説明

機密文書管理システム、画像形成装置、機密文書管理方法及び同管理プログラム

【課題】ネットワーク上の複数の画像形成装置から同一の機密文書データがプリント出力されるおそれを解消できる機密文書管理システム等を提供する。
【解決手段】ネットワーク6を介して互いに接続された複数の画像形成装置1〜3を備え、各画像形成装置1〜3は、文書データを入力する入力手段14、182と、入力された文書データが機密文書データであるか否かを判別するデータ判別手段11と、文書データを印字する印字手段17と、いずれかの画像形成装置において、機密文書データが印字された場合、前記印字された機密文書データと同じ文書データの前記入力手段14、182による入力を拒否する制御手段11を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、多機能デジタル複合機であるMFP(Multi Function Peripherals) 等の複数の画像形成装置を備えた機密文書管理システム、該システムに好適に用いられる画像形成装置、機密文書管理方法及び同管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、機密性の高い文書データ(機密文書データ)を印刷する場合、機密文書印刷の機能を使ってユーザ端末であるパーソナルコンピュータ(PCという)等からID、パスワードの情報をデータに付加してMFPに送信し、該MFPにデータを蓄積させておき、ユーザがMFPの操作パネル部からID、パスワードを入力させることにより、前記蓄積されているデータの印字ができるようにした技術がある。
【0003】
また、印刷物の複製等を防止するために、印刷物に地紋等を付加したり、出力された印刷物を管理するための印刷物にナンバーリングを付加するようにした技術も知られている。
【0004】
さらにまた、従来、プリント、送信等の処理が終了した時に、記憶装置内のデータを消去し、消去されたデータに関する履歴情報を発行するようにした技術も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−164066号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した従来におけるID、パスワードを入力させる技術では、同じデータが再度印字される可能性がある。
【0006】
また、印刷物に地紋等を付加する技術では、印刷物の複製防止は可能であるが、印刷物として存在が1つしか認められない物、例えばチケット等を印刷する過程で同じ印刷物が印刷されないようにすることはできない。
【0007】
さらに、印刷の過程でMFPのトラブルで出力できなくなった時等には、別のMFPにてチケットを出力したい場合もあるが、この時、トラブルが発生したMFPに印刷データ残っていると、2つのMFPから同じチケットが印字されてしまうおそれがある。
【0008】
また、上記した特許文献1の技術では、プリント等が終了した時に、記憶装置内のデータを消去するようにしてあるが、同じデータの印字要求の受け付けを拒否しない限り、同じ印字物が出力されるおそれがある。
【0009】
この発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、ネットワーク上の複数の画像形成装置から同一の機密文書データがプリント出力されるおそれを解消できる機密文書管理システムを提供し、さらには該システムに好適に用いられる画像形成装置、機密文書管理方法及び同管理プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、以下の手段によって解決される。
(1)ネットワークを介して互いに接続された複数の画像形成装置を備え、各画像形成装置は、文書データを入力する入力手段と、前記入力手段により入力された文書データが機密文書データであるか否かを判別するデータ判別手段と、文書データを印字する印字手段と、いずれかの画像形成装置において、前記印字手段により機密文書データが印字された場合、前記印字された機密文書データと同じ文書データの前記入力手段による入力を拒否する制御手段と、を備えていることを特徴とする機密文書管理システム。
(2)各画像形成装置は、入力された機密文書データ及び他の画像形成装置から送信された機密文書データを特定するための情報を記憶する記憶手段を有し、各画像形成装置は、入力された機密文書データが、前記記憶手段に記憶された文書データ及び記憶された情報で特定される文書データに該当しない場合には、入力された文書データを記憶手段に記憶すると共に印字し、かつ他の画像形成装置に、入力された機密文書データを特定するための情報を送信し、入力された機密文書データが、前記記憶手段に既に記憶されており、または文書データを特定するための情報によって特定される文書データに該当する場合には、前記文書データの入力手段による入力を拒否する前項1に記載の機密文書管理システム。
(3)いずれかの画像形成装置において、前記記憶手段に記憶された機密文書データが破棄された場合、その画像形成装置は、他の画像形成装置に対して、その文書データを特定するための情報の削除要求を送信し、他の画像形成装置は削除要求に従って、前記記憶手段に記憶された文書データを特定するための情報を削除する前項2に記載の機密文書管理システム。
(4)各画像形成装置は、各画像形成装置から送信された機密文書データを特定するための情報を蓄積する機密文書管理サーバとネットワークを介して接続され、前記画像形成装置は、前記入力手段により入力された機密文書データを記憶する記憶手段を有するとともに、入力された機密文書データが、前記記憶手段に記憶された文書データ及び前記サーバに蓄積された文書データを特定するための情報によって特定される文書データに該当しない場合には、入力された文書データを記憶手段に記憶すると共に印字し、かつ前記サーバに、入力された機密文書データを特定するための情報を送信し、入力された機密文書データが、前記記憶手段に既に記憶されており、またはサーバに蓄積された文書データを特定するための情報によって特定される文書データに該当する場合には、前記文書データの入力手段による入力を拒否する前項1に記載の機密文書管理システム。
(5)いずれかの画像形成装置において、前記記憶手段に記憶された機密文書データが破棄された場合、その画像形成装置は、前記サーバに対して、その文書データを特定するための情報の削除要求を送信し、該サーバは削除要求に従って、蓄積された文書データを特定するための情報を削除する前項4に記載の機密文書管理システム。
(6)前記入力手段が、ネットワークを介して端末装置から送信された文書データを受信する受信手段からなるものである前項1〜5のいずれかに記載の機密文書管理システム。
(7)ネットワークを介して他の画像形成装置と接続可能な画像形成装置であって、文書データを入力する入力手段と、前記入力手段により入力された文書データが機密文書データであるか否かを判別するデータ判別手段と、文書データを印字する印字手段と、前記他の画像形成装置により機密文書データが印字された場合、前記印字された機密文書データと同じ文書データの前記入力手段による入力を拒否する制御手段と、を備えていることを特徴とする画像形成装置。
(8)入力された機密文書データ及び他の画像形成装置から送信された機密文書データを特定するための情報を記憶する記憶手段を有し、入力された機密文書データが、前記記憶手段に記憶された文書データ及び記憶された情報で特定される文書データに該当しない場合には、入力された文書データを記憶手段に記憶すると共に印字し、かつ他の画像形成装置に、入力された機密文書データを特定するための情報を送信し、入力された機密文書データが、前記記憶手段に既に記憶されており、または文書データを特定するための情報によって特定される文書データに該当する場合には、前記文書データの入力手段による入力を拒否する前項7に記載の画像形成装置。
(9)前記記憶手段に記憶された機密文書データが破棄された場合、他の画像形成装置に対して、その文書データを特定するための情報の削除要求を送信する前項8に記載の画像形成装置。
(10)各画像形成装置から送信された機密文書データを特定するための情報を蓄積する機密文書管理サーバとネットワークを介して接続され、前記入力手段により入力された機密文書データを記憶する記憶手段を有するとともに、入力された機密文書データが、前記記憶手段に記憶された文書データ及び前記サーバに蓄積された文書データを特定するための情報によって特定される文書データに該当しない場合には、入力された文書データを記憶手段に記憶すると共に印字し、かつ前記サーバに、入力された機密文書データを特定するための情報を送信し、入力された機密文書データが、前記記憶手段に既に記憶されており、またはサーバに蓄積された文書データを特定するための情報によって特定される文書データに該当する場合には、前記文書データの入力手段による入力を拒否する前項7に記載の画像形成装置。
(11)前記記憶手段に記憶された機密文書データが破棄された場合、前記サーバに対して、その文書データを特定するための情報の削除要求を送信する前項10に記載の画像形成装置。
(12)前記入力手段が、ネットワークを介して端末装置から送信された文書データを受信する受信手段からなるものである前項7〜11のいずれかに記載の画像形成装置。
(13)ネットワークを介して他の画像形成装置と接続可能な画像形成装置において実行される機密文書管理方法であって、文書データを入力するステップと、前記入力ステップにより入力された文書データが機密文書データであるか否かを判別するステップと、文書データを印字するステップと、前記他の画像形成装置により機密文書データが印字された場合、前記印字された機密文書データと同じ文書データの前記入力を拒否する制御ステップと、を備えていることを特徴とする機密文書管理方法。
(14)ネットワークを介して他の画像形成装置と接続可能な画像形成装置のコンピュータに実行させるための機密文書管理プログラムであって、文書データを入力するステップと、前記入力ステップにより入力された文書データが機密文書データであるか否かを判別するステップと、文書データを印字するステップと、前記他の画像形成装置により機密文書データが印字された場合、前記印字された機密文書データと同じ文書データの前記入力を拒否する制御ステップと、を実行させるための機密文書管理プログラム。
【発明の効果】
【0011】
前項(1)に記載の発明によれば、いずれかの画像形成装置において、印字手段により機密文書データが印字された場合、前記印字された機密文書データと同じ文書データの前記入力手段による入力が拒否されるから、同一の機密文書データが他の画像形成装置により再度印字されるのを確実に防止できる。
【0012】
前項(2)に記載の発明によれば、各画像形成装置は、入力された機密文書データが、前記記憶手段に記憶された文書データ及び記憶された情報で特定される文書データに該当しない場合、入力された文書データは記憶手段に記憶されると共に印字される。従って、何れの画像形成装置によってもまだ印字されていない場合には、この機密文書データを印字することができる。また、他の画像形成装置には、入力された機密文書データを特定するための情報が送信されるから、他の画像形成装置は、既に印字された機密文書データを特定することができる。
【0013】
一方、入力された機密文書データが、前記記憶手段に既に記憶されており、または文書データを特定するための情報によって特定される文書データに該当する場合には、前記文書データの入力手段による入力が拒否されるから、一度印字された機密文書データが他の画像形成装置により印字されるのを確実に防止できる。
【0014】
前項(3)に記載の発明によれば、記憶手段に記憶された機密文書データが破棄された場合、他の画像形成装置に対して、その文書データを特定するための情報の削除要求が送信され、他の画像形成装置は削除要求に従って前記情報を削除するから、再度の印字が可能となり、再度の印字を望むユーザの利便性を高めることができる。
【0015】
前項(4)に記載の発明によれば、各画像形成装置で印字された機密文書データを特定するための情報が機密文書管理サーバに集中的に蓄積されるから、各画像形成装置毎にこれらの情報を蓄積する必要はなくなる。
【0016】
前項(5)に記載の発明によれば、いずれかの画像形成装置において、記憶手段に記憶された機密文書データが破棄された場合、機密文書管理サーバからも文書データを特定するための情報が削除される。
【0017】
前項(6)に記載の発明によれば、ネットワークを介して端末装置から送信された機密文書文書データに対する管理を行うことができる。
【0018】
前項(7)に記載の発明によれば、他の画像形成装置により機密文書データが印字された場合、前記印字された機密文書データと同じ文書データの前記入力手段による入力が拒否されるから、同一の機密文書データが再度印字されるのを確実に防止できる。
【0019】
前項(8)に記載の発明によれば、入力された機密文書データが、前記記憶手段に記憶された文書データ及び記憶された情報で特定される文書データに該当しない場合、入力された文書データは記憶手段に記憶されると共に印字される。従って、他の画像形成装置によってもまだ印字されていない場合には、この機密文書データを印字することができる。また、他の画像形成装置には、入力された機密文書データを特定するための情報が送信されるから、他の画像形成装置は、既に印字された機密文書データを特定することができる。一方、入力された機密文書データが、前記記憶手段に既に記憶されており、または文書データを特定するための情報によって特定される文書データに該当する場合には、前記文書データの入力手段による入力が拒否されるから、他の画像形成装置で印字された機密文書データが印字されるのを確実に防止できる。
【0020】
前項(9)に記載の発明によれば、記憶手段に記憶された機密文書データが破棄された場合、他の画像形成装置に対して、その文書データを特定するための情報の削除要求を送信するから、他の画像形成装置は削除要求に従って前記情報を削除することができ、再度の印字が可能となる。
【0021】
前項(10)に記載の発明によれば、各画像形成装置で印字された機密文書データを特定するための情報が機密文書管理サーバに集中的に蓄積されるから、画像形成装置にこれらの情報を蓄積する必要はなくなる。
【0022】
前項(11)に記載の発明によれば、記憶手段に記憶された機密文書データが破棄された場合、機密文書管理サーバからも文書データを特定するための情報が削除される。
【0023】
前項(12)に記載の発明によれば、ネットワークを介して端末装置から送信された機密文書文書データに対する管理を行うことができる。
【0024】
前項(13)に記載の発明によれば、他の画像形成装置により機密文書データが印字された場合、前記印字された機密文書データと同じ文書データの前記入力手段による入力が拒否されるから、同一の機密文書データが再度印字されるのを確実に防止できる。
【0025】
前項(14)に記載の発明によれば、他の画像形成装置により機密文書データが印字された場合、前記印字された機密文書データと同じ文書データの入力を拒否する処理を、画像形成装置のコンピュータに実行させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
図1は、この発明の一実施形態に係る機密文書管理システムの概略構成図である。
【0028】
図1において、この機密文書管理システムは、複数(例えば3台)の画像形成装置としてのMFP1,2,3と、ユーザ端末としてのPC4と、機密文書管理サーバとしての文書管理(Document Management)用サーバ5とを備えており、これらMFP1,2,3とPC4とサーバ5とは、LAN6等のネットワークを介して相互に接続されている。
【0029】
MFP1,2,3は、ユーザPC4から送信されたプリントデータを印字(プリント)する機能を持っている。
【0030】
サーバ5は、ユーザPC4からMFP1,2,3に対してプリント指示したドキュメントの管理を行う機能を有している。
【0031】
図2は、MFP1の電気的構成を示すブロック図である。なお、他のMFP2,3も同じ構成であるから、それらの説明については省略する。
【0032】
図2において、MFP1は、CPU11と、ROM12と、RAM13と、スキャナ部14と、操作パネル部15と、記憶部16と、プリント部17と、外部インターフェース(I/F)部18とを備えている。
【0033】
CPU11は、全体の動作を統括制御するが、特にこの実施形態では、入力された文書データが機密性の高い機密文書データであるかどうかを判断したり、機密文書データの入力許可/禁止を判断したり、記憶部16に機密文書データを記憶する処理を行う。さらに、機密文書データを記憶したり破棄したときは、その文書データを特定するための情報(以下、単に「機密文書データ特定情報」ともいう)の登録要求や削除要求を他のMFP2、3に送信したり、他のMFP2、3から機密文書データ特定情報の登録要求や削除要求が送信されてきたときは、その情報を記憶部16に記憶(登録)し、または記憶部16から削除する等の処理を行う。
【0034】
ROM12は、CPU11の動作プログラム等を格納するメモリであり、また、RAM13は、CPU11が前記動作プログラムに従って動作することの作業領域を提供するメモリである。
【0035】
スキャナ部14は、原稿画像をスキャンして電子データである画像データに変換するものであり、入力手段の一つとして機能する。
【0036】
操作パネル部15は、各種キー等をもった入力操作部151と、タッチパネル式液晶表示器等からなる表示部142とを備えている。
【0037】
記憶部16は、各種データを格納する他、この実施形態では機密文書データのデータベースとして機能する。即ち、スキャナ部14で入力された文書データ(画像データ)やユーザPC4から送信された文書データが、機密文書データである場合、その文書データやその文書データが機密文書であることを示す情報を記憶(登録)したり、他のMFP2、3から送信されてきた、機密文書データ特定情報を記憶(登録)するものである。
【0038】
プリント部17は、スキャナ部14で入力された文書データ、ユーザPC4から送信された文書データ、前記記憶部16に記憶された文書データ等を用紙に印字するものである。
【0039】
外部インターフェース(I/F)部18は、ネットワーク6上の機器、つまり他のMFP2、3、PC4、サーバ5との間で、データの送受信を司るものであり、送信部181や受信部182を備えている。前記受信部182は文書データの入力手段の一つとして機能するものである。
【0040】
つぎに、上記構成の機密文書管理システムの動作の概要を説明する。
【0041】
なお、以下の例では、入力手段が受信部182であり、機密文書データが外部装置から送信されてきたものである場合を例に説明するが、スキャナ部14で読み取った文書データが、地紋等の情報に基づいて機密文書データであると判断された場合も同様に適用することができる。
〈機密文書データのプリント方法〉
例えば、チケットのような一つしか存在してはいけない機密文書データをプンリトする場合、まず、PC4からMFP1にプリントデータを送信するが、その時、「機密文書データである」旨を示す情報、例えば文書データのID及びパスワード等を付加してプリントデータを送信する。
【0042】
MFP1は、「機密文書データである」旨を示す情報に基づいて、受信したプリントデータが機密文書データのプリントであることを確認すれば、該文書データを内部の記憶部16に、前記「機密文書データである」旨を示す情報とともに記憶する。
【0043】
MFP1に記憶された機密文書データをプリントする場合には、操作パネル部15を使って蓄積文書データのプリントを開始する操作を行うことによりプリント動作が実行されることになる。
【0044】
機密文書データには、前述したように当該文書データのID、パスワードが付されているので、プリント動作の実行に際しては、MFP1の操作パネル部15からID、パスワードを入力する必要がある。
〈機密文書データの管理〉
機密文書データをプリントする場合、上記のようにMFP1では、機密文書データのプリントであることを確認したら、該文書データを記憶部16に記憶する。この時、他のMFP2及び3に、機密文書データ特定情報を送信する。機密文書データ特定情報は、例えば、文書名、文書内の特定データ等であり、また前述した文書データのID、パスワード等であっても良い。
【0045】
一方、前記他のMFP2及び3は、MFP1から送信された機密文書データ特定情報を、記憶部16に記憶する。
【0046】
MFP1で機密文書データが記憶されている状態で、MFP2または3が印字要求を受けて同一文書データをプリントしようとした場合、MFP2,3内には前記機密文書データ特定情報が記憶されているから、プリントデータの受信を禁止する。
【0047】
つまり、これにより、チケット等のように一つしか存在してはいけない機密文書データをプリントする場合、例えばMFP1に該文書データが保持されている状態では、他のMFP2(3)から同一の文書データがプリントされるおそれがなくなる。
【0048】
MFP1において、記憶部16に記憶されている機密文書データが破棄されると、MFP1は、MFP2、3内に記憶されている機密文書データ特定情報の削除要求を、MFP2、3に対して送信する。この要求を受信したMFP2、3は、記憶部16に記憶されている前記機密文書データ特定情報を削除する。これにより、機密文書データの再度の印刷が可能となる。
【0049】
図3は、MFP1で機密文書データ(機密データともいう)を受信した際の処理を示すフローチャートである。この処理は、MFP1のCPU11がROM12等の記録媒体に記録された動作プログラムに従って動作することにより実行される。なお、他のMFP2、3の処理も同様に行われる。
【0050】
図3において、ステップS1では、機密文書データの受信に際して、受信の許可/禁止を判断してから受信を行う機密データ受信処理を行う。ステップS2では、機密文書データの破棄が指示されたときの機密データ破棄処理を行う。
【0051】
ステップS3では、他のMFP2、3から送信された機密文書データ特定情報の登録要求及び削除要求の受信処理を行う。ステップS4では、その他の処理、例えば、実際のコピー動作、Fax/Scan動作、プリント動作等を行ってから、ステップS1に戻る。
【0052】
なお、ステップS1の機密データ受信処理、ステップS2の機密データ破棄処理、ステップS3の機密文書データ特定情報の登録・削除要求受信処理については、後述する。また、各処理は、時系列で示してあるが、それぞれをタスクとして並列処理としてもよい。
【0053】
図4は、機密データ受信処理(図3のステップS1)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0054】
図4において、ステップS11では、機密データの受信か否かを判断し、機密データの受信であれば(ステップS11でYES)、ステップS12で、その機密文書データまたは機密文書データ特定情報が、記憶部16に登録されていないか否かを判断する。
【0055】
登録されていなければ(ステップS12でYES)、ステップS13では、機密データを受信して記憶部16に登録した後、ステップS14で、他のMFP2、3へ機密文書データ特定情報の登録要求を送信して、リターンする。記憶部16に登録された機密データは、図3のステップS4のその他の処理において、用紙に印字される。
【0056】
機密文書データまたは機密文書データ特定情報が、記憶部16に登録されていれば(ステップS12でNO)、ステップS15では、データの受信を拒否して、リターンする。
【0057】
図5は、図3におけるステップS2の機密データ破棄処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0058】
図5において、ステップS21では、操作パネル部15を介して、記憶部16に蓄積された機密文書データの破棄の指示がなされたか否かを判断する。機密データの破棄が指示されると(ステップS21でYES)、ステップS22では、破棄される機密文書データを特定するための機密文書データ特定情報の削除要求を、他のMFP2、3に対して送信する。
【0059】
ステップS23では、指示された機密文書データを記憶部16から破棄したのち、リターンする。機密データの破棄指示がなされなければ(ステップS21でNO)、そのままリターンする。
【0060】
図6は、図3におけるステップS3の機密文書データ特定情報の登録・削除要求受信処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0061】
ステップS31では、機密文書データ特定情報の登録要求を受信したか否かを判断し、登録要求を受信したのであれば(ステップS31でYES)、ステップS32では、機密文書データ特定情報を記憶部16へ登録したのち、リターンする。
【0062】
機密文書データ特定情報の登録要求を受信したのでなければ(ステップS31でNO)、ステップS33では、機密文書データ特定情報の削除要求を受信したか否かを判断し、削除要求を受信したのであれば(ステップS33でYES)、ステップS34で、機密文書データ特定情報を記憶部16から削除したのち、リターンする。機密文書データ特定情報の削除要求を受信したのでなければ(ステップS33でNO)、そのままリターンする。
【0063】
機密文書データの破棄及び機密文書データ特定情報の削除により、再度の印字が可能となり、再度の印字を望むユーザの利便性を高めることができる。
【0064】
図7はこの発明の他の実施形態に係る機密文書管理システムの概略構成を示すものである。図1〜6に示した実施形態では、各MFP1〜3において、他のMFPで印字した機密文書データ特定情報を登録したが、この実施形態では、図7に示すように、ネットワーク6を介してMFP1〜3及びPC4に接続された機密文書管理サーバ4に、機密文書データ特定情報を登録する構成としたものである。
【0065】
なお図7において、図1と同一構成部分については同一の符号を付し、説明は省略する。
【0066】
図8は、MFP1で機密文書データを受信した際の処理を示すフローチャートである。この処理は、MFP1のCPU11がROM12等の記録媒体に記録された動作プログラムに従って動作することにより実行される。なお、他のMFP2、3の処理も同様に行われる。
【0067】
図8において、ステップS101では、機密文書データの受信に際して、受信の許可/禁止を判断してから受信を行う機密データ受信処理を行う。ステップS102では、機密文書データの破棄が指示されたときの機密データ破棄処理を行う。
【0068】
ステップS103では、その他の処理、例えば、実際のコピー動作、Fax/Scan動作、プリント動作等を行ってから、ステップS103に戻る。
【0069】
各処理は、時系列で示してあるが、それぞれをタスクとして並列処理としてもよい。
【0070】
図9は、機密データ受信処理(図8のステップS101)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0071】
ステップS1011では、機密データの受信か否かを判断し、機密データの受信であれば(ステップS1011でYES)、ステップS1012で、その機密文書データが記憶部16に登録されていないか否かを判断する。
【0072】
登録されていなければ(ステップS1012でYES)、ステップS1013では、サーバ4に、その機密データを特定するための機密文書データ特定情報が蓄積(登録)されているかを判断する。
【0073】
サーバ4に登録されていなければ(ステップS1013でYES)、ステップS1014で、機密データを受信して記憶部16に登録した後、ステップS1015で、サーバ4へ機密文書データ特定情報の登録要求を送信して、リターンする。
【0074】
機密文書データが記憶部16に登録されているか(ステップS1012でNO)または機密文書データ特定情報がサーバ4に登録されていれば(ステップS1013でNO)、ステップS1016では、データの受信を拒否して、リターンする。
【0075】
図10は、図8におけるステップS102の機密データ破棄処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0076】
ステップS1021では、操作パネル部15を介して、記憶部16に蓄積された機密文書データの破棄の指示がなされたか否かを判断する。機密データの破棄が指示されると(ステップS1021でYES)、ステップS1022では、破棄される機密文書データを特定するための機密文書データ特定情報の削除要求を、サーバ4に対して送信する。
【0077】
ステップS1023では、指示された機密文書データを記憶部16から破棄したのち、リターンする。機密データの破棄指示がなされなければ(ステップS1021でNO)、そのままリターンする。
【0078】
このように、この実施形態によれば、各MFPで印字された機密文書データを特定するための機密文書データ特定情報がサーバ4に集中的に蓄積されるから、各MFP毎にこれらの情報を蓄積する必要はなくなる。
【0079】
なお、機密文書管理サーバ4を設置することなく、MFP1〜3のいずれかに機密文書管理サーバとしての機能を発揮させる構成であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】この発明の一実施形態に係る機密文書管理システムを示す概略構成図である。
【図2】図1の機密文書管理システムに用いられているMFPの電気的構成を示すブロック図である。
【図3】MFPで機密データを受信した際の処理を示すフローチャートである。
【図4】図3の機密データ受信処理(ステップS1)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図5】図3の機密データ破棄処理(ステップS2)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図6】図3の機密文書データ特定情報の登録・削除要求処理(ステップS3)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図7】この発明の他の実施形態に係る機密文書管理システムの概略構成図である。
【図8】図7のシステムにおいて、MFPで機密データを受信した際の処理を示すフローチャートである。
【図9】図8の機密データ受信処理(ステップS101)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図10】図8の機密データ破棄処理(ステップS102)のサブルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0081】
1,2,3 画像形成装置(MFP)
4 ユーザ端末(PC)
5 機密文書管理サーバ
6 ネットワーク
11 CPU
14 スキャナ部
16 記憶部
17 プリント部
182 データ受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して互いに接続された複数の画像形成装置を備え、
各画像形成装置は、文書データを入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された文書データが機密文書データであるか否かを判別するデータ判別手段と、
文書データを印字する印字手段と、
いずれかの画像形成装置において、前記印字手段により機密文書データが印字された場合、前記印字された機密文書データと同じ文書データの前記入力手段による入力を拒否する制御手段と、
を備えていることを特徴とする機密文書管理システム。
【請求項2】
各画像形成装置は、入力された機密文書データ及び他の画像形成装置から送信された機密文書データを特定するための情報を記憶する記憶手段を有し、
各画像形成装置は、入力された機密文書データが、前記記憶手段に記憶された文書データ及び記憶された情報で特定される文書データに該当しない場合には、入力された文書データを記憶手段に記憶すると共に印字し、かつ他の画像形成装置に、入力された機密文書データを特定するための情報を送信し、入力された機密文書データが、前記記憶手段に既に記憶されており、または文書データを特定するための情報によって特定される文書データに該当する場合には、前記文書データの入力手段による入力を拒否する請求項1に記載の機密文書管理システム。
【請求項3】
いずれかの画像形成装置において、前記記憶手段に記憶された機密文書データが破棄された場合、その画像形成装置は、他の画像形成装置に対して、その文書データを特定するための情報の削除要求を送信し、他の画像形成装置は削除要求に従って、前記記憶手段に記憶された文書データを特定するための情報を削除する請求項2に記載の機密文書管理システム。
【請求項4】
各画像形成装置は、各画像形成装置から送信された機密文書データを特定するための情報を蓄積する機密文書管理サーバとネットワークを介して接続され、
前記画像形成装置は、前記入力手段により入力された機密文書データを記憶する記憶手段を有するとともに、入力された機密文書データが、前記記憶手段に記憶された文書データ及び前記サーバに蓄積された文書データを特定するための情報によって特定される文書データに該当しない場合には、入力された文書データを記憶手段に記憶すると共に印字し、かつ前記サーバに、入力された機密文書データを特定するための情報を送信し、入力された機密文書データが、前記記憶手段に既に記憶されており、またはサーバに蓄積された文書データを特定するための情報によって特定される文書データに該当する場合には、前記文書データの入力手段による入力を拒否する請求項1に記載の機密文書管理システム。
【請求項5】
いずれかの画像形成装置において、前記記憶手段に記憶された機密文書データが破棄された場合、その画像形成装置は、前記サーバに対して、その文書データを特定するための情報の削除要求を送信し、該サーバは削除要求に従って、蓄積された文書データを特定するための情報を削除する請求項4に記載の機密文書管理システム。
【請求項6】
前記入力手段が、ネットワークを介して端末装置から送信された文書データを受信する受信手段からなるものである請求項1〜5のいずれかに記載の機密文書管理システム。
【請求項7】
ネットワークを介して他の画像形成装置と接続可能な画像形成装置であって、
文書データを入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された文書データが機密文書データであるか否かを判別するデータ判別手段と、
文書データを印字する印字手段と、
前記他の画像形成装置により機密文書データが印字された場合、前記印字された機密文書データと同じ文書データの前記入力手段による入力を拒否する制御手段と、
を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
入力された機密文書データ及び他の画像形成装置から送信された機密文書データを特定するための情報を記憶する記憶手段を有し、
入力された機密文書データが、前記記憶手段に記憶された文書データ及び記憶された情報で特定される文書データに該当しない場合には、入力された文書データを記憶手段に記憶すると共に印字し、かつ他の画像形成装置に、入力された機密文書データを特定するための情報を送信し、入力された機密文書データが、前記記憶手段に既に記憶されており、または文書データを特定するための情報によって特定される文書データに該当する場合には、前記文書データの入力手段による入力を拒否する請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記記憶手段に記憶された機密文書データが破棄された場合、他の画像形成装置に対して、その文書データを特定するための情報の削除要求を送信する請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
各画像形成装置から送信された機密文書データを特定するための情報を蓄積する機密文書管理サーバとネットワークを介して接続され、
前記入力手段により入力された機密文書データを記憶する記憶手段を有するとともに、入力された機密文書データが、前記記憶手段に記憶された文書データ及び前記サーバに蓄積された文書データを特定するための情報によって特定される文書データに該当しない場合には、入力された文書データを記憶手段に記憶すると共に印字し、かつ前記サーバに、入力された機密文書データを特定するための情報を送信し、入力された機密文書データが、前記記憶手段に既に記憶されており、またはサーバに蓄積された文書データを特定するための情報によって特定される文書データに該当する場合には、前記文書データの入力手段による入力を拒否する請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記記憶手段に記憶された機密文書データが破棄された場合、前記サーバに対して、その文書データを特定するための情報の削除要求を送信する請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記入力手段が、ネットワークを介して端末装置から送信された文書データを受信する受信手段からなるものである請求項7〜11のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項13】
ネットワークを介して他の画像形成装置と接続可能な画像形成装置において実行される機密文書管理方法であって、
文書データを入力するステップと、
前記入力ステップにより入力された文書データが機密文書データであるか否かを判別するステップと、
文書データを印字するステップと、
前記他の画像形成装置により機密文書データが印字された場合、前記印字された機密文書データと同じ文書データの前記入力を拒否する制御ステップと、
を備えていることを特徴とする機密文書管理方法。
【請求項14】
ネットワークを介して他の画像形成装置と接続可能な画像形成装置のコンピュータに実行させるための機密文書管理プログラムであって、
文書データを入力するステップと、
前記入力ステップにより入力された文書データが機密文書データであるか否かを判別するステップと、
文書データを印字するステップと、
前記他の画像形成装置により機密文書データが印字された場合、前記印字された機密文書データと同じ文書データの前記入力を拒否する制御ステップと、
を実行させるための機密文書管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−36404(P2010−36404A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−200287(P2008−200287)
【出願日】平成20年8月2日(2008.8.2)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】