説明

樹脂製歯車

【課題】高強度、高耐熱で高い歯形精度を保持しながら、リサイクル性を向上させ、廃棄物低減、歩留向上による低コスト化が可能な樹脂製歯車を提供する。
【解決手段】金属製ブッシュ2と、この金属製ブッシュ2の周囲に配置する第1の抄造層20とを備え、この第1の抄造層20が、短繊維と樹脂硬化物粉末22を含有し、液状樹脂を含浸し硬化させたものである。好ましくは、樹脂硬化物粉末と液状樹脂とが同一樹脂である。また、樹脂硬化物粉末が、液状樹脂の含浸硬化後の単位体積当り1〜60体積%含有されている。樹脂硬化物粉末の平均粒径は、4mm以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製歯車に関する。
【背景技術】
【0002】
四輪車・二輪車業界では、年々厳しくなる排ガス規制や燃費向上要求に対応するため、構成部品に対する軽量化、コンパクト化の要求が強くなっており、エンジン内部やエンジン周辺部品の樹脂化が進められている。
この流れは歯車においても同様で、近年では、高強度で高耐熱性の樹脂が開発され、エンジン内部及び周辺にて、樹脂製歯車が、金属製歯車と噛み合う相手歯車として、軽量化と、歯の噛み合い時の騒音抑制とを目的として使用されている。
特に、自動車用途では、ユーザーからの快適性要求から高い静粛性が求められ、樹脂製歯車であっても高い歯形精度が必要とされる。
【0003】
高い歯形精度の樹脂製歯車は、成形による型出しでは不十分(困難)なため、ホブカッタによる切削加工(ホブ切加工)、シェービング加工、研磨加工等により作製される(特許文献1参照)。
より具体的に述べると、要求される歯形の精度により、「ホブ切加工」、「ホブ切加工+シェービング加工」、「ホブ切加工+研磨加工」より任意に選択されて作製されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3075281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような切削加工等による樹脂製歯車作製の場合は、加工前の素材からの不要な切削部が発生し、特に熱硬化性樹脂を使用した場合に、そのリサイクルが困難で歩留りが悪いとの課題がある。
また、エンジン内部やエンジン周辺部品で使用される場合は、高負荷、高温雰囲気での使用となるため、高強度、高耐熱の補強有機繊維を樹脂製歯車に使用する。この補強有機繊維は高コストであるため、樹脂製歯車のコストも高くなり、この高コストの補強有機繊維が、前述した切削部に含まれるので、コストロスも大きくなる。
【0006】
本発明は、高強度、高耐熱で高い歯形精度を保持しながら、リサイクル性を向上させ、廃棄物低減、歩留向上による低コスト化が可能な樹脂製歯車を、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のものに関する。
(1)金属製ブッシュと、この金属製ブッシュの周囲に配置する第1の抄造層とを備え、この第1の抄造層が、短繊維と樹脂硬化物粉末を含有し、液状樹脂を含浸し硬化させたものである樹脂製歯車。
(2)項(1)において、樹脂硬化物粉末と、液状樹脂とが、同一樹脂である、樹脂製歯車。
(3)項(1)又は(2)において、樹脂硬化物粉末が、液状樹脂の含浸硬化後の単位体積当り、1〜60体積%含有される、樹脂製歯車。
(4)項(1)乃至(3)の何れかにおいて、樹脂硬化物粉末が、その平均粒径を、4mm以下とする、樹脂製歯車。
(5)項(1)乃至(4)の何れかにおいて、第1の抄造層が、分散剤を含む、樹脂製歯車。
(6)項(1)乃至(5)の何れかにおいて、第1の抄造層が、その外周に、第2の抄造層を有し、この第2の抄造層が、短繊維を含有し、液状樹脂を含浸硬化させたものである、樹脂製歯車。
(7)項(6)において、第2の抄造層に含浸硬化する液状樹脂が、第1の抄造層に含浸硬化する樹脂と、同一樹脂である、樹脂製歯車。
(8)項(6)又は(7)において、第2の抄造層に用いる短繊維が、第1の抄造層に用いる短繊維と同一又は、異ならせたものである、樹脂製歯車。
(9)項(6)乃至(8)において、第1の抄造層と、第2の抄造層とが、両者の界面において互いの凹凸により係合している、樹脂製歯車。
(10)項(1)乃至(9)の何れかにおいて、第1の抄造層が、樹脂硬化物粉末の含有割合を、金属製ブッシュに近い側から、遠い側へ向かうに従って減らされている、樹脂製歯車。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る樹脂製歯車は、樹脂製歯部作製時に発生する切削部(樹脂硬化物粉末)を、抄造層作製時に添加(リサイクル)することにより、廃棄物を減らし、歩留りを向上させ、樹脂製歯車コストを低減することができる。
また、樹脂硬化物粉末と含浸させる液状樹脂とを同一にした場合は、樹脂硬化物粉末として使用する切削部の成分が変化せず、複数回の繰返し再利用が可能になる。
樹脂硬化物粉末の含有体積率を1〜60体積%とすること、樹脂硬化物粉末の平均粒径を4mm以下とすること、分散剤を添加すること等により、リサイクルされる樹脂硬化物粉末を使用しても、リサイクル材を使用しない従来歯車と同等の歯車強度を保持することができる。
【0009】
外周に第2の抄造層を設けた場合は、歯車の歯として強い応力の掛かる部分が、第2の抄造層になるので、比較的応力の弱い部分となる第1の抄造層に添加する樹脂硬化物粉末の含有体積率を増やすことが可能となり、歯車強度を保持したまま樹脂製歯車コストを低減することができる。
第2の抄造層に含浸し硬化する液状樹脂を、第1の抄造層に含浸し硬化する液状樹脂と、同一樹脂とした場合は、切削される第2の抄造層から発生する樹脂硬化物粉末を、新たに作製する樹脂製歯車の、第1又は第2の抄造層の何れか又は両方に添加することができる。
第1の抄造層と第2の抄造層との短繊維は、同じにした場合、短繊維の量、樹脂硬化物粉末の添加量を第1の抄造層と第2の抄造層で変えることができ、異ならせた場合、内側となり外側よりも強度を必要としない第1の抄造層に、安価な短繊維(第1の抄造層に使用する基材よりも強度で劣る)を使用することができる。
【0010】
第1の抄造層と、第2の抄造層とが、両者の界面において互いの凹凸により係合している場合は、第1の抄造層と第2の抄造層との界面剥離が起こりにくく、歯車強度の保持性を高くすることができる。
第1の抄造層が、樹脂硬化物粉末の含有割合を、金属製ブッシュに近い側から、遠い側へ向かうに従って減らされる場合は、内側となり外側よりも強度を必要としない金属製ブッシュに近い側と、強度が必要な歯先側とで、樹脂硬化物粉末の添加量を段階的に変えることで、樹脂製歯車としての強度低下を防ぎながら、樹脂硬化物粉末の添加量を(樹脂製歯車全体として)増やすことができ、コストを下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に適用される樹脂製歯車の概略横断面図を示す。
【図2】本発明に用いる金属製ブッシュであり、(A)は平面図を示し、(B)は(A)の断面図を示す。
【図3】本発明に用いる抄造層を形成する、工程図を示す。
【図4】本発明の樹脂製歯車を製造する際に用いる成形金型の概略図を示す。
【図5】本発明の1実施例である樹脂製歯車の中間部材である、樹脂製回転体の断面図を示す。
【図6】本発明の別の1実施例である樹脂製歯車の中間部材である、樹脂製回転体の断面図を示す。
【図7】本発明の別の1実施例である樹脂製歯車の中間部材である、樹脂製回転体であり、(a)は平面図を示し、(b)は断面図を示す。
【図8】本発明の別の1実施例である樹脂製歯車の中間部材である、樹脂製回転体の断面図を示す。
【図9】本発明の別の1実施例である樹脂製歯車の中間部材である、樹脂製回転体であり、(a)は平面図を示し、(b)は断面図を示す。
【図10】本発明の別の1実施例である樹脂製歯車の中間部材である、樹脂製回転体の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<金属製ブッシュ>
本発明にて述べる金属製ブッシュは、周囲に後述する第1の抄造層を設けるものであり、その中央部に回転軸を締結する。
金属製ブッシュの材質としては、焼結金属を好ましく用いることができるが、切削金属、鍛造金属等を用いることもできる。
【0013】
金属製ブッシュの形状は、特に限定されるものではないが、回転時に部分的な応力が掛かり難い円筒形状が好ましく、更には円弧となっている外周部に、複数の周り止め部を構成する突出部が、周方向に所定の間隔を空けて形成されることが好ましい。また、金属製ブッシュに軸が一体に成形されていてもよい。
【0014】
図1を用いて、より具体的に述べると、金属製ブッシュ2は、図示を省略する回転軸に嵌合する貫通孔3を有し、外周部に回り止め部となる、複数の突出部4Aを一定角度間隔にて設けている。
複数の突出部4Aの軸線方向に測った厚み寸法L2は、金属製ブッシュ2の軸線方向に測った厚み寸法L1よりも小さい。そして周り止め部を構成する突出部4Aは、頂部の厚さが厚く基部の厚さが薄いアンダーカット形状とすることで、第1の抄造層の抜けをより一層防止し易くなる。
【0015】
そして、このアンダーカットの角度、即ち、金属製ブッシュ2の横断面に対する角度θが、5〜40°のものを用いることが好ましい。更に、回転方向への負荷に耐える周り止め部の作用を高めるためには、図2(A)、(B)に示すように、周り止め部となる突出部が、少なくともh1及びh2の異なる突出量を有する2種類の突出部4A及び4Bが、交互に配列されたものが好ましい。このようなアンダーカットの形状を持ち、角度θが5〜40°の2種類の突出部4A、4Bを用いると、後述する樹脂硬化物粉末を添加した第1の抄造層内に、回り止め部としての複数の突出部4Aが完全に埋まった状態となり、両者間の機械的結合の強度を十分なものとすることができる。
尚、隣り合う二つの突出部間(4Aと4Aの間)に形成される凹部内(4B部分)に樹脂硬化物粉末を添加した第1の抄造層の一部が入ることによっても、前述の機械的強度は当然にして増加する。
【0016】
<第1の抄造層>
本発明にて述べる第1の抄造層は、先に述べた金属製ブッシュの周囲に配置されるものである。そして、この第1の抄造層は、短繊維を抄造した繊維基材中に樹脂硬化物粉末を一緒に抄造して含有すると共に、前記繊維基材に液状樹脂を含浸し、硬化させて形成される。
【0017】
(短繊維)
第1の抄造層に用いられる短繊維は、融点又は分解温度が、250℃以上の繊維から選択されることが好ましい。このような短繊維を用いることで、成形時の成形温度や加工温度、実使用時の雰囲気温度において、短繊維が熱劣化を起こすことなく、耐熱性に優れた樹脂製歯車とすることができる。
【0018】
短繊維として好適に用いられるものを、より具体的に述べると、パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、セラミック繊維、超高強力ポリエチレン繊維、ポリケトン繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリイミド繊維、及びポリビニルアルコール系繊維から選ばれた少なくとも1種以上の繊維を使用することができる。
中でも、パラ系アラミド繊維と、メタ系アラミド繊維と、フィブリル化処理した微細繊維とを、混合して用いることが、特に好ましく、パラ系アラミド繊維とメタ系アラミド繊維とフィブリル化処理した微細繊維を混合して用いることで、高い強度、耐熱性を得ることができる。
【0019】
(樹脂硬化物粉末)
第1の抄造層に用いられる樹脂硬化物粉末は、任意の樹脂を硬化させ、それを破砕したものを用いても良いが、樹脂製歯車の歯を形成する際に切削することにより生ずる切削部を用いることが好ましい。このようにすることで、リサイクルすることが困難であり、従来廃棄されていたものを使用することができ、歩留まりを向上させることができると共に、コストを下げることができる。
【0020】
本発明に用いる樹脂硬化物粉末は、第1の抄造層に対し含浸させる液状樹脂と、同一樹脂であることが好ましく、このようにすることで、切削部(樹脂硬化物粉末)を2回以上繰返し使用しても、材質が変わらず、リサイクル性を高めることができる。
また、樹脂硬化物粉末と液状樹脂とが、同じ樹脂であるためなじみ易く、界面破壊が起こりにくい。
【0021】
樹脂硬化物粉末の添加量は、液状樹脂の含浸硬化後の単位体積当り、1〜60体積%であることが好ましい。これは、1体積%未満では、リサイクル率向上効果、コスト低減効果が低く、60体積%を超えると、徐々に強度が劣ってくるためである。
【0022】
添加する樹脂硬化物粉末の平均粒径は、4mm以下とすることが好ましい。これは、樹脂硬化物粉末の平均粒径が4mmより大きい場合、繊維基材の粗密バラツキが大きくなり歯車強度が低下するためである。
ここで述べる樹脂硬化物粉末の平均粒径は、光回折散乱式粒度分布計(例えば、COULTER Electronics社製の 商品名:COULTER N4SD)で測定したものである。
【0023】
樹脂硬化物粉末の添加では、添加すべき層全体を、均一とすることもできるが、傾斜配分することもできる。傾斜配分させる場合には、金属製ブッシュに近い側から遠い側に向かうに従い減少させることが好ましい。これは、樹脂製歯車の構造上、歯先側の負荷と比較し、金属製ブッシュに近い側は負荷が小さいため、金属製ブッシュに近い側に樹脂硬化物粉末を高充填することが可能で、樹脂製歯車の強度とリサイクル率向上効果、コスト低減効果を両立することができるためである。
【0024】
(分散剤)
第1の抄造層を作製する際には、分散剤を用いることもできる。これは、分散剤を使用することにより、抄造スラリー中における樹脂硬化物粉末と短繊維との分散性が向上し、より均一な状態にすることができ、樹脂製歯車として強度が向上又は安定するためである。分散剤としては、腐植酸ナトリウム、ポリエチレンオキサイド、カルボキシメチルセルロース、ハイドロフルオロエーテル等があり、腐植酸ナトリウムを使用した場合、樹脂硬化物粉末と短繊維の分散性が高く好ましい。
【0025】
<液状樹脂>
本発明に用いる液状樹脂は、繊維基材に含浸させる際に液状となり繊維基材への浸透性が良好なものであり、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂の何れでも良く、エポキシ樹脂、ポリアミノアミド樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等から選ばれた1以上の樹脂と、この樹脂の種類に応じて硬化剤を組み合わせたものが使用できる。
これらの中でも、樹脂硬化物の強度、耐熱性等の点からポリアミノアミド樹脂が好ましく、耐熱性、強度が優れる2,2’−(1,3フェニレン)ビス2−オキサゾリンとアミン系硬化剤の混合物100質量部に対し、5質量部以下の触媒(例えば、オクチルブロマイドを使用)とからなる樹脂を使用することが好ましい。
尚、この触媒は、5質量部を超えて添加すると、硬化時間が短くなって繊維基材に樹脂が充分含浸される前に樹脂が硬化してしまうため、樹脂含浸不良の問題が発生し易くなる。
【0026】
<第2の抄造層>
本発明にて述べる第2の抄造層は、先に述べた第1の抄造層の外周に配置されるものである。そして、この第2の抄造層は、繊維基材に液状樹脂を含浸し、硬化させて形成される。ここで、繊維基材中に樹脂硬化物粉末を含有してもよい。
尚、歯車の歯は、最も外側となる層に設けられるものであり、第2の抄造層を設け、この第2の抄造層が最外層であれば、ここに歯が設けられる。
【0027】
(第2の抄造層に用いる液状樹脂)
第2の抄造層に含浸し硬化させる液状樹脂は、先に述べた第1の抄造層に用いることができる液状樹脂を、任意に使用することができ、第1の抄造層に用いた液状樹脂と同一の液状樹脂を用いることが特に好ましい。
第1の抄造層と第2の抄造層とで、同じ液状樹脂を用いた場合は、第1の抄造層に歯を設けた場合の切削部でも、第2の抄造層に歯を設けた場合の切削部でも、樹脂成分が同じ樹脂硬化物粉末となり、それを、第1と第2何れの抄造層へも添加することができ、同じ樹脂であることから、液状樹脂の硬化物と、添加した樹脂硬化物粉末とのなじみが良く、界面破壊が起こりにくい。
また、第2の抄造層に含浸し硬化させる液状樹脂と同一の液状樹脂を、第1の抄造層に用いることで、含浸硬化の作業を、第1及び第2の抄造層同時に実施することができ、第2の抄造層と第1の抄造層に含浸し硬化させる液状樹脂を変えた場合と比べ、作製時間が短く、含浸不良等も発生しにくい。
【0028】
(第2の抄造層に用いる短繊維)
第2の抄造層に用いる短繊維は、第1の抄造層と同様に、融点又は分解温度が、250℃以上の繊維から選択されることが好ましい。具体的には、先に述べた第1の抄造層に用いることができる短繊維を、任意に使用することができ、第1の抄造層に使用した短繊維と、第2の抄造層に使用した短繊維とで、同一のものを用いても、異種短繊維を用いても良い。
同一のものを用いた場合は、短繊維の量、樹脂硬化物粉末の添加量を第1の抄造層と第2の抄造層で変えることができ、異ならせた場合、比較的強度がいらない第1の抄造層に安価な短繊維(第1の抄造層に使用する基材よりも強度で劣る)を使用することができる。
異種短繊維を用いる場合には、樹脂製歯車の構造上、歯先側の負荷と比較し、金属製ブッシュに近い側は負荷が少ないため、第1の抄造層に安価な繊維を使用することが、樹脂製歯車の強度的に可能になり、コスト低減効果を向上させることができる。
【0029】
(第1の抄造層と第2の抄造層との係合)
第2の抄造層を設ける場合には、第1の抄造層との界面にて、界面破壊を起こしにくくするため、境界部分を互いの凹凸により係合させることが好ましい。
より具体的には、第1の抄造層と第2の抄造層とが、同時に見えるように上面から見た際、境界部分が、波線、山谷線、凹凸線等となるようにすることができる。尚、前記各線は、局所的な応力が発生しにくいように、波、山谷、凹凸が、等間隔にて発生させることが好ましい。
【0030】
<抄造層の作製>
抄造層の作製について、以下に述べる。
抄造層は、分散媒中に、短繊維、樹脂硬化物粉末及び必要に応じて分散剤を投入し、充分に攪拌した抄造スラリーを用いて作製される。
尚、分散媒は、特に制限されるものではないが、環境負荷が少ないことから、水を用いることが好ましい。
【0031】
図3は、抄造層を作製する際の、工程図を示している。抄造層は、図3(A)に示す抄造圧縮装置7等を用いて作製することができる。この抄造圧縮装置7で用いる金型は、圧縮動作時に補強繊維集積体8(図3(B)参照)が金属製ブッシュ2の径方向外側に広がるのを規制する筒状金型10と、筒状金型10の内部に配置されて金属製ブッシュ2の外周部よりも内側に位置する部分を軸線方向の両側から挟み且つ圧縮動作時に補強繊維集積体8が金属製ブッシュ2の径方向内側に広がるのを規制する一対のブッシュ支持用金型11及び12と、筒状金型10と一対のブッシュ支持用金型11及び12の間に位置して、圧縮動作時に補強繊維集積体8を軸線方向両側から挟んで圧縮する一対の圧縮用金型13及び14とを備えている。
【0032】
そしてこの金型では、下側の圧縮用金型14に透水性を付与するため、下側の圧縮用金型14には、水を排水するための貫通孔15が形成されている。この貫通孔15には、真空吸引するためのポンプを取付けることが好ましく、ポンプを取り付けることで、排水を短時間で完了することができる。
【0033】
尚、この例では、排水時の短繊維の流出防止のために、下側の圧縮用金型14上には底部材16が配置されている。底部材16には、金網を使用でき、そのメッシュサイズは、10〜250メッシュであることが好ましい。250メッシュより大きくなると、水と短繊維の濾過抵抗が大きくなり、金型の内部に入れた短繊維を含む抄造スラリーを、ポンプで吸引して水分を金型から排水させても、繊維と水の分離に要する時間が長くなり、製造サイクルが長くなる。また、メッシュサイズが10メッシュより小さいと、繊維長が長い短繊維を使用しても、網目(貫通孔)が大きいために補強繊維の多くが水と共に流出し補強繊維集積体8の繊維密度が著しく低下してしまう問題が発生する。尚、メッシュサイズは、「JIS G 3555」に規定されるものを用いる。
【0034】
一対のブッシュ支持用金型11及び12は、金属製ブッシュ2の外周部よりも内側に繊維基材が入り込まないように、金属製ブッシュ2の外周部よりも内側に位置する部分を、筒状金型10の中心線が延びる方向の両側から挟んで支持する。
尚、この例では、下側のブッシュ支持用金型12、上側のブッシュ支持用金型11、下側の圧縮用金型14、上側の圧縮用金型13、及び筒状金型10はそれぞれ単独で上下に移動可能に構成されている。
【0035】
金属製ブッシュ2を一対のブッシュ支持用金型11及び12の間に挟む場合には、図3(A)に示すように、上側のブッシュ支持用金型11が上方向に移動する。
そして金属製ブッシュ2を、下側のブッシュ支持用金型12の上に位置決めした後に、図3(B)に示すように、上側のブッシュ支持用金型11を下方向に移動して、一対のブッシュ支持用金型11及び12の間に金属製ブッシュ2を挟持する。
【0036】
短繊維と水とを混合して形成した抄造スラリーは、図3(B)に示すように、筒状金型10の上側の開口部から供給される。そして真空吸引をして、下側の圧縮用金型14に設けた複数の貫通孔15から水分を排出することにより、金属製ブッシュ2の外周部の周囲を囲む補強繊維集積体8を形成する。
このように、一対のブッシュ支持用金型11及び12を用いると、金属製ブッシュ2の位置決めと支持を簡単に行うことができる。
【0037】
また、補強繊維集積体8の外周面の形状は、筒状金型10の内周面の形状によって定まる。その結果、筒状金型10の内周面を歯車形状とすることにより、補強繊維集積体8の外周面に歯車形状の凹凸を形成することも可能になる。
尚、抄造スラリーの供給は、前記開口部の複数の場所から行ってもよい。
【0038】
次に、補強繊維集積体8を回転軸の軸線方向に圧縮して、補強用の繊維基材を形成する第2のステップについて説明する。
前述の抄造圧縮装置7で用いる金型であれば、一対の圧縮用金型13及び14で補強繊維集積体8を圧縮した場合に、金属製ブッシュ2の径方向の内側及び外側の両方向に補強繊維が膨出するのを確実に阻止することができる。
下側の圧縮用金型14に設けた複数の貫通孔15から水分を排出した後、図3(C)に示すように、金属製ブッシュ2が一対の圧縮用金型13と14の間の中央に位置する状態となる位置まで、上側の圧縮用金型13を下降させる。
【0039】
その後、図3(D)に示すように、金属製ブッシュ2が、一対の圧縮用金型13及び14の中央に位置する状態で、一対の圧縮用金型13及び14をそれぞれ移動させ、補強繊維集積体8が所定の厚みとなるまで圧縮する。
尚、圧縮を行う時間及び温度は、使用する短繊維の種類によって任意であるが、前記圧縮の際、上側の圧縮用金型13にヒータを取り付け、加熱した状態で圧縮することにより、抄造後の繊維基材に含まれる水分を取り除く時間を、短縮することができるとともに、圧縮後の補強用の繊維基材5の厚みの経時変化を抑えることができる。
【0040】
好ましくは使用する溶媒、本例では水の沸点以上の温度:100〜180℃で、0.5〜10分間圧縮することにより、厚みの経時変化のほとんど無い補強用の繊維基材5を得ることができる。
また、前記圧縮の際、下側の圧縮用金型14の貫通孔15から真空吸引した状態で圧縮することにより、抄造後の補強用の繊維基材5に含まれる水分を取り除く時間を短縮することができる。
【0041】
<液状樹脂の含浸硬化>
液状樹脂の含浸硬化について、以下に述べる。
図4に示すように、繊維基材5を備えた樹脂製歯車成形用半加工品21を、金型23内に配置した後に、金型23に液状樹脂を注入して繊維基材5に樹脂を含浸させ、その後硬化させて、樹脂成形体を備えた樹脂製回転体を成形する。
金型23は、固定金型25と、固定金型25の中心に配置されて上下方向に変位する移動金型27と、この移動金型27と対になって金属製ブッシュ2を挟持する上金型29とを備えている。
上金型29の押圧部29Aが、固定金型25内に挿入されて、金属製ブッシュ2を押圧すると、移動金型27は、上金型29の挿入量に応じて下方に変位する。
【0042】
上金型29で、固定金型25の開口部を完全に塞いだ後に、固定金型25内に液状樹脂が注入される。この際、液状樹脂は、固定金型25内を真空にすることで、素早く注入することができる。
その後、樹脂が硬化したら、繊維基材5を芯材として成形された樹脂成形体を備えた樹脂製回転体を金型23から取り出して、樹脂製回転体の製造を完了する。
このようにして成形した樹脂製回転体の樹脂成形体の外周部に、機械加工を施して歯を形成すれば樹脂製歯車を得ることができる。
【実施例】
【0043】
以下、本発明の実施例を説明する。尚、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(抄造スラリーの作製)
先ず、抄造スラリーを製造するために、短繊維と樹脂硬化物粉末の投入時濃度が、4g/リットルとなる量の水を満たしたタンクを用意する。
次に、このタンク内に、樹脂成形体中の短繊維総量が、40体積%となる量のパラ系アラミド繊維とメタ系アラミド繊維とフィブリル化処理した微細繊維を投入する。また、樹脂成形体中の樹脂硬化物粉末総量が、30体積%となる量の樹脂製歯部作製時に発生した樹脂硬化物粉末を投入する。なお、樹脂硬化物粉末は、樹脂成形体中の短繊維総量が、40体積%となる量のパラ系アラミド繊維とメタ系アラミド繊維とフィブリル化処理した微細繊維により構成された繊維基材を作製し、この繊維基材に2,2’−(1,3フェニレン)ビス2−オキサゾリンを69質量%と、アミン系硬化剤を31質量%とを混合し硬化させたものを経て、これを粉砕したものである。
【0044】
ここで入れる樹脂硬化物粉末は、粒径が4mm以下のものと、4mmより大きいものとが混在しており、平均粒径は5mmとした。また、樹脂硬化物粉末の添加量は30体積%とした。
【0045】
本実施例にて用いた繊維基材は、短繊維として、アスペクト比200で単繊維繊度:1.7detx、繊維長:3mm長のパラ系アラミド繊維“帝人テクノプロダクツ製「テクノーラ(登録商標)」”を50質量%、アスペクト比200で単繊維繊度:2.2detx、繊維長:3mm長のメタ系アラミド繊維“帝人テクノプロダクツ製「コーネックス(登録商標)」”を45質量%、そしてフリーネス値300mlまでフィブリル化処理した微細繊維“デュポン株式会社製「ケブラー(登録商標)」”を5質量%となる量を混合している。
更に、攪拌機でタンク内の水を攪拌し、短繊維と樹脂硬化物粉末を分散させる。
【0046】
(第1の抄造層の作製)
図3(A)に示す抄造圧縮装置7を用いて、下側のブッシュ支持用金型12上に金属製ブッシュ2(炭素鋼の焼結合金製)を位置決めする。使用する金属製ブッシュ2は、突出部4A及び4Bの形状は、h1=2mm、h2=0.5mmであり、アンダーカット形状であり、金属製ブッシュ2の仮想中心横断面と側面との間の角度θが20°である(図2参照)。
そして、図3(B)に示すように、上側のブッシュ支持用金型11を下方向に移動して、一対のブッシュ支持用金型11及び12の間に金属製ブッシュ2を挟持する。ここで、下側の圧縮用金型14の位置は、金属製ブッシュ2の軸方向中央から底部材16上面迄の距離が40mmとなる位置とした。この抄造圧縮装置7内に、先に述べた抄造スラリーを充填する。そして、真空吸引をして下側の圧縮用金型14に設けた複数の貫通孔15から水を排水することにより、抄造スラリー中の水を分離して、樹脂硬化物粉末を添加した円筒状の補強繊維集積体8を得る。尚、排水時に貫通孔15より短繊維が流出するのを防止するために、底部材16を100メッシュの金網とした。
【0047】
次に、金属製ブッシュ2の回り止め部にさらに強固に繊維を喰い込ませるために圧縮を行う。図3(C)に示すように、150℃に加熱した上側の圧縮用金型13を、金属製ブッシュ2の軸方向中央から上側の圧縮用金型13下面までの距離が40mmとなる位置まで下降させる。この位置は、金属製ブッシュ2が、一対の圧縮用金型13と14の間の中央に位置する状態となる位置である。
そして、図3(D)に示すように、金属製ブッシュ2が、一対の圧縮用金型13と14の間の中央に位置する状態で、一対の圧縮用金型13及び14をそれぞれ同速度(5mm/s)で相互に近づく方向に移動させ、樹脂硬化物粉末を添加した補強繊維集積体8が、厚み10mmとなるまで圧縮する。
加熱した状態で2分間圧縮することにより、金属製ブッシュ2と一体化した樹脂硬化物粉末を添加した繊維基材5を得た。尚、前記圧縮の際、下側の圧縮用金型14の貫通孔15から真空吸引した状態で圧縮している。
【0048】
次に、図4に示すように、上記の工程で得られた金属製ブッシュ2と一体化した繊維基材5を、200℃に加熱した移動金型27に配置して型締めする。そして、固定金型25内部を、圧力90kPa以下に減圧した後、2,2’−(1,3フェニレン)ビス2−オキサゾリン:69質量部、4,4’−ジアミノジフェニルメタン:31質量部を混合した樹脂を温度140℃で溶解し、更にオクチルブロマイド:1質量部を加えて撹拌した液状樹脂を金型内部に注入して、繊維基材5に含浸させ、金型23内で加熱硬化し樹脂製回転体を得る。
【0049】
樹脂製回転体は、図5に示すように、金属製ブッシュ2、その周囲に配置される第1の抄造層20が配置され、この第1の抄造層20内には、樹脂硬化物粉末22が含有させてある。そして、この樹脂製回転体を切削加工により歯を形成し、表1に示す寸法の樹脂製歯車を得た。
【0050】
【表1】

【0051】
<実施例2>
添加する樹脂硬化物粉末の平均粒径を、3.5mmとした以外は、実施例1と同様の方法で樹脂製歯車を得た。歯を形成する前の樹脂製回転体の断面図を、図6に示す。
【0052】
<実施例3>
抄造スラリー作製時に分散剤として、抄造スラリー全体を100質量%として、腐植酸ナトリウムを5質量%添加した以外は、実施例1と同様の方法で樹脂製歯車を得た。
【0053】
<実施例4>
本実施例においては、2種類の抄造装置を使用して作製する。第1の抄造装置は、筒状金型10の内径が60mmで、第2の抄造装置は、筒状金型10の内径が80mm(実施例1と同じ)である。
【0054】
先ず、第1の抄造装置を使用し、樹脂硬化物粉末の添加量を70体積%とした外径60mmの樹脂製歯車成形用半加工品を作製する(第1の抄造層)。
次に、この外径60mmの樹脂製歯車成形用半加工品を、第2の抄造装置にセットし、第1の抄造層の外側に、樹脂硬化物粉末を添加しない補強繊維基材の層を作製し(第2の抄造層)、第1の抄造層と第2の抄造層を有した樹脂製歯車成形用半加工品を作製する。
その後の工程(樹脂含浸〜硬化〜歯部加工)は実施例1と同様の方法で樹脂製歯車を得た(図7参照)。
【0055】
図7に示すように、第1の抄造層20には、樹脂硬化物粉末22が添加しており、その第1の抄造層20の外側にアラミド短繊維で構成した第2の抄造層30を設けた。
尚、第1の抄造層と第2の抄造層とでは、共に、実施例1にて述べた液状樹脂を、含浸硬化させている。また、第1の抄造層に用いた樹脂硬化物粉末は、実施例1と同じである。
【0056】
<実施例5>
実施例4において、金属製ブッシュ側の層(第1の抄造層)には、アラミド短繊維の代替としてガラス短繊維を使用し、樹脂硬化物粉末を70体積%添加した。
本実施例にて用いたガラス短繊維は、繊維径11μmのモノフィラメント(組成:Eガラス)を集束したストランドを1.5mmに切断したものである。
それ以外は実施例4と同様の方法で樹脂製歯車を得た(図8参照)。
図8に示すように、第1の抄造層20は、ガラス短繊維に樹脂硬化物粉末22を添加しており、その第1の抄造層20の外側にアラミド短繊維で構成した第2の抄造層30を設けた。
【0057】
<実施例6>
実施例4において2層の境界を凹凸により係合するような形状とした。それ以外は実施例4と同様の方法で樹脂製歯車を得た(図9参照)。
境界の凹凸は、山径(凸の外側の径)を65mm、谷径(凹の内側の径)を55mmとし、30度刻みで12箇所とした。
図9に示すように、第1の抄造層20には、樹脂硬化物粉末22が添加しており、その第1の抄造層20の外側にアラミド短繊維で構成した第2の抄造層30を設けた。また、第1の抄造層20と第2の抄造層30の境界は、直線で山と谷をつないだ形状とした。
【0058】
<実施例7>
実施例1において、図10に示すように、抄造層20には、樹脂硬化物粉末22の添加量を、金属製ブッシュに近い側を70体積%として歯先が側に向かう従い減らし、歯先部(最外径部)で20体積%となるようにした(X軸:径寸法、Y軸:樹脂硬化物粉末の添加量でXとYが比例関係になるようにした)。
それ以外は、実施例1と同様の方法で樹脂製歯車を得た(図10参照)。
【0059】
<従来例>
樹脂硬化物粉末を添加しない以外は、実施例1と同様の方法で樹脂製歯車を得た。
【0060】
上記実施例1〜7及び従来例で得られた樹脂製歯車について、材料コスト試算結果を表2に示す。
【0061】
【表2】

【0062】
次にモータリング耐久試験条件を表3に耐久試験結果を表4に示す。
【0063】
【表3】

【0064】
表4に示すとおり、実施例1、5は、従来例と比較してモータリング耐久寿命は、ほぼ同等であり、歯車強度の低下は見られない。また、実施例2、3、4、6、7についてはより従来例に近いモータリング耐久寿命である。
【0065】
【表4】

【符号の説明】
【0066】
2…金属製ブッシュ、3…貫通孔、4A…突出部、4B…突出部、5…繊維基材、7…抄造圧縮装置、8…補強繊維集積体、10…筒状金型、11…ブッシュ支持用金型、12…ブッシュ支持用金型、13…圧縮用金型、14…圧縮用金型、15…貫通孔、16…底部材、20…第1の抄造層、21…樹脂製歯車成形用半加工品、22…樹脂硬化物粉末、23…金型、25…固定金型、27…移動金型、29…上金型、29A…押圧部、30…第2の抄造層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製ブッシュと、この金属製ブッシュの周囲に配置する第1の抄造層とを備え、この第1の抄造層が、短繊維と樹脂硬化物粉末を含有し、液状樹脂を含浸し硬化させたものである樹脂製歯車。
【請求項2】
請求項1において、樹脂硬化物粉末と、液状樹脂とが、同一樹脂である、樹脂製歯車。
【請求項3】
請求項1又は2において、樹脂硬化物粉末が、液状樹脂の含浸硬化後の単位体積当り、1〜60体積%含有される、樹脂製歯車。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかにおいて、樹脂硬化物粉末が、その平均粒径を、4mm以下とする、樹脂製歯車。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかにおいて、第1の抄造層が、分散剤を含む、樹脂製歯車。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかにおいて、第1の抄造層が、その外周に、第2の抄造層を有し、この第2の抄造層が、短繊維を含有し、液状樹脂を含浸硬化させたものである、樹脂製歯車。
【請求項7】
請求項6において、第2の抄造層に含浸硬化する液状樹脂が、第1の抄造層に含浸硬化する樹脂と、同一樹脂である、樹脂製歯車。
【請求項8】
請求6又は7において、第2の抄造層に用いる短繊維が、第1の抄造層に用いる短繊維と同一又は、異ならせたものである、樹脂製歯車。
【請求項9】
請求項6乃至8において、第1の抄造層と、第2の抄造層とが、両者の界面において互いの凹凸により係合している、樹脂製歯車。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れかにおいて、第1の抄造層が、樹脂硬化物粉末の含有割合を、金属製ブッシュに近い側から、遠い側へ向かうに従って減らされている、樹脂製歯車。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−208656(P2011−208656A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74091(P2010−74091)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000001203)新神戸電機株式会社 (518)
【Fターム(参考)】