説明

欠陥検査方法および欠陥検査システム

【課題】比較的簡単な処理で、濃淡値の良品範囲を随時更新して最適化することができる欠陥検査方法および欠陥検査システムを提供する。
【解決手段】画像処理装置1は、欠陥判定手段13で良品と判定された場合に、当該検査対象物4の撮像画像を設定用画像として設定用画像メモリ14に追加する範囲更新手段10を有している。演算処理器15は、予め設定用画像メモリ14に記憶されている設定用画像から良品範囲を設定するだけでなく、範囲更新手段10により新たな設定用画像が設定用画像メモリ14に保存される度に、各画素ごとの濃淡値の度数分布を求め、当該度数分布結果から良品範囲を再設定する。しかして、欠陥判定手段13で良品と判定される度、範囲更新手段10は、設定用画像を設定用画像メモリ14に追加し、追加された設定用画像を含む複数枚の設定用画像に基づいて良品範囲を自動的に更新させることとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一仕様の多数の検査対象物を順次撮像して得られる画像を用いて、画像処理により各検査対象物の欠陥の有無を検査する欠陥検査方法および欠陥検査システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば電子部品材料、医薬品、食品などの製造に当たって、同一仕様の物品を量産する場合に、撮像された検査対象物の画像を検査員が目視で確認する方法では検査精度が悪く効率もよくないため、画像処理によって欠陥の有無を自動的に判定できる上記欠陥検査方法を用いることが多い。
【0003】
一般的に、この種の欠陥検査に用いられる欠陥検査システムは、検査対象物に光またはX線を照射する照射装置と、検査対象物を撮像して濃淡値を画素値とした撮像画像を得る撮像装置と、撮像装置で得られた撮像画像から検査対象物の欠陥の有無を検査する画像処理装置とを備えている。すなわち、検査対象物に可視光を照射した状態で得られた撮像画像からは、検査対象物の外観上の欠陥(ひび割れ、キズ等)を検査することができる。また、検査対象物にX線を照射して得られた検査対象物のX線透過画像を用いれば、検査対象物を破壊せずに検査対象物の内部の欠陥(異物混入、気泡等)を検査することが可能である(たとえば特許文献1参照)。
【0004】
この種の欠陥検査方法として、予め欠陥のない良品を撮像した画像(設定用画像)によって画素ごとに濃淡値について良品となる範囲を規定しておき、検査対象物を撮像して得られた撮像画像の各画素の濃淡値を良品範囲と比較し、濃淡値が良品範囲にないと判定された画素数に応じて検査対象物の欠陥の有無を判定することが考えられる。この方法では、撮像画像において濃淡値が良品範囲外となる画素が規定数を超える場合に、当該検査対象物に欠陥があるものと判定される。
【0005】
ところで、多数の検査対象物を順次検査するに当たっては、たとえば照射装置の出力低下などによって撮像画像の濃淡値が徐々に変化することがあるので、濃淡値について最初に設定された良品範囲が必ずしも最適な値とは限らず、濃淡値の良品範囲を随時更新して最適化することが望ましい。このように閾値を随時更新して最適化するための手法として、ニューラルネットワーク等の学習型アルゴリズムを用いることが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭59−81544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、ニューラルネットワーク等の学習型アルゴリズムを用いた方法では、良品範囲を更新するための演算処理が複雑であるため、各検査対象物の欠陥検査にかかる時間が長くなるという問題がある。
【0008】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであって、比較的簡単な処理で、濃淡値の良品範囲を随時更新して最適化することができる欠陥検査方法および欠陥検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、光またはX線を検査対象物に照射した状態で検査対象物の画像を撮像装置にて撮像し、濃淡値を画素値とし且つ同一仕様の多数の検査対象物について同一部位が同一画素に対応する撮像画像を得る撮像過程を含み、前記多数の検査対象物を順次撮像して得られる撮像画像を用いて画像処理装置にて各検査対象物の欠陥の有無を検査する欠陥検査方法であって、検査対象物の撮像画像を設定用画像として設定用画像メモリに記憶する設定用記憶過程と、設定用画像メモリに蓄積された複数枚の設定用画像について画素ごとに濃淡値の度数分布を求める分布算出過程と、度数分布の結果を用い既定の設定ルールに従って濃淡値の良品範囲を設定する範囲設定過程と、撮像画像を撮像画像メモリに記憶する撮像記憶過程と、撮像画像の各画素ごとに濃淡値が前記良品範囲内にあるか否かを判断し、良品範囲内にある画素を良品画素、良品範囲内にない画素を不良画素と判定する画素判定過程と、撮像画像に含まれる不良画素の個数から検査対象物の欠陥の有無を判定する欠陥判定過程と、欠陥判定過程で欠陥がないと判定された場合に当該検査対象物の撮像画像を設定用画像として設定用記憶過程により設定用画像メモリに記憶し、分布算出過程および範囲設定過程により良品範囲を自動的に更新させる範囲更新過程とを有することを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、欠陥判定過程で欠陥がないと判定された場合に当該検査対象物の撮像画像を設定用画像として設定用記憶過程により設定用画像メモリに記憶し、分布算出過程および範囲設定過程により良品範囲を自動的に更新させる範囲更新過程を有するので、濃淡値の良品範囲は随時更新されることになる。すなわち、濃淡値の良品範囲は、欠陥判定過程での判定結果がフィードバックされることにより自動的に更新されるので、多数の検査対象物を順次検査する場合でも、常に最適な良品範囲を用いて欠陥の検査を行うことができる。しかも、良品範囲の更新は、設定用画像メモリに蓄積された複数枚の設定用画像について画素ごとに濃淡値の度数分布を求める分布算出過程と、度数分布の結果を用い既定の設定ルールに従って濃淡値の良品範囲を設定する範囲設定過程とで実現されるので、ニューラルネットワーク等の学習型アルゴリズムを用いた方法に比較して、良品範囲を更新するための処理が簡単になる。結果的に、比較的簡単な処理で、濃淡値の良品範囲を随時更新して最適化することができるという利点がある。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記画素判定過程で前記良品画素と判定された画素のうち前記不良画素と判定された画素で周囲を囲まれたものがある場合、良品画素と判定された当該画素については判定結果を不良画素と改める判定修正過程を有することを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、一旦は良品画素と判定された画素であっても周囲が不良画素で囲まれたものについては不良画素と判定結果が改められるので、撮像画像の欠陥部分に含まれる1画素が誤って良品画素と判定された場合に当該画素を不良画素と判定し直すことができる。結果的に、良品画素と不良画素との判定確度が向上するという利点がある。
【0013】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記判定修正過程において判定結果が前記不良画素と改められた画素がある場合に、前記良品範囲について範囲を狭めるように修正する範囲修正過程を有することを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、撮像画像の欠陥部分に含まれる1画素が誤って良品画素と判定された場合に良品範囲が狭められるので、以降の画素判定過程では、良品画素と認めるための判断基準が厳しくなり、不良画素が誤って良品画素と判定されることを低減できる。
【0015】
請求項4の発明は、請求項2の発明において、前記判定修正過程において判定結果が前記不良画素と改められた前記撮像画像が2枚以上の規定枚数に達した場合に、前記良品範囲について範囲を狭めるように修正する範囲修正過程を有することを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、撮像画像の欠陥部分に含まれる1画素が誤って良品画素と判定された場合に良品範囲が狭められるので、以降の画素判定過程では、良品画素と認めるための判断基準が厳しくなり、不良画素が誤って良品画素と判定されることを低減できる。しかも、判定結果が改められた撮像画像が規定枚数に達するまでは良品範囲が修正されることはないため、良品画素と判定されるべき画素について判定結果が不良画素に誤って改められたような場合に、良品範囲まで修正されてしまうことを回避できる。すなわち、良品範囲は反復性のあるデータに基づいて修正されるため、良品範囲の信頼性が高くなる。
【0017】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかの発明において、前記設定用記憶過程では、前記設定用画像メモリに蓄積された前記設定用画像が設定用画像メモリに記憶可能な上限枚数に達すると、設定用画像メモリ内の設定用画像を古い側から順に削除しながら新しい設定用画像を記憶することを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、設定用画像メモリに上限枚数まで設定用画像が記憶されると、以降は古い設定用画像を削除しながら新しい設定用画像を記憶するので、設定用画像メモリには常に新しい設定用画像が残ることとなり、これらの新しい設定用画像を利用して濃淡値の良品範囲を設定することができる。したがって、設定用画像メモリの空き容量がなくなった後も、良品範囲を随時更新して最適化することができる。
【0019】
請求項6の発明は、光またはX線を検査対象物に照射する照射装置と、検査対象物の画像を撮像して、濃淡値を画素値とし且つ同一仕様の多数の検査対象物について同一部位が同一画素に対応する撮像画像を得る撮像装置と、前記多数の検査対象物を順次撮像して得られる撮像画像を用いて各検査対象物の欠陥の有無を検査する画像処理装置とを備えた欠陥検査システムであって、画像処理装置が、検査対象物の撮像画像を設定用画像として記憶する設定用画像メモリと、設定用画像メモリに蓄積された複数枚の設定用画像について画素ごとに濃淡値の度数分布を求める分布算出手段と、度数分布の結果を用い既定の設定ルールに従って濃淡値の良品範囲を設定する範囲設定手段と、撮像画像を記憶する撮像画像メモリと、撮像画像の各画素ごとに濃淡値が前記良品範囲内にあるか否かを判断し、良品範囲内にある画素を良品画素、それ以外の画素を不良画素と判定する画素判定手段と、撮像画像に含まれる不良画素の個数から検査対象物の欠陥の有無を判定する欠陥判定手段と、欠陥判定手段で欠陥がないと判定された場合に当該検査対象物の撮像画像を設定用画像として設定用画像メモリに記憶し、分布算出手段および範囲設定手段により良品範囲を自動的に更新させる範囲更新手段とを有することを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、範囲更新手段は、欠陥判定手段での判定結果をフィードバックして、分布算出手段および良品範囲設定手段により濃淡値の良品範囲を自動的に更新させるので、比較的簡単な処理で、濃淡値の良品範囲を随時更新して最適化することができるという利点がある。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、欠陥の有無の判定結果をフィードバックして、複数枚の設定用画像について画素ごとに濃淡値の度数分布を求めその結果を用い既定の設定ルールに従って濃淡値の良品範囲を更新するので、ニューラルネットワーク等の学習型アルゴリズムを用いる場合よりも簡単な処理で、濃淡値の良品範囲を随時更新して最適化することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態1の概略システム構成図である。
【図2】同上の機能を説明する概略図である。
【図3】同上で用いる度数分布図である。
【図4】同上の機能を示し、(a)は撮像画像の概略図、(b)は2値化画像の概略図である。
【図5】同上の機能を説明する概略図である。
【図6】同上の動作を示すフローチャートである。
【図7】同上の範囲更新過程のフローチャートである。
【図8】同上の説明に用いる撮像画像の概略図である。
【図9】本発明の実施形態2の機能を説明する概略図である。
【図10】同上の機能を説明する概略図である。
【図11】同上の概略システム構成図である。
【図12】同上の動作を示すフローチャートである。
【図13】同上の範囲修正過程のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(実施形態1)
本実施形態の欠陥検査システムは、同一仕様の多数の電子部品材料を検査対象とし、各検査対象物の内部の欠陥(異物混入、気泡等)の有無を検査するものである。ここでは、一例として、IC(集積回路)のパッケージ材料となるペレットを検査対象とするが、これに限るものではなく、その他の電子部品材料、あるいは電子部品材料以外の各種物品を検査対象としてもよい。
【0024】
欠陥検査システムは、図1に示すように、検査対象物4の上方に設置され上面側から検査対象物4にX線を照射するX線源からなる照射装置2と、検査対象物4の下方に設置され検査対象物4の画像を順次撮像するX線エリアセンサ(イメージセンサ)からなる撮像装置3と、撮像装置3で得られた撮像画像を用いて検査対象物4の欠陥検査を行う画像処理装置1と、画像処理装置1での検査結果を表示する表示装置5とを備えている。ここでいう撮像画像は、照射装置2からのX線が検査対象物4を透過することによって撮像されるX線透過画像であって、X線の透過強度が高い部位(白く映る部位)ほど高くなる濃淡値を画素値とする濃淡画像である。
【0025】
ここに、画像処理装置1で用いられる撮像画像は、同一仕様の検査対象物4については同一部位が同一画素に対応するように位置合わせが為されている。すなわち、同一仕様の多数の検査対象物4を順次撮像した場合、撮像画像内における検査対象物4が占める領域は全ての撮像画像において同一となる。上記位置合わせは、たとえば撮像装置3に対する検査対象物4の位置および向きを全ての検査対象物4について精確に揃えることにより実現できる。また、検査対象物4に基準となるアライメントマークを付加しておけば、撮像装置3で撮像された画像から、前記アライメントマークが同一画素となるように検査対象物4を含む領域を切り出し、切り出した領域を撮像画像として用いることも可能である。
【0026】
照射装置2にはX線をオンオフ制御する照射制御装置6が接続され、撮像装置3には撮像タイミングを制御する撮像制御装置7が接続されており、照射制御装置6と撮像制御装置7とは互いに接続されてX線の照射タイミングと撮像タイミングとの同期をとっている。
【0027】
画像処理装置1は、撮像装置3で得られた撮像画像のデータを保存する撮像画像メモリ11と、撮像画像の各画素ごとに濃淡値が後述する良品範囲内にあるか否かを判定する画素判定手段12と、画素判定手段12の判定結果に基づいて検査対象物4の欠陥の有無を判定する欠陥判定手段13とを具備している。
【0028】
画素判定手段12は、濃淡値が良品範囲内にある画素については良品画素、良品範囲内にない画素については不良画素と判定する。欠陥判定手段13は、撮像画像に含まれる不良画素の個数を所定の閾値(以下、「不良数閾値」という)と比較し、不良画素の個数が不良数閾値以上であった検査対象物4については不良品(欠陥有り)、不良画素の個数が不良数閾値未満であれば良品(欠陥なし)と判定する。欠陥判断手段13での判定結果は、表示装置5に表示されることによって検査員等に報知される。
【0029】
ここで、画素判定手段12での判定に用いられる良品範囲は、以下のように設定される。
【0030】
すなわち、画像処理装置1は、欠陥のない検査対象物4の撮像画像を設定用画像として当該設定用画像のデータを複数保存する設定用画像メモリ14と、設定用画像メモリ14に蓄積された複数枚の設定用画像を用いて良品範囲を設定する演算処理器15とを有している。設定用画像メモリ14は、記憶可能な設定用画像の枚数が最大N枚(Nは整数)に制限されている。本実施形態では、検査対象物4の欠陥検査を開始する前に、図2に示すように欠陥のない検査対象物4を撮像することにより得られたN枚の設定用画像Ic,Ic,・・・,Icが予め設定用画像メモリ14に保存されているものとする。なお、図2においては、ハッチングの種類によって画素ごとの濃淡値を表すものとする(図4,5においても同様)。
【0031】
演算処理器15は、設定用画像メモリ14に蓄積されたN枚の設定用画像について画素ごとに濃淡値の度数分布を求める分布算出手段15a、並びに、分布算出手段15aにより求めた度数分布データを用い、既定の設定ルールに従って濃淡値の良品範囲を設定する範囲設定手段15bとしての機能を有している。
【0032】
要するに、分布算出手段15aでは、設定用画像メモリ14内の設定用画像の各画素ごとに図3に示すように濃淡値の度数分布を求め、同一画素におけるデータ(濃淡値)のばらつきを定量化する。図3は、図2に示す設定用画像Ic,Ic,・・・,Icのある画素P(3,3)についての濃淡値の度数分布を示すヒストグラム(度数分布図)であって、横軸に濃淡値、縦軸に度数を表している。
【0033】
範囲設定手段15bは、各画素ごとの度数分布結果から、当該画素における濃淡値の良品範囲を設定ルールに従って自動的に設定する。ここで、良品範囲は各画素において濃淡値のばらつきが良品画素として許容される範囲を規定するものであって、設定ルールの具体例は後述するが、大よそ度数分布図においてピーク(最頻値)となる濃淡値を含むその前後の濃淡値がばらついている範囲が良品範囲に設定される。しかして、図2に示す設定用画像の画素P(3,3)に関しては、図3のように濃淡値のばらつきが生じている範囲が良品範囲として設定される。
【0034】
演算処理器15では、上述した処理を全ての画素についてそれぞれ行うことにより、各画素ごとに濃淡値の良品範囲を個別に設定する。本実施形態では、設定された良品範囲は、演算処理器15内のメモリ(図示せず)に画素ごとに記憶される。各画素についての良品範囲は、当該範囲の下限となる濃淡値(以下、「良品下限値」という)および当該範囲の上限となる濃淡値(以下、「良品上限値」という)によって定められる。
【0035】
このようにして設定された良品範囲を用いることにより、画素判定手段12では、良品画素と不良画素との判定が行われ、良品画素を画素値「0」、不良画素を画素値「1」とした2値化画像が生成される。たとえば、図4(a)に示す撮像画像Imにおける画素P(3,3)の濃淡値E(3,3)が図3の良品範囲内(良品下限値RD−良品上限値RU間)になければ、当該画素P(3,3)が不良画素と判定され、図4(b)のように当該画素P(3,3)の画素値を「1」(図中黒塗り部分)とする2値化画像が生成される。
【0036】
ところで、上記構成の欠陥検査システムでは、同一仕様の多数の検査対象物4を順次検査するに当たって、たとえば照射装置2の出力低下などによって撮像画像の濃淡値が変化することがあるので、最初に予め設定される良品範囲が必ずしも最適な値とは限らず、良品範囲を随時更新して最適化することが望ましい。そこで、本実施形態では画像処理装置1に以下の構成を採用することにより、濃淡値の良品範囲が随時更新されるようにしてある。
【0037】
すなわち、画像処理装置1は、欠陥判定手段13で良品(欠陥なし)と判定された場合に、当該検査対象物4の撮像画像を設定用画像として設定用画像メモリ14に追加する範囲更新手段10を有している。ここで、演算処理器15は、予め設定用画像メモリ14に記憶されている設定用画像から良品範囲を設定するだけでなく、範囲更新手段10により新たな設定用画像が設定用画像メモリ14に保存される度に、各画素ごとの濃淡値の度数分布を再び求め、当該度数分布結果から良品範囲を再設定するものとする。しかして、欠陥判定手段13で良品と判定される度、範囲更新手段10は、設定用画像を設定用画像メモリ14に追加し、追加された設定用画像を含む複数枚の設定用画像に基づいて演算処理器15に良品範囲を自動的に更新させることとなる。
【0038】
ここにおいて、設定用画像メモリ14に蓄積された設定用画像が設定用画像メモリ14に記憶可能な上限枚数に達すると、以降は、設定用画像メモリ14内の設定用画像を古い側から順に削除しながら新しい設定用画像を設定用画像メモリ14に記憶する。つまり、図5(a)のように設定用画像メモリ14にN枚の設定用画像Ic,Ic,・・・,Icが既に記憶されている状態で、欠陥判定手段13で良品と判定された検査対象物4の撮像画像Imを新たに設定用画像として設定用画像メモリ14に記憶する場合、図5(b)のように、設定用画像メモリ14内の最も古い設定用画像Icは削除され、撮像画像Imが記憶される。したがって、設定用画像メモリ14内には、常に新しい方から順にN枚の設定用画像が残ることとなり、演算処理器15では、これら最新のN枚の設定用画像に基づいて良品範囲を更新することができる。
【0039】
以下、上記構成の欠陥検査システムを用いた検査対象物4の欠陥検査方法について図6および図7に示すフローチャートを参照して説明する。ここでは、図8に示すようにp画素×r画素(=横×縦)の濃淡画像を撮像画像Imとし、各画素は、画像の横方向の座標位置i(=1,2,・・・,p)と縦方向の座標位置j(=1,2,・・・,r)とを用いてP(i,j)として表されるものとする。なお、フローチャート中のE(i,j)は撮像画像Imにおける画素P(i,j)の濃淡値を表し、RD(i,j)は画素P(i,j)の良品下限値、RU(i,j)は画素P(i,j)の良品上限値をそれぞれ表し、CH(i,j)は画素P(i,j)についての良品画素・不良画素の判定結果(良品画素は「0」、不良画素は「1」とする)を表している。
【0040】
検査が開始すると、画像処理装置1は、まず撮像装置3で検査対象物4を撮像する(撮像過程)ことにより得られた撮像画像Imを撮像画像メモリ11に記憶する(撮像記憶過程)。それから、画素判定手段12では撮像画像Imの各画素P(i,j)ごとに濃淡値E(i,j)が良品範囲内にあるか否かを判断し、良品範囲内にあれば良品画素、良品範囲内になければ不良画素と判定する(画素判定過程S3〜S5)。ここで、画素判定過程は撮像画像Imの全画素について繰り返される(S1,S2,S6,S7)。
【0041】
その後、欠陥判定手段13では、各撮像画像Imに含まれる不良画素の個数を不良画素数DTとしてそれぞれカウントし(S8〜S14)、当該不良画素数DTを不良数閾値と比較することにより、検査対象物4の良品・不良品の判定を行う(欠陥判定過程S15〜S17)。このとき、検査対象物4が良品と判定されると、濃淡値の良品範囲を更新するための処理(範囲更新過程S18)に移行する。
【0042】
範囲更新過程ではまず、図7に示すように範囲更新手段10が良品と判定された検査対象物4の撮像画像Imを設定用画像メモリ14に記憶する(良品記憶過程S22〜S25)。この良品記憶過程では、上述したように設定用画像メモリ14内の最も古い画像が削除され、前記良品の撮像画像Imが設定用画像メモリ14に追加される。なお、図7中のC(k)(i,j)は、設定用画像メモリ14内の新しい側からk(=1,2,・・・,N)番目の設定用画像Icにおける画素P(i,j)の濃淡値を表している。
【0043】
そして、分布算出手段15aは、設定用画像メモリ14に蓄積されたN枚の設定用画像について画素P(i,j)の濃淡値の度数分布を求める(分布算出過程S26)。ここに、S26では濃淡値の平均を数1に示す式によって求め、さらに、濃淡値の標準偏差を数2に示す式により求めている。
【0044】
【数1】

【0045】
【数2】

【0046】
範囲設定手段15bは、度数分布結果を用いて既定の設定ルールに従って画素P(i,j)における濃淡値の良品範囲を再設定する(範囲設定過程S27)。ここで、設定ルールは、S26で求めた濃淡値の平均および標準偏差を用い、数3および数4に示す式によって良品下限値RD(i,j)および良品上限値RU(i,j)を決めるものとする。図7の例では、S22〜S27の処理は各画素P(i,j)ごとに為され、これらの処理が撮像画像Imの全画素について繰り返される(S20,S21,S28,S29)。
【0047】
【数3】

【0048】
【数4】

【0049】
上述した図6のS1〜S18の処理は、撮像過程により新たな検査対象物4の撮像画像Imが取得される度に繰り返される。
【0050】
以上説明した欠陥検査方法によれば、欠陥判定手段13にて良品との判定が為される度に、設定用画像メモリ14に新たな設定用画像が追加され、当該設定用画像を含めて各画素の濃淡値の度数分布が再計算されて、度数分布結果により各画素ごとに濃淡値の良品範囲が再設定される。このように濃淡値の良品範囲は欠陥判定手段13での判定結果がフィードバックされることにより自動更新されるので、多数の検査対象物4を順次検査するに当たって、たとえば照射装置2の出力低下などによって撮像画像の濃淡値が変化することがあっても、濃淡値の良品範囲を随時更新して最適化することができる。その結果、常に最適な良品範囲を用いて欠陥の有無を検査できるため、欠陥検査の信頼性が高くなる。
【0051】
ここで、良品範囲の更新は、濃淡値の度数分布を求め、その結果を用いて良品範囲を再設定するという比較的簡単な処理で実現されるので、たとえばニューラルネットワーク等の学習型アルゴリズムを用いて良品範囲を更新する場合に比べ、良品範囲の更新のための処理を簡略化することができる。
【0052】
ところで、本実施形態では、検査対象物4の欠陥検査を開始する前に、欠陥のない検査対象物4の撮像画像を設定用画像として設定用画像メモリ14に予め記憶しているが、この例に限らず、欠陥検査の開始前にランダムに選択された複数の検査対象物4の撮像画像を設定用画像として設定用画像メモリ14に予め記憶し、これらの設定用画像から欠陥検査の開始時点の良品範囲が設定されるようにしてもよい。この場合、設定用画像メモリ14に予め記憶される設定用画像には、良品だけでなく不良品となる検査対象物4の撮像画像も含まれるため、画素ごとの濃淡値のばらつきが大きく、欠陥検査の開始時点の良品範囲は比較的広くなる。その後、欠陥検査によって良品と判定された検査対象物4の撮像画像が設定用画像メモリ14に追加されていくに連れて、画素ごとの濃淡値のばらつきが徐々に小さくなって良品範囲の信頼性が向上する。
【0053】
また、設定用画像メモリ14に設定用画像を予め記憶しておくのではなく、たとえば検査員が手入力した良品範囲を欠陥検査の開始時点における良品範囲として用いてもよい。この場合、検査を開始してから設定用画像メモリ14にN枚の設定用画像が蓄積されるまでは、手入力された良品範囲によって欠陥検査を実施し、設定用画像メモリ14にN枚の設定用画像が蓄積された以降、演算処理器15で自動設定された良品範囲を用いることが望ましい。
【0054】
なお、上記実施形態では、撮像画像の各画素ごとに良品範囲を設定し良品画素・不良画素の判定を行うものとして説明したが、ここでいう画素は、撮像装置3としてのX線エリアセンサで得られる生画像の1画素に対応するものに限らない。すなわち、たとえば撮像装置3で得られた生画像について複数画素を1単位として区画化した画像を作成し、当該画像の1区画を1画素として、上記良品範囲の設定および良品画素・不良画素の判定を行うようにしてもよい。
【0055】
(実施形態2)
本実施形態の欠陥検査システムを用いた欠陥検査方法は、画素判定手段12にて一旦は良品画素と判定された画素について、その判定結果を不良画素に修正する判定修正手段16(図11参照)を画像処理装置1に有する点が実施形態1と相違する。
【0056】
判定修正手段16は、画素判定手段12で良品画素と判定された画素のうち、図9(a)に示す2値化画像の画素P(4,3)のように、四方(上下左右)を不良画素(図中黒塗り部分)で囲まれたものがあれば、図9(b)に示すように当該画素の判定結果を不良画素に修正する。すなわち、検査対象物4に欠陥がある場合、画素判定手段12では欠陥の全体に亘って不良画素と判定されるはずであるから、不良画素で囲まれた領域に1画素分だけ良品画素が紛れるようなことは通常起こり得ず、当該良品画素は不良画素が誤って良品画素と判定されたものと推定できる。したがって、判定修正手段16で四方を不良画素に囲まれた良品画素を不良画素と改めることにより良品画素・不良画素の判定確度が向上する。
【0057】
欠陥判定手段13では、判定修正手段16で判定結果が修正された後の不良画素の個数から、検査対象物4の良品(欠陥なし)・不良品(欠陥有り)を判定しており、結果的に、検査対象物4の良品・不良品の判定確度が向上し、欠陥検査の信頼性が向上する。
【0058】
ところで、本実施形態では、判定修正手段16により判定結果が不良画素と改められた画素がある場合、良品範囲を狭めるように修正する範囲修正手段15cとしての機能を演算処理器15に有している。
【0059】
たとえば、撮像画像における画素P(4,3)の濃淡値E(4,3)が図10(a)の良品範囲内にあり、画素判定手段12にて画素P(4,3)は良品画素と一旦判定された後、図9のように判定修正手段16にて当該画素P(4,3)の判定結果が不良画素に修正された場合、範囲修正手段15cは良品範囲を修正によって狭くする(図10(b)参照)。この良品範囲の修正は、判定修正手段16で判定結果が修正された画素だけでなく、全ての画素について為される。ここでは、全ての画素について良品範囲の修正量(良品上限値RUあるいは良品下限値RDのシフト量)は一律とされる。これにより、画素判定手段12で誤って良品画素と判定された画素について判定修正手段16で判定結果が改められた場合、以降、画素判定手段12で良品画素と判定されるための判断基準が厳しくなり、同様の誤判定が画素判定手段12で生じにくくなる。
【0060】
ここに、良品上限値RUが最適値より高かったために不良画素が良品画素と誤判定された場合には良品上限値RUを引き下げ、良品下限値RDが最適値より低かったために不良画素が良品画素と誤判定された場合には良品下限値RDを引き上げることにより良品判定が修正される。いずれの理由で不良画素が良品画素と誤判定されたかは、判定結果が修正された画素の周囲の不良画素の濃淡値が、良品上限値RUを超えているのかあるいは良品下限値RDを下回っているのかによって判断される。すなわち、図10の例では、画素P(4,3)の周囲の不良画素の濃淡値が良品下限値RDを下回っているにもかかわらず、画素P(4,3)の濃淡値E(4,3)が良品下限値RD(4,3)より高かったために画素P(4,3)について良品画素と誤判定されたので、良品下限値RDを引き上げることにより良品範囲を修正する。
【0061】
また、良品範囲の修正量(良品上限値RUあるいは良品下限値RDのシフト量)は、予め一定量に決めておいてもよいが、判定結果が修正された画素やその周囲の画素の濃淡値に基づいて、その都度決定するようにしてもよい。図10の例では、判定修正手段16にて判定結果が修正された画素P(4,3)の濃淡値E(4,3)が良品範囲外となるように、当該画素の濃淡値に基づいて良品範囲の修正量を決定している。具体的には、画素P(4,3)の良品下限値RD(4,3)と濃淡値E(4,3)との差分だけ、良品下限値RDを引き上げている。
【0062】
ただし、判定修正手段16にて判定結果が修正される度に良品範囲が修正されるものとすると、良品画素と判定されるべき画素が判定修正手段16にて誤って不良画素と改められた場合に、良品範囲まで誤って修正されてしまうという不都合を生じ得る。そこで、本実施形態では、判定修正手段16において判定結果が改められた撮像画像が2枚以上の規定枚数に達した場合にのみ、範囲修正手段15cにて良品範囲の修正を行うものとする。
【0063】
具体的には、図11に示すように、判定修正手段16にて判定結果が修正された撮像画像を修正用画像として記憶する修正用画像メモリ17を画像処理装置1に設け、範囲修正手段15cは、修正用画像メモリ17に記憶された修正用画像が規定枚数に達する度に、これら規定枚数の修正用画像を用いて良品範囲を修正する。修正用画像メモリ17は、設定用画像メモリ14と同様に、蓄積された修正用画像が記憶可能な上限枚数に達すると、以降は、修正用画像を古い側から順に削除しながら新しい修正用画像を記憶する。ここに、範囲修正手段15cは、上記規定枚数の修正用画像から判定修正手段16で判定結果が改められた画素の濃淡値をそれぞれ抽出し、たとえばこれらの濃淡値と良品下限値RDまたは良品上限値RUとの差分の最頻値をとることによって、良品範囲の修正量(良品上限値RUあるいは良品下限値RDのシフト量)を決定する。
【0064】
しかして、たとえば良品下限値よりも高かったために良品画素と誤判定された画素が複数あった場合には、これらの画素の濃淡値に基づいて全画素について良品下限値を引き上げることにより良品範囲が修正される。その結果、良品範囲が狭められ、以降の欠陥検査においては同様の誤判定が画素判定手段12で生じにくくなり、欠陥検査の信頼性が向上する。
【0065】
以下、上記構成の欠陥検査システムを用いた検査対象物4の欠陥検査方法について図12および図13に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、図12のS30〜S36の処理は、実施形態1で説明した図6のフローチャートのS7とS8との間に挿入されるものであって、実施形態1と重複する部分については説明を省略する。
【0066】
すなわち、判定修正手段16では、画素判定過程S3〜S5において良品画素と判定された画素を対象に、不良画素にて周囲を囲まれたものがあるか否かを判断し、そのような画素があれば当該画素の判定結果を不良画素に修正する(判定修正過程S32,S33)。ここで、判定結果の修正が為されると、良品範囲について範囲を狭めるように修正する処理(範囲修正過程S34)に移行する。
【0067】
範囲修正過程ではまず、図13に示すように判定修正手段16にて判定結果が修正された撮像画像を修正用画像として修正用画像メモリ17に記憶する(修正記憶過程S42〜S45)。この修正記憶過程では、修正用画像メモリ17内の最も古い画像が削除され、前記修正用画像が修正用画像メモリ17に追加される。図13中のNG(k)(i,j)は、修正用画像メモリ17内の新しい側からk(=1,2,・・・,M)番目の修正用画像における画素P(i,j)の濃淡値を表している。S42〜S45の処理は、各画素P(i,j)ごとに為され、これらの処理が全画素について繰り返される(S40,S41,S46,S47)。
【0068】
そして、修正用画像メモリ17に記憶された修正用画像が規定枚数に達すると(S48〜S50の処理でカウント値CTが規定値CUに達すると)、範囲修正手段15cにより良品範囲が修正される(S53,S54)。図13中のΔRD、ΔRUはそれぞれ良品下限値RDのシフト量、良品上限値RUのシフト量を表している。ここで、良品範囲の修正処理は、全画素について繰り返される(S51,S52,S55,S56)。
【0069】
上述した図12におけるS32〜S34の処理は各画素P(i,j)ごとに為され、これらの処理が撮像画像Imの最外周部(つまり、P(1,j)、P(i,1)、P(p,j)、P(i,r)の4辺)を除く全画素について繰り返される(S30,S31,S35,S36)。
【0070】
なお、その他の構成および機能は実施形態1と同様である。
【0071】
ところで、上記各実施形態では、X線透過画像を用いて検査対象物4の内部の欠陥を検査する欠陥検査システムに本発明を適用する例を示したが、この例に限るものではなく、たとえば検査対象物4に光を照射した状態で照射装置2側から検査対象物4を撮像し、検査対象物4の外観上の欠陥を検査する欠陥検査システムに本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 画像処理装置
2 照射装置
3 撮像装置
4 検査対象物
10 範囲更新手段
11 撮像画像メモリ
12 画素判定手段
13 欠陥判定手段
14 設定用画像メモリ
15 演算処理器
15a 分布算出手段
15b 範囲設定手段
15c 範囲修正手段
16 判定修正手段
17 修正用画像メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光またはX線を検査対象物に照射した状態で検査対象物の画像を撮像装置にて撮像し、濃淡値を画素値とし且つ同一仕様の多数の検査対象物について同一部位が同一画素に対応する撮像画像を得る撮像過程を含み、前記多数の検査対象物を順次撮像して得られる撮像画像を用いて画像処理装置にて各検査対象物の欠陥の有無を検査する欠陥検査方法であって、検査対象物の撮像画像を設定用画像として設定用画像メモリに記憶する設定用記憶過程と、設定用画像メモリに蓄積された複数枚の設定用画像について画素ごとに濃淡値の度数分布を求める分布算出過程と、度数分布の結果を用い既定の設定ルールに従って濃淡値の良品範囲を設定する範囲設定過程と、撮像画像を撮像画像メモリに記憶する撮像記憶過程と、撮像画像の各画素ごとに濃淡値が前記良品範囲内にあるか否かを判断し、良品範囲内にある画素を良品画素、良品範囲内にない画素を不良画素と判定する画素判定過程と、撮像画像に含まれる不良画素の個数から検査対象物の欠陥の有無を判定する欠陥判定過程と、欠陥判定過程で欠陥がないと判定された場合に当該検査対象物の撮像画像を設定用画像として設定用記憶過程により設定用画像メモリに記憶し、分布算出過程および範囲設定過程により良品範囲を自動的に更新させる範囲更新過程とを有することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項2】
前記画素判定過程で前記良品画素と判定された画素のうち前記不良画素と判定された画素で周囲を囲まれたものがある場合、良品画素と判定された当該画素については判定結果を不良画素と改める判定修正過程を有することを特徴とする請求項1記載の欠陥検査方法。
【請求項3】
前記判定修正過程において判定結果が前記不良画素と改められた画素がある場合に、前記良品範囲について範囲を狭めるように修正する範囲修正過程を有することを特徴とする請求項2記載の欠陥検査方法。
【請求項4】
前記判定修正過程において判定結果が前記不良画素と改められた前記撮像画像が2枚以上の規定枚数に達した場合に、前記良品範囲について範囲を狭めるように修正する範囲修正過程を有することを特徴とする請求項2記載の欠陥検査方法。
【請求項5】
前記設定用記憶過程では、前記設定用画像メモリに蓄積された前記設定用画像が設定用画像メモリに記憶可能な上限枚数に達すると、設定用画像メモリ内の設定用画像を古い側から順に削除しながら新しい設定用画像を記憶することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の欠陥検査方法。
【請求項6】
光またはX線を検査対象物に照射する照射装置と、検査対象物の画像を撮像して、濃淡値を画素値とし且つ同一仕様の多数の検査対象物について同一部位が同一画素に対応する撮像画像を得る撮像装置と、前記多数の検査対象物を順次撮像して得られる撮像画像を用いて各検査対象物の欠陥の有無を検査する画像処理装置とを備えた欠陥検査システムであって、画像処理装置は、検査対象物の撮像画像を設定用画像として記憶する設定用画像メモリと、設定用画像メモリに蓄積された複数枚の設定用画像について画素ごとに濃淡値の度数分布を求める分布算出手段と、度数分布の結果を用い既定の設定ルールに従って濃淡値の良品範囲を設定する範囲設定手段と、撮像画像を記憶する撮像画像メモリと、撮像画像の各画素ごとに濃淡値が前記良品範囲内にあるか否かを判断し、良品範囲内にある画素を良品画素、それ以外の画素を不良画素と判定する画素判定手段と、撮像画像に含まれる不良画素の個数から検査対象物の欠陥の有無を判定する欠陥判定手段と、欠陥判定手段で欠陥がないと判定された場合に当該検査対象物の撮像画像を設定用画像として設定用画像メモリに記憶し、分布算出手段および範囲設定手段により良品範囲を自動的に更新させる範囲更新手段とを有することを特徴とする欠陥検査システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−230452(P2010−230452A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77696(P2009−77696)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】