説明

機器管理装置及び機器遠隔診断管理システム

【課題】本発明は、機器の動作異常だけでなく、動作異常になる傾向を検知する機器管理装置及び機器遠隔診断管理システムに関する。
【解決手段】機器遠隔診断管理システム1は、遠隔診断管理装置2によって管理され、電子機器K2〜Knを管理する機器管理装置3が、各電子機器K2〜Knから該電子機器K2〜Knのステータス情報のみならず、プロセス情報をも取得して、該取得したプロセス情報に基づいて対応するプロセスが異常状態または異常状態に陥るおそれがあるか否かを判断し、該プロセスが異常状態または異常状態に陥るおそれがあると判断すると、該プロセスに対してプロセスの再起動等の異常回避処置を実行する。したがって、電子機器K2〜Knに障害が発生することを事前に防ぐことができ、電子機器K2〜Knのダウンタイムを短縮したり、無くすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器管理装置及び機器遠隔診断管理システムに関し、詳細には、機器の動作異常だけでなく、動作異常になる傾向を検知する機器管理装置及び機器遠隔診断管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ装置、複写装置、ファクシミリ装置、複合装置等の機器を遠隔管理する機器遠隔診断管理システムとしては、従来、不特定多数の顧客(ユーザ)先に設置された1台あるいは複数台の画像形成装置等の機器を、該顧客先毎に設置された機器管理装置及び公衆回線またはその他の通信回線を利用して、管理センタ(機器の販売、サービスの拠点等)等に設置されている遠隔診断管理装置と接続し、機器管理装置が機器からステータス情報を管理情報として取得して、回線を介して遠隔診断管理装置にデータ通信を行って、機器を遠隔診断して管理する機器遠隔診断管理システムが知られている(特許文献1から特許文献3等参照)。
【0003】
このような従来の機器遠隔診断管理システムは、管理情報として、機器のステータス情報(状態情報)を取得して該ステータス情報に基づいて機器の状態を診断して、機器を遠隔管理している。
【0004】
【特許文献1】特開平7−128098号公報
【特許文献2】特開2003−43095号公報
【特許文献3】特開2004−29472号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術にあっては、管理情報として機器のステータス情報を取得して該ステータス情報に基づいて機器の状態を診断していたため、電子機器が故障になった後で、ステータス情報に基づいて障害原因を特定して対処することが基本的な機器の診断・管理方法であり、機器のダウンタイムが長くなるとともに、障害の原因を特定するのに時間がかかり、機器を効率的に管理する上で改良の必要があった。
【0006】
そこで、本発明は、異常状態のみならず、異常状態になる傾向を検知して、異常時の故障解除及び異常になる前に故障を一時的に回避して、機器のダウンタイムを短縮または無くす機器管理装置及び機器遠隔診断管理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明の機器管理装置は、管理対象の機器と所定の通信回線を介して接続され該機器を管理する機器管理装置において、前記各機器から該機器の所定のステータス情報と所定のプロセス情報を取得し、該取得したプロセス情報に基づいて対応するプロセスが異常状態または異常状態に陥るおそれがあるか否かを判断し、該プロセスが異常状態または異常状態に陥るおそれがあると判断すると、該プロセスに対して所定の異常回避処置を実行することにより、上記目的を達成している。
【0008】
請求項2記載の発明の機器遠隔診断管理システムは、管理対象の機器と所定の通信回線を介して接続され該機器を管理する機器管理装置と、該機器管理装置に所定の通信回線を介して接続され該機器管理装置を管理する遠隔診断管理装置と、を備えた機器遠隔診断管理システムであって、少なくとも、前記機器管理装置が、前記各機器から該機器の所定のステータス情報と所定のプロセス情報を取得し、該取得したプロセス情報に基づいて対応するプロセスが異常状態または異常状態に陥るおそれがあるか否かを判断し、該プロセスが異常状態または異常状態に陥るおそれがあると判断すると、該プロセスに対して所定の異常回避処置を実行することにおり、上記目的を達成している。
【0009】
上記各場合において、例えば、請求項3に記載するように、前記機器管理装置は、所定のプロセス値計算関数に基づいて前記取得したプロセス情報の傾向予測値の演算を行い、該傾向予測値が所定の閾値を超える場合に、該プロセスが異常状態に陥るおそれがあると判断してもよい。
【0010】
また、例えば、請求項4に記載するように、前記遠隔診断管理装置は、前記各機器管理装置から該機器管理装置の収集した前記各機器のプロセス情報を受け取って機種毎に該プロセス情報の履歴を蓄積し、該プロセス情報の履歴に基づいて前記プロセス値計算関数を生成して、該生成したプロセス値計算関数を各機器管理装置に渡してもよい。
【0011】
さらに、請求項2から請求項4のいずれかに記載の機器遠隔診断管理システムの場合、例えば、請求項5に記載するように、前記遠隔診断管理装置は、前記各機器管理装置から該機器管理装置の収集した前記各機器のプロセス情報及び異常発生時の機器の情報を受け取って機種毎に該プロセス情報の履歴と該機器情報の履歴を蓄積するとともに、該プロセス情報の履歴と該機器情報の履歴に基づいて閾値計算関数を生成して、該生成した閾値計算関数で閾値を演算し、該演算した閾値を該各機器管理装置に渡してもよい。
【0012】
また、例えば、請求項6に記載するように、前記遠隔診断管理装置は、前記各機器管理装置から該機器管理装置の収集した前記各機器のプロセス情報及び異常発生時の機器の情報を受け取って機種毎に該プロセス情報の履歴と該機器情報の履歴を蓄積するとともに、該プロセス情報の履歴と該機器情報の履歴に基づいて機種毎の障害特徴を異常検出用キーワードとして抽出して、該抽出した異常検出用キーワードを前記各機器管理装置に渡し、該各機器管理装置は、前記取得したプロセス情報に対して該受け取った異常検出用キーワードで検索を行って該取得したプロセス情報が異常状態に陥るおそれがあるか否か判断してもよい。
【0013】
さらに、請求項1から請求項6のいずれかに記載の機器管理装置または機器遠隔診断管理システムは、例えば、請求項7に記載するように、前記機器管理装置は、前記異常回避処置として、前記異常状態または異常状態に陥るおそれがあると判断した機器の該プロセスを再起動してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の機器管理装置によれば、機器を管理する機器管理装置が、各機器から該機器の所定のステータス情報のみならず、プロセス情報をも取得して、該取得したプロセス情報に基づいて対応するプロセスが異常状態または異常状態に陥るおそれがあるか否かを判断し、該プロセスが異常状態または異常状態に陥るおそれがあると判断すると、該プロセスに対して所定の異常回避処置を実行するので、機器に障害が発生することを事前に診断して防ぐことができ、機器のダウンタイムを短縮したり、無くして、利用性を向上させることができる。
【0015】
本発明の機器遠隔診断管理システムによれば、遠隔診断管理装置によって管理され、機器を管理する機器管理装置が、各機器から該機器の所定のステータス情報のみならず、プロセス情報をも取得して、該取得したプロセス情報に基づいて対応するプロセスが異常状態または異常状態に陥るおそれがあるか否かを判断し、該プロセスが異常状態または異常状態に陥るおそれがあると判断すると、該プロセスに対して所定の異常回避処置を実行するので、機器に障害が発生することを事前に診断して防ぐことができ、機器のダウンタイムを短縮したり、無くして、利用性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【実施例1】
【0017】
図1〜図5は、本発明の機器遠隔診断管理システムの一実施例を示す図であり、図1は、本発明の機器遠隔診断管理システムの一実施例を適用した機器遠隔診断管理システム1のシステム構成図である。
【0018】
図1において、機器遠隔診断管理システム1は、遠隔診断管理装置2と機器管理装置3とが、所定の通信回線としてのインターネット4で接続されており、機器管理装置3には、さらに、シリアル通信線5やLAN(Local Area Network)6等の通信回線を介して複数の電子機器(機器)K1〜Kn等が接続されている。
【0019】
遠隔診断管理装置2は、電子機器K1〜Knのメーカやサービスセンタ等の遠隔管理センタに設置されており、シリアルケーブル5やLAN6等で接続されている機器管理装置3と電子機器K1〜Knは、顧客先に設置されている。
【0020】
機器管理装置3は、電子機器K1〜Knのデータ取得、LAN6またはシリアルケーブル5経由での電子機器K1〜Knの操作、インターネット4経由での遠隔診断管理装置2とのデータ交換を行う処理能力を有しており、電子機器K1〜Knを管理する。
【0021】
機器管理装置3は、遠隔診断管理装置2カラーの各種情報(プロセス値の閾値等)や関数(プロセス値計算関数等)に基づいて電子機器K1〜Knの診断・管理を行う。機器管理装置3は、LAN6に接続されている電子機器K2〜Knの検索を行い、検索で見つけたLAN6に接続されている電子機器K2〜Knの情報に基いて、該電子機器K2〜Knを特定できる識別番号を付与して、運用形態に対応して登録(例えば、ローカル運用の場合には、機器管理装置3自身のデータベースに登録し、遠隔診断管理装置2を用いて電子機器K2〜Knの診断管理を行う場合には、遠隔診断管理装置2のデータベースへ遠隔登録)する。また、機器管理装置3は、登録した電子機器K2〜Knの各プロセスに対して、異常検索用のキーワード(例えば、ゾンビ状態を意味するZN等)とプロセスの閾値(例えば、httpsのCPU時間を1000分)を設定する。そして、機器管理装置3は、電子機器K2〜Knからステータス情報(例えば、カウンタ情報、トナー情報等)とプロセス情報(例えば、UNIX(登録商標)の現在のプロセスの状態を通知するPS(Process Status)情報)を取得して、設定されたプロセス毎の閾値とキーワードと該取得したプロセス情報とを比較し、プロセス異常の有無や異常傾向の有無を判断して、異常と判断されたプロセスを削除して、対応のモジュールを再度立ち上げる。さらに、機器管理装置3は、電子機器K2〜Knから送信された情報を受信し、受信内容に基づいて対応の処理を行う。例えば、機器管理装置3は、受信した故障情報をローカルシステムの管理者または遠隔診断管理装置2へ即時に送信したり、毎月指定された日に電子機器K1〜Knからカウンタ情報を取得して、コスト計算するためにローカルシステムの管理者または遠隔診断管理装置2へ送信する。また、機器管理装置3は、ネットワークを利用して、外部サーバまたは遠隔診断管理装置2から電子機器K1〜Knのファーム更新用のソフトウェアのダウンロードを行う。
【0022】
電子機器K1〜Knは、例えば、プリンタ装置、複写装置、ファクシミリ装置、複合装置等の画像形成装置等であり、機器管理装置3とともに顧客先に設置されている。
【0023】
電子機器K1は、機器管理装置3とシリアルケーブル5で接続されており、プロセス情報の取得、プロセス毎の閾値とキーワード設定及びプロセスの削除を行うことはできないが、機器管理装置3の管理の対象となって、ステータス情報の取得のみが可能である。
【0024】
電子機器K2〜Knは、LAN6により機器管理装置3に接続されており、プラットフォーム上のアプリケーションが動作する。電子機器K2〜Knは、機器管理装置3によるステータス情報とプロセス情報の取得が可能であり、異常と判断されたプロセスの削除と対応モジュールの起動によって、障害の一時的な解消と事前防止が可能となっている。
【0025】
遠隔診断管理装置2は、機器遠隔診断管理システム1全体において、遠隔診断を制御するコンピュータシステムであり、主に以下の処理を行う。すなわち、遠隔診断管理装置2は、インターネット4を介して各顧客先の機器管理装置3と送受信して各機器管理装置3の登録、移動、登録取り消し、機器管理装置3のファームの更新等の管理を行う。また、遠隔診断管理装置2は、各機器管理装置3を介して各機器管理装置3に対して登録済の電子機器K1〜Knの機器ステータスの収集、カウンタ情報の収集、サプライ情報の収集、機器ファームの更新等を行って該電子機器K1及び電子機器K2〜Knを遠隔管理する。
【0026】
そして、機器管理装置3は、電子機器K2〜Knの登録を図2及び図3に示すような手順で行う。すなわち、電子機器K2〜Knの管理者が、機器管理装置3において、機器管理装置3のキーボードやマウス等の入力デバイスを使用して、電子機器K2〜Knの登録モードを選択すると、機器管理装置3は、そのディスプレイ3aに図2に示すような電子機器登録のメイン画面である電子機器遠隔診断サービスタイプ選択画面を表示し、この電子機器遠隔診断サービスタイプ選択画面で、登録対象の電子機器K2〜KnのIPアドレス、機種名、電子機器名及びサービスタイプの選択を可能とする。
【0027】
この電子機器遠隔診断サービスタイプ選択画面では、機器管理装置3が各種のプロトコル(例えば、SOAP(Simple Object Access Protocol )、SNMP(Simple Network Management Protocol)等)を用いて、指定されたIPアドレス範囲内での検索で見つかった電子機器K2〜Knの所有情報の一部(IPアドレス、機種名等)とともに、該電子機器K2〜Knで実行可能な遠隔診断サービスタイプが表示される。なお、デフォルトとして、上記電子機器K2〜Knを見つけた際に使用したプロトコルに対応するサービスタイプにチェックを付ける。
【0028】
この電子機器遠隔診断サービスタイプ選択画面において、管理者が「次へ」のボタンを操作すると、図3に示すような登録電子機器K1〜Knのプロセスの値を設定するプロセス値設定画面をディスプレイ3aに表示する。このプロセス値設定画面では、対象プロセスに対して、閾値とキーワードを設定することができる。また、この機器管理装置3に設定される値(閾値)とキーワードは、機器遠隔診断管理システム1の運用状況に応じて、随時、遠隔診断管理装置2から変更可能となっている。
【0029】
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例の機器遠隔診断管理システム1は、登録されている電子機器K2〜Knをステータス情報だけでなくプロセス情報に基づいて診断・管理する。機器遠隔診断管理システム1は、電子機器K1については、ステータス情報のみに基づいて従来と同様の機器管理を行うが、電子機器K2〜Knについては、ステータス情報だけでなく、プロセス情報に基づいて異常発生前の異常傾向についても診断して機器管理を行う。
【0030】
すなわち、機器遠隔診断管理システム1は、まず、機器管理装置3が管理対象の電子機器K2〜Knのステータス情報(例えば、電子機器K2〜Knが画像形成装置である場合に画像形成枚数をカウントするカウンタのカウンタ情報やトナー情報等)及び電子機器K2〜Knのプロセス情報(例えば、UNIXのPS情報等)を取得し(ステップS101)、取得したステータス情報に異常値があるか、すなわち、例えば、カウンタ値に異常があるかを検索する(ステップS102)。
【0031】
ステップS102で、ステータス情報に異常値がある場合には、機器管理装置3は、遠隔診断管理装置2にカウンタ異常通知等のステータス異常通知を送信し(ステップS103)、上記取得した電子機器K2〜Knのプロセス情報を、電子機器K2〜Knの上記設定されたプロセス毎の閾値及びキーワードと比較してプロセス異常値があるかチェックする(ステップS104)。
【0032】
また、機器管理装置3は、ステップS102で、カウンタ値(ステータス情報)に異常がないときには、プロセス異常があるかチェックする(ステップS104)。
【0033】
そして、ステップS104で、プロセス異常値があるときには、機器管理装置3は、閾値を超えたプロセスまたはキーワードに一致したプロセスのプロセスIDを利用して、電子機器K2〜Knの対象プロセスを削除し、機器管理装置3のデータベース(DB)に格納されている対象モジュールの情報を利用してモジュールを再起動する。さらに、機器管理装置3は、閾値を超えなかったプロセスに対して、一定期間内の値変化から得られたプロセス値計算関数で今後の傾向を計算し、閾値を超えると思われるプロセスに対して、削除と再度の立ち上げを実施する(ステップS105、S104)。
【0034】
例えば、機器遠隔診断管理システム1は、図5の機器管理装置3での閾値予測図に示すように、系列1で示す電子機器と系列2で示す電子機器がある場合、系列1で代表される電子機器は、設定される閾値「10」に近づいているが、収集した一定期間のプロセス情報の増加傾向をみると、1月4日現在閾値を超える傾向がないため、プロセスの再立ち上げが不要であると考えられ、機器管理装置3は、系列1の電子機器へのプロセス再立ち上げ処理を行わない。
【0035】
一方、系列2で示される電子機器は、設定される閾値「10」に近づいており、1月4日現在の値が系列1よりも小さいが、収集した一定期間のプロセス情報の増加傾向をみると、閾値を超える傾向があるため、機器管理装置3は、プロセスの再立ち上げが必要であると判断され、電子機器へのプロセス再立ち上げ処理を行う。
【0036】
そして、機器管理装置3は、プロセスの再立ち上げを行うと、プロセス異常発生時の情報と再度立ち上げ後の情報を、プロセス異常発生履歴として遠隔診断管理装置2へ送信する(ステップS106)。なお、この値を計算するプロセス値計算関数は、後述するように、対象機種全体の運用データと管理対象の個別の電子機器K2〜Knのデータ(情報)に基づいて遠隔診断管理装置2によって作成される。
【0037】
ステップS104で、プロセス異常がない場合、機器管理装置3は、取得したカウンタ値(ステータス情報)とプロセス情報を遠隔診断管理装置2へ送信する(ステップS107)。
【0038】
遠隔診断管理装置2は、機器管理装置3から送信情報を受信すると、発生履歴を記録して、プロセス値計算関数の生成及び閾値計算用に運用全体情報に反映し(ステップS108)、電子機器K2〜Knのプロセス設定値(閾値等)または関数(プロセス値計算関数等)に変更が必要か否かチェックする(ステップS109)。
【0039】
すなわち、遠隔診断管理装置2は、各機器管理装置3から該機器管理装置3の収集した各電子機器K2〜Knのプロセス情報を受け取って機種毎に該プロセス情報の履歴を蓄積し、該プロセス情報の履歴に基づいてプロセス値計算関数を生成して、生成したプロセス値計算関数を各機器管理装置3に渡す。そして、各機器管理装置3は、上述のように、遠隔診断管理装置2から受け取ったプロセス値計算関数に基づいて、プロセス情報の傾向予測値の演算を行い、該傾向予測値が所定の閾値を超える場合に、該プロセスが異常状態に陥るおそれがあると判断する。
【0040】
また、遠隔診断管理装置2は、各機器管理装置3から受け取った該機器管理装置3の収集した各電子機器K2〜Knのプロセス情報及び異常発生時の機器の情報を受け取って機種毎に該プロセス情報の履歴と該機器情報の履歴を蓄積するとともに、該プロセス情報の履歴と該機器情報の履歴に基づいて閾値計算関数を生成して、該生成した閾値計算関数で閾値を演算し、該演算した閾値を該各機器管理装置3に渡す。そして、各機器管理装置3は、上述のように、遠隔診断管理装置2から受け取った閾値を上記プロセス値計算関数に基づいて演算したプロセス情報の傾向予測値が超えるか否かで、該プロセスが異常状態に陥るおそれがあるか否か判断し、また、電子機器K2〜Knから収集したプロセス情報が該閾値を超えているかで、異常状態であるか否か判断する。
【0041】
さらに、遠隔診断管理装置2は、各機器管理装置3から受け取ったプロセス情報の履歴と機器情報の履歴に基づいて機種毎の障害特徴を異常検出用キーワードとして抽出して、該抽出した異常検出用キーワードを各機器管理装置3に渡す。そして、各機器管理装置3は、上述のように、取得したプロセス情報に対して該受け取った異常検出用キーワードで検索を行って該取得したプロセス情報が異常状態に陥るおそれがあるか否か判断する。
【0042】
そして、ステップS109で、電子機器K2〜Knのプロセス設定値またはプロセス値計算関数に変更が必要な場合には、遠隔診断管理装置2は、変更対象となるプロセス名と値をデータベース(DB)から取得し、機器返信テーブルに格納し(ステップS110)、機器管理装置3へ対象電子機器K2〜Knの管理情報を送信する(ステップS111)。
【0043】
ステップS109で、電子機器K2〜Knのプロセス設定値または関数に変更が必要でない場合には、遠隔診断管理装置2は、変更なしとの情報を機器返信テーブルに格納し(ステップS112)、機器管理装置3へ対象電子機器K2〜Knの管理情報を送信する(ステップS111)。
【0044】
このように、本実施例の機器遠隔診断管理システム1は、遠隔診断管理装置2によって管理され、電子機器K2〜Knを管理する機器管理装置3が、各電子機器K2〜Knから該電子機器K2〜Knのステータス情報のみならず、プロセス情報をも取得して、該取得したプロセス情報に基づいて対応するプロセスが異常状態または異常状態に陥るおそれがあるか否かを判断し、該プロセスが異常状態または異常状態に陥るおそれがあると判断すると、該プロセスに対して所定の異常回避処置としてモジュールの再起動によるプロセスの再起動を実行している。
【0045】
したがって、電子機器K2〜Knに障害が発生することを事前に防ぐことができ、電子機器K2〜Knのダウンタイムを短縮したり、無くして、利用性を向上させることができる。
【0046】
特に、ステータス情報が正常な場合であっても、プロセス情報が設定された閾値を超えたとき、または、設定されたプロセス値計算関数の演算で閾値を超えると予想されたときに、対象プロセスを再立ち上げして、障害を事前に防ぐことができ、電子機器K2〜Knのダウンタイムを短縮または無くすことができる。
【0047】
また、本実施例の機器遠隔診断管理システム1は、機器管理装置3が、プロセス値計算関数に基づいて、プロセス情報の傾向予測値の演算を行い、該傾向予測値が所定の閾値を超える場合に、該プロセスが異常状態に陥るおそれがあると判断している。
【0048】
したがって、プロセスが異常状態に陥るおそれがあるか否かをより適切に判断することができる。
【0049】
さらに、本実施例の機器遠隔診断管理システム1は、遠隔診断管理装置2が、各機器管理装置3から該機器管理装置3の収集した各電子機器K2〜Knのプロセス情報を受け取って機種毎に該プロセス情報の履歴を蓄積し、該プロセス情報の履歴に基づいてプロセス値計算関数を生成して、生成したプロセス値計算関数を各機器管理装置3に渡している。
【0050】
したがって、プロセス値計算関数を適切に生成して、プロセスが異常状態に陥るおそれがあるか否かをより一層適切に判断することができる。
【0051】
また、本実施例の機器遠隔診断管理システム1は、遠隔診断管理装置2が、各機器管理装置3から該機器管理装置3の収集した各電子機器K2〜Knのプロセス情報及び異常発生時の機器の情報を受け取って機種毎に該プロセス情報の履歴と該機器情報の履歴を蓄積するとともに、該プロセス情報の履歴と該機器情報の履歴に基づいて閾値計算関数を生成して、該生成した閾値計算関数で閾値を演算し、該演算した閾値を該各機器管理装置3に渡している。
【0052】
したがって、最新運用状況を常に個別の機器管理装置3と電子機器K2〜Knの管理に反映することができ、常にダウンタイムを最短にすることができる。
【0053】
さらに、本実施例の機器遠隔診断管理システム1は、遠隔診断管理装置2が、各機器管理装置3から該機器管理装置3の収集した各電子機器K2〜Knのプロセス情報及び異常発生時の機器の情報を受け取って機種毎に該プロセス情報の履歴と該機器情報の履歴を蓄積するとともに、該プロセス情報の履歴と該機器情報の履歴に基づいて機種毎の障害特徴を異常検出用キーワードとして抽出して、該抽出した異常検出用キーワードを各機器管理装置3に渡し、該各機器管理装置3が、取得したプロセス情報に対して該受け取った異常検出用キーワードで検索を行って該取得したプロセス情報が異常状態に陥るおそれがあるか否か判断している。
【0054】
したがって、プロセスが異常状態に陥るおそれがあるか否かをより効率的にかつ適切に判断することができる。
【0055】
また、本実施例の機器遠隔診断管理システム1は、機器管理装置3が、異常回避処置として、異常状態または異常状態に陥るおそれがあると判断した電子機器K2〜Knの該プロセスを再起動している。
【0056】
したがって、ユーザと保守者の手間を掛けずに電子機器K2〜Knの修復を行うことができ、より一層利用性を向上させることができる。
【0057】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0058】
画像形成装置等の各種機器のステータス情報だけでなく、プロセス情報をも取得して、異常発生を未然に防止する機器の診断・管理を行う機器遠隔診断管理システム一般に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の機器遠隔診断管理システムの一実施例を適用した機器遠隔診断管理システムのシステム構成図。
【図2】図1の機器管理装置での電子機器遠隔診断サービスタイプ選択画面の一例を示す図。
【図3】図1の機器管理装置でのプロセス値設定画面の一例を示す図。
【図4】図1の機器遠隔診断管理システムによる機器遠隔診断管理処理を示すフローチャート。
【図5】図1の機器管理装置でのプロセス値予測の一例を示す図。
【符号の説明】
【0060】
1 機器遠隔診断管理システム
2 遠隔診断管理装置
3 機器管理装置
3a ディスプレイ
4 インターネット
5 シリアル通信線
6 LAN
K1〜Kn 電子機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象の機器と所定の通信回線を介して接続され該機器を管理する機器管理装置において、前記各機器から該機器の所定のステータス情報と所定のプロセス情報を取得し、該取得したプロセス情報に基づいて対応するプロセスが異常状態または異常状態に陥るおそれがあるか否かを判断し、該プロセスが異常状態または異常状態に陥るおそれがあると判断すると、該プロセスに対して所定の異常回避処置を実行することを特徴とする機器管理装置。
【請求項2】
管理対象の機器と所定の通信回線を介して接続され該機器を管理する機器管理装置と、該機器管理装置に所定の通信回線を介して接続され該機器管理装置を管理する遠隔診断管理装置と、を備えた機器遠隔診断管理システムであって、少なくとも、前記機器管理装置が、前記各機器から該機器の所定のステータス情報と所定のプロセス情報を取得し、該取得したプロセス情報に基づいて対応するプロセスが異常状態または異常状態に陥るおそれがあるか否かを判断し、該プロセスが異常状態または異常状態に陥るおそれがあると判断すると、該プロセスに対して所定の異常回避処置を実行することを特徴とする機器遠隔診断管理システム。
【請求項3】
前記機器管理装置は、所定のプロセス値計算関数に基づいて前記取得したプロセス情報の傾向予測値の演算を行い、該傾向予測値が所定の閾値を超える場合に、該プロセスが異常状態に陥るおそれがあると判断することを特徴とする請求項1記載の機器管理装置または請求項2記載の機器遠隔診断管理システム。
【請求項4】
前記遠隔診断管理装置は、前記各機器管理装置から該機器管理装置の収集した前記各機器のプロセス情報を受け取って機種毎に該プロセス情報の履歴を蓄積し、該プロセス情報の履歴に基づいて前記プロセス値計算関数を生成して、該生成したプロセス値計算関数を各機器管理装置に渡すことを特徴とする請求項3記載の機器遠隔診断管理システム。
【請求項5】
前記遠隔診断管理装置は、前記各機器管理装置から該機器管理装置の収集した前記各機器のプロセス情報及び異常発生時の機器の情報を受け取って機種毎に該プロセス情報の履歴と該機器情報の履歴を蓄積するとともに、該プロセス情報の履歴と該機器情報の履歴に基づいて閾値計算関数を生成して、該生成した閾値計算関数で閾値を演算し、該演算した閾値を該各機器管理装置に渡すことを特徴とする請求項3または請求項4記載の機器遠隔診断管理システム。
【請求項6】
前記遠隔診断管理装置は、前記各機器管理装置から該機器管理装置の収集した前記各機器のプロセス情報及び異常発生時の機器の情報を受け取って機種毎に該プロセス情報の履歴と該機器情報の履歴を蓄積するとともに、該プロセス情報の履歴と該機器情報の履歴に基づいて機種毎の障害特徴を異常検出用キーワードとして抽出して、該抽出した異常検出用キーワードを前記各機器管理装置に渡し、該各機器管理装置は、前記取得したプロセス情報に対して該受け取った異常検出用キーワードで検索を行って該取得したプロセス情報が異常状態に陥るおそれがあるか否か判断することを特徴とする請求項2から請求項5のいずれかに記載の機器遠隔診断管理システム。
【請求項7】
前記機器管理装置は、前記異常回避処置として、前記異常状態または異常状態に陥るおそれがあると判断した機器の該プロセスを再起動することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の機器管理装置または機器遠隔診断管理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−35444(P2008−35444A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−209323(P2006−209323)
【出願日】平成18年8月1日(2006.8.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】