説明

次世代ケーブルネットワークの動的多重化のためのシステム及び方法

ケーブルネットワーク上の種々のタイプのトラフィックを多重化するためのインテリジェントマルチプレクサが開示されている。マルチプレクサは、現在提供されている、又は提供されると予期されるトラフィックに関する情報であって関連するバンド幅を含むものを受信し、そして必要に応じて種々のトラフィックタイプに対してバンド幅を動的に割当てる。ルールデータベースは、いかにしてトラフィックデータの再割当が起きるかを決定するために参照されてよい。このようにして、種々のサービスを収容するために、また、効率的にネットワークリソースを使用するために、フレキシビリティは提供される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は一般にケーブルネットワークテクノロジーに関し、特にケーブルネットワーク上のトラフィックに適応可能なかつ動的多重化技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(背景)
ケーブルネットワークは伝送ネットワークを用いて、複数のビデオや他のタイプの情報ストリームを送信する。これらのネットワークは、伝統的に同軸伝送テクノロジーに基づいていたが、ますます多くのネットワークが光ファイバーテクノロジーに基づいてきており、SONET又はATMに基づく技術を使用している。伝送ネットワークは、もともと一方向の通信媒体に、ヘッドエンドからセットトップボックスへ送信されるビデオ情報を提供していたが、ケーブルネットワークは今や双方向の通信網である。しかしながら、双方向ネットワークを以ってしても、情報の大部分は(利用され割当てられたバンド幅により)ビデオ情報ストリームの形でヘッドエンドからセットトップボックスへ伝送される。
【0003】
実際に使用されている伝送設備に関係なく、サービスに適合するような伝送ネットワークコンポーネントにおいて利用可能なバンド幅割当は、有限である。テクノロジーにおける進歩は、送信され得る情報の総量を増やしてはいるが(例えば、多くの最新のケーブルシステムは、数百のビデオチャンネルを提供し得る)、バンド幅の総量は限られており、各タイプのサービスに割当てられるバンド幅の相対量は固定的(例えば、静的)である。
【発明の開示】
【0004】
ケーブルネットワークオペレータもまた自らが提供するサービスを増やしている。基本的なサービスに加えて、大抵のケーブルネットワークは、高速インターネットアクセスに加え、ムービーオンデマンド、ペイパービューチャンネルを提供する。他の多くのタイプのサービスも可能であるが、全てのサービスのバンド幅要求は、設備の容量を超過してはならない。更には、最も効率的な様式により既存の設備を使用することが望ましい。
【0005】
実務上、もっと多く存在するが、本発明の原理を説明するために、4つの主なサービスが説明される。これらは、以下を含む。
【0006】
1)ムービーオンデマンド(MOD)。このサービスは、現在のところ利用者が複数の映画の中から1つを選択することを許す。利用者は典型的にセットトップボックスからネットワークに信号を送り、そしてネットワークは適当な情報をダウンロードしセットトップボックスがその情報を復号することを許す。
【0007】
2)ブロードキャストベーシックビデオ。これは、継続的に多彩なローカル又は全国的チャンネルをユーザに提供する。チャンネルは途切れることなく利用可能とされているので、この実施態様においては、これらのチャンネルを受信するのに特別なシグナリングは必要とされない。
【0008】
3)データサービス(高速データ)。このサービスは、双方向の高速データ伝送を提供したが、一般にワールドワイドウェブを閲覧するためにユーザに使用される。
【0009】
4)シグナリング。ネットワークが他のサービスを管理し運用することを許すためだけでなく、MODを入手するために、シグナリングはヘッドエンドとユーザのセットトップボックス間で伝送可能でなければならない。
【0010】
これらのサービスのためにバンド幅を割当てる配置は、図1において高い水準で説明される。図1において、ファイバー120は伝送設備を表しているが、これは有限のバンド幅を有しており、ファイバー又は「パイプ」の大きさによって概念的に説明されている。ファイバーは、多様な情報ストリームを伝達しなければならず、そしてこれらはより小さなバンド幅ストリーム又は「パイプ」によって表されている。例えば、ムービーオンデマンドサービス114は、個々のムービー112が流される総バンド幅114として表示される。オペレータは、MODのためにある総バンド幅を割当て、そしてこのようにして規定された数のムービー112しかMODのために割当てられた最大バンド幅114に流すことができない。あるユーザが家庭で典型的に1つのムービーしか視聴していないところ、ネットワーク上の他の受信契約者もそうしているであろう。このように、1つのムービーをオンデマンドで同時に視聴することが出来るユーザの合計数は、サービスのために割当てられたバンド幅によって限定される。
【0011】
同様に、ケーブルオペレータは、またブロードキャストビデオチャンネル108のためのバンド幅110のある量を割当てる。この場合、割当てられたバンド幅は、チャンネルが典型的に連続的に送信されるので、送信されるチャンネルの数と通常同じである。しかしながら、ある場合では、いくつかのチャンネルは、1日のうち限られた数時間しか番組を放送しないかもしれない。例えば、特定のチャンネルは、早朝の時間帯には番組を放送しないかもしれない。そのチャンネルのバンド幅は他の目的のために使用されないので、その代わりにチャンネルは「つなぎ」番組(例えば、「インフォマーシャル」)を放送しているかもしれない。しかしながら、一般的に言えば、ブロードキャストベーシックビデオのために割当てられたバンド幅は、チャンネルの最大数との相互関係があり、これは典型的にその時々に放送されているチャンネルの数と同じである。
【0012】
シグナリング106のために割当てられたバンド幅は、シグナリングトラッフィック104のためのトラフィック要求がより少ないことから、前述のサービスと比較して典型的に小さい。シグナリングチャンネル割当は、割当てられた他のタイプのサービスに一部依存する。この単純な例において、もしもムービーオンデマンドが提供されないとしたならば、シグナリングチャンネル106はより小さいバンド幅を割当てられるであろう。
【0013】
最後に、バンド幅102のある量は、高速データトラフィック100のために割当てられる。このようなトラフィックは、典型的に、ワールドワイドウェブを閲覧するユーザを代表するものであり、双方向のトラフィックを表している。
【0014】
図1のイメージは、ケーブル伝送ネットワークにおける種々のサービスのために割当てられるバンド幅の相対的なサイズ、及びそれらがトラフィックの特定の例を伝達するためにいかに使用されるかを単純化したイラストである。現在の実務は、使用、トラフィックパターン及び量、そして収益性の最も良い見積もりに基づいて、各サービスのグループ分けのために割当てられたバンド幅を静的に定義する。考慮された1つの要因は、(アナログ又はデジタル送信のいずれに基づくとしても)配送される最大数のチャンネルの割当てられた数を含む。残ったバンド幅は、そこでMODに割当てられる部分に分割される。典型的に、バンド幅は対処されるべき要求の最大数を許す。次に、バンド幅の一部は、小さいものの、シグナリングアプリケーションのために割当てられる。そして、残された帯域幅はいずれであっても、インターネット(データ)に基づくトラフィックのために割当てられてよい。
【0015】
バンド幅リソースのこの固定された割当を収容するネットワークアーキテクチャが、図2に示されているが、該図はVOD QAM装置200、スイッチビデオブロードキャスト202、ブロードキャストチャンネル、高速データトラフィック206、及びシグナリングデータ208を図示している。この各々は、固定量のバンド幅が割当てられるが、図1の「パイプ」の各々に対応している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(詳細な説明)
異なるタイプのサービスのためのバンド幅の静的な割当が、ケーブルネットワーク上にバンド幅を割当てる現在の実務である。これは、オペレータがバンド幅割当を定義し、定期的にサービス及び使用に関して割当を見直すことを要求する。典型的に、ケーブルオペレータは種々のサブネットワークを有し、そして各々のためのバンド幅が定期的に見直され、同様に再割当てされなければならない。仮に新しいサービスが提案されるとすると、バンド幅のある量がそれに割当てられなければならず、そしてケーブルプロバイダーは、使用されていないバンド幅を割当てるか、又は、より起こり得るが、既存のサービスタイプ中のバンド幅を再割当てしなければならない。明らかに、使用可能なリソース(バンド幅)をリソース(サービス)の要求にマッチングさせることは、時間がかかり、エラーを引き起し易く、そして見積もりに依存するものである。割当可能なバンド幅の過剰分を有することは、割当プロセスを容易にし、そしてエラーに対する「クッション」を提供するが、バンド幅の過剰分を保持することは非効率的であり、そして、実現しない潜在収入を意味する。更に、バンド幅の過剰分は、常に存在するとは仮定できない。もし、十分な追加的バンド幅が利用できるのであれば、既存の割当を変えることなく新しいサービスの追加が可能であり、そして再割当は必要ではない。
【0017】
しかしながら、チャンネルの増加する数、新機能の増加により、新しいサービスを追加するための利用可能なバンド幅は、限られる。多くの新しいサービスの機会が存在し、そしてケーブルオペレータがこれらをそのケーブルネットワークに追加することを望むとすれば、新規及び既存のサービスを管理するために、よりフレキシブルなバンド幅割当のスキームが必要とされる。
【0018】
現在の実務において基本スキームは、図1及び2において説明されている。図1において、ケーブルオペレータが、異なるサービスに対するリソース割当のために作るであろう1つの割当が図示されている。図1において、ファイバー120は、常時それらのサービスを収容できるように割当てられた有限のバンド幅を表している。開示されたサービスは例であり、より多くの、又はより少ないサービスがあってよい。図1は、高速データ102のための固定化されたバンド幅を表し、これは例えばTPC/IP接続100等のような多くのアクティブコネクションを含んでよい。同様に、多くのチャンネル108を含むブロードキャストビデオ110のために割当てられた固定バンド幅がある。同様に、ホストとネットワーク間でシグナリング情報104を伝達するシグナリングチャンネル106がある。最後に、ある数のムービー112の最大数を対処できるムービーオンデマンド114のために割当てられた有限なバンド幅がある。
【0019】
現在のところ、帯域幅の割当は静的であり、そして関連するアーキテクチャは図2に示される。図2において、バンド幅の各々は割当てられており、必要とされるトラフィックを伝達しなければならない。例えば、図2において、高速DOCSISネットワークトラフィック208は、図1の全高速データトラフィック100を伝達する図1のバンド幅102が割当てられている。割当てられたバンド幅は、現在の/予測する受信契約者の基準に基づいて大きさが決められる。同様に、図2のストリームコントロール200は、ホストとケーブルネットワーク間のシグナリングトラフィックを表しており、又、シグナリングトラフィック集合体104を伝送する図1に示すシグナリングトラフィック104に対応する。同様に、ブロードキャストトラフィック206、スイッチデジタルビデオ204、及びビデオオンデマンドトラフィック202に割当てられるバンド幅の静的な量が存在する(これらの全ては、図1において示されている相当するバンド幅を有していることに留意されたい。)。図2は、トラフィックを多重化するために使用される装置が、他のトラフィックから独立しているバンド幅を割当てられることを図解する。更に、図2におけるQAMの各々はそのバンド幅を管理してよく、例えば、広告情報の挿入を収容してよい。また、QAM内のトラフィックの割当は、他のそれとリアルタイムでコーディネートされていない。
【0020】
予想されるように、サービス構成及びそのようにして割当てられたバンド幅は、一日の中で、又は週の曜日により変化し得る。例えば、ケーブルオペレータは、MODの要求が、週末の夜に著しく増加することや、提供される映画の人気度に基づいて、MODの要求が著しく増加することを見つけるであろう。同様に、データトラフィック(例えば、インターネット)は平日に増加し、週末に減少するかもしれない。
【0021】
時間に基づく測定基準に加えて、サービス地域の視聴者層が、他のサービス地域に関連するサービス構成に影響を与えるかもしれない。ある地域は、より大きな割合のデータトラフィックと、より低いブロードキャストビデオに対する需要を示すかもしれない。他の地域は、ムービーオンデマンドに対する大きな需要を示さないかもしれない。就学年齢の児童を持つ多数の家庭を含む地域では、平日の放課後、学業のためにインターネットを使用するかもしれず、一方で、そのような家庭をより少なく有する他の地域は同様の需要は有しないかもしれない。このように、ケーブルネットワークオペレータは、特定の地理的なエリアに基づいてバンド幅リソースの割当を変更しようと望むかもしれない。例えば、サービス地域の一部が、1つのタイプのトラフィック割当を有するかもしれず、一方、サービス地域が異なるトラフィック割当スキームを有するかもしれない。種々のサービスタイプに対するバンド幅の割当は、定期的な調節を必要とする。
【0022】
変化してゆく加入者の受信契約者層又は成長の要因に基づいてケーブルオペレータによってトラフィック割当が手動でなされてもよいが、再調節はエラーを引き起こし易い。もし、不必要な高速データに多すぎるトラフィックが割当てられていたら、ある時々にビデオオンデマンドサービスを選択する際に、ユーザは、マイナスな印象を受けるかもしれない。最も効率を良くするために、再割当はリアルタイムになされるべきであるが、これは手動では可能ではない。
【0023】
バンド幅の動的割当の概念は、図3に示されている。図3において、サービスのために割当てられた相対的なバンド幅は、図1と比べて異なる。更に、サービスのために割当てられる相対バンド幅は、時間に対して変化するであろう。このように、図3は、時刻=T+Δにおける、同じケーブルネットワークのバンド幅割当を図解する。割当てられたバンド幅における違いの理由は一部のサービス地域において、ムービーオンデマンド(MOD)に対して予想よりも大きな需要が存在し、そして同時視聴ムービー312の増加した数を収容可能にするために、MOD用に、このように割当てられたバンド幅314がより大きくなるからである。同様に、より少ないブロードキャストビデオチャンネル308の必要性が存在し得る。必要とされる数は、一日の時間帯により変化するであろうし、また、ケーブルネットワークがサービスする特定のマーケットにより変化するであろう。シグナリングバンド幅306は同じ大きさに、インターネットベースのコネクション300の増加する数に基づき、データに割当てられるバンド幅302はより大きく、図示される。
【0024】
ケーブルネットワーク上をヘッドエンドから送信されている種々の情報ストリーム(ビデオ又は他の物のいずれにしても)を知的にかつ動的にコントロールする能力は、ネットワークにおける装置の操作に衝撃を与える。装置は、必要とされる又は消費されるバンド幅リソースに関する情報を、受信又は提供できなければならない。順応性とより高い効率性を提供するために、ケーブルネットワークは今や、動的に割当てられたバンド幅スキームを用いて情報ストリームを提供できなければならない。
【0025】
このことは、図4に示されているインテリジェントマルチプレクサ(「次世代QAM」又は「NexGen QAM」としても知られている)400を使用することにより、成し遂げられる。NexGen QAMは、必要とされるバンド幅に関する情報を受信することができ、そして、適切にサービスに対してバンド幅の割当を動的に調整することができる。更に、ネットワークの辺縁部にインテリジェントQAMマルチプレクサを設置することにより、ネットワークに接続されているホストの必要性に対するトラフィックの割当は、分配ネットワークに対してよりよく適合できる。更に、ネットワークの辺縁部により近接した異なるタイプのトラフィックを多重化することにより、トラフィックタイプの各々に対処する種々の本質的に異なるネットワークコンポーネントが、トラフィック集合体からより遠くに単離される。本質的に、ネットワークの辺縁部における異なるストリームを多重化することは、多重化の前のトラフィックタイプのトラフィック割当をある程度まで開放する。この多重化は異なるトラフィックタイプ間のバンド幅割当の一点調整もまた提供する。
【0026】
図4に示すように、NexGen QAM 400は、2つのタイプのトラフィックを受信する。第一に、NexGen QAM 400は、ホストへ多重化されるトラフィックを受信する。第二に、NexGen QAM 400は、ホストへ送信されるトラフィックについてシグナリング情報を受信する。各トラフィックタイプについてのシグナリング情報を受信することにより、NexGen QAM 400は、現在の需要及び現在のトラフィック割当に基づいて、どのようにトラフィックを割当てるかを知ることができる。このようにして、NexGen QAM 400は、データそのものだけでなく、DOCSIS HSDの確立要求に関する情報を受信する。その結果、NexGen QAM 400は、ユーザとインターネット(不表示)間で高速データを伝達するセットトップゲートウェイ(DSG)インターフェイス402を包含するように示されている。高速データは典型的に双方向であり、そしてそのバンド幅の要件は、HSDサービスにアクセスできる受信契約者の数に直接的に関連する。
【0027】
NexGen QAMはホストにカルーセルされているシグナリングデータもまた多重化する。データカルーセル404は、必要に応じてホストへの指令のダウンロード、及びソフトウェアの更新の分配を行う。典型的に、このトラフィックタイプのために必要とされる量は、そう大きくはない。いくつかの実施例においては、この割当は静的であってよいが、もし多数のダウンロードが必要な場合には、割当てられたバンド幅を調整する動機があり得る。勿論、NexGen QAM400による帯域幅の動的な割当は、必要に応じた再割当を知らせるためにホストへのシグナリングプロトコルを要求する。
【0028】
NexGen QAMは、ビデオストリームを表すスイッチデジタルブロードキャスティングチャンネル406の多重化もまた組み込んでいる。割当てられたバンド幅は、伝達されたビデオストリームの数に直接比例する。同様に、ビデオストリームはビデオストリーミングコンポーネント408によって受信され、そしてNexGen QAMへと伝達される。ビデオストリームとスイッチデジタルチャンネルは、直接挿入される広告を持っているかもしれない。そして、QAMは、広告挿入トラフィックを受信するためのコンポーネント410を持っている。NexGen QAM400は、広告トラフィック416のみならず、トラフィックがいつ、どのようにして挿入されるべきかに関するシグナリング情報をも受信する。
【0029】
図示されるように、NexGen QAMは、どのトラフィックタイプが移送される必要があるかについても、それらの特性と同様に、知ることが必要とされる。その結果、NexGen QAMはトラフィックについての入力を受信する。例えば、入力420は、要求されたユーザサービスに関するクライアントアプリケーションインターフェイス422から受信される。これは、予想される利用者のバンド幅の要件についてNexGen QAMへ情報を提供する(例えば、視聴するためにユーザによって要求されているムービーに対してバンド幅を割当てることを確実にすることを含む)。加えて、NexGen QAMは、他のビデオストリーム422、スイッチデジタルコントロールメッセージ428、カルーセルデータ430等に関する情報のような他の情報を受信する。
【0030】
NexGen QAMは、管理されるバンド幅リソースについて情報ストリームの相対的な割当に衝撃を与えるデータ入力をモニタする。このようにして、NexGen QAMは、リソースへのサービスの割当を支配しているケーブルオペレータによって定義される種々のルールへのアクセスだけでなく、ユーザによって現在要求されているサービスや、提供されている現在のサービスのステータスを含む入力を受信する。例えば、もし多数のユーザがある特定の時に1つの映画を求めたとしても、保証された最低限のサービスレベルを提供するために、種々のルールに基づいて許されるであろう最大数が存在し得る。具体的には、オペレータは、高速データ使用のためにあるバンド幅レベルをリザーブしておくことを望むかもしれないが、たとえバンド幅又はリソースが追加のムービーに対して利用可能であるとしても、それでもやはりムービーの数は限定されるであろう。
【0031】
種々のトラフィックタイプの入力は、NexGen QAMのサブコンポーネントであるトランスポートストリームプロセッサ(トランスポートストリームマルチプレクサ又はTSMとも呼ばれる)430へ提供される。TSMは、どのストリームがユーザに提供されるかを決定するための「ゲートキーパー」である。TSMは、割当てられたバンド幅へ入力の各々を選択的に割当て、そして移送のための入力ストリームを調整する。TSMはまた送信に先立ってデータを再コード化および/又は暗号化してもよい。
【0032】
図4は、種々のリソースがNexGen QAM中に含まれるものとして開示してはいるが、他の実施例では、一部のコンポーネントを選択的に分離してもよい。このようにして、ある実施例においては、NexGen QAM 400のみがTSMのみを含んでもよい。しかしながら、それでもなお他のコンポーネントはTSMと堅固に結合されているであろう。例えば、スイッチング構造、ビデオストリーム、データカルーセル等、TSMと幾つかのコンポーネントを組み込むことには利点が存在する。このことは、TSMとリソース間のトラフィックタイプのより速いかつ密接な調整を許す。
【0033】
TSMは論理的に広告ストリームが送信の中に挿入されるポイントとしてもまた機能する。送信ストリームへできるだけ近く広告情報の挿入を行うことにより、広告はローカルマーケットに合うように仕立てることができる。広告挿入は、多様な技術を使用して挿入されてよく、多様な入力ストリーム中へ挿入されてよい。
【0034】
同様に、TSMは、ビデオオンデマンド(又はムービーオンデマンド)に対応するデータを受信してよく、そしてデータのローカルバッファリングをさらに提供することができる。TSMにリソースからデータを「引き出し」、そしてそのデータをバッファリングすることを許すことによって、ビデオソースは、緊密に同期化されたデータストリームを提供するためには、もはや必要とされない。むしろ、この機能性は、トラフィックがケーブルネットワーク上へ多重化された時に、TSMによって提供される。このアプローチは、高度に同期化されたデバイスの集合体の必要性を、ある程度軽減し、そしてTSMにおける同期化機能性を集中する。
【0035】
最後に、TSMは、スイッチデジタルブロードキャスティングやローカルチャンネル等を調整し挿入するための論理点である。TSMはまたストリームを受信し、必要に応じてビデオデータをバッファリングし、そして変換(トランスコード)してよい。
【0036】
TSMを組み込むことは、他のネットワークの要素が、非ストリームデータとしてのデータを提供することを可能とし、そしてネットワークの辺縁部において最終情報ストリーム集合体を調整する機能をローカライズする。そうすることにより、いかにしてソースが最終情報ストリーム集合体を形成するためのエリアに結合され得るかに関して、より高いフレキシビリティが与えられる。このことは、ケーブルオペレータに対してもより高いコントロールとフレキシビリティを提供する。
【0037】
TSMは、異なるタイプのサービスに対して現在割当てられている利用可能なバンド幅と同様に、最大限の利用可能なバンド幅の指示(indication)と共に、典型的にデータベース、又は他のメモリストアを保持する。トラフィックタイプに関するサービス要求又は他の情報を受信すると、TSMは、現在割当てられている利用可能な容量を確定し、そして追加のバンド幅が1のサービスタイプへ割当て得るか否か、そしてそれが利用可能か否かを決定する。利用可能な最大限のバンド幅に対する適当な変更は、サービスタイプに対するバンド幅の他のいかなる割当に対する適当な変更と同様になされる。加えて、要求に対する関連するバンド幅を確定するために、TSMは、トラフィックタイプに対する限界を示す種々のルールを参考にし、又はいかにしてバンド幅が割当てられるべきかを決定するために、一日の時間、週の曜日に基づくものを含む経時的な傾向にアクセスしてよい。このようにして、限界を超えないように、最低限又は最大限のバンド幅閾値が定義されてよい。例えば、NexGen QAM 400は、割当てられたバンド幅を見張って、ビデオオンデマンドムービーに対する要求に関して、バンド幅の最小割当は、高速データユーザのために確保しなければならない。そのような場合においては、NexGen QAMは、要求が収容できないと(適切なトラフィックソースへ)シグナリング指示(indication)を発生してよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
(図面の簡単な説明)
【図1】図1は、ケーブル分配ネットワークにおけるトラフィックの複数のタイプのためのバンド幅割当の従来技術の方法を開示する。
【図2】図2は、ケーブルネットワークにおける複数のサービスを提供するためのネットワークアーキテクチャの従来技術の方法を開示する。
【図3】図3は、ケーブルネットワークにおいて、バンド幅をトラフィックタイプに動的に割当てる本発明による実施例を開示する。
【図4】図4は、ケーブルネットワークにおいて動的バンド幅割当を提供するためのネットワークアーキテクチャの本発明による実施例を開示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル分配ネットワーク上の送信のための高速データトラフィックを含む第1のトラフィックデータを受信することができる高速DOCSISに基づくコンポーネントへの第1のトラフィックインターフェイスと;
高速データトラフィックに関連する第1のバンド幅インジケータを受信することができる第1のトラフィックシグナリングインターフェイスと;
ケーブル分配ネットワーク上の送信のための高速データトラフィックを含む第2のトラフィックデータを受信することができるスイッチデジタルブロードキャストコンポーネントへの第2のトラフィックインターフェイスと;
スイッチデジタルブロードキャストトラフィックに関連する第2のバンド幅インジケータを受信することができる第2のトラフィックシグナリングインターフェイスと;
ケーブル分配ネットワーク上の送信のためのビデオオンデマンドトラフィックを含む第3のトラフィックデータを受信することができるビデオオンデマンドコンポーネントへの第3のトラフィックインターフェイスと;
ビデオオンデマンドトラフィックに関連する第3のバンド幅インジケータを受信することができる第3のトラフィックシグナリングインターフェイスと;
高速データトラフィック、スイッチデジタルブロードキャストトラフィック、及びビデオオンデマンドトラフィックを受信し、多重化されたトラフィックストリームを創出するトラフィックマルチプレクサとであって、第1のトラフィックバンド幅インジケータ、第2のトラフィックバンド幅インジケータ、及び第3のトラフィックバンド幅インジケータからなるグループの中の1つを受信することに応答して、高速データトラフィック、スイッチデジタルブロードキャストトラフィック、及びビデオオンデマンドトラフィックの中の1つに対して利用可能なバンド幅を更に再割当てするトラフィックマルチプレクサであり、ここで、バンド幅の再割当が、ケーブル分配ネットワークの分配設備上に多重化されたストリームのために利用可能な総バンド幅レベルを考慮するところのトラフィックマルチプレクサと;を含むケーブル分配ネットワークにおける多重化装置。
【請求項2】
第1のトラフィックデータ、第2のトラフィックデータ、及び第3のトラフィックデータからなるグループの中から少なくとも1つを含むバンド幅の再割当を決定するため、トラフィックマルチプレクサによって使用されるルールのデータベースを更に含む請求項1記載の装置。
【請求項3】
ケーブル分配ネットワーク上で、ユーザによる要求の指示(indication)を受信することができるクライアントアプリケーションインターフェイスへの第4のインターフェイスを更に含む請求項1記載の装置。
【請求項4】
トラフィックマルチプレクサが、要求の指示(indication)の受信に応答して、第1のトラフィックデータ、第2のトラフィックデータ、及び第3のトラフィックデータからなるグループの中の少なくとも1つへバンド幅を更に再割当てする、請求項3記載の装置。
【請求項5】
更に、バッファを含み、該バッファは、多重化されたトラフィックストリームの同期化を容易にするように、第1のトラフィックデータ、第2のトラフィックデータ、又は第3のトラフィックデータの内の少なくとも1つを記憶する、請求項1記載の装置。
【請求項6】
複数の入力が、更に広告トラフィック及び関連する広告コントロール情報を受信し、トラフィックマルチプレクサは、広告コントロール情報に従って、スイッチデジタルブロードキャスティングデータで、広告トラフィックを多重化する、請求項1記載の装置。
【請求項7】
トラフィックマルチプレクサが、スイッチデジタルブロードキャストトラフィックをトランスコードする、請求項1記載の装置。
【請求項8】
バンド幅の再割当の後、トラフィックマルチプレクサが、ケーブル分配ネットワーク上のホストに、トラフィックタイプの中の1つにアクセスする仕方を知らせる、請求項1記載の装置。
【請求項9】
第1のバンド幅レベルに関連したトラフィックマルチプレクサでスイッチブロードキャストトラフィックを受信するステップと;
第2のバンド幅レベルに関連したトラフィックマルチプレクサでの高速データトラフィックを受信するステップと;
第3のバンド幅レベルに関連したトラフィックマルチプレクサでのビデオオンデマンドトラフィックを受信するステップと;
ケーブル分配ネットワーク上の送信のために多重化されたトラフィックを形成するために、トラフィックマルチプレクサでのスイッチデジタルブロードキャストトラフィック、高速データトラフィック、及びビデオオンデマンドトラフィックを多重化するステップと;
スイッチデジタルブロードキャストトラフィック、高速データトラフィック、及びビデオオンデマンドトラフィックからなるグループの中の1つから関連したバンド幅において要求される増加の指示(indication)を受信するステップと;
バンド幅における増加とそれぞれに関連した第1のバンド幅レベル、第2のバンド幅レベル、及び第3のバンド幅レベルに関連する、バンド幅レベルの中の少なくとも1つを再割当てするステップと;
再割当てされたバンド幅レベルに従って、トラフィックにおいて、スイッチデジタルブロードキャストトラフィック、高速データトラフィック、及びビデオオンデマンドトラフィックを多重化するステップと;
を含む、ケーブル分配システムにおけるトラフィックマルチプレクサでのトラフィックを多重化する方法。
【請求項10】
高速データのために割当てられたトラフィックが、最低閾値レベルよりも大きい、請求項9記載の方法。
【請求項11】
バンド幅における要求される増加の指示(indication)が、ケーブルネットワークに付けられるホストからのシグナリング要求を解析することに基づいている、請求項9記載の方法。
【請求項12】
第1のバンド幅レベル、第2のバンド幅レベル、及び第3のバンド幅レベルからなるグループの中の1つへの、バンド幅における提案された増加が、定義されたレベルを超過するかどうかを決定するために、ルールデータベースにアクセスするステップを更に含む、請求項9記載の方法。
【請求項13】
1つのタイプのトラフィックに対するバンド幅の再割当の指示(indication)を提供するために、ネットワーク上の少なくとも1つのホストへ信号伝達情報を送信するステップ;
を更に含む、請求項9記載の方法。
【請求項14】
トラフィックマルチプレクサにおけるメモリ中に保持されるバンド幅割当テーブルを更新するステップ;
を更に含む、請求項9記載の方法。
【請求項15】
トラフィックマルチプレクサで受信されるスイッチブローキャストトラフィックに対する第1のバンド幅割当をメモリ中に記憶するステップと;
トラフィックマルチプレクサにおいて受信される高速データトラフィックに対する第2のバンド幅割当をメモリ中に記憶するステップと;
トラフィックマルチプレクサにおいて受信されるビデオオンデマンドトラフィックに対する第3のバンド幅割当をメモリ中に記憶するステップと;
スイッチブロードキャストトラフィック、高速データトラフィック、及びビデオオンデマンドトラフィックからなるグループの中の1つから関連したバンド幅における要求される増加の指示(indication)を受信するステップと;
バンド幅における増加にそれぞれに関連した第1のバンド幅レベル、第のバンド幅レベル、及び第3のバンド幅レベルに関連するバンド幅レベルの中の少なくとも1つを再割当てするステップと;
再割当てされたバンド幅レベルに従って、トラフィックで、スイッチデジタルブロードキャストトラフィック、高速データトラフィック、及びビデオオンデマンドトラフィックを多重化するステップと;
を実施するマルチプレクサをコントロールするプロセッサにおいて、実行のためのソフトウェアを含むコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項16】
再割当てされたバンド幅に基づいてメモリ中のバンド幅割当テーブルを更新するステップ;
を更に含む、請求項15記載のコンピュータ実行可能なソフトウェア。
【請求項17】
1つのトラフィックタイプに対してバンド幅を再割当てすることについて限界を決定するためにルールデータベースにアクセスするステップ;
を更に含む、請求項15記載のコンピュータ実行可能なソフトウェア。
【請求項18】
1つのタイプのトラフィックに対するバンド幅の再割当の指示(indication)を提供するために、ネットワーク上の少なくとも1つのホストへの送信のためのシグナリング情報を発生するステップ;
を更に含む、請求項15記載のコンピュータ実行可能なソフトウェア。

【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図2】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2008−538484(P2008−538484A)
【公表日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507735(P2008−507735)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/014011
【国際公開番号】WO2006/113404
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(507103857)タンドベルグ テレビジョン インコーポレーテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】TANDBERG TELEVISION INC.
【住所又は居所原語表記】4500 River Green Parkway, Suite 110, Duluth, Georgia 30096 US
【Fターム(参考)】