説明

機雷掃海システム

【課題】 機雷探知機において、目標物が含まれた信号から目標物信号成分を自動で検出するための信号処理装置と、目標物が含まれた信号を送信する水中音響通信装置を提供する。
【解決手段】 エコー信号に対してウェーブレットパケット変換を適用し周波数分解を行うことによって、目標物からのエコー信号成分が多く含まれていると予測されるものと、そうでないものとに分類する。そうでないものとされた信号成分はすべて0に置換し、また、予測された信号の主要な成分のみをさらに抽出し、その信号成分のみを用いて逆ウェーブレットパケット変換を行い、再構成を行う。これにより、予測信号の中に目標信号があればその成分だけ抽出することができる。さらに、前記手段で発見された目標物の付近の情報のみを音波を用いて転送する。目標物探知を精度良く行い、その結果のみを転送することにより、帯域に多大な制限を受ける水中音響通信においても、そのリアルタイムでの運用が現実的になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中の情報を可視化する水中音波撮像装置(ソーナー)の信号処理手段及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
海底の構造や、海底面の対象物を画像化する手法として、音響的手法による画像化技術(ソーナー)が検討されている。特に掃海艇などに搭載される防衛装備品のなかでも、海底や水中に敷設された機雷を探知する機雷探知機においてソーナーは重要な根幹技術となっている。図1は前方を見るためのフォワードルッキングソーナー100による機雷探査を説明するものである。フォワードルッキングソーナー100による機雷探査では、ソーナーの移動方向102、および音波ビーム101に対して目標物103が前方にあるため、多数の受信信号の中に目標物の信号成分が存在する。例えば、図1(a)、(b)および(c)の送受信範囲でも、目標物103はソーナー画像中に描写されることになる。
【0003】
ここで、ソーナー信号もしくはソーナー画像上にある機雷を自動的に検出(探知)し、その種類を類別する技術として、自動検出技術(CAD:Computer Aided Detection)が幅広く検討されている。また、より良い精度でCADを行うために高いコントラストかつ高いS/N比(信号/雑音比)でソーナー画像を生成することを可能とする音波撮像方式や信号処理方式/アルゴリズムが望まれている。フォワードルッキングソーナーのCADに関する技術として、例えば特許文献1においては、所定の時刻の探知画像に着目し、着目した探知画像から船の移動量を考慮した被写体の移動方向を求めその方向に推定されたデータを参照して平滑化処理することによりノイズを除去する技術が開示されている。また、特許文献2においては、複数の受信信号から,各受信信号の同位置に定常的に存在している物体を,尤度比を計算することにより目標物体として検出するとともに、信号間で不規則に発生する残響等の不要信号を除去する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-83236
【特許文献2】特開平10-206525
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前方1方向を観測するフォワードルッキングソーナーに対して、側方2方向の観測が可能なサイドスキャンソーナーがある。図2は水中無人航走体200に装備されたサイドスキャンソーナー201による機雷探査を説明する図である。サイドスキャンソーナーは広範囲探査が可能、合成開口技術により分解能向上が望めるという特徴を有するので、近年では機雷探知をはじめとした掃海手法としてこちらが主流となりつつある。しかしながらサイドスキャンソーナー201による機雷探査では、ソーナーの移動方向205に対して、音波の照射方向202および目標物204が直交方向にあるため、受信信号間の探査範囲の重なりは少なく、多数の受信データを累積し、過去の受信信号と現在の受信信号の相関性から目標を検出するフォワードルッキングソーナーでの探知手法は適用できない。
【0006】
また、ソーナーが装備された水中無人航走体から探査結果を母船に無線通信を行うにあたり、水中無人航走体が有する目標自動検出部の検出能に関しても課題がある。検出能が低ければ母船を危険に晒す可能性が高まり、誤検出が多ければ音響通信データ量が増え、リアルタイム性を損なう。また、複数の探知アルゴリズムを組み合わせて検出信頼性を高める方法が考えられるが、これは信号処理にかかる時間が増大し、リアルタイム性を損なう。
【0007】
以上により本発明においては、ソーナーの種類を問わず1ピングないし少数ピングのソーナー信号のみから機雷などの目標物信号を高精度で検出する手法を提供する。これにより、水中無人航走体から、水上の母船等に探査結果のデータを無線送信する際に、送信データ量の削減、リアルタイム性の向上および母船の安全性向上を実現することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明による水中音波撮像装置は、以下の構成を備える。即ち、水中もしくは水上を航走する移動体に取り付けられており、水底に向けて音波を送信する送信部と、送信された音波が、少しずつ送波音波の投影面を異にした水底面からの反射音波を逐次受信する受信部と、受信した信号を処理し、逐次画像信号を生成する信号処理部と、前記信号処理部の処理結果をメモリに保存する画像メモリ部と、信号処理結果に基づく音波画像を逐次表示する画像表示部を備え、
更に、逐次受信された受信信号、あるいは信号処理部での処理途中の信号、あるいは信号処理部により逐次生成された画像信号を、あらかじめ設定された数の複数の周波数成分に分解する周波数分解手段を備えた分解部と、分解された周波数成分から閾値処理によって目標エコー有無の判別に用いる成分を抽出する抽出部と、その抽出結果に対してさらに閾値処理を行い、対応する受信信号中に目標エコーが存在するか否かを判定する判定部から構成される目標物自動検出部と、前記目標物自動検出部の結果をメモリに保存する検出結果メモリ部を備え、
更に、前記目標物自動検出部における分解部の前段に、時系列に並んだ複数の送受信に対応する受信信号あるいはその一部を、もしくは対応する信号処理後の信号あるいはその一部を、あらかじめ設定した値で切り出す切り出し部と、切り出された信号の一部を時系列に繋げる直列部を有する目標物自動検出部を備える。
【0009】
好ましくは、前記判定部に送られる信号は、前記分解部で分解された複数の周波数成分の一部、あるいは、分解された信号の周波数逆変換処理された後の信号である。
【0010】
上記の目的を達成するための本発明による水中音波撮像装置は、以下の構成を備える。即ち、水中もしくは水上を航走する移動体に取り付けられており、水底に向けて音波を送信する送信部と、送信された音波が、少しずつ送波音波の投影面を異にした水底面からの反射音波を逐次受信する受信部と、受信した信号を処理し、逐次画像信号を生成する信号処理部と、前記信号処理部の処理結果をメモリに保存する画像メモリ部と、信号処理結果に基づく音波画像を逐次表示する画像表示部を備え、
更に、逐次受信された受信信号、あるいは信号処理部での処理途中の信号、あるいは信号処理部により逐次生成された画像信号を、あらかじめ設定された数の複数の周波数成分に分解する周波数分解手段を備えた分解部と、分解された周波数成分から閾値処理によって目標エコー有無の判別に用いる成分を抽出する抽出部と、分解された信号を逆変換しその値を積分する積分部と、積分した結果の逆数値を求める逆数変換部を有し、逆数変換後の値を用いて目標エコーの有無を判定する判定部から構成される目標物自動検出部と、前記目標物自動検出部の結果をメモリに保存する検出結果メモリ部を備える。
【0011】
また、好ましくは、前記切り出し部は、前記信号処理部の前段でも後段でも信号処理部内部での処理途中にあってもよいが、特に信号処理部の後段にあることが望ましい。
【0012】
また、好ましくは、前記周波数分解手段は、短時間フーリエ変換、ウィグナー分布、チョイ−ウィリアムス分布、離散ウェーブレット変換、ウェーブレットパケット変換の少なくとも一つの変換方法を使用する。
【0013】
上記の目的を達成するための本発明による水中音波撮像装置は、以下の構成を備える。即ち、前記周波数分解手段の処理方法を設定する調整部、もしくは周波数成分に分解する数を設定する調整部、もしくは分解後において目標エコー有無の判別に用いる周波数成分を設定する調整部、直列部で繋げる信号の数を設定する調整部のいずれか一つ、あるいは複数組み合わせた調整部を備える。
【0014】
また、好ましくは、前記調整部の値を指示する選択指示部を備える。
【0015】
上記の目標を達成するための本発明による水中音波撮像装置は、以下の構成を備える。即ち、前記判定部で目標信号が存在すると判定された一次元ラスタ信号、もしくは一次元ラスタ信号を含む周囲の信号、もしくは目標信号が存在するか否かという情報のいずれかもしくは複数の組み合わせを送信する水中音響モデムを備える。
【0016】
また、好ましくは、前記水中音響モデムから送信される送信信号として、目標物を含む一次元ラスタ信号、目標物を含む一次元ラスタ信号とその前後いくつかの信号、目標物信号の最大値の周囲M×M(Mは自然数)ピクセルの二次元信号、目標物信号の経緯度、目標物の有無を1、0として表したデジタル情報、のいずれか一つ、あるいはこれらの組み合わせを選択する送信選択部を備える。
【0017】
また、好ましくは、外部筐体に、前記調整部の値を外部から遠隔制御し、さらに、前記送信信号を選択する選択指示部を備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、目標物自動検出部に切り出し部や直列部、あるいは積分部を設けることにより、単一ないし少数の受信信号ないし画像信号を用いてより高精度、低誤り率で目標物有無の判別を行うことが可能になる。また、目標物の判別装置と水中音響装置を水中無人航走体に装備し、送信選択部にて送信データを選択することにより、通信データ量をリアルタイムで伝送可能な容量内に抑えることが可能となる。これにより、海底調査の座標から離れたところに位置する母船の内部にいる人が、海底面の目標物の有無情報を、リアルタイムで安全に入手する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】フォワードルッキングソーナーによる機雷探査を説明する図
【図2】サイドスキャンソーナーによる機雷探査を説明する図
【図3】安全な機雷掃海を説明する図
【図4】本発明の実施例であるソーナーの基本ブロック図
【図5】本発明の検出部の最適な実施例の一つ
【図6】本発明の画像表示部と選択指示部の最適な実施例の一つ
【図7】本発明の目標自動検出部の基本アルゴリズムを説明する図
【図8】本発明の周波数帯域分解の基本アルゴリズムを説明する図
【図9】本発明の切り出し部および直列部の最適な実施例の一つ
【図10】本発明の切り出し部の最適な実施例の一つ
【図11】本発明の積分部および逆数変換部の最適な実施例の一つ
【図12】本発明の切り出し部、直列部、積分部、逆数変換部の最適な実施例の一つ
【図13】本発明の水中音響モデムの最適な実施例の一つ
【図14】本発明の水中音響モデムの最適な実施例の一つ
【発明を実施するための形態】
【0020】
図3は安全な機雷掃海を説明するものである。母船300は海上の安全だと判明している地点で停泊しており、機雷を捜索するのは水中無人航走体308に装備されたソーナーである。サイドスキャンソーナー309から発せられる側方音波ビーム310や、フォワードルッキングソーナー311から発せられる前方音波ビーム312で海底面306に存在する機雷307を探査する。水中無人航走体308にデータ通信機能がなければ、探査後母船300にもどり、探索データの解析をし、母船の進行方向の水路に機雷が存在していない、ということが確認されて初めて母船は安全に移動が開始できる。一方で、水中無人航走体にデータ通信部304が存在し、水上無人航走体302などを介してリアルタイムで母船300に海底情報を無線通信303など転送することができれば、水中無人航走体308による機雷探査と同時に母船も安全に移動ができる。
【0021】
水中は光や電磁波の減衰が大きいため、伝送媒体には不向きであり、無線での通信手段は一般的に音波通信305に限られる。しかしながら、光や電磁波と比較し、通信で用いる音波は低周波かつ狭帯域であるため、通信速度に多大な制限があり、水中無人航走体308の海底探査の結果をリアルタイムですべて転送することは不可能である。そのため、必要な情報を高速に、かつ伝送可能容量内で通信できる技術の開発が課題である。本発明において、ソーナーの種類を問わず1ピングないし少数ピングのソーナー信号のみから機雷などの目標物信号を高精度で検出する手法を提供することにより、調査結果の通信データ量を削減し、母船の安全を確かなものとする。
【0022】
図4は本発明の最適な実施例の一つであり、本発明で実現するソーナー内部のブロック図を説明するものである。
【0023】
ソーナーには外部に音波を送信する送信部400と海底面や物体からの反射波を受信する受信部401と受信された信号から逐次音波画像を生成する信号処理部402と、信号処理部の処理結果に基づく音波撮影画像(ソーナー画像)を逐次記録する画像メモリ部403および表示する画像表示部404と、CAD機能を持つ目標物自動検出部405と、受信信号の中から目標信号が有ったピングを記録する判定結果メモリ部408を具備する。以上の構成は、例えばCAD(自動検出)機能を備えたソーナーとして一般的な構成であり、本発明の実施例の基盤となる構成である。
【0024】
送信部400・受信部401としてはPZT(ジルコン酸チタン酸鉛)などの圧電体に整合層およびバッキング材を付与した超音波トランスデューサーを送波器・受波器もしくはそれらが一体となった送受波器として具備する形態が一般的である。
【0025】
ソーナーでの一般的な信号処理として信号処理部では、A/D変換後の信号に対して、例えば図5に示すように速度補正、斜距離補正、動揺補正、包絡線検波などの処理が行われる。処理の順は図5に示す順である必要はなく、また、ビームフォーミングやスキャンコンバータ、バンドパスフィルタなど他の信号処理があってもよいし、これらの組み合わせであってもよい。また、音波画像の生成アルゴリズムとして合成開口(Synthetic Aperture)方式などを用いても構わない。すなわち、信号処理部は、最終的に信号処理された受信信号を時系列で切り出し、輝度で表された音波画像を生成するという目的を達していればいかなる処理を内部で行っていても構わない。
【0026】
本発明における目標物自動検出部405は、受信信号をあらかじめ設定された数の複数の周波数成分に分解する周波数分解手段を備えた分解部406と、分解された周波数成分から閾値処理によって目標エコー有無の判別に用いる成分を抽出する抽出部407と、その抽出結果に対してさらに閾値処理を行い、対応する受信信号中に目標エコーが存在するか否かを最終的に判定する判定部408を有する。また、図5に示すように分解部へ送られる信号は、信号処理部の前段の信号504でも、信号処理部の後段の信号505でも、信号処理部のいかなる処理途中の信号506でも構わない。
【0027】
図4における分解部406は、目標物エコーが含まれる入力信号の中から、クラッタ、残響などの不要信号を分ける働きをする。入力信号そのものを用いるよりも、クラッタ、残響などの不要信号が除かれた信号を用いたほうが、目標物エコーの検出確率が高まる。周波数分解手段は、短時間フーリエ変換、ウィグナー分布、チョイ−ウィリアムス分布、離散ウェーブレット変換、ウェーブレットパケット変換、帯域通過型フィルタを用いたフィルタバンクにて信号をいくつかの周波数帯域に分解するサブバンド符号化等のいずれかの周波数分解手段を用いることを特徴とする。
【0028】
抽出部407では、分解部406で分解されたサブバンドに対して、各々閾値処理を行い、目標物エコー成分が含まれる確率が高いサブバンドを抽出する。抽出したサブバンドの中に目標物エコーが含まれていたか否かの最終判定は、判定部408にて行われる。
【0029】
本発明における調整部411は、周波数分解手段の処理方法、分解するサブバンドの数、分解されたサブバンドの中から目標エコー成分が含まれる確率が高いサブバンドを手動で抽出する、ことのいずれか一つ、あるいはこれらの組み合わせを設定する。設定値は、選択指示部410により命令信号が送られるが、選択指示部は、筐体本体にあってもよいし、キーボードなど外部入力装置であってもよい。
【0030】
図6は本発明における画像表示部404の具体的な実施例の一つを示すものである。本実施例は、水中無人航走体本体あるいは外部筐体に設けられた表示例および操作部の一例を説明するものである。外部筐体は、例えば母船ないし有人水上航走体などに装備されている。画像表示部404としては、ソーナー画像が表示できる機器であればいかなる形態であってもよい。表示部の画面には信号処理部で生成されたソーナー画像がソーナー画像表示部604に表示される。またソーナー画像中には対象物を含めた海底面や水中が描出され、ソーナーの移動に伴って逐次更新される。また、判定部408にて、目標物体有りと判定された結果をソーナー画像に併せて画像表示部404に表示することも、本発明の最適な実施例の一つである。
【0031】
図6は、ソーナー画像表示部604に、判定部408より物体601と物体602が検出されたときの検出結果を示したときの実施例を示している。ここでは、物体601と物体602が共に機雷であると判定され、検出結果が四角破線603でソーナー画像中に指示されている。判定結果の指示の形態は、画像の他の部分と機雷の領域が明示的に判別できていればいかなる形態をとってもよく、四角破線603で囲む形態のほか、丸で囲む形、機雷領域が点滅する形などいかなる形態であっても良い。
【0032】
さらに例えば、判定部408によって「物体601が存在する確率が80%、物体602が存在する確率が60%である」と判定された結果を追加表示してもよい。その他、物体601が高確率の割合で機雷であると判定された結果をAマークで、また物体602が中確率の割合で機雷であると判定された結果をBマークで表示するようなマークによる表記であってもよいし、目標物体の存在確率を異なる図形や異なる色で囲んでもよい。
【0033】
また、本発明における画像表示部404は、信号表示部605を備えてもよい。信号表示部605にて表示される信号は、ソーナー画像を構成する信号群、入力信号が分解部406によって分解された各々のサブバンド、サブバンドを係数処理し、再構成した後の信号など、本発明におけるいかなる処理途中の信号であってもよい。
【0034】
さらに、本発明における画像表示部404は、調整部411の各パラメータを指示する選択指示部606、および選択指示部の指示結果を表示する選択結果表示部607が具備されている。ただし、調整部411の各パラメータは装置内部であらかじめ設定された値を用いてもよい。図6では、例えば、周波数分解手段、分解数(分解レベル)、判定部へ送るサブバンドを設定するための選択指示部が3つ具備されており、周波数分解手段としてウェーブレットパケット変換、分解レベルとして3(この場合、分解数は2=8)、判定部へ送るサブバンドを手動で選ぶモードに設定し、押ボタン607にて2つのサブバンドを選択している例を示している。選択指示部606や、押ボタン607は、図6に表示されているものに限らず、同様の機能を果たすものであればいかなる形態をとっても構わない。また、画像表示部404に具備されていなくとも、キーボードなど外部入力装置で指示命令を調整部411へ送る形態などでもよい。
【0035】
以上、本発明の基本的な原理と基本構造の実施例について説明を行ったが、以下具体的なソーナーの形態における実施例を中心に説明を行う。
【0036】
図7は、本発明の目標自動検出部405の基本アルゴリズムを説明する図である。目標自動検出部405に含まれる分解部406は、周波数分解手段を有する。周波数成分分解部に用いられる手法は、あらかじめ設定しておいてもよいし、選択指示部410にて手動で選択しても構わない。尚、図7実施形態では、周波数分解手段としてウェーブレットパケット変換(以下、「WPT」とも言う)を施すことで、各周波数帯の周波数係数(ウェーブレット変換係数)を取得しているが、これに限られることはなく、例えば、短時間フーリエ変換、ウィグナー分布、チョイ−ウィリアムス分布、離散ウェーブレット変換、帯域通過型フィルタを用いたフィルタバンクにて信号をいくつかの周波数帯域に分解するサブバンド符号化等でもよい。WPTに関しては、その詳細が公知なため、ここでは説明を簡略する。
【0037】
WPT処理部700では、得られた受信信号をWPTすることによって、信号を2のべき乗個に分解する。図8は、WPTによる信号の分割を説明する図である。多くの信号にとって、低周波成分は信号に個性を与え、高周波成分は信号に特徴を与えるものである。このことから、ウェーブレット解析において、スケーリング係数とウェーブレット展開係数という言葉が使われる。スケーリング係数は近似成分を意味し信号の低周波成分を、ウェーブレット展開係数は詳細成分を意味し信号の高周波成分を表す。ここで、信号をスケーリング関数で近似することを考える。近似の精度をレベルと呼び、レベル0が最も精度の高い近似となる。レベルが大きくなるに従い、荒い近似となる。
【0038】
ウェーブレットパケット分解は以下の手順で行われる。各々の分解レベルで,ローパスフィルタ801とハイパスフィルタ802が,スケーリング関数とウェーブレット展開係数に適用される。すべての分解のステージでフィルタリングされた成分(系数列)は,保存される。ウェーブレット展開係数を分解するときは,ローパスフィルタ801とハイパスフィルタ802を逆に適用する。つまり,ハイパスフィルタ802を通った次のウェーブレット展開係数が前にきて,ローパスフィルタ801を通過したスケーリング係数が後にくるように,逆転して成分が配置される。例えば、図8(b)はレベル2の1次元WPTで得られるサブバンドを示した例であり、入力信号のローパスフィルタ801適用後のサブバンドをL803、ハイパスフィルタ適用後のサブバンドをH804と表記しており、さらに、サブバンドL803のローパスフィルタ801を適用後のサブバンドをLL805、ハイパスフィルタ802適用後のサブバンドをHL806と表記している。レベル2の場合、最終的に信号は、4つのサブバンドLL805、HL806、HH807、LH808等に分解される。また、図8(c)は、1次元WPT処理で得られる、レベル3の変換係数群をフーリエ変換し、周波数順に並べた模式図を示したものである。
【0039】
上述のように、分解部406ではWPTのような周波数分解が行われる。
【0040】
次に、WPT処理部700で得られたサブバンドに対して、それぞれのサブバンド毎に任意の閾値を設定し、閾値処理を行う。サブバンド閾値処理部701での閾値の設定方法としては、任意の方法で適用可能であるが、例えば、WPTの分解レベルに応じて経験的に求めた定数を設定する方法、或いは、各成分の平均値や、分散値などの統計量を基づき自動で決定する方法が挙げられる。いかなる方法にせよ、前記設定閾値に基づいて、全サブバンドに対し閾値処理を施す。
【0041】
次に、処理対象サブバンド決定部702にて、閾値処理で閾値以下だったサブバンドの係数をすべて0に置換し、閾値超だったサブバンドのみが、係数変換処理部703にてあらかじめ設定した方法により処理される。具体的に例えば、係数変換処理としては、まずサブバンド係数の最大値と最小値の差分をとった後2のべき乗で除算した値Aを求め、サブバンドの各係数に対してAで除算し、最も近い整数値に丸め込んだ後、再びAを乗算する方法がある。また、サブバンドの各係数が全パワーに占める比率を計算し、上位の係数値のみ残し、下位の係数値を0に置換する方法がある。本発明における係数変換処理は、これらの方法に限らず、他の処理を行ってもよい。
【0042】
次に、処理対象サブバンド決定部702にて、係数が0に置換されたサブバンド、および係数変換処理部に703にて係数変換処理が行われたサブバンドは、逆ウェーブレットパケット変換(以下、「逆WPT」とも言う)部704に送られ、信号の再構成が行われる。逆WPTの詳細は、公知であるため、ここでは説明を省略する。
【0043】
図7に再構成前の信号705と、係数変換処理が行われ再構成された信号706の一例を示す。再構成後の信号705は、元の再構成前の信号から目標エコー成分のみを抽出した形で再構成されている。
【0044】
以上が本発明における目標自動検出部405の基本アルゴリズムであり、信号に対して、周波数成分分解処理を行い、各サブバンドに対して、目標エコーが含まれるか否かを一時的に判定するため閾値処理を行い、次に、これらの閾値処理結果に基づいて、所定のサブバンドに対し係数変換処理を行い、そして、係数変換されたすべてのサブバンドを用いて逆変換を行い、元の信号から目標エコーのみを抽出した信号を生成する。
【0045】
図9は、本発明における切り出し部900と直列部901の効果を説明するとともに、最適な実施例の一つを説明する図である。
【0046】
受信信号には画像情報ではないヘッダなども含まれるため、切り出し部900にて、逐次得られる受信信号の中から、画像に関わる部分のみを切り出す。切り出された1ピングは、WPT部700へ送られる。あるいは、切り出し部900にて切り出された各ピングを、時系列に並べる直列部901へ送られる。直列部901で繋げる信号の数は、あらかじめ設定した数でもよいし、選択指示部4110で選択した数でもよい。
【0047】
また、図10に示すように、切り出し部900へ送られる信号は、信号処理部の前段の信号1001でも、信号処理部のいかなる処理途中の信号1002でも構わないが、信号処理部の後段1000の信号が望ましい。
【0048】
また、切り出し部900では、1ピングの複数個に分割してもよい。切り出し部900によって切り出す信号のサンプル数を変化させることは、規格化周波数に対応する物理的な実空間の時間周波数を変化させることに対応している。
【0049】
図9(b)、(c)、(d)にて、本発明における直列部の効果を説明する。これらは、例として7本のピングを並べたものであり、図9(b)は信号処理後の波形をならべたもの902、図9(c)は7本のピングを1ピングずつ目標自動検出部へ送り、1ピングずつ再構成した波形を並べたもの903、図9(d)は7本のピングを直列部にて時系列に並べ目標自動検出部へ送り、再構成した波形を分解して並べたもの904である。7本のピングは、1本のピングの中にも目標物エコーが含まれるものも含まれないものもある。1ピングずつ処理したものは、図7(b)の例と同様であるが、直列部にて7本のピングを一つにまとめたものは、目標エコーが含まれないピングが0に置換されて出力される。これは、視認性を向上させる効果があるため、最終的に目標物の検出能を向上させることが可能となる。
【0050】
図11は、本発明における積分部と逆数変換部の効果を説明するとともに、最適な実施例の一つを説明する図である。
【0051】
目標自動検出部405において、逆WPT部の後段に、積分部1100と逆数変換部1101を備える構成となっている。
【0052】
入力信号は、信号処理部402内部の包絡線検波処理によって、信号の振幅値はすべて正の値となる。また、処理対象サブバンドを手動で、最低周波数のサブバンドを用いた場合、最低周波数のサブバンドの各係数もすべて正の値となる。例えば、図11(b)に目標物エコーが含まれる信号の最低周波サブバンド1102と、図11(c)に目標物エコーが含まれない信号の最低周波数サブバンド1103の一例を示す。図11(d)は、目標物エコーが含まれる場合の最低周波サブバンド1102に対して、係数変換処理として、上述のサブバンド係数の最大値と最小値の差分をとった後2のべき乗で除算した値Aを求め、サブバンドの各係数に対してAで除算し、最も近い整数値に丸め込んだ後、再びAを乗算した場合における再構成波形1104の一例である。図11(e)は、目標物エコーが含まれない信号の最低周波数サブバンド1103に対して同様の係数変換処理を行い、再構成した波形1106の一例である。
【0053】
目標物エコーが含まれる信号の場合、再構成波形では、目標物エコー以外の振幅値は0となるので、再構成前の信号の積分値よりも、再構成後の波形の積分値1105は小さくなる。目標物エコーが含まれない信号の場合,再構成後の波形の積分値1107は、目標物エコーが含まれる信号の場合のそれ1105よりも大きくなる。ゆえに、これらの積分値が逆数変換部1101へ送られると、目標物エコーが含まれる信号の場合は大きい値が判定部408へ出力され、目標物エコーが含まれない信号の場合は小さい値が判定部408へ出力される。これらの値の大小の比較により、元の信号に対して閾値処理を行うことよりも、高検出能かつ低誤り率で目標物有無の判定を行うことが可能となる。
【0054】
また、図12に示すように、本発明におけるさらに好適な実施例として、直列部901と、積分部1100および逆数変換部1101は、同時に使用しても構わない。これにより、図9で説明した直列部901の検出能向上の効果に加え、図11で説明した積分部1100と逆数変換部1101による検出能向上かつ低誤り率の効果が得られる。
【0055】
図13は、本発明における水中音響モデム1300と送信選択部1301を説明するとともに、最適な実施例の一つを説明する図である。
【0056】
本発明における水中音波撮像装置は、例えば、無人水中航走体1300に装置されており、外部筐体と音波によって通信を行う水中音響モデム1301と、送信する信号を選択する送信選択部1302を備える。外部筐体は、例えば母船ないし有人水上航走体1304などに装備されている。無人水中航走体1300や、外部ないし有人水上航走体1304は、GPS機能を備えてもよい。
【0057】
無人水中航走体1300に装備された水中音響モデム1301によって送信される信号1303は、目標物自動検出部405で目標物有りと判定された一次元ラスタ信号、もしくは目標物を含む一次元ラスタ信号、もしくは目標物を含む一次元ラスタ信号とその前後いくつかのラスタ信号、もしくは目標物信号の最大値の周囲M×M(Mは自然数)ピクセルの二次元信号、もしくは目標物信号の経緯度、もしくは目標物の有無を1、0として表したデジタル情報、のいずれか一つ、あるいはこれらの組み合わせでよく、送信選択部1302にあらかじめ設定されていてもよい。送信された情報は、母船ないし有人水上航走体1304に装備された水中音響モデム1305で受信され、メモリ部1306、画像表示部404へ送られる。
【0058】
また、無人水中航走体1300に装備された水中音響モデム1301によって受信される信号1303は、外部筐体中にある選択指示部409による指示命令であり、指示命令としては、送信選択部1302にて送信する信号を選択する指示命令、もしくは調整部410へ送られる指示命令のいずれか、あるいはこれらの組み合わせでよい。
【0059】
本発明における目標物自動検出部405にて高検出能かつ低誤り率で目標物を検出し、さらに送信する信号を送信選択部1302にて選択することにより、通信データ量をリアルタイムで伝送可能な容量内に抑えることが可能となる。これにより、母船ないし有人水上航走体1304の進行方向の水路に機雷が存在していない、という確認がリアルタイムで行われ、母船ないし有人水上航走体1304が安全に移動することが可能となる。
【0060】
最後に、図14を用いて、本発明における最適な実施例の一つを説明する。
【0061】
本発明における水中音波撮像装置は、例えば、無人水中航走体1300に装置されており、外部筐体と音波によって通信を行う水中音響モデム1301と、送信する信号を選択する送信選択部1302を備える。外部筐体は、例えば無人水上航走体1400などに装備されている。無人水上航走体1400は、電磁波通信を行える無線モデムを装備しており、例えば人が存在する母船1403が持つ無線モデム1404と相互通信を行う。無人水中航走体1300や、無人水上航走体1400、母船1403は、GPS機能を備えてもよい。
【0062】
無人水中航走体1300に装備された水中音響モデム1301によって送信される信号1303は、目標物自動検出部405で目標物有りと判定された一次元ラスタ信号、もしくは目標物を含む一次元ラスタ信号、もしくは目標物を含む一次元ラスタ信号とその前後いくつかのラスタ信号、もしくは目標物信号の最大値の周囲M×M(Mは自然数)ピクセルの二次元信号、もしくは目標物信号の経緯度、もしくは目標物の有無を1、0として表したデジタル情報、のいずれか一つ、あるいはこれらの組み合わせでよく、送信選択部1302にあらかじめ設定されていてもよい。送信された情報は、無人水上航走体1400に装備された水中音響モデム1305で受信され、メモリ部1306、無線モデム1402へ送られ、さらに、母船1403に装備された無線モデム1404へ送られる。
【0063】
また、無人水中航走体1300に装備された水中音響モデム1301によって受信される信号1303は、母船1403にある選択指示部409による指示命令であり、指示命令は母船1403の無線モデム1404、無人水上航走体1400の無線モデム、水中音響モデム1305を介して、無人水中航走体1300の水中音響モデム1301、送信選択部1302へ送られる。指示命令としては、送信選択部1302にて送信する信号を選択する指示命令、もしくは調整部410へ送られる指示命令のいずれか、あるいはこれらの組み合わせでよい。
【0064】
図14での実施例では、図13の実施例よりも機雷と人との物理的距離が長くなるため、より安全性の高い機雷掃海を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0065】
400 送信部
401 受信部
402 信号処理部
403 画像メモリ部
404 画像表示部
405 目標物自動検出部
406 分解部
407 抽出部
408 判定部
409 判定結果メモリ部
410 選択指示部
411 調整部
500 速度補正
501 斜距離補正
502 動揺補正
503 包絡線検波
504 信号処理部の前段の信号
505 信号処理部の後段の信号
505 信号処理部の処理途中の信号
601 ソーナー画面上の表示例
602 ソーナー画面上の表示例
603 検出結果の指示
604 ソーナー画像表示部
605 信号表示部
606 選択指示部
607 選択結果表示部
700 ウェーブレットパケット変換処理部
701 サブバンド閾値処理部
702 処理対象サブバンド決定部
703 係数変換処理部
704 逆ウェーブレットパケット変換部
705 ウェーブレットパケット変換前の信号
706 逆ウェーブレットパケット変換後の信号
801 ローパスフィルタ
802 ハイパスフィルタ
803 低周波サブバンド
804 高周波サブバンド
805 最低周波サブバンド
806 中低周波サブバンド
807 最高周波サブバンド
808 中高周波サブバンド
809 周波数成分に分解された図
900 切り出し部
901 直列部
902 ウェーブレットパケット変換前の複数信号
903 1ピングずつ逆ウェーブレットパケット変換した後の複数信号
904 複数まとめて逆ウェーブレットパケット変換した後の複数信号
1000 信号処理部の後段の信号
1001 信号処理部の前段の信号
1002 信号処理部の処理途中の信号
1100 積分部
1101 逆数変換部
1102 目標信号を含むウェーブレットパケット変換前の信号
1103 目標信号を含まないウェーブレットパケット変換前の信号
1104 目標信号を含むウェーブレットパケット変換後の信号
1105 積分
1106 目標信号を含まないウェーブレットパケット変換後の信号
1107 積分
1300 無人水中航走体
1301 水中音響モデム
1302 送信選択部
1303 通信用音波
1304 母船ないし有人水上航走体
1305 水中音響モデム
1306 メモリ部
1400 無人水上航走体
1401 メモリ部
1402 無線モデム
1403 母船
1404 無線モデム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中もしくは水上を航走する移動体に取り付けられており、水底に向けて音波を送信する送信部と、送信された音波が、少しずつ送波音波の投影面を異にした水底面からの反射音波を逐次受信する受信部と、受信した信号を処理し、逐次画像信号を生成する信号処理部と、前記信号処理部の処理結果をメモリに保存する画像メモリ部と、信号処理結果に基づく音波画像を逐次表示する画像表示部と、
更に、逐次受信された受信信号、あるいは信号処理部での処理途中の信号、あるいは信号処理部により逐次生成された画像信号を、あらかじめ設定された数の複数の周波数成分に分解する周波数分解手段を備えた分解部と、分解された周波数成分から閾値処理によって目標エコー有無の判別に用いる成分を抽出する抽出部と、その抽出結果に対してさらに閾値処理を行い、対応する受信信号中に目標エコーが存在するか否かを判定する判定部から構成される目標物自動検出部と、前記目標物自動検出部の結果をメモリに保存する検出結果メモリ部を備えたことを特徴とする水中音波撮像装置。
【請求項2】
前記目標物自動検出部は、前記分解部の前段に、時系列に並んだ複数の送受信に対応する受信信号あるいはその一部を、もしくは対応する信号処理後の信号あるいはその一部を、あらかじめ設定した値で切り出す切り出し部と、切り出された信号の一部を時系列に繋げる直列部を有することを特徴とする請求項1に記載の水中音波撮像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の水中音波撮像装置において、前記判定部に送られる信号は、前記分解部で分解された複数の周波数成分の一部、あるいは、分解された信号の周波数逆変換処理された後の信号であることを特徴とする、水中音波撮像装置。
【請求項4】
水中もしくは水上を航走する移動体に取り付けられており、水底に向けて音波を送信する送信部と、送信された音波が、少しずつ送波音波の投影面を異にした水底面からの反射音波を逐次受信する受信部と、受信した信号を処理し、逐次画像信号を生成する信号処理部と、前記信号処理部の処理結果をメモリに保存する画像メモリ部と、信号処理結果に基づく音波画像を逐次表示する画像表示部を備え、
更に、逐次受信された受信信号、あるいは信号処理部での処理途中の信号、あるいは信号処理部により逐次生成された画像信号を、あらかじめ設定された数の複数の周波数成分に分解する周波数分解手段を備えた分解部と、分解された周波数成分から閾値処理によって目標エコー有無の判別に用いる成分を抽出する抽出部と、分解された信号を逆変換しその値を積分する積分部と、積分した結果の逆数値を求める逆数変換部を有し、逆数変換後の値を用いて目標エコーの有無を判定する判定部から構成される目標物自動検出部と、前記目標物自動検出部の結果をメモリに保存する検出結果メモリ部を備えた水中音波撮像装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の目標物自動検出部において、前記抽出部の後段に請求項3に記載の積分部と逆数変換部を有する目標物自動検出部を備えた水中音波撮像装置。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれかに記載の水中音波撮像装置において、前記切り出し部は、前記信号処理部の後段にあることを特徴とする水中音波撮像装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の水中音波撮像装置において、前記周波数分解手段は、短時間フーリエ変換、ウィグナー分布、チョイ−ウィリアムス分布、離散ウェーブレット変換、ウェーブレットパケット変換の少なくとも一つの変換方法を使用することを特徴とする水中音波撮像装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の水中音波撮像装置において、前記周波数分解手段の処理方法を設定する調整部、もしくは周波数成分に分解する数を設定する調整部、もしくは分解後において目標エコー有無の判別に用いる周波数成分を設定する調整部、直列部で繋げる信号の数を設定する調整部のいずれか一つ、あるいは複数組み合わせた調整部を備えることを特徴とする水中音波撮像装置。
【請求項9】
請求項8に記載の水中音波撮像装置において、前記調整部の値を指示する選択指示部を備えることを特徴とした水中音波撮像装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の水中音波撮像装置において、前記判定部で目標信号が存在すると判定された一次元ラスタ信号、もしくは一次元ラスタ信号を含む周囲の信号、もしくは目標信号が存在するか否かという情報のいずれかもしくは複数の組み合わせを送信する水中音響モデムを備えることを特徴とする水中音波撮像装置。
【請求項11】
請求項10に記載の水中音波撮像装置において、前記水中音響モデムから送信される送信信号として、目標物を含む一次元ラスタ信号、目標物を含む一次元ラスタ信号とその前後いくつかのラスタ信号、目標物信号の最大値の周囲M×M(Mは自然数)ピクセルの二次元信号、目標物信号の経緯度、目標物の有無を1、0として表したデジタル情報、のいずれか一つ、あるいはこれらの組み合わせを選択する送信選択部を備えることを特徴とする水中音波撮像装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかに記載の水中音波撮像装置の外部の筐体に、請求項7に記載の調整部の値を外部から遠隔制御し、さらに、請求項10に記載の送信信号を選択する選択指示部を備えることを特徴とする水中音波撮像装置。

【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図11】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−98102(P2012−98102A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244914(P2010−244914)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】