mは10〜10000の整数、nは0〜5までの整数である。)
【0028】
前記一般式(1)で表される構造を有する付加型のポリノルボルネンにおいて、置換基R1、R2、R3、およびR4は、目的に応じて、その置換基の種類と該置換基を有する繰り返し単位の割合を調整することにより、特性を好ましいものとすることができる。例えば、前記一般式(1)において、Xは−CH2−とし、R3およびR4は水素とし、nは0の場合、R1およびR2として、例えば、前記アルキル基を導入した場合、可とう性に優れるポリノルボルネン樹脂フィルムを得ることができるので好ましい。また、トリメトキシシリル基、またはトリエトキシシリル基を導入した場合、銅などの金属との密着性が向上するので好ましい。ただし、トリエトキシシリル基、トリメトキシシリル基の割合が多い場合、ポリノルボルネン樹脂の誘電正接が大きくなることがあるため、トリエトキシシリル基および/またはトリメトキシシリル基を有するノルボルネンの繰り返し単位は、一般式(1)で表されるノルボルネン1分子において、5〜80mol%の範囲にすることが好ましい。さらに好ましくは5〜50mol%である。
中でも、特に、可とう性、密着性および誘電特性が良好な樹脂フィルムを得る上で、一般式(1)において、n−ブチル基を有するノルボルネン90mol%とトリエトシキシシリル基を有するノルボルネン10mol%からなるポリノルボルネン、未置換(置換基が水素原子)ノルボルネン90mol%とトリエトシシリル基を有するノルボルネン10mol%からなるポリノルボルネン、および未置換ノルボルネン75mol%とn−ヘキシル基を有するノルボルネン25mol%からなるポリノルボルネンが好ましい。
【0029】
また、前記側鎖のR1〜R4としてトリエトキシシリル基、トリメトキシシリル基の替わりにエポキシ基を有するノルボルネンを、5〜95mol%、好ましくは、20〜80mol%、さらに好ましくは30〜70mol%の割合で使用する場合、基材との密着性を向上することができる。
中でも絶縁層に必須な網目状三次元架橋構造を形成し、良好な実装信頼性および温度サイクル試験などの接続信頼性を得る上で、デシル基を有するノルボルネン70mol%とメチルグリシジルエーテル基を有するノルボルネン30mol%からなるノルボルネンが好ましい。
【0030】
本発明の樹脂組成物は、多孔質無機フィラー、無機中空フィラー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子のいずれか一種もしくは複数種組み合わせたものとを含むことを特徴とする。これにより、耐熱性および寸法安定性をより向上できる。
前記多孔質無機フィラーとしてはこの樹脂組成物に適するものであれば限定されず、市販のものを使用することができる。具体例として、ガラス等のケイ酸塩、アルミナ、シリカ等を挙げることができる。粒径としては、10nm〜50μmが好ましく、さらには30nm〜20μmが好ましい。また、空孔径は1nm〜1μmが好ましく、さらには5nm〜100nmが好ましい。
多孔質シリカの作製方法としては、SiO2、H3BO3、Na2CO3を調合した後、1200℃〜1400℃にて溶融し、スピノーダル分相を利用しSiO2と無機塩を分相させ、無機塩を酸処理することで空孔を持つ多孔性シリカを得ることができる。これらの多孔質無機フィラーの中でも熱放散性の観点からシリカを用いることが好ましい。
【0031】
前記無機中空フィラーとしてはこの樹脂組成物に適するものであれば限定されず、市販のものを使用することができる。具体例として、ガラス等のケイ酸塩、アルミナ、シリカ等を挙げることができる。粒径としては、10nm〜50μmが好ましく、さらには30nm〜20μmが好ましい。また、空隙率は5%〜95%が好ましく、さらには10%〜80%が好ましい。空隙率が前記範囲より小さいと誘電率の上昇を引き多し、また前記範囲より大きいとフィラーとしての強度が小さくなり、混練などの加工工程の最中に粉砕されるなどの問題がある。
【0032】
本発明で用いられるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)としては、テトラフルオロエチレンから誘導された単位のみで構成されるもの、あるいは、テトラフルオロエチレンから誘導された単位と、1種またはそれ以上の共重合できるモノマー、例えばヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロビニルエーテル、ヘキサフルオロイソブチレン、ビニリデンフルオライド、またはオレフィンから誘導された単位と、からなる共重合体であり、上記共重合体の場合のテトラフルオロエチレンから誘導された単位以外の単位の比率が20%まで、好ましくは5%まで、さらに好ましくは2%以下からなるものである。
PTFEの結晶度は、少なくとも50%以上、好ましくは60%以上であり、更に好ましくは、70%〜90%であってよい。
【0033】
前記多孔質無機フィラー、無機中空フィラー、PTFEの平均粒子径は、特に限定されないが、10μm以下が好ましく、特に0.1〜5μmが好ましい。平均粒子径が前記範囲内であると、特に回路埋め込み性に優れる。前記平均粒子径は、例えば超音波減衰式粒度分布測定装置を用いて評価することができる。また充填量としてはこの樹脂組成物に適するものであれば限定されない。具体的には樹脂組成物全体の10〜80重量%、更に好ましくは30〜60重量%が好ましい。含有量が前記範囲内であると、特に機械強度に優れる。
【0034】
本発明の樹脂組成物は、無孔無機フィラーを含んでいてものよい。前記無孔無機フィラーとしてはこの樹脂組成物に適するものであれば限定されず、市販のものを使用することができる。具体例として、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩、酸化チタン、アルミナ、シリカ、溶融シリカ等の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素等の窒化物等を挙げることができる。
これらの中でもシリカが好ましい。これにより、熱放散性を向上することができる。
【0035】
本発明の樹脂組成物には、樹脂の相溶性、安定性、作業性等の各種特性向上のため、各種添加剤を適宜添加しても良い。例えば触媒として光または/および熱酸発生剤、安定化剤として紫外線吸収剤、光安定化剤および酸化防止剤等を使用することができる。これにより、絶縁層の長期安定性を向上することができる。
【0036】
前記酸発生剤としては、オニウム塩、ハロゲン化合物、硫酸塩やその混合物等の熱・光酸発生剤が挙げられる。
【0037】
前記オニウム塩としては、例えばジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ヨードニウム塩、スルフォニウム塩、リン酸塩、アルソニウム塩、オキソニウム塩等が挙げられる。前記オニウム塩とカウンターアニオンを作ることができる化合物である限り、カウンターアニオンの制限はない。カウンターアニオンの例としては、ホウ酸、アルソニウム酸、リン酸、アンチモニック酸、硫酸塩、カルボン酸とその塩化物であるがこれに限定されない。
前記オニウム塩の光酸発生剤は、具体的にトリフェニルスルフォニウムテトラフルオロフォスフェート、トリフェニルスルフォニウムテトラフルオロサルフェート、4−チオフェノキシジフェニルスルフォニウムテトラフルオロボレート、4−チオフェノキシジフェニルスルフォニウムテトラフルオロアンチモネート、4−チオフェノキシジフェニルスルフォニウムテトラフルオロアーセナート、4−チオフェノキシジフェニルスルフォニウムテトラフルオロフォスフェート、4−チオフェノキシジフェニルスルフォニウムテトラフルオロスルフォネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルフォニウムテトラフルオロボレート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルフォニウムテトラフルオロスルフォニウム、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルフォニウムテトラフルオロアンチモネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルフォニウムトリフルオロフォスフォネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルフォニウムトリフルオスルフォネート、トリス(4−メチルフェニル)スルフォニウムトリフルオロボレート、トリス(4−メチルフェニル)スルフォニウムテトラフルオロボレート、トリス(4−メチルフェニル)スルフォニウムヘキサフルオロアーセネート、トリス(4−メチルフェニル)スルフォニウムヘキサフルフォスフェート、トリス(4−メチルフェニル)スルフォニウムヘキサフルオロスルフォネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルフォニウムテトラフルオロボレート、トリス(4−メチルフェニル)スルフォニウムヘキサフルオアンチモネート、トリス(4−メチルフェニル)スルフォニウムヘキサフルオフォスフェート、トリス(4−メチルフェニル)スルフォニウムトリフルオロスフォネート、トリフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルヨードニウムヘキサフルオロアーセネート、トリフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、トリフェニルヨードニウムトリフルオロスルフォネート、3,3−ジニトロジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、3,3−ジニトロジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、3,3−ジニトロジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアーセネイト、3,3−ジニトロジフェニルヨードニウムトリフルオロサルフォネート、4,4−ジニトロジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4,4−ジニトロジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4,4−ジニトロジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアーセネイト、4,4−ジニトロジフェニルヨードニウムトリフルオロサルフォネート、4,4‘−ジ−t−ブチルフェニルヨードニウムトリフレート、4,4’,4“−トリス(t−ブチルフェニル)スルフォニウムトリフレート、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルフォニウムジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4,4‘−ジ−t−ブチルフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(t−ブチルフェニル)スルフォニムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(4−メチルフェニル)(4−(1−メチルエチル)フェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−(2−メチルプロピル)フェニル(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェイトとそれらの混合物である。これらを単独で使用しても混合して使用しても良い。
【0038】
このような酸発生剤の中でも4,4‘−ジ−t−ブチルフェニルヨードニウムトリフレート、4,4’,4“−トリス(t−ブチルフェニル)スルフォニウムトリフレート、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルフォニウムジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4,4‘−ジ−t−ブチルフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(t−ブチルフェニル)スルフォニムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(4−メチルフェニル)(4−(1−メチルエチル)フェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−(2−メチルプロピル)フェニル(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェイトとそれらの混合物である。4,4‘−ジ−t−ブチルフェニルヨードニウムトリフレート、4,4’,4“−トリス(t−ブチルフェニル)スルフォニウムトリフレート、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルフォニウムジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4,4‘−ジ−t−ブチルフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(t−ブチルフェニル)スルフォニムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、(4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの中から選ばれる1種以上が好ましい。
【0039】
前記酸発生剤の含有量は、特に限定されないが、前記樹脂組成物全体の0.1〜50重量%が好ましく、特に1〜10重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると樹脂組成物の反応を開始する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると樹脂組成物の反応を制御するのが困難となる場合がある。
【0040】
前記安定化剤として、例えばp−メトキシケイ皮酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジヒドロキシ、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等の紫外線吸収剤が挙げられる。
【0041】
また、光安定化剤として、例えばビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン重縮合物などのヒンダードアミン系などが挙げられる。
【0042】
また、酸化防止剤として、例えばトリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクチル化ジフェニルアミン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトなどのフェノール系、リン系酸化防止剤が挙げられる。これらの添加剤は、単独または2種以上混合して用いることができる。特に制限はないが、前記添加剤の含有量は、特に限定されないが、環状オレフィン系樹脂100重量部に対し、0.01〜10重量部が好ましい。
【0043】
本発明の樹脂組成物は、その他の成分として、架橋剤、カップリング剤、難燃剤等を含んでいてもよい。
本発明の樹脂組成物に含まれる架橋剤として、ビスアジド、パーオキサイド、脂肪族ポリアミン、脂環族ポリアミン、芳香族ポリアミン、酸無水物、ジカルボン酸、多価フェノール、ポリアミド等があり、例えば、4,4′−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサンノン、4,4′−ジアジドカルコン、2,6−ビス(4′−アジドベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4′−アジドベンザル)−4−メチル−シクロヘキサノン、4,4′−ジアジドジフェニルスルホン、4,4′−ジアジドジフェニルメタン、2,2′−ジアジドスチルベンなどのビスアジド;α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキサイド)ヘキシン−3;ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミンなどの脂肪族ポリアミン;ジアミノシクロヘキサン、3(4),8(9)−ビス(アミノメチル)トリシクロ〔5,2,1,02,6〕デカン;1,3−(ジアミノメチル)シクロヘキサン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンなどの脂環族ポリアミン;4,4′−ジアミノジフェニルエ−テル、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、α,α′−ビス(4−アミノフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、4,4′−ジアミノジフェニルスルフォン、メタフェニレンジアミン等の芳香族ポリアミン類;無水フタル酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ナジック酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性環状オレフィン系樹脂等の酸無水物類;フマル酸、フタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、ハイミック酸等のジカルボン酸類;フェノ−ルノボラック樹脂、クレゾ−ルノボラック樹脂等の多価フェノ−ル類;ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−610、ナイロン−11、ナイロン−612、ナイロン−12、ナイロン−46、メトキシメチル化ポリアミド、ポリヘキサメチレンジアミンテレフタルアミド、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド等のポリアミド類;等が挙げられる。これらは、一種でも二種以上の混合物として使用しても良い。均一に分散させやすく好ましい。また、必要に応じて硬化助剤を配合して、架橋反応の効率を高めることも可能である。前記硬化剤の配合量は、とくに制限はないが、架橋反応を効率良く反応させ、かつ、得られる架橋物の物性面から、環状オレフィン系樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは1〜10重量部の範囲で使用される。架橋剤の添加量が、少なすぎると環状オレフィン樹脂との反応が起こりにくく、多すぎると電気特性、耐水性、耐湿性などの特性が低下するため好ましくない。
【0044】
本発明に用いるシランカップリング剤としては、1分子中にアルコキシシリル基と、アルキル基、エポキシ基、ビニル基、フェニル基等の有機官能基を有するシラン化合物全般が挙げられ、例えば、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシランなどのアルキル基を有するシラン、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、フェネチルトリエトキシシランなどのフェニル基を有するシラン、ブテニルトリエトキシシラン、プロペニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル基を有するシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン等のメタクリル基を有するシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基を有するシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有するシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基を有するシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。又、これらは単独でも混合して用いても良い。
【0045】
本発明においてはこれらの成分を溶剤に溶解し、ワニス状にして使用する。溶剤としては、非反応性の溶剤と反応性の溶剤があり、非反応性溶剤は、ポリマーや添加物のキャリアとして働き、塗布や硬化の過程で除去される。反応性溶剤は樹脂組成物に添加された硬化剤と相溶性がある反応基を含んでいる。非反応性の溶剤としては炭化水素や芳香族である。例を挙げると、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンやシクロヘキサンなどのアルカンやシクロアルカンの炭化水素溶剤であるがこれに限定されない。芳香族溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレンやメシチレンなどである。ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アニソール、アセテート、エステル、ラクトン、ケトンやアミドも有用である。
【0046】
次に、樹脂層付きキャリア材料について説明する。
図1は、本発明の積層体の一例を模式的に示す断面図である。
積層体1は、樹脂組成物で構成される層2と、キャリアフィルム3とを積層してなる。
樹脂組成物で構成される層2の厚さは、特に限定されないが、0.1〜60μmが好ましく、特に1〜40μmが好ましい。樹脂組成物で構成される層の厚さが前記下限値未満であると絶縁信頼性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると多層配線板の目的の1つである薄膜化させることが困難になる場合がある。
【0047】
キャリアフィルム3は、樹脂組成物で構成される層2から適度な強度で剥離容易であることが好ましい。具体的には、ポリエステルフィルム、芳香族ポリイミド、ポリエチレン等が挙げられる。これらキャリアフィルムの中でもポリエステルフィルムが最も好ましい。これにより、樹脂組成物で構成される層2から適度な強度で剥離することが特に容易となる。また、反応性希釈剤に対する安定性にも優れている。さらに、反応性希釈剤および溶剤に溶解している樹脂組成物成分がキャリアフィルムにマイグレーションするのを防止することもできる。
キャリアフィルム3の厚さは、特に限定されないが、10〜200μmが好ましく、特に20〜100μmが好ましい。
【0048】
樹脂組成物で構成される層2をキャリアフィルム3に積層する方法としては、例えば前記樹脂組成物を溶剤等に溶解してキャリアフィルム3に塗布する方法等が挙げられる。前記塗布する方法としては例えば、ロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーターを用いる方法、スプレーにより噴霧する方法、デッィピングにより浸漬する方法、印刷機、真空印刷機およびディルペンサーを用いる方法等が挙げられる。これらの中でもダイコーターを用いる方法が好ましい。これにより、所定の厚さを有する積層体1を安定して生産できる。
【0049】
具体的に積層体1を製造する方法としては、例えば樹脂組成物を溶剤に溶解したものをキャリアフィルム3に1〜100μm程度の厚さで塗布し、その塗布層を例えば80〜200℃で20秒〜30分乾燥し、好ましくは残留溶媒量が全体の0.5重量%以下とする。これにより、樹脂組成物で構成される層2がキャリアフィルム3上に積層された積層体1を得ることができる。
【0050】
この様にして得られた層間絶縁層は、寸法安定性と誘電特性に優れており例えば、0.5μm以下の表面凹凸の高低差、10GHzにおいて3.0以下の誘電率、0.006以下の誘電正接を達成することができる。
【0051】
次に、回路基板について説明する。
図2は、本発明の回路基板とその製造方法を説明するための断面図である。
まず、コア基板として、FR−4の両面金属箔(銅箔)付き絶縁基板103にドリル機で開孔して開孔部102を設けた後、無電解めっきにより、開孔部102にめっきを行い、前記絶縁基板103の両面の金属箔間の導通を図り、次いで、前記金属箔をエッチングすることにより導体回路層101を形成する(図2(a))。導体回路層101の材質としては、この製造方法に適するものであれば、どのようなものでも良いが、導体回路の形成においてエッチングや剥離などの方法により除去可能であることが好ましく、前記エッチングにおいては、これに使用される薬液などに耐性を有するものが好ましい。そのような導体回路層101の材質としては、例えば、銅、銅合金、42合金およびニッケル等が挙げられる。特に、銅箔、銅板および銅合金板は、電解めっき品や圧延品を選択できるだけでなく、様々な厚みのものを容易に入手できるため、導体回路層101として使用するのに好ましい。
次に、導体回路層101上に、上記樹脂組成物を用いて、絶縁層104を形成する(図2(b))。絶縁層104を形成する方法としては、塗布法やフィルム積層法などが挙げられ、絶縁層104形成後、乾燥機、窒素乾燥機、真空乾燥機などを用いて、乾燥・硬化を行う。
【0052】
次に、絶縁層104に、レーザーを照射して、ビアホール105を形成する(図2(c))。前記レーザーとしては、エキシマレーザー、UVレーザーおよび炭酸ガスレーザーなどが使用でき、前記レーザーによるビアホールの開孔においては、絶縁層の材質が感光性・非感光性に関係なく、微細なビアホールを容易に形成することができるので、微細加工が必要とされる場合に、特に好ましい。
次に、第二の導体回路層106を形成する(図2(d))。第二の導体回路層106の形成方法としては、公知の方法であるセミアディティブ法などで形成することができる。これらの方法により、回路基板を製造することができる。
絶縁層104は、上述した樹脂組成物で構成されているので誘電特性に優れており、そのため回路基板107の誘電特性も優れている。
【実施例】
【0053】
以下、実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
【0054】
(実施例1)
[樹脂組成物1の作製]
US特許5,468,819号に記載されている公知の方法によって得られたn−ブチルノルボルネン90mol%とトリエトシキシランノルボルネン10mol%からなるポリノルボルネン18gを、1,3,5−トリメチルベンゼン72gに溶解した環状オレフィン樹脂溶液(品名:アバトレル、プロメラス社製)に、さらに多孔質無機フィラー(平均粒径1.5μm、空孔径20nm、品名:シリカマイクロビードP−500、触媒化成(株)社製)2gを添加し、高速せん断分散方式の混合機((株)奈良機械製作所社製、マイクロスMICROS−0型)により混合分散し樹脂組成物1を得た。
[回路基板の作製]
公知の方法によりFR−5相当の両面銅箔つき絶縁基板にドリル機で開孔後、無電解めっきで上下銅箔間の導通を図り、前記両面の銅箔をエッチングすることにより回路層を両面に形成した。次に、スピンコータにより、樹脂組成物を、両面回路層上に塗布し、乾燥して、10μm厚みの絶縁層を形成した。これを、窒素雰囲気の乾燥機中において200℃で2時間、加熱処理を行い、絶縁層を硬化した。次に、UV−YAGレーザーにより、前記絶縁層に、ビアトップ径が50μmのビアホールを形成し、過マンガン酸系デスミア液により、ビアホールの洗浄を行った。次に、前記絶縁層において第2の導体回路層を形成する位置に、回路形成用のマスクをして、無電解めっきおよび電解めっきにより線間/線幅=15μm/15μmの銅回路層(第二の導体回路層)を形成し、回路基板を得た。
【0055】
(実施例2)
[樹脂組成物2の作製]
実施例1において、多孔質無機フィラーに替えて、無機中空フィラー(平均粒径60nm、比重1.8g/cm3、空隙率30%、触媒化成工業(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様な方法で樹脂組成物2を得た。
【0056】
[回路基板2の作製]
実施例1において、樹脂組成物1に替えて、上記で得た樹脂組成物2を用いた以外は、実施例1と同様な方法で回路基板2を得た。
【0057】
(実施例3)
[樹脂組成物3の作製]
実施例1において、多孔質無機フィラーに替えて、PTFEを(平均粒径300nm、品名:KTL−500F、(株)喜多村社製)用いた以外は、実施例1と同様な方法で樹脂組成物3を得た。
【0058】
[回路基板3の作製]
実施例1において、樹脂組成物1に替えて、上記で得た樹脂組成物3を用いた以外は、実施例1と同様な方法で回路基板3を得た。
【0059】
(実施例4)
[樹脂組成物4の作製]
実施例1において、多孔質無機フィラー2gに替えて、多孔質無機フィラー(平均粒径1.5μm、空孔径20nm、品名:シリカマイクロビードP−500、触媒化成(株)社製)1gと無孔無機フィラー(平均粒径500nm、品名SO−25H、(株)アドマテックス社製)1gとの混合フィラーにした以外は、実施例1と同様な方法で樹脂組成物4を得た。
【0060】
[回路基板4の作製]
実施例1において、樹脂組成物1に替えて、上記で得た樹脂組成物4を用いた以外は、実施例1と同様な方法で回路基板4を得た。
【0061】
(比較例1)
[樹脂組成物5の作製]
実施例1において、多孔質無機フィラーを添加しない以外は、実施例1と同様な方法で樹脂組成物5を得た。
【0062】
[回路基板5の作製]
実施例1において、樹脂組成物1に替えて、上記で得た樹脂組成物5を用いた以外は、実施例1と同様な方法で回路基板5を得た。
【0063】
(比較例2)
[樹脂組成物6の作製]
実施例1において、多孔質無機フィラーに替えて、無孔無機フィラーを(平均粒径500nm、品名SO−25H、(株)アドマテックス社製)用いた以外は、実施例1と同様な方法で樹脂組成物6を得た。
【0064】
[回路基板6の作製]
実施例1において、樹脂組成物1に替えて、上記で得た樹脂組成物6を用いた以外は、実施例1と同様な方法で回路基板6を得た。
【0065】
誘電特性(誘電率、誘電正接)
周波数10GHzにおける誘電特性を測定した。測定機器は、円筒空洞共振機(アジレント・テクノロジー社製、マイクロ波ネットワークアナライザ HP8510B)を用いた。なお70μm厚の銅圧延銅板(三井金属社製、品番3EC−VLP箔)の光沢面に、上記で得た樹脂溶液を乾燥後25μm厚になるように塗布しオーブン中80℃で5分乾燥を行い、樹脂組成物を形成し続いて窒素雰囲気下の乾燥機により200℃で2時間熱処理して、樹脂組成物を硬化させた。次いで、70μm厚の銅箔をエッチング除去し樹脂硬化物フィルムを得サンプルとした。
実装信頼性
−55℃で10分、125℃で10分を1サイクルとする温度サイクル試験を実施した。サンプル数は10個とし1000サイクル後の断線不良数を測定した。
【0066】
誘電特性及び実装信頼性の結果を表1に示す。
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の積層体の一例を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の回路基板とその製造方法を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0068】
1 積層体
2 樹脂組成物で構成される層
3 キャリアフィルム
101 導体回路層
102 開孔部
103 絶縁基板
104 絶縁層
105 ビアホール
106 第二の導体回路層
107 配線形成両面基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)環状オレフィン系樹脂と、(B)多孔質無機フィラー、無機中空フィラー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子のいずれか一種もしくは複数種組み合わせたものと、を含んでなることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
(A)環状オレフィン系樹脂と、(B)多孔質無機フィラー、無機中空フィラー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子のいずれか一種もしくは複数種組み合わせたものと、(C)無孔無機フィラーと、を含んでなることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項3】
前記多孔質無機フィラーが多孔質シリカであり、前記無機中空フィラーが無機中空シリカであり、前記無孔無機フィラーがシリカである請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記環状オレフィン系樹脂は、ポリノルボルネン系樹脂を含むものである請求項1ないし3のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記ポリノルボルネン系樹脂は、下記一般式(1)で表される構造を含むものである請求項4に記載の樹脂組成物。
【化1】

(式(1)中、Xは、O,−CH2−または−CH2CH2−を示し、R1、R2、R3、およびR4はそれぞれ、水素、あるいは、直鎖もしくは分岐したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシシリル基、エポキシ基を含有する有機基、アルコキシシリル基を含有する有機基、エーテル基を含有する有機基、(メタ)アクリル基を含有する有機基、エステル基を含有する有機基、およびケトン基を含有する有機基から選ばれる基を示し、これらの基は、アルキル基、エーテル基、エステル基を介して結合されていても良く、同一であっても、異なっていても良い。mは10〜10000の整数、nは0〜5までの整数である。)
【請求項6】
前記ポリノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン系モノマーを付加重合して得られるものである請求項4または5に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記ポリノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン型モノマーを付加重合して得られるものである請求項4ないし6のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項8】
前記ポリノルボルネン系樹脂は、下記一般式(2)で表されるモノマーを含むノルボルネン型モノマーを付加(共)重合して得られるものである請求項4ないし7のいずれかに記載の樹脂組成物。
【化2】

(式(2)中、Xは、O,−CH2−または−CH2CH2−を示し、R1、R2、R3、およびR4はそれぞれ、水素、あるいは、直鎖もしくは分岐したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシシリル基、エポキシ基を含有する有機基、アルコキシシリル基を含有する有機基、エーテル基を含有する有機基、(メタ)アクリル基を含有する有機基、エステル基を含有する有機基、およびケトン基を含有する有機基から選ばれる基を示し、これらの基は、アルキル基、エーテル基、エステル基を介して結合されていても良く、同一であっても、異なっていても良い。nは0〜5までの整数である。)
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の樹脂組成物で構成されていることを特徴とする樹脂層。
【請求項10】
請求項9に記載の樹脂層が、キャリア材料の少なくとも片面に形成されていることを特徴とする樹脂層付きキャリア材料。
【請求項11】
請求項9に記載の樹脂層を有することを特徴とする回路基板。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−104318(P2006−104318A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−292283(P2004−292283)
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成15年度新エネルギー・産業技術総合開発機構基盤技術研究促進事業(民間基盤技術研究支援制度)委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】