説明

歯垢検出システムおよび歯垢検出方法

【課題】歯垢以外の部位(歯間、歯肉等)が染色されにくく、なおかつ、精度良く歯垢を検出でき、使用時の苦味が少なく、高温保存時にニゴリが発生しにくい歯垢検出システムおよび歯垢検出方法を提供する。
【解決手段】(A)紅麹黄色素、(B)サッカリンナトリウム、(C)エーテル化度が2.0〜2.8のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有する歯垢染色剤と、該歯垢染色剤を付着させた口腔内の対象物に250〜500nmの範囲内の波長を有する光を照射する発光装置10とが備えられた歯垢検出システムとする。また、上記構成の歯垢染色剤を口腔内の対象物に付着させた後、該対象物に250〜500nmの範囲内の波長を有する光を照射する歯垢検出方法とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯垢染色剤、歯垢検出システムおよび歯垢検出方法に関し、特に、歯垢の検出精度に優れ、歯垢以外の部位(歯間、歯肉等)が染色されにくく、なおかつ、精度良く歯垢を検出でき、使用時の苦味が少なく、高温保存時にニゴリが発生しにくい歯垢染色剤に関する。
【背景技術】
【0002】
う蝕または歯周疾患は、歯垢中に存在する細菌に起因する感染症として考えられており、歯垢の除去が、口腔の健康のために非常に重要であることが知られている。しかしながら、歯垢は肉眼的に容易に識別しにくく、正確にその付着部位、及びその程度を確認することが困難である。
【0003】
そこで、付着した歯垢を明らかにするために、歯垢を色素含有の歯垢染色剤で染色し、その存在部位を顕示させるのが一般的である。従来市販されている歯垢染色剤においては、赤色3号(エリスロシン)、赤色104号(フロキシン)、赤色105号(ローズベンガル)等のタール色素が色素成分として多用されているが、これら歯垢染色剤は歯垢だけでなく、歯肉、口腔粘膜、唇等も無差別に赤く染色してしまう。その赤色は、容易に除去し難く、通常の歯ブラシによる歯磨き行為では十分に除去できず、歯間部、歯肉、唇等に残存する為、不快感を伴うという問題があった。
【0004】
他の用途に用いられる染色剤として、紅麹黄色素がある。
前記紅麹黄色素は、子のう菌類ベニコウジカビの培養液から得られる黄色色素であり、着色を目的に、蒲鉾や魚卵、ゼリー、冷菓などに使用されている。口腔内への使用に関しては、水溶性色素の退色を防止したカチオン系殺菌剤を含有する口腔用組成物(特許文献1)が開示されている。
また、本願出願人は前記紅麹黄色素を含有することにより、歯垢を効果的に染色でき、優れた歯垢の視認性を与え、しかも他部位を染色することが少ない、或いは容易にブラッシングによって染色を除去しやすい歯垢染色剤(特許文献2)を報告、開示している。
【0005】
また、赤色3号(エリスロシン)、赤色213号(ローダミンB)、黄色201号(フルオレセイン)、クロロフィルなどの色素や蛍光剤で歯垢を染色し、特定の光を照射して歯垢を検出する技術(特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7)等が開示されている。
さらに、口腔内に光を照射する器具(特許文献8、特許文献9)や、特定の光を照射し、う蝕を検出する方法(特許文献10)が開示されている。また、特定の光を照射し、光のみで歯垢を検出する技術(特許文献11、特許文献12)等が開示されている。
【0006】
さらに本願出願人は、特許文献13において、紅麹黄色素を含有する歯垢検出システム用歯垢染色剤と、該歯垢染色剤を付着させた口腔内の対象物に250〜500nmの範囲内の波長を有する光を出射する発光装置が備えられた歯垢検出システムを使用することにより、歯垢の検出精度に優れ、しかも歯間、歯肉など歯垢以外の部位が染色されるのを改善できることを既に報告している。
【0007】
また、歯垢は歯面に付着した初期の歯垢から歯石化した歯垢まで経時的にその構造や菌種が変化するものであることが知られている。
【特許文献1】特開平10−120539号公報
【特許文献2】特開2005−179188号公報
【特許文献3】米国特許第3309274号明細書
【特許文献4】米国特許第3711700号明細書
【特許文献5】米国特許第4292664号明細書
【特許文献6】米国特許第4266535号明細書
【特許文献7】米国特許第5957687号明細書
【特許文献8】特開2002−85351号公報
【特許文献9】実用新案登録第3066528号公報
【特許文献10】特許第1944198号公報
【特許文献11】特表2002−515276号公報
【特許文献12】特開2004−65994号公報
【特許文献13】特願2004−263879号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は歯垢染色を目的とするものではない。また、特許文献2や特許文献13に記載の技術は、紅麹黄色素由来の苦味や、紅麹黄色素自体の高温保存安定性(ニゴリの無さ)で問題が起こることが判明した。
また、特許文献3〜特許文献7に記載の色素と光を併用する方法では、色素が光によって励起され蛍光を発するだけでなく、色素そのものが歯垢に強く付着する必要がある。しかしながら、クロロフィルやフルオレセインといった現在知られている蛍光色素では歯垢の染色性が十分ではないという問題があった。さらに、特定の光のみで歯垢を検出する特許文献8〜特許文献12に記載の技術では、形成初期の歯垢が検出できないことが問題となっていた。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、歯垢以外の部位(歯間、歯肉等)が染色されにくく、なおかつ、精度良く歯垢を検出でき、使用時の苦味が少なく、高温保存時にニゴリが発生しにくい歯垢検出システムおよび歯垢検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は前記目的を達するため鋭意検討を行った結果、(A)紅麹黄色素、(B)サッカリンナトリウム、(C)エーテル化度が2.0〜2.8のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有する歯垢染色剤を口腔内に適用後、250〜500nmの範囲内に波長を有する光を照射すると、効果的に歯垢を検出でき、特に、形成初期の歯垢も精度良く検出でき、かつ、従来から市販されていた赤色系歯垢染色剤がもたらす不快感(歯肉、歯間の無差別染色)や使用時の苦味が少なく、高温保存時のニゴリが発生しにくいことを見出した。
また、(A)紅麹黄色素、(B)サッカリンナトリウム、(C)エーテル化度が2.0〜2.8のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有する歯垢染色剤を用いた場合、フルオレセインなどの蛍光剤を使用した従来技術に比べて、形成初期の歯垢を含めた歯垢の視認性が著しく向上するにもかかわらず、自然光下ではその歯垢部位が視認されず、染色による不快感を伴わないことを見出した。
【0011】
即ち、上記目的を達成するために本発明は以下の構成を採用した。
本発明の歯垢検出システムは、(A)紅麹黄色素、(B)サッカリンナトリウム、(C)エーテル化度が2.0〜2.8のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有する歯垢染色剤と、該歯垢染色剤を付着させた口腔内の対象物に250〜500nmの範囲内の波長を有する光を照射する発光装置とが備えられたものである。
上記の歯垢検出システムにおいては、前記発光装置に、250〜500nmの範囲内の波長の光を出射する発光素子が備えられたものとすることが好ましい。
あるいは、前記発光装置に、発光素子又はランプと、250〜500nmの範囲内の波長の光を選択的に透過するフィルターとの両方が備えられているものとすることが好ましい。
また、上記の歯垢検出システムにおいては、前記発光装置に、受光部が備えられ、画像表示装置とプローブとがそれぞれ前記発光装置に接続され、前記プローブは、前記発光装置から出射された前記光を前記対象物に向けて照射でき、かつ、前記光が照射された対象物の画像情報を前記受光部に送信できる構成とされ、前記画像表示装置は、前記受光部で受信した前記対象物の画像情報を表示できる構成とされていてもよい。
また、上記の歯垢検出システムにおいては、前記プローブの前記対象物側に、前記対象物に照射した光の反射光のうち、520nm以上の波長の光を透過するハイパスフィルターが備えられているものとすることができる。
【0012】
なお、本文中で用いられる照射とは、歯面、歯垢などの対象物に対して照らされる光、出射とは発光装置および発光素子またはランプなどから発せられる光に対して使用される。また、発光装置から出射される光をフィルターなどを介さずに直接対象物に照射した場合、出射光と照射光の波長は同じとなる。
【0013】
本発明の歯垢検出用照明器は、(A)紅麹黄色素、(B)サッカリンナトリウム、(C)エーテル化度が2.0〜2.8のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有する歯垢染色剤を付着させた口腔内の対象物に光を照射する光源が備えられた照明器であって、前記光源は250〜500nmの範囲内の波長の光を出射する発光素子を有するものである。
【0014】
また、本発明の歯垢検出用光源付き歯ブラシは、(A)紅麹黄色素、(B)サッカリンナトリウム、(C)エーテル化度が2.0〜2.8のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有する歯垢染色剤を付着させた口腔内の対象物に光を照射する光源が備えられた歯ブラシであって、前記光源は250〜500nmの範囲内の波長の光を出射する発光素子を有するものである。
【0015】
本発明の歯垢検出システム用歯垢染色剤は、(A)紅麹黄色素、(B)サッカリンナトリウム、(C)エーテル化度が2.0〜2.8のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有するものである。
【0016】
本発明の歯垢検出方法は、(A)紅麹黄色素、(B)サッカリンナトリウム、(C)エーテル化度が2.0〜2.8のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有する歯垢染色剤を口腔内の対象物に付着させた後、該対象物に250〜500nmの範囲内の波長を有する光を照射する方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、精度良く歯垢を検出でき、歯垢以外の部位(歯間、歯肉等)が染色されにくく、苦味が抑制でき、高温保存でのニゴリの発生を防止できる歯垢検出システムを実現できる。
また、本発明の歯垢検出システム、歯垢検出用照明器、歯垢検出用光源付き歯ブラシ、及び歯垢検出システム用歯垢染色剤は、本発明の歯垢検出方法の実施に好適に用いることができる。したがって、本発明の歯垢検出方法によれば、精度よく快適に歯垢を検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、図面を用いて本発明の実施の形態を、詳細に説明する。なお、本発明は以下に説明する実施の形態に限定されるものではないことは勿論である。また、以下の図面においては、各構成部分の縮尺について図面に表記することが容易となるように構成部分毎に縮尺を変えて記載している。
本発明は、歯垢の有無や付着箇所や付着程度を検査するために用いられる。
ここで、歯垢は一般的に、口腔内細菌が歯面上のタンパク被膜に付着する初期状態から始まり、菌体外多糖類が形成された後、多種多様な常在菌が付着・定着し、増加するため、時間とともにその構造・菌種を変化させることが知られている。そのため本発明に係わる歯垢とは、時間の経過に制限されず、歯の表面に付着・定着し、歯石状の物も含んだ、細菌や細菌の生産物からなる複合体の総称を指すものとする。すなわち、初期歯垢や歯石を含んだ総称を指すものとする。
【0019】
本発明の歯垢検出方法は、(A)紅麹黄色素、(B)サッカリンナトリウム、(C)エーテル化度が2.0〜2.8のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有する歯垢染色剤を口腔内の対象物に付着させた後、該対象物に250〜500nmの範囲内の波長を有する光を照射することにより、歯垢染色剤を励起し、対象物に付着した歯垢のみが蛍光色に染色されたように視認できるようにしている。口腔内の対象物とは、具体的には歯の表面である。
【0020】
本発明で使用する紅麹黄色素は、子のう菌類ベニコウジカビ、例えばモナスカス・アンカ(Monascus anka)、モナスカス・パーパレウス(Monascus purpureus)等の培養液を乾燥し粉砕したものより、塩酸酸性エタノールで抽出し、中和する等の方法で得られるもので、キサントモナシン類を主成分とする黄色色素である。
下記一般式(1)、(2)に、前記紅麹黄色素の化学構造を示す。
【0021】
【化1】

【0022】
上述した紅麹黄色素は、市販品を使用し得る。
即ち、本発明で使用可能な紅麹黄色素は、例えば、三栄源エフエフアイ株式会社製の商品名「サンエローNo.1244」、株式会社タイショーテクノス製の商品名「TSイエローM」、「TSイエローMP」、キリヤ化学株式会社製の商品名「モナスコイエローS」、神戸化成株式会社製の商品名「KCイエローMS」、ヤエガキ醗酵技研株式会社製の商品名「ハイムーンイエローS」等が挙げられる。
【0023】
前記紅麹黄色素は液体もしくは粉末として販売されているが、液体の場合紅麹黄色素80%、エタノール20%の割合で配合されたものが、製品として販売されているものが多く、粉末は液体をスプレードライ法で乾燥させたものが販売されている。また前記紅麹黄色素の主成分は、キサントモナシン類の混合物であるため、市販品の紅麹黄色素の純色素含有量は正確には測定できない場合が多い。そこで、濃度に代わる規格項目として色価を規定している。色価の測定法は、食品添加物公定書解説書に記載されている通りであるが、紅麹黄色素の場合は、以下の方法を用いる。
【0024】
色素試料を460nmでの吸光度が0.3〜0.7の範囲になるように50体積%エタノールで希釈し、検液とする。対照として50体積%エタノールを用い、460nmで液層の長さ1cmでの吸光度Aを測定し、次式により色価を求める。
色価=10×A×F/試料の採取量
(前記式中、Fは、測定吸光度が、0.3〜0.7の範囲になるように試料を調製するための希釈倍率を表す。)
【0025】
本発明の歯垢染色剤に用いる市販品の紅麹黄色素の色価は、好ましくは10〜200、より好ましくは30〜150である。
本発明の歯垢染色剤中の紅麹黄色素配合量は、市販されている紅麹黄色素製品として例えば、色価60の市販品の紅麹黄色素を用いる場合は、歯垢検出の点で好ましくは10〜90質量%、より好ましくは20〜70質量%、特に好ましくは30〜50質量%である。色価120の市販品の紅麹黄色素を用いる場合は、好ましくは5〜90質量%、より好ましくは10〜35質量%、特に好ましくは15〜25質量%である。
色価60である場合でも、色価120である場合でも、紅麹黄色素の配合量が上記範囲未満だと、歯垢の検出精度が悪く、上記範囲より多くなると歯垢染色剤を高温保存した際にニゴリが発生する場合がある。
【0026】
また前述したように、紅麹黄色素の主成分は、キサントモナシン類の混合物であるため、市販品の紅麹黄色素の主色素含有量は正確には測定できないこともあるが、市販品の紅麹黄色素中のキサントモナシン類の上限濃度が液状で1%、粉末状で2%程度である事を考慮すると、本発明の歯垢染色剤中の紅麹黄色素の主色素含有量は、好ましくは0.1〜2質量%、より好ましくは0.2〜1.4質量%、特に好ましくは0.3〜1質量%である。0.1質量%未満では、歯垢の検出精度が充分得られない場合があり、2質量%を超えると、高温保存においてニゴリを防止できない場合がある。
【0027】
本発明の歯垢染色剤で使用するサッカリンナトリウムは、サッカリンを苛性ソーダで中和して水に溶けやすくしたものであり、一般式CNNaOS・0〜3HOで表される。日本薬局方、食品添加物公定書、化粧品原料基準適合品等を用いることができ、市販品としては、愛三化学株式会社、大和化成株式会社、田辺製薬株式会社製のものなどがある。
本発明の歯垢染色剤中のサッカリンナトリウム含有量は、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜5質量%、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。配合量が0.01%質量未満では、苦味を抑制できない場合があり、20質量%を超えると、高温保存においてニゴリを防止できない場合がある。
【0028】
本発明の歯垢染色剤で使用するカルボキシメチルセルロースナトリウムは、エーテル化度が2.0〜2.8のものであり、例えばダイセル化学工業株式会社製のアーネストガムFDMなどが用いられる。エーテル化度が2.8より大きいカルボキシメチルセルロースナトリウムは、技術的に製造が困難で、汎用原料として使用することができない場合がある。また、エーテル化度が2.0より小さいと、高温保存においてニゴリ発生を防止できない場合がある。
【0029】
カルボキシメチルセルロースナトリウムにおけるエーテル化度は、カルボキシメチルセルロースナトリウムの性質(機能)を決める重要な因子であって、理論的には3.0まで可能である。なお、カルボキシメチルセルロースナトリウムにおけるエーテル化度とは、グルコース(セルロースの最小構成単位)単位当たりのカルボキシメチル基の平均置換数をいう。本発明におけるエーテル化度とは、CMC工業会分析法(灰化法)に従い、カルボキシメチルセルロースナトリウム1gを精秤して、磁性ルツボに入れて600℃で灰化し、灰化によって生成した酸化ナトリウムをN/10硫酸でフェノールフタレインを指示薬として滴定し、カルボキシメチルセルロースナトリウム1gあたりの滴定量AmLと次式に入れて計算し、求めたものを示す。
エーテル化度=(162×A)/(10000−80×A)
【0030】
歯垢染色剤中のエーテル化度2.0〜2.8のカルボキシメチルセルロースナトリウムの配合量は、好ましくは0.05〜5質量%、より好ましくは0.1〜5質量%、さらに好ましくは0.1〜3質量%である。歯垢染色剤中の配合量が0.05%質量未満では、高温保存においてニゴリ発生を防止できない場合がある。また、歯垢染色剤中の配合量が5質量%を超えると、歯肉・歯間を染色する場合がある。
【0031】
歯垢染色剤を保存するための容器としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ガラス、ポリプロピレン、ポリエチレンが使用できるが、光暴露により退色する可能性があるため、上記材質の容器に着色剤や紫外線吸収剤を含有させたり、フィルム等で遮蔽することが望ましい。
また、本発明の歯垢染色剤は、液体、液状、ゲル等の形態に調製し、使用する事ができ、綿棒塗布法、刷毛塗布法、直滴下法および洗口法などの方法を採用し得る。
【0032】
本発明の歯垢染色剤は、その形態、使用法に応じ、前述した成分に加えて、適宜、任意の成分を配合する事ができる。例えば、粘結剤、粘稠剤、界面活性剤、甘味剤、防腐剤、香料、染色促進剤、pH調製剤、有効成分、水等の溶媒、その他成分を配合することができる。
以下に任意の成分の具体例を示すが、本発明の歯垢染色剤に配合可能な成分はそれらに制限されるものではない。
【0033】
粘結剤としては、例えば、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、プルラン、ゼラチン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アラビアガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、モンモリロナイト、カオリン、水和シリカ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ヘクトライト等の中から適宜選択できる。
【0034】
粘稠剤としては、例えば、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ソルビット、グリセリン、ポリエチレングリコール、キシリトール、エリスリトール等の中から適宜選択できる。
【0035】
界面活性剤としては、エマルジョンの安定性に影響を与えない範囲において、ショ糖モノ及びジラウレート等の脂肪酸基の炭素数が12〜18であるショ糖脂肪酸エステル、ラウリン酸デカグリセリル、ステアリン酸モノグリセライド等の脂肪酸グリセライド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、酸化エチレンの平均重合度が10〜100モルのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、酸化エチレンの平均重合度が10〜100モルのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のエステル系非イオン界面活性剤、酸化エチレンの平均重合度が6〜50モルのポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系のもの及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のブロックポリマー型のエーテル系非イオン界面活性剤、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、N−ラウロイルザルコシネート、ラウロイルメチルタウリン、アシルアミノ酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル・ナトリウム、アルキルリン酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの酢酸ベタイン型両性界面活性剤、N−脂肪酸アシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン塩などのイミダゾリン型両性界面活性剤、N−脂肪酸アシル−L−アルギネート塩等のアミノ酸型界面活性剤などを単独又は組み合わせて用いることができ、通常配合量は0.05〜5重量%として用いることができる。
【0036】
甘味剤としては、例えば、ステビオサイド、ステビアエキス、グリチルリチン酸ジカリウム、ネオヘスペリジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、タウマチン、アスパラチルフェニルアラニンメチルエステル、アスパルテーム、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロキシカルコン、ペリラルラクチン、ショ糖、果糖、サクラミン酸ナトリウム等の中から適宜選択できる。
【0037】
防腐剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、ソルビン酸カルシウム、エチレンジアミン四酢酸塩等の中から適宜選択できる。
【0038】
香料としては、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、シナモン油、クローブ油、タイム油、セージ油、カルダモン油、ローズマリー油、マジョラム油、レモン油、オレンジ油、フェンネル油、ナツメグ油、ラベンダー油、パラクレス油等の天然精油及び、l−メントール、l−カルボン、アネトール、1,8−シネオール、メチルサリシレート、オイゲノール、チモール、リナロール、リモネン、メントン、メンチルアセテート、シトラール、カンファー、ボルネオール、ピネン、スピラントール等の上記天然精油中に含まれる香料成分、また、エチルアセテート、エチルブチレート、イソアミルアセテート、ヘキサナール、ヘキセナール、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、ベンツアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、フラネオール、マルトール、エチルマルトール、ガンマ/デルタデカラクトン、ガンマ/デルタウンデカラクトン、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、メンチルラクテート、エチレングリコール−l−メンチルカーボネート等の香料成分、さらには、いくつかの香料成分や天然精油を組み合わせてなる、アップル、バナナ、ストロベリー、ブルーベリー、メロン、ピーチ、パイナップル、グレープ、マスカット、ワイン、チェリー、スカッシュ、コーヒー、ブランデー、ヨーグルト等の調合フレーバーの1種または2種以上を、本発明の組成物中0.00001〜3重量%、本発明の効果を妨げない範囲で使用することができる。
【0039】
染色促進剤としては、例えば、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム・2水塩およびリン酸水素カルシウム・無水塩、ピロリン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、第3リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、非晶質シリカ、結晶性シリカ、沈降性無定形シリカ、ゼオライト、アルミノシリケート、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、レジン、デンプン・デキストランなどの多糖類やその分解生成物であるデキストリン、還元澱粉分解物などを必要に応じて選択できる。
【0040】
本発明の歯垢検出システム用歯垢染色剤は、使用する紅麹黄色素の染色性に悪影響を及ぼさず、口腔内で安全な範囲内のpHに調節し得るが、使用することができるpH調整剤としては、例えば、塩酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、酢酸およびこれらの塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、ピロリン酸四ナトリウム、リン酸水素2ナトリウム12水和物、リン酸2水素ナトリウム2水和物などから適宜選択できる。
【0041】
さらにその他の有効成分として、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化スズなどのフッ化物、クロロギキシジン、トリクロサン、塩化セチルピリジニウム、イソプロピルメチルフェノールなどの殺菌/抗菌剤、縮合リン酸塩、エタンヒドロキシジホスフォネートなどの歯石予防剤、トラネキサム酸、グリチルリチン2カリウム塩などの抗炎症剤、デキストラナーゼ、ムタナーゼなどの酵素剤、塩化ナトリウム、乳酸アルミニウムなどの収斂剤、硝酸カリウム、塩化ストロンチウムなどの知覚過敏抑制剤、クエン酸亜鉛、グルコン酸などのプラーク抑制剤、ビタミンEなどの血行促進剤などを、薬剤学的に許容できる範囲で使用することができる。
【0042】
また、本発明の視認性を阻害しない範囲で、赤色104号(フロキシン)、赤色105号(ローズベンガル)、赤色106号(アシッドレッド)、黄色5号(サンセットイエロー)、カーサマス(ベニバナ)黄色素、パプリカ(カプシカム)色素、紅麹赤色素、マリーゴールド色素、リボフラビン(ビタミンB2)、サフラン抽出物、N−メチルアントラニル酸メチル、クミン抽出物、ビタミンA等の色素を、0.0001〜0.5質量%で、配合することができる。さらに溶剤として、エタノール、水などを配合することができる。
【0043】
なお、これら任意成分の配合量は、本発明の効果を損なわない範囲の常用量とすることができる。
【0044】
本発明の歯垢染色剤を付着させた口腔内の対象物に照射する光は、250〜500nmの範囲内に波長を有するものが用いられる。前記範囲内の波長を有する光を出射可能であれば、光源は種類を問わない。例えば、250〜500nmの範囲内の波長を有する光を出射する発光ダイオード(LED)などの発光素子を用いることができる。
また、キセノンランプ、キセノンフラッシュランプ、メタルハライドランプ、ホローカソードランプ等を用いることもできる。該ランプから出射される光が、広範囲の波長を有する場合、250〜500nmの範囲内の波長の光を選択的に透過させるバンドパスフィルターを用いることにより、あるいは、ハイパスフィルターとローパスフィルターを組み合わせたものを用いることにより、250〜500nmの範囲内の波長の光を選択的に透過させることができる。容易性の点でバンドパスフィルターを用いるのが好ましい。
また、発光素子から出射される光の波長が、250〜500nmの範囲から外れる場合は、この発光素子と前記バンドパスフィルターを組み合わせて用いることが好ましい。
前記ローパスフィルターとしては、例えば、500nm以下の波長の光を透過するものが用いられる。前記ハイパスフィルターとしては、例えば、250nm以上の波長の光を透過するものが用いられる。
【0045】
口腔内の対象物に照射する光の波長は、さらに好ましくは、330nm〜470nmの範囲であり、よりさらに好ましくは、380〜420nm、特に好ましくは395nm〜410nmの範囲である。口腔内の対象物に照射する光の波長が250nm未満の場合や500nmを超えた場合、歯垢の検出精度が充分に得られない場合がある。
前記光源としては、携帯性、簡易性の点で、発光ダイオードがより好ましい。また、眼や皮膚等に対する安全性を考慮すると、実用上、前記対象物に照射する光は、可視光であることがより好ましい。
【0046】
図1に、本発明の歯垢検出方法の実施に好適に用いられる歯垢検出システムの実施形態の一例を示した。
本実施形態の歯垢検出システムは、前記構成の本発明の歯垢染色剤と、該歯垢染色剤を付着させた口腔内の対象物40に、250〜500nmの範囲内の波長を有する光を照射する発光装置10と、発光装置10にそれぞれ接続されたパーソナルコンピュータ等の画像表示装置20と、プローブ(ハンドピース)30と、プローブ30の前方(対象物側)に配置されたハイパスフィルター45から概略構成されている。
【0047】
発光装置10は、発光部16と受光部17を有し、該発光部16には、光源12と、250nm〜500nmの範囲内の波長を有する光を選択的に透過するバンドパスフィルター15とが備えられている。
光源12としては、前記発光ダイオード(LED)などの発光素子又は前記キセノンランプ等のランプが用いられる。
バンドパスフィルター15は、250〜500nm、より好ましくは330nm〜410nmの範囲内の波長の光を選択的に透過するものであることが好ましい。
【0048】
この発光部16では、光源12から出射された光が、バンドパスフィルター15によって、250nm〜500nm、より好ましくは330nm〜410nmの範囲内の波長の光Lのみ透過するようになっている。
なお、光源12に備えられる発光素子が、250〜500nmの範囲内の波長の光のみを出射するものである場合は、バンドパスフィルター15は、発光装置10に備えられていなくてもよい。
【0049】
プローブ30は、光ファイバなどの光導波路を有する第1のケーブル35を介して、発光装置10の発光部16に接続されている。また、プローブ30は、光ファイバなどの光導波路を有する第2のケーブル36を介して、発光装置10の受光部17に接続されている。
第1のケーブル35は、発光装置10の発光部16から出射された光Lを導光して、プローブ30に伝搬できるようになっている。プローブ30は、第1のケーブル35から伝搬された光Lを、対象物40に向けて照射できるようになっている。また、このプローブ30は、光Lが照射された対象物40の画像情報を、第2のケーブル36を介して、発光装置10の受光部17に送信できるようになっている。
【0050】
ハイパスフィルター45は、プローブ30から対象物40に照射した光Lの反射光Rのうち、520nm以上の波長の反射光を透過するように構成されたものである。前記受光部17に送信される画像情報には、ハイパスフィルター45を透過した反射光Rが含まれる。
対象物40に歯垢が存在する場合、歯垢に付着した歯垢染色剤が前記光Lによって励起され、蛍光を発し、ハイパスフィルター45を透過した反射光Rが受光部17に送信される。
画像表示装置20は、発光装置の受光部17で受信した対象物40の画像情報を表示できるように構成されている。
【0051】
本実施形態の歯垢検出システムを用いて歯垢を検出するには、前記構成の本発明の歯垢染色剤を、先に述べた方法により、口腔内の対象物40に付着させた後、プローブ30を対象物40に近づけて、該対象物40を画像表示装置20でモニタしながら、発光装置10の発光部16から250nm〜500nmの範囲内の波長を有する光Lを出射し、対象物40に照射する。例えば、光源12が長波長の光(白色の光)を出射するランプで、バンドパスフィルター15が290nm〜450nmの光を選択的に透過するものである場合、発光部16から出射される光Lは青〜紫色を帯びた光になる。対象物40に歯垢が存在する場合は、歯垢のみが蛍光色(例えば、青み以外の色の蛍光色、黄色を帯びた蛍光色)に染色される。歯垢以外の部位(歯の表面で歯垢がない部分、歯間、歯肉、口唇等)は染色されないので、画像表示装置20に映し出された対象物40は、歯垢が光って見え、歯垢を容易に視認できる。このように、本実施形態の歯垢検出システムは、歯垢の検出精度に優れ、特に、形成初期の歯垢も精度良く検出できる。また、自然光下ではその歯垢部位が視認されないため、染色による不快感の問題を改善できる。
ハイパスフィルター45が設けられている場合、蛍光以外の反射光は透過しない(520nm未満の短波長の光をカットする)ので、520nm以上の波長の反射光のみを受光部17で受光することができ、ノイズ光は除去される。これにより、画像表示装置20に写しだされた対象物40は、歯垢が存在する部分のみ光って見え、歯垢の検出感度を高めることができる。
【0052】
図2に、本発明の歯垢検出方法の実施に好適に用いられる歯垢検出用光源付き歯ブラシの実施形態の一例を示した。
図2の歯垢検出用光源付き歯ブラシは、グリップ部50と、ブラシが植えられたヘッド部55と、グリップ部50とヘッド部55を接続する柄部58を有する。前記グリップ部50の内部には、250〜500nmの範囲内の波長の光を出射する発光素子を有する光源52と、該光源52に電力を供給する電池を収納する電池ボックス53が設けられ、グリップ部50の外部には、光源52への電力供給をオン、オフするスイッチ54が設けられている。ヘッド部55のブラシ側には、前記発光素子から出射された光を、本発明の歯垢染色剤を付着させた口腔内の対象物に出射する発光口56が、形成されている。前記発光口56と光源52間には、光ファイバガイド等からなる光導波路59が形成されている。
このような構成の歯垢検出用光源付き歯ブラシは、スイッチ54をオンにすることにより、光源52の発光素子から、250〜500nmの範囲内の波長の光が出射され、さらに、この光は前記光導波路59を通って、発光口56から外部に出射される。
【0053】
図3に、本発明の歯垢検出方法の実施に好適に用いられる歯垢検出用光源付き歯ブラシの実施形態のその他の例を示した。
図3の歯垢検出用光源付き歯ブラシが、図2の歯垢検出用光源付き歯ブラシと特に異なるところは、光源52が、発光口56近傍のヘッド部55の内部に設けられ、この光源52と電池ボックス53とが配線60で接続されている点である。
【0054】
図2や図3に示した歯垢検出用光源付き歯ブラシを用いて歯垢を検出するには、例えば、前記本発明の歯垢染色剤を、先に述べた方法により、口腔内の対象物に付着させた後、鏡等で対象物を観察しながら、ヘッド部55を、前記対象物に近づけてスイッチ54をオンし、対象物に、前記250〜500nmの範囲内の波長の光を照射する。
前記対象物に歯垢が存在している場合は、歯垢のみが蛍光色に染色され、歯垢以外の部位は染色されないので、鏡に映し出された対象物は、歯垢が光って見え、歯垢を容易に視認できる。このように、本発明の歯垢検出用光源付き歯ブラシを用いることにより、歯垢の検出精度を高めることができる。
【0055】
図4(a)に、本発明の歯垢検出方法の実施に好適に用いられる歯垢検出用照明器の実施形態の一例を示した。
図4(a)の歯垢検出用照明器は、グリップ部70と、直線状のスティック部78を有するペンライト型のものである。前記スティック部78の先端には、本発明の歯垢染色剤を付着させた口腔内の対象物に250〜500nmの範囲内の波長の光を照射する発光素子を有する光源72が設けられ、グリップ70の内部には、光源72に電力を供給する電池を収納する電池ボックス73が設けられている。前記グリップ部70の外部には、光源72への電力供給をオン、オフするスイッチ74が設けられ、光源72と電池ボックス73は、配線80により接続されている。
このような構成の歯垢検出用照明器は、スイッチ74をオンにすることにより、光源72の発光素子から250〜500nmの範囲内の波長の光が出射されるようになっている。
また、図4(b)は、スティック部78’および配線80’の先端が湾曲したペンライト型のものである。図4(b)は、湾曲角度が30度の実施形態を示すが、通常、湾曲角度が10〜50度程度のものが好ましい。
【0056】
更に、本発明の歯垢検出用照明器には、必要に応じて、図4(c)に示すような、ミラースティック部79と、ミラースティック部79の先端に取り付けられたミラー部75と、ミラースティック部の後端に取り付けられたキャップ部77とを有するミラーを付属させることができる。このような構造を有するミラーは、キャップ部77の後端部77aを、例えば、図4(a)もしくは図4(b)のステッィク部78もしくは78’の先端部に、固定式(一体型)又は着脱式に、はめ込むことにより取り付けることができる。
あるいは、図4(d)に示すような、ミラースティック部79と、ミラースティック部の先端に取り付けられたミラー部75とを有するミラー単体を、本発明の歯垢検出用照明器と併用して使用することもできる。
【0057】
図5に、本発明の歯垢検出方法の実施に好適に用いられる歯垢検出用照明器の実施形態のその他の例を示した。
図5の歯垢検出用照明器が、図4の歯垢検出用照明器と、特に異なるところは、スティック部78の先端部分に拡径部78aが設けられ、該拡径部78aの内部に、電池ボックス73が設けられ、スティック部78の先端の光源72と電池ボックス73が配線80により接続されている点である。
【0058】
図4や図5に示した歯垢検出用照明器を用いて歯垢を検出するには、例えば、前記構成の本発明の歯垢染色剤を、先に述べた方法により、口腔内の対象物に付着させた後、鏡等で対象物を観察しながら、スティック部78の先端を、前記対象物に近づけてスイッチ74をオンし、対象物に前記250〜500nmの範囲内の波長の光を照射する。
前記対象物に歯垢が存在する場合は、歯垢のみが蛍光色に染色され、歯垢以外の部位は染色されないので、鏡に映し出された対象物は、歯垢が光って見え、歯垢を容易に視認できる。このように、本発明の歯垢検出用照明器を用いることにより、歯垢の検出精度を高めることができる。
【0059】
前記実施形態の歯垢検出用光源付き歯ブラシや歯垢検出用照明器において、その性能、安全性を損なわない範囲で、必要に応じて、複数の発光素子からなる光源(例えば、緑色光・赤色光・白色光等の複数の発光ダイオードが設けられていてもよく、例えば、白色光と250〜500nmの範囲内の波長を有する光を自由に切替えることができる構成を有する、もしくは、同質の発光ダイオードが束ねられた構成を有する)を使用することもできる。
口腔内の対象物に照射される光の強度は、任意であるが、口腔粘膜や眼等に弊害を及ぼさないレベルが好ましい。
また、歯垢染色剤付着部位の視認性向上のために、視認性を妨害する光(ノイズ)を除外する、あるいは、歯垢染色剤付着部位から放出される蛍光をより明確化する性能を有するフィルターを使用することもでき、その材質、色、厚さ等に特に制限はない。例えば、オレンジや黄色等に着色された市販のセロハン、フィルム、プラスチックレンズ・板、または、ガラスレンズ・板等を用いることができる。また、励起された蛍光波長を透過させるハイパスフィルター等を用いることができる。さらに、オレンジや黄色等に着色されたフィルターを、鏡に貼付して、使用することもできる。これらのように、歯垢染色剤付着部位を、フィルターを介して観察することにより、歯垢の視認性が向上する。
【0060】
前記歯垢検出システムに用いられる前記本発明の歯垢染色剤は、歯垢検出システム用歯垢染色剤として単独で販売可能である。また、この歯垢検出システム用歯垢染色剤は前記歯垢検出用光源付き歯ブラシや歯垢検出用照明器を用いて歯垢を検出するときに用いる歯垢染色剤として用いることができる。
【0061】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお下記例において、%は質量百分率を示す。
表1、表2および下記に示す実施例1〜実施例11、比較例1〜比較例11の組成の歯垢染色剤をそれぞれ調製した。そして、実施例1〜実施例11、比較例2、比較例4〜比較例11については、得られた歯垢染色剤と歯垢検出システム用発光器(発光装置)とを備えた歯垢検出システムとした。
【0062】
【表1】

【0063】
【表2】

【0064】
(実施例1)
<歯垢染色剤>
紅麹黄色素(色価62.1)(*1) 50%
サッカリンナトリウム(*6) 1.5%
カルボキシメチルセルロースナトリウム(エーテル化度2.4)(*9) 0.5%
水 残部
<歯垢検出システム用発光器>
光源:砲弾型発光ダイオードL405−06V(EPITEX INC.製)
光の波長:405nm
【0065】
(実施例2)
<歯垢染色剤>
紅麹黄色素(色価60.5)(*2) 30%
サッカリンナトリウム(*7) 3%
カルボキシメチルセルロースナトリウム(エーテル化度2.2)(*9) 1%
水 残部
<歯垢検出システム用発光器>
発光部:QLFsystem(Inspektor Research Systems製)
光の波長:370±40nm(キセノンアークランプとバンドパスフィルターを使用)
【0066】
(実施例3)
<歯垢染色剤>
紅麹黄色素 (色価62.5)(*3) 40%
サッカリンナトリウム(*8) 0.3%
カルボキシメチルセルロースナトリウム(エーテル化度2.3)(*9) 4%
水 残部
<歯垢検出システム用発光器>
光源:砲弾型発光ダイオードSDL-10N3HB(SANDER ELECTRONIC CO.,LTD製)
光の波長:470nm
【0067】
(実施例4)
<歯垢染色剤>
紅麹黄色素(色価58.9)(*4) 40%
サッカリンナトリウム(*8) 0.08%
カルボキシメチルセルロースナトリウム(エーテル化度2.2)(*9) 4%
水 残部
<歯垢検出システム用発光器>
発光部:QLFsystem (Inspektor Research Systems製)
光の波長:370±40nm(キセノンアークランプとバンドパスフィルターを使用)
フィルター:Yellow Filter Y52 polished (Inspektor Research Systems製)
【0068】
(実施例5)
<歯垢染色剤>
紅麹黄色素(色価63.2)(*5) 25%
サッカリンナトリウム(*6) 0.8%
カルボキシメチルセルロースナトリウム(エーテル化度2.6)(*9) 0.08%
水 残部
<歯垢検出システム用発光器>
発光部:QLFsystem (Inspektor Research Systems製)
光の波長:370±40nm(キセノンアークランプとバンドパスフィルターを使用)
【0069】
(実施例6)
紅麹黄色素(色価60.7)(*3) 70%
サッカリンナトリウム(*6) 1.8%
カルボキシメチルセルロースナトリウム(エーテル化度2.3)(*9) 1%
85%グリセリン 10%
キシリトール 1%
エタノール 2%
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.5%
クエン酸 0.03%
クエン酸ナトリウム 0.25%
水 残部
<歯垢検出システム用発光器>
光源:砲弾型発光ダイオードL405-06V(EPITEX INC.製)
光の波長:405nm
【0070】
(実施例7)
<歯垢染色剤>
紅麹黄色素(色価63.3)(*4) 30%
サッカリンナトリウム(*8) 1.5%
カルボキシメチルセルロースナトリウム(エーテル化度2.0)(*9) 0.5%
85%グリセリン 50%
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.5%
エタノール 2%
プロピレングリコール 0.3%
リン酸水素2ナトリウム12水和物 0.4%
リン酸2水素ナトリウム2水和物 0.05%
水 残部
<歯垢検出システム用発光器>
発光部:QLFsystem(Inspektor Research Systems製)
光の波長:370±40nm(キセノンアークランプとバンドパスフィルターを使用)
フィルター:Yellow Filter Y52 polished (Inspektor Research Systems製)
【0071】
(実施例8)
<歯垢染色剤>
紅麹黄色素(色価63.2)(*5) 43%
サッカリンナトリウム(*6) 2.5%
カルボキシメチルセルロースナトリウム(エーテル化度2.8)(*9) 1.2%
ミリスチン酸ジエタノールアミド 1.2%
香料 0.8%
フッ化ナトリウム 0.2%
水 残部
<歯垢検出システム用発光器>
光源:砲弾型発光ダイオードL405-06V(EPITEX INC.製)
光の波長:405nm
フィルター:イエローNo.8(株式会社ケンコー製)
【0072】
(実施例9)
<歯垢染色剤>
紅麹黄色素(色価62.5)(*2) 80%
サッカリンナトリウム(*6) 0.5%
カルボキシメチルセルロースナトリウム(エーテル化度2.1)(*9) 0.5%
モノフルオロリン酸ナトリウム 0.73%
エタノール 6%
ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル 0.8%
トリクロサン 0.02%
イソプロピルメチルフェノール 0.05%
水 残部
<歯垢検出システム用発光器>
光源:砲弾型発光ダイオードSDL-10N3HB(SANDER ELECTRONIC CO.,LTD製)
光の波長:470nm
フィルター:黄色セロハン紙を鏡に貼りつけて使用(株式会社エルティー製)
【0073】
(実施例10)
<歯垢染色剤>
紅麹黄色素(色価60.8)(*1) 10%
サッカリンナトリウム(*6) 5%
カルボキシメチルセルロースナトリウム(エーテル化度2.4)(*9) 2%
70%ソルビット液 5%
エリスリトール 1%
安息香酸ナトリウム 0.5%
ビタミンE 0.05%
水 残部
<歯垢検出システム用発光器>
発光部:QLFsystem(Inspektor Research Systems製)
光の波長:370±40nm(キセノンアークランプとバンドパスフィルターを使用)
【0074】
(実施例11)
<歯垢染色剤>
紅麹黄色素(色価60.5)(*2) 30%
サッカリンナトリウム(*6) 0.05%
カルボキシメチルセルロースナトリウム(エーテル化度2.8)(*9) 0.9%
乳酸カルシウム 0.05%
グリチルリチン酸ジカリウム 0.05%
ラウリル硫酸ナトリウム 0.2%
エタノール 2%
ラウリン酸デカグリセリル 1.4%
ゼラチン 1.6%
塩酸アルキルジアミノエチルグリシン 0.05%
デキストラナーゼ 0.2%
水 残部
<歯垢検出システム用発光器>
光源:VL−6LC(VILBER LOURMAT製)
光の波長:254nm
【0075】
(比較例1)
<歯垢染色剤>
実施例1と同じ
【0076】
(比較例2)
<歯垢染色剤>
実施例1と同じ
<歯垢検出システム用発光器>
光源:砲弾型発光ダイオードSDL-10N3SPG(SANDER ELECTRONIC CO.,LTD製)
光の波長:525nm
【0077】
(比較例3)
<歯垢染色剤>
赤色3号色素(*11) 3.0%
サッカリンナトリウム(*6) 1.5%
カルボキシメチルセルロースナトリウム(エーテル化度2.4)(*9) 0.5%
水 残部
【0078】
(比較例4)
<歯垢染色剤>
スピルリナ青色素(*12) 1.0%
サッカリンナトリウム(*6) 1.5%
カルボキシメチルセルロースナトリウム(エーテル化度2.4)(*9) 0.5%
水 残部
<歯垢検出システム用発光器>
光源:砲弾型発光ダイオードL405−06V(EPITEX INC.製)
光の波長:405nm
【0079】
(比較例5)
<歯垢染色剤>
Dental Plaque Disclosing Solution(*13)
<歯垢検出システム用発光器>
光源:PLAK-LITE Illuminator
クロスフィールド株式会社製
【0080】
(比較例6)
<歯垢染色剤>
紅麹黄色素(色価62.1)(*1) 50%
サッカリンナトリウム(*6) 1.5%
カルボキシメチルセルロースナトリウム(エーテル化度1.3)(*10) 0.5%
水 残部
<歯垢検出システム用発光器>
光源:砲弾型発光ダイオードL405−06V(EPITEX INC.製)
光の波長:405nm
【0081】
(比較例7)
<歯垢染色剤>
紅麹黄色素 (色価62.1)(*1) 50%
カルボキシメチルセルロースナトリウム(エーテル化度2.4)(*9) 0.5%
水 残部
<歯垢検出システム用発光器>
光源:砲弾型発光ダイオードL405−06V(EPITEX INC.製)
光の波長:405nm
【0082】
(比較例8)
<歯垢染色剤>
紅麹黄色素(色価62.1)(*1) 50%
サッカリンナトリウム(*6) 1.5%
水 残部
<歯垢検出システム用発光器>
光源:砲弾型発光ダイオードL405−06V(EPITEX INC.製)
光の波長:405nm
【0083】
(比較例9)
<歯垢染色剤>
紅麹黄色素(色価62.1)(*1) 50%
水 残部
<歯垢検出システム用発光器>
光源:砲弾型発光ダイオードL405−06V(EPITEX INC.製)
光の波長:405nm
【0084】
(比較例10)
<歯垢染色剤>
紅麹黄色素(色価60.5)(*2) 30%
サッカリンナトリウム(*7) 3%
カルボキシメチルセルロースナトリウム(エーテル化度1.4)(*10) 1%
水 残部
<歯垢検出システム用発光器>
発光部:QLFsystem(Inspektor Research Systems製)
光の波長:370±40nm(キセノンアークランプとバンドパスフィルターを使用)
【0085】
(比較例11)
<歯垢染色剤>
銅クロロフィリンナトリウム(*14) 1.0%
サッカリンナトリウム(*7) 3%
カルボキシメチルセルロースナトリウム(エーテル化度2.2)(*9) 1%
水 残部
<歯垢検出システム用発光器>
発光部:QLFsystem(Inspektor Research Systems製)
光の波長:370±40nm(キセノンアークランプとバンドパスフィルターを使用)
【0086】
なお、上記実施例および比較例で用いた紅麹黄色素、サッカリンナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウムは、以下のものを用いた。
紅麹黄色素
(*1)三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製 サンエローNo.1244
(*2)ヤエガキ醗酵技研株式会社製 ハイムーンイエローS
(*3)株式会社タイショーテクノス製 TSイエローM
(*4)キリヤ化学株式会社製 モナスコイエローS
(*5)神戸化成株式会社製 KCイエローMS
サッカリンナトリウム
(*6)大和化成株式会社製 化粧品原料基準適合品
(*7)田辺製薬株式会社製 日本薬局方適合品
(*8)愛三化学株式会社製 化粧品原料基準適合品
カルボキシメチルセルロースナトリウム
(*9)ダイセル化学工業株式会社製 アーネストガムFDM
(*10)ダイセル化学工業株式会社製 品番1350(エーテル化度2.0未満のカルボキシメチルセルロースナトリウムを探索した結果、エーテル化度1.4の(*10)が最もエーテル化度2.0未満でエーテル化度2.0に近いものとして入手できたため、(*10)を比較例として使用した。)
【0087】
また、上記実施例および比較例の歯垢染色剤において、以下のものを用いた。
(*11)和光純薬工業株式会社製 エリトロシンB
(*12)関東化学株式会社製(蛍光色素)
(*13)クロスフィールド株式会社製(フルオレセインナトリウムとして0.75%に相当)
(*14)和光純薬工業株式会社製(クロロフィルの中心元素をマグネシウムから銅に置換した水溶性色素)
【0088】
実施例1〜実施例11、比較例1〜比較例11の組成の歯垢染色剤について、以下に示すように「歯垢の視認性の良さ」「歯肉・歯間の染色のなさ」「使用時の苦味のなさ」「ニゴリのなさ」を評価した。
【0089】
1.歯垢の視認性の良さの評価
歯垢蓄積量が、染色剤の付着量の程度に影響しないように、10名の被験者(A〜J)について、各歯垢染色剤使用前の24時間、歯磨きを中止した(形成初期の歯垢)。その後、実施例1〜実施例11、比較例1〜比較例11の歯垢染色剤を、歯面、歯肉、歯間に綿棒で塗布し、軽く洗口後、歯垢検出システム用発光器から光を出射し、歯垢の視認性、および、歯肉・歯間への染色量を以下の評価基準に従って目視判定し、被験者10人の平均値を算出した。なお、比較例1、比較例3は、歯垢検出システム用発光器を用いず、自然光下にて観察を行い、下記評価基準に従って目視判定して平均値を求めた。
【0090】
「歯垢視認性の良さの評価基準」
5点:視認性がかなり良い
4点:視認性が良い
3点:視認性がやや良い
2点:視認性が良くない
1点:視認できない
【0091】
「歯肉・歯間の染色のなさの評価基準」
5点:染色が全くない
4点:染色がほとんどない
3点:染色がややある
2点:染色がやや多い
1点:染色が多い
その結果を表1及び表2に示す。
【0092】
2.使用時の苦味のなさの評価
「歯垢の視認性の良さの評価」における被験者(A〜J)への歯垢染色剤の塗布および観察の際に、被験者が感じた苦味の程度を以下の評価基準に従って評価し、被験者10人の平均値を算出した。
「苦味のなさの評価基準」
5点:苦味をまったく感じず、快適に使用できる
4点:苦味をほとんど感じず、使用に問題がない
3点:苦味をやや感じ、やや使用に問題がある
2点:苦味を多く感じ、かなり使用に問題がある
1点:苦味を非常に多く感じ、著しく使用に問題がある
その結果を表1及び表2に示す。
【0093】
3.高温保存品外観安定性(ニゴリ)評価
「歯垢の視認性の良さの評価」に使用した歯垢染色剤を20mLの透明PET容器(株式会社吉野工業所製)に入れ、50℃の恒温槽(インキュベーターIS400:ヤマト科学株式会社製)に放置し、30日後の外観安定性(ニゴリ)の程度を以下の評価基準に従って評価した。
「ニゴリのなさの評価基準」
○:ニゴリがまったくない
△:ニゴリがわずかにある
×:ニゴリがかなりある
その結果を表1及び表2に示す。
【0094】
表1および表2より、実施例1〜実施例11に示した紅麹黄色素、サッカリンナトリウム、エーテル化度が2.0〜2.8のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有する歯垢染色剤を口腔内に適用後、250〜500nmの範囲内に波長を有する光を照射する歯垢検出方法を用いると、歯垢の視認性が良好となることが確認できた。
また、実施例1〜実施例11は、光を照射しない比較例1や、波長が250〜500nmでない光を照射した比較例2と比べて、歯垢の視認性が著しく優れていることがわかる。
【0095】
また、実施例1〜実施例11は、紅麹黄色素に代えて歯垢染色剤用色素として広く使用されている赤色3号色素を用いた比較例3と比較して、歯肉・歯間の染色のなさの評価が良好となり、歯垢を選択的に染色できることが確認された。さらに、実施例1〜実施例11では、紅麹黄色素に代えてスピルリナ青色素を用いた比較例4、歯垢の視認性が著しく優れていることがわかる。また、実施例1〜実施例11では、紅麹黄色素に代えてフルオレセインを用いた比較例5、紅麹黄色素に代えて銅クロロフィリンナトリウムを用いた比較例11と比較して、歯垢視認性の良さの評価、歯肉・歯間の染色のなさの評価が優れていることがわかる。
【0096】
また、実施例1〜実施例11では、エーテル化度が2.0〜2.8の範囲でない比較例6や比較例10、カルボキシメチルセルロースナトリウムを含まない比較例8、カルボキシメチルセルロースナトリウムもサッカリンナトリウムも含まない比較例9、サッカリンナトリウムを含まない比較例7と比較して、ニゴリのなさの評価が良好となり、高温保存でのニゴリが発生しにくいことが確認された。
また、実施例1〜実施例11では、苦味を感じずに使用できることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の歯垢検出システムの実施形態の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の歯垢検出用光源付き歯ブラシの実施形態の一例を示す概略構成図である。
【図3】本発明の歯垢検出用光源付き歯ブラシの実施形態のその他の例を示す概略構成図である。
【図4】図4(a)は、本発明の歯垢検出用照明器の実施形態の一例を示す概略構成図である。図4(b)は、本発明の歯垢検出用照明器の別の実施形態の一例を示す概略構成図である。図4(c)は、本発明の歯垢検出用照明器に、固定式又は着脱式で付属可能なミラーの実施形態の一例を示す概略構成図である。図4(d)は、本発明の歯垢検出用照明器と併用して使用可能なミラー単体の実施形態の一例を示す概略構成図である。
【図5】本発明の歯垢検出用照明器の実施形態のその他の例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0098】
10・・・発光装置、12・・・光源、15・・・バンドパスフィルター、16・・・発光部、17・・・受光部、20・・・画像表示装置、30・・・プローブ、35・・・第1のケーブル、36・・・第2のケーブル、40・・・口腔内の対象物、45・・・ハイパスフィルター、50,70・・・グリップ部、52,72・・・光源、53,73・・・電池ボックス、54,74・・・スイッチ、55・・・ヘッド部、56・・・発光口、58・・・柄部、59・・・光導波路、60,80、80’・・・配線、75・・・ミラー部、77・・・キャップ部、77a・・・後端部、78、78’・・・スティック部、78a・・・拡径部、79・・・ミラースティック部、L・・・光、R・・・反射光


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)紅麹黄色素、(B)サッカリンナトリウム、(C)エーテル化度が2.0〜2.8のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有する歯垢染色剤と、
該歯垢染色剤を付着させた口腔内の対象物に250〜500nmの範囲内の波長を有する光を照射する発光装置とが備えられた歯垢検出システム。
【請求項2】
前記発光装置に、250〜500nmの範囲内の波長の光を出射する発光素子が備えられた請求項1に記載の歯垢検出システム。
【請求項3】
前記発光装置に、発光素子又はランプと、250〜500nmの範囲内の波長の光を選択的に透過するフィルターとの両方が備えられた請求項1に記載の歯垢検出システム。
【請求項4】
前記発光装置に、受光部が備えられ、画像表示装置とプローブとがそれぞれ前記発光装置に接続され、前記プローブは、前記発光装置から出射された前記光を前記対象物に向けて照射でき、かつ、前記光が照射された対象物の画像情報を前記受光部に送信できる構成とされ、前記画像表示装置は、前記受光部で受信した前記対象物の画像情報を表示できる構成とされた請求項1から3のいずれか一項に記載の歯垢検出システム。
【請求項5】
前記プローブの前記対象物側に、前記対象物に照射した光の反射光のうち、520nm以上の波長の光を透過するハイパスフィルターが備えられた請求項4に記載の歯垢検出システム。
【請求項6】
(A)紅麹黄色素、(B)サッカリンナトリウム、(C)エーテル化度が2.0〜2.8のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有する歯垢染色剤を付着させた口腔内の対象物に光を照射する光源が備えられた照明器であって、
前記光源は、250〜500nmの範囲内の波長の光を出射する発光素子を有する歯垢検出用照明器。
【請求項7】
(A)紅麹黄色素、(B)サッカリンナトリウム、(C)エーテル化度が2.0〜2.8のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有する歯垢染色剤を付着させた口腔内の対象物に光を照射する光源が備えられた歯ブラシであって、
前記光源は、250〜500nmの範囲内の波長の光を出射する発光素子を有する歯垢検出用光源付き歯ブラシ。
【請求項8】
(A)紅麹黄色素、(B)サッカリンナトリウム、(C)エーテル化度が2.0〜2.8のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有することを特徴とする歯垢検出システム用歯垢染色剤。
【請求項9】
(A)紅麹黄色素、(B)サッカリンナトリウム、(C)エーテル化度が2.0〜2.8のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有する歯垢染色剤を口腔内の対象物に付着させた後、該対象物に、250〜500nmの範囲内の波長を有する光を照射する歯垢検出方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−167267(P2007−167267A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−367453(P2005−367453)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】