説明

樹脂膜形成装置、樹脂膜形成方法およびそれにより得られる拡散反射板

【課題】表面に凹凸を有する樹脂膜を形成するに際して、工程数を削減することによりタクトタイムを減少し、かつ、樹脂膜の形成装置にかかるコストを削減し、低コストで簡易に行なうことができる樹脂膜形成方法および樹脂膜形成装置を提供すること。
【解決手段】紫外線透過性の基板Sにラジカル重合型紫外線硬化性樹脂を含有する樹脂材料を塗布して未硬化樹脂膜Rを形成し、基板S側から基板Sと未硬化樹脂膜Rとの接触面に向けて紫外線を照射することにより未硬化樹脂膜Rを硬化して、表面に凹凸を有する下地用の樹脂膜を形成する樹脂膜形成方法、およびこの方法に用いられる樹脂膜形成装置を提供することにより、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂膜形成装置、樹脂膜形成方法およびそれにより得られる拡散反射板に関する。さらに詳しくは、ラジカル型紫外線硬化性樹脂を用いて樹脂膜の表面に凹凸を形成する方法、装置および凹凸表面を有する樹脂膜を用いた拡散反射板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光硬化性樹脂を用いて形成した樹脂膜の表面に凹凸を形成する技術としては、パターンを形成したマスクを介して紫外線等を基板に形成した光硬化性樹脂層に照射し、光硬化性樹脂層の露光部分もしくは未露光部分を現像液にて除去するフォトリソグラフィ法による形成方法が知られている。
【0003】
しかしながら、光硬化性樹脂を用いた従来の樹脂膜の表面凹凸形成技術では、光硬化性樹脂の膜厚や受光感度、マスクの開口比、露光量、現像液濃度、現像液温度あるいは現像時間の調整などの多くの要素が関係するため、所望の凹凸形状を得ることが困難であり、高コストであるという課題があった。
【0004】
このような問題を解決する方法として、基板に光硬化性樹脂膜を形成し、パターン形成されたマスクを介して露光した後、エッチング工程ではなく加熱工程による表面凹凸形成方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−37522号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の表面凹凸形成方法では、エッチング工程が不要となるが加熱工程が加わるため工程数は削減することができない。また、光硬化性樹脂膜の露光にはパターン形成されたマスクが必要であるため、依然としてマスクの開口比および露光量の高精度な制御が求められると共に、マスク形成工程、マスク形成装置およびマスク材料が必要であり、大幅なコスト低減には至らない。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑み、表面に凹凸を有する樹脂膜を形成するに際して、工程数を削減することによりタクトタイムを減少し、かつ、樹脂膜の形成装置にかかるコストを削減し、低コストで簡易に行なうことができる樹脂膜形成方法および樹脂膜形成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かくして、本発明によれば、紫外線透過性の基板にラジカル重合型紫外線硬化性樹脂を含有する樹脂材料を塗布して未硬化樹脂膜を形成し、前記基板側から基板と未硬化樹脂膜との接触面に向けて紫外線を照射することにより未硬化樹脂膜を硬化して、表面に凹凸を有する下地用の樹脂膜を形成する樹脂膜形成方法が提供される。
また、本発明の別の観点によれば、ラジカル重合型紫外線硬化性樹脂を含有する未硬化樹脂膜を表面に有する紫外線透過性の基板を保持するステージと、前記基板側から基板と未硬化樹脂膜との接触面に向けて紫外線を照射するための紫外線照射機構とを備えた樹脂膜形成装置が提供される。
また、本発明のさらに別の観点によれば、上記樹脂膜形成方法を用いて基板上に形成された凹凸表面を有する樹脂膜と、この樹脂膜の凹凸表面に形成された金属膜とを備えたことを特徴とする拡散反射板。
【発明の効果】
【0009】
本発明の樹脂膜形成方法では、紫外線透過性の基板上に未硬化樹脂膜が形成された積層体に対して、基板側から基板と未硬化樹脂膜との接触面(固液接触面)に向けて紫外線を照射して未硬化樹脂を硬化させることにより、硬化した樹脂膜の膜厚方向に硬化性の分布を形成することができる。つまり、紫外線照射時において、未硬化樹脂膜は固液接触面が光源に最も近く表面が最も遠いため、未硬化樹脂の膜厚方向における硬化性は固液接触面が最も高く、固液接触面から表面に向かうにしたがって徐々に低くなり、表面が最も低い。それに加え、ラジカル重合型紫外線硬化性樹脂は酸素により硬化が阻害されるため、未硬化樹脂膜の表面の硬化性は固液接触面側に比して極端に低くなる。したがって、未硬化樹脂が硬化していく際、固液接触面は硬化および収縮が最も速く進行するが、表面は硬化性が極端に低いことにより流動性を有しているため固液接触面側の体積収縮により引っ張られ、その結果、表面にランダム形状の微細な凹凸が形成される。
【0010】
よって、本発明の樹脂膜形成方法によれば、基板上への未硬化樹脂膜の形成工程と、マスクパターンを用いない未硬化樹脂の露光工程との2工程にて、微細な凹凸表面を有する樹脂膜を形成することができるため、マスク形成工程、後工程のエッチング工程(あるいは加熱工程)が削減でき、工程数を削減することにより大幅にタクトタイムを短縮して高効率に樹脂膜を形成することができる。また、マスク形成工程でのマスク形成装置およびマスク材料や、エッチング工程でのエッチング装置およびエッチング材料あるいは加熱工程での加熱装置が不要となるため、凹凸表面を有する樹脂膜の形成装置にかかるコストを大幅に削減し、低コストにて簡易に樹脂膜を形成することができる。
【0011】
また、本発明の樹脂膜形成装置は、表面に未硬化樹脂膜が形成された基板を保持するステージおよび基板側から基板と未硬化樹脂膜との接触面(固液接触面)に向けて紫外線を照射する紫外線照射機構を少なくとも備えていればよく、装置構成が簡素であるため低コストにて作製することができ、低コストにて簡易に樹脂膜を形成することができる。
また、本発明の拡散反射板によれば、反射特性に優れた拡散反射板を低コストかつ効率よく短時間で形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(樹脂膜形成方法の説明)
本発明の樹脂膜形成方法は、紫外線透過性の基板にラジカル重合型紫外線硬化性樹脂を含有する樹脂材料を塗布して未硬化樹脂膜を形成し、前記基板側から基板と未硬化樹脂膜との接触面に向けて紫外線を照射することにより未硬化樹脂膜を硬化して、表面に凹凸を有する下地用の樹脂膜を形成することを特徴とする。
この基板上の凹凸表面を有する樹脂膜は、その凹凸表面に金属膜を形成することにより、例えば液晶パネルの拡散反射板として利用される。
【0013】
本発明において、ラジカル重合型紫外線硬化性樹脂の主な構成要素は光開始剤、光開始助剤、重合性物質であり、紫外線を照射することにより、光開始剤からラジカルが発生し、このラジカルが重合性物質と反応することにより重合反応が進行していく。しかしながら、このラジカルは大気中の酸素と反応することにより失活して重合反応が停止する。このような性質を有するラジカル重合型紫外線硬化樹脂を含む樹脂材料で未硬化樹脂膜を形成することにより、紫外線照射時において、未硬化樹脂膜の表面ではラジカルが大気中の酸素と反応して硬化性が低下する。これについて詳しくは後述する。
【0014】
本発明において、基板としては紫外線透過性を有していれば材質は特に限定されず、例えば、透明ガラス基板あるいは透明プラスチック基板等を用いることができる。
このような基板上に、上記ラジカル重合型紫外線硬化樹脂を含む樹脂材料を塗布して未硬化膜を形成する方法としては、特に限定されず、例えばスピンコート法、インクジェット法、ディスペンサーを用いた方法等の塗布法、印刷法等が挙げられる。なお、樹脂材料は、ラジカル重合型紫外線硬化樹脂に有機溶剤、顔料、添加剤等を添加して調製してもよい。
【0015】
ラジカル重合型紫外線硬化樹脂を含む未硬化樹脂膜の膜厚としては、10μm以上が好ましく、10〜500μmがさらに好ましい。未硬化樹脂膜が完全に硬化できる照射量で紫外線を照射した場合において、未硬化樹脂膜の膜厚を10μm以上とすることにより、固液接触面から表面までの間の膜厚方向の硬化性分布を大きくすることが可能であり、硬化した樹脂膜の表面に目視にてはっきりと分かる程度の大きさ(深さ1〜5μm程度、開口幅1〜5μm程度)の凹凸を形成することができる。なお、未硬化樹脂の膜厚が10μmより小さいと、光照射して硬化した樹脂膜の表面に凹凸が形成され難く、500μmを越えると、表面付近以外の大部分は表面形状に寄与しない部分、つまり表面凹凸形状を形成するために必要な硬化性分布には影響しない部分が大多数となるため、材料コスト面から好ましくない。
【0016】
また、未硬化樹脂膜に紫外線を照射するに際して、未硬化樹脂膜の表面側における雰囲気中の酸素濃度を20体積%以上に調整するようにしてもよい。未硬化樹脂膜の表面側の酸素濃度を20体積%以上とすることにより、未硬化樹脂膜の表面の硬化性が極端に低下し、未硬化樹脂膜の膜厚方向の硬化性分布をさらに大きくすることができ、樹脂膜の表面に上記大きさの凹凸形状を容易に形成することができる。
【0017】
また、ラジカル重合型紫外線硬化性樹脂が3官能モノマー以上の多官能モノマーを含有するものであってもよい。3官能モノマー以上の多官能モノマーは、3次元的により強固に重合するため硬化時における体積収縮率が大きい。そのため、未硬化樹脂の硬化時において、固液接触面側に樹脂表面が強く引っ張られ、その結果、樹脂膜の表面に上記大きさの凹凸形状を容易に形成することができる。
【0018】
また、感光性樹脂がラジカル重合型紫外線硬化樹脂の場合、未硬化樹脂膜が紫外線吸収材料を含有してもよい。未硬化樹脂膜が紫外線吸収材料を含有していることから、未硬化樹脂膜表面の硬化性が極端に低下し、それにより膜厚方向の硬化性分布がさらに大きくなるため、樹脂膜の表面に上記大きさの凹凸形状を容易に形成することができる。
【0019】
また、樹脂材料を基板上に塗布する際に、未硬化樹脂膜を不均一な膜厚にて基板上に形成されてもよい。つまり、未硬化樹脂膜の膜厚に厚い部分と薄い部分を形成することにより、表面側が固液接触面側よりも硬化性が低いことに加え、厚い部分では薄い部分に比して硬化性が低くなるため、未硬化樹脂膜の膜厚方向における硬化性分布をさらに大きくすることができ、同一樹脂膜の表面に不均一な形状および大きさの凹凸形状を形成することができる。
【0020】
(樹脂膜形成装置の説明)
本発明の樹脂膜形成装置は、ラジカル重合型紫外線硬化樹脂を含有する未硬化樹脂膜を表面に有する透光性の基板を保持するステージと、前記基板側から基板と未硬化樹脂膜との接触面に向けて紫外線を照射するための紫外線照射機構とを備えることを特徴とする。
【0021】
また、ステージは基板を載置する載置部に紫外線を透過させるための窓部を有するもの(Aタイプ)、または載置部に紫外線透過性プレートを有するもの(Bタイプ)とした構成とすることができる。また、ステージは、基板を出し入れ可能に収容し、基板を載置する載置部が透光性材料からなる密閉容器を有し、さらに密閉容器内の酸素濃度を調整するための酸素濃度調整手段を具備する構成(Cタイプ)としてもよい。
【0022】
Aタイプの場合、載置部を枠型または格子型に構成して1つまたは複数の窓部(空洞部)を形成することができる。枠型窓部の場合、基板上の未硬化樹脂膜に全面的に紫外線を照射することができる。また、格子型窓部の場合、格子部分にて紫外線を遮光するため、基板上の樹脂膜における格子状の遮光部分が硬化せず、未硬化部分を除去することにより1枚の基板上に複数個の硬化した表面凹凸を有する樹脂膜を形成することができる。
また、ステージの載置部が枠型の場合、窓部に未硬化樹脂膜を位置させる限りは、未硬化樹脂膜を上向きでも下向きでも基板を載置することができ、上向きの場合は基板の下方から紫外線を照射し、下向きの場合は基板の上方から紫外線を照射して、ステージにより遮光もしくは照射量が減少されることなく未硬化樹脂の固液接触面の全面に向けて紫外線を照射することができる。
Bタイプの場合、載置部を透明ガラスまたは透明プラスチックにてテーブル型に形成することができる。
【0023】
Cタイプの場合、密閉容器としては、基板を収容できる大きさおよび形状であって、少なくとも基板を載置する底部が透明ガラスや透明プラスチックといった透光性材料にて形成され、基板の出し入れを行なうために側壁もしくは上壁に開閉部を有する構成とされる。また、酸素濃度調整手段としては、気体流通管に接続された酸素ガス供給源および不活性ガス供給源と、これらのガス供給源と密閉容器とを連通遮断可能な気体導入管と、密閉容器と外部とを連通遮断可能なガス排出管とを備え、酸素ガスおよび不活性ガスを定量的に密閉容器内へ導入できる構成とすることができる。
【0024】
紫外線照射機構としては、波長200〜400nm程度の紫外線が照射可能であればよく、例えば高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、タングステンランプなどを用いることができる。この際、特定の波長域の紫外線を取り除く光学フィルターを用いて、任意の波長の紫外線を取り出してもよい。また、紫外線照射機構は、光源本体と照射部とが一体型でも別体型でも構わない。別体型の場合、光源本体と照射部とを光ファイバアーケーブルによって接続した構成とすることができる。
【0025】
(拡散反射板の説明)
本発明における拡散反射板は、上記の方法により作製した、凹凸表面を有する樹脂膜を有する透光性基板を用い、この樹脂膜の凹凸表面に金属膜を形成することにより構成される。金属膜としては、銀やアルミニウムといった光の反射率が高い金属膜が用いられ、低コストのアルミニウムが好ましい。金属膜を樹脂膜の凹凸表面に形成する方法としては、特に限定されず、例えば蒸着法、メッキ法等が挙げられ、中でも蒸着法が、優れた膜質および均一な膜厚が容易に得られる観点から好ましい。
以下、図面に基いて本発明の実施形態を具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0026】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1の樹脂膜の形成方法および装置を説明する概略斜視図であり、図2は図1の樹脂膜形成装置のステージの概略側面図であり、図3は図1の樹脂膜形成装置のステージの平面図である。
本実施形態1にかかる樹脂膜形成装置は、ラジカル重合型紫外線硬化性樹脂を含む樹脂材料を塗布してなる未硬化樹脂膜Rが一面に形成された透光性基板Sを保持するステージ10と、ステージ10の上に載置した基板Sの下方または上方から紫外線を照射可能な紫外線照射機構15とを備える。
【0027】
ステージ10は、基板Sを載置するための四角形の枠体11と、枠体11を支持し、枠体11の設置面からの高さを調整する高さ調整手段12とを有する。
枠体11は、その内側が紫外線を透過させるための空洞窓部11aとされると共に、載置した基板Sの隣接する2辺に当接して基板Sを所定位置に位置決めするための複数個(本実施形態1の場合3個)の位置決めピン11bを有している。基板Sを枠体11上に載置し位置決めした状態において、未硬化樹脂膜Rの全領域は、空洞窓部11aの位置に配置される。なお、空洞窓部11aに透明なガラス板またはプラスチック板といった透光性材料からなる板を嵌め込んだ構成、あるいは枠体11の代わりに透光性材料からなる板を用いてもよい。
高さ調整手段12としては、枠体11の下面四隅に設けられた4本の脚部12aと、各脚部12aを独立にまたは連動して昇降させる図示しない昇降機構とを備える。昇降機構としては特に限定されず、例えば脚部をシリンダやラック・ピニオン機構等を用いて昇降させることができる。
【0028】
紫外線照射機構15は、光源本体15aと、光ファイバーケーブル15bと、紫外線を平面的に均一に照射するための直射ユニット15cとからなり、光源本体15aには紫外線照射時間を設定可能なタイマーが内蔵されている。なお、ステージ10と紫外線照射機構15はそれぞれ独立しているため、必要に応じて紫外線照射機構15の個数を変更してもよい。
【0029】
次に、図1〜図3を参照しながら実施形態1の樹脂膜形成装置を用いた樹脂膜形成方法を説明する。
まず、ラジカル重合型紫外線硬化樹脂を含んだ樹脂材料を基板S上にスピンコートにて塗布して未硬化樹脂膜Rを形成した。このとき、スピンコートの回転数を調整することにより未硬化樹脂膜の膜厚が1μm、5μm、7μm、10μmおよび15μmである5つの試料を作製した。紫外線透過性の基板Sとしては、無アルカリガラス基板(52mm×52mm×0.7mm)を用いた。また、ラジカル重合型紫外線硬化樹脂として、大日本インキ社製の紫外線硬化樹脂SD2407を用い、紫外線硬化樹脂と有機溶剤としてのブチルカルビトールアセテートを体積比1:1となるように希釈して、樹脂材料を調製した。
【0030】
次に、未硬化樹脂膜Rを上向きにして基板Sをステージ10の枠体11上に設置し、位置決めピン11bにより未硬化樹脂膜Rの全領域をステージ10の空洞窓部11aに配置した。このとき、未硬化樹脂膜Rを形成してからステージ10に基板Sを設置するまでの時間は10秒程度とした。なお、予め紫外線照射機構15の直射ユニット15cを枠体11の下に配置すると共に、高さ調整手段12にて未硬化樹脂膜Rと基板Sとの接触面である固液接触面から直射ユニット15cまでの距離が2.5cmとなるように枠体11の高さを調整した。なお、紫外線照射機構15は、光源本体15aとしてHOYA CANDEO OPTRONICS社製の紫外線照射装置EX250(紫外線照射ランプ)を用い、直射ユニット15cとしてHOYA CANDEO OPTRONICS社製のHDI−SQを用い、それらを光ファイバー15bにて接続して構成した。
【0031】
基板Sをステージ10に載置した後、直ちに紫外線照射機構15により紫外線を30秒間照射し未硬化樹脂膜Rを硬化させて、凹凸表面を有する樹脂膜を形成した。このとき、基板S側から基板Sと未硬化樹脂膜Rとの固液接触面に向けて紫外線を照射すると、図4に示すように、直射ユニット15cに最も近い固液接触面R1の硬化性が最も高く、直射ユニット15cから最も遠い表面R2の硬化性が最も低くなる。さらに、未硬化樹脂膜Rに含まれるラジカル重合型紫外線硬化樹脂は、硬化反応が進行するために必要なラジカルが大気中の酸素と反応することにより硬化反応の進行が阻害され、表面R2の硬化性はさらに低下する。このように、未硬化樹脂膜Rにおいて、硬化性が極端に低い硬化性の分布を膜厚方向の表面R2に形成することにより、固液接触面R1の硬化反応が進行し収縮したときに、未硬化であり流動性を有する表面R2が引っ張られ、その結果、硬化した樹脂膜の表面に凹凸形状を形成することができる。
【0032】
図5は基板上に形成された樹脂膜表面の凹凸の深さを説明する概略側断面図であり、図6は上記の方法によって得られた未硬化樹脂膜の膜厚と表面凹凸の深さとの関係を示し、図7は膜厚15μmの未硬化樹脂膜から得られた樹脂膜の表面凹凸の深さと幅を示している。なお、図5において矢印で示す部分、つまり樹脂膜の表面凹凸の最も深い部分と最も高い部分の差を本発明では表面凹凸の深さとした。
【0033】
図6に示すように、膜厚1μmの未硬化樹脂膜を用いた試料aの場合、紫外線照射後の樹脂膜の表面に凹凸は見られなかった。また、膜厚5μmおよび7μmの未硬化樹脂膜を用いた試料b、試料cの場合は極わずかに凹凸が確認された。一方、膜厚10μmの未硬化樹脂膜を用いた試料dの場合には、紫外線照射後の樹脂膜の表面形状がはっきりと凹凸であることがわかり、膜厚15μmの未硬化樹脂膜を用いた試料eの場合はさらに大きな凹凸であった。これは、未硬化樹脂膜の膜厚が大きいほど膜厚方向における硬化性の分布が大きくなるため、表面の凹凸形状R3(図5参照)を形成しやすいためと考えられる。つまり、未硬化樹脂膜の膜厚が小さい場合には、何らかの手段により硬化性の分布を大きくすることが必要であることが分かった。
このように、未硬化樹脂膜の膜厚を変えることにより任意の大きさの表面凹凸R3を硬化した樹脂膜に形成できることが分かり、特に未硬化樹脂膜の膜厚が10μm以上の場合には比較的大きな表面凹凸形状R3を形成できることが分かった。また、図7に示すように、膜厚15μmの未硬化樹脂膜から得られた樹脂膜は、深さが3μm程度、開口幅が6μ程度、ランダムなパターン形状の表面凹凸形状R3が得られることがわかった。なお、図6および図7における表面凹凸の深さおよび幅の測定は、キーエンス社製カラー3D形状測定顕微鏡VK−9500により行なった。
【0034】
このように、本発明によれば、現像や加熱などの後工程を行うことなく、短時間で表面に凹凸形状R3を有する樹脂膜を形成することができる。さらに、紫外線照射時にパターンを形成したフォトマスクが必要なく、現像や加熱のための設備も不要なため、コストを低減することができる。
【0035】
なお、本実施形態1では、スピンコートにより基板S上に未硬化樹脂膜Rを形成したが、インクジェットにより均一な膜厚で樹脂材料を塗布して未硬化樹脂膜を形成した場合も同様の結果であった。また、本実施形態1では基板Sとしてガラス基板を用いたが、紫外線を透過する基板であればよいことを確認した。また、本実施形態1では、紫外線照射機構15の直射ユニット15cから未硬化樹脂Rの固液接触面R1までの距離を2.5cmとしたが、距離を変えることにより紫外線照射強度を変化させた場合でも結果は同様であることを確認した。
【0036】
(実施形態2)
上記実施形態1では、ステージに載置した基板の下側から紫外線を照射する場合を例示したが、必ずしもこの構成である必要はなく、図8に示すように空洞窓部11aの位置で未硬化樹脂膜Rを下側に向けて基板Sを枠体11に設置し、上方から未硬化樹脂膜Rの固液接触面に向けて紫外線を照射してもよい。この場合、直射ユニット15cを水平に保持する保持部材を設け、ステージ10の高さ調節手段12により直射ユニット15cから固液接触面までの距離を所定距離に設定する。
この実施形態2によっても、実施形態1と同様に、短時間かつ低コストで表面凹凸形状を有する樹脂膜を得ることができる。
【0037】
(実施形態3)
実施形態3の樹脂膜形成装置は、図9に示すように、紫外線照射機構15は実施形態1と同じであるが、ステージ20が異なり、さらに酸素濃度調整手段27を備えている。なお、図9において、実施形態1と同様の要素には同一の符号を付している。
【0038】
ステージ20は、未硬化樹脂膜Rが形成された基板Sを出し入れ可能な開閉部を有する密閉容器21と、密閉容器21を高さ調整可能に支持する実施形態1と同様の高さ調整手段12とを備えている。密閉容器21は、全体が透光性材料(プラスチック、ガラス等)からなる四角形扁平型であり、その底壁の内面には実施形態1と同様の複数本の位置決めピン11bが設けられている。
【0039】
また、酸素濃度調整手段27は、酸素ガスボンベ27aと、窒素ガスボンベ27bと、各ガスボンベ27a、27bと密閉容器21とを接続するガス導入管28と、ガス導入管28に設けられた開閉弁28aと、密閉容器21内のガスを外部に排出するためのガス排出管29と、ガス排出管29に設けられた開閉弁29bとを備え、開閉弁28a、29aを開閉して密閉容器21内に窒素または酸素を給排気することにより容器21内の酸素量制御を行い、密閉容器21内を密閉して内部の酸素濃度を所定濃度(体積%)に調整することができる。
【0040】
次に、図9を参照しながら実施形態3の樹脂膜形成装置を用いた樹脂膜形成方法を説明する。
まず、感光性樹脂としてT&K TOKA社製のUVコートニスを用いたこと以外は実施形態1と同様に基板S上に膜厚10μmの未硬化樹脂膜Rを形成し、その基板Sを密閉容器21の内部に設置して密閉した。次に、酸素調整手段27にて密閉容器21内の酸素濃度を所定濃度に調整して雰囲気制御を行った後、紫外線照射機構15により紫外線照射を行い、凹凸表面を有する樹脂膜の試料を形成した。このとき、直射ユニット15cと固液接触面との距離は2.5cmである。
試料としては、酸素濃度が0%、約11%、約20%、約26%および約30%に変えた場合の5種類を作製した。
【0041】
これらの試料f〜jの樹脂膜の表面凹凸の深さと酸素濃度との関係を図10に示す。
酸素濃度を0体積%および11体積%として作製した試料fおよびgの場合、樹脂膜の表面に凹凸は確認できなかった。一方、酸素濃度を20体積%以上として作製した試料h、iおよびjの場合、樹脂膜表面にはっきりと凹凸が確認でき、酸素濃度を高くするほど凹凸形状が大きくなることが分かった。つまりこれは、未硬化樹脂膜Rの周囲の酸素濃度が高いほど、未硬化樹脂膜Rの表面におけるラジカル重合型紫外線硬化樹脂の硬化が酸素により阻害されて、未硬化樹脂膜Rの膜厚方向における硬化性の分布が顕著になることによると考えられる。これらの結果から、未硬化樹脂膜Rの周囲の酸素濃度を制御することで表面凹凸の大きさを制御できることが分かった。特に、酸素濃度を20体積%以上とすることで表面に容易に凹凸を形成することができることを確認した。
【0042】
なお、本実施形態3では、ラジカル重合型紫外線硬化樹脂としてT&K TOKA社製のUVコートニスを用いたが、実施の形態1にて使用した大日本インキ社製の紫外線硬化樹脂SD2407でも同様の結果が得られた。また、本実施形態3では、ステージ20を密閉型ステージとして、未硬化樹脂膜Rの周囲の雰囲気を制御したが、樹脂膜形成装置全体を密閉して装置周囲の酸素制御を行うように構成してもよい。
【0043】
(実施形態4)
実施形態4では、ラジカル重合型紫外線硬化樹脂として、荒川化学社製UV硬化樹脂ビームセットEM−90(官能基数6)、ビームセットEM−92(官能基数4)、ビームセット550B(官能基数3)およびビームセット510(官能基数2)を用いたこと以外は実施形態1と同様の装置および方法にて基板上に樹脂膜を形成した試料を作製した。但し、ビームセットEM−90およびEM−92は希釈せず、ビームセット510およびビームセット550Bは荒川化学社製希釈剤ビームセット770により体積比1:1で希釈した。このとき、直射ユニットと固液接触面との距離は2cmである。
上記4種類の樹脂を用いた試料としては、未硬化樹脂膜の膜厚を1μm、5μm、7μmおよび10μmとし、合計16種類の試料を作製した。
【0044】
上記4種類の樹脂を用いて作製した試料の樹脂膜の表面凹凸の深さと未硬化樹脂膜の膜厚との関係を図11に示す。なお、図11において、◆はビームセットEM−90(官能基数6)、□はビームセットEM−92(官能基数4)、×はビームセット550B(官能基数3)、△はビームセット510(官能基数2)を用いた試料を示している。
図11の結果から、未硬化樹脂膜に含有される紫外線硬化性樹脂の官能基数が多いほど3次元的に結合して硬化時の体積収縮が大きくなるため、表面凹凸の深さが深い表面凹凸形状を形成できることが分かった。特に、未硬化樹脂膜に含まれる紫外線硬化樹脂の官能基数が3以上の場合には、未硬化樹脂膜の体積収縮率が顕著に大きくなることにより、固液接触面側から進行する硬化・収縮に、表面がより強く引っ張られて表面凹凸形状を容易に形成できることが分かった。
【0045】
(実施形態5)
実施形態5では、ラジカル重合型紫外線硬化樹脂として、IJT社製のUVインク(シアン)を用いたこと以外は実施形態1と同様の装置および方法にて基板上に樹脂膜を形成した試料を作製した。但し、IJT社製UVインクは紫外線吸収効果を有するシアン顔料を含有しており、予め有機溶剤によって希釈されているため、本実施形態5ではUVインクを有機溶剤により希釈していない。このとき、直射ユニットと固液接触面との距離は2cmである。
上記UVインクを用いた試料としては、未硬化樹脂膜の膜厚を1μm、5μm、7μm、10μmおよび15μmとし、合計5種類の試料を作製した。
【0046】
上記5種類の試料k〜oの樹脂膜の表面凹凸の深さと未硬化樹脂膜の膜厚との関係を図12に示す。
図12の結果より、実施の形態1と同じく、未硬化樹脂膜の膜厚が大きいほど樹脂膜の表面に形成された表面凹凸の深さは深くなることが分かった。さらに、実施形態1の結果(図6参照)と比較して、未硬化樹脂膜が紫外線吸収効果を有する材料を含有する実施形態5の場合では、未硬化樹脂膜の膜厚が7μm(試料m)と小さい場合でも1μm以上の深さの表面凹凸を形成できることが分かった。
実施形態5の結果を図13を用いてさらに説明すると、未硬化樹脂膜Rが紫外線吸収効果を有する材料であるシアン顔料を含有することにより、紫外線は固液接触面R1側から未硬化樹脂膜Rの内部を透過する間にシアン顔料に吸収され、それによって表面R2への紫外線照射量が減少して表面R2の硬化性が低下する。よって、未硬化樹脂膜Rの膜厚方向に硬化性分布が形成される。
【0047】
なお、本実施形態5では、ラジカル重合型紫外線硬化樹脂としてIJT社製のUVインクを用いたが、実施形態1にて使用した大日本インキ社製の紫外線硬化樹脂SD2407および実施形態2で使用したT&K TOKA社製UVコートニスにシアン顔料を分散させた場合でも同様の結果が得られた。つまり、ラジカル重合型紫外線硬化樹脂に紫外線吸収材料もしくは紫外線吸収効果を有する材料を添加することにより、通常では表面凹凸を形成することができないもしくは小さな表面凹凸しか形成できない条件においても表面凹凸を形成できることが分かった。本実施形態5では、紫外線吸収効果を有する材料としてシアン顔料を含有するインクを用いたが、紫外線を吸収するならば他の色の顔料でもよい。紫外線の吸収量は顔料の色などにより異なるため、求める表面凹凸の大きさ、用いる紫外線硬化樹脂の硬化性や膜厚に応じて紫外線吸収効果を有する材料を選択すればよい。
【0048】
(実施形態6)
実施形態5では、図14に示すように、基板S上に未硬化樹脂膜Rをディスペンサーを用いて連続的に変化する膜厚で形成したこと以外は実施形態1と同様の装置および方法にて基板上に樹脂膜を形成した試料を作製した。この未硬化樹脂膜Rの大きさは直径約300μm、膜厚は最大部で30μmである。試料としては、未硬化樹脂膜の膜厚を1μm、7μm、10μm、15μmおよび30μmとし、合計5種類の試料を作製した。
【0049】
上記5種類の試料p〜tの樹脂膜の表面凹凸の深さと未硬化樹脂膜の膜厚との関係を図15に示す。
図15の結果より、実施の形態1と同じく、同一の未硬化樹脂膜内においても、膜厚が大きい部分ほど形成された樹脂膜の表面凹凸の深さは深くなり、膜厚が小さい部分ほど形成された樹脂膜の表面凹凸の深さが小さくなることが分かった。これはつまり、膜厚が一定ではない未硬化樹脂膜Rでは、固液接触面R1と直射ユニット15cとの距離はどの位置でも同じであるが、表面R2と直射ユニット15cの距離は、未硬化樹脂膜R内で一定ではないため、膜厚が大きいほど硬化性の分布が大きくなることを示している。よって、同一未硬化樹脂膜R内で膜厚を連続的に変化させることにより、膜厚の変化に対応して大きさが異なる表面凹凸形状を形成できることが分かった。
【0050】
本実施形態6では、連続的に膜厚が変化する未硬化樹脂膜Rをディスペンサーにより形成したが、その他の不均一な膜厚を形成できる手段、例えばスポイトやピペットなどにより基板S上に樹脂材料を滴下して未硬化樹脂膜Rを形成しても良い。
【0051】
(実施形態7)
実施形態7では、実施形態1で形成した厚深さ3.02μm、幅2.31μmの表面凹凸を有する硬化後の樹脂膜を用いた。この樹脂膜に凹凸表面側から透過光を照射して観察したところ、良好な拡散性を示す光学フィルムであることが分かった。この樹脂膜に真空蒸着法によりアルミニウムを0.1μmの膜厚で成膜して拡散反射板を形成した。
【0052】
この拡散反射板の反射特性、詳しくは1.5J/cm2の紫外線照射で得られた転写原型を用いた拡散反射板の真正面への反射強度(標準白色板に対する相対強度)の入射角度依存性を図16に示す。
図16から分かるように、実施形態7の拡散反射板は、入射光角度±20度の範囲で高い反射強度である。反射型液晶ディスプレイの拡散反射板に求められる入射光角度は±20度であることから、反射型液晶ディスプレイの拡散反射板として良好な反射特性を有していることが分かった。
このように、本発明の樹脂膜形成方法により表面凹凸を有する樹脂膜を用いて、光学フィルムや拡散反射板を形成した場合、拡散性の良好な光学フィルムもしくは反射特性の良好な反射板を低コストかつ短時間で作製できることが分かった。このような反射板は、例えば反射型液晶ディスプレイなどの拡散反射板等に適している。
【0053】
(他の実施形態)
1.本発明において、未硬化樹脂膜の形成に用いられるラジカル重合型紫外線硬化性樹脂は、複数種類を混合して用いてもよい。例えば、実施形態1、2、3および4のラジカル重合型紫外線硬化樹脂の2種以上を混合して用いてもよい。
2.また、このような混合樹脂を用いて未硬化樹脂膜を形成し、未硬化樹脂膜の周囲の雰囲気の酸素濃度を20体積%以上に制御して紫外線を照射するようにしてもよい。
3.また、このような混合樹脂を用いて不均一な膜厚で未硬化樹脂を形成してもよく、さらには不均一な膜厚の未硬化樹脂膜の周囲の雰囲気の酸素濃度を20体積%以上に制御して紫外線を照射するようにしてもよい。
4.また、混合樹脂を用いること、酸素濃度を制御することおよび未硬化樹脂の膜厚を不均一にすることの何れか1つ以上を組み合わせて形成した凹凸表面を有する樹脂膜を用い、その凹凸表面に金属膜を形成して拡散反射板を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施形態1の樹脂膜の形成方法および装置を説明する概略斜視図である。
【図2】図1の樹脂膜形成装置のステージの概略側面図である。
【図3】図1の樹脂膜形成装置のステージの平面図である。
【図4】実施形態1における未硬化樹脂膜の硬化を説明する図である。
【図5】実施形態1における基板上に形成された樹脂膜表面の凹凸の深さを説明する概略側断面図である。
【図6】実施形態1の方法によって得られた未硬化樹脂膜の膜厚と表面凹凸の深さとの関係を示すグラフである。
【図7】実施形態1における膜厚15μmの未硬化樹脂膜から得られた樹脂膜の表面凹凸の深さと幅を示している。
【図8】本発明の実施形態2の樹脂膜の形成方法および装置を説明する概略斜視図である。
【図9】本発明の実施形態3の樹脂膜の形成方法および装置を説明する概略斜視図である。
【図10】実施形態3における試料の樹脂膜の表面凹凸の深さと酸素濃度との関係を示すグラフである。
【図11】実施形態4における試料の樹脂膜の表面凹凸の深さと未硬化樹脂膜の膜厚との関係を示すグラフである。
【図12】実施形態5における試料の樹脂膜の表面凹凸の深さと未硬化樹脂膜の膜厚との関係を示すグラフである。
【図13】実施形態5における未硬化樹脂膜の硬化を説明する図である。
【図14】実施形態6における未硬化樹脂膜の硬化を説明する図である。
【図15】実施形態6における試料の樹脂膜の表面凹凸の深さと未硬化樹脂膜の膜厚との関係を示すグラフである。
【図16】本発明の樹脂膜形成方法により得られた拡散反射板の反射特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0055】
10、20 ステージ
11 枠体
11a 空洞窓部
11b 位置決めピン
12 高さ調整手段
15 紫外線照射機構
15a 光源本体
15b 光ファイバー
15c 直射ユニット
21 密閉容器
27 酸素濃度調整手段
28 ガス導入管
29 ガス排出管
50 紫外線吸収剤
R 未硬化樹脂
R1 固液接触面
R2 表面
R3 表面凹凸
S 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線透過性の基板にラジカル重合型紫外線硬化性樹脂を含有する樹脂材料を塗布して未硬化樹脂膜を形成し、前記基板側から基板と未硬化樹脂膜との接触面に向けて紫外線を照射することにより未硬化樹脂膜を硬化して、表面に凹凸を有する下地用の樹脂膜を形成することを特徴とする樹脂膜形成方法。
【請求項2】
未硬化樹脂膜の膜厚が10μm以上である請求項1に記載の樹脂膜形成方法。
【請求項3】
紫外線を照射するに際して、未硬化樹脂膜の表面側における雰囲気中の酸素濃度を20体積%以上に調整する請求項1または2に記載の樹脂膜形成方法。
【請求項4】
ラジカル重合型紫外線硬化性樹脂が3官能モノマー以上の多官能モノマーを含有する請求項1〜3の何れか1つに記載の樹脂膜形成方法。
【請求項5】
樹脂材料が紫外線吸収材料を含有する請求項1〜4の何れか1つに記載の樹脂膜形成方法。
【請求項6】
未硬化樹脂膜が、不均一な膜厚にて基板上に形成される請求項1〜5の何れか1つに記載の樹脂膜形成方法。
【請求項7】
ラジカル重合型紫外線硬化性樹脂を含有する未硬化樹脂膜を表面に有する紫外線透過性の基板を保持するステージと、前記基板側から基板と未硬化樹脂膜との接触面に向けて紫外線を照射するための紫外線照射機構とを備えたことを特徴とする樹脂膜形成装置。
【請求項8】
ステージは、基板を載置する部位に紫外線を透過させるための窓部を有する請求項7に記載の樹脂膜形成装置。
【請求項9】
ステージは、基板を載置する部位に紫外線透過性プレートを有する請求項7または8に記載の樹脂膜形成装置。
【請求項10】
ステージは、基板を出し入れ可能に収容し、基板を載置する部位が紫外線透過材料からなる密閉容器を有し、
さらに、前記密閉容器内の酸素濃度を調整するための酸素濃度調整手段を具備する請求項7に記載の樹脂膜形成装置。
【請求項11】
請求項1〜6の何れか1つに記載の樹脂膜形成方法を用いて基板上に形成された凹凸表面を有する樹脂膜と、この樹脂膜の凹凸表面に形成された金属膜とを備えたことを特徴とする拡散反射板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−10791(P2007−10791A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−188783(P2005−188783)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】