説明

機能制限システム、機能制限サーバ及び機能制限方法

【課題】所定エリア内であっても移動通信端末の機能制限が必要な状況に当該機能を制限すると共に機能制限不要な状況では自由に移動通信端末の機能を使用すること。
【解決手段】移動通信端末2は、当該移動通信端末2の周囲の音を集音して音声信号に変換する集音手段と、移動通信端末2の加速度を検出する加速度センサと、集音手段が変換した音声信号及び加速度センサが検出した加速度を示す加速度情報を機能制限サーバ1に送信する送信手段と、を備えている。機能制限サーバ1は、移動通信端末2から音声信号及び加速度情報を収集する収集手段と、音声信号の周波数に含まれる移動通信端末2の周辺雑音成分を示す雑音周波数及び加速度に基づいて移動通信端末2の報知音の出力を制限する報知音出力制限手段と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信端末の機能を制限する機能制限システム、機能制限サーバ及び機能制限方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機の使用禁止区域(エリア)内で携帯電話機の機能を制限する無線通信システムが知られている(特許文献1)。この無線通信システムでは、使用禁止エリアの出入口に赤外線発光器が設けられ、使用禁止エリア内に入ると赤外線を受信して携帯電話機の電源がオフ又は報知音の出力を制限するマナーモードに設定され、使用禁止エリア外に出ると携帯電話機の電源がオンに復帰又はマナーモードが解除されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−047042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のシステムでは、使用禁止エリア内において全ての携帯電話機(移動通信端末)が一律に電源オフ又はマナーモードに自動的に設定されるため、同一エリア内においてこのような制限が不要な状況であっても携帯電話機を自由に使用することができない問題があった。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、所定エリア内であっても移動通信端末の機能制限が必要な状況に当該機能を制限すると共に機能制限不要な状況では自由に移動通信端末の機能を使用することができる機能制限システム、機能制限サーバ及び機能制限方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の機能制限システムは、移動通信端末及び当該移動通信端末と通信する機能制限サーバを備えた機能制限システムであって、前記移動通信端末は、当該移動通信端末の周囲の音を集音して音声信号に変換する集音手段と、当該移動通信端末の加速度を検出する加速度センサと、前記集音手段が変換した音声信号及び前記加速度センサが検出した前記加速度を示す加速度情報を前記制限装置に送信する送信手段と、を備え、前記機能制限サーバは、前記移動通信端末から前記音声信号及び前記加速度情報を収集する収集手段と、前記音声信号の周波数に含まれる前記移動通信端末の周辺雑音成分を示す雑音周波数及び前記加速度に基づいて前記移動通信端末の報知音の出力を制限する報知音出力制限手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、移動通信端末の周辺雑音成分を示す雑音周波数及び加速度に基づいて移動通信端末の報知音の出力を制限するので、従来のように、所定エリア内の全ての移動通信端末を一律に制限するのではなく、機能制限が必要か否かを適切に判断した上で移動通信端末の報知音の出力を制限することができる。また、移動通信端末から収集した雑音周波数及び加速度から移動通信端末の報知音の出力を制限するので、従来のように、移動通信端末の機能制限に供するための赤外線発光器等の設置する必要がない。
【0008】
本発明は、上記機能制限システムにおいて、前記報知音出力制限手段は、前記雑音周波数が所定値未満であって、かつ前記加速度が所定速度未満の場合には前記移動通信端末の報知音の出力を制限し、前記雑音周波数が所定値以上であって、かつ前記加速度が所定速度以上の場合には前記移動通信端末の報知音の出力制限を解除することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、雑音周波数が所定値未満であって、かつ加速度が所定速度未満の場合には移動通信端末を機能制限すべき状況と判断して報知音の出力を制限し、雑音周波数が所定値以上であって、かつ加速度が所定速度以上の場合には機能制限不要な状況と判断して移動通信端末の報知音の出力制限を解除して移動通信端末を自由に使用することができる。ここで、報知音とは、例えば、発着信及びメールの送受信の際に出力する発着信(送受信)を報知する音や端末操作の際に出力する操作音である。
【0010】
本発明は、上記機能制限システムにおいて、前記報知音出力制限手段は、前記雑音周波数が所定値未満であって、かつ前記加速度が所定速度未満の場合には前記移動通信端末の電源をオフし、前記雑音周波数が所定値以上であって、かつ前記加速度が所定速度以上の場合には前記移動通信端末の電源オフを解除することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、雑音周波数が所定値未満であって、かつ加速度が所定速度未満の場合には機能制限すべき状況と判断して移動通信端末の電源をオフして端末の使用を制限し、雑音周波数が所定値以上であって、かつ加速度が所定速度以上の場合には機能制限不要な状況と判断して移動通信端末の電源オフを解除して移動通信端末を自由に使用することができる。
【0012】
本発明の機能制限サーバは、移動通信端末が当該移動通信端末の周囲の音を集音して変換した音声信号及び当該移動通信端末の検出した加速度を示す加速度情報を収集する収集手段と、前記音声信号の周波数に含まれる前記移動通信端末の周辺雑音成分を示す雑音周波数及び前記加速度に基づいて前記移動通信端末の報知音の出力を制限する報知音出力制限手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、移動通信端末の周辺雑音成分を示す雑音周波数及び加速度に基づいて移動通信端末の報知音の出力を制限するので、従来のように、所定エリア内の全ての移動通信端末を一律に制限するのではなく、機能制限が必要か否かを適切に判断した上で移動通信端末の報知音の出力を制限することができる。また、移動通信端末から収集した雑音周波数及び加速度から移動通信端末の報知音の出力を制限するので、従来のように、移動通信端末の機能制限に供するための赤外線発光器等の設置する必要がない。
【0014】
本発明は、上記機能制限サーバにおいて、前記報知音出力制限手段は、前記雑音周波数が所定値未満であって、かつ前記加速度が所定速度未満の場合には前記移動通信端末の報知音の出力を制限し、前記雑音周波数が所定値以上であって、かつ前記加速度が所定速度以上の場合には前記移動通信端末の報知音の出力制限を解除することを特徴とする。
【0015】
本発明は、上記機能制限サーバにおいて、前記報知音出力制限手段は、前記雑音周波数が所定値未満であって、かつ前記加速度が所定速度未満の場合には前記移動通信端末の電源をオフし、前記雑音周波数が所定値以上であって、かつ前記加速度が所定速度以上の場合には前記移動通信端末の電源オフを解除することを特徴とする。
【0016】
本発明の移動通信端末の機能制限方法は、移動通信端末が周囲の音を集音して変換した音声信号及び当該移動通信端末の検出した加速度を示す加速度情報を収集し、前記音声信号の周波数に含まれる前記移動通信端末の周辺雑音成分を示す雑音周波数及び前記加速度に基づいて前記移動通信端末の報知音の出力を制限することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、所定エリア内であっても機能制限が必要な状況に携帯電話機等の移動通信端末の機能を制限すると共に機能制限不要な状況では自由に移動通信端末の機能を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る機能制限システムの概略構成を示す図である。
【図2】本実施の形態に係る移動通信端末を示す機能ブロック図である。
【図3】本実施の形態に係る機能制限サーバを示す機能ブロック図である。
【図4】音声信号の音声周波数に含まれる雑音周波数の変化に基づいて機能制限要否判定を説明するための模式図である。
【図5】本実施の形態に係る機能制限システムの機能制限動作を示すシーケンス図である。
【図6】本実施の形態に係る機能制限システムを適用した映画館内を模式的に示した図である。
【図7】本実施の形態に係る機能制限サーバの機能制限動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る機能制限システムを説明するための概略構成を示す図である。図1に示す機能制限システム1は、複数の移動通信端末2(2A〜2E)と、移動通信網3を介して複数の移動通信端末2A〜2Eと接続される機能制限サーバ4と、を備えている。なお、図1に示す機能制限システム1では、説明を簡単にするために5つの移動通信端末2を示しているが、移動通信端末数はこれに限定されるものではない。
【0020】
この機能制限システム1は、移動通信端末2から集めた音声信号内に含まれる雑音周波数及び移動通信端末2の加速度に基づいて移動通信端末の機能を制限するものであり、例えば、機能制限が必要な状況(上映時間や授業時間)が設けられる映画館や学校等において適用可能なビジネスモデルである。以下では、本実施の形態に係る機能制限システム1を映画館に適用した場合を例に挙げて説明する。
【0021】
移動通信網3は、各移動通信端末2A〜2Eと機能制限サーバ4との間のネットワークである。この移動通信網3には、通常の移動通信網に加えて移動パケット通信網や、インターネット、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等のネットワークも含まれる。
【0022】
図2は、図1に示す各移動通信端末2(2A〜2E)の概略構成を示す機能ブロック図である。移動通信端末2は、例えば、携帯電話機等で構成され、オペレーティングシステム(移動機OS)上でブラウザ機能、ビューワ機能、アプリケーション管理機能等の機能が動作するように構成されている。これらアプリケーション機能等の各機能は、機能制限サーバ4からアプリケーション起動信号を受信することにより起動され、移動通信端末2上の各アプリケーションと機能制限サーバ4との間で通信が行われる。そして、移動通信端末2は、自端末の加速度情報及び集音した音声信号を機能制限サーバ4に送信すると共に、機能制限サーバ4から報知音出力制限情報等を受信する(詳細は後述する)。なお、図2に示す構成は、本発明を説明するために簡略化したものであり、携帯端末本来の機能を実現するその他の構成要素は備えているものとする。
【0023】
移動通信端末2は、機能制限サーバ4との間で通信を行う送受信部21と、装置を操作したり、種々のデータを入力したりする操作部22と、種々のデータやイベント発生情報等の各種情報を表示する表示部23と、装置に搭載され、あるいはダウンロードされた種々のアプリケーションを起動するアプリ制御部24と、端末の位置を測定する端末位置測定部25と、を備えている。また、移動通信端末装置2は、自端末周辺の音を集音する集音部26と、自端末の加速度を検出する加速度検出部(加速度センサ)27と、装置全体を制御する制御部28と、を備えている。送受信部21、操作部22、表示部23、アプリ制御部24、端末位置測定部25、集音部26、加速度検出部27、制御部28は、移動通信端末2内に組み込まれたCPU(Central Processing Unit)がROM(Read Only Memory)内の各種プログラムに従ってRAM(Random Access Memory)内のデータを演算し、各部と協働して集音処理、加速度検出処理及び送受信処理等を実行するようになっている。
【0024】
集音部26は、マイクにより構成され、自端末周辺の音を集音して音声信号に変換し、この音声信号を送受信部21に送る。ここで、集音部26を構成するマイクは、電池の消費電力を抑えるため、一定の時間間隔を空けて自動起動され、間欠的に音声信号を集音するように設定されていることが好ましい。また、集音部26の集音時間は、任意の時間(例えば、1〜3秒)を設定可能である。加速度センサ27は、自端末の加速度を検出し、検出した加速度を示す加速度情報を送受信部21に送る。送受信部21は、集音部26から受け取った音声信号及び加速度センサ27から受け取った加速度情報を機能制限サーバ4に送信する。
【0025】
図3は、機能制限サーバ4の概略構成を示す機能ブロック図である。機能制限サーバ4は、移動通信端末2から受け取った音声信号に含まれる雑音周波数及び加速度の変化から移動通信端末2の報知音出力機能を制限するものであり、収集部41と、判定用データベース(DB)42と、制限要否判定部43と、報知音出力制限部44と、これら各部を制御する制御部45とを備えている。この機能制限サーバ4は、移動通信端末2から当該移動通信端末2の加速度情報や集音した音声信号を収集するため、予め移動通信端末2に対して、移動通信端末2に内蔵されたアプリケーション機能を実行するための起動信号を送っている。収集部41、制限要否判定部43、報知音出力制限部44等は、機能制限サーバ4内に組み込まれたCPUがROM内の各種プログラムに従ってRAM内のデータを演算し、各部と協働して収集処理、制限要否判定処理及び報知音出力制限処理等を実行するようになっている。
【0026】
収集部41は、移動通信網3を複数の移動通信端末2と通信可能に構成されており、所定の監視エリア毎に継続的に監視と行い、移動通信端末2が集めた音声信号及び移動通信端末2が検出した加速度情報を収集する。収集した音声信号及び加速度情報は、制限要否判定部43に送られる。
【0027】
判定用DB42は、移動通信端末2の報知音出力機能の制限要否判定に用いるためのデータベースであり、判定用周波数情報と、判定用加速度情報とが格納されている。判定用周波数情報としては、収集した音声信号が通常時の会話を示すものか否かを識別するための情報であり、例えば、一般的な会話時における雑音成分を示す周波数や、所定エリア内において収集した雑音周波数の平均周波数を用いることができる。判定用加速度情報は、移動通信端末の移動状態及び停止状態を判別するための情報である。
【0028】
制限要否判定部43は、収集部41から受け取った加速度情報及び音声信号の周波数成分に含まれる移動通信端末の周辺雑音成分を示す雑音周波数情報と、判定用DB42内の判定用周波数情報及び判定用加速度情報とを比較して移動通信端末2の報知音出力機能の制限要否を判定し、判定結果を報知音出力制限部44に送る。例えば、図4に示すように、制限要否判定部43は、収集した雑音周波数が判定用周波数(ここでは周波数の平均値)よりも低い場合であって、かつ収集した加速度が判定用加速度未満である場合には、映画館内の客の会話が少なく、客が着席している状況(上映開始時間等)になったと推測し、移動通信端末2の報知音の出力機能の制限が必要な状況であると判断する。なお、この場合において、映画の上映時間や学校の授業時間をコンテンツサーバ(図示省略)から収集し、収集した上映時間及び授業時間に基づいて機能制限判定をしてもよい。
【0029】
報知音出力制限部44は、制限要否判定部43の判定結果に基づき、判定結果が制限要である場合には、移動通信端末2の報知音の出力を制限し、判定結果が制限不要である場合には報知音の出力制限を解除する(制限しない)。ここで、報知音とは、例えば、発着信及びメールの送受信の際に出力する発着信(送受信)を報知する音や端末操作の際に出力する操作音である。また、報知音の出力制限方法は、移動通信端末2の報知音の出力のみを制限するもの(いわゆるマナーモード機能)に限定されるのではなく、機能制限システム1を適用すべき環境等に合わせて、例えば、移動通信端末2の電源をオフして報知音の出力を制限してもよい。以下では、移動通信端末2の報知音の出力のみを制限する場合を例に説明する。
【0030】
次に、図5を用いて、機能制限システム1の移動通信端末2の報知音の出力機能制限動作を説明する。図5は、機能制限システム1の移動通信端末2の報知音の出力機能制限動作を示すシーケンス図である。図6は、本機能制限システム1が適用される映画館内の様子を模式的に示した図である。ここでは、図1に示す移動通信端末2A及び2Bのユーザが映画館内の客席エリアAR1に、移動通信端末2Cのユーザが同一映画館内の客席エリアAR1以外のエリア(ロビー)AR2に居る場合を例に説明する。なお、図6において、○印はユーザ(客)を示している。
【0031】
図5に示すように、機能制限サーバ4は、複数の移動通信端末2A〜2Cから音声信号及び加速度情報を継続的に受け付け(ステップS501)、音声信号及び加速度情報を収集する(ステップS502)。次に、機能制限サーバ4は、移動通信端末2A〜2Cから収集した加速度情報及び音声信号に含まれる雑音周波数情報と、判定用DB42内の判定用加速度情報及び判定用周波数情報とを比較して移動通信端末の機能制限要否を判定する(ステップS503)。機能制限サーバ4は、この制限要否の判定結果に基づいて、移動通信端末の報知音の出力を制限する(ステップS504、S505)。
【0032】
具体的には、図7に示すように、機能制限サーバ4は、雑音周波数及び加速度を受け取ると(ステップS701)、雑音周波数と判定用DB42内の判定用周波数とを比較して、雑音周波数が判定用周波数未満か否かを判定する(ステップS702)。雑音周波数が判定用周波数未満の場合(ステップS702:YES)、受け取った加速度と判定用DB42内の判定用加速度とを比較して、加速度が判定用加速度未満か否かを判定する(ステップS703)。加速度が判定用加速度未満の場合(ステップS703:YES)、報知音の出力を制限する(ステップ704)。
【0033】
図5においては、既に映画の上映が開始されているので、客席エリアAR1内にいるユーザの会話は抑えられると共に着席している。従って、移動通信端末2A及び2Bからの雑音周波数及び加速度は共に判定用周波数及び加速度未満となって、移動通信端末2A及び2Bの機能制限が必要な状況であると判断され、報知音の出力が制限される(ステップS506)。上映開始時間近くになると、客席エリアAR1内のユーザの会話が少なくなるに従いCMや音楽等が流れる場合があるが、このようなCM音等は音量レベルは一定以上であっても声紋・音源が単一であるため雑音周波数成分が少ないため、ユーザの会話を示す雑音周波数成分と判別することができる。
【0034】
一方、客席エリアAR1と防音設備を隔てたロビーAR2にいるユーザは、上映時間中であっても自由に移動可能であるため移動通信端末の加速度は判定用加速度以上となる。また、チケットカウンタ及びカフェテリアカウンタに並ぶユーザは、加速度は所定速度未満であっても、通常の会話が制限されないので雑音周波数は判定用周波数以上となる。従って、移動通信端末2Cに対しては機能制限不要な状況であると判断されるため、報知音の出力制限は行われない。この機能制限サーバ4による制限要否判定及び報知音出力制限動作は継続して行われる。
【0035】
上映時間が終了した場合にも、機能制限サーバ4は、移動通信端末2A〜2Cから収集した加速度及び雑音周波数と、判定用DB42内の判定用加速度及び雑音周波数とを比較して移動通信端末の機能制限要否を判定するし(ステップS507)、判定結果に基づいて、移動通信端末の報知音の出力制限を解除する(ステップS508)。
【0036】
具体的には、図7に示すように、機能制限サーバ4は、雑音周波数と判定用周波数とを比較して、雑音周波数が判定用周波数以上か否かを判定し(ステップS705)、雑音周波数が判定用周波数以上の場合(ステップS705:YES)、受け取った加速度と判定用加速度とを比較して、加速度が判定用加速度以上か否かを判定する(ステップS706)。加速度が判定用加速度以上の場合(ステップS706:YES)、報知音の出力制限を解除する(ステップ707)。
【0037】
図5においては、既に映画の上映が終了しているため、客席エリアAR1内にいるユーザの会話は通常通りに行われる共に座席から移動も可能である。従って、移動通信端末2A及び2Bからの雑音周波数及び加速度は共に判定用周波数及び加速度以上を示し、移動通信端末2A及び2Bに対して機能制限が不要な状況であると判断され、報知音の出力制限が解除される(ステップS509、S510)。
【0038】
なお、移動通信端末2の機能の制限要否判定動作は、図7に示す順序で行う必要はなく、雑音周波数及び加速度の変化に基づいて判断するものであれば、例えば、加速度を先に判定してもよく、又、雑音周波数及び加速度を同時に判定してもよい。
【0039】
このように、本実施の形態では、移動通信端末2の周辺雑音成分を示す雑音周波数及び加速度の変化から移動通信端末2の報知音の出力を制限するので、従来のように、所定エリア内の全ての移動通信端末2を一律に制限するのではなく、機能制限が必要か否かを適切に判断した上で移動通信端末2の報知音の出力を制限することができる。これにより、例えば、特定の時間や同一エリア内の特定エリアの移動通信端末2のみの報知音出力を制限することができる。また、移動通信端末2から収集した雑音周波数及び加速度から移動通信端末2の報知音の出力を制限するので、従来のように、移動通信端末2の機能制限に供するための赤外線発光器等の設置する必要がない。
【0040】
また、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、処理部や処理手順については適宜変更して実施することが可能である。その他、本発明の範囲を逸脱しないで適宜変更して実施することが可能である。
【0041】
上記実施の形態では機能制限システム1を映画館に適用した場合を例に説明したが、例えば、この機能制限システム1を学校に適用することも好適である。この場合においては、緊急事態への対応等の観点から、移動通信端末2の機能制限対象時間となる授業時間中であっても教師等成人の移動通信端末2については機能制限することは好ましくない。従って、生徒の移動通信端末2から収集した雑音周波数及び加速度の変化に基づいて移動通信端末2の報知音の出力機能を制限すると共に、属性情報及び端末の行動履歴情報等に基づいて成人(教師)と判定された場合には当該出力機能の制限対象外にする。これにより、授業時間中の生徒の移動通信端末2のみを機能制限すると共に、授業時間中であっても教師等の移動通信端末2の機能は通常通り利用することができる。なお、移動通信端末2の機能の中には、例え授業中であっても制限されることが望ましくない機能(例えば、両親等緊急連絡先との発着信等)も含まれるため、これら機能を考慮した上で柔軟かつ詳細に制限対象機能を設定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、携帯電話機等の移動通信端末の音声信号及び加速度に基づいて、移動通信端末の機能を制限する機能制限サーバシステムに適用可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 機能制限システム
2 移動通信端末
3 移動通信網
4 機能制限サーバ
26 集音部
27 加速度センサ
41 収集部
42 判定用DB
43 制限要否判定部
44 報知音出力制限部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信端末及び当該移動通信端末と通信する機能制限サーバを備えた機能制限システムであって、
前記移動通信端末は、
当該移動通信端末の周囲の音を集音して音声信号に変換する集音手段と、
当該移動通信端末の加速度を検出する加速度センサと、
前記集音手段が変換した音声信号及び前記加速度センサが検出した前記加速度を示す加速度情報を前記機能制限サーバに送信する送信手段と、を備え、
前記機能制限サーバは、
前記移動通信端末から前記音声信号及び前記加速度情報を収集する収集手段と、
前記音声信号の周波数に含まれる前記移動通信端末の周辺雑音成分を示す雑音周波数及び前記加速度に基づいて前記移動通信端末の報知音の出力を制限する報知音出力制限手段と、を備えたことを特徴とする機能制限システム。
【請求項2】
前記報知音出力制限手段は、前記雑音周波数が所定値未満であって、かつ前記加速度が所定速度未満の場合には前記移動通信端末の報知音の出力を制限し、前記雑音周波数が所定値以上であって、かつ前記加速度が所定速度以上の場合には前記移動通信端末の報知音の出力制限を解除することを特徴とする請求項1に記載の機能制限システム。
【請求項3】
前記報知音出力制限手段は、前記雑音周波数が所定値未満であって、かつ前記加速度が所定速度未満の場合には前記移動通信端末の電源をオフし、前記雑音周波数が所定値以上であって、かつ前記加速度が所定速度以上の場合には前記移動通信端末の電源オフを解除することを特徴とする請求項1に記載の機能制限システム。
【請求項4】
移動通信端末が当該移動通信端末の周囲の音を集音して変換した音声信号及び当該移動通信端末の検出した加速度を示す加速度情報を収集する収集手段と、
前記音声信号の周波数に含まれる前記移動通信端末の周辺雑音成分を示す雑音周波数及び前記加速度に基づいて前記移動通信端末の報知音の出力を制限する報知音出力制限手段と、を備えたことを特徴とする機能制限サーバ。
【請求項5】
前記報知音出力制限手段は、前記雑音周波数が所定値未満であって、かつ前記加速度が所定速度未満の場合には前記移動通信端末の報知音の出力を制限し、前記雑音周波数が所定値以上であって、かつ前記加速度が所定速度以上の場合には前記移動通信端末の報知音の出力制限を解除することを特徴とする請求項4に記載の機能制限サーバ。
【請求項6】
前記報知音出力制限手段は、前記雑音周波数が所定値未満であって、かつ前記加速度が所定速度未満の場合には前記移動通信端末の電源をオフし、前記雑音周波数が所定値以上であって、かつ前記加速度が所定速度以上の場合には前記移動通信端末の電源オフを解除することを特徴とする請求項4に記載の機能制限サーバ。
【請求項7】
移動通信端末が周囲の音を集音して変換した音声信号及び当該移動通信端末の検出した加速度を示す加速度情報を収集し、前記音声信号の周波数に含まれる前記移動通信端末の周辺雑音成分を示す雑音周波数及び前記加速度に基づいて前記移動通信端末の報知音の出力を制限することを特徴とする移動通信端末の機能制限方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−272907(P2010−272907A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−120510(P2009−120510)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】