説明

欠点検査方法およびそれを用いた光学フィルムの製造方法

【課題】光学フィルムの欠点検査において、離型フィルムの一部を残して剥離して欠点検査を行なう場合に、離型フィルムの剥離に際し、離型フィルムに粘着剤が付着したり、粘着剤表面が荒れることがないように構成した光学フィルムの欠点検査方法を提供することにある。
【解決手段】リーダー部材を離型フィルムの端部分に貼着し、当該リーダー部材を当該離型フィルムに設けるリーダー部材貼着処理と、リーダー部材を当該離型フィルムの端部分方向に折り返すリーダー部材折返し処理と、離型フィルムを粘着剤層から剥離するように、折り返したリーダー部材と光学フィルムおよび粘着剤層とを相対的に移動させ、離型フィルムの端面部分が粘着剤層から剥離開始以後、所定位置まで連続して、当該離型フィルムを当該粘着剤層から剥離する離型フィルム剥離処理と、剥離された所定領域を欠点検査する欠点検査処理とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学表示装置の部材である光学フィルムを少なくとも有する枚葉のシート状製品の欠点を検査する欠点検査方法およびそれを用いた光学フィルムの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光学フィルム製造メーカーでは、光学フィルム部材を有する帯状のシート状製品をロールに巻き取るようにして連続して又は各工程ごとに別製造ラインで製造している。そして、この帯状のシート状製品は、最終的に組み込まれる例えば液晶表示装置等のサイズに合わせ、枚葉のシート状製品に切断される。シート状製品としては、例えば、液晶表示装置に組み込まれる偏光板、位相差板、偏光板と位相差板の積層フィルム等がある。
【0003】
このシート状製品は、光学表示ユニットと貼り合わされるために、予めシート状製品に粘着剤層が形成され、さらに、粘着剤層の保護用に離型フィルム(セパレータと称することがある)が形成されている。
【0004】
図7の積層構造の偏光板を有するシート状製品の製造工程の従来例を以下に説明する。まず、前工程として、(A)偏光子を得る工程。ここでは、染色・架橋及び延伸処理を施したポリビニルアルコール(PVA)フィルムを乾燥して偏光子を得る。(B)偏光板を製造する工程。ここでは、偏光子の両面に接着剤を介してトリアセチルセルロース(TAC)フィルムを貼り合わせ偏光子保護層を積層し、乾燥して偏光板を製造する。ここで図面では上に積層されるTACフィルムにはアンチグレア処理が予め施されている。(C)セパレータ及び保護フィルムを貼り合わせる工程。偏光板の一方の面(図面では下側)に強粘着剤を介してセパレータを、もう一方の面(図面では上側)に弱粘着剤を介して保護フィルムを貼り合わせる。ここで、セパレータには予め強粘着剤が塗工され、保護フィルムには弱粘着剤が塗工されている。セパレータに塗工された強粘着剤は、セパレータを剥離後、TACフィルムに転写される。また、保護フィルムに塗工された弱粘着剤は、保護フィルムを剥離しても保護フィルムに形成されたままであり、TACフィルムに実質的に転写されない。以上の前工程では、帯状のシート状製品が製造され、ロール状に巻き取られる。(d)枚葉製品の製造工程。ロール状に巻かれた帯状のシート状製品を繰り出し、所定のサイズに切断して枚葉のシート状製品を製造する。なお、ロール状に巻き取らずに、所定サイズに切断する方法もある。切断方法としては、例えば、定尺切断、連続打ち抜き等が挙げられる。
【0005】
上記のように製造された枚葉のシート状製品は、所定の品質検査が行なわれる。例えば、シート状製品の構成部材である偏光板の欠点検査がある。光学特性の品質上の観点から偏光板の欠点検査は重要であるが、偏光板にはセパレータが貼着された状態であり、セパレータを介して偏光板の欠点検査を行なうと、セパレータ自体の位相差(部分的に異なり一定していない位相差)によって、偏光板の光学特性あるいは欠点検査を正確かつ精度良く行なえないという問題がある。
【0006】
そこで、従来から、偏光板の欠点検査の前にシート状製品からセパレータを全て剥離し、欠点検査後に、再度、セパレータを再貼り合せしていた。この再貼り合せに際しては、剥離されたセパレータを再利用するのではなく、シート状製品のサイズよりも大きいサイズの新しいセパレータを粘着剤層を介して偏光板に貼着していた。再貼り合わせ用のセパレータのサイズをシート状製品のサイズよりも大きくしている理由としては、それらの端面同士を精度良く合わせることが困難であること、また、セパレータは光学表示ユニットに組み込まれる際に剥離されるものであるため、それら端面同士を精度良く合わせる必要がないこと、それら端面同士を合わせるために貼り合わせ作業コストが高くなるのみで、メリットが少ないこと等が挙げられる。
【0007】
セパレータを剥離する方法としては、下記特許文献1〜3が例示される。特許文献1は、ステージに固定した偏光板のセパレータに粘着ローラを圧着して接着し、粘着ローラとステージとの相対的移動により、粘着ローラによってセパレータを巻き取りながら剥離させる構成である。しかしながらこの構成の場合、剥離作用において、セパレータが粘着ローラに対し法線方向(垂直方向)に粘着力が働くため、セパレータ(特にその端面)を粘着剤から剥離させるためには大きな剥離力(剥離させるための力)が必要である(後述にて詳述する)。しかし、剥離力が大きいと、セパレータ端面の剥離の際に、セパレータに粘着剤が付着したり、粘着剤の表面が荒れたり(例えば、平坦性が損なわれた状態、凹凸状態、筋状跡の状態等)して、光学特性の品質上好ましくない。また、この構成の場合、装置が複雑であり、また、粘着ローラの粘着力のバラツキから剥離ミスの問題がある。そして、特許文献1は、セパレータを完全に剥離した後にセパレータを偏光板に再度貼り合せる必要がなく、セパレータ剥離後の偏光板を液晶パネルに貼り付ける構成である。
【0008】
また、特許文献2は、上述の特許文献1の改良であり、セパレータと偏光板の剥離の際に、剥離刀を用いてセパレータを粘着剤から剥離させる構成である。この構成の場合、剥離刀の位置を正確にかつ高精度に位置決めする必要があり、位置決め精度が悪いと粘着剤がセパレータに付着したり、粘着剤表面を荒らすことになる。また、この構成の場合、装置が複雑でありコストの観点から好ましくない。また、特許文献2は、特許文献1と同様に、セパレータを完全に剥離した後にセパレータを偏光板に再度貼り合せる必要がなく、セパレータ剥離後の偏光板を液晶パネルに貼り付ける構成である。
【0009】
また、特許文献3は、偏光板の検査に際し、偏光板の一方表面に設けられた離型シートを非検査領域である一部のみを残して除去し、偏光板の他方表面に設けられた保護シートを捲り上げ治具の先端部の挟持部で挟持させ、この捲り上げ治具により捲り上げさせて、偏光板に対し光を照射し、この透過光を撮像して欠点検査を行なう構成である。そして、検査後、捲り上げ治具により捲り上げられていた保護シートは、偏光板に再度貼着されることが記載されている。しかしながら、保護シート端部をどのようにして捲り上げ治具の挟持部で挟持させるのか具体的に記載がなく、また、保護シートを捲り上げ治具により捲り上げさせる具体的記載がなく、かつ図面では、捲り上げられた最後の状態のみが記載されているにすぎない。粘着剤に貼着された状態の保護シート端部を直接に挟持部で挟み込む場合、粘着剤が保護シートに付着することが予測される。そして、粘着剤が付着したまま捲り上げられた場合、粘着剤表面が荒れるという問題が生じる(例えば、平坦性が損なわれた状態、凹凸状態、粘着剤表面に筋状跡を生じさせる)。また、検査後に保護シートは偏光板に再度貼着されるが、離型シートは除去されたままであり、次の工程において、液晶パネルに貼り合わされることが記載されている。
【0010】
また、近年の表示装置の高品質、高画質化の要請から、粘着剤層表面状態の影響による光学特性の劣化を改善することが必要である。
【0011】
【特許文献1】特開平5−273508号公報
【特許文献2】特開平10−115827号公報
【特許文献3】特開2005−134573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、光学フィルムの欠点検査において、離型フィルムの一部を残して剥離して欠点検査を行なう場合に、離型フィルムの剥離に際し、離型フィルムに粘着剤が付着したり、粘着剤表面が荒れることがないように構成した光学フィルムの欠点検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、光学フィルムから粘着剤の付着や粘着剤表面の荒れが生じない、離型フィルムの剥離方法を見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0014】
本発明の欠点検査方法は、粘着剤層を介して離型フィルムが少なくとも貼着された光学フィルムの欠点を検査する欠点検査方法であって、
リーダー部材の一方部分を前記離型フィルムの端部分に貼着し、当該リーダー部材の他方部分を当該端部分から外側に延設されるように当該リーダー部材を当該離型フィルムに設けるリーダー部材貼着処理と、
前記離型フィルムの端部分から外側に延設されたリーダー部材の他方部分を当該離型フィルムの端部分方向に折り返すリーダー部材折返し処理と、
前記離型フィルムを前記粘着剤層から剥離するように、前記折り返したリーダー部材と前記光学フィルムおよび粘着剤層とを相対的に移動させ、
前記離型フィルムの端面部分が前記粘着剤層から剥離開始以後、所定位置まで連続して、当該離型フィルムを当該粘着剤層から剥離する離型フィルム剥離処理と、
前記剥離された所定領域を欠点検査する欠点検査処理と、を有することを特徴とする。
【0015】
この構成による作用効果は以下のとおりである。本発明の光学フィルムは、所定サイズの枚葉のシート状品である。光学フィルムの一方面には粘着剤を介して離型フィルム(セパレータと称することがある)が少なくとも貼着され、その他方面には粘着剤を介して保護フィルムが貼着されている。リーダー部材は、離型フィルムに貼着され、離型フィルムの剥離するための先導として機能するものである。リーダー部材は予め粘着剤が塗工形成されていてもよく、離型フィルムに貼着する前に粘着剤をリーダー部材の貼着部分に塗工するように構成してもよい。
【0016】
このリーダー部材の一方部分(少なくとも粘着剤が形成されている部分を含む部分である)を離型フィルムの端部分に貼着し、当該リーダー部材の他方部分を当該端部分から外側に延設されるように当該リーダー部材を当該離型フィルムに設ける。この場合、光学フィルムは離型フィルム側の面とは反対面側で例えば固定手段によって固定されている。
【0017】
次いで、離型フィルムの端部分から外側に延設されたリーダー部材の他方部分を当該離型フィルムの端部分方向に折り返す。例えば、リーダー部材を挟持手段によって挟持し、挟持手段の向きを180度反転させるように折り返す折り返し手段で構成できる。リーダー部材を挟持手段で挟持する構成のため、離型フィルムを直接に挟持手段で挟持していないから、離型フィルムの変形や粘着剤の付着の心配がない。また、この折返しの際には、離型フィルムに必要以上の力が加わらないようにすることが重要であり、その結果として離型フィルムに粘着剤が付着しないようになる。
【0018】
次いで、離型フィルムを粘着剤層から剥離するように、折り返したリーダー部材と光学フィルムおよび粘着剤層とを相対的に移動させる。折り返したリーダー部材を挟持手段で固定させ、光学フィルムを移動させるように構成でき、また、逆に、光学フィルムを固定し、挟持手段を移動させることで折り返したリーダー部材を移動させるように構成でき、または、両方がお互いに反対方向に移動するように構成することもできる。
【0019】
次いで、離型フィルムの端面部分が粘着剤層から剥離開始以後、所定位置まで連続して、当該離型フィルムを当該粘着剤層から剥離する。「所定位置」は、非欠点検査領域内の位置、最終的に切断される位置、表示装置ユニットに組み込まれない位置、および/または表示機能に影響しない位置である。離型フィルムの端面部分が粘着剤層から剥離開始以後、所定位置まで連続して移動させることで、離型フィルムに粘着剤が付着することがなく、また移動の途中で停止しないため、この停止または再移動による粘着剤の付着が生じることがなく、さらに、粘着剤層表面の荒れが生じない。
【0020】
次いで、剥離された所定領域(欠点検査に必要な領域)を欠点検査する。粘着剤層表面の荒れが生じないため、欠点検査を高精度に行なえる。欠点検査において良品判定された場合、剥離された離型フィルムを再度貼り直して枚葉のシート状品の状態にし、次いでその4辺の端面を保護するために端面保護処理を施し、所定枚数単位に梱包する。
【0021】
また、本発明の欠点検査方法において、欠点検査の後に、剥離した離型フィルムを、テンションコントロール下で粘着剤層を介して光学フィルムに貼着する貼着処理を、さらに有することを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、欠点検査の後に、剥離した離型フィルムを、テンションコントロール下で粘着剤層を介して光学フィルムに貼着することができるため、貼着による粘着剤の荒れや、粘着剤のはみ出しも生じない。また、離型フィルムにテンションコントロールがなされているため、貼り合わせ後のシート状製品が湾曲(カールと称することがある)することがなく、この湾曲による光学特性(例えば位相差値)の変化を抑制できる。テンションコントロールは公知の手段で構成できる。また、離型フィルムの貼着に際し、離型フィルムと光学フィルムとの圧接およびテンションコントロールのためにローラを離型フィルムの押さえとして用いる構成が例示できる。
【0023】
また、本発明の欠点検査方法において、リーダー部材は、離型フィルムより反り返りが大きいことを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、リーダー部材が離型フィルムより反り返りが大きいために、リーダー部材を折り返した際に、離型フィルム(特にその端部分)に余分な圧力を加えることがなく、リーダー部材を180度方向に反転させて折り返しができ、この折返しの曲率を可能な限り小さくでき、離型フィルム端部の剥離方向を、光学フィルム面に対し90度(垂直方向)よりも広角に、例えば、180度に近づく方向に折り返し方向を設定でき、剥離方向を180度方向に設定できる。
【0025】
また、本発明の欠点検査方法において、離型フィルムの端面部分を粘着層から剥離する場合に、折り返したリーダー部材と光学フィルムとを平行または略平行に相対的に移動することを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、離型フィルム端部の剥離開示時の剥離方向およびそれ以後の剥離方向を、光学フィルム面に対し180度または略180度にできるため、粘着剤の付着や粘着剤表面の荒れが生じない。
【0027】
また、本発明の欠点検査方法において、相対的に移動させる速度が一定であることを特徴とする。
【0028】
また、本発明の欠点検査方法において、欠点検査は、検査領域に照射した光の反射光または透過光を測定することで行なわれる。
【0029】
また、本発明の欠点検査方法において、光学フィルムは、偏光子の片面もしくは両面に透明保護フィルムを積層した偏光板を有して構成されている。
【0030】
本発明において、「欠点」は、例えば、表面又は内部の汚れ、傷、異物をかみ込んだ打痕状のひねったような特殊状欠点(クニックと称されることがある)、気泡、異物等を意味している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0032】
<シート状品>
本発明において、光学フィルムの一例として偏光板について説明する。偏光板は、予め製造しておいたポリビニルアルコール系フィルム(偏光子)の表裏両面に例えばトリアセチルセルロースフィルム(透明の偏光子保護フィルム(偏光子保護層))を貼り合わせることで得ることができる。この多層構造とされた偏光板の表面あるいは内部に存在する欠点(キズ、異物、クニック、汚れなど)を検出する必要がある。これは、後述する検出手段によって検出される。
【0033】
枚葉の偏光板は、従来技術でも説明したが、(A)偏光子を得る工程、(B)偏光板を製造する工程、(C)セパレータ及び表面保護フィルムを貼り合わせる工程、(D)所定サイズの枚葉に切断する工程、を含む製造方法により製造される。
【0034】
ポリビニルアルコール系フィルムの染色、架橋、延伸の各処理は、別々に行う必要はなく同時に行ってもよく、また、各処理の順番も任意でよい。なお、ポリビニルアルコール系フィルムとして、膨潤処理を施したポリビニルアルコール系フィルムを用いてもよい。一般には、ポリビニルアルコール系フィルムを、ヨウ素や二色性色素を含む溶液に浸漬し、ヨウ素や二色性色素を吸着させて染色した後洗浄し、ホウ酸やホウ砂等を含む溶液中で延伸倍率3倍〜7倍で一軸延伸した後、乾燥する。ヨウ素や二色性色素を含む溶液中で延伸した後、ホウ酸やホウ砂等を含む溶液中でさらに延伸(二段延伸)した後、乾燥することにより、ヨウ素の配向が高くなり、偏光度特性が良くなるため、特に好ましい。
【0035】
上記のポリビニルアルコール系ポリマーとしては、例えば、酢酸ビニルを重合した後にケン化したものや、酢酸ビニルに少量の不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、カチオン性モノマー等の共重合可能なモノマーを共重合したもの、等が挙げられる。ポリビニルアルコール系ポリマーの平均重合度は、特に制限されず任意のものを使用することができるが、1000以上が好ましく、より好ましくは2000〜5000である。また、ポリビニルアルコール系ポリマーのケン化度は85モル%以上が好ましく、より好ましくは98〜100モル%である。
【0036】
製造される偏光子の厚さは、5〜80μmが一般的であるが、これに限定するものではなく、また、偏光子の厚さを調整する方法に関しても、特に限定するものではなく、テンター、ロール延伸や圧延等の通常の方法を用いることができる。
【0037】
偏光子とその保護層である透明の偏光子保護フィルムとの接着処理は、特に限定されるものではないが、例えば、ビニルアルコール系ポリマーからなる接着剤、あるいは、ホウ酸やホウ砂、グルタルアルデヒドやメラミン、シュウ酸などのビニルアルコール系ポリマーの水溶性架橋剤から少なくともなる接着剤等を介して行うことができる。かかる接着層は、水溶液の塗布乾燥層等として形成されるが、その水溶液の調製に際しては必要に応じて、他の添加剤や、酸等の触媒も配合することができる。
【0038】
偏光子の片側又は両側に設ける偏光子保護フィルムには、適宜な透明フィルムを用いることができる。中でも、透明性や機械的強度、熱安定性や水分遮蔽性等に優れるポリマーからなるフィルムが好ましく用いられる。そのポリマーとしては、トリアセチルセルロースの如きアセテート系樹脂、ポリカーボネイト系樹脂、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、液晶ポリマー等が挙げられる。フィルムは、キャスティング法、カレンダー法、押出し法のいずれで製造したものでもよい。
【0039】
また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、たとえば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。これらのフィルムは位相差が小さく、光弾性係数が小さいため偏光板の歪みによるムラなどの不具合を解消することができ、また透湿度が小さいため、加湿耐久性に優れる。
【0040】
また、偏光子保護フィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。したがって、Rth=[(nx+ny)/2−nz]・d(ただし、nx、nyはフィルム平面内の主屈折率、nzはフィルム厚方向の屈折率、dはフィルム厚みである)で表されるフィルム厚み方向の位相差値が−90nm〜+75nmである保護フィルムが好ましく用いられる。かかる厚み方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+75nmのものを使用することにより、保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)をほぼ解消することができる。厚み方向位相差値(Rth)は、さらに好ましくは−80nm〜+60nm、特に−70nm〜+45nmが好ましい。
【0041】
偏光特性や耐久性などの点から、トリアセチルセルロースの如きアセテート系樹脂が好ましく、特に表面をアルカリなどでケン化処理したトリアセチルセルロースフィルムが好ましい。
【0042】
偏光子保護フィルムの厚さは、任意であるが、一般には偏光板の薄型化等を目的に、500μm以下、好ましくは1〜300μm、特に好ましくは5〜200μmとされる。なお、偏光フィルムの両側に透明フィルムの偏光子保護フィルムを設ける場合、その表裏で異なるポリマー等からなる透明フィルムとすることもできる。
【0043】
偏光子保護フィルムは、本発明の目的を損なわない限り、ハードコート処理や反射防止処理、スティッキングの防止や拡散ないしアンチグレア等を目的とした処理等を施したものであってもよい。ハードコート処理は、偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばシリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り性等に優れる硬化皮膜を透明保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。
【0044】
一方、反射防止処理は、偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。また、スティッキング防止は隣接層との密着防止を目的に、アンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止などを目的に施されるものであり、例えばサンドブラスト方式やエンボス加工方式等による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて透明保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。
【0045】
前記の透明微粒子には、例えば平均粒径が0.5〜20μmのシリカやアルミナ、チタニアやジルコニア、酸化錫や酸化インジウム、酸化カドミウムや酸化アンチモン等が挙げられ、導電性を有する無機系微粒子を用いてもよく、また、架橋又は未架橋のポリマー粒状物等からなる有機系微粒子などを用いることができる。透明微粒子の使用量は、透明樹脂100質量部あたり2〜70質量部、特に5〜50質量部が一般的である。
【0046】
さらに、透明微粒子配合のアンチグレア層は、透明保護層そのものとして、あるいは透明保護層表面への塗工層などとして設けることができる。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角を拡大するための拡散層(視角補償機能など)を兼ねるものであってもよい。なお、上記した反射防止層やスティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層等は、それらの層を設けたシートなどからなる光学層として透明保護層とは別体のものとして設けることもできる。
【0047】
本発明による光学フィルムは、実用に際して各種光学層を積層した多層積層構造の光学フィルムも例示できる。その光学層については特に限定されるものではないが、例えば、前記透明保護フィルムの偏光子を接着させない面(前記接着剤塗布層を設けない面)に対して、ハードコート処理や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした表面処理を施したり、視角補償等を目的とした配向液晶層を積層する方法があげられる。また、反射板や半透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板(λ板)を含む)、視角補償フィルムなどの液晶表示装置等の形成に用いられる光学フィルムを1層または2層以上貼りあわせたものもあげられる。特に偏光板の場合、反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板、位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板、視角補償層または視角補償フィルムが積層されてなる広視野角偏光板、あるいは輝度向上フィルムが積層されてなる偏光板として好ましく適用される。
【0048】
反射型偏光板は、偏光板に反射層を設けたもので、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのものであり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて、液晶表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。反射型偏光板の形成は、必要に応じ透明保護層等を介して偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式などの適宜な方式にて行なうことができる。
【0049】
反射型偏光板の具体例としては、必要に応じマット処理した透明保護フィルムの片面に、アルミニウム等の反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設して反射層を形成したものなどがあげられる。また前記透明保護フィルムに微粒子を含有させて表面微細凹凸構造とし、その上に微細凹凸構造の反射層を有するものなどもあげられる。前記した微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱反射により拡散させて指向性やギラギラした見栄えを防止し、明暗のムラを抑制しうる利点などを有する。また微粒子含有の透明保護フィルムは、入射光及びその反射光がそれを透過する際に拡散されて明暗ムラをより抑制しうる利点なども有している。透明保護フィルムの表面微細凹凸構造を反映させた微細凹凸構造の反射層の形成は、例えば真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、スパッタリング方式等の蒸着方式やメッキ方式などの適宜な方式で金属を透明保護層の表面に直接付設する方法などにより行なうことができる。
【0050】
反射板は前記の偏光板の透明フィルム(偏光子保護層)に直接付与する方式に代えて、その透明フィルムに準じた適宜なフィルムに反射層を設けてなる反射シートなどとして用いることもできる。なお反射層は、通常、金属からなるので、その反射面が透明フィルムや偏光板等で被覆された状態の使用形態が、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続の点や、保護層の別途付設の回避の点などより好ましい。
【0051】
なお、半透過型偏光板は、上記において反射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラー等の半透過型の反射層とすることにより得ることができる。半透過型偏光板は、通常液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置などを比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置などを形成できる。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、比較的暗い雰囲気下においても内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置などの形成に有用である。
【0052】
偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板について説明する。直線偏光を楕円偏光または円偏光に変えたり、楕円偏光または円偏光を直線偏光に変えたり、あるいは直線偏光の偏光方向を変える場合に、位相差板などが用いられる。特に、直線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変える位相差板としては、いわゆる1/4波長板(λ/4板とも言う)が用いられる。1/2波長板(λ/2板とも言う)は、通常、直線偏光の偏光方向を変える場合に用いられる。
【0053】
楕円偏光板はスーパーツイストネマチック(STN)型液晶表示装置の液晶層の複屈折により生じた着色(青又は黄)を補償(防止)して、前記着色のない白黒表示する場合などに有効に用いられる。更に、三次元の屈折率を制御したものは、液晶表示装置の画面を斜め方向から見た際に生じる着色も補償(防止)することができて好ましい。円偏光板は、例えば画像がカラー表示になる反射型液晶表示装置の画像の色調を整える場合などに有効に用いられ、また、反射防止の機能も有する。
【0054】
他の例としては位相差板が挙げられる。位相差板としては、高分子素材を一軸または二軸延伸処理してなる福屈折性フィルム、液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。延伸処理は、例えばロール延伸法、長間隙沿延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法などにより行うことができる。延伸倍率は、一軸延伸の場合には1.1〜3倍程度が一般的である。位相差板の厚さも特に制限されないが、一般的には10〜200μm、好ましくは20〜100μmである。
【0055】
前記高分子材料としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルビニルエーテル、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリカーボネイト、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリルスルホン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、セルロース系重合体、またはこれらの二元系、三元系各種共重合体、グラフト共重合体、ブレンド物などがあげられる。これら高分子素材は延伸等により配向物(延伸フィルム)となる。
【0056】
前記液晶ポリマーとしては、例えば、液晶配向性を付与する共役性の直線状原子団(メソゲン)がポリマーの主鎖や側鎖に導入された主鎖型や側鎖型の各種のものなどがあげられる。主鎖型の液晶性ポリマーの具体例としては、屈曲性を付与するスペーサ部でメソゲン基を結合した構造の、例えばネマチック配向性のポリエステル系液晶性ポリマー、ディスコティックポリマーやコレステリックポリマーなどがあげられる。側鎖型の液晶性ポリマーの具体例としては、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレートまたはポリマロネートを主鎖骨格とし、側鎖として共役性の原子団からなるスペーサ部を介してネマチック配向付与性のパラ置換環状化合物単位からなるメソゲン部を有するものなどがあげられる。これら液晶性ポリマーは、例えば、ガラス板上に形成したポリイミドやポリビニルアルコール等の薄膜の表面をラビング処理したもの、酸化ケイ素を斜方蒸着したものなどの配向処理面上に液晶性ポリマーの溶液を展開して熱処理することにより行われる。
【0057】
位相差板は、例えば各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであってよく、2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御したものなどであってもよい。
【0058】
視角補償フィルムは、液晶表示装置の画面を、画面に垂直でなくやや斜めの方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明にみえるように視野角を広げるためのフィルムである。このような視角補償位相差板としては、例えば位相差フィルム、液晶ポリマー等の配向フィルムや透明基材上に液晶ポリマー等の配向層を支持したものなどからなる。通常の位相差板は、その面方向に一軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムが用いられるのに対し、視角補償フィルムとして用いられる位相差板には、面方向に二軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムとか、面方向に一軸に延伸され厚さ方向にも延伸された厚さ方向の屈折率を制御した複屈折を有するポリマーや傾斜配向フィルムのような二方向延伸フィルムなどが用いられる。傾斜配向フィルムとしては、例えばポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理又は/及び収縮処理したものや、液晶ポリマーを斜め配向させたものなどが挙げられる。位相差板の素材原料ポリマーは、先の位相差板で説明したポリマーと同様のものが用いられ、液晶セルによる位相差に基づく視認角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大などを目的とした適宜なものを用いうる。
【0059】
また良視認の広い視野角を達成する点などより、液晶ポリマーの配向層、特にディスコティック液晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学的異方性層をトリアセチルセルロースフィルムにて支持した光学補償位相差板が好ましく用いうる。
【0060】
偏光板と輝度向上フィルムを貼り合わせた偏光板は、通常液晶セルの裏側サイドに設けられて使用される。輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルム面で反射した光を更にその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部又は全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して液晶表示画像表示等に利用しうる光量の増大を図ることにより輝度を向上させうるものである。すなわち、輝度向上フィルムを使用せずに、バックライトなどで液晶セルの裏側から偏光子を通して光を入射した場合には、偏光子の偏光軸に一致していない偏光方向を有する光は、ほとんど偏光子に吸収されてしまい、偏光子を透過してこない。すなわち、用いた偏光子の特性によっても異なるが、およそ50%の光が偏光子に吸収されてしまい、その分、液晶画像表示等に利用しうる光量が減少し、画像が暗くなる。輝度向上フィルムは、偏光子に吸収されるような偏光方向を有する光を偏光子に入射させずに輝度向上フィルムで一旦反射させ、更にその後ろ側に設けられた反射層等を介して反転させて輝度向上フィルムに再入射させることを繰り返し、この両者間で反射、反転している光の偏光方向が偏光子を通過し得るような偏光方向になった偏光のみを、輝度向上フィルムは透過させて偏光子に供給するので、バックライトなどの光を効率的に液晶表示装置の画像の表示に使用でき、画面を明るくすることができる。
【0061】
輝度向上フィルムと上記反射層等の間に拡散板を設けることもできる。輝度向上フィルムによって反射した偏光状態の光は上記反射層等に向かうが、設置された拡散板は通過する光を均一に拡散すると同時に偏光状態を解消し、非偏光状態となる。すなわち、拡散板は偏光を元の自然光状態にもどす。この非偏光状態、すなわち自然光状態の光が反射層等に向かい、反射層等を介して反射し、再び拡散板を通過して輝度向上フィルムに再入射することを繰り返す。このように輝度向上フィルムと上記反射層等の間に、偏光を元の自然光状態にもどす拡散板を設けることにより表示画面の明るさを維持しつつ、同時に表示画面の明るさのむらを少なくし、均一で明るい画面を提供することができる。かかる拡散板を設けることにより、初回の入射光は反射の繰り返し回数が程よく増加し、拡散板の拡散機能と相俟って均一の明るい表示画面を提供することができたものと考えられる。
【0062】
前記の輝度向上フィルムとしては、例えば誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したものの如き、左回り又は右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどの適宜なものを用いうる。
【0063】
従って、前記した所定偏光軸の直線偏光を透過させるタイプの輝度向上フィルムでは、その透過光をそのまま偏光板に偏光軸を揃えて入射させることにより、偏光板による吸収ロスを抑制しつつ効率よく透過させることができる。一方、コレステリック液晶層の如く円偏光を透過するタイプの輝度向上フィルムでは、そのまま偏光子に入射させることもできるが、吸収ロスを抑制する点よりその円偏光を位相差板を介し直線偏光化して偏光板に入射させることが好ましい。なお、その位相差板として1/4波長板を用いることにより、円偏光を直線偏光に変換することができる。
【0064】
可視光域等の広い波長範囲で1/4波長板として機能する位相差板は、例えば波長550nmの淡色光に対して1/4波長板として機能する位相差層と他の位相差特性を示す位相差層、例えば1/2波長板として機能する位相差層とを重畳する方式などにより得ることができる。従って、偏光板と輝度向上フィルムの間に配置する位相差板は、1層又は2層以上の位相差層からなるものであってよい。
【0065】
なお、コレステリック液晶層についても、反射波長が相違するものの組合せにして2層又は3層以上重畳した配置構造とすることにより、可視光領域等の広い波長範囲で円偏光を反射するものを得ることができ、それに基づいて広い波長範囲の透過円偏光を得ることができる。
【0066】
また、本発明の光学フィルム(例えば偏光板)は、上記の偏光分離型偏光板の如く、偏光板と2層又は3層以上の光学層とを積層したものからなっていてもよい。従って、上記の反射型偏光板や半透過型偏光板と位相差板を組み合わせた反射型楕円偏光板や半透過型楕円偏光板などであってもよい。
【0067】
偏光板に前記光学層を積層した光学フィルムは、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する方式にても形成することができるが、予め積層して光学フィルムとしたものは、品質の安定性や組立作業等に優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着剤層等の適宜な接着手段を用いうる。前記の偏光板と他の光学層の接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
【0068】
本発明による偏光板や、前記の積層光学部材には、液晶セル等の他部材と接着するための粘着層が設けられる。その粘着層は、特に限定されるものではないが、アクリル系等の従来に準じた適宜な粘着剤にて形成することができる。吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨脹差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる画像表示装置の形成性等の点により、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層であることが好ましい。また、微粒子を含有して光拡散性を示す粘着層などとすることができる。粘着層は必要に応じて必要な面に設ければよく、例えば、偏光子と偏光子保護層からなる偏光板について言及するならば、必要に応じて、偏光子保護層の片面または両面に粘着層を設ければよい。
【0069】
前記粘着層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的にセパレータ(離型フィルムと称することがある。)が仮着されてカバーされる。これにより、通例の取扱状態で粘着層に接触することを防止できる。セパレータとしては、上記厚さ条件を除き、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
【0070】
このセパレータが設けられた面と反対面の偏光板には、保護フィルムが弱粘着剤を介して形成される。その目的は、傷防止、汚染防止等が主目的である。保護フィルムとしては、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
【0071】
なお本発明において、上記した偏光板を形成する偏光子や偏光子保護層や光学フィルム等、また粘着層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やべンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
【0072】
本発明による光学フィルムは、液晶表示装置、有機EL表示装置、PDP等の画像表示装置(光学表示装置に相当する。)の形成に好ましく用いることができる。
【0073】
本発明の光学フィルムは液晶表示装置等の各種装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セル(光学表示ユニットに相当する。)と光学フィルム(例えば偏光板)、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による光学フィルムを用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。
【0074】
液晶セルの片側又は両側に光学フィルム(例えば偏光板)を配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による光学フィルムは液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に光学フィルムを設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
【0075】
本発明による光学フィルム(例えば偏光板)は、液晶表示装置等の各種装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置は、本発明による光学フィルム(例えば偏光板)を液晶セルの片側または両側に配置してなる透過型や反射型、あるいは透過・反射両用型の従来に準じた適宜な構造を有するものとして形成することができる。従って、液晶表示装置を形成する液晶セルは任意であり、例えば薄膜トランジスタ型に代表される単純マトリクス駆動型のものなどの適宜なタイプの液晶セルを用いたものであってもよい。
【0076】
また液晶セルの両側に偏光板や光学部材を設ける場合、それらは同じ物であってもよいし、異なるものであっても良い。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えばプリズムアレイシートやレンズアレイシート、光拡散板やバックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層または2層以上配置することができる。
【0077】
<リーダー部材>
リーダー部材は、離型フィルムより反り返りが大きいことが必要である。また、他の表現でいえば、リーダー部材は、離型フィルムより腰が柔らかいことが必要である。このように、リーダー部材が離型フィルムより反り返りが大きいために、リーダー部材を折り返した際に、離型フィルム(特にその端部分)に余分な圧力を加えることがなく、リーダー部材を180度方向に反転させて折り返しができ、この折返しの曲率を可能な限り小さくでき、離型フィルム端部の剥離方向を、光学フィルム面に対し90度(垂直方向)よりも広角に、例えば、180度に近づく方向に折り返し方向を設定でき、剥離方向を180度または略180度方向に設定できる。リーダー部材として腰の強いものを用いた場合、光学フィルム面に対し90度(垂直方向)よりも広角に、例えば、180度に近づく方向に折り返しができないため好ましくない。
【0078】
以上のような観点から、リーダー部材の材質、厚みが設計される。リーダー部材の基材としては、例えば、ポリエステル系フィルムが挙げられる。ポリエステル系フィルムの場合、機械的強度の点から、厚みが15〜50μmの範囲のものを用いることが好ましい。厚みが15μm未満の場合、切れやすく、強度の面で好ましくない。一方、厚みが50μmを越えると剛性が高くなり扱いにくく、また離型フィルムよりも腰が柔らかくないものとなってしまう。また、厚みの上限としは、離型フィルムとの関係で設定される。
【0079】
<欠点検査方法の構成>
(実施形態1)
以下で図面を用いて、本発明の欠点検査方法の構成について説明する。図1は、欠点検査方法のフローチャートである。図2、3は、図1のフローチャートに対応した各工程を説明するための概念図である。
【0080】
(1)固定処理。まず、図1、2のステップS1に示すように、枚葉のシート状品を固定手段10で固定する。シート状品は、偏光板2と、その一方面に粘着剤層4を介して設けられた保護フィルム5と、その他方の面に粘着剤層3を介して設けられた離型フィルム1とで構成されている。図2(a)に示すように、保護フィルム5側に対して固定手段10で固定されている。固定手段10は、例えば、真空引き機構の吸着手段で構成できる。
【0081】
(2)リーダー部材貼着処理。ステップS2において、リーダー部材20を離型フィルム1に貼着する。図2(b)に示すように、リーダー部材20の一方部分を離型フィルム1の端部分に貼着し、当該リーダー部材20の他方部分を当該端部分から外側に延設されるように当該リーダー部材20を当該離型フィルム1に設ける。リーダー部材20と離型フィルム1との貼着範囲は、特に制限されないが、剥離工程においてリーダー部材20が離型フィルム1から剥がれることがないように設計され、好ましくは、離型フィルム1の一辺の全てにおいて、その一辺の端からその内部方向に向かって10mm〜30mm程度である。また、貼着される位置としては、上述の一辺に限定されず、1つの角でもよい。この場合、剥離方向は、貼着された角を基点として、その角と対向する角に向かう方向である。その粘着剤としては、公知の粘着剤が適用できるが、剥離工程においてリーダー部材20が離型フィルム1から剥がれることがなく、かつリーダー部材20を離型フィルム1から剥がしたい場合に剥がせることが必要であり、剥がした後に粘着剤が残らないことが必要である。
【0082】
(3)リーダー部材折返し処理。ステップS3において、リーダー部材20を折り返す。図2(c)に示すように、離型フィルム1の端部分から外側に延設されたリーダー部材20の他方部分を当該離型フィルム1の端部分方向に折り返す。折り返す際には、折返し部分に弛みを持たせながら折り返すと、粘着剤層3に不必要な圧力が加わらないため好ましい。そして、リーダー部材20の端部を180度方向(または略180度方向)に向ける。リーダー部材20を挟持手段(不図示)によって挟持し、挟持手段の向きを180度反転させるように折り返す折り返し手段(不図示)で構成できる。リーダー部材20を挟持手段で挟持する構成のため、離型フィルム1を直接に挟持手段で挟持していないから、離型フィルム1の変形や粘着剤3の付着の心配がない。また、リーダー部材20の端部を挟持手段で挟持させる構成の他に、リーダー部材20を回転ローラ(不図示)に固定し、この回転ローラを180度反転させてもよく、剥離処理工程の際に回転ローラを剥離方向に従って一定速度で回転させるように構成することもできる。
【0083】
(4)離型フィルム剥離処理。ステップS4において、リーダー部材20を剥離方向に連続して所定位置まで引く。図2(d)、図3(d)に示すように、離型フィルム1を粘着剤層3から剥離するように、折り返したリーダー部材20を移動させる。この場合に、偏光板2、粘着剤層3等は、固定手段10によって固定されている。離型フィルム1の端面部分を粘着剤層3から剥離する場合に、折り返したリーダー部材20と固定された偏光板および粘着剤層3とを平行または略平行に相対的に移動させることが好ましい。これによれば、離型フィルム1端部の剥離開始時の剥離方向およびそれ以後の剥離方向を、偏光板2面に対し180度または略180度にできるため、粘着剤の付着や粘着剤層表面の荒れが生じないからである。そして、離型フィルム1の端面部分が粘着剤層3から剥離開始以後、所定位置まで連続して、当該離型フィルム1を当該粘着剤層3から剥離する。離型フィルム1の端面が剥離される場合、離型フィルム1端面には略180度方向に剥離力が作用されている。そして、離型フィルム1端面の剥離以後も同様に、離型フィルム1の剥離される部分には、略180度方向に剥離力が作用されている。剥離工程においては、剥離開始から非剥離位置である所定位置まで連続して剥離を実行する。連続して剥離せずに、剥離途中で停止させ、再度剥離をさせた場合には、粘着剤層3の表面が荒れるため好ましくないからである。折り返したリーダー部材20の移動速度は一定速度であることが好ましく、粘着剤層3の表面の荒れをより効果的に防止することができる。
【0084】
また、離型フィルム1の剥離方向を、光学フィルム面に対し90度(垂直方向)よりも広角に、例えば、140度〜180度の範囲に設定することが好ましく、より好ましくは150度〜180度の範囲であり、さらに好ましくは170度から180度の範囲であり、特に好ましくは180度または略180度である。
【0085】
(5)欠点検査処理。ステップS5において、剥離された所定領域を欠点検査する。欠点検査は公知の欠点検査方法が適用できる。欠点検査方法としては、例えば、枚葉式自動検査装置及び検査者による目視検査が挙げられる。枚葉式自動検査装置は、枚葉のシート状製品の欠点(欠陥とも称される)を自動で検査する装置であり、光を照射し、その反射光像や透過光像をラインセンサーや2次元TVカメラなどの撮像部を介して取得し、取得された画像データに基づいて、欠点検出を行う。また、光源と撮像部の間の光路中に検査用偏光フィルタを介在させた状態で画像データを取得する。通常、この検査用偏光フィルタの偏光軸(例えば、偏光吸収軸)は、検査対象である偏光板の偏光軸(例えば、偏光吸収軸)と直交する状態(クロスニコル)となるように配置される。クロスニコルに配置することで、仮に欠点が存在しなければ撮像部から全面黒の画像が入力されるが、欠点が存在すれば、その部分が黒にならない(輝点として認識される)。従って、適宜のしきい値を設定することで、欠点を検出することができる。このような輝点検出では、表面付着物、内部の異物等の欠点が輝点として検出される。また、この輝点検出のほかに、対象物に対して透過光画像をCCD撮像し画像解析することで異物検出する方法もある。また、対象物に対して反射光画像をCCD撮像し画像解析することで表面付着異物を検出する方法もある。
【0086】
(6)貼着処理。ステップS6において、剥離された離型フィルム1の貼り合せを行なう。図3(e)に示すように、ステップS5の欠点検査の後に、剥離された離型フィルム1を、テンションコントロール下で粘着剤層3を介して偏光板2に貼着する。テンションコントロールは公知の手段で構成できる。また、離型フィルム1の貼着に際し、離型フィルム1と偏光板2および粘着剤層3との圧接およびテンションコントロールのためにローラ30を離型フィルム1の押さえとして用いる。貼り合せ終了したら、リーダー部材20は離型フィルム1から剥がされ、ローラ30も所定位置に移動される。離型フィルム1にテンションコントロールがなされているため、貼り合わせ後のシート状品が湾曲(カールと称することがある)することがなく、この湾曲による光学特性(例えば位相差値)の変化を抑制できる。また、離型フィルム1からリーダー部材20を剥離する場合、リーダー部材20の一方の端部を巻取り装置(不図示)に設置し、この巻取り装置でリーダー部材20を巻き取るように構成できる。また、リーダー部材20の一方の端部が巻取り装置に設置されている場合に、この巻取り装置を制御することで、再貼り合わせのテンションコントロールを実行でき、また、巻取り装置の配置によって、離型フィルム1の剥離方向、すなわちリーダー部材20の引っ張り角度を調整することができる。
【0087】
(7)次いで、固定手段10による固定を解除し、シート状品の4方の端面を保護するために端面保護処理を施し、所定枚数単位に梱包し、液晶パネルへの組み込み工程に出荷する。
【0088】
(実施例1)
以下では、離型フィルム端面の剥離力検証試験について説明する。試験条件は以下のとおりである。
(1)試験機:テンシロン(万能引張試験機)
(2)試験条件:粘着力がN/25mm、引っ張り速度が300mm/分
(3)図4に示すように、偏光板側を固定し、偏光板表面に対し垂直方向または180度方向にリーダー部材を引っ張った際に離型フィルム端面が剥離された時の剥離力を測定した。剥離力の測定は、剥離初期から100mmまでの剥離力を10mmごとに10点測定し、その平均値を算出して求めた。それを、それぞれ20回行なった。その結果を表1、図5に示す。
【0089】
【表1】

表1、図5に示す結果から、180度方向にリーダー部材を引っ張った場合の剥離力は、垂直方向にリーダー部材を引っ張った場合のそれより約3分の1であった。この結果により、180度方向に引っ張った方が剥離力が小さく、つまり粘着剤層の付着が生じにくいと考えられる。また、90度方向での引っ張りでは、粘着剤が離型フィルムに付着したり、粘着剤表面の荒れが確認された。
【0090】
(実施例2)
次いで、離型フィルムの剥離挙動(初期から100mmまで)について検証した。
(1)試験機:テンシロン(万能引張試験機)
(2)試験条件:粘着力がN/25mm、引っ張り速度が300mm/分
(3)図4に示すように、偏光板側を固定し、偏光板表面に対し垂直方向または180度方向にリーダー部材を引っ張り、剥離初期から100mmまでの剥離力を10mmごとに測定した。その結果を表2、図6に示す。
【0091】
【表2】

表2、図6に示す結果から、90度方向にリーダー部材を引っ張った場合、剥離開始から100mmまでの剥離力のなかで剥離開始初期に極端な力が必要であることが分かった。この結果から、剥離開始であるきっかけを作るリーダー部材としては、腰の強いものは好ましくないことが分かった。腰の強いものは、反り返り性が小さく、傾向として90度方向に近い剥離方向を生じさせる結果になるからである。また、180度方向にリーダー部材を引っ張った場合、粘着剤の付着や、粘着剤層の荒れは生じなかったが、90度方向での引っ張りでは、粘着剤が離型フィルムに付着したり、粘着剤表面の荒れが確認された。
【0092】
(実施例3)
次いで、180度方向での引っ張りによって剥離された離型フィルムを図3に示す方法に従いテンションコントロール下で貼り合わせた。180度方向で引っ張った場合の結果は、偏光板の端面と離型フィルムの端面同士を綺麗に貼り合わすことができ、カール状態は品質規格以内であった。粘着剤のはみ出しも生じなかった。この貼り合せた後に、位相差測定機で位相差を測定したところを、位相差値のバラツキも品質規格以内であった。
【0093】
(実施例4)
また、引っ張り角度による不良率について検証した。(1)90度方向、(2)120度方向、(3)140度方向、(4)150度方向、(5)170度方向、(6)180度方向のそれぞれについて、各1000回、リーダー部材を引っ張った場合の離型フィルムへの粘着剤の付着や、粘着剤層の荒れについて目視による外観検査を行なった。粘着剤の付着や粘着剤の荒れが発生した場合に「不良」と判定した。その結果、180度方向の不良率が0%、170度方向の不良率が0.1%、150度方向との不良率が0.2%、140度方向の不良率が0.3%、120度方向の不良率が2%、90度方向の不良率が5%であった。なお、目視確認では観察されない不良については、上記実施例のようにカール状態および位相差測定で品質判定され、引っ張り角度が広角である(180度方向に近づく)ほど、カール状態および位相差測定による品質判定もよい結果であった。
【0094】
<別実施形態>
本発明は、偏光板について説明したが、本発明は、これに制限されず、偏光板と位相差板の積層体、位相差板、偏光子(PVA)のみについても適用できる。
【0095】
また、折り返し処理において、挟持手段の代替として、作業者の手でその機能を実現し、剥離処理においても手動で、連続的に、かつ略一定速度で剥離するように構成できる。また、剥離処理の場合にのみ、挟持手段でリーダー部材を挟持し、一定速度で連続的に剥離するように構成することもできる。また、再張り合わせ処理において、ローラの代替として、一定の厚みを維持しながら平行移動するスキージ手段を用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】欠点検査方法のフローチャート
【図2】欠点検査方法のフローチャートに対応した各工程を説明するための模式図
【図3】欠点検査方法のフローチャートに対応した各工程を説明するための模式図
【図4】離型フィルム端面の剥離力検証試験方法を示す図
【図5】離型フィルム端面の剥離力の実験結果を示す図
【図6】剥離挙動の実験結果を示す図
【図7】偏光板の構造について示す図
【符号の説明】
【0097】
1 離型フィルム
2 偏光板
3、4 粘着剤(層)
5 保護フィルム
10 固定手段
20 リーダー部材
30 ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着剤層を介して離型フィルムが少なくとも貼着された光学フィルムの欠点を検査する欠点検査方法であって、
リーダー部材の一方部分を前記離型フィルムの端部分に貼着し、当該リーダー部材の他方部分を当該端部分から外側に延設されるように当該リーダー部材を当該離型フィルムに設けるリーダー部材貼着処理と、
前記離型フィルムの端部分から外側に延設されたリーダー部材の他方部分を当該離型フィルムの端部分方向に折り返すリーダー部材折返し処理と、
前記離型フィルムを前記粘着剤層から剥離するように、前記折り返したリーダー部材と前記光学フィルムおよび粘着剤層とを相対的に移動させ、
前記離型フィルムの端面部分が前記粘着剤層から剥離開始以後、所定位置まで連続して、当該離型フィルムを当該粘着剤層から剥離する離型フィルム剥離処理と、
前記剥離された所定領域を欠点検査する欠点検査処理と、を有する欠点検査方法。
【請求項2】
前記欠点検査の後に、前記剥離した前記離型フィルムを、テンションコントロール下で粘着剤層を介して光学フィルムに貼着する貼着処理を、さらに有する請求項1に記載の欠点検査方法。
【請求項3】
前記リーダー部材は、前記離型フィルムより反り返りが大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の欠点検査方法。
【請求項4】
前記離型フィルムの端面部分を前記粘着層から剥離する場合に、前記折り返したリーダー部材と前記光学フィルムとを平行または略平行に相対的に移動することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の欠点検査方法。
【請求項5】
前記相対的に移動させる速度が一定であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の欠点検査方法。
【請求項6】
前記欠点検査は、検査領域に照射した光の反射光または透過光を測定することで行なわれる請求項1〜5のいずれか1項に記載の欠点検査方法。
【請求項7】
光学フィルムは、偏光子の片面もしくは両面に透明保護フィルムを積層した偏光板を有して構成されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の欠点検査方法。
【請求項8】
前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の欠点検査方法を用いて光学フィルムを製造する方法であって、
粘着剤層を介して離型フィルムを少なくとも有する光学フィルムを所定サイズに切断し、枚葉のシート状品を得る工程と、
前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の欠点検査方法を実施して、欠点検査を行なう工程と、
を有する光学フィルムの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−115759(P2009−115759A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−292208(P2007−292208)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】