歩行者検出装置
【課題】処理負担を小さくしつつ、歩行者であるか否かを精度よく判定する。
【解決手段】発光手段2と受光手段3とを備えた距離画像センサ1によって検出された障害物について、部位特定処理部12によって、例えば頭部と胴部と脚部とに相当する所定部位が特定される。表面形状検出処理部13によって、頭部等の奥行き表面形状が、発光手段2から照射された検知光が所定部位で反射されて受光手段3で受光されるまでの時間に基づいて検出される。歩行者判定手処理部14によって、検出された表面形状を記憶部15に記憶されている表面形状パターンと照合して、その一致度合に基づいて障害物が歩行者であるか否かが判定される。
【解決手段】発光手段2と受光手段3とを備えた距離画像センサ1によって検出された障害物について、部位特定処理部12によって、例えば頭部と胴部と脚部とに相当する所定部位が特定される。表面形状検出処理部13によって、頭部等の奥行き表面形状が、発光手段2から照射された検知光が所定部位で反射されて受光手段3で受光されるまでの時間に基づいて検出される。歩行者判定手処理部14によって、検出された表面形状を記憶部15に記憶されている表面形状パターンと照合して、その一致度合に基づいて障害物が歩行者であるか否かが判定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行者検出手段に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車等の車両においては、安全のために、前方にある障害物が歩行者であるか否かを検出することが望まれる。前方の障害物、特に走行路面上の障害物が歩行者であるか否かを判定する技術は種々提案されているが、その殆どは、検出された障害物の全幅等から歩行者であるか否かを判定するものとなっている。特許文献1には、歩行者であるか否かを早期に検出するために、画像センサの検知領域内に障害物の一端部を検出した時点からこの障害物を監視して、障害物の他端部が検知領域に入って障害物の全体像を把握した時点で、その幅の大きさ基づいて障害物が歩行者であるか否かを判定する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2005−228127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、障害物の全体像を把握して、特にその幅の大きさに基づいて歩行者であるか否かを判定する手法では、常に障害物の全体をみることから処理負担が極めて大きくなり、また判定精度も十分に満足のいかないものとなる。
【0004】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、処理負担が小さくてすみ、しかも歩行者であるか否かを精度よく判定できるようにした歩行者検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、基本的に、人体の所定部位つまり人体の特徴となる部分に着目するようにしてあり、この所定部位での人体の表面形状をあらかじめ表面形状パターンとして記憶しておき、実際に検出された障害物における所定部位の表面形状を表面形状パターンと比較することによって、歩行者であるか否かを判定するようにしてある。具体的には、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
前方の障害物を検出する障害物検出手段と、
前記障害物検出手段で検出された障害物の所定部位を特定する部位特定手段と、
発光手段と受光手段とを備え、前記部位特定手段によって特定された前記所定部位の奥行き表面形状を、前記発光手段から照射された検知光が該所定部位で反射されて該受光手段で受光されるまでの時間に基づいて検出する表面形状検出手段と、
人体の所定部位における奥行き形状を表面形状パターンとして記憶している記憶手段と、
前記表面形状検出手段で検出された表面形状を、前記記憶手段に記憶されている前記表面形状パターンと照合して、その一致度合に基づいて前記障害物検出手段で検出された障害物が歩行者であるか否かを判定する歩行者判定手段と、
を備えているようにしたる。
【0006】
上記解決手法によれば、障害物の所定部位における表面形状を、この所定部位に対応した位置での人体の表面形状パターンと照合することによって、障害物が人体つまり歩行者であるか否かを判定することができる。そして、この判定に際しては、所定部位に着目して行えばよいので、判定に際しての処理負担が小さくてすむことになる。また、あらかじめ記憶されている表面形状パターンと検出された表面形状を照合してその一致度合から歩行者であるか否かを判定すると共に、互い照合される検出された表面形状と記憶されている表面形状パターンとは、奥行きのある表面形状とされているので(3次元的な表面形状となる)、判定精度の極めてよいものとなる。
【0007】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
前記所定部位が、人体の頭部と胴部と脚部との少なくともいずれか1つとされている、ようにしてある(請求項2対応)。この場合、所定部位を、人体の特徴となる部位として選択して、判定精度を高める上で好ましいものとなる。
【0008】
前記所定部位が、人体の頭部と胴部と脚部とされている、ようにしてある(請求項3対応)。この場合、所定部位を、それぞれ人体の特徴を示す3つの部位を選択して、判定精度をより高める上で好ましいものとなる。
【0009】
前記脚部の表面形状の変化速度に基づいて、前記障害物の移動速度を検出する、ようにしてある(請求項4対応)。この場合、脚部の表面形状の変化速度に基づいて、歩行者の移動速度を精度よく検出することができる。
【0010】
前記発光手段と前記受光手段とを有する単一の距離画像センサを備え、
前記単一の距離画像センサが、前記障害物検出手段と前記表面形状検出手段とで共用されている、
ようにしてある(請求項5対応)。この場合、ハードウエア資源を極力少なくして、コスト低減の上で好ましいものとなる。
【0011】
前記表面形状検出手段による表面形状の検出が、自車両から所定距離内にある障害物に対してのみ実行される、ようにしてある(請求項6対応)。この場合、危険性の高い近距離にある障害物に対してのみ判定のための処理を行って、判定精度の向上や処理負担軽減の上でより好ましいものとなる。
【0012】
前記表面形状パターンが、人体の相違する向き毎に記憶手段に記憶されている、ようにしてある(請求項7対応)。この場合、歩行者の向きの相違に対応して、歩行者であるか否かをより精度よく判定することができる。また、歩行者の向きそのものを知ることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、処理負担が小さくてすみ、しかも歩行者であるか否かを精度よく判定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明による歩行者検出装置が搭載された車両としての自動車Vが示される。この自動車Vには、単一の距離画像センサ1が搭載されている。この距離画像センサ1は、図2に示すように発光手段としての発光部(投光部)2と受光手段としての受光部3とを備えて、発光部2から前方へ向けて検知光が発光される一方、受光部3によって、前方の障害物で反射された検知光を受光するようになっている。このような距離画像センサ1は、その検知領域が極力前方の走行路面上となるように設定されて、前方の(走行路面上の)障害物を検出手段する障害物検出手段を構成している。また、距離画像センサ1は、発光部2から検知光を照射した時点と、障害物で反射された検知光が受光部3で受光された時点との時間(時間差)に基づいて、障害物の奥行きのある表面形状を検出するようになっており、表面形状検出手段をも構成している。なお、表面形状(奥行きのある奥行き形状)の点ついては、後に詳述する。
【0015】
自動車Vは、自動的にブレーキをかける自動ブレーキ用アクチュエータ5,自動的に操舵輪を操作する自動操舵用アクチュエータ6を備えている。また、自動車Vは、表示画面やブザー等からなる警報装置7を備えている。前方に検出された障害物が危険範囲にある歩行者である場合に、警報装置7が作動されると共に、アクチュエータ5、6の少なくとも一方が作動される。
【0016】
図2は、前方の障害物検出と、検出された障害物が歩行者であるか否かの判定を行う部分の回路をブロック図的に示すものである。この図2において、Uは、マイクロコンピュータを利用して構成されたコントローラ(制御ユニット)である。このコントローラUは、距離画像センサ1については、発光部3を所定の短い単位時間毎に間欠的に発光させる制御を行うと共に、受光部3からの受光信号が入力され、さらに、発光部2での検知光照射時間(発光タイミング)と受光部3での受光時間(受光タイミング)との時間差を監視する。
【0017】
コントローラUは、複数の処理部10〜14と記憶部15とを有する(各部に応じた機能を有する)。処理部10は、距離測定処理部10であって、障害物までの距離を検出する(検知光の発光時間と受光時間との時間差に基づいて距離計算)。この距離測定処理部10は、あらかじめ設定された所定距離内(例えば50m以内)の障害物のみについて後の処理を実行させる一方、上記所定距離よりも遠い位置にある障害物については後の処理を実行させないものとする(距離測定処理部10による障害物の選択)。
【0018】
所定距離内にある障害物について、全長検出処理部11によって、その全長(長手方向長さ)を検出する処理が実行される。この後、部位特定処理部12によって、障害物の所定部位の特定が行われる。この所定部位は、例えば、人体の頭部、胴部、脚部の3箇所のうちの1箇所のみ、任意の2箇所、あるいは3箇所全てとすることができる。図3、図5には、この所定部位の設定例が具体的に示される。すなわち、図3は人体を正面から見たとき(自車両に対して正対しているとき)であり、図5は、人体を横方向(右方向)から見たとき(自車両に対して横向き)である。障害物の全長を「h」としたとき、それぞれ障害物の一端から例えば10%の距離の位置が頭部位置として特定され、例えば50%の距離位置が胴部位置として特定され、例えば80%の距離位置が脚部位置として特定される。このようにして特定された各部位は、人体の特徴を示す部分として選択されたものである。なお、全長hについてどちら側を一端とするかは、例えば障害物の一端部と他端部とのうち幅の小さい方が選択する等の手法により決定することができる。また、また各端をそれぞれ一端として決定することもできる(この場合、頭部、胴部、脚部のそれぞれについて2箇所の位置設定となり、頭部側と脚部側とが実際とは逆の関係になってしまうことを確実に防止することができる)。
【0019】
部位特定処理部12での処理後は、表面形状検出処理部13での表面形状検出の処理が行われる。すなわち、発光部2からの検知光が照射された時点と、検知光が障害物で反射されて受光部3で受光されるまでの時間差は、検知光が照射された障害物の各表面位置での奥行き寸法差となる。より具体的には、例えば人体を正面から見た図3において、正面を向いている歩行者(人体)の頭部に検知光が照射されたとき、その頭部の表面形状が奥行きのある形状として検出されることになる。このようにして得られる頭部の奥行き形状となる表面形状の一例が、図4の(a)における「例」として示され、同様に、胴部の表面形状の一例が図4の(b)における「例」として示され、脚部の表面形状の一例が図4の(c)における「例」として示される。換言すれば、人体の頭部、胴部、脚部の位置において、水平に断面した断面形状の輪郭線うち表側の輪郭線部分が、上記各「例」として示されるような形状となる(裏側部分の輪郭線は検出できない)。なお、上記のような表面形状として検出する部分は、頭部、胴部、脚部それぞれについて、横方向に伸びる直線状(図3において、頭部、胴部、脚部に対応して示される横線部分)という極めて小さい範囲なので、障害物全面積について表面形状を得る場合に比して、表面形状を得るための処理やその後の処理が極めて小さくてすむものとなっている。また、図5に示される人体が横向きのときは、図4に対応した「例」が図6(a)〜(c)に示される。
【0020】
ここで、胴部については、歩行に応じて腕が振られるので、得られる表面形状は、動きのあるものとなり、同様に、脚部についても得られる表面形状は動きのあるものとなる。後述する記憶されている表面形状パターンは、この胴部や脚部の動きに対応して、複数種記憶されている。そして、表面形状処理部13では、このような動きのある表面形状、特に脚部の動きから、その移動速度(歩行速度)を算出するようにしてある。すなわち、図9に示すように、人体が正面を向いているときの左右の脚部の最大の奥行き差L(歩幅に相当)を、Lとなるまでの時間△tで除した値に、補正係数K(検出された障害物の全長hに応じた補正係数で、検出された全長hが基準の全長値よりも大きいときは補正係数が1以上とされ、検出された全長hが基準の全長値よりも小さいときは補正係数が1以下とされる(補正係数Kは、全長hが大きいほど大とされる)。なお、図9は、正面向きのときを説明したが、横向きの場合も同様にして移動速度を算出すればよい。
【0021】
一致度判定処理部14は、表面形状処理部13で得られた各所定部位での表面形状を、例えばフラッシュメモリやハードディスクドライブ等の記憶部15に記憶されている表面形状パターンと照合される。この記憶部15には、頭部、胴部脚部の各所定部位についてそれぞれ、向きの相違に対応した複数種の表面形状パターンが記憶されている。実施形態では、記憶されている表面形状パターンは、複数の方向からの表面形状パターンを合成して全体として1つの表面形状パターンとして記憶するようにしてある。すなわち、例えば図7は、記憶されている頭部についての表面形状パターンであるが、頭部の全周に渡っての輪郭線を記憶したものとなっている(複数種の表面形状パターンをまとめて全周の輪郭線として記憶)。そして、照合される表面形状が照合される方向として、例えば、図7に示す「まる1」から「まる8」までの周方向等間隔に複数方向(8方向)から照合するようにしてある。
【0022】
一致度判定処理部14においては、図8に示すように、検出された表面形状を、図7に示す8つの方向から記憶されている表面形状パターンに対して順次照合させる。図8の左側部分は、図7の「まる1」の方向から照合させたもので、ほぼ完全に近い形で一致して、一致度は極めて大きい(高い)ものとなる。一方、図8の右側部分は、図7の「まる7」の方向から照合したもので、この場合は、90度ずれた格好なので、一致度は極めて小さい(低い)ものとなる。このようにして、一致度が所定のしきい値以上であれば、人体の頭部であると判断することができ、また、一致度が所定のしきい値未満であれば、人体の頭部ではないと判断することができる。そして、一致度がもっとも大きいときの照合方向に基づいて、頭部の向いている方向をどの方向であるかを判断することができる。
【0023】
一致度判定処理部14での処理は、上述した頭部に加えて、胴部、脚部についても同様に行われる(記憶部15に、図7に示す頭部の表面形状パターンと同じようにして、胴部についての表面形状パターンおよび脚部についての表面形状パターンが記憶されている)。一致度判定処理部14によって、障害物が歩行者(人体)であると判定されると、警報装置7が作動され、必要に応じて、自動ブレーキ用アクチュエータ5,自動操舵用アクチュエータ6の少なくとも一方が作動されて、障害物との衝突を避け制御が実行される。なお、部位特定処理部12で特定される部位(一致度判定処理部14での判定対象となる部位)は、頭部、胴部、脚部のいずれか1つのみについて行うこともでき、任意の2つの組み合わせについて行うようにしてもよく、あるいは3つ全てについて行うようにしてもよい。
【0024】
図10は、前述したコントローラUによる制御例を示すフローチャートであり、以下このフローチャートについて説明する。なお、図10に示す例では、検出される表面形状としては、頭部、胴部、脚部のうち、いずれか1つについて行うようにしてある(例えば頭部のみ)。また、以下の説明でQはステップを示す。
【0025】
まず、Q1において、距離画像センサ1での検知光の発光から受光までの時間と光の速度とに基づいて、障害物までの距離が検出(算出)される。この後、Q2において、障害物が自車両から所定距離内であるか否かが判別される。このQ2の判別でNOのときは、Q1に戻る。
【0026】
上記Q2の判別でYESのときは、Q3において、検出された所定距離内にある障害物の高さと幅とが算出される。この後、Q4において、高さと幅とのうちいずれか大きい方を全長として、その一端からの所定距離部位を表面形状を検出すべき部位として特定する(図3の頭部、胴部、脚部の位置を特定する処理)。この後、Q5において、距離画像センサ1での発光から受光までの時間(時間差)と光の速度とから、Q4で特定された所定部位の奥行き形状となる表面形状が検出される。この後、Q6において、検出された表面形状がを、記憶されている表面形状パターンと照合される。この照合は、図7において「まる1」〜「まる8」として示す全方向について行われる。このQ6の後、Q7において、全方向にういて照合が行われたか否かが判別される。このQ7の判別でNOのときは、Q6に戻る。
【0027】
上記Q7の判別でYESのときは、表面形状と表面形状パターンとの一致度(マッチング度)がもっとも高い方向を、自車両と障害物とが対向する方向であると特定される。次いで、、Q9において、もっともも高い一致度が、所定のしきい値以上であるか否かが判別される。このQ9の判別でNOのときは、障害物は歩行者ではないと判断されたときで、このときはQ1へ戻る。
【0028】
上記Q9の判別でYESのときは、Q10において、障害物が歩行者であると最終的に判断される。この後Q11において、歩行者であると判断された障害物が、自車両へ向けて接近しておりかつその移動速度が所定値以上であるか否かが判別される(移動速度は、図9の説明で行ったようにして算出される)。このQ11の判別でNOのときは、自車両と歩行者であると判断された障害物とが衝突する可能性がないあるいは低いときであるとして、Q1に戻る。また、Q11の判別でYESのときは、歩行者である障害物と自車両との衝突の可能性が高いときであるとして、Q12において、警報装置7が作動されると共に、衝突回避のために、自動ブレーキ用アクチュエータ5あるいは自動操舵用アクチュエータ6が作動される。
【0029】
図11は、図10の変形例を示すものであり、検出する所定部位として、頭部と胴部と脚部との合計3箇所としてある。なお、図10におけるステップと相違する部分に着目して説明することとする。まず、Q21〜Q24までの処理は、図10におけるQ1〜Q4の処理に対応している。ただし、Q24においては、特定される所定部位が、頭部と胴部と脚部との3箇所とされる。
【0030】
Q25〜Q28の処理は、図10のQ5〜Q8の処理に対応している。ただし、Q25での表面形状の検出は、頭部と胴部と脚部との3箇所について行われ、Q26,Q27の処理においても同様に、頭部と胴部と脚部との3箇所についてそれぞれ、全方位の照合が実行される。Q28での障害物自車両との相対する方向の決定は、頭部と胴部と脚部とのうち、一致度のもっとも高い表面形状に基づいて行われる。
【0031】
Q28の後、Q29において、Q28において特定された方向での頭部と胴部と脚部との3箇所についての各一致度が算出される。この後、Q30において、一致度が所定値(所定のしきい値)以上であるか否かが判別される。このQ30において比較される一致度は、例えば頭部と胴部と脚部との各一致度の合計値とされ、したがってQ30における所定値は、頭部と胴部と脚部との3箇所についての各一致度の合計値に対応して設定された値とされる。なお、比較される一致度を、3つの一致度の相加平均値としてもよい(所定値も相加平均値に対応した値に設定される)。
【0032】
上記Q30の判別でNOのときはQ1に戻り、Q30の判別でYESのときは、Q31以降の処理が実行される(Q31〜Q33は、図10の図Q10〜図12に相当)。
【0033】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能であり、例えば次のような場合をも含むものである。検出すべき前方の障害物として、走行路面上にある障害物に限定するようにしてもよい(処理負担のさらなる低減)。自車両から所定距離よりも遠く離れた障害物、つまり検出可能な距離範囲内にある障害物全てについて歩行者であるか否かの判定を行うようにしてもよい。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明が適用された車両の一例を示す簡略平面図。
【図2】本発明の制御系統例をブロック図的に示す図。
【図3】障害物としての歩行者が自車両に対して正対しているときに、障害物の全長から所定部位を特定することを説明するための図。
【図4】頭部と胴部と脚部とを所定部位としたときに検出される表面形状例を示す図。
【図5】図3に対応した図で、障害物としての歩行者が自車両に対して横向きのときを示す図。
【図6】図5の場合において検出される表面形状例を示す図。
【図7】頭部を例にして、記憶されている表面形状パターンの例と、複数の照合方向とを示す
【図8】検出された表面形状を表面形状パターンと照合している状態を示す図。
【図9】脚部の動きから障害物としての歩行者の移動速度を決定する手法を示す図。
【図10】本発明の制御例を示すフローチャート。
【図11】図10の変形例を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0035】
V:自動車(車両)
U:コントローラ
1:距離画像センサ
2:発光部
3:受光部
10:距離測定処理部
11:全長検出処理部
12:部位特定処理部
13:表面形状検出処理部
14:一致度判定処理部
15:記憶部
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行者検出手段に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車等の車両においては、安全のために、前方にある障害物が歩行者であるか否かを検出することが望まれる。前方の障害物、特に走行路面上の障害物が歩行者であるか否かを判定する技術は種々提案されているが、その殆どは、検出された障害物の全幅等から歩行者であるか否かを判定するものとなっている。特許文献1には、歩行者であるか否かを早期に検出するために、画像センサの検知領域内に障害物の一端部を検出した時点からこの障害物を監視して、障害物の他端部が検知領域に入って障害物の全体像を把握した時点で、その幅の大きさ基づいて障害物が歩行者であるか否かを判定する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2005−228127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、障害物の全体像を把握して、特にその幅の大きさに基づいて歩行者であるか否かを判定する手法では、常に障害物の全体をみることから処理負担が極めて大きくなり、また判定精度も十分に満足のいかないものとなる。
【0004】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、処理負担が小さくてすみ、しかも歩行者であるか否かを精度よく判定できるようにした歩行者検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、基本的に、人体の所定部位つまり人体の特徴となる部分に着目するようにしてあり、この所定部位での人体の表面形状をあらかじめ表面形状パターンとして記憶しておき、実際に検出された障害物における所定部位の表面形状を表面形状パターンと比較することによって、歩行者であるか否かを判定するようにしてある。具体的には、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
前方の障害物を検出する障害物検出手段と、
前記障害物検出手段で検出された障害物の所定部位を特定する部位特定手段と、
発光手段と受光手段とを備え、前記部位特定手段によって特定された前記所定部位の奥行き表面形状を、前記発光手段から照射された検知光が該所定部位で反射されて該受光手段で受光されるまでの時間に基づいて検出する表面形状検出手段と、
人体の所定部位における奥行き形状を表面形状パターンとして記憶している記憶手段と、
前記表面形状検出手段で検出された表面形状を、前記記憶手段に記憶されている前記表面形状パターンと照合して、その一致度合に基づいて前記障害物検出手段で検出された障害物が歩行者であるか否かを判定する歩行者判定手段と、
を備えているようにしたる。
【0006】
上記解決手法によれば、障害物の所定部位における表面形状を、この所定部位に対応した位置での人体の表面形状パターンと照合することによって、障害物が人体つまり歩行者であるか否かを判定することができる。そして、この判定に際しては、所定部位に着目して行えばよいので、判定に際しての処理負担が小さくてすむことになる。また、あらかじめ記憶されている表面形状パターンと検出された表面形状を照合してその一致度合から歩行者であるか否かを判定すると共に、互い照合される検出された表面形状と記憶されている表面形状パターンとは、奥行きのある表面形状とされているので(3次元的な表面形状となる)、判定精度の極めてよいものとなる。
【0007】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
前記所定部位が、人体の頭部と胴部と脚部との少なくともいずれか1つとされている、ようにしてある(請求項2対応)。この場合、所定部位を、人体の特徴となる部位として選択して、判定精度を高める上で好ましいものとなる。
【0008】
前記所定部位が、人体の頭部と胴部と脚部とされている、ようにしてある(請求項3対応)。この場合、所定部位を、それぞれ人体の特徴を示す3つの部位を選択して、判定精度をより高める上で好ましいものとなる。
【0009】
前記脚部の表面形状の変化速度に基づいて、前記障害物の移動速度を検出する、ようにしてある(請求項4対応)。この場合、脚部の表面形状の変化速度に基づいて、歩行者の移動速度を精度よく検出することができる。
【0010】
前記発光手段と前記受光手段とを有する単一の距離画像センサを備え、
前記単一の距離画像センサが、前記障害物検出手段と前記表面形状検出手段とで共用されている、
ようにしてある(請求項5対応)。この場合、ハードウエア資源を極力少なくして、コスト低減の上で好ましいものとなる。
【0011】
前記表面形状検出手段による表面形状の検出が、自車両から所定距離内にある障害物に対してのみ実行される、ようにしてある(請求項6対応)。この場合、危険性の高い近距離にある障害物に対してのみ判定のための処理を行って、判定精度の向上や処理負担軽減の上でより好ましいものとなる。
【0012】
前記表面形状パターンが、人体の相違する向き毎に記憶手段に記憶されている、ようにしてある(請求項7対応)。この場合、歩行者の向きの相違に対応して、歩行者であるか否かをより精度よく判定することができる。また、歩行者の向きそのものを知ることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、処理負担が小さくてすみ、しかも歩行者であるか否かを精度よく判定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明による歩行者検出装置が搭載された車両としての自動車Vが示される。この自動車Vには、単一の距離画像センサ1が搭載されている。この距離画像センサ1は、図2に示すように発光手段としての発光部(投光部)2と受光手段としての受光部3とを備えて、発光部2から前方へ向けて検知光が発光される一方、受光部3によって、前方の障害物で反射された検知光を受光するようになっている。このような距離画像センサ1は、その検知領域が極力前方の走行路面上となるように設定されて、前方の(走行路面上の)障害物を検出手段する障害物検出手段を構成している。また、距離画像センサ1は、発光部2から検知光を照射した時点と、障害物で反射された検知光が受光部3で受光された時点との時間(時間差)に基づいて、障害物の奥行きのある表面形状を検出するようになっており、表面形状検出手段をも構成している。なお、表面形状(奥行きのある奥行き形状)の点ついては、後に詳述する。
【0015】
自動車Vは、自動的にブレーキをかける自動ブレーキ用アクチュエータ5,自動的に操舵輪を操作する自動操舵用アクチュエータ6を備えている。また、自動車Vは、表示画面やブザー等からなる警報装置7を備えている。前方に検出された障害物が危険範囲にある歩行者である場合に、警報装置7が作動されると共に、アクチュエータ5、6の少なくとも一方が作動される。
【0016】
図2は、前方の障害物検出と、検出された障害物が歩行者であるか否かの判定を行う部分の回路をブロック図的に示すものである。この図2において、Uは、マイクロコンピュータを利用して構成されたコントローラ(制御ユニット)である。このコントローラUは、距離画像センサ1については、発光部3を所定の短い単位時間毎に間欠的に発光させる制御を行うと共に、受光部3からの受光信号が入力され、さらに、発光部2での検知光照射時間(発光タイミング)と受光部3での受光時間(受光タイミング)との時間差を監視する。
【0017】
コントローラUは、複数の処理部10〜14と記憶部15とを有する(各部に応じた機能を有する)。処理部10は、距離測定処理部10であって、障害物までの距離を検出する(検知光の発光時間と受光時間との時間差に基づいて距離計算)。この距離測定処理部10は、あらかじめ設定された所定距離内(例えば50m以内)の障害物のみについて後の処理を実行させる一方、上記所定距離よりも遠い位置にある障害物については後の処理を実行させないものとする(距離測定処理部10による障害物の選択)。
【0018】
所定距離内にある障害物について、全長検出処理部11によって、その全長(長手方向長さ)を検出する処理が実行される。この後、部位特定処理部12によって、障害物の所定部位の特定が行われる。この所定部位は、例えば、人体の頭部、胴部、脚部の3箇所のうちの1箇所のみ、任意の2箇所、あるいは3箇所全てとすることができる。図3、図5には、この所定部位の設定例が具体的に示される。すなわち、図3は人体を正面から見たとき(自車両に対して正対しているとき)であり、図5は、人体を横方向(右方向)から見たとき(自車両に対して横向き)である。障害物の全長を「h」としたとき、それぞれ障害物の一端から例えば10%の距離の位置が頭部位置として特定され、例えば50%の距離位置が胴部位置として特定され、例えば80%の距離位置が脚部位置として特定される。このようにして特定された各部位は、人体の特徴を示す部分として選択されたものである。なお、全長hについてどちら側を一端とするかは、例えば障害物の一端部と他端部とのうち幅の小さい方が選択する等の手法により決定することができる。また、また各端をそれぞれ一端として決定することもできる(この場合、頭部、胴部、脚部のそれぞれについて2箇所の位置設定となり、頭部側と脚部側とが実際とは逆の関係になってしまうことを確実に防止することができる)。
【0019】
部位特定処理部12での処理後は、表面形状検出処理部13での表面形状検出の処理が行われる。すなわち、発光部2からの検知光が照射された時点と、検知光が障害物で反射されて受光部3で受光されるまでの時間差は、検知光が照射された障害物の各表面位置での奥行き寸法差となる。より具体的には、例えば人体を正面から見た図3において、正面を向いている歩行者(人体)の頭部に検知光が照射されたとき、その頭部の表面形状が奥行きのある形状として検出されることになる。このようにして得られる頭部の奥行き形状となる表面形状の一例が、図4の(a)における「例」として示され、同様に、胴部の表面形状の一例が図4の(b)における「例」として示され、脚部の表面形状の一例が図4の(c)における「例」として示される。換言すれば、人体の頭部、胴部、脚部の位置において、水平に断面した断面形状の輪郭線うち表側の輪郭線部分が、上記各「例」として示されるような形状となる(裏側部分の輪郭線は検出できない)。なお、上記のような表面形状として検出する部分は、頭部、胴部、脚部それぞれについて、横方向に伸びる直線状(図3において、頭部、胴部、脚部に対応して示される横線部分)という極めて小さい範囲なので、障害物全面積について表面形状を得る場合に比して、表面形状を得るための処理やその後の処理が極めて小さくてすむものとなっている。また、図5に示される人体が横向きのときは、図4に対応した「例」が図6(a)〜(c)に示される。
【0020】
ここで、胴部については、歩行に応じて腕が振られるので、得られる表面形状は、動きのあるものとなり、同様に、脚部についても得られる表面形状は動きのあるものとなる。後述する記憶されている表面形状パターンは、この胴部や脚部の動きに対応して、複数種記憶されている。そして、表面形状処理部13では、このような動きのある表面形状、特に脚部の動きから、その移動速度(歩行速度)を算出するようにしてある。すなわち、図9に示すように、人体が正面を向いているときの左右の脚部の最大の奥行き差L(歩幅に相当)を、Lとなるまでの時間△tで除した値に、補正係数K(検出された障害物の全長hに応じた補正係数で、検出された全長hが基準の全長値よりも大きいときは補正係数が1以上とされ、検出された全長hが基準の全長値よりも小さいときは補正係数が1以下とされる(補正係数Kは、全長hが大きいほど大とされる)。なお、図9は、正面向きのときを説明したが、横向きの場合も同様にして移動速度を算出すればよい。
【0021】
一致度判定処理部14は、表面形状処理部13で得られた各所定部位での表面形状を、例えばフラッシュメモリやハードディスクドライブ等の記憶部15に記憶されている表面形状パターンと照合される。この記憶部15には、頭部、胴部脚部の各所定部位についてそれぞれ、向きの相違に対応した複数種の表面形状パターンが記憶されている。実施形態では、記憶されている表面形状パターンは、複数の方向からの表面形状パターンを合成して全体として1つの表面形状パターンとして記憶するようにしてある。すなわち、例えば図7は、記憶されている頭部についての表面形状パターンであるが、頭部の全周に渡っての輪郭線を記憶したものとなっている(複数種の表面形状パターンをまとめて全周の輪郭線として記憶)。そして、照合される表面形状が照合される方向として、例えば、図7に示す「まる1」から「まる8」までの周方向等間隔に複数方向(8方向)から照合するようにしてある。
【0022】
一致度判定処理部14においては、図8に示すように、検出された表面形状を、図7に示す8つの方向から記憶されている表面形状パターンに対して順次照合させる。図8の左側部分は、図7の「まる1」の方向から照合させたもので、ほぼ完全に近い形で一致して、一致度は極めて大きい(高い)ものとなる。一方、図8の右側部分は、図7の「まる7」の方向から照合したもので、この場合は、90度ずれた格好なので、一致度は極めて小さい(低い)ものとなる。このようにして、一致度が所定のしきい値以上であれば、人体の頭部であると判断することができ、また、一致度が所定のしきい値未満であれば、人体の頭部ではないと判断することができる。そして、一致度がもっとも大きいときの照合方向に基づいて、頭部の向いている方向をどの方向であるかを判断することができる。
【0023】
一致度判定処理部14での処理は、上述した頭部に加えて、胴部、脚部についても同様に行われる(記憶部15に、図7に示す頭部の表面形状パターンと同じようにして、胴部についての表面形状パターンおよび脚部についての表面形状パターンが記憶されている)。一致度判定処理部14によって、障害物が歩行者(人体)であると判定されると、警報装置7が作動され、必要に応じて、自動ブレーキ用アクチュエータ5,自動操舵用アクチュエータ6の少なくとも一方が作動されて、障害物との衝突を避け制御が実行される。なお、部位特定処理部12で特定される部位(一致度判定処理部14での判定対象となる部位)は、頭部、胴部、脚部のいずれか1つのみについて行うこともでき、任意の2つの組み合わせについて行うようにしてもよく、あるいは3つ全てについて行うようにしてもよい。
【0024】
図10は、前述したコントローラUによる制御例を示すフローチャートであり、以下このフローチャートについて説明する。なお、図10に示す例では、検出される表面形状としては、頭部、胴部、脚部のうち、いずれか1つについて行うようにしてある(例えば頭部のみ)。また、以下の説明でQはステップを示す。
【0025】
まず、Q1において、距離画像センサ1での検知光の発光から受光までの時間と光の速度とに基づいて、障害物までの距離が検出(算出)される。この後、Q2において、障害物が自車両から所定距離内であるか否かが判別される。このQ2の判別でNOのときは、Q1に戻る。
【0026】
上記Q2の判別でYESのときは、Q3において、検出された所定距離内にある障害物の高さと幅とが算出される。この後、Q4において、高さと幅とのうちいずれか大きい方を全長として、その一端からの所定距離部位を表面形状を検出すべき部位として特定する(図3の頭部、胴部、脚部の位置を特定する処理)。この後、Q5において、距離画像センサ1での発光から受光までの時間(時間差)と光の速度とから、Q4で特定された所定部位の奥行き形状となる表面形状が検出される。この後、Q6において、検出された表面形状がを、記憶されている表面形状パターンと照合される。この照合は、図7において「まる1」〜「まる8」として示す全方向について行われる。このQ6の後、Q7において、全方向にういて照合が行われたか否かが判別される。このQ7の判別でNOのときは、Q6に戻る。
【0027】
上記Q7の判別でYESのときは、表面形状と表面形状パターンとの一致度(マッチング度)がもっとも高い方向を、自車両と障害物とが対向する方向であると特定される。次いで、、Q9において、もっともも高い一致度が、所定のしきい値以上であるか否かが判別される。このQ9の判別でNOのときは、障害物は歩行者ではないと判断されたときで、このときはQ1へ戻る。
【0028】
上記Q9の判別でYESのときは、Q10において、障害物が歩行者であると最終的に判断される。この後Q11において、歩行者であると判断された障害物が、自車両へ向けて接近しておりかつその移動速度が所定値以上であるか否かが判別される(移動速度は、図9の説明で行ったようにして算出される)。このQ11の判別でNOのときは、自車両と歩行者であると判断された障害物とが衝突する可能性がないあるいは低いときであるとして、Q1に戻る。また、Q11の判別でYESのときは、歩行者である障害物と自車両との衝突の可能性が高いときであるとして、Q12において、警報装置7が作動されると共に、衝突回避のために、自動ブレーキ用アクチュエータ5あるいは自動操舵用アクチュエータ6が作動される。
【0029】
図11は、図10の変形例を示すものであり、検出する所定部位として、頭部と胴部と脚部との合計3箇所としてある。なお、図10におけるステップと相違する部分に着目して説明することとする。まず、Q21〜Q24までの処理は、図10におけるQ1〜Q4の処理に対応している。ただし、Q24においては、特定される所定部位が、頭部と胴部と脚部との3箇所とされる。
【0030】
Q25〜Q28の処理は、図10のQ5〜Q8の処理に対応している。ただし、Q25での表面形状の検出は、頭部と胴部と脚部との3箇所について行われ、Q26,Q27の処理においても同様に、頭部と胴部と脚部との3箇所についてそれぞれ、全方位の照合が実行される。Q28での障害物自車両との相対する方向の決定は、頭部と胴部と脚部とのうち、一致度のもっとも高い表面形状に基づいて行われる。
【0031】
Q28の後、Q29において、Q28において特定された方向での頭部と胴部と脚部との3箇所についての各一致度が算出される。この後、Q30において、一致度が所定値(所定のしきい値)以上であるか否かが判別される。このQ30において比較される一致度は、例えば頭部と胴部と脚部との各一致度の合計値とされ、したがってQ30における所定値は、頭部と胴部と脚部との3箇所についての各一致度の合計値に対応して設定された値とされる。なお、比較される一致度を、3つの一致度の相加平均値としてもよい(所定値も相加平均値に対応した値に設定される)。
【0032】
上記Q30の判別でNOのときはQ1に戻り、Q30の判別でYESのときは、Q31以降の処理が実行される(Q31〜Q33は、図10の図Q10〜図12に相当)。
【0033】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能であり、例えば次のような場合をも含むものである。検出すべき前方の障害物として、走行路面上にある障害物に限定するようにしてもよい(処理負担のさらなる低減)。自車両から所定距離よりも遠く離れた障害物、つまり検出可能な距離範囲内にある障害物全てについて歩行者であるか否かの判定を行うようにしてもよい。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明が適用された車両の一例を示す簡略平面図。
【図2】本発明の制御系統例をブロック図的に示す図。
【図3】障害物としての歩行者が自車両に対して正対しているときに、障害物の全長から所定部位を特定することを説明するための図。
【図4】頭部と胴部と脚部とを所定部位としたときに検出される表面形状例を示す図。
【図5】図3に対応した図で、障害物としての歩行者が自車両に対して横向きのときを示す図。
【図6】図5の場合において検出される表面形状例を示す図。
【図7】頭部を例にして、記憶されている表面形状パターンの例と、複数の照合方向とを示す
【図8】検出された表面形状を表面形状パターンと照合している状態を示す図。
【図9】脚部の動きから障害物としての歩行者の移動速度を決定する手法を示す図。
【図10】本発明の制御例を示すフローチャート。
【図11】図10の変形例を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0035】
V:自動車(車両)
U:コントローラ
1:距離画像センサ
2:発光部
3:受光部
10:距離測定処理部
11:全長検出処理部
12:部位特定処理部
13:表面形状検出処理部
14:一致度判定処理部
15:記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方の障害物を検出する障害物検出手段と、
前記障害物検出手段で検出された障害物の所定部位を特定する部位特定手段と、
発光手段と受光手段とを備え、前記部位特定手段によって特定された前記所定部位の奥行き表面形状を、前記発光手段から照射された検知光が該所定部位で反射されて該受光手段で受光されるまでの時間に基づいて検出する表面形状検出手段と、
人体の所定部位における奥行き形状を表面形状パターンとして記憶している記憶手段と、
前記表面形状検出手段で検出された表面形状を、前記記憶手段に記憶されている前記表面形状パターンと照合して、その一致度合に基づいて前記障害物検出手段で検出された障害物が歩行者であるか否かを判定する歩行者判定手段と、
を備えていることを検出する歩行者検出装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記所定部位が、人体の頭部と胴部と脚部との少なくともいずれか1つとされている、ことを特徴とする歩行者検出装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記所定部位が、人体の頭部と胴部と脚部とされている、ことを特徴とする歩行者検出装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3において、
前記脚部の表面形状の変化速度に基づいて、前記障害物の移動速度を検出する、ことを特徴とする歩行者検出装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記発光手段と前記受光手段とを有する単一の距離画像センサを備え、
前記単一の距離画像センサが、前記障害物検出手段と前記表面形状検出手段とで共用されている、
ことを特徴とする歩行者検出装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記表面形状検出手段による表面形状の検出が、自車両から所定距離内にある障害物に対してのみ実行される、ことを特徴とする歩行者検出装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記表面形状パターンが、人体の相違する向き毎に前記記憶手段に記憶されている、ことを特徴とする歩行者検出装置。
【請求項1】
前方の障害物を検出する障害物検出手段と、
前記障害物検出手段で検出された障害物の所定部位を特定する部位特定手段と、
発光手段と受光手段とを備え、前記部位特定手段によって特定された前記所定部位の奥行き表面形状を、前記発光手段から照射された検知光が該所定部位で反射されて該受光手段で受光されるまでの時間に基づいて検出する表面形状検出手段と、
人体の所定部位における奥行き形状を表面形状パターンとして記憶している記憶手段と、
前記表面形状検出手段で検出された表面形状を、前記記憶手段に記憶されている前記表面形状パターンと照合して、その一致度合に基づいて前記障害物検出手段で検出された障害物が歩行者であるか否かを判定する歩行者判定手段と、
を備えていることを検出する歩行者検出装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記所定部位が、人体の頭部と胴部と脚部との少なくともいずれか1つとされている、ことを特徴とする歩行者検出装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記所定部位が、人体の頭部と胴部と脚部とされている、ことを特徴とする歩行者検出装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3において、
前記脚部の表面形状の変化速度に基づいて、前記障害物の移動速度を検出する、ことを特徴とする歩行者検出装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記発光手段と前記受光手段とを有する単一の距離画像センサを備え、
前記単一の距離画像センサが、前記障害物検出手段と前記表面形状検出手段とで共用されている、
ことを特徴とする歩行者検出装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記表面形状検出手段による表面形状の検出が、自車両から所定距離内にある障害物に対してのみ実行される、ことを特徴とする歩行者検出装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記表面形状パターンが、人体の相違する向き毎に前記記憶手段に記憶されている、ことを特徴とする歩行者検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−25956(P2009−25956A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−186871(P2007−186871)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
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