説明

歯車対

第1の歯形を有する歯を少なくとも一つ含む第1の歯車を備える歯車対である。 第1の複数のセクションを有する第1のセグメントを含む第1の歯形を有している。 少なくとも一つの、前記第1の複数のセクションは、第1のプロファイル角を有し、 少なくとも一つの、前記第1の複数のセクションは、第2のプロファイル角を有している。前記第1のプロファイル角は、前記第2のプロファイル角と異なっている。デファレンシャルは、デファレンシャルケースと、該デファレンシャルケースの内部に配置されるピニオンシャフトと、 第1の歯形を有する少なくとも一つの歯を含むピニオンギヤとを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯車対に関するものであり、少なくとも1つの歯を有する第1の歯車を含み、該歯の歯形曲線に沿って、特定の状況下で接触荷重の増加を許容するプロファイルを有し、その結果として、歯車対によって構成されるデファレンシャルを介するトルク密度の増大を許容するものである。
【背景技術】
【0002】
通常の歯形を有するギヤの歯は、歯の歯形曲線に沿って、好ましくない荷重配分がなされるものである。特に、通常の歯形を有するギヤの歯は、歯の歯形曲線に沿った特定の位置において、脆弱な部分が存在する。例えば、図1Aを参照すると、符号(A)及び(B)で示される位置(すなわち、歯形の頂部と歯のフランク(flank)とが交差する位置、及び、歯形の基部と歯のフランクとが交差する位置)が、この脆弱な領域である。更には、他のギヤとの噛合い係合時に、ギヤの歯に作用する接触圧力(contact stress)は、歯形の全体に渡って一定ではない。これは、接触点の全てにおいて、荷重が一定ではないことを意味する。図1Bを参照すると、符号(A)及び(B)で示される位置における接触圧力が最も高く、歯形のピッチ点P(OP)における接触圧力が最も低くなっている。軸平行で運転されるギヤ(即ち、円筒ギヤ)のための歯形は、全ての接触点の軌跡は、ピッチ点と称される、中心線上の定点を通る。第1の歯車及び第2の歯車が回転する際には、歯形の互いに異なる位置で接触する。一対の歯形に与えられた連続する接触点の位置は、「作用線軌跡(path of line of action)」及び/又は「接点軌跡(path of contact)」と呼ばれる。従って、円筒ギヤのピッチ点は、中心線と作用線軌跡との交点となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そして、歯形の全体に渡る接触圧力の均一化、又は、歯形の全体に渡る荷重の分散の促進が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、少なくとも1つの歯を有する第1の歯車を含む、歯車対に関するものである。第1の歯形は、第1の複数のセクションを包含する第1のセグメントを含むものである。少なくとも第1の複数のセクションは、第1のプロファイル角(歯形角)を有し、かつ、少なくとも第1の複数のセクションは、第2のプロファイル角(歯形角)を有している。第1のプロファイル角と、第2のプロファイル角とは異なるものである。
【0005】
本発明は、デファレンシャルケースと、デファレンシャルケース内に位置するピニオンシャフトと、ピニオンギヤとを含むデファレンシャルに関するものである。ピニオンギヤは、第1の歯形を有する少なくとも1つの歯を有している。第1の歯形は、第1の複数のセクションを包含する第1のセグメントを含むものである。少なくとも第1の複数のセクションは、第1のプロファイル角を有し、かつ、少なくとも第1の複数のセクションは、第2のプロファイル角を有している。第1のプロファイル角と、第2のプロファイル角とは異なるものである。
【0006】
本発明の進歩した歯車対は、デファレンシャルを構成する連続する歯車対のトルク密度を増大させ、それによってデファレンシャルの性能を向上させるものである。
本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら、以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1A】歯形の概要図である。
【図1B】歯形の位置に対応した接触圧力を示すグラフである。
【図2】本発明の実施の形態に係る、歯車対を組合せたデファレンシャルの模式断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る、歯車対を組合せたデファレンシャルの斜視図である。
【図4A】歯のフランクを有するピニオンギヤの斜視図である。
【図4B】歯のフランクを有するサイドギヤの斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る、第1の歯車と第2の歯車の、歯のフランク同士の接触状態を示す模式図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る、第1の歯車と第2の歯車の、動作線を示す模式図である。
【図7】図4に示される第1の歯車又は第2の歯車の歯車基礎円錐(a gear base cone)を模式的に示す図である。
【図8】歯車対を構成するサイドギヤの歯のフランクの、歯尖りと、歯の切下げとを示す模式図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る、第1の歯車又は第2の歯車の、改良された歯形のための改良された補助ラック(auxiliary rack)を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について、詳しく説明する。ここでは、本発明を実施の形態に基づき説明するが、本発明がこれらの実施の形態に限定されるもではない点は、理解されるであろう。更に、本発明は、他の適切な置換、改良及び同等の構成をも包含することを意図するものであり、同様の技術思想を含む発明は、本発明の特許請求の範囲に、全て含まれるものである。
【0009】
図2には、本発明の実施の形態に係る歯車対10の模式断面図が示されている。歯車対10は、デファレンシャル12に用いられるものである。このデファレンシャル12は、デファレンシャルケース14とピニオンシャフト16とを含むものである。ピニオンシャフト16は、交差軸又は直線軸の何れかを含み、デファレンシャルケース14の内側に固定されている。デファレンシャル12は、更に、第1の歯車18(例えば、少なくとも1つのピニオンギヤ)を含むものである。デファレンシャル12は更に、第2の歯車20(例えば、少なくとも1つのサイドギヤ)を含むものである。第1の歯車18には、ストレートベベルピニオンギヤ(a straight bevel pinion gear)が含まれる、第2の歯車にはストレートベベルサイドギヤ(a straight bevel side gear)が含まれる。歯車対10には、デファレンシャル12を構成するために、ピニオンギヤ18と第2の歯車20が用いられ、第1の歯車と第2の歯車により構成される歯車対10は、複数の異なるギヤが用いられる他の実施形態も含まれるものである。
【0010】
ピニオンギヤ18はピニオンシャフト16に保持されている。本発明の実施の形態では、複数のピニオンギヤ18が用いられている。例えば、本実施の形態では、2つ又は4つのピニオンギヤが用いられている。本説明では、ピニオンギヤの数が上述のようになっているが、本発明の実施の形態では、ピニオンギヤ18の数は、より少なくても、より多くても良い。ピニオンギヤ18は、サイドギヤ20と噛合うように構成されている。本発明の実施の形態では、複数のサイドギヤが用いられている。例えば、本実施の形態では、2つのサイドギヤ20が用いられている。本説明では、サイドギヤの数が上述のようになっているが、本発明の実施の形態では、サイドギヤ20の数はより少なくても、より多くても良い。
【0011】
図3を参照すると、デファレンシャル12には、更にリングギヤ22及びスパイダ(spider)24が含まれる。リングギヤ22の回転がデファレンシャルケース14と、スパイダ24とに伝達され、最終的に、ピニオンギヤ18を介してサイドギヤ20に伝達される。再び図2を参照すると、デファレンシャル12は、ピニオンギヤ18の裏面とデファレンシャルケース14との間に配置された、少なくとも1つの球形スラストワッシャ26を更に含むものである。デファレンシャル12は、サイドギヤ20の裏面とデファレンシャルケース14との間に配置された、少なくとも1つの平形スラストワッシャ28を更に含むものである。デファレンシャル12は、デファレンシャルケース14内に配置された2つのサイドギヤ20が、異なる速度で回転することを許容するものである。
【0012】
図4Aを参照すると、第1の歯車(例えば、ピニオンギヤ18)は、第1の歯のフランクPを有する少なくとも1つの歯19を含むものである。ピニオンギヤ18の歯19は、一般に歯のフランク(すなわち、歯のフランクP)と称される二つの側面に縛られるものである。ピニオンギヤ18の歯19は、第1の歯形を有している。第1の歯形は、歯のフランクPの断面(歯19の断面)と交差する線である。図4Bを参照すると、第2の歯車(例えば、サイドギヤ20)は、第2の歯のフランクGを有する少なくとも1つの歯21を含むものである。サイドギヤ20の歯21は、一般に歯のフランク(すなわち、歯のフランクG)と称される二つの側面に縛られるものである。サイドギヤ20の歯21は、第2の歯形を有している。第2の歯形は、歯のフランクGの断面(歯21の断面)と交差する線である。一般的な設計のデファレンシャルのトルク密度は、通常、ピニオンギヤ18及びサイドギヤ20の、各々の歯19、21の、歯のフランクP、G相互間(例えば、ピニオンギヤ18の歯19の第1の歯のフランクPと、サイドギヤ20の歯21の第2の歯のフランクGとの間)に作用する最大接触圧力によって、制限を受けるものである。歯車の歯19、21の歯形上の各位置の接触圧力の値は、歯のプロファイル角θに影響を受けるものである。例えば、2つの凸面の接触(例えば、2つの歯形の係合)により、接触圧力が生じるものである。
【0013】
ピニオンギヤ18の第1の歯のフランクPと、サイドギヤ20の第2の歯のフランクGとの間に許容される最大接触圧力が増大すると、許容される接触荷重(contact load)の限度と、デファレンシャル12を介して伝達されるトルク密度は増大する。本発明の実施の形態に係る、ピニオンギヤ18の第1の歯のフランクPと、サイドギヤ20の第2の歯のフランクGとの改良点は、第1の歯のフランクPと、第2の歯のフランクGとが噛合い係合している状態で、(2つの凸面の接触状態というよりも)凸面及び凹面の接触状態のシミュレーションを試みることにある。特に、各ギヤの曲率半径が増大することによって、潜在的な接触圧力が減少するものである。対して、各ギヤの曲率半径が減少することによって、潜在的な接触圧力が増大するものである。従って、ピニオンギヤ18の第1の歯のフランクと、サイドギヤ20の第2の歯のフランクとの一般曲率(normal curvature)が減少し、曲率半径が増大するとすれば、より大きな接触荷重が許容されるものとなる。
【0014】
図5を参照すると、ピニオンギヤ18の第1の歯のフランクPの曲率半径が、符号Rr.pで示されており、サイドギヤ20の第2の歯のフランクGの曲率半径が、符号Rr.gで示されている。歯のフランクP、Gの接触点は、相当円筒P、Gに置換して示されている。複合的なジオメトリーを有する歯のフランクP、Gを、単純なジオメトリーの相当円筒P、Gに置換して示すことは、歯のフランクP、Gを適切に近似するものである。ピニオンギヤ18の歯のフランクPの曲率半径Rr.p及びサイドギヤ20の歯のフランクGの曲率半径Rr.g は、各々、実質的に、相当円筒P、Gと同等なものである。相当円筒P、Gの曲率半径Rr.g は、各々、実質的にd 、dの1/2と同じである。
【0015】
ピニオンギヤ18及びサイドギヤ20の接触荷重を増大させるためには、ピニオンギヤ18の歯のフランクP、及び、サイドギヤ20の歯のフランクGの一般曲率を減少させ、或いは、曲率半径Rr.p、Rr.g を増大させることが望まれる。歯のフランクP、Gの一般曲率を減少させる(換言すれば、曲率半径Rr.p、Rr.g を増大させる)ためには、ピニオンギヤ18からサイドギヤ20へ噛合う際の圧力角及び/又はプロファイル角Φを増大させ、又は、ピニオンギヤ18又はサイドギヤ20の基礎円錐角θを減少させることとなる。ピニオンギヤ18からサイドギヤ20へ噛合う際の圧力角及び/又はプロファイル角Φ、又は、ピニオンギヤ18又はサイドギヤ20の基礎円錐角θは、図6、図7に示されている。
【0016】
動作平面(a plane of action)には、ピニオンギヤ18の第1の歯のフランクPと、サイドギヤ20の第2の歯のフランクGとの間の接触点が含まれている。動作平面についての理解を高めるために、図6には、ピニオンギヤ18とサイドギヤ20との間に、模式的に動作線30、30、30を示している。動作線30、30、30は、幾何学的二次元上で示すために用いられ、動作平面は幾何学的三次元上で示すために用いられている。ピニオンギヤ18及びサイドギヤ20は、動作線30、30、30に沿って接触するものである。ピニオンギヤ18は中心点Oを有し、サイドギヤ20は中心点Oを有している。中心線32は、中心点O、Oの間を通過している。ピッチ点P(OP)は、中心線32と、動作線30、30、30とが交差する点である。線34は、ピッチ点P(OP)を通過して、中心線32と直交する線(即ち法線)である。圧力角及び/又はプロファイル角Φ、Φn1、Φn2は、直交線(即ち法線)34と、動作線30、30、30との間の角度である。ピニオンギヤ18及びサイドギヤ20の基礎円筒P、Gの半径rb.p、rb.gは、中心点O、Oから動作線30、30、30へと延びている。ピニオンギヤ18の第1の歯のフランクPと、サイドギヤ20の第2の歯のフランクGとの間の接触点の何れも、極座標に基づいて示されている。いずれの接触点も、ピッチ点P(OP)から所定距離だけ離間し、かつ、ピニオンギヤ18及びサイドギヤ20の中心点O、Oと接続する線32と直交する線34に対して、所定の圧力角Φをなす位置にある。図7には、ピニオンギヤ18及びサイドギヤ20の歯車基礎円錐36が示されている。歯のフランクP、Gは、頂点38と、基礎円錐角θの接平面40とを通る直線Eの軌跡を表す面を有している。接平面40は歯車基礎円錐36に接し、滑ることなく歯車基礎円錐36上を回転するものである。接平面40は、歯車基礎円錐36上を一回転するとき、歯車基礎円錐36に接する。接平面40上の線の延長線上の位置は、歯のフランクGに対応するものである。位置ベクトルrは、サイドギヤ20の歯のフランクGの位置を、X、Y、Z座標上で表すものである。従って、歯車基礎円錐36は、歯のフランクG(即ち、サイドギヤの歯のフランクG)と関連するように図示されており、歯車基礎円錐36は、ピニオンギヤ18に対応する歯のフランクPと関連するものとして用いることも可能である。サイドギヤ20の回転角度は、φで示されている。又、図7には、サイドギヤ20の回転角度が示されているが、これと同様に、ピニオンギヤ18の回転角度をφで示すことも可能である。
【0017】
ピニオンギヤ18からサイドギヤ20へ噛合いの圧力角Φの単純増加、若しくは、サイドギヤ20の基礎円錐角θの減少は、歯尖り(tooth pointing)を来たすものである。図8を参照すると、歯尖りは、特に、サイドギヤ20の外径部に生じ、歯の切下げはサイドギヤ20の内径部に生じるものである。図8には、サイドギヤ20に関する歯尖り及び/又は歯の切下げが図示されているが、ピニオンギヤ18にも同様の、歯尖り及び/又は歯の切下げが生じるものである。歯尖りは、歯の頂部の歯形における歯尖りをもたらし、それによって、歯尖りのフランクの角度Φは、標準歯(すなわち、点接触又は切下げを持たない歯)のフランクの角度Φよりも大きいものとなる。歯の切下げは、歯の頂部の歯形のフラッタニング(flattening)を増大させ、切下げ歯のフランクの角度Φは、標準歯のフランクの角度Φよりも小さなものとなる。歯尖り及び/又は歯の切下げは、何れも好ましくないものである。特に、歯尖りは、歯車対のトルクキャパシティを減少させるものであり、排除されるべきものである。
【0018】
接触荷重を増大させるために、好ましくない歯尖りを生じることのない範囲内で、ピニオンギヤ18からサイドギヤ20へ噛合いの圧力角Φを増加させ、若しくは、サイドギヤ20の基礎円錐角θを減少させ、或いは、ピニオンギヤ18の第1の歯のフランクP及びそれに対応する歯形を変更し、かつ、サイドギヤ20の第2の歯のフランクG及びそれに対応する歯形を変更する手法が、本発明の実施の形態に適用可能である。
【0019】
ピニオンギヤ18からサイドギヤ20への噛合いによる接触圧力を決定及び/又は算出するために、以下の数式を用いることが可能である。
【0020】
【数1】

【0021】
数1式に関連する各符号は、σ=ピニオンギヤ18からサイドギヤ20への噛合いによる接触圧力、W=歯のフランク面に対する垂直接触荷重(contact load normal)、b=歯のフランクP、Gの面同士の接触幅の半値、L=歯のフランクP、Gの面同士の最小の総接触長さ、を意味するものである。再び図5を参照すると、ピニオンギヤ18及びサイドギヤ20の、歯のフランクP、G同士の接触状態が模式的に示されている。ここで、歯のフランクP、Gの面同士の接触幅の半値bを決定及び/又は算出するために、以下の数式を用いることが可能である。
【0022】
【数2】

【0023】
数2式に関連する各符号は、μ、μ=ピニオンギヤ18及びサイドギヤ20の素材のポアソン比、E、E=ピニオンギヤ18及びサイドギヤ20の素材の弾性係数、ρ、ρ=ピニオンギヤ18の第1の歯のフランクP及びサイドギヤ20の第2の歯のフランクGの一般曲率半径(radii of normal curvture)、を意味するものである。一般曲率半径ρ、ρは、ピニオンギヤ18の第1の歯のフランクP及びサイドギ20ヤの第2の歯のフランクGの、接触線30、30、30と直交する断面において測る値である。数2式における、歯のフランクP、Gの一般曲率半径ρ、ρは、図5においては、曲率半径Rr.p 、Rr.gとして示されている。
【0024】
数1式及び数2式は、一般曲率半径ρ、ρが増大することで、接触荷重が増大することを裏付けるものである。再び図4A、図4Bを参照すると、ピニオンギヤ18の歯19の歯のフランクPと、サイドギヤ20の歯21の歯のフランクGが示されている。図7に戻って参照すると、位置ベクトルrは、ピニオンギヤ18及び/又はサイドギヤ20の、歯のフランクP、G上の点を、X、Y、Z座標で示すものである。歯のフランクP、Gの点(point)Mの位置ベクトルrは、三つの系のベクトルとして表すことが可能である。ここでは、サイドギヤ20の歯のフランクGが示されているが、ピニオンギヤ18の歯のフランクPにも、同様に適用可能である。位置ベクトルrは、以下の数式により表される。
【0025】
【数3】

【0026】
ベクトルA、B及びCは、以下の数式と等価である。
【0027】
【数4】

【0028】
【数5】

【0029】
【数6】

【0030】
数3式から数6式を参照すると、i、j及びkは、X、Y、Z座標上の単位ベクトル(すなわち、要素iはX軸方向の長さ1のベクトルであり、要素jはY軸方向の長さ1のベクトルであり、要素jはZ軸方向の長さ1のベクトルである。)を示し、パラメータUは、頂点38から突起(projection)MまでのZ軸上の距離を示している。パラメータU及びφは、歯車の歯のフランクGのガウス曲線パラメータを示している。更に、同様の、ピニオンギヤ18の歯のフランクPに関連する数式及びパラメータが用いられる。
【0031】
サイドギヤ20の歯のフランクGに係る数式(数7式)では、数式r=A+B+Cに含まれるベクトルA、B及びCに換えて、マトリックス表現で示されている。
【0032】
【数7】

【0033】
ピニオンギヤ18の歯のフランクPに係る数式(数8式)でも、マトリックス表現で示されている。
【0034】
【数8】

【0035】
図9を参照すると、ピニオンギヤ18及び/又はサイドギヤ20の、改良された歯形が模式的に示されている。数7式及び数8式は、サイドギヤ20の歯のフランクGの第1の曲率半径R1.g、及び、ピニオンギヤ18の歯のフランクPの第1の曲率半径R1.pを算出するものであり、同様にして、サイドギヤ20の歯のフランクGの第2の曲率半径R2.g、及び、ピニオンギヤ18の歯のフランクPの第2の曲率半径R2.pを算出するものである。図9に概略的に示される歯のフランクP、Gは修正されることで、歯のフランクP、Gの各々が、第1、第2の曲率半径を有している。第1の曲率半径R1.g、R1.pは、無限に近いものとなる。第2の曲率半径R2.g、R2.pは、ピニオンギヤ18及びサイドギヤ20の設計パラメータに依存する値である。第2の曲率半径R2.g、R2.pは、数7式、数8式、及び、当業者に周知の、滑らかな一般表面の主曲率半径を算出するための、後述する一般的な数式を用いて算出される。以下の数式において、ρ=R2.p かつρ=R2.g であり、ρ、ρは、各々、数1式及び数2式の、ピニオンギヤ18の第1の歯のフランクP、及び、サイドギヤ20の第2の歯のフランクGの、一般曲率半径を含むものである。Φ、ρは、当業者に周知の、ピニオンギヤ18及びサイドギヤ20のデザインパラメータを基に、決定されるものである。例えば、ピニオンギヤ18の第1の歯のフランクP、及び、サイドギヤ20の第2の歯のフランクGの、曲率半径ρ、ρが決定されるために、以下の数式が用いられる。
【0036】
【数9】

【0037】
【数10】

【0038】
数9式は、ピッチ円直径dと、歯のフランクP、G、及び、歯車の歯形の、大きな曲率半径ρに起因する大きな一般圧力角Φと、を有するギヤに係るものが示されている。同様に、小さな基礎円直径db.gは、ピニオンギヤ18及びサイドギヤ20の曲率半径ρ及び歯形の増大に伴うものである。ピッチ円直径dは、図5に概略的に示される、相当円筒P、Gのピッチ円の直径である。ピッチ面は、ピッチ線と称される線(概略的に示されている)に沿って接触している。基礎円直径db.gは、インボリュート歯フランクP、Gの基礎円錐36の直径であり、この基礎円錐36は、図7に概略的に示されている。
【0039】
図9を参照すると、一般的な補助ラック及び/又はベースラックRがイメージ及び/又は仮想ラックとして示されており、これは、一般的なピニオンギヤ及びサイドギヤの歯のフランク同士の、好適な噛合いを示している。補助ラックRは、物理的に存在するものではないが、一般的なピニオンギヤ及びサイドギヤの、歯のフランクのジオメトリーを算出するに当たり、単純化を図るために便宜上用いられるものである。補助ラックは、それ自体一定の歯形を有するものであるが、この補助ラックは、ピニオンギヤの歯形及びサイドギヤの歯形を創製することを目的とするものであり、相当に単純な歯形を有するものである。従って、補助ラックRは、ピニオンギヤの第1の歯形と、サイドギヤの第2の歯形とを一般的な歯形に創製するために用いられるものである。改良された補助ラックRは、本発明の実施の形態に係る、ピニオンギヤ18の第1の歯形と、サイドギヤ20の第2の歯形とを改良された歯形に創製するために用いられるものである。すなわち、歯のフランクPを有する少なくとも一つの歯を具備する、ピニオンギヤ18の第1の歯形と、歯のフランクGを有する少なくとも一つの歯を具備する、サイドギヤ20の第2の歯形とが、改良された補助ラックRによって創製されるものである。
【0040】
歯形角を増加させた場合において、一般的なピニオンギヤ及び/又はサイドギヤの、一般的な歯のフランクの一箇所若しくは、歯のフランクに沿った特定位置と、本発明に係るピニオンギヤ及び/又はサイドギヤの、歯のフランクの対照位置とを比較すると、本発明に係る歯の特定位置での接触圧力が減少する。従って、本発明の実施の形態に係るピニオンギヤ18及びサイドギヤ20の、改良された歯のフランクP、Gは、ピニオンギヤ18のための改良された第1の歯形と、サイドギヤ20のための改良された第2の歯形とを提供するものである。各改良された歯形は、複数のセクション(例えば、3つのセクション)を有するセグメントを含み、1つ若しくは複数のセクションは、増大する圧力角を有するものである。ピニオンギヤ18は、従って、第1の歯形を有している。第1の歯形は、複数のセクションを含む第1のセグメントを有するものである。第1の歯形の第1のセグメントは、ピニオンギヤ18の歯19のフランクPに対応するものである。サイドギヤ20は、従って第2の歯形を有している。第2の歯形は、複数のセクションを含む第2のセグメントを有するものである。第2の歯形の第2のセグメントは、サイドギヤ20の歯21のフランクGに対応するものである。第1及び第2のセクションが3つのセクションからなるものとして詳細に説明するが、改良された第1の歯形と、改良された第2の歯形との、第1及び第2のセグメントは、何れも、セクションの数がより多く若しくは少ないものも、本発明の他の実施の形態として含まれるものである。
【0041】
本発明の実施の形態においては、ピニオンギヤ18のフランクPの改良された第1の歯形、及び/又は、サイドギヤ20のフランクGの改良された第2の歯形は、第1又は第2のセグメントに1つ又は複数のセクションを含み、歯のプロファイル角Φdm、Φamは、歯のノミナル歯形を有する一般的な歯のフランクのノミナルプロファイル角Φと比較して増加している。歯の改良に際して許容される最大角(すなわち、一般的な歯のプロファイル角と比較した場合の、増加した歯のプロファイル角)は、ピニオンギヤ18及びサイドギヤ20の歯先面に許容される最小幅によって、制限を受けるものである。歯のプロファイル角の改良は、歯尖りの排除を確実にするものである。
【0042】
本発明の実施の形態には、歯のノミナル歯形は存在しておらず、本実施の形態に係る歯形の、改良された部分には、参照歯形(例えば、歯のフランクPのための、改良された第1の歯形、及び、歯のフランクGのための、改良された第2の歯形)が用いられている。換言すれば、ピニオンギヤ18のフランクPの改良された第1の歯形、及び/又は、サイドギヤ20のフランクGの改良された第2の歯形は、歯のノミナル歯形と関連付けた表現で特徴付けられている。例えば、改良された歯のプロファイル角は、一般的な歯のフランクのノミナルプロファイル角Φに対して、約0°から5°(即ち、約+0〜5°)大きい。一例としてのノミナルプロファイル角Φは、約20°である。歯のノミナル歯形を有する歯車(例えば、非改良型の歯形)は、かかるノミナル歯形を有している。一方、本発明の実施の形態に係る改良された歯は、仮想の(すなわち、イメージとしての)ノミナル歯形を有している。本発明の実施の形態に係る、改良された歯車の実際に用いられる歯形は、仮想の(すなわち、イメージとしての)ノミナル歯形に対して、その一部若しくは全体が異なるものである。
【0043】
本発明の実施の形態によれば、ピニオンギヤ18のフランクPの改良された第1の歯形、及び/又は、サイドギヤ20のフランクGの改良された第2の歯形は、1つ若しくは複数のセクションを有する第1又は第2のセグメントを有し、そのプロファイル角Φは、一般的な歯のプロファイル角と比較して、小さく構成されている。例えば、改良された歯のプロファイル角は、一般的な歯のフランクのノミナルプロファイル角Φに対して、約0°から5°(即ち、約−0〜5°)小さく構成されている。歯のプロファイル角Φを減少させた場合において、一般的なピニオンギヤ及び/又はサイドギヤの、一般的な歯のフランクの一箇所若しくは、歯のフランクに沿った特定位置と、本発明に係るピニオンギヤ及び/又はサイドギヤの、歯のフランクの対照位置とを比較すると、本発明に係る歯の特定位置での接触圧力が増加する。
【0044】
改良された補助ラックRが、三つのセクションを含むセグメントを備える改良された歯形を創製するための用いられる。ピニオンギヤ18及び/又はサイドギヤ20の歯のフランクP、Gを含む改良された歯19、21のプロファイルは、特に、図9に示されるセクションC、D、Eに相当する三つのセクションを含むセグメントを備えるものである。セクションCは、歯形のセグメントの第1(例えば上部)の位置に該当し、歯形が第1端部(例えば頂部)と交わる位置(すなわち、図1A及び図9の位置Aに相当する)から、歯形のセグメントの、位置Aとピッチ点P(op)との間(すなわち、図1A及び図9の位置Fに相当する)へと延長されている。セクションC(すなわち、第1の位置)は、増大する圧力角Φdm>Φを有している。セクションCにおける圧力角の増大は、歯の第1の位置Cに渡る負荷を減少させるものである。
【0045】
セクションDは、歯形のセグメントの第2(例えば中間部)の位置に該当し、歯形のセグメントの、位置Aとピッチ点P(op)との間(すなわち、図1A及び図9の位置Fに相当する)から、ピッチ点P(op)を通過して、ピッチ点P(op)と、歯形の歯底位置と交わる歯形のセクションである位置Bとの間の点(すなわち、図9の位置Gに相当する)へと延長される。セクションD(すなわち、第2の位置及び/又は中間部)は、一般的な歯車の歯形が備える本来の圧力角と比較して、小さな圧力角(すなわちΦ<Φ)を有している。セクションDにおける圧力角の減少は、一般的な歯形のセクションD(すなわちピッチ点P(op))において許容される、一般的な圧力角における接触負荷(図1Bに示されている)に、十分耐え得るだけの圧力角であり、第2のセクションDに渡る接触負荷を更に増大させるものである。
【0046】
セクションEは、歯形のセグメントの第3(例えば下部)の位置に該当し、歯形のセグメントの、ピッチ点P(op)と位置Bとの間(すなわち、図9の位置Gに相当する)から、歯形が第2端部(例えば底部)と交わる位置(すなわち、図1A及び図9の位置Bに相当する)、へと延長されている。セクションE(即ち底部セクション)は、増大する圧力角Φam>Φを有している。このセクションEに渡る圧力角の増加は、歯車の歯の、第3の位置Eにおける荷重を減少させるものである。
【0047】
セクションC及びセクションE双方のプロファイル角(すなわちΦdm、Φam)の改良は、改良された補助ラックRにより創製される歯形に係る、歯のフランクP、Gを備える歯車の歯19、21の間の、噛合いが保証されるよう促すものである。セクションC、Eにおける増加した圧力角Φdm、Φamは、ピニオンギヤ18とサイドギヤ20との接触圧力の増大を許容するものであり、セクションDにおける圧力角Φの減少は、歯尖りを減少させ及び/又は排除を促すものである。
【0048】
第1、第2及び第3の位置に渡るセクションC、D、Eのプロファイル角の改良は、歯のフランクP、Gを備える、ピニオンギヤ18及び/又はサイドギヤ20の歯19、21の歯形の改良をもたらすものである。特に、この改良された歯形は、三つのセクションC、D、Eを含むセグメントを有し、各セクションC、D、Eは、隣り合うセクションとの接続位置において、平面及び/又はエッジとなっている。従って、歯のフランクP、Gは、一つ若しくは複数の平面が異なる角度で接触したものである。すなわち、三つの平面が異なる角度で接触することで、改良された歯形に関する工学的及び/又は歯の製造上、特に用いやすく、平面である三つのセクションの遷移個所における鋭角の角部が、なだらかにつながる態様のピニオンギヤ18及びサイドギヤ20が用いられるものである。一方、三つの平面であるセクションC、D、Eは、改良された歯形に関する工学的及び/又は歯車の製造上の観点から、滑らかな曲面に近いものとなる。従って、歯のフランクP、Gは、局面で構成されるものとなる。第1、第2及び第3のセクションC、D、Eに渡るプロファイル角Φdm、Φ、Φamの改良は、各々、歯形の三つのセクションの接触圧力を実質的に同じくするように機能するものとなる。
【0049】
歯のフランクP、Gが噛合い係合する時、改良された補助ラックRを用いて創製されたピニオンギヤ18及びサイドギヤ20の歯のフランクP、Gの、改良されたジオメトリーは、動作面(図6に示される動作線30、30、30がこれに対応するものとして示されている。)の動作を促すものである。動作面は、歯車対10の、ピニオンギヤ18の第1の歯のフランクPと、サイドギヤ20の第2の歯のフランクGと間の、接触点によって規定されるものである。動作線30は、本発明の実施の形態に係るピッチ点P(OP)の周りを回転するものである。図6には、動作線30、30、30が示されている。動作線30、30、30は、改良された補助ラックRを用いて創製された、改良された歯形の各セクションC、D、Eの間の遷移個所に生じるものである。例えば、動作線30、30、30の回転は、図9に示される点F、Gを生じるものである。本発明の実施の形態に係る、ピニオンギヤ18及びサイドギヤ20の、改良された歯形は、図6に概略的に示されるように、動作線30、30、30の回転及び/又は揺動と関連して、分析的に述べられている。作線30、30、30の回転及び/又は揺動と関連する、ピニオンギヤ18の歯19及びサイドギヤ20の歯21の、歯のフランクP、Gの改良に係る数式が、以下に示されている。
【0050】
ベベルギヤに関する数式は以下の通りである。
【0051】
【数11】

【0052】
数11式において、符号θw.pは、ピッチ円錐角度であって一定値であり、符号tは時間を示している。数11式に続く以下の数式における、角度θ(t)においても、符号tは時間を意味している。
【0053】
【数12】

【0054】
歯車の回転時において、時間tの間の、ピニオンギヤ18の軸回りの回転角度φは、φ=ω・tと同じであり、ωはピニオンギヤ18の角速度を示している。従って、時間tは、t=φ/ωと置換して表すことが可能である。最後に、符号tはθ(φ)と表すことが可能であり、これは上記数12式に示された符号θ(t)と等価である。改良されたピニオンギヤ18の、歯のフランクPの点rmodifの位置ベクトルに関する数式として、数8式に換わる数12式がここに示されている。
【0055】
【数13】

【0056】
本発明に係る上記説明及び実施の形態は、あくまでも本発明を説明する目的で、図示及び説明されたものである。これらの詳細な開示は、本願発明からそれ以外のものを除外するものでも、これに限定するものでもなく、上述の思想の範囲内で様々な修正及びバリエーション化が可能である。これらは、発明の原理と実施の形態とを説明することを目的とするものであり、又、当業者が本発明及び適宜修正を加えた本発明の様々な応用形態を実施することが可能となることを意図している。本発明は、上述の説明に詳細に開示されており、本発明の様々な応用例又は修正例は、当業者が上記説明を読み、理解することによって発想することが出来るものである。これら全ての応用例又は修正例は、本発明に含まれるものであり、更には、請求項に包含されるものである。本発明は、請求項及びそれと同等の範囲に及ぶものである。
【符号の説明】
【0057】
10:歯車対、12:デファレンシャル、14:デファレンシャルケース、16:ピニオンシャフト、18:第1の歯車、19、21:歯、20:第2の歯車、22:リングギヤ、24:スパイダ、26:球形スラストワッシャ、28:平形スラストワッシャ、30、30、30:動作線(接触線)、32:中心線、34:線(法線)、36:歯車基礎円錐、38:頂点、40:接平面、C:セクション(第1の位置)、D:セクション(第2の位置)、E:セクション(第3の位置)、 E、E:ピニオンギヤ及びサイドギヤの素材の弾性係数、L:歯のフランクの面同士の最小の総接触長さ、M:点(突起)、 O、O:中心点、P:第1の歯のフランク、G:第2の歯のフランク、 P、G:相当円筒(基礎円筒)、P(OP):ピッチ点、R:補助ラック(ベースラック)、R:改良された補助ラック、 Rr.p 、Rr.g:曲率半径、 R1.g、R1.p:第1の曲率半径、 R2.g、R2.p:第2の曲率半径、U:頂点から突起(点)までのZ軸上の距離、W:歯のフランク面に対する垂直接触荷重、b:歯のフランクの面同士の接触幅の半値、db.g:基礎円直径、d:ピッチ円直径、 i、j、k:X、Y、Z座標上の単位ベクトル、rb.p、rb.g:基礎円筒の半径、r:位置ベクトル、rmodif:点、t:時間、θ:歯のプロファイル角(基礎円錐角)、θw.p:ピッチ円錐角度、Φ:圧力角((ノミナル)プロファイル角)、 Φdm、Φam:歯のプロファイル角、 φ、φ:回転角度、σ:ピニオンギヤからサイドギヤへの噛合いによる接触圧力、 μ、μ:ピニオンギヤ及びサイドギヤの素材のポアソン比、 ρ、ρ:ピニオンギヤ及びサイドギヤの歯のフランクの一般曲率半径、ω:ピニオンギヤの角速度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の歯形を有する歯を少なくとも一つ含む第1の歯車を備える歯車対であって、
第1の複数のセクションを有する第1のセグメントを含む第1の歯形を有し、
少なくとも一つの、前記第1の複数のセクションは、第1のプロファイル角を有し、
少なくとも一つの、前記第1の複数のセクションは、第2のプロファイル角を有し、
前記第1のプロファイル角は、前記第2のプロファイル角と異なっていることを特徴とする歯車対。
【請求項2】
第2の歯形を有する歯を少なくとも一つ含む第2の歯車を更に備え、
第2の複数のセクションを有する第2のセグメントを含む第2の歯形を有し、
少なくとも一つの、前記第2の複数のセクションは、第1のプロファイル角を有し、
少なくとも一つの、前記第2の複数のセクションは、第2のプロファイル角を有し、
少なくとも一つの、前記第2複数のセクションの前記第1のプロファイル角は、少なくとも一つの、前記第2複数のセクションの、前記第2のプロファイル角と異なっていることを特徴とする請求項1記載の歯車対。
【請求項3】
前記第1の歯車の少なくとも一つの歯と、前記第2の歯車の少なくとも一つの歯とが、噛合い係合するように構成されていることを特徴とする請求項2記載の歯車対。
【請求項4】
前記第1のプロファイル角は約0°〜約5°の範囲で、前記第1の歯車の少なくとも一つの歯のノミナルプロファイル角よりも大きい角度であることを特徴とする請求項1記載の歯車対。
【請求項5】
前記第2のプロファイル角は約0°〜約5°の範囲で、前記第2の歯車の少なくとも一つの歯のノミナルプロファイル角よりも小さい角度であることを特徴とする請求項2記載の歯車対。
【請求項6】
前記第1のプロファイル角は、少なくとも前記第1の歯形上の一点における、前記第1の歯車の少なくとも一つの歯の接触圧力を減少させる角度に構成されていることを特徴とする請求項1記載の歯車対。
【請求項7】
前記第2のプロファイル角は、少なくとも前記第2の歯形上の一点における、前記第2の歯車の少なくとも一つの歯の接触圧力を減少させる角度に構成されていることを特徴とする請求項2記載の歯車対。
【請求項8】
前記第1の歯形角は、前記第2のプロファイル角よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の歯車対。
【請求項9】
前記第1のプロファイル角は、約0°〜約10°の範囲で、前記第2のプロファイル角よりも大きいことを特徴とする請求項8記載の歯車対。
【請求項10】
前記第1の複数のセクションには、第1のセクション、第2のセクション及び第3のセクションが含まれることを特徴とする請求項1記載の歯車対。
【請求項11】
前記第1のセクションは前記第1のプロファイル角を有することを特徴とする請求項10記載の歯車対。
【請求項12】
前記第2のセクションは、前記第2のプロファイル角を有することを特徴とする請求項11記載の歯車対。
【請求項13】
前記第3のセクションは、前記第3のプロファイル角を有することを特徴とする請求項12記載の歯車対。
【請求項14】
前記第2のセクションは、前記第1のセクションと前記第3のセクションとの間に配置されていることを特徴とする請求項13記載の歯車対。
【請求項15】
前記第1の歯形は第1のピッチ点を有し、前記第1のセクションは、前記第1の歯形の第1の端部から、前記第1の端部と前記ピッチ点との間の第1の位置へと延びていることを特徴とする請求項14記載の歯車対。
【請求項16】
前記第2のセクションは、前記第1の位置から前記ピッチ点を通過して、前記ピッチ点と前記第1の歯形の第2の端部との間の、第2の位置へと延びていることを特徴とする請求項15記載の歯車対。
【請求項17】
前記第3のセクションは、前記第2の位置から、前記第1の歯形の第2の端部へと延びていることを特徴とする請求項16記載の歯車対。
【請求項18】
前記第1のセクション、前記第2のセクション及び前記第3のセクションには、曲線が含まれることを特徴とする請求項14記載の歯車対。
【請求項19】
デファレンシャルケースと、
該デファレンシャルケースの内部に配置されるピニオンシャフトと、
第1の歯形を有する少なくとも一つの歯を含むピニオンギヤとを含み、
前記第1の歯形は、第1の複数のセクションを含む第1のセグメントを備え、
少なくとも一つの前記第1の複数のセクションは、第1のプロファイル角を有し、
少なくとも一つの前記第1の複数のセクションは、第2のプロファイル角を有し、
前記第1のプロファイル角と、前記第2のプロファイル角とが異なっていることを特徴とするデファレンシャル。
【請求項20】
第2の歯形を有する歯を少なくとも一つ含むサイドギヤを更に備え、
第2の複数のセクションを有する第2のセグメントを含む第2の歯形を有し、
少なくとも一つの、前記第2の複数のセクションは、第1のプロファイル角を有し、
少なくとも一つの、前記第2の複数のセクションは、第2のプロファイル角を有し、
少なくとも一つの、前記第2複数のセクションの前記第1のプロファイル角は、少なくとも一つの、前記第2複数のセクションの、前記第2のプロファイル角と異なっていることを特徴とする請求項19記載のデファレンシャル。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−529604(P2012−529604A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514542(P2012−514542)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【国際出願番号】PCT/IB2009/006342
【国際公開番号】WO2010/143011
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(390033020)イートン コーポレーション (290)
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
【Fターム(参考)】