説明

樹脂製パレットおよび樹脂製パレットの製造方法

【課題】滑り止め用突起の耐久性を確保しつつ、使い勝手の良好な樹脂製パレットを提供する。
【解決手段】一方の表面302に荷物を載置する樹脂製パレット300であって、それぞれ、荷物の底面に食い込み可能なように、前記一方の表面302から所定高さまで突出する複数の滑り止め用第1突起319が前記一方の表面302に設けられ、複数の滑り止め用第1突起319はそれぞれ、その外周全体に亘って、前記一方の表面302から窪んだ第1周溝を有する、ことを特徴とする樹脂製パレット300。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製パレットおよび樹脂製パレットの製造方法に関し、より詳細には、荷物を上面に載置する際に、荷物が上面から滑り落ちるのを確実に防止できるとともに、段積みの形態で保管する際、安定して保管することが可能な樹脂製パレット、および荷物の種類、重さ、大きさに応じて、種々の樹脂製パレットを製造する際、荷物が上面から滑り落ちるのを確実に防止できる樹脂製パレットを効率的に製造することが可能な樹脂製パレットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、上面に荷物を載置して荷物を移動したり、保管したりするのにパレットが用いられてきた。
荷物を移動する場合には、たとえばフォークリフトを利用して、パレットの底面をフォークにより持ち上げてパレットごと運搬し、荷物を保管する場合には、パレットを地面に下ろして用いられる。
特に、たとえば生鮮食料品のような水分を含んだ荷物を載置するのに、金属製あるいは樹脂製パレットが採用されている。
特許文献1は、このようなパレットの一例を開示する。
このパレットは、荷物が表面に載置されるデッキボードと、このデッキボードの裏面に所定間隔で接合された複数の脚部とを有するアルミニウム合金製のパレットであって、滑り止め機構が、デッキボードの裏面から表面方向に突出する複数の突起で形成され、これらの各突起の略中央に孔が穿設されている。
このようなパレットによれば、パレットがアルミニウム製のため、比較的軽量でありながら水分等を含んだ荷物を運搬することにより、水分がパレットに付着してもパレットの健全性を保持することが可能であるとともに、滑り止め機構により、パレットの上面に載置した荷物が滑り落ちるのを防止することが可能である。
しかしながら、このようなパレットには、以下のような技術的問題点が存する。
第1に、複数の突起の耐久性との関係で、パレットの使い勝手が悪い点である。
より詳細には、たとえば内部に製品を収容した段ボール箱をパレットの上面に載置する場合、複数の突起がそれぞれ、段ボール箱の底面に食い込むことにより、パレットの上面と段ボール箱の底面との間で滑り止めをすることが可能である。
しかしながら、複数の突起が下向きの状態でパレットを使用すると、複数の突起の先端が摩耗することにより、複数の突起の食い込み機能が劣化したり、あるいは複数の突起自体が破損することがある。
より具体的には、複数の突起が下向きの状態で、複数の突起の位置にフォークリフトの金属製爪を挿入したり、あるいはパレットを地面に配置したりする場合には、段ボールの底面とは異なり、フォークリフトの金属製爪や地面は固く、複数の突起の先端が固い爪や地面に当たることにより、摩耗が引き起こされる。
このような摩耗を防止するために、複数の突起が上向きの状態で荷物の底面と対向するようにパレットを常時使用しなければならないとすれば、パレットの使い勝手が悪い。
第2に、パレットを保管するのに不便な点である。
【0003】
より詳細には、複数のパレットを保管する際、占有スペース削減の観点から、通常段積みするが、その際、パレットの上面の複数の滑り止め用突起が、その上のパレットの底面に当たることから、上のパレットは、下のパレットに対して突起の先端によりほぼ点支持に近い状態で支持されているに過ぎないため、段積みの安定性に欠け、少しの振動でも荷崩れを起こしかねない。
第3に、パレットの製造効率が低い点である。
【0004】
より詳細には、パレットは、その広さ、および各滑り止め用突起の大きさ、突起高さ、並びに複数の滑り止め用突起の数、設置位置等は、パレットにより処理すべき荷物の種類、大きさ、重量等に応じて定まることから、荷物に応じて種々のパレットが必要となるところ、特に複数の滑り止め用突起も含め、種々のパレットを効率的に製造することが困難である。この点、特許文献1には、滑り止め機構の部分を別途樹脂製として、板状の樹脂を両面テープを介してデッキボードの表面に貼付してもよいと記載されているが、滑り止め機構の部分だけを別途樹脂製とするのでは、余分な工程を必要とする。
特に、パレットは、荷物の重さに耐え得る剛性が要求される反面、運搬の便宜上、軽量性が要求されることから、パレットの表面に凹部を設けることにより曲げ剛性を確保する一方、パレット自体は、中実構造物でなく中空構造物のものを採用しながらも、厚み方向の圧縮剛性を確保するようにしているものが多い。
この点において、内部構造も含めパレット自体の構造が複雑化することから、このような高剛性および軽量性を満足しつつ、種々のパレットを効率的に製造することはなおさら困難である。
【特許文献1】特開2001−88832
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、滑り止め用突起の耐久性を確保しつつ、使い勝手の良好な樹脂製パレットを提供することにある。
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、荷物を上面に載置する際に、荷物が上面から滑り落ちるのを確実に防止できるとともに、段積みの形態で保管する際、安定して保管することが可能な樹脂製パレットを提供することにある。
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、荷物の種類、重さ、大きさに応じて、種々の樹脂製パレットを製造する際、荷物が上面から滑り落ちるのを確実に防止できる樹脂製パレットを効率的に製造することが可能な樹脂製パレットの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するために、本発明の樹脂製パレットは、
一方の表面に荷物を載置する樹脂製パレットであって、
それぞれ、荷物の底面に食い込み可能なように、前記一方の表面から所定高さまで突出する複数の滑り止め用第1突起が前記一方の表面に設けられ、
複数の滑り止め用第1突起はそれぞれ、その外周全体に亘って、前記一方の表面から窪んだ第1周溝を有する、構成としている。
【0007】
以上の構成を有する樹脂製パレットによれば、樹脂製パレットの一方の表面を上向きにして荷物を載置して、保管あるいは運搬する際、一方の表面には、荷物の底面に食い込み可能なように一方の表面から所定高さまで突出する複数の滑り止め用第1突起が設けられているので、複数の滑り止め用第1突起それぞれが荷物の底面に食い込むことにより、荷物が一方の表面から滑り落ちるのを確実に防止することが可能である。
【0008】
それに対して、樹脂製パレットの一方の表面を下向きにして、他方の表面に荷物を載置して運搬する際、たとえばフォークリフトの金属製爪が、下向きの複数の滑り止め用第1突起に当たる。その際、複数の滑り止め用第1突起それぞれの外周全体に亘って、一方の表面から窪んだ第1周溝が設けられているので、第1周溝内に滑り止め用第1突起の逃げが形成され、それにより、滑り止め用第1突起の先端が第1周溝内に収まることにより、滑り止め用第1突起の先端の摩耗を抑制し、以って滑り止め用第1突起の耐久性を確保することが可能である。また、樹脂製パレットの一方の表面を下向きにして荷物を載置して地面上に保管する場合、同様に、固い地面にも係わらず、滑り止め用第1突起の逃げが形成されることにより、滑り止め用第1突起の耐久性を確保することが可能である。
以上のように、滑り止め用第1突起の耐久性を確保しつつ、樹脂製パレットの一方の表面を適宜上向き状態あるいは下向き状態で使用することが可能であり、使い勝手が改善される。
さらに、それぞれ、一方の表面に対向する他方の表面から所定高さまで突出する複数の滑り止め用第2突起が、複数の滑り止め用第1突起の設置位置に対応するように前記他方の表面に設けられ、
複数の滑り止め用第2突起はそれぞれ、その外周全体に亘って、前記他方の表面から窪んだ第2周溝を有し、
前記第1周溝の幅および深さは、対応する滑り止め用第2突起が前記第1周溝内に収まるのに十分であり、前記第2周溝の幅および深さは、対応する滑り止め用第1突起が前記第2周溝内に収まるのに十分である、のがよい。

【0009】
以上の構成を有する樹脂製パレットによれば、特に、樹脂製パレットを柔軟な支持面、たとえば土の地面、積雪面等に直接置く際、他方の表面には、一方の表面と同様に、他方の表面から所定高さまで突出する複数の滑り止め用第2突起が設けられているので、複数の滑り止め用第2突起それぞれが、確実に地面に食い込んで、重量物の荷物に対して横向きの荷重が作用した場合にも、樹脂製パレットが地面に対して係止した状態を保持することが可能である。
【0010】
一方、樹脂製パレットを段積みして保管する際、樹脂製ゆえに軽量であるとともに、上下に隣合うパレット間において、上の樹脂製パレットの底面に設けた複数の滑り止め用第2突起それぞれの先端を、下の樹脂製パレットの上面に設けた対応する滑り止め用第1突起の第1周溝内に収めるとともに、下の樹脂製パレットの上面に設けた複数の滑り止め用第1突起それぞれの先端を、上の樹脂製パレットの底面に設けた対応する滑り止め用第2突起の第2周溝内に収めることにより、樹脂製パレットに設けた滑り止め用突起に係わらず、上の樹脂製パレットと下の樹脂製パレットとを若干横方向にずらせた状態で、上の樹脂製パレットの底面と下の樹脂製パレットの上面とを略面支持することが可能であるとともに、上の樹脂製パレットに対して横向きの荷重が負荷された場合、上の樹脂製パレットが下の樹脂製パレットに対して面支持状態で相対移動しようとするが、下の樹脂製パレットの第1周溝内に収まる上の樹脂製パレットの滑り止め用第2突起が第1周溝の側面部に当たることにより、このような相対移動が制限されることから、総じて段積みの安定性を確保し、荷崩れ等を防止することが可能である。

さらに、前記樹脂製パレットは、ブロー成形され、前記複数の滑り止め用第1突起および前記複数の滑り止め用第2突起はそれぞれ、前記一方の表面および前記他方の表面と一体で成形されるのがよい。
さらにまた、前記荷物は、段ボール箱であり、前記一方の表面からの前記所定高さは、3mm以下であるのがよい。
【0011】
加えて、前記樹脂製パレットは、中空構造であり、一方の層の外表面が前記一方の表面を構成し、他方の層の外表面が前記他方の表面を構成し、一方の層の周縁と他方の層の周縁とを溶着することにより周側面が形成され、前記第1周溝の底部を構成する前記一方の層の部分、および前記第2周溝の底部を構成する前記他方の層の部分それぞれが薄肉部を形成するのがよい。
さらに、前記滑り止め用第1突起および前記滑り止め用第2突起はそれぞれ、スパイク形状であり、先端部が尖端に形成されるのがよい。
さらにまた、前記滑り止め用第1突起および前記滑り止め用第2突起は、同じ形状に形成され、前記前記第1周溝および前記第2周溝は、同じ形状に形成されるのがよい。

上記課題を達成するために、本発明の金型のキャビティに固定される入れ駒は、
外周面にねじ山が設けられ、ブロー成形される樹脂製パレットの表面を賦形するための凹凸部を設けたキャビティのねじ穴に対して螺合されるねじ軸と、ねじ軸の上部に設けられた、ねじ軸より拡径のねじ頭とを有し、
該ねじ軸は、下端に抜けるエア流路を内部に有し、
該ねじ頭は、キャビティの表面に当接する肩部を有し、内部に該エア流路と連通する凹陥部が形成され、
該凹陥部は、その開口が該ねじ頭の上面に形成されるとともに、樹脂製パレットの表面に形成すべき滑り止め用突起の形状に応じて、尖端部を下向きとした円錐形状に形成され、該尖端部は、滑り止め用突起に要求される高さに応じて、前記肩部から所定長さ下方に位置し、該凹陥部は、前記ねじ軸まで及ぶ、構成としている。

以上の構成を有する入れ駒によれば、入れ駒のねじ軸の外周面に設けたねじ山をキャビティのねじ穴に螺合させることにより、入れ駒のねじ頭の肩部をキャビティの表面に当接させた状態で、入れ駒をキャビティに固定することが可能である。
【0012】
入れ駒を利用して、樹脂製パレットをブロー成形する際、凹陥部がその開口がねじ頭の上面に形成されるようにねじ頭に設けられていることから、キャビティを覆う形態で対向するように配置された溶融状態のパリソンに対してブロー圧をかけて、パリソンをキャビティに向かって押し付けることにより、キャビティの凹凸によりパリソンの表面が賦形されるとともに、開口から凹陥部内にパリソンが流入し、凹陥部が尖端部を下向きとした円錐形状に形成されていることから、このような円錐形状に対応した滑り止め用突起がパリソンの表面に形成される。その際、ねじ軸の下端からねじ軸の内部に設けたエア流路を介して吸引することにより、凹陥部がエア流路に連通することから、外形が曲面状であるにもかかわらず、成形性が良好な滑り止め用突起を形成することが可能である。
【0013】
キャビティの表面からねじ頭が突出し、そのねじ頭の内部に凹陥部が形成されることから、滑り止め用突起のまわりに、ねじ頭の外形と相補形状の、パリソンの表面から窪んだ周溝が形成されるとともに、滑り止め用突起に要求される高さに応じて、尖端部を肩部から所定長さ下方に位置させて、凹陥部がねじ軸まで及ぶようにすることにより、肩部からの所定長さに相当する所定量に亘ってパリソンの表面から突出する滑り止め用突起を形成することが可能である。

さらに、前記ねじ頭の径および/または高さは、前記滑り止め用突起のまわりに設けるべき周溝の形状に応じて決定されるのがよい。
さらにまた、前記エア流路および前記凹陥部は、前記入れ駒の中心軸に沿って設けられるのがよい。
加えて、前記入れ駒は、前記入れ駒が固定される金型のキャビティより高い熱伝導率を有する金属製であるのがよい。

上記課題を達成するために、本発明の樹脂製パレットの製造方法は、
請求項7ないし請求項10のいずれか1項に記載の入れ駒を分割金型の一方のキャビティに螺合して固定する段階と、
溶融状態のパリソンを、キャビティを覆う形態で対向するように位置決めする段階と、
分割金型を型締して、分割金型の内部に密閉空間を形成する段階と、
該密閉空間からブロー圧をかけて、溶融状態のパリソンをキャビティに向かって押し付けることにより、溶融状態のパリソンの表面を賦形するとともに、溶融状態のパリソンの表面に、前記入れ駒の前記ねじ頭の形状および前記凹陥部の形状それぞれに対応した周溝および滑り止め用突起を成形する段階と、
を有する構成としている。

【0014】
以上の構成を有する樹脂製パレットの製造方法によれば、載置すべき荷物の大きさ、重さ、材質等に応じてパレットの表面の形状、大きさ、および表面に設ける滑り止め用突起の大きさ、突出量を決定し、それに応じて入れ駒のねじ頭の形状および凹陥部の形状を定め、この入れ駒を分割金型の一方のキャビティに螺合することにより、キャビティに固定し、溶融状態のパリソンを、キャビティを覆う形態で対向するように位置決めし、分割金型を型締して、分割金型の内部に密閉空間を形成し、密閉空間からブロー圧をかけて、溶融状態のパリソンをキャビティに向かって押し付けることにより、溶融状態のパリソンの表面を賦形するとともに、溶融状態のパリソンの表面に、入れ駒のねじ頭の形状および凹陥部の形状それぞれに対応した周溝および滑り止め用突起を成形することにより、樹脂製パレットを効率的に製造することが可能である。

さらに、樹脂製パレットに要求される形状に応じて設定した凹凸を表面に設けた駒を準備するとともに、駒の外形と相補形状の凹部をキャビティの表面に設ける段階と、
請求項7ないし請求項10のいずれか1項に記載の入れ駒を固定ねじとして利用しつつ、前記表面を他方の分割金型に対向する形態で、準備した駒を固定ねじを用いて分割金型の一方のキャビティの凹部に螺合して固定する段階と、
を有するのがよい。

【0015】
要求されるパレットの形状、表面形状および大きさに応じて、表面に凹凸を設けた駒を準備するとともに、駒の外形と相補形状の凹部をキャビティの表面に設けた状況で、固定ねじを用いてこの駒をキャビティに固定する際、強固に固定する観点から固定ねじは少なくともキャビティの凹部の周囲近傍に設置する必要があることから、この固定ねじを周溝および滑り止め用突起を形成するための入れ駒として利用することにより、滑り止め用突起を含め要求されるパレットの仕様に応じて専用的な固定ねじおよび駒を準備することにより、一対の金型自体を汎用的に用いながら種々のキャビティ樹脂製パレットを効率的に製造することが可能である。
さらにまた、前記周溝および滑り止め用突起を成形する段階は、前記密閉空間からブロー圧をかけるとともに、キャビティ側から前記入れ駒の前記凹陥部および前記エア流路を通じて吸引する段階を有するのがよい。

【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
段ボール箱Bを上面に載置するのに用いられるパレットを例として、本発明に係る樹脂製パレットおよび樹脂製パレットの製造方法の実施形態を図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
図1に示すように、樹脂製パレット300は、略直方体形状であり、上面302に荷物を載置可能な大きさを有する。
樹脂製パレット300は、後に説明するように、ブロー成形による2層の中空積層構造であり、上層301の外表面が上面302を構成する一方、下層303の外表面が下面304を構成し、上層301の周縁と下層303の周縁とを溶着することにより、周側面306が形成されるとともに、内部に中空部308(図2参照)を形成し、軽量化に寄与している。
【0017】
図2に示すように、上面302は、それぞれ上面302から内方に突出する複数の窪み310を有する一方、下面304は、同様に、それぞれ下面304から内方に突出する複数の窪み310を有し、上層301および下層303の対応する窪み310同士の底面312を突き合わせ溶着することにより、樹脂製パレット300の厚みを構成するリブ314が形成され、このリブ314により、上面302に荷物が載置されたときに、それに耐えるような圧縮剛性を確保するようにしている。リブ314の厚み、かくして上層301および下層303それぞれの厚み、窪み310の数および位置は、このような観点から定めればよい。
【0018】
図1に示すように、上面302には、長辺方向Lに互いに所定の間隔を隔て、それぞれ略短辺方向S全体に亘って延びる複数の凹部316が設けられ、同様に、下面304には、長辺方向Lに互いに所定の間隔を隔て、それぞれ略短辺方向S全体に亘って延びる複数の凹部(図示せず)が設けられ、それにより、樹脂製パレット300の長辺方向Lの曲げ剛性を確保するようにしている。凹部316の数、深さおよび位置は、このような観点から定めればよい。
【0019】
図1および図2に示すように、上面302には、それぞれの凹部316の両端の近傍に、荷物の底面に食い込み可能なように上面302から所定高さPまで突出する滑り止め用上突起319が設けられ、滑り止め用上突起319はそれぞれ、その外周全体に亘って、上面302から窪んだ上周溝318を有する。滑り止め用上突起319はそれぞれ、スパイク形状であり、先端部320が尖端に形成されている。これにより、上面302に載置した荷物である段ボール箱Bの底面が上面302に対して滑って、段ボール箱Bが樹脂製パレット300から滑り落ちるような事態を防止することが可能である。
複数の凹部316が、上面302全体に亘って均等に分布していることから、滑り止め用上突起319は、上面302の周縁をほぼカバーするように配置され、それにより荷物である段ボール箱Bを上面302に載置したときに、滑り止め用上突起319が段ボールの底面を全体的、かつ一様にカバーするようにしている。
【0020】
複数の滑り止め用上突起319はそれぞれ、凹部316とともに、上面302と一体で成形され、段ボール箱Bの底面に有効に食い込み可能なように、上面302からの突出高さPは、3mm以下であるのが好ましい。段ボール箱B内の収容物の重量に依存するが、突出高さが3mmを超えると、滑り止め用上突起319の先端の段ボールの底面への食い込み量が過剰となり、段ボール箱Bの滑り止めには有効である反面、段ボール箱Bを樹脂製パレット300から除載する際に支障となるとともに、先端部320の太さに依存するが、樹脂製の滑り止め用上突起319の先端部320の構造健全性を維持することが困難となる。
【0021】
同様に、図2に示すように、下面304には、それぞれの凹部316の両端の近傍に、地面に食い込み可能なように下面304から所定高さまで突出する滑り止め用下突起321が設けられ、滑り止め用下突起321はそれぞれ、その外周全体に亘って、下面304から窪んだ下周溝323を有する。複数の滑り止め用下突起321は、複数の滑り止め用上突起319の設置位置に対応するように下面304に設けられ、それにより、後に説明するように、樹脂製パレット300を段積みして保管する際、上下に隣合うパレット間において、上の樹脂製パレット300の下面304に設けた複数の滑り止め用下突起321それぞれの先端を、下の樹脂製パレット300の上面302に設けた対応する滑り止め用上突起319の上周溝318内に収めるとともに、下の樹脂製パレット300の上面302に設けた複数の滑り止め用上突起319それぞれの先端を、上の樹脂製パレット300の下面304に設けた対応する滑り止め用下突起321の下周溝323内に収めることにより、上の樹脂製パレット300の下面304と下の樹脂製パレット300の上面302とを略面支持することが可能であるようにしている(図12参照)。
【0022】
滑り止め用下突起321はそれぞれ、スパイク形状であり、先端部325が尖端に形成されている。これにより、特に、樹脂製パレット300を柔軟な支持面、たとえば土の地面、積雪面等に直接置く際、複数の滑り止め用下突起321それぞれが、確実に地面に食い込んで、重量物の荷物に対して横向きの荷重が作用した場合にも、樹脂製パレット300が地面に対して係止した状態を保持することが可能なようにしている。
【0023】
複数の凹部316が、下面304全体に亘って均等に分布していることから、滑り止め用下突起321は、下面304の周縁をほぼカバーするように配置され、それにより段ボール箱Bを上面302に載置した樹脂製パレット300を地面に置いたときに、滑り止め用下突起321が樹脂製パレット300の下面304を全体的、かつ一様にカバーするようにしている。
複数の滑り止め用下突起321はそれぞれ、凹部316とともに、下面304と一体で成形され、地面に有効に食い込み可能なように、下面304からの突出高さPを設定するのがよい。
【0024】
上面302に設けられる上周溝318は、リング形状であり、その幅Wおよび深さD(図12参照)は、対応する滑り止め用下突起321が上周溝318内に収まるのに十分なように設定される。より具体的には、対応する滑り止め用下突起321の尖端部325まわりの形状、特に傾斜角度を考慮して、決定すればよい。下面304に設けられる下周溝323についても同様である。
なお、複数の滑り止め用下突起321はそれぞれ、各々の滑り止め用上突起319に対応する位置に設けているので、すべての対応する滑り止め用下突起321と滑り止め用上突起319との間で、上述のような収まりを実現することが可能である。
【0025】
上層301が、後に説明するように、2つの分割形式の金型50の間に位置決めした溶融状態の2枚の熱可塑性樹脂製シートPを2つの分割形式の金型50を型締することにより成形される場合、下層303と上層301との間の所望の位置に密閉中空部308を有するとともに所望の表面形状を呈するように形成する一方、下層303と上層301とを溶着し、樹脂製パレット300の用途に応じた外形あるいは表面形状および内部構造を所望に実現することが可能である。特に、下層303および上層301同士の周縁面が互いに溶着することにより、パーティングラインが形成される。

次に、このような樹脂製パレット300の成形装置について、以下に説明する。
【0026】
図3に示すように、樹脂製パレット300の成形装置は、押出装置12と、押出装置12の下方に配置された型締装置14とを有し、押出装置12から押出された溶融状態の熱可塑性樹脂製シートPを型締装置14に送り、型締装置14により溶融状態の熱可塑性樹脂製シートPを成形するようにしている。ここに、2枚の熱可塑性樹脂それぞれを押し出して、型締装置14まで送るまでの装置は、同様であるので、一方のみ説明し、他方については同様な参照番号を付することによりその説明は省略する。
【0027】
押出装置12は、従来既知のタイプであり、その詳しい説明は省略するが、ホッパー16が付設されたシリンダー18と、シリンダー18内に設けられたスクリュー(図示せず)と、スクリューに連結された油圧モーター20と、シリンダー18と内部が連通したアキュムレータ22と、アキュムレータ22内に設けられたプランジャー24とを有し、ホッパー16から投入された樹脂ペレットが、シリンダー18内で油圧モーター20によるスクリューの回転により溶融、混練され、溶融状態の樹脂がアキュムレータ室22に移送されて一定量貯留され、プランジャー24の駆動によりTダイ28に向けて溶融樹脂を送り、押出スリット34を通じて所定の長さの連続的な熱可塑性樹脂製シートPが押し出され、間隔を隔てて配置された一対のローラー30によって挟圧されながら下方へ向かって送り出されて分割金型32の間に垂下される。これにより、後に詳細に説明するように、熱可塑性樹脂製シートPが上下方向(押出方向)に一様な厚みを有する状態で、分割金型32の間に配置される。
【0028】
押出装置12の押出の能力は、成形する樹脂成形品の大きさ、熱可塑性樹脂製シートPのドローダウンあるいはネックイン発生防止の観点から適宜選択する。より具体的には、実用的な観点から、間欠押出における1ショットの押出量は好ましくは1〜10kgであり、押出スリット34からの樹脂の押出速度は、数百kg/時以上、より好ましくは700kg/時以上である。また、熱可塑性樹脂製シートPのドローダウンあるいはネックイン発生防止の観点から、熱可塑性樹脂製シートPの押出工程はなるべく短いのが好ましく、樹脂の種類、MFR値、メルトテンション値に依存するが、一般的に、押出工程は40秒以内、より好ましくは10〜20秒以内に完了するのがよい。このため、熱可塑性樹脂の押出スリット34からの単位面積、単位時間当たりの押出量は、50kg/時cm以上、より好ましくは150kg/時cm以上である。
【0029】
一対のローラー30の回転により一対のローラー30間に挟み込まれた熱可塑性樹脂製シートPを下方に送り出すことで、熱可塑性樹脂製シートPを延伸薄肉化することが可能であり、押し出される熱可塑性樹脂製シートPの押出速度と一対のローラー30による熱可塑性樹脂製シートPの送り出し速度との関係を調整することにより、ドローダウンあるいはネックインの発生を防止することが可能であるから、樹脂の種類、特にMFR値およびメルトテンション値、あるいは単位時間当たりの押出量に対する制約を小さくすることが可能である。
【0030】
図3に示すように、Tダイ28に設けられる押出スリット34は、鉛直下向きに配置され、押出スリット34から押し出された熱可塑性樹脂製シートPは、そのまま押出スリット34から垂下する形態で、鉛直下向きに送られるようにしている。押出スリット34は、その間隔を可変とすることにより、熱可塑性樹脂製シートPの厚みを変更することが可能である。
【0031】
一対のローラー30について説明すれば、一対のローラー30は、押出スリット34の下方において、各々の回転軸が互いに平行にほぼ水平に配置され、一方が回転駆動ローラー30Aであり、他方が被回転駆動ローラー30Bである。より詳細には、図3に示すように、一対のローラー30は、押出スリット34から下方に垂下する形態で押し出される熱可塑性樹脂製シートPに関して、線対称となるように配置される。
【0032】
それぞれのローラーの直径およびローラーの軸方向長さは、成形すべき熱可塑性樹脂製シートPの押出速度、シートの押出方向長さおよび幅、ならびに樹脂の種類等に応じて適宜設定すればよいが、後に説明するように、一対のローラー30間に熱可塑性樹脂製シートPを挟み込んだ状態で、ローラーの回転により熱可塑性樹脂製シートPを円滑に下方に送り出す観点から、回転駆動ローラー30Aの径は、被回転駆動ローラー30Bの径より若干大きいのが好ましい。ローラーの径は50〜300mmの範囲であることが好ましく、熱可塑性樹脂製シートPとの接触においてローラーの曲率が大きすぎてもまた、小さすぎても熱可塑性樹脂製シートPがローラーへ巻き付く不具合の原因となる。
一方、型締装置14も、押出装置12と同様に、従来既知のタイプであり、その詳しい説明は省略するが、2つの分割形式の金型32A,Bと、金型32A,Bを溶融状態の熱可塑性樹脂製シートPの供給方向に対して略直交する方向に、開位置と閉位置との間で移動させる金型駆動装置とを有する。
【0033】
図3に示すように、2つの分割形式の金型32A,Bは、キャビティ116を対向させた状態で配置され、それぞれキャビティ116が略鉛直方向沿うように配置される。それぞれのキャビティ116の表面には、凹部401が設けられ、この凹部401と相補形状の駒403と、駒403を凹部401に螺合するための入れ駒402とが、形成すべき樹脂製パレット300に応じて準備される。
2つの分割形式の金型32A,Bそれぞれに設けられる駒403および入れ駒402の構造は、ほぼ同様であるので、一方の金型32Aに設けられる駒403Aおよび入れ駒402Aについて説明する。
図4に示すように、駒403は、樹脂製パレット300の表面に設ける窪み310および凹部316を樹脂製パレット300の表面に賦形可能なように、表面に凹凸部が加工してあり、樹脂製パレット300の種類に応じてこのような駒403を複数準備しておく。
より詳細には、表面に設ける窪み310に応じて、それと相補形状の先細の突起体405、表面に設ける凹部316に応じて、それと相補形状の突起体407を駒403の表面の所定位置に設けている。
駒403には、後に説明する入れ駒402が貫通する貫通孔(図示せず)が設けられ、製造すべき樹脂製パレット300に応じて選択した駒の貫通孔に入れ駒402を通したうえで、入れ駒402をキャビティ116に螺合することにより、駒403をキャビティ116の凹部401に固定するようにしている。
【0034】
図5および図6に示すように、入れ駒402は、外周面にねじ山406が設けられたねじ軸408と、ねじ軸408の上部に設けられた、ねじ軸408より拡径のねじ頭410とを有する。このねじ軸408により、ブロー成形される樹脂製パレット300の表面を賦形するための凹凸部を設けたキャビティのねじ穴に対して、入れ駒402が螺合されるようにしてある。ねじ軸408の軸長さL2は、ねじ頭410の肩部412が駒403の表面に当接した状態で、ねじ軸408が駒403の貫通孔を貫通して、駒403の表面と反対側から突出して、キャビティのねじ穴に螺合するのに十分な長さを有する。
【0035】
ねじ軸408は、下端418に抜けるエア流路414を内部に有し、一方、ねじ頭410は、内部にエア流路414と連通する凹陥部416が形成されている。なお、エア流路414は、後に説明する真空吸引室450と連通している。エア流路414および凹陥部416は、入れ駒402の中心軸X−Xに沿って設けられる。これにより、後に説明するように、入れ駒402の凹陥部416を用いて滑り止め用突起を成形する際、ねじ軸408の下端418からエア流路414を介して吸引することにより、曲面状の滑り止め用突起を成形精度が良好な状態で成形することが可能である。
【0036】
凹陥部416は、その開口420がねじ頭410の上面に形成されるとともに、樹脂製パレット300の表面に形成すべき滑り止め用突起の形状に応じて、尖端部415を下向きとした円錐形状に形成されている。これにより、後に説明するように、溶融状態の熱可塑性樹脂製シートが開口420から凹陥部416内に導かれて、凹陥部416の内部形状と相補形状の円錐状に滑り止め用突起を成形することが可能にしている。
尖端部415は、滑り止め用突起に要求される高さに応じて、肩部412から所定長さ下方に位置し、凹陥部416はねじ軸408まで及ぶ。
【0037】
ねじ頭410の径および/または高さは、滑り止め用突起のまわりに設けるべき周溝の形状に応じて決定すればよい。なお、ねじ頭410の側面の直径方向反対側に設けられた一対の平坦部417は、入れ駒402をねじ込む際、締結治具による固定面である。 入れ駒402は、入れ駒402が固定される金型のキャビティ116より高い熱伝導率を有する金属製である。これにより、溶融状態の熱可塑性樹脂製シートが入れ駒402に接した部分が他の部分より速く冷却固化することから、輪郭部の成形精度を向上することが可能である。
【0038】
図3に示すように、2つの分割形式の金型32A,Bそれぞれにおいて、キャビティ116のまわりには、ピンチオフ部118が形成され、このピンチオフ部118は、キャビティ116のまわりに環状に形成され、対向する金型32A,Bに向かって突出する。これにより、2つの分割形式の金型32A,Bを型締する際、それぞれのピンチオフ部118の先端部が当接し、2枚の溶融状態の熱可塑性樹脂製シートP1、P2は、その周縁にパーティングラインPLが形成されるように溶着され、中空部308を閉塞する外周壁が形成される。
【0039】
金型32Aの外周部には、型枠33Aが密封状態で摺動可能に外嵌し、図示しない型枠移動装置により、型枠33Aが、金型32Aに対して相対的に移動可能としている。より詳細には、型枠33Aは、金型32Aに対して金型32Bに向かって突出することにより、金型32A,B間に配置された熱可塑性樹脂製シートP1の側面に当接可能である。
【0040】
金型駆動装置については、従来と同様のものであり、その説明は省略するが、2つの分割形式の金型32A,Bはそれぞれ、金型駆動装置により駆動され、開位置において、2つの分割金型32A,Bの間に、2枚の溶融状態の熱可塑性樹脂製シートPが配置可能なようにされ、一方閉位置において、2つの分割金型32A,Bのピンチオフ部118が当接し、環状のピンチオフ部118が互いに当接することにより、2つの分割金型32A,B内に密閉空間が形成されるようにしている。開位置から閉位置への各金型32A,Bの移動について、閉位置、すなわち、ピンチオフ部118同士が互いに当接する位置は、2枚の溶融状態の熱可塑性樹脂製シートP1、P2間で、両熱可塑性樹脂製シートP1、P2から等距離の位置とし、各金型32A,Bが金型駆動装置により駆動されてその位置に向かって移動するようにしている。
なお、一方の熱可塑性樹脂製シートP1用の押出装置および一対のローラーと、他方の一方の熱可塑性樹脂製シートP2用の押出装置および一対のローラーとは、この閉位置に関して対称に配置されている。
【0041】
図8に示すように、分割金型32Aの内部には、真空吸引室450が設けられ、真空吸引室450は吸引穴452を介してキャビティ116Aに連通するとともに、入れ駒402のエア流路414を介して陥凹部416に連通し、真空吸引室450から吸引穴452およびエア流路414を介して吸引することにより、キャビティ116Aに向かって熱可塑性樹脂製シートP1を吸着させて、キャビティ116Aの外表面および陥凹部416の内面形状に沿った形状に賦形するようにしている。
一方、分割金型32Bには、金型32A、Bを型締したときに両金型により形成される密閉空間内から吹き込み圧をかけることが可能なように、従来既知のブローピン(図示せず)が設置されている。
【0042】
下層303および上層301の材料である熱可塑性樹脂製シートP1、P2は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、または非晶性樹脂などから形成されたシートからなる。より詳細には、熱可塑性樹脂製シートP1、P2は、ドローダウン、ネックインなどにより肉厚のバラツキが発生することを防止する観点から溶融張力の高い樹脂材料を用いることが好ましく、一方で金型への転写性、追従性を良好とするため流動性の高い樹脂材料を用いることが好ましい。
【0043】
より具体的にはエチレン、プロピレン、ブテン、イソプレンペンテン、メチルペンテン等のオレフィン類の単独重合体あるいは共重合体であるポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン)であって、230℃におけるMFR(JIS K−7210に準じて試験温度230℃、試験荷重2.16kgにて測定)が3.0g/10分以下、さらに好ましくは0.3〜1.5g/10分のもの、またはアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン(HIPS樹脂)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等の非晶性樹脂であって、200℃におけるMFR(JIS K−7210に準じて試験温度200℃、試験荷重2.16kgにて測定)が3.0〜60g/10分、さらに好ましくは30〜50g/10分でかつ、230℃におけるメルトテンション(株式会社東洋精機製作所製メルトテンションテスターを用い、余熱温度230℃、押出速度5.7mm/分で、直径2.095mm、長さ8mmのオリフィスからストランドを押し出し、このストランドを直径50mmのローラに巻き取り速度100rpmで巻き取ったときの張力を示す)が50mN以上、好ましくは120mN以上のものを用いて形成される。

【0044】
また、熱可塑性樹脂製シートP1、P2には衝撃により割れが生じることを防止するため、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーが30wt%未満、好ましくは15wt%未満の範囲で添加されていることが好ましい。具体的には水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとしてスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体、水添スチレン−ブタジエンゴムおよびその混合物が好適であり、スチレン含有量が30wt%未満、好ましくは20wt%未満であり、230℃におけるMFR(JIS K−7210に準じて試験温度230℃、試験荷重2.16kgにて測定)は1.0〜10g/10分、好ましくは5.0g/10分以下で、かつ1.0g/10分以上あるものがよい。
さらに、熱可塑性樹脂製シートP1、P2には、添加剤が含まれていてもよく、その添加剤としては、シリカ、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維、カーボン繊維等の無機フィラー、可塑剤、安定剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤等が挙げられる。
具体的にはシリカ、マイカ、ガラス繊維等を成形樹脂に対して50wt%以下、好ましくは30〜40wt%添加する。

以上の構成を有する樹脂製パレット300の成形装置を利用した樹脂製パレット300の製造方法について、図面を参照しながら以下に説明する。
まず、内容物が充填された載置すべき段ボール箱Bの大きさ、重量に応じて、キャビティの凹部401に嵌め込む駒403、および凹部401に駒403を螺合するのに利用する入れ駒402を準備する。
【0045】
より具体的には、樹脂製パレット300の上面302および下面304それぞれに設ける窪み310の数、深さおよび位置は、上面302の窪み310の底面312と下面304の対応する窪み310の底面312とを突き合わせ溶着することにより、樹脂製パレット300の厚みを実質的に形成するリブ314が形成されることから、段ボール箱Bの重さとの関係で必要な圧縮剛性を確保する観点から決定され、一方樹脂製パレット300の上面302および下面304それぞれに設ける凹部316は、必要な曲げ剛性を確保する観点から決定され、それに応じて、このような窪み310および凹部316を樹脂製パレット300の表面に賦形可能なように、表面の形状を加工した駒403を準備する。さらに、樹脂製パレット300の上面302および下面304それぞれに設ける滑り止め用突起の大きさ、数、設置位置等も同様に、段ボール箱Bの大きさ、重量に基づいて決定され、それに応じて、ねじ頭410の大きさ、ねじ頭410の上面に形成する凹陥部416の大きさおよび深さそれぞれを所望に実現した入れ駒402を準備する。
次いで、準備した駒403を準備した入れ駒402を用いて、キャビティの凹部401に螺合して固定する。
【0046】
次いで、図3において、溶融混練した熱可塑性樹脂をアキュムレータ22内に所定量貯留し、Tダイ28に設けられた所定間隔の押出スリット34から、貯留された熱可塑性樹脂を単位時間当たり所定押出量で間欠的に押し出すことにより、熱可塑性樹脂はスウェルし、溶融状態のシート状に下方に垂下するように所定の厚みにて所定押出速度で押し出される。
【0047】
次いで、一対のローラー30を開位置に移動し、押出スリット34の下方に配置された一対のローラー30同士の間隔を熱可塑性樹脂製シートPの厚みより広げることにより、下方に押し出された溶融状態の熱可塑性樹脂製シートPの最下部が一対のローラー30間に円滑に供給されるようにする。なお、ローラー30同士の間隔を熱可塑性樹脂製シートPの厚みより広げるタイミングは、押し出し開始後でなく、ワンショットごとに二次成形が終了時点で行ってもよい。
次いで、一対のローラー30同士を互いに近接させて閉位置に移動し、一対のローラー30同士の間隔を狭めて熱可塑性樹脂製シートPを挟み込み、ローラーの回転により熱可塑性樹脂製シートPを下方に送り出す。
次いで、図3に示すように、押出方向に一様な厚みを形成した熱可塑性樹脂製シートPを一対のローラー30の下方に配置された分割金型32A,B間に配置する。これにより、熱可塑性樹脂製シートPは、ピンチオフ部118のまわりにはみ出す形態で位置決めされる。
以上の工程を、2枚の熱可塑性樹脂製シートP1、P2それぞれについて行い、下層303の材料である熱可塑性樹脂製シートP2と、上層301の材料である熱可塑性樹脂製シートP1とを互いに間隔を隔てた状態で、分割金型32A,B間に配置する。
この場合、2枚の熱可塑性樹脂製シートP1、P2はそれぞれ、互いに独立に、押し出しスリット34の間隔、あるいは一対のローラ30の回転速度を調整することにより、分割金型32A,B間に配置される際の厚みを調整可能である。
次いで、図7に示すように、型枠33Aを金型32Aに対して、上層301の材料である熱可塑性樹脂製シートP1に向かって、金型32Aに対向する熱可塑性樹脂製シートP1の外表面117に当たるまで移動させる。型枠33Bも同様に、熱可塑性樹脂製シートP2の外表面117に当たるまで移動させる。
【0048】
次いで、図8に示すように、金型32Aのキャビティ116A、型枠33Aの内周面102、および金型32Aに対向する熱可塑性樹脂製シートP1の外表面117により構成された第1密閉空間84を通じて、真空吸引室450から吸引穴452およびエア流路414を介して吸引することにより、金型32Aのキャビティ116Aに対して熱可塑性樹脂製シートP1の外表面を押し当てることにより、熱可塑性樹脂製シートP1を賦形するとともに、熱可塑性樹脂製シートP1の表面に、入れ駒402のねじ頭410の形状および凹陥部416の形状それぞれに対応した上周溝318および滑り止め用上突起319を成形する。
【0049】
なお、この賦形段階において、一対の分割形式の金型32のそれぞれのキャビティ116に複数設けられた突起体405および407に対して、対応する熱可塑性樹脂製シートP1を押し当てることにより、熱可塑性樹脂製シートP1の表面に複数の突起体405および407に対応する複数の窪み310および凹部316を賦形する。
以上の吸引工程による賦形を熱可塑性樹脂製シートP2についても同様に行い、下周溝323および滑り止め用下突起321を成形するとともに、複数の窪み310および凹部を賦形する。
【0050】
次いで、図9に示すように、熱可塑性樹脂製シートP1の外表面117に当接する型枠33A、および熱可塑性樹脂製シートP2の外表面117に当接する型枠33Bをそのままの位置に保持した状態で熱可塑性樹脂製シートP1および熱可塑性樹脂製シートP2を吸引保持しつつ、それぞれの環状のピンチオフ部118A,B同士が当接するまで両金型32A,Bを互いに近づく向きに移動させて型締する。この場合、ピンチオフ部118A,B同士の型締方向の当接位置は、互いに離間する2枚の熱可塑性樹脂製シートP1,P2の間となるところ、図9に示すように、ピンチオフ部118A,B同士が当接することにより、2枚の熱可塑性樹脂製シートP1,P2は互いの周縁部同士が溶着固定されてパーティングラインが形成される。これにより、上層301と下層303との間に密閉中空部308を形成するとともに、熱可塑性樹脂製シートの表面に複数の窪み310を設ける。また、一方の熱可塑性樹脂製シートの複数の窪み310のそれぞれの底面312と、他方の熱可塑性樹脂製シートの対応する窪み310の底面312とを突き合わせ溶着することにより、樹脂製パレット300の厚みを構成するリブ314を形成する。
次いで、ブローピンを介して型締された金型内の密閉中空部からブロー圧をかけることにより、上述の吸引工程で予め賦形された複数の窪み310および凹部316、並びに上周溝318および滑り止め用上突起319それぞれ、および下周溝323および滑り止め用下突起321それぞれを、仕上げ賦形する。
次いで、図10に示すように、分割金型32A,Bを型開きして、成形された樹脂製パレット300を取り出し、ピンチオフ部118A,Bの外側のバリ部分Bを切断し、これで成形が完了する。
【0051】
樹脂製パレット300の製造方法の変形例として、上述のように、分割金型32それぞれにおいて、型枠33を移動させることにより、キャビティと型枠33と溶融状態の熱可塑性樹脂製シートPとで密閉空間を形成し、分割金型32の側から密閉空間内の空気を吸引することにより溶融状態の熱可塑性樹脂製シートPを賦形する代りに、このような吸引工程を省略し、一対の分割金型32を型締することにより分割金型32内に密閉空間を形成し、この密閉空間からブロー圧をかけることにより溶融状態の熱可塑性樹脂製シートPを賦形してもよい。
【0052】
より詳細には、樹脂製パレット300の上面302を構成する溶融状態の熱可塑性樹脂製シートP1の一方の外表面と、樹脂製パレット300の下面304を構成する溶融状態の熱可塑性樹脂製シートP2の他方の外表面とについて、それぞれ個別に、吸引工程により一方の外表面および他方の外表面を予備賦形することなしに、分割金型32を型締することにより、2条の熱可塑性樹脂製シートP1,P2の周縁同士を溶着してパーティグラインを形成するとともに、一方の熱可塑性樹脂製シートの複数の窪み310のそれぞれの底面312と、他方の熱可塑性樹脂製シートの対応する窪み310の底面312とを突き合わせ溶着することにより、樹脂製パレット300の厚みを構成するリブ314を形成すると同時に、密閉空間からブロー圧をかけて、2条の熱可塑性樹脂製シートそれぞれの外表面を同時に賦形しつつ、それぞれの外表面に、対応する入れ駒402のねじ頭410の形状および対応する凹陥部416の形状それぞれに対応した周溝および滑り止め用突起を成形してもよい。
このような変形例は、成形すべき周溝および滑り止め用突起が単純な形状である場合に適しており、それぞれの分割金型32における吸引工程を省略することにより、樹脂製パレット300の製造効率をより向上することが可能である。
【0053】
以上の構成を有する樹脂製パレット300によれば、図11に示すように、樹脂製パレット300の上面302に荷物を載置して、保管あるいは運搬する際、上面302には、荷物の底面312に食い込み可能なように上面302から所定高さまで突出する複数の滑り止め用上突起319が設けられているので、複数の滑り止め用上突起319それぞれが荷物の底面312に食い込むことにより、荷物が上面302から滑り落ちるのを確実に防止することが可能である。
【0054】
さらに、樹脂製パレット300を柔軟な支持面、たとえば土の地面、積雪面等に直接置く際、下面304には、上面302と同様に、下面304から所定高さまで突出する複数の滑り止め用下突起321が設けられているので、複数の滑り止め用下突起321それぞれが、確実に地面に食い込んで、重量物の荷物に対して横向きの荷重が作用した場合にも、樹脂製パレット300が地面に対して係止した状態を保持することが可能である。
【0055】
一方、図12に示すように、樹脂製パレット300を段積みして保管する際、樹脂製ゆえに軽量であるとともに、上下に隣合うパレット間において、上の樹脂製パレット300の下面304に設けた複数の滑り止め用下突起321それぞれの先端を、下の樹脂製パレット300の上面302に設けた対応する滑り止め用上突起319の上周溝318内に収めるとともに、下の樹脂製パレット300の上面302に設けた複数の滑り止め用上突起319それぞれの先端を、上の樹脂製パレット300の底面に設けた対応する滑り止め用下突起321の下周溝内318に収めることにより、樹脂製パレット300に設けた滑り止め用突起に係わらず、上の樹脂製パレット300と下の樹脂製パレット300とを若干横方向にずらせた状態で、上の樹脂製パレット300の下面304と下の樹脂製パレット300の上面302とを略面支持することが可能であるとともに、上の樹脂製パレット300に対して横向きの荷重が負荷された場合、上の樹脂製パレット300が下の樹脂製パレット300に対して面支持状態で相対移動しようとするが、下の樹脂製パレット300の上周溝318内に収まる上の樹脂製パレット300の滑り止め用下突起321が上周溝318の側面部に当たることにより、このような相対移動が制限されることから、総じて段積みの安定性を確保し、荷崩れ等を防止することが可能である。
以上の構成を有する入れ駒402によれば、入れ駒402のねじ軸408の外周面に設けたねじ山406をキャビティのねじ穴に螺合させることにより、入れ駒402のねじ頭410の肩部412をキャビティの表面に当接させた状態で、入れ駒402をキャビティに固定することが可能である。
【0056】
入れ駒402を利用して、樹脂製パレット300をブロー成形する際、凹陥部416がその開口420がねじ頭410の上面302に形成されるようにねじ頭410に設けられていることから、キャビティを覆う形態で対向するように配置された溶融状態の熱可塑性樹脂製シートに対してブロー圧をかけて、熱可塑性樹脂製シートをキャビティに向かって押し付けることにより、キャビティの凹凸により熱可塑性樹脂製シートの表面が賦形されるとともに、開口420から凹陥部416内に熱可塑性樹脂製シートが流入し、凹陥部416が尖端部を下向きとした円錐形状に形成されていることから、このような円錐形状に対応した滑り止め用突起が熱可塑性樹脂製シートの表面に形成される。その際、ねじ軸408の下端418からねじ軸408の内部に設けたエア流路414を介して吸引することにより、凹陥部416がエア流路414に連通することから、外形が曲面状であるにもかかわらず、成形性が良好な滑り止め用突起を形成することが可能である。
【0057】
キャビティの表面からねじ頭410が突出し、そのねじ頭410の内部に凹陥部416が形成されることから、滑り止め用突起のまわりに、ねじ頭410の外形と相補形状の、熱可塑性樹脂製シートの表面から窪んだ上周溝318が形成されるとともに、滑り止め用突起に要求される高さに応じて、尖端部を肩部412から所定長さ下方に位置させて、凹陥部416がねじ軸408まで及ぶようにすることにより、肩部412からの所定長さに相当する所定量に亘って熱可塑性樹脂製シートの表面から突出する滑り止め用突起を形成することが可能である。

【0058】
以上の構成を有する樹脂製パレット300の製造方法によれば、載置すべき荷物の大きさ、重さ、材質等に応じてパレットの表面の形状、大きさ、および表面に設ける滑り止め用突起の大きさ、突出量を決定し、それに応じて入れ駒402のねじ頭410の形状および凹陥部416の形状を定め、この入れ駒402を分割金型の一方のキャビティに螺合することにより、キャビティに固定し、溶融状態の熱可塑性樹脂製シートを、キャビティを覆う形態で対向するように位置決めし、分割金型を型締して、分割金型の内部に密閉空間を形成し、密閉空間からブロー圧をかけて、溶融状態の熱可塑性樹脂製シートをキャビティに向かって押し付けることにより、溶融状態の熱可塑性樹脂製シートの表面を賦形するとともに、溶融状態の熱可塑性樹脂製シートの表面に、入れ駒402のねじ頭410の形状および凹陥部416の形状それぞれに対応した上周溝318および滑り止め用突起を成形することにより、樹脂製パレット300を効率的に製造することが可能である。
【0059】
要求されるパレットの形状、表面形状および大きさに応じて、表面に凹凸を設けた駒403を準備するとともに、駒403の外形と相補形状の凹部316をキャビティの表面に設けた状況で、固定ねじを用いてこの駒403をキャビティに固定する際、強固に固定する観点から固定ねじは少なくともキャビティの凹部316の周囲近傍に設置する必要があることから、この固定ねじを上周溝318および滑り止め用突起を形成するための入れ駒402として利用することにより、滑り止め用突起を含め要求されるパレットの仕様に応じて専用的な固定ねじおよび駒403を準備することにより、一対の金型自体を汎用的に用いながら種々のキャビティ樹脂製パレット300を効率的に製造することが可能である。
【0060】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において、当業者であれば種々の修正あるいは変更が可能である。たとえば、本実施形態においては、樹脂製パレット300の上面302および下面304それぞれに滑り止め用上突起319および滑り止め用下突起321を設けるものとして説明したが、それに限定されることなく、一方の表面にのみ滑り止め用突起を設け、適宜一方の表面を上向きにして、荷物を載置したり、あるいは一方の表面を下向きにして、フォークリフトの爪に当てたり、地面に配置して、使い勝手を向上させてもよい。
【0061】
その場合、樹脂製パレット300の上面302を下向きにして、下面304に荷物を載置して運搬する際、たとえばフォークリフトの金属製爪が、下向きの複数の滑り止め用上突起319に当たる。その際、複数の滑り止め用上突起319それぞれの外周全体に亘って、上面302から窪んだ上周溝318が設けられているので、上周溝318内に滑り止め用上突起319の逃げが形成され、それにより、滑り止め用上突起319の先端が上周溝318内に収まることにより、滑り止め用上突起319の先端の摩耗を抑制し、以って滑り止め用上突起319の耐久性を確保することが可能である。また、樹脂製パレットの上面302を下向きにして荷物を載置して地面上に保管する場合、同様に、固い地面にも係わらず、滑り止め用上突起319の逃げが形成されることにより、滑り止め用上突起319の耐久性を確保することが可能である。
特に、本実施形態のように、樹脂製パレット300をブロー成形により2層中空積層構造物とする場合、上周溝318の底部を構成する上層301の部分がブロー比の関係で薄肉部として形成されることから、滑り止め用上突起319の逃げが有効に形成される。
【0062】
また、たとえば、本実施形態においては、樹脂製パレット300の上面302および下面304それぞれに設けられる滑り止め用突起が異なる形状のものとして説明したが、それに限定されることなく、上周溝318を含め全く同一形状の滑り止め用突起を採用し、それにより上面302および下面304の区別なく、樹脂製パレット300を用いてもよい。
【0063】
さらに、本実施形態においては、押し出された溶融状態の熱可塑性樹脂製シートを利用して、樹脂製パレット300としてダイレクトに賦形・成形するものとして説明したが、それに限定されることなく、賦形・成形するのに必要な溶融状態を実現する限り、いったん押出成形し、冷却した熱可塑性樹脂製シートを再度加熱して溶融状態とした材料を利用して賦形・成形を行ってもよい。
さらにまた、本実施形態においては、溶融状態の熱可塑性樹脂製シートを用いて、樹脂製パレット300を製造する場合を説明したが、それに限定されることなく、従来のように、溶融状態の筒状パリソンを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施形態に係る樹脂製パレットの部分斜視図である。
【図2】図1の線A−Aに沿う断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る成形装置とともに、溶融パリソンシートが分割金型の間に配置された状態を示す側面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る成形装置において、キャビティに装着される駒の正面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る成形装置において、入れ駒の詳細を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係る成形装置において、入れ駒の縦断面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る成形装置において、分割金型の外枠を溶融樹脂シートの側面に当接させて、密閉空間を形成している状況を示す側面図である。
【図8】本発明の実施形態に係る成形装置において、溶融樹脂シートを賦形している状況を示す概略部分側面図である。
【図9】本発明の実施形態に係る成形装置において、分割金型を型締めした状態を示す側面図である。
【図10】本発明の実施形態に係る成形装置において、分割金型を型開きした状態を示す側面図である。
【図11】本発明の実施形態に係る樹脂製パレットの上面に段ボール箱を載置した状況を示す滑り止め用突起まわりの部分断面図である。
【図12】本発明の実施形態に係る樹脂製パレットを段積みした状況を示す滑り止め用突起まわりの部分断面図である。
【符号の説明】
【0065】
P 熱可塑性樹脂製シート
PL パーティングライン
12 押出装置
14 型締装置
16 ホッパー
18 シリンダー
20 油圧モーター
22 アキュムレータ
24 プランジャー
28 Tダイ
30 ローラー
32 分割金型
33 型枠
34 押出スリット
80 真空吸引室
82 真空吸引穴
84 第1密閉空間
86 第2密閉空間
102 内周面
116 キャビティ
117 外表面
118 ピンチオフ部
300 樹脂製パレット
301 上層
302 上面
303 下層
304 下面
306 周側面
308 中空部
310 窪み
312 底面
314 リブ
316 凹部
318 上周溝
319 滑り止め用上突起
320 先端部
321 滑り止め用下突起
323 下周溝
325 先端部
401 凹部
402 入れ駒
403 駒
405 突起体
406 ねじ山
407 突起体
408 ねじ軸
410 ねじ頭
412 肩部
414 エア流路
416 凹陥部
418 下端
420 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の表面に荷物を載置する樹脂製パレットであって、
それぞれ、荷物の底面に食い込み可能なように、前記一方の表面から所定高さまで突出する複数の滑り止め用第1突起が前記一方の表面に設けられ、
複数の滑り止め用第1突起はそれぞれ、その外周全体に亘って、前記一方の表面から窪んだ第1周溝を有する、ことを特徴とする樹脂製パレット。
【請求項2】
さらに、それぞれ、一方の表面に対向する他方の表面から所定高さまで突出する複数の滑り止め用第2突起が、複数の滑り止め用第1突起の設置位置に対応するように前記他方の表面に設けられ、
複数の滑り止め用第2突起はそれぞれ、その外周全体に亘って、前記他方の表面から窪んだ第2周溝を有し、
前記第1周溝の幅および深さは、対応する滑り止め用第2突起が前記第1周溝内に収まるのに十分であり、前記第2周溝の幅および深さは、対応する滑り止め用第1突起が前記第2周溝内に収まるのに十分である、請求項1に記載の樹脂製パレット。
【請求項3】
前記樹脂製パレットは、ブロー成形され、前記複数の滑り止め用第1突起および前記複数の滑り止め用第2突起はそれぞれ、前記一方の表面および前記他方の表面と一体で成形される、請求項2に記載の樹脂製パレット。
【請求項4】
前記荷物は、段ボール箱であり、前記一方の表面からの前記所定高さは、3mm以下である、請求項1に記載の樹脂製パレット。
【請求項5】
前記樹脂製パレットは、中空構造であり、一方の層の外表面が前記一方の表面を構成し、他方の層の外表面が前記他方の表面を構成し、一方の層の周縁と他方の層の周縁とを溶着することにより周側面が形成され、前記第1周溝の底部を構成する前記一方の層の部分、および前記第2周溝の底部を構成する前記他方の層の部分それぞれが薄肉部を形成する、請求項3に記載の樹脂製パレット。
【請求項6】
前記滑り止め用第1突起および前記滑り止め用第2突起はそれぞれ、スパイク形状であり、先端部が尖端に形成される、請求項1ないし請求項5いずれか1項に記載の樹脂製パレット。
【請求項7】
前記滑り止め用第1突起および前記滑り止め用第2突起は、同じ形状に形成され、前記前記第1周溝および前記第2周溝は、同じ形状に形成される、請求項2に記載の樹脂製パレット。
【請求項8】
外周面にねじ山が設けられ、ブロー成形される樹脂製パレットの表面を賦形するための凹凸部を設けたキャビティのねじ穴に対して螺合されるねじ軸と、ねじ軸の上部に設けられた、ねじ軸より拡径のねじ頭とを有し、
該ねじ軸は、下端に抜けるエア流路を内部に有し、
該ねじ頭は、キャビティの表面に当接する肩部を有し、内部に該エア流路と連通する凹陥部が形成され、
該凹陥部は、その開口が該ねじ頭の上面に形成されるとともに、樹脂製パレットの表面に形成すべき滑り止め用突起の形状に応じて、尖端部を下向きとした円錐形状に形成され、該尖端部は、滑り止め用突起に要求される高さに応じて、前記肩部から所定長さ下方に位置し、該凹陥部は、前記ねじ軸まで及ぶ、
ことを特徴とする金型のキャビティに固定される入れ駒。
【請求項9】
前記ねじ頭の径および/または高さは、前記滑り止め用突起のまわりに設けるべき周溝の形状に応じて決定される、請求項8に記載の入れ駒。
【請求項10】
前記エア流路および前記凹陥部は、前記入れ駒の中心軸に沿って設けられる、請求項8に記載の入れ駒。
【請求項11】
前記入れ駒は、前記入れ駒が固定される金型のキャビティより高い熱伝導率を有する金属製である、請求項8に記載の入れ駒。
【請求項12】
請求項8ないし請求項11のいずれか1項に記載の入れ駒を分割金型の一方のキャビティに螺合して固定する段階と、
溶融状態のパリソンを、キャビティを覆う形態で対向するように位置決めする段階と、
分割金型を型締して、分割金型の内部に密閉空間を形成する段階と、
該密閉空間からブロー圧をかけて、溶融状態のパリソンをキャビティに向かって押し付けることにより、溶融状態のパリソンの表面を賦形するとともに、溶融状態のパリソンの表面に、前記入れ駒の前記ねじ頭の形状および前記凹陥部の形状それぞれに対応した周溝および滑り止め用突起を成形する段階と、
を有することを特徴とする樹脂製パレットの製造方法。
【請求項13】

樹脂製パレットに要求される形状に応じて設定した凹凸を表面に設けた駒を準備するとともに、駒の外形と相補形状の凹部をキャビティの表面に設ける段階と、
請求項8ないし請求項11のいずれか1項に記載の入れ駒を固定ねじとして利用しつつ、前記表面を他方の分割金型に対向する形態で、準備した駒を固定ねじを用いて分割金型の一方のキャビティの凹部に螺合して固定する段階と、
を有する請求項12に記載の樹脂製パレットの製造方法。
【請求項14】
前記周溝および滑り止め用突起を成形する段階は、前記密閉空間からブロー圧をかけるとともに、キャビティ側から前記入れ駒の前記凹陥部および前記エア流路を通じて吸引する段階を有する、請求項12に記載の樹脂製パレットの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−235951(P2011−235951A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111212(P2010−111212)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【出願人】(000104674)キョーラク株式会社 (292)
【Fターム(参考)】